特開 2024-11127 カウンターボアＴナット

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2024011127

(43)【公開日】2024-01-25

(54)【発明の名称】カウンターボアＴナット

(51)【国際特許分類】

   F16B 37/00 20060101AFI20240118BHJP

   F16B 37/04 20060101ALI20240118BHJP

【ＦＩ】

F16B37/00 E

F16B37/04 B

【審査請求】未請求

【請求項の数】3

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2022112880

(22)【出願日】2022-07-14

(71)【出願人】

【識別番号】518392381

【氏名又は名称】株式会社ナガヤマジャパン

(74)【代理人】

【識別番号】100076406

【弁理士】

【氏名又は名称】杉本 勝徳

(74)【代理人】

【識別番号】100171941

【弁理士】

【氏名又は名称】辻 忠行

(72)【発明者】

【氏名】永山 豊

(57)【要約】      （修正有）

【課題】家具部材の板材などに打込んで使用されるＣＢＴナットの製造を簡略化する。
【解決手段】板状体にプレス加工を繰返して深絞りし、円筒状の本体１１および板状のフランジ１２を形成する。さらに、有底円筒状の本体１１から底部分を帽状に切出し、先端１１２に薄肉のカシメ予定部１１２１を設けることで、ＣＢＴナット１の原形とする。その後、円筒状の本体１１の内外周面に、内外の型でねじ山をプレス加工する。型を抜くと、スプリングバックで、傾斜が若干緩いねじ山となるが、タッピングボルト２を組合わせ、ねじ山２１で押し拡げ、一部ねじ切りしながら締結を行う。したがって、ナットの内ねじを形成するにあたって、タップ加工を無くすことができ、サイクルタイムを短くして生産効率を向上することができるとともに、ねじ切りの際の切削油が不要になり、また切粉の処理も不要になり、低コスト化することができる。
【選択図】図１

【特許請求の範囲】

【請求項1】

円筒状の本体の一端にフランジが設けられ、前記円筒状の本体は、前記フランジを形成する板状体の深絞り加工で形成され、前記円筒状の本体の他端は、薄肉のカシメ予定部に形成されるカウンターボアＴナットにおいて、
前記本体は、ねじ込まれるべきボルトの外周面のねじ山より、山の頂部および谷の底部が緩やかな曲線に形成されるねじ山を有する内周面と、前記内周面のねじ山から予め定める厚みを隔てて略平行に形成されるねじ山の外ねじを有する外周面とを備えることを特徴とするカウンターボアＴナット。

【請求項2】

前記フランジには、切り起こしで、基材に突き刺さることで前記円筒状の本体の軸線回りの回転を阻止する爪が形成されることを特徴とする請求項１記載のカウンターボアＴナット。

【請求項3】

前記フランジ側に、段差部で拡径した拡大部を有するステップバレルカウンターボアＴナットであることを特徴とする請求項１または２記載のＴナット。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、家具などに公的に用いられるカウンターボアＴナットに関する。

【背景技術】

【0002】

前記のカウンターボアＴナットとしては、本件発明者による特許文献１が挙げられる。その先行技術によれば、円筒状の本体の一端にフランジが設けられることで、側面視でＴ形に形成され、前記本体の内周面にねじ山が刻設されることで、ナットに構成されている。そして、前記本体が木材などの基材（コンポーネント）に穿設された孔に嵌め込まれ、円筒の先端の薄肉のカシメ予定部が拡軽されるように折返されてカシメ止め加工されることで、該Ｔナットの抜け落ちを防ぎ、ボルトによる締結を可能にするものである。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0003】

【特許文献1】特許第２９４０８９８号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0004】

上述の従来技術では、板状体を、プランジャ付の順送り金型でプレス加工を繰返すことで深絞りして、カウンターボアＣＢ形状やステップバレル形状の前記円筒状の本体と、フランジ部分とに形成し、さらに同一順送金型行程内で切り曲げ爪出し形成した後に、前記板状体から各爪出しＴナットに切離され、バリ取り、バレル研磨した後、この爪付Ｔナットの本体の内周面にタップ加工で内ねじが形成される。したがって、深絞りのプレス加工と、タップ加工との２工程で、切削油が使用され、該切削油やその洗浄液の管理や処理が必要になり、また切粉の処理も必要である。また、タップ加工にあたって、バリ取りやバレル研磨も必要である。そのため、サイクルタイムが長くなるとともに、コストも掛るという問題がある。

