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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024111380
(43)【公開日】2024-08-19
(54)【発明の名称】制御装置、移動体および制御方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/40 20240101AFI20240809BHJP
【FI】
G06Q50/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023015823
(22)【出願日】2023-02-06
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003683
【氏名又は名称】弁理士法人桐朋
(72)【発明者】
【氏名】大門 路人
(72)【発明者】
【氏名】アルカウド ギーム ビクトール
(72)【発明者】
【氏名】神吉 孝雄
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC41
5L050CC41
(57)【要約】      (修正有)
【課題】乗客同士の間を遮蔽するパーテーションを好適に制御する制御装置、移動体および制御方法を提供する。
【解決手段】制御システム30において、航空機等の移動体10内に備えられた第1の座席と第2の座席と、第1の座席と第2の座席との間に位置するとともに、展開可能なパーテーションを有する遮蔽装置24と、を制御する制御装置34は、移動体が所定の移動状態に遷移したか否かを判定する移動状態判定部52と、移動体が所定の移動状態に遷移したことが移動状態判定部によって判定された場合にパーテーションを自動で展開するパーテーション制御部54と、を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体内に備えられた第1の座席と、前記移動体内に備えられた第2の座席と、前記第1の座席と前記第2の座席との間に位置するとともに展開可能なパーテーションとを備えた前記移動体の前記パーテーションを制御する制御装置であって、
前記移動体が所定の移動状態に遷移したか否かを判定する移動状態判定部と、
前記移動体が前記所定の移動状態に遷移したことが前記移動状態判定部によって判定された場合に前記パーテーションを自動で展開するパーテーション制御部と、
を備える、制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の制御装置であって、
前記所定の移動状態は、巡航状態である、制御装置。
【請求項3】
請求項1に記載の制御装置であって、
前記第1の座席に着座する第1の乗客と、前記第2の座席に着座する第2の乗客との関係を把握する関係把握部と、
前記関係把握部によって把握された前記関係に基づいて、前記パーテーション制御部による前記パーテーションの展開を制限する展開制限部と、
をさらに備える、制御装置。
【請求項4】
請求項3に記載の制御装置であって、
前記第1の乗客に関する第1の乗客情報と、前記第2の乗客に関する第2の乗客情報とが、乗客情報記憶部にあらかじめ記憶されており、
前記関係把握部は、前記乗客情報記憶部から取得される前記第1の乗客情報と前記第2の乗客情報とに基づいて、前記関係を把握する、制御装置。
【請求項5】
請求項3に記載の制御装置であって、
前記移動体内を撮像する撮像装置が前記移動体に備えられており、
前記関係把握部は、前記撮像装置によって取得される撮像データに基づいて、前記関係を把握する、制御装置。
【請求項6】
請求項3に記載の制御装置であって、
前記第1の乗客と前記第2の乗客とが会話していない状態が所定時間以上継続しているか否かを判定する会話有無判定部をさらに備え、
前記展開制限部は、前記第1の乗客と前記第2の乗客とが会話していない状態が前記所定時間以上継続していることが前記会話有無判定部によって判定された場合に、前記パーテーション制御部による前記パーテーションの展開を許容する、制御装置。
【請求項7】
請求項3に記載の制御装置であって、
前記展開制限部は、前記第1の座席に着座する第1の乗客の年齢と、前記第2の座席に着座する第2の乗客の年齢とのうちの少なくとも一方があらかじめ決められた年齢閾値以下である場合に、前記パーテーション制御部による前記パーテーションの展開を制限する、制御装置。
【請求項8】
請求項1に記載の制御装置であって、
前記パーテーション制御部は、前記第1の座席と前記第2の座席とのうちの少なくとも一方が空席である場合には前記パーテーションを自動で展開しない、制御装置。
【請求項9】
