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特開2024-111257輪状部の周囲に配置された構造部材を備えるインプラント
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024111257
(43)【公開日】2024-08-16
(54)【発明の名称】輪状部の周囲に配置された構造部材を備えるインプラント
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/44 20060101AFI20240808BHJP
   A61F 2/28 20060101ALI20240808BHJP
【FI】
A61F2/44
A61F2/28
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024100698
(22)【出願日】2024-06-21
(62)【分割の表示】P 2022150601の分割
【原出願日】2018-03-12
(31)【優先権主張番号】15/457,470
(32)【優先日】2017-03-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】517373240
【氏名又は名称】インスティテュート フォー マスキュロスケレタル サイエンス アンド エジュケイション,リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】弁理士法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ビショップ,ショーン,エス.
(72)【発明者】
【氏名】ライアン,クリストファー,ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】マクシェイン,3世,エドワード,ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】スタウファー,ミーガン,エイ.
(72)【発明者】
【氏名】ナイアハイ,ジョセフ,エム.
(57)【要約】
【課題】インプラントにおいて、安定性(すなわち、圧力下での経時的な最小限の変形)および骨内部成長のためのスペースの双方を提供する。
【解決手段】脊椎で使用するためのインプラントは、開口を有する輪状部222を含む本体
部102を備える。本体部102は、インプラントを上側半体と下側半体とに分ける横断面を画定する。輪状部222は、半径方向および周方向を画定する。インプラントは、輪状部に取
り付けられた骨接触部材370を含み、骨接触部材370は、輪状部から半径方向に延びている。インプラントは、取り付け領域において骨接触部材370に取り付けられた支持部材390も含み、支持部材390は、周方向に延びている。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インプラントであって、
開口を有する輪状部を含む本体部であって、インプラントを上半分と下半分に分割する横断面を定義している、前記本体部と、
径方向および周方向を定義する前記輪状部と、
前記輪状部に取り付けられた第1の外方部材であって、この第1の外方部材は前記輪状
部から外向きに延びている、前記第1の外方部材と、を備え、
前記第1の外方部材は、1つまたは複数のアーチを画定し、
前記輪状部はさらに、インプラントを通って延びる中央チャネルを画定している、インプラント。
【請求項2】
前記中央チャネルが、インプラントの上側から下側まで延びている、請求項1に記載のインプラント。
【請求項3】
前記第1の外方部材の1つ以上のアーチは、上方向に延びている、請求項1に記載のインプラント。
【請求項4】
前記本体部が、インプラントの外周を画定する周辺フレーム部分を含み、
前記第1の外方部材が、前記輪状部から前記周辺フレーム部分まで延びている、請求項1に記載のインプラント。
【請求項5】
前記第1の外方部材が、複数のアーチを定義している一般的ならせん形幾何学形状を有する、請求項1に記載のインプラント。
【請求項6】
第2の外方部材、第3の外方部材、および第4の外方部材をさらに含む、請求項5に記載のインプラント。
【請求項7】
前記第1の外方部材および前記第2の外方部材が、前記輪状部の第1の側面からインプラントの第1の端部まで延び、前記第3の外方部材および前記第4の外方部材が、前記輪状部の第2の側面からインプラントの第2の端部まで延びる、請求項6に記載のインプラント。
【請求項8】
複数の支持部をさらに含み、前記複数の支持部の各々が少なくとも1つの外方部材に取り付けられ、前記複数の支持部の各々が前記輪状部の周方向に延びている、請求項7に記載のインプラント。
【請求項9】
前記第1の外方部材、前記第2の外方部材、前記第3の外方部材、前記第4の外方部材
および前記複数の支持部が、クモの巣状に配置されている、請求項8に記載のインプラント。
【請求項10】
前記クモの巣状のパターンがインプラントの上半分に配置され、
インプラントの下半分に配置された、外方部材および支持部で形成された別のクモの巣状パターンを有する、請求項9に記載のインプラント。
【請求項11】
取り付け領域で前記第1の外方部材に取り付けられた支持部をさらに含み、前記支持部
は周方向に延びている、請求項1に記載のインプラント。
【請求項12】
前記取り付け領域において、前記支持部は、前記第1の外方部材が前記横断面に対するよりも、前記横断面に対して近くに配置されている、請求項11に記載のインプラント。
【請求項13】
インプラントであって、
インプラントを上半分と下半分に分割する横断面を画定する本体部と、
前記本体部に取り付けられ、インプラントの上半分に配置された第1の外方部材と、
前記第1の外方部材に取り付けられ、インプラントの上半分に配置されている、第1の支持部と、
前記本体部に取り付けられ、インプラントの下半分に配置された第2の外方部材と、
前記第2の外方部材に取り付けられ、インプラントの下半分に配置されている、第2の支持部と、を備え、
第1の支持部の端部は、第2の支持部の端部に取り付けられており、
前記第1の外方部材および前記第2の外方部材は、それぞれ1つまたは複数のアーチを形成し、
インプラントを貫く中央チャネルを画定する少なくとも1つの輪状部を含み、前記第1の外方部材および前記第2の外方部材が、前記少なくとも1つの輪状部に取り付けられている、インプラント。
【請求項14】
前記少なくとも1つの輪状部は、第1の輪状部と第2の輪状部とを含み、
前記第1の輪状部が前記横断面を通って延びる追加の支持部によって第2の輪状部に接合され、第1の輪状部および第2の輪状部が、インプラントを通って延びる前記中央チャネルのための開口を画定する、請求項13に記載のインプラント。
【請求項15】
前記中央チャネルが、インプラントの上側から下側まで延びている、請求項13に記載のインプラント。
【請求項16】
第1の外方部材の1つまたは複数のアーチが、上方向に延びている、請求項13に記載のインプラント。
【請求項17】
インプラントであって、
インプラントを上半分と下半分に分断する横断面を規定する本体部と、
インプラントの上半分に配置され、前記本体部の中央領域から前記本体部の周辺まで延びる複数の外方部材と、を備え、
前記複数の外方部材の各々は、前記本体部の中央領域から離れて外向きに延びており、
前記複数の外方部材の各々は、1つまたは複数のアーチを形成し、
前記本体部の中央領域に配置され、前記本体部の上側から下側まで前記インプラントを通って延びる中央チャネルを画定する少なくとも1つの輪状部を含む、インプラント。
【請求項18】
3つまたはそれ以上の外方部材を含む、請求項17に記載のインプラント。
【請求項19】
前記本体部が、インプラントの外周を画定する周辺フレーム部を含み、
前記外方部材は、前記少なくとも1つの輪状部から前記周辺フレーム部まで延びている、請求項17に記載のインプラント。
【請求項20】
複数の支持部をさらに含み、前記複数の支持部の各々が少なくとも1つの外方部材に取り付けられ、複数の支持部の各々が前記少なくとも1つの輪状部によって規定される周方向に延びている、請求項17に記載のインプラント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、一般に、患者における骨の成長を支持するインプラントに関する。
【背景技術】
【0002】
種々の異なるインプラントが体内で使用される。あるエリアを安定させ、骨内部成長を促すように体内で使用されるインプラントは、安定性(すなわち、圧力下での経時的な最小限の変形)および骨内部成長のためのスペースの双方を提供する。
【0003】
脊椎固定術または脊椎癒着術としても知られている脊椎固定は、変性円板疾患、脊椎すべり症(椎骨のすべり)、脊柱管狭窄症、脊柱側弯症、骨折、感染または腫瘍等の、種々の病的状態の治療に使用される外科的な治療方法である。脊椎固定処置の目的は、不安定さ、ひいては痛みを低減することである。
