(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024111287
(43)【公開日】2024-08-16
(54)【発明の名称】外科用バー
(51)【国際特許分類】
A61B 17/16 20060101AFI20240808BHJP
【FI】
A61B17/16
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024101237
(22)【出願日】2024-06-24
(62)【分割の表示】P 2020182938の分割
【原出願日】2020-10-30
(71)【出願人】
【識別番号】000150327
【氏名又は名称】株式会社ナカニシ
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】飯塚 隆光
(57)【要約】
【課題】操作性を向上しつつ高い切削性能が得られ、より正確な切削を可能にする外科用バーを提供する。
【解決手段】外科用バー10の切削部11は、軸部13の先端側から見た場合に、切削部11の軸方向先端部の回転軸線を挟んで形成される稜線と、稜線の一端に接続され、切削部11の軸部13と接続される軸方向後端に向けて延びる第一の主刃BL1と、稜線の他端に接続され、回転軸線を基準に第1の主刃と回転対称となるように、切削部11の軸方向後端に向けて延びる第2の主刃BL3とを備える。第1の主刃BL1は、切削部11の先端領域で稜線の一端から形成される第1の先端刃BL1Aを有し、第2の主刃BL3は、切削部11の先端領域で稜線の他端から形成される第2の先端刃BL3Aを有する。第1の先端刃BL1A及び第2の先端刃BL3Aとは、切削部11の回転軸線に直交する同一の平面内に配置される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸線を中心に回転される軸部と、前記軸部の先端に設けられたボール状の切削部と、を有する外科用バーであって、
前記切削部は、
前記切削部を前記軸部の先端側から見た場合に、前記切削部の軸方向先端部に前記回転軸線を挟んで形成される稜線と、
前記稜線の一端に接続され、前記切削部の前記軸部と接続される軸方向後端に向けて延びる第1の主刃と、
前記稜線の他端に接続され、前記回転軸線を基準に前記第1の主刃と回転対称となるように、前記切削部の前記軸方向後端に向けて延びる第2の主刃と、
を備え、
前記第1の主刃は、前記切削部の先端領域で前記稜線の一端から形成される第1の先端刃を有し、
前記第2の主刃は、前記切削部の先端領域で前記稜線の他端から形成される第2の先端刃を有し、
前記第1の先端刃及び前記第2の先端刃とは、前記切削部の前記回転軸線に直交する同一の平面内に配置される、
外科用バー。
【請求項2】
請求項1に記載の外科用バーであって、
前記第1の主刃は、前記第1の先端刃における径方向外側の端部に接続され、前記切削部の前記軸方向後端に向けてねじれながら延びる第1の主外周刃を有し、
前記第2の主刃は、前記第2の先端刃における径方向外側の端部に接続され、前記切削部の前記軸方向後端に向けてねじれながら延びる第2の主外周刃を有する、
外科用バー。
【請求項3】
請求項2に記載の外科用バーであって、
前記第1の主外周刃と、前記第2の主外周刃とのそれぞれは、前記切削部の軸方向に沿って刃形状が変化している、
外科用バー。
【請求項4】
請求項3に記載の外科用バーであって、
前記第1の主外周刃と、前記第2の主外周刃とのそれぞれは、前記切削部の最大直径位置より軸方向後端側に、前記最大直径位置より軸方向先端側の刃先角よりも小さい刃先角の後方切れ刃領域を有する、
外科用バー。
【請求項5】
請求項4に記載の外科用バーであって、
前記後方切れ刃領域は、前記切削部の前記最大直径位置から軸方向後端までの軸方向長さにおける半分以上の長さにわたって、前記最大直径位置から前記軸部に向けて形成されている、
外科用バー。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の外科用バーであって、
前記第1の先端刃のすくい面となる第2のフラットギャッシュと、
前記第2の先端刃のすくい面となる第1のフラットギャッシュとを有し、
前記第2のフラットギャッシュは、前記稜線の一端から、前記軸方向先端部に前記回転軸線を挟んで相互に傾斜して設けられて前記稜線を形成する一対の先端面のうち一方の先端面の径方向外縁端を越えて形成され、
前記第1のフラットギャッシュは、前記稜線の他端から前記一対の先端面のうち他方の先端面の径方向外縁端を超えて形成されている、
外科用バー。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の外科用バーであって、
前記第1の主刃及び前記第2の主刃は、それぞれ径方向に沿う主溝と、周方向に沿う外周逃げ面とを有し、
前記外周逃げ面のそれぞれは、互いに異なる逃げ角を形成する複数の面から構成される、
外科用バー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外科用バーに関する。
【背景技術】
【0002】
外科手術用の医療器具の一つに、骨手術用器械に用いられる外科用バー(surgical burs)が知られている(特許文献1~3)。外科用バーは、軸部と、軸部の先端に設けられ多数の刃が形成された切削部とを備える。多数の刃は、骨等の組織を切除する切刃として形成され、軸部は、ハンドピース等の駆動軸に固定される。そして、外科手術中においては、駆動軸を作動させて外科用バーを回転させながら、除去したい組織に切削部を押し当てることで、回転する切刃により組織を切削する。
このような外科用バーは、例えば、整形外科手術、脳神経外科手術、脊椎外科手術及び耳鼻咽喉科手術、等の各種の手術、又は組織の一部を選択的に除去する術式に用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2013-502943号公報
【特許文献2】特表2016-527003号公報
【特許文献3】特表2019-531140号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の特許文献1~3のように、円滑な外科手術を遂行するため、種々の工夫を凝らした外科用バーが提案されている。外科用バーにおいては、種々の手術場面に的確に対応するため、切削部の高い切削性能と、術中の正確な操作性とを兼ね備えることが求められている。例えば、切削部を骨に押し当てた際に生じる跳ね返りは、正確な外科手術の遂行のため十分に抑制する必要があるが、この跳ね返りの抑制は、切削性能とのトレードオフの関係になりやすく、更なる改良が要望されている。そのため、術者が扱い易く、より高い切削性能を備えた外科用バーの開発が急務となっている。
【0005】