移動体内に備えられた第1の座席と、前記移動体内に備えられた第2の座席と、前記第1の座席と前記第2の座席との間に位置するとともに開閉可能なパーテーションとを備えた前記移動体の前記パーテーションを制御する制御装置であって、
前記第1の座席に着座する第1の乗客と、前記第2の座席に着座する第2の乗客との関係を把握する関係把握部と、
前記関係把握部によって把握された前記関係に基づいて前記パーテーションを自動で制御するパーテーション制御部と、
を備える、制御装置。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載の制御装置を備える、移動体。
【請求項11】
移動体内に備えられた第1の座席と、前記移動体内に備えられた第2の座席と、前記第1の座席と前記第2の座席との間に位置するとともに開閉可能なパーテーションとを備えた前記移動体の前記パーテーションを制御する制御方法であって、
前記移動体が所定の移動状態に遷移したか否かを判定する移動状態判定ステップと、
前記移動体が前記所定の移動状態に遷移した場合に実行され、前記パーテーションを自動で開閉するパーテーション制御ステップと、
を含む、制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置、移動体および制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、自動運転車両に備えられる仕切り許可装置が記載されている。この仕切り許可装置は、車両が手動運転されている場合には、視覚的な仕切り(パーテーション)を運転手の周囲に設けることを許容しない。これにより、運転手の視界がパーテーションに遮られることが防止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-042324号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1は、運転手ではない乗客同士の間を遮蔽するパーテーションの制御方法について、何ら言及するものではない。乗客同士の間を遮蔽するパーテーションを好適に制御する技術が待望されている。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様は、移動体内に備えられた第1の座席と、前記移動体内に備えられた第2の座席と、前記第1の座席と前記第2の座席との間に位置するとともに展開可能なパーテーションとを備えた前記移動体の前記パーテーションを制御する制御装置であって、前記移動体が所定の移動状態に遷移したか否かを判定する移動状態判定部と、前記移動体が前記所定の移動状態に遷移したことが前記移動状態判定部によって判定された場合に前記パーテーションを自動で展開するパーテーション制御部と、を備える。
【0007】
本発明の第2の態様は、移動体内に備えられた第1の座席と、前記移動体内に備えられた第2の座席と、前記第1の座席と前記第2の座席との間に位置するとともに開閉可能なパーテーションとを備えた前記移動体の前記パーテーションを制御する制御装置であって、前記第1の座席に着座する第1の乗客と、前記第2の座席に着座する第2の乗客との関係を把握する関係把握部と、前記関係把握部によって把握された前記関係に基づいて前記パーテーションを自動で制御するパーテーション制御部と、を備える。
【0008】
本発明の第3の態様は、移動体であって、上記第1の態様または上記第2の態様に係る制御装置を備える。
【0009】
本発明の第4の態様は、移動体内に備えられた第1の座席と、前記移動体内に備えられた第2の座席と、前記第1の座席と前記第2の座席との間に位置するとともに開閉可能なパーテーションとを備えた前記移動体の前記パーテーションを制御する制御方法であって、前記移動体が所定の移動状態に遷移したか否かを判定する移動状態判定ステップと、前記移動体が前記所定の移動状態に遷移した場合に実行され、前記パーテーションを自動で開閉するパーテーション制御ステップと、を含む。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、移動体の客室に備えられるパーテーションを好適に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、一実施形態に係る移動体の内部を示す平面図である。
図2図2は、遮蔽装置を示す模式図である。
図3図3は、遮蔽装置を示す模式図である。
図4図4は、一実施形態に係る制御システムのブロック図である。
図5図5は、パーテーションの制御方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[一実施形態]
図1は、一実施形態に係る移動体10の内部を示す平面図である。図1には、移動体10の前後方向Z(Z1、Z2)と、移動体10の幅方向X(X1、X2)とが示されている。
【0013】
