(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024111373
(43)【公開日】2024-08-19
(54)【発明の名称】太陽光パネル固定構造および補強金具
(51)【国際特許分類】
E04D 13/18 20180101AFI20240809BHJP
H02S 20/23 20140101ALI20240809BHJP
【FI】
E04D13/18 ETD
H02S20/23 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023015805
(22)【出願日】2023-02-06
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉山 史剛
【テーマコード(参考)】
2E108
【Fターム(参考)】
2E108KK01
2E108KS06
2E108LL01
2E108MM00
2E108NN07
(57)【要約】
【課題】主に、フレームの内フランジの変形などを防止できるようにする。
【解決手段】
太陽光パネル3の外周部分に設けられたフレーム4を、固定金具5で屋根2に固定する太陽光パネル固定構造に関する。
固定金具5は、フレーム4に設けられた内フランジ13の下側の面に、下方から面接触するように設置される。内フランジ13の上側の面に、上方から面接触するように補強金具21が設置される。これにより、内フランジ13は、上下両面が、固定金具5および補強金具21の面で挟み込まれた三枚重ねの状態になって補強される。
【選択図】
図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽光パネルの外周部分に設けられたフレームを、固定金具で屋根に固定する太陽光パネル固定構造であって、
前記固定金具は、前記フレームに設けられた内フランジの下側の面に、下方から面接触するように設置され、
前記内フランジの上側の面に、上方から面接触するように補強金具が設置されることで、
前記内フランジは、上下両面が、前記固定金具および前記補強金具の面で挟み込まれた三枚重ねの状態になっていることを特徴とする太陽光パネル固定構造。
【請求項2】
太陽光パネルの外周部分に設けられたフレームを、固定金具で屋根に固定する太陽光パネル固定構造に用いられる補強金具であって、
前記フレームに設けられた内フランジの上側の面に、上方から面接触するフランジ当接部を有し、
前記フランジ当接部は、前記内フランジの下側の面に、下方から面接触された前記固定金具との間に、前記内フランジの上下両面を挟み込んで三枚重ねの状態にするものであることを特徴とする補強金具。
【請求項3】
請求項2に記載の補強金具であって、
前記内フランジの下側の面を下方から支持して横へ延びる前記固定金具の横延設部に沿い、前記フランジ当接部から横へ延びて、前記横延設部を上側から補強する横延設部補強部を有し、
前記フランジ当接部から前記フレームの内側面に沿って上へ延び、前記内側面を保持可能な内側面保持部を有することを特徴とする補強金具。
【請求項4】
請求項3に記載の補強金具であって、
前記横延設部から下へ延びる前記固定金具の立上部に沿って、前記横延設部補強部から縦に延び、前記立上部の片面に重ね合わされる立上部補強部を有することを特徴とする補強金具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、太陽光パネル固定構造および補強金具に関する。
【背景技術】
【0002】
建物の屋根などに太陽光パネルを取付けることが行われている(例えば、特許文献1参照)。太陽光パネルは、例えば、外周部分に設けられたフレームを、固定金具で屋根に固定される。これにより、建物は、発電機能を備えた施設になり、屋根などの上のスペースを利用して太陽光パネルを設置し、太陽光パネルで発電して、電力を得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
太陽光パネルの普及のために、各太陽光パネルメーカーは、絶えず改良を行っており、また、コスト削減を図っている。
【0005】
そのために、例えば、太陽光パネルの外周部分に設けられたフレームは、年々形状などの見直しが行われている。例えば、フレームは、形状などの見直しによって、ギリギリまでの薄肉化が進んでいる。薄肉化によって、フレームのコスト削減が可能になる。
【0006】
一方で、太陽光パネルのフレームは、太陽光パネルの形状を維持すると共に、太陽光パネルを屋根などに固定する固定金具を取付けるための重要な構造部材である。
【0007】
フレームは、薄肉化によって強度が低下する。そのため、太陽光パネルに、例えば、積雪などによる荷重が作用した場合に、太陽光パネルは、(薄肉化された)フレームが変形してしまうおそれがある。
【0008】
そこで、本発明は、上記した課題の改善に寄与することを主な目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題に対して、本発明は、
太陽光パネルの外周部分に設けられたフレームを、固定金具で屋根に固定する太陽光パネル固定構造であって、
前記固定金具は、前記フレームに設けられた内フランジの下側の面に、下方から面接触するように設置され、
前記内フランジの上側の面に、上方から面接触するように補強金具が設置されることで、
前記内フランジは、上下両面が、前記固定金具および前記補強金具の面で挟み込まれた三枚重ねの状態になっていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、上記構成によって、フレームの内フランジの変形を防止することなどができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施の形態にかかる、太陽光パネル固定構造を備えた屋根の全体的な側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本実施の形態は、以下の実施例を用いて詳細に説明される。
図1~
図5は、実施例を示すものである。
【実施例0013】
<構成>この実施例の構成は、以下の通りである。
【0014】
図1に示すように、建物1の屋根2などに太陽光パネル3を取付ける。
【0015】
この太陽光パネル3の固定構造(太陽光パネル固定構造)は、
太陽光パネル3の外周部分に設けられたフレーム4を、固定金具5で屋根2に固定するものとしても良い。
【0016】
ここで、建物1は、例えば、個別住宅や集合住宅など、どのようなものでも良い。この実施例では、建物1は、ユニット建物などとしている。ユニット建物は、予め工場で製造した箱型の建物ユニットを建築現場へ搬送して、建築現場で横に並べたり上に積み重ねたりして組み立てることにより、短期間のうちに構築できるようした建物1である。
【0017】
