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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024111343
(43)【公開日】2024-08-19
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/00 20060101AFI20240809BHJP
   G03G 21/16 20060101ALI20240809BHJP
【FI】
G03G15/00 550
G03G21/16 133
G03G21/16 185
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023015764
(22)【出願日】2023-02-06
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168217
【弁理士】
【氏名又は名称】大村 和史
(72)【発明者】
【氏名】山添 竜輝
【テーマコード(参考)】
2H171
【Fターム(参考)】
2H171FA01
2H171FA03
2H171FA05
2H171FA19
2H171GA03
2H171GA04
2H171GA09
2H171HA06
2H171HA23
2H171JA12
2H171KA04
2H171KA13
2H171KA17
2H171KA22
2H171KA23
2H171KA27
2H171MA07
(57)【要約】      (修正有)
【課題】簡単な構成で定着部材の変形を防止できる画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置は、定着部材(定着ローラ)に対して加圧部材(加圧ローラ)を離接させるための圧解レバー76と、電源スイッチ78を切り替えるための操作レバー80とを備える。そして、操作レバーのオン位置からオフ位置への切替操作に連動して、圧解レバーが押圧位置から圧解位置に切り替えられ、操作レバーのオフ位置からオン位置への切替操作に連動して、圧解レバーが圧解位置から押圧位置に切り替えられる。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
定着部材と加圧部材とを有する定着装置を装置本体内に備える画像形成装置であって、
前記装置本体に設けられた電源スイッチ、
前記装置本体の側面に設けられた開閉部、
前記開閉部側に向かって突出するように前記定着装置に設けられ、前記定着部材に対して前記加圧部材を押圧状態にする押圧位置と、前記定着部材に対する前記加圧部材の押圧を解除する圧解位置とに変位可能な圧解レバー、および
前記開閉部に設けられ、前記電源スイッチをオン状態にするオン位置と、前記電源スイッチをオフ状態にするオフ位置とに変位可能な操作レバーを備え、
前記操作レバーの前記オン位置から前記オフ位置への切替操作に連動して前記圧解レバーが前記押圧位置から前記圧解位置に切り替えられ、前記操作レバーの前記オフ位置から前記オン位置への切替操作に連動して前記圧解レバーが前記圧解位置から前記押圧位置に切り替えられる、画像形成装置。
【請求項2】
前記操作レバーは、前記電源スイッチを切り替えるスイッチ押圧部と、前記圧解レバーを切り替えるレバー押圧部とを有する、請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記電源スイッチは、前記開閉部に設けられている、請求項1または2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記操作レバーは、前記開閉部に形成された開口から外部に露出するように設けられており、閉状態の前記開閉部の外側から操作可能である、請求項1または2記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記圧解レバーは、前記定着装置の一方端部に配置される第1圧解レバーと、前記定着装置の他端部に配置される第2圧解レバーとを含み、
