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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024111264
(43)【公開日】2024-08-16
(54)【発明の名称】スペーサー
(51)【国際特許分類】
   B68G 5/00 20060101AFI20240808BHJP
   A47C 27/00 20060101ALI20240808BHJP
【FI】
B68G5/00
A47C27/00 D
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024100949
(22)【出願日】2024-06-24
(62)【分割の表示】P 2020101947の分割
【原出願日】2020-06-12
(71)【出願人】
【識別番号】592171005
【氏名又は名称】株式会社セフト研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】市ヶ谷 弘司
(57)【要約】
【課題】様々な用途で使用することができるスペーサーを実現する。
【解決手段】枠状部S11と、一端が枠状部S11に連なりその枠状部S11から起立するように形成された複数の柱部S12と、複数の柱部S12の他端を連結してなる起立端連結部S13とを有する凸部10と、凸部10が複数繋がるように近接する位置にある凸部10の枠状部S11同士を連結している可撓連結部20と、を備えたスペーサー1において、立体状の凸部10と弾性変形可能な可撓連結部20の少なくとも一方が、スペーサー1の部位に応じて異なる形状を有するように構成されているようにした。こうすることで、スペーサー1の部位に応じて厚みを異ならせるようにしたり、スペーサー1の部位に応じて柔軟性を異ならせるようにしたりするのを可能にした。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠状部と、一端が前記枠状部に連なりその枠状部から起立するように形成された複数の起立部と、前記複数の起立部の他端を連結してなる起立端連結部とを有する凸部と、前記凸部が複数繋がるように近接する位置にある前記凸部の前記枠状部同士を連結している可撓連結部と、を備えたスペーサーであって、
立体状の前記凸部と弾性変形可能な前記可撓連結部の少なくとも一方は、当該スペーサーの部位に応じて異なる形状を有するように構成されていることを特徴とするスペーサー。
【請求項2】
前記可撓連結部は、当該スペーサーの部位に応じて可撓性が異なるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のスペーサー。
【請求項3】
前記可撓連結部は、前記起立端連結部側に突き出すように湾曲した形状に形成されており、その可撓連結部の曲率に応じた可撓性を有していることを特徴とする請求項1又は2に記載のスペーサー。
【請求項4】
前記可撓連結部は、その延在方向と交差する向きの断面形状に応じた可撓性を有していることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載のスペーサー。
【請求項5】
前記起立部は、当該スペーサーの部位に応じて長さが異なるように形成され、前記凸部は当該スペーサーの部位に応じて高さが異なるように構成されていることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載のスペーサー。
【請求項6】
前記枠状部は、当該スペーサーの部位に応じて大きさが異なるように形成され、前記凸部は当該スペーサーの部位に応じて大きさが異なるように構成されていることを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載のスペーサー。
【請求項7】
前記枠状部及び/又は前記起立端連結部は、当該スペーサーの部位に応じてその平面形状が異なるように形成され、前記凸部は当該スペーサーの部位に応じて外形が異なるように構成されていることを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載のスペーサー。
【請求項8】
複数の前記凸部が、略同心円を成すように配置されてなることを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載のスペーサー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、その立体構造の内部に空気が流通する空間を有するスペーサーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、空調衣服や空調マットの内側に収容されて、それらの内側に空気が流通する空間を形成するスペーサーが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
