(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024111365
(43)【公開日】2024-08-19
(54)【発明の名称】看護支援装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G16H 10/00 20180101AFI20240809BHJP
A61G 12/00 20060101ALI20240809BHJP
【FI】
G16H10/00
A61G12/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023015794
(22)【出願日】2023-02-06
(71)【出願人】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 紗佳
【テーマコード(参考)】
4C341
5L099
【Fターム(参考)】
4C341JJ01
4C341LL30
4C341MM20
5L099AA00
(57)【要約】
【課題】ユーザが看護業務における医学的視点と利用者視点との関係を容易に把握できるように支援すること。
【解決手段】実施形態に係る看護支援装置は、第1取得部と、第1算出部と、第2取得部と、第2算出部と、表示制御部とを備える。第1取得部は、患者の身体活動を記録した活動情報及び患者の看護に関する情報を評価することで得られた評価情報を含む第1患者情報を取得する。第1算出部は、第1患者情報に基づいて、患者が日常生活で行う行動の自由度を表す生活自由度を算出する。第2取得部は、患者の病状に関する情報を含む第2患者情報を取得する。第2算出部は、第2患者情報と、生活自由度とに基づいて、患者の生命維持に関するリスクの程度を定量的に表す生命維持リスク値を算出する。表示制御部は、生活自由度と生命維持リスク値との関係を表示装置に表示させる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の身体活動を記録した活動情報及び前記患者の状態を評価することで得られた評価情報を含む第1患者情報を取得する第1取得部と、
前記第1患者情報に基づいて、前記患者が日常生活で行う行動の自由度を表す生活自由度を算出する第1算出部と、
前記患者の病状に関する情報を含む第2患者情報を取得する第2取得部と、
前記第2患者情報と、前記生活自由度とに基づいて、前記患者の生命維持に関するリスクの程度を定量的に表す生命維持リスク値を算出する第2算出部と、
前記生活自由度と前記生命維持リスク値との関係を表示装置に表示させる表示制御部と、
を備える看護支援装置。
【請求項2】
前記第1取得部は、前記患者の現在の状態を示す前記第1患者情報を取得し、
前記第2取得部は、前記患者の現在の状態を示す前記第2患者情報を取得する、
請求項1に記載の看護支援装置。
【請求項3】
前記第1取得部は、前記患者が目標とする生活の質に関する情報を更に含む前記第1患者情報を取得し、
前記第1算出部は、前記第1患者情報に基づいて、前記患者が目標とする目標生活自由度を更に算出し、
前記第2算出部は、前記第2患者情報と、前記目標生活自由度とに基づいて、前記目標生活自由度における前記生命維持リスク値を更に算出し、
前記表示制御部は、前記目標生活自由度と、目標生活自由度に対応する前記生命維持リスク値との関係を前記表示装置に表示させる、
請求項1に記載の看護支援装置。
【請求項4】
前記表示制御部は、前記生活自由度と当該生活自由度に対応する前記生命維持リスク値との相関関係を表すグラフを表示させる、
請求項2に記載の看護支援装置。
【請求項5】
前記表示制御部は、前記生活自由度と前記生命維持リスク値との関係を四象限グラフで表示させる、
請求項1に記載の看護支援装置。
【請求項6】
前記生命維持リスク値と生活自由度とに基づいて、看護介入時の注目点を表す看護注目点を生成する生成部を更に備え、
前記表示制御部は、前記看護注目点を前記表示装置に表示させる、
請求項1に記載の看護支援装置。
【請求項7】
前記患者の看護計画を取得する第3取得部と、
前記第1算出部は、前記看護計画に基づいて、前記看護計画における前記生活自由度を算出し、
前記第2算出部は、前記第2患者情報と、患者の前記看護計画における計画生活自由度とに基づいて、前記看護計画の実行により予測される計画生命維持リスク値を算出し、
前記表示制御部は、前記計画生活自由度と前記計画生命維持リスク値との関係を前記表示装置に表示させる、
請求項1乃至6の何れか1項に記載の看護支援装置。
【請求項8】
前記生活自由度及び前記生命維持リスク値は、食事、入浴、外出、睡眠、及びトイレの何れか一つを少なくとも含む行動の種別毎に算出される、
請求項7に記載の看護支援装置。
【請求項9】
看護支援装置のコンピュータに、
患者の身体活動を記録した活動情報及び前記患者の看護に関する情報を評価することで得られた評価情報を含む第1患者情報を取得する第1取得ステップと、
前記第1患者情報に基づいて、前記患者が日常生活で行う行動の自由度を表す生活自由度を算出する第1算出ステップと、
前記 患者の病状に関する情報を含む第2患者情報を取得する第2取得ステップと、
前記第2患者情報と、前記生活自由度とに基づいて、前記患者の生命維持に関するリスクの程度を定量的に表す生命維持リスク値を算出する第2算出ステップと、
前記生活自由度と前記生命維持リスク値との関係を表示装置に表示させる表示制御ステップと、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、看護支援装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、在宅で医療サービスを受ける患者が増えてきており、看護師が患者の住居に訪問して、患者の病気や障害に応じた看護を行う訪問看護の重要性が高まっている。従来、訪問看護を支援する技術として、例えば、看護内容の迅速かつ適切な決定を可能とし、在宅患者に対しては適切な内容の看護を十分に実施することができるように訪問看護業務を支援する技術が提案されている。
【0003】
ところで、訪問看護師が在宅患者の訪問看護を実施するにあたっては、例えば、治療や医療ケアを優先させ過ぎて、患者が強くストレスを感じるような生活をさせてしまうようなことは好ましくない。一方で、例えば、患者の希望を全て叶えることで患者の病状を悪化させてしまうようなこともまた好ましくない。
【0004】
