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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024111318
(43)【公開日】2024-08-16
(54)【発明の名称】評価システム、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/04 20120101AFI20240808BHJP
【FI】
G06Q50/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024102241
(22)【出願日】2024-06-25
(62)【分割の表示】P 2022150025の分割
【原出願日】2022-09-21
(71)【出願人】
【識別番号】000229564
【氏名又は名称】株式会社バルカー
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 隆啓
(57)【要約】
【課題】フランジのフランジ面の状態に応じて、当該フランジ面の修繕の要否を判断することが可能な評価装置を提供する。
【解決手段】評価装置は、フランジの3次元形状データを取得する取得部と、3次元形状データに基づいて、フランジのフランジ面の状態を評価する評価部とを備える。評価部は、フランジのフランジ面における評価対象領域を設定する設定部と、評価対象領域に生じた傷を検出する検出部と、フランジのフランジ面の第1歪み量を測定する歪み量測定部と、傷および第1歪み量の少なくとも一方に基づいて、フランジのフランジ面の修繕の要否を判断する判断部とを含む。
【選択図】図15
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シール材を挟み込む一対のフランジのうち、前記シール材と接触するフランジ面の形状を示す3次元形状データを取得する取得部と、
前記3次元形状データに基づいて検出された前記フランジ面の劣化に対する評価の結果を示す情報を表示する表示部とを備えることを特徴とする、評価システム。
【請求項2】
シール材を挟み込む一対のフランジのうち、前記シール材と接触するフランジ面の形状を示す3次元形状データを取得する取得部と、
前記3次元形状データに基づいて検出された前記フランジ面の状態を示す情報を表示する表示部とを備えることを特徴とする、評価システム。
【請求項3】
前記情報は、前記フランジ面に生じた傷または歪みを含む前記フランジ面の劣化の程度、および、前記フランジ面の修繕の要否の少なくともいずれか一方を示すことを特徴とする、請求項1または2に記載の評価システム。
【請求項4】
前記フランジ面の劣化の程度は、前記傷の長さ、前記傷の深さ、および、前記フランジ面の歪み量の少なくともいずれか1つに基づいて求められることを特徴とする、請求項3に記載の評価システム。
【請求項5】
シール材を挟み込む一対のフランジのうち、前記シール材と接触するフランジ面の形状を示す3次元形状データを取得する取得部、および、
前記3次元形状データに基づいて検出された前記フランジ面の劣化に対する評価の結果を示す情報を表示する表示部としての機能をコンピュータに実現させることを特徴とする、プログラム。
【請求項6】
シール材を挟み込む一対のフランジのうち、前記シール材と接触するフランジ面の形状を示す3次元形状データを取得する取得部、および、
前記3次元形状データに基づいて検出された前記フランジ面の状態を示す情報を表示する表示部としての機能をコンピュータに実現させることを特徴とする、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、評価システム、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯型の非接触三次元座標測定装置を利用してフランジの歪を測定する技術が知られている。例えば、特開2017-227459号公報(特許文献1)は、フランジ面の歪測定において、測定に必要なスペースが少なく、振動が発生している現場においても測定精度が落ちることなく、うねりのデータだけでなくフランジ面の傾きのデータも測定する技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-227459号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
フランジ部からの流体の漏れの原因の一つとしては、配管のつなぎ目に用いられるガスケットの劣化や損傷などがあるため、定期的に作業者はガスケットを交換する。このとき、作業者は、フランジのフランジ面の状態を目視や触診により確認し、フランジ面に修繕が必要と判断した場合には適切な作業(例えば、研磨等)を実施する。しかし、フランジ面の状態の確認および修繕の要否の判断は、作業者の技術的知識および経験に依存しており、人によってばらつきがあるという問題がある。また、知識や経験が乏しい作業者がフランジ面を確認しても、上記修繕の要否を判断できない場合も多い。
【0005】
本開示のある局面における目的は、フランジのフランジ面の状態に応じて、当該フランジ面の修繕の要否を判断することが可能な評価装置、および評価方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ある実施の形態に従う評価装置は、フランジの3次元形状データを取得する取得部と、3次元形状データに基づいて、フランジのフランジ面の状態を評価する評価部とを備える。評価部は、フランジのフランジ面における評価対象領域を設定する設定部と、評価対象領域に生じた傷を検出する検出部と、フランジのフランジ面の第1歪み量を測定する歪み量測定部と、傷および第1歪み量の少なくとも一方に基づいて、フランジのフランジ面の修繕の要否を判断する判断部とを含む。
【0007】
好ましくは、傷の長さが所定長さ以上である場合、第1歪み量が第1閾値以上である場合、または、傷の長さが所定長さ未満であってかつ傷の深さが所定深さ以上である場合、判断部は、フランジのフランジ面が修繕を要する状態であると判断する。
【0008】
好ましくは、評価装置は、判断部の判断結果に基づいて、ユーザへのアドバイス情報を出力する出力制御部をさらに備える。出力制御部は、フランジのフランジ面が修繕を要する状態であるとの判断結果に基づいて、フランジのフランジ面の切削または研磨を推奨する情報をアドバイス情報として出力する。
【0009】
好ましくは、評価対象領域は、フランジの径方向内側の第1領域と、フランジの径方向外側の第2領域とに区分される。所定長さ以上の傷、第1閾値以上の歪み、および、所定長さ未満かつ所定深さ以上の傷のうちの少なくとも1つが第2領域に存在する場合、出力制御部は、フランジのフランジ面の定期的な確認を促す情報をさらに出力する。
【0010】
好ましくは、取得部は、シール材を介してフランジに締結される他のフランジの3次元形状データをさらに取得する。歪み量測定部は、他のフランジのフランジ面の第2歪み量をさらに測定し、第1歪み量と第2歪み量とに基づいて、フランジと他のフランジとが締結される場合の第3歪み量を算出する。第3歪み量が第1閾値以上である場合、判断部は、フランジのフランジ面および他のフランジのフランジ面の少なくとも一方が修繕を要する状態であると判断する。
【0011】
好ましくは、検出部は、評価対象領域において互いに近接する第1の傷および第2の傷を検出した場合、第1の傷および第2の傷を1つの傷として統合する。
【0012】
好ましくは、歪み量測定部は、フランジの周方向および径方向について、第1歪み量を測定する。
【0013】
