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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024111271
(43)【公開日】2024-08-16
(54)【発明の名称】トレイ式部品供給装置
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/02 20060101AFI20240808BHJP
【FI】
H05K13/02 D
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024100998
(22)【出願日】2024-06-24
(62)【分割の表示】P 2023002218の分割
【原出願日】2019-07-22
(71)【出願人】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】弁理士法人 共立特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉野 朋治
(72)【発明者】
【氏名】森川 俊治
(57)【要約】
【課題】複数のトレイを収容するマガジンの交換を自動で行うことができるトレイ式部品供給装置を提供する。
【解決手段】複数の部品が配列されたトレイを用いて、部品装着機に部品を供給するトレイ式部品供給装置であって、装置本体と、装置本体に着脱可能に保持され、トレイの複数個を上下に並べて収容するマガジンと、マガジンからいずれかのトレイを引き出して部品を供給可能とするシャトル機構と、マガジンまたはシャトル機構を昇降させて、シャトル機構が引き出すトレイを選択する昇降機構と、マガジンを収容する複数の収容部を有して、装置本体から回収するマガジンと、装置本体に補給するマガジンとを交換する自動交換部と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の部品が配列されたトレイを用いて、部品装着機に部品を供給するトレイ式部品供給装置であって、
装置本体と、
前記装置本体に着脱可能に保持され、前記トレイの複数個を上下に並べて収容するマガジンと、
前記マガジンからいずれかの前記トレイを引き出して前記部品を供給可能とするシャトル機構と、
前記マガジンまたは前記シャトル機構を昇降させて、前記シャトル機構が引き出す前記トレイを選択する昇降機構と、
前記マガジンを収容する複数の収容部を有して、前記装置本体から回収する前記マガジンと、前記装置本体に補給する前記マガジンとを交換する自動交換部と、
を備えるトレイ式部品供給装置。
【請求項2】
前記自動交換部は、前記マガジンおよび前記トレイの少なくとも一方を保管する部品倉庫まで走行する走行部を有する、請求項1に記載のトレイ式部品供給装置。
【請求項3】
前記自動交換部は、交換側マガジン駆動部、および、前記交換側マガジン駆動部を制御する交換側制御部を有し、
前記装置本体は、前記交換側マガジン駆動部と共同で前記マガジンを受け渡す本体側マガジン駆動部、および、前記マガジンの受け渡しに関する制御情報を前記交換側制御部と授受して前記本体側マガジン駆動部を制御する本体側制御部を有する、
請求項1または2に記載のトレイ式部品供給装置。
【請求項4】
前記交換側マガジン駆動部および前記本体側マガジン駆動部は、前記マガジンが載置された状態で回転することにより前記マガジンを移送する移送ローラである、請求項3に記載のトレイ式部品供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、トレイを用いて部品を供給するトレイ式部品供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
多数の部品が装着された基板製品を生産する対基板作業機として、はんだ印刷機、部品装着機、リフロー機、基板検査機などがある。これらの対基板作業機を一列に設けて基板生産ラインを構成することが一般的になっている。このうち部品装着機は、部品が配列されたトレイを用いる方式の部品供給装置を備えることがある。一般的に、トレイ式部品供給装置は、複数のトレイを保持するとともに、部品の消費時にはトレイを交換することによって、複数種類の部品を供給する。この種のトレイ式部品供給装置の技術例が特許文献1、2に開示されている。
