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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024111388
(43)【公開日】2024-08-19
(54)【発明の名称】吸着グリッパおよび登攀ロボット
(51)【国際特許分類】
   B25J 15/00 20060101AFI20240809BHJP
【FI】
B25J15/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023015844
(22)【出願日】2023-02-06
(71)【出願人】
【識別番号】504133110
【氏名又は名称】国立大学法人電気通信大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000062
【氏名又は名称】弁理士法人第一国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木村 航平
(72)【発明者】
【氏名】柿沼 龍
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707DS03
3C707ES03
3C707EU02
3C707FS01
3C707FT02
(57)【要約】
【課題】本発明では、可撓性を有する吸着部を用いて把持対象物を密着して固定するとともに、剛性を有する把持部で物体を把持して揺れを抑えることが可能な装置を提供することを目的とする。
【解決手段】代表的な本発明の吸着グリッパの一つは、可撓性を有する吸着部と、剛性を有する把持部と、を備え、前記把持部は、第1の指部及び第2の指部とを有し、前記吸着部は、前記第1の指部および前記第2の指部の間に形成される把持領域に配置されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性を有する吸着部と、
剛性を有する把持部と、を備え、
前記把持部は、第1の指部及び第2の指部とを有し、
前記吸着部は、前記第1の指部および前記第2の指部の間に形成される把持領域に配置されている
吸着グリッパ。
【請求項2】
請求項1に記載の吸着グリッパにおいて、
前記吸着部は、吸盤である
吸着グリッパ。
【請求項3】
請求項1に記載の吸着グリッパにおいて、
前記第1の指部および前記第2の指部の根本部は、平歯車を備えており、
前記第1の指部および前記第2の指部は、前記平歯車の噛み合いにより、相互に連動して開閉する
吸着グリッパ。
【請求項4】
請求項3に記載の吸着グリッパにおいて、
前記第1の指部の前記根本部は、前記第2の指部の前記根本部よりも前記把持部の先端側に位置する
吸着グリッパ。
【請求項5】
請求項1に記載の吸着グリッパにおいて、
前記吸着部の吸着面は、前記吸着部が対象物に向けて進行する方向に対して直交する面と傾斜をつけて配置される
吸着グリッパ。
【請求項6】
請求項5に記載の吸着グリッパにおいて、
前記把持部は、前記第1の指部及び前記第2の指部の先端が、進行する方向に対して前記吸着部の前記吸着面よりも、後方まで開閉する
吸着グリッパ。
【請求項7】
請求項1の吸着グリッパにおいて、
前記吸着部を変形させる着脱部を備え、
前記着脱部は、前記吸着部を引っ張ることで変形させる
吸着グリッパ。
【請求項8】
請求項6の吸着グリッパにおいて、
前記第1の指部と前記第2の指部の先端に配置された滑り止め部を備え、
前記第1の指部と前記第2の指部は、前記吸着部の干渉を防ぐ空隙部と、を有し、
吸着グリッパ。
【請求項9】
請求項1に記載の吸着グリッパにおいて、
前記把持部と前記吸着部とで対象物を把持する
吸着グリッパ。
【請求項10】
請求項1の吸着グリッパにおいて、
前記第1の指部及び前記第2の指部は、凹凸に引っ掛ける爪部を有する
吸着グリッパ。
【請求項11】
請求項1の吸着グリッパを少なくとも1個と、個々の吸着グリッパを独立して制御する制御部を備える登攀ロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸着グリッパおよび吸着グリッパを組み合わせた登攀ロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、様々なロボットの普及に伴い、ロボットが把持する対象物の範囲も広がりを見せている。そうした中で、ロボットが把持する対象物の表面形状や特性に合わせて、様々な吸着式ロボットハンドが提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1では、以下のように、ロボットハンドを横向きに使用してもワークの把持を正確に行うことができる形状自在な吸着グリッパが開示されている。
「一端に受圧面11aを有する固定部材11と、受圧面11aに密着して取り付けられ、内部に粒体12bを充填させた可撓性かつ気密性の中空バッグ12aを有する把持部12と、中空バッグ12aを横向きにした場合において、中空バッグ12aを鉛直下方向から支え、かつ、固定部材11に接続されている自重支え12cと、中空バッグ12a内の圧力を所定負圧に減圧しかつ大気圧に戻すことができる減圧装置9とを有しており、中空バッグ12aは、ワーク6の受圧面11aに対向する面に対して押し付ける押付力によって、その接触部分におけるワークの形状にならうようになっている。」