好ましくは、評価対象領域は、フランジのフランジ面におけるシール材が接触する領域、または当該フランジ面の全領域である。
【0014】
好ましくは、フランジの開口部は、仕切体により複数の領域に仕切られている。フランジの締結に用いられるシール材は、フランジのフランジ面のうちの仕切体の表面をシールする枝部を有する枝付きシール材である。歪み量測定部は、仕切体の表面の第4歪み量をさらに測定する。第4歪み量が第2閾値以上である場合、判断部は、フランジのフランジ面が修繕を要する状態であると判断する。
【0015】
他の実施の形態に従う評価方法は、フランジの3次元形状データを取得するステップと、3次元形状データに基づいて、フランジのフランジ面の状態を評価するステップとを含む。評価するステップは、フランジのフランジ面における評価対象領域を設定することと、評価対象領域に生じた傷を検出することと、フランジのフランジ面の第1歪み量を測定することと、傷および第1歪み量の少なくとも一方に基づいて、フランジのフランジ面の修繕の要否を判断することとを含む。
【発明の効果】
【0016】
本開示によると、フランジのフランジ面の状態に応じて、当該フランジ面の修繕の要否を判断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】評価システムの全体構成を説明するための図である。
図2】評価装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図3】評価システムの動作概要の一例を説明するためのフローチャートである。
図4】フランジのフランジ面とガスケットとの接触領域を説明するための図である。
図5】評価対象領域を説明するための図である。
図6】検出された傷の長さの算出方式を説明するための図である。
図7】複数の傷の統合方式を説明するための図である。
図8】フランジの基準高さを設定する方式を説明するための図である。
図9】周方向の歪み量の測定方式を説明するための図である。
図10】径方向の歪み量の測定方式を説明するための図である。
図11】締結歪み量の測定方式を説明するための図である。
図12】締結歪み量の測定方式の他の例を説明するための図である。
図13】仕切体の歪み量の測定方式の一例を説明するための図である。
図14】フランジ面の領域を説明するための図である。
図15】評価装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
図16】傷の面積の算出方式を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しつつ、本実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0019】
<システム構成>
図1は、評価システム1000の全体構成を説明するための図である。図1を参照して、評価システム1000は、フランジ30のフランジ面(フランジ座面)の状態を評価するためのシステムである。評価システム1000は、評価装置10と、3Dスキャナ20とを含む。なお、本実施の形態では、評価装置10のユーザである作業者が、例えば、フランジ30の締結に用いられていた使用済のシール材を新たな使用前のシール材に交換する際に、3Dスキャナ20を用いてフランジ30のフランジ面の状態を評価する場面を想定する。
【0020】
3Dスキャナ20は、例えば、携帯型の非接触式3Dスキャナであり、対象物(ここでは、フランジ30)の3次元形状データを取得し、取得された3次元形状データを出力する。3Dスキャナ20は、レーザ光線方式、パターン光投影方式等の公知の方式を用いてよい。
【0021】
シール材は、一対のフランジ30同士が接合する部分に挟み込まれ、フランジ30のボルトの締め付けによって固定されることで、フランジ30の隙間から流体が漏洩することを防止する。シール材は、例えば、ガスケットと称される固定用のシール材である。ガスケットは、設置される部位の隙間を封止し、その部位に密封性を持たせることが可能なシール材である。ガスケットには様々な種類が存在し、配管の使用態様に応じて適宜選択される。なお、シール材は、パッキンと称される運動用のシール材であってもよい。以下の説明では、シール材がガスケットである場合について説明する。
【0022】
評価装置10は、3Dスキャナ20から3次元形状データを取得する(すなわち、3次元形状データの入力を受け付ける)。典型的には、評価装置10は、3Dスキャナ20と通信可能に構成される。本実施の形態では、評価装置10は、評価対象のフランジ30の3次元形状データに基づいて、フランジ30のフランジ面に生じた傷、歪み等に基づいてフランジ面の状態を評価する。具体的には、評価装置10は、フランジ面の修繕の要否を判断し、対処方法に関するアドバイス情報を出力する。
【0023】
評価装置10は、典型的には、汎用的なコンピュータアーキテクチャに従う構造を有しており、予めインストールされたプログラムをプロセッサが実行することで、後述する各種の処理を実現する。評価装置10は、例えば、ラップトップPC(Personal Computer)である。ただし、評価装置10は、以下に説明する機能および処理を実行可能な装置であればよく、他の装置(例えば、デスクトップPC、タブレット端末装置)であってもよい。
【0024】
<ハードウェア構成>
図2は、評価装置10のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。図2を参照して、評価装置10は、プロセッサ101と、メモリ103と、ディスプレイ105と、入力装置107と、入出力インターフェイス(I/F)109と、通信インターフェイス(I/F)111とを含む。これらの各部は、互いにデータ通信可能に接続される。
【0025】
プロセッサ101は、典型的には、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Multi Processing Unit)等といった演算処理部である。プロセッサ101は、メモリ103に記憶されたプログラムを読み出して実行することで、評価装置10の各部の動作を制御する。より詳細にはプロセッサ101は、当該プログラムを実行することによって、評価装置10の各機能を実現する。
【0026】
メモリ103は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read-Only Memory)、フラッシュメモリ、ハードディスクなどによって実現される。メモリ103は、プロセッサ101によって実行されるプログラム、3Dスキャナ20によって取得された3次元形状データ等を記憶する。
【0027】
ディスプレイ105は、例えば、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等である。ディスプレイ105は、評価装置10と一体的に構成されてもよいし、評価装置10とは別個に構成されてもよい。
【0028】
入力装置107は、評価装置10に対する操作入力を受け付ける。入力装置107は、例えば、キーボード、ボタン、マウスなどによって実現される。また、入力装置107は、タッチパネルとして実現されていてもよい。
【0029】
入出力インターフェイス109は、プロセッサ101と3Dスキャナ20との間のデータ伝送を仲介する。入出力インターフェイス109は、例えば、3Dスキャナ20と接続される。プロセッサ101は、入出力インターフェイス109を介して、3Dスキャナ20で測定された3次元形状データを取得する。
【0030】