屋根2は、建物1の上側の、高くて日当たりの良い部分である。屋根2は、どのような形状のものでも良い。この実施例では、屋根2は、ほぼ傾斜のない陸屋根、または、非常に緩い勾配を有する傾斜屋根などとしている。
【0018】
屋根2は、どのような構造のものでも良い。この実施例では、屋根2は、少なくとも、屋根面材6の上に屋根仕上材7を取付けた構造を有する屋根パネルを、建物1の上面に複数並設したものとしている。屋根仕上材7は、耐水性を有する金属板で形成され、隣接する屋根仕上材7との合せ目に、金属製の目地カバー8を上から取付けることで、連結および雨仕舞がなされている。目地カバー8は、屋根仕上材7の面よりも上方へ突出されている。
【0019】
太陽光パネル固定構造は、建物1に対して太陽光パネル3を設置する構造である。太陽光パネル3は、一般的には、建物1の屋根2に設置される。ただし、建物1において、高くて日当たりが良い部分であれば、太陽光パネル3は、屋根2以外の場所に設置しても良い。
【0020】
太陽光パネル3は、光エネルギーを電力に変換するパネル状の電力機器(または発電装置)である。太陽光パネル3は、基本的に平面視ほぼ矩形状に形成される。太陽光パネル3は、少なくとも、平面視ほぼ矩形板状のパネル本体9と、パネル本体9の周縁部を保持する平面視ほぼ矩形枠状のフレーム4とを有する。太陽光パネル3は、パネル本体9をフレーム4に取付けて一体化したものとされる。太陽光パネル3は、太陽光を効率的に受光できるように、傾斜した状態で屋根2に取付けられる。
【0021】
なお、太陽光パネル3は、例えば、三角状や台形状のものなど、平面視ほぼ矩形板状以外の形状のものも存在する。この場合には、矩形状は、三角状や台形状などと読み替えれば良い。平面視ほぼ矩形板状以外の太陽光パネル3は、同じ太陽光パネル固定構造によって建物1に取付けることができる。
【0022】
また、太陽光パネル3には、太陽光パネル3の外観を模して形成されたダミーパネルを含めても良い。ダミーパネルは、例えば、太陽光パネル3が設置された屋根2の外観を整えるために、太陽光パネル3が空いた部分に、太陽光パネル3と並べて屋根2に設置される。ダミーパネルも、同じ太陽光パネル固定構造によって建物1に取付けられる。
【0023】
パネル本体9は、上面側に発電素子を並べて設置することで、上面のほぼ全面が受光面になっている。
【0024】
フレーム4は、太陽光パネル3の外周部分を構成する構造材である。太陽光パネル3の外周部分は、パネル本体9の周縁部に沿った外側の部分となる。フレーム4は、パネル本体9の周縁部とほぼ同じ大きさおよび平面形状の、四つの辺で構成される。フレーム4は、必要に応じて、内側に中桟などを設けても良い。フレーム4は、パネル本体9と共に、傾斜した状態で屋根2に設置される。
【0025】
フレーム4の四つの辺を構成する各部材は、同じものとされ、それぞれほぼ均一な断面を有して、パネル本体9の周縁部に沿い連続して延びる。
【0026】
図2Aに示すように、フレーム4は、中空のフレーム本体11と、フレーム本体11の上部に一体に設けられたパネル保持部12と、フレーム本体11の下部に一体に設けられた内フランジ13と、からなる断面形状を有する。このようなフレーム4は、例えば、アルミやアルミ合金などの軽金属製の押出材などによって形成することができる。フレーム本体11と、パネル保持部12と、内フランジ13とは、ほぼ均一な板厚に形成される。なお、フレーム4は、各部が必要とする機能に応じて、各部の板厚を若干異ならせても良い。
【0027】
図2Bに示すように、フレーム本体11は、フレーム4の本体となる部分であり、最も高い強度となる。フレーム本体11は、上面11aおよび下面11bと、内側面11cおよび外側面11dと、からなる中空の矩形断面(閉断面)になっている。フレーム本体11を中空の矩形断面にすることで、フレーム4は、高い強度が得られるので、フレーム4の薄肉化が可能になる。
【0028】
上面11aおよび下面11bは、パネル本体9と平行な面とされ、内側面11cおよび外側面11dは、パネル本体9と垂直な面とされる。上面11aおよび下面11bは、ほぼ等しい幅とされ、内側面11cおよび外側面11dは、ほぼ等しい高さとされる。この実施例では、フレーム本体11は、縦長の矩形状となっており、上面11aおよび下面11bの幅は、内側面11cおよび外側面11dの高さよりも小さくなっている。
【0029】
また、フレーム本体11は、中空部の内部に、補強用のリブなどを形成しても良い。例えば、この実施例では、上面11aの下側の面、および、下面11bの上側の面に、フレーム本体11の長手方向に沿って延びる補強用のリブが、単数または複数条形成されている。同様の補強用のリブは、内側面11cおよび外側面11dなどに形成しても良い。
【0030】
パネル保持部12は、パネル本体9の周縁部を収容保持する部分である。パネル保持部12は、第一部分12aと、第二部分12bとを有するL型の開断面形状になっている。第一部分12aは、フレーム本体11の外側面11dの位置からほぼ上方へ向けてほぼ面一に延びる縦向きの面である。第二部分12bは、第一部分12aの上端からフレーム4の内側に屈曲されて上面11aとほぼ平行に延びる横向きの面である。
【0031】
第一部分12aは、ほぼパネル本体9の厚み程度以上の高さとなっている。即ち、第一部分12aはパネル本体9の厚みとほぼ同じか、それよりも若干長い寸法になっている。第二部分12bは、ほぼフレーム本体11の上面11aの幅程度の長さとなっている。即ち、第二部分12bは、フレーム本体11の上面11aの幅とほぼ同じか、それよりも若干長いかまたは短い寸法になっている。これにより、パネル保持部12は、フレーム本体11の上面11aとの間に、太陽光パネル3のパネル本体9の縁部を差し込んで収容保持可能な形状および大きさの横向きのパネル収容溝12cとなる。
【0032】
内フランジ13は、フレーム本体11を補強する補強リブになると共に、フレーム4に固定金具5を取付ける金具取付部として使用される部分である。内フランジ13は、例えば、フレーム本体11の下面11bの位置から内方へ向けてほぼ面一に延びるリブ状をした横向きの部分とされる。内方は、太陽光パネル3の内側(中央)に向かう方向である。これに対し、外方は、太陽光パネル3の外周部分または太陽光パネル3の外部に向かう方向である。内フランジ13は、ほぼ均一の幅でフレーム本体11の周縁部に沿って延びる。内フランジ13の幅は、フレーム本体11の下面11bの幅よりも長くなっている。この実施例では、内フランジ13の幅は、フレーム本体11の下面11bの幅1.5倍~2.0倍程度の幅となっている。なお、内フランジ13は、内側面11cの高さ方向の中間部の位置から内方へ延ばすこともできる。
【0033】