【0004】
脊椎固定に備えて、椎間板のほとんどが除去される。インプラント、すなわち脊椎固定ケージ、を椎骨間に配置して、脊椎のアライメントおよび椎間板の高さを維持してもよい。癒合(すなわち、骨橋)は、椎骨の終板間で生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2016/0324656号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2017/0042697号明細書
【発明の概要】
【0006】
1つの態様では、インプラントは、開口を有する輪状部を含む本体部を備える。本体部は、インプラントを上側半体と下側半体とに分ける横断面を画定する。輪状部は、半径方向および周方向を画定する。インプラントは、輪状部に取り付けられた骨接触部材を含み、骨接触部材は、輪状部から半径方向に延びている。インプラントは、取り付け領域において骨接触部材に取り付けられた支持部材も含み、支持部材は、周方向に延びている。
【0007】
別の態様では、インプラントは、本体部を含む。本体部は、インプラントを上側半体と下側半体とに分ける横断面を画定する。インプラントは、本体部に取り付けられてインプラントの上側半体内に配置されている第1骨接触部材を含む。インプラントは、第1骨接触部材に取り付けられた第1支持部材も含み、第1支持部材は、インプラントの上側半体内に配置されている。インプラントは、本体部に取り付けられてインプラントの下側半体内に配置されている第2骨接触部材も含む。インプラントは、第2骨接触部材に取り付けられた第2支持部材も含み、第2支持部材は、インプラントの下側半体内に配置されている。第1支持部材の端部は、第2支持部材の端部に取り付けられている。
【0008】
別の態様では、インプラントは、本体部と、本体部の中央領域から本体部の外周に延びている複数の骨接触部材とを含む。複数の骨接触部材における骨接触部材の各々は、本体部の中央領域から離れて半径方向に延びている。
【0009】
実施形態の他のシステム、方法、特徴および利点は、当業者には、以下の図面および詳細な説明を考察すれば、明らかであろう、または明らかになるであろう。このようなすべての追加のシステム、方法、特徴および利点は、本明細書および本概要に含まれること、実施形態の範囲に含まれること、ならびに以下の特許請求の範囲により保護されることが意図される。
【0010】
実施形態は、以下の図面および説明を参照するとよりよく理解することができる。図面内の構成要素は必ずしも縮尺通りではなく、むしろ実施形態の原理を説明するにあたり強調を施している。また、図面において、同様な符号は、種々の図を通して、対応する部品を表す。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】インプラントの一実施形態の模式的な等角上面図である。
図2図1のインプラントの模式的な等角下面図である。
図3】分離して示される図1のインプラントの本体部を示す模式的な等角図である。
図4図1のインプラントの模式的な側面図である。
図5】構造部材の拡大切り欠き図を含む、図1のインプラントの模式的な等角図である。
図6図1のインプラントの本体部内に配置された複数の支持部材の模式的な等角図である。
図7図1のインプラントの模式的な側面図である。
図8】明確にするために本体部が除去された、図1のインプラントの模式的な側面図である。
図9】いくつかの構造部材の部材湾曲部が示される、図1のインプラントの模式的な等角図である。
図10】インプラントの一実施形態を示す模式的な上面図である。
図11】埋め込みツールに取り付けられ、インプラントが骨成長促進材料で被覆される場合のインプラントを示す模式図である。
図12】2つの椎骨間に挿入するために配置されたインプラントの模式的な等角図である。
図13】2つの椎骨間に挿入された図12のインプラントの模式的な等角図である。
図14】中央空洞の部分切り欠き図を含む、図13のインプラントの模式的な側面図である。
図15】新たな骨の成長のエリアを示す、図13のインプラントの模式的な側面図である。
図16】新たな骨の成長のエリアを示す、図13のインプラントの模式的な側面図である。
図17】インプラントの上方側部の拡大図を含む、図13のインプラントの模式的な等角図である。
図18】インプラントの上方側部における新たな骨の成長のエリアを示す、図13のインプラントの模式的な等角図である。
図19】インプラントの上方側部における新たな骨の成長のエリアを示す、図13のインプラントの模式的な等角図である。
図20図13のインプラントを被覆する新たな骨の成長の模式的な等角図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書に記載の実施形態は、脊椎で使用するためのインプラントに向けられている。実施形態は、本体部と、1つ以上の構造部材とを有するインプラントを含む。以下に説明するさまざまな手段に加えて、実施形態のうちの任意のものは、その全体が参照により本明細書に援用される、Morrisらの「Coiled Implants and Systems and Methods of Use Thereof(コイル状インプラントならびにそのシステムおよび方法)」と題された、2016年11月10日公開
の特許文献1に開示された本体部/支持構造、フレーム、プレート、コイルまたは他の構造のうちの任意のものを利用してもよい。便宜上、特許文献1の出願は、本願全体を通して「コイル状インプラント出願」として参照される。また、実施形態のうちの任意のものは、その全体が参照により本明細書に援用される、McShane IIIらの「Implant with Arched Bone Contacting Elements(弓状骨接触要素を備えるインプラント)」と題された、2017年2月16日公開の特許文献2に開示された本体部/支持構造、要素、フレーム、プレートまたは他の構造のうちの任意のものを利用してもよい。また、実施形態のうちの任意のものは、その全体が参照により本明細書に援用されて「被保護癒合ゾーン出願」として参照される、McShane IIIらの「Implant with Protected Fusion Zones(被保護癒合ゾーンを備えるインプラント)」と題された、2016年10月25日に出願された米国特許出願第15/334022号(2018年4月26日公開の米国特許出願公開第2018/0110626号)に開示された本体部/支持構造、要素、フレーム、プレートまたは他の構造のうちの任意のものを利用してもよい。
【0013】
図1および図2は、代替的にデバイスと称されてもよいインプラント100の実施形態の等角図を示す。具体的には、図1は、インプラント100の上面または上側側部の等角図であり、図2は、インプラント100の下面または下側側部の等角図である。インプラント100はまた、ケージまたは固定デバイスと称されてもよい。いくつかの実施形態では、インプラント100は、人体の一部内に埋め込まれるように構成されている。いくつかの実施形態では、インプラント100は、脊椎への埋め込みのために構成されていてもよい。いくつかの実施形態において、インプラント100は、椎骨間に支持を提供するために、および/または、椎骨間の癒合を容易にするために隣接する椎骨の間に挿入される、脊椎固定インプラントまたは脊椎固定デバイスであってもよい。
【0014】
いくつかの実施形態では、インプラント100は、本体部102を含んでもよい。本体部102は、大略的にインプラント100のためのフレームまたは骨格を提供する。いくつかの実施形態では、インプラント100は、複数の構造部材104も含んでもよい。複数の構造部材104は、本体部102に固定的に取り付けられても、および/または本体部102に連続的に形成(または「一体的に形成」)されてもよい。
本明細書において用いられる場合、「固定的に取り付けられた」という用語は、(たとえば、一方または両方の構成要素を破壊することなく)容易に分離されないであろう方法で構成要素どうしが接合された、2つの構成要素を指すものとする。
【0015】
本明細書において用いられる場合、各構造部材は、インプラントの部分にまたがる特徴的部材または要素を含む。構造部材は、格子内の要素または他の3Dメッシュ構造と同様に、重なっていてもまたは交差していてもよい。いくつかの実施形態では、部材の長さがその幅およびその厚さよりも大きい構造部材を使用してもよい。構造部材が略円形の断面形状を有する実施形態では、構造部材は、その直径よりも大きい長さを有する。
【0016】
図1図2に見られる実施形態では、各構造部材は、略丸いまたは円形の断面形状を有する(すなわち、部材が中実管の幾何学形状を有する)ことがわかる。しかし、他の実施形態では、構造部材は、さまざまな多角形の断面形状ならびに任意の他の規則的なおよび/または不規則な断面形状を含むがこれらに限定されるものではなく、任意の他の断面形状を有することができるであろう。いくつかの場合において、たとえば、構造部材の断面サイズおよび/または形状は、その長さに沿って変化することができる(たとえば、直径は、その長さに沿って変化することができる)。
