(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024011123
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】トイレットペーパーのエンボス加工装置
(51)【国際特許分類】
A47K 10/16 20060101AFI20240118BHJP
【FI】
A47K10/16 D
A47K10/16 A
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022112871
(22)【出願日】2022-07-14
(71)【出願人】
【識別番号】391054453
【氏名又は名称】川之江造機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001704
【氏名又は名称】弁理士法人山内特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】篠原 智之
(72)【発明者】
【氏名】森實 雄一
(72)【発明者】
【氏名】一色 裕樹
【テーマコード(参考)】
2D135
【Fターム(参考)】
2D135AA04
2D135AB02
2D135AB13
2D135AC08
2D135AD00
2D135AD15
2D135DA14
(57)【要約】
【課題】トイレットペーパーの巻長を長く確保できるエンボス加工装置とトイレットペーパーロールを提供する。
【解決手段】複数枚のシートS1,S2が積層されて1枚のペーパーPとなるトイレットペーパーにエンボス加工を施すエンボス加工装置3であって、1枚のペーパーPのうちの表面側シートS1にエンボス加工を施して凹凸の大きい表面エンボスを形成する第1エンボス加工部10と、1枚のペーパーPのうちの裏面側シートS2にエンボス加工を施して凹凸の小さい裏面エンボスを形成する第2エンボス加工部20と、裏面エンボスを表面エンボスに組合わせるエンボス組合せ部41,31とを備える。表面側シートS1の表面エンボスの凹部に裏面側シートS2の裏面エンボスを嵌め合わせるので、ペーパーPのエンボス部の嵩が高くならず、所定の巻径に収めながらペーパーの巻長を長くしたトイレットペーパーロールRを製造することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚のシートが積層されて1枚のペーパーとなるトイレットペーパーにエンボス加工を施すエンボス加工装置であって、
1枚のペーパーのうちの表面側シートにエンボス加工を施して凹凸の大きい表面エンボスを形成する第1エンボス加工部と、
前記1枚のペーパーのうちの裏面側シートにエンボス加工を施して凹凸の小さい裏面エンボスを形成する第2エンボス加工部と、
前記第2エンボス加工部で形成された裏面エンボスを、前記第1エンボス加工部で形成された表面エンボスに組合わせるエンボス組合せ部とを備える
ことを特徴とするトイレットペーパーのエンボス加工装置。
【請求項2】
前記エンボス組合せ部が、表面側シートにおける表面エンボスの大きい凹凸に裏面側シートにおける裏面エンボスの小さい凹凸を沿わせて支えるよう組合わせるペーパーロールで構成されている
ことを特徴とする請求項1記載のトイレットペーパーのエンボス加工装置。
【請求項3】
前記エンボス組合せ部が、前記第2エンボス加工部においてエンボス加工をしてない状態で送り出した裏面側シートを、前記第1エンボスロールに巻き掛けられている表面側シートの表面エンボスに押し込むゴムロールで構成されている
ことを特徴とする請求項1記載のトイレットペーパーのエンボス加工装置。
【請求項4】
前記エンボス組合せ部が、前記第1エンボス加工部で形成された表面エンボスの大きい凹凸に、前記第2エンボス加工部で形成された裏面エンボスの小さい凹凸を嵌め込むゴムロールで構成されている
ことを特徴とする請求項1記載のトイレットペーパーのエンボス加工装置。
【請求項5】
複数枚のシートが積層されて1枚のペーパーとなるトイレットペーパーを巻き取ったトイレットペーパーロールであって、
1枚のペーパーのうちの表面側シートに表面エンボスが形成されており、
前記1枚のペーパーのうちの裏面側シートに裏面エンボスが形成されており、
前記裏面エンボスの凹凸は、前記表面エンボスの凹凸に組合わされている
ことを特徴とするトイレットペーパーロール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トイレットペーパーのエンボス加工装置およびトイレットペーパーロールに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載のトイレットペーパーロールは、2プライ積層したトイレットペーパーをロール状に巻き取ったトイレットロールであって、トイレットペーパーにエンボス加工をしたものであり、このエンボス加工がシングルエンボスと称されるものである。ここでいう2プライ積層とは、2枚のシートを積層して1枚のペーパーとしたものを意味し、シングルエンボスとは2プライ積層状態の1枚のペーパーにエンボス加工を施す加工を意味する。
シングルエンボス加工を施すと、1枚のペーパーの表裏2枚のシートに、同時に形成されたエンボスパターンの凹凸が嵌み合わされたトイレットペーパーが得られる。
【0003】
上記特許文献1の技術においては、表裏2枚のシートに形成されたエンボスパターンの凹部に凸部が嵌み合わされているので、紙厚が薄くなり、ロールに巻いたときの巻長が長いトイレットペーパーロールを実現できる、といわれている。
しかしながら、上記従来技術では、表裏2枚のシートを一度にエンボス加工するため、表裏両面のシートの同じ大きさの凹凸が嵌り合って一体化するため、局所的に柔らかさが失われ、肌触りを良くするためには限界があった。
