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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024111360
(43)【公開日】2024-08-19
(54)【発明の名称】誘導灯
(51)【国際特許分類】
   G08B 5/00 20060101AFI20240809BHJP
   G08B 17/00 20060101ALI20240809BHJP
   A62B 3/00 20060101ALI20240809BHJP
【FI】
G08B5/00 C
G08B17/00 F
A62B3/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023015786
(22)【出願日】2023-02-06
(71)【出願人】
【識別番号】000233826
【氏名又は名称】能美防災株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100147566
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100161171
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 潤一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100188514
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 隆裕
(72)【発明者】
【氏名】榎元 将大
【テーマコード(参考)】
2E184
5C083
5G405
【Fターム(参考)】
2E184GG13
5C083CC25
5C083DD14
5C083FF03
5C083JJ25
5G405AA08
5G405CA28
5G405FA03
(57)【要約】
【課題】光警報機能と誘導機能の両方の視認性を確保するとともに、省スペース化を図ることのできる誘導灯を得る。
【解決手段】避難誘導の表示を行う表示部を備えた誘導灯であって、外部信号に応じて光による火災警報を行う光警報部をさらに備え、表示部と光警報部とが一体の筐体に組み込まれており、設置場所の省スペース化と、視認性の向上とを両立させることができ、聴覚障碍者も含めた避難者に対して、避難誘導に関する視覚的な情報を適切に提供することを可能とする。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
避難誘導の表示を行う表示部を備えた誘導灯であって、
外部信号に応じて光による火災警報を行う光警報部
をさらに備え、
前記表示部と前記光警報部とが一体の筐体に組み込まれた誘導灯。
【請求項2】
停電時において所定の時間にわたって前記表示部の点灯状態を維持するためのバッテリー
をさらに有する請求項1に記載の誘導灯。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、避難誘導の目的で設置される誘導灯に関するものである。
【背景技術】
【0002】
消防法施行令では、一定規模以上の駅や空港のほか、老人ホーム、障害者入所施設などに、火災の発生を自動検知して知らせる非常ベルなどを設置するように義務付けている。また、火災発生時に非常ベルの音を聞き取ることができない聴覚障碍者に迅速な避難を促すために、光の点滅で緊急事態を知らせる光警報装置をガイドラインに従って設置する必要がある(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
また、非常口の近傍には、避難口、避難経路、避難器具などの位置を示し、避難誘導を行うための誘導灯が、設置基準に基づいて設けられている。すなわち、光警報装置および誘導灯は、いずれも視覚的に避難誘導を行う機能を有しており、聴覚障碍者も含めた避難者に対して、避難誘導に関する視覚的な情報を適切に提供することができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】能美防災 ホームページ、光警報装置(https://www.nohmi.co.jp/shoninzu/011/011-0010.html)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来技術には、以下のような課題がある。
誘導灯は、設置基準に基づき設置する必要がある。一方、光警報装置は、設置基準はないものの、ガイドラインに基づき設置する必要がある。このように、光警報装置と誘導灯とは、異なる基準により設置されるが、共通するエリアに設置される場合がある。
【0006】
ただし、光警報装置と誘導灯とは、別体として火災監視現場に設置される。従って、天井などの設置スペースが限られている監視対象エリアにおいて光警報装置と誘導灯の両方を設置する必要がある場合には、光警報機能と誘導機能の両方の視認性を限られた設置スペース内で確保することが重要となる。
【0007】
本開示は、上記の課題を解決するためになされたものであり、光警報機能と誘導機能の両方の視認性を確保するとともに、省スペース化を図ることのできる誘導灯を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に係る誘導灯は、避難誘導の表示を行う表示部を備えた誘導灯であって、外部信号に応じて光による火災警報を行う光警報部をさらに備え、表示部と光警報部とが一体の筐体に組み込まれたものである。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、光警報機能と誘導機能の両方の視認性を確保するとともに、省スペース化を図ることのできる誘導灯を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】一般的な自動火災報知設備の全体構成図である。
図2】従来の自動火災報知設備において、火災監視エリアに設置された防災設備の一例を示したレイアウト図である。
図3】本開示の実施の形態1に係る自動火災報知設備において、火災監視エリアに設置された防災設備の一例を示したレイアウト図である。
図4】本開示の実施の形態1における図2および図3中に示されたシンボルに関する説明図である。
図5】本開示の実施の形態1に係る誘導灯の機能ブロック図である。
図6】本開示の実施の形態1に係る誘導灯の外観と従来の誘導灯の外観とを比較した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の誘導灯の好適な実施の形態につき、図面を用いて説明する。
本開示に係る誘導灯は、光警報装置が有する光警報機能を誘導灯に持たせ、光警報機能と誘導機能の両方の視認性を確保した上で、省スペース化を実現する点に技術的特徴を有するものである。
【0012】
実施の形態1.