【0003】
特許文献1には、部品保管庫と複数の部品装着機との間を走行する走行体に搭載された補給ユニットによって、トレイ部品の補給を行う部品装着システムが開示されている。このシステムでは、トレイ送り機構により、走行体側のマガジンと部品装着機側のマガジンとの間で、トレイ部品が配列されたトレイを受け渡す。これによれば、トレイの補給および回収を自動で行うことができ、必要な部品を自動的かつ効率的に補給することができる、とされている。
【0004】
また、特許文献2のチップ供給装置は、トレイの複数個を上下に並べて収容するマガジンと、マガジンを懸吊して保持するホルダーと、ホルダーを上下動させる手段とを備え、マガジンの下方に台車が出入りする下方空間を確保している。これによれば、作業者は、台車を用いて、マガジンの交換作業を行うことができる、とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開2014/010084号
【特許文献2】特開平7-17602号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1の技術は、トレイをひとつずつ自動で受け渡すものであり、マガジンに収容された複数のトレイを一括して交換することはできない。このため、生産する基板の種類を変更する段取り替え作業などで多数のトレイを交換するときに、交換動作が煩雑となり、所要時間も長くなる。これに対して、特許文献2の技術は、マガジンの一括交換を行うことはできるが、作業者による交換作業であるため、自動化は達成されていない。
【0007】
本明細書では、複数のトレイを収容するマガジンの交換を自動で行うことができるトレイ式部品供給装置を提供することを解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書は、装置本体と、前記装置本体に着脱可能に保持され、複数の部品が配列されたトレイの複数個を上下に並べて収容するマガジンと、前記マガジンからいずれかの前記トレイを引き出して前記部品を供給可能とするシャトル機構と、前記マガジンまたは前記シャトル機構を昇降させて、前記シャトル機構が引き出す前記トレイを選択する昇降機構と、前記装置本体から回収する前記マガジンと、前記装置本体に補給する前記マガジンとを交換する自動交換部と、を備えるトレイ式部品供給装置を開示する。
【発明の効果】
【0009】
本明細書で開示するトレイ式部品供給装置によれば、自動交換部が装置本体から回収するマガジンと、装置本体に補給するマガジンとを交換するので、複数のトレイを収容するマガジンの交換を自動で行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態のトレイ式部品供給装置の構成を模式的に示す平面図である。
図2図1のII-II矢視図であって、トレイ式部品供給装置のマガジンを含む側面部分断面図である。
図3図1のIII-III矢視図であって、トレイ式部品供給装置のフィーダ装置を含む側面部分断面図である。
図4】トレイ式部品供給装置のマガジンおよびトレイの操作に関する制御の構成を示すブロック図である。
図5】トレイ式部品供給装置のフィーダ装置の交換に関する制御の構成を示すブロック図である。
図6】トレイ式部品供給装置が自動マガジンを交換するときの動作フローの図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
1.実施形態のトレイ式部品供給装置1のマガジン(3A、3M)に関する構成
実施形態のトレイ式部品供給装置1の構成について、図1図3の装置構成図、および図4図5の制御構成図を参考にして説明する。図1の平面図において、部品装着機9およびトレイ式部品供給装置1に共通する前後左右の方向を便宜的に定める。なお、部品装着機9の外形線が図1図3に示され、部品装着機9が備える装着ヘッド91および吸着ノズル92が図2および図3に示されている。