固定金具5は、太陽光パネル3のフレーム4を屋根2(の目地カバー8)に固定する金具である。固定金具5は、平面視ほぼ矩形状をした太陽光パネル3の場合、少なくとも、太陽光パネル3の四隅の位置またはその周辺に、それぞれ別々に設けられる。なお、固定金具5は、上記以外の位置(例えば、辺の中間部など)に設けても良い。これにより、太陽光パネル3は、四箇所またはそれ以上の箇所で屋根2に固定される。
【0034】
固定金具5は、機能的には、下側が屋根2に取付ける部分となっており、上側が太陽光パネル3に取付ける部分となっている。
【0035】
固定金具5は、形状的には、下側の部分(下半部)が、ほぼ上下方向14に延びる立上部15となっており、上側の部分(上半部)が、立上部15の上端から横へ延びる横延設部16となっている。立上部15と、横延設部16との間(中間部)には、屈曲部17が形成される。この実施例では、立上部15と横延設部16とは、屈曲部17を介して一体に連続されている。このような固定金具5は、一枚の金属板(または金属帯板)を曲げ加工することで、立上部15と横延設部16と屈曲部17とを一体に形成可能である。一枚の金属板は、均一な板厚としても良いし、各部で必要とされる機能に応じて、各部の板厚を若干異ならせても良い。なお、立上部15、横延設部16、屈曲部17は、複数の部分に分けて、複数の部材で形成することも可能である。
【0036】
立上部15は、屋根2に対する太陽光パネル3の支持高さを規定する部分とされる。横延設部16は、屋根2に対する固定位置(目地カバー8)と、太陽光パネル3に対する固定位置(外周部分のフレーム4)との、横方向の位置の違いを調整および吸収する部分である。
【0037】
立上部15は、下端部に、屋根2に固定するための屋根固定部を有する。屋根固定部は、屋根2の構造や形状に応じたものを使用する。この実施例では、屋根固定部は、屋根2の目地カバー8に固定するためのクランプ部18(
図2A)とされる。クランプ部18は、一対のクランプ片18aと、クランプ片18aの開閉および固定を行うボルト・ナットなどの締結具18bとを有する。クランプ部18は、締結具18bで立上部15の下端部に共締め状態で取付けられる。なお、クランプ部18は、固定金具5とは別部材として構成しても良い。
【0038】
立上部15は、上端部が、フレーム4の下部(フレーム本体11の下面11bまたは内フランジ13の位置)から、パネル本体9と平行に横へ延ばした延長線19(
図1)にほぼ達する高さまで延びる。
【0039】
横延設部16は、立上部15の上端部から太陽光パネル3のフレーム4の位置へ向けて横に延びる。横は、ほぼ水平な方向(水平方向20)のことである。この実施例では、横延設部16は、水平方向20に対して傾斜されたパネル本体9とほぼ平行に延びている。
【0040】
横延設部16は、立上部15とは反対側の端部(固定金具5または横延設部16の先端部)が、フレーム4の下部に達するまで延びる。横延設部16は、フレーム4の下部に下から当接して、フレーム4の下部を支持固定する。なお、横延設部16は、フレーム4の下部を超えて、フレーム4から外へハミ出ない程度までの長さとされる。
【0041】
具体的には、横延設部16は、立上部15の上端からフレーム4の内フランジ13の位置まで延びて内フランジ13を下側から支持する長さとしても良い。また、横延設部16は、内フランジ13を超えて、フレーム本体11の下面11bの少なくとも一部の位置に達し、フレーム本体11の下面11bの少なくとも一部を下側から支持する長さとしても良い。この実施例では、横延設部16は、フレーム本体11の下面11bの一部にまで達する長さとされている。
【0042】
この場合、横延設部16の先端部は、内フランジ13の下側となる部分がフランジ支持部16aとなり、フレーム本体11の下面11bの下側となる部分が本体支持部16bとなる。そして、上記以外の、横延設部16の立上部15側(基部側)の部分が横延長腕部16cとなる。この実施例では、フランジ支持部16a、本体支持部16b、横延長腕部16cは、一体かつほぼ直線状に連続して延びている。
【0043】
屈曲部17は、立上部15に対して横延設部16を太陽光パネル3の傾きと等しい角度に曲げる部分(曲げ部分)である。屈曲部17は、横延設部16が傾斜した太陽光パネル3とほぼ平行になるような角度に設定される。
【0044】
なお、太陽光パネル3を傾斜状態に支持する場合、固定金具5は、少なくとも、太陽光パネル3の低い側(水下側L)を取付けるものと、高い側(水上側H)を取付けるものとが必要になる。
【0045】
そのために、太陽光パネル固定構造は、水下側Lの固定金具5(
図2A)と、水上側Hの固定金具5(
図4)との少なくとも二種類が用意される。水下側Lの固定金具5および水上側Hの固定金具5は、少なくとも、立上部15の長さと、横延設部16の向きと、が異なっている。
【0046】
即ち、水下側Lの固定金具5は、立上部15が短く、横延設部16が水下側Lへ向けて下り勾配に延びる。水上側Hの固定金具5は、立上部15が長く、横延設部16が水上側Hへ向けて上り勾配に延びる。なお、その他の部分については、両者は、ほぼ同様であり、側方から見てほぼ左右反対勝手となる。
【0047】
上記のような構成に対し、この実施例では、以下のような構成を備えても良い。
【0048】
(1)
図2A(
図2B)に示すように、太陽光パネル固定構造では、
固定金具5は、フレーム4に設けられた内フランジ13の下側の面に、下方から面接触するように設置される。
そして、内フランジ13の上側の面に、上方から面接触するように補強金具21(
図3)が設置される。
これにより、内フランジ13は、上下両面が、固定金具5および補強金具21の面で挟み込まれた三枚重ねの状態とされる。
【0049】
ここで、内フランジ13は、太陽光パネル3のフレーム4から、太陽光パネル3の内方へ向けて一体に延びるフランジ状の部分である。この実施例では、内フランジ13は、フレーム4の下部に一体に形成された下フランジとなっている。フレーム4の下部は、フレーム本体11の下側の部分である。この実施例では、フレーム4の下部は、フレーム本体11の下面11bとなっている。フレーム本体11の下面11bは、平坦な横の面となっている。内フランジ13は、フレーム本体11の下面11bとほぼ面一に形成される。この実施例では、内フランジ13は、平坦な横の面となっている。
【0050】
内フランジ13の下側の面は、内フランジ13の下へ向いた横の面である。下方は、内フランジ13の下側の面よりも下の方であり、主に、真下またはその周辺を含む所要の範囲とされる。固定金具5は、内フランジ13の下側の面のほぼ全面に対して、下方から接触する面を先端部(フランジ支持部16a)の上側に有している。面接触は、面(内フランジ13の下側の面)と面(フランジ支持部16a)とがほぼ隙間なく接触した状態である。
【0051】