移動体10は、乗客を乗せて移動する乗り物である。移動体10は、例えばeVTOL(electronic Vertical Take-Off and Landing aircraft)等の航空機であるが、これに限定されない。移動体10は、操縦室12と客室14とを備える。
【0014】
操縦室12には、操縦席16と操作盤18とが備えられている。操縦席16には移動体10の操縦者が着座する。操作盤18は操縦者によって操作される。
【0015】
客室14は、移動体10に搭乗する乗客によって利用される。乗客は、移動体10の内外を連通する開口である乗降口(出入口)64を介して、移動体10に乗降することができる。乗降口64には、開閉可能な乗降口扉66が設けられている。
【0016】
客室14には、複数の座席20が備えられている。複数の座席20には、後述する遮蔽装置24に対して一方の側に位置する第1の座席201と、遮蔽装置24に対して他方の側に位置する第2の座席202とが含まれている。なお、前後方向Zに延在する移動体10の中心線LAが、図1には示されている。本実施形態では、中心線LAに対して幅方向Xの一方(X1)側に第1の座席201が位置しているとともに、中心線LAに対して幅方向Xの他方(X2)側に第2の座席202が位置しているが、これに限定されない。
【0017】
以下の説明において、第1の座席201に着座する乗客は、第1の乗客とも称される。また、第2の座席202に着座する乗客は、第2の乗客とも称される。
【0018】
移動体10は、撮像装置22(図4参照)と遮蔽装置24とをさらに備える。遮蔽装置24は、幅方向Xにおいて第1の座席201と第2の座席202との間に位置する。なお、本実施形態では、幅方向Xにおける遮蔽装置24と第1の座席201との距離が、幅方向Xにおける遮蔽装置24と第2の座席202との距離より短いが、これに限定されない。
【0019】
撮像装置22は、例えばカメラである。撮像装置22は客室14内を撮像する。第1の座席201と第2の座席202とは、撮像装置22の撮像範囲内に入っている。複数の撮像装置22が移動体10に備えられてもよい。例えば第1の座席201を撮像する第1の撮像装置22と、第2の座席202を撮像する第2の撮像装置22とが、移動体10に備えられてもよい。
【0020】
図2図3との各々は、遮蔽装置24を示す模式図である。図2図3には、移動体10の上下方向Y(Y1、Y2)が示されている。
【0021】
遮蔽装置24は、パーテーション25(第1のパーテーション251)と、本体26とを備える。第1のパーテーション251は、第1の座席201と第2の座席202との間を遮蔽するためのパーテーションである。第1のパーテーション251は本体26に収容され得る。第1のパーテーション251と後述する第2のパーテーション252とが展開されている状態の遮蔽装置24が、図2には示されている。第1のパーテーション251と第2のパーテーション252とが本体26に収容されている状態の遮蔽装置24が、図3には示されている。
【0022】
本体26は、第1のパーテーション251を収容可能な筐体と、不図示のアクチュエータとを備える。当該アクチュエータは、第1のパーテーション251を展開させる。すなわち、本体26に収容されている第1のパーテーション251は、アクチュエータの駆動に応じて前方向Z1に移動する。これにより、図2に示すように、第1の座席201と第2の座席202との間が第1のパーテーション251によって遮蔽される。展開されている第1のパーテーション251は、アクチュエータの駆動に応じて後方向Z2に移動することで、本体26に再度収容され得る。本体26には、遮蔽装置24(後述する制御装置34)を乗客が任意に操作するための操作部が備えられてもよい。当該操作部の図示は省略するが、当該操作部は、例えば1つ以上のスイッチを有する。図1に示すように、本体26は、X1方向に向く表面を有する。当該表面に、上記操作部が備えられ得る。この場合には、第1の乗客は、第1の座席201に着座したまま、遮蔽装置24を任意に操作することができる。これにより、第1の乗客の便宜が図られる。例えば第1の乗客は、操作部を操作することで、後述する制御方法(図5)の少なくとも一部が実行されることを任意に制限することができる。なお、上記操作部の位置は、本体26のうちのX1方向に向く表面に限定されない。例えば、本体26のうちのX2方向に向く表面に、操作部が備えられてもよい。
【0023】
遮蔽装置24は、第2のパーテーション252(25)をさらに備える。第2のパーテーション252も、本体26に備えられる不図示のアクチュエータによって展開される。すなわち、本体26に収容されている第2のパーテーション252は、アクチュエータの駆動に応じて後方向Z2に移動する。これにより、図2に示すように、第3の座席203と第4の座席204との間が第2のパーテーション252によって遮蔽される。展開されている第2のパーテーション252は、アクチュエータの駆動に応じて前方向Z1に移動することで、本体26に再度収容され得る。なお、第3の座席203は、第1の座席201の後方に位置する後ろ向きの座席20である。第4の座席204は、第2の座席202の後方に位置する前向きの座席20である。