【0012】
トレイ式部品供給装置1は、部品装着機9の前側に装備される。トレイ式部品供給装置1は、複数の部品が配列されたトレイTyを用いて、部品装着機9に部品を供給する。トレイ式部品供給装置1は、装置本体2、自動マガジン3A、手動マガジン3M、シャトル機構4、昇降機構5(図4参照)、マガジン自動交換部6A、フィーダ装置3F、フィーダ自動交換部6F、ふたつの高さ検出部7A、7F、高さ調整部7J、および制御装置8(図4図5参照)などで構成される。
【0013】
装置本体2は、本体ケース21、挿入部25、下側保持台26、および上側保持台28などで構成される。本体ケース21は、縦長の直方体形状に形成されている。本体ケース21は、部品装着機9の前縁に近接して配置される。本体ケース21の前面の下部寄りに、自動マガジン3Aのサイズよりも大きめの自動交換窓22が開口している。本体ケース21の前面の上部寄りに、手動マガジン3Mのサイズよりも大きめで、開閉可能なメンテナンス扉23が設けられている。本体ケース21の後面の概ね中間高さに、トレイTyのサイズよりも大きめの引き出し窓24が開口している。
【0014】
挿入部25は、本体ケース21の後面に設けられる。挿入部25は、部品装着機9の内部に挿入される。挿入部25は、シャトル支持部251およびフィーダ保持部252からなる。シャトル支持部251は、水平に配置される矩形板状の部材である。シャトル支持部251は、部品装着機9の左寄りの位置であって引き出し窓24よりも少し低い位置に配置される。フィーダ保持部252は、水平に配置される矩形板状の部材である。フィーダ保持部252は、部品装着機9の右寄りの位置であってシャトル支持部251よりも高い位置に配置される。
【0015】
下側保持台26は、本体ケース21の内部に昇降可能に配置される。下側保持台26は、矩形の厚板状の部材である。下側保持台26は、前後方向および左右方向に複数個ずつ並んで配置される移送ローラ27をもつ。上側保持台28は、本体ケース21の内部の下側保持台26よりも上側に、昇降可能に配置される。上側保持台28は、矩形の厚板状の部材である。
【0016】
自動マガジン3Aは、本体ケース21の半分未満の高さを有する箱形状に形成されている。自動マガジン3Aは、下側保持台26の上側に着脱可能に保持される。保持された自動マガジン3Aの荷重は、移送ローラ27によって支持される。移送ローラ27は、自動マガジン3Aが載置された状態で回転することにより自動マガジン3Aを移送する本体側マガジン駆動部の一実施形態である。
【0017】
自動マガジン3Aの内部には、複数の保持棚31が上下に並んで設けられる。各保持棚31に、それぞれトレイTyが収納される。各トレイTyには、複数の部品が二次元格子状に配列されている。自動マガジン3Aは、後部が開放されており、トレイTyの後方への引き出しが可能となっている。なお、トレイTyが載置された図略のトレイ用パレットが各保持棚31に収納され、トレイTyおよびトレイ用パレットが一緒に引き出し可能となっていてもよい。
【0018】
自動マガジン3Aは、高さ位置が調整されることにより、自動交換窓22に対向する。自動マガジン3Aは、移送ローラ27の逆方向回転によって下側保持台26の前側に移送され、自動交換窓22を通り前方に向かう。これにより、自動マガジン3Aは、装置本体2から取り外される。また、自動マガジン3Aは、移送ローラ27の正方向回転によって、前方から自動交換窓22を通り下側保持台26へ移送される。これにより、自動マガジン3Aは、装置本体2に補給される。
【0019】
手動マガジン3Mは、自動マガジン3Aと同様に、本体ケース21の半分未満の高さを有する箱形状に形成されている。手動マガジン3Mは、上側保持台28の上側に保持される。手動マガジン3Mの内部には、複数の保持棚33が上下に並んで設けられる。各保持棚33に、それぞれトレイTyが収納される。各トレイTyには、複数の部品が二次元格子状に配列されている。なお、手動マガジン3Mおよび自動マガジン3Aは、同一形状であってもよい。