【0017】
明確にするために、詳細な説明および特許請求の範囲において方向を示す種々の形容詞に言及する。本明細書において用いられる場合、「前方」という用語は、インプラントを
体内に置いたときに人体の前面の方に向けられることが意図される、インプラントの側部または部分を指す。同様に、「後方」という用語は、埋め込み後に人体の背面の方に向けられることが意図される、インプラントの側部または部分を指す。また、「上側」という用語は、体の上部(例、頭)の方に向けられることが意図されるインプラントの側部または部分を指すのに対し、「下側」は、体の底部の方に向けられることが意図されるインプラントの側部または部分を指す。本明細書において、インプラントの「外側」側部または部分にも言及するが、これは、(患者の左右の側部に対応する)体の外側方向に面する側部または部分である。
【0018】
図1図2では、インプラント100は、前方側部110および後方側部112で構成されていると理解される。インプラント100は、インプラント100の両側において後方側部112と前方側部110との間に延びている、第1外側側部114および第2外側側部116も含んでもよい。さらに、インプラント100は、上側側部130および下側側部140も含んでもよい。
【0019】
また、方向または軸の言及は、体に対してそれが意図される向きではなく、インプラント自体に対するものを指す。たとえば、「遠位」という用語は、インプラントの中心から遠くの方に位置付けられる部分を指すのに対し、「近位」という用語は、インプラントの中心の近くの方に位置付けられる部分を指す。本明細書において用いられる場合、「インプラントの中心」とは、質量の中心、および/または中心面、および/または中心に位置付けられる別の基準面、とすることができるであろう。
【0020】
インプラントはまた、さまざまな軸に関連付けられていてもよい。図1を参照すると、インプラント100は、第1外側側部114と第2外側側部116との間にインプラント100の最長寸法に沿って延びている長手方向軸120に関連付けられていてもよい。さらに、インプラント100は、後方側部112と前方側部110との間にインプラント100の幅方向寸法に沿って延びている前後軸122(「幅方向軸」とも称される)に関連付けられていてもよい。また、インプラント100は、インプラント100の厚さ寸法に沿って延び、長手方向軸120および前後軸122の両方に対して略垂直である垂直軸124に関連付けられていてもよい。
【0021】
インプラントは、種々の基準面または基準表面にも関連付けられていてもよい。本明細書において用いられる場合、「正中面」という用語は、インプラントを右側半体および左側半体に分ける、または2つの外側半体に分ける、インプラントの前方側部から後方側部に通る垂直面を指す。本明細書において用いられる場合、「横断面」という用語は、インプラントを上側半体および下側半体に分ける、インプラントの中心に位置付けられる水平面を指す。本明細書において用いられる場合、「冠状面」(coronal plane)という用語は、インプラントを前方半体および後方半体に分ける、インプラントの中心に位置付けられる垂直面を指す。いくつかの実施形態では、インプラントは、正中面および横断面等の2つの平面を中心に対称である。
【0022】
図3は、説明を明確化するために複数の構造部材104を除去した、分離した本体部102の模式的な等角図である。いくつかの実施形態では、本体部は、異なる方向に向けられた個別のフレーム部を含むことができるであろう。図3に示す実施形態では、本体部102は、単に「外周部200」とも称される、外周フレーム部200を含む。いくつかの実施形態では、外周部200は、長手方向軸120と整列する最長寸法、および、インプラント100の前後軸122と整列する幅方向寸法(たとえば、第2の最長寸法)を有している(図1および図2参照)。外周フレーム部200は、主に横断面内にある第1外側フレーム部202、第2外側フレーム部204および後方フレーム部206を含む。
【0023】
いくつかの実施形態では、(外側側部および/または前方/後方側部を含む)インプラントの1つ以上の側は、垂直向き外周フレーム部を含むことができるであろう。
【0024】
図3の実施形態では、本体部102は、インプラント100の「前方壁」とも称されてもよい前方側部110に配置された、垂直向き外周フレーム部208を含むことがわかる。対照的に、後方側部112は、図3および図4の実施形態では、外周部200の厚さを越えて垂直に延びている任意のフレーム部または壁がない。垂直向き外周フレーム部208の存在は、脊椎の前方側部に沿って印加された垂直荷重に対する支持および強度を向上させるであろう。
【0025】
本実施形態は、垂直に向けられたフレームまたは壁をインプラント100の前方側部において使用するが、他の実施形態では、垂直に向けられたフレームまたは壁をインプラント100の後方側部および/またはインプラント100の外側側部に配置することができるであろう。さらに他の実施形態では、インプラントには、その外周に沿う(すなわち、後方側部、前方側部または外側側部に沿う)任意の垂直壁がなくてもよい。
【0026】
実施形態は、1つ以上の輪状部を含んでもよい。いくつかの実施形態では、インプラントは、輪状部アセンブリにおいて接続された2つ以上の輪状部を含むことができるであろう。図3でわかるように、本体部102は、輪状部アセンブリ220を含む。輪状部アセンブリ220はさらに、上方輪状部222および下方輪状部224で構成される。さらに、輪状部アセンブリ220は、インプラント100の内部領域を通って延びて(そして横断面と交差して)上方輪状部222および下方輪状部224に接合する第1支持体226および第2支持体228を含む。
【0027】
図3でわかるように、輪状部アセンブリ220は、開口230を含む中空円筒を形成するように配置されてもよい。この幾何学形状は、対向する椎骨からの骨の成長がインプラントの中央を通って延びてそこで癒合することができる管状スペース(中央空洞231)を提供し、それにより、骨の成長の強力な円柱が形成される。また、開口230の存在により、新たな骨の成長が円柱から延びて、インプラント100の内部の隣接した領域で発生する骨の成長と癒合することが可能となるであろう。任意選択的に、他の実施形態では、輪状部アセンブリは、開口を有しない連続的な円筒壁を備えてもよい。
【0028】
異なる実施形態では、輪状部アセンブリの位置を変えることができるであろう。輪状部アセンブリの可能な位置を特徴付ける目的のために、インプラントは、第1外側側部領域と、第2外側側部領域と、第1外側側部領域と第2外側側部領域との間に配置された中央領域と、に分けられてもよい。
【0029】
図3の実施形態では、インプラント100は、第1外側側部領域240、中央領域242および第2外側側部領域244を含む。したがって、実施形態において、輪状部アセンブリ220は、中央領域242に配置され、対向する外側端部からほぼ等しく離間する。もちろん、他の実施形態では、輪状部アセンブリ220は、第1外側側部領域240または第2外側側部領域244に配置することができるであろう。
【0030】
他の実施形態では、輪状部アセンブリを、前後方向に対して中央に配置することができるであろうことが理解されるであろう。しかし、本実施形態では、輪状部アセンブリ220は、インプラント100の後方縁部と前方縁部の間との距離一杯まで延びている。
【0031】
異なる実施形態では、輪状部の形状を変えることができるであろう。実施形態では、上方輪状部222および下方輪状部224はそれぞれ、楕円形状を有する。しかし、他の実施形態では、輪状部は、丸みを帯びた形状、円形状、三角形状、四角形状、多角形状、規
則的な形状、不規則な形状等を含むがこれらに限定されない、任意の他の形状を有することができるであろう。
【0032】
上方輪状部および下方輪状部を含む輪状部アセンブリを、さまざまな方法でインプラントの他の部分に取り付けることができるであろう。いくつかの実施形態では、輪状部アセンブリは、本体部の外周フレーム部に直接取り付けられてもよい。他の実施形態では、輪状部アセンブリを、1つ以上の構造部材を介して本体部に取り付けることができるであろう。実施形態では、輪状部アセンブリ220は、外周フレーム部206と垂直向き外周フレーム部208との両方に直接取り付けられつつ、また複数の構造部材にも取り付けられている(図1図2参照)。
【0033】