前記操作レバーは、前記第1圧解レバーを切り替える第1操作レバーと、前記第2圧解レバーを切り替える第2操作レバーと、前記第1操作レバーと前記第2操作レバーとを連結する連結部とを含む、請求項1または2記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記操作レバーが前記オン位置にあってかつ前記圧解レバーが前記圧解位置にあるとき、前記圧解レバーに前記操作レバーが干渉することで前記開閉部の開状態から閉状態への変位が規制される、請求項1または2記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記操作レバーが前記オフ位置にあってかつ前記圧解レバーが前記押圧位置にあるとき、前記圧解レバーに前記操作レバーが干渉することで前記開閉部の開状態から閉状態への変位が規制される、請求項1または2記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は画像形成装置に関し、特にたとえば、定着部材と加圧部材とを有する定着装置を装置本体内に備える、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の画像形成装置の一例が特許文献1に開示される。特許文献1の画像形成装置は、定着部材と加圧ローラ(加圧部材)とを用いてシートのトナー画像を加熱定着する装置であって、第1の電源と、第1の電源よりも高い電圧の第2の電源と、オン/オフ操作により第1の電源及び第2の電源をオン/オフする電源スイッチと、電源スイッチのオン/オフ操作を検出する検出手段と、定着部材と加圧ローラとを接近離間動作させる駆動手段と、検出手段により電源スイッチのオフ操作が検出された場合に、第2の電源をオフさせてから所定時間後に第1の電源をオフさせてシャットダウン処理を行う電源制御手段と、所定時間内に第1の電源により駆動手段を駆動して定着部材と加圧ローラとを離間動作させる駆動制御手段とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-190982号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術では、検出手段によって電源スイッチのオフ操作が検出されたとき、駆動手段によって定着部材と加圧部材とを離間させる。これにより、定着部材が変形(C形状に凹んだままの状態となる)して画質に影響が出ることを防止できる。しかしながら、特許文献1の技術では、電源オフを検出する検出手段、離接機構を駆動する駆動手段、および駆動手段を制御する駆動制御手段などが必要となるので、装置が高価になってしまう。
【0005】
それゆえに、この開示の主たる目的は、新規な、画像形成装置を提供することである。
【0006】
この開示の他の目的は、簡単な構成で、定着部材の変形を防止できる、画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の開示は、定着部材と加圧部材とを有する定着装置を装置本体内に備える画像形成装置であって、装置本体に設けられた電源スイッチ、装置本体の側面に設けられた開閉部、開閉部側に向かって突出するように定着装置に設けられ、定着部材に対して加圧部材を押圧状態にする押圧位置と、定着部材に対する加圧部材の押圧を解除する圧解位置とに変位可能な圧解レバー、および開閉部に設けられ、電源スイッチをオン状態にするオン位置と、電源スイッチをオフ状態にするオフ位置とに変位可能な操作レバーを備え、操作レバーのオン位置からオフ位置への切替操作に連動して圧解レバーが押圧位置から圧解位置に切り替えられ、操作レバーのオフ位置からオン位置への切替操作に連動して圧解レバーが圧解位置から押圧位置に切り替えられる、画像形成装置である。
【0008】
第1の開示によれば、電源スイッチと圧解レバーとを連動させる操作レバーを設けるという簡単な構成で、電源オフ時に加圧部材を圧解状態にしておくことができるので、定着部材が変形して画質に影響が出てしまうことを適切に防止できる。
【0009】
第2の開示は、第1の開示に従属し、操作レバーは、電源スイッチを切り替えるスイッチ押圧部と、圧解レバーを切り替えるレバー押圧部とを有する。
【0010】
第3の開示は、第1または第2の開示に従属し、電源スイッチは、開閉部に設けられている。
【0011】
第4の開示は、第1または第2の開示に従属し、操作レバーは、開閉部に形成された開口から外部に露出するように設けられており、閉状態の開閉部の外側から操作可能である。
