IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ テイ・エス テック株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-シートシステム 図1
  • 特開-シートシステム 図2
  • 特開-シートシステム 図3
  • 特開-シートシステム 図4
  • 特開-シートシステム 図5
  • 特開-シートシステム 図6
  • 特開-シートシステム 図7
  • 特開-シートシステム 図8
  • 特開-シートシステム 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024111248
(43)【公開日】2024-08-16
(54)【発明の名称】シートシステム
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/90 20180101AFI20240808BHJP
   B60R 16/037 20060101ALI20240808BHJP
   A47C 7/62 20060101ALI20240808BHJP
   A47C 7/38 20060101ALI20240808BHJP
   B60N 2/879 20180101ALI20240808BHJP
【FI】
B60N2/90
B60R16/037
A47C7/62 Z
A47C7/38
B60N2/879
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024100494
(22)【出願日】2024-06-21
(62)【分割の表示】P 2021565450の分割
【原出願日】2020-12-02
(31)【優先権主張番号】62/951,647
(32)【優先日】2019-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】000220066
【氏名又は名称】テイ・エス テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】弁理士法人大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】郭 裕之
(72)【発明者】
【氏名】三好 晃
(57)【要約】
【課題】ユーザの身体の動きに合わせて、照明等を含むユーザの周辺環境を変更することのできるシートシステムを提供する。
【解決手段】シートシステム1であって、ユーザが着座可能なシート本体5と、シート本体5又はシート本体5の周囲に配置された構造体に設けられ、シート本体5に着座したユーザによるタッチ操作を検出する複数のセンサと、音、光、及び振動の少なくとも1つの出力を行う出力装置と、センサがタッチ操作を検出したときに、対応する所定の出力を出力装置から発生するよう出力装置を制御する制御装置70とを有する構成とする。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に設けられた複数のシートシステムであって、
前記シートシステムのそれぞれは、
ユーザが着座可能なシート本体と、
前記シート本体又は前記シート本体の周囲に配置された構造体に設けられ、前記シート本体に着座した前記ユーザによるタッチ操作を検出する複数のセンサと、
音、光、及び振動の少なくとも1つの出力を行う出力装置と、
前記センサがタッチ操作を検出したときに、対応する所定の出力を前記出力装置から発生するよう前記出力装置を制御する制御装置とを有し、
前記出力装置はスピーカを含み、
前記制御装置のそれぞれは、前記シートシステムのそれぞれに対応する前記出力装置からの出力を、他の前記シートシステムのそれぞれに対応する前記出力装置からの出力と連動させるべく、他の前記制御装置と通信可能に構成されており、
前記制御装置のそれぞれが、各ユーザによる前記センサへのタッチ操作を指示するべく、前記シートシステムのそれぞれに対応する前記スピーカから同時に音を発生させ、前記音を発生させてから各ユーザによる前記センサへのタッチ操作が入力されるまでの応答時間を取得するシートシステム。
【請求項2】
前記センサが、前記シートシステムを構成する部材から選ばれた少なくとも2つの部材のそれぞれに配置されたセンサ群をなし、前記センサ群のそれぞれに異なる楽器音が割り当てられている請求項1に記載のシートシステム。
【請求項3】
前記シート本体は、前記ユーザが着座するシートクッションと、前記シートクッションに接続され、前記ユーザの背中の後方に配置されたシートバックとを含み、
前記センサの少なくとも1つが、前記シートクッションの上面、前記シートバックの前面、前席シート本体のシートバックの背面、アームレスト、オットマン、ヘッドレスト、車室の床面を画定するフロア、ステアリングホイール、ドア、インストルメントパネル、ピラーまたは備え付けのテーブルを含む前記部材のいずれか1つに設けられている請求項2に記載のシートシステム。
【請求項4】
前記シートシステムは車両に搭載されており、
前記車両は前記制御装置と通信可能に接続された環境情報取得装置を含み、
前記制御装置は、前記環境情報取得装置から前記車両を取り巻く環境に係る少なくとも1つの情報を取得し、取得した前記情報に基づいて前記出力装置の前記出力を変化させるよう構成されている請求項1に記載のシートシステム。
【請求項5】
前記シートシステムは、
前記制御装置と通信可能に接続され、前記ユーザを照合するための生体センサと、
前記制御装置と通信可能に接続され、前記ユーザからの入力を受け付ける入出力端末とを含み、
前記制御装置は、前記ユーザに関するユーザ情報を記憶可能であり、前記ユーザによる前記入出力端末への入力または前記生体センサからの生体情報、及び前記制御装置に予め記憶された前記ユーザに関する前記ユーザ情報に基づいて、前記シートシステムを使用する前記ユーザの特定を実行した後で、前記特定が実行された前記ユーザによる前記入出力端末への入力または前記制御装置にあらかじめ記憶された前記ユーザに関する前記ユーザ情報に基づいて、
前記スピーカからの出力を行うよう構成されている請求項1に記載のシートシステム。
【請求項6】
前記センサが設けられた領域のそれぞれが局部的に硬質にされている請求項1に記載のシートシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、着座可能なシートを含むシートシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
自律走行が可能な自動運転車では、自律走行時に運転者が運転操作を行うことを要しないため、運転者の身体が自由になる時間がもたらされる。そのため、運転者により快適な環境を提供することのできるシートや、その周辺環境の制御システム(以下、シートシステム)が開発されている。
【0003】
車両に設けられるシートには、着座者であるユーザを退屈させない、また、ユーザの運動不足を解消させる等の付加価値を有するシートが求められるようになっている。このような付加価値をシートに付与させるべく、身体を動かすようにユーザに促すシートシステムが開発されている(例えば、特許文献1)。
【0004】
特許文献1のシートシステムは、ユーザが着座可能なシート本体と、ユーザの動きを検出するセンサと、ゲームアプリケーションが実行可能なアプリケーション端末とを含む。ゲームアプリケーションが開始されると、アプリケーション端末には、合図やキャラクタが表示され、ユーザはその合図やキャラクタの動きに合わせて身体を動かすように求められる。ユーザが身体を動かすと、その身体の動きはセンサによって検知され、合図やキャラクタの動きとユーザの身体の動きとの合致度がアプリケーション端末の画面に表示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-175808号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載のシートシステムでは、ユーザは自らが行った動作と合図やキャラクタの動きとの合致度をアプリケーション端末の表示によってのみ知ることができる。そのため、ユーザは、ゲームアプリケーションが実行されている間、アプリケーション端末を注意深く見る必要があり、身体を自由に動かすことが難しい。
【0007】