通信インターフェイス111は、プロセッサ101と外部装置との間のデータ伝送を仲介する。通信方式としては、例えば、Bluetooth(登録商標)、無線LAN(Local Area Network)等による無線通信方式が用いられる。なお、通信方式として、USB(Universal Serial Bus)等の有線通信方式を用いてもよい。なお、プロセッサ101は、通信インターフェイス111を介して、3Dスキャナ20と通信してもよい。
【0031】
<動作概要>
図3は、評価システムの動作概要の一例を説明するためのフローチャートである。図3を参照して、3Dスキャナ20は、フランジ30を3Dスキャンすることにより、フランジ30全体の3次元形状データを生成する(ステップS10)。評価装置10(例えば、プロセッサ101)は、当該3次元形状データを3Dスキャナ20から取得して、内部メモリ(例えば、メモリ103)に記憶する(ステップS12)。
【0032】
評価装置10は、3次元形状データに基づいて、フランジ30のフランジ面における評価対象領域を設定する(ステップS14)。典型的には、評価対象領域は、フランジ面における、シール材が接触する領域に設定される。
【0033】
評価装置10は、3次元形状データに基づいて、評価対象領域に生じた傷を検出する(ステップS16)。評価装置10は、3次元形状データに基づいて、フランジ面の歪みを測定(算出)する(ステップS18)。評価装置10は、検出された傷、および測定された歪みの少なくとも一方に基づいて、フランジ面の修繕の要否を判断する(ステップS20)。評価装置10は、フランジ面の修繕の要否の判断結果に基づいて、ユーザへのアドバイス情報を表示する(ステップS22)。
【0034】
評価システム1000によると、フランジ30のフランジ面の3次元形状データを用いて、当該フランジ面における傷の検出および当該フランジ面の歪みの測定が行われ、傷および歪みの状態に応じて当該フランジ面の修繕の要否が判断される。また、当該判断結果に応じたアドバイス情報が提示される。そのため、作業者は、フランジ面の修繕の要否を迅速に把握でき、アドバイス情報に基づいた処置を効率的に行なうことができる。
【0035】
<評価対象領域の設定>
ここでは、図3のステップS14の具体的な処理内容について説明する。
【0036】
図4は、フランジのフランジ面とガスケットとの接触領域の一例を説明するための図である。図4(a)は、ガスケットとフランジ面との接触領域を説明するための図である。図4(b)は、ガスケットとフランジ面との接触領域が変化することを説明するための図である。図5は、評価対象領域の一例を説明するための図である。
【0037】
図4(a)を参照して、一対のフランジ(例えば、上フランジおよび下フランジ)が締結されている。具体的には、下フランジは、シール材をガスケットを介して上フランジにボルトで締結される。図4(a)では、ガスケット外輪がボルトに接触しておらず、ガスケット本体がフランジ面の中心にセンタリングした状態で取付けられている。ガスケット本体とフランジ面(例えば、上フランジのフランジ面)との接触領域の幅W1が示されている。幅W1は、当該接触領域におけるフランジの径方向の長さに対応する。
【0038】
図4(b)を参照すると、ガスケット外輪がボルトに接触しており、図4(a)の場合よりもガスケット本体が左側(ボルト側)にずれている。幅W2は、ボルトにガスケット外輪が接触している場合における、ガスケット本体とフランジ面との接触領域の幅を示している。なお、幅W3は、逆側ボルトにガスケット外輪が接触している場合における、ガスケット本体とフランジ面との接触領域の幅を示している。この場合、ガスケット本体は右側(ボルトの反対側)にずれている。
【0039】
なお、フランジ面に対してガスケットがどの位置に設置されるかに応じてガスケット本体とフランジ面との接触領域は変化するが、ガスケット本体の幅は変化しない。そのため、幅W1~W3は同じ値である。
【0040】
このように、ガスケットは、フランジに対して(紙面の左右方向に)遊び(余裕)をもって設置される場合がある。この遊びは、ボルト、フランジ溝等の干渉によって定められる。図4の例では、ボルト干渉時のガスケット本体の外径側の端部から、逆側ボルト干渉時のガスケット本体の内径側の端部までの幅Waが、遊びを考慮した場合の接触領域の幅となる。なお、幅Wbは、フランジ面の内径側の端部から外径側の端部までの幅である。
【0041】
図5を参照して、評価対象領域210は、線201および線202で囲まれた領域である。評価対象領域210の評価領域幅Wは、評価対象領域210におけるフランジの径方向の長さに対応しており、線201から線202までの最短距離である。フランジ面の内径側の端部205から外径側の端部206までの距離は、図4の幅Wbに対応する。
【0042】
評価対象領域210は、評価領域幅Wに応じてその大きさが変化する。具体的には、評価領域幅Wが図4で示した幅W1,Wa,Wbのいずれに設定されるかに応じて、評価対象領域210の大きさが変化する。W1<Wa<Wbの関係が成立するため、評価領域幅Wを幅W1に設定する場合には評価対象領域210が最も小さく、評価領域幅Wを幅Wbに設定する場合には評価対象領域210が最も大きくなる。
【0043】
評価領域幅Wを幅W1に設定する場合には、ガスケットがフランジに設置される際の遊びを考慮せずに傷を評価することになる。そのため、例えば、ガスケットがフランジに対してずれて設置された場合、本来評価すべきフランジ面に生じている傷が評価対象領域210に含まれない場合がある。
【0044】
評価領域幅Wを幅Waに設定する場合、ガスケットがフランジに設置される際の遊びを考慮して傷を評価することになる。一方、評価領域幅Wを幅Wbに設定する場合には、評価対象領域210がフランジ面の全領域とみなされるため、当該全領域に生じている傷を評価することになる。
【0045】
評価領域幅Wをどのように設定するのか(幅W1,Wa,Wbのいずれに設定するのか)は、評価目的に応じて作業者によって適宜選択される。
【0046】
<傷の検出>
ここでは、図3のステップS16の具体的な処理内容について説明する。
【0047】
評価装置10は、フランジ面のうちの評価対象領域内に生じた傷を検出する。フランジ面の傷は、公知の技術を用いて検出されればよい。例えば、評価装置10は、メモリ103に予め記憶された傷の特徴量と、3次元形状データに基づいて作成された画像の特徴量とを比較することで、フランジ面の傷を検出する。
【0048】
図6は、検出された傷の長さの算出方式を説明するための図である。図6(a)は、傷の長さの算出方式の一例であり、図6(b)は、傷の長さの算出方式の他の例である。
【0049】
フランジ面にガスケットが設置される状態を鑑みると、周方向に延びる傷よりも径方向に延びる傷の方が、流体が漏れに対する影響が大きい。そのため、傷の長さを評価する際には、図6(a)または図6(b)に示すように、傷の見かけ上の長さLが算出される。
【0050】
図6(a)を参照して、評価装置10は、評価対象領域210において検出された傷の見かけ上の長さLを算出する。具体的には、長さLは、傷50における、フランジの径方向の長さに相当する。フランジの中心Oと傷50の一端P1とを結ぶ線分を引き、傷50の他端P2から当該線分に垂線を引いて、当該線分と垂線との交点をQとする。また、線分P1P2と線分P1Qとのなす角度をθとし、線分P1P2の長さ、角度θおよび三角関数を用いて線分P1Qの長さ(すなわち、“線分P1P2の長さ”×cosθ)を算出する。そして、線分P1Qの長さのうち、評価対象領域210に含まれる部分を長さLとして算出する。
【0051】
図6(b)を参照して、フランジの中心Oと傷50の一端P1とを結ぶ線分の長さL1と、中心Oと傷50の他端P2とを結ぶ線分の長さL2とを算出する。評価装置10は、長さL1と長さL2との差分(図6の例の場合、“L2-L1”)を、傷の長さLとして算出する。
