(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024011126
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】人形及び人形セット
(51)【国際特許分類】
A63H 3/00 20060101AFI20240118BHJP
C09D 11/00 20140101ALN20240118BHJP
【FI】
A63H3/00 V
C09D11/00
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022112876
(22)【出願日】2022-07-14
(71)【出願人】
【識別番号】000135748
【氏名又は名称】株式会社バンダイ
(72)【発明者】
【氏名】肥田野 真由美
(72)【発明者】
【氏名】庫本 有基子
(72)【発明者】
【氏名】吉澤 悠
(72)【発明者】
【氏名】中村 奈津希
【テーマコード(参考)】
2C150
4J039
【Fターム(参考)】
2C150AA05
2C150BC02
2C150CA01
2C150DC17
2C150DD04
2C150FB22
4J039EA29
(57)【要約】
【課題】興趣性の高い人形を提供する。
【解決手段】人形1は、キャラクタを模したものであり、変色不能な第1部分(顔部13、足部15、及び手部16)と、変色可能な第2部分(衣装部20)と、を備え、第1部分は、キャラクタを特徴付ける特徴部(顔部13)を含んで構成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャラクタを模した人形であって、
変色不能な第1部分と、
変色可能な第2部分と、を備え、
前記第1部分は、前記キャラクタを特徴付ける特徴部を含んで構成される、
人形。
【請求項2】
請求項1に記載の人形であって、
前記特徴部は、前記キャラクタの顔を構成する顔部を含む、
人形。
【請求項3】
請求項2に記載の人形であって、
前記第2部分は、キャラクタの衣装を構成する衣装部を含む、
人形。
【請求項4】
請求項3に記載の人形であって、
前記衣装部は、レインコートを模したものである、
人形。
【請求項5】
請求項3に記載の人形であって、
前記衣装部は、前記顔部を露出させた状態で、前記キャラクタの頭を覆っている、
人形。
【請求項6】
請求項3に記載の人形であって、
前記第1部分は、前記衣装部を挟んで前記顔部と離間した位置に設けられた非顔部を含む、
人形。
【請求項7】
請求項6に記載の人形であって、
前記第1部分は、離間して設けられた複数の前記非顔部を含む、
人形。
【請求項8】
請求項6に記載の人形であって、
前記非顔部は、キャラクタの手及び足の少なくとも一方を構成する部分である、
人形。
【請求項9】
請求項8に記載の人形であって、
中空形状にて構成されており、
前記非顔部は、キャラクタの足を構成する足部を含み、
前記足部には、内部空間を外部と連通させる開口が設けられる、
人形。
【請求項10】
請求項9に記載の人形であって、
前記開口は、前記足部の裏側に複数個設けられている、
人形。
【請求項11】
請求項10に記載の人形であって、
前記足部には、前記人形を正立状態で載置面に載置した状態で、当該載置面から距離を有する離間壁が設けられ、
前記開口は、前記離間壁に設けられている、
人形。
【請求項12】
請求項11に記載の人形であって、
前記足部の前記載置面に接触する部分には、色彩塗装が施されていない、
人形。
【請求項13】
請求項1に記載の人形であって、
複数の部材の組合せにて構成されており、
少なくとも一部の前記第1部分は、前記第2部分とは別部材にて構成されている、
人形。
【請求項14】
請求項1に記載の人形であって、
前記第2部分は、温感インクによって塗装されている、
人形。
【請求項15】
キャラクタを模した人形を複数含む人形セットであって、
前記複数の人形は、それぞれ、変色不能な第1部分と、変色可能な第2部分と、を備え、
前記第1部分は、前記複数の人形毎に、形状、色彩、及び印刷画像の少なくとも1つが異なる部分である、
人形セット。
【請求項16】
キャラクタを模した人形を複数含む人形セットであって、
前記複数の人形は、それぞれ、変色不能な第1部分と、変色可能な第2部分と、を備え、
前記第2部分は、前記複数の人形毎に、少なくとも形状が同じ部分である、