そこで本発明は、操作性を向上しつつ高い切削性能が得られ、より正確な切削を可能にする外科用バーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る外科用バーは、下記の構成からなる。
回転軸線を中心に回転される軸部と、前記軸部の先端に設けられたボール状の切削部と、を有する外科用バーであって、
前記切削部は、
前記切削部を前記軸部の先端側から見た場合に、前記切削部の軸方向先端部に前記回転軸線を挟んで形成される稜線と、
前記稜線の一端に接続され、前記切削部の前記軸部と接続される軸方向後端に向けて延びる第1の主刃と、
前記稜線の他端に接続され、前記回転軸線を基準に前記第1の主刃と回転対称となるように、前記切削部の前記軸方向後端に向けて延びる第2の主刃と、
を備え、
前記第1の主刃は、前記切削部の先端領域で前記稜線の一端から形成される第1の先端刃を有し、
前記第2の主刃は、前記切削部の先端領域で前記稜線の他端から形成される第2の先端刃を有し、
前記第1の先端刃及び前記第2の先端刃とは、前記切削部の前記回転軸線に直交する同一の平面内に配置される、
外科用バー。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、操作性を向上しつつ高い切削性能が得られ、より正確な切削が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、外科手術システムの概略構成図である。
【
図3】
図3は、外科用バーの切削部の斜視図である。
【
図4】
図4は、外科用バーの切削部の正面図である。
【
図5】
図5は、外科用バーの切削部の側面図である。
【
図6】
図6は、切削部の軸方向先端の拡大図である。
【
図7】
図7は、切削部の軸方向先端の一部拡大斜視図である。
【
図8】
図8は、
図7に示すVIII-VIII線に沿って切削部を切断した断面図である。
【
図9】
図9は、切削部を軸方向先端から見た第1切削刃、第2切削刃、第3切削刃、第4切削刃における各刃先を模式的に示す説明図である。
【
図16】
図16は、切削部を切削対象に垂直に押し当てた様子を示す説明図である。
【
図17】
図17は、傾斜させた切削部の軸方向後端側を切削対象に押し当てながら切削する様子を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
ここでは、本発明に係る外科用バーを用いる医療機器として、骨手術器械である外科手術システムを例示するが、これに限らず歯科用等の他の用途の医療機器であってもよい。
【0010】
<外科手術システム>
図1は、外科手術システム100の概略構成図である。
外科手術システム100は、コントロールユニット101と、ハンドピース103と、
ハンドピース103をコントロールユニット101に接続する接続ケーブル105と、フットスイッチ107と、を含んで構成される。
【0011】
ハンドピース103は、アタッチメント103aと把持部103bとを備える。ハンドピース103の先端のアタッチメント103aには、外科用バー10が着脱自在に取り付けられている。ハンドピース103の把持部103bには、外科用バー10を回転駆動する不図示のエアモータ又は電気モータ(電動機)等の動力源が設けられる。その動力源は、コントロールユニット101に接続されたフットスイッチ107によって回転又は回転停止される。コントロールユニット101は、ハンドピース103による駆動を制御する。
【0012】
<外科用バー>
図2は、外科用バー10の構成図である。
外科用バー10は、回転軸線Lに沿った棒状の軸部13と、軸部13の一方の先端に設けられたボール状の切削部11とを有する。ここでいうボール状とは、外科用バー10を、回転軸線Lを中心に回転させた場合に、切削部11に形成される刃先を包絡した曲面の形状が、回転軸線Lを中心とする球又は回転楕円体の表面形状を含むことを意味する。
この外科用バー10は、ステンレス鋼、超硬合金(タングステンカーバイド)等の硬質材料によって形成される。軸部13の切削部11と反対側の基端には、ハンドピース103の回転軸に固定される接続部15が設けられる。回転軸に固定された外科用バー10は、
ハンドピース103の回転駆動によって切削部11と軸部13とが回転軸線を中心に回転される。
【0013】
この外科手術システム100では、術者がハンドピース103を持ちながらフットスイッチ107を操作することで、外科用バー10を高速回転させる。そして、術者が外科用バー10の切削部11を所望の除去部位に押し当てたままハンドピース103を動かすと、回転する切削部11によって当該除去部位を切削できるようになっている。
【0014】
<切削部の構成>
以下に、
図3、
図4及び
図5を参照して切削部11の構成について説明を行う。
図3は、外科用バー10の切削部11の斜視図である。
図3に示すように、軸部13の先端に設けられた切削部11には、ボール状の硬質材料の表面に、詳細を後述する種々の面、溝等を研削及び研磨することで、複数の切削刃が形成されている。切削部11は、刃渡りの長さの異なる複数種の切削刃を備える。複数の切削刃のうち、刃渡りの長い方を主刃と呼び、短い方を副刃と呼ぶ。
【0015】
本構成の切削部11は、第1の主刃である第1切削刃BL1と、第2の主刃である第3切削刃BL3と、第1の副刃である第2切削刃BL2と、第2の副刃である第4切削刃BL4とを備えている。
【0016】
以下の説明では、外科用バー10の切削部11は、軸部13との接続部を軸方向後端、
この接続部側を後端側といい、軸部13とは反対側の端部を先端又は軸方向先端、この端部側を先端側という。また、軸部13の軸方向をX方向、X方向に直交する方向をY方向、X方向及びY方向に直交する方向をZ方向とする。Y方向は第1切削刃BL1と第3切削刃BL3に沿う方向であり、Z方向は第2切削刃BL2と第4切削刃BL4に沿う方向である。そして、同一の部材又は同一の部位に対しては、同一の符号を付与することで、
その説明を省略、又は簡単にする。
【0017】
図4は、外科用バー10の切削部11の正面図である。
図4に示すように、切削部11には、外科用バー10の先端側の正面から見て、回転軸線Lを中心として時計回りに第1切削刃BL1(主刃)、第2切削刃BL2(副刃)、第3切削刃BL3(主刃)、第4切削刃BL4(副刃)の合計4枚の切削刃が、それぞれ異なる周方向位置に、この順で形成されている。
【0018】
つまり、第1切削刃BL1と第3切削刃BL3とは、切削部11の軸方向先端で、回転軸線L(及び後述するチゼルCE)を基準に対称に配置されて、一対の主刃を構成する。
第2切削刃BL2と第4切削刃BL4とは、主刃同士の間に配置されて、一対の副刃を構成する。切削時には、切削部11は、外科用バー10の先端側から見たとき、回転方向Rに対応して反時計回りに回転し、主刃と副刃とが交互に切削に寄与する。
【0019】
図5は、外科用バー10の切削部11の側面図である。