【0004】
一方、シングルエンボス加工とは別の加工法にダブルエンボス加工がある。ダブルエンボス加工では、
図8に示すようにトイレットペーパーの表面側および裏面側の各シートS1,S2のそれぞれにエンボス加工が施される。この場合、2枚のシートのエンボスパターン同士が重なるため、トイレットペーパーの紙厚が高くなり過ぎ、所定の巻径に収めながら巻長を長く確保することが難しくなる。
したがって、トイレットペーパーの肌触りの良さを確保しつつ、所定の巻径に収めながら巻長の長いトイレットペーパーロールを得ることは困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記事情に鑑み、肌触りの良いトイレットペーパーロールでありながら、巻長を長く確保できるトイレットペーパーのエンボス加工装置を提供することを目的とする。また、トイレットペーパーの巻長が長く、肌触りの良いトイレットペーパーロールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1発明のトイレットペーパーのエンボス加工装置は、複数枚のシートが積層されて1枚のペーパーとなるトイレットペーパーにエンボス加工を施すエンボス加工装置であって、1枚のペーパーのうちの表面側シートにエンボス加工を施して凹凸の大きい表面エンボスを形成する第1エンボス加工部と、前記1枚のペーパーのうちの裏面側シートにエンボス加工を施して凹凸の小さい裏面エンボスを形成する第2エンボス加工部と、前記第2エンボス加工部で形成された裏面エンボスを、前記第1エンボス加工部で形成された表面エンボスに組合わせるエンボス組合せ部とを備えることを特徴とする。
第2発明のトイレットペーパーのエンボス加工装置は、第1発明において、前記エンボス組合せ部が、表面側シートにおける表面エンボスの大きい凹凸に裏面側シートにおける裏面エンボスの小さい凹凸を沿わせて支えるよう組合わせるペーパーロールで構成されていることを特徴とする。
第3発明のトイレットペーパーのエンボス加工装置は、第1発明において、前記エンボス組合せ部が、前記第2エンボス加工部においてエンボス加工をしてない状態で送り出した裏面側シートを、前記第1エンボスロールに巻き掛けられている表面側シートの表面エンボスに押し込むゴムロールで構成されていることを特徴とする。
第4発明のトイレットペーパーのエンボス加工装置は、第1発明において、前記エンボス組合せ部が、前記第1エンボス加工部で形成された表面エンボスの大きい凹凸に、前記第2エンボス加工部で形成された裏面エンボスの小さい凹凸を嵌め込むゴムロールで構成されていることを特徴とする。
第5発明のトイレットペーパーロールは、複数枚のシートが積層されて1枚のペーパーとなるトイレットペーパーを巻き取ったトイレットペーパーロールであって、1枚のペーパーのうちの表面側シートに表面エンボスが形成されており、前記1枚のペーパーのうちの裏面側シートに裏面エンボスが形成されており、前記裏面エンボスの凹凸は、前記表面エンボスの凹凸に組合わされていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
第1発明によれば、表面側シートの表面エンボスに裏面側シートの裏面エンボスを組合わせることで、トイレットペーパーのエンボス部の嵩が高くならないようにできる。このためトイレットペーパーロールを所定の巻径に収めながらペーパーの巻長を長くしたトイレットペーパーロールを製造することができる。
第2発明によれば、第1エンボスロールで形成した表面側シートの深い凹凸を、第2エンボスロールで形成した浅い凹凸の裏面側シートで支えるよう組合わせるので、エンボス部の嵩が高くないトイレットペーパーを得ることができる。このため、トイレットペーパーロールを所定の巻径に収めながらペーパーの巻長を長くしたトイレットペーパーロールを製造することができる。
第3発明によれば、第1エンボスロールにより深い凹凸が形成された表面側シートにエンボス加工されていない裏面側シートをゴムロールによって表面側シートを押し付けるので、表面エンボスの凹部に裏面エンボスが押し込まれたペーパーを得ることができる。このようにして表裏両面シートのエンボスの嵩が低くなるので、所定の巻径に収めながらペーパーの巻長を長くしたトイレットペーパーロールを製造することができる。
第4発明によれば、第1エンボスロールで形成した表面シートの大きい凹凸に、第2エンボスロールで形成された裏面側シートの小さい凹凸がゴムロールで押し付けられて嵌り込むので、エンボス部の嵩が低くなる。このため、所定の巻径に収めながらペーパーの巻長を長くしたトイレットペーパーロールを製造することができる。
第5発明によれば、表面側シートを表面エンボスの凹部に裏面側シートの裏面エンボスを組合わせたペーパーが得られるので、エンボス部の嵩が高くならず、所定の巻径に収めながらペーパーの巻長が長いトイレットペーパーロールが実現できる。また、表面エンボスと裏面エンボスは個別に加工されており、それぞれの凹凸を保って組合わされるので、ペーパーの柔らかさが保たれる。そのため肌触りのよいトイレットペーパーとなる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るエンボス加工装置3Aの説明図である。
【
図2】本発明の第2実施形態に係るエンボス加工装置3Bの説明図である。
【
図3】本発明の第3実施形態に係るエンボス加工装置3Cの説明図である。
【
図4】本発明のエンボス加工装置が適用されるトイレットロール製造設備の全体説明図である。
【
図5】本発明に係るエンボス加工装置3の基本構成の説明図である。
【
図6】本発明の各実施形態のエンボス加工装置3A,3B,3Cで得られるエンボスパターンI,II,IIIの説明図である。
【
図7】本発明で得られるトイレットペーパーロールRの説明図である。