【0012】
第5の開示は、第1または第2の開示に従属し、圧解レバーは、定着装置の一方端部に配置される第1圧解レバーと、定着装置の他端部に配置される第2圧解レバーとを含み、操作レバーは、第1圧解レバーを切り替える第1操作レバーと、第2圧解レバーを切り替える第2操作レバーと、第1操作レバーと第2操作レバーとを連結する連結部とを含む。
【0013】
第6の開示は、第1または第2の開示に従属し、操作レバーがオン位置にあってかつ圧解レバーが圧解位置にあるとき、圧解レバーに操作レバーが干渉することで開閉部の開状態から閉状態への変位が規制される。
【0014】
第7の開示は、第1または第2の開示に従属し、操作レバーがオフ位置にあってかつ圧解レバーが押圧位置にあるとき、圧解レバーに操作レバーが干渉することで開閉部の開状態から閉状態への変位が規制される。
【発明の効果】
【0015】
この開示によれば、操作レバーを用いて電源スイッチと圧解レバーとを連動させるという簡単な構成で、電源オフ時に加圧部材を圧解状態にしておくことができるので、定着部材が変形して画質に影響が出てしまうことを適切に防止できる。
【0016】
この開示の上述の目的、その他の目的、特徴および利点は、図面を参照して行う後述の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】この開示の第1実施例である画像形成装置の内部構造を示す概略断面図である。
図2】右側ドアを開けた状態の画像形成装置を示す斜視図である。
図3】画像形成装置の右側ドア部分を外側から見た様子を模式的に示す図である。
図4】画像形成装置の右側ドア部分を内側から見た様子を模式的に示す図である。
図5】画像形成装置の右側ドア部分の内側を模式的に示す斜視図である。
図6】右側ドアを閉めた状態の画像形成装置の操作レバー周辺部分を模式的に示す図である。
図7】右側ドアに設けられる操作レバーを示す斜視図である。
図8】操作レバーを示す正面図である。
図9】操作レバーを示す背面図である。
図10】操作レバーがオン位置にあるときの操作レバーと電源スイッチとの関係を模式的に示す図である。
図11】操作レバーがオフ位置にあるときの操作レバーと電源スイッチとの関係を模式的に示す図である。
図12】操作レバーがオン位置にあるときの操作レバーと圧解レバーとの関係を模式的に示す図である。
図13】操作レバーがオフ位置にあるときの操作レバーと圧解レバーとの関係を模式的に示す図である。
図14】この開示の第2実施例である画像形成装置の操作レバー周辺部分を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[第1実施例]
図1および図2を参照して、この開示の第1実施例の画像形成装置10は、複写機能、プリンタ機能、スキャナ機能およびファクシミリ機能などを有する複合機であって、電子写真方式によって用紙(記録媒体)に画像を形成する。詳細は後述するように、画像形成装置10は、定着ローラ70および加圧ローラ72を有する定着装置44を装置本体12内に備える。この定着装置44は、離接機構(圧解除機構)を備えており、離接機構の圧解レバー76を手動操作(上下動)することで、定着ローラ70に対して加圧ローラ72を離接させることができる。
【0019】
先ず、画像形成装置10の構成について概略的に説明する。なお、この実施例では、ユーザの立ち位置に対向する面、つまり操作パネル28が設けられる側の面を前面(正面)として画像形成装置10およびその構成部材の前後方向(奥行方向)を規定し、画像形成装置10およびその構成部材の左右方向(横方向)は、ユーザから画像形成装置10を見た状態を基準として規定する。
【0020】
図1および図2に示すように、画像形成装置10は、画像形成部30を備える装置本体12と、その上方に配置される画像読取装置14とを含む。
【0021】
画像読取装置14は、透明材によって形成される原稿載置台16を備える。原稿載置台16の上方には、ヒンジ等を介して原稿押えカバー18が開閉自在に取り付けられる。この原稿押えカバー18の上面には、原稿供給トレイ20が設けられており、原稿押えカバー18の内部には、ADF(自動原稿送り装置)が設けられる。ADFは、原稿供給トレイ20に載置された原稿を画像読取位置22に対して1枚ずつ自動的に供給し、原稿排出トレイ24に排出する。