図4は、インプラント100の一実施形態の側面図である。いくつかの実施形態では、垂直向き外周フレーム部208は、開口を含むことができるであろう。他の実施形態では、垂直向き外周フレーム部208は、開口を含まなくてもよい。いくつかの実施形態では、フレーム部の開口は、インプラントの内部に骨移植材料またはBGPMを挿入するためのアクセスポイントを提供することができるであろう。垂直向き外周フレーム部208の開口の数、サイズおよび/または形状を、さまざまなものとすることができるであろう。いくつかの場合には、3つ以上の開口を使用することができるであろう。他の場合には、2つの開口を使用することができるであろう。さらに他の場合には、単一の開口を使用することができるであろう。使用することができる開口についての例示的な形状は、丸い開口、長方形開口、多角形開口、規則的な開口および/または不規則な開口を含むが、これらに限定されない。
【0034】
図3および図4の実施形態では、垂直向き外周フレーム部208は、インプラントの内部に骨移植材料(またはBGMP)の挿入を容易にするであろう2つの大きな楕円形の窓を含む。具体的には、垂直向き外周フレーム部208は、第1窓210および第2窓212を含む。
【0035】
いくつかの実施形態は、インプラントの挿入および/または固定を含む、埋め込みを容易にする手段を含むことができる。いくつかの実施形態は、留め具受け部を含むことができる。たとえば、図1図2でもっともよくわかるように、インプラント100は、留め具受け部160を含む。留め具受け部160は、ねじ切り開口162と、ねじ切り開口162を支持する補強カラー164とを含む。いくつかの実施形態では、インプラント100の埋め込みを容易にするために、ねじ切り開口162は、対応するねじ切り先端を有するツールを受容するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、ねじ切り開口162は、骨または別の固定デバイスにインプラント100を取り付けるのに役立つようスクリューとともに使用されてもよい。他の実施形態では、留め具および/または埋め込みツールを受容するための任意の他の特徴を、インプラント100内に組み込むことができるであろう。
【0036】
いくつかの実施形態では、インプラントは、1つ以上の対称性を伴って構成されることができる。いくつかの場合では、インプラントは、1つ以上の基準面について鏡面対称性を有してもよい。
【0037】
図1および図2を参照すると、100は、鏡面対称性の少なくとも1つの軸を含んでもよい。参照の目的のために、インプラント100を、上側半体と下側半体とに分けてもよい。ここで、インプラント100の「上側半体」は、横断面の上に配置された、本体部102の部分と複数の構造部材104とを含む。同様に、インプラント100の「下側半体」は、横断面の下に配置された、本体部102の部分と複数の構造部材104とを含む。
【0038】
(第1外側フレーム部202と、第2外側フレーム部204と後方フレーム部206とによって画定される平面と略一致する)横断面に関して、少なくともおおよそインプラント100の上側半体がインプラント100の下側半体と鏡像関係であることがわかるであろう。これは、本体部の幾何学形状だけでなく、各構造部材の形状、サイズおよび向きも含んでもよい。
【0039】
また、(インプラント100を2つの横半体におおよそ分ける)正中面に関して、2つの横半体が互いにおおよそ鏡像関係であることがわかるであろう。これは、本体部の幾何学形状だけでなく、各構造部材の形状、サイズおよび向きも含む。
【0040】
インプラントは、2種以上の構造部材(または構造要素)を含んでもよい。いくつかの実施形態では、インプラントは、1つ以上の骨接触構造部材、または単に「骨接触部材」を含むことができる。骨接触部材は、インプラントの上側側部および下側側部に沿うことを含んで、インプラントの外面に大略的に完全に露出されてもよい。このように、骨接触部材は、「外方部材」と代替的に称されてもよい。
【0041】
いくつかの実施形態では、インプラントは、1つ以上の骨接触部材に支持を提供する1つ以上の構造部材を含むことができる。そのような支持構造部材は、「支持部材」と称されてもよい。いくつかの実施形態では、各支持部材の少なくともいくつかの部分は、隠されていてもよいし、骨接触部材またはインプラントの別の要素によって被覆されていてもよい。したがって、支持部材はまた、それらが大略的に骨接触部材の内側に配置されているため、「内部部材」として特徴付けられてもよい。
【0042】
図5は、インプラント100の模式的な等角図である。図5でわかるように、インプラント100は、複数の骨接触部材180および複数の支持部材182を含んでもよい。図1図2にもっともよく示されるように、複数の構造部材104は、インプラント100の4つの異なる象限に配置され、第1象限は、上方側部130および第1外側側部領域240に関連付けられ、第2象限は、上方側部130および第2外側側部領域244に関連付けられ、第3象限は、下方側部140および第1外側側部領域240に関連付けられ、第4象限は、下方側部140および第2外側側部領域244に関連付けられる。
【0043】
以下の説明は、インプラント100の象限のすべてではないがいくつかにおける、例示的な構造部材を論じる。しかし、ここで論じられる特定の構造部材の同様の特性および原理は、残りの象限のうちの任意のものにおける構造部材に適用されてもよいことが理解されるであろう。
【0044】
いくつかの実施形態では、1つ以上の構造部材を、端部を有しない閉じられたループとすることができるであろう。他の実施形態では、少なくともいくつかの構造部材は、2つの端部を含む。いくつかの場合では、2つの端部を有する構造部材は、別の構造部材に取り付けられた1つ以上の端部を含むことができるであろう。他の場合では、2つの端部を有する構造部材を、両端がインプラントの本体部の部分に取り付けられるように配置することができるであろう。図5に示す実施形態において、各構造部材は、2つの端部を含み、各端部は、本体部102のいくつかの部分に取り付けられているか、または、インプラント100の別の構造部材に取り付けられている。
【0045】
いくつかの実施形態では、インプラントは、フレーム部に取り付けられた1つの端部と中央輪状部に取り付けられた別の端部とを有する少なくとも1つの骨接触部材を含んでもよい。たとえば、図5でわかるように、骨接触部材300は、上方輪状部222に取り付けられた第1端部302および第1外側フレーム202に取り付けられた第2端部304を含む。
【0046】
異なる実施形態において、支持部材を、インプラントの異なる部分に取り付けることができるであろう。いくつかの実施形態では、支持部材の1つ以上の端部を、本体部の外周フレーム部に取り付けることができるであろう。他の実施形態では、1つ以上の端部を、別の支持部材に取り付けることができるであろう。さらに他の実施形態では、支持部材の1つ以上の部分を、骨接触部材に取り付けることができるであろう。1つの実施形態では、各支持部材は、本体部の外周フレーム部、少なくとも1つの骨接触部材、および、少なくとも1つの他の支持部材に取り付けられてもよい。
【0047】
図5の実施形態では、各支持部材は、外周フレーム部に取り付けられた1つの端部を含む。たとえば、支持部材340は、後方フレーム部206に取り付けられた第1端部342を含む。同様に、複数の支持部材182の残りの支持部材はそれぞれ、外周フレーム部206または垂直向き外周フレーム部208のいずれかに取り付けられた端部を有する。
【0048】
実施形態は、必要なバーまたは他の支持体の数を最小限にする手段を含んでもよい。いくつかの実施形態は、(図5に示す)外周フレーム部200と輪状部アセンブリ220との間に延びている任意の内部支持体の必要性を排除する手段を含んでもよく、それにより、新たな骨成長を受容するのに利用可能な内部容量が増加する。いくつかの実施形態では、インプラントの対向する上方側部および下方側部からの支持部材は、互いに直接取り付けられてもよく、それにより、支持部材を受容するための、長手方向に走る追加構造の必要性を排除する。
【0049】
図6は、明確化のために本体部102を破線で示した、複数の支持部材182の模式的な等角図である。図7は、インプラント100の模式的な側面端面図を示し、図8は、例示目的のために本体部102を除去した同様の図を示す。
【0050】
図6図8でわかるように、各支持部材は、横断面に隣接する領域における3つの他の支持部材に接合される端部を含む。例として、第1上方支持部材402、第2上方支持部材404、第1下方支持部材406および第2下方支持部材408はすべて、インプラント100の横断面にほぼ位置する取り付け領域410で接合される。具体的には、図8でもっともよくわかるように、第1上方支持部材402の端部403、第2上方支持部材404の端部405、第1下方支持部材406の端部407および第2下方支持部材408の端部409はすべて、ともに接合される。この配置を使用すると、支持部材は、インプラントの中央における支持部材についての取り付けポイントとして機能するであろう追加の支持要素(たとえば、長手方向に走る梁、バーまたはプレート)を必要とせずに、インプラント100の前後方向および垂直方向の両方における補強および支持を提供する。