【0052】
なお、傷50の深さDは、3次元形状データを用いて、傷50における最大深さとして算出される。
【0053】
図7は、複数の傷の統合方式を説明するための図である。図7(a)は、複数の傷の統合方式の一例を示している。図7(b)は、複数の傷の統合方式の他の例を示している。図7(c)は、複数の傷を統合した後の傷の長さを示している。
【0054】
評価装置10は、複数の傷が互いに近い距離にある場合には、複数の傷を1つの傷として統合する。図7(a)を参照して、評価装置10は、傷A1~A3を検出する。続いて、評価装置10は、複数の傷A1~A3にそれぞれ対応する複数の統合領域B1~B3を算出する。統合領域は、複数の傷を1つの傷として統合できるか否かを判断するために設定される領域である。例えば、統合領域B1は、傷A1の各位置から領域幅Xの距離で規定される領域である。同様に、統合領域B2,B3は、それぞれ傷A2,A3の各位置から領域幅Xの距離で規定される領域である。
【0055】
評価装置10は、複数の統合領域B1~B3について、当該統合領域が他の統合領域と重畳しているか否かを判断する。図7(a)の例では、各統合領域B1~B3は互いに重畳しているため、評価装置10は、複数の傷A1~A3を1つの傷として統合する。
【0056】
図7(b)を参照して、評価装置10は、傷A1,A2を検出して、複数の傷A1,A2にそれぞれ対応する複数の統合領域B1,B2を算出する。統合領域B1の算出方式について説明する。傷A1の最大長を示す基準線を引き、基準線上の傷A1の2つの端部から領域幅Xの距離にある線分C1,C2を求める。続いて、基準線に直交する左右方向について、基準線から最も遠い位置に存在する傷A1の端部を特定する。特定された各方向の端部から領域幅Xの距離にある線分C3,C4を求める。統合領域B1は、線分C1~C4で囲まれる領域である。統合領域B2についても同様の算出方式により求める。
【0057】
評価装置10は、統合領域B1が統合領域B2と重畳しているか否かを判断する。図7(b)の例では、統合領域B1,B2は互いに重畳しているため、評価装置10は、複数の傷A1,A2を1つの傷として統合する。
【0058】
図7(c)を参照して、評価装置10は、上述した統合方式を用いて、傷A1~A3を統合して1つの傷としてみなしたとする。この場合、統合された傷の最大長さは、傷A1~A3の各位置のうち中心Oから最も近い点R1と、傷A1~A3の各位置のうち中心Oから最も遠い点R2との距離で規定される。
【0059】
そのため、図6で説明した方法により、線分R1R2の長さを用いて、統合された傷の見かけ上の長さLが算出される。また、統合された傷の深さは、傷A1~A3のうち最も深い傷の深さに対応する。
【0060】
<歪みの測定>
ここでは、図3のステップS18の具体的な処理内容について説明する。
【0061】
(フランジ面の歪み量)
図8は、フランジの基準高さを設定する方式を説明するための図である。図8(a)および図8(b)は、フランジの基準点の設定方式を説明するための図である。図8(c)は、フランジの基準円領域の設定方式を説明するための図である。
【0062】
フランジ面の歪みを測定する際には、フランジ面のどの位置の高さを基準とするのかを設定する必要がある。図8(a)および図8(b)では、フランジ面の基準高さの位置である基準点E1,E2が設定される。基準点E1は、フランジ面の内径側の端部に設定される。基準点E2は、ガスケットがフランジ面の中心にセンタリングした状態で取付けられたと仮定した場合における、ガスケット本体の内径側の端部に対応するフランジ面の位置に設定される。
【0063】
図8(b)に示すように、各基準点E1,E2は、フランジの周方向に等間隔(例えば、45度間隔)で8つ設定される。この場合、8つの基準点E1の高さの平均値を基準高さに設定する。あるいは、8つの基準点E2の高さの平均値を基準高さに設定する。
【0064】
図8(c)を参照して、フランジ面の内径側の端部から規定値(例えば、1mm)以上の円領域を基準円領域として定義する。この場合、基準円領域に含まれる各位置の高さの平均値を基準高さに設定する。
【0065】
上記のように設定された基準高さとフランジ面との差分が、フランジ面の歪み量として測定される。
【0066】
図9は、周方向の歪み量の測定方式を説明するための図である。図9を参照して、評価装置10は、フランジの周方向についてフランジの歪み量を測定する。フランジの中心Oから径方向に向かって複数のチェック線が引かれる。典型的には、フランジの径方向に等間隔(例えば、45度間隔)でチェック線が引かれるが、説明の容易化のため、図9では3つのチェック線221~223が引かれる構成について説明する。
【0067】
ガスケットがフランジ面の中心にセンタリングした状態で取付けられたと仮定した場合における、ガスケット本体の内径側の端部215および外径側の端部216の間に等間隔で3つの周方向のチェック線N1~N3を引く。なお、フランジ面の内径側の端部205および外径側の端部206との間に等間隔で3つの周方向の線で引く構成であってもよい。また、3つ以上の周方向の線が引かれる構成であってもよい。
【0068】
評価装置10は、3次元形状データに基づいて、チェック線N1~N3とチェック線221~223との交点部分の高さを算出する。例えば、評価装置10は、チェック線N1とチェック線221~223との交点M1~M3の部分の高さを算出し、交点M1~M3のうち最も大きい高さTAmaxと、最も小さい高さTAminとを抽出する。例えば、交点M1~M3のうち交点M1の高さが最も大きい高さTAmaxとして抽出され、交点M3の高さが最も小さい高さTAminとして抽出されたとする。
【0069】
図8で設定された基準高さを“Ts”とする。評価装置10は、基準高さTsと高さTAmaxとの差分の絶対値(すなわち、|TAmax-Ts|)および基準高さTsと高さTAminとの差分の絶対値(すなわち、|TAmin-Ts|)のうちの大きい方の値を、チェック線N1に沿った周方向の最大歪み量として測定する。評価装置10は、同様の算出方式により、チェック線N2,N3に沿った周方向の最大歪み量を測定する。
【0070】
評価装置10は、チェック線N1~N3に沿った周方向の最大歪み量(すなわち、3つの最大歪み量)のうちの最大値を、フランジ面の周方向の最大歪み量G1として抽出する。典型的には、評価装置10は、最大歪み量G1と許容歪み量Th1(例えば、0.15mm)とを比較することにより、測定された周方向の歪み量が許容されるのか否かを判断する。
【0071】
図10は、径方向の歪み量の測定方式を説明するための図である。図10を参照して、評価装置10は、フランジの径方向についてフランジの歪み量を測定する。
【0072】
具体的には、図9と同様にフランジの中心Oから径方向に向かって複数のチェック線が引かれる。典型的には、フランジの周方向に等間隔(例えば、45度間隔)でチェック線が引かれるが、説明の容易化のため、図10では2つのチェック線251,252が引かれる構成について説明する。
【0073】
フランジ面の内径側の端部205および外径側の端部206との間に等間隔で4つの測定点を設ける。なお、端部215および端部216との間に等間隔で4つの測定点を設ける構成であってもよい。測定点の間隔は、5mm以下であることが好ましい。なお、測定点の数は、4つ以上であってもよい。
【0074】
評価装置10は、3次元形状データに基づいて、各チェック線251,252における測定点の高さを算出する。例えば、評価装置10は、チェック線251上の測定点K1~K4の高さを算出し、測定点K1~K4のうち最も大きい高さTBmaxと、最も小さい高さTBminとを抽出する。例えば、測定点K1~K4のうち測定点K1の高さが最も大きい高さTBmaxとして抽出され、測定点K3の高さが最も小さい高さTBminとして抽出されたとする。