【0004】
また、ロボットハンドについて、物体を正確に把持するために、物体の位置および形状に応じて物体を把持する方法を決定する物体の把持方式も提案されている。
【0005】
例えば、特許文献2では、以下の二次元視覚センサを備え、マニピュレータの操作により空間での位置および姿勢が任意に可変である平行グリッパによる物体の把持方式が開示されている。
「平行グリッパから物体までの距離測定用プローブおよび平行グリッパ中心線上に配置された二次元視覚センサを備え、マニプレータに取付けられていて該マニプレータの操作により空間での位置および姿勢が任意に可変である平行グリッパによる物体の自動把持方式であって、二次元視覚センサによってとらえた物体の画像の輪郭線抽出により物体の各面を検出してこれにラベリングし、距離測定用プローブで測定した物体までの距離を一定に保ちつつ平行グリッパの位置を変化させて該ラベリングされた各面の二次元視覚センサでとらえた面積が最大となるような平行グリッパ装置を検知することにより物体の各面の法線方向を検出し、距離測定用プローブで測定した物体までの距離および二次元視覚センサでとらえた上記法線方向から見た各面の形状・面積から各面の重心を通る法線の周りの慣性モーメントを算出してその慣性モーメントの最小な平行二面を決定し、平行グリッパの把持方向が該慣性モーメントの最小な平行二面の法線方向と合致するように平行グリッパの姿勢を保ちつつ平行グリッパを物体に接近させて該慣性モーメントの最小な平行二面で物体を把持することを特徴とする物体自動把持方式。」
【0006】
さらに、把持した物体を安定させるため、柔軟な吸着部を指先に持つフィンガーを備えたロボット・ハンド装置も提案されている。
【0007】
例えば、特許文献3では、以下の吸盤部を指先に持つフィンガーを備えたロボット・ハンド装置が開示されている。
「吸着部を有する少なくとも2つ以上のフィンガーを有するハンドと、前記フィンガーを制御し吸着部を各々対象とする物体の適正な位置及び角度に当るように位置及び向きを制御するコントローラとを具備することを特徴とするロボット・ハンド装置。」
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2012-236239号公報
【特許文献2】特開昭61-182786号公報
【特許文献3】特開平01-016388号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Y. Guan、 L. Jiang、 H. Zhu、 W. Wu、 X. Zhou、 H. Zhang、 and X. Zhang、“Climbot:a bio-inspired modular biped climbing robot-system development、 climbing gaits、and experiments、” Journal of Mechanisms and Robotics、 vol. 8、 no. 2、 2016.
【非特許文献2】T. Bandyopadhyay、 R. Steindl、 F. Talbot、 N. Kottege、 R. Dungavell、 B. Wood、J. Barker、 K. Hoehn、 and A. Elfes、 “Magneto: A versatile multi-limbed inspection robot、” in 2018 IEEE/RSJ International Conference on Intelligent Robots and Systems(IROS). IEEE、 2018、 pp. 2253-2260.
【非特許文献3】K. Hashimoto、 S. Kimura、 N. Sakai、 S. Hamamoto、 A. Koizumi、 X. Sun、 T.Matsuzawa、 T. Teramachi、 Y. Yoshida、 A. Imai et al.、“Warec-1-a four-limbed robot having high locomotion ability with versatility in locomotion styles、” in 2017 IEEE International Symposium on Safety、 Security and Rescue Robotics (SSRR). IEEE、2017、 pp. 172-178.
【非特許文献4】M. Hermes、 T. McLaughlin、 M. Luhar、 and Q. Nguyen、 “Locomotion and control of a friction-driven tripedal robot、” in 2021 IEEE International Conference onRobotics and Automation (ICRA). IEEE、 2021、 pp. 2170-2176.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、特許文献1のように減圧装置を用いてワークを把持するロボットハンドを用いて把持を行う場合、対象物の形状によっては吸着可能な面を十分に確保することができないとの課題がある。
