(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024111251
(43)【公開日】2024-08-16
(54)【発明の名称】アルカリ金属およびアルカリ土類金属に対する抑制剤
(51)【国際特許分類】
C22B 3/04 20060101AFI20240808BHJP
C22B 26/10 20060101ALI20240808BHJP
C22B 26/20 20060101ALI20240808BHJP
【FI】
C22B3/04
C22B26/10
C22B26/20
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024100626
(22)【出願日】2024-06-21
(62)【分割の表示】P 2020545527の分割
【原出願日】2019-03-01
(31)【優先権主張番号】2,996,961
(32)【優先日】2018-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CA
(71)【出願人】
【識別番号】513138072
【氏名又は名称】ハイドロ-ケベック
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】パトリック ブシャール
(72)【発明者】
【氏名】ジョゼ プロノヴォスト
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアーヌ コセット
(72)【発明者】
【氏名】サージ ヴェロー
(72)【発明者】
【氏名】シャンタル バリル
(72)【発明者】
【氏名】ドミニク ルブラン
(72)【発明者】
【氏名】カリム ザジブ
(57)【要約】
【課題】 アルカリ金属、アルカリ土類金属およびこれらの少なくとも1つを主として含む合金の安全な溶解プロセスを提供すること
【解決手段】 記載されている技術は、アルカリ金属、アルカリ土類金属およびこれらの少なくとも1つを主として含む合金の安全な溶解プロセスに関する。該プロセスは、金属を反応抑制剤および水と接触させることを含む。本プロセスでは、反応抑制剤は、炭化水素、水酸化された化合物およびこれらの混合物から選択される。金属の定量的溶解および金属の分析のための、金属残渣の破壊および安定化のための、ならびに電池のリサイクルのための本プロセスの使用も記載されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、適用法に基づいて、2018年3月1日に出願されたカナダ国特許出願2,996,961号の優先権を主張し、その内容全体が、あらゆる目的のために、参考として本明細書中に援用される。
【0002】
技術分野
本願は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の定量的および安全な溶解の分野、アルカリ金属またはアルカリ土類金属残渣の破壊および安定化の分野、ならびにアルカリ金属またはアルカリ土類金属のリサイクルの分野に言及する。
【背景技術】
【0003】
背景
アルカリ金属(リチウム、ナトリウムおよびカリウムなど)は類似の化学的特性を有し、高度に還元性の価電子を有する。その結果、アルカリ金属は、以下の反応にしたがって、水と激しく反応して、爆発性であり得る水素を生成する。
2M(s)+2H2O(l)→2M+
(aq)+2OH-
(aq)+H2(g) (1)
【0004】
アルカリ土類金属(マグネシウム、カルシウム、ストロンチウムおよびバリウムなど)も、以下の式にしたがって、水と反応して水素気体を生成する。
M(s)+2H2O(l)→M2+
(aq)+2OH-
(aq)+H2(g) (2)
【0005】
このため、カルシウム、ストロンチウムおよびバリウムは、水中で激しく反応する。いずれの場合にも、これらの反応によって放出される水素は、爆発性であり得る高度に可燃性の気体である。水素の爆発性または可燃性下限は4%であり、一方、その上限は75%である。空気中において、この濃度範囲内にあると即座に、水素は発火し得る。したがって、水素の封じ込めの間には、爆発および突出のリスクが存在する。
【0006】
水をメタノール、エタノールまたはブタノールに置換することによってアルカリ金属を溶解することが可能である(Dulski,T.R.“A Manual for the Chemical Analysis of Metals,ASTM Manual Series MNL 25.”Ann Arbor,MI(1996);およびFurukawa,T.ら、Nuclear Materials and Energy
9(2016):286-291参照)。次いで、アルカリ金属は、O-H結合を切断することができ、アルコラートを与える。例えば:
CH3-CH2-O-H+Na→CH3-CH2-O-Na++1/2H2 (3)
【0007】
貯蔵および輸送の目的のために、したがって、リチウムなどのアルカリ金属は、通常、鉱油中に浸漬される。
【0008】