図5に示すように、上記した主刃と副刃は、回転軸線Lを中心として、切削部11の基端側に向けたねじれに沿って軸部13に向けて延びている。
【0020】
上述した切削部11の各刃と、各刃に対応するすくい面、逃げ面等の関係を表1に纏めて示す。
【0021】
【0022】
ここでは、切削部11の各面を符号で表現するにあたり、各面を次のように定義する。
すなわち、
図4に示すように、切削部11を先端側から見た場合に、回転軸線Lを中心として、4枚の切削刃が90°毎に配置される。4枚の切削刃のうち、切削部11の回転方向Rに関して、第1切削刃BL1の刃先から第2切削刃BL2の刃先までの間の第1象限の範囲内に配置される面については、個々の面を種類毎に個別にアルファベットで示すとともに、各アルファベットにその象限の数(ここでは第1象限の“1”)を付与する。同様に、第2切削刃BL2の刃先から第3切削刃BL3の刃先までの間を第2象限、第3切削刃BL3の刃先から第4切削刃BL4の刃先までの間を第3象限、第4切削刃BL4の刃先から第1切削刃BL1の刃先までの間を第4象限として、各面をそれぞれ区別して定義する。
【0023】
図3、
図4、
図5に示す主刃及び副刃の構成は、次のとおりであり、各面の詳細については後述する。
主刃である第1切削刃BL1は、第1の先端刃BL1Aと、第1の主外周刃BL1Bとを有する。
主刃である第3切削刃BL3は、第2の先端刃BL3Aと、第2の主外周刃BL3Bとを有する。
副刃である第2切削刃BL2は、第1の副外周刃BL2Bを有する。
副刃である第4切削刃BL4は、第2の副外周刃BL4Bを有する。
第1の先端刃BL1Aは、すくい面である第2のフラットギャッシュJ4と、第1の先端刃逃げ面(平面)A1により形成される。
第2の先端刃BL3Aは、すくい面である第1のフラットギャッシュJ2と、第2の先端刃逃げ面(平面)A3により形成される。
第1の主外周刃BL1Bは、第4のリードギャッシュB4と第4の主溝H4をすくい面とし、第1の外周2番E1を逃げ面として形成される。また、第1の外周2番E1に続く逃げ面として、第1の外周3番F1、第1の外周4番G1、第1の背溝I1を有する。
第2の主外周刃BL3Bは、第2のリードギャッシュB2と第2の主溝H2をすくい面とし、第3の外周2番E3を逃げ面として形成される。また、第3の外周2番E3に続く逃げ面として、第3の外周3番F3、第3の外周4番G3、第3の背溝I3を有する。
【0024】
第1の副外周刃BL2Bは、第1のリードギャッシュB1と第1の主溝H1をすくい面とし、第2の外周2番E2を逃げ面として形成される。また、第2の外周2番E2に続く逃げ面として、第2の外周3番F2、第2の外周4番G2、第2の背溝I2を有する。さらに、第1の副外周刃BL2Bの長さを調整する面として、第1の副刃調整面D2を有する。
第2の副外周刃BL4Bは、第3のリードギャッシュB3と第3の主溝H3をすくい面とし、第4の外周2番E4を逃げ面として形成される。また、第4の外周2番E2に続く逃げ面として、第4の外周3番F4、第4の外周4番G4、第4の背溝I4を有する。さらに、第2の副外周刃BL4Bの長さを調整する面として、第2の副刃調整面D4を有する。
【0025】
<チゼルと第1の先端刃及び第2の先端刃の構成>
図6は、切削部11の軸方向先端の拡大図である。
切削部11の軸方向先端には、一対の先端面である第1の先端刃逃げ面A1と第2の先端刃逃げ面A3とが形成される。第1の先端刃逃げ面A1と第2の先端刃逃げ面A3とは、回転軸線Lを挟んで相互に傾斜して設けられ、互いに交差して点P1と点P2との間に稜線を形成する。この稜線に沿ってチゼルCEが形成される。つまり、第1の先端刃逃げ面A1と第2の先端刃逃げ面A3とが接続される点P1と点P2とを結ぶ線(稜線)がチゼルCEとなる。
【0026】
第1の先端刃逃げ面(先端面)A1は、一方の主刃である第1切削刃BL1に接続される。また、第2の先端刃逃げ面(先端面)A3は、他方の主刃である第3切削刃BL3に接続される。
【0027】
具体的には、第1の先端刃逃げ面A1の回転方向R前方の縁部には、第1の先端刃BL1Aが形成される。同様に、第2の先端刃逃げ面A3の回転方向R前方の縁部には、第2の先端刃BL3Aが形成される。第1の主外周刃BL1Bは、点P1から点P3までの間で、点P1と点P2とを結ぶ線に沿って形成され、その一端が点P1においてチゼルCEと接続される。同様に、第2の主外周刃BL3Bは、点P2から点P4までの間で、点P2と点P4とを結ぶ線に沿って形成され、その一端が点P2においてチゼルCEと接続される。
【0028】
図5に戻り、切削部11の側面を参照する。
図5に示すように、第1の先端刃BL1Aと第2の先端刃BL3Aは、回転軸線Lを挟んだ幅Wにわたって、回転軸線Lに直交する同一の平面内に配置される。換言すると、一対の先端刃を構成する第1の先端刃BL1Aと第2の先端刃BL3Aとは、切削部11が回転するときの刃先の軌跡が、点P3と、点P1と、点P2と、点P4とをこの順に結ぶ連結線を含む平面となるように形成される。このため、切削部11の軸方向先端を切削対象に正面から突き当てた際、チゼルCEと第1の先端刃BL1Aと第2の先端刃BL3Aは、上記連結線に沿って切削対象と線接触する。そして、切削部11が回転すると、第1の先端刃BL1Aと第2の先端刃BL3Aとの各々は、切削部11が回転するとき、回転軸線Lに平行な方向を法線とする平面を運動する。これにより、一対の先端刃である第1の先端刃BL1A及び第2の先端刃BL3Aによって、切削対象が切削される。
【0029】
一般的にラウンドカッティングと呼ばれる外科用バーでは、回転軸線Lを軸に回転させたときの外周形状(刃先が描く軌跡)は略球状である。そのため、ラウンドカッティングの先端と切削対象とは点接触の状態となり、切削しにくかった。
本構成の切削部11の軸方向先端は、チゼルCEと、第1の先端刃BL1A及び第2の先端刃BL3Aとが切削対象に線接触し、第1の先端刃BL1A及び第2の先端刃BL3Aが切り刃として機能する。そのため、切削部11の軸方向先端を切削対象に正面から突き当てた場合でも、安定した切削が可能となる。
【0030】
<主刃の構成>
次に、第1の主刃である第1切削刃BL1と、第2の主刃である第3切削刃BL3との詳細を説明する。
図6に示すように、第1切削刃BL1は、前述した第1の先端刃BL1Aと、第1の主外周刃BL1Bとを備える。第1の先端刃BL1Aは、チゼルCEの一端である点P1から、点P3の間に形成された直線状の刃(直刃)である。第1の主外周刃BL1Bは、第1の先端刃逃げ面A1の径方向外縁端、つまり、第1の先端刃BL1Aにおける径方向外側の端部である点P3から、切削部11のボール状の外周に沿って、軸方向後端に向けてねじれながら延びている。
【0031】