このスペーサーは、例えば、図9(a)(b)(c)(d)に示すように、枠状部S11と、一端が枠状部S11に連なり枠状部S11から起立するように形成された4本の柱部S12と、4本の柱部S12の他端を連結する起立端連結部S13とを有する凸部S1と、隣り合う凸部S1の枠状部S11同士を連結する可撓連結部S2とを備えたスペーサー構造Sを有している。
このような立体構造を有するスペーサーは、縦横にそれぞれ曲げることができる柔軟性を有し、その厚さ方向に好適な耐圧性を有しており、比較的狭い空間に空気を流通させるのに理想的なスペーサーとして使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4067034号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、近時、スペーサーの用途を広げるにあたり、様々な用途に応じた各種の要望があり、従前のスペーサーでは十分に対応し切れないものが見受けられるようになった。
そこで、本発明者らは鋭意検討し、様々な用途で使い易いスペーサーを開発するに至った。
【0005】
本発明の目的は、様々な用途で使用することができるスペーサーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、
枠状部と、一端が前記枠状部に連なりその枠状部から起立するように形成された複数の起立部と、前記複数の起立部の他端を連結してなる起立端連結部とを有する凸部と、前記凸部が複数繋がるように近接する位置にある前記凸部の前記枠状部同士を連結している可撓連結部と、を備えているスペーサーであって、
立体状の前記凸部と弾性変形可能な前記可撓連結部の少なくとも一方は、当該スペーサーの部位に応じて異なる形状を有するように構成されていることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のスペーサーにおいて、
前記可撓連結部は、当該スペーサーの部位に応じて可撓性が異なるように構成されていることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のスペーサーにおいて、
前記可撓連結部は、前記起立端連結部側に突き出すように湾曲した形状に形成されており、その可撓連結部の曲率に応じた可撓性を有していることを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1~3のいずれか一項に記載のスペーサーにおいて、
前記可撓連結部は、その延在方向と交差する向きの断面形状に応じた可撓性を有していることを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項1~4のいずれか一項に記載のスペーサーにおいて、
前記起立部は、当該スペーサーの部位に応じて長さが異なるように形成され、前記凸部は当該スペーサーの部位に応じて高さが異なるように構成されていることを特徴とする。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項1~5のいずれか一項に記載のスペーサーにおいて、
前記枠状部は、当該スペーサーの部位に応じて大きさが異なるように形成され、前記凸部は当該スペーサーの部位に応じて大きさが異なるように構成されていることを特徴とする。
【0012】
請求項7に記載の発明は、請求項1~6のいずれか一項に記載のスペーサーにおいて、
前記枠状部及び/又は前記起立端連結部は、当該スペーサーの部位に応じてその平面形状が異なるように形成され、前記凸部は当該スペーサーの部位に応じて外形が異なるように構成されていることを特徴とする。
【0013】
請求項8に記載の発明は、請求項1~7のいずれか一項に記載のスペーサーにおいて、
複数の前記凸部が、略同心円を成すように配置されて、前記可撓連結部によって繋がれていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、様々な用途で使用することができるスペーサーが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施形態1のスペーサーを示す平面図(a)と、その図のB-B線における断面図(b)である。
図2】実施形態1のスペーサーを示す平面図(a)と、その図のB-B線における断面図(b)である。
図3】実施形態1のスペーサーの変形例を示す平面図である。
図4】実施形態1のスペーサーの変形例を示す平面図である。