【0020】
手動マガジン3Mは、後部が開放されており、トレイTyの後方への引き出しが可能となっている。手動マガジン3Mは、高さ位置が調整されることにより、メンテナンス扉23に対向する。手動マガジン3Mは、前部が開放されており、メンテナンス扉23を通してメンテナンスが行われる。例えば、オペレータは、メンテナンス扉23を通してトレイTyを交換することにより部品を補給したり、手動マガジン3Mの内部を点検したりすることができる。さらに、オペレータは、手動マガジン3Mの全体を交換することもできる。
【0021】
昇降機構5は、自動マガジン3Aおよび手動マガジン3Mを独立して昇降させる。昇降機構5は、自動マガジン3Aと手動マガジン3Mの衝突を回避するように制御される。昇降機構5は、引き出し窓24から引き出すトレイTyを選択する役割を果たす。図4に示されるように、昇降機構5は、下側保持台26とともに自動マガジン3Aを昇降駆動する第1昇降機構51、および、上側保持台28とともに手動マガジン3Mを昇降駆動する第2昇降機構52を含む。第1昇降機構51および第2昇降機構52として、モータに駆動されるボールねじ送り機構を例示できる。
【0022】
シャトル機構4は、シャトル支持部251の上側に設けられる。シャトル機構4は、自動マガジン3Aまたは手動マガジン3MからいずれかのトレイTyを引き出して、部品を供給可能とする。シャトル機構4は、トレイTyまたはトレイ用パレットに設けられた被係止部を係止して本体ケース21から引き出したり、本体ケース21に戻し入れたりする係止部を有する。図2において、手動マガジン3Mの一番上側のトレイTyが引き出されている。吸着ノズル92は、引き出されたトレイTyに向かって下降し、負圧が供給されることにより部品を吸着する。
【0023】
マガジン自動交換部6Aは、装置本体2から回収する自動マガジン3Aと、装置本体2に補給する自動マガジン3Aとを交換する。マガジン自動交換部6Aは、図2に示されるように、走行部に相当する走行輪6A1を備えて、無人搬送車の形態に構成される。走行輪6A1は、部品倉庫63に続く走行路62に沿って走行する。これにより、マガジン自動交換部6Aは、部品倉庫63と部品装着機9の間を往復走行する。走行路62の近傍に、マガジン自動交換部6Aの走行位置を制御するための位置マーカが適宜配置される。マガジン自動交換部6Aは、位置マーカを検出して現在位置を認識する。
【0024】
マガジン自動交換部6Aの上側に、自動マガジン3Aを収容する2個の収容部6A5が設けられている。一方の収容部6A5には、補給される自動マガジン3Aが載置される。他方の収容部6A5には、回収される自動マガジン3Aが載置される。図1において、補給される自動マガジン3Aが実線で示され、回収される自動マガジン3Aが破線で示されている。これに限定されず、マガジン自動交換部6Aは、2個の自動マガジン3Aを収容して走行してもよく、あるいは、1個も自動マガジン3Aを収容せずに走行してもよい。
【0025】
収容部6A5は、前後方向および左右方向に複数個ずつ並んで配置される移送ローラ6A6をもつ。収容部6A5に収容された自動マガジン3Aの荷重は、移送ローラ6A6によって支持される。移送ローラ6A6は、自動マガジン3Aが載置された状態で回転することにより自動マガジン3Aを移送する交換側マガジン駆動部の一実施形態である。移送ローラ6A6は、装置本体2側の移送ローラ27と共同で自動マガジン3Aを受け渡す。
【0026】
詳述すると、受け渡しに先立ち、移送ローラ6A6と移送ローラ27が前後方向に並んで配置される。補給される自動マガジン3Aは、移送ローラ6A6の正方向回転によって、収容部6A5から後方に向かう。さらに、補給される自動マガジン3Aは、移送ローラ27の正方向回転によって、自動交換窓22から装置本体2の内部に補給される。また、回収される自動マガジン3Aは、移送ローラ27の逆方向回転によって、装置本体2の内部から自動交換窓22を通って取り外される。さらに、回収される自動マガジン3Aは、移送ローラ6A6の逆方向回転によって、収容部6A5に収容される。
【0027】