【0022】
また、画像読取装置14に内蔵される画像読取部26は、光源、複数のミラー、結像レンズおよびラインセンサ等を備える。画像読取部26は、原稿表面を光源によって露光し、原稿表面から反射した反射光を複数のミラーによって結像レンズに導く。そして、結像レンズによって反射光をラインセンサの受光素子に結像させる。ラインセンサでは、受光素子に結像した反射光の輝度や色度が検出され、原稿表面の画像に基づく画像データが生成される。ラインセンサとしては、CCD(Charge Coupled Device)またはCIS(Contact Image Sensor)等が用いられる。
【0023】
画像読取装置14の前面側には、ユーザによる印刷指示等の入力操作を受け付ける操作パネル28が設けられる。操作パネル28は、上面にタッチパネル付きのディスプレイおよび複数の操作ボタン等を有する。
【0024】
また、装置本体12の筐体60内には、CPUやメモリ等を含む制御部(図示せず)、および画像形成部30などが設けられる。制御部は、操作パネル28への入力操作などに応じて、画像形成装置10の各部位に制御信号を送信し、画像形成装置10に種々の動作を実行させる。
【0025】
画像形成部30は、露光ユニット32、現像器34、感光体ドラム36、クリーナユニット38、帯電器40、転写装置42および定着装置44等を備え、給紙カセット46等から搬送される用紙上に画像を形成し、画像形成済みの用紙を排紙トレイ48に排出する。用紙上に画像を形成するための画像データとしては、画像読取部26で読み取った画像データまたは外部コンピュータから送信された画像データ等が利用される。
【0026】
なお、画像形成装置10において扱われる画像データは、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)およびイエロー(Y)の4色のカラー画像に応じたものである。このため、現像器34、感光体ドラム36、クリーナユニット38および帯電器40のそれぞれは、各色に応じた4種類の潜像を形成するように4個ずつ設けられ、これらによって4つの画像ステーションが構成される。
【0027】
感光体ドラム36は、導電性を有する円筒状の基体の表面に感光層が形成された像担持体であり、帯電器40は、この感光体ドラム36の表面を所定の電位に帯電させる部材である。また、露光ユニット32は、レーザ出射部および反射ミラー等を備えたレーザスキャニングユニット(LSU)として構成され、帯電された感光体ドラム36の表面を露光することによって、画像データに応じた静電潜像を感光体ドラム36の表面に形成する。現像器34は、感光体ドラム36の表面に形成された静電潜像を4色(YMCK)のトナーによって顕像化するものである。また、クリーナユニット38は、現像および画像転写後における感光体ドラム36の表面に残留したトナーを除去する。
【0028】
転写装置42は、感光体ドラム36上に形成されたトナー像を用紙に転写するための装置であって、中間転写ユニット50および転写ユニット(二次転写ユニット)52を含む。ただし、転写装置42は、必ずしも中間転写ユニット50を備える中間転写方式である必要はなく、感光体ドラム36上のトナー像が転写ユニットによって用紙に直接転写される構成を採用することもできる。
【0029】
中間転写ユニット50は、中間転写ベルト、懸架ローラ、および4つの中間転写ローラなどを備え、感光体ドラム36の上方に配置される。画像形成時には、中間転写ローラに所定の電圧が印加されることによって、感光体ドラム36と中間転写ベルトとの間に転写電界が形成される。そして、この転写電界の作用により、感光体ドラム36の外周面に形成されたトナー像が、周回移動する中間転写ベルトの外周面に順次転写される。
【0030】
転写ユニット52は、中間転写ベルトを押圧するように設けられる転写ローラを備える。画像形成時には、転写ローラに所定の電圧が印加されることによって、中間転写ベルトと転写ローラとの間に転写電界が形成される。そして、この転写電界の作用により、中間転写ベルトと転写ローラとの間の転写ニップ部を用紙が通過する間に、中間転写ベルトの外周面に形成されたトナー像が用紙に転写される。
【0031】
