IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 西芝電機株式会社の特許一覧 ▶ 向島ドック 株式会社の特許一覧

特開2024-11134船舶用電力システム、船舶、および、船舶用電力システムの使用方法
<>
  • 特開-船舶用電力システム、船舶、および、船舶用電力システムの使用方法 図1
  • 特開-船舶用電力システム、船舶、および、船舶用電力システムの使用方法 図2
  • 特開-船舶用電力システム、船舶、および、船舶用電力システムの使用方法 図3
  • 特開-船舶用電力システム、船舶、および、船舶用電力システムの使用方法 図4
  • 特開-船舶用電力システム、船舶、および、船舶用電力システムの使用方法 図5
  • 特開-船舶用電力システム、船舶、および、船舶用電力システムの使用方法 図6
  • 特開-船舶用電力システム、船舶、および、船舶用電力システムの使用方法 図7
  • 特開-船舶用電力システム、船舶、および、船舶用電力システムの使用方法 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024011134
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】船舶用電力システム、船舶、および、船舶用電力システムの使用方法
(51)【国際特許分類】
   B63J 99/00 20090101AFI20240118BHJP
【FI】
B63J99/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022112890
(22)【出願日】2022-07-14
(71)【出願人】
【識別番号】000195959
【氏名又は名称】西芝電機株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】500072529
【氏名又は名称】向島ドック 株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145816
【弁理士】
【氏名又は名称】鹿股 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100196003
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 太郎
(72)【発明者】
【氏名】光畑 利昭
(72)【発明者】
【氏名】表西 洲行
(72)【発明者】
【氏名】小倉 信好
(57)【要約】
【課題】船内母線を直流母線にすることにより、より安価で、省スペース化を実現可能な船舶用電力システム、船舶、および、船舶用電力システムの使用方法を提供する。
【解決手段】蓄電装置21に貯められた電気エネルギを用いて推進装置22を駆動させる船舶用電力システム1は、直流母線25と、直流母線25に接続される蓄電装置21と、直流母線25に接続される推進装置22と、直流母線25に接続される複数の発電装置23と、直流母線25に接続される船内給電装置24と、を具備する。複数の発電装置23の各々は、発電機26と、交流を直流に変換する電力変換装置27とを備える。バッテリ31の充電時には、少なくとも1つの発電装置23から、直流母線25を介して、蓄電装置21に電力が供給される。バッテリ31の放電時には、蓄電装置21から、直流母線25を介して、推進装置22および船内給電装置24に電力が供給される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電装置に貯められた電気エネルギを用いて推進装置を駆動させる船舶用電力システムであって、
直流母線と、
前記直流母線に接続される前記蓄電装置と、
前記直流母線に接続される前記推進装置と、
前記直流母線に接続される複数の発電装置と、
前記直流母線に接続される船内給電装置と
を具備し、
複数の前記発電装置の各々は、発電機と、交流を直流に変換する電力変換装置とを備え、
前記蓄電装置のバッテリの充電時には、少なくとも1つの前記発電装置から、前記直流母線を介して、前記蓄電装置に電力が供給され、
前記蓄電装置の前記バッテリの放電時には、前記蓄電装置から、前記直流母線を介して、前記推進装置および前記船内給電装置に電力が供給される
船舶用電力システム。
【請求項2】
前記蓄電装置の前記バッテリの充電時には、少なくとも1つの前記発電装置から、交流母線を介さずに前記直流母線を介して、前記蓄電装置に電力が供給される
請求項1に記載の船舶用電力システム。
【請求項3】
複数の前記発電装置間には、交流母線および絶縁トランスが介在しない
請求項1に記載の船舶用電力システム。
【請求項4】
複数の前記発電装置の各々の前記電力変換装置によって、複数の前記発電装置の各々の前記発電機の出力電力が制御され、
複数の前記発電機間の同期制御が行われない状態で、複数の前記発電装置から、前記直流母線を介して、前記蓄電装置に電力を供給可能である
請求項1に記載の船舶用電力システム。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の船舶用電力システムと、
前記船舶用電力システムを搭載する船体と
を具備する
船舶。
【請求項6】
船舶用電力システムの使用方法であって、
前記船舶用電力システムは、
直流母線と、
前記直流母線に接続される蓄電装置と、
前記直流母線に接続される推進装置と、
前記直流母線に接続される複数の発電装置と、
前記直流母線に接続される船内給電装置と
を具備し、
複数の前記発電装置の各々は、発電機と、交流を直流に変換する電力変換装置とを備え、
前記使用方法は、
前記蓄電装置のバッテリから、交流母線を介することなく前記直流母線を介して、前記推進装置および前記船内給電装置に電力を供給する工程と、
少なくとも1つの前記発電装置から、交流母線を介することなく前記直流母線を介して、前記蓄電装置に電力が供給されることにより、前記蓄電装置の前記バッテリを充電する工程と
を具備する
船舶用電力システムの使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、船舶用電力システム、船舶、および、船舶用電力システムの使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、二酸化炭素放出量削減等の環境保護の観点から、ディーゼル原動機を使用せずに、蓄電装置に貯めた電気エネルギを用いて推進器を駆動させる推進船が開発されようとしており、このような推進船が、例えば、特許文献1において既に提案されている。
【0003】