【0075】
評価装置10は、基準高さTsと高さTBmaxとの差分の絶対値(すなわち、|TBmax-Ts|)および基準高さTsと高さTBminとの差分の絶対値(すなわち、|TBmin-Ts|)のうちの大きい方の値を、チェック線251に沿った径方向の最大歪み量として測定する。評価装置10は、同様の算出方式により、チェック線252に沿った径方向の最大歪み量を測定する。
【0076】
評価装置10は、各チェック線251,252に沿った径方向の最大歪み量(すなわち、2つの最大歪み量)のうちの最大値を、フランジ面の径方向の最大歪み量G2として抽出する。典型的には、評価装置10は、最大歪み量G2と許容歪み量Th1とを比較することにより、測定された径方向の歪み量が許容されるのか否かを判断する。
【0077】
(上下フランジを締結した締結体の歪み量)
上下フランジ単独のフランジ面の歪み量は、図8図10で説明した方式により測定することができる。ただし、実際には、ガスケットを介して上下フランジを締結した状態で使用されるため、上下フランジを締結した際にどの程度の歪みが生じているのかを測定することが好ましい。ここでは、上下フランジを締結した締結体の歪み量(以下、「締結体歪み量」とも称する。)の測定方式について説明する。
【0078】
図11は、締結歪み量の測定方式を説明するための図である。図11(a)は、上下フランジの歪み量を説明するための図である。図11(b)は、締結体歪み量を説明するための図である。
【0079】
図11(a)を参照して、上フランジの歪み量および下フランジの歪み量は、いずれも許容歪み量Th1未満となっている。そのため、評価装置10は、上フランジおよび下フランジの各々の歪み量が許容される歪み量であると判定する。
【0080】
図11(b)を参照して、評価装置10は、上フランジおよび下フランジの各々の歪み量に基づいて、上フランジおよび下フランジの締結体の歪み量を算出する。具体的には、上フランジの各位置の歪み量と、上フランジおよび下フランジを締結した場合に上フランジの各位置に対向する下フランジの各位置の歪み量との合計値を、締結体の歪み量として算出する。
【0081】
例えば、図11(a)を参照すると、領域301において、上フランジは上方向(+Th方向)に歪んでおり、下フランジも上方向に歪んでいる。そのため、上下フランジの締結体の歪み量は大きくならず、許容歪み量Th1未満となる。
【0082】
一方、領域302において、上フランジは上方向に歪んでいるが、下フランジは下方向(-Th方向)に歪んでいる。そのため、上下フランジの締結体の歪み量が大きくなってしまい、許容歪み量Th1以上となる。
【0083】
評価装置10は、締結体歪み量の最大値を抽出し、当該最大値と許容歪み量Th1とを比較することにより、上下フランジが締結された締結体の歪み量が許容されるのか否かを判断する。
【0084】
図12は、締結歪み量の測定方式の他の例を説明するための図である。図12(a)は、上下フランジの歪み量を説明するための図である。図12(b)は、締結体歪み量を説明するための図である。
【0085】
図12(a)の例では、下フランジのフランジ面に傷や付着物が存在している。このように、フランジ面に傷や付着物が存在する場合に、これらを考慮して歪み量を算出する構成であってもよい。図12(b)を参照すると、下フランジのフランジ面に傷や付着物が存在している領域において、締結体歪み量が許容歪み量Th1以上となっていることがわかる。
【0086】
(仕切体の歪み)
熱交換器等では、開口部が仕切体で複数の領域(例えば、2つの領域)に仕切られているフランジが用いられる。当該フランジには、仕切体をシールするための枝付きガスケットが適用される。フランジの使用や経年劣化等により仕切体の表面が徐々に削られていくと、一方の領域から他方の領域に流体漏れが発生する可能性がある。そこで、このようなフランジにおいては、フランジ面に設けられた仕切体の表面の歪み量を測定する。
【0087】
図13は、仕切体の歪み量の測定方式の一例を説明するための図である。図13(a)は、仕切体付きのフランジを示す図である。図13(b)は、仕切体の歪み量を説明するための図である。
【0088】
図13(a)に示すように、仕切体付きのフランジの開口部は、仕切体により複数の領域(ここでは、2つの領域)に仕切られている。仕切体付きのフランジの締結には、フランジ面のうちの仕切体の表面をシールする枝部を有する枝付きガスケットが用いられる。
【0089】
図13(b)には、図13(a)の領域310における歪み量が示されている。仕切体以外の部分のフランジ面(仕切体の表面以外)の歪み量、および仕切体の表面の歪み量が測定される。図13(b)の例では、仕切体の表面の歪み量が許容歪み量Th2(例えば、0.25mm)以上となっている。
【0090】
評価装置10は、仕切体の表面の歪み量の最大値と許容歪み量Th2とを比較することにより、仕切体の表面の歪み量が許容されるのか否かを判断する。
【0091】
<修繕の要否判断>
ここでは、図3のステップS20の具体的な処理内容について説明する。
【0092】
上述したように、評価装置10は、検出された傷、および測定された歪み量の少なくとも一方に基づいて、フランジ面の修繕の要否を判断する。具体的には、以下の条件を用いて修繕の要否を判定する。
【0093】
(条件Z1)
条件Z1は、傷の長さLmaxまたはフランジの歪み量に基づく条件である。ここで、最大長さLmaxは、検出された複数の傷の長さLのうちの最大値である。
【0094】
評価装置10は、傷の最大長さLmaxが基準値Lx1以上であるとの条件Z1aを満たすか否かを判断する。ここで、フランジに使用されるガスケット本体の幅(すなわち、ガスケット本体がフランジ面に接触する接触領域の幅)をWxとする。この場合、例えば、基準値Lx1は、“Wx×(3/4)”に設定される。このことから、基準値Lx1は、ガスケットの種類等に応じて変更される。最大長さLmaxが基準値Lx1以上である(すなわち、条件Z1aを満たす)場合、評価装置10は、フランジ面が修繕を要する状態であると判断する。
【0095】
また、評価装置10は、フランジ面の歪み量が許容歪み量Th1(例えば、0.15mm)以上であるか否かを判断する。具体的には、評価装置10は、フランジ面の周方向の最大歪み量G1およびフランジ面の径方向の最大歪み量G2の両方が許容歪み量Th1以上であるとの条件Z1bを満たすか否かを判断する。最大歪み量G1および最大歪み量G2の両方が許容歪み量Th1以上である(すなわち、条件Z1bを満たす)場合、評価装置10は、フランジ面が修繕を要する状態であると判断する。
【0096】
まとめると、条件Z1aおよび条件Z1bのうちの少なくとも一方を満たす(すなわち、条件Z1を満たす)場合、評価装置10は、フランジ面が修繕を要する状態であると判断する。
【0097】
また、評価装置10は、フランジ面の深刻度を評価する。深刻度は“0~10”の11段階で評価される。深刻度の値が大きいほどフランジ面の状態が深刻である(すなわち、フランジ面の状態が悪い)ものとする。条件Z1を満たす場合にはフランジ面の状態はかなり深刻な状態であるため、この場合、評価装置10は、フランジ面の深刻度を“10”と評価する。
【0098】
(条件Z2)
条件Z2は、締結体歪み量に基づく条件である。
【0099】
評価装置10は、締結体歪み量の最大値が許容歪み量Th1以上であるとの条件Z2を満たすか否かを判断する。締結体歪み量の最大値が許容歪み量Th1以上である(すなわち、条件Z2を満たす)場合、評価装置10は、フランジ面が修繕を要する状態であると判断する。より具体的には、評価装置10は、上フランジのフランジ面および下フランジのフランジ面の少なくとも一方が修繕を要する状態であると判断する。条件Z2を満たす場合、評価装置10は、フランジ面の深刻度を“4”と評価する。