【
図8】従来のダブルエンボスパターンの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
まず、
図4に基づき、本発明のエンボス加工装置が適用されるトイレットロール製造設備の全体構成を説明する。
1は原反ロール巻出し装置、3は本発明に係るエンボス加工装置、5はワインダ装置であり、原反ロールの巻出しからトイレットペーパーロールの巻取りまで、この順で配置されている。
【0011】
原反ロール巻出し装置1は、2本の原反ロールr1,r2をそれぞれに回転させて2枚のシートS1,S2を巻き出す第1巻出し台1aおよび第2巻出し台1bからなる。原反ロールr1,r2はトイレットペーパーの原紙をロール状に巻取ったものである。原反ロールr1,r2は適宜の架台に回転自在に支持されており、適宜の回転駆動機構で回転させられる。回転駆動機構にはロール軸を回転させるモータや、ロール表面に接して回転を生じさせる送り出しベルトなどがある。図には送り出しベルト型の第1巻出し台1aおよび第2巻出し台1bが示されている。
【0012】
原反ロール巻出し装置1から送り出された2枚のシートS1,S2は、エンボス加工装置3に供給され、シートS1,S2のそれぞれは個別にエンボス加工される。
なお、以下において、シートS1は表面側シートS1とし、シートS2は裏面側シートS2として説明されることがある。また、表面側シートS1に形成されたエンボスを表面エンボスといい、裏面側シートS2に形成されたエンボスを裏面エンボスということがある。
【0013】
ワインダ装置5は、巻取りロール部と巻芯供給機構とロール切断部からなる公知の機構を備えている。巻取りロール部では巻芯が供給され、その巻芯にトイレットペーパーが巻付けられ、トイレットペーパーログに巻き太っていく。トイレットペーパーを所定径に巻取ると、トイレットペーパーログが得られる。このログを所定長に切断するとトイレットペーパーロールが得られる。
【0014】
上記のようにして製造されたトイレットペーパーロールRにおいて、ペーパーPは、複数積層、たとえば2プライ積層されたシートS1およびシートS2から構成されており、各シートS1,S2のそれぞれにはエンボス加工が施されている。本発明では、複数のシートS1,S2のそれぞれに個別にエンボス加工して後で組合わせるが、本明細書ではこれをダブルエンボス加工という。
【0015】
つぎに、
図5に基づきエンボス加工装置3の基本構成を説明する。なお、基本構成は
図1~
図3に示す第1~第3実施形態に共通するものである。
以下の第1~第3実施形態は、いずれも2枚のシートを積層した2プライのトイレットペーパーPに関する実施形態である。
エンボス加工装置3は、第1エンボス加工部10と第2エンボス加工部20とエンボス組合せ部とからなる。
第1エンボス加工部10は、第1エンボスロール11と第1ゴムロール12とからなる。原反ロール巻出し装置1から出た2枚のシートS1,S2のうちの表面側シートS1が、機枠の上部にあるガイドロール6を経て第1ゴムロール12と第1エンボスロール11にその順で巻き掛けられる。
【0016】
第1エンボスロール11は金属製のロールで、その表面にエンボス型が形成されている。第1ゴムロール12は弾力性のあるゴム製のロールで、揺動可能に支持された支持アーム14に取付けられている。そして、エアシリンダ13が支持アーム14の自由端に連結されており、このエアシリンダ13を伸縮させて第1ゴムロール12の第1エンボスロール11の表面に対する押付け力を加減できるようになっている。なお、支持アーム14には適宜のストッパー装置を付けて、第1ゴムロール12の第1エンボスロール11に対する押込み量を正確に制御できるようにしている。
この第1エンボス加工部10により、表面側シートS1が第1エンボスロール11と第1ゴムロール12の間を通る間に、第1ゴムロール12で第1エンボスロール11に押し付けられると、表面側シートS1にエンボス加工がなされる。
【0017】
第2エンボス加工部20は、第2エンボスロール21と第2ゴムロール22とからなる。原反ロール巻出し装置1から出た2枚のシートS1,S2のうち裏面側シートS2が、機枠の下部にあるガイドロール7,8を経て第2ゴムロール22と第2エンボスロール21にその順で巻き掛けられ、エンボス加工が施される。
【0018】
第2エンボスロール21は金属製のロールで、その表面にエンボス型が形成されている。第2ゴムロール22は弾力性のあるゴム製のロールで、揺動可能に支持された支持アーム24に取付けられている。そして、エアシリンダ23が支持アーム24の自由端に連結されており、このエアシリンダ23を伸縮させて第2ゴムロール22の第2エンボスロール21への押付け力を加減できるようになっている。なお、支持アーム24には適宜のストッパー装置を付けて、第2ゴムロール22の第2エンボスロール21に対する押込み量を正確に制御できるようにしている。
この第2エンボス加工部20により、第2エンボスロール21に巻き掛けられた裏面側シートS2に第2ゴムロール22が押し付けられると、裏面側シートS2にエンボス加工がなされる。
【0019】
第1エンボスロール11と第2エンボスロール21のロール表面に形成されたエンボスパターン(エンボスの平面的な大きさや深さを意味する)は任意であり、そのエンボスパターンで形成する模様も上市するトイレットペーパーロールの仕様によって任意に決められる。
【0020】
本発明においては、第1エンボスロール11で形成される表面エンボスと第2エンボスロール21で形成される裏面エンボスの間で相対的な大小の関係がある。表面エンボスおよび裏面エンボスの凹凸の大きさ、また凹凸の深さの浅い深いの別は、各エンボスロール11,21に対しシートS1,S2を押し込むゴムロール12,22の押込み量を加減することで調整できる。なお、各エンボスロールのエンボス型を大小に作り分ける方法も使用可能である。