【0024】
本体26に備えられる上記のアクチュエータは、例えばモータを含むが、これに限定されない。当該アクチュエータは、後述する制御装置34によって制御され得る。第1のパーテーション251を移動させるための第1のアクチュエータと、第2のパーテーション252を移動させるための第2のアクチュエータとが、本体26に備えられてもよい。
【0025】
客室14には、乗客が使用するための備品がさらに備えられてもよい。備品は、例えば乗客が使用するテーブル28である。
【0026】
図4は、本実施形態に係る制御システム30のブロック図である。
【0027】
制御システム30は、遮蔽装置24を制御するシステム(パーテーション制御システム)である。制御システム30は、撮像装置22と、遮蔽装置24と、サーバ装置32と、制御装置34とを含む。上述したように、撮像装置22と遮蔽装置24とは、移動体10に備えられている。
【0028】
サーバ装置32は、移動体10の予約をするための予約システムに含まれるコンピュータである。サーバ装置32は、通信部36と乗客情報記憶部38とを備える。
【0029】
通信部36は、不図示の通信モジュールを備える。通信部36は、ネットワークNWに接続される。ネットワークNWは例えばインターネットである。
【0030】
乗客情報記憶部38は、揮発性メモリ、不揮発性メモリ等のメモリによって実現され得る。乗客情報記憶部38が、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等によって構成されてもよい。乗客情報記憶部38には、例えば、第1の乗客情報と第2の乗客情報とが記憶されている。
【0031】
第1の乗客情報は、第1の乗客に関する情報である。第1の乗客情報には、例えば第1の乗客の氏名を示す情報、第1の乗客の年齢を示す情報等が含まれる。第1の乗客情報は、例えば移動体10の利用を予約するための予約システムを介して第1の座席201が予約された際に、当該予約システムを介してサーバ装置32に提供される。
【0032】
第2の乗客情報は、第2の乗客に関する情報である。第2の乗客情報には、例えば第2の乗客の氏名を示す情報、第2の乗客の年齢を示す情報等が含まれる。第2の乗客情報は、例えば上述の予約システムを介して第2の座席202が予約された際に、予約システムを介してサーバ装置32に提供される。
【0033】
制御装置(パーテーション制御装置)34は、遮蔽装置24を制御するコンピュータである。より具体的には、制御装置34は、遮蔽装置24に備えられている不図示のアクチュエータを制御するコンピュータである。制御装置34は移動体10に備えられ得る。
【0034】
移動体10に複数のパーテーション25が備えられる場合、制御装置34は複数のパーテーション25を個別に制御してもよい。なお、以下においては第1の座席201と第2の座席202との間に展開される第1のパーテーション251の制御について主に説明するが、第3の座席203と第4の座席204との間に展開される第2のパーテーション252も同様に制御され得る。
【0035】
制御装置34は、通信部40と記憶部42と演算部44とを備える。
【0036】
通信部40は、不図示の通信モジュールを備える。通信部40はネットワークNWに接続される。これにより、制御装置34は、ネットワークNWを介してサーバ装置32と通信することができる。
【0037】
記憶部42は、不図示の揮発性メモリと、不図示の不揮発性メモリとが備えられ得る。揮発性メモリとしては例えばRAM(Random Access Memory)等が挙げられ得る。不揮発性メモリとしては例えばROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ等が挙げられ得る。データ等が、例えば揮発性メモリに記憶され得る。プログラム、テーブル、マップ等が、例えば不揮発性メモリに記憶され得る。
【0038】
演算部44は、例えばCPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)等のプロセッサによって構成され得る。すなわち、演算部44は処理回路(processing circuitry)によって構成され得る。
【0039】
演算部44は、撮像データ取得部46と、乗客情報取得部48と、着座判定部50と、移動状態判定部52と、パーテーション制御部54と、関係把握部56と、展開制限部58と、会話有無判定部60と、年齢判定部62とを備える。撮像データ取得部46と、乗客情報取得部48と、着座判定部50と、移動状態判定部52と、パーテーション制御部54と、関係把握部56と、展開制限部58と、会話有無判定部60と、年齢判定部62とは、記憶部42に記憶されているプログラムを演算部44が実行することによって実現され得る。