【0100】
(条件Z3)
条件Z3は、ガスケットの種類、傷の長さLおよび深さDに基づく条件である。
【0101】
まず、フランジに使用されるガスケットが、ハードガスケットである場合について説明する。この場合、評価装置10は、基準値Lx1未満かつ基準値Lx2以上である長さLを有する傷が存在するとの条件Z3aを満たすか否かを判断する。例えば、基準値Lx2は、“Wx×(1/2)”に設定される。ガスケットが、ハードガスケットであって、かつ基準値Lx1未満かつ基準値Lx2以上である長さLを有する傷が存在する場合(すなわち、条件Z3aを満たす)場合、評価装置10は、フランジ面が修繕を要する状態であると判断する。
【0102】
次に、フランジに使用されるガスケットがソフトガスケットである場合について説明する。この場合、評価装置10は、基準値Lx1未満かつ基準値Lx2以上である長さLを有し、かつ基準値Dx1(例えば、0.13mm)以上である深さDを有する傷が存在するとの条件Z3bを満たすか否かを判断する。
【0103】
ガスケットがソフトガスケットであり、基準値Lx1未満かつ基準値Lx2以上である長さLを有し、かつ基準値Dx1以上である深さDを有する傷が存在する場合(すなわち、条件Z3bを満たす)場合、評価装置10は、フランジ面が修繕を要する状態であると判断する。
【0104】
まとめると、条件Z3aおよび条件Z3bのうちの少なくとも一方を満たす(すなわち、条件Z3を満たす)場合、評価装置10は、フランジ面が修繕を要する状態であると判断する。条件Z3を満たす場合、評価装置10は、フランジ面の深刻度を“8”と評価する。
【0105】
(条件Z4)
条件Z4は、締結体歪み量および傷の深さDに基づく条件である。
【0106】
評価装置10は、締結体歪み量の最大値および傷の深さDの合計値が基準値ThD以上であるとの条件Z4を満たすか否かを判断する。合計値が基準値ThD以上である(すなわち、条件Z4を満たす)場合、評価装置10は、フランジ面が修繕を要する状態であると判断する。より具体的には、評価装置10は、上フランジのフランジ面および下フランジのフランジ面の少なくとも一方が修繕を要する状態であると判断する。条件Z4を満たす場合、評価装置10は、フランジ面の深刻度を“2”と評価する。
【0107】
(条件Z5)
条件Z5は、ガスケットの種類、傷の長さLおよび深さDに基づく条件である。
【0108】
まず、フランジに使用されるガスケットがハードガスケットである場合について説明する。この場合、評価装置10は、基準値Lx2未満かつ基準値Lx3以上である長さLを有し、かつ基準値Dx2(例えば、0.25mm)以上である深さDを有する傷が存在するとの条件Z5aを満たすか否かを判断する。例えば、基準値Lx3は、“Wx×(1/4)”に設定される。ガスケットがハードガスケットであり、基準値Lx2未満かつ基準値Lx3以上である長さLを有し、かつ基準値Dx2以上である深さDを有する傷が存在する場合(すなわち、条件Z5aを満たす)場合、評価装置10は、フランジ面が修繕を要する状態であると判断する。
【0109】
次に、フランジに使用されるガスケットがソフトガスケットである場合について説明する。この場合、評価装置10は、基準値Lx2未満かつ基準値Lx3以上である長さLを有し、かつ基準値Dx3(例えば、0.75mm)以上である深さDを有する傷が存在するとの条件Z5bを満たすか否かを判断する。
【0110】
ガスケットがソフトガスケットであり、基準値Lx2未満かつ基準値Lx3以上である長さLを有し、かつ基準値Dx2以上である深さDを有する傷が存在する(すなわち、条件Z5bを満たす)場合、評価装置10は、フランジ面が修繕を要する状態であると判断する。
【0111】
まとめると、条件Z5aおよび条件Z5bのうちの少なくとも一方を満たす(すなわち、条件Z5を満たす)場合、評価装置10は、フランジ面が修繕を要する状態であると判断する。条件Z5を満たす場合、評価装置10は、フランジ面の深刻度を“6”と評価する。
【0112】
(条件Z6)
条件Z6は、ガスケットの種類、傷の最大長さLmax、および傷の深さDに基づく条件である。
【0113】
まず、フランジに使用されるガスケットが、ハードガスケットである場合について説明する。この場合、評価装置10は、基準値Lx3未満である長さLを有し、かつ基準値Dx3(例えば、0.75mm)以上である深さDを有する傷が存在するとの条件Z6aを満たすか否かを判断する。
【0114】
ガスケットがハードガスケットであり、基準値Lx3未満である長さLを有し、かつ基準値Dx3以上である深さDを有する傷が存在する場合(すなわち、条件Z6aを満たす)場合、評価装置10は、フランジ面が修繕を要する状態であると判断する。
【0115】
次に、フランジに使用されるガスケットがソフトガスケットである場合について説明する。この場合、評価装置10は、基準値Lx3未満である長さLを有し、かつ基準値Dx4(例えば、1.25mm)以上である深さDを有する傷が存在するとの条件Z6bを満たすか否かを判断する。
【0116】
ガスケットがソフトガスケットであり、基準値Lx3未満である長さLを有し、かつ基準値Dx4以上である深さDを有する傷が存在する場合(すなわち、条件Z6bを満たす)場合、評価装置10は、フランジ面が修繕を要する状態であると判断する。
【0117】
まとめると、条件Z6aおよび条件Z6bのうちの少なくとも一方を満たす(すなわち、条件Z6を満たす)場合、評価装置10は、フランジ面が修繕を要する状態であると判断する。条件Z6を満たす場合、評価装置10は、フランジ面の深刻度を“6”と評価する。
【0118】
(条件Z7)
条件Z7は、仕切体付きのフランジ専用の条件である。具体的には、条件Z7は、ガスケットの種類、および仕切体の表面の歪み量に基づく条件である。
【0119】
フランジに使用されるガスケットが、ハードガスケットである場合について説明する。この場合、評価装置10は、仕切体の表面の最大歪み量が許容歪み量Th2(例えば、0.25mm)以上であるとの条件Z7aを満たすか否かを判断する。ガスケットが、ハードガスケットであり、最大歪み量が許容歪み量Th2以上である(すなわち、条件Z7aを満たす)場合、評価装置10は、フランジ面が修繕を要する状態であると判断する。
【0120】
次に、フランジに使用されるガスケットがソフトガスケットである場合について説明する。この場合、評価装置10は、仕切体の表面の最大歪み量が許容歪み量Th3(例えば、0.5mm)以上であるとの条件Z7aを満たすか否かを判断する。ガスケットがソフトガスケットであり、最大歪み量が許容歪み量Th3以上である(すなわち、条件Z7bを満たす)場合、評価装置10は、フランジ面が修繕を要する状態であると判断する。
【0121】
まとめると、条件Z7aおよび条件Z7bのうちの少なくとも一方を満たす(すなわち、条件Z7を満たす)場合、評価装置10は、フランジ面が修繕を要する状態であると判断する。
【0122】
(まとめ)
評価装置10は、条件Z1~Z7のいずれかを満たす場合、フランジ面が修繕を要する状態であると判断する。また、条件Z1~Z6のいずれかを満たす場合、評価装置10は、満たされる条件に応じてフランジ面の深刻度を評価する。
【0123】
一方、条件Z1~Z7をいずれも満たさない場合には、フランジ面の状態は良好であると考えられる。そのため、この場合、評価装置10は、フランジ面の修繕は不要であると判断する。
【0124】
<アドバイス情報の表示>
ここでは、図3のステップS22の具体的な処理内容について説明する。