また、特許文献2のように物体の位置および形状に応じて把持方法を決定する場合、対象物の位置または形状によっては、最適な把持方法を決定するデータがない場合があり、このような場合には、最適な把持方法の決定が難しい可能性がある。
さらに、特許文献3のように吸着部を指先に持つフィンガーでは、対象物の形状に応じて柔軟に吸着することが可能であるが、把持を解除する際に多くの吸着部において、吸着を解除することに工数を要するとの課題がある。
【0011】
また、従来の技術では、把持対象物が把持動作中にぐらつき(揺れ)易い場合への対応については十分検討がなされていない。
【0012】
そこで、本発明では、可撓性を有する吸着部を用いて把持対象物を密着して固定するとともに、剛性を有する把持部で物体を把持して揺れを抑えることが可能な装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を解決するために、代表的な本発明の吸着グリッパの一つは、可撓性を有する吸着部と、剛性を有する把持部と、を備え、前記把持部は、第1の指部及び第2の指部とを有し、前記吸着部は、前記第1の指部および前記第2の指部の間に形成される把持領域に配置されている。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、可撓性を有する吸着部を用いて把持対象物を密着して固定するとともに、剛性を有する把持部で物体を把持することで揺れを抑えることが可能な吸着グリッパを提供することができる。
上記した以外の課題、構成および効果は、以下の発明を実施をするための形態における説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、吸着グリッパの指部を開いた側面の一例を示す図である。
図2図2は、吸着グリッパの指部を閉じた側面の一例を示す図である。
図3図3は、吸着グリッパの指部を開いた正面の一例を示す図である。
図4図4は、取付部の構成の一例を示す図である。
図5図5は、取付部の構成の一例を示す図である。
図6図6は、着脱部の構成の一例を示す図である。
図7図7は、吸着グリッパが対象物に把持する方法を示すフローチャートである。
図8図8は、吸着グリッパが対象物を開放する方法を示すフローチャートである。
図9図9は、登攀ロボットの構成の一例を示す図である。
図10図10は、登攀ロボットの構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではない。また、図面の記載において、同一部分には同一の符号を付して示している。
同一あるいは同様の機能を有する構成要素が複数ある場合には、同一の符号に異なる添字を付して説明する場合がある。また、これらの複数の構成要素を区別する必要がない場合には、添字を省略して説明する場合がある。
図面において示す各構成要素の位置、大きさ、形状、範囲などは、発明の理解を容易にするため、実際の位置、大きさ、形状、範囲などを表していない場合がある。このため、本発明は、必ずしも、図面に開示された位置、大きさ、形状、範囲などに限定されない。
【0017】
また、本開示においては、吸着グリッパが対象物に向かう方向を「X軸方向」とし、X軸に直行する面の内、吸着グリッパの指部が開閉する面と直行する方向を「Y軸方向」とする。さらに、X軸及びY軸に直行する方向を「Z軸方向」ということがある。
【0018】
なお、Z軸方向の距離を「厚み」と称し、X軸方向とY軸方向で規定されるXY平面上の距離を「幅」と称することもある。
【0019】
[第1実施形態]
まず、図1図5を参照して、第1実施形態の吸着グリッパ100について説明する。
図1は、吸着グリッパ100の指部を開いた側面の一例を示す図であり、Z軸のマイナス方向から吸着グリッパ100の全体を視認した状態を示している。
吸着グリッパ100は、対象物を把持する把持部120と、対象物に密着する吸着部110と、吸着部110を密着状態から着脱する着脱部130と、を備える。
【0020】
以下、図1を参照して、吸着グリッパ100の構成要素について、順次説明する。
<把持部>
把持部120は、対象物を2方向から挟持する把持ハンドとして機能する。
把持部120は、剛性を有し、把持する対象物を挟み込む第1の指部121と、第1の指部121の動きに連動する第2の指部122と、これら第1の指部121及び第2の指部122を駆動する指駆動部123と、を有する。
本実施形態では、指部は2つで構成されているが、指部の数は2に限定されない。例えば、対象物の重量等に応じて指部を3以上設けることもできる。
【0021】
第1の指部121および第2の指部122は、把持する対象物を挟み込むことによって把持する機能を有する。
第1の指部121および第2の指部122が、対象物を挟み込むようにして把持する際には、第1の指部121と第2の指部122指部の一部が対象物に接することで対象物を把持することでよい。
なお、第1の指部121および第2の指部122が対象物と接する領域には、滑り止め部127を設けることができる。
