(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024111383
(43)【公開日】2024-08-19
(54)【発明の名称】整髪装置
(51)【国際特許分類】
A45D 4/12 20060101AFI20240809BHJP
A45D 20/12 20060101ALI20240809BHJP
【FI】
A45D4/12
A45D20/12 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023015835
(22)【出願日】2023-02-06
(71)【出願人】
【識別番号】513092958
【氏名又は名称】株式会社DIC
(74)【代理人】
【識別番号】100136630
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 祐啓
(74)【代理人】
【識別番号】100201514
【弁理士】
【氏名又は名称】玉井 悦
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 照男
【テーマコード(参考)】
3B040
【Fターム(参考)】
3B040CH00
(57)【要約】
【課題】頭髪を乾燥させながら、パーマヘアの自然なウェーブを保持可能な整髪装置を提供する。
【解決手段】使用者が手に持つハンドル4と、頭髪Hを把持するための一対の把持部である第1,2把持部2,3と、第1,2把持部2,3の間隙に熱風を送る送風器5と、を備える。第1,2把持部2,3は、各々、複数の櫛歯Kよりなる櫛歯列である第1,2櫛歯列21,31を有する。第1,2把持部2,3は、各々、頭髪Hを巻き取り可能な曲面22,32を有する。第1把持部2の曲面22は冷風を流出させる小孔23を有し、第2把持部3の曲面32は熱風を流出させるスリット孔33を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者が手に持つハンドルと、頭髪を把持するための一対の把持部と、前記一対の把持部の間隙に熱風を送る送風手段と、を備え、
各々の前記把持部が、複数の櫛歯よりなる櫛歯列を含むことを特徴とする整髪装置。
【請求項2】
前記把持部が、頭髪を巻き取り可能な曲面を含み、
前記曲面が、冷風を吹き出す冷風吹出部と、熱風を放出する温風吹出部と、を含む、請求項1に記載の整髪装置。
【請求項3】
一対の前記把持部のうち少なくともひとつが、前記冷風を流す冷風路を含む、請求項1に記載の整髪装置。
【請求項4】
前記把持部が閉鎖状態の場合に、側面視において、一の前記把持部の櫛歯列の歯先と他の前記把持部の歯先とが互い違いに配置される、請求項1に記載の整髪装置。
【請求項5】
前記把持部が閉鎖状態の場合に、一の前記把持部の櫛歯列の列間に、他の前記把持部の櫛歯列が配置される、請求項1に記載の整髪装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、頭髪を乾燥させたり整形したりするための家庭用又は業務用の整髪装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の整髪装置として、従来、熱風により頭髪を乾かすヘアードライヤーが知られている。例えば、特許文献1のヘアードライヤーは、イオン発生器を内蔵し、使用時に熱風吹出口からマイナスイオンを放出し、使用者の頭皮や顔面に湿潤効果を与えるように構成されている。また、引用文献2のブラシ付ヘアドライヤーは、ドライヤーの空気吹出口にブラシを取り付け、頭髪の乾燥とスタイリングを同時に行うことができるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-166932号公報
【特許文献2】特願2017-145087号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、従来のヘアードライヤーによると、広範囲の頭髪に熱風を吹き付けているので、頭髪を乾燥させることはできるものの、頭髪を所望のスタイルに整えることが難しいという問題があった。また、ブラシ付ヘアドライヤーによると、ブラシによりパーマヘアの複雑なウェーブが均一に梳かされ、自然なウェーブの形状が失われてしまうという問題があった。
【0005】
そこで、本発明の目的は、頭髪を乾燥させながら、パーマヘアの自然なウェーブを保持可能な整髪装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の整髪装置は、以下の特徴を備える。