第3切削刃BL3は、前述した第2の先端刃BL3Aと、第2の主外周刃BL3Bとを備える。第2の先端刃BL3Aは、チゼルCEの他端である点P2から、点P4までの間の形成された直線状の刃(直刃)である。第2の主外周刃BL3Bは、第2の先端刃逃げ面A2の径方向外縁端、つまり、第2の先端刃BL3Aにおける径方向外側の端部であるP4から、切削部11のボール状の外周に沿って、軸方向後端に向けてねじれながら延びている。
【0032】
第1の先端刃BL1Aと第2の先端刃BL3Aは、回転軸線Lを中心とする180°の回転対称で形成される。第1の先端刃BL1Aは、第1の先端刃逃げ面(一方の先端面)A1を逃げ面、第2のフラットギャッシュJ4をすくい面として形成される。第2の先端刃BL3Aは、第2の先端刃逃げ面(他方の先端面)A3を逃げ面、第1のフラットギャッシュJ2をすくい面として形成される。
【0033】
このように、第2のフラットギャッシュJ4は、第1の先端刃BL1A(点P1と点P3とを結ぶ線に対応する刃)のすくい面として作用する。同様に、第1のフラットギャッシュJ2は、第2の主外周刃BL3Bのすくい面として作用する。
【0034】
第1の先端刃BL1Aと第2の先端刃BL3Aとは、第1の先端刃BL1Aの端部となる点P1,点P3、及び第2の先端刃BL3Aの端部となる点P2、点P4においても、
均等に切れ味のよい刃に形成されることが好ましい。
そのため、第2の先端刃BL3Aのすくい面を形成する第1のフラットギャッシュJ2は、点P2を径方向内側に超えて、第2のリードギャッシュB2の位置まで形成されており、且つ、点P4よりも径方向外側の第2の主外周刃BL3Bの位置まで形成されている。つまり、第1のフラットギャッシュJ2は、チゼルCEの他端である点P2から、第2の先端刃逃げ面A2の径方向外縁端である点P4までを結ぶ線の両端を超える長さに形成されている。
【0035】
同様に、第1の先端刃BL1Aのすくい面を形成する第2のフラットギャッシュJ4は、点P1を径方向内側に超えて、第4のリードギャッシュB4の位置まで形成されており、且つ、点P3よりも径方向外側の第1の主外周刃BL1Bの位置まで形成されている。
つまり、第2のフラットギャッシュJ4は、チゼルCEの一端である点P1から、第1の先端刃逃げ面A1の径方向外縁端である点P3までを結ぶ線の両端を超える長さに形成されている。
【0036】
これにより、第1の先端刃BL1Aのすくい面となる第2のフラットギャッシュJ4と、第2の先端刃BL3Aのすくい面となる第1のフラットギャッシュJ2とを確実に構成でき、第1の先端刃BL1A及び第2の先端刃BL3Aを、刃全体にわたって、均等に高い切れ味にできる。また、切削時に発生する切削屑(切粉)を滑らかに排出できるようになる。
【0037】
<主刃の外周逃げ面>
ここで、再び
図4を参照する。第1の先端刃BL1Aに接続される第1の主外周刃BL1Bは、主に第4のリードギャッシュB4と、すくい面となる第4の主溝H4と、逃げ面となる第1の外周2番E1とにより形成される。第2の先端刃BL3Aに接続される第2の主外周刃BL3Bは、主に第2のリードギャッシュB2と、すくい面となる第2の主溝H2と、逃げ面となる第3の外周2番E3とにより形成される。
【0038】
厳密には、上記した第1の主外周刃BL1Bの構成要素は、第2のフラットギャッシュJ4、第4のリードギャッシュB4、第4の主溝H4、及び後述する複数の外周逃げ面となる。また、第2の主外周刃BL3Bの構成要素は、第1のフラットギャッシュJ2、第2のリードギャッシュB2、第2の主溝H2、及び後述する複数の外周逃げ面となる。なお、第1の主外周刃BL1B及び第2の主外周刃BL3Bに対する第1のフラットギャッシュJ2及び第2のフラットギャッシュJ4の作用は小さい。そのため、以降の第1の主外周刃BL1B及び第2の主外周刃BL3Bの説明においては、第1のフラットギャッシュJ2,第2のフラットギャッシュJ4については詳細な説明を省略する。
【0039】
次に、上記のすくい面と複数の外周逃げ面とを、切削部11の正面を示す
図4を参照して説明する。
図4に示すように、第1の主外周刃BL1Bのすくい面は、第4のリードギャッシュB4と第4の主溝H4である。また、第1の主外周刃BL1Bの外周逃げ面は、第1の外周2番E1と、第1の外周3番F1と、第1の外周4番G1である。
同様に、第2の主外周刃BL3Bのすくい面は、第2のリードギャッシュB2と第2の主溝H2である。また、第2の主外周刃BL3Bの外周逃げ面は、第3の外周2番E3と、第3の外周3番F3と、第3の外周4番G3である。
このように、第1の主外周刃BL1Bと第2の主外周刃BL3Bの外周逃げ面は、それぞれ逃げ角が異なる複数の面を有して構成される。
【0040】
図7は、切削部11の軸方向先端の一部拡大斜視図である。
図7に示すように、第1の主外周刃BL1Bの外周逃げ面は、第1の外周2番E1と、第1の外周3番F1とを備えるとともに、第1の主外周刃BL1Bの外周逃げ面を補うように第1の外周3番F1の角を削っている第1の外周4番G1を更に備える。
【0041】
同様に、第2の主外周刃BL3Bの外周逃げ面も、
図4に示すように、第3の外周2番E3、第3の外周3番F3を備えるとともに、第2の主外周刃BL3Bの外周逃げ面を補うように第3の外周3番F3の角を削っている外周4番G3を更に備える。
【0042】
図8は、
図7に示すVIII-VIII線に沿って切削部11を切断した断面図である。
上述したように、第1の主外周刃BL1Bの外周逃げ面は、第1の外周2番E1、第1の外周3番F1及びそれを補う第1の外周4番G1を有して構成される。これら第1の外周2番E1、第1の外周3番F1及びそれを補う第1の外周4番G1は、
図8に示すように、互いに異なる複数の逃げ角γa,γb,γcを形成している。
【0043】
第1の主外周刃BL1Bは、互いに異なる逃げ角を形成する複数の外周逃げ面を有することにより、適正な刃の厚さを確保でき、刃の剛性を向上できる。第2の主外周刃BL3Bについても同様に、複数の外周逃げ面によって適正な刃の厚さを確保でき、刃の剛性を向上できる。
【0044】
<副刃の構成と、主刃と副刃との関係>
次に、副刃を構成する第2切削刃BL2と第4切削刃BL4の詳細と、を説明する。
図4に戻り、切削部11の正面を参照する。
図4に示すように、第2切削刃BL2と第4切削刃BL4とは、切削部11の主刃(第1切削刃BL1、第3切削刃BL3)と異なる周方向位置に設けられる。第1の副刃である第2切削刃BL2は、第1の副外周刃BL2Bを有し、第2の副刃である第4切削刃BL4は第2の副外周刃BL4Bを有する。
【0045】
第1の副外周刃BL2Bと第2の副外周刃BL4Bとは、回転軸線Lを中心として回転させたときに、相互に重なり合う回転対称形状を有する。また、上述した第1の主外周刃BL1Bと第2の主外周刃BL3Bも同様に、回転軸線Lを中心として回転させたときに、相互に重なり合う回転対称形状を有する。
【0046】