したがって、訪問看護師には、医学的視点と利用者(訪問看護サービスを利用する患者)視点とのバランスを把握した上で看護を実施することが求められている。しかしながら、従来の訪問看護を支援する技術では、患者の現状における医学的視点と利用者視点とのバランスを把握することは容易ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、ユーザが看護業務における医学的視点と利用者視点との関係を容易に把握できるように支援することである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態に係る看護支援装置は、第1取得部と、第1算出部と、第2取得部と、第2算出部と、表示制御部とを備える。第1取得部は、患者の身体活動を記録した活動情報及び患者の看護に関する情報を評価することで得られた評価情報を含む第1患者情報を取得する。第1算出部は、第1患者情報に基づいて、患者が日常生活で行う行動の自由度を表す生活自由度を算出する。第2取得部は、患者の病状に関する情報を含む第2患者情報を取得する。第2算出部は、第2患者情報と、生活自由度とに基づいて、患者の生命維持に関するリスクの程度を表す生命維持リスク値を算出する。表示制御部は、生活自由度と生命維持リスク値との関係を表示装置に表示させる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係る看護支援システムの構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る看護支援装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る生活自由度情報のデータ構成の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る制限事項特定テーブルのデータ構成の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る看護注目点特定テーブルのデータ構成の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る現状の生活自由度と生命維持リスク値との関係を表示する表示画面の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係る現状のハイライト分類を表示する表示画面の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係る現状の看護注目点を表示する表示画面の一例を示す図である。
【
図9】
図9は、実施形態に係る現状の看護注目点を表示する表示画面の一例を示す図である。
【
図10】
図10は、実施形態に係る看護支援装置が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【
図11】
図11は、変形例1に係る看護計画の生活自由度と生命維持リスク値との関係を表示する表示画面の一例を示す図である。
【
図12】
図12は、変形例1に係る看護計画のハイライト分類を表示する表示画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、看護支援装置及びプログラムの実施形態について詳細に説明する。
【0010】
図1は、第1の実施形態に係る看護支援システムSの構成の一例を示す図である。
図1に示すように、看護支援システムSは、看護支援装置100、医用情報記憶装置200、看護記録保管装置201、及び電子カルテシステム202を有する。これらの構成は、例えば、院内LAN(Local Area Network)又はインターネット等のネットワークNを介して通信可能に接続している。
【0011】
本実施形態の看護支援装置100は、訪問看護師による看護行為を支援する情報処理装置である。看護支援装置100は、例えばサーバ装置やPC(Personal Computer)等によって実現される。看護支援装置100の機能の詳細は後述する。なお、訪問看護師は、本実施形態における看護支援装置100のユーザの一例である。
【0012】
なお、本実施形態において看護行為とは、患者の食事、入浴、外出、睡眠、及びトイレの支援等の看護に関する行為全般を含むものとする。
【0013】
また、本実施形態において患者情報は看護行為の対象の患者に関する情報であり、例えば、患者の属性情報、電子カルテ、看護記録、又はPHR(Personal Health Record)等を含む。患者の属性情報とは、例えば患者の性別、年齢、身長、体重等の情報である。
【0014】
医用情報記憶装置200は、例えば、PHR20a等を記憶する。PHR20aは、例えば、個人の医療に関する情報を記憶する。PHR20aは、患者の心拍、心電図、血圧等をモニタリングするヘルスモニタリングデバイス等で収集された情報を含んでいてもよい。
【0015】
患者の心拍、心電図、血圧等は、患者の身体活動を表しており、活動情報の一例である。以下、患者の心拍、心電図、血圧等のデータを患者の身体活動の情報ともいう。この場合、医用情報記憶装置200は、ネットワークNを介して通信可能に接続されたヘルスモニタリングデバイス等からデータを受信し、当該データをPHR20aに記憶してもよい。
【0016】
看護記録保管装置201は、患者の看護に関する看護記録を保管する装置である。例えば、看護記録には、アセスメントで得られた情報が含まれる。アセスメントとは、患者の状態を分析及び評価することである。アセスメントは、例えば、看護計画を作成するために行われる。アセスメントで得られた情報は、評価情報の一例である。また、アセスメントで得られた情報は、第1患者情報の一例でもある。
【0017】
アセスメントで得られた情報としては、例えば、患者を問診することで得られた患者の体調に関する情報(例えば、頭痛がする、胸痛がする、腹痛がする、眩暈がする、食欲がない等)等の主観的情報や患者の既往歴、家族歴、各種検査の検査結果データ等の客観的情報である。
【0018】
また、電子カルテシステム202は、電子カルテを保管する装置である。
【0019】
医用情報記憶装置200、看護記録保管装置201、及び電子カルテシステム202は、ハードウェア的には、例えば、サーバ装置等のコンピュータである。なお、これらの装置の一部が統合されても良い。例えば、
図1に示す複数の装置の機能がHIS(Hospital Information System)として統合されても良い。
【0020】
また、ユーザ端末203は、看護支援装置100に対して情報を入力したり、看護支援装置100から出力される情報を表示したりする装置である。ユーザ端末203は表示装置の一例である。ユーザ端末203は、例えばスマートフォン、タブレット端末、及びラップトップPC等によって実現される。