特許文献1に記載の蓄電池推進船は、蓄電池推進システムを備え、当該蓄電池推進システムは、交流母線と、直流母線と、交流母線と直流母線とを連結可能な充電用連結回路と、を備える。特許文献1に記載の蓄電池推進システムにおいて、蓄電池の充電時には、陸上電源から、交流母線、充電用連結回路、および、直流母線を介して、蓄電池に電力が供給される。また、蓄電池の放電時には、蓄電池から、直流母線を介して、推進器および直流負荷に電力が供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-43715号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した特許文献1に記載されたシステムに限らず、従来の船舶において、電源系統の船内母線は交流であることが一般的である。このため、交流母線に接続される各々の発電機の同期制御が必要となる。例えば、図8に記載の例では、第1発電機26a’および第2発電機26b’を同時に運転させる場合には、第1発電機26a’と、第2発電機26b’とを同期制御する必要がある。
【0006】
また、特許文献1のシステムでは、交流母線と直流母線間の電力変換装置の並列運転が想定される。このため、本来であれば、図8に例示されるように、交流母線11’、電力変換装置27a’、27b’、および、直流母線25’によって形成される閉ループを流れる循環電流対策用に絶縁トランス13’を設ける必要がある。
【0007】
そこで、本発明の目的は、蓄電装置を利用して、二酸化炭素の排出削減と、低燃費化とを実現する船舶用電力システムを改良することである。より具体的には、本発明の目的は、船内母線を直流母線にすることにより、より安価で、省スペース化を実現可能な船舶用電力システム、船舶、および、船舶用電力システムの使用方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の実施形態における船舶用電力システムは、蓄電装置に貯められた電気エネルギを用いて推進装置を駆動させる船舶用電力システムであって、直流母線と、前記直流母線に接続される前記蓄電装置と、前記直流母線に接続される前記推進装置と、前記直流母線に接続される複数の発電装置と、前記直流母線に接続される船内給電装置とを具備し、複数の前記発電装置の各々は、発電機と、交流を直流に変換する電力変換装置とを備え、前記蓄電装置のバッテリの充電時には、少なくとも1つの前記発電装置から、前記直流母線を介して、前記蓄電装置に電力が供給され、前記蓄電装置の前記バッテリの放電時には、前記蓄電装置から、前記直流母線を介して、前記推進装置および前記船内給電装置に電力が供給されることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の実施形態における船舶用電力システムの使用方法において、前記船舶用電力システムは、直流母線と、前記直流母線に接続される蓄電装置と、前記直流母線に接続される推進装置と、前記直流母線に接続される複数の発電装置と、前記直流母線に接続される船内給電装置とを具備し、複数の前記発電装置の各々は、発電機と、交流を直流に変換する電力変換装置とを備え、前記使用方法は、前記蓄電装置のバッテリから、交流母線を介することなく前記直流母線を介して、前記推進装置および前記船内給電装置に電力を供給する工程と、少なくとも1つの前記発電装置から、交流母線を介することなく前記直流母線を介して、前記蓄電装置に電力が供給されることにより、前記蓄電装置の前記バッテリを充電する工程と、を具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、船内母線を直流母線にすることにより、より安価で、省スペース化を実現可能な船舶用電力システム、船舶、および、船舶用電力システムの使用方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、第1の実施形態における船舶用電力システムの構成の一例を示す図である。
図2図2は、第1の実施形態における船舶用電力システムの構成の一例を示す図である。
図3図3は、第1の実施形態における船舶用電力システムの構成の一例を示す図である。
図4図4は、第1の実施形態における船舶用電力システムの構成の一例を示す図である。
図5図5は、第1の実施形態における船舶用電力システムの構成の一例を示す図である。
図6図6は、第2の実施形態における船舶の一例を示す概略2面図である。
図7図7は、第3の実施形態における船舶用電力システムの使用方法の一例を示すフローチャートである。
図8図8は、従来例における船舶用電力システムの構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施形態における船舶用電力システム1A、船舶100、および、船舶用電力システム1の使用方法に関して、添付図面を参照して説明する。なお、以下の説明において、同じ機能を有する部材、部位については、同一の符号が付され、同一の符号が付されている部材、部位について、繰り返しの説明は省略される。
【0013】
(第1の実施形態)
図1乃至図5を参照して、第1の実施形態における船舶用電力システム1Aについて説明する。図1乃至図5は、第1の実施形態における船舶用電力システム1Aの構成の一例を示す図である。図2は、発電装置23から直流母線25を介して蓄電装置21のバッテリ31に充電が行われている様子を示す。図3は、蓄電装置21から直流母線25を介して、推進装置22および船内給電装置24に電力が供給されている様子を示す。図4は、陸上電源から、交流電流路15、船内給電装置24、および、直流母線25を介して、蓄電装置21のバッテリ31に充電が行われている様子を示す。図5は、発電装置23から直流母線25を介して、推進装置22および船内給電装置24に電力が供給されている様子を示す。
【0014】
(構成・作用)
図1に例示されるように、船舶用電力システム1Aは、蓄電装置21に貯められた電気エネルギを用いて推進装置22を駆動させるシステムである。船舶用電力システム1Aは、直流母線25と、蓄電装置21と、推進装置22と、複数の発電装置23と、船内給電装置24と、を具備する。蓄電装置21、推進装置22、複数の発電装置23、および、船内給電装置24の各々は、直流母線25に接続される。
【0015】
図1に記載の例では、船舶用電力システム1Aは、2個の蓄電装置21(すなわち、第1蓄電装置21aおよび第2蓄電装置21b)を備える。代替的に、船舶用電力システム1Aは、1個、あるいは、3個以上の蓄電装置21を備えていてもよい。
【0016】
蓄電装置21は、直流母線25を介して、推進装置22に電力を供給可能である。また、蓄電装置21は、直流母線25を介して、船内給電装置24に電力を供給可能である。
【0017】