第1の指部121および第2の指部122の先端付近に滑り止め部127を取り付けることにより、第1の指部121および第2の指部122は、把持する対象と直接的に接する部分の摩擦力を増加させ、把持力を向上させることができる。
【0022】
さらに、第1の指部121および第2の指部122の先端には、滑り止め部127以外の機構を取り付けてもよい。
例えば、第1の指部121および第2の指部122は、対象物の形状に応じて、凹凸に引っ掛ける爪部(図示しない)を先端に取り付けてもよいし、対象物の大きさ形状に合わせた爪部を設置することにより、対象物に応じた把持を実現することができる。
【0023】
第1の指部121は、指駆動部123と接する部分の近傍である第1の根本部124の外周に平歯車が形成されている。同様に第2の指部122も、指駆動部123と接する部分の近傍である第2の根本部126の外周に平歯車が形成されている。
【0024】
第1の根本部124の平歯車と、第2の根本部126の平歯車は、互いに噛み合い、相互に連動して、第1の指部121及び第2の指部122が開閉するように作動する。
第1の指部121および第2の指部122の開閉の程度は、対象物を把持することができる程度に閉じ、後述する吸着部110の吸着面よりもX軸のマイナス方向、つまり、吸着部110の吸着面よりも後方まで後退できる程度に開くことができればよい。
【0025】
また、第1の根本部124の回転の中心は、第2の根本部126の回転の中心よりも、X軸方向でプラス側に配置されている。このように第1の根本部124の回転の中心と第2の根本部126の回転の中心をX軸方向にずらすことによって、吸着グリップのY軸方向の寸法を小型化することを可能にしている。
なお、同様の効果を奏するために、第1の根本部124の回転の中心が、第2の根本部126の回転の中心よりもX軸方向でマイナス側に配置することとしてもよいことはいうまでもない。
【0026】
<指駆動部>
指駆動部123は、吸着グリッパ100の開閉をする機構であるが、同時に、吸着部110と、後述する着脱部130を把持部120に固定する基体部としても機能する。
指駆動部123の駆動部分は、回転駆動軸140が、第1の根本部124に接続されており、回転駆動軸140の回転が第1の根本部124の第1の根本部に伝達されて、第1の根本部124が回転する。これに伴って、平歯車で連結された第2の指部122も回転し、第1の指部121および第2の指部122が開閉動作を行うことができる。つまり、第1の指部121と第2の指部122が、互いに逆方向に回転することで、把持部120は、開閉動作をすることができる。
指駆動部123の駆動部分は、例えば、サーボモータであるが、位置および速度を自動制御できるならばその他の機構であってもよい。
なお、回転駆動軸140は、第1の根本部124ではなく、第2の根本部126に接続させてもよい。その場合は、回転駆動軸140の回転が、まず第2の根本部126の第2の根本部に伝達されて、第2の根本部126が回転し、その結果、平歯車の連動によって第1の指部121も回転することとなる。
さらに、回転駆動軸140は、第1の根本部124と第2の根本部126の双方に同期して接続させてもよい。その場合は、より強い力で第1の指部121および第2の指部122の開閉動作を行うことが可能となり、平歯車の噛み合いによって第1の指部121および第2の指部122の開閉動作を精緻に整合させることができる。
また、第1の指部121および第2の指部122の開閉動作を行う機構は、指駆動部123により、対象物を2方向から挟持するように作動できるものであれば、平歯車の組み合わせ以外のその他の機構を採用してもよい。
【0027】
第1の指部121および第2の指部122は、剛性を有する材料で形成されていることが望ましい。
ここで、剛性とは、対象物を把持する際に、吸着グリッパ100にかかる曲げやねじりの力に対する変形のしにくさを示す。
剛性が低い場合、吸着グリッパ100が対象物を把持すると第1の指部121および第2の指部122が変形する場合がある。
これにより、吸着グリッパ100と対象物との間に隙間が生じ、ガタが起こりやすい。これを防止するため、本実施例の第1の指部121及び第2の指部122は、対象物を把持した場合でも、大きな曲げねじりが生じない材料で形成されることが望ましい。
【0028】
<吸着部>
吸着部110は、第1の指部121と第2の指部122が閉じた時に形成される把持領域125に配置され、例えば、可撓性を有する吸盤で構成することができる。吸着部は対象物に密着できるのならば吸盤以外の構成であってもよい。
なお、吸着部110からX軸のプラス方向を前方、X軸のマイナス方向を後方ということがある。
吸着部110は、ロボットのアームなどにより、前方に存在する対象物に押し付けられることで、対象物に吸着することができる。そして、対象物の表面が滑らかであれば、対象物の表面が曲面、球面であっても自在に形状を適合して確実に吸着して、対象物を固定することができる。
また、吸着部110の大きさは、対象物の形状、重さなどに応じて適宜のものを選択することができるが、吸着部は大きいものの方が吸着力、保持力を高めることができる。
【0029】
<着脱部>
着脱部130は、吸着部110の吸着を解除するための機構であり、把持部120からX軸のマイナス方向に隣接して配置されている。