【0005】

本発明の目的は、タップ加工を省略することで生産性を向上し、コストを削減することができるカウンターボアＴナットを提供することである。

【課題を解決するための手段】

【0006】

本発明のカウンターボアＴナットは、円筒状の本体の一端にフランジが設けられ、前記円筒状の本体は、前記フランジを形成する板状体の深絞り加工で形成され、前記円筒状の本体の他端は、薄肉のカシメ予定部に形成されるカウンターボアＴナットにおいて、前記本体は、ねじ込まれるべきボルトの外周面のねじ山より、山の頂部および谷の底部が緩やかな曲線に形成されるねじ山を有する内周面と、前記内周面のねじ山から予め定める厚みを隔てて略平行に形成されるねじ山の外ねじを有する外周面とを備えることを特徴とする。

【0007】

上記の構成によれば、円筒状の本体の一端にフランジが設けられ、前記円筒状の本体は、前記フランジを形成する板状体の深絞り加工で形成され、前記円筒状の本体の他端は、薄肉のカシメ予定部に形成されるカウンターボアＴナットにおいて、山谷がボルトに正確に対応した尖鋭なねじ孔でなく、ピッチは同じでも、谷と山の間隔が狭い、つまり谷が浅く、山が低い緩やかな曲線のねじ山とする。また、その円筒状の本体は、内周面に前記ねじ山が形成されるだけでなく、外周面も、前記内周面から予め定める厚みを隔てて、略平行のねじ山を形成する。

【0008】

このようなカウンターボアＴナットは、たとえば、該カウンターボアＴナットにねじ込まれるべきボルトの外周面のねじ山に対応した外ねじが形成された内型と、該内型に被せられて、該内型のねじ山から予め定める間隔（厚み分）だけ離間した、すなわち断面で見るとほぼ平行に内ねじが形成された外型とを用い、外型を相互に分割した状態で、円筒状の素材を内型に被せ、外型を相互に組合わせることで、これら内外の型のプレス加工で、内ねじを形成することができる。

【0009】

そして、外型を外し、内型を引き抜くことで、スプリングバックで厳密にボルトのねじ山に対応した内ねじとはならなくとも、タッピングボルトで押し拡げながらねじ込んでゆくことで、締結可能なカウンターボアＴナットを実現することができる。こうして、ナットの内ねじを形成するにあたって、タップ加工を無くすことができる。これによって、サイクルタイムを短くして生産効率を向上することができるとともに、ねじ切りの際の切削油が不要になり、また切粉の処理も不要になり、コストを低下することもできる。

【0010】

また、カウンターボアＴナットであることで、基材（コンポーネント）に穿設された孔に該カウンターボアＴナットが嵌め込まれ、カシメ止め加工されることで抜け落ちを防ぎ、タッピングボルトによる締結を可能にすることができる。

【0011】

また、本発明のカウンターボアＴナットでは、前記フランジには、切り起こしで、基材に突き刺さることで前記円筒状の本体の軸線回りの回転を阻止する爪が形成されることを特徴とする。

【0012】

上記の構成によれば、円筒状の本体の内外にねじ山をプレス加工で形成した後、フランジ部分に、プレス加工による切り起こしで、回転止めの爪も作成することができる。そして、この爪は、前記のタッピングボルトのねじ込みに対して、該Ｔナットの回転（連れ回り）を防ぐので、前記内外の型のプレス加工によって作成される該カウンターボアＴナットであっても、ナットとしての機能を充分に発揮させることができる。

【0013】

さらにまた、本発明のカウンターボアＴナットは、前記フランジ側に、段差部で拡径した拡大部を有するステップバレルカウンターボアＴナットであることを特徴とする。

【0014】

上記の構成によれば、板厚の厚い、特に木材の場合、カウンターボアＴナットが打込み難いためにねじ孔を若干大き目に形成しても、前記拡大部によりガタツキを防止することができる。また、前記拡大部により、前記本体の一端の曲げ半径が緩くなり、該段差部付近の入口からねじ切りを行うことができ、好適である。