マガジン自動交換部6Aが部品倉庫63と部品装着機9の間を往復することに起因して、装置本体2とマガジン自動交換部6Aの高さ関係が変動するおそれがある。例えば、走行路62および床面Fの状況変化や、複数のマガジン自動交換部6Aの個体差などに起因して、収容部6A5の高さ位置が変動する。この対策として、高さ検出部7Aが設けられ、第1昇降機構51が高さ調整部として機能する。
【0028】
高さ検出部7Aは、本体ケース21の前面の自動交換窓22の下側に配置される。高さ検出部7Aは、概ね正対する収容部6A5の高さを検出する。高さ検出部7Aとして、収容部6A5の上下方向に延在するように貼付されたリニアスケールを読み取る検出方式のセンサを例示でき、これに限定されない。
【0029】
高さ調整部に相当する第1昇降機構51は、収容部6A5の検出された高さに基づいて、回収する自動マガジン3Aの高さ、すなわち下側保持台26の高さ位置を調整する。これにより、回収する自動マガジン3Aの下端の高さは、収容部6A5の上部の高さに一致する。また、第1昇降機構51は、収容部6A5の検出された高さに基づいて、補給する自動マガジン3Aに合わせて自身の高さ、すなわち下側保持台26の高さ位置を調整する。これにより、補給する自動マガジン3Aの下端の高さは、下側保持台26の上部の高さに一致する。したがって、自動マガジン3Aを移送するときに高さ方向の段差が無くなるため、スムーズな交換動作が実現される。
【0030】
2.トレイ式部品供給装置1のフィーダ装置3Fに関する構成
フィーダ装置3Fは、フィーダ保持部252の上側に配置され、図略のロック機構によって位置決めされる。本実施形態において、フィーダ装置3Fは、符号略のフィーダ用パレットおよび複数のフィーダで構成される。詳述すると、板状のフィーダ用パレットには、前後方向に延在する複数条のスロットが形成されている。そして、各スロットにフィーダが嵌め込まれて装備される。各フィーダは、複数の部品を保持するキャリアテープを繰り出して部品を供給する。これに限定されず、フィーダ装置3Fは、単一のフィーダで構成されていてもよい。
【0031】
フィーダ保持部252は、前後方向および左右方向に複数個ずつ並んで配置される移送ローラ29をもつ。フィーダ保持部252に保持されたフィーダ装置3Fの荷重は、移送ローラ29によって支持される。移送ローラ29は、フィーダ装置3Fが載置された状態で回転することによりフィーダ装置3Fを移送する本体側フィーダ駆動部の一実施形態である。
【0032】
フィーダ自動交換部6Fは、装置本体2から回収するフィーダ装置3Fと、装置本体2に補給するフィーダ装置3Fとを交換する。フィーダ自動交換部6Fは、図3に示されるように、走行部に相当する走行輪6F1を備えて、無人搬送車の形態に構成される。走行輪6F1は、部品倉庫63に続く走行路62に沿って走行するので、フィーダ自動交換部6Fは、部品倉庫63と部品装着機9の間を往復走行する。フィーダ自動交換部6Fは、マガジン自動交換部6Aと同一形状でも、相違する形状でもよい。
【0033】
部品倉庫63は、フィーダ装置3Fおよびキャリアテープの少なくとも一方を保管している。さらに、部品倉庫63は、自動マガジン3AおよびトレイTyの少なくとも一方を保管している。したがって、オペレータは、補給する自動マガジン3Aやフィーダ装置3Fの準備作業を部品倉庫63内で実施することができる。フィーダ自動交換部6Fは、準備されたフィーダ装置3Fを搬送して、装置本体2に補給する。また、フィーダ自動交換部6Fは、回収したフィーダ装置3Fを搬送して、部品倉庫63に持ち帰る。
【0034】
同様に、マガジン自動交換部6Aは、準備された自動マガジン3Aを搬送して、装置本体2に補給する。また、マガジン自動交換部6Aは、回収した自動マガジン3Aを搬送して、部品倉庫63に持ち帰る。なお、部品倉庫63および走行路62は、フィーダ自動交換部6Fおよびマガジン自動交換部6Aに対して共通とされているが、別々に設けられてもよい。
【0035】
