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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024011132
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】せん断補強筋の支持装置及び支持方法
(51)【国際特許分類】
   E04G 21/12 20060101AFI20240118BHJP
【FI】
E04G21/12 105D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022112887
(22)【出願日】2022-07-14
(71)【出願人】
【識別番号】000141864
【氏名又は名称】株式会社京都スペーサー
(74)【代理人】
【識別番号】100076406
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 勝徳
(74)【代理人】
【識別番号】100171941
【弁理士】
【氏名又は名称】辻 忠行
(72)【発明者】
【氏名】坂口 伸宏
(57)【要約】
【課題】鉄筋コンクリート支柱間で全てのせん断補強筋の配筋をスムーズに行うことができるせん断補強筋の支持装置及び支持方法を提供する。
【解決手段】鉄筋コンクリート梁の施工時、支持装置1の支柱11を縦方向略等間隔置きに設置し、支柱11上端部の載置台12に取り付けた吊下アーム13に各せん断補強筋21の上辺を吊下しておき、各上側主筋22を各せん断補強筋21の内側に挿通させた状態で載置台12に対し横方向へ略等間隔に並べて載置する。各吊下アーム13を載置台12から離脱させる際に、各せん断補強筋21の上辺を各吊下アーム13から載置台12上の各上側主筋22に移載して吊下するとともに、各下側主筋23を各せん断補強筋21の内側に挿通させた状態で当該各せん断補強筋21の下辺に対し横方向へ略等間隔に並べて載置し、各せん断補強筋21を各上側及び各下側主筋22,23に対し縦方向の略均等な間隔置きに配筋する。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄筋コンクリート梁の施工時にその内部の上側位置及び下側位置において当該鉄筋コンクリート梁に沿った状態で配筋された複数の上側及び下側主筋をその配筋方向となる縦方向の略均等な間隔置きに囲むように配筋される複数のせん断補強筋を支持する支持装置であって、
前記各上側主筋に対し前記縦方向へ略等間隔置きにそれぞれ設置された上下方向へ延びる支柱と、
前記支柱の上端部において前記各上側主筋の配筋方向と直交する横方向へ延びる載置台と、
前記載置台に脱着可能に取り付けられ、前記各せん断補強筋の上辺が前記縦方向から吊下されるように前記載置台よりも高所を前記縦方向へ延びる吊下アームと、
を備え、
前記載置台には、前記各上側主筋が前記各せん断補強筋の内側に挿通された状態で前記横方向へ並べて載置されており、
前記吊下アームが前記載置台から離脱される際には、
前記各上側主筋に対し前記吊下アームから前記各せん断補強筋の上辺が移載されるとともに、
前記各せん断補強筋の下辺に対し前記各下側主筋が前記各せん断補強筋の内側に挿通された状態で前記横方向へ並べて配筋され、
前記各せん断補強筋は前記各上側主筋及び前記各下側主筋に対し前記縦方向の略均等な間隔置きに配筋されることを特徴とするせん断補強筋の支持装置。
【請求項2】
前記吊下アームは、前記載置台よりも高所を前記縦方向両側へ延び、前記各せん断補強筋の上辺が前記縦方向両側においてそれぞれ吊下されている請求項1に記載のせん断補強筋の支持装置。
【請求項3】
前記吊下アームは、前記各せん断補強筋の上辺が前記横方向複数箇所でそれぞれ吊下されるように前記横方向に複数設けられている請求項1又は請求項2に記載のせん断補強筋の支持装置。
【請求項4】
前記支柱には、当該支柱に対し前記載置台を上下方向に高さ変更可能に連結する連結手段が設けられている請求項1~請求項3のいずれか1つに記載のせん断補強筋の支持装置。
【請求項5】
鉄筋コンクリート梁の施工時にその内部の上側位置及び下側位置において当該鉄筋コンクリート梁に沿って配筋された複数の上側及び下側主筋をその配筋方向となる縦方向の略均等な間隔置きで囲むように配筋される複数のせん断補強筋を支持する支持方法であって、
上端部に載置台を備えた上下方向へ延びる支柱を前記各上側主筋に対し前記縦方向へ略等間隔置きにそれぞれ設置した後、
前記載置台に脱着可能に取り付けられかつ当該載置台よりも高所を前記縦方向へ延びる吊下アームに、前記各せん断補強筋の上辺を吊下し、
その後、前記各上側主筋を前記各せん断補強筋の内側に挿通させた状態で前記載置台に対し前記横方向へ並べて載置した後、
前記各せん断補強筋の上辺を前記吊下アームから前記各上側主筋に移載してから、前記吊下アームを前記載置台より取り外すとともに、前記各下側主筋を前記各せん断補強筋の内側に挿通させた状態で当該各せん断補強筋の下辺に対し前記横方向へ並べて載置し、