図5】実施形態2のスペーサーを示す平面図(a)と、そのスペーサーの凸部を示す斜視図(b)と、凸部の変形例を示す斜視図(c)である。
図6図5(a)のa-a線における断面図(a)と、b-b線における断面図(b)と、c-c線における断面図(c)である。
図7】実施形態2のスペーサーを撓ませた状態を示す斜視図である。
図8】実施形態2のスペーサーの変形例を示す断面図(a)と、そのスペーサーを撓ませた状態を示す断面図(b)と、撓ませたスペーサーを帽子に装着した使用例の説明図(c)である。
図9】従来のスペーサーを示す平面図(a)と側面図(b)、そのスペーサーの立体構造に関する説明図(c)(d)である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明に係るスペーサーの実施形態について詳細に説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
本実施形態のスペーサーは、空調衣服や空調マットなどの内側に空気が流通する空間を形成するために、それらの内側に収容して使用するものである。
【0017】
(実施形態1)
本実施形態のスペーサー1は、例えば、図1(a)(b)に示すように、枠状部S11と、一端が枠状部S11に連なっておりその枠状部S11から起立するように形成された複数の柱部S12と、複数の柱部S12の他端を連結してなる起立端連結部S13とを有する凸部10と、凸部10が複数繋がるように近接する位置にある凸部10の枠状部S11同士を連結している可撓連結部20と、を備えている。
実施形態1のスペーサー1は、複数の凸部10が行列を成すように配置されてなるものである。
【0018】
このスペーサー1の凸部10は、起立部としての柱部S12を4本有している(図9(c)の凸部S1参照)。
起立部としての柱部S12は、枠状部S11から起立端連結部S13に近づくにつれ、凸部10の中心軸に近づくように傾斜して形成されている。
なお、凸部10の柱部S12は4本であることに限らず、柱部S12を3本以上有している凸部10であれば、その立体形状を好適に維持することができる。
また、起立部は、棒状の柱部S12であることに限らず、上記特許文献1において開示されている面状の壁部であってもよい。
【0019】
このスペーサー1の枠状部S11は、四角の枠形状を有しているが、三角や五角、六角など多角形状の枠状部S11であってもよい。また、円形状や楕円形状などの枠状部S11であってもよい。
また、このスペーサー1の起立端連結部S13は、柱部S12の他端を連結してなる平面状を呈しているが、柱部S12の他端を連結してなる枠形状や環形状を呈していてもよい。
【0020】
このスペーサー1の可撓連結部20は、帯状を呈しており、一方の凸部10から他方の凸部10に延在するように、凸部10の枠状部S11の間に掛け渡されている。
スペーサー1の可撓連結部20を枠状部S11よりも厚みが薄い帯状に形成することで、可撓連結部S2において曲がり易くなっており、それによって柔軟性を有するスペーサー1が構成されるようになっている。
なお、可撓連結部20を枠状部S11よりも細い棒状に形成することでも可撓連結部S2において曲がり易くすることができ、それによっても柔軟性を有するスペーサー1を構成することができる。
スペーサー1を形成する材料としては、凸部10がつぶれてしまうなど立体構造を失わない程度の強度を有するものであれば任意であり、ある程度の強度を有しつつ固すぎないものを用いることが好ましく、例えば、ポリエチレン(PE)や、さらに柔軟性のあるエラストマ(TPE)を用いることができるが、特に限定されない。
【0021】
また、このスペーサー1のように、複数の凸部10が可撓連結部20によって連結された構造であれば、可撓連結部20によって繋がれている凸部10の個数を変更することで、任意のサイズのスペーサー1を形成することができる。
【0022】
特に、このスペーサー1の可撓連結部20は、スペーサー1の部位に応じて異なる形状を有するように形成されており、弾性変形可能な可撓連結部20は、スペーサー1の部位に応じて可撓性が異なるように構成されている。
ここでの可撓連結部20は、枠状部S11側から起立端連結部S13側に突き出すように湾曲した形状に形成されており、その可撓連結部20の曲率に応じた可撓性を有している。
具体的には、図1(b)に示すように、このスペーサー1の幅方向中央側よりも外側の可撓連結部20の方が、曲率が大きく形成されており、曲率が大きな可撓連結部20ほど撓み易く、弾性変形し易くなっている。なお、このスペーサー1の幅方向中央の列の可撓連結部20は湾曲しておらず、平帯状を呈している。
つまり、このスペーサー1は、幅方向中央側よりも外側の方が撓み易く形成されており、幅方向の両側ほど柔軟性に富んだスペーサー1として使用することができる。
【0023】