【0015】

好ましくは、本発明のナットの製造方法は、ナットのねじ山の部分を内外の型で成型するナットの製造方法であって、前記ナットにねじ込まれるべきボルトの外周面のねじ山に対応した外ねじが形成された内型と、相互に分割可能で、相互に組合わせて前記内型に被せられた状態で、前記内型のねじ山から予め定める間隔（厚み分）だけ離間した内ねじが形成された外型とを用い、円筒状の素材に、前記内外の型のプレス加工で、内ねじを形成することを特徴とする。

【0016】

上記の構成によれば、ナットを製造するにあたって、該ナットにねじ込まれるべきボルトの外周面のねじ山に対応した外ねじが形成された内型と、該内型に被せられて、該内型のねじ山から予め定める間隔（厚み分）だけ離間した、すなわち断面で見るとほぼ平行に内ねじが形成された外型とを用い、外型を相互に分割した状態で、円筒状の素材を内型に被せ、外型を相互に組合わることで、これら内外の型のプレス加工で、内ねじを形成する。

【0017】

したがって、ナットの内ねじを形成するにあたって、タップ加工を無くすことができる。これによって、サイクルタイムを短くして生産効率を向上することができるとともに、ねじ切りの際の切削油が不要になり、また切粉の処理も不要になり、コストを低下することもできる。

【発明の効果】

【0018】

本発明のカウンターボアＴナットは、以上のように、円筒状の本体の一端にフランジが設けられて成るカウンターボアＴナットにおいて、山谷がボルトに正確に対応した尖鋭なねじ孔でなく、ピッチは同じでも、谷と山の間隔が狭い、つまり谷が浅く、山が低い緩やかな曲線のねじとする。

【0019】

それゆえ、そのようなカウンターボアＴナットは、内外の型を用いてプレス加工で作成することができるので、該カウンターボアＴナットの内ねじを形成するにあたってタップ加工を無くすことができる。これによって、サイクルタイムを短くして生産効率を向上することができるとともに、ねじ切りの際の切削油が不要になり、また切粉の処理も不要になり、低コストなカウンターボアＴナットを実現することができる。

【図面の簡単な説明】

【0020】

【図1】本発明の実施の一形態に係るねじの締結構造を実現するカウンターボアＴナットおよびタッピングボルトの斜視図である。

【図2】図１のカウンターボアＴナットの軸方向の断面図である。

【図3】図１の締結構造を用いた家具部材の断面図である。

【図4】本発明の実施の他の形態に係るカウンターボアＴナットの軸方向の断面図である。

【発明を実施するための形態】

【0021】

図１は、本発明の実施の一形態に係るねじの締結構造を実現するカウンターボアＴナット１およびタッピングボルト２の斜視図であり、図２は前記カウンターボアＴナット１の軸方向の断面図であり、図３は前記締結構造を用いた家具部材３の断面図である。本実施形態のねじの締結構造は、たとえば、基材（コンポーネント）となる家具部材３の板材３１に金具３２を相互に締結するために用いられる。たとえば、板材３１は、椅子の座面板であり、その上に、ウレタン等の緩衝材３３および図示しない皮等の表皮材が適宜貼り合わせられており、一方、金具３２は、脚の頂部に設けられたねじ孔３２１の穿設された金具である。そして、板材３１に少し大きめに穿設されたねじ孔３１１にカウンターボアＴナット１が挿入され、金具３２に少し大きめに穿設された前記ねじ孔３２１を遊挿したタッピングボルト２がカウンターボアＴナット１に螺着することで、板材３１に金具３２が締結される。

【0022】

カウンターボアＴナット１は、円筒状の本体１１の一端１１１に、フランジ１２が設けられることで、側面視或いは図２や図３の軸線方向断面で、Ｔ字状となる。本実施形態のカウンターボアＴナット１は、さらに前記フランジ１２の周縁に、切り起こしで、爪１３が形成されている。本体１１が前記ねじ孔３１１に挿入される際、この爪１３は板材３１に突き刺さることで、後述のタッピングボルト２の螺着時に、前記円筒状の本体１１の軸線回りの回転を阻止している。