しかる後、前記各せん断補強筋を前記各上側主筋及び前記各下側主筋に対し前記縦方向の略均等な間隔置きに配筋することを特徴とするせん断補強筋の支持方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄筋コンクリート梁の施工時に用いられるせん断補強筋を支持する支持装置及び支持方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、上下方向へ延びる鉄筋コンクリート支柱同士は、横方向へ延びる鉄筋コンクリート梁によって連結されている。そして、従来より、鉄筋コンクリート梁にはせん断方向の荷重が作用するため、鉄筋コンクリート梁の施工時にその内部の上側位置及び下側位置において当該鉄筋コンクリート梁に沿った状態で配筋される複数の上側及び下側主筋をせん断補強筋によって囲むように配筋することが行われている(特許文献1参照)。
【0003】
このようなせん断補強筋は、略矩形枠状に形成され、複数の上側及び下側主筋をその配筋方向となる縦方向の略均等な間隔置き、たとえば150mm置きに囲むように配筋する必要があるため、複数用意されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平3-105623号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、鉄筋コンクリート支柱同士の間で必要とされる複数のせん断補強筋は、鉄筋コンクリート支柱側から鉄筋を鉄筋コンクリート梁側に導出させた導出端に通して、支持されている。
【0006】
その場合、複数の上側及び下側主筋は、自重により曲りが発生するため、各上側及び各下側主筋の縦方向へ略等間隔置き(たとえば1500mm置き)にそれぞれ設置された支持装置により支持することで、鉄筋コンクリート梁に沿った状態で配筋されるようにしている。
【0007】
しかし、鉄筋コンクリート支柱側から鉄筋コンクリート梁側に導出させた鉄筋の導出端に複数のせん断補強筋を通して支持していると、以下に述べる課題が発生する。
【0008】
つまり、鉄筋の導出端から縦方向の最初の支持装置まではせん断補強筋の配筋がスムーズに行われるものの、縦方向の次の支持装置までせん断補強筋を配筋する際に最初の支持装置が邪魔となり、それ以降の支持装置も同様に邪魔となる。そのため、最初の支持装置以降にせん断補強筋を配筋するには邪魔となる支持装置がその都度順に増えてしまい、邪魔となる支持装置を順に潜らせてせん断補強筋を配筋しなければならず、これでは、最初の支持装置以降の複数のせん断補強筋の配筋をスムーズに行うことができない。
【0009】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、鉄筋コンクリート支柱間において邪魔となる支持装置を順に潜らせることなく全てのせん断補強筋の配筋をスムーズに行うことができるせん断補強筋の支持装置及び支持方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するため、本発明では、鉄筋コンクリート梁の施工時にその内部の上側位置及び下側位置において当該鉄筋コンクリート梁に沿った状態で配筋された複数の上側及び下側主筋をその配筋方向となる縦方向の略均等な間隔置きに囲むように配筋される複数のせん断補強筋を支持する支持装置を前提とする。更に、前記各上側主筋に対し前記縦方向へ略等間隔置きにそれぞれ設置された上下方向へ延びる支柱と、前記支柱の上端部において前記各上側主筋の配筋方向と直交する横方向へ延びる載置台と、前記載置台に脱着可能に取り付けられ、前記各せん断補強筋の上辺が前記縦方向から吊下されるように前記載置台よりも高所を前記縦方向へ延びる吊下アームと、を備える。また、前記載置台に、前記各上側主筋を前記各せん断補強筋の内側に挿通させた状態で前記横方向へ並べて載置する。そして、前記吊下アームを前記載置台から離脱させる際に、前記各上側主筋に対し前記吊下アームから前記各せん断補強筋の上辺を移載するとともに、前記各せん断補強筋の下辺に対し前記各下側主筋を前記各せん断補強筋の内側に挿通させた状態で前記横方向へ並べて配筋し、前記吊下アームを前記載置台から取り外す。更に、前記各せん断補強筋を、前記各上側主筋及び前記各下側主筋に対し前記縦方向の略均等な間隔置きに配筋することを特徴としている。
【0011】
また、前記吊下アームを、前記載置台よりも高所を前記縦方向両側へ延ばし、前記各せん断補強筋の上辺を前記縦方向両側においてそれぞれ吊下していてもよい。
【0012】
また、前記吊下アームを、前記各せん断補強筋の上辺が前記横方向複数箇所でそれぞれ吊下されるように前記横方向に複数設けていてもよい。
【0013】
前記支柱に、当該支柱に対し前記載置台を上下方向に高さ変更可能に連結する連結手段を設けることがこのましい。
【0014】