【0125】
(条件Z1を満たす場合)
評価装置10は、最大長さLmaxを有する傷の深さD、最大歪み量G1、および最大歪み量G2のうちの最大値を特定する。評価装置10は、フランジ面の修繕が必要である旨および深刻度“10”を含むアドバイス情報をディスプレイ105に表示する。また、アドバイス情報は、特定された最大値に所定値(例えば、0.05mm)を加算した加算値以上の切削または研磨を推奨する情報を含む。
【0126】
(条件Z2を満たす場合)
評価装置10は、フランジ面の修繕が必要である旨および深刻度“4”を含むアドバイス情報をディスプレイ105に表示する。また、アドバイス情報は、締結体歪み量の最大値に所定値(例えば、0.05mm)を加算した加算値以上の切削または研磨を推奨する情報を含む。
【0127】
(条件Z3を満たす場合)
評価装置10は、フランジ面の修繕が必要である旨および深刻度“8”を含むアドバイス情報をディスプレイ105に表示する。アドバイス情報は、条件Z3を満たす要因となった傷の深さDに所定値(例えば、0.05mm)を加算した加算値以上の切削または研磨を推奨する情報を含む。
【0128】
(条件Z4を満たす場合)
評価装置10は、フランジ面の修繕が必要である旨および深刻度“2”を含むアドバイス情報をディスプレイ105に表示する。また、アドバイス情報は、締結体歪み量の最大値に所定値(例えば、0.05mm)を加算した加算値以上の切削または研磨を推奨する情報を含む。
【0129】
(条件Z5を満たす場合)
評価装置10は、フランジ面の修繕が必要である旨および深刻度“6”を含むアドバイス情報をディスプレイ105に表示する。アドバイス情報は、条件Z5を満たす要因となった傷の深さDに所定値(例えば、0.05mm)を加算した加算値以上の切削または研磨を推奨する情報を含む。
【0130】
(条件Z6を満たす場合)
評価装置10は、フランジ面の修繕が必要である旨および深刻度“6”を含むアドバイス情報をディスプレイ105に表示する。アドバイス情報は、条件Z6を満たす要因となった傷の深さDに所定値(例えば、0.05mm)を加算した加算値以上の切削または研磨を推奨する情報を含む。
【0131】
(条件Z7を満たす場合)
評価装置10は、仕切体の異常のためフランジ面の修繕が必要である旨を含むアドバイス情報をディスプレイ105に表示する。また、評価装置10は、仕切体部分の最小高さを基準として、所定値(例えば、0.05mm)以上の切削または研磨を推奨する情報を含む。なお、評価装置10は、仕切体の表面の最大歪み量に基づいて、仕切体部分の最小高さを算出する。
【0132】
(ガスケットの変更について)
条件Z1~Z7のいずれかを満たす場合、アドバイス情報は、ガスケット締結面圧、ガスケット本体の幅、ガスケットの種類変更の検討を促す情報を含んでもよい。この場合、ユーザは、同じガスケットを使用してガスケット本体の幅を増大することを検討する。例えば、ガスケットの内径側および外径側の幅を1mmずつ増やして、再度、上述した評価装置10によるフランジ面の修繕の要否判断を実行してもよい。これにより、フランジ面の修繕が不要との判断がなされた場合には、ガスケットの変更のみで対処することもできる。この場合、締結体歪み量が±0.05mm以内の領域がガスケット面積の3/4以上を占めていることを確認する。また、ガスケット面積が増えると締付力も変わるため、フランジおよびボルト強度(例えば、降伏点・許容応力等)に基づく強度判定を行なう。
【0133】
(フランジ面の領域)
図14は、フランジ面の領域を説明するための図である。図14を参照して、フランジ面の径方向を半分に分割して、フランジ面の内径側の領域をFi、フランジ面の外径側の領域をFoとする。評価装置10は、修繕を要すると判断する原因となった傷、および歪み量が領域Fiおよび領域Foのどちらに存在しているのかを判断する。
【0134】
ここで、領域Fiおよび領域Foのうち、ガスケット接触面圧が大きいのは外径側の領域Foである。そのため、領域Foに存在する傷および歪みは、流体の漏れに対する影響が大きい。したがって、評価装置10は、修繕を要すると判断する原因となった傷、および歪みが領域Foに存在すると判断した場合、アドバイス情報として、定期確認を促す情報を出力する構成であってもよい。例えば、アドバイス情報は、“漏えいに繋がる可能性が高いため運転中に定期的な確認を行なうこと”といった文章を含む。
【0135】
(メンテナンス情報)
アドバイス情報は、フランジ面のメンテナンスに関する情報を含んでいてもよい。
【0136】
評価装置10は、フランジ面の許容歪み量Th1(例えば、0.15mm)に対する、フランジ面の最大歪み量(例えば、最大歪み量G1,G2)の割合H1を算出する。評価装置10は、許容歪み量Th1に対する締結体歪み量の最大値の割合H2を算出する。評価装置10は、傷の深さの基準値(例えば、基準値Dx1~Dx4)に対する深さDの割合H3を算出する。評価装置10は、新品時のフランジ面の高さに対する、測定したフランジ面の最低高さの割合H4を算出する。
【0137】
評価装置10は、割合H1~H3の各々について、当該割合が80%以上の場合には次回メンテナンス時に修繕および設備新調を推奨する旨をアドバイス情報として出力する。評価装置10は、割合H1~H3の各々について、当該割合が60%以上の場合には、次回メンテナンス時に修繕または設備新調計画を推奨する旨をアドバイス情報として出力する。評価装置10は、割合H4が40%未満である場合には設備新調を推奨する旨をアドバイス情報として出力し、割合H4が40%以上60%未満である場合には、設備新調の計画予定を推奨する旨をアドバイス情報として出力する。
【0138】
なお、評価装置10は、定期的に行われるメンテナンス時に各割合H1~H4を算出して、各割合H1~H4を時系列にグラフ化してもよい。
【0139】
<機能構成>
図15は、評価装置10の機能構成の一例を示すブロック図である。図15を参照して、評価装置10は、主たる機能構成として、データ取得部401と、評価部403と、出力制御部405とを含む。これらの各機能は、例えば、評価装置10のプロセッサ101がメモリ103に格納されたプログラムを実行することによって実現される。なお、これらの機能の一部または全部はハードウェアで実現されるように構成されていてもよい。
【0140】
データ取得部401は、フランジの3次元形状データを取得する。具体的には、データ取得部401は、入出力インターフェイス109(または通信インターフェイス111)を介して、3Dスキャナ20からフランジの3次元形状データを取得する。典型的には、データ取得部401は、シール材を介して締結される一対のフランジ(例えば、上フランジおよび下フランジ)の3次元形状データが取得する。
【0141】
評価部403は、3次元形状データに基づいて、フランジのフランジ面の状態を評価する。具体的には、評価部403は、設定部411と、検出部413と、歪み量測定部415と、判断部417とを含む。
【0142】
設定部411は、フランジ面における評価対象領域を設定する。具体的には、設定部411は、上述した<評価対象領域の設定>に従って、評価対象領域(例えば、図5中の評価対象領域210)を設定する。評価対象領域は、フランジ面におけるシール材が接触する領域、または当該フランジ面の全領域である。当該接触する領域は、シール材がフランジ面の中心にセンタリングした状態で取付けられている場合にシール材がフランジ面に接触する領域、および、シール材がフランジに設置される際の遊びを考慮した場合にシール材がフランジ面に接触する領域を含む。
【0143】
なお、評価対象領域は、フランジの径方向内側の第1領域(例えば、領域Fi)と、フランジの径方向外側の第2領域(例えば、領域Fo)とに区分されてもよい。