【0021】
本発明のエンボス加工装置3では、第2エンボス加工部で裏面側シートS2に形成された裏面エンボスを第1エンボス加工部で表面側シートS1に形成された表面エンボスを重ねたり嵌め合わせるためのエンボス組合せ部を備えている。このエンボス組合せ部の構成は各実施形態毎に異なるので後述する。
【0022】
(第1実施形態)
図1に基づき、第1実施形態のエンボス加工装置3Aを説明する。
第1エンボス加工部10では、第1エンボスロール11の上方に第1ゴムロール12が配置されており、ガイドロール6で案内された表面側シートS1が、第1ゴムロール12から第1エンボスロール11に至るよう巻き掛けられている。第1エンボスロール11のエンボスパターンの凹凸は誇張して描かれているが、代表的には深さが0.5~1.5mm程度であり、平面上の大きさは0.2~1.2mm程度のものである。ただし、これらの数値は任意に選択できるものであり、本発明において数値上の制限は存しない。
【0023】
第1ゴムロール12は、その弾力性によって表面側シートS1を第1エンボスロール11のエンボスパターンに押し付けて、凹凸のついたエンボスパターンを形成するものである。第1ゴムロール12の第1エンボスロール11に対する押付け量は、
図5に示すエアシリンダ13を伸長すれば大きくでき、収縮させれば小さくできる。そして、第1ゴムロール12の押付け量を大きくすれば、表面側シートS1に形成される表面エンボスの凹凸の大きさや深さが大きくなり、第1ゴムロール12の押付け量を小さくすれば、表面エンボスの凹凸の大きさや深さが小さくなる。このようにしてエンボスの凹凸の大きさや深さは連続的に変化させることができる。
【0024】
第2エンボス加工部20では、第2エンボスロール21の下方に第2ゴムロール22が配置されており、ガイドロール7で案内された裏面側シートS2が第2ゴムロール22から第2エンボスロール21に至るように巻き掛けられている。第2エンボスロール21のエンボスパターンの凹凸は誇張して描かれているが、エンボスパターンの深さと大きさは、第1エンボスロール11のものと同様のものでもよく、より細かいものでもよい。
【0025】
第2ゴムロール22は、その弾力性によって裏面側シートS2を第2エンボスロール21のエンボスパターンに押し付けて、凹凸のついたエンボスパターンを形成するものである。第2ゴムロール22の第2エンボスロール21に対する押付け量は、
図5に示すエアシリンダ23を伸長すれば大きくでき、収縮させれば小さくできる。そして、第2ゴムロール22の押付け量を加減して裏面エンボスの凹凸の大きさや深さを加減できることは、第1ゴムロール12の場合と原理的に同様である。また、エアシリンダ23を大きく収縮させると第2ゴムロール22と第2エンボスロール21との間に隙間を作り、裏面側シートS2にエンボス加工をしない選択も可能となる。
【0026】
表面側シートS1は第1エンボスロール11に巻き掛けられている間に第1ゴムロール12で押し付けられ、エンボス加工される。裏面側シートS2は第2エンボスロール21に巻き掛けられている間に第2ゴムロール22で押し付けられ、エンボス加工される。裏面側シートS2に形成された裏面エンボスは、表面側シートS1に形成された表面エンボスに比べ凹凸の深さが浅いものとなるよう、第1ゴムロール12と第2ゴムロール22のそれぞれの押付け量を設定して使用される。
【0027】
第1エンボスロール11から表面側シートS1が送り出され、第2エンボスロール21から裏面側シートS2が送り出される位置には、ペーパーロール41が配置されている。このペーパーロール41は、自由回転するロールであって、表面側シートS1の背面に裏面側シートS2の上面を重ね合わせる機能を有している。このペーパーロール41は特許請求の範囲にいうエンボス組合せ部を構成している。
第1エンボスロール11から送り出される表面側シートS1と裏面側シートS2は、ペーパーロール41に巻き掛けられて送りをかけられる間に、互いに重ね合わされ表面側シートS1を裏面側シートS2が支えるようにされる。
【0028】
この表面側シートS1と裏面側シートS2の重ね合せのパターンを、
図6(I)に基づき詳細に説明する。
表面側シートS1の表面エンボスe1は断面が凹凸を形成するもので、山部e11と谷部e12を有している。裏面側シートS2の裏面エンボスe2も断面が凹凸を形成するもので、山部e21と谷部e22を有している。ただし、表面エンボスe1の凹凸の深さに比べ、裏面エンボスe2の凹凸は浅いものである。
【0029】
表面エンボスe1と裏面エンボスe2の重なり方は、図示のように、表面側シートS1の谷部e12と裏面側シートS2の山部e21とが一部重なるものである。ただし、これは例示であって、谷部e12と山部e21の重なり具合は、より大きくてもより小さくてもよい。
【0030】
表面側シートS1の表面エンボスe1に比べ裏面側シートS2の裏面エンボスe2は深さが浅いので、2枚のシートS1,S2が重なったとしてもペーパーPの嵩はさほど高くならない。このため、トイレットペーパーロールに巻き取ったときの巻径を所定の径に収めてもトイレットペーパーの巻長を長くすることができる。
また、トイレットペーパーのエンボスは凹凸の深いものと浅いものとが組合わされるので、重なったエンボスに柔らかさが生じるので、肌触りの良いトイレットペーパーとなる。
【0031】
(第2実施形態)
図2に基づき、第2実施形態に係るエンボス加工装置3Bの要部を説明する。
第1エンボス加工部10を構成する第1エンボスロール11と第1ゴムロール12の機械的構成と使い方は、第1実施形態と同様である。
【0032】