推進装置22は、少なくとも1つの推進機46を含む。各推進機46は、プロペラ49を有する。推進装置22は、蓄電装置21から、直流母線25を介して、電力を受け取ることにより、船舶に推力を付与する。図1に記載の例では、推進装置22が備える推進機46の数が3個であるが、推進装置22が備える推進機46の数は、1個、2個、あるいは、4個以上であってもよい。
【0018】
複数の発電装置23の各々は、発電機26と、交流を直流に変換する電力変換装置27とを備える。複数の発電装置23の各々は、直流母線25を介して、蓄電装置21に電力を供給可能である。付加的に、複数の発電装置23の各々は、直流母線25を介して、推進装置22および船内給電装置24に電力を供給可能であってもよい。
【0019】
船内給電装置24は、船舶に設置される船内負荷器80に電力を供給する。船内負荷器80は、例えば、集合始動器盤81(Group Starter Panel)、荷役機器82等である。船内負荷器80は、空調機器であってもよいし、照明機器であってもよい。
【0020】
船内給電装置24は、蓄電装置21から、直流母線25を介して、電力を受け取り、受け取った電力を、船内負荷器80に供給する。
【0021】
図2に例示されるように、蓄電装置21のバッテリ31の充電時には、少なくとも1つの発電装置23から、直流母線25を介して、蓄電装置21に電力が供給される(破線矢印E1、E2を参照。)。図2に記載の例では、蓄電装置21のバッテリ31の充電時には、少なくとも1つの発電装置23から、交流母線を介さずに直流母線25を介して、蓄電装置21に電力が供給される。交流母線の省略により、船舶用電力システム1Aを、より安価に構成することができ、船舶用電力システム1Aの省スペース化を実現することができる。
【0022】
図3に例示されるように、蓄電装置21のバッテリ31の放電時には、蓄電装置21から、直流母線25を介して、推進装置22および船内給電装置24に電力が供給される(破線矢印F1、F2、F3、F4、F5を参照。)。図3に記載の例では、蓄電装置21のバッテリ31の放電時には、蓄電装置21から、交流母線を介さずに直流母線25を介して、推進装置22および船内給電装置24に電力が供給される。交流母線の省略により、船舶用電力システム1Aを、より安価に構成することができ、船舶用電力システム1Aの省スペース化を実現することができる。
【0023】
(効果)
以上のとおり、第1の実施形態では、蓄電装置21の利用により、二酸化炭素の排出削減と、低燃費化とが実現される。また、船内母線として直流母線が採用されることにより、船舶用電力システム1Aを、より安価に構成することができ、船舶用電力システム1Aの省スペース化を実現することができる。
【0024】
(任意付加的な構成)
続いて、図1乃至図5を参照して、第1の実施形態において採用可能な任意付加的な構成について説明する。
【0025】
(交流母線および絶縁トランスの省略)
図2に記載の例では、複数の発電装置23間には、交流母線および絶縁トランスが介在しない。より具体的には、図2に記載の例では、交流母線が省略されているため、交流母線、電力変換装置27、および、直流母線25によって閉ループが形成されることがなく、また、当該閉ループに循環電流が流れることもない。このため、複数の発電装置23間に、循環電流を防ぐ絶縁トランスを配置する必要がない。図2に記載の例では、交流母線の省略に加えて、絶縁トランスも省略されるため、船舶用電力システム1Aを、更により安価に構成することができ、船舶用電力システム1Aの更なる省スペース化を実現することができる。
【0026】
(同期制御の省略)
図2に記載の例では、複数の発電装置23の各々の電力変換装置27によって、複数の発電装置23の各々の発電機26の出力電力が制御される。より具体的には、第1発電装置23aの第1電力変換装置27aによって、第1発電機26aの出力電力が制御され、第2発電装置23bの第2電力変換装置27bによって、第2発電機26bの出力電力が制御される。
【0027】
また、図2に記載の例では、複数の発電装置23が直流母線25を介して接続されているため、複数の発電機間の交流出力(交流電圧、交流電流、交流電力)について、位相を同期させる必要がない。よって、図2に記載の例では、複数の発電機26間の同期制御が行われない状態で、複数の発電装置23から、直流母線25を介して、蓄電装置21に電力を供給可能である。
【0028】
より具体的には、図2に記載の例では、第1発電装置23aおよび第2発電装置23bの両方から少なくとも1つの蓄電装置21に電力を供給する際に、第1発電機26aの交流出力の位相と、第2発電機26bの交流出力の位相とを同期させる制御を行う必要がない。換言すれば、第1発電機26aが出力する交流出力の位相と、第2発電機26bが出力する交流出力の位相とがずれた状態で、第1発電装置23aから直流母線25への電力供給と、第2発電装置23bから直流母線25への電力供給とを同時に実行可能である。
【0029】
複数の発電機26間の同期制御が省略されることにより、船舶用電力システム1Aを、更により安価に構成することができ、船舶用電力システム1Aの更なる省スペース化を実現することができる。
【0030】
(第1発電装置23a、および、第2発電装置23b)
図1に記載の例では、船舶用電力システム1Aは、第1発電装置23a、および、第2発電装置23bを備える。付加的に、船舶用電力システム1Aは、第3発電装置を備えていてもよい。換言すれば、船舶用電力システム1Aが備える発電装置の数は、2個であってもよいし、3個以上であってもよい。
【0031】
図1に記載の例において、第1発電装置23aは、ディーゼルエンジン等の第1原動機28aと、第1発電機26aと、第1電力変換装置27aと、第1直流電流路29aと、を有する。第1発電機26aは、第1原動機28aから受け取る運動エネルギを交流電力に変換する。第1電力変換装置27aは、第1発電機26aからの交流出力電力を直流電力に変換する。第1直流電流路29aは、第1電力変換装置27aと直流母線25とを電気的に接続し、第1電力変換装置27aから直流母線25に直流電力を供給する。図2に記載の例では、第1電力変換装置27aと直流母線25との間に交流電流路は介在していない。よって、第1電力変換装置27aと直流母線25との間を流れる電流は、専ら直流電流である。
【0032】
図1に例示されるように、第1発電機26aと第1電力変換装置27aとの間には、気中遮断器97が配置されていてもよい。また、第1電力変換装置27aと直流母線25との間には、ヒューズ95および/または断路器91が配置されていてもよい。
【0033】