【0021】
なお、
図1に示す構成は一例であり、看護支援システムSは、さらに他の構成を含んでも良いし、
図1に示す構成の一部を備えなくとも良い。例えば、看護支援システムSは、薬剤部門システム等を含んでも良い。
【0022】
次に、看護支援装置100の機能について説明する。
図2は、第1の実施形態に係る看護支援装置100の構成の一例を示す図である。
【0023】
看護支援装置100は、NW(ネットワーク)インタフェース110と、メモリ120と、入力インタフェース130と、ディスプレイ140と、処理回路150とを備える。
【0024】
NWインタフェース110は、処理回路150に接続されており、看護支援装置100と、他の情報処理装置との間の各種データの伝送及び通信を制御する。NWインタフェース110は、ネットワークカードやネットワークアダプタ、NIC(Network Interface Controller)等によって実現される。
【0025】
メモリ120は、処理回路150で使用される各種の情報を予め記憶する。例えば、本実施形態のメモリ120は、生活自由度情報121、制限事項特定情報122、及び看護注目点特定情報123を記憶する。
【0026】
生活自由度情報121は、生活自由度を規定する情報である。生活自由度は、患者が日常生活で行う行動の自由度を表す情報である。生活自由度は、例えば、患者がどの程度自由に生活できるのかを食事、入浴、外出、睡眠、及びトイレ等の行動の種別毎に数値で表した情報である。なお、行動の種別としては、食事、入浴、外出、睡眠、及びトイレの少なくとも1つが含まれていればよく、これらの全ての要素が含まれていなくてもよい。また、行動の種別にこれら以外の要素が含まれていてもよい。
【0027】
ここで、
図3は、生活自由度情報121のデータ構成の一例を示す図である。
図3は、生活自由度情報121に含まれる患者の食事に関する生活自由度を規定した情報の一例である。
図3の生活自由度情報121は、生活自由度と食事に関する制限とを対応付けたデータテーブルである。なお、図示しないが、生活自由度情報121には、外出、睡眠、及びトイレ等の他の行動の種別についても、同様のデータが格納されているものとする。
【0028】
例えば、
図3の生活自由度情報121の1行目のデータは、生活自由度「1」は、「塩分・水分の厳密な管理下での食事(流動食のみ)」という状態であることを表している。なお、
図3の生活自由度情報121では、生活自由度が上昇するほど、患者の自由に生活できる程度が上昇するように、生活自由度が規定されている。例えば、処理回路150は、PHR20aから患者の生活に関する情報を取得することで、当該患者の生活自由度を把握することができる。
【0029】
制限事項特定情報122は、患者の病状によって生じる生活の制限事項を規定する情報である。制限事項は、病気が悪化するのを防ぐための生活上の制限を、入浴、外出、睡眠、及びトイレ等の行動の種別毎に表した情報である。制限事項は、病状によって異なるため、病状毎に規定される。病状は、病気の状態(進行度等)を表す状態である。
【0030】
ここで、
図4は、制限事項特定情報122のデータ構成の一例を示す図である。
図4は、制限事項特定情報122に含まれる患者の食事に関する制限事項を規定した情報の一例である。
図4の制限事項特定情報122は、病状と食事に関する制限とを対応付けたデータテーブルである。なお、図示しないが、制限事項特定情報122には、外出、睡眠、及びトイレ等の他の行動の種別についても、同様のデータが格納されているものとする。
【0031】
例えば、
図4の制限事項特定情報122の1行目のデータは、患者の病状が「腎臓病のステージG1・G2」の場合、食事の自由は、「生活自由度5」の状態に制限されることを表している。なお、
図4の制限事項特定情報122の生活自由度は、
図3の生活自由度情報121上の生活自由度を表している。
【0032】
看護注目点特定情報123は、看護注目点を規定する情報である。看護注目点は、患者の生命維持リスク及び生活自由度の状態における看護介入時の注目点を、食事、入浴、外出、睡眠、及びトイレ等の行動の種別毎に規定した情報である。
【0033】
ここで、
図5は、看護注目点特定情報123のデータ構成の一例を示す図である。
図5は、看護注目点特定情報123に含まれる患者の食事に関する看護注目点を規定した情報の一例である。
図5の看護注目点特定情報123は、病状と、生命維持リスク値と、生活自由度と、状態と、リスク・問題点と、看護注目点とを対応付けたデータテーブルである。なお、図示しないが、看護注目点特定情報123には、外出、睡眠、及びトイレ等の他の行動の種別についても、同様のデータが格納されているものとする。
【0034】
生命維持リスク値は、患者の生命の維持に関する危険の度合いを数値で表したものである。また、状態は、現在の患者の状態に関するコメントである。また、リスク・問題点は、現在の患者のリスク・問題点に関するコメントである。また、看護注目点は、現在の患者の看護注目点に関するコメントである。
【0035】
例えば、
図5の看護注目点特定情報123の1行目のデータは、患者の食事に関して、病状が「重症心疾患」、生命維持リスク値が「8」、生活自由度が「4」、現在の状態に関するコメントが「嚥下機能の低下が認められました。」、現在のリスク・問題点に関するコメントが「誤嚥性肺炎および食事量の低下による虚弱のリスクが高まっています。」、現在の看護注目点に関するコメントが「嚥下機能および口腔状態を注意して観察します。・・・」であることを表している。
【0036】
図2に戻り、説明を続ける。メモリ120は、上記に加えて各種のプログラムを記憶する。メモリ120は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、光ディスク、HDD(Hard disk Drive)、又はSSD(Solid State Drive)等により実現される。なお、メモリ120は、看護支援装置100内にあってもよいし、例えばネットワークNを介して看護支援装置100に接続された外部記憶装置内にあってもよい。
【0037】
入力インタフェース130は、トラックボール、スイッチボタン、マウス、キーボード、操作面へ触れることで入力操作を行うタッチパッド、表示画面とタッチパッドとが一体化されたタッチスクリーン、光学センサを用いた非接触入力回路、及び音声入力回路等によって実現される。
【0038】