第2エンボス加工部20を構成する第2エンボスロール21と第2ゴムロール22の機械的構成は基本的には第1実施形態と同様でよいが、第2エンボスロール21は実質的に機能させない使い方をする。したがって、図示のように第2ゴムロール22は下方に下げ第2エンボスロール21との間に間隔をあけておく。そして裏面側シートS2を第2エンボスロール21の囲りに圧力を掛けないで巻き掛けるだけにし、第2ゴムロール22による押付け圧も作用させないようにする。
【0033】
なお、別の使い方として、裏面側シートS2をガイドロール7から直接、第1エンボスロール11と後述する第3ゴムロール31との間に導くか、第2ゴムロール22に巻き掛けた後で第1エンボスロール11と第3ゴムロール31の間に裏面側シートS2を導く方法をとってもよい。
【0034】
図示の第3ゴムロール31は特許請求の範囲にいうエンボス組合せ部を構成している。この第3ゴムロール31は、弾力性のあるゴム製のロールであり、第1エンボスロール11に表裏2枚のシートS1,S2を押し付けうる位置に配置されている。
表面側シートS1は第1エンボスロール11に巻き掛けられている間に第1ゴムロール12で押し付けられて、エンボス加工される。裏面側シートS2は第2エンボスロール21に巻き掛けられるが、第2ゴムロール22の押し付けはしないので、エンボス加工されずに第3ゴムロール31に向け送られる。
第3ゴムロール31は、表面側シートS1と裏面側シートS2を重ねた状態で第1エンボスロール11に押し付けることで、裏面側シートS2は表面側シートS1のエンボスパターンの凹部に押し込まれる。このエンボス加工の詳細は、
図6(II)に示されている。
【0035】
図6(II)に示すように、トイレットペーパーPは表面側シートS1と裏面側シートS2からなるもので、表面側シートS1の表面エンボスe1の凹部に裏面側シートS2の裏面エンボスe2の凸部が嵌り込んだ形状をしている。換言すれば、表面側シートS1の山部e11の内側に裏面側シートS2の山部e21が入り、表面側シートS1の谷部e12と裏面側シートS2の谷部e22は重なり合う。
【0036】
このように表面エンボスe1に裏面エンボスe2が嵌り合うと、ペーパーPの嵩は高くならず、ほとんど表面側シートS1の高さとほぼ同じ嵩となる。このため、トイレットペーパーロールRの巻径Dを所定の径(たとえば、120mmが規格の一つである)に収めてもトイレットペーパーPの巻長を長くできる。このため、
図8に示す従来のダブルエンボスタイプのトイレットペーパーの数倍が可能であり、たとえば1.5~4倍の巻長も可能となる。
また、表面側シートS1の表面エンボスe1を裏面側シートS2の裏面エンボスe2で支えることで、エンボスの型崩れも生じず、トイレットペーパーPの強度を高めることができる。
【0037】
(第3実施形態)
図3に基づき、第3実施形態に係るエンボス加工装置3Cの要部を説明する。
第1エンボス加工部10を構成する第1エンボスロール11と第1ゴムロール12の機械的構成と使い方は、第1実施形態と同様である。
【0038】
第2エンボス加工部20を構成する第2エンボスロール21は、機能は第1実施形態3Aの第2エンボスロール21と同じであるが、エンボスパターンは細かいパターンのものが用いられている。具体的には、エンボスパターンの山部が複数個、たとえば2個以上の細かい凹凸が連続するものとなっている。第2ゴムロール22は、第1実施形態3Aの第2ゴムロール22と実質同一のものでよい。
【0039】
エンボス組合せ部を構成する第3ゴムロール31は、弾力性のあるゴム製のロールであり、第1エンボスロール11に表裏2枚のシートS1,S2を押し付けうる位置に配置されている。
表面側シートS1は第1エンボスロール11に巻き掛けられている間に第1ゴムロールで押し付けられてエンボス加工される。裏面側シートS2は第2エンボスロール21に巻き掛けられている間に第2ゴムロール22で押付けられてエンボス加工される。
第3ゴムロール31は、表面側シートS1と裏面側シートS2を重ねた状態で第1エンボスロール11に押し付けるので、裏面側シートS2のエンボスの凸部は表面側シートS1のエンボスの凹部に押し込まれる。このエンボス加工の詳細は、
図6(III)に示されている。
【0040】
図6(III)に示すように、トイレットペーパーPは表面側シートS1と裏面側シートS2からなるもので、表面側シートS1の表面エンボスe1の凹部に裏面側シートS2の裏面エンボスe2の凸部が嵌り込んだ形状をしている。換言すれば、表面側シートS1の山部e11の内側に裏面側シートS2の山部e21が入り、表面側シートS1の谷部e12と裏面側シートS2の谷部e22は重なり合う。
【0041】
このように表面エンボスe1に裏面エンボスe2が嵌り合うと、ペーパーPの嵩は高くならず、ほとんど表面側シートS1と同じ嵩となる。このため、トイレットペーパーロールRの巻径Dを所定の径(たとえば、規格である120mm)に収めてもトイレットペーパーPの巻長を長くできる。このため、
図8に示す従来のダブルエンボスタイプのトイレットロールの数倍が可能であり、たとえば1.5~4倍の巻長も可能となる。
また、表面側シートS1の表面エンボスe1を裏面側シートS2の裏面エンボスe2で支えることで、エンボスの型崩れトイレットペーパーPの強度を高めることができる。
【0042】
(トイレットペーパーロールR)
本発明の各実施形態に係るエンボス加工装置3A,3B,3Cで得られるトイレットペーパーロールRを
図7に基づき説明する。なお、
図7は第2実施形態のエンボス加工装置3Bで製作されたトイレットペーパーロールRを図示している。
トイレットペーパーロールRの巻径Dに制限はないが、規格品の1つでは巻径Dは120mmとなる。その巻径に仕上げた場合のトイレットペーパーPの長さは、既述した理由により
図8に示すダブルエンボス加工をしたペーパーの数倍(たとえば、1.5~4倍位)が可能となる。仮に25mの巻長を3倍の巻長にしたら、トイレットペーパーPの全長は75mとなる。このように巻長が数倍になると、トラック使用等における運送コストを低減できる。