定着装置44は、定着ローラ(ヒートローラ)70および加圧ローラ72等を備え、転写ユニット52の上方に配置される。定着ローラ70は、所定の定着温度となるように設定されており、定着ローラ70と加圧ローラ72との間の定着ニップ部を用紙が通過することによって、用紙に転写されたトナー像が溶融、混合および圧接されて、用紙に対してトナー像が熱定着される。なお、定着装置44の構成については後述する。
【0032】
このような装置本体12内には、給紙カセット46等から搬送される用紙をレジストローラ56、転写装置42および定着装置44を経由させて排紙トレイ48に送るための第1用紙搬送路L1が形成される。また、用紙に対して両面印刷を行う際に、片面印刷が終了して定着装置44を通過した後の用紙を、転写ユニット52の用紙搬送方向の上流側において第1用紙搬送路L1に戻すための第2用紙搬送路L2が形成される。この第1用紙搬送路L1および第2用紙搬送路L2には、用紙に対して補助的に推進力を与えるための複数の搬送ローラ58が適宜設けられる。
【0033】
また、装置本体12の右側面には、開閉部の一例である右側ドア62が設けられている。具体的には、装置本体12の筐体60の右側面には、開口部60aが形成されており、この開口部60aには、開閉部の一例である右側ドア62がヒンジ等によって開閉自在に設けられる。右側ドア62は、下端部を支点として右方向に回動することで上部が開く上開きのドアであって、右側ドア62を開くことで定着装置44の右側面が露出する。
【0034】
定着装置44は、定着部材の一例である定着ローラ70および加圧部材の一例である加圧ローラ72等を備え、これらは定着フレームによって所定の配置態様で一体的に保持される。定着ローラ70および加圧ローラ72のそれぞれは、回転軸が前後方向に延びるように互いに並行に設けられている。
【0035】
また、加圧ローラ72は、定着ローラ70に対して離接可能に設けられており、定着ローラ70に対して所定の押圧力で当接する押圧状態と、定着ローラ70に対する押圧が解除される圧解状態(離間状態)とに変位可能である。定着ローラ70に対して加圧ローラ72を離接させる離接機構(圧解除機構)については、公知の機構を適宜用いるとよいので、ここでの説明は省略する。ユーザは、離接機構の一部を構成する圧解レバー76を手動操作する(上下動させる)ことで、加圧ローラ72を押圧状態と圧解状態とに切り替えることが可能である。
【0036】
この第1実施例では、圧解レバー76は、定着装置44の長手方向における後端部に配置され、定着フレームの右側面から右側ドア62側に向かって突出するように設けられる。ただし、圧解レバー76(後述する電源レバー78および操作レバー80も同様)の配置位置は、適宜変更可能であり、定着装置44の長手方向における前端部に配置されても構わない。
【0037】
圧解レバー76は、右下がりの状態となる押圧位置(図12参照)と、右上がりの状態となる圧解位置(図13参照)とに変位可能である。そして、圧解レバー76が押圧位置にあるときに、定着ローラ70に対して加圧ローラ72が押圧状態となり、圧解レバー76が圧解位置にあるときに、定着ローラ70に対する加圧ローラ72の押圧が解除される。なお、圧解レバー76は、押圧位置と圧解位置との間の位置で止まることはなく、回動範囲の所定位置(圧解位置を0%、押圧位置を100%として、たとえば40%の位置)よりも圧解位置に近づくと圧解位置まで強制的に移動され、所定位置よりも押圧位置に近づくと押圧位置まで強制的に移動される。
【0038】
このような画像形成装置10においては、長期連休などの何らかの都合で装置が長期間使用されない場合には、主電源がオフにされる。この際、定着ローラ70と加圧ローラ72とを押圧状態のままにしておくと、定着ローラ70が変形(C形状に凹んだままの状態となる)して、画質に影響が出てしまう。電源オフ時または非印刷時などに自動制御で圧解除を行うことも考えられるが、離接機構を駆動する駆動機構およびその制御などが別途必要となるので、装置が高価になってしまう。
【0039】
そこで、この第1実施例では、電源スイッチ78および電源スイッチ78のオンオフを切り替えるための操作レバー80を右側ドア62に設け、この操作レバー80を用いて圧解レバー76を変位させる(切り替える)ことで、電源オフ時に加圧ローラ72が圧解状態となり、電源オン時に加圧ローラ72が押圧状態に戻るようにした。すなわち、不使用時にユーザが操作レバー80を用いて主電源を切ったときに、この手動操作の力を利用して圧解レバー76を圧解位置に切り替える(つまり加圧ローラ72を圧解状態にする)ことで、コストを抑制しながらも、定着ローラ70が変形して画質に影響が出てしまうことを防止できるようにした。以下、具体的に説明する。