【0023】

そして、図３で示すように、フランジ１２の裏面１２１が板材３１の裏面３１２と略面一になる程度にカウンターボアＴナット１が挿入された（打込まれた）後、該カウンターボアＴナット１の円筒の本体１１の他端（先端）１１２が、参照符号１１７で示すように、拡軽されるように折返されてカシメ止め加工されることで、該カウンターボアＴナット１の抜け落ちを防ぎ、後述のタッピングボルト２による締結を可能にするとともに、タッピングボルト２の案内を行う。

【0024】

フランジ１２は、丸型や四角でもよいが、本実施形態では、大略的に八角形に形成され、その相互に対向する２辺の両側から爪１３が一対で立ち上げられている。そして、八角形の残りの辺部分が、一対のコの字のホルダで両側から挟まれ、前記本体１１および爪１３がホルダ間から突出した状態で出荷され、パーツフィーダーで、前記板材３１への打ち込み機に装填される。板材３１が樹脂成型品の場合、成型直後の軟らかいうちに、このカウンターボアＴナット１を打込むために、成型機の近くに打込機が設けられる。

【0025】

上述のように構成されるねじの締結構造において、注目すべきは、本実施形態のカウンターボアＴナット１では、図１～図３で示すように、円筒状の本体１１には、その内周面１１３に、山谷がタッピングボルト２に正確に対応した尖鋭なねじ孔でなく、ピッチは同じでも、谷と山の間隔が狭い、つまり谷が浅く、山が低い緩やかな曲線のねじ山１１５が形成されることである。そして、外周面１１４にも、前記内周面１１３のねじ山１１５から予め定める間隔（厚み分）Ｄだけ離間して、略平行のねじ山１１６が形成される。

【0026】

そのようなカウンターボアＴナット１の製造工程の一例としては、先ず、板状体が、プランジャ付の順送り金型でプレス加工を繰返すことで深絞りされ、前記円筒状の本体１１および板状のフランジ１２に形成される。この深絞り後の状態では、絞りの底部分が残っている、すなわち本体１１は有底円筒状であるので、その底部分が帽状に切出される。その後、端部（先端）１１２が、前記折返し１１７のために、ポンチで、段差部１１２２から薄肉のカシメ予定部１１２１に形成された後、前記フランジ１２部分が前記略八角形になるように、個別に切出されて、カウンターボアＴナットとなる。

【0027】

その後、注目すべきは、円筒状の本体１１の内側に、市販のタップ工具などから成る内型が嵌め込まれ、一対の外型と組合わせられて、図２で示すような本体１１の内外のねじ山１１５，１１６がプレス加工されることである。そのため、一対の外型は相互に分割可能で、相互に組合わせて前記内型に被せられた状態で、前記内型のねじ山から予め定める間隔（厚み分）Ｄ（図２で示す）だけ離間した、すなわち断面で見るとほぼ平行なねじ山が形成されている。なお、外型の分割は、３つ以上でもよい。

【0028】

ねじ山１１５，１１６のプレス加工後、外型は相互に離反され、内型も速やかに引き抜かれる。爪１３は、このねじ山１１５，１１６のプレス加工の後に、さらにプレス加工による切り起こしで形成されている。

【0029】

このように構成することで、カウンターボアＴナット１の内ねじのねじ山１１５を形成するにあたって、タップ加工を無くすことができる。これによって、タップ加工前のバリ取りやバレル研磨も必要なく、サイクルタイムを短くして生産効率を向上することができるとともに、ねじ切りの際の切削油やその洗浄液の管理や処理が不要になり、また切粉の処理も不要になり、コストを低下することもできる。なお、結果的に形成される外ねじのねじ山１１６は、ナットとしての機能には関与しないが、板材３１のねじ孔３１１に食い込む。

【0030】

そして、本実施形態のカウンターボアＴナット１では、前記スプリングバックなどで、ねじ山１１５，１１６は、Ｔナット１にねじ込まれるべきタッピングボルト２の外周面のねじ山２１より、山の頂部および谷の底部が、緩やかな曲線（ピッチは同じで、谷と山の間隔が狭い）に形成される。すなわち、山谷がタッピングボルト２のねじ山２１に正確に対応した尖鋭なねじ孔でなく、ピッチは同じでも、谷と山の間隔が狭い、つまり山が低く、谷が浅く、緩やかな曲線のねじ山とされる。