【0040】
なお、撮像データ取得部46と、乗客情報取得部48と、着座判定部50と、移動状態判定部52と、パーテーション制御部54と、関係把握部56と、展開制限部58と、会話有無判定部60と、年齢判定部62との少なくとも一部が、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の集積回路によって実現されてもよい。また、撮像データ取得部46と、乗客情報取得部48と、着座判定部50と、移動状態判定部52と、パーテーション制御部54と、関係把握部56と、展開制限部58と、会話有無判定部60と、年齢判定部62との少なくとも一部が、ディスクリートデバイスを含む電子回路によって構成されてもよい。
【0041】
撮像データ取得部46は、撮像装置22から撮像データを取得する。取得された撮像データは、記憶部42によって記憶される。
【0042】
乗客情報取得部48は、第1の乗客情報と第2の乗客情報とを乗客情報記憶部38から取得する。乗客情報取得部48は、ネットワークNWを介して、第1の乗客情報と第2の乗客情報とを取得することができる。取得された第1の乗客情報と、取得された第2の乗客情報とは、記憶部42によって記憶される。
【0043】
着座判定部50は、第1の座席201と第2の座席202とのうちの少なくとも一方が空席であるか否かを判定する。換言すれば、着座判定部50は、第1の座席201に第1の乗客が着座し、且つ第2の座席202に第2の乗客が着座しているか否かを判定する。着座判定部50は、第1の座席201に第1の乗客が着座し、且つ第2の座席202に第2の乗客が着座しているか否かを、例えば撮像データ取得部46によって取得された撮像データに基づいて判定することができる。
【0044】
なお、第1の座席201に重量センサ等のセンサが取り付けられるとともに、当該センサを用いて第1の座席201に第1の乗客が着座したか否かが判定されてもよい。より具体的には、着座判定部50は、例えば第1の座席201に着座した第1の乗客が重量センサによって検出された場合に、第1の座席201に第1の乗客が着座したと判定してもよい。また、これと同様にして、第2の座席202に重量センサ等のセンサが取り付けられるとともに、当該センサを用いて第2の座席202に第2の乗客が着座したか否かが判定されてもよい。
【0045】
移動状態判定部52は、移動体10が所定の移動状態に遷移したか否かを判定する。より具体的には、移動状態判定部52は、第1の座席201に第1の乗客が着座し、且つ第2の座席202に第2の乗客が着座している場合に、移動体10が所定の移動状態に遷移したか否かを判定する。所定の移動状態は、例えば巡航状態である。移動体10が巡航状態に遷移したか否かは、例えば、移動体10の移動速度があらかじめ決められた巡航速度に達したか否かに基づいて判定され得るが、これに限定されない。
【0046】
パーテーション制御部54は、移動体10が所定の移動状態に遷移した場合に、第1のパーテーション251を自動で展開する。例えば、移動体10が移動を開始していない場合には、第1の座席201と第2の座席202との間は遮蔽されていない(図3)。移動体10が移動を開始して巡航状態に遷移した場合に、パーテーション制御部54は、遮蔽装置24を制御する。これにより、第1のパーテーション251が展開される(図2)。第1のパーテーション251が展開されることで、第1の乗客のプライベート空間と、第2の乗客のプライベート空間とが自動で形成される。
【0047】
なお、第1の座席201と第2の座席202とのうちの少なくとも一方が空席である場合には、第1のパーテーション251を展開する必要がない。本実施形態によれば、上述したように、第1の座席201に第1の乗客が着座し、且つ第2の座席202に第2の乗客が着座している場合に、移動体10が所定の移動状態に遷移したか否かが判定される。換言すれば、移動状態判定部52は、第1の座席201と第2の座席202とのうちの少なくとも一方が空席である場合には、移動体10が所定の移動状態に遷移したか否かを判定しない。移動体10が所定の移動状態に遷移したか否かが判定されない場合には、パーテーション制御部54は、第1のパーテーション251を自動で展開しない。これにより、第1のパーテーション251が無意味に展開されることが防止される。
【0048】
関係把握部56は、第1の座席201に着座する第1の乗客と、第2の座席202に着座する第2の乗客との関係を把握する。例えば関係把握部56は、乗客情報取得部48によって取得された第1の乗客情報と第2の乗客情報とに基づいて、第1の乗客と第2の乗客とが同じ組織(企業等)に属しているか否かを判定する。第1の乗客と第2の乗客とが同じ組織に属している場合には、関係把握部56は、第1の乗客と第2の乗客とが知人関係にあると判定することができる。