【0040】
図3図6に示すように、装置本体12の右側ドア62には、右側ドア62を閉めたときに定着装置44の圧解レバー76の近傍となる位置に、電源スイッチ78が設けられる。この第1実施例では、圧解レバー76の後側に横並びとなる位置に電源スイッチ78が設けられる。電源スイッチ78は、画像形成装置10の主電源のオンオフを行うためのシーソースイッチであり、一端側(下端側:図10参照)が押下されるとオン状態になり、他端側(上端側:図11参照)が押下されるとオフ状態になる。電源スイッチ78がオン状態にされることによって、電源電力が商用電源から画像形成装置10に入力され、画像形成装置10が動作可能となる。
【0041】
また、装置本体12の右側ドア62には、ユーザが電源スイッチ78のオンオフを切り替えるための操作レバー80が設けられる。右側ドア62には、圧解レバー76と対応する位置に開口62aが形成されており、操作レバー80は、この開口62aから外部に露出するように設けられる。つまり、操作レバー80は、閉じられた状態(閉状態)の右側ドア62の外側から操作可能に設けられている。
【0042】
図3図6と共に図7図9を参照して、操作レバー80は、アーム部82、スイッチ押圧部84およびレバー押圧部86を有する。アーム部82は、左右方向に延びる矩形板状に形成され、圧解レバー76と電源スイッチ78との間の位置に配置される。アーム部82の左端部には、回動軸90が挿通される取付孔82aが形成され、アーム部82の右端部82bは、ユーザが操作レバー80を手動操作するときに指をかける操作部として用いられる。右側ドア62の後端部の左側面(内面)には、左方向に突出する延出部62bが形成されており、アーム部82は、この延出部62bに設けられた前後方向に延びる回動軸90によって回動可能に支持される。したがって、操作レバー80は、左端部(回動軸90)を支点として右端部が上下動するように回動可能であり、電源スイッチ78をオン状態にするオン位置(右下がりとなる位置:図10参照)と、電源スイッチ78をオフ状態にするオフ位置(略水平となる位置:図11参照)とに変位可能である。
【0043】
スイッチ押圧部84は、電源スイッチ78を押圧して切り替えるための部分である。スイッチ押圧部84は、左右方向に延びる突条であって、アーム部82の後面側に設けられる。スイッチ押圧部84の左端面84a、つまり電源スイッチ78との当接面は、湾曲面となっている。一方、レバー押圧部86は、圧解レバー76を押圧して切り替えるための部分である。レバー押圧部86は、上下方向に所定間隔で並ぶ第1突条86aと第2突条86bとを含み、アーム部82の前面側に設けられる。図6からよく分かるように、右側ドア62を閉めた状態では、圧解レバー76の先端部は、第1突条86aと第2突条86bとの間に挿入される。
【0044】
次に、図10図13を参照して、操作レバー80を手動操作して電源スイッチ78を切り替えるときの動作について説明する。上述のように、操作レバー80は、右側ドア62に形成された開口62aから外部に露出しているので、閉状態の右側ドア62の外側から操作レバー80を操作することが可能である。
【0045】
図10に示すように、操作レバー80が右下がりとなるオン位置にあるときには、電源スイッチ78の一端側(下端側)がスイッチ押圧部84の左端面84aによって押下されることで、電源スイッチ78はオン状態となる。一方、図11に示すように、操作レバー80が略水平となるオフ位置にあるときには、電源スイッチ78の他端側(上端側)がスイッチ押圧部84の左端面84aによって押下されることで、電源スイッチ78はオフ状態となる。
【0046】