人形セット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人形及び人形セットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、桃色系の顔料を含有する樹脂材料に、黄色系の色素を含有した示温材料を混合してなる人形の成形材料を用いて成形された、環境温度の変化により皮膚の色が変化する人形が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、興趣性の高い人形及び人形セットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様の人形は、
キャラクタを模した人形であって、
変色不能な第1部分と、
変色可能な第2部分と、を備え、
上記第1部分は、上記キャラクタを特徴付ける特徴部を含んで構成される、
人形。
【0006】
本発明の一態様の人形は、上記特徴部は、上記キャラクタの顔を構成する顔部を含む、
人形。
【0007】
本発明の一態様の人形は、
上記第2部分は、キャラクタの衣装を構成する衣装部を含む、
人形。
【0008】
本発明の一態様の人形は、
上記衣装部は、レインコートを模したものである、
人形。
【0009】
本発明の一態様の人形は、
上記衣装部は、上記顔部を露出させた状態で、上記キャラクタの頭を覆っている、
人形。
【0010】
本発明の一態様の人形は、
上記第1部分は、上記衣装部を挟んで上記顔部と離間した位置に設けられた非顔部を含む、
人形。
【0011】
本発明の一態様の人形は、
上記第1部分は、離間して設けられた複数の上記非顔部を含む、
人形。
【0012】
本発明の一態様の人形は、
上記非顔部は、キャラクタの手及び足の少なくとも一方を構成する部分である、
人形。
【0013】
本発明の一態様の人形は、
中空形状にて構成されており、
上記非顔部は、キャラクタの足を構成する足部を含み、
上記足部には、内部空間を外部と連通させる開口が設けられる、
人形。
【0014】
本発明の一態様の人形は、
上記開口は、上記足部の裏側に複数個設けられている、
人形。
【0015】
本発明の一態様の人形は、
上記足部には、上記人形を正立状態で載置面に載置した状態で、その載置面から距離を有する離間壁が設けられ、
上記開口は、上記離間壁に設けられている、
人形。
【0016】
本発明の一態様の人形は、
上記足部の上記載置面に接触する部分には、色彩塗装が施されていない、
人形。
【0017】
本発明の一態様の人形は、
複数の部材の組合せにて構成されており、
少なくとも一部の上記第1部分は、上記第2部分とは別部材にて構成されている、
人形。
【0018】
本発明の一態様の人形は、
上記第2部分は、温感インクによって塗装されている、
人形。
【0019】
本発明の一態様の人形セットは、
キャラクタを模した人形を複数含む人形セットであって、
上記複数の人形は、それぞれ、変色不能な第1部分と、変色可能な第2部分と、を備え、
上記第1部分は、上記複数の人形毎に、形状、色彩、及び印刷画像の少なくとも1つが異なる部分である、
人形セット。
【0020】
本発明の一態様の人形セットは、
キャラクタを模した人形を複数含む人形セットであって、
上記複数の人形は、それぞれ、変色不能な第1部分と、変色可能な第2部分と、を備え、
上記第2部分は、上記複数の人形毎に、少なくとも形状が同じ部分である、
人形セット。
【0021】
本発明の一態様の人形セットは、キャラクタを模した人形を複数含む人形セットであって、上記複数の人形は、それぞれ、変色不能な第1部分と、変色可能な第2部分と、を備え、上記第2部分は、上記複数の人形毎に、少なくとも形状が同じ部分である、
ものである。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、興趣性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の一実施形態である人形1の概略構成を示す正面図である。
【
図3】
図1に示す人形1のA-A矢視の断面図である。
【
図4】
図1に示す人形1が変色した状態を示す正面図である。
【
図5】
図1に示す人形1が変色した状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、本発明の一実施形態である人形1の概略構成を示す正面図である。
図2は、
図1に示す人形1の側面図である。
図3は、
図1に示す人形1のA-A矢視の断面図である。
人形1は、アニメーションや漫画等に登場する特定のキャラクタを模したものである。人形1は、雨具としてのレインコートを着た状態のキャラクタを模したものとなっている。
【0025】
人形1は、キャラクタの顔を構成する顔部13と、キャラクタの右手と左手をそれぞれ構成する手部16と、キャラクタの右足及び左足を一体的に構成する足部15と、キャラクタの衣装(具体的にはレインコート)を構成する衣装部20と、キャラクタの頭部に設けられた角を構成する一対の角部14と、を備える。衣装部20は、足部15、手部16、顔部13、及び角部14を除く部分(キャラクタの胴体、腕、頭部)を覆うように構成されている。つまり、衣装部20は、顔部13を露出させた状態で、特定のキャラクタの頭を覆う構成となっている。