【0049】
展開制限部58は、関係把握部56によって把握された関係に基づいて、パーテーション制御部54による第1のパーテーション251の展開を制限する。より具体的には、展開制限部58は、第1の乗客と第2の乗客とが知人関係にあると認められる場合には、第1のパーテーション251の展開を制限する。展開制限部58によって第1のパーテーション251の展開が制限される場合には、パーテーション制御部54は、移動体10が所定の移動状態に遷移しても第1のパーテーション251を展開しない。
【0050】
第1の乗客と第2の乗客とが知人関係にある場合には、移動体10を利用して移動している最中に第1の乗客と第2の乗客とが会話をする可能性が高い。仮に、互いに知人関係にある第1の乗客と第2の乗客との間に第1のパーテーション251が展開されると、第1の乗客と第2の乗客との会話が第1のパーテーション251によって阻害されるおそれがある。
【0051】
そこで、本実施形態では、上述したように、第1の乗客と第2の乗客とが知人関係にある場合には、第1のパーテーション251の展開を制限する。このようにすれば、第1の乗客と第2の乗客との会話が遮蔽装置24によって阻害されることを防止することができる。
【0052】
会話有無判定部60は、第1の乗客と第2の乗客とが会話していない状態が所定時間以上継続しているか否かを判定する。会話有無判定部60は、例えば撮像データ取得部46によって取得された撮像データに基づいて、第1の乗客と第2の乗客とが会話しているか否かを判定する。第1の乗客と第2の乗客とが会話していない場合には、会話有無判定部60は、第1の乗客と第2の乗客とが会話していない状態が所定時間以上継続しているか否かをさらに判定する。会話有無判定部60は、例えば移動体10が所定の移動状態(巡航状態)に遷移した後に、第1の乗客と第2の乗客とが会話していない状態が所定時間以上継続しているか否の判定を行い得るが、これに限定されない。なお、マイクロフォン等の音センサが客室14に備えられてもよい。その場合には、会話有無判定部60は、音センサの検出信号に基づいて、第1の乗客と第2の乗客とが会話していない状態が所定時間以上継続しているか否かを判定してもよい。
【0053】
上述した展開制限部58は、第1の乗客と第2の乗客とが会話していない状態が所定時間以上継続している場合には、パーテーション制御部54による第1のパーテーション251の展開を許容する。
【0054】
これにより、第1の乗客と第2の乗客とが知人関係にある場合であっても、第1の乗客と第2の乗客との間に第1のパーテーション251が展開される。
【0055】
例えば、第1の乗客と第2の乗客とのうちの少なくとも一方が、会話をせずに仮眠する場合があり得る。このような場合には、第1の乗客と第2の乗客とが知人関係にあっても、第1のパーテーション251によってプライベート空間を形成することが好ましい。これにより、リラックスしやすい環境が第1の乗客と第2の乗客とに提供される。
【0056】
また、第1の乗客と第2の乗客とのうちの少なくとも一方が、会話をせずにパソコン、スマートフォン等を用いて作業する場合があり得る。このような場合には、第1の乗客と第2の乗客とが知人関係にあっても、第1のパーテーション251によってプライベート空間を形成することが好ましい。これにより、作業に集中しやすい環境が第1の乗客と第2の乗客とに提供される。
【0057】
なお、上述した関係把握部56は、会話有無判定部60による判定の結果を用いて、第1の乗客と第2の乗客との関係を把握してもよい。すなわち、上述したように、会話有無判定部60は、撮像データに基づいて、第1の乗客と第2の乗客とが会話しているか否かを判定することができる。第1の乗客と第2の乗客とが会話していることが撮像データに基づいて把握される場合には、関係把握部56は、第1の乗客と第2の乗客とが知人関係にあると判定してもよい。
【0058】
年齢判定部62は、第1の乗客の年齢と、第2の乗客の年齢とのうちの少なくとも一方があらかじめ決められた年齢閾値以下であるか否かを判定する。第1の乗客の年齢は、例えば第1の乗客情報に基づいて把握される。第2の乗客の年齢は、例えば第2の乗客情報に基づいて把握される。年齢判定部62は、例えば第1の乗客と第2の乗客とのうちの少なくとも一方が未成年であるか否かを判定するが、これに限定されない。
【0059】
上述した展開制限部58は、第1の乗客の年齢と第2の乗客の年齢とのうちの少なくとも一方があらかじめ決められた年齢閾値以下である場合には、パーテーション制御部54による第1のパーテーション251の展開を制限する。
【0060】