有機マグネシウムまたはグリニャール試薬の合成は、無水溶媒中へのマグネシウムの溶解を伴う。例えば、使用される溶媒は、オキソラン(テトラヒドロフラン)またはジエチルエーテルなどのエーテルであり得る。グリニャール試薬の合成において、溶媒は、有機マグネシウム化合物を溶媒和させ、安定化させるという役割を有する。グリニャール試薬の合成は、以下の反応にしたがって実施される。
【化1】
【0009】
有機リチウム試薬の合成は、有機マグネシウム試薬の合成と類似しており、無水試薬でリチウムを溶解させることを含み、以下の反応にしたがって実施される。
【化2】
式中、Xはハロゲン、例えば、Br、ClまたはIである。
【0010】
水は、最も入手しやすく、最も廉価な酸化剤である。しかしながら、水とアルカリ金属の反応は、安全な溶解には適していない。したがって、水性のアルカリ金属溶解の安全な方法に対する要求が増大している。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Dulski,T.R.“A Manual for the Chemical Analysis of Metals,ASTM Manual Series MNL 25.”Ann Arbor,MI(1996)
【非特許文献2】Furukawa,T.ら、Nuclear Materials and Energy 9(2016):286-291
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
概要
第一の態様によれば、本記述は、金属を溶解するプロセスであって、前記金属がアルカリ金属、アルカリ土類金属およびこれらの少なくとも1つを主に含む合金から選択され、前記プロセスは、前記金属を反応抑制剤および水と接触させる工程(a)を含み、前記反応抑制剤が、炭化水素、水酸化された化合物およびこれらの少なくとも2つを含む混合物から選択される、プロセスに関する。
【0013】
一実施形態によれば、炭化水素は式CnHmの炭化水素であり、式中、nおよびmは整数であり;nは5~40であり;mは、分子が安定であり、および1またはそれより多くの不飽和を必要に応じて含むように選択される。
【0014】
別の実施形態によれば、水酸化された化合物は式R(OH)Xの化合物であり、式中、Rは、C1-8アルキルおよびC2-3アルキル(OC2-3アルキル)y基から選択され、xは1~4であり、yは1~5であり、前記水酸化された化合物のC:O比は1:1~3:1の範囲であることが理解される。
【0015】
別の実施形態によれば、水酸化された化合物は式R(OH)xの化合物であり、式中、Rおよびxは、前記式が、1個またはそれより多くのエステル基で必要に応じて置換された、300~800g/molの平均分子量を有するポリアルキレングリコールまたは7,000~101,000g/molの平均分子量を有するポリビニルアルコールを定義するようである。
【0016】
別の実施形態によれば、水は、軽鉱油と水のエマルジョン中に含まれる。
【0017】
別の実施形態によれば、本記述は、抑制剤が金属の水酸化物であり、工程(a)が水中の金属の水酸化物の高濃度溶液と金属を接触することを含む、本明細書に記載のプロセスに関する。
【0018】
別の実施形態によれば、金属は、アルカリ金属リチウム、ナトリウムおよびカリウムならびにこれらの1つを主に含む合金から選択される。例えば、金属はリチウムである。または、金属はリチウムとマグネシウムまたはアルミニウムとの合金であり、リチウムが主である。別の実施形態によれば、金属は、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムおよびこれらの1つを主に含む合金から選択される。
【0019】
別の実施形態によれば、反応抑制剤は、プロピレングリコール、グリセロール、エチレングリコール、エタノール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、メトキシポリエチレングリコールおよびこれらの少なくとも2つを含む混合物から選択される水酸化された化合物である。例えば、水酸化された化合物は、プロピレングリコールまたは水酸化リチウムである。別の実施形態によれば、反応抑制剤は、直鎖、環状または分枝鎖アルカンを主に含む炭化水素である。別の実施形態によれば、前記抑制剤は、少なくとも1つの水酸化された化合物と炭化水素とを含む混合物である。
【0020】
別の実施形態によれば、前記抑制剤は金属の水酸化物であり、工程(a)は水中の金属の水酸化物の高濃度溶液と金属を接触させることを含む。例えば、金属の水酸化物は水酸化リチウムである。
【0021】
別の実施形態によれば、金属の水酸化物の高濃度溶液は、4~12.8%重量/体積(重量/体積%=g/100mL)の濃度を有する。または、金属の水酸化物の高濃度溶液は、6~12.8%重量/体積の濃度を有する。または、金属の水酸化物の高濃度溶液は、8~12.8%重量/体積の濃度を有する。または、金属の水酸化物の高濃度溶液は飽和溶液である。
【0022】
別の実施形態によれば、前記プロセスは、反応抑制剤中での金属の完全なまたは部分的な浸漬の後、水または軽鉱油と水のエマルジョンの添加を含む。