フィーダ自動交換部6Fの上側に、フィーダ装置3Fを収容する2個の収容部6F5が設けられている。一方の収容部6F5には、補給するフィーダ装置3Fが載置される。他方の収容部6F5には、回収されるフィーダ装置3Fが載置される。図1において、補給されるフィーダ装置3Fが実線で示され、回収されるフィーダ装置3Fが破線で示されている。これに限定されず、フィーダ自動交換部6Fは、2台のフィーダ装置3Fを収容して走行してもよく、あるいは、1台もフィーダ装置3Fを収容せずに走行してもよい。
【0036】
収容部6F5は、前後方向および左右方向に複数個ずつ並んで配置される移送ローラ6F6をもつ。収容部6F5に収容されたフィーダ装置3Fの荷重は、移送ローラ6F6によって支持される。移送ローラ6F6は、フィーダ装置3Fが載置された状態で回転することによりフィーダ装置3Fを移送する交換側フィーダ駆動部の一実施形態である。移送ローラ6F6は、装置本体2側の移送ローラ29、および後述する高さ調整部7Jの移送ローラ73と共同でフィーダ装置3Fを受け渡す。
【0037】
フィーダ自動交換部6Fが部品倉庫63と部品装着機9の間を往復することに起因して、装置本体2とフィーダ自動交換部6Fの高さ関係が変動するおそれがある。例えば、走行路62および床面Fの状況変化や、複数のフィーダ自動交換部6Fの個体差などに起因して、収容部6F5の高さ位置が変動する。この対策として、高さ検出部7Fおよび高さ調整部7Jが設けられる。
【0038】
高さ調整部7Jは、フィーダ自動交換部6Fと装置本体2の間に配置される。高さ調整部7Jは、本体71、および本体71に対して昇降動作する中間収容部72からなる。中間収容部72の高さ位置は、フィーダ保持部252の高さ位置や、フィーダ自動交換部6Fの収容部6F5の高さ位置に概ね一致しており、上下両方向に調整範囲が設定されている。中間収容部72は、前後方向に通り抜けるフィーダ装置3Fを一時的に収容する。
【0039】
中間収容部72は、前後方向および左右方向に複数個ずつ並んで配置される移送ローラ73をもつ。中間収容部72に収容されたフィーダ装置3Fの荷重は、移送ローラ73によって支持される。移送ローラ73は、フィーダ装置3Fが載置された状態で回転することによりフィーダ装置3Fを移送する中間フィーダ駆動部の一実施形態である。
【0040】
高さ検出部7Fは、中間収容部72の前面に配置される。高さ検出部7Fは、概ね正対する収容部6F5の高さを検出する。高さ検出部7Fは、マガジン自動交換部6Aの高さ検出部7Aと同一の検出方式でも、相違する検出方式でもよい。
【0041】
高さ調整部7Jは、収容部6F5の検出された高さに基づき、中間収容部72を昇降動作させて、フィーダ装置3Fを昇降させる。これにより、フィーダ装置3Fを収容部6F5と中間収容部72の間で移送するときに、高さ方向の段差が無くなる。さらに、フィーダ装置3Fを中間収容部72とフィーダ保持部252の間で移送するときに、高さ方向の段差が無くなる。したがって、フィーダ装置3Fのスムーズな交換動作が実現される。
【0042】
フィーダ装置3Fの受け渡しに先立ち、移送ローラ6F6、移送ローラ73、および移送ローラ29が前後方向に直線的に並んで配置される。補給されるフィーダ装置3Fは、移送ローラ6F6、移送ローラ73、および移送ローラ29の正方向回転によって、フィーダ自動交換部6Fから高さ調整部7Jを経由して装置本体2に移送される。また、回収されるフィーダ装置3Fは、まず、ロック機構が解除される。その後、回収されるフィーダ装置3Fは、移送ローラ29、移送ローラ73、および移送ローラ6F6の逆方向回転によって、装置本体2から高さ調整部7Jを経由してフィーダ自動交換部6Fに移送される。
【0043】
3.トレイ式部品供給装置1の制御の構成
次に、トレイ式部品供給装置1の制御の構成について、図4および図5を参考にして説明する。制御装置8は、CPUを有してソフトウェアで動作するコンピュータ装置を用いて構成される。制御装置8は、装置本体2に設けられており、その配設位置は特に制約されない。図4に示されるように、制御装置8は、昇降機構5の第1昇降機構51および第2昇降機構52を制御してトレイTyを選択し、シャトル機構4を制御してトレイTyの出し入れを実行する。
【0044】