これにより、第1の乗客の年齢と、第2の乗客の年齢とのうちの少なくとも一方があらかじめ決められた年齢閾値以下である場合には、第1のパーテーション251が自動で展開されない。このようにすれば、例えば第1の乗客と第2の乗客とのうちの少なくとも一方が子どもである場合に、当該子どもを保護者が監視しやすい。
【0061】
図5は、パーテーション25の制御方法を示すフローチャートである。当該制御方法は、記憶部42によって記憶されているプログラムを演算部44が実行することによって実現され得る。
【0062】
本実施形態に係るパーテーション25の制御方法は、着座判定ステップS1と、移動状態判定ステップS2と、年齢判定ステップS3と、関係把握ステップS4と、会話有無判定ステップS5と、展開制限ステップS6と、パーテーション制御ステップS7とを含む。パーテーション25の制御方法が開始(START)される段階において、第1のパーテーション251は展開されていない。すなわち、第1のパーテーション251の制御方法が開始される段階において、遮蔽装置24は図3に示す状態である。
【0063】
着座判定ステップS1では、着座判定部50が、第1の座席201に第1の乗客が着座し、且つ第2の座席202に第2の乗客が着座しているか否かを判定する。
【0064】
第1の座席201に第1の乗客が着座し、且つ第2の座席202に第2の乗客が着座している場合には、移動状態判定ステップS2が開始される。第1の座席201と第2の座席202とのうちの少なくとも一方が空席である場合には移動状態判定ステップS2以降を実行する必要がないので、図5の制御方法はそのまま終了する。
【0065】
移動状態判定ステップS2では、移動体10が所定の移動状態に遷移したか否かを、移動状態判定部52が判定する。上述したように、所定の移動状態は、例えば巡航状態である。
【0066】
移動体10が所定の移動状態に遷移した場合には、年齢判定ステップS3が開始される。移動体10が所定の移動状態に遷移していない場合には、移動体10が所定の移動状態に遷移するまで移動状態判定ステップS2が繰り返される。
【0067】
年齢判定ステップS3では、第1の乗客の年齢と第2の乗客の年齢とのうちの少なくとも一方が年齢閾値以下であるか否かを、年齢判定部62が判定する。
【0068】
第1の乗客の年齢と第2の乗客の年齢とのうちの少なくとも一方の年齢が年齢閾値以下である場合には、展開制限ステップS6が開始される。第1の乗客の年齢と第2の乗客の年齢とが年齢閾値よりも大きい場合には、関係把握ステップS4が開始される。
【0069】
関係把握ステップS4では、関係把握部56が、第1の乗客と第2の乗客との関係を把握する。第1の乗客と第2の乗客とが知人関係にある場合には、会話有無判定ステップS5が開始される。第1の乗客と第2の乗客とが知人関係にない場合には、パーテーション制御ステップS7が開始される。
【0070】
会話有無判定ステップS5では、第1の乗客と第2の乗客とが会話していない状態が所定時間以上継続しているか否かを、会話有無判定部60が判定する。
【0071】
第1の乗客と第2の乗客とが会話していない状態が所定時間以上継続している場合には、パーテーション制御ステップS7が開始される。第1の乗客と第2の乗客とが会話していない状態が所定時間以上継続していない場合には、展開制限ステップS6が開始される。
【0072】
展開制限ステップS6では、展開制限部58が、遮蔽装置24の展開を制限する。例えば展開制限部58は、後述するパーテーション制御ステップS7において遮蔽装置24が自動で展開されないように、パーテーション制御部54に命令する。展開制限ステップS6の完了後には、パーテーション制御ステップS7が開始される。
【0073】
パーテーション制御ステップS7では、パーテーション制御部54が遮蔽装置24を自動で制御する。展開制限ステップS6が実行されていない場合には、パーテーション制御部54は遮蔽装置24を自動で展開する。展開制限ステップS6が実行されていた場合には、パーテーション制御部54は遮蔽装置24を自動で展開しない。パーテーション制御ステップS7が完了することで、図5に示す制御方法は終了する(RETURN)。
【0074】
[付記]
上述した開示に関し、更に以下の付記を開示する。
【0075】
(付記1)
本開示に係る制御装置(34)は、移動体(10)内に備えられた第1の座席(201)と、前記移動体内に備えられた第2の座席(202)と、前記第1の座席と前記第2の座席との間に位置するとともに展開可能なパーテーション(25)とを備えた前記移動体の前記パーテーションを制御する制御装置(34)であって、前記移動体が所定の移動状態に遷移したか否かを判定する移動状態判定部(52)と、前記移動体が前記所定の移動状態に遷移したことが前記移動状態判定部によって判定された場合に前記パーテーションを自動で展開するパーテーション制御部(54)と、を備える。これにより、移動体に備えられるパーテーションを好適に制御することができる。