エンターテインメント性を高めるため、ユーザの身体の動きに合わせて、照明等のユーザの周辺環境を変更し、その合致度をユーザにより強く通知することが考えられる。しかしながら、特許文献1に記載されたシートシステムでは、ユーザへの通知はアプリケーション端末の画面でのみ行われるため、ユーザへの通知手段が限定されるという問題があった。
【0008】
本発明は、以上の背景を鑑み、ユーザの身体の動きに合わせて、照明等を含むユーザの周辺環境を変更することのできるシートシステムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、シートシステム(1、300、A、B)であって、ユーザが着座可能なシート本体(5)と、前記シート本体(5)又は前記シート本体(5)の周囲に配置された構造体に設けられ、前記シート本体(5)に着座した前記ユーザによるタッチ操作を検出する複数のセンサと、音、光、及び振動の少なくとも1つの出力を行う出力装置と、前記センサがタッチ操作を検出したときに、対応する所定の出力を前記出力装置から発生するよう前記出力装置を制御する制御装置(70)とを有することを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、ユーザの身体の動きに合わせて、出力装置から光、音、及び振動の少なくとも一つが出力されるため、ユーザの周辺環境を変更することができる。
【0011】
また、上記の態様において、前記出力装置はスピーカ(202)を含み、前記所定の出力が、所定の音高の音となるよう構成されているとよい。
【0012】
この構成によれば、タッチ操作に応じた音高の音が出力されるため、ユーザにより身体を動かすように促すことが可能となる。
【0013】
また、上記の態様において前記センサが、前記シートシステム(1、300、A、B)を構成する部材から選ばれた少なくとも2つの部材のそれぞれに配置されたセンサ群をなし、前記センサ群のそれぞれに異なる楽器音が割り当てられているとよい。
【0014】
この構成によれば、タッチ操作に応じた楽器音が出力されるため、ユーザがタッチ操作を行うことにより、簡易に様々な楽器を演奏しているような気分を味わうことができる。
【0015】
また、上記の態様において、前記シート本体(5)は、前記ユーザが着座するシートクッション(12)と、前記シートクッション(12)に接続され、前記ユーザの背中の後方に配置されたシートバック(11)とを含み、前記センサの少なくとも1つが、前記シートクッション(12)の上面、前記シートバック(11)の前面、前席シート本体のシートバック(11)の背面、アームレスト、オットマン、ヘッドレスト(10)、車室(2)の床面を画定するフロア(3)、ステアリングホイール(42)、ドア(15、16)、インストルメントパネル(20)、ピラー(60)または備え付けのテーブル(43)を含む前記部材のいずれか1つに設けられているとよい。
【0016】
この構成によれば、タッチ操作を行うセンサの数を増やすことができ、シートシステムの利用における自由度が増す。
【0017】
また、上記の態様において、前記シートシステム(1、300、A、B)は車両(M)に搭載されており、前記車両(M)は前記制御装置(70)と通信可能に接続された環境情報取得装置(79)を含み、前記制御装置(70)は、前記環境情報取得装置(79)から前記車両(M)を取り巻く環境に係る少なくとも1つの情報を取得し、前記取得した前記情報に基づいて前記出力装置の前記出力を変化させるよう構成されている。
【0018】
この構成によれば、センサからシートシステムが搭載された車両を取り巻く環境に関する情報を取得することによって、シートシステム利用時の車両の安全性を高めたり、ユーザの身体的負担を軽減したりすることが可能となり、シートシステムの利用を快適にすることができる。
【0019】
また、上記の態様において、前記シートシステムは(1、300、A、B)、前記制御装置(70)と通信可能に接続され、前記ユーザを照合するための生体センサと、前記制御装置(70)と通信可能に接続され、前記ユーザからの入力を受け付ける入出力端末(76)とを含み、前記制御装置(70)は、前記ユーザに関するユーザ情報を記憶可能であり、前記ユーザによる前記入出力端末(76)への前記入力または前記生体センサからの生体情報、及び前記制御装置(70)に予め記憶された前記ユーザに関する前記ユーザ情報に基づいて、前記シートシステム(1、300、A、B)を使用する前記ユーザの特定を実行した後で、前記特定が実行された前記ユーザによる前記入出力端末(76)への前記入力または前記制御装置(70)にあらかじめ記憶された前記ユーザに関する前記ユーザ情報に基づいて、前記スピーカ(202)からの前記出力を行うよう構成されているとよい。
【0020】
この構成によれば、ユーザの好みに合った音楽を選択することが可能となり、シートシステムの利用をより快適にすることができる。
【0021】
また、上記の態様において、前記シートシステム(1、300、A、B)は前記制御装置(70)と通信可能に接続され、前記ユーザからの入力を受け付ける入出力端末(76)とを含み、前記制御装置(70)は前記出力装置からの前記出力を、他のシートシステム(1、300、A、B)の前記出力装置からの前記出力と連動させるべく、他の前記制御装置(70)と通信可能に構成されているとよい。
【0022】
この構成によれば、他のシートシステムを利用している他のユーザと一緒にシートシステムを利用したゲームを楽しむことができる。
【0023】
また、上記の態様において、前記センサが設けられた領域のそれぞれが局部的に硬質にされているとよい。
【0024】
この構成によればセンサに効果的に荷重入力を行うことができるため、センサによってより確実にタッチ操作を検出することができる。
【発明の効果】
【0025】
上記課題を解決するために、シートシステムであって、ユーザが着座可能なシート本体と、シート本体又はシート本体の周囲に配置された構造体に設けられ、シート本体に着座したユーザによるタッチ操作を検出する複数のセンサと、音、光、及び振動の少なくとも1つの出力を行う出力装置と、センサがタッチ操作を検出したときに、対応する所定の出力を出力装置から発生するよう出力装置を制御する制御装置とを有する構成によれば、ユーザの身体の動きに合わせて、出力装置から光、音、振動の少なくとも一つが出力されるため、ユーザの周辺環境を変更することができる。
【0026】
また、上記の態様において、出力装置はスピーカを含み、所定の出力が、所定の音高の音となる構成によれば、ユーザのタッチ操作に応じた音高の音が出力されるため、ユーザにより身体を動かすように促すことが可能となる。
【0027】
また、上記の態様においてセンサが、シートシステムを構成する部材から選ばれた少なくとも2つの部材のそれぞれに配置されたセンサ群をなし、センサ群のそれぞれに異なる楽器音が割り当てられている構成によれば、タッチ操作に応じた楽器音が出力されるため、ユーザがタッチ操作を行うことにより、簡易に様々な楽器を演奏しているような気分を味わうことができる。
【0028】
また、上記の態様において、シート本体は、ユーザが着座するシートクッションと、シートクッションに接続され、ユーザの背中の後方に配置されたシートバックとを含み、センサの少なくとも1つが、シートクッションの上面、シートバックの前面、前席シート本体のシートバックの背面、アームレスト、オットマン、ヘッドレスト、車室の床面を画定するフロア、ステアリングホイール、ドア、インストルメントパネル、ピラーまたは備え付けのテーブルを含む前記部材のいずれか1つに設けられている構成によれば、タッチ操作を行うセンサの数を増やすことができ、シートシステムの利用における自由度が増す。
【0029】
また、上記の態様において、シートシステムは車両に搭載されており、車両は制御装置と通信可能に接続された環境情報取得装置を含み、制御装置は、環境情報取得装置から車両を取り巻く環境に係る少なくとも1つの情報を取得し、取得した情報に基づいて出力装置の出力を変化させる構成によれば、センサからシートシステムが搭載された車両を取り巻く環境に関する情報を取得することによって、シートシステム利用時の車両の安全性を高めたり、ユーザの身体的負担を軽減したりすることが可能となる。これにより、シートシステムの利用を快適にすることができる。
【0030】