制御装置8は、自動マガジン3Aの交換に関する制御を行う本体側制御部81を含む。本体側制御部81は、高さ検出部7Aから検出結果を取得する。さらに、本体側制御部81は、移送ローラ27の正方向回転、逆方向回転、および停止を切り替え制御する。かつ、本体側制御部81は、高さ調整部としての第1昇降機構51の動作を制御する。
【0045】
一方、マガジン自動交換部6Aは、自動マガジン3Aの交換に関する制御を行う交換側制御部82を有する。交換側制御部82は、走行輪6A1を制御して、マガジン自動交換部6Aを所定の交換実施位置に位置決めする。交換実施位置は、いずれかの収容部6A5が自動交換窓22に正対する位置であり、2箇所ある。また、交換側制御部82は、移送ローラ6A6の正方向回転、逆方向回転、および停止を切り替え制御する。
【0046】
本体側制御部81および交換側制御部82は、図略の無線通信部により、自動マガジン3Aの受け渡しに関する制御情報CAを授受する。交換側制御部82から本体側制御部81に送信する制御情報CAには、マガジン自動交換部6Aが交換実施位置に位置決めされた情報、補給する自動マガジン3Aの送り出しを開始した情報、および、回収する自動マガジン3Aの受け取りが終了した情報などがある。
【0047】
また、本体側制御部81から交換側制御部82に送信する制御情報CAには、第1昇降機構51による下側保持台26の高さ位置の調整が終了した情報、回収する自動マガジン3Aの送り出しを開始した情報、および、補給する自動マガジン3Aの受け取りが終了した情報などがある。本体側制御部81および交換側制御部82は、相互に授受した制御情報CAを参照して、自動マガジン3Aの交換動作を共同で制御する。
【0048】
さらに、制御装置8は、図5に示されるように、フィーダ装置3Fの交換に関する制御を行う本体側制御部85を含む。本体側制御部85は、高さ検出部7Fから検出結果を取得する。さらに、本体側制御部85は、移送ローラ29および移送ローラ73の正方向回転、逆方向回転、および停止を切り替え制御する。かつ、本体側制御部85は、高さ調整部7Jの中間収容部72の高さ位置を制御する。
【0049】
一方、フィーダ自動交換部6Fは、フィーダ装置3Fの交換に関する制御を行う交換側制御部86を有する。交換側制御部86は、走行輪6F1を制御して、フィーダ自動交換部6Fを所定の交換実施位置に位置決めする。交換実施位置は、いずれかの収容部6F5がフィーダ保持部252に正対する位置であり、2箇所ある。また、交換側制御部86は、移送ローラ6F6の正方向回転、逆方向回転、および停止を切り替え制御する。
【0050】
本体側制御部85および交換側制御部86は、図略の無線通信部により、フィーダ装置3Fの受け渡しに関する制御情報CFを授受する。交換側制御部86から本体側制御部85に送信する制御情報CFには、フィーダ自動交換部6Fが交換実施位置に位置決めされた情報、補給するフィーダ装置3Fの送り出しを開始した情報、および、回収するフィーダ装置3Fの受け取りが終了した情報などがある。
【0051】
また、本体側制御部85から交換側制御部86に送信する制御情報CFには、高さ調整部7Jの高さ位置の調整が終了した情報、回収するフィーダ装置3Fの送り出しを開始した情報、および、補給するフィーダ装置3Fの受け取りが終了した情報などがある。本体側制御部85および交換側制御部86は、相互に授受した制御情報CFを参照して、フィーダ装置3Fの交換動作を共同で制御する。
【0052】
4.トレイ式部品供給装置1の動作
次に、トレイ式部品供給装置1が自動マガジン3Aを交換するときの動作について、図6の動作フローを参考にして説明する。動作フローの実行に先立ち、マガジン自動交換部6Aの一方の収容部6A5に補給される自動マガジン3Aが収容され、他方の収容部6A5は空の状態とされる。そして、マガジン自動交換部6Aは、部品装着機9の近傍位置まで走行している。
【0053】