また、図12に示すように、操作レバー80がオン位置にあるときには、圧解レバー76は押圧位置にある状態を保つ。そして、図13に示すように、操作レバー80がオン位置からオフ位置に切り替えられるときには、操作レバー80の上方への回動に伴い、レバー押圧部86の第2突条86bによって圧解レバー76が押し上げられる。これにより、圧解レバー76が圧解位置に変位され、加圧ローラ72は、定着ローラ70に対する押圧が解除される圧解状態となる。すなわち、操作レバー80のオン位置からオフ位置への切替操作に連動して、圧解レバー76が押圧位置から圧解位置に切り替えられる。したがって、画像形成装置10が使用されないときには、こまめに加圧ローラ72を圧解状態にする(定着圧を抜く)ことができるので、定着ローラ70が変形してしまうことを適切に防止できる。
【0047】
一方、操作レバー80がオフ位置からオン位置に切り替えられるときには、操作レバー80の下方への回動に伴い、レバー押圧部86の第1突条86aによって圧解レバー76が押し下げられる。これにより、圧解レバー76が押圧位置に変位され、加圧ローラ72は、定着ローラ70に対して所定の押圧力で当接する押圧状態に戻る。すなわち、操作レバー80のオフ位置からオン位置への切替操作に連動して、圧解レバー76が圧解位置から押圧位置に切り替えられる。したがって、画像形成装置10の使用を再開するときには、操作レバー80をオン位置に切り替えるだけで、圧解レバー76を別途個別に操作することなく、画像形成装置10を使用できる。
【0048】
なお、印刷ジョブ中に紙詰まり(ジャム)が発生した場合には、ジャム処理するために、圧解レバー76を直接操作して圧解位置に切り替える。この際には、右側ドア62を開く必要があるが、図12に示すように、操作レバー80がオン位置にあってかつ圧解レバー76が押圧位置にあるときには、圧解レバー76とレバー押圧部86とが互いに干渉することなく、右側ドア62を開けることができる。また、ジャム処理が終了してユーザが圧解レバー76を押圧位置に適切に戻すと、右側ドア62を閉めることができる。一方で、ユーザが圧解レバー76を押圧位置に戻すことを忘れた場合、つまり操作レバー80がオン位置にあってかつ圧解レバー76が圧解位置にあるときには、圧解レバー76に操作レバー80が干渉することで、右側ドア62の開状態から閉状態への変位が規制される(つまり右側ドア62を閉めることができなくなる)。これにより、ユーザに操作ミスがあることを認知させることができるので、ジャム処理後に定着圧を入れ忘れて通紙したために画質不良が発生する不具合を防止できる。
【0049】
同様に、操作レバー80がオフ位置にあってかつ圧解レバー76が押圧位置にあるときには、圧解レバー76に操作レバー80が干渉することで、右側ドア62の開状態から閉状態への変位が規制される。これにより、定着装置44のメンテナンス時または交換時などに、ミスが生じていること(異常な状態であること)をユーザに認知させることができる。
【0050】
以上のように、この第1実施例によれば、電源スイッチ78と圧解レバー76とを連動させる操作レバー80を右側ドア62に設けるという簡単な構成で、電源オフ時に加圧ローラ72を圧解状態にしておくことができるので、定着ローラ70が変形して画質に影響が出てしまうことを適切に防止できる。また、右側ドア62を開けることなく、操作レバー80(延いては圧解レバー76)を外部から切り替えることができるので、利便性に優れる。
【0051】
[第2実施例]
次に、図14を参照して、この開示の第2実施例である画像形成装置10について説明する。この第2実施例では、圧解レバーが定着装置の両端部のそれぞれに設けられ、これら2つの圧解レバーを操作レバーによって同時に移動させる点が、上述の第1実施例と異なる。その他の部分については同様であるので、上述の第1実施例と共通する部分については、同じ参照番号を付し、重複する説明は省略または簡略化する。
【0052】
図14に示すように、第2実施例では、圧解レバー76は、定着装置44の長手方向における両端部に配置された一対のレバー、すなわち一方端部(後端部)に配置された第1圧解レバー76Aと、他端部(前端部)に配置された第2圧解レバー76Bとを含む。第1圧解レバー76Aおよび第2圧解レバー76Bのそれぞれは、定着装置44の右側面から右側ドア62側に向かって突出するように設けられる。そして、第1圧解レバー76Aおよび第2圧解レバー76Bのそれぞれが、押圧位置にあるときに、定着ローラ70に対して加圧ローラ72が押圧状態となり、圧解位置にあるときに、定着ローラ70に対する加圧ローラ72の押圧が解除される。
【0053】