【0023】
一実施形態において、接触工程の前に、溶解されるべき金属が非反応性金属に固定される。
【0024】
別の態様によれば、前記プロセスは、金属の定量的溶解のために使用される。一実施形態によれば、前記プロセスは、接触させる前に金属を秤量する工程をさらに含む。前記プロセスは、必要に応じての、溶液を分離する工程、および溶液の定量分析をさらに含むことができる。溶液の定量分析は、例えば、誘導結合プラズマ発光分析(ICP-OES)によって実施することができる。
【0025】
別の態様によれば、前記プロセスは、金属残渣の破壊および安定化のために使用される。例えば、金属残渣が、装置の一部の表面に付着している。別の実施形態によれば、前記プロセスは、金属残渣がその上に付着している装置の全体に対して実施される。
【0026】
別の態様によれば、前記プロセスは、電池をリサイクルするために使用される。別の実施形態によれば、前記プロセスは、接触させる前に電池を分解または細断する工程をさら
に含む。または、電池を分解または細断する工程および接触工程は同時に実施される。
【0027】
最後の態様によれば、前記プロセスは、LiOHもしくはLiOH・H2Oの形態でリチウムをリサイクルするために、またはLi2CO3もしくは別のリチウム塩の形態で変換されたリチウムをリサイクルするために使用される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】
図1は、形成されたペレットの溶解の画像を表し、(A)ステンレス鋼ペレット(下部金属)に固定されたリチウムペレット(上部金属);および(B)実施例1(b)に記載されているとおりの、リチウムの定量的溶解のためのメスシリンダー中でのリチウム(上部金属)の位置を示している。
【0029】
【
図2】
図2は、実施例2に記載されているとおりの、ステンレス鋼ペレット(下部金属)に固定されたリチウムペレット(上部金属)の鉱油中での溶解の画像を表す。
【0030】
【
図3】
図3は、実施例5(a)に記載されているとおりの、飽和水酸化リチウム溶液中での、ステンレス鋼ペレットに固定されたリチウムペレットの溶解の画像を表す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
詳細な説明
本明細書において使用される全ての技術および科学用語および表現は、本技術に関連する場合、当業者によって一般的に理解されているものと同じ定義を有する。もっとも、使用されるいくつかの用語および表現の定義が以下に提供されている。
【0032】
本明細書において使用される「約」という用語は、およそ、の辺り、および概ねを意味する。例えば、「約」という用語が数値と関連して使用される場合、名目値に関して10%または5%の変動で、値を上下に修飾する。本用語は、例えば、測定する装置の実験誤差または丸めも考慮に入れることができる。
【0033】
本願において値の範囲が挙げられている場合、別段の記載がなければ、範囲の下限および上限は、定義の中に常に含まれる。
【0034】
本明細書において使用される「主として」および「主に」という用語は、この用語が、それぞれ、体積または重量での名目値に付随するかどうかに応じて、50%v/vまたは50重量%より大きな濃度を意味する。
【0035】
本明細書において使用される「炭化水素」という用語は、専ら炭素と水素からなり、したがって、他の置換基を一切含まない油または油をベースとする混合物を表す。炭化水素は、直鎖、環状または分枝鎖飽和アルカンを主に含む。炭化水素は、石油の蒸留から得ることができる。または、炭化水素は、合成的に製造することが可能である。炭化水素が石油の蒸留から得られる場合には、炭化水素は、なお主であることは変わらない直鎖、環状または分枝鎖飽和アルカンに加えて、部分的に不飽和の化合物またはベンゼンおよびトルエンなどの芳香族化合物などの異なる生成物の混合物をより少ない割合で含むことができることが理解される。
【0036】
本明細書において使用される「水酸化された化合物」という用語は、少なくとも1つのヒドロキシル官能基(-OH)を含む有機または無機化合物を表す。
【0037】
本明細書において使用される「アルキル」または「アルキレン」という用語は、直鎖または分枝鎖の基が含まれる、1~8個の炭素原子を有する飽和炭化水素基を表す。アルキ
ル基の例は、メチル、エチル、プロピルなどを含むが、これらに限定されない。アルキル基が2つの官能基の間に位置している場合には、メチレン、エチレン、プロピレンなど、「アルキレン」という用語も使用することができる。「Ci-Ciiアルキル」および「Ci-Ciiアルキレン」という用語は、それぞれ、数「i」~数「ii」の炭素原子を有するアルキルまたはアルキレン基を表す。
【0038】
本願は、金属を溶解するプロセスであって、金属が、アルカリ金属、アルカリ土類金属、およびこれらの少なくとも1つを主に含む合金から選択される方法を記載する。
【0039】