また、上記の態様において、シートシステムは、制御装置と通信可能に接続され、ユーザを照合するための生体センサと、制御装置と通信可能に接続され、ユーザからの入力を受け付ける入出力端末とを含み、制御装置は、ユーザに関するユーザ情報を記憶可能であり、ユーザによる入出力端末への入力または生体センサからの生体情報、及び制御装置に予め記憶されたユーザに関するユーザ情報に基づいて、シートシステムを使用するユーザの特定を実行した後で、特定が実行されたユーザによる入出力端末への入力または制御装置にあらかじめ記憶されたユーザに関するユーザ情報に基づいて、スピーカからの出力を行う構成によれば、ユーザの好みに合った音楽を選択することが可能となり、シートシステムの利用をより快適にすることができる。
【0031】
また、上記の態様において、シートシステムは制御装置と通信可能に接続され、ユーザからの入力を受け付ける入出力端末とを含み、制御装置は前記出力装置からの出力を、他のシートシステムの出力装置からの出力と連動させるべく、他の制御装置と通信可能でとなっている構成によれば、他のシートシステムを利用している他のユーザと一緒にシートシステムを利用したゲームを楽しむことができる。
【0032】
また、上記の態様において、センサが設けられた領域のそれぞれが局部的に硬質にされている構成によれば、センサに効果的に荷重入力を行うことができるため、センサによってより確実にタッチ操作を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】シートシステムを搭載した車両の車室の斜視図
図2】シート本体の斜視図
図3】シート本体のセンサが設けられた領域における断面図
図4】本発明に係るシートシステムの音出力処理を示す図
図5】センサに割り当てられた楽器名と音名を示すテーブル
図6】第2実施形態に係るユーザ情報を示すテーブル
図7】第2実施形態に係る制御装置がゲームアプリケーションを実行する手順を示す図
図8】第2実施形態に係る制御装置が実行する設定処理を示す図
図9】第3実施形態に係るシートシステムの連動方法を示す図
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、図面を参照して、本発明に係るシートシステム1の実施形態を説明する。
【0035】
<<第1実施形態>>
図1に示すように、シートシステム1は自動車等の車両Mに設けられる。本実施形態の車両Mには、1列目を構成する左右一組のフロントシート本体5Aと、2列目を構成する左右一組のミッドシート本体5Bと、3列目を構成するリアシート本体5Cとを含む。左右のミッドシート本体5Bはそれぞれ、対応するフロントシート本体5Aの後方に配置され、フロントシート本体5Aとミッドシート本体5Bとは前後に並ぶように配置されている。本実施形態では、リアシート本体5Cは左右のミッドシート本体5Bの後方において左右に延在し、2人分の着座領域を構成するベンチシートとなっている。
【0036】
各シート本体5は、車室2のフロア3に設けられたシートクッション12と、シートクッション12の後部に結合されたシートバック11と、シートバック11の上側に設けられたヘッドレスト10とを有する。シートクッション12は着座したユーザを臀部及び大腿部を下方から支持する着席部であり、その上面に着座面13を構成している。シートバック11は着座したユーザの背部を後方から支持する背もたれ部である。
【0037】
図1に示すように、車両Mにはフロントシート本体5Aの車外側にフロントドア15が設けられ、ミッドシート本体5Bの車外側にリアドア16が設けられている。フロントドア15、及びリアドア16の車内側の側面にはそれぞれドアトリム17、18が結合されている。リアシート本体5Cの車外側において、車室2を画定する壁面にはそれぞれリアサイドトリム19が設けられている。また、フロントシート本体5Aの前方正面には、インストルメントパネル20が設けられている。インストルメントパネル20は運転席を構成するフロントシート本体5Aの前方、且つ助手席を構成するフロントシート本体5Aの前方に位置し、運転席に着座したユーザ、及び助手席に着座したユーザそれぞれから接触可能な位置に配置されている。
【0038】
シートシステム1は、車両Mに設けられたいずれか、又は、複数のシートに適用される。以下、シートシステム1が左側のフロントシート本体5A(すなわち助手席。図2参照。以下、シート本体5Aとのみ記載する)に適用された例について、詳細に説明する。以下、シート本体5Aに着座したユーザを基準として、前後上下左右の各方向を定めて、説明を行う。
【0039】
図1に示すように、シートシステム1は、シート本体5Aと、複数のセンサと、出力装置と、制御装置70とを含む。
【0040】
センサはシート本体5、及び、シート本体5の周辺に設けられた構造体にそれぞれ配置されている。センサにはそれぞれ自らが配置された部材の表面に対応するタッチ領域が設定されている。センサはそれぞれそのタッチ領域へのユーザのタッチ操作を検出するか、又は、そのタッチ領域への所定値以上の荷重入力を検出する。センサは、ユーザからのタッチ操作を静電容量の変化として検出する静電容量型のものであってよく、また、メンブレンスイッチ等であってもよい。本実施形態では、センサはそれぞれ対応するタッチ領域への所定値以上の荷重入力、すなわち押圧を検出する。
【0041】
図2に示すように、センサはシート本体5のヘッドレスト10、シートバック11、及びシートクッション12にそれぞれ設けられている。ヘッドレスト10に設けられたセンサはそれぞれ、ヘッドレスト10を構成するパッド部材21と、パッド部材21を覆う表皮材22との間に配置されている。シートバック11に設けられたセンサはそれぞれ、シートバック11を構成するパッド部材21と、パッド部材21を覆う表皮材22との間に配置されている。シートクッション12に設けられたセンサもそれぞれ、シートクッション12を構成するパッド部材21と、パッド部材21を覆う表皮材22との間に配置されている。
【0042】
パッド部材21は、例えば発泡ウレタン等の可撓性を有する樹脂材料から形成されている。表皮材22は、例えば織布や皮革、合成皮革から形成されている。
【0043】
図3に示すように、パッド部材21は各センサの裏側に位置する部分において他の部分よりも変形し難くなるように構成されている。これにより、シート本体5のセンサが設けられた領域のそれぞれが局部的に硬質にされている。
【0044】
本実施形態では、図3に示すように、パッド部材21は各センサの裏側に位置する第1パッド部材23と、第1パッド部材23を取り囲む第2パッド部材24とを含む。第1パッド部材23を構成する材料の弾性係数は第2パッド部材24を構成する材料よりも高く、第1パッド部材23は第2パッド部材24に比べて表面からの加重によって変形し難い。これにより、パッド部材21のセンサの裏側に位置する部分が第2パッド部材24によって構成されている場合に比べて、シート本体5の表側から裏側に向かう押圧によってセンサが裏側に移動し難くなる。よって、センサに効果的に荷重入力を行うことができ、センサによってより確実にタッチ操作を検出することができる。
【0045】
シートバック11に設けられたセンサは、シートバック11の上部前面に沿って群をなすように配置されている。より具体的には、シートバック11に設けられたセンサは、シートバック11の上部前面において、左右に対をなすように上下に並んで配置されている。以下、シートバック11に設けられたセンサの集合を、バックセンサ群101と記載する。
【0046】
本実施形態では、バックセンサ群101は、上下に配置された左右2対のセンサを含む。以下、図2に示すように、左上に位置するセンサをセンサ101a、右上に位置するセンサを101bとし、左下に位置するセンサをセンサ101c、右下に位置するセンサを101dとする。左上のセンサ101aのタッチ領域はシートバック11の前面左上部に設定され、右上のセンサ101bのタッチ領域はシートバック11の前面右上部に設定されている。左下のセンサ101cのタッチ領域はシートバック11の前面左下部に設定され、右下のセンサ101dのタッチ領域はシートバック11の前面右下部に設定されている。
【0047】
シートクッション12に設けられたセンサもまた、シートクッション12の上面に沿って群をなすように配置されている。より具体的には、シートクッション12に設けられたセンサは、シートクッション12の上面において、左右に対をなすように前後に並んで配置されている。以下、シートクッション12に設けられたセンサの集合を、クッションセンサ群102と記載する。
【0048】