着脱部130には、着脱駆動部132および回転リンク133が備えられており、着脱駆動部132が回転することによって回転リンク133が回転し、回転リンクの先端に接続された接続索131が吸着部110の端部を引き上げることによって吸着部110の吸着を解除する。なお、着脱部の動作、機構については後に図6を参照して詳述する。
【0030】
次に、図2を参照して、吸着グリッパ100の第1の指部121および第2の指部122が閉じた状態について説明する。
図2は、吸着グリッパ100の指部を閉じた側面の一例を示す図であり、Z軸のマイナス方向から吸着グリッパ100の全体を視認した状態を示している。
図2に示す構造は、図1で説明した吸着グリッパが閉じている点で、図1において説明した点と異なる。このため、以下の説明において、上述した図1における説明と同一又は同等の構成要素については同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。
【0031】
本開示の吸着グリッパは、図2に示すように、第1の指部121と第2の指部122が把持領域125に存在する対象物(図示せず)を挟み込むと同時に、吸着部110が対象物に吸着することによって、対象物を確実に把持することが可能となっている。
第1の指部121のX軸方向の先端が、第2の指部122のX軸方向の先端よりも、X軸方向のプラス位置に存在しているのは、図1において説明したように、第1の根本部124の回転の中心が、第2の根本部126の回転の中心よりも、X軸方向でプラス側に配置されており、第1の指部121および第2の指部122がほぼ同寸法で形成されていることによる。第1の指部121のX軸方向の先端と、第2の指部122のX軸方向の先端の位置を揃えたい場合には、それぞれの指部の寸法を調整すればよい。
また、図2においては、吸着部110のY軸のマイナス方向において、第2の指部122のY軸マイナス方向に突きだしている。これは、吸着部110の大きさが把持領域125よりも大きく、第2の指部122の中央付近に空隙部128(図3参照)が形成されていることによるものである。この点については、次の図3の説明において詳述する。
【0032】
次に、図3を参照して、吸着グリッパ100の第1の指部121および第2の指部122が開いた状態をX軸のプラス方向から視認した状況について説明する。
図3は、吸着グリッパ100の指部を開いた状態の一例を示す図であり、X軸のプラス方向から吸着グリッパ100の全体を視認した状態を示している。
図3に示す構造は、図1で説明した吸着グリッパが開いた状態を、X軸のプラス方向から視認している点で、図1において説明した点と異なる。このため、以下の説明において、上述した図1における説明と同一又は同等の構成要素については同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。
【0033】
第1の指部121および第2の指部122は、X軸プラス方向から視認すると、ともにその先端付近に対象物を保持するための平面部が形成されている。そして、それぞれの根本部が左右対称に配置されている構造となっている。また、平面部のZ軸方向プラス側の端およびマイナス側の両側からは、それぞれの第1の根本部124および第2の根本部に接続される部材が延在している。つまり、図3においては、第1の指部121および第2の指部122は、開いた状況では、X軸プラス方向から視認すると平面部を底とし、Z軸方向のプラス方向およびマイナス方向の2つの根本部の間に空隙部128を挟んだU字型形状となっている。
【0034】
図3に示した形態において、第1の指部121および第2の指部122がU字型形状となっているのは、第1の指部121および第2の指部122が閉じた場合に、第1の指部121および第2の指部122と吸着部110とが干渉しないように考慮したためであり、吸着部110が小さく、第1の指部121および第2の指部122と吸着部110とが干渉しない場合には、空隙部128を設けず、U字型とする必要はない。
なお、図3において、第2の指部122の平面の滑り止め部127は、第1の指部121の滑り止め部127と比較して一部欠落しているが、これは、第2の指部122の空隙部128を十分な大きさで確保するためのものであり、吸着部110との抵触に問題がなければ、このような欠落部を設けることは不要である。
【0035】
また、図3においては、吸着部110が第1の指部121と第2の指部122の間の領域に配置されていることが示されている。そして、吸着部110は、取付部141を介して把持部120に取付けられている。
【0036】
<吸着部の取付構造>
次に、図4を参照して吸着部110が把持部120に取り付けられている構造について説明する。図1の説明において、把持部120の指駆動部123は、吸着グリッパ100の開閉をする機構であるとともに、吸着部110を把持部に固定する基体部としても機能する点を説明した。
本開示の吸着グリッパ100においては、把持部120のZ軸方向の中央部に取付部141が把持部120全体を帯状に取り囲むように配置されている。
図4は、吸着グリッパ100の吸着部110および把持部120を図2と同様に、Z軸のプラス方向から吸着グリッパ100の全体を視認した状態を模式図として示している。
図4において、取付部141のX軸上プラス方向の位置には、吸着部110を取り付けるための取付部天板142が設けられている。