これに対し、前記目的を達成するため、本発明では、鉄筋コンクリート梁の施工時にその内部の上側位置及び下側位置において当該鉄筋コンクリート梁に沿って配筋された複数の上側及び下側主筋をその配筋方向となる縦方向の略均等な間隔置きに囲むように配筋される複数のせん断補強筋を支持する支持方法を前提とする。そして、上端部に載置台を備えた上下方向へ延びる支柱を前記各上側主筋に対し前記縦方向へ略等間隔置きにそれぞれ設置する。それから、前記載置台に脱着可能に取り付けられかつ当該載置台よりも高所を前記縦方向へ延びる吊下アームに、前記各せん断補強筋の上辺を吊下しておく。その後、前記各上側主筋を前記各せん断補強筋の内側に挿通させた状態で前記載置台に対し前記横方向へ並べて載置する。それから、前記各せん断補強筋の上辺を前記吊下アームから前記各上側主筋に対し移載して吊下状態とするとともに、前記各下側主筋を前記各せん断補強筋の内側に挿通させた状態で当該各せん断補強筋の下辺に対し前記横方向へ並べて載置する。しかる後、前記各せん断補強筋を前記各上側主筋及び前記各下側主筋に対し前記縦方向の略均等な間隔置きに配筋することを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
以上、要するに、鉄筋コンクリート梁の施工時、各上側主筋の配筋方向となる縦方向へ略等間隔置きに支持装置の支柱をそれぞれ設置し、その支柱上端部の載置台に取り付けた吊下アームに複数のせん断補強筋の上辺を吊下しておき、各上側主筋を各せん断補強筋の内側に挿通させた状態で載置台に対し横方向へ並べて載置しておく。そして、吊下アームを載置台から離脱させる際に、各せん断補強筋の上辺を吊下アームから各上側主筋に移載して吊下するとともに、各下側主筋を各せん断補強筋の内側に挿通させた状態で当該各せん断補強筋の下辺に対し横方向へ並べて載置し、各せん断補強筋を各上側主筋及び各下側主筋に対し縦方向の略均等な間隔置きに配筋するようにしている。
【0016】
すなわち、鉄筋コンクリート支柱同士の間で各上側及び各下側主筋の縦方向へ略等間隔置きにそれぞれ設置した支持装置により複数のせん断補強筋を支持することで、互いに相隣なる支持装置間で必要とされる複数のせん断補強筋を個々の支持装置に支持しておけばよい。これにより、せん断補強筋を配筋する際に鉄筋コンクリート支柱間において邪魔となる支持装置を順に潜らせる必要がなく、全てのせん断補強筋の配筋をスムーズに行うことができる。
【0017】
また、載置台よりも高所を縦方向両側へ延ばした吊下アームの縦方向両側において各せん断補強筋の上辺をそれぞれ吊下することで、縦方向両側の支持装置に支持された各上側及び各下側主筋に対しせん断補強筋を配筋することが可能となり、各支持装置の縦方向片側で支持されるせん断補強筋の支持量を低減することができる。更に、吊下アームによって支柱の縦方向両側にせん断補強筋が分散され、支柱のバランスを縦方向で略均等にすることもでき、支柱の倒れを効果的に防止することができる。
【0018】
また、横方向に複数の吊下アームによって各せん断補強筋の上辺を横方向複数箇所でそれぞれ吊下することで、各吊下アームによって各せん断補強筋の上辺を安定した状態で吊下することができる。
【0019】
更に、載置台を上下方向に高さ変更可能に連結する連結手段を支柱に設けることで、せん断補強筋のサイズに応じて載置台を最適な位置に高さ変更でき、あらゆるサイズのせん断補強筋を載置台に載置することができる。
【0020】
また、複数のせん断補強筋を支持する支持方法として、鉄筋コンクリート支柱同士の間で各上側及び各下側主筋の縦方向へ略等間隔置きにそれぞれ設置した支持装置に互いに相隣なる支持装置間で必要な複数のせん断補強筋を支持しておけばよい。これにより、せん断補強筋を配筋する際に鉄筋コンクリート支柱間において邪魔となる支持装置を順に潜らせる必要がなく、全てのせん断補強筋の配筋をスムーズに行うことができる支持方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の第1の実施の形態に係る支持装置の吊下アームの縦方向一側においてのみ各せん断補強筋の上辺をそれぞれ吊下した状態を示す斜視図である。
図2図1の支持装置を横方向から見た側面図である。
図3図1の支持装置を上方から見た平面図である。
図4図1の支持装置を縦方向一側から見た正面図である。
図5図1の支持装置の載置台から吊下アームを取り外した状態で斜め上方から見た斜視図である。
図6図5の一方の吊下アームを横方向から見た側面図である。
図7図6の吊下アームを斜め上方から見た斜視図である。
図8図1の支持装置の吊下アームに各せん断補強筋の上辺を吊下する前の状態を示す斜視図である。
図9図8の支持装置の吊下アームの縦方向両側において各せん断補強筋の上辺をそれぞれ吊下した状態を示す斜視図である。
図10図9の支持装置の載置台に4本の上側主筋を各せん断補強筋の内側に挿通させて横方向へ並べて載置した状態を示す斜視図である。
図11図10の支持装置の吊下アームから載置台の各上側主筋に各せん断補強筋を移載した状態を示す斜視図である。
図12図11の支持装置を縦方向一側から見た正面図である。
図13図11の支持装置の載置台の各上側主筋に移載した各せん断補強筋を縦方向両側に略均等に配筋した状態を示す斜視図である。
図14】本発明の第2の実施の形態に係る支持装置に吊下アームを取り付けた状態を示す斜視図である。
図15図14の支持装置を縦方向一側から見た正面図である。