本実施形態では、クッションセンサ群102は、前後に配置された左右2対のセンサを含む。以下、図2に示すように、左上(左後部)に位置するセンサをセンサ102a、右上(右後部)に位置するセンサを102bとし、左下(左前部)に位置するセンサをセンサ102c、右下(右前部)に位置するセンサを102dとする。左上(左後部)のセンサ102aのタッチ領域はシートクッション12の前面左上(左後)部に設定され、右上(右後部)のセンサ102bのタッチ領域はシートクッション12の前面右上(右後)部に設定されている。左下(左前部)のセンサ102cのタッチ領域はシートクッション12の前面左下(左前)部に設定され、右下(右前部)のセンサ102dのタッチ領域はシートクッション12の前面右下(右前)部に設定されている。
【0049】
本実施形態では、センサはシート本体5Aにのみ設けられているが、この態様には限定されない。例えば、センサは、シート本体5の周辺に設けられた構造体であるドアトリム17、18と、インストルメントパネル20とに設けられていてもよい。ドアトリム17、18に設けられたセンサのタッチ領域はそれぞれ、ドアトリム17、18それぞれの車内側の側面に設定されている。
【0050】
本実施形態では、センサはシート本体5、ドアトリム17、18及びインストルメントパネル20に設けられていたが、この態様には限定されず、センサは、シート本体5の周辺に設けられたその他のいかなる構造体に設けられていてもよい。例えば、図1に示すように、センサはリアサイドトリム19に設けられてもよい。このとき、センサのタッチ領域57Sはリアサイドトリム19の車内側の面に設定されるとよい。センサはまたインストルメントパネル20に設けられてもよい。このとき、センサのタッチ領域58Sは車内側の面に設定されるとよい。センサは、ルーフ40(天井)に設けられていてもよい。このとき、センサのタッチ領域は、ルーフ40の車内側の面に設定されるとよい。また、センサは窓柱を構成するピラー60に設けられてもよい。このとき、センサのタッチ領域61Sは窓柱の車内側の面に設定されているとよい。
【0051】
センサは更に、ステアリングホイール42、又は、シートバック11に備え付けられたテーブル43に設けられていてもよい。そのとき、タッチ領域58S、59S、61Sはそれぞれ、いずれかのシート本体5に着座したユーザから接触(タッチ)可能な位置に設定されているとよい。
【0052】
シートシステムに含まれるセンサにはそれぞれを区別するため、対応するIDが付与されている。図4に示すように、IDはそれぞれ対応するセンサがどの部材に設けられているかを容易に判別できるよう設定されているとよい。
【0053】
出力装置は左右のフロントドア15のドアトリム17に設けられたスピーカ202Aを含む。但し、この態様には限定されず、出力装置は左右のリアドア16のドアトリム18に設けられたスピーカ202Bを含んでいてもよい。また、出力装置は左右のリアサイドトリム19に設けられたスピーカ202Cを含んでいてもよい。スピーカ202A(202B、202C)はそれぞれ対応するドアトリム17(18、19)の車外側の側面に結合され、所定の信号線を介して、制御装置70に接続されている。スピーカ202A(202B、202C)は車室2の内部に向けて音を出力する装置であって、制御装置70によって制御される。
【0054】
本実施形態では、出力装置はスピーカ202を含んでいたが、この態様には限定されず、出力装置は制御装置70からの信号に基づいて、音、光、及び振動の少なくとも一つの出力を行うデバイスを1以上含んでいればよい。
【0055】
より具体的には、出力装置は車室2の上面を画定するルーフ40(天井)に設けられ、制御装置70からの信号に基づいて車室2の内部を照らす照明である複数の室内灯41を含んでいてもよい。このとき、室内灯41は対応するシート本体5の前上方に設けられていることが好ましい。より具体的には、出力装置は、フロントシート本体5Aの前上方に設けられた室内灯41A、ミッドシート本体5Bの前上方に設けられた室内灯41B、リアシート本体5Cの前上方に設けられた室内灯41Cのいずれか1つであってもよい。
【0056】
出力装置はまた、シート本体5の内部に収容され、着座したユーザに振動を伝えるための振動デバイス45を含んでいてもよい。振動デバイス45は、シートクッション12やシートバック11のいずれに設けられていてもよく、制御装置70からの信号に基づいて、対応するシート本体5に着座する着座者に振動を伝える公知のデバイスであってもよい。
【0057】
制御装置70はいわゆるマイクロコンピュータによって構成された電子制御ユニット(ECU)であって、ROM、RAM、周辺回路、入出力インタフェース等を備える。
【0058】
制御装置70は、センサそれぞれと、出力装置とに通信可能に接続されている。制御装置70は、センサから押圧が検出された旨の信号が入力されると、その信号に基づいて出力装置を制御し対応する出力(本実施形態では、音)を行わせる。このような制御を行うため、制御装置70は、機能部として、判定部71、処理部72、記憶部73及び出力部74を有する。判定部71、処理部72、及び出力部74はそれぞれ、制御装置70によって実行されるソフトウエアによって構成されている。以下、制御装置70が行う処理について、図4及び図5を参照して説明する。
【0059】
判定部71は、タッチ操作が検出された旨の信号が入力されると、タッチ操作が検出されたセンサを判別して、タッチ操作が検出されたセンサに対応するIDを処理部72に出力する。
【0060】
記憶部73は、センサのIDそれぞれに対応する楽器名と、音名とが記録された音テーブル75(図5)を保持している。より具体的には、音テーブル75には、センサに対応するIDと、対応する楽器名及び音名とが記録されている。但し、ここでいう音名とは、ド、レ、ミ、等の音高を意味している。
【0061】
図5に示すように、本実施形態では、センサに対応する楽器名は、それぞれセンサが設けられた部材ごとに設定されている。例えば、シートバック11に設けられたセンサ、すなわち、シートバック11のバックセンサ群101のセンサ101a~101dに対応する楽器名はそれぞれ「ピアノ」に設定されている。また、シートクッション12に設けられたセンサ、すなわち、クッションセンサ群102に属するセンサ102a~102dに対応する楽器名はそれぞれ「ヴァイオリン」に設定されている。
【0062】
このように、センサに対応する楽器名はそれぞれ設けられる部材ごとに定められ、それぞれ同じ楽器音を出す群を構成する。楽器音はそれぞれ群ごとに定められ、異なる群に属するセンサに対応する楽器は互いに異なるように設定されている。また、各群に含まれるセンサの音名はそれぞれ異なるように設定されている。例えば、バックセンサ群101を構成するセンサ101aは楽器名「ピアノ」の音名「ド」の音が設定され、センサ101bは楽器音「ピアノ」の音名「レ」の音が設定され、センサ101cは楽器音「ピアノ」の音名「ミ」の音が設定され、センサ101dは楽器音「ピアノ」の音名「ファ」の音が設定されている。
【0063】
同様に、クッションセンサ群102を構成するセンサ102aは楽器名「ヴァイオリン」の音名「ド」の音が設定され、センサ102bは楽器音「ヴァイオリン」の音名「レ」の音が設定され、センサ102cは楽器音「ヴァイオリン」の音名「ミ」の音が設定され、センサ102dは楽器音「ヴァイオリン」の音名「ファ」の音が設定されている。
【0064】
記憶部73には更に、音テーブル75に記されたそれぞれの楽器のそれぞれの音名に対応する音データ83を保持している。
【0065】
処理部72は、判定部71によって判定されたセンサのIDを取得すると、記憶部73に保持されている音テーブル75を参照し、センサのIDに対応する楽器名及び音名とを取得する。その後、処理部72は記憶部73から楽器名及び音名に対応する音データ83を取得し、取得した音データ83を出力部74に出力する。
【0066】
出力部74は、入力された音データ83を変換して、スピーカ202に対応する音を出力させる。
【0067】
次に、このように構成したシートシステム1の動作、及び、効果について説明する。
【0068】
図4に示すように、ユーザがシートバック11に設けられたセンサ101aを押圧すると、センサから判定部71へ信号が出力される。判別部は、入力された信号がセンサ101aからのものであると判別し、センサ101aに対応するIDを処理部72へ出力する。