内フランジ13の上側の面は、内フランジ13の上へ向いた横の面である。上方は、内フランジ13の上側の面よりも上の方であり、主に、真上またはその周辺を含む所要の範囲とされる。補強金具21は、内フランジ13上側の面のほぼ全面または大部分に対して、上方から接触する面を先端部(フランジ当接部32a)の下側に有している。面接触は、面(内フランジ13の上側の面)と面(フランジ当接部32a)とがほぼ隙間なく接触した状態である。
【0052】
補強金具21は、固定金具5を用いた太陽光パネル固定構造に追加で設けられる金具であり、固定金具5を補助する。太陽光パネル固定構造は、補強金具21および固定金具5のみで、他の追加金具などを用いずに、太陽光パネル3を固定可能なものとするのが好ましい。
【0053】
補強金具21は、固定金具5に取付けて、固定金具5およびフレーム4(の内フランジ13)などを補強する部材とされる。そのために、補強金具21は、フレーム4や固定金具5の形状に合った形状とするのが好ましい。
【0054】
この実施例では、補強金具21は、固定金具5の横延設部16の上などに設置される。よって、補強金具21は、固定金具5の上側の部分(横延設部16)の形状や、フレーム4の内側(内側面11c)の形状などにほぼ沿った形状とされる。
【0055】
三枚重ねの状態は、固定金具5とフレーム4の内フランジ13、および、内フランジ13と補強金具21との対向する面どうしが互いにほぼ隙間なく重ね合わされて三つの部材が一つにまとめられた状態である。三枚重ねの状態は、重ね合わされた三つの部材の協働作用によって、板厚を厚くしたのと同様の効果や多層化の効果が得られる。そのため、固定金具5と補強金具21は、内フランジ13の上下両面を補強して、内フランジ13の変形を阻止する。
【0056】
なお、補強金具21は、固定金具5と板厚を異ならせても良いが、固定金具5とほぼ同じ板厚にして、固定金具5と同等の強度を持たせるのがバランス上好ましい。
【0057】
そして、この実施例における、好適な補強金具21は、以下の通りである。以下、太陽光パネル固定構造に用いられる補強金具21について説明する。
【0058】
(2)補強金具21は、
フレーム4に設けられた内フランジ13の上側の面に、上方から面接触するフランジ当接部32aを有しても良い。
フランジ当接部32aは、内フランジ13の下側の面に、下方から面接触された固定金具5との間に、内フランジ13の上下両面を挟み込んで三枚重ねの状態にするものでも良い。
【0059】
ここで、補強金具21は、上記したように、固定金具5やフレーム4を補強するための金具である。補強金具21は、少なくとも、上記したフランジ当接部32aを有している。フランジ当接部32aは、内フランジ13の上側の面に、上方から面接触される補強金具21の一部分であり、固定金具5と共に三枚重ねの状態を形成する部分である。
【0060】
フランジ当接部32aは、固定金具5の横延設部16の先端部(フランジ支持部16a)との間に内フランジ13の両面を挟んだ面接触状態で、固定具33によって横延設部16に固定される。固定具33による締結によって、フランジ当接部32a、内フランジ13、横延設部16の先端部は、面どうしが互いに圧接される。フランジ当接部32aは、横延設部16との間に内フランジ13の両面を面で挟んで、内フランジ13にほぼ隙間なく当接され、更に圧接されることにより、内フランジ13に対する高い保持力を得ることができる。
【0061】
固定具33は、ボルト・ナットなどの締結具としても良い。固定具33は、フランジ当接部32a、内フランジ13、および、横延設部16(のフランジ支持部16a)の間をほぼ上下に貫通するように設置される(第一固定具)。フランジ当接部32a、内フランジ13、および、横延設部16(のフランジ支持部16a)には、ほぼ上下に合致する位置に固定具33を面直に通す貫通孔を予め形成しても良い。
【0062】
この場合、例えば、フランジ当接部32aに形成する貫通孔32cは、丸穴としても良いが、横延設部16の延設方向に沿った長孔などにして、横延設部16に対する補強金具21の延設方向の固定位置を調整・変更できるようにしても良い。
【0063】
なお、上記したように、補強金具21が固定金具5の横延設部16の上に設置されることにより、補強金具21は、横延設部16に支えられると共に、横延設部16を補強する。補強金具21の先端部が内フランジ13の上に設置されることにより、補強金具21は、内フランジ13を上から押さえて内フランジ13を補強する。この際、補強金具21や固定具33には、太陽光パネル3の重さが直接作用されないので、補強金具21が、固定具33の緩みの原因になるのを防止できる。そして、補強金具21は、固定金具5の横延設部16によって下側から支えられることで、形状のシンプル化が図れる。
【0064】
(3)上記において、補強金具21は、
内フランジ13の下側の面を下方から支持して横へ延びる固定金具5の横延設部16に沿い、フランジ当接部32aから横へ延びて、横延設部16を上側から補強する横延設部補強部32bを有しても良い。
また、補強金具21は、フランジ当接部32aからフレーム4の内側面11cに沿って上へ延び、内側面11cを保持可能な内側面保持部31を有しても良い。
【0065】
ここで、横延設部16は、固定金具5の上側の部分(上半部)であり、側方から見て、太陽光パネル3の面とほぼ平行に延びる。横延設部16は、フレーム4の内フランジ13を下から面接触状態で支持するフランジ支持部16aを先端側に有している。横延設部16は、フランジ支持部16aの他に、基部側に、固定金具5の立上部15の上端部から先端側のフランジ支持部16aへ向けてパネル本体9とほぼ平行に延びる横延長腕部16cを有している。更に、横延設部16は、フランジ支持部16aよりも先端側に、フレーム本体11の下面11bの少なくとも一部を下から面接触状態で支持する本体支持部16bを有しても良い。
【0066】
この実施例では、フランジ支持部16a、横延長腕部16c、本体支持部16bを有する横延設部16は、全体がほぼ平坦な横の面となっている。そして、横延設部16は、面と垂直な向きが、ほぼ上下とされて、フレーム4の内フランジ13の下面と面で接することが可能となっている。
【0067】
このように、横延設部16の先端部が、内フランジ13を下から支持することで、固定金具5は、太陽光パネル3の重量や太陽光パネル3に作用される荷重を、横延設部16および一体の立上部15を介して、屋根2に無駄なく効率的に伝えることができる。よって、固定金具5は、形状・構造をシンプル化しつつ、高い支持強度を得ることができる。そして、固定金具5は、コストを抑えることができる。
【0068】
横延設部補強部32bは、フランジ当接部32aから、固定金具5の横延設部16の横延長腕部16cに沿って横に延びる補強金具21の一部分である。横延設部補強部32bは、側方から見て、太陽光パネル3の内側へ向け、横延長腕部16cとほぼ平行に延ばされる。
【0069】
横延設部補強部32bは、フランジ当接部32aと連続するように一体に形成されることで、フランジ当接部32aと共に補強金具21の上面保持部32を構成する。