そして、第1の副外周刃BL2Bと、第2の副外周刃BL4Bとは、それぞれ回転軸線Lに沿ってねじれながら延びている。第1の副外周刃BL2Bと、第2の副外周刃BL4Bとは、それらが形成される軸方向領域において、切削部11を同一の軸方向位置で回転軸線に直交する面で切断したとき、第1の主外周刃BL1Bと、第2の主外周刃BL3Bと、第1の副外周刃BL2Bと、第2の副外周刃BL4Bとのそれぞれの刃断面の形状は、回転軸線Lを中心とした形状である。
【0047】
つまり、切削部11を、回転軸線Lを中心に回転方向Rに沿って90°回転させると、
第1の副外周刃BL2Bは、回転前の第1の主外周刃BL1Bの位置の刃形状と、同じ刃形状で重なり合う。同様に、第2の副外周刃BL4Bは、回転前の第2の主外周刃BL3Bの位置の刃形状と、同じ刃形状で重なり合う。このように、第1の主外周刃BL1Bと、第2の主外周刃BL3Bと、第1の副外周刃BL2Bと、第2の副外周刃BL4Bとは、最外径部の刃先が、回転軸線Lから同一の半径距離にそれぞれ配置され、しかも、その刃断面の形状がそれぞれ同一の形状となる。
【0048】
一方、第1の主外周刃BL1Bは、回転前の第2の副外周刃BL4Bの位置の刃形状と同じ刃形状で重なり合う部分と、重ならない部分とが存在する。同様に、第2の主外周刃BL3Bは、回転前の第1の副外周刃BL2Bの位置の刃形状と同じ刃形状で重なり合う部分と、重ならない部分とが存在する。これは、副刃である第2切削刃BL2及び第4切削刃BL4は、主刃である第1切削刃BL1及び第3切削刃BL3とは異なり、第1の先端刃BL1A又は第2の先端刃BL3Aに相当する刃を有しないためである。よって、第1の主外周刃BL1B及び第2の主外周刃BL3Bの軸方向長さ(刃渡りの長さ)は、第1の副外周刃BL2B及び第2の副外周刃BL4Bの軸方向長さよりも長くなっている。
【0049】
<主刃と副刃による切削>
ここで、主刃と副刃による切削について説明する。
図9は、切削部11を軸方向先端から見た第1切削刃、第2切削刃、第3切削刃、第4切削刃における各刃先を模式的に示す説明図である。
図9に示すように、第1の副外周刃BL2Bは、点P5において軸方向先端側の端点を構成している。同様に、第2の副外周刃BL4Bは、点P6において、軸方向先端側の端点を構成している。第1の先端刃BL1Aと第1の主外周刃BL1Bとは、点P3において互いに接続され、第2の先端刃BL3Aと第2の主外周刃BL3Bとは、点P4において互いに接続されている。
【0050】
点P5は、点P3又は点P4よりも軸方向後端側に配置されている。同様に、点P6は、点P3又は点P4よりも軸方向後端側に配置されている。ここでいう軸方向後端側とは、切削部11の軸部13側であって、
図9においては径方向外側でもある。
【0051】
つまり、第1の副外周刃BL2B及び第2の副外周刃BL4Bは、第1の主外周刃BL1B及び第2の主外周刃BL3Bよりも刃渡りが短い。
そして、第1の副外周刃BL2B及び第2の副外周刃BL4Bは、切削部11の軸方向先端部において、第1の主外周刃BL1B及び第2の主外周刃BL3Bに対応する刃が形成されていない領域を有する。
【0052】
このような構成は、切削部11の刃の種類及び存在枚数(回転して切削に寄与する刃数)が、切削部11の軸中心である回転軸線Lから、切削部11の外周面に沿って順に変化することを意味する。すなわち、回転軸線Lを中心とする同心円状の先端領域K1,先端領域K1より外側の環状領域K2、環状領域K2より外側の外側領域K3は、それぞれ以下に示す要素を含んでいる。
【0053】
先端領域K1:チゼルCE、第1の先端刃BL1A、第2の先端刃BL3A
環状領域K2:第1の主外周刃BL1B、第2の主外周刃BL3B
外側領域K3:第1の主外周刃BL1B、第2の主外周刃BL3B、第1の副外周刃BL2B、第2の副外周刃BL4B
【0054】
第1の副外周刃BL2Bと第2の副外周刃BL4Bは、
図9に示す先端領域K1と環状領域K2において、破線の仮想線で示される第1の主外周刃BL1Bと第2の主外周刃BL3Bに対応する刃が存在しない。
【0055】
このように、本構成においては、切削部11の軸方向に沿った外周位置毎で、実際に切削に寄与する刃の種類及び数を段階的に変更している。切削部11の軸方向先端の先端領域K1では3つの刃、環状領域K2では主外周刃2枚となり、外側領域K3では主外周刃2枚と副外周刃2枚との合計4枚となる。
【0056】
これにより、術者がハンドピース103を持ち、外科用バー10を切削対象に押し当てて切削する場合に、切削部11による切削能力を外科用バー10の傾斜角度に応じて最適にできる。つまり、切削部11の軸方向先端では、切削能力を抑えて跳ね返りを生じにくくし、切削部11の最大直径位置に近い領域では、切削能力を高めて高効率な切削を実現している。また、特定の傾斜角度から切削能力が大きく変化することがなく、切削能力が傾斜角度に応じて略連続的に変化するため、操作に違和感を生じさせることがない。よって、スムーズに、且つ安定した切削が可能となる。
【0057】
上記した第1の副外周刃BL2B及び第2の副外周刃BL4Bの存在しない環状領域K2は、
図4に示すように、第2のリードギャッシュB2、第4のリードギャッシュB4、
第1の副刃調整面D2と第2の副刃調整面D4、第1のリードギャッシュB1、第3のリードギャッシュB3によって設定される。すなわち、第2のリードギャッシュB2、第4のリードギャッシュB4は、切削部11の軸方向先端から所定の領域にわたって、第1の副外周刃BL2Bと第2の副外周刃BL4Bをすくい面側から除去している。第2のリードギャッシュB2、第4のリードギャッシュB4の径方向外側、切削部11の軸方向の基端側には、第1の副刃調整面D2及び第2の副刃調整面D4が存在し、第1の副外周刃BL2Bと第2の副外周刃BL4Bの開始端の点P5,P6(
図9)を調整している。
【0058】
図9に示すように、第1の副外周刃BL2Bの軸方向先端側の端点である点P5は、先端領域K1よりも軸方向後端側(径方向外側)に配置されている。そして、切削部11の軸方向先端側の環状領域K2においては、第1の副外周刃BL2Bが存在しない。
同様に、第2の副外周刃BL4Bの軸方向先端側の端点である点P6は、先端領域K1よりも軸方向後端側(径方向外側)に配置されている。そして、切削部11の軸方向先端側の環状領域K2においては、第2の副外周刃BL4Bが存在しない。
【0059】
図4に戻り、切削部11の正面を参照する。
図4に示すように、第1の副外周刃BL2Bと第2の副外周刃BL4Bを構成する他の構成要素については、第1の主外周刃BL1B又は第2の主外周刃BL3Bの構成要素と同様である。
【0060】
第1の副外周刃BL2Bのギャッシュ面は、第1のリードギャッシュB1であり、第2の副外周刃BL4Bのギャッシュ面は、第3のリードギャッシュB3である。また、第1の副外周刃BL2Bの逃げ面は、複数の外周逃げ面を有して構成される。第1の副外周刃BL2Bの外周逃げ面は、第2の外周2番E2,第2の外周3番F2,第2の外周4番G2で構成される。第2の副外周刃BL4Bの逃げ面は、第4の外周2番E4,第4の外周3番F4、第4の外周4番G4で構成される。