【0069】
処理部72は、入力されたIDに基づいて、記憶部73に保持されている音テーブル75を参照して、対応する楽器名「ピアノ」の音名「ド」を取得する。その後、処理部72は、記憶部73から楽器名「ピアノ」の音名「ド」の音データ83を出力部74へ出力する。
【0070】
出力部74は、処理部72からの音データ83を受け付けて、音データ83を変換し、スピーカ202に対応する音を出力させる。これにより、スピーカから「ド」の音高のギター音が出力される。
【0071】
ユーザがシートバック11に設けられたセンサ101bを押圧すると、スピーカ202からピアノ音の「レ」の音高のピアノ音が出力される。このように、センサごとに楽器音と音名とが設定されており、ユーザは違う音を出すために身体を動かす必要があるため、ユーザに身体を動かすように促すことができる。
【0072】
ユーザが別の部材であるシートクッション12に設けられたセンサ102aにタッチ操作を行った場合はヴァイオリンの「ド」の音高の音が出力される。これにより、ユーザにタッチ操作に応じて様々な楽器音を演奏することのできる空間を提供することができる。
【0073】
上記実施例ではセンサがシート本体5にのみ設けられている例について説明したが、センサはシート本体5の周辺に設けられた構造体に設けられている場合においても、部材ごとにそれぞれ群をなすように配置されているとよい。このとき、センサに対応する楽器名もそれぞれ設けられる部材ごとに定められ、それぞれ同じ楽器音を出すグループ(すなわち、群)を構成する。また、シート本体5の周辺に設けられた構造体に含まれるセンサにもそれぞれを区別するため、対応するIDが付与されている。IDはそれぞれ対応するセンサがどの部材に設けられているかを容易に判別できるように設定されているとよい。
【0074】
本実施形態において、出力装置が複数の室内灯41を含む場合には、制御装置70は例えば、シート本体5に設けられたシートセンサによってユーザが着座したシートの位置を取得し、ユーザが着座したシートの前上方に位置する室内灯41を選択的に点灯・消灯させるとよい。
【0075】
室内灯41は複数の色の光を選択的に放つことができるとよく、例えば、多色発光LED素子を含むものであるとよい。このとき、制御装置70は、タッチ操作が検出されたセンサごとに、色を変えて室内灯41を発光させるとよい。また、制御装置70は、タッチ操作が検出されたセンサが設けられた部材ごとに、色を変えて室内灯41を発光させてもよい。すなわち、センサは設けられた部材ごとにそれぞれ同じ光の色を出力するセンサ群を構成していてもよい。
【0076】
本実施形態において、出力装置が振動デバイス45を含む場合には、制御装置70は、例えば、シート本体5に設けられたシートセンサによってユーザが着座したシートの位置を取得し、ユーザが着座したシートに設けられた振動デバイス45を振動させるとよい。振動デバイス45は一定の周波数の振動を所定の振幅で出力するものであってよく、制御装置70は、タッチ操作が検出されたセンサごとに周波数及び振幅の少なくとも一方を異ならせて振動デバイス45から振動を出力させてもよい。また、振動デバイス45から出力される振動の周波数、振幅が、タッチ操作が検出されたセンサの部材ごとに定められていてもよい。すなわち、センサは、それぞれ同じ振動の周波数及び振幅を出力するセンサ群を構成していてもよい。
【0077】
<<第2実施形態>>
第2実施形態に係るシートシステム300は第1実施形態に係るシートシステム1に比べて、生体センサと、制御装置70と通信可能に接続された入出力端末76と、制御装置70及び外部と通信可能な環境情報取得装置79とを含む点で異なる。また、第2実施形態において、記憶部73は、ユーザ名及びユーザの生体情報が入力されたユーザ照合テーブル81と、ユーザ情報が入力されたユーザ情報テーブル80と、ユーザ情報テーブル80に入力された音楽についての音楽データ82とを更に保持する。また、本実施形態においては、制御装置70がシートシステムを利用したゲームアプリケーションを実行する点で異なる。
【0078】
生体センサはユーザを特定するための生体情報を取得する。より具体的には、生体センサによって取得される生体情報はユーザの指紋、虹彩網膜、及び、顔の少なくとも一つに関し、ユーザを特定することのできる情報を取得する。本実施形態では、生体センサは、図4に示すような、入出力端末76に搭載された指紋センサ77である。
【0079】
入出力端末76は、タッチパネルを備え、ユーザからの入力を受け付け、入力結果を制御装置70へ適宜出力する。タッチパネルは情報を表示する表示部78として機能するとともに、ユーザからの接触による入力を受け付ける入力部として機能する。入出力端末76は、タブレット、カーナビゲーションシステムなどであってよく、本実施形態においては、図4に示すようないわゆるスマートフォンである。
【0080】
環境情報取得装置79は、シート本体5、又は、シート本体5の周辺環境に係る情報を取得する。この情報とは、シート本体5が屋内に設けられている場合には、屋外の気温や天候に係る情報を意味する。本実施形態においては、シート本体5は車両Mに搭載されており、環境情報取得装置79は、車両速度に関する情報、車両Mに接近する障害物に関する情報、車両Mの周辺の交通情報、及び、車両Mの周辺の気象情報の少なくとも一つを取得する。具体的には、環境情報取得装置79はGPS受信機を介して人工衛星からの信号を受信し、シートシステム300が搭載された車両Mの位置情報を取得する。その後、環境情報取得装置79は取得した位置情報に基づいてネットワークを介して外部と通信し、車両Mの周辺の気象情報、交通情報などを取得して処理部72へ送信する。
【0081】
ユーザ情報テーブル80には、図6に示すように、ユーザ名、ユーザ名に対応するジャンル、曲名、テンポ、及び、楽器名が入力されている。本実施形態では、図6に示すように、テンポはユーザ情報テーブル80において、曲名に対応する曲に標準的に設定された拍の変更度合い(例えば、速い、遅い等)として入力されている。ユーザ照合テーブル81には、生体情報センサによって取得される生体情報と、対応するユーザ名とが入力され、記憶部73に保持されている。
【0082】
制御装置70は入出力端末76から所定の入力を受け付けると、ユーザに音楽に合わせて、タッチセンサに入力するように指示を行い、ユーザに身体を動かすように促すゲームアプリケーションを実行する。制御装置70がゲームアプリケーションを実行すると、図7に示すフローチャートに基づいて、アプリケーション実行処理を行う。以下、図7に基づいて、その処理について説明する。
【0083】
図7に示すように、制御装置70はアプリケーション実行処理の最初のステップにおいて、設定処理を行う。設定処理において、制御装置7は入出力端末76及び生体センサからユーザの情報を取得し、ゲームの実行に必要な各種情報を設定する。各種情報には、曲名、テンポ、及び、楽器名が含まれる。
【0084】
設定処理が完了すると、制御装置70はゲーム処理を実行する。ゲーム処理において、制御装置70はゲーム処理を開始すると、入出力端末76においてゲームを開始するか否かの入力を受け付ける。ゲームを開始する旨の入力が入力されると、制御装置70は設定処理で設定された曲名、テンポに基づきスピーカから音楽を出力させて、ゲームをスタートする。このとき、制御装置70はセンサによってタッチ操作が行われたタイミングを取得するとともに、第1実施形態に記載した方法に基づいて、設定処理で設定されたユーザ情報テーブル80に記載された楽器名に対応する出力音をスピーカ202から出力させる。
【0085】
制御装置70はゲーム処理中、環境情報取得装置79から取得した情報に基づき、スピーカ202から出力する音楽のテンポを変更するとよい。例えば、制御装置70は、車両M周辺の外気温が所定の閾値以上である場合には音楽のテンポを遅くし、外気温が所定の閾値以下である場合には音楽のテンポを速くする。これにより、外気温に応じてユーザの運動量を調節することができる。また、制御装置70は、環境情報取得装置79から車速を取得し、車速に応じてテンポを変更するようにしてもよい。
【0086】
制御装置70はゲーム処理中、環境情報取得装置79から取得した情報に基づき、スピーカから出力する音量を変更してもよい。例えば、制御装置70は環境情報取得装置79によって障害物が近接していることを検知したときには、スピーカからの出力を停止するか、又は、音の大きさを所定の閾値よりも小さくするとよい。これにより、ユーザは車両Mが障害物に近接していることを音によって察知することができる。