【0070】
上面保持部32は、内フランジ13の上側の面および横延設部16の上側の面を、同時に上から覆って、内フランジ13を保持する。
【0071】
上面保持部32は、内フランジ13および横延設部16にほぼ合った形状とされて、内フランジ13および横延設部16の上側に載置される。この実施例では、上面保持部32は、内フランジ13および横延設部16と同様のほぼ平坦な横の面とされている。上面保持部32は、内フランジ13および横延設部16と平行な面とされる。そして、上面保持部32は、面と垂直な向きが、ほぼ上下となっており、フレーム4の内フランジ13の上側の面と面で接することが可能となっている。
【0072】
上面保持部32は、側方から見て、固定金具5の屈曲部17または立上部15の上端部の位置から、フレーム4の内側面11cの下部の位置までの範囲をほぼ直線状に延びる。上面保持部32の横延設部補強部32bの端部は、固定金具5の屈曲部17または立上部15の上端部の位置に達するか、僅かに達しない、あるいは、僅かに超える程度の長さとしても良い。
【0073】
そして、補強金具21は、上面保持部32の横延設部補強部32bと、固定金具5の横延設部16の横延長腕部16cとの間に、ほぼ上下に貫通するように他の固定具35(第二固定具)が設置されても良い。
【0074】
他の固定具35は、ボルト・ナットなどの締結具としても良い。横延設部補強部32b、横延長腕部16cには、ほぼ上下に合致する位置に固定具33を面直に通す貫通孔を予め形成しても良い。この場合、例えば、上面保持部32に形成する貫通孔32dは、丸穴としても良いが、横延設部16の延設方向に沿った長孔などにして、横延設部16に対する上面保持部32の延設方向の固定位置を調整・変更できるようにしても良い。
【0075】
この実施例では、他の固定具35は、固定具33の立上部15または屈曲部17寄りの、立上部15などから離れた位置に設けられている。例えば、他の固定具35は、上面保持部32の長さの1/4~1/3程度の距離だけ、立上部15などから離れた位置に設けられている。固定具33および他の固定具35は、所定のトルクで締結される。
【0076】
そして、固定金具5の横延設部16と、補強金具21の上面保持部32との間を固定具33および他の固定具35で締結した状態では、上面保持部32は、両端が内フランジ13および横延設部16にそれぞれ接触した状態となる。即ち、上面保持部32は、フランジ当接部32aが内フランジ13に面で接し、横延設部補強部32bの端部が横延長腕部16cの立上部15寄りの部分に面または線で接する。そして、横延設部補強部32bを設けたことで、上面保持部32は、てこの腕として機能し、他の固定具35による締結に対して、横延設部補強部32bの端部が支点、他の固定具35の締結位置が力点、フランジ当接部32aが作用点となる。
【0077】
このとき、横延設部補強部32bと横延長腕部16cとは、間に、内フランジ13がないことで、内フランジ13の板厚またはそれ以下の僅かな隙間s1を有して離間される。この隙間s1は、概ね、内フランジ13の側から、立上部15などの側へ向けて小さくなって行く。
【0078】
この隙間s1は、他の固定具35を強めに締込むことで、他の固定具35およびその周辺を中心として、より小さくすることができる。また、他の固定具35を更に強く締込むことで、横延設部補強部32bと横延長腕部16cとの少なくとも一方を、弾性変形の範囲内で僅かに撓ませて、少なくとも他の固定具35および周辺で互いに接触させることができる。このように、他の固定具35の締込みによって隙間s1を狭めたり、隙間s1をなくしたりすることで、他の固定具35の締込力を横延設部補強部32bからフランジ当接部32aへ伝えることができる。そのため、他の固定具35の締込みによって、フランジ当接部32aによる内フランジ13に対する挟着保持力を高めることができる。
【0079】
また、変形例として、上面保持部32は、フランジ当接部32aと横延設部補強部32bとの境界部分に内フランジ13の板厚分の段差部を形成して、横延設部補強部32bのほぼ全面が、横延長腕部16cに面で接する(面接触する)ようにしても良い。このように上面保持部32に段差部を形成することで、上面保持部32と、内フランジ13および横延設部16との密着面積が大きくなって、各部の接触圧がほぼ均等になる。そのため、段差部を有する上面保持部32は、他の固定具35の締込力が小さくても、内フランジ13を効率的に保持したり、内フランジ13および横延設部16を有効に補強したりすることができる。
【0080】
一方、フレーム4の内側面11cは、断面矩形状をした中空のフレーム本体11における、太陽光パネル3の内側に位置する面である。この実施例では、内側面11cは、平坦な縦の面となっている。
【0081】
内側面保持部31は、フレーム4の内側面11cと対向して、内側面11cを保持する部分であり、補強金具21の先端側に形成される。内側面保持部31は、フレーム4の内側面11cに合った形状とされる。この実施例では、内側面保持部31は、フレーム4の内側面11cと同様の平坦な縦の面とされている。そして、内側面保持部31は、面と垂直な向きが、ほぼ水平となっており、フレーム4の内側面11cと平行に設置されて、内側面11cに面で接することが可能とされる。
【0082】
内側面保持部31は、上下方向14に対しては、内フランジ13(の上側の面)の位置から内側面11cに沿いほぼ上方へ延びて、フレーム4の上面11aに達するか、達しない程度の長さとしても良い。内側面保持部31は、内側面11cの半分の高さを超える程度またはそれ以上の高さとするのが好ましい。この実施例では、内側面保持部31は、フレーム4の上面11aに僅かに達しない程度の長さとなっている。
【0083】
内側面保持部31は、補強金具21を固定金具5に取付けた状態で、内側面11cに直接当接しても良いし、当接しなくても良い。即ち、内側面保持部31は、内側面11cから僅かに離して設置しても良い。
【0084】
補強金具21は、内側面保持部31が内側面11cに当接するように固定金具5に取付けても良い。この場合、内側面保持部31は、太陽光パネル3に荷重などが作用される前においても、フレーム4の内側面11cを常時保持した状態になる。
【0085】
反対に、補強金具21は、内側面保持部31が内側面11cから僅かに離れるように固定金具5に取付けても良い。この場合、内側面保持部31は、太陽光パネル3(またはフレーム4)に荷重が作用されたときにのみ、フレーム4の内側面11cを支持するものとなる。そして、補強金具21は、補強金具21の寸法精度を下げること、補強金具21を固定金具5に取付け易くすることなどができる。
【0086】