(1)使用者が手に持つハンドルと、頭髪を把持するための一対の把持部と、一対の把持部の間隙に熱風を送る送風手段と、を備え、各々の把持部が、複数の櫛歯よりなる櫛歯列を含むこと。
【0007】
(2)(1)において、把持部が、頭髪を巻き取り可能な曲面を含み、曲面が、冷風を流出させる冷風吹出部と、熱風を流出させる熱風吹出部と、を含むこと。
【0008】
(3)(1)又は(2)において、一対の把持部のうち少なくともひとつが、冷風を流す冷風路を含むこと。
【0009】
(4)(1)~(3)において、把持部が閉鎖状態の場合に、側面視において、一の把持部の櫛歯列の歯先と他の把持部の歯先とが互い違いに配置されること。
【0010】
(5)(1)~(4)において、把持部が閉鎖状態の場合に、一の把持部の櫛歯列の列間に、他の把持部の櫛歯列が配置されること。
【発明の効果】
【0011】
本発明の整髪装置によれば、櫛歯列により頭髪を把持し、一対の把持部の間隙に熱風を送ることにより、整髪作業を簡単かつ能率よく実施できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態を示す整髪装置の外観斜視図である。
【
図2】
図1の整髪装置の(a)平面図、(b)側面図である。
【
図3】(a)B-B線断面図、(b)C-C線断面模式図、(c)D-D線断面模式図である。
【
図4】(a)把持部が開放状態の場合の櫛歯列の側面模式図、(b)把持部が閉鎖状態の場合の櫛歯列の側面模式図、(c)把持部が閉鎖状態の場合の櫛歯列の平面模式図である。
【
図5】熱風(二重線矢印)、及び、冷風(矢印)の流れを示す、(a)A-A線断面模式図図、(b)B-B線端面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明による整髪装置をヘアードライヤーに具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0014】
図1~
図3に示すように、ヘアードライヤー1は使用者が手に持つハンドル4を備え、ハンドル4の基端には空気取込口46が形成され、ハンドル4の先端には頭髪Hを把持する一対の把持部(第1,2把持部2,3)と、第1,2把持部2,3の間隙に向けて熱風を吹き出す第1熱風吹出口44(
図5参照)とが設けられている。
【0015】
ハンドル4は、本体部45と、本体部45に向けて開閉される開閉部材41とを備え、本体部45の先端に第1把持部2、開閉部材41の先端に第2把持部3が設けられている。本体部45と開閉部材41との間には、開閉部材41を開く方向へ付勢するためのスプリング等の弾性部材(図示なし)が介装され、使用者が手でハンドル4を開閉部材41ごと握ったときに、スプリングの弾性に抗して第1,2把持部2,3が閉鎖状態となり(
図2(b)参照)、使用者が手を開いたときに、スプリング自身の弾性によって第1,2把持部2,3が開放状態となる(
図1参照)。
【0016】
ハンドル4の内部には、送風器5と、コイルヒータ6(
図5参照)と、熱風HWを流す熱風路43と、冷風を流す第1冷風路42とが設けられている。熱風路43は熱風吹出口44と接続され、第1冷風路42は第1把持部2の第2冷風路24(
図5参照)と接続されている。また、熱風路43は筒状に設けられ、第1冷風路42は、熱風路43の外周の少なくとも一部を包囲する断面円弧状に設けられている。第1冷風路42で熱風路43の少なくとも一部を包囲することにより、熱風路43の熱から使用者の手を保護することができる。ハンドル4の外面には、送風器5及びコイルヒータ6の運転及び停止を切り替えるためのスイッチ(図示無し)が設けられている。
【0017】
第1,2把持部2,3は、各々、外周面に円弧面を有する断面円弧状に形成されている。第1,2把持部2,3は、表面に頭髪Hを巻き取り可能な曲面22,32を備え、第1,2把持部2,3を閉鎖状態にすると、全体として断面が略楕円形となるように構成されている。このため、頭髪Hを把持し、第1,2把持部2,3を軸回りに回転させると、外周面の円弧面に沿って頭髪Hを巻き取りつつ乾燥させることができる。
【0018】
第1把持部2は、内部に冷風を流す第2冷風路24と、第2冷風路24内の冷風を曲面22から吹き出す冷風吹出部としての複数の小孔23とを有する。小孔23は、曲面22上において、第1把持部2の長手方向に沿って両側部及び底部に列設されている。また、第2把持部3は、熱風吹出口44から吹き出された熱風を曲面32から吹き出す第2熱風吹出部としての複数のスリット孔33を有する。スリット孔33は、曲面32上において、第2把持部3の長手方向に沿って2列に形成されている。