図1に記載の例において、第2発電装置23bは、ディーゼルエンジン等の第2原動機28bと、第2発電機26bと、第2電力変換装置27bと、第2直流電流路29bと、を有する。第2発電機26bは、第2原動機28bから受け取る運動エネルギを交流電力に変換する。第2電力変換装置27bは、第2発電機26bからの交流出力電力を直流電力に変換する。第2直流電流路29bは、第2電力変換装置27bと直流母線25とを電気的に接続し、第2電力変換装置27bから直流母線25に直流電力を供給する。図2に記載の例では、第2電力変換装置27bと直流母線25との間に交流電流路は介在していない。よって、第2電力変換装置27bと直流母線25との間を流れる電流は、専ら直流電流である。
【0034】
図1に例示されるように、第2発電機26bと第2電力変換装置27bとの間には、気中遮断器97が配置されていてもよい。また、第2電力変換装置27bと直流母線25との間には、ヒューズ95および/または断路器91が配置されていてもよい。
【0035】
(第1蓄電装置21a、および、第2蓄電装置21b)
図1に記載の例では、船舶用電力システム1Aは、第1蓄電装置21a、および、第2蓄電装置21bを備える。付加的に、船舶用電力システム1Aは、第3蓄電装置を備えていてもよい。換言すれば、船舶用電力システム1Aが備える蓄電装置の数は、2個であってもよいし、3個以上であってもよい。
【0036】
第1蓄電装置21aは、二次電池である第1バッテリ31aと、第3直流電流路33aと、を有する。第1バッテリ31aは、リチウムイオンバッテリであってもよいし、その他のバッテリであってもよい。第3直流電流路33aは、第1バッテリ31aの充電時に、直流母線25から受け取る直流電力を、第1バッテリ31aに供給する。また、第3直流電流路33aは、第1バッテリ31aの放電時に、第1バッテリ31aから受け取る直流電力を、直流母線25に供給する。
【0037】
図1に例示されるように、第1バッテリ31aと第3直流電流路33aとの間には、開閉器98が配置されていてもよい。また、第3直流電流路33aと直流母線25との間には、ヒューズ95および/または断路器91が配置されていてもよい。
【0038】
第2蓄電装置21bは、二次電池である第2バッテリ31bと、第4直流電流路33bと、を有する。第2バッテリ31bは、リチウムイオンバッテリであってもよいし、その他のバッテリであってもよい。第4直流電流路33bは、第2バッテリ31bの充電時に、直流母線25から受け取る直流電力を、第2バッテリ31bに供給する。また、第4直流電流路33bは、第2バッテリ31bの放電時に、第2バッテリ31bから受け取る直流電力を、直流母線25に供給する。
【0039】
図1に例示されるように、第2バッテリ31bと第4直流電流路33bとの間には、開閉器98が配置されていてもよい。また、第4直流電流路33bと直流母線25との間には、ヒューズ95および/または断路器91が配置されていてもよい。
【0040】
(推進装置22)
図3に記載の例では、推進装置22は、第1インバータ45aと、第1推進機46aとを有する。また、第1推進機46aは、第1電動機47aと、第1プロペラ49aとを有する。第1推進機46aは、第1プロペラ49aの回転数を第1電動機47aの出力軸の回転数よりも小さくする第1減速機48aを有していてもよい。第1プロペラ49aは、例えば、第1の主プロペラであり、第1プロペラ49aが回転されることにより、船舶は、船舶の長手方向軸に沿う方向に推力を得る。
【0041】
図3に記載の例では、直流母線25と第1インバータ45aとが直流電流路を介して接続されている。当該直流電流路には、ヒューズ95および/または断路器91が配置されていてもよい。第1インバータ45aは、直流母線25から受け取る直流電力を交流電力に変換する。第1電動機47aは、第1インバータ45aから受け取る交流電力を、第1電動機47aの出力軸まわりの回転運動エネルギに変換する。当該回転運動エネルギが、第1プロペラ49aに機械的に伝達されることにより、第1プロペラ49aが回転する。
【0042】
図3に記載の例では、推進装置22は、第2インバータ45bと、第2推進機46bとを有する。また、第2推進機46bは、第2電動機47bと、第2プロペラ49bとを有する。第2推進機46bは、第2プロペラ49bの回転数を第2電動機47bの出力軸の回転数よりも小さくする第2減速機48bを有していてもよい。第2プロペラ49bは、例えば、第2の主プロペラであり、第2プロペラ49bが回転されることにより、船舶は、船舶の長手方向軸に沿う方向に推力を得る。
【0043】
図3に記載の例では、直流母線25と第2インバータ45bとが直流電流路を介して接続されている。当該直流電流路には、ヒューズ95および/または断路器91が配置されていてもよい。第2インバータ45bは、直流母線25から受け取る直流電力を交流電力に変換する。第2電動機47bは、第2インバータ45bから受け取る交流電力を、第2電動機47bの出力軸まわりの回転運動エネルギに変換する。当該回転運動エネルギが、第2プロペラ49bに機械的に伝達されることにより、第2プロペラ49bが回転する。
【0044】
図3に記載の例では、推進装置22は、第3インバータ45cと、第3推進機46cとを有する。また、第3推進機46cは、第3電動機47cと、第3プロペラ49cとを有する。第3プロペラ49cは、例えば、バウスラスタであり、第3プロペラ49cが回転されることにより、船舶の進行方向が変更される。
【0045】
図3に記載の例では、直流母線25と第3インバータ45cとが直流電流路を介して接続されている。当該直流電流路には、ヒューズ95および/または断路器91が配置されていてもよい。第3インバータ45cは、直流母線25から受け取る直流電力を交流電力に変換する。第3電動機47cは、第3インバータ45cから受け取る交流電力を、第3電動機47cの出力軸まわりの回転運動エネルギに変換する。当該回転運動エネルギが、第3プロペラ49cに機械的に伝達されることにより、第3プロペラ49cが回転する。
【0046】
(第1船内給電装置24a、および、第1系統の船内負荷器80a)
図1に記載の例では、船内給電装置24は、第1系統の船内負荷器80aに交流電力を供給する第1船内給電装置24aを含む。第1船内給電装置24aは、船内給電用第1インバータ75aと、第1変圧器77aとを有する。船内給電用第1インバータ75aと、第1変圧器77aとの間には、サーキットブレーカ76が配置されていてもよい。
【0047】
図3に記載の例では、直流母線25と船内給電用第1インバータ75aとが直流電流路を介して接続されている。当該直流電流路には、ヒューズ95および/または断路器91が配置されていてもよい。船内給電用第1インバータ75aは、直流母線25から受け取る直流電力を交流電力に変換する。また、第1変圧器77aは、船内給電用第1インバータ75a側の交流電圧を、第1交流電流路15aに適する交流電圧に変換する。