この場合、内側面保持部31は、例えば、外部からの荷重などによってフレーム4が変形しようとした際に、内側面11cに当接して、フレーム4の変形を阻止できれば良い。そのため、内側面保持部31は、フレーム4の弾性変形および復帰が可能な範囲内の距離s2(離間可能距離)であれば、フレーム4の内側面11cから離して設置することができる。距離s2は、概ね2mm~3mm程度以下(好ましくは1mm以下など)とすれば良い。
【0087】
そして、内側面保持部31は、間に角部34を有して、上面保持部32と一体に連続される(第一角部)。これにより、補強金具21は、L字状の部分を有する部材となる。角部34は、フレーム4の内側面11cと内フランジ13とが成す角度と、ほぼ等しい角度(ほぼ直角)に形成される。角部34は、R形状にしても良い。
【0088】
このような補強金具21は、一枚の金属板(または金属帯板)を曲げ加工することで、内側面保持部31と上面保持部32と角部34とからなるL字状の部分を一体に形成可能である。一枚の金属板は、均一な板厚としても良いし、各部で必要とされる機能に応じて、各部の板厚を若干異ならせても良い。
【0089】
なお、上記したような補強金具21の形状は、この実施例のフレーム4および固定金具5の具体的な形状に合せたものとなっている。そのため、補強金具21は、上記に限らず、フレーム4の形状の変更に応じて、変更されたフレーム4(の内側面11cや内フランジ13に相当する部分)に面接触が可能な形状(の内側面保持部31および上面保持部32)などにすれば良い。
【0090】
(4)上記において、補強金具21は、
図4、
図5に示すように、
横延設部16から下へ延びる固定金具5の立上部15に沿って、横延設部補強部32bから縦に延び、立上部15の片面に重ね合わされる立上部補強部41を、有しても良い。
【0091】
ここで、立上部15は、固定金具5の下側の、ほぼ垂直に立ち上がった部分であり、横延設部16における、内フランジ13とは反対側の端部から下へ延ばされる。
【0092】
立上部補強部41は、固定金具5の立上部15を補強する部分である。立上部補強部41は、補強金具21の横延設部補強部32bにおける、内フランジ13とは反対側の端部から下へ延ばされる。そして、立上部補強部41は、立上部15と平行な面を有して、立上部15の片面に付設されることで、立上部15に対して二枚重ねの状態になる。
【0093】
二枚重ねの状態は、立上部15と立上部補強部41との対向する面どうしが互いにほぼ隙間なく重ね合わされて二つの部材が一つにまとめられた状態である。二枚重ねの状態は、重ね合わされた二つの部材の協働作用によって、板厚を厚くしたのと同様の効果や多層化の効果が得られる。そのため、立上部補強部41は、立上部15を補強して、立上部15の変形を阻止する。なお、固定金具5の立上部15と、補強金具21の立上部補強部41とは、面どうしが若干離れていても、二枚重ねの状態とほぼ同等の補強効果が期待できる。
【0094】
立上部補強部41は、補強金具21に対し、必要に応じて設けられる。立上部補強部41は、主に、水上側Hの補強金具21に対して設けられる。これにより、水上側Hの補強金具21は、ほぼクランク形状の金具になる。立上部補強部41は、水下側Lの補強金具21には設けなくても良い。これにより、水下側Lの補強金具21は、L字状のアングル金具になる。ただし、立上部補強部41は、必要な場合には、水下側Lの補強金具21に対して設けることもできる。
【0095】
立上部補強部41は、立上部15よりも短くなるように、立上部15の下端部のクランプ部18の位置に達しない範囲内の長さに形成される。これにより、太陽光パネル3を固定金具5で屋根2に固定した状態でも、後から固定金具5に補強金具21を取付けることが可能になる。
【0096】
この際、立上部補強部41は、可能な限り長く、例えば、クランプ部18の手前ギリギリ程度となる長さにするのが好ましい。これにより、立上部補強部41は、立上部15をより広い範囲で補強して、固定金具5の支持強度を高めることができる。
【0097】
立上部補強部41は、上端部が、角部42(第二角部)を介して上面保持部32に連続される。角部42は、固定金具5の屈曲部17とほぼ同じ角度に形成されて、屈曲部17にほぼ隙間なく重ね合わされる。これにより、角部42は、屈曲部17を補強する。
【0098】
立上部補強部41は、下端部が、立上部15の下部に、ボルト・ナットなどの別の固定具43で横に締結固定される(第三固定具)。これにより、立上部補強部41は、別の固定具43にて立上部15に固定されて、固定金具5の立上部15の片面(内側の面)に全体がほぼ隙間なく重ね合わされ、圧接される。そして、立上部補強部41は、全域に亘って、立上部15に対する当接部分を補強する。
【0099】
別の固定具43は、ボルト・ナットなどの締結具としても良い。立上部補強部41と立上部15には、別の固定具43を面直に通す貫通孔32eを予め形成しても良い。貫通孔32eは、丸孔としても良いし、上下方向14に延びる長孔などとしても良い。
【0100】
別の固定具43は、クランプ部18の締結具18bとは別に、締結具18bと平行に設けられる。
【0101】
また、補強金具21は、第一固定具(固定具33)を含めて、二箇所以上で固定金具5に固定するのが望ましい。そのため、別の固定具43は、第二固定具(他の固定具35)に加えて設けても良いし、第二固定具に替えて設けても良い。この実施例では、別の固定具43は、第二固定具に替えて設けるようにしている。
【0102】
このような、立上部補強部41を有する補強金具21は、一枚の金属板(または金属帯板)を曲げ加工することで、内側面保持部31、角部34、上面保持部32、角部42、立上部補強部41、を一体に形成可能である。一枚の金属板は、均一な板厚としても良いし、各部で必要とされる機能に応じて、各部の板厚を若干異ならせても良い。
【0103】
<作用>この実施例の作用は、以下の通りである。
【0104】
建物1の屋根2などに太陽光パネル3を取付ける。これにより、建物1は、発電設備を備えた施設となり、屋根2などの上のスペースを利用して太陽光パネル3を設置し、太陽光パネル3で発電して、電力を得ることができる。
【0105】
太陽光パネル3は、固定金具5を用いて、屋根2に取付けられる。固定金具5は、例えば、下端部がクランプ部18によって屋根2の目地カバー8に固定される。固定金具5は、先端部が太陽光パネル3のフレーム4を下側から支持固定する。
【0106】
この際、固定金具5のみで太陽光パネル3のフレーム4を固定する構造だと、固定金具5は、フレーム4を下側から局所的に支持しただけの状態になる。そのため、固定金具5は、フレーム4を補強する効果が十分には得られず、フレーム4に対する保持状態も十分とは言えない。また、固定金具5だけだと、固定金具5自体も補強されない。
【0107】