例えば、金属は、リチウム、ナトリウムおよびカリウムから選択されるアルカリ金属である。金属は、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウムおよびバリウムから選択されるアルカリ土類金属でもあり得る。または、金属は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属を主に含む合金でもあり得る。関心対象のある変化形態によれば、金属はリチウムである。関心対象の別の変化形態によれば、金属は、リチウムが主である、リチウムとマグネシウムまたはアルミニウムの合金である。
【0040】
前記プロセスは、金属を反応抑制剤および水と接触させる工程を含み、水は、必要に応じて、軽鉱油と水のエマルジョンの形態である。本願のプロセスにおいて、金属は、予め、非反応性金属上に、例えば、ステンレス鋼上に固定される。例えば、溶解は、非反応性金属の層上に固定された溶解すべき金属の層から構成される試料(例えば、ペレット)に対して実施することができる。溶解すべき金属は、放出された水素がその下に蓄積するのを予防するかまたはそのリスクを軽減するために、試料の最も上に置かれる。
【0041】
反応抑制剤は、炭化水素、水酸化された化合物およびこれらの少なくとも2つを含む混合物から選択することができる。本記載の文脈において、炭化水素は式CnHmの炭化水素であり、式中、nおよびmは整数であり;nは5~40であり;mは、分子が安定であり、および1またはそれより多くの不飽和を必要に応じて含むように選択される。
【0042】
別の一選択肢によれば、水酸化された化合物は式R(OH)Xの化合物であり、式中、Rは、C1-8アルキルおよびC2-3アルキル(OC2-3アルキル)y基から選択され、xは1~4であり、yは1~5であり、前記水酸化された化合物のC:Oモル比が1:1~3:1の範囲であることが理解される。別の第二の選択肢によれば、水酸化された化合物は式R(OH)xの化合物であり、Rおよびxは、前記式が、1個またはそれより多くのエステル基で必要に応じて置換された、300~800g/molの平均分子量を有するポリアルキレングリコールまたは7,000~101,000g/molの平均分子量を有するポリビニルアルコールを定義するように選択される。
【0043】
水酸化された化合物の非限定的な例には、プロピレングリコール、グリセロール、エチレングリコール、エタノール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、メトキシポリエチレングリコールまたはこれらの少なくとも2つを含む混合物が含まれる。
【0044】
例えば、反応抑制剤は、プロピレングリコールまたはパラフィン油である。別の変化形態によれば、反応抑制剤は、少なくとも1つの水酸化された化合物と炭化水素とを含む混合物である。別の例によれば、前記抑制剤は、メタノールをさらに含む。
【0045】
一つの例によれば、反応抑制剤は、例えば、その粘度などのその特性を改変または改善するために、1種またはそれより多種の佐剤または添加物をさらに含むことができる。例えば、佐剤は、グルコースまたは別の類似の化合物であり得る。
【0046】
一つの例によれば、反応抑制剤は、1~99%v/v、好ましくは、10~80%v/vまたは30~60%v/vまたは同じく約50%v/vの濃度で存在する水酸化された化合物を含む混合物であり、上限および下限が含まれる。
【0047】
別の例によれば、金属を反応抑制剤および水(水は、必要に応じて、軽鉱油と水のエマルジョンの形態である)と接触させる工程は、反応抑制剤中での金属の完全なまたは部分的な浸漬の後、水または軽鉱油と水のエマルジョンの添加を含む。
【0048】
別の例によれば、金属は、溶解されるべき金属1g当たり約14μLに等しい反応抑制剤の体積中に浸漬される。水または軽鉱油と水のエマルジョンは、一定間隔で少量ずつ、例えば、15分の期間当たり、溶解されるべき金属1mg当たり約0.10~約6.0μLで添加することができ、上限および下限が含まれる。または、水または軽鉱油と水のエマルジョンは、連続的に、および制御された低い流速で、例えば、約0.05%v/v~約1%v/v/分の速度で添加することができ、上限および下限が含まれる。
【0049】
別の例によれば、水または軽鉱油と水のエマルジョンは、溶液が約50%v/v~約90%v/vの水濃度に達するまで、または金属が完全に溶解するまで、添加することができる。
【0050】
関心対象の別の変化形態によれば、本明細書に記載されているプロセスの反応抑制剤は金属の水酸化物であり、工程(a)は水中の金属の水酸化物の高濃度溶液と金属を接触させることを含む。例えば、金属水酸化物は水酸化リチウムである。例えば、金属水酸化物の高濃度溶液は、約4~約12.8%重量/体積または約6~約12.8%重量/体積または約8~約12.8%重量/体積の濃度を有し、上限及び下限が含まれる。または、高濃度溶液は飽和溶液である。
【0051】
別の態様によれば、本記述は、金属の定量的溶解のための、本願のプロセスの使用も提案する。例えば、前記プロセスは、接触の前に金属を秤量する工程および溶解の定量分析の工程をさらに含むことができる。溶液を定量分析する工程は、例えば、誘導結合プラズマ発光分析(ICP-OES)によって実施することができる。