まず始めに、誘導灯を備えた自動火災報知設備の全体像について説明する。
図1は、一般的な自動火災報知設備の全体構成図である。火災受信機10は、信号線SG1を介して、アドレッサブル発信機20、火災感知器31、32、感知器用中継器40、および防排煙制御用中継器50と接続されている。
【0013】
感知器用中継器40には、火災感知器が複数台接続されている。図1では、2台の火災感知器41、42を例示している。また、防排煙制御用中継器50には、防火戸51、排煙機52、シャッタ53、およびたれ壁54が接続されている。
【0014】
また、火災受信機10は、信号線SG2を介して、光警報装置61、62、および光警報装置用中継器70と接続されている。さらに、光警報装置用中継器70には、光警報装置が複数台接続されている。図1では、2台の光警報装置71、72を例示している。
【0015】
ここで、火災感知器31、32、および火災感知器41、42は、あらかじめ設定されたそれぞれの火災監視エリアにおいて火災の発生を感知する複数の火災感知器に相当する。
【0016】
また、防火戸51、排煙機52、シャッタ53、およびたれ壁54は、複数の火災感知器のそれぞれの感知結果と連動して動作し、火災、煙等の拡散を防止するために機能する端末設備群に相当する。
【0017】
また、光警報装置61、62、および光警報装置71、72は、あらかじめ設定されたそれぞれの地区において火災の発生を光により報知する複数の装置に相当する。
【0018】
また、例えば、非常口の近傍には、避難口、避難経路、避難器具などの位置を示すための誘導灯81、82が設けられている。なお、誘導灯81、82は、通常は、常時点灯であるが、自動火災報知設備に設けられた火災感知器の作動と連動して点灯し、かつ、利用形態に応じて点灯するように措置されているときは、消灯することができる。図1では、火災受信機10から誘導灯81、82の点灯、消灯を制御できる構成を示している。
【0019】
複数の火災感知器のそれぞれは、個々の火災感知器を識別するためのアドレス情報があらかじめ割り付けられている。そして、複数の火災感知器のそれぞれは、自身に割り付けられたアドレス情報を含めた情報として、火災関連情報を火災受信機10に対して送信することができる。一方、火災受信機10は、アドレス情報を付加して情報伝送を行うことで、所望の火災感知器に対して必要な情報を送信することができる。
【0020】
また、複数の端末設備のそれぞれにも、個々の端末設備を識別するためのアドレス情報があらかじめ割り付けられている。従って、火災受信機10は、アドレス情報を付加して情報伝送を行うことで、所望の端末設備を稼働させる指令を送信することができる。
【0021】
また、複数の光警報装置のそれぞれにも、個々の光警報装置を識別するためのアドレス情報があらかじめ割り付けられている。従って、火災受信機10は、アドレス情報を付加して情報伝送を行うことで、所望の光警報装置を光らせる指令を送信することができる。
【0022】
さらに、複数の誘導灯は、常時点灯ではなく、火災受信機10から点灯、消灯を制御可能な場合には、それぞれの誘導灯にも、個々の誘導灯を識別するためのアドレス情報があらかじめ割り付けられている。従って、火災受信機10は、アドレス情報を付加して情報伝送を行うことで、所望の誘導灯を点灯させる指令を送信することができる。
【0023】
このような構成により、火災受信機10は、あらかじめ決められた種々の火災監視エリアに設置されている複数の火災感知器、およびアドレッサブル発信機20から火災関連情報を収集する。そして、火災受信機10は、収集した火災関連情報に基づいて、火災警報を行い、端末設備群を作動させることができる。
【0024】
さらに、火災受信機10は、収集した火災関連情報に基づいて、警報が必要な地区に設置された光警報装置および誘導灯を点灯動作させることができる。なお、複数の光警報装置および複数の誘導灯のそれぞれは、どの火災感知器の感知結果と連動して動作するかがあらかじめ規定されている。
【0025】
また、図示は省略しているが、火災受信機10は、収集した火災関連情報に基づいて、移報信号を出力し、消火設備を起動して消火作業を開始したり、非常放送装置により火災報知あるいは避難誘導を行ったり、ネットワークを介して上位装置に対して火災関連情報を伝送したりすることができる。
【0026】
このような構成を備えた自動火災報知設備に含まれている光警報装置および誘導灯は、設置環境などによっては、同じスペースに設置される場合もある。そこで、本実施の形態1では、光警報装置が有する光警報機能を誘導灯に持たせ、光警報機能と誘導機能の両方の視認性を確保した上で、省スペース化を実現しており、本実施の形態1に係る誘導灯について、詳細に説明する。
【0027】
図2は、従来の自動火災報知設備において、火災監視エリアに設置された防災設備の一例を示したレイアウト図である。図2では、防災設備として、煙感知器2、熱感知器3、光警報装置4、および誘導灯5が火災監視エリア内に配置され、火災受信機1により制御される状態が示されている。