入力インタフェース130は、処理回路150に接続されており、操作者から受け取った入力操作を電気信号へ変換し処理回路150へと出力する。なお、本明細書において入力インタフェース130はマウス、キーボードなどの物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、看護支援装置100とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を処理回路150へ出力する電気信号の処理回路も入力インタフェース130の例に含まれる。
【0039】
ディスプレイ140は、液晶ディスプレイや有機EL(Organic Electro-Luminescence:OEL)ディスプレイ等のドットマトリクス型の電子ディスプレイである。ディスプレイ140は、表示装置の一例である。なお、入力インタフェース130とディスプレイ140とは統合しても良い。
【0040】
例えば、入力インタフェース130とディスプレイ140とは、タッチパネルによって実現されても良い。ディスプレイ140は、本実施形態における表示部の一例である。なお、ディスプレイ140は、看護支援装置100とは別に、例えばネットワークNを介して看護支援装置100に接続されて設けられても良い。
【0041】
処理回路150は、メモリ120からプログラムを読み出し、実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。本実施形態の処理回路150は、第1取得機能151、第2取得機能152、第3取得機能153、第1算出機能154、第4取得機能155、第2算出機能156、第1生成機能157、第2生成機能158及び表示制御機能159を備える。
【0042】
第1取得機能151、第2取得機能152及び第3取得機能153は、第1取得部の一例である。また、第1算出機能154は、第1算出部の一例である。また、第4取得機能155は、第2取得部の一例である。また、第2算出機能156は、第2算出部の一例である。また、第2生成機能158は、生成部の一例である。また、第1生成機能157及び表示制御機能159は、表示制御部の一例である。
【0043】
ここで、例えば、処理回路150の構成要素である第1取得機能151、第2取得機能152、第3取得機能153、第1算出機能154、第4取得機能155、第2算出機能156、第1生成機能157、第2生成機能158及び表示制御機能159の各処理機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態でメモリ120に記憶されている。処理回路150は、プロセッサである。
【0044】
例えば、処理回路150は、プログラムをメモリ120から読み出し、実行することで各プログラムに対応する機能を実現する。換言すると、各プログラムを読み出した状態の処理回路150は、
図2の処理回路150内に示された各機能を有することとなる。
【0045】
なお、
図2においては単一のプロセッサにて第1取得機能151、第2取得機能152、第3取得機能153、第1算出機能154、第4取得機能155、第2算出機能156、第1生成機能157、第2生成機能158及び表示制御機能159にて行われる処理機能が実現されるものとして説明したが、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路150を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより機能を実現するものとしても構わない。
【0046】
また、
図2においては単一のメモリ120が各処理機能に対応するプログラムを記憶するものとして説明したが、複数のメモリを分散して配置して、処理回路150は個別のメモリから対応するプログラムを読み出す構成としても構わない。
【0047】
上記説明では、「プロセッサ」が各機能に対応するプログラムをメモリから読み出して実行する例を説明したが、実施形態はこれに限定されない。「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。
【0048】
プロセッサが例えばCPUである場合、プロセッサはメモリ120に保存されたプログラムを読み出して実行することで機能を実現する。一方、プロセッサがASICである場合、メモリ120にプログラムを保存する代わりに、当該機能がプロセッサの回路内に論理回路として直接組み込まれる。
【0049】
なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。さらに、
図2における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしても良い。
【0050】
本実施形態の看護支援装置100は、生命維持リスクと生活自由度との関係を表す情報をユーザに提示する機能と、現状の生命維持リスクと生活自由度における看護介入時の看護注目点を提示する機能とを備える。以下に、看護支援装置100が備える個々の機能の詳細を説明する。
【0051】
第1取得機能151は、患者の状態を評価することで得られた評価情報を取得する。例えば、第1取得機能151は、NWインタフェース110を介して、看護記録保管装置201に記憶された看護記録から、アセスメントで得られた情報を取得する。
【0052】
また、第1取得機能151は、NWインタフェース110を介して、ユーザ端末203からアセスメントの入力を受付け、入力内容に基づいて、患者の現在の評価情報を取得してもよい。
【0053】
第2取得機能152は、患者の身体活動を記録した活動情報を取得する。例えば、第2取得機能152は、NWインタフェース110を介して、医用情報記憶装置200のPHR20aから、現在の患者の身体活動の情報を取得する。
【0054】
第3取得機能153は、患者が目標とする生活の質に関する目標情報を取得する。目標情報は、例えば、生活自由度情報121に生活自由度と対応付けて格納されている文章として電子カルテに記録される。
【0055】
一例として、
図3の生活自由度に基づいて、生活の質に関する目標が設定されている場合、電子カルテには、「食事の目標:塩分管理されているが献立には自由度がある」のように目標情報が記録される。なお、電子カルテには、「食事の目標:生活自由度5」のように目標情報が記録されていてもよい。
【0056】
例えば、第3取得機能153は、NWインタフェース110を介して、電子カルテシステム202に記憶された電子カルテから患者の目標情報を取得する。
【0057】
第1算出機能154は、患者の活動情報と、評価情報とに基づいて、患者の生活自由度を算出する。例えば、第1算出機能154は、メモリ120に記憶された生活自由度情報121と、第1取得機能151で取得されたアセスメントで得られた、現在の患者の状態に関する情報とに基づいて、現在の患者の生活自由度を算出する。一例として、「食事」の生活自由度を算出する場合、第1算出機能154は、アセスメントで得られた情報を用いて生活自由度を算出する。