【0043】
エンボスパターンの寸法に制限はなく、任意の大きさのエンボスパターンを採用できる。
図7に示すトイレットペーパーロールRのように、エンボスの幅寸法ewは0.3~1.5mm、深さedは0.1~0.3mmが例示できる。この寸法のうち表面側シートS1の表面エンボスe1では、幅寸法ewも深さedも上限値に近い寸法とすればよく、裏面側シートS2の裏面エンボスe2では、幅寸法ewも深さedも下限値に近い寸法とすればよい。
【0044】
本発明の各実施形態のエンボス加工装置3A,3B,3Cにより得られる表面エンボスe1と裏面エンボスe2は個別に加工されており、それぞれの凹凸を保っている。したがって、エンボスの凹凸が柔らかいまま保持され、肌触りのよいトイレットペーパーとなる。
【0045】
(他の実施形態)
本発明は、2枚のシートを積層して1枚のペーパーとした2プライトイレットペーパーだけでなく、3枚のシートを積層して1枚のペーパーとした3プライトイレットペーパーにも適用でき、4枚のシートを積層して1枚のペーパーとした4プライトイレットペーパーにも適用できる。
【0046】
3プライトイレットペーパーを得るには、
図4に示す原反ロール巻出し装置1に示す原反ロールr1,r2のうち、いずれか一方のロールに予め2プライ積層した原紙を用い、他のロールに1プライの原紙を用いればよい。
あるいは、原反ロール巻出し装置1に、3個の原反ロールを架設して、2個の原反ロールから巻出した2枚のシートを重ねた状態で、エンボス加工装置3の第1エンボス加工部10に供給し、残る1個の原反ロールから巻出した1枚のシートを第2エンボス加工部20に供給するようにしてもよい。
【0047】
4プライトイレットペーパーを得るには、
図4に示す原反ロール巻出し装置1に示す原反ロールr1,r2の双方に予め2プライ積層した原紙を用いればよい。
あるいは、原反ロール巻出し装置1に、4個の原反ロールを架設して、2個の原反ロールから巻出した2枚のシートを重ねてエンボス加工装置3の第1エンボス加工部10に供給し、残る2個の原反ロールから巻出した2枚のシートを重ねて第2エンボス加工部20に供給するようにしてもよい。
【0048】
本発明のエンボス加工装置によれば、トイレットペーパーロールを所定の巻径内で巻長を長くすることが可能であるが、巻長を従来例と同様の25m前後にすることも可能である。この場合、ワインダ装置5での巻取り時にトイレットペーパーを緩く巻き取ることで実現できる。
【符号の説明】
【0049】
3 エンボス加工装置
10 第1エンボス加工部
11 第1エンボスロール
12 第1ゴムロール
20 第2エンボス加工部
21 第2エンボスロール
22 第2ゴムロール
31 第3ゴムロール
41 ペーパーロール
S1 表面側シート
S2 裏面側シート
P ペーパー(トイレットペーパー)
【手続補正書】
【提出日】2023-08-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚のシートが積層されて1枚のペーパーとなるトイレットペーパーにエンボス加工を施すエンボス加工装置であって、
1枚のペーパーのうちの表面側シートを第1エンボスロールと第1ゴムロールとの間に通して表面エンボスを形成する第1エンボス加工部と、
前記1枚のペーパーのうちの裏面側シートを第2エンボスロールと第2ゴムロールとの間に通して裏面エンボスを形成する第2エンボス加工部と、
前記表面側シートと前記裏面側シートを互いに押し付けて裏面エンボスを表面エンボスに嵌め込んだ形状にするエンボス組合せ部とを備えており、
前記エンボス組合せ部が、前記表面側シートの山部の内側に前記裏面側シートの山部が入り、前記表面側シートの谷部と前記裏面側シートの谷部が重なり合うよう前記表面側シートと前記裏面側シートを前記第1エンボスロールに押し付ける第3ゴムロールで構成されている
ことを特徴とするトイレットペーパーのエンボス加工装置。
【請求項2】
前記第3ゴムロールが、前記第2エンボス加工部においてエンボス加工をしてない状態で送り出した裏面側シートを、前記第1エンボスロールに巻き掛けられている表面側シートの表面エンボスに嵌め込み、前記表面側シートの山部の内側に前記裏面側シートの山部が入り、前記表面側シートの谷部と前記裏面側シートの谷部を重なり合わせる
ことを特徴とする請求項1記載のトイレットペーパーのエンボス加工装置。
【請求項3】
前記第3ゴムロールが、前記第1エンボス加工部で形成された表面エンボスの凹部に、前記第2エンボス加工部で形成された裏面エンボスの凸部を嵌め込み、前記表面側シートの山部の内側に前記裏面側シートの山部が入り、前記表面側シートの谷部と前記裏面側シートの谷部を重なり合わせる
ことを特徴とする請求項1記載のトイレットペーパーのエンボス加工装置。
【請求項4】
複数枚のシートが積層されて1枚のペーパーとなるトイレットペーパーを巻き取ったトイレットペーパーロールであって、
1枚のペーパーのうちの表面側シートに表面エンボスが形成されており、
前記1枚のペーパーのうちの裏面側シートに裏面エンボスが形成されており、
前記表面エンボスの凹部に前記裏面エンボスの凸部が嵌り込んで、前記表面側シートの山部の内側に前記裏面側シートの山部が入り、前記表面側シートの谷部と前記裏面側シートの谷部は重なり合っている
ことを特徴とするトイレットペーパーロール。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