このようなスペーサー1であれば、両側を撓らせた状態で使用するマットや、両側を撓らせ易いマットなど、様々な用途に好適に用いることができる。
【0024】
なお、ここでは、幅方向中央側よりも外側の方に曲率が大きな可撓連結部20を配置したスペーサー1を例に説明したが、幅方向外側よりも中央側の方に曲率が大きな可撓連結部20を配置したスペーサー1であってもよい。
このようなスペーサーであれば、中央側を撓らせた状態で使用するマットや、中央側を撓らせ易く、折り畳み易いマットなどの用途に好適に用いることができる。
【0025】
勿論、長さ方向中央側よりも外側の方に曲率が大きな可撓連結部20を配置したスペーサー1であっても、幅方向・長さ方向とも外側の方に曲率が大きな可撓連結部20を配置したスペーサー1であってもよい。
また、幅方向(又は長さ方向)の一方の端から他方の端に向けて、曲率が徐々に大きくなるように可撓連結部20を配置したスペーサー1であってもよい。
このように、曲率が異なる可撓連結部20の配置順や配置箇所は任意であり、スペーサー1の使用態様に応じて適宜設計すればよい。
【0026】
なお、本発明は上記実施形態に限られるものではない。
例えば、図2(a)(b)に示すように、このスペーサー1の凸部10は、スペーサー1の部位に応じて異なる形状を有するように形成されており、立体状の凸部10は、スペーサー1の部位に応じて高さが異なるように構成されている。
ここでの凸部10は、スペーサー1の部位に応じて起立部である柱部S12の長さが異なるように形成されて、その凸部10はスペーサー1の部位に応じて高さが異なるように構成されている。
具体的には、図2(b)に示すように、このスペーサー1の幅方向中央側よりも外側の凸部10の方が柱部S12の長さが短く形成されており、柱部S12が短い凸部10ほどその高さが低く形成されている。
つまり、このスペーサー1は、幅方向中央側の凸部10よりも外側の凸部10方が低く形成されており、幅方向の両側ほど薄いスペーサー1として使用することができる。
【0027】
このようなスペーサー1であれば、両側ほど厚さが薄いマットや、幅方向中央側の方が空気の流通量が多いマットなど、様々な用途に好適に用いることができる。
【0028】
なお、ここでは、幅方向中央側よりも外側の方に高さが低い凸部10を配置したスペーサー1を例に説明したが、幅方向外側よりも中央側の方に高さが低い凸部10を配置したスペーサー1であってもよい。
このようなスペーサーであれば、中央側ほど厚さが薄いマットや、中央側を窪ませた態様で使用するマットや、幅方向両側の方が空気の流通量が多いマットなどの用途に好適に用いることができる。
【0029】
勿論、長さ方向中央側よりも外側の方に高さが低い凸部10を配置したスペーサー1であっても、幅方向・長さ方向とも外側の方に高さが低い凸部10を配置したスペーサー1であってもよい。
また、幅方向(又は長さ方向)の一方の端から他方の端に向けて、厚さが徐々に薄くなるように高さが異なる凸部10を配置したスペーサー1であってもよい。 このように、高さが異なる凸部10の配置順や配置箇所は任意であり、スペーサー1の使用態様に応じて適宜設計すればよい。
【0030】
また、本発明は上記実施形態に限られるものではない。
例えば、図3に示すように、このスペーサー1の凸部10は、スペーサー1の部位に応じて異なる形状を有するように形成されており、立体状の凸部10は、スペーサー1の部位に応じて大きさが異なるように構成されている。
ここでの凸部10は、スペーサー1の部位に応じて枠状部S11の大きさが異なるように形成されて、その凸部10はスペーサー1の部位に応じて大きさが異なるように構成されている。
具体的には、図3中、スペーサー1の幅方向左側よりも右側の凸部10の方が、枠状部S11が小さく形成されており、枠状部S11が小さい凸部10ほどその大きさが小さく形成されている。
つまり、このスペーサー1は、図3中、幅方向左側の凸部10よりも右側の凸部10の方が小さく形成されており、幅方向右側の方がきめ細やかに形成されたスペーサー1として使用することができる。
【0031】
このようなスペーサー1であれば、幅方向いずれか片側の方が柔らかな感触を有するマットや、幅方向いずれか片側の方が高密度な感触を有するマットなど、様々な用途に好適に用いることができる。
【0032】
なお、ここでは、図3中、幅方向左側の凸部10よりも右側の凸部10の方が小さく形成されているとしたが、大きさが異なる凸部10であっても、同じ高さを有するように形成されていてもよい。
大きさの異なる凸部10の高さを同じにする場合、枠状部S11の大きさが異なっていても、柱部S12の長さを揃えるようにすればよい。
勿論、枠状部S11の大きさに応じた高さを有する凸部10、つまり、枠状部S11が大きいほど高く、枠状部S11が小さいほど低い立体形状を有する凸部10が配置されてなるスペーサー1であってもよい。