【0058】
ここで、本実施形態では、アセスメントで得られた情報が含まれる看護記録には、生活自由度情報121に格納された患者の生活自由度に対応する文章が記録されているものとする。これにより、第1算出機能154は、生活自由度情報121を参照することで、看護記録の文章に対応する生活自由度を現在の患者の生活自由度として特定(算出)することができる。
【0059】
なお、第1算出機能154は、公知の自然言語処理技術を用いて、ユーザが看護記録に自由に記載した文章から生活自由度に関する単語を抽出し、生活自由度情報121を参照することで、現在の患者の生活自由度を特定してもよい。
【0060】
また、例えば、第1算出機能154は、メモリ120に記憶された生活自由度情報121と、第2取得機能152で取得された現在の患者の身体活動の情報とに基づいて、現在の患者の生活自由度を算出する。一例として、「外出」の生活自由度を算出する場合、第1算出機能154は、患者の身体活動の情報を用いて生活自由度を算出する。
【0061】
ここで、本実施形態では、PHR20aに含まれる患者の身体活動の情報は、生活自由度情報121に格納された患者の生活自由度に対応する文章を含むものとする。これにより、第1算出機能154は、アセスメントで得られた情報の場合と同様の処理で、現在の患者の生活自由度を算出することができる。
【0062】
なお、第1算出機能154は、アセスメントで得られた情報と患者の身体活動の情報との両方を用いて生活自由度を算出してもよい。
【0063】
また、例えば、第1算出機能154は、メモリ120に記憶された生活自由度情報121と、第3取得機能153で電子カルテから取得された患者の目標情報とに基づいて、患者が目標とする生活自由度(以下、目標生活自由度ともいう)を算出する。
【0064】
上述のように、本実施形態では、電子カルテには、目標情報として、生活自由度情報121に格納された患者の生活自由度に対応する文章が記録されている。これにより、第1算出機能154は、生活自由度情報121を参照することで、電子カルテの文章に対応する生活自由度を、現在の患者の目標生活自由度として算出することができる。
【0065】
なお、第1算出機能154は、公知の自然言語処理技術を用いて、医師が電子カルテに患者の目標情報として自由に記載した文章から生活自由度に関する単語を抽出し、生活自由度情報121を参照することで、患者の目標生活自由度を算出してもよい。
【0066】
第4取得機能155は、患者の病状に関する情報を取得する。例えば、第4取得機能155は、NWインタフェース110を介して、電子カルテシステム202に記憶された電子カルテから患者の病状に関する情報を取得する。患者の病状に関する情報は、第2患者情報の一例である。
【0067】
第2算出機能156は、病状に関する情報と、第1算出機能154が算出した生活自由度とに基づいて、患者の生命維持に関するリスクの程度を定量的に表す生命維持リスク値を算出する。例えば、第2算出機能156は、メモリ120に記憶された制限事項特定情報122と、第4取得機能155で取得された患者の病状に関する情報とに基づいて、患者の現在の病状における生命維持リスク値を、生活自由度情報121に格納された生活自由度毎に算出する。
【0068】
一例として、第2算出機能156は、特定した制限事項から、患者の現在の病状で各生活自由度に規定された生活を送った場合の生命維持リスク値を、生活自由度毎に算出する。
【0069】
第1生成機能157は、患者の生活自由度と生命維持リスク値をとの関係を表す表示画面を生成する。例えば、第1生成機能157は、現在の生活自由度と目標生活自由度との関係、及び患者の現在の病状における生活自由度毎の生命維持リスク値を表示させる表示画面を生成する。また、例えば、第1生成機能157は、生活自由度と当該生活自由度に対応する生命維持リスク値との相関関係を表すグラフを表示する表示画面を生成する。
【0070】
ここで、
図6は、現状の生活自由度と生命維持リスク値との関係を表示する表示画面の一例を示す図である。表示画面203aは、現在の生活自由度と目標生活自由度との関係、及び患者の現在の病状における生活自由度毎の生命維持リスク値を表示させる画面である。
【0071】
表示画面203aは、画面構成として、項目表示欄I1乃至I5、スライダバーB1乃至B5、スライダSL1乃至SL5、ガイド表示欄G、及び目盛表示欄SCを有する。
【0072】
項目表示欄I1乃至I5は、看護行為に関わる行動の種別を表示する表示欄である。項目表示欄I1は食事、I2は入浴、I3は外出、I4は睡眠、I5はトイレを夫々表している。また、生命維持リスク値が高くなっている行動の種別に関しては、他の行動の種別とは区別(例えば、赤字にする等)して表示される。
図6の例では、「食事」及び「外出」の生命維持リスク値が高くなっていることを表している。
【0073】
スライダバーB1乃至B5は、項目表示欄I1乃至I5の夫々に対応する、患者の現在の病状における生命維持リスク値を表示する。
図6の例では、スライダバーB1は、現在の患者の病状における生活自由度毎の食事の生命維持リスク値を、同様に、B2は入浴の生命維持リスク値、B3は外出の生命維持リスク値、B4は睡眠の生命維持リスク値、B5はトイレの生命維持リスク値を表している。
【0074】
また、
図6の例では、生活自由度と当該生活自由度に対応する生命維持リスク値との相関関係を表すグラフとして、各生活自由度に対応する生命維持リスク値をグラデーション表示している。生活自由度が上がれば上がるほど生命維持リスク値は上昇するが、上昇の程度は、行動の種別によって異なるため、グラデーションのパターンは、行動の種別毎に異なるものになる。
【0075】
また、患者の病状によってもグラデーションのパターンは変化する。一例として
図6では、食事は、生活自由度を低くしたとしても生命維持リスク値が高くなり易く、睡眠は、生活自由度を高くしても生命維持リスク値が高くなり難いことを表している。
【0076】
なお、生活自由度と当該生活自由度に対応する生命維持リスク値との相関関係の表示方法は上記のグラデーションパターンに限定されない。例えば、相関関係の表示方法は、生活自由度を横軸に、生命維持リスク値を縦軸に設定したグラフ等を用いるものであってもよい。
【0077】
スライダSL1乃至SL5は、項目表示欄I1乃至I5の夫々に対応する、患者の現在の生活自由度を表示する。