図16図14の支持装置を横方向一側から見た側面図である。
図17図14の支持装置を横方向他側から見た側面図である。
図18図14の支持装置を上方から見た平面図である。
図19】本発明の第3の実施の形態に係る支持装置に吊下アームを取り付けた状態を示す斜視図である。
図20図19の支持装置を縦方向一側から見た正面図である。
図21図19の支持装置を横方向一側から見た側面図である。
図22図19の支持装置を横方向他側から見た側面図である。
図23図19の支持装置を上方から見た平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0023】
図1は本発明の第1の実施の形態に係る支持装置の吊下アームの縦方向一側においてのみ各せん断補強筋の上辺をそれぞれ吊下した状態を示す斜視図を示している。また、図2図1の支持装置を横方向から見た側面図、図3図1の支持装置を上方から見た平面図、図4図1の支持装置を縦方向一側から見た正面図をそれぞれ示している。この図1図4では、支持装置の構成が明確となるように吊下アームの縦方向他側での各せん断補強筋の吊下状態を割愛している。
【0024】
図1図4に示すように、1は鉄筋コンクリート梁(図示せず)の施工時に複数のせん断補強筋21,21,…を支持する支持装置である。各せん断補強筋21は、施工される鉄筋コンクリート梁の内部の上側位置及び下側位置において当該鉄筋コンクリート梁に沿った状態でそれぞれ配筋される5本の上側主筋22,22,…及び下側主筋23,23,…(図11に表れる)をその配筋方向となる縦方向(図2及び図3では左右方向)の略均等な間隔(例えば150mm程度)置きで囲むように配筋される。この場合、各せん断補強筋21は、長尺な2つの側辺のうちの一方でアプセット溶接されて略矩形枠状に形成されている。
【0025】
支持装置1は、上側及び下側主筋22,23の自重により発生する曲りを防止する上で、各上側及び下側主筋22,23に対し縦方向へ略等間隔(例えば1500mm程度)置きにそれぞれ設置されている。この支持装置1は、上下方向へ延びる支柱11を備えている。支柱11は、断面略L字状に形成され、下端に略正方形状の基板111が固定されている。この場合、基板111の一辺の長さは、支柱11の断面形状の一辺の長さの略4倍に設定され、支柱11(支持装置1)の倒れを抑制している。
【0026】
また、支持装置1は、支柱11の上端部において各上側主筋22の配筋方向と直交する横方向(図4では左右方向)へ延びる載置台12と、この載置台12にそれぞれ取り付けられた2つの吊下アーム13,13とを備えている。
【0027】
図5図1の支持装置1の載置台12から吊下アーム13を取り外した状態で斜め上方から見た斜視図を示している。また、図6図5の一方の吊下アーム13を横方向から見た側面図、図7図6の吊下アーム13を斜め上方から見た斜視図をそれぞれ示している。
【0028】
図5にも示すように、載置台12は、互いに略直角に折り曲げられた、水平板部121及び垂直板部122を備え、横方向へ延びている。また、載置台12は、垂直板部122の裏面の幅方向中央位置に上端部が固着されて下方へ延びる垂直棒部123を備えている。この垂直棒部123は、鉄筋よりなる。更に、載置台12の幅方向両端には、水平板部121上に各上側主筋22が載置された際の落下を防止する突起片124,124が突設されている。
【0029】
また、支柱11には、載置台12を上下方向に高さ変更可能に連結する連結手段14が設けられている。連結手段14は、支柱11の上端部を閉空間とするように両端が固設された略コの字状の閉じ具141と、この閉じ具141の底部に螺着され、支柱11の角部に向かって進退動するボルト材142と、を備えている。そして、垂直棒部123の下部は、支柱11の角部と閉じ具141との閉空間に挿通され、その挿通位置でボルト材142の進出動により支柱11の上端部に固定されている。
【0030】
図6及び図7にも示すように、各吊下アーム13は、縦方向から各せん断補強筋21の上辺が吊下されるように載置台12よりも高所を縦方向へ延びる丸棒状の縦片131と、この縦片131の略中央部に上端が連結されて下方へ延びる丸棒状の垂直片132とを有し、略T字状に形成されている。この場合、縦片131の両端は上方へ略四分の一円弧上に湾曲していて、当該縦片131に各せん断補強筋21の上辺を吊下した際の落下を防止している。
【0031】
垂直片132の下端部には、吊下アーム13を載置台12に対し脱着自在に取付ける取付具15が設けられている。この取付具15は、載置台12の水平板部121及び垂直板部122の表面に沿うように折曲された断面略L字状のL字状部材151と、このL字状部材151の垂直板部152の裏面側に設けられた厚板状のスペーサー部材154と、このスペーサー部材154に設けられた挿通孔(図示せず)を介して裏側から挿通され、垂直板部152の下部に設けられた挿通孔155を介して垂直板部152の表側に先端が突出するボルト156と、このボルト156の先端に螺着される蝶ナット157とを備えている。L字状部材151の水平板部153の先端は、ヘアピン状に略180°湾曲し、載置台12の水平板部121の先端に対し係合するようになっている。