【0033】
また、このスペーサー1における可撓連結部20の可撓性を、スペーサー1の部位に応じて異ならせるようにしてもよい。
例えば、図3中、比較的大きな凸部10に繋がれている可撓連結部20の厚みを比較的厚くし、図3中、比較的小さな凸部10に繋がれている可撓連結部20の厚みを比較的薄くするなどして、スペーサー1の部位に応じて可撓連結部20の撓み易さを調整することができる。なお、可撓連結部20の厚みを薄くするほど撓み易くなる。
このように、可撓連結部20の厚さなど、可撓連結部20の断面形状(可撓連結部20の延在方向と交差する向きの断面形状)に応じて、可撓連結部20の可撓性を調整することができる。
勿論、このスペーサー1における可撓連結部20の撓み易さは、スペーサー1の部位によらず略同じであってもよい。
【0034】
また、本発明は上記実施形態に限られるものではない。
例えば、図4に示すように、このスペーサー1の凸部10の枠状部S11および起立端連結部S13は、スペーサー1の部位に応じてその平面形状が異なるように形成されており、立体状の凸部10はスペーサー1の部位に応じて外形が異なるように構成されている。
ここでの凸部10は、図4中、左側4列の枠状部S11と起立端連結部S13の平面形状が略矩形状を呈し、図4中、右側2列の枠状部S11と起立端連結部S13の平面形状が略円形状を呈するように形成されている。
具体的には、図4に示すように、図中左側4列の凸部10が略四角錐台形状を呈し、図中右側2列の凸部10が略円錐台形状を呈するように形成されている。
このように、外形形状が異なる凸部10が可撓連結部20によって一体に繋がれてなるスペーサー1であっても、様々な用途に好適に用いることができる。
【0035】
なお、ここでは、図中左側4列の凸部10が略四角錐台形状を呈し、図中右側2列の凸部10が略円錐台形状を呈し、図中右側ほど凸部10が小さなスペーサー1を例に説明したが、図中左側2列の凸部10が略円錐台形状を呈し、図中右側4列の凸部10が略四角錐台形状を呈し、図中右側ほど凸部10が小さなスペーサー1などであってもよい。
このように、外形形状や大きさが異なる凸部10の配置順や配置箇所は任意であり、スペーサー1の使用態様に応じて適宜設計すればよい。
【0036】
また、ここでは、枠状部S11と起立端連結部S13がともに略矩形状を呈する凸部10や、枠状部S11と起立端連結部S13がともに略円形状を呈する凸部10が連結されてなるスペーサーを例に説明したが、枠状部S11が略矩形状を呈し、起立端連結部S13が略円形状を呈している凸部10や、枠状部S11が略円形状を呈し、起立端連結部S13が略矩形状を呈している凸部10が連結されてなるスペーサーであってよい。
【0037】
(実施形態2)
次に、本発明に係るスペーサーの実施形態2について説明する。なお、実施形態1と同一部分には同符号を付し、異なる部分についてのみ説明する。
【0038】
本実施形態のスペーサー1は、例えば、図5(a)(b)に示すように、枠状部S11と、一端が枠状部S11に連なっておりその枠状部S11から起立するように形成された複数の柱部S12と、複数の柱部S12の他端を連結してなる起立端連結部S13とを有する凸部10と、凸部10が複数繋がるように近接する位置にある凸部10の枠状部S11同士を連結している可撓連結部20(20a,20b,20c)と、を備えている。
実施形態2のスペーサー1は、複数の凸部10が略同心円を成すように配置されてなるものである。
【0039】
このスペーサー1の凸部10は、図5(a)(b)に示すように、円環状の枠状部S11と、起立部としての4本の柱部S12と、円形状の起立端連結部S13とを有している。
なお、図5(c)に示すように、凸部10が少なくとも3本の柱部S12を有していれば、その凸部10の立体形状を好適に維持することができる。
【0040】
そして、このスペーサー1は、図5(a)に示すように、中心とする凸部10の周囲に6個の凸部10を配置し、その6個の凸部10の周囲に12個の凸部10を配置するように構成されており、中心とした凸部10の周囲に2つの同心円を形成するようにそれら凸部10が繋がれている。
【0041】
例えば、図5(a)に示すように、中心の凸部10とその周囲の6個の凸部10は、太目の帯状の可撓連結部20aによって繋がれており、外縁側の12個の凸部10は、細目の帯状の可撓連結部20cによって繋がれており、外縁側の凸部10と内側の凸部10は、中太の帯状の可撓連結部20bによって繋がれている。
このように、可撓連結部20の太さなど、可撓連結部20の断面形状(可撓連結部20の延在方向と交差する向きの断面形状)に応じて、可撓連結部20の可撓性を調整することができる。例えば、可撓連結部20の太さを細くするほど撓み易くなる。