【0051】
いくつかの実施形態において、骨接触部材は、支持部材の遠位に配置されてもよく、骨接触部材は、インプラントの上方側部および下方側部に沿ってさらに外方に大略的に配置されている。したがって、骨接触部材は大略的に、脊椎への埋め込み後に椎骨終板の近くに配置されてもよい。また、骨接触部材が支持部材に取り付けられる領域において、骨接触部材の取り付け部は、内側部材の取り付け部の遠位に配置されてもよい。1つの例として、図5は、骨接触部材370と支持部材390との間の取り付け領域189の拡大断面図を含む、インプラント100の模式的な等角図を示す。ここで、骨接触部材370は、支持部材390の上に、かつ被さって延びていることがわかる。また、骨接触部材370は、支持部材390の遠位に位置することがわかる。ここで、遠位とは、インプラント100の横断面から遠くに配置されていることを意味することが意図される。
【0052】
実施形態は、インプラントの骨接触部材に沿った、また、インプラントに隣接した、骨成長を保護するための手段を含むことができる。いくつかの実施形態では、骨接触部材は
、選択された領域または「被保護癒合ゾーン」における新たな骨成長の保護を助ける幾何学形状で構成することができる。いくつかの実施形態では、骨接触部材は、骨成長を促進するために一連のそうした被保護癒合ゾーンを提供する、渦巻き形、らせん形または捻れた幾何学形状を有することができる。
【0053】
いくつかの骨接触部材は、一般的ならせん形幾何学形状を有してもよい。本明細書で用いられる場合、「一般的ならせん形幾何学形状」または「渦巻き幾何学形状」とは、ある部品(部分、部材、等)が固定経路の周りに巻かれるか、その周りで向きを変えるか、捻れるか、回転するか、またはその他の形で湾曲されている幾何学形状をいう。ある場合には、固定経路は、直線とすることができるであろう。他の場合には、固定経路は、湾曲することができる。本実施形態では、たとえば、固定経路は、大略的に直線セグメントと湾曲セグメントとの組み合わせである。
【0054】
一般的ならせん形幾何学形状を有する湾曲部(一般的ならせん形湾曲部とも称される)は、固定経路を中心とした「コイル」、「巻き」または「巻回」によって特徴付けてもよい。一般的ならせん形湾曲部の特定の幾何学形状を特徴付けてもよい例示的なパラメータは、コイルの直径(長径および短径の両方を含む)およびピッチ(すなわち、隣接するコイル間の間隔)を含むことができる。ある場合には、コイルまたはループの「振幅」も、コイルまたはループの直径または幅方向の寸法を記述するために使用してもよい。これらのパラメータのそれぞれは、定数とすること、または一般的ならせん形湾曲部の長さにわたって変えることができるであろう。
【0055】
一般的ならせん形湾曲部は、円形である必要も、または丸みを帯びている必要さえもない。いくつかの実施形態では、たとえば、一般的ならせん形湾曲部は、各「コイル」または「巻き」が、円弧または他の湾曲セグメントではなく直線セグメントから構成されるように、直線状に分割された形状(または局所的に多角形形状)を有することができるであろう。一般的ならせん形湾曲部は、湾曲セグメントと直線セグメントとの組み合わせも含んでもよい。一般的ならせん形湾曲部の例は、被保護癒合ゾーン出願に示され、記載されている。
【0056】
1以上の構造部材の幾何学形状を特徴付けるために、各構造部材は、「中央部材湾曲部」を有すると理解することができる。各構造部材の中央部材湾曲部は、湾曲部に沿った各点が構造部材内の中央に位置付けられるように、構造部材の長さに沿って延びている湾曲部として定義されてもよい。
【0057】
構造部材が、構造部材自体の断面径よりもはるかに大きい振幅または直径、固定経路の周りに巻かれるかまたはその周りで輪にされている実施形態では、見て分かるはっきりしたコイルとなるように構造部材を巻いてもよい。このようなコイルは、コイル状インプラント出願で完全に詳細に述べられている。しかし、他の実施形態では、構造部材は、構造部材自体の断面径よりも小さい振幅または直径で、固定経路の周りに巻くことができるであろう。このような場合、得られる構造部材の幾何学形状は捻れたように見えるかもしれないが、幾何学形状には、コイル状インプラント出願に見られるはっきりしたコイルはないかもしれない。しかし、このような構造部材の最外層がはっきりしたコイルを呈さない可能性がある一方で、構造部材の中央部材湾曲部はそのようなコイルまたは巻きを有し、また、明確な一般的ならせん形幾何学形状を有することは認識されよう。
【0058】
図9は、明確にするために構造部材が除去されたインプラント100を示す模式的な等角図である。構造部材の幾何学形状を示すために、いくつかの構造部材の中央部材湾曲部が示される。具体的には、骨接触部材300の幾何学形状に対応する中央部材湾曲部520が示される。さらに、骨接触部材300に支持を提供する支持部材の幾何学形状に対応
する中央部材湾曲部504と中央部材湾曲部506とが示される。
【0059】
前述したように、骨接触部材300(図5)は、渦巻き形またはらせん形を示す捻れた幾何学形状を呈する。しかし、骨接触部材300の厚みよりもはるかに小さい振幅で巻回が生じているため、この部分の幾何学形状は判別しにくい可能性がある。骨接触部材300の一般的ならせん形幾何学形状は、その中央部材湾曲部520の幾何学形状(図9ではっきりとわかる)が固定経路540(同じく図9に示す)の周りに巻かれていると考えられるときに、はるかに明確になる。
【0060】
異なる実施形態では、らせん形構造部材の巻径を変えることができるであろう。実施形態では、中央部材湾曲部520におけるコイルまたは巻きの巻径552は、骨接触部材300の直径よりも小さい。他の実施形態では、骨接触部材の断面径は、その中央部材湾曲部のコイルまたは巻きの対応する巻径よりも小さくすることができるであろう。このような実施形態では、骨接触部材は、一連のはっきりしたコイル状に構成されるであろう。
【0061】
骨接触部材457は、その全長にわたり一般的ならせん形の幾何学形状を有していなくてもよ。代わりに、その中央部材湾曲部は、中央部材湾曲部が固定経路の周りを数回ぐるりと巻ききる(図9では3回)巻回セグメントを備えて構成されていてもよい。巻回セグメントの他には、その中央部材湾曲部は、巻き、捻れ等は含まなくてもよい。
【0062】
本実施形態は、固定経路の周りを1回または複数回ぐるりと巻く巻回セグメントを備える少なくとも1つの骨接触部材を含むが、他の実施形態は、固定経路の周りで部分的にしか輪をなさない中央部材湾曲部を備えて構成することができるであろう。
【0063】
ここでの説明は、単一の骨接触部材300の幾何学形状を中心に行ってきたが、複数の構造部材104の残りの骨接触部材の一部または全部が同様な一般的ならせん形幾何学形状を有することができることは認識されよう。さらに、2つの異なる骨接触部材が、巻き数、巻回の形状等の変型を含むはっきりした骨接触部材湾曲部を有する、わずかに異なる幾何学形状を有することができることが認識されよう。
【0064】
いくつかの実施形態では、インプラントは、インプラントの長さ、幅または高さと比べて小さい距離に局所的にらせん形である骨接触部材を含むことができる。たとえば、インプラント100は、全体的にらせん形なのではなく、局所的にらせん形または局所的に渦巻きである骨接触部材を有することを特徴としてもよい。特に、インプラント100の各骨接触部材は、インプラント100の単一の象限内に限られ、インプラント100の横断面または正中面と交差しない。このように、骨接触部材がぐるりとひと巻きすることは、インプラントの長さ、幅または高さの半分よりもはるかに小さい距離で達成される。これにより、インプラントの各象限内に複数の巻回が可能になり、巻回間のピッチも、インプラントの長さ、幅または高さよりも小さくなる。
【0065】
たとえば、図9では、中央部材湾曲部520は、骨接触部材300の長さの3/1よりも小さい、隣接する巻回または巻き間のピッチ529を有する。また、ピッチ529は、インプラント100の長さの10/1よりも小さい。この比較的小さなピッチサイズは、各骨接触部材に沿って近位表面領域の数を増やすことを可能にし、それにより、インプラント100の下側表面および上側表面で利用できる被保護癒合ゾーンの数が増える。
【0066】
いくつかの実施形態では、骨接触部材のらせん状幾何学形状は、インプラントの上側側部および下側側部に露出されるはっきりした領域を提供する。たとえば、図5を参照すると、各骨接触部材は1つ以上の遠位領域360を含み、これが、インプラント100の上側側部130に沿った骨接触部材の「頂点」に見えてもよい。少なくともいくつかの実施