【0076】
(付記2)
付記1に記載の制御装置であって、前記所定の移動状態は、巡航状態でもよい。これにより、移動体が巡航状態に遷移した場合に、パーテーションを自動で展開することができる。
【0077】
(付記3)
付記1または付記2に記載の制御装置は、前記第1の座席に着座する第1の乗客と、前記第2の座席に着座する第2の乗客との関係を把握する関係把握部(56)と、前記関係把握部によって把握された前記関係に基づいて、前記パーテーション制御部による前記パーテーションの展開を制限する展開制限部(58)と、をさらに備えてもよい。これにより、乗客同士が知人関係にある場合には、パーテーションの展開が制限される。
【0078】
(付記4)
付記3に記載の制御装置であって、前記第1の乗客に関する第1の乗客情報と、前記第2の乗客に関する第2の乗客情報とが、乗客情報記憶部(38)にあらかじめ記憶されており、前記関係把握部は、前記乗客情報記憶部から取得される前記第1の乗客情報と前記第2の乗客情報とに基づいて、前記関係を把握してもよい。
【0079】
(付記5)
付記3または付記4に記載の制御装置であって、前記移動体内を撮像する撮像装置(22)が前記移動体に備えられており、前記関係把握部は、前記撮像装置によって取得される撮像データに基づいて、前記関係を把握してもよい。
【0080】
(付記6)
付記3~付記5のいずれか1つに記載の制御装置であって、前記第1の乗客と前記第2の乗客とが会話していない状態が所定時間以上継続しているか否かを判定する会話有無判定部(60)をさらに備え、前記展開制限部は、前記第1の乗客と前記第2の乗客とが会話していない状態が前記所定時間以上継続していることが前記会話有無判定部によって判定された場合に、前記パーテーション制御部による前記パーテーションの展開を許容してもよい。これにより、乗客同士が知人関係にあっても、会話が行われていない場合には、パーテーションが展開される。
【0081】
(付記7)
付記3~付記6のいずれか1つに記載の制御装置であって、前記展開制限部は、前記第1の座席に着座する第1の乗客の年齢と、前記第2の座席に着座する第2の乗客の年齢とのうちの少なくとも一方があらかじめ決められた年齢閾値以下である場合に、前記パーテーション制御部による前記パーテーションの展開を制限してもよい。これにより、例えば子どもを周囲の大人が監視しやすくなる。
【0082】
(付記8)
付記1~付記7のいずれか1つに記載の制御装置であって、前記パーテーション制御部は、前記第1の座席と前記第2の座席とのうちの少なくとも一方が空席である場合には前記パーテーションを自動で展開しなくてもよい。これにより、パーテーションが無駄に展開されることが防止される。
【0083】
(付記9)
本開示に係る制御装置(34)は、移動体(10)内に備えられた第1の座席(201)と、前記移動体内に備えられた第2の座席(202)と、前記第1の座席と前記第2の座席との間に位置するとともに開閉可能なパーテーション(25)とを備えた前記移動体の前記パーテーションを制御する制御装置(34)であって、前記第1の座席に着座する第1の乗客と、前記第2の座席に着座する第2の乗客との関係を把握する関係把握部(56)と、前記関係把握部によって把握された前記関係に基づいて前記パーテーションを自動で制御するパーテーション制御部(54)と、を備える。これにより、移動体に備えられるパーテーションを好適に制御することができる。
【0084】
(付記10)
本開示に係る移動体(10)は、付記1~付記9のいずれか1つに記載の制御装置を備える。制御装置は、移動体に備えられるパーテーションを好適に制御することができる。
【0085】
(付記11)
本開示に係る制御方法は、移動体(10)内に備えられた第1の座席(201)と、前記移動体内に備えられた第2の座席(202)と、前記第1の座席と前記第2の座席との間に位置するとともに開閉可能なパーテーション(25)とを備えた前記移動体の前記パーテーションを制御する制御方法であって、前記移動体が所定の移動状態に遷移したか否かを判定する移動状態判定ステップ(S2)と、前記移動体が前記所定の移動状態に遷移した場合に実行され、前記パーテーションを自動で開閉するパーテーション制御ステップ(S7)と、を含む。これにより、移動体に備えられるパーテーションを好適に制御することができる。
【0086】
なお、本発明は、上述した開示に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得る。
【符号の説明】
【0087】
10…移動体
22…撮像装置
24…遮蔽装置
25…パーテーション
34…制御装置
38…乗客情報記憶部
52…移動状態判定部
54…パーテーション制御部
56…関係把握部
58…展開制限部
60…会話有無判定部
201…第1の座席
202…第2の座席
図1
図2
図3
図4
図5