取付部141は、略台形の枠状のフレームであり、直方体状の4枚のフレームを組み合わせた構造であり、略台形状に形成されている。
【0037】
図4(a)では、取付部天板142は、Y軸に平行に配置されているが、図4(b)では、取付部天板142は、Y軸に傾いて配置されている。このため、図4(a)では、吸着部110は、取付部141の底面と平行に取付けられているが、第2の指部122が閉じる際に、第2の指部122と吸着部110が干渉、抵触するおそれがある。
【0038】
これに対して、図4(b)に示した例では、吸着部110が取付部141の底面と傾いて取付けられているため、第2の指部122が閉じる際に、第2の指部122と吸着部110が干渉、抵触することを避けることができる。
さらに、吸着グリッパ100をロボットアームの先端に取り付け、吸着部110を対象物に押し当てて吸着動作を行う場合、吸着部110の吸着面がロボットアームの進行方向と直行する面から傾いて設定されるため、吸着部は、対象物に対して斜めに傾いた状態で接することとなる。これによって、吸着部110は、吸盤内の空気の逃げ道を確保しつつ対象物と密着し、吸着部110と対象物との間に空気が残らないように容易に密着した状態で吸着できることとなる。つまり、空気が残らないことで、吸盤の内部の状態が更に真空状態に近づき、より強く吸着することができる効果がある。
これらの点で、図4(b)に示した、吸着部110が対象物に向けて進行する方向に対して直行する面と傾斜をつけて配置すると、有利な効果を奏することができる。
【0039】
図5は、図4(b)で示した取付部141の構造を示す図である。図5に示すように、取付部141には、内側空間143が設けられているので、この部分に指駆動部123を収容し、把持部120を吸着部110を把持部120に固定する基体部として機能させることができる。
【0040】
<吸着部の着脱機構>
次に、図6を参照して、吸着部110の着脱機構について説明する。
図6は、着脱部130の構成の一例を示す図であり、吸着グリッパ100をY軸プラス方向から視認した場合の概略図である。
着脱駆動部132は、回転リンク133を有する駆動部であり、例えば、サーボモータである。
図6に示した例では、着脱駆動部132は、角度が原点角度θ0にあるときには接続索131が弛緩されるように設定されている。
着脱駆動部132は、回転リンク133を回転駆動させることにより、回転リンク133の角度θが徐々に増大する。回転リンク133の角度θが所定の角度に到達すると、接続索131に張力がかかる構成となっている。
【0041】
一方、吸着部110には、吸着面とは、逆側の面の縁部に、穴の開いた突起部111が設けられており、これに接続索131が接続されている。そして、この接続索131の他端は、回転リンク133の先端部に固着されている。
つまり、吸着部110は、接続索131を引っ張ることで、対象物と吸着部110の間に空気が入り込み、内部の真空状態が解除されることで離脱することとなる。
このため、接続索131にかかった張力は、吸着部110に突起部を介して伝達され、吸着部110に変形が生じる。
これにより、回転リンク133の角度θが所定の角度に到達すると、接続索131に張力がかかり、これによって吸着部110が変形し、対象物と吸着部110の間に空気が入り込み、吸盤内部の真空状態が解除されることで、着脱が実現されることとなる。
【0042】
図6の例においては、接続索131は、1本の紐であるが、接続索131は、回転リンク133の動きを吸着部110の突起部に伝達することができれば、どのような物であってもよい。
【0043】
接続索131の長さは、ある程度の遊びを有していてもよい。
例えば、突起部111と原点位置での回転リンク133の先端との間の距離よりも約10%の割合で長くてもよい。
これにより、弛緩時に、不必要な緩んだ接続索131が吸着を阻害せず、着脱時に、接続索131が絡まるリスクが低減する。
【0044】
<吸着グリッパの把持動作>
次に、図7を参照して、吸着グリッパ100が対象物を把持する動さについて説明する。
図7は、吸着グリッパ100が対象物に把持する動さを示すフローチャートである。
以下の説明においては、STARTの状態では、吸着グリッパ100は、把持部120が開放状態、つまり第1の指部と第2の指部122が最大限開いた状態であり、対象物と密着していないことを前提とする。
まず、吸着グリッパ100は、開いた状態で対象物に接近する(S101)。
具体的には、吸着グリッパ100を、把持する対象物の位置に、移動させる。この移動方法は、吸着グリッパをロボットアームのセンタに取付け、ロボットアームを移動させることなどが想定される。
【0045】
次に、吸着グリッパ100を、対象物に吸着部を密着させる(S102)。
具体的には、吸着グリッパ100の吸着部110を、対象物に押し付ける。これにより、吸着部110と対象物との間の空気が抜け真空圧着がされる。
【0046】
次に、吸着グリッパ100は、把持部120を閉じる(S103)。
具体的には、吸着グリッパ100は、対象物に密着させたまま、第1の指部121と、第2の指部122を稼働させ、グリッパを閉じる。
【0047】
<吸着グリッパの着脱動作>