【0052】
別の態様によれば、本記述は、金属残渣の安全な破壊および安定化のための、本願のプロセスの使用も提案する。本願のプロセスは、とりわけ、水素気体の反応速度および放出を低減すること、局所的な水素気体雰囲気を低減すること、局所的な加熱を予防すること、ならびに/またはリチウム融解温度に達することを予防することを可能にし得る。さらに、より遅い放出は、十分な換気を用いて、約4体積%である水素気体の可燃性下限より下に保つことを可能にし得る。
【0053】
金属リチウムなどの金属残渣は、装置の一部の表面に付着することもできる。一実施形態によれば、金属残渣を溶解または安定化するために、金属残渣がその上に付着している装置の全体が本願のプロセスによって処置される。
【0054】
別の態様によれば、本記述は、電池をリサイクルするための、本願のプロセスの使用も提案する。例えば、接触工程の前に、前記プロセスは、電池を分解または細断する工程をさらに含むことができる。または、電池を分解または細断する工程は、接触工程の間に実施することができる。例えば、このプロセスを使用する場合には、リチウムは、水溶液中で酸化して、LiOHを形成する。次いで、リチウムは、LiOH・H2Oの形態のLiOH水溶液からリサイクルすることができ、またはLi2CO3もしくは別のリチウム塩の形態で変換することができる。次いで、これらの化合物は、例えば、液体、固体またはゲル電解質の製造において使用される、LiFePO4、Li4Ti5O12、金属リチ
ウムまたはリチウム塩などの、電気化学的に活性な材料の製造において再利用することができる。
【0055】
最後の態様によれば、反応抑制剤は、水酸化リチウム溶液でもあり得る。固体LiOHは、その無水形態(LiOH)または一水和物形態(LiOH・H2O)で市販されている。水中での無水LiOHの最大溶解度は、20℃の温度で、約128g/Lである(約12.8%重量/体積に等しい濃度)。濃LiOH水溶液中での金属リチウムの溶解は、きわめてゆっくり起こり、したがって、濃LiOH水溶液は金属リチウムを安全に可溶化するために使用することができる。この制御された溶解から生じる溶液は、次いで、(無水LiOH、LiOH・H2OまたはLi2CO3などの)著しく重要な商業的価値を有する形態でリチウムを回収するために使用することができる。例えば、他の化学物質がプロセスに導入されないので、この抑制剤を使用することの1つの利点は、その高い化学的純度にある。この抑制剤は、金属リチウム電池のリサイクルのために、またはリチウム中に含有される不純物の化学的定量分析および/もしくはリチウムの純度の決定のために、金属リチウム残渣の破壊において使用することもできる。
【実施例0056】
以下の実施例は、例示の目的で提供されており、記載されている本発明の範囲をさらに限定するものと解釈すべきではない。
【0057】
[実施例1]反応抑制剤としてプロピレングリコールを使用する化学的分析のためのリチウムの定量的溶解
(a)試料調製
溶解されるべきリチウム試料は、-40℃未満の露点を有する無水チャンバー中で調製した。ステンレス鋼ペレット上へのリチウムの付着を促進するために、非研磨表面が試料と接触するように、きれいな乾燥したステンレス鋼ペレットを分析用てんびん上でまず秤量し、ペレット鋳型(例えば、Specac brilliant spectroscopy(商標)のGS03000 13mm Evacuable Pellet Die)中に挿入した。次いで、金属リチウム箔を取り出し、ペレット鋳型中に挿入した。次いで、その研磨された面がリチウム試料と接触して、UHMW-PEペレットが容易に剥離できるように、きれいな乾燥した高分子量ポリエチレン(UHMW-PE)ペレット(12.90mm×6.0mm)をペレット鋳型中に挿入した。次いで、鋳型の組み立てを実施し、手動液圧プレス(YLJ-15、MTI Corporation)中に置いた。試料から空気を取り除くために、ペレット鋳型の基部に真空ラインを接続し、1分間、鋳型を真空下に配置した。真空下で1分間、80バールの圧力をかけた。圧力が開放されたら、さらに1分間、真空を維持した。したがって、このようにして形成されたリチウムペレットは、最終的にはステンレス鋼ペレットとUHMW-PEペレットの間にあった。
【0058】
次いで、抜き出しリングおよび液圧プレスを用いて、ペレットを金型から取り出した。抜き出しの間、円筒形工具を用いて、UHMW-PEペレットをはく離した。次いで、分析てんびん上で試料を秤量し、ステンレス鋼ペレットの重量を差し引いた。
【0059】
比較のために、90重量%のリチウムおよび10%のマグネシウムを含む合金を用いて、同じ方法を実施した。
【0060】
(b)試料の定量的溶解
このようにしてステンレス鋼ペレット上に形成されたリチウムまたはリチウムをベースとした合金のペレット(
図1A参照)を25mLメスシリンダー中に挿入した。溶解の間に水素気泡の放出を促進するために、リチウムペレットは上方に配置した(