【0048】
図3に記載の例では、船舶用電力システム1Aは、第1交流電流路15aを備え、当該第1交流電流路15aに、第1船内給電装置24aと、少なくとも1つの船内負荷器80とが接続されている。この場合、蓄電装置21のバッテリ31の放電時に、蓄電装置21から直流母線25を介して第1船内給電装置24aに直流電力が供給され、且つ、第1船内給電装置24aから第1交流電流路15aを介して少なくとも1つの船内負荷器80に交流電力が供給される。
【0049】
図4に例示されるように、第1交流電流路15aには、陸上電源から交流電力を受け取るための第1コネクタ85aが接続されていてもよい。この場合、陸上電源から、第1コネクタ85a、第1交流電流路15a、第1船内給電装置24a、および、直流母線25を介して、蓄電装置21に電力が供給されることにより、蓄電装置21のバッテリ31(より具体的には、第1バッテリ31aおよび/または第2バッテリ31b)が充電される(破線矢印J1、J2、J3を参照。)。また、陸上電源から、第1コネクタ85a、および、第1交流電流路15aを介して、第1系統の船内負荷器80aに電力を供給することも可能である。
【0050】
(第2船内給電装置24b、および、第2系統の船内負荷器80b)
図1に記載の例では、船内給電装置24は、第2系統の船内負荷器80bに交流電力を供給する第2船内給電装置24bを含む。第2船内給電装置24bは、船内給電用第2インバータ75bと、第2変圧器77bとを有する。船内給電用第2インバータ75bと、第2変圧器77bとの間には、サーキットブレーカ76が配置されていてもよい。
【0051】
図3に記載の例では、直流母線25と船内給電用第2インバータ75bとが直流電流路を介して接続されている。当該直流電流路には、ヒューズ95および/または断路器91が配置されていてもよい。船内給電用第2インバータ75bは、直流母線25から受け取る直流電力を交流電力に変換する。また、第2変圧器77bは、船内給電用第2インバータ75b側の交流電圧を、第2交流電流路15bに適する交流電圧に変換する。
【0052】
図3に記載の例では、船舶用電力システム1Aは、第2交流電流路15bを備え、当該第2交流電流路15bに、第2船内給電装置24bと、少なくとも1つの船内負荷器80とが接続されている。この場合、蓄電装置21のバッテリ31の放電時に、蓄電装置21から直流母線25を介して第2船内給電装置24bに直流電力が供給され、且つ、第2船内給電装置24bから第2交流電流路15bを介して少なくとも1つの船内負荷器80に交流電力が供給される。
【0053】
図4に例示されるように、第2交流電流路15bには、陸上電源から交流電力を受け取るための第2コネクタ85bが接続されていてもよい。この場合、陸上電源から、第2コネクタ85b、第2交流電流路15b、第2船内給電装置24b、および、直流母線25を介して、蓄電装置21に電力が供給されることにより、蓄電装置21のバッテリ31(より具体的には、第1バッテリ31aおよび/または第2バッテリ31b)が充電される。また、陸上電源から、第2コネクタ85b、および、第2交流電流路15bを介して、第2系統の船内負荷器80bに電力を供給することも可能である。
【0054】
(発電装置23から、推進装置22および船内給電装置24への電力の供給)
図5に記載の例では、少なくとも1つの発電装置23(例えば、第1発電装置23aおよび第2発電装置23b)は、直流母線25を介して、推進装置22および船内給電装置24に電力を供給可能である(破線矢印K1、K2、K3、K4、K5を参照。)。この場合、緊急時等(例えば、蓄電装置21が機能しない時等)に、発電装置23を用いて、推進装置22、および、船内負荷器80を駆動または稼動させることができる。
【0055】
図5に記載の例では、少なくとも1つの発電装置23が、直流母線25を介して、推進装置22および船内給電装置24に電力を供給するとき、直流母線25と蓄電装置21とが電気的に分離されている。代替的に、少なくとも1つの発電装置23が、直流母線25を介して、推進装置22および船内給電装置24に電力を供給するとき、直流母線25と蓄電装置21とが電気的に接続されていてもよい。この場合、少なくとも1つの発電装置23から、推進装置22および船内給電装置24への給電と、蓄電装置21のバッテリ31の充電とが同時に実行される。
【0056】
(直流母線25を、第1系統の直流母線25aと第2系統の直流母線25bとに機械的に分離する機構25M)
図1に記載の例では、直流母線25は、直流母線25を、第1系統の直流母線25aと第2系統の直流母線25bとに機械的に分離する機構25Mを含んでいる。より具体的には、当該機構25Mは、ブスリンク250Mを含む。
【0057】
ブスリンク250Mは、常時は閉状態であり、第1系統の直流母線25aと第2系統の直流母線25bとは、機械的かつ電気的に接続されている。ブスリンク250Mは、手動で、閉状態から開状態に状態変更可能であり、手動で、開状態から閉状態に状態変更可能である。
【0058】
図1に記載の例において、右舷の系統および左舷の系統のうちの一方に異常が生じた場合、ブスリンク250Mを閉状態から開状態に状態変更することにより、左舷の推進機(46a)に電力を供給する第1系統の直流母線25aと、右舷の推進機(46b)に電力を供給する第2系統の直流母線25bとを、機械的に分離することができる。また、右舷の系統および左舷の系統のうちの一方に異常が生じた場合に、正常な系統の推進機のみを用いて、船舶を推進させることができる。
【0059】
以上のとおり、船舶用電力システム1Aが、直流母線25を、第1系統の直流母線25aと第2系統の直流母線25bとに機械的に分離する機構25M(より具体的には、ブスリンク250M)を有する場合には、システムの冗長性が確保される。
【0060】
(第2の実施形態)
図1乃至図6を参照して、第2の実施形態における船舶100について説明する。図6は、第2の実施形態における船舶100の一例を示す概略2面図である。図6の上側には概略側面図が記載され、図6の下側には概略底面図が記載されている。
【0061】
(構成・作用)
図6に例示されるように、第2の実施形態における船舶100は、船体105を備える。船体105には、第1の実施形態における船舶用電力システム1A(図1乃至図5を参照。)が搭載される。
【0062】
図6に記載の例では、船体105の後側部分に、第1プロペラ49aを有する第1推進機46aが配置されている。また、船体105の後側部分に、第2プロペラ49bを有する第2推進機46bが配置されている。更に、船体の前側部分に、第3プロペラ49cを有する第3推進機46cが配置されている。図6に記載の例では、船体105の甲板部分に、荷役機器82が配置されている。