次に、図8を参照して、吸着グリッパ100が対象物を開放する動さについて説明する。
図8は、吸着グリッパ100が対象物を開放する動さを示すフローチャートである。
以下の説明においては、STARTの状態では、吸着グリッパ100は、対象物を把持していることを前提とする。
まず、吸着グリッパ100は、把持部120を開放する(S201)。
具体的には、吸着グリッパ100は、把持部120の第1の指部121と、第2の指部122とを開いて、把持する対象物を吸着部110の密着のみで把持するようにする。
【0048】
次に、着脱駆動部132は、駆動し、回転リンク133の角度θを徐々に増大させ、接続索131に張力をかける(S201)。
具体的には、着脱駆動部132は、回転リンク133を駆動させ、回転リンク133の角度θを増大させる。回転リンク133の角度θが所定の角度に到達すると、接続索131に張力がかかり、吸着部110が変形して、吸着が解除されることとなる。
【0049】
なお、着脱動作について、上記の例では、把持部120を解放した後に吸着部110の吸着を解除する着脱動作を説明したが、把持部120を解放と、吸着部110の吸着の解除の順番を逆として、吸着部110の吸着の解除した後に、把持部120を解放してもよい。
【0050】
以上、第1実施形態に係る吸着グリッパ100について説明した。本開示の吸着グリッパ100は、対象物の表面が曲面や球面であっても、吸着部110によって確実に対象物を保持することが可能である。また、吸着部110が可撓性の材料で構成された部材である場合には、1点で吸着保持し、移動した場合などに、対象物の慣性によって、対象物に揺れが生じることがある。また、対象物を把持した状態において、対象物に外力が加わった場合にも、把持した対象物にぐらつきが生じる。
しかし、本開示の吸着グリッパによれば、吸着部110の周囲から対象物を把持する第1の指部121、第2の指部122が同時に対象物を支えるので、対象物の揺れやぐらつきを抑制して、安定した把持を行うことができる。
このように、本開示の吸着グリッパ100は可撓性の把持部材である吸着部110と剛性を備える把持部材である第1の指部121および第2の指部122を協働させることによって、簡便な構造でありながら、優れた把持動作を実現することができる。
【0051】
[第2実施形態]
次に、図9を参照して、第2実施形態について説明する。第2実施形態として開示する登攀ロボットは、第1実施形態で説明した吸着グリッパ100を複数組み合わせて構成したものである。
図9は、登攀ロボット200の正面の一例を示す図であり、図10は、登攀ロボット200の構成の一例を示すブロック図である。
【0052】
<登攀ロボット>
登攀ロボット200は、3脚の構成を有するロボットである。
従来、ロボットの分野においては、工事等の作業や災害等の緊急事態において、人間が侵入することが出来ない、あるいは危険とされる壁面や梯子を上昇するロボットの活用が期待されている。
このようなロボットでは、上方向を移動するロボットに比較すると、梯子のようなマニピュレータ等を用いて横方向へ移動するロボットについては研究の進展が十分ではない状況である。
横方向へ移動できるロボットがあれば、緊急事態下での活用だけでなく、小型化することで複数個所を移動可能なペットカメラや掃除ロボット等で、日常生活においても活用できる。
【0053】
登攀ロボットでは、脚部の数が複数あるものが一般的であり、例えば、非特許文献1には、壁面を移動する際に尺取り虫から着想を得たとされる動作で壁面を移動する2肢ロボットが開示されている。また、非特許文献2においては、4肢ロボットにおいて安定感を利用し、壁面だけでなく天井を移動するマグネットを手先に搭載したロボットが開示されている。また、非特許文献3には、4肢ロボットにおいて、壁面だけでなく梯子を上昇するヒューマノイド型のロボットが開示されている。さらに、非特許文献4においては、ヒューマノイド型として梯子を昇降するロボットが開示されている。
【0054】
登攀ロボットの脚部の数が異なる場合、それぞれ利点と欠点が存在する。
例えば、2脚の場合は、総重量は最小化できるが、接地点が少ないために安定性に欠ける面がある。このため、多用途では用いることが出来ないという欠点がある。
例えば、4、6脚のロボットは安定性があるために様々なタスクをこなすことが出来る利点があるが、重量が増加し、サイズが大きくなる。さらに、移動計画や制御が複雑化したり、登攀ロボットを制御するための計算負荷が大きくなるという欠点がある。
【0055】
そこで、第2実施形態の登攀ロボット200では、3肢ロボットを設計し、フェンスに対して上下左右への自由な移動を可能な登攀ロボットを提供することを目的とする。
また、第2実施形態の登攀ロボット200では、吸着グリッパ100を併用させることで同一機体において壁面も同時に移動することができる。
登攀ロボット200は、吸着グリッパ100の把持部120と吸着部110を使い分けて移動する。例えば、登攀ロボット200は、フェンスなど把持部120で把持できる場合は把持部120のみで移動し、壁などの平坦面を登る場合は吸着部110のみで移動する。
ここで、フェンスとは、網目状の柵を示し、壁とは、凹凸のない平面を意味する。
【0056】