【0087】
その他、制御装置70は時刻情報を取得し、時間帯が夜間や早朝の場合は、同乗者に配慮した音量となるように、スピーカ202から発生する音量を小さくしてもよい。また、制御装置70は、環境情報取得装置79から車速を取得し、車速が所定値以上であるときに、未満であるときに比べて、スピーカ202から発生する音量を大きくするようにしてもよい。これにより、ユーザが、車両走行時の騒音によって音が聞き取りにくくなることが防止できる。
【0088】
曲が終了すると、制御装置70は結果表示処理を実行する。制御装置70は、結果表示処理において、ゲーム処理中にセンサが検出したタッチ操作のタイミングに対する一致度を算出する。その後、制御装置70は、入出力端末76の表示部78に一致度を表示する。
【0089】
以下では、制御装置70が行う設定処理について、図4図7及び図8を参照して説明する。
【0090】
図8に示すように、処理部72は、ステップST1において、入出力端末76の表示部78に、指紋センサ77に入力を行うようユーザに通知する画面を表示し、指紋センサ77にからの入力を受け付ける。受付が完了すると、ステップST2を実行する。
【0091】
処理部72はステップST2において、記憶部73に保持されているユーザ照合テーブル81に、入力された生体情報に対応するユーザ名の有無を判定し、ユーザ名が検索できた場合にはステップST5を、検索できなかった場合にはステップST3を実行する。
【0092】
処理部72はステップST3において、記憶部73に保持されたユーザ情報テーブル80に、ステップST1において入力された生体情報を追加する。追加が完了すると、ステップST4を実行する。
【0093】
処理部72はステップST4において、生体情報以外のユーザ情報の登録を行うべく、入出力端末76の表示部78を通じてユーザの好きな音楽のジャンル及び曲名の入力欄と、入力完了ボタンを表示し、ユーザから生体情報以外のユーザ情報を受け付ける。このとき、処理部72は、入出力端末76の表示部78に、それぞれの曲に適したテンポよりも速くするか、又は、遅くするかの選択を受け付ける選択欄を表示する。また、処理部72は、ユーザから入力されたジャンルに適した楽器名を選択して、入出力端末76の表示部78に表示するとよい。更に、処理部72は、入出力端末76の表示部78に、ユーザから楽器の変更入力を受け付ける入力欄を表示してもよい。入力完了ボタンへの入力を検知すると、処理部72はステップST5を実行する。
【0094】
処理部72は、ステップST5において、ユーザ情報テーブル80を参照し、検索されたユーザ名に対応するジャンル、曲名、テンポ、楽器名を取得する。その後、処理部72は入出力端末76の表示部78に表示し、その後、ステップST6を実行する。
【0095】
処理部72は、ステップST6において、入出力端末76の表示部78に表示したジャンル、曲名、テンポ、楽器名についての変更要否を、表示部78を通じて受け付ける。処理部72は、変更が必要である旨の入力がされた場合はステップST7を実行し、変更が不要である旨の入力がされた場合は設定処理を終了する。
【0096】
処理部72は、ST7において、当該ユーザの好きな音楽のジャンル、曲名、テンポ、楽器名の項目を変更入力可能な状態にして入出力端末76の表示部78へ表示し、表示部78を通じてユーザからの変更入力を受け付け、ステップST8を実行する。
【0097】
処理部72は、ステップST8において、入出力端末76の表示部78に変更入力完了ボタンを表示し、ユーザによるすべての変更入力が完了した旨の入力を受け付ける。制御装置70は、ユーザによって変更入力完了ボタンが押圧されたら、設定処理を完了する。
【0098】
処理部72は、設定処理の完了後、当該ユーザのユーザ情報テーブル80に入力された音楽に対応する音楽データ82を出力部74に出力する。出力部74は、入力された音楽データ82をスピーカ202から出力し、制御装置70によりゲーム処理を実行する。
【0099】
次に、本実施形態におけるシートシステム300の動作であって、特に、設定処理におけるシートシステムの動作について説明する。
【0100】
設定処理が開始されると、入出力端末76の表示部78にはユーザに指紋センサ77へ指を接触させるよう指示する画面が表示される。これにより、ユーザは生体センサに自身の指を接触させると、検出された生体情報が処理部72へ出力される(ST1)。処理部72は、ユーザ照合テーブル81を参照し、入力された生体情報に対応するユーザ名を取得する。その後、処理部72は取得されたユーザ名がユーザ情報テーブル80に登録されているか否かを判定する(ST2)。ユーザ名が登録されている場合には入出力端末76の表示部78にユーザ情報を表示し(ST5)、変更の要否を受け付ける(ST6)。ユーザは入出力端末76の表示部78に表示されたユーザ情報を確認し、変更の要否を入力する。
【0101】
ユーザ名がユーザ情報テーブル80に登録されていない場合には、入出力端末76の表示部78にはユーザ情報の入力受付画面が表示され、受け付けられた情報と、生体情報とが、ユーザ情報テーブル80と、ユーザ照合テーブル81とに追加される(ST3、ST4)。
【0102】
ユーザは、入出力端末76の表示部78に表示されたユーザ情報について変更を必要とする旨の入力をした場合は、入出力端末76の表示部78へユーザ情報の変更入力を行う(ST7)。ユーザは、ユーザ情報の変更入力が完了したら、入出力端末76の表示部78に表示されている変更入力完了ボタンを押圧する(ST8)。このようにして、出力すべき音楽、テンポ、及び楽器名が設定されて、設定処理が終了する。
【0103】
次に、本実施形態に係るシートシステム300の効果について説明する。制御装置70により実行されるゲームアプリケーションの設定処理において、ユーザは、生体情報を入力することにより、入力した生体情報に対応するユーザ情報を使用することができる。このユーザ情報は、制御装置70に予め登録された情報であって、ゲーム処理中にスピーカから出力される音楽に関する情報であり、ユーザの入力操作により、適宜変更が可能である。これにより、ユーザは、毎回新規にユーザ情報を入力することなく、ユーザの好みに合った音楽に合わせてゲームを行うことが可能となる。
【0104】
ゲーム処理中において、制御装置70は、スピーカ202から音楽を出力し、ユーザに対し、音楽に合わせてタッチセンサに入力するように指示を行う。これにより、ユーザに身体を動かすように促すことができる。また、ゲーム処理中において、制御装置70は、環境情報取得装置79からシートシステム300を取り巻く環境に関する情報を取得する。制御装置70は、取得した情報に基づいてスピーカ202が出力する音楽のテンポや音量を変更する。これにより、ユーザは、より快適な環境でシートシステムを利用したゲームを楽しむことができる。
【0105】
<<第3実施形態>>
第3実施形態に係るシートシステムAは第1実施形態及び第2実施形態に係るシートシステム1、300に比べて、出力装置からの出力が、他のシートシステムBの出力装置からの出力と連動し、各シートシステムA、Bが入出力端末76を通じて互いに通信可能に構成されている点で異なる。第3実施形態のその他の構成については、第1実施形態及び第2実施形態と同様であるため、説明を省略する。なお、本実施形態における入出力端末76Aは、制御装置70のみでなく、他のシートシステムBが有する入出力端末76Bと通信可能に接続されていることを要する。
【0106】
以下に、シートシステムAのゲームアプリケーション実行中における出力装置からの出力を、他のシートシステムBと連動させるのに必要な処理について、図9を参照して説明する。
【0107】
ゲームアプリケーション実行に必要な設定処理の完了後、処理部72は入出力端末76Aの表示部78Aに、スタートボタンと併せて他のシートシステムのIDの入力欄を表示する。入出力端末76Aは、入力欄に他のシートシステムBのID(sheet_B)が入力されると、図9に示すシートシステム間の連動の実行に必要な処理を開始する。シートシステムAの入出力端末76Aは、入力されたIDを有する他のシートシステムBの入出力端末76Bに対し、連動許可要求を送信する。これを受け、シートシステムBの入出力端末76Bは、他のシートシステムAから連動許可要求を受信したことをユーザに通知する。当該通知を含む入出力端末76での通知は、入出力端末76の表示部78への表示や、入出力端末76が有するスピーカ202から出力される音を介して行われるとよい。