【0063】
(効果)
第2の実施形態における船舶100は、第1の実施形態における船舶用電力システム1Aを搭載しているため、第2の実施形態は、第1の実施形態と同様の効果を奏する。
【0064】
(第3の実施形態)
図1乃至図7を参照して、第3の実施形態における船舶用電力システム1の使用方法について説明する。図7は、第3の実施形態における船舶用電力システム1の使用方法の一例を示すフローチャートである。
【0065】
第3の実施形態では、第1の実施形態および第2の実施形態と異なる点を中心に説明し、第1の実施形態または第2の実施形態において説明済みの事項についての繰り返しとなる説明は省略する。よって、第3の実施形態において明示的に説明されなかったとしても、第3の実施形態において、第1の実施形態または第2の実施形態で説明済みの事項を採用可能であることは言うまでもない。
【0066】
(構成・作用)
第3の実施形態における船舶用電力システムの使用方法において使用される船舶用電力システム1は、第1の実施形態における船舶用電力システム1Aであってもよいし、その他の船舶用電力システムであってもよい。
【0067】
船舶用電力システム1は、(1)直流母線25と、(2)直流母線25に接続される蓄電装置21と、(3)直流母線25に接続される推進装置22と、(4)直流母線25に接続される複数の発電装置23と、(5)直流母線25に接続される船内給電装置24と、を具備する。(6)複数の発電装置23の各々は、発電機26と、交流を直流に変換する電力変換装置27とを備える。直流母線25、蓄電装置21、推進装置22、発電装置23、船内給電装置24、発電機26、電力変換装置27については、第1の実施形態において説明済みであるため、これらの構成についての繰り返しとなる説明は省略する。
【0068】
図4に例示されるように、第1ステップST1において、陸上電源から蓄電装置21に電力を供給することにより、蓄電装置21のバッテリ31が充電される。第1ステップST1は、第1充電工程である。第1充電工程は、船舶用電力システム1を搭載した船舶100が、陸地に接岸した状態で実行される。
【0069】
第1充電工程では、陸上電源から、第1コネクタ85a、第1交流電流路15a、第1船内給電装置24a、および、直流母線25を介して、蓄電装置21に電力が供給されることにより、蓄電装置21のバッテリ31(より具体的には、第1バッテリ31aおよび/または第2バッテリ31b)が充電される。第1充電工程は、陸上電源から、第2コネクタ85b、第2交流電流路15b、第2船内給電装置24b、および、直流母線25を介して、蓄電装置21に電力が供給されることにより、蓄電装置21のバッテリ31(より具体的には、第1バッテリ31aおよび/または第2バッテリ31b)を充電することを含んでいてもよい。
【0070】
第2ステップST2において、船舶用電力システム1を搭載した船舶100が離岸する。
【0071】
第3ステップST3において、蓄電装置21のバッテリ31から放電が行われる。第3ステップST3は、放電工程である。放電工程では、蓄電装置21のバッテリ31から、交流母線を介することなく直流母線25を介して、推進装置22および船内給電装置24に電力が供給される。
【0072】
図3に記載の例では、放電工程において、バッテリ31から、直流母線25を介して、推進装置22に電力が供給されることにより、プロペラ49が駆動される。こうして、船舶は、推力を得る。また、図3に記載の例では、放電工程において、バッテリ31から、直流母線25、船内給電装置24、および、交流電流路15を介して、船内負荷器80(例えば、集合始動器盤81、荷役機器82、空調機器、照明機器等)に電力が供給されることにより、当該船内負荷器80が駆動または稼動される。
【0073】
図3に記載の例では、推進装置22、および、船内給電装置24が、直流母線25に接続され、第1蓄電装置21aが、直流母線25に接続されている。よって、放電工程(第2ステップST2)において、第1蓄電装置21aが、直流母線25を介して推進装置22に電力を供給することと、第1蓄電装置21aが、直流母線25を介して船内給電装置24に電力を供給することと、を同時に実行可能である。
【0074】
また、図3に記載の例では、第1蓄電装置21a、および、第2蓄電装置21bが、直流母線25に接続されている。よって、放電工程において、第1蓄電装置21aの第1バッテリ31aから、直流母線25を介して、推進装置22および船内給電装置24に電力を供給することと、第2蓄電装置21bの第2バッテリ31bから、直流母線25を介して、推進装置22および船内給電装置24に電力を供給することと、を同時に実行可能である。
【0075】
図2に例示されるように、第4ステップST4において、蓄電装置21のバッテリ31が充電される。第4ステップST4は、第2充電工程である。第2充電工程は、例えば、船舶用電力システム1を搭載した船舶100が、陸地から離岸した状態で実行される。
【0076】
第2充電工程(第4ステップST4)では、少なくとも1つの発電装置23から、交流母線を介することなく直流母線25を介して、蓄電装置21に電力が供給されることにより、蓄電装置21のバッテリ31が充電される。
【0077】
図2に記載の例では、第1発電装置23a、および、第2発電装置23bが、直流母線25に接続され、第1蓄電装置21aが、直流母線25に接続されている。この場合、第2充電工程(第4ステップST4)において、第1発電装置23aが、直流母線25を介して第1蓄電装置21aの第1バッテリ31aに電力を供給することと、第2発電装置23bが、直流母線25を介して第1蓄電装置21aの第1バッテリ31aに電力を供給することと、が同時に実行されてもよい。また、第2充電工程(第4ステップST4)において、第1発電装置23aの第1発電機26aと第2発電装置23bの第2発電機26bとが非同期的に運転された状態で、第1発電装置23aが、直流母線25を介して第1蓄電装置21aの第1バッテリ31aに電力を供給することと、第2発電装置23bが、直流母線25を介して第1蓄電装置21aの第1バッテリ31aに電力を供給することと、が同時に実行されてもよい。
【0078】
図2に記載の例では、第1発電装置23a、および、第2発電装置23bが、直流母線25に接続され、第2蓄電装置21bが、直流母線25に接続されている。この場合、第2充電工程(第4ステップST4)において、第1発電装置23aが、直流母線25を介して第2蓄電装置21bの第2バッテリ31bに電力を供給することと、第2発電装置23bが、直流母線25を介して第2蓄電装置21bの第2バッテリ31bに電力を供給することと、が同時に実行されてもよい。また、第2充電工程(第4ステップST4)において、第1発電装置23aの第1発電機26aと第2発電装置23bの第2発電機26bとが非同期的に運転された状態で、第1発電装置23aが、直流母線25を介して第2蓄電装置21bの第2バッテリ31bに電力を供給することと、第2発電装置23bが、直流母線25を介して第2蓄電装置21bの第2バッテリ31bに電力を供給することと、が同時に実行されてもよい。