【0061】
第1の副外周刃BL2Bの外周逃げ面E2,F2,G2のそれぞれは、
図7、
図8を用いて説明した第1の主外周刃BL1Bと同様に、互いに異なる複数の逃げ角を形成している。同様に、第2の副外周刃BL4Bの外周逃げ面E4,F4,G4のそれぞれは、互いに異なる複数の逃げ角を形成している。
【0062】
第1の副外周刃BL2B及び第2の副外周刃BL4Bが、互いに異なる逃げ角を形成する複数の外周逃げ面を有することにより、
図8で示す第1の主外周刃BL1Bと同様に、
第1の副外周刃BL2B及び第2の副外周刃BL4Bの刃先回転軌道Sよりも、3つの外周逃げ面を径方向内側に収めつつ、適正な刃の厚さが確保できる。これにより、切れ味と刃の強度とのバランスが保持される。
【0063】
また、
図5に示すように、第1の主外周刃BL1Bと、その回転方向後方に隣り合う第1の副外周刃BL2Bとの間に、切削部11の軸方向に延びる第1の主溝(フルート)H1が形成されている。同様に、
図4に示すように、第1の副外周刃BL2Bと第2の主外周刃BL3Bとの間に第2の主溝H2が形成され、第2の主外周刃BL3Bと第2の副外周刃BL4Bとの間に第3の主溝H3が形成され、第2の副外周刃BL4Bと第1の主外周刃BL1Bとの間に第4の主溝H4が形成されている。
【0064】
第1の主溝H1、第2の主溝H2、第3の主溝H3、第4の主溝H4のそれぞれは、切削屑をスムーズに排出させる機能を有する。さらに、
図5に示すように、第1の主溝H1に沿って第1の背溝I1が形成され、同様に他の主溝H2,H3,H4についても、それぞれに対応して背溝I2,I3,I4が形成されている。第1の背溝I1、第2の背溝I2、第3の背溝I3、第4の背溝I4により、切削屑をよりスムーズに排出できるようになっている。
【0065】
以上のとおり、第1の主外周刃BL1B及び第2の主外周刃BL3Bと、第1の副外周刃BL2B及び第2の副外周刃BL4Bとの合計4枚の刃は、それぞれ回転軸線Lまわりに同じ位置関係(周方向及び径方向)となる回転対称形状を有する。そのため、切削部11が1/2回転すると、回転前と回転後で4枚の刃は同じ周方向及び径方向位置に配置される。また、4枚の刃は、同じ軸方向位置においてそれぞれ同じ刃形状を有するため、切削部11の連続回転中において、各刃の切れ味が均等となり、周方向に関して切れ味が一定に確保され、円滑な切削が可能となる。このことは、第1の先端刃BL1Aと第2の先端刃BL3Aについても同様である。
【0066】
<主刃と副刃の刃形状の軸方向変化>
次に、第1の主外周刃BL1B及び第2の主外周刃BL3Bと、第1の副外周刃BL2B及び第2の副外周刃BL4Bとの、軸方向に沿った刃形状について説明する。
図10は、外科用バー10の切削部11の側面図である。
本構成の外科用バー10においては、第1の主外周刃BL1Bと、第2の主外周刃BL3Bと、第1の副外周刃BL2Bと、第2の副外周刃BL4Bとは、回転軸線Lを中心とする回転対称形状を有しつつ、回転軸線Lに沿ってそれぞれの刃形状を変化させている。
つまり、上記の各刃は、回転軸線Lに沿った軸方向位置に応じて異なる刃形状を有し、且つ、前述したように、同じ軸方向位置では回転方向に関して同じ刃形状となる関係を有している。
【0067】
切削部11の軸方向中央の最大径位置よりも軸方向先端側では、術者による切削対象への押し付け圧が高くなりやすい。そのため、切削部11の軸方向先端側は、刃の摩耗を低減して寿命を延ばすことを優先した形状とするのが好ましい。一方、最大径位置よりも軸方向後端側では、術者による外科用バー10の引き戻し動作で切削するため、切削対象への押し付け圧は低い。そのため、切削部11の軸方向後端側は、切れ味を優先した形状とするのが好ましい。そこで本構成の外科用バー10では、切削部11の軸方向の位置毎に異なる、刃に求められる性能に応じて、刃形状を変化させている。
【0068】
図11,
図12,
図13,
図14,
図15は、それぞれ
図10に示す切削部のA-A線,B-B線,C-C線,D-D線,E-E線に沿った断面図である。ただし、
図11~
図15は、切削部11の軸方向の異なる位置における断面形状を、第1の主外周刃BL1Bを基準として、第1の主外周刃BL1Bが各断面図において一つの固定された頂点に配置されるように、切削部を順次回転させながら示している。また、
図10のC-C線は、切削部11における軸方向の中央であって、切削部11の最大直径位置を示している。
【0069】
図11、
図12に示すように、切削部11の軸方向先端側においては、第1の主外周刃BL1B及び第2の主外周刃BL3Bと、第1の副外周刃BL2B及び第2の副外周刃BL4Bとは、それぞれの刃が負のすくい角となる断面形状を有し、刃先角が比較的大きくなっている。一般に、刃の進行方向(回転方向)の前方には、切屑が発生し切屑をすくい取るすくい面があり、このすくい面の先端の刃先と切削対象とが交差する線を含んだ、切削対象の面の垂直面と、すくい面とのなす角をすくい角という。すくい角が、垂直面に対して刃先角が小さくなる側にあるときのすくい角を正、刃先角が大きくなる側にあるときのすくい角を負であるという。
【0070】
図13に示すように、切削部11の軸方向中央部においては、第1の主外周刃BL1B及び第2の主外周刃BL3Bと、第1の副外周刃BL2B及び第2の副外周刃BL4Bとは、それぞれの刃が正のすくい角となる断面形状を有し、刃先角が比較的小さくなっている。
【0071】
図14に示すように、切削部11の軸方向後端側においては、第1の主外周刃BL1B及び第2の主外周刃BL3Bと、第1の副外周刃BL2B及び第2の副外周刃BL4Bとは、それぞれの刃の断面形状が負のすくい角となる断面形状を有し、刃先角が比較的大きくなっている。そして、
図15に示すように、切削部11の更に軸方向後端側においては、第1の主外周刃BL1B及び第2の主外周刃BL3Bと、第1の副外周刃BL2B及び第2の副外周刃BL4Bとは、切削が可能な刃形状を維持している。
【0072】
つまり、
図14,
図15に示すように、切削部11には、軸方向中央部から軸方向後端に至るまでの範囲に、後方切れ刃領域が形成されている。この後方切れ刃領域の刃形状は、必要十分な切削能力を備えており、
図10に示すC-C線からE-E線までの領域全体で、軸方向中央部付近の切れ刃と同等の切削能力が維持される。特に、C-C線からD-D線までの領域における、第1の主外周刃BL1B及び第2の主外周刃BL3Bと、第1の副外周刃BL2B及び第2の副外周刃BL4Bとの各刃は、正のすくい角を有していることが好ましく、その場合、切削能力を他の領域よりも高められる。
【0073】
ここで、切削部11の第1の主外周刃BL1Bと、第2の主外周刃BL3Bと、第1の副外周刃BL2Bと、第2の副外周刃BL4B(
図3参照)との刃先を包絡した曲面は、
回転軸線Lを中心軸とする略球形状(ボール形状)となる。この球形状と軸部13の外周面とが接続される部位を、切削部11の後端接続部23とする。また、