図1B参照)。抜き出された残余のリチウムを捕捉する液体の柱を得るために、溶解はシリンダー中で
実施した。本実施例のプロセスを用いると、可燃性水素の高い局所濃度に達することおよびリチウム表面での温度の増加を制限することを避けて、火事または爆発のリスクを軽減するために、水素の放出は徐々に起こる。
【0061】
5mLの体積のプロピレングリコールを添加した。溶解反応をモニターするために、約6時間の期間、1mLの超純水を15分ごとに添加して、約25mLの水の総体積を得た。次いで、完全な溶解まで、および水素気泡のさらなる形成が存在しなくなるまで、試料を反応させた。
【0062】
溶解から生じた溶液を、50mLのメスフラスコに移し、4.15mLの濃塩酸で酸性にした。次いで、塩酸(2.50mL)および硝酸(2.50mL)の高濃度溶液を添加した(それぞれ、5%v/vの最終濃度)。印を付けた輪の目盛りまで、フラスコの容積を超純水で満たした。ICP-OES分析のための標準と同じマトリックスを得るために、溶液を酸性にした。
【0063】
(c)ICP-OESによる、リチウム、マグネシウムおよび金属リチウム中またはリチウムをベースとする合金中に含有される不純物の定量分析
次いで、ICP-OESによって、溶液を分析する。この方法は、検量線を用いて高濃度でマグネシウムおよびリチウムを定量することを可能にする。したがって、この分析は、とりわけ、リチウムをベースとする合金中のリチウムまたはその他を定量することを可能にする。この分析は、金属リチウム中またはリチウムをベースとする合金中に含有される不純物を定量することも可能にする。不純物には、例えば、カルシウム、クロム、鉄、カリウム、マグネシウム、マンガン、ナトリウム、ニッケル、ケイ素、ストロンチウムおよび/または亜鉛が含まれ得る。
【0064】
金属リチウム中に含有される不純物を定量するために、この方法が使用される場合、分析される試料と同じマトリックスを得るために(マトリックスマッチング)、分析されるべき試料と同じ濃度のプロピレングリコールおよびリチウムを用いて、ブランクよび標準が調製される。
【0065】
[実施例2]反応抑制剤として鉱油を使用する化学的分析のためのリチウムの定量的溶解
リチウム試料は、実施例1(a)に示されている方法にしたがって調製した。次いで、プロピレングリコールを軽鉱油と置き換えることによって、実施例1(b)に示されている方法にしたがって試料を溶解した。同じく、本実施例では、メスシリンダー中にリチウムペレットを置いた。水素気泡の放出を促進するために、リチウムは上方に配置した。次いで、リチウムペレットを完全に浸漬するために、軽鉱油を添加した。金属リチウムの酸化反応と水素の発生を調節するために、徐々に、超純水または超純水と鉱油のエマルジョンを添加した。続いて、溶液を静置し、デカンテーションを行った。次いで、ICP-OES分析を実施する。
【0066】
ステンレス鋼ペレット(下部金属)に固定されたリチウムペレット(上部金属)の鉱油中での溶解を実施した(
図2参照)。水または水-油エマルジョンを添加すると、鉱油中に可溶でない水酸化リチウムの白い沈殿の形成を観察することが可能であった(
図2参照)。反応抑制剤として鉱油を使用することによって、局所的な温度上昇なしに、可燃性水素の遅い放出が可能になり、これにより、前記プロセスの安全性を改善する。
【0067】
[実施例3]リチウム残渣の安全な破壊および安定化
反応抑制剤は、装置の一部に付着しているまたは付着していない、アルカリ金属、アルカリ土類金属およびこれらの少なくとも1つを含む合金の残渣を安全に破壊および安定化
するために使用することができる。
【0068】
例えば、装置の一部に付着した金属リチウムが除去される。溶解されるべき金属リチウムの量を考慮して、1:1の体積比でプロピレングリコールと水を含有する洗浄溶液中に装置の全体が浸漬される。水素気泡の形成が停止し、したがって、以下の反応式にしたがって、水酸化リチウム(LiOH)の形態で金属リチウムが完全に溶解したことを示したら、アルカリ金属除去プロセスは完了したと考えられる。
2Li+2H2O→2LiOH+H2 (6)
【0069】
本実施例に記載されているプロセスは、反応およびH2放出速度を低下させること、可燃性H2の局所濃度を低下させること、局所的な加熱を回避すること、およびLiの融解温度に達するのを回避することを可能にする。より遅い放出は、約4体積%である水素気体の可燃性下限より下に保つこと、したがって、残渣を安全に破壊することを可能にする。
【0070】
[実施例4]リチウム金属電池中のリチウムのリサイクリング
商業的に貴重な材料を回収しおよび/またはリサイクルするために、反応抑制剤を使用して、一次電池または二次電池中に含有されるリチウムまたはリチウムをベースとする合金を不活化することができる。例えば、リサイクリングプロセスは、有機抑制剤を含有する水溶液の存在下で砕くことによって電池を細断することを含む。このプロセスを使用する場合には、リチウムは、水溶液中で酸化して、LiOHを形成する。リチウムがこの形態で完全に溶解したら、微量のLiOHを除去するために、細断された(非反応性)材料を水ですすぐ。次いで、リチウムは、LiOH・H2Oの形態でLiOHの水溶液からリサイクルすることができ、またはLi2CO3もしくは別のリチウム塩の形態で変換することができる。次いで、これらの化合物は、例えば、LiFePO4、Li4Ti5O12もしくは金属リチウムなどの電気化学的に活性な材料の製造のために、または液体、固体もしくはゲル電解質の製造において使用されるリチウム塩の製造のために、再利用することができる。