【0032】
この場合、取付具15は、蝶ナット157の締付によって、L字状部材151の水平板部153の先端が載置台12の水平板部121の先端に対し係合した状態に保持され、吊下アーム13を載置台12に対し取り付けるようにしている。一方、取付具15は、蝶ナット157を緩めることによって、載置台12の水平板部121の先端に対するL字状部材151の水平板部153の先端の係合が解除され、吊下アーム13を載置台12から取り外せるようにしている。
【0033】
次に、鉄筋コンクリート梁の施工時に支持装置1に支持した各せん断補強筋21を配筋する手順の一例を図8図13に基づいて説明する。
【0034】
図8図1の支持装置1の吊下アーム13に各せん断補強筋21の上辺を吊下する前の状態を示す斜視図、図9図8の支持装置1の吊下アーム13の縦方向両側において各せん断補強筋21の上辺をそれぞれ吊下した状態を示す斜視図をそれぞれ示している。また、図10図9の支持装置1の載置台12に4本の上側主筋22,22,…を各せん断補強筋21の内側に挿通させて横方向へ並べて載置した状態を示す斜視図、図11図10の支持装置1の吊下アーム13から載置台12の各上側主筋22に各せん断補強筋21を移載した状態を示す斜視図をそれぞれ示している。更に、図12図11の支持装置1を縦方向一側から見た正面図、図13図11の支持装置1の載置台12の各上側主筋22に移載した各せん断補強筋21を縦方向両側に略均等に配筋した状態を示す斜視図をそれぞれ示している。
【0035】
先ず、図8に示すように、鉄筋コンクリート梁の施工に際し、各上側及び各下側主筋22,23の縦方向へ略等間隔(たとえば1500mm程度)置きにそれぞれ支持装置1を設置しておく。このとき、載置台12の横方向両側位置に2つの吊下アーム13をそれぞれ取り付けている。
【0036】
次いで、図9に示すように、支持装置1の載置台12よりも高所を縦方向へ延びる各吊下アーム13の縦方向両側に載置台12を挟むように5本ずつのせん断補強筋21,21,…の上辺をそれぞれ縦方向に並べて吊下しておく。
【0037】
その後、図10に示すように、4本の上側主筋22,22,…を各せん断補強筋21の内側に挿通させた状態で載置台12の水平板部121に対し横方向へ略等間隔に並べて載置する。
【0038】
それから、図11及び図12に示すように、各せん断補強筋21の上辺を各吊下アーム13から載置台12上の各上側主筋22に対し移載して吊下状態とする。その後、5本の下側主筋23,23,…を各せん断補強筋21の内側に挿通させた状態で当該各せん断補強筋21の下辺に対し横方向へ略等間隔置きに並べて載置する。そして、各せん断補強筋21の移載後、又は各下側主筋23の載置後に、取付具15の蝶ナット157を緩め、載置台12の水平板部121の先端に対するL字状部材151の水平板部153の先端の係合を解除することで、各吊下アーム13を載置台12から取り外しておく。
【0039】
しかる後、図13に示すように、各せん断補強筋21を各上側主筋22及び各下側主筋23に対し縦方向の略均等な間隔(たとえば150mm程度)置きに配筋する。
【0040】
したがって、本実施の形態では、鉄筋コンクリート梁の施工時、各上側主筋22の縦方向(配筋方向)へ略等間隔置きに支持装置1の支柱11をそれぞれ設置し、その支柱11上端部の載置台12に取り付けた2つの吊下アーム13,13に5本のせん断補強筋21,21,…の上辺を吊下しておき、各上側主筋22を各せん断補強筋21の内側に挿通させた状態で載置台12に対し横方向へ略等間隔に並べて載置しておく。そして、各吊下アーム13を載置台12から離脱させる際に、各せん断補強筋21の上辺を各吊下アーム13から載置台12上の各上側主筋22に移載して吊下するとともに、各下側主筋23を各せん断補強筋21の内側に挿通させた状態で当該各せん断補強筋21の下辺に対し横方向へ略等間隔に並べて載置し、各せん断補強筋21を各上側主筋22及び各下側主筋23に対し縦方向の略均等な間隔置きに配筋するようにしている。
【0041】
すなわち、鉄筋コンクリート支柱同士の間で各上側及び各下側主筋22,23の縦方向へ略等間隔置きにそれぞれ設置した支持装置1により縦方向両側に5本ずつのせん断補強筋21,21,…が支持されているので、互いに相隣なる支持装置1間で必要なせん断補強筋21を個々の支持装置1に支持しておけばよい。これにより、せん断補強筋21を配筋する際に鉄筋コンクリート支柱間において邪魔となる支持装置1を順に潜らせる必要がなく、鉄筋コンクリート支柱同士の間での全てのせん断補強筋21,21,…の配筋をスムーズに行うことができる。
【0042】
また、載置台12よりも高所を縦方向両側へ延ばした各吊下アーム13の縦方向両側において各せん断補強筋21の上辺がそれぞれ吊下されているので、縦方向両側の支持装置1に支持された各上側及び各下側主筋22,23に対しせん断補強筋21を配筋することが可能となり、各支持装置1の縦方向片側で支持されるせん断補強筋21の支持量を低減することができる。更に、各吊下アーム13によって支柱11の縦方向両側にせん断補強筋21が分散され、支柱11のバランスを縦方向で略均等にすることもでき、支柱11の倒れを効果的に防止することができる。