【0031】

これに対応して、本実施形態のねじの締結構造では、カウンターボアＴナット１には、タッピングボルト２が組合わせて用いられる。タッピングボルト２は、焼き入れなどで高硬度に形成されており、該タッピングボルト２がカウンターボアＴナット１にねじ込まれると、前記ねじ山２１が本体１１の内周面１１３のねじ山１１５を押し拡げながら一部をねじ切りしてゆくことで、結果的に、図３において参照符号ｄで示すように、本体１１においてこのタッピングボルト２がねじ込まれた部分の肉厚は若干薄くなることもある。

【0032】

したがって、内型および外型によるねじ山１１５，１１６のプレス加工時の圧力を小さくすることができるとともに、円筒状の素材（１１）の変形も少なく、歩留りを向上することができる（割れたりすることを押えることができる）。また、ねじ山１１５，１１６が緩くなるので、通常のボルトに代えて、自身でねじを彫り易いタッピングボルト２と組合わせることで、ねじの締結強度も確保することができる。

【0033】

また、素材（１１）が、既に深絞りでプレス加工されて円筒状に形成されている場合、ねじ山１１５，１１６の形成での更なるプレス加工にあたって、そのねじ山の頂部および谷の底部の傾斜が緩いことは、素材（１１）への負担が小さく好適である。

【0034】

さらにまた、本実施形態のカウンターボアＴナット１では、円筒状の本体１１の内外にねじ山１１５，１１６をプレス加工で形成した後、フランジ１２部分に、プレス加工による切り起こしで、回転止めの爪１３を作成している。そのため、この爪１３は、前記のタッピングボルト２のねじ込みに対して、該カウンターボアＴナット１の回転（連れ回り）を防ぐので、前記内外の型のプレス加工によって作成される該Ｔナットであっても、ナットとしての機能を充分に発揮させることができる。

【0035】

さらにまた、上述のようなねじの締結構造を図３のように家具部材３に用いることで、安価な締結構造を実現でき、安価な家具部材を実現することができる。

【0036】

ここで、特開２００６－２９７４５５号公報は、内外の型を組合わせ、プレス加工で圧入ナットを製作しているが、プレスによって形成されるのは、外型の内側に延びた突起による溝で、該ナットが取付けられる基材に食い込ませるものである。そして、ナットの内ねじ自体は、従来通り切削で作成している。また、段落００４１には、タッピングねじを使用する場合には、内ねじ加工はしなくてもよいとの記載もあるが、谷（ねじ）の深さが深くなったり、ピッチが狭くなったりすると、タッピングねじを締めるトルクを大きくする必要がある。

【0037】

また、本願発明は、図４のカウンターボアＴナット１ａで示すように、フランジ１２側に、段差部１４で拡径した拡大部１５を形成することで、ねじ部（１１５，１１６）の長さを短くするようにした特許第３３１０９３４号のステップバレルカウンターボアＴナットなどにも適用することができる。ここで、板厚の厚い、特に木材の場合、カウンターボアＴナットが打込み難いので、ねじ孔３１１は、若干大き目に形成されることになる。すると、ガタツクので、このステップバレルカウンターボアＴナットのように、基端（１１１）は前記拡大部１５で、太目に形成しておくことで、打込み易く、かつ前記ガタツキを防止できるようになる。また、たとえば、フランジ１２の板厚が１．２ｍｍであれば、前記基端（１１１）は、１．２ｍｍの半径で直角に曲げられる訳では無く、半径が若干大きくなり、そのため該基端（１１１）にはねじの切れない部分が生じる。この点でも、前記ステップバレルカウンターボアＴナットでは、段差部１４から本体１１への曲げが緩くなり、該段差部１４付近の入口からねじ切りを行うことができ、好適である。

【符号の説明】

【0038】

１，１ａ カウンターボアＴナット
１０ 板状体
１１ 本体
１１１ 一端
１１２ 他端（先端）
１１２１ カシメ予定部
１１２２ 段差部
１１３ 内周面
１１４ 外周面
１１５ ねじ山（内ねじ）
１１６ ねじ山（外ねじ）
１１７ カシメ止めの折返し
１２ フランジ
１３ 爪
１４ 段差部
１５ 拡大部
２ タッピングボルト
２１ ねじ山
３ 家具部材
３１ 板材
３２ 金具
３１１，３２１ ねじ孔
３３ 緩衝材

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】