第1発明のトイレットペーパーのエンボス加工装置は、複数枚のシートが積層されて1枚のペーパーとなるトイレットペーパーにエンボス加工を施すエンボス加工装置であって、1枚のペーパーのうちの表面側シートを第1エンボスロールと第1ゴムロールとの間に通して表面エンボスを形成する第1エンボス加工部と、前記1枚のペーパーのうちの裏面側シートを第2エンボスロールと第2ゴムロールとの間に通して裏面エンボスを形成する第2エンボス加工部と、前記表面側シートと前記裏面側シートを互いに押し付けて裏面エンボスを表面エンボスに嵌め込んだ形状にするエンボス組合せ部とを備えており、前記エンボス組合せ部が、前記表面側シートの山部の内側に前記裏面側シートの山部が入り、前記表面側シートの谷部と前記裏面側シートの谷部が重なり合うよう前記表面側シートと前記裏面側シートを前記第1エンボスロールに押し付ける第3ゴムロールで構成されていることを特徴とする。
第2発明のトイレットペーパーのエンボス加工装置は、第1発明において、前記第3ゴムロールが、前記第2エンボス加工部においてエンボス加工をしてない状態で送り出した裏面側シートを、前記第1エンボスロールに巻き掛けられている表面側シートの表面エンボスに嵌め込み、前記表面側シートの山部の内側に前記裏面側シートの山部が入り、前記表面側シートの谷部と前記裏面側シートの谷部を重なり合わせることを特徴とする。
第3発明のトイレットペーパーのエンボス加工装置は、第1発明において、前記第3ゴムロールが、前記第1エンボス加工部で形成された表面エンボスの凹部に、前記第2エンボス加工部で形成された裏面エンボスの凸部を嵌め込み、前記表面側シートの山部の内側に前記裏面側シートの山部が入り、前記表面側シートの谷部と前記裏面側シートの谷部を重なり合わせることを特徴とする。
第4発明のトイレットペーパーロールは、複数枚のシートが積層されて1枚のペーパーとなるトイレットペーパーを巻き取ったトイレットペーパーロールであって、1枚のペーパーのうちの表面側シートに表面エンボスが形成されており、前記1枚のペーパーのうちの裏面側シートに裏面エンボスが形成されており、前記表面エンボスの凹部に前記裏面エンボスの凸部が嵌り込んで、前記表面側シートの山部の内側に前記裏面側シートの山部が入り、前記表面側シートの谷部と前記裏面側シートの谷部は重なり合っていることを特徴とする。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
第1発明によれば、表面側シートと裏面側シートを互いに押し付けて表面エンボスに裏面エンボスを嵌め込んだ形状にして、前記表面側シートの山部の内側に前記裏面側シートの山部が入り、前記表面側シートの谷部と前記裏面側シートの谷部は重なり合わせることで、トイレットペーパーのエンボス部の嵩が高くならないようにできる。このためトイレットペーパーロールを所定の巻径に収めながらペーパーの巻長を長くしたトイレットペーパーロールを製造することができる。
第2発明によれば、第1エンボスロールにより表面エンボスが形成された表面側シートにエンボス加工されていない裏面側シートをゴムロールによって表面側シートを嵌め込むので、前記表面側シートの山部の内側に前記裏面側シートの山部が入り、前記表面側シートの谷部と前記裏面側シートの谷部は重なり合わされたペーパーを得ることができる。このため、表裏両面シートのエンボスの嵩が高くならないので、所定の巻径に収めながらペーパーの巻長を長くしたトイレットペーパーロールを製造することができる。
第3発明によれば、第1エンボスロールで形成した表面側シートの表面エンボスに、第2エンボスロールで形成された裏面側シートの裏面エンボスが嵌り込み、前記表面側シートの山部の内側に前記裏面側シートの山部が入り、前記表面側シートの谷部と前記裏面側シートの谷部は重なり合わされるので、エンボス部の嵩が低くなる。このため、所定の巻径に収めながらペーパーの巻長を長くしたトイレットペーパーロールを製造することができる。
第4発明によれば、表面エンボスの凹部に裏面エンボスの凸部が嵌り込み、表面側シートの山部の内側に裏面側シートの山部が入り、表面側シートの谷部と裏面側シートの谷部が重なり合ったペーパーが得られるので、エンボス部の嵩が高くならず、所定の巻径に収めながらペーパーの巻長が長いトイレットペーパーロールが実現できる。また、表面エンボスと裏面エンボスは個別に加工されており、それぞれの凹凸を保って組合わされるので、ペーパーの柔らかさが保たれる。そのため肌触りのよいトイレットペーパーとなる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0043
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0043】
エンボスパターンの寸法に制限はなく、任意の大きさのエンボスパターンを採用できる。
図7に示すトイレットペーパーロールRのように、エンボスの幅寸法ewは0.3~1.5mm、深さedは0.1~0.3mmが例示できる
。
【手続補正書】
【提出日】2023-11-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚のシートが積層されて1枚のペーパーとなるトイレットペーパーにエンボス加工を施すエンボス加工装置であって、
1枚のペーパーのうちの表面側シートを第1エンボスロールと第1ゴムロールとの間に通して表面エンボスを形成する第1エンボス加工部と、
前記1枚のペーパーのうちの裏面側シートを第2エンボスロールと第2ゴムロールとの間に通して裏面エンボスを形成する第2エンボス加工部と、
前記表面側シートと前記裏面側シートを互いに押し付けて裏面エンボスを表面エンボスに嵌め込んだ形状にするエンボス組合せ部とを備えており、
前記エンボス組合せ部が、前記表面側シートの山部の内側に前記裏面側シートの山部が入り、前記表面側シートの谷部と前記裏面側シートの谷部が重なり合うよう前記表面側シートと前記裏面側シートを前記第1エンボスロールに押し付ける第3ゴムロールで構成されている
ことを特徴とするトイレットペーパーのエンボス加工装置。
【請求項2】