【0043】
また、横方向に2つの吊下アーム13,13によって各せん断補強筋21の上辺が横方向2箇所でそれぞれ吊下されることにより、各吊下アーム13によって各せん断補強筋21の上辺を安定した状態で吊下することができる。
【0044】
更に、載置台12を上下方向に高さ変更可能に連結する連結手段14が支柱11に設けられているので、せん断補強筋21のサイズに応じて載置台12を最適な位置に高さ変更でき、あらゆるサイズのせん断補強筋を載置台12に載置することができる。
【0045】
また、5本のせん断補強筋21,21,…を支持する支持方法として、鉄筋コンクリート支柱同士の間で各上側及び各下側主筋22,23の縦方向へ略等間隔置きにそれぞれ設置した支持装置1に互いに相隣なる支持装置1間で必要な複数のせん断補強筋21を支持しておけばよい。これにより、せん断補強筋21を配筋する際に鉄筋コンクリート支柱間において邪魔となる支持装置1を順に潜らせる必要がなく、鉄筋コンクリート支柱同士の間での全てのせん断補強筋21,21,…の配筋をスムーズに行うことができる支持方法を提供することができる。
【0046】
次に、本発明の第2の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0047】
本実施の形態では、載置台及び吊下アームの構成を変更している。なお、載置台及び吊下アームを除くその他の構成は、前記第1の実施の形態と同じであるので、同一部分については同じ符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0048】
図14は本発明の第2の実施の形態に係る支持装置に吊下アームを取り付けた状態を示す斜視図、図15図14の支持装置を縦方向一側から見た正面図をそれぞれ示している。また、図16図14の支持装置を横方向一側から見た側面図、図17図14の支持装置を横方向他側から見た側面図をそれぞれ示している。更に、図18図14の支持装置を上方から見た平面図を示している。
【0049】
すなわち、図14図18に示すように、支持装置3は、支柱11の上端部において各上側主筋22の配筋方向と直交する横方向(図16及び図17では左右方向)へ延びる載置台32と、この載置台32に取り付けられた単一の吊下アーム33とを備えている。
【0050】
載置台32は、互いに略直角に折り曲げられた、平板状の水平板部321及び垂直板部322を備え、横方向へ延びている。また、載置台32は、垂直板部322の裏面の幅方向中央位置に上端部が固着されて下方へ延びる垂直棒部123を備えている。更に、載置台32の横方向両端には、水平板部321上に各上側主筋22が載置された際の落下を防止する突起片324,324が突設されている。この場合、載置台32は、水平板部321に載置される上側主筋22の数量が少量(例えば2本程度)に制限されているため、横方向の長さが短く設定されている。
【0051】
吊下アーム33は、縦方向から各せん断補強筋21の上辺が吊下されるように載置台32よりも高所を縦方向へ延びる略水平な平板状の縦板331と、この縦板331の裏面略中央部に上端が連結されて下方へ延びる鉄筋状の垂直片332とを有し、略T字状に形成されている。この場合、縦板331の両端は上方へ略直角に屈曲していて、当該縦板331に各せん断補強筋21の上辺を吊下した際の落下を防止している。また、縦板331は、縦方向に十分な幅を有しており、当該縦板331上に各せん断補強筋21の上辺を吊下した際に十分な保持性能を有している。
【0052】
垂直片332の下端部には、吊下アーム33を載置台32に対し脱着自在に取付ける取付具35が設けられている。この取付具35は、載置台32の垂直板部322の表面の幅方向中央位置を閉空間とするように両端が固着された略コの字状の閉じ具351と、この閉じ具351の底部に螺着されたボルト材352と、を備えている。
【0053】
閉じ具351は、その両端が互いの間隔を狭めるように若干屈曲され、底部が載置台32の垂直板部322と略平行になるように当該垂直板部322の表面に取り付けられている。そして、垂直片332の下部は、載置台32の垂直板部322と閉じ具351との閉空間に挿通され、その挿通位置でボルト材352の進出動により載置台32の垂直板部322に押圧された状態で固定されている。
【0054】
この場合、取付具35は、ボルト材352の後退動により緩めることによって、載置台32の垂直板部322に対する吊下アーム33の垂直片332の押圧が解除され、吊下アーム33を載置台32から取り外せるようにしている。
【0055】
次に、鉄筋コンクリート梁の施工時に支持装置1に支持した各せん断補強筋21を配筋する手順の一例を説明する。
【0056】
先ず、鉄筋コンクリート梁の施工に際し、各上側及び各下側主筋22,23の縦方向へ略等間隔置きにそれぞれ支持装置1を設置し、載置台32の横方向中央位置に単一の吊下アーム33を取り付けておく。
【0057】