【0028】
一方、図3は、本開示の実施の形態1に係る自動火災報知設備において、火災監視エリアに設置された防災設備の一例を示したレイアウト図である。図3では、防災設備として、煙感知器2、熱感知器3、光警報装置4、および光警報機能付き誘導灯6が火災監視エリア内に配置され、火災受信機1により制御される状態が示されている。
【0029】
なお、図2および図3に示した煙感知器2および熱感知器3のそれぞれは、図1に示した火災感知器に相当する。また、図3に示した光警報機能付き誘導灯6のそれぞれは、光警報装置4が有する光警報機能と、誘導灯5が有する誘導機能とが一体化された本開示に係る誘導灯6に相当する。
【0030】
図4は、本開示の実施の形態1における図2および図3中に示されたシンボルに関する説明図である。
【0031】
次に、図2のレイアウトと、図3のレイアウトとの比較結果を説明する。図2に示した従来のレイアウトでは、非常口近傍の限られたスペースに、光警報装置4と誘導灯5を個別に配置する必要がある設置環境を例示している。従って、光警報装置4と誘導灯5の視認性を確保するための設置に苦労する状況が発生し得る。
【0032】
これに対して、図3に示した本実施の形態1に係るレイアウトでは、非常口近傍の限られたスペースに、光警報装置4が有する光警報機能と、誘導灯5が有する誘導機能とが一体化された誘導灯6を配置した設置環境を例示している。従って、本実施の形態1に係る誘導灯6を用いることで、光警報機能と誘導機能の両方の視認性を確保するとともに、省スペース化を図ることを実現している。
【0033】
そこで、次に、本実施の形態1に係る誘導灯6の具体的な構成について、図5および図6を用いて詳細に説明する。図5は、本開示の実施の形態1に係る誘導灯6の機能ブロック図である。本実施の形態1に係る誘導灯6は、図5に示すように、表示部6aおよび光警報部6bを備えて構成されている。
【0034】
表示部6aは、避難誘導の表示を行うための表示機能を有している。この表示機能は、従来の誘導灯5が有している表示機能と同等である。また、光警報部6bは、外部信号に応じて光による火災警報を行うための光警報機能を有している。この光警報機能は、従来の光警報装置4が有している光警報機能と同等である。
【0035】
このように、本実施の形態1に係る誘導灯6は、従来の誘導灯5が有している表示機能に加え、従来の光警報装置4が有している光警報機能を兼ね備えている。
【0036】
なお、図5に示した外部信号とは、例えば、火災感知器による検出結果に応じて光警報機能を動作させるために、火災受信機10などのコントローラから光警報部6bに対して出力される制御信号に相当する。
【0037】
表示部6aに関しては、常時点灯を行う場合には、外部信号を供給する必要はないが、火災感知器の作動と連動して点灯させる場合には、外部信号が供給される構成を採用することとなる。
【0038】
また、表示部6aによる表示機能と、光警報部6bによる光警報機能を同期して動作させる場合には、共通の外部信号を用いることができ、両機能を個別に動作させる場合には、個別の外部信号を供給するように構成することができる。
【0039】
また、従来の誘導灯5は、設置基準に基づいて、停電時にも所定の時間にわたって点灯し、夜間の災害時などにおいても適格に避難誘導できるように、内部にバッテリーを有している。そこで、本実施の形態1に係る誘導灯6も、図5では図示を省略しているが、停電時において所定の時間にわたって点灯状態を維持するためのバッテリーを有する構成が採用されている。
【0040】
図6は、本開示の実施の形態1に係る誘導灯6の外観と従来の誘導灯5の外観とを比較した説明図である。図6(A)には、従来の誘導灯5の外観の一例が示されており、図6(B)には、本実施の形態1に係る誘導灯6の外観の一例が示されている。
【0041】
図6(B)に示したように、本実施の形態1に係る誘導灯6では、表示部6aと光警報部6bとが、一体の筐体に組み込まれて構成されている。すなわち、本実施の形態1に係る誘導灯6は、図6(A)に示した従来の誘導灯5が有している表示機能に加え、従来の光警報装置4が有している光警報機能を兼ね備えて構成されている。
【0042】
従って、図6(B)に示した本実施の形態1に係る誘導灯6は、光警報機能と誘導機能の両方の視認性を確保するとともに、省スペース化を図ることのできる構成を実現している。
【0043】
特に、近年では、光警報装置の導入物件が多くなり、設置に対しての質問も増えている状況にある。そのような状況下において、本実施の形態1に係る誘導灯6を採用することで、設置場所の悩みと、視認性の悩みを一度に解決することが可能となる。
【符号の説明】
【0044】
1 火災受信機、2 煙感知器(火災感知器)、3 熱感知器(火災感知器)、4 光警報装置、6 誘導灯(光警報機能付き誘導灯)、6a 表示部、6b 光警報部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6