【0079】
(効果)
第3の実施形態における船舶用電力システム1の使用方法では、少なくとも1つの発電装置23から、交流母線を介することなく直流母線25を介して、蓄電装置21に電力を供給することにより、蓄電装置21のバッテリ31を充電することができる。よって、交流母線が省略されることにより省スペース化された船舶用電力システム1を、効率的に使用することができる。また、複数の発電装置23から、直流母線25を介して、蓄電装置21に電力が供給される場合に、複数の発電装置23の複数の発電機26を同期的に運転する必要がない。換言すれば、複数の発電装置23と、直流母線25との間に交流母線が介在していないため、複数の発電装置23の複数の発電機26を同期的に運転する必要がない。また、複数の発電装置23と、直流母線25との間に交流母線が介在していないため、循環電流の問題が生じない。よって、循環電流を防ぐための絶縁トランスを省略することができる。
【0080】
本発明は上記各実施形態または各変形例に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、各実施形態又は各変形例は適宜変形又は変更され得ることは明らかである。また、各実施形態又は各変形例で用いられる種々の技術は、技術的矛盾が生じない限り、他の実施形態又は他の変形例にも適用可能である。さらに、各実施形態又は各変形例における任意付加的な構成は、適宜省略可能である。
【符号の説明】
【0081】
1、1A…船舶用電力システム、11'…交流母線、13'…絶縁トランス、15…交流電流路、15a…第1交流電流路、15b…第2交流電流路、21…蓄電装置、21a…第1蓄電装置、21b…第2蓄電装置、22…推進装置、23…発電装置、23a…第1発電装置、23b…第2発電装置、24…船内給電装置、24a…第1船内給電装置、24b…第2船内給電装置、25…直流母線、25a…第1系統の直流母線、25b…第2系統の直流母線、25M…直流母線を第1系統の直流母線と第2系統の直流母線とに機械的に分離する機構、25'…直流母線、26…発電機、26a…第1発電機、26a’…第1発電機、26b…第2発電機、26b’…第2発電機、27…電力変換装置、27a…第1電力変換装置、27b…第2電力変換装置、27a’、27b’…電力変換装置、28a…第1原動機、28b…第2原動機、29a…第1直流電流路、29b…第2直流電流路、31…バッテリ、31a…第1バッテリ、31b…第2バッテリ、33a…第3直流電流路、33b…第4直流電流路、45a…第1インバータ、45b…第2インバータ、45c…第3インバータ、46…推進機、46a…第1推進機、46b…第2推進機、46c…第3推進機、47a…第1電動機、47b…第2電動機、47c…第3電動機、48a…第1減速機、48b…第2減速機、49…プロペラ、49a…第1プロペラ、49b…第2プロペラ、49c…第3プロペラ、75a…船内給電用第1インバータ、75b…船内給電用第2インバータ、76…サーキットブレーカ、77a…第1変圧器、77b…第2変圧器、80…船内負荷器、80a…第1系統の船内負荷器、80b…第2系統の船内負荷器、81…集合始動器盤、82…荷役機器、85a…第1コネクタ、85b…第2コネクタ、91…断路器、95…ヒューズ、97…気中遮断器、98…開閉器、100…船舶、105…船体、250M…ブスリンク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2023-10-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電装置に貯められた電気エネルギを用いて推進装置を駆動させる船舶用電力システムであって、
直流母線と、
前記直流母線に接続される前記蓄電装置と、
前記直流母線に接続される前記推進装置と、
前記直流母線に接続される複数の発電装置と、
前記直流母線に接続される船内給電装置と
を具備し、
前記船内給電装置は、
前記直流母線と第1交流電流路とに接続され、前記直流母線を介して直流電力を受け取り、前記第1交流電流路を介して第1系統の船内負荷器に交流電力を供給する第1船内給電装置と、
前記直流母線と第2交流電流路とに接続され、前記直流母線を介して直流電力を受け取り、前記第2交流電流路を介して第2系統の船内負荷器に交流電力を供給する第2船内給電装置と
を含み、
前記第2系統の船内負荷器が接続される前記第2交流電流路は、前記第1系統の船内負荷器が接続される前記第1交流電流路とは独立して設けられ、
複数の前記発電装置の各々は、発電機と、交流を直流に変換する電力変換装置とを備え、
前記蓄電装置のバッテリの充電時には、少なくとも1つの前記発電装置から、前記直流母線を介して、前記蓄電装置に電力が供給され、
前記蓄電装置の前記バッテリの放電時には、前記蓄電装置から、前記直流母線を介して、前記推進装置および前記船内給電装置に電力が供給される
船舶用電力システム。
【請求項2】
前記蓄電装置の前記バッテリの充電時には、少なくとも1つの前記発電装置から、交流母線を介さずに前記直流母線を介して、前記蓄電装置に電力が供給される
請求項1に記載の船舶用電力システム。
【請求項3】
複数の前記発電装置間には、交流母線および絶縁トランスが介在しない
請求項1に記載の船舶用電力システム。
【請求項4】
複数の前記発電装置の各々の前記電力変換装置によって、複数の前記発電装置の各々の前記発電機の出力電力が制御され、
複数の前記発電機間の同期制御が行われない状態で、複数の前記発電装置から、前記直流母線を介して、前記蓄電装置に電力を供給可能である
請求項1に記載の船舶用電力システム。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の船舶用電力システムと、
前記船舶用電力システムを搭載する船体と
を具備する
船舶。
【請求項6】
船舶用電力システムの使用方法であって、
前記船舶用電力システムは、
直流母線と、
前記直流母線に接続される蓄電装置と、
前記直流母線に接続される推進装置と、
前記直流母線に接続される複数の発電装置と、
前記直流母線に接続される船内給電装置と
を具備し、
前記船内給電装置は、
前記直流母線と第1交流電流路とに接続され、前記直流母線を介して直流電力を受け取り、前記第1交流電流路を介して第1系統の船内負荷器に交流電力を供給する第1船内給電装置と、