次いで、載置台32よりも高所を縦方向へ延びる吊下アーム33の縦方向両側に載置台32を挟むように複数本ずつのせん断補強筋21,21,…の上辺をそれぞれ縦方向に並べて吊下しておく。
【0058】
その後、2本の上側主筋22,22を各せん断補強筋21の内側に挿通させた状態で載置台32の水平板部321に対し横方向両端に並べて載置する。
【0059】
それから、各せん断補強筋21の上辺を吊下アーム33から載置台32上の各上側主筋22に対し移載して吊下状態とする。その後、上側主筋22と同数の2本の下側主筋23,23を各せん断補強筋21の内側に挿通させた状態で当該各せん断補強筋21の下辺に対し横方向両端に並べて載置する。そして、各せん断補強筋21の移載後、又は各下側主筋23の載置後に、取付具35のボルト材352を後退動させて緩め、載置台32の垂直板部322に対する吊下アーム33の垂直片332の押圧を解除することで、吊下アーム33を載置台32から取り外しておく。
【0060】
しかる後、各せん断補強筋21を各上側主筋22及び各下側主筋23に対し縦方向の略均等な間隔(たとえば150mm程度)置きに配筋する。
【0061】
したがって、本実施の形態では、鉄筋コンクリート梁の施工時、各上側主筋22の縦方向へ略等間隔置きに支持装置1の支柱11をそれぞれ設置し、その支柱11上端部の載置台12に取り付けた単一の吊下アーム33に複数本のせん断補強筋21,21,…の上辺を吊下しておき、各上側主筋22を各せん断補強筋21の内側に挿通させた状態で載置台32に対し横方向両端に並べて載置しておく。そして、吊下アーム33を載置台32から離脱させる際に、各せん断補強筋21の上辺を吊下アーム33から載置台32上の各上側主筋22に移載して吊下するとともに、各下側主筋23を各せん断補強筋21の内側に挿通させた状態で当該各せん断補強筋21の下辺に対し横方向両端に並べて載置し、各せん断補強筋21を各上側主筋22及び各下側主筋23に対し縦方向の略均等な間隔置きに配筋するようにしている。
【0062】
すなわち、鉄筋コンクリート支柱同士の間で各上側及び各下側主筋22,23の縦方向へ略等間隔置きにそれぞれ設置した支持装置1により縦方向両側に複数本ずつのせん断補強筋21,21,…が支持されているので、互いに相隣なる支持装置1間で必要なせん断補強筋21を個々の支持装置1に支持しておけばよい。これにより、せん断補強筋21を配筋する際に鉄筋コンクリート支柱間において邪魔となる支持装置1を順に潜らせる必要がなく、鉄筋コンクリート支柱同士の間での全てのせん断補強筋21,21,…の配筋をスムーズに行うことができる。しかも、鉄筋コンクリート支柱同士の間での全てのせん断補強筋21,21,…の配筋をスムーズに行うことができる支持方法を提供することもできる。
【0063】
また、吊下アーム33の縦板331は、各せん断補強筋21の上辺を吊下した際に十分な保持性能が得られるように縦方向に十分な幅を有しているので、単一本であっても安定して各せん断補強筋21を保持でき、部品点数の削減による低廉化を図ることができる。
【0064】
次に、本発明の第3の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0065】
本実施の形態では、載置台及び吊下アームの構成を変更している。なお、載置台及び吊下アームを除くその他の構成は、前記第1の実施の形態と同じであるので、同一部分については同じ符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0066】
図19は本発明の第3の実施の形態に係る支持装置に吊下アームを取り付けた状態を示す斜視図、図20図19の支持装置を縦方向一側から見た正面図をそれぞれ示している。また、図21図19の支持装置を横方向一側から見た側面図、図22図19の支持装置を横方向他側から見た側面図をそれぞれ示している。更に、図23図19の支持装置を上方から見た平面図を示している。
【0067】
すなわち、図19図23に示すように、支持装置4は、支柱11の上端部において各上側主筋22の配筋方向と直交する横方向(図21及び図22では左右方向)へ延びる載置台42と、この載置台42に取り付けられた単一の吊下アーム43とを備えている。
【0068】
載置台42は、互いに略直角に折り曲げられた、平板状の水平板部421及び垂直板部422を備え、横方向へ延びている。また、載置台42は、垂直板部422の裏面の幅方向中央位置に上端部が固着されて下方へ延びる垂直棒部123を備えている。更に、載置台42の横方向両端には、水平板部421上に各上側主筋22が載置された際の落下を防止する突起片424,424が突設されている。この場合、載置台42は、水平板部421に4本の上側主筋22が横方向等間隔置きに載置されるため、横方向の長さが十分な長さに設定されている。
【0069】
吊下アーム43は、縦方向から各せん断補強筋21の上辺が吊下されるように載置台42よりも高所を縦方向へ延びる鉄筋状の横方向一対の縦片431,431と、この両縦片431,431の下面略中央位置に縦方向両端が連結された横方向へ延びる鉄筋状の横片432と、この横片432の横方向中央位置に上端が連結されて下方へ延びる鉄筋状の垂直片433とを有し、平面視で略H字状に形成されている。この場合、各縦片431の両端はそれぞれ上方へ略直角に屈曲していて、当該各縦板431に各せん断補強筋21の上辺を吊下した際の落下を防止している。