【0026】
一対の手部16と足部15は、離間して配置されている。また、手部16と足部15は、それぞれ、衣装部20を挟んで顔部13と離間した位置に設けられている。
【0027】
顔部13は、キャラクタを特徴づける部分(換言すると、キャラクタの識別に必要な特徴を持つ部分)であり、この部分の色や形状や模様によって、人形1が特定のキャラクタを模したものであることを認識可能になっている。なお、顔部13は、樹脂等で構成された部材の凹凸(すなわち形状)によって顔が表現されたものであってもよいし、樹脂等で構成された部材に塗布された塗料(すなわち色)によって顔が表現されたものであってもよいし、樹脂等で構成された面状の部材に印刷された画像によって顔が表現されたものであってもよい。同様に、角部14は、キャラクタを特徴づける部分であり、この部分の色や形状や模様によって、人形1が特定のキャラクタを模したものであることを認識可能になっている。つまり、人形1は、顔部13及び角部14のうちの少なくとも1つの色、形状、又は模様によって、特定のキャラクタを模しているものと認識可能である。
【0028】
このように、顔部13と角部14は、それぞれ、キャラクタを特徴づける特徴部を構成する。人形1において、この特徴部以外の部分を非特徴部と記載する。非特徴部は、足部15、手部16、及び衣装部20によって構成される。なお、対象とするキャラクタによっては、角部14が存在しない場合もある。また、キャラクタによっては、足部15及び手部16が特徴部となる場合もある。
【0029】
人形1は、3つの部材の組み合わせによって構成されている。この3つ部材は、超音波接着等によって固着されている。具体的には、
図3に示すように、人形1は、樹脂等で構成されたお椀状の部材からなる顔部13と、樹脂等で構成された中空形状の本体部10と、から構成されている。本体部10は、衣装部20の前側、角部14、足部15の前側、及び手部16を構成する前部材11と、衣装部20の後側及び足部15の後側を構成する後部材12と、の組み合わせによって構成されている。例えば、前部材11と後部材12は分割ラインPLにおいて固着され、顔部13は、前部材11に設けられた開口11aに嵌められた状態で、前部材11に固着されている。
【0030】
前部材11と後部材12が固着されることで、人形1の内部には、前部材11の壁部と後部材12の壁部とで囲まれる内部空間SPが形成される。前部材11における足部15を構成する部分には、内部空間SPを外部に連通させる開口18が形成されている。後部材12における足部15を構成する部分には、内部空間SPを外部に連通させる開口18が形成されている。足部15は、
図3に示すように人形1を正立状態で載置面30に載置した状態で、載置面30と接触する部分である。具体的には、足部15の底面15bが載置面30と接触する。足部15には、凹部15aが設けられている。この凹部15aの底壁部17は、載置面30から距離を有する離間壁を構成しており、開口18は、この底壁部17を貫通する形で形成されている。
【0031】
前部材11、後部材12、及び顔部13は、例えば白色等の任意の色の部材によって構成されている。そして、顔部13、角部14、足部15、及び手部16には、それぞれ、特定のキャラクタに応じた色の塗装が施されている。これらに塗られた塗料は、温度変化によって色が変わることのないものが用いられている。
【0032】
一方、前部材11と後部材12のうち、角部14、足部15、及び手部16を除く部分と、顔部13が固着された領域を除く部分には、温感インクが塗布されている。前部材11と後部材12のうち、温感インクが塗布された領域が衣装部20を構成している。
【0033】
衣装部20を構成している温感インクは、温度によって色が変化可能なものであり、例えば特許文献1に示したようなものを採用できる。本形態では、温感インクとして、26℃から32℃の範囲では無色(つまり透明)となり、10℃から16℃の範囲では、例えば水色、緑色、青色、又は赤色等に発色するものが用いられるが、これに限定されるものではない。
【0034】
前部材11及び後部材12自体の色は、温感インクが発色したときのその色よりも淡い色とすることが好ましい。具体的には、前部材11及び後部材12自体の色を白とし、温感インクの色を水色とすればよい。別の例としては、前部材11及び後部材12自体の色をピンクとし、温感インクの色を青色とすればよい。このようにすることで、温感インクが発色した状態では、温感インクの色が強く認識されることとなり、温度による色の変化を楽しむことができる。