図10に示す切削部11の最大直径位置であるC-C線から後端接続部23までの軸方向長さをLTとする。
【0074】
後方切れ刃領域は、軸方向に関して、最大直径位置のC-C線から、軸方向長さLTの50%以上、好ましくはLTの60%以上、更に好ましくはLTの70%以上の長さにわたって形成するのがよい。このような切削部11の軸方向後端側の広い範囲にわたって後方切れ刃領域が設けられることで、切削部11による切削自由度が向上し、多様な姿勢で切削対象を切削できようになる。
【0075】
上述した軸方向に沿った刃形状の変化は、切削部11の軸方向の位置毎に刃に求められる主たる性能が異なることから設定される。主たる性能には、切れ味の確保と、寿命の確保があり、求められる各性能のバランスが、切削部11の位置に応じて異なっている。
また、前述したように、
図11における第1の主外周刃BL1Bと、第2の主外周刃BL3Bとは同じ刃形状を有している。また、
図12~
図15における第1の主外周刃BL1Bと、第2の主外周刃BL3Bと、第1の副外周刃BL2Bと、第2の副外周刃BL4Bとは、同じ軸方向位置においてそれぞれ同じ刃形状を有している。これにより、いずれの軸方向位置においても、各刃の切れ味が均等となり、周方向に関して切れ味が一定に確保される。
【0076】
<切削部による切削の様子>
図16は、切削部11を切削対象21に垂直に押し当てた様子を示す説明図である。
切削部11の最大直径位置よりも軸方向先端側では、切削対象21に押し当てて使用される場合が多いため、切削時の切削抵抗が増大する傾向がある。そのため、切れ味の良い刃でありつつ、できるだけ刃の摩耗を抑制することが好まれることもある。したがって、
切削部11の最大直径位置よりも軸方向先端側は、寿命を優先した刃形状にすることが求められた時には、刃形状を負のすくい角に設定して刃先角が大きくなるようにする場合がある。
【0077】
また、本構成の切削部11を切削対象21に矢印Daで示す垂直方向に押し当てると、
それぞれが同一平面内に配置されたチゼルCEと、第1の先端刃BL1A及び第2の先端刃BL3Aとが、切削対象21に回転中心から対称に線接触した状態となる。そのため、
切削部11が切削対象21に接触した際に、片当たりによる跳ね返りが抑えられ、安定した姿勢で切削対象21を切削できる。このように、切削部11を切削対象21へ垂直方向に押し当てた場合でも、十分な切削能力が確保できる。そして、外科用バー10を適宜に傾斜させて矢印Dbで示す方向に移動させる場合にも、傾斜角によらずに安定したスムーズな切削が行える。
【0078】
図17は、傾斜させた切削部11の軸方向後端側を切削対象21に押し当てながら切削する様子を示す説明図である。
切削部11の軸方向後端側は、外科用バー10を矢印Dcの方向へ引っ張りながら切削対象12に押し当てて使用される場合が多いため、軸方向先端側で切削する場合よりも切削抵抗が小さくなる傾向がある。そのため、刃の摩耗よりも切れ味が優先される。したがって、切削部11の軸方向後端側は、刃形状を正のすくい角に設定して刃先角が小さくなるようする。
【0079】
また、切削部11の軸部13との接続部の近傍においては、刃が切削に寄与する機会は少ない。そのため、この部位では高い切れ味は求められず、軸部先端側へ続く刃の強度の確保と軸部13との接続強度の確保のため、刃形状を負のすくい角に設定して刃先角が大きくなるようにする。
これにより、切削部11の軸方向先端側と軸方向後端側との双方で、良好な切削が可能となり、術者が切削部11の向きを気にすることなく、高い自由度で切削を行える。
【0080】
このように、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、実施形態の各構成を相互に組み合わせることや、明細書の記載、並びに周知の技術に基づいて、当業者が変更、応用することも本発明の予定するところであり、保護を求める範囲に含まれる。
【0081】
上述した実施形態では、主刃として設けた第1切削刃BL1と第3切削刃BL3との間に、副刃として第2切削刃BL2と第3切削刃BL3とを設けているが、主刃同士の間に設ける副刃の数は特に限定されない。また、各刃を形成するすくい面、逃げ面等の数、位置、種類等も変更が可能である。
【0082】
以上の通り、本明細書には次の事項が開示されている。
(1) 回転軸線を中心に回転される軸部と、前記軸部の先端に設けられたボール状の切削部と、を有する外科用バーであって、
前記切削部は、
軸方向先端部に前記回転軸線を挟んで相互に傾斜して設けられた一対の先端面同士が互いに交差して形成される稜線の一端に接続され、前記切削部の前記軸部と接続される軸方向後端に向けて延びる第1の主刃と、
前記稜線の前記一端と反対側の他端に接続され、前記回転軸線を基準に前記第1の主刃と回転対称となるように、前記切削部の前記軸方向後端に向けて延びる第2の主刃と、
前記切削部の周方向に沿った前記第1の主刃と前記第2の主刃との間で、前記切削部の軸方向先端側から前記軸方向後端に向けて延びる第1の副刃と
前記回転軸線を基準に前記第1の副刃と回転対称となるように、前記切削部の前記軸方向後端に向けて延びる第2の副刃と、
を備え、
前記第1の主刃は、前記稜線の一端から、前記一対の先端面のうち一方の先端面における回転方向前方側の縁部に沿って、当該先端面の径方向外縁端まで形成される第1の先端刃を有し、
前記第2の主刃は、前記稜線の他端から、前記一対の先端面のうち他方の先端面における回転方向前方側の縁部に沿って、当該先端面の径方向外縁端まで形成される第2の先端刃を有し、
前記第1の先端刃及び前記第2の先端刃とは、前記切削部の前記回転軸線に直交する同一の平面内に配置される、
外科用バー。
この外科用バーによれば、切削部の先端が一対の先端刃によって切削対象と線接触する。これにより、跳ね返りを抑制して、安定した姿勢で切削が可能となる。また、主外周刃と副外周刃とが対称形状を有するため、回転中において周方向に一定の切れ味が確保され、円滑な切削が可能となる。
【0083】
(2) (1)に記載の外科用バーであって、
請求項1に記載の外科用バーであって、
前記第1の主刃は、前記第1の先端刃における径方向外側の端部に接続され、前記切削部の前記軸方向後端に向けてねじれながら延びる第1の主外周刃を有し、
前記第2の主刃は、前記第2の先端刃における径方向外側の端部に接続され、前記切削部の前記軸方向後端に向けてねじれながら延びる第2の主外周刃を有する、
外科用バー。
この外科用バーによれば、切削部に、第1の主外周刃と第2の主外周刃とがねじれて形成され、これらに回転対称となるように、第1の副外周刃と第2の副外周刃とがねじれて形成される。
【0084】
(3) (2)に記載の外科用バーであって、
前記切削部の前記第1の副刃と前記第2の副刃とが形成された軸方向領域において、