【0071】
[実施例5]水酸化リチウム溶液中での金属リチウムの調節された溶解
反応抑制剤は、水酸化リチウムの高濃度溶液でもあり得る。濃LiOH水溶液中での金属リチウムの溶解は極めてゆっくり起こり、したがって、金属リチウムを安全に可溶化するために使用することができる。この制御された溶解から生じる溶液は、次いで、(無水LiOH、LiOH・H2OまたはLi2CO3などの)重要な商業的価値を有する形態でリチウムを回収するために使用することができる。この抑制剤は、金属リチウム残渣の破壊のために、金属リチウム電池のリサイクルのために、またはリチウム中に含有される不純物の化学的定量分析のために使用することもできる。
【0072】
(a)水酸化リチウムの飽和溶液中での溶解
実施例1(a)において調製された金属リチウム試料の調節された溶解は、最初に、5mLの水酸化リチウムの飽和溶液(12.8%重量/体積)を添加することによって行った。次いで、金属の溶解速度を調節するために、水を、徐々に少しずつ、一定の間隔で添加した(0.350gの金属に対して約1mL/15分)。溶解反応を完了するために、8.03%重量/体積の最終濃度に相当する総量18mLの水を添加した。
【0073】
図3は、本実施例に記載されているとおりの飽和水酸化リチウム溶液(12.8%重量/体積LiOH)中での、金属リチウムの調節された溶解の画像を示す。実施例1(a)に記載されているように、金属リチウムは、その上に金属が押し付けられたステンレス鋼ペレットによって、溶液の底に保持された。本実施例のプロセスを用いると、水素の発生は、ゆっくり起こり、リチウムは加熱しない。
【0074】
(b)水酸化リチウムの不飽和溶液(6.4%重量/体積LiOH)中での溶解
実施例1(a)において調製されたように、金属リチウム試料の調節された溶解は、LiOHの飽和溶液が5mLの6.4%重量/体積LiOH(64g/L)を含有する溶液によって置き換えられていることを除き、実施例5(a)に記載された方法にしたがって実施した。本実施例のプロセスを用いると、反応はより激しく、より速い。溶液は、若干温度が上昇し、水素放出はより顕著である。リチウム溶解反応を完了するために、一定の間隔で、少しずつ、14mLの総量の水を添加した(すなわち、0.350gの金属に対して、15分当たり約1mLの水)。得られた最終濃度は、8.04%重量/体積であった。
【0075】
想定される本発明の範囲から逸脱することなく、上記された実施形態の1つまたはその他に対して数多くの改変を施すことができるであろう。本文書において言及される全ての参照文献、特許または科学文献文書は、あらゆる目的のために、その全体が参考として本明細書に援用される。
【0076】
本発明の好ましい実施形態によれば、例えば、以下が提供される。
(項1)
金属を溶解するプロセスであって、前記金属が、アルカリ金属、アルカリ土類金属およびこれらの少なくとも1つを主に含む合金から選択され、前記プロセスは、
a)前記金属を反応抑制剤および水と接触させる工程
を含み、
前記反応抑制剤が、炭化水素、水酸化された化合物およびこれらの少なくとも2つを含む混合物から選択される、プロセス。
(項2)
前記金属が、リチウム、ナトリウム、カリウムおよびこれらの1つを主に含む合金から選択される、上記項1に記載のプロセス。
(項3)
前記金属がリチウムである、上記項1または2に記載のプロセス。
(項4)
前記金属がリチウムとマグネシウムまたはアルミニウムの合金であり、リチウムが主である、上記項1または2に記載のプロセス。
(項5)
前記金属が、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムおよびこれらの1つを主に含む合金から選択される、上記項1に記載のプロセス。
(項6)
前記水酸化された化合物が式R(OH)
X
の化合物であり、式中、Rは、C
1-8
アルキルおよびC
2-3
アルキル(OC
2-3
アルキル)
y
基から選択され、xは1~4であり、yは1~5であり、前記水酸化された化合物のC:O比が1:1~3:1の範囲であることが理解される、上記項1~5のいずれか一項に記載のプロセス。
(項7)
前記水酸化された化合物が式R(OH)
x
の化合物であり、Rおよびxは、前記式が、1個またはそれより多くのエステル基で必要に応じて置換された、300g/mol~800g/molの平均分子量を有するポリアルキレングリコールまたは7,000g/mol~101,000g/molの平均分子量を有するポリビニルアルコールを定義するようなRおよびxである、上記項1~5のいずれか一項に記載のプロセス。
(項8)