【0035】
以上のように構成された人形1は、例えば室温に置かれている状態では、温感インクが発色していないため、
図1に示すように、衣装部20において、前部材11及び後部材12自体の色(例えば白色)が視認される状態となる。
図1に示す状態から、例えば人形1を氷水に浸すと、温感インクが発色する。これにより、人形1の衣装部20は、
図4及び
図5に示すように色が変化する。一方、顔部13、角部14、足部15、及び手部16については、人形1が室温にある状態と氷水に浸された状態とのいずれの状態であっても、色は変化しない。
【0036】
このように、人形1では、顔部13、角部14、足部15、及び手部16が変色不能に構成され、衣装部20が変色可能に構成されているため、キャラクタ自体の見た目を変えることなく、キャラクタの着ている衣装だけ色を変えることができる。この結果、好きなキャラクタの表情等はそのままに、衣装の色の変化を楽しむことができ、興趣性を高めることができる。
【0037】
また、人形1では、変色不能に構成されている部分(顔部13、角部14、足部15、及び手部16)が纏まった箇所に配置されているのではなく、離間した位置に複数箇所存在している。これにより、キャラクタ本体に対する衣装の色の変化がより強調されるようになり、興趣性を高めることができる。
【0038】
また、人形1では、足部15の裏側の底壁部17に開口18が設けられている。このため、人形1が水中に入り、内部空間SPに水が浸入した場合であっても、その水を開口18から外部に排出することができる。開口18が複数設けられていることで、水の排出を容易に行うことが可能である。また、開口18は、足部15の裏側の凹部15aの底壁部17に設けられている。このため、人形1を載置面30に載置している状態であっても、水を容易に排出できる。また、複数の開口18であっても、それが視認されにくくなるため、人形1の外観性を高めることができる。
【0039】
また、人形1は、複数の部材の組合せにて構成されており、顔部13は、本体部10とは別部材にて構成されている。このため、例えば、顔部13を別の物に交換するだけで、別のキャラクタを模した人形を製造でき、製造コストを低減できる。また、顔部13を交換可能に構成しておくことで、様々なキャラクタにおいて衣装の色の変化を楽しむことができる。
【0040】
以上の説明では、変色不能な第1部分が顔部13、角部14、足部15、及び手部16であり、変色可能な第2部分が衣装部20であるものとした。この変形として、変色不能な第1部分が顔部13及び角部14であり、変色可能な第2部分が衣装部20、足部15、及び手部16であってもよい。この場合は、衣装部20、足部15、及び手部16のそれぞれに温感インクが塗布されていればよい。また、変色不能な第1部分が顔部13であり、変色可能な第2部分が衣装部20、角部14、足部15、及び手部16であってもよい。この場合は、衣装部20、角部14、足部15、及び手部16のそれぞれに温感インクが塗布されていればよい。また、変色不能な第1部分が顔部13と角部14と手部16であり、変色可能な第2部分が衣装部20と足部15であってもよい。この場合は、衣装部20と足部15に温感インクが塗布されていればよい。つまり、人形1においては、少なくとも顔部13が変色不能に構成され、少なくとも衣装部20が変色可能に構成されていればよい。
【0041】
足部15は、温度によって色が変化しない塗料が塗装されるものとしたが、足部15の底面15bは、色彩塗装を施さなくてもよい。足部15の底面15bは、載置面30と頻繁に接触する部分であり、塗装がはがれやすい。また、ここに塗装がなくとも、キャラクタの印象に変化はない。このように足部15の底面15bを非塗装とすることで、製造コストを低減できる。
【0042】
図6は、本発明の一実施形態である人形セットを示す模式図である。この人形セットは、
図1に示した人形1と、人形1Aと、を備える。人形1Aは、角部14が削除され、顔部13が顔部13Aに変更され、手部16と足部15の色彩が変更された点を除いては、人形1と同じ構成である。顔部13Aと顔部13は、形状、色彩、及び印刷画像の少なくとも1つが異なっている。
【0043】
このように、人形セットは、顔部の形状、色彩、及び印刷画像の少なくとも1つが異なる複数の人形によって構成される。また、人形セットは、少なくとも衣装部20の形状が同一の複数の人形によって構成される。このように、人形セットでは、衣装部20が少なくとも同じ形状となっていることで、キャラクタ毎に同じデザインの衣装部20の色を変えて楽しむことができ、人形セットとして興趣性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0044】
1 人形
13 顔部
20 衣装部