図6のステップS1で、マガジン自動交換部6Aは、第1の交換実施位置に位置決めされる。このとき、空の収容部6A5が自動交換窓22に正対する。次のステップS2で、高さ検出部7Aは、空の収容部6A5が自動マガジン3Aを回収するための交換高さを検出する。さらに、第1昇降機構51は、収容部6A5の検出された交換高さに基づいて、回収する自動マガジン3Aの高さを調整する。次のステップS3で、本体側制御部81および交換側制御部82の共同制御にしたがい、移送ローラ27および移送ローラ6A6が共同で動作して、装置本体2に収容されていた自動マガジン3Aを空の収容部6A5に回収する。
【0054】
次のステップS4で、マガジン自動交換部6Aは、第2の交換実施位置に位置決めされる。このとき、補給する自動マガジン3Aが収容された収容部6A5が自動交換窓22に正対する。次のステップS5で、本体側制御部81および交換側制御部82の共同制御により、移送ローラ6A6および移送ローラ27が共同で動作して、収容部6A5の自動マガジン3Aを装置本体2に補給する。
【0055】
なお、フィーダ装置3Fの交換動作においても、先に回収が行われ、次に補給が行われる点は同様であり、詳細な説明は省略する。ただし、高さ調整部7Jは、回収および補給の両方で、移送するフィーダ装置3Fの高さを調整する。
【0056】
実施形態のトレイ式部品供給装置1によれば、マガジン自動交換部6Aが装置本体2から回収する自動マガジン3Aと、装置本体2に補給する自動マガジン3Aとを交換するので、複数のトレイTyを収容する自動マガジン3Aの交換を自動で行うことができる。
【0057】
また、手動マガジン3Mを併用するので、自動マガジン3Aの交換時に手動マガジン3Mからの部品供給が可能であり、部品装着機9の装着作業が中断されない。さらに、マガジン自動交換部6Aが部品倉庫63まで走行するので、部品倉庫63の省人化、自動化に寄与できる。加えて、トレイ式部品供給装置1は、フィーダ自動交換部6Fを備えるので、フィーダ装置3Fの交換も併せて自動化できる。
【0058】
5.実施形態の応用および変形
なお、高さ検出部(7A、7F)や高さ調整部7Jは、マガジン自動交換部6Aやフィーダ自動交換部6Fの側に設けられてもよい。また、フィーダ装置3F、フィーダ自動交換部6F、および高さ調整部7Jを省略した構成を採用することができる。さらに、シャトル機構4を使用して、自動マガジン3Aと手動マガジン3Mの間でトレイTyの入れ替えを行ってもよい。これにより、手動マガジン3Mに対するオペレータの作業が省力化される。
【0059】
また、手動マガジン3Mを備えず、自動マガジン3Aのみとすることもできる。この態様では、自動マガジン3Aの高さ位置を一定とし、昇降機構5がシャトル機構4を昇降駆動して、引き出すトレイTyを選択する構成としてもよい。さらに、上側保持台28および下側保持台26に移送ローラ27を設け、上側保持台28および下側保持台26のいずれに対してもマガジン自動交換部6Aが自動マガジン3Aを自動交換するように構成することもできる。
【0060】
また、マガジン自動交換部6Aやフィーダ自動交換部6Fは、無人搬送車の形態である必要はなく、据え置き型であってもよい。あるいは、無人搬送車の形態であっても、収容部(6A5、6F5)の高さ位置の変動を無視できる程度に小さく構成することが可能である。これらの態様では、高さ検出部(7A、7F)および高さ調整部7Jは不要となる。実施形態は、その他にも様々な応用や変形が可能である。
【符号の説明】
【0061】
1:トレイ式部品供給装置 2:装置本体 21:本体ケース 26:下側保持台 27:移送ローラ 28:上側保持台 29:移送ローラ 3A:自動マガジン 3M:手動マガジン 3F:フィーダ装置 4:シャトル機構 5:昇降機構 51:第1昇降機構 52:第2昇降機構 6A:マガジン自動交換部 6A1:走行輪 6A5:収容部 6A6:移送ローラ 6F:フィーダ自動交換部 6F1:走行輪 6F5:収容部 6F6:移送ローラ 63:部品倉庫 7A:高さ検出部 7F:高さ検出部 7J:高さ調整部 72:中間収容部 73:移送ローラ 8:制御装置 81:本体側制御部 82:交換側制御部 85:本体側制御部 86:交換側制御部 Ty:トレイ CA:制御情報 CF:制御情報
図1
図2
図3
図4
図5
図6