【0108】
シートシステムBの入出力端末76Bへ連動許可が入力されると、シートシステムBの入出力端末76Bは、シートシステムAの入出力端末76Aへ連動許可を送信する。これを受け、シートシステムAの入出力端末76Aは、他のシートシステムBから連動許可を受信したことをユーザに通知する。
【0109】
なお、シートシステムBの入出力端末76Bに連動不許可が入力された場合、シートシステムBの入出力端末76BはシートシステムAの入出力端末76Aへ連動不許可を送信する。これを受け、シートシステムAの入出力端末76Aは、ユーザにシートシステムBから連動不許可を受信したことを通知するとよい。
【0110】
シートシステムAの入出力端末76Aは、連動許可を受信した旨の通知を行った後、シートシステムAを使用しているユーザのユーザ情報テーブル80に入力された曲名を参照する。シートシステムAの入出力端末76Aは、参照した曲名の音楽がゲーム処理中に出力されることについての許可要求(音楽許可要求)をシートシステムBの入出力端末76Bに対して送信する。これを受け、シートシステムAの入出力端末76Aは、他のシートシステムAからゲーム処理中に出力される音楽についての許可要求(音楽許可要求)を受信したことをユーザに通知する。シートシステムBの入出力端末76Bに当該音楽に対する許可入力がされると、シートシステムBの入出力端末76Bは、シートシステムAの入出力端末76Aへ当該音楽についての許可(音楽許可)を送信する。
【0111】
ゲーム処理中に出力される音楽についての許可(音楽許可)を受信したシートシステムAの入出力端末76Aは、他のシートシステムBから音楽についての許可を受信したことを、ユーザに通知する。
【0112】
なお、シートシステムBの入出力端末76Bが選択された音楽に対する不許可を送信した場合、シートシステムAの入出力端末76Aは音楽に対する不許可を受信したユーザに通知する。このとき、シートシステムAの入出力端末76Aは、先に選択した曲名とは別の曲名を選択するよう、表示部78Aを通じてユーザに指示するとよい。このとき、シートシステムAの入出力端末76Aは、記憶部73の保持するユーザ情報テーブル80を参照し、ユーザ情報テーブル80に入力されたすべての曲名を表示部78Aに表示してもよい。
【0113】
シートシステムAの入出力端末76Aは、音楽に対する許可(音楽許可)の通知を受信した旨の通知を行った後、出力させる音楽のテンポについて、表示部78Aを通じてユーザからテンポ選択の入力を受け付ける。シートシステムAの入出力端末76Aはテンポ選択の入力結果をシートシステムBの入出力端末76Bへ送信する。これを受け、シートシステムBの入出力端末76Bは、他のシートシステムAの入出力端末76Aにおいて音楽のテンポ選択の入力がされたことをユーザに通知する。その後、シートシステムBの入出力端末76Bは、出力させる音楽のテンポについて、表示部78Bを通じてユーザからテンポ選択の入力を受け付ける。シートシステムBの入出力端末76Bはテンポ選択の入力結果をシートシステムAの入出力端末76Aへ送信する。その後、シートシステムAの入出力端末76Aは、他のシートシステムBの入出力端末76Bにおいて音楽のテンポ選択の入力がされたことをユーザに通知する。
【0114】
その後、シートシステムAの入出力端末76Aは、シートシステムBの入出力端末76Bへゲーム処理開始についての許可要求を送信する。これを受け、シートシステムBの入出力端末76Bは、他のシートシステムAの入出力端末76Aからゲーム処理開始許可要求を受信したことをユーザに通知する。その後、シートシステムBの入出力端末76Bは、ゲーム処理開始許可について、表示部78Bを通じてユーザからの入力を受け付ける。ゲーム処理開始許可の入力がされると、シートシステムBの入出力端末76Bは、シートシステムAの入出力端末76Aへゲーム処理開始許可を送信する。これを受け、シートシステムA及びシートシステムBにおいてゲーム処理が開始される。
【0115】
ここからは、本実施形態におけるシートシステムA及びシートシステムBの動作について説明する。
【0116】
ゲームアプリケーションの実行に必要な設定処理において音楽が開始される前、シートシステムAのユーザは、入出力端末76Aに、連動を希望する他のシートシステムBのID(sheet_B)を入力する。
【0117】
シートシステムBのユーザは、他のシートシステムAから連動許可要求があったことを入出力端末76Bの通知によって認識する。シートシステムBのユーザは、連動許可または連動不許可を入出力端末76Bに入力する。
【0118】
シートシステムBのユーザが連動許可を入力した場合、シートシステムAのユーザは入出力端末76Aを通じてシートシステムBのユーザにより連動許可が入力された旨の通知を受ける。その後、シートシステムBのユーザは、シートシステムAから入出力端末76Aを介し、出力される音楽の曲名に対する許可要求(音楽許可要求)の通知を受ける。シートシステムBのユーザは、音楽の曲名に対する許可または不許可を入出力端末76Bに入力する。
【0119】
なお、シートシステムBのユーザが連動不許可を入力した場合、シートシステムAのユーザは、入出力端末76Aを通じてシートシステムBのユーザにより連動不許可が入力された旨の通知を受ける。これにより、シートシステムAのユーザはシートシステムAとシートシステムBの出力の連動が実行されないことを認識する。
【0120】
シートシステムBのユーザが出力される音楽に対する許可(音楽許可)を入力した場合、シートシステムAのユーザは、入出力端末76Aを通じてシートシステムBのユーザにより出力される音楽に対する許可(音楽許可)が入力された旨の通知を受ける。これを受け、シートシステムAのユーザは出力される音楽についてのテンポを選択し、入出力端末76Aに入力する(テンポ選択)。シートシステムBのユーザは入出力端末76Bを通じて、シートシステムAのユーザがテンポを入力した旨の通知を受ける。これを受け、シートシステムBのユーザも出力される音楽についてのテンポを入出力端末76Bに入力する(テンポ選択)。
【0121】
なお、シートシステムBのユーザが出力される音楽に対する不許可を入力した場合、シートシステムAのユーザは入出力端末76Aから出力される音楽に対する不許可が入力された旨の通知を受ける。ここで、シートシステムAのユーザは、入出力端末76Aの表示部78Aに表示された曲名の中から別の曲名を選択し、入出力端末76Aに再度入力する。
【0122】
シートシステムBのユーザが音楽のテンポを選択し、入出力端末76Bに入力すると、シートシステムAのユーザは入出力端末76Aを通じてシートシステムBのユーザにより音楽のテンポが入力された旨の通知を受ける。その後、シートシステムAのユーザは、入出力端末76Aにゲーム処理開始要求を入力する。その後、シートシステムBのユーザは、入出力端末76Bを通じてゲーム処理開始許可要求が入力された旨の通知を受ける。これを受け、シートシステムBのユーザは入出力端末76Bへゲーム処理開始許可を入力する。
【0123】
シートシステムBのユーザによりゲーム処理開始許可が入力されると、シートシステムA及びBのユーザは同時にゲームアプリケーションを開始する。
【0124】
ゲーム処理が終了すると、制御装置70は、結果表示処理を実行する。本実施形態の結果表示処理において、制御装置70は、出力装置からの出力を互いに連動させたシートシステムA及びBの判定結果の両方をそれぞれの入出力端末76の表示部78に同時に表示する。制御装置70は、連動が行われているすべてのシートシステムのゲーム処理が終了するのを待ってから判定結果を表示するとよい。これにより、シートシステムA及びBのユーザが同じ音楽でゲームを行った結果を互いに確認することができる。
【0125】
上記の態様では、出力装置からの出力が連動するシートシステムはシートシステムAとシートシステムBのみであったが、これに限定されない。例えば、出力装置からの出力が互いに連動する3以上のシートシステムであってもよい。
【0126】
以上で、具体的実施形態の説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されることなく幅広く変形実施することができる。例えば、実施形態1において、センサへのタッチ操作に応じて出力装置から出力される音、光、及び振動は、互いに組み合わせて出力するようにしてもよい。これにより、出力装置からの出力のレパートリーを増やすことができる。