【0042】
特に、本実施形態では、図6(a)(b)(c)に示すように、中心の凸部10とその周囲の6個の凸部10は、湾曲していない平帯状の可撓連結部20aによって繋がれており、外縁側の12個の凸部10は、曲率が比較的大きな帯状の可撓連結部20cによって繋がれており、外縁側の凸部10と内側の凸部10は、曲率が比較的小さな帯状の可撓連結部20bによって繋がれている。
つまり、このスペーサー1では、中心側よりも外縁側の可撓連結部20の方が撓み易いように曲率が大きく形成されており、スペーサー1の外縁側の方が弾性変形し易くなっている。
【0043】
このように、中心側よりも外縁側の方が弾性変形し易いスペーサー1であれば、例えば、図7に示すように、略球面を成すような曲面状に撓ませることができる。
このようなスペーサー1であれば、椀状に窪んだ座面に設置するマットなど、様々な用途に好適に用いることができる。
【0044】
なお、凸部10が繋がれてなる同心円の数は任意であり、スペーサー1の使用態様に応じて適宜設計すればよい。
勿論、凸部10や可撓連結部20の配置順や配置箇所は任意であり、スペーサー1の使用態様に応じて適宜設計すればよい。
【0045】
例えば、図8(a)に示すように、複数の凸部10が同心円を成すように配置されており、それら凸部10が可撓連結部20によって繋がれてなるスペーサー1において、中心側の凸部10が湾曲していない可撓連結部20aによって繋がれ、その外側の凸部10が比較的小さな曲率の可撓連結部20bによって繋がれ、さらにその外側の凸部10が内側の可撓連結部20bよりも大きな曲率の可撓連結部20cによって繋がれ、外縁側の凸部10が内側の可撓連結部20cよりも大きな曲率の可撓連結部20dによって繋がれた構成を有しているものでもよい。
このスペーサー1も外縁側の方が弾性変形し易くなっている。
このようなスペーサー1であれば、例えば、図8(b)に示すように、略半球状に撓ませることができる。
そして、このように略半球状に撓ませることができるスペーサー1であれば、例えば、図8(c)に示すように、帽子Cの内側に装着して使用することができる。
このような略半球状のスペーサー1が装着された帽子Cであれば、帽子Cと着用者の頭部との間に空気が流通する空間を確保することができるので、着用者の頭部の蒸れを防ぐことができる。
【0046】
なお、上記した実施形態2において、スペーサー1の凸部10は全て同一の形状を有するように図示して説明したが、本発明はこれに限られず、大きさや高さ、外形形状などが異なる凸部10が配置されたスペーサー1であってもよい。
例えば、帽子Cの内側に装着して使用するスペーサー1の場合、頭頂部側よりも帽子Cの縁側に位置する凸部10(具体的には、スペーサー1の外縁側の凸部10)の方が徐々に小さく低くなるように設計してもよい。こうすることで、帽子Cの着用感を損なうことなく、帽子Cの内側の蒸れを防ぐことが可能になる。
【0047】
以上のように、本実施形態のスペーサー1であれば、凸部10や可撓連結部20の形状や配置パターンを適宜設計することで、様々な用途で使用することができるスペーサー1
を実現できる。
【0048】
なお、以上の実施の形態においては、フラットな態様に成形したスペーサー1を撓ませて使用するように説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、予め撓んだ形状を有するようにスペーサー1を成形するようにしてもよい。
この場合、例えば、帽子C内に配置される好適なスペーサーの形状や配置パターンを三次元CAD等で設計することにより三次元データとして作成し、その三次元データを基に3Dプリンター等でスペーサーを作成するようにしても良い。また、その三次元データを基にフラットな二次元データに展開して、スペーサー成型用の金型を作成し、その金型により成形されたスペーサーを三次元に組み立てるようにしても良い。
【0049】
また、このスペーサー1は、スペーサー1が構成する空間の体積に対して密度が30%以下であることが好ましい。
また、枠状部S11及び可撓連結部20は、枠状部S11が形成されている側のスペーサー面の全スペーサー面積に対して、枠状部S11及び可撓連結部20が形成されていない開口部の面積が50%~95%の割合になる様に形成されていることが好ましい。
【0050】
また、その他、具体的な細部構造等についても適宜に変更可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0051】
1 スペーサー
10 凸部
20 可撓連結部
20a,20b,20c,20d 可撓連結部
S11 枠状部
S12 柱部(起立部)
S13 起立端連結部
C 帽子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9