【0070】
垂直片432の下端部には、吊下アーム43を載置台42に対し脱着自在に取付ける取付具35が設けられている。この場合、横方向一対の縦片431,431は、垂直片432下端部の取付具35のボルト材352の締緩のみによって、載置台42から脱着される。
【0071】
次に、鉄筋コンクリート梁の施工時に支持装置1に支持した各せん断補強筋21を配筋する手順の一例を説明する。
【0072】
先ず、鉄筋コンクリート梁の施工に際し、各上側及び各下側主筋22,23の縦方向へ略等間隔置きにそれぞれ支持装置1を設置し、載置台42の横方向中央位置に単一の吊下アーム43の垂直片433を取り付けておく。
【0073】
次いで、載置台42よりも高所を縦方向へ延びる吊下アーム43の縦方向両側に載置台42を挟むように複数本ずつのせん断補強筋21,21,…の上辺をそれぞれ縦方向に並べて吊下しておく。
【0074】
その後、4本の上側主筋22,22,…を各せん断補強筋21の内側に挿通させた状態で載置台42の水平板部421に対し横方向等間隔置きに並べて載置する。
【0075】
それから、各せん断補強筋21の上辺を吊下アーム43から載置台42上の各上側主筋22に対し移載して吊下状態とする。その後、上側主筋22と同数の4本の下側主筋23,23,…を各せん断補強筋21の内側に挿通させた状態で当該各せん断補強筋21の下辺に対し横方向等間隔置きに並べて載置する。そして、各せん断補強筋21の移載後、又は各下側主筋23の載置後に、取付具35のボルト材352を後退動させて緩め、載置台42の垂直板部422に対する吊下アーム43の垂直片432の押圧を解除することで、吊下アーム43を載置台42から取り外しておく。
【0076】
しかる後、各せん断補強筋21を各上側主筋22及び各下側主筋23に対し縦方向の略均等な間隔(たとえば150mm程度)置きに配筋する。
【0077】
したがって、本実施の形態では、鉄筋コンクリート梁の施工時、各上側主筋22の縦方向へ略等間隔置きに支持装置1の支柱11をそれぞれ設置し、その支柱11上端部の載置台42に取り付けた吊下アーム43の縦片431,431に跨るように複数本のせん断補強筋21,21,…の上辺を吊下しておき、各上側主筋22を各せん断補強筋21の内側に挿通させた状態で載置台42に対し横方向等間隔置きに並べて載置しておく。そして、吊下アーム43を載置台42から離脱させる際に、各せん断補強筋21の上辺を吊下アーム43から載置台42上の各上側主筋22に移載して吊下するとともに、各下側主筋23を各せん断補強筋21の内側に挿通させた状態で当該各せん断補強筋21の下辺に対し横方向等間隔置きに並べて載置し、各せん断補強筋21を各上側主筋22及び各下側主筋23に対し縦方向の略均等な間隔置きに配筋するようにしている。
【0078】
すなわち、鉄筋コンクリート支柱同士の間で各上側及び各下側主筋22,23の縦方向へ略等間隔置きにそれぞれ設置した支持装置1により縦方向両側に複数本ずつのせん断補強筋21,21,…が支持されているので、互いに相隣なる支持装置1間で必要なせん断補強筋21を個々の支持装置1に支持しておけばよい。これにより、せん断補強筋21を配筋する際に鉄筋コンクリート支柱間において邪魔となる支持装置1を順に潜らせる必要がなく、鉄筋コンクリート支柱同士の間での全てのせん断補強筋21,21,…の配筋をスムーズに行うことができる。しかも、鉄筋コンクリート支柱同士の間での全てのせん断補強筋21,21,…の配筋をスムーズに行うことができる支持方法を提供することもできる。
【0079】
しかも、横方向一対の縦片431,431が垂直片432下端部の取付具35のボルト材352の締緩のみによって載置台42から脱着されるので、載置台42からの吊下アーム43の脱着作業を簡単かつ迅速に行うことができる。
【0080】
なお、本発明は、前記各実施の形態に限定されるものではなく、その他種々の変形例を包含している。たとえば、前記第1及び第3の実施の形態では、横方向に2つの縦片131,431を備えた吊下アーム13,43を用いたが、横方向に3つ以上の縦片を備えた吊下アームが用いられていてもよい。
【0081】
また、前記各実施の形態では、各せん断補強筋21をアプセット溶接により略矩形枠状に形成したが、せん断補強筋がフラッシュ溶接や、フレア溶接などにより略矩形枠状に形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0082】
1 支持装置
11 支柱
12 載置台
13 吊下アーム
14 連結手段
21 せん断補強筋
22 上側主筋
23 下側主筋
32 載置台
33 吊下アーム
42 載置台
43 吊下アーム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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