【0127】
また、制御装置70は、センサの異常を検出した場合、出力装置の出力を制限するとよい。これにより、センサの誤動作を防止することができる。
【0128】
また、出力装置がスピーカである場合、周囲の騒音を打ち消すためのノイズキャンセリング機能を有しているとよい。また、スピーカは左右のフロントドア15のドアトリム17に設けられたスピーカと、左右のリアサイドトリム19に設けられているとしたが、これに限定されない。例えば、スピーカは、タッチ操作に応じて音が出力される対応するセンサ群が設けられている部材内にそれぞれ配置されていてもよい。これにより、タッチ操作を行うセンサ群と音が出力されるスピーカを同一部材に配置することができ、シートシステムの利用における臨場感を高めることができる。
【0129】
実施形態2において、シートシステム300はさらに、制御装置70と通信可能に接続され、ユーザの体温を計測する体温計や脈拍を計測する脈拍計を含むとよい。制御装置70は、シートシステムを利用するユーザの体温や脈拍数に関する情報を取得することにより、スピーカから出力される音を調節するとよい。例えば、ユーザの体温や脈拍数が閾値以上の時は、閾値よりも小さな音や音楽を出力するとよい。これにより、ユーザの体調に合わせてスピーカからの出力を行うことが可能となる。
【0130】
また、実施形態3のゲーム処理中において、シートシステムAのユーザによってセンサへのタッチ操作がなされると、シートシステムBのスピーカは、シートシステムAのスピーカ出力される音と同じ音を連動して出力するようにしてもよい。
【0131】
また、第3実施形態のシートシステムにおいて、タッチ操作が入力されてから音が発生するまでの応答時間を制御装置70が変更可能であってもよい。これにより、複数のシートシステムが同じ車両に設けられている場合に、それぞれの制御装置70が応答時間を互いに異なるように設定することで、それぞれのユーザが自分のタッチ操作によって発生した音を時間差によって識別することができる。
【0132】
また、設定処理において、複数のシートシステムが同じ車両に設けられているときには、シートシステムが協働して同時にスピーカから音を発生させ、各ユーザに同時にタッチ操作の入力を指示することによって、それぞれの制御装置70が応答時間を取得してもよい。その後、制御装置70は、互いに通信することによって、応答時間の差を取得し、結果表示処理において、応答時間の差を補填するように、タッチ操作のタイミングを補正して、音楽との合致度を算出するとよい。これにより、ユーザの年齢や、性別、身体的な特徴に合った採点を行うことが可能となる。
【0133】
また、設定処理において、複数のシートシステムがそれぞれスピーカから音を発生させ、各ユーザにタッチ操作の入力を指示することによって、それぞれの制御装置70が各ユーザのタッチ操作時の押圧時の荷重(押圧荷重)を取得してもよい。その後、制御装置70は、取得した押圧荷重に基づき、センサの検出に必要な押圧荷重の所定値を変更してゲーム処理を実行するとよい。これにより、ユーザの年齢や、性別、身体的な特徴に合わせてゲームを楽しむことができる。
【0134】
また、設定処理において、シートシステムがスピーカから音を発生させ、ユーザに複数の異なる部材に設けられたセンサへのタッチ操作の入力を指示することによって、制御装置70がユーザのタッチ操作時の押圧時の荷重(押圧荷重)を取得してもよい。その後、制御装置70は、取得した押圧荷重に基づき、異なる部材に設けられたセンサの検出に必要な押圧荷重の所定値を変更して、ゲーム処理を実行するとよい。これにより、センサが設けられた領域の部材に違いがあっても、効率的にセンサによる検出を行うことができる。
【符号の説明】
【0135】
1 :第1実施形態に係るシートシステム
5 :シート本体
5A :フロントシート本体(前席シート本体)
5B :ミッドシート本体(後席シート本体)
10 :ヘッドレスト
11 :シートバック
12 :シートクッション
15 :フロントドア
16 :リアドア
21 :パッド部材
22 :表皮材
23 :第1パッド部材
24 :第2パッド部材
41 :室内灯
45 :振動デバイス
70 :制御装置
72 :処理部
73 :記憶部
74 :出力部
75 :音テーブル
76 :入出力端末
77 :指紋センサ
78 :表示部
79 :環境情報取得装置
80 :ユーザ情報テーブル
81 :ユーザ照合テーブル
82 :音楽データ
83 :音データ
101 :バックセンサ群
102 :シートセンサ群
202 :スピーカ
300 :第2実施形態に係るシートシステム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2024-06-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ートシステムであって、
ユーザが着座可能なシート本体と、
前記シート本体又は前記シート本体の周囲に配置された構造体に設けられ、前記シート本体に着座した前記ユーザによるタッチ操作を検出する複数のセンサと、
音、光、及び振動の少なくとも1つの出力を行う出力装置と、
前記センサがタッチ操作を検出したときに、対応する所定の出力を前記出力装置から発生するよう前記出力装置を制御する制御装置とを有し、
前記出力装置はスピーカを含み、
前記制御装置は、複数の前記センサへのタッチ操作を前記ユーザに指示するための音を前記スピーカから発生させ、前記音が発生した後、複数の前記センサに対する押圧荷重を取得し、複数の前記センサに対する前記押圧荷重に基づいて、前記センサへの前記ユーザの前記タッチ操作を検出するための前記押圧荷重の閾値を変更する、シートシステム。
【請求項2】
前記センサが、前記シートシステムを構成する部材から選ばれた少なくとも2つの部材のそれぞれに配置されたセンサ群をなし、前記センサ群のそれぞれに異なる楽器音が割り当てられている請求項1に記載のシートシステム。
【請求項3】
前記シート本体は、前記ユーザが着座するシートクッションと、前記シートクッションに接続され、前記ユーザの背中の後方に配置されたシートバックとを含み、
前記センサの少なくとも1つが、前記シートクッションの上面、前記シートバックの前面、前席シート本体のシートバックの背面、アームレスト、オットマン、ヘッドレスト、車室の床面を画定するフロア、ステアリングホイール、ドア、インストルメントパネル、ピラーまたは備え付けのテーブルを含む前記部材のいずれか1つに設けられている請求項に記載のシートシステム。
【請求項4】
前記シートシステムは車両に搭載されており、
前記車両は前記制御装置と通信可能に接続された環境情報取得装置を含み、
前記制御装置は、前記環境情報取得装置から前記車両を取り巻く環境に係る少なくとも1つの情報を取得し、取得した前記情報に基づいて前記出力装置の前記出力を変化させるよう構成されている請求項1に記載のシートシステム。
【請求項5】
前記シートシステムは、
前記制御装置と通信可能に接続され、前記ユーザを照合するための生体センサと、
前記制御装置と通信可能に接続され、前記ユーザからの入力を受け付ける入出力端末とを含み、
前記制御装置は、前記ユーザに関するユーザ情報を記憶可能であり、前記ユーザによる前記入出力端末への入力または前記生体センサからの生体情報、及び前記制御装置に予め記憶された前記ユーザに関する前記ユーザ情報に基づいて、前記シートシステムを使用する前記ユーザの特定を実行した後で、前記特定が実行された前記ユーザによる前記入出力端末への入力または前記制御装置にあらかじめ記憶された前記ユーザに関する前記ユーザ情報に基づいて、
前記スピーカからの出力を行うよう構成されている請求項1に記載のシートシステム。
【請求項6】
前記シートシステムは前記制御装置と通信可能に接続され、前記ユーザからの入力を受け付ける入出力端末とを含み、
前記制御装置は前記出力装置からの前記出力を、他のシートシステムの前記出力装置からの前記出力と連動させるべく、他の前記制御装置と通信可能に構成されている、請求項1に記載のシートシステム。
【請求項7】
前記センサが設けられた領域のそれぞれが局部的に硬質にされている請求項1に記載のシートシステム。
【請求項8】
前記制御装置は、前記センサの異常を検出したとき、前記出力装置の出力を制限する、請求項1に記載のシートシステム。