形態では、これらの遠位領域360は、上側側部130(および下側側部140)上の平らなまたは滑らかな最遠位表面を提供し、それによって隣接する椎骨と接触しやすくするように、平坦化または「平滑化」してもよい。他の実施形態では、遠位表面領域は、湾曲していてもよい。ある場合には、遠位表面領域は、骨接触部材の隣接する表面領域の曲率と一致する曲率を有することができるであろう。他の場合には、遠位表面領域は、骨接触部材の隣接する表面領域とは異なる曲率(たとえば、さらに凸)を有することができるであろう。
【0067】
骨接触部材は、インプラント100の上側側部130に沿って、骨接触部材の「谷」として構成されている近位領域362も含んでもよい。遠位領域360がインプラント100の埋め込み中およびその後に椎骨と接触することになってもよいのに対し、近位領域362は、少なくとも新たな骨成長が生じるまでは、椎骨と直接接触することなく、凹んでいてもまたは離間していてもよい。
【0068】
特定の実施例として、図5は、骨接触部材370および下に横たわる支持部材390の一部の拡大断面図を含む。具体的には、骨接触部材370の外向き表面部372は見えている。本明細書で用いられる場合、骨接触部材の「外向き表面部」とは、骨接触部材の表面のうち、埋め込み中に椎骨の方を向く部分、またはインプラントの内部から遠ざかる方を向く部分である。外向き表面部372は、第1遠位表面領域380、近位表面領域382および第2遠位表面領域384を含む。以下でさらに詳細に述べるように、この局所的な幾何学形状は、各近位表面領域に隣接する一連の被保護癒合ゾーンを提供し、ここで、早期の骨癒合中に新たな骨成長を保護することができる。
【0069】
骨接触部材が一般的ならせん形幾何学形状を有してもよいのに対し、支持部材の幾何学形状は、強度および支持を高めるように選択してもよい。いくつかの実施形態では、支持部材は、略管状(中実)形状を有することができるであろうし、また、本体部のある部分から別の部分まで単純な曲線で延びていてもよい。ある場合には、支持部材の中央部材湾曲部は、局部的な捻れ、巻回またはコイルなく、滑らかに湾曲していてもよい。
【0070】
このように、いくつかの実施形態では、支持部材は、大略的に短くしてもよく、その幾何学形状は、より弓状になるようにして、骨接触部材について、強度を高めるとともに支持を増大してもよい。対して、骨接触部材は、椎骨との接触を提供するためにはインプラントの上側/下側側部にできるだけ広く延びている必要があるため、骨接触部材は、大略的により長い長さを有してもよく、支持部材に対して湾曲を抑えた弓状の形状にしてもよい。
【0071】
いくつかの実施形態は、一般的ならせん形幾何学形状を有する骨接触部材と、弓状の幾何学形状を有する支持部材とを含むが、他の実施形態では、任意の構造部材は、任意のタイプの幾何学形状で構成することができるであろう。たとえば、別の実施形態では、1つ以上の支持部材は、支持部材に沿って被保護癒合ゾーンを作成する一般的ならせん形幾何学形状を有することができるであろう。さらに別の実施形態では、1つ以上の骨接触部材は、弓状の幾何学形状を有することができるであろう。
【0072】
異なる実施形態では、支持部材と骨接触部材との間の取り付けは、種々の場所で行うことができるであろう。いくつかの実施形態では、支持部材は、骨接触部材の外面に沿って、遠位表面領域付近に取り付けることができるであろう。他の実施形態では、支持部材は、骨接触部材の外面に沿って、近位表面領域付近に取り付けることができるであろう。
【0073】
いくつかの実施形態では、各支持部材は、骨接触部材の近位表面領域に隣接する(または、その下になる)場所で対応する骨接触部材に取り付けるように構成される。たとえば
図5に示すように、支持部材390の取り付け領域189は、骨接触部材300の近位表面領域382に対応する場所で骨接触部材300に取り付けられている。同様に、インプラント100の他のどの支持部材も、近位表面領域に対応する場所でのみ1つ以上の骨接触部材に取り付けられている。
【0074】
この構成は、近位領域のすぐ隣のスペースに広がる被保護癒合ゾーンを提供する。被保護癒合ゾーンは、インプラントの上側/下側表面に沿った場所であり、ここでは、隣接する支持部材から、または椎骨から骨接触部材に直接かかる力から新たな骨成長を部分的に保護することができる。
【0075】
1つ以上の骨接触部材を少なくとも1つのらせん形部分を備えて構成することにより、骨接触部材は、インプラントの上側側部および下側側部に1つ以上の被保護癒合ゾーンを提供してもよい。これらの被保護癒合ゾーンは、骨接触部材の近位領域のすぐ隣のスペースに広がる。近位領域によって提供される凹んだスペースは、遠位領域で生じる可能性がある初期癒合に隣接して、新たな骨成長のためポケットを許容する。また、支持部材は、近位表面領域付近に取り付けられており、遠位表面領域には取り付けられていないため、支持部材または椎骨のいずれかによって骨接触部材にかかる力は、被保護癒合ゾーンから遠ざかる方に向けることができ、それによって、新たな骨成長の乱れ(disturbance)を最小化する。
【0076】
図10は、実施形態による、インプラント600を上から見た模式図である。図10を参照すると、インプラント600は、外周フレーム部602、外周フレーム部604、外周フレーム部606および外周フレーム部608を含む本体部601を含む。また、本体部601は、中央開口650を画定する輪状部609を含む。
【0077】
参照目的のために、中央開口650(および輪状部609)は、半径方向599および周方向598を画定する。ここで、半径方向599は、中央開口650の中央から外向きに延び、周方向598は、半径方向599と直交する角度方向である。
【0078】
異なる実施形態では、骨接触部材および/または支持部材の向きを変えることができるであろう。いくつかの実施形態では、骨接触部材は、インプラントの中央から離れて半径方向に向けられていてもよい。いくつかの実施形態では、支持部材は、インプラントの中央周りを回転する周(または角度)方向に向けられていてもよい。しかし、他の実施形態では、骨接触部材を、周方向に向かせることができるであろうと同時に、支持部材を、半径方向に向かせることができるであろう。さらに他の実施形態では、1つ以上の構造要素を、半径方向および/または周方向ではなく、インプラントの長さおよび/または幅と直交する方向に向かせることができるであろう。
【0079】
インプラント600は、複数の骨接触部材630および複数の支持部材632も含む。図10でわかるように、第1骨接触部材611、第2骨接触部材612、第3骨接触部材613および第4骨接触部材614を含む複数の骨接触部材630はそれぞれ、半径方向599(すなわち、中央開口650および輪状部609から外方)に延びていてもよい。たとえば、第1骨接触部材611は、輪状部609から外周フレーム部602に半径方向に延びている。第2骨接触部材612も輪状部609から外周フレーム部602に半径方向に延びているが、第2骨接触要素612は、周方向598に沿って異なる角度(または周方向)位置を有する。また、第3骨接触部材613は、輪状部609から外周フレーム部604に半径方向に延びている。第4骨接触部材614も輪状部609から外周フレーム部604に半径方向に延びているが、第4骨接触要素614は、周方向598に沿って異なる角度(または周方向)位置を有する。
【0080】
図10でわかるように、複数の支持部材632は、第1支持部材621、第2支持部材622、第3支持部材623、第4支持部材624、第5支持部材625、第6支持部材626、第7支持部材627および第8支持部材628でさらに構成される。これらの支持部材のそれぞれは、おおよそ周方向598に向けられていてもよい。たとえば、第1支持部材621は、おおよそ周方向598に平行な経路640に沿って、第2支持部材622とのその取り付け部に外周フレーム部606から延びている。同様に、第2支持部材622は、おおよそ周方向598に平行な経路642に沿って、第1支持部材621とのその取り付け部から外周フレーム部608に延びている。また、第1支持部材621は、(半径方向に向いた)第1骨接触部材611にほぼ垂直であり、第2支持部材622は、(半径方向に向いた)第2骨接触部材612にほぼ垂直であることは、図10から明らかである。同様に、複数の支持部材632の残りの支持部材のそれぞれは、おおよそ周方向598に平行に向けられ、また、それが取り付けられる骨接触部材にほぼ垂直である。
【0081】
図10の実施形態は、ウェブ状またはクモの巣状パターンに配置された構造部材を有するものとして特徴付けられてもよい。また、インプラント600の一方側のみが示されるが、反対側も同様に、中央輪状部および類似のウェブ状パターンにて方向づけられた構造部材を含んでもよいことが理解されよう。
【0082】
このウェブ状パターンは、同時に複数の方向(すなわち、長手方向および横方向)における強度を向上させるのに役立つであろう、半径方向に向けられた構造部材(骨接触部材)を提供する。これは、(骨の成長のための大きな中央空洞を含む)デバイスの中央からデバイスの角部および外周に新たな骨の成長を向かわせるのにも役立つであろう。また、このウェブ状パターンにおける一部の構造部材(支持部材)の周方向の向きも、同時に複数の方向における、および、半径方向に向けられた構造部材に直交する方向における、デバイスの強度を向上させる。