前記切削部を同一の軸方向位置で前記回転軸線に直交する面で切断したとき、前記第1の主外周刃と、前記第2の主外周刃と、前記第1の副刃と、前記第2の副刃とのそれぞれの刃断面の形状が、前記回転軸線を中心とした回転対称形状である、
外科用バー。
この外科用バーによれば、第1の副刃と、第2の副刃とのそれぞれの刃断面の形状が、
回転軸線を中心とした回転対称形状であることで、切削対象をそれぞれ同じ切れ味で切削できる。これにより、安定した切削が可能になる。
【0085】
(4) (2)又は(3)に記載の外科用バーであって、
前記第1の主外周刃と、前記第2の主外周刃と、前記第1の副刃と、前記第2の副刃とは、前記切削部の軸方向に沿って刃形状が変化している、
外科用バー。
この外科用バーによれば、切削部の軸方向の位置毎で異なる、刃に求められる性能に応えられる。
【0086】
(5) (4)に記載の外科用バーであって、
前記第1の主外周刃と、前記第2の主外周刃と、前記第1の副刃と、前記第2の副刃とのそれぞれは、前記切削部の最大直径位置より軸方向後端側に、前記最大直径位置より軸方向先端側の刃先角よりも小さい刃先角の後方切れ刃領域を有する、
外科用バー。
この外科用バーによれば、切削部の軸方向後端側でも良好な切削が行える。そのため、
外科用バーを切削対象に傾斜させて押し当てて、その傾斜方向に沿って移動させながら切削する場合に、後方切れ刃領域の主外周刃及び副外周刃によって切削性良く円滑に切削が行える。
【0087】
(6) (5)に記載の外科用バーであって、
前記後方切れ刃領域は、前記切削部の前記最大直径位置から軸方向後端までの軸方向長さにおける半分以上の長さにわたって、前記最大直径位置から前記軸部に向けて形成されている、
外科用バー。
この外科用バーによれば、切削部の軸部との接続側に所定の長さにわたって後方切れ刃領域が設けられるため、操作性を向上できる。
【0088】
(7) (1)~(6)のいずれか1つの外科用バーであって、
前記第1の先端刃のすくい面となる第2のフラットギャッシュと、
前記第2の先端刃のすくい面となる第1のフラットギャッシュとを有し、
前記第2のフラットギャッシュは、前記稜線の一端から前記一対の先端面のうち一方の先端面の径方向外縁端を越えて形成され、
前記第1のフラットギャッシュは、前記稜線の他端から前記一対の先端面のうち他方の先端面の径方向外縁端を超えて形成されている、
外科用バー。
この外科用バーによれば、第1の先端刃と第2の先端刃とが、稜線の端から主外周刃との接続点まで確実に形成される。
【0089】
(8) (2)~(7)のいずれか1つ記載の外科用バーであって、
前記第1の副刃及び前記第2の副刃の軸方向先端側の端点は、
前記第1の先端刃と前記第1の主外周刃との接続点、及び前記第2の先端刃と前記第2の主外周刃との接続点よりも軸方向後端側に配置されている、
外科用バー。
この外科用バーによれば、切削部の軸方向に沿って、実際に切削に寄与する刃の種類及び数を段階的に変えることができ、術者の操作に違和感を生じさせることなく、スムーズで安定した切削が可能となる。
【0090】
(9) (1)~(8)いずれか1つに記載の外科用バーであって、
前記第1の主刃及び前記第2の主刃と、前記第1の副刃及び前記第2の副刃とは、それぞれ径方向に沿う主溝と、周方向に沿う外周逃げ面とを有し、
前記外周逃げ面のそれぞれは、互いに異なる逃げ角を形成する複数の面から構成される、
外科用バー。
この外科用バーによれば、主溝によって切り屑をスムーズに排出できる。また、主刃と副刃の刃先回転軌道よりも、複数の外周逃げ面を径方向内側に収めつつ、適正な刃の厚さが確保できるため、切れ味と刃強度とのバランスを保つことができる。
【0091】
<付記>
本発明の外科用バーは、更に下記の特徴を有している。
[1] 術者の把持される外科用ハンドピースに着脱可能となるように構成された外科用バーであって、
前記外科用バーは、
回転軸線を軸に回転する軸部と、
前記軸部の先端に設けられ、前記軸部の回転に連動して回転するボール状の切削部と
を具備し、
前記切削部は、
前側切削部と、
前記前側切削部と前記軸部との間の後ろ側切削部と、
を備え、
前記後ろ側切削部は、
第1の主刃と、
前記回転軸線を基準に前記第1の主刃に対称な第2の主刃と、
第1の副刃と、
前記回転軸線を基準に前記第1の副刃に対称な第2の副刃と、
を備え、
前記前側切削部は、
前記第1の主刃に連続する第1の先端刃と、
前記第2の主刃に連続し、前記回転軸線を基準に前記第1の先端刃に対称な第2の先端刃と、
を備え、
前記第1の先端刃と前記第2の先端刃との各々は、前記切削部が回転するとき、前記回転軸線に平行な方向を法線とする平面を運動する、
外科用バー。
[2] [1]に記載の外科用バーにおいて、
前記切削部の前記後ろ側切削部を所定の位置で前記回転軸線に直角な面に切断するとき、
前記第1の主刃の断面形状と、前記第2の主刃の断面形状と、前記第1の副刃の断面形状と、前記第2の副刃の断面形状とが合同である外科用バー。
[3] [1]又は[2]に記載の外科用バーにおいて、
前記第1の主刃と、前記第2の主刃と、前記第1の副刃と、前記第2の副刃との各々は、
前記前側切削部と前記後ろ側切削部との境界を始点とし、前記後ろ側切削部と前記軸部とが接続する領域近傍を終点とする、
外科用バー。
[4] [1]~[3]のいずれかに記載のボール状の外科用バーであって、
軸方向に直角に切断した時の断面すべての刃が同一形状である。
【符号の説明】
【0092】
10 外科用バー
11 切削部
13 軸部
15 接続部
100 外科手術システム
101 コントロールユニット
103 ハンドピース
103a アタッチメント
103b 把持部
105 接続ケーブル
107 フットスイッチ
A1 第1の先端刃逃げ面
A3 第2の先端刃逃げ面
B1:第1のリードギャッシュ
B2:第2のリードギャッシュ
B3:第3のリードギャッシュ
B4:第4のリードギャッシュ
BL1 第1切削刃(第1の主刃)
BL2 第2切削刃(第2の副刃)
BL3 第3切削刃(第3の主刃)
BL4 第4切削刃(第4の副刃)
BL1A 第1の先端刃,
BL3A 第2の先端刃
BL1B 第1の主外周刃
BL3B 第2の主外周刃
BL2B 第1の副外周刃
BL4B 第2の副外周刃
CE チゼル
D2:第1の副刃調整面
D4:第2の副刃調整面
E1:第1の外周2番
E2:第2の外周2番
E3:第3の外周2番
E4:第4の外周2番
F1:第1の外周3番
F2:第2の外周3番
F3:第3の外周3番
F4:第4の外周3番
G1:第1の外周4番
G2:第2の外周4番
G3:第3の外周4番
G4:第4の外周4番
H1:第1の主溝
H2:第2の主溝
H3:第3の主溝
H4:第4の主溝
I1:第1の背溝
I2:第2の背溝
I3:第3の背溝
I4:第4の背溝
J2:第1のフラットギャッシュ
J4:第2のフラットギャッシュ
K1:先端領域
K2:環状領域
K3:外側領域
L:回転軸線
P1:点
P2:点
P3:点
P4:点
P5:点
P6:点