図6の例では、スライダSL1は、現在の食事の生活自由度を、同様に、SL2は入浴の生活自由度、SL3は外出の生活自由度、SL4は睡眠の生活自由度、SL5はトイレの生活自由度を表している。また、
図6の例では、スライダSL1乃至SL5の外観は、後述するハイライト分類に応じて変化する。
【0078】
ガイド表示欄Gは、表示画面上で生活自由度がどのように表されるかを示した表示欄である。
図6の例では、項目表示欄I1乃至I5の位置から遠ざかる程、生活自由度が高くなることを表している。なお、以下の同様の図では、ガイド表示欄Gの図示を省略する場合がある。
【0079】
目盛表示欄SCは、スライダSL1の位置の変化と生活自由度の変化との関係を表す表示欄である。また、
図6の例では、目盛表示欄SCは、現在の生活自由と目標生活自由度との関係を表示する。一例として、目盛表示欄SCは、目標の生活自由度が中央に配置され、目標の生活自由度の大きさに合わせて一目盛の大きさを調整した目盛を表示する。
【0080】
なお、一目盛の大きさは、行動の種別毎に異なっていてもよい。この場合、ユーザから行動の種別の選択を受付け(例えば、カーソルを合わせる等)、選択に応じて、目盛表示欄SCの目盛の表示を変化させてもよい。また、目盛は等間隔でなくてもよい。例えば、目標より低い側の領域と、目標より高い側の領域とで目盛の間隔が異なっていてもよい。
【0081】
本実施形態の表示画面203aでは、生命維持リスク値をスライダバーのグラデーションパターンで表示するが、生命維持リスク値を数値として表示してもよい。また、本実施形態の表示画面203aでは、生活自由度と生命維持リスク値との関係を一画面で表示するが、夫々を別々に表示してもよい。
【0082】
また、第1生成機能157は、生命維持リスクと生活自由度との関係を四象限グラフで表したハイライト分類を表示する表示画面を生成する。
【0083】
ここで、
図7は、ハイライト分類の表示画面の一例を示す図である。表示画面203bは、生命維持リスク値と生活自由度との関係を四象限グラフで表したハイライト分類を表示する表示画面である。
【0084】
表示画面203bは、画面構成として、見出表示欄H、分類表示欄C1、及び説明表示欄Eを有する。
【0085】
見出表示欄Hは、表示画面203bを表す「ハイライト分類」を表示する表示欄である。なお、以下の同様の図では、見出表示欄Hの図示を省略する場合がある。
【0086】
分類表示欄C1は、現在の生活自由度と生命維持リスク値との関係を分類するための四象限グラフであるハイライト分類を表示する欄である。
図7の例では、ハイライト分類は、横軸に生活自由度、縦軸に生命維持リスク値を取った四象限グラフである。
【0087】
また、
図7のハイライト分類は、生活自由度が低く、生命維持リスク値が高い領域を「観察計画O-P(Observation Plan)強化領域」、生活自由度及び生命維持リスク値の両方が高い領域を「援助計画T-P(Treatment Plan)強化領域」、生活自由度及び生命維持リスク値の両方が低い領域を「教育計画E-P(Education Plan)強化領域」、生活自由度が高く、生命維持リスク値が低い領域を「良好領域」として分類する。
【0088】
また、
図7の例では、ハイライト分類の各象限には、ユーザに対する提案内容の簡単な説明が表示される。一例として
図7では、O-P強化領域は「特に高リスクは医師に連絡」、E-P強化領域は「行動変容の必要性指導」、T-P強化領域は「ケア実施で状態改善」を夫々ユーザに対して提案することを表している。
【0089】
また、ハイライト分類の各象限の背景は、夫々異なるグラデーションパターンで表現されている。ハイライト分類の各象限内の色は、スライダSL1乃至SL5の色に対応している。本実施形態では、表示画面203aと203bとを同時表示し、スライダの色から分類が大まかに把握できるようにしている。なお、ハイライト分類の分類名を表示画面203aに直接表示してもよい。
【0090】
説明表示欄Eは、分類表示欄C1に関する説明を表示する欄である。
図7の例では、説明として、各計画(plan)の内容の一例を表示している。
図7の例では、O-Pの内容の一例が「観察事項のリストの見直し」、T-Pの内容の一例が「手で実施するケア」、E-Pの内容の一例が「患者さんや家族へ説明すること」であることを表している。なお、以下の同様の図では、説明表示欄Eの図示を省略する場合がある。
【0091】
なお、本実施形態では、表示画面203aと203bとを同時表示するものとするが、夫々を別々に表示してもよい。また、表示画面203bの四象限グラフ上に患者の現在の生活自由度と生命維持リスクとを表す点をプロットして表示してもよい。
【0092】
図2に戻り、説明を続ける。第2生成機能158は、生活自由度と生命維持リスク値とに基づいて、看護介入時の注目点を表す看護注目点表示画面を生成する。
【0093】
例えば、第2生成機能158は、看護注目点特定情報123を参照し、第1算出機能154で算出した患者の現在の生活自由度と、第2算出機能156で算出された生命維持リスク値とに対応する、状態、リスク・問題点、及び看護注目点を特定する。そして、第2生成機能158は、特定した、状態、リスク・問題点、及び看護注目点を夫々表示する表示画面を生成する。
【0094】
ここで、
図8及び
図9は、現状の看護注目点を表示する表示画面の一例を示す図である。
図8の例では、表示画面203a上に看護注目点FO1がポップアップ表示されている。看護注目点FO1は、患者の現在の生活自由度と生命維持リスクとにおける、食事に関する看護注目点を表している。看護注目点FO1は、例えば、ユーザがマウス等でカーソルCSを食事のスライダSL1に合わせた場合に表示される。
【0095】
また、
図9の例では、表示画面203a上に看護注目点FO2がポップアップ表示されている。看護注目点FO2は、患者の現在の生活自由度と生命維持リスクとにおける、外出に関する看護注目点を表している。看護注目点FO1は、例えば、ユーザがマウス等でカーソルCSを食事のスライダSL3に合わせた場合に表示される。
【0096】
なお、表示画面203aは、複数の行動の種別を同時選択できるようにして、一画面に複数の看護注目点を表示できるように構成されていてもよい。
【0097】
図2に戻り、説明を続ける。表示制御機能159は、生活自由度と生命維持リスク値との関係を表す表示を表示装置に表示させる。例えば、表示制御機能159は、NWインタフェース110を介して、第1生成機能157及び第2生成機能158で生成された表示画面をユーザ端末203のディスプレイに表示させる制御を行う。なお、表示制御機能159は、ディスプレイ140に生成された表示画面を表示させてもよい。