また、電源スイッチ78は、右側ドア62を閉めたときに定着装置44の圧解レバー76のいずれか一方と近傍となる位置において、右側ドア62に設けられる。この第2実施例では、第2圧解レバー76Bの前側に横並びとなる位置に設けられる。
【0054】
操作レバー80は、第1圧解レバー76Aと対応する位置に設けられて第1圧解レバー76Aを切り替える第1操作レバー80Aと、第2圧解レバー76Bと対応する位置に設けられて第2圧解レバー76Bを切り替える第2操作レバー80Bとを含む。第1操作レバー80Aおよび第2操作レバー80Bのそれぞれは、アーム部82、スイッチ押圧部84およびレバー押圧部86を有している。ただし、第1操作レバー80A側には電源スイッチ78が配置されないので、第1操作レバー80Aのスイッチ押圧部84は省略可能である。また、操作レバー80は、第1操作レバー80Aの右端部と第2操作レバー80Bの右端部とを連結する角棒状の連結部92を備える。この連結部92の右側面の中央部には、ユーザが操作レバー80を手動操作するときに指をかける操作部94が右方向に突出するように設けられる。
【0055】
このような操作レバー80を備える画像形成装置10では、第1操作レバー80Aと第2操作レバー80Bとが連結部92によって連結されているので、操作部94に指をかけて操作レバー80の全体を回動させるだけで、電源スイッチ78と共に、第1圧解レバー76Aおよび第2圧解レバー76Bの双方を同時に切り替えることができる。
【0056】
以上のように、この第2実施例によれば、第1実施例と同様に、簡単な構成で、定着ローラが変形して画質に影響が出てしまうことを適切に防止できる。また、第2実施例によれば、一対の圧解レバーを備える定着装置にも適切に対応できる。
【0057】
なお、上述の第1実施例では、操作レバーがオン位置にあってかつ圧解レバーが圧解位置にあるときには、右側ドアの開状態から閉状態への変位が規制されるようにしたが、これに代えて、右側ドアを開状態から閉状態へ変位させる動作に連動させて、圧解レバーを押圧位置に強制的に移動させるようにすることもできる。同様に、操作レバーがオフ位置にあってかつ圧解レバーが押圧位置にあるときには、右側ドアを開状態から閉状態へ変位させる動作に連動させて、圧解レバーを圧解位置に強制的に移動させるようにしてもよい。
【0058】
また、上述の各実施例では、画像形成装置として、複写機、ファクシミリおよびプリンタ等を組み合わせた複合機を例示したが、画像形成装置は、複写機、ファクシミリおよびプリンタ等のいずれか、またはこれらの少なくとも2つを組み合わせた複合機であってもよい。また、画像形成装置は、印刷媒体に単色の画像を形成するモノクロ機であってもよい。さらに、定着装置の定着部材としては、ベルト方式のもの(定着ベルト)を採用することもできる。
【0059】
さらに、上述の各実施例では、開閉部の一例として装置本体の右側面に設けられる右側ドアを挙げたが、これに限定されない。装置本体内における定着装置の配置態様に応じて、開閉部が装置本体の他の側面に設けられても構わない。
【0060】
さらにまた、上述の各実施例では、電源スイッチを右側ドア(開閉部)に設けているが、電源スイッチの配置位置は適宜変更可能である。たとえば、電源スイッチは、開閉部が設けられる開口部の周縁部または装置本体内などに配置することもできる。
【0061】
なお、上で挙げた具体的な数値および部品形状などは、いずれも単なる一例であり、製品の仕様などの必要に応じて適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0062】
10 …画像形成装置
12 …装置本体
30 …画像形成部
44 …定着装置
60 …筐体
62 …右側ドア(開閉部)
70 …定着ローラ(定着部材)
72 …加圧ローラ(加圧部材)
76 …圧解レバー
78 …電源スイッチ
80 …操作レバー
84 …スイッチ押圧部
86 …レバー押圧部
図1
図2
図3
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図5
図6
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図9
図10
図11
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図14