複数枚のシートが積層されて1枚のペーパーとなるトイレットペーパーにエンボス加工を施すエンボス加工装置であって、
1枚のペーパーのうちの表面側シートを第1エンボスロールと第1ゴムロールとの間に通して表面エンボスを形成する第1エンボス加工部と、
前記1枚のペーパーのうちの裏面側シートを第2エンボスロールと第2ゴムロールとの間に通して裏面エンボスを形成できる作用位置と、裏面シートを通しても裏面エンボスを形成しない非作用位置とを選択できる第2エンボス加工部と、
前記表面側シートと前記裏面側シートを互いに押し付けるエンボス組合せ部とを備えており、
前記エンボス組合せ部が、前記表面側シートの山部の内側に前記裏面側シートの山部が入り、前記表面側シートの谷部と前記裏面側シートの谷部を重なり合わせるように、前記第1エンボス加工部で形成された表面エンボスを有する表面側シートに、非作用位置の前記第2エンボス加工部を通して裏面エンボスを形成してない裏面側シートを押し付ける第3ゴムロールで構成されている
ことを特徴とするトイレットペーパーのエンボス加工装置。
【請求項3】
前記第3ゴムロールが、前記表面側シートの山部の内側に前記裏面側シートの山部が入り、前記表面側シートの谷部と前記裏面側シートの谷部を重なり合わせるための弾力性のあるゴム製のロールである
ことを特徴とする請求項1または2記載のトイレットペーパーのエンボス加工装置。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0001】
本発明は、トイレットペーパーのエンボス加工装置に関する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
本発明は上記事情に鑑み、肌触りの良いトイレットペーパーロールでありながら、巻長を長く確保できるトイレットペーパーのエンボス加工装置を提供することを目的とする。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
第1発明のトイレットペーパーのエンボス加工装置は、複数枚のシートが積層されて1枚のペーパーとなるトイレットペーパーにエンボス加工を施すエンボス加工装置であって、1枚のペーパーのうちの表面側シートを第1エンボスロールと第1ゴムロールとの間に通して表面エンボスを形成する第1エンボス加工部と、前記1枚のペーパーのうちの裏面側シートを第2エンボスロールと第2ゴムロールとの間に通して裏面エンボスを形成する第2エンボス加工部と、前記表面側シートと前記裏面側シートを互いに押し付けて裏面エンボスを表面エンボスに嵌め込んだ形状にするエンボス組合せ部とを備えており、前記エンボス組合せ部が、前記表面側シートの山部の内側に前記裏面側シートの山部が入り、前記表面側シートの谷部と前記裏面側シートの谷部が重なり合うよう前記表面側シートと前記裏面側シートを前記第1エンボスロールに押し付ける第3ゴムロールで構成されていることを特徴とする。
第2発明のトイレットペーパーのエンボス加工装置は、複数枚のシートが積層されて1枚のペーパーとなるトイレットペーパーにエンボス加工を施すエンボス加工装置であって、1枚のペーパーのうちの表面側シートを第1エンボスロールと第1ゴムロールとの間に通して表面エンボスを形成する第1エンボス加工部と、前記1枚のペーパーのうちの裏面側シートを第2エンボスロールと第2ゴムロールとの間に通して裏面エンボスを形成できる作用位置と、裏面シートを通しても裏面エンボスを形成しない非作用位置とを選択できる第2エンボス加工部と、前記表面側シートと前記裏面側シートを互いに押し付けるエンボス組合せ部とを備えており、前記エンボス組合せ部が、前記表面側シートの山部の内側に前記裏面側シートの山部が入り、前記表面側シートの谷部と前記裏面側シートの谷部を重なり合わせるように、前記第1エンボス加工部で形成された表面エンボスを有する表面側シートに、非作用位置の前記第2エンボス加工部を通して裏面エンボスを形成してない裏面側シートを押し付ける第3ゴムロールで構成されていることを特徴とする。
第3発明のトイレットペーパーのエンボス加工装置は、第1または第2発明において、前記第3ゴムロールが、前記表面側シートの山部の内側に前記裏面側シートの山部が入り、前記表面側シートの谷部と前記裏面側シートの谷部を重なり合わせるための弾力性のあるゴム製のロールであることを特徴とする。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
第1発明によれば、表面側シートと裏面側シートを互いに押し付けて表面エンボスに裏面エンボスを嵌め込んだ形状にして、表面側シートの山部の内側に裏面側シートの山部が入り、表面側シートの谷部と裏面側シートの谷部は重なり合わせることで、トイレットペーパーのエンボス部の嵩が高くならないようにできる。このためトイレットペーパーロールを所定の巻径に収めながらペーパーの巻長を長くしたトイレットペーパーロールを製造することができる。
第2発明によれば、表面エンボスが形成された表面側シートにエンボス加工されていない裏面側シートを第3ゴムロールによって表面側シートを押し付けるので、表面側シートの山部の内側に裏面側シートの山部が入り、表面側シートの谷部と裏面側シートの谷部は重なり合わされたペーパーを得ることができる。このため、表裏両面シートのエンボスの嵩が高くならないので、所定の巻径に収めながらペーパーの巻長を長くしたトイレットペーパーロールを製造することができる。
第3発明によれば、第1発明および第2発明において、第3ゴムロールの弾力性のあるゴムで表面側シートの山部の内側に裏面側シートの山部を入れ、表面側シートの谷部と裏面側シートの谷部を重なり合わせるよう押し付けるので、エンボス部の嵩が低くなる。このため、所定の巻径に収めながらペーパーの巻長を長くしたトイレットペーパーロールを製造することができる。