【0098】
次に、看護支援装置100が実行する処理について説明する。
図10は、看護支援装置100が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【0099】
まず、第1取得機能151は、患者の評価情報を取得する(ステップS101)。例えば、第1取得機能151は、NWインタフェース110を介して、看護記録保管装置201の看護記録からアセスメントで得られた情報を取得する。
【0100】
次いで、第2取得機能152は、患者の活動情報を取得する(ステップS102)。例えば、第2取得機能152は、NWインタフェース110を介して、医用情報記憶装置200のPHR20aから患者の身体活動の情報を取得する。
【0101】
次いで、第1算出機能154は、患者の現状の生活自由度を算出する(ステップS103)。例えば、第1算出機能154は、メモリ120に記憶された生活自由度情報121と、ステップS101で取得したアセスメントで得られた情報又はステップS102で取得した患者の身体活動の情報とに基づいて、行動の種別毎に患者の現状の生活自由度を算出する。
【0102】
次いで、第3取得機能153は、患者の目標情報を取得する(ステップS104)。例えば、第3取得機能153は、NWインタフェース110を介して、電子カルテシステム202の電子カルテから患者の目標情報を取得する。
【0103】
次いで、第1算出機能154は、患者の目標生活自由度を算出する(ステップS105)。例えば、第1算出機能154は、メモリ120に記憶された生活自由度情報121と、ステップS104で取得した患者の目標情報とに基づいて、行動の種別毎に患者の目標の生活自由度を算出する。
【0104】
次いで、第4取得機能155は、患者の現在の病状に関する情報を取得する(ステップS106)。例えば、第3取得機能153は、NWインタフェース110を介して、電子カルテシステム202の電子カルテから患者の現在の病状に関する情報を取得する。
【0105】
次いで、第2算出機能156は、患者の現在の病状における生活の制限事項を特定する(ステップS107)。例えば、第2算出機能156は、メモリ120に記憶された制限事項特定情報122と、ステップS106で取得した患者の現在の病状に関する情報とに基づいて、患者の現在の病状における生活の制限事項を特定する。
【0106】
次いで、第2算出機能156は、患者の現在の病状における生命維持リスク値を、生活自由度毎に算出する(ステップS108)。例えば、第2算出機能156は、ステップS107で特定した制限事項から、患者の現在の病状で各生活自由度に規定された生活を送った場合の生命維持リスク値を、生活自由度毎に算出する。
【0107】
次いで、表示制御機能159は、生活自由度と生命維持リスク値との関係を表示装置に表示させる制御を行う(ステップS109)。例えば、第1生成機能157は、上述の表示画面203a及び203bを生成する。また、表示制御機能159は、NWインタフェース110を介して、ユーザ端末203のディスプレイに生成された表示画面203a及び203bを表示させる。
【0108】
次いで、第2生成機能158は、ユーザから看護注目点の表示指示を受付けたか否かを判定する(ステップS110)。例えば、表示制御機能159は、ユーザが
図8及び
図9のカーソルCSをスライダSL1乃至SL5の何れかの上に移動させた場合に、看護注目点の表示指示を受付けたと判定する。表示指示を受付けていない場合(ステップS110:No)、ステップS110の処理を繰り返す。
【0109】
一方、表示指示を受付けた場合(ステップS110:Yes)、第2生成機能158は、看護注目点の表示画面を生成する(ステップS111)。
【0110】
例えば、第2生成機能158は、メモリ120の看護注目点特定情報123を参照し、ステップS105で算出した患者の現在の生活自由度と、ステップS108で算出した現状の生活自由度における生命維持リスク値とに対応する看護注目点を特定する。そして、第2生成機能158は、上述の看護注目点FO1、FO2のような表示を生成する。
【0111】
次いで、表示制御機能159は、看護注目点を表示装置に表示させ(ステップS112)、本処理を終了する。例えば、表示制御機能159は、ユーザ端末203のディスプレイに表示された上述の表示画面203a及び203b上に、上述の看護注目点FO1又はFO2を表示させる制御を行う。
【0112】
以上のように、本実施形態に係る看護支援装置100は、患者の身体活動の情報、アセスメントで得られた情報を取得し、患者の身体活動の情報と、アセスメントで得られた情報とに基づいて、患者の生活自由度を算出し、患者の病状に関する情報を取得し、病状に関する情報と、生活自由度とに基づいて、患者の生命維持に関わる生命維持リスクを算出し、生活自由度と、生命維持リスク値との関係をユーザ端末203のディスプレイに表示させる。
【0113】
これにより、ユーザは、患者の生活自由度と、生命維持リスク値との両方を容易に把握することができる。患者の生活自由度は、患者が希望する生活をどの程度実現できているかの指標となる。このため、例えば、ユーザは利用者視点から現在の看護の状態を評価することができる。一方、生命維持リスク値は、患者にどの程度生命の維持に影響するリスクがあるかの指標となる。このため、例えば、ユーザは医学的視点から現在の看護の状態を評価することができる。つまり、本実施形態に係る看護支援装置100によれば、ユーザが看護業務における医学的視点と利用者視点との関係を容易に把握できるように支援することができる。
【0114】
また、本実施形態に係る看護支援装置100は、患者の現在の生活自由度と、患者の現在の生命維持リスクとの関係をユーザ端末203のディスプレイに表示させる。
【0115】
これにより、ユーザは、視覚的に現時点の看護業務における医学的視点と利用者視点との関係を把握することができる。つまり、本実施形態に係る看護支援装置100によれば、ユーザが看護業務における医学的視点と利用者視点とのバランスをより容易に把握できるように支援することができる。
【0116】
また、本実施形態に係る看護支援装置100は、患者の現在の身体活動の情報、アセスメントで得られた情報、及び病状に関する情報、患者が目標とする生活の質に関する情報を取得し、患者の現在の生活自由度と、患者の現在の生命維持リスク値との関係、及び患者の目標生活自由度と、患者の目標生活自由度における生命維持リスク値との関係をユーザ端末203のディスプレイに表示させる。
【0117】