【0083】
本体部との構造部材の配置はまた、所望の総開放容量を達成するように設計されてもよい。本明細書において用いられる場合、総容量は、構造部材間の任意の開口、本体部内の任意の開口、または構造部材と本体部との間の任意の開口の合計容量である。この開放構成は、インプラントにおけるまたはインプラントによる骨成長を促進する可能性がある。開口スペースの部分または実質的にすべてには、骨成長を促進するために、インプラントの挿入前または挿入後に、任意選択的に骨移植片または骨成長促進材料が充填される。
【0084】
任意の特定のインプラント内の開放スペース(単に開放スペース容量とも称される)の総容量は、インプラントの全体的寸法ならびに構造部材、フレーム部等を含むインプラント内の個々の構成要素のサイズおよび寸法に依存している。開放スペース容量は、インプラントの容量の約20%~80%の範囲であってもよい。いくつかの実施形態では、インプラント100は、インプラントの総容量の25%~80%である開放スペース容量を有してもよい。さらなる実施形態では、インプラント100は、インプラント総容量の40%~75%である開放スペース容量を有してもよい。
【0085】
図11図13は、インプラント600を埋め込むプロセスのさまざまな模式図を示す。まず、図11図13を参照すると、埋め込みプロセスは、BGPMともいわれる骨成長促進材料をインプラントに塗布することから始めてもよい。本明細書で用いられる場合、「骨成長促進材料」とは、骨の成長を助ける任意の材料である。骨成長促進材料は、リンカー分子またはバインダの使用により表面に凍結乾燥されるかまたは金属に付着される手段を含んでもよい。骨成長促進材料の例は、BMP-1、BMP-2、BMP-4、BMP-6およびBMP-7等の骨形成タンパク質(BMP)を含む、任意の材料である。これらは、幹細胞を骨形成細胞に変換するホルモンである。別の例には、rhBMP-2、rhBMP-4およびrhBMP-7等のリコンビナントヒトBMP(rhBMP)が
挙げられる。さらに別の例には、血小板由来増殖因子(PDGF)、線維芽細胞増殖因子(FGF)、コラーゲン、BMP模倣ペプチド、およびRGDペプチドが挙げられる。一般に、これらの化学物質の組み合わせも使用してもよい。これらの化学物質は、スポンジ、基質またはゲルを使用して塗布することができる。
【0086】
また、いくつかの骨成長促進材料は、プラズマスプレーまたは電気化学的手法を使用して埋め込み型プロテーゼに塗布してもよい。これらの材料の例には、限定ではないが、ヒドロキシアパタイト、βリン酸三カルシウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、および他の化学物質が挙げられる。
【0087】
骨成長促進材料は、骨移植片または骨移植片代用品を含むことができるか、またはこれらと組み合わせて使用してもよい。種々の材料が、(患者の体の腸骨稜から摘出された)自家移植片、同種移植片、脱灰骨基質、および種々の合成材料を含む骨移植片または骨移植片代用品として働いてもよい。
【0088】
いくつかの実施形態は、自家移植片を使用してもよい。自家移植片は、脊椎固定に、新たな骨が成長するためのカルシウムコラーゲン足場を提供する(骨伝導能)。さらに、自家移植片は、骨成長細胞、間葉系幹細胞および骨を再生する骨芽細胞を含む。最後に、自家移植片は、患者における新たな骨成長を促進させるために、骨形態形成タンパク質(BMP)を含む骨成長タンパク質を含む。
【0089】
骨移植片代用品は、リン酸カルシウムまたはヒドロキシアパタイト、幹細胞と他の種類の骨移植片代用品のうちの1つとを組み合わせる幹細胞含有生成物、および、Medtronic, Inc.のINFUSE(登録商標)(rhBMP-2含有骨移植片)等の成長因子含有基質を含む合成材料を含んでもよい。
【0090】
ここに挙げる手段は、考えられる骨成長促進材料、骨移植片または骨移植片代用品の網羅的なリストであることを意図しているわけではないことは理解されるべきである。
【0091】
いくつかの実施形態では、BGPMは、インプラントの1以上の外面に塗布してもよい。他の実施形態では、BGPMは、インプラント内の内部容量に塗布してもよい。さらに他の実施形態では、BGPMは、外面と、インプラント内の内側と、の両方に塗布してもよい。図11図13でわかるように、BGPM700がインプラント600の内部の中に配置されており、インプラント600の上側表面および下側表面にも塗布されている。さらに、図11に示すように、BGPM700は、インプラント600の第1窓662および第2窓664から挿入されて(かつ、通り抜けて延びて)いる。
【0092】
図12および図13は、インプラントの埋め込み前(図12)および埋め込み後(図13)の模式図を示す。インプラント600は、埋め込まれたら、隣接する椎骨間に配置されて、隣接する椎骨と直接接触してもよい。具体的には、インプラント600の上側側部702は、第1椎骨712に対して配置されている。同様に、インプラント600の下側側部704は、第2椎骨714に対して配置されている。
【0093】
異なる実施形態では、埋め込み方法を変えることができるであろう。いくつかの実施形態では、インプラント600は、脊椎にインプラント600を打ち込むために使用される埋め込みツール701(図11図12に一部見える)に取り付けてもよい。埋め込みツール701は、インプラント600を隣接する椎骨間に位置付けるために、たたき込むか、押し込むかまたは別様に打ち込むことのできる、任意のロッド、ラム、ポールまたは他のデバイスとすることができるであろう。前述したように、ある場合には、埋め込みツールは、インプラント600の留め具受け部(すなわち、ツールからねじ切り軸を受けるた
めのねじ切り開口)に取り付けることができるであろう。
【0094】
図14図20は、中央空洞671を介して(図14図16)、ならびに、インプラント600の上方側部および下方側部に沿って(図17図20)など、インプラント600全体にわたる骨の成長の模式的なシーケンスを示す。
【0095】
図14図16は、椎骨712と椎骨714との間の埋め込み直後のインプラント600の部分断面図を示す。ここで、BGPM700は、インプラント600の内部に充填されるとともに、椎骨と接触する上側表面および下側表面を被覆する。
【0096】
椎骨がBGPM700と接触する箇所において、初期の骨癒合および成長が生じるであろう。時間とともに、新たな骨の成長は、図15でわかるように、インプラント600の下側表面および上側表面に沿って、ならびに中央空洞671内に延び始める。たとえば、図15において、新たな骨成長領域720が椎骨712から中央空洞671内に延びつつ、新たな骨成長領域722が椎骨714から中央空洞671内に延びている。新たな骨成長領域726もまた、中央空洞671に隣接するインプラント600の内部スペースに延びてもよい。
【0097】
最終的に、図16でわかるように、新たな骨の成長の中実柱724が、中央空洞671全体を通って形成されてもよい。中央空洞671内のこの新たな骨成長は、インプラント600の内部および外部の他の領域に関連付けられる新たな骨成長とともに、椎骨712と椎骨714とを癒合するのに役立つ。
【0098】
図17図20は、インプラント600の上側表面675に沿う骨成長の模式的なシーケンスを示す。この新たな骨の成長は、上記のようにインプラント600の内部を通って骨が成長する前に、それと同時に、またはその後に、生じてもよい。図17図20では上方側部のみが示されるが、同様の骨成長パターンがインプラントの下方側部に同時に生じてもよいことが理解されよう。
【0099】
図17は、椎骨712と椎骨714との間に挿入されたインプラント600の等角図、および上側表面675の拡大図を示す。BGPM700は、図17の拡大図において見えていないことが理解されるであろう。このようになされているのは明確化のためであり、それにより、新たな骨の成長は、インプラント600の構造部材の表面に沿って形成されると、明確に見ることができるようになる。
【0100】
図18では、新たな骨の成長は、上側表面675の複数の位置で生じる。具体的には、上述して図14図16に示されたように、新たな骨成長領域802は、中央空洞671内で生じる。また、新たな骨成長領域804は、前述の被保護癒合ゾーンで最初に形成されるであろう。被保護癒合ゾーン出願に開示されるように、被保護癒合ゾーンで発生する新たな骨成長領域804は、骨接触部材と椎骨との間の局所的な力から保護されるであろう。これは、被保護癒合ゾーンにおける新たな骨成長領域804の乱れを最小限に抑えるのに役立つ。
【0101】