【0144】
検出部413は、3次元形状データに基づいて、評価対象領域210に生じた傷を検出する。ある局面では、検出部413は、上述した複数の傷の統合方式に従って、評価対象領域210において互いに近接する第1の傷(例えば、図7中の傷A1)および第2の傷(例えば、図7中の傷A2)を検出した場合、第1の傷および第2の傷を1つの傷として統合する。検出部413は、傷の検出結果を判断部417に出力する。検出結果は、検出された傷の長さL、傷の深さD等を含む。
【0145】
歪み量測定部415は、3次元形状データに基づいて、フランジ面の歪み量を測定する。典型的には、歪み量測定部415は、一対のフランジのフランジ面の歪み量を測定する。ある局面では、歪み量測定部415は、図9で説明した測定方式に従って、周方向のフランジ面の歪み量を測定し、図10で説明した測定方式に従って、径方向のフランジ面の歪み量を測定する。
【0146】
他の局面では、歪み量測定部415は、上フランジの歪み量と下フランジの歪み量とに基づいて、上フランジと下フランジとが締結される場合の締結体歪み量を算出する。具体的には、歪み量測定部415は、図11で説明した測定方式に従って、締結体歪み量を算出する。
【0147】
さらに他の局面では、歪み量測定部415は、フランジ面のうちの仕切体の表面の歪み量を測定する。具体的には、歪み量測定部415は、図13で説明した測定方式に従って、仕切体の表面の歪み量を測定する。
【0148】
判断部417は、傷およびフランジ面の歪み量の少なくとも一方に基づいて、フランジ面の修繕の要否を判断する。
【0149】
ある局面では、傷の長さ(例えば、傷の最大長さLmax)が所定長さ(例えば、基準値Lx1)以上である場合、または、フランジ面の歪み量が許容歪み量Th1以上である場合に、判断部417は、フランジ面が修繕を要する状態であると判断する。また、傷の長さ(例えば、長さL)が所定長さ(例えば、基準値Lx1)未満であってかつ当該傷の深さ(例えば、深さD)が所定深さ(例えば、基準値Dx1)以上である場合、判断部417は、フランジ面が修繕を要する状態であると判断する。
【0150】
判断部417は、所定長さ以上の傷、許容歪み量Th1の歪み、および、所定長さ未満かつ所定深さ以上の傷が、フランジの径方向内側の第1領域(例えば、領域Fi)と、フランジの径方向外側の第2領域(例えば、領域Fo)のいずれに存在するのかを判断してもよい。
【0151】
他の局面では、締結体歪み量が許容歪み量Th1以上である場合、判断部417は、上フランジのフランジ面および下フランジのフランジ面の少なくとも一方が修繕を要する状態であると判断する。
【0152】
さらに他の局面では、仕切体の表面の歪み量が許容歪み量Th3以上である場合、判断部417は、フランジ面が修繕を要する状態であると判断する。
【0153】
出力制御部405は、判断部417の判断結果に基づいて、ユーザへのアドバイス情報を出力する。具体的には、出力制御部405は、フランジのフランジ面が修繕を要する状態であるとの判断結果に基づいて、フランジ面の切削または研磨を推奨する情報をアドバイス情報として出力する。
【0154】
所定長さ以上の傷、許容歪み量Th1の歪み、および、所定長さ未満かつ所定深さ以上の傷が第2領域(例えば、領域Fo)に存在する場合、出力制御部405は、フランジ面の定期的な確認を促す情報をさらに出力する。
【0155】
典型的には、出力制御部405は、上述した<アドバイス情報の表示>で説明した内容をディスプレイ105に表示する。
【0156】
<利点>
本実施の形態によると、作業者の技術的知識および経験によらず、フランジ面の傷および歪みの状態に応じて、当該フランジ面の修繕の要否を判断することが可能となる。また、修繕の要否について人によってばらつきも生じない。また、アドバイス情報により、作業者は、フランジ面に対する処置を効率的に行なうことができる。
【0157】
<その他の実施の形態>
(1)上述した実施の形態において、検出された傷が占める面積を算出する構成であってもよい。図16は、傷の面積の算出方式を説明するための図である。図16を参照して、扇形状の領域80を傷の面積として定義する。領域80は、フランジの中心Oから傷60の一端J1に引いた直線271と、中心Oから傷60の他端J2に引いた直線272と、評価対象領域を示す線201,202とで囲まれた領域である。
【0158】
評価装置10(例えば、判断部417)は、フランジ面の全体面積に対する複数の傷の合計面積の割合が所定割合(例えば、1%)以上である場合、フランジ面が修繕を要する状態であると判断する。
【0159】
なお、フランジ面の全体面積の規定割合(例えば、1%)の面積を“Sf”とし、複数の傷の合計面積を“Sd”とする。この場合、評価装置10は、面積Sfに対する面積Sdの割合H5が80%以上の場合には次回メンテナンス時に修繕および設備新調を推奨する旨をアドバイス情報として出力し、割合H5が60%以上の場合には次回メンテナンス時に修繕または設備新調計画を推奨する旨をアドバイス情報として出力する。
【0160】
(2)上述した実施の形態において、コンピュータを機能させて、上述のフローチャートで説明したような制御を実行させるプログラムを提供することもできる。このようなプログラムは、コンピュータに付属するフレキシブルディスク、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、二次記憶装置、主記憶装置およびメモリカードなどの一時的でないコンピュータ読取り可能な記録媒体にて記録させて、プログラム製品として提供することもできる。あるいは、コンピュータに内蔵するハードディスクなどの記録媒体にて記録させて、プログラムを提供することもできる。また、ネットワークを介したダウンロードによって、プログラムを提供することもできる。
【0161】
プログラムは、コンピュータのオペレーティングシステム(OS)の一部として提供されるプログラムモジュールのうち、必要なモジュールを所定の配列で所定のタイミングで呼出して処理を実行させるものであってもよい。その場合、プログラム自体には上記モジュールが含まれずOSと協働して処理が実行される。このようなモジュールを含まないプログラムも、本実施の形態にかかるプログラムに含まれ得る。また、本実施の形態にかかるプログラムは他のプログラムの一部に組込まれて提供されるものであってもよい。その場合にも、プログラム自体には上記他のプログラムに含まれるモジュールが含まれず、他のプログラムと協働して処理が実行される。このような他のプログラムに組込まれたプログラムも、本実施の形態にかかるプログラムに含まれ得る。
【0162】
(3)上述の実施の形態として例示した構成は、本発明の構成の一例であり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、一部を省略する等、変更して構成することも可能である。また、上述した実施の形態において、その他の実施の形態で説明した処理や構成を適宜採用して実施する場合であってもよい。
【0163】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0164】
10 評価装置、20 3Dスキャナ、30 フランジ、101 プロセッサ、103 メモリ、105 ディスプレイ、107 入力装置、109 入出力インターフェイス、111 通信インターフェイス、210 評価対象領域、401 データ取得部、403 評価部、405 出力制御部、411 設定部、413 検出部、415 歪み量測定部、417 判断部、1000 評価システム。
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