これにより、ユーザは、患者の現状の生活自由度と生命維持リスクとの関係と、患者の生活の目標における生活自由度と生命維持リスクとの関係との間に、どの程度の差があるのかを視覚的に把握することができる。したがって、例えば、ユーザは、目標に近付けるためにどのような看護を行うべきか等を容易に把握でき、今後の看護計画を立てやすくなる。
【0118】
また、本実施形態に係る看護支援装置100は、患者の現在の病状に基づいて、予め規定された複数の生活自由度毎に生命維持リスク値を算出し、複数の生活自由度と生命維持リスク値との相関関係をグラフ表示させる。
【0119】
これにより、ユーザは、生活自由度の増減によってどのように生命維持リスクが変化するのかを視覚的に把握することができる。したがって、例えば、ユーザは、今後、患者の生活自由度を高くするか、低くするか、維持するか等の判断を行いやすくなる。
【0120】
また、本実施形態に係る看護支援装置100は、患者の生活自由度と、生命維持リスク値との関係を、生活自由度を横軸に、生命維持リスク値を縦軸に取った四象限グラフで表示させる。
【0121】
これにより、患者の生活自由度と生命維持リスク値との関係を表した四象限グラフ上における位置から、患者の生活自由度と、生命維持リスク値との関係を分類することができる。これにより、例えば、本実施形態に係る看護支援装置100は、分類ごとにユーザへ提案する対応の内容を予め定めておき、分類に応じた提案をユーザに対して行うことで看護行為におけるユーザの判断を支援することができる。
【0122】
また、本実施形態に係る看護支援装置100は、生命維持リスク値と生活自由度とに基づいて、看護介入時の注目点を表す看護注目点を生成し、当該看護注目点をユーザ端末203のディスプレイに表示させる。
【0123】
これにより、ユーザは、現在の患者の状態において、どんなことに注目すればよいのかを容易に把握することができる。したがって、例えば、ユーザは時間をかけることなく、看護介入を行うか否か等の判断を行うことができる。
【0124】
なお、上述した実施形態は、各装置が有する構成又は機能の一部を変更することで、適宜に変形して実施することも可能である。そこで、以下では、上述した実施形態に係るいくつかの変形例を他の実施形態として説明する。なお、以下では、上述した実施形態と異なる点を主に説明することとし、既に説明した内容と共通する点については詳細な説明を省略する。また、以下で説明する変形例は、個別に実施されてもよいし、適宜組み合わせて実施されてもよい。
【0125】
(変形例1)
上述した実施形態では、患者の現状の生活自由度と生命維持リスク値との関係を表示させる形態について説明した。しかしながら、患者の看護計画における生活自由度と生命維持リスク値との関係を表示させてもよい。
【0126】
本変形例の看護支援装置100の処理回路150の各機能部は、患者の看護計画について、上述の実施形態と同様の処理を実行する。なお、患者の看護計画は、看護記録保管装置201に記憶されていてもよいし、電子カルテシステム202に記憶されていてもよい。また、上記以外のサーバ装置等に記憶されていてもよい。本変形例では、第1取得機能151が患者の看護計画を取得するものとする。この場合、第1取得機能151は、第3取得部の一例である。
【0127】
ここで、
図11は、変形例1に係る看護計画の生活自由度と生命維持リスクとの関係を表示する表示画面の一例を示す図である。表示画面203cは、
図6等に示した表示画面203aと略同様の画面構成を有する。ただし、表示画面203cは、看護計画の生活自由度と生命維持リスクとの関係を表示するものであることを示す表示欄NAを有している点で表示画面203cと異なる。
【0128】
また、
図12は、変形例1に係る看護計画のハイライト分類を表示する表示画面の一例を示す図である。表示画面203dは、
図7に示した表示画面203bと略同様の画面構成を有する。ただし、表示画面203dは、ハイライト分類のO-P強化領域に記載される提案についての簡単な説明が、「目標の変更又は治療方針変更」となっている点で表示画面203cと異なる。
【0129】
本変形例によれば、患者の現状の生活自由度と生命維持リスクとの関係だけでなく、作成済(作成中であってもよい)の看護計画についても、ユーザが生活自由度と生命維持リスクとの関係を把握しやすくなるように支援することができる。
【0130】
(変形例2)
上述した実施形態では、ユーザが訪問看護師である形態について説明した。しかしながら、ユーザは、医師や病棟看護師であってもよい。この場合、看護支援装置100は、電子カルテシステム202と統合されていてもよい。
【0131】
例えば、ユーザが医師である場合、本変形例に係る看護支援装置100を用いることで、病棟看護師によって現状行われている看護における生活自由度と生命維持リスク値との関係を把握しやすくなる。このため、本変形例に係る看護支援装置によれば、医師が病棟看護師と共に看護計画の見直しを行う場合等に作業の支援を行うことができる。
【0132】
(変形例3)
上述の実施形態では、看護支援装置100に搭載されたプロセッサを利用して各機能を実現する形態について説明した。しかしながら、看護支援装置100の処理回路150は、ネットワークNを介して接続された外部装置のプロセッサを利用して、各機能を実現することとしてもよい。
【0133】
本変形例では、例えば、処理回路150は、メモリ120から各機能に対応するプログラムを読み出して実行するとともに、看護支援装置100とネットワークNを介して接続されたサーバ群(クラウド)を計算資源として利用することにより、
図2に示す各機能を実現する。
【0134】
なお、本明細書において扱う各種データは、典型的にはデジタルデータである。
【0135】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、ユーザが看護業務における医学的視点と利用者視点との関係を容易に把握できるように支援することができる。
【0136】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、実施形態同士の組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0137】
100 看護支援装置
110 NWインタフェース
120 メモリ
130 入力インタフェース
140 ディスプレイ
150 処理回路
151 第1取得機能
152 第2取得機能
153 第3取得機能
154 第1算出機能
155 第4取得機能
156 第2算出機能
157 第1生成機能
158 第2生成機能
159 表示制御機能
200 医用情報記憶装置
201 看護記録保管装置
202 電子カルテシステム
S 看護支援システム