前記直流母線と第2交流電流路とに接続され、前記直流母線を介して直流電力を受け取り、前記第2交流電流路を介して第2系統の船内負荷器に交流電力を供給する第2船内給電装置と
を含み、
前記第2系統の船内負荷器が接続される前記第2交流電流路は、前記第1系統の船内負荷器が接続される前記第1交流電流路とは独立して設けられ、
複数の前記発電装置の各々は、発電機と、交流を直流に変換する電力変換装置とを備え、
前記使用方法は、
前記蓄電装置のバッテリから、交流母線を介することなく前記直流母線を介して、前記推進装置および前記船内給電装置に電力を供給する工程と、
少なくとも1つの前記発電装置から、交流母線を介することなく前記直流母線を介して、前記蓄電装置に電力が供給されることにより、前記蓄電装置の前記バッテリを充電する工程と
を具備する
船舶用電力システムの使用方法。
【請求項7】
蓄電装置に貯められた電気エネルギを用いて推進装置を駆動させる船舶用電力システムであって、
直流母線と、
前記直流母線に接続される前記蓄電装置と、
前記直流母線に接続される前記推進装置と、
前記直流母線に接続される複数の発電装置と、
前記直流母線に接続される船内給電装置と
を具備し、
前記船内給電装置は、
前記直流母線を介して直流電力を受け取り、第1交流電流路を介して第1系統の船内負荷器に交流電力を供給する第1船内給電装置と、
前記直流母線を介して直流電力を受け取り、第2交流電流路を介して第2系統の船内負荷器に交流電力を供給する第2船内給電装置と
を含み、
前記直流母線は、前記直流母線を、第1系統の直流母線と第2系統の直流母線とに機械的に分離する機構を含み、
前記第1系統の直流母線と前記第2系統の直流母線とが機械的に分離されると、前記第1系統の船内負荷器が接続される前記第1交流電流路と、前記第2系統の船内負荷器が接続される前記第2交流電流路とが電気的に完全に分離されるように構成され、
複数の前記発電装置の各々は、発電機と、交流を直流に変換する電力変換装置とを備え、
前記蓄電装置のバッテリの充電時には、少なくとも1つの前記発電装置から、前記直流母線を介して、前記蓄電装置に電力が供給され、
前記蓄電装置の前記バッテリの放電時には、前記蓄電装置から、前記直流母線を介して、前記推進装置および前記船内給電装置に電力が供給される
船舶用電力システム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の実施形態における船舶用電力システムは、蓄電装置に貯められた電気エネルギを用いて推進装置を駆動させる船舶用電力システムであって、直流母線と、前記直流母線に接続される前記蓄電装置と、前記直流母線に接続される前記推進装置と、前記直流母線に接続される複数の発電装置と、前記直流母線に接続される船内給電装置とを具備し、前記船内給電装置は、前記直流母線と第1交流電流路とに接続され、前記直流母線を介して直流電力を受け取り、前記第1交流電流路を介して第1系統の船内負荷器に交流電力を供給する第1船内給電装置と、前記直流母線と第2交流電流路とに接続され、前記直流母線を介して直流電力を受け取り、前記第2交流電流路を介して第2系統の船内負荷器に交流電力を供給する第2船内給電装置とを含み、前記第2系統の船内負荷器が接続される前記第2交流電流路は、前記第1系統の船内負荷器が接続される前記第1交流電流路とは独立して設けられ、複数の前記発電装置の各々は、発電機と、交流を直流に変換する電力変換装置とを備え、前記蓄電装置のバッテリの充電時には、少なくとも1つの前記発電装置から、前記直流母線を介して、前記蓄電装置に電力が供給され、前記蓄電装置の前記バッテリの放電時には、前記蓄電装置から、前記直流母線を介して、前記推進装置および前記船内給電装置に電力が供給されることを特徴とする。代替的に、本発明の実施形態における船舶用電力システムは、蓄電装置に貯められた電気エネルギを用いて推進装置を駆動させる船舶用電力システムであって、直流母線と、前記直流母線に接続される前記蓄電装置と、前記直流母線に接続される前記推進装置と、前記直流母線に接続される複数の発電装置と、前記直流母線に接続される船内給電装置とを具備し、前記船内給電装置は、前記直流母線を介して直流電力を受け取り、第1交流電流路を介して第1系統の船内負荷器に交流電力を供給する第1船内給電装置と、前記直流母線を介して直流電力を受け取り、第2交流電流路を介して第2系統の船内負荷器に交流電力を供給する第2船内給電装置とを含み、前記直流母線は、前記直流母線を、第1系統の直流母線と第2系統の直流母線とに機械的に分離する機構を含み、前記第1系統の直流母線と前記第2系統の直流母線とが機械的に分離されると、前記第1系統の船内負荷器が接続される前記第1交流電流路と、前記第2系統の船内負荷器が接続される前記第2交流電流路とが電気的に完全に分離されるように構成され、複数の前記発電装置の各々は、発電機と、交流を直流に変換する電力変換装置とを備え、前記蓄電装置のバッテリの充電時には、少なくとも1つの前記発電装置から、前記直流母線を介して、前記蓄電装置に電力が供給され、前記蓄電装置の前記バッテリの放電時には、前記蓄電装置から、前記直流母線を介して、前記推進装置および前記船内給電装置に電力が供給されることを特徴とする。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
また、本発明の実施形態における船舶用電力システムの使用方法において、前記船舶用電力システムは、直流母線と、前記直流母線に接続される蓄電装置と、前記直流母線に接続される推進装置と、前記直流母線に接続される複数の発電装置と、前記直流母線に接続される船内給電装置とを具備し、前記船内給電装置は、前記直流母線と第1交流電流路とに接続され、前記直流母線を介して直流電力を受け取り、前記第1交流電流路を介して第1系統の船内負荷器に交流電力を供給する第1船内給電装置と、前記直流母線と第2交流電流路とに接続され、前記直流母線を介して直流電力を受け取り、前記第2交流電流路を介して第2系統の船内負荷器に交流電力を供給する第2船内給電装置とを含み、前記第2系統の船内負荷器が接続される前記第2交流電流路は、前記第1系統の船内負荷器が接続される前記第1交流電流路とは独立して設けられ、複数の前記発電装置の各々は、発電機と、交流を直流に変換する電力変換装置とを備え、前記使用方法は、前記蓄電装置のバッテリから、交流母線を介することなく前記直流母線を介して、前記推進装置および前記船内給電装置に電力を供給する工程と、少なくとも1つの前記発電装置から、交流母線を介することなく前記直流母線を介して、前記蓄電装置に電力が供給されることにより、前記蓄電装置の前記バッテリを充電する工程と、を具備することを特徴とする。