そして、フレーム4の形状などを変更した場合、固定金具5は、そのままだとうまく対応できない可能性が高い。例えば、コスト削減などのためにフレーム4を薄肉化しても、固定金具5は、薄肉化によって強度が低下されたフレーム4の変形を防止できない。また、例えば、太陽光パネル3の大型化によって重量が増加しても、固定金具5は支持強度の不足を補うことができない。また、フレーム4の形状の変更によって生じたその他の問題についても同様に、対処が難しい。
【0108】
よって、フレーム4の形状を変更する場合、変更によって不足するまたは必要になる機能を有する新たな固定用の金具を、その都度開発する必要が生じる。しかし、固定金具5に代わる新たな固定用の金具の開発には、手間と時間とコストがかかる。
【0109】
そのため、太陽光パネル固定構造は、既存の固定金具5をほぼそのまま使用しつつ、フレーム4の形状の変更によって不足するまたは必要となる機能を柔軟に追加可能なものが望まれる。これにより、新たな固定用の金具の開発に要する、手間と時間とコストとを削減することができる。
【0110】
そこで、この実施例では、固定金具5に、補強金具21を取付けるようにした。これにより、補強金具21によって、必要な機能を追加できる。即ち、補強金具21は、固定金具5を補強する。これにより、固定金具5は、補強金具21によって支持強度が向上される。
【0111】
また、補強金具21は、固定金具5に取付けた状態で、固定金具5との間に、太陽光パネル3のフレーム4(の内フランジ13)を面接触状態で挟む。これにより、フレーム4は、固定金具5と補強金具21とで面を広く挟まれて、より強固かつ確実に保持(挟着保持)される。
【0112】
更に、補強金具21は、フレーム4を直接補強する。これにより、フレーム4は、補強金具21の追加によって変形が防止される。
【0113】
これらによって、フレーム4は、薄肉化が可能になると共に、固定金具5は、積雪などによる荷重や大型化による重量が増加などに耐えられるようになる。
【0114】
より具体的には、太陽光パネル3を取付ける場合、まず、フレーム4の内フランジ13の下側の面を、固定金具5の横延設部16の先端部(フランジ支持部16a)によって下側から面接触状態で支持する。この状態で、補強金具21を、固定金具5の横延設部16の上に設置する。
【0115】
すると、補強金具21は、上面保持部32のフランジ当接部32aが、内フランジ13の上側の面に上側から面接触状態で設置される。そして、フランジ当接部32aは、横延設部16の先端部との間に、フレーム4の内フランジ13を上下に挟んだ状態となる。
【0116】
同時に、補強金具21は、上面保持部32の横延設部補強部32bが、固定金具5の横延設部16の横延長腕部16cに上側から設置される。そして、横延設部補強部32bは、横延設部16の横延長腕部16cの上側に添えられた状態になる。
【0117】
次に、補強金具21の上面保持部32と、内フランジ13と、固定金具5の横延設部16の先端部との間は、固定具33(第一固定具)で上下に締結固定する。
【0118】
また、補強金具21の上面保持部32の横延設部補強部32bと、固定金具5の横延設部16の横延長腕部16cとの間は、他の固定具35(第二固定具)で上下に締結固定しても良い。他の固定具35は、固定具33と、立上部15との間となる位置に設けても良い。
【0119】
これにより、固定金具5の上に補強金具21が取付けられて、固定金具5および補強金具21は、先端部が、フレーム4の内フランジ13を上下に挟んで、内フランジ13の両面を面接触状態で保持(挟着保持)する。また、固定金具5は、横延長腕部16cが補強金具21の横延設部補強部32bで補強される。
【0120】
更に、補強金具21は、先端側に設けられた内側面保持部31が、フレーム4の内側面11cと面接触、または、僅かな距離s2だけ離れて対向される。そして、内側面保持部31は、フレーム4の内側面11cを押さえて保持可能な状態となる。そのため、フレーム4は、内側面保持部31によって内側から補強される。
【0121】
加えて、補強金具21が、立上部補強部41を有している場合には、立上部補強部41は、固定金具5の立上部15に沿ってほぼ上下に延びた状態で、立上部15の片面に面接触状態で重ね合わされる。立上部補強部41は、別の固定具43(第三固定具)によって、立上部15に固定される。これにより、固定金具5の立上部15は、立上部補強部41で補強される。そして、固定金具5は、補強金具21の立上部補強部41によって支持強度が更に向上される。
【0122】
<効果>この実施例の効果は、以下の通りである。
【0123】
(効果1)太陽光パネル固定構造は、上記したように、太陽光パネル3の外周部分に設けられたフレーム4を、固定金具5で屋根2に固定するものである。
そして、固定金具5は、フレーム4に設けられた内フランジ13の下側の面に、下方から面接触するように設置されても良い。内フランジ13の上側の面に、上方から面接触するように補強金具21が設置されても良い。内フランジ13は、上下両面が、固定金具5および補強金具21の面で挟み込まれた三枚重ねの状態になっても良い。
【0124】
これにより、固定金具5は、内フランジ13の下側の面に、下方から面接触することで、フレーム4を下から面で支えて、太陽光パネル3を屋根2に支持固定する。また、内フランジ13の上側の面に、上方から面接触するように補強金具21を上側から設置することで、補強金具21は、内フランジ13を面で保持すると共に、固定金具5との間で、内フランジ13を上下に挟む。これにより、固定金具5と内フランジ13、内フランジ13と補強金具21との面どうしが重ね合わされて三枚重ねの状態(三層構造)になる。よって、内フランジ13は、固定金具5と補強金具21とで補強される。固定金具5も、補強金具21で補強される。内フランジ13は、例えば、固定金具5単体で下から支持しただけの場合と比べて、変形し難くなる。固定金具5も、単体で下から内フランジ13を支持しているだけの場合と比べて、変形し難くなる。
【0125】
そのため、太陽光パネル3に、例えば、積雪や強風やその他によって荷重または外力が作用された場合でも、内フランジ13の変形が防止され、固定金具5は、太陽光パネル3を支障なく支持できる。
【0126】
また、例えば、コスト削減などのためにフレーム4を薄肉化して内フランジ13の強度が低下されても、補強金具21を追加して内フランジ13を補強することで、太陽光パネル固定構造は、内フランジ13の変形を防止することが可能になる。
【0127】
また、例えば、パネル本体9やフレーム4を大型化するなどによって、太陽光パネル3自体の重量が大きくなった場合でも、補強金具21の追加によって固定金具5も補強されるので、太陽光パネル固定構造は、大型化に伴う重量の増加に耐えられるようになる。
【0128】
この太陽光パネル固定構造では、固定金具5は、ほぼ既存のままのものを使用できる。また、太陽光パネル固定構造は、既存の固定金具5を使用しつつも、フレーム4の形状の変更などに伴う問題に、補強金具21の追加によって対処することができる。フレーム4の形状の変更などに伴う問題は、例えば、薄型化によるフレーム4の変形や、太陽光パネル3の大型化に伴う固定金具5の支持強度の不足などである。