【0019】
第1,2把持部2,3は、各々、複数の櫛歯Kよりなる第1,2櫛歯列21,31を有する。この実施例では、第1把持部2の第1櫛歯列21を2列、第2把持部3の第2櫛歯列を3列としているが、各々、適宜列数を変更することが可能である。第1,2把持部2,3の材質は、アルミニウム等の金属材料又は耐熱プラスチック材料を好ましく選択することができる。第1,2櫛歯列21,31の先端には、頭皮を保護するためのキャップ7が装着されている。
【0020】
第1櫛歯列21は、帯状のプレートの両側部に山形櫛歯Kを形成し、帯幅中間位置にてU字形状に折り返して2列の櫛歯列としたものである。第1櫛歯列21には、熱風を通過させる開口部21aが形成されている。第2櫛歯列31は、帯状のプレートの両側部に山形櫛歯Kを形成し、帯幅中間位置にてU字形状に折り返して2列の櫛歯列を設け、該2列の櫛歯列の中間に3列目の櫛歯列を立設したものである。第2櫛歯列31には、熱風を通過させる開口部31aが形成されている。開口部31aは、平面視においてスリット孔33と略同位置、かつ、略相似形状に設けられていることが好ましい。
【0021】
図4(b),(c)に示すように、第1,2櫛歯列21,31は、第1,2把持部2,3が閉鎖状態の場合に、側面視において、第1,2櫛歯列21,31の歯先K1,K2が互い違いとなるように配置され、また、第1櫛歯列21の列間に第2櫛歯列31が配置されるとともに、第2櫛歯列31の列間に第1櫛歯列21が配置されるように設けられている。
【0022】
図5,6に示すように、上記ヘアードライヤー1を用いて頭髪Hを乾かす場合には、まず、スイッチをONにし、送風器5とコイルヒータ6に通電し、コイルヒータ6により熱風吹出口44より上流側のハンドル4内で熱風(二重線矢印)を作り、この熱風を送風器5で熱風路43に送り込む。熱風は、熱風吹出口44から第1,2把持部2,3の間隙に向けて吹き出す。同時に、コイルヒータ6を介さない冷風(矢印)を、送風器5で第1冷風路42に送り込む。冷風は、第1把持部2内の第2冷風路24に流入する。
【0023】
次に、第1,2把持部2,3を開放状態で頭髪Hの付け根近くまで差し込み、一梳き分の頭髪Hを第1,2把持部2,3の間に配置する。続いて、ハンドル4を握り、第2把持部3を第1把持部2に向けて綴じ、頭髪Hを第1,2把持部2,3の間に挟み、熱風吹出口44からの熱風で乾かす。このとき、ハンドル4を操作して、第1,2把持部2,3を頭髪Hの付け根から先端に向けて移動させることで、頭髪H全体を乾燥させることができる。
【0024】
このとき、手首を回転させ、曲面22,32に頭髪Hを巻き取ると、頭髪Hが曲面22,32を移動する際に、熱風を吹き出すスリット孔33と、冷風を吹き出す小孔23とを交互に経由する。頭髪Hは、熱を与えることによって形状が変化し、急速に冷ますことによって形状が定着する。このため、美しいカールやウェーブを容易に加工できるとともに、例えば、頭髪Hの付け根部を頭皮から起立させ、頭髪H全体を豊かなボリュームで短時間かつ均一に仕上げることができる。
【0025】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、各部の構成を適宜変更して実施することも可能である。例えば、送風器5及びコイルヒータ6をハンドル4の外部に設けることも可能である。給電については、ハンドル4の内部に充電池を設けること、又は、外部電源から電力を供給することが可能である。
【0026】
さらに、第1,2櫛歯列21,31を、各々、長手方向にスライド移動可能に設けることができる。この場合には、例えば、第1櫛歯列21を第1把持部2の基端側にスライド移動させ、同時に、第2櫛歯列31を第2把持部3の先端側にスライド移動させることができる。スライド幅は、各々、7mm程度とすることが好ましい。このように構成することにより、斜めのカールが形成され、ふくらみ過ぎない、適度にボリュームを抑えたシルエットのヘアスタイルを作ることが可能となる。
【符号の説明】
【0027】
1 ヘアードライヤー
2 第1把持部
3 第2把持部
4 ハンドル
5 送風器
6 コイルヒータ
7 キャップ
21 第1櫛歯列
22 曲面
23 小孔
24 第2冷風路
31 第2櫛歯列
32 曲面
33 スリット孔
41 開閉部材
42 第1冷風路
43 熱風路
44 熱風吹出口
45 本体部
46 空気取込口
K 櫛歯