図19に示すように、最終的に、新たな骨の成長は、被保護癒合ゾーンから複数の骨接触部材630の長さ全体に延びるであろう。いくつかの実施形態において、新たな骨の成長は、複数の支持部材632の面に沿っても成長し続けるであろう。
【0102】
新たな骨の成長は、インプラント600の下側表面で同様に生じ、ならびに、外側側部、後方側部および前方側部の周りに延びていることが理解されよう。
【0103】
最後に、図20でわかるように、新たな骨成長領域802は、インプラントの外部を被覆し、内部を充填するであろう。この時点で、椎骨712と椎骨714との間に延びている、該椎骨を癒合する新たな骨癒合部810が存在するであろう。
【0104】
いくつかの他の実施形態では、インプラントの内部領域に配置された1つ以上の構造を除去することによって、骨移植材料用の容量が増やされるとともに、最終的には新たな骨成長が作成されるであろう。たとえば、別の実施形態では、上方輪状部と下方輪状部とを接続する構造(たとえば、図3に示した第1支持体226および第2支持体228)を除去することができるであろう。さらに他の修正が、その全体が参照により本明細書に援用される、「Implant with Supported Helical Members(支持らせん部材を備えるインプラント)」と題された、2017年3月13日に出願された米国特許出願第15/457485号(2018年9月13日公開の米国特許出願公開第2018/0256361号)に開示された構造および/または配置のうちの任意のものを組み込むように作成することができるであろう。
【0105】
実施形態は、インプラントの1つ以上の表面をテクスチャ加工するための手段を含むことができる。このようなテクスチャ加工は、インプラントの表面への骨成長および/または癒合を増加または別様に促進することができる。いくつかの実施形態では、骨接触部材はテクスチャ加工されてもよいが、支持部材はテクスチャ加工されなくてもよい。これは、初期の骨成長を、最初に支持部材全体に成長させるのではなく、骨接触部材に沿って、特に被保護癒合ゾーン内へ方向づけるのに役立つ。しかし、他の実施形態において、支持部材が、表面テクスチャ加工を含むことができるであろう。さらに別の実施形態では、本体部の1つ以上の表面が、表面テクスチャ加工を含むことができるであろう。
【0106】
いくつかの実施形態では、インプラントの1つ以上の領域の表面構造を、粗面化してもよいし、または、該表面構造に凹凸を設けてもよい。一般に、この粗面化構造は、インプラント表面上への、酸エッチング、ビードまたはグリットブラスト、チタンによるスパッタコーティング、チタンまたはコバルトクロムのビーズ焼結、および他の方法の使用を通じて達成されてもよい。いくつかの実施形態では、粗さは、インプラントの1つ以上の領域の表面上に隆起したパターンを3D印刷することによって作成することができる。いくつかの実施形態では、得られた粗面は、さまざまなサイズの細孔を有してもよい。いくつかの実施形態では、細孔サイズは、約0.2mm~0.8mmの範囲とすることができるであろう。1つの実施形態では、細孔サイズは、約0.5mmとすることができるであろう。他の実施形態では、0.2mm未満および/または0.8mm超の細孔サイズを含む表面粗さが可能である。
【0107】
実施形態は、被保護癒合ゾーン出願に開示されているような表面テクスチャ加工部品、特徴、プロセスまたは方法を利用することができる。
【0108】
脊椎で使用するためのインプラントは、脊椎への、典型的には2つの椎体間への挿入に適した全体寸法を有する。インプラントの形状および寸法は、インプラントが挿入される部位による。インプラント100およびインプラント600等のインプラントの例示的な高さは、5mm~30mmを含むが、これだけに限定されない。他の実施形態は、前述の範囲の、ほとんどの場合8mm~16mmの範囲の、任意の値の増分高さを有することができるであろう。さらに他の実施形態は、16mmを超える高さを有することができるであろう。さらに他の実施形態は、8mm未満の高さを有することができるであろう。また、インプラントの水平フットプリントを変えることができるであろう。インプラントの任意の実施形態の例示的なフットプリントのサイズは、前後方向で15~20mm、外側-外側方向で40~60mmを含むが、これだけに限定されない。さらに他の実施形態は、任意の他のフットプリントのサイズで構成することができるであろう。
【0109】
1以上の構造部材の寸法を変えることができるであろう。いくつかの実施形態では、構造部材は、0.2mm~3mmの範囲の断面径を有することができるであろう。多角形断面を有する構造部材の場合、多角形を特徴付ける寸法(たとえば、楕円形については第1径および第2径)を変えることができるであろう。一例として、楕円形の断面を有する構造部材は、第1径が0.2mm~3mmの範囲で、第2径が0.2mm~3mmの範囲の断面を有することができるであろう。他の実施形態では、構造部材は、任意の他の断面径を有することができるであろう。さらに、ある場合には、骨接触部材と支持部材とが同様の断面径を有することができ、他の場合には、骨接触部材および支持部材は、異なる断面径を有することができるであろう。
【0110】
実施形態は、種々の平らな/平行(0度)な、前弯の、および過前弯の角度を設けることもできる。いくつかの実施形態では、インプラントは、上側表面と下側表面との間を約8度の角度にして構成することができる。他の実施形態では、インプラントは、上側表面と下側表面との間を約15度の角度にして構成することができる。さらに他の実施形態では、インプラントは、上側表面と下側表面との間を約20度の角度にして構成することができる。さらに他の角度は、0度~30度の範囲の任意の角度を含んでいる可能性がある。さらに他の実施形態は、8度未満の前弯角を提供することができる。さらに他の実施形態は、20度を超える高度前弯角を提供することができる。少なくともいくつかの実施形態では、インプラントの前弯角は、中央竜骨部およびサイドフレーム部(後方または前方)の幾何学形状により実現される。
【0111】
インプラントの種々の構成要素は、特定の用途および/または医師による選択に応じて、金属(たとえば、チタンまたは他の金属)、セラミック、および/またはそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない、人体に埋め込むのに好適な生体適合性材料から製造されてもよい。
【0112】
一般に、インプラントは、十分な強度を有する任意の適切な生体適合性の非分解性材料から形成することができる。典型的な材料は、これらに限定されないが、チタン、生体適合性チタン合金(たとえば、γチタンアルミナイド、Ti6-Al4-V ELI(ASTM F 136およびF 3001)またはTi6-Al4-VASTM F 2989、F 1108およびASTM F 1472))、および、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などの不活性の生体適合性ポリマー(たとえばPEEK-OPTIMA(登録商標)、Invibio IncおよびZeniva Solvay Inc)を含む。任意選択的に、インプラントは、画像化中の可視化を容易にするためにX線不透過性マーカーを含む。
【0113】
異なる実施形態では、インプラントを作製するプロセスは変えることができる。いくつかの実施形態では、インプラント全体は、リアディショナル/CNCマシニング、射出成形、鋳造、インサート成形、共押出、引き抜き成型、トランスファー成形、オーバーモールド、圧縮成形、3次元(3D)プリンティング(直接金属レーザー焼結および電子ビーム溶解を含む)、浸漬被覆、スプレー被覆、粉末被覆、多孔性被覆、中実の原材料からの粉砕、およびそれらの組み合わせによって製造して組み立ててもよい。また、実施形態は、「コイル状インプラント出願」に開示された特徴、部品、アセンブリ、プロセスおよび/または方法のうちの任意のものを利用することができる。
【0114】
種々の実施形態を説明してきたが、この説明は、制限的ではなく例示的なものであり、当業者には、実施形態の範囲内にあるさらに多くの実施形態および実施態様が可能であることは明らかであろう。考えられる多くの特徴の組み合わせを添付の図面に示し、本詳細な説明で述べているが、開示された特徴の、他の多くの組み合わせが可能である。任意の
実施形態の任意の特徴は、特に制限されていない限り、任意の他の実施形態の任意の他の特徴もしくは要素と組み合わせて、またはその代わりに使用してもよい。そのため、本開示において図示および/または説明される特徴のいずれも、任意の適切な組み合わせで一緒に実施してもよいことは理解されるであろう。したがって、実施形態は、添付の特許請求の範囲およびその均等物に鑑みる以外で制限されてはならない。また、添付の特許請求の範囲内で、種々の修正および変更を行ってもよい。
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