【0129】
更に、上記した太陽光パネル固定構造は、固定金具5および補強金具21の二つの金具で、フレーム4の内フランジ13を、面接触状態で上下に挟むことで補強している。そのため、他の追加金具などは不要となる。また、補強金具21を、フレーム4の内フランジ13に上から面接触するものとしたことで、補強金具21は、大幅な変更を伴うことなくフレーム4の形状の変更などに対応できる。また、補強金具21は、コスト削減以外の理由によるフレーム4の形状の変更などにも対応が可能である。
【0130】
(効果 2)補強金具21は、太陽光パネル3の外周部分に設けられたフレーム4を、固定金具5で屋根2に固定する太陽光パネル固定構造に用いられるものである。補強金具21は、フレーム4に設けられた内フランジ13の上側の面に、上方から面接触するフランジ当接部32aを有しても良い。フランジ当接部32aは、内フランジ13の下側の面に、下方から面接触された固定金具5との間に、内フランジ13の上下両面を挟み込んで三枚重ねの状態にするものでも良い。
【0131】
これにより、補強金具21は、フランジ当接部32aが、固定金具5(の横延設部16)との間で内フランジ13を挟んで三枚重ねの状態を形成することで、内フランジ13を保持すると共に内フランジ13および固定金具5(の横延設部16)を補強する。よって、上記補強金具21は、上記太陽光パネル固定構造と同様の作用効果を得ることができる。
【0132】
(効果 3)補強金具21は、内フランジ13の下側の面を下方から支持して横へ延びる固定金具5の横延設部16に沿い、フランジ当接部32aから横へ延びて、横延設部16を上側から補強する横延設部補強部32bを有しても良い。
また、補強金具21は、フランジ当接部32aからフレーム4の内側面11cに沿って上へ延び、内側面11cを保持可能な内側面保持部31を有しても良い。
【0133】
これにより、補強金具21は、横延設部補強部32bで固定金具5の横延設部16を補強することができる。また、内側面保持部31で、フレーム4の内側面11cを保持することができる。
【0134】
そして、補強金具21は、フランジ当接部32aが内フランジ13を補強している。よって、補強金具21は、フレーム4の内側面11cと、フレーム4の内フランジ13および固定金具5の横延設部16とを、ほぼ同時に連続して補強することができる。そのため、補強金具21は、フレーム4および固定金具5をより効果的に補強できる。
【0135】
即ち、補強金具21は、横延設部補強部32bが、固定金具5の横延設部16(の横延長腕部16c)の上にほぼ重なるように配置されることで、横延設部16を補強することができる。
【0136】
また、フレーム4が変形しようとして、フレーム4の内側面11cが、補強金具21の内側面保持部31を押したときに、補強金具21は、内側面保持部31が、フレーム4の内側面11cを内側から押さえて保持(押圧保持)する。これにより、内側面保持部31は、フレーム4の内側面11cの内側への倒れを防止して、フレーム4の内側面11cと内フランジ13との間の変形を防止する。
【0137】
内側面保持部31は、フランジ当接部32aおよび横延設部補強部32bによって支えられている。そのため、内側面保持部31による内側面11cに対する保持力は、横延設部補強部32bを設けることによって強められ、また、横延設部補強部32bを長くする程強くなる傾向にある。
【0138】
なお、内側面保持部31は、フレーム4の内側面11cに当接状態で配置して、内側面11cを常時補強するようにしても良い。また、内側面保持部31は、フレーム4の内側面11cに対し僅かに離間配置させて、フレーム4が変形しようとしたときにのみ内側面11cを補強するようにしても良い。
【0139】
更に、固定金具5は、必要に応じて、横延設部16を、フレーム本体11の下面11bの下側へ入り込むまで延ばしても良い。この場合、固定金具5の横延設部16のフレーム本体11の下面11bの下側へ入り込んだ部分(本体支持部16b)と、補強金具21の内側面保持部31とは、フレーム本体11を保持する。即ち、本体支持部16bと内側面保持部31とは、フレーム本体11の下側かつ内側のコーナー部分およびその周辺を、面で挟み付ける。そのため、補強金具21は、固定金具5との間でフレーム本体11を直接かつ部分的に挟着保持して、フレーム本体11の少なくともコーナー部分およびその周辺を直接補強できるようになる。これにより、フレーム本体11は、コーナー部分の角度が変形され難くなるので、フレーム4の内側や外側への倒れや変形を防止することができる。これにより、フレーム4は、内側面11cと内フランジ13との間の変形がより効果的に防止される。
【0140】
なお、上記した補強金具21は、横延設部補強部32bを固定金具5の横延設部16に、また、内側面保持部31をフレーム4の内側面11cに添えることで、固定金具5やフレーム4を補強するものとなっている。そのため、フレーム4の形状などを変更する場合でも、補強金具21は、妨げになる部分(例えば、フレーム4の3つ以上面を包持するような形状)がない。例えば、フレーム4の大型化(枠サイズの変更)や、フレーム4の肉厚の変更(枠強度の変更)や、フレーム本体11の断面の大きさや、内フランジ13の長さの変更(断面の変更)などの形状の変更に対して、補強金具21は支障を生じない。よって、面に添えるだけで補強を行う横延設部補強部32bや内側面保持部31の少なくとも一方を備えている補強金具21は、フレーム4の形状などの見直しに対する適応力が高い。
【0141】
更に、上記した補強金具21は、固定具33や他の固定具35を取付けるための貫通孔32c,32dを長孔にしても良い。このように、貫通孔32c,32dを長孔にすることで、固定金具5に対する補強金具21の取付位置の調整や微調整ができるようになる。そのため、上記したフレーム4の形状の変更などに対して、より柔軟に対応することが可能になる。
【0142】
(効果 4)補強金具21は、横延設部16から下へ延びる固定金具5の立上部15に沿って、横延設部補強部32bから縦に延び、立上部15の片面に重ね合わされる立上部補強部41を有しても良い。
【0143】
このように、補強金具21は、立上部補強部41を有すると共に、立上部補強部41が、固定金具5の立上部15に重ね合わされるように設置されることで、固定金具5の立上部15を立上部補強部41で二重化して補強することができる。そして、立上部補強部41を有する補強金具21は、上記したフレーム4の内側面11cと、フレーム4の内フランジ13および固定金具5の横延設部16との補強に加えて、固定金具5の立上部15をも、同時に補強することができる。そのため、固定金具5は、より大きな荷重に耐えられるようになる。