登攀ロボット200は、上部に左右に設置された上部脚210と、下部に設置された下部脚220と、上部脚210と下部脚220を接続し制御するロボット制御部230と、を主に含む。
第2実施形態の登攀ロボット200は、上部脚210と下部脚220にそれぞれ第1実施形態の吸着グリッパ100を装着するが、そのうち少なくとも1箇所が吸着グリッパ100を装着するならば、それ以外は他のグリッパを使用してもよい。
【0057】
上部脚210は、図9に示すように、ロボット制御部230を中央においた場合、左右の上部にそれぞれ一つづつ接続される。
下部脚220は、同様に、ロボット制御部230を中央下部分に接続される。
【0058】
<上部脚>
上部脚210は、登攀ロボット200の上部に左右対称に取り付けられた2脚である。
上部脚210は、ロボット制御部230と電気的に接続されており、ロボット制御部230からの制御信号に基づき可動する。
上部脚210は、吸着グリッパ100を含めて6箇所が駆動する。
例えば、上部脚210は、それぞれロボットアームの関節として機能する関節部を5箇所と、ロボットハンドとして機能する吸着グリッパ1箇所が可動する。
【0059】
上部脚210の自由度は、物体の把持と並行したタスクができるのならば6以外の自由度でもよい。
【0060】
<下部脚>
下部脚220は、登攀ロボット200の下部に取り付けられた1脚である。
下部脚220は、吸着グリッパ100を含めて6箇所が駆動する。
例えば、下部脚220は、それぞれロボットアームの関節として機能する関節部を5箇所と、ロボットハンドとして機能する吸着グリッパ1箇所が可動する。
【0061】
<ロボット制御部>
ロボット制御部230は、上部脚210および下部脚220の制御をすることで登攀ロボット200全体の制御をする。
また、ロボット制御部230は、例えば、フェンスもしくは壁を登攀ロボット200が登れるように、上部脚210および下部脚220を順番に可動させる。
【0062】
以上、本実施形態の登攀ロボット200によれば、上部脚210または、下部脚220の吸着グリッパ100が吸着、または把持した対象に登攀ロボット200を固定することができる。
このとき、上部脚210または、下部脚220を順番に作動させることにより、登攀ロボット200は、対象を登ることができる。
【0063】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【0064】
また、本発明は以下のような態様をとることもできる。
(態様1)
可撓性を有する吸着部と、
剛性を有する把持部と、を備え、
前記把持部は、第1の指部及び第2の指部とを有し、
前記吸着部は、前記第1の指部および前記第2の指部の間に形成される把持領域に配置されている
吸着グリッパ。
(態様2)
態様1に記載の吸着グリッパにおいて、
前記吸着部は、吸盤である
吸着グリッパ。
(態様3)
態様1または2に記載の吸着グリッパにおいて、
前記第1の指部および前記第2の指部の根本部は、平歯車を備えており、
前記第1の指部および前記第2の指部は、前記平歯車の噛み合いにより、相互に連動して開閉する
吸着グリッパ。
(態様4)
態様3に記載の吸着グリッパにおいて、
前記第1の指部の前記根本部は、前記第2の指部の前記根本部よりも前記把持部の先端側に位置する
吸着グリッパ。
(態様5)
態様1乃至4のいずれか一項に記載の吸着グリッパにおいて、
前記吸着部の吸着面は、前記吸着部が対象物に向けて進行する方向に対して直交する面と傾斜をつけて配置される
吸着グリッパ。
(態様6)
態様5に記載の吸着グリッパにおいて、
前記把持部は、前記第1の指部及び前記第2の指部の先端が、進行する方向に対して前記吸着部の前記吸着面よりも、後方まで開閉する
吸着グリッパ。
(態様7)
態様1乃至6のいずれか一項に吸着グリッパにおいて、
前記吸着部を変形させる着脱部を備え、
前記着脱部は、前記吸着部を引っ張ることで変形させる
吸着グリッパ。
(態様8)
態様6または7に記載の吸着グリッパにおいて、
前記第1の指部と前記第2の指部の先端に配置された滑り止め部を備え、
前記第1の指部と前記第2の指部は、前記吸着部の干渉を防ぐ空隙部と、を有し、
吸着グリッパ。
(態様9)
態様1乃至8のいずれか一項に記載の吸着グリッパにおいて、
前記把持部と前記吸着部とで対象物を把持する
吸着グリッパ。
(態様10)
態様1乃至9のいずれか一項に記載の吸着グリッパにおいて、
前記第1の指部及び前記第2の指部は、凹凸に引っ掛ける爪部を有する
吸着グリッパ。
(態様11)
態様1乃至10のいずれか一項に記載の吸着グリッパを少なくとも1個と、個々の吸着グリッパを独立して制御する制御部を備える登攀ロボット。
【符号の説明】
【0065】
100:吸着グリッパ
110:吸着部
111:突起部
120:把持部
121:第1の指部
122:第2の指部
123:指駆動部
124:第1の根本部
125:把持領域
126:第2の根本部
127:滑り止め部
128:空隙部
130:着脱部
131:接続索
132:着脱駆動部
133:回転リンク
140:回転駆動軸
141:取付部
142:取付部天板
143:内側空間
200:登攀ロボット
210:上部脚
220:下部脚
230:ロボット制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10