前記水酸化された化合物が、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、グリセロール、エチレングリコール、エタノール、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール(PEG)、メトキシポリエチレングリコール(MEG)およびこれらの少なくとも2つを含む混合物から選択される、上記項6または7に記載のプロセス。
(項9)
前記反応抑制剤がプロピレングリコールを含む、上記項1~8のいずれか一項に記載のプロセス。
(項10)
前記反応抑制剤がさらにメタノールを含む、上記項1~9のいずれか一項に記載のプロセス。
(項11)
前記反応抑制剤が、1%v/v~99%v/vの濃度で存在する水酸化された化合物を含む混合物である、上記項1~10のいずれか一項に記載のプロセス。
(項12)
前記濃度が10%v/v~80%v/vである、上記項11に記載のプロセス。
(項13)
前記濃度が30%v/v~60%v/vである、上記項12に記載のプロセス。
(項14)
前記濃度が約50%v/vである、上記項13に記載のプロセス。
(項15)
前記炭化水素が式C
n
H
m
の炭化水素であり、式中、nおよびmは整数であり;nは5~40であり;mは、分子が安定であり、および1またはそれより多くの不飽和を必要に応じて含むように選択される、上記項1~14のいずれか一項に記載のプロセス。
(項16)
前記炭化水素が、直鎖、環状または分枝鎖アルカンを主に含む、上記項15に記載のプロセス。
(項17)
前記抑制剤が、少なくとも1つの水酸化された化合物と炭化水素とを含む混合物である、上記項1~16のいずれか一項に記載のプロセス。
(項18)
前記水が、軽鉱油と水のエマルジョン中に含まれる、上記項1~17のいずれか一項に記載のプロセス。
(項19)
工程(a)が、前記反応抑制剤中での金属の完全なまたは部分的な浸漬の後、水または軽鉱油と水のエマルジョンの添加を含む、上記項1~17のいずれか一項に記載のプロセス。
(項20)
前記水または前記軽鉱油と水のエマルジョンが、連続的に、および制御された低速度で、例えば、約0.05%v/v/分~約1%v/v/分で添加される、上記項19に記載のプロセス。
(項21)
前記水または前記軽鉱油と水のエマルジョンが、一定の間隔で少量ずつ、例えば、15分の期間当たり、溶解されるべき金属1mg当たり0.10μL~6.0μLの分量によって添加される、上記項19に記載のプロセス。
(項22)
前記溶液が50%v/v~90%v/vの水濃度に達するまで、または金属が完全に溶解するまで、前記水または前記軽鉱油と水のエマルジョンが添加される、上記項20または21に記載のプロセス。
(項23)
前記反応抑制剤が前記金属の水酸化物であり、工程(a)が、前記金属を水中の前記金属の水酸化物の高濃度溶液と接触させることを含む、上記項1~5のいずれか一項に記載のプロセス。
(項24)
前記金属の前記水酸化物の高濃度溶液が、4%重量/体積~12.8%重量/体積の濃度を有する水中の水酸化リチウムの溶液である、上記項23に記載のプロセス。
(項25)
前記濃度が6%重量/体積~12.8%重量/体積である、上記項24に記載のプロセス。
(項26)
前記濃度が8%重量/体積~12.8%重量/体積である、上記項25に記載のプロセス。
(項27)
前記高濃度溶液が飽和溶液である、上記項23~26のいずれか一項に記載のプロセス。
(項28)
前記接触させる工程の前に、前記金属が非反応性金属に固定される、上記項1~27のいずれか一項に記載のプロセス。
(項29)
前記溶解が定量的である、上記項1~28のいずれか一項に記載のプロセス。
(項30)
前記工程(a)が前記接触させる前に前記金属を秤量する工程をさらに含み、
前記プロセスが、
(b)前記溶液を必要に応じて分離する工程、および
(c)前記溶液の定量分析の工程、
をさらに含む、上記項29に記載のプロセス。
(項31)
前記工程(c)が、誘導結合プラズマ発光分析(ICP-OES)によって実施される、上記項30に記載のプロセス。
(項32)
前記金属が、装置の一部の表面に付着している金属残渣の形態である、上記項1~27のいずれか一項に記載のプロセス。
(項33)
前記工程(a)が、金属残渣が付着している装置の全体に対して実施される、上記項32に記載のプロセス。
(項34)
金属残渣の破壊および安定化のために使用される、上記項32または33に記載のプロセス。
(項35)
電池をリサイクルするために使用される、上記項1~27のいずれか一項に記載のプロセス。
(項36)
前記接触させる工程の前に、電池を分解または細断する工程をさらに含む、上記項35に記載のプロセス。
(項37)
前記接触させる工程の間に、電池を分解または細断する工程をさらに含む、上記項35に記載のプロセス。
(項38)
上記項1~37のいずれか一項に記載のプロセスの工程を含むリチウムをリサイクルするプロセスであって、前記リチウムが、LiOHもしくはLiOH・H
2
Oの形態でリサイクルされ、またはLi
2
CO
3
もしくは別のリチウム塩の形態で変換される、プロセス。