IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 花王株式会社の特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024111397
(43)【公開日】2024-08-19
(54)【発明の名称】洗浄剤物品
(51)【国際特許分類】
   C11D 17/06 20060101AFI20240809BHJP
   C11D 1/00 20060101ALI20240809BHJP
   C11D 3/40 20060101ALI20240809BHJP
   C11D 3/37 20060101ALI20240809BHJP
   C11D 3/14 20060101ALI20240809BHJP
   C11D 3/12 20060101ALI20240809BHJP
   C11D 3/04 20060101ALI20240809BHJP
   C11D 17/04 20060101ALI20240809BHJP
【FI】
C11D17/06
C11D1/00
C11D3/40
C11D3/37
C11D3/14
C11D3/12
C11D3/04
C11D17/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023015859
(22)【出願日】2023-02-06
(71)【出願人】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【氏名又は名称】義経 和昌
(74)【代理人】
【識別番号】100203242
【弁理士】
【氏名又は名称】河戸 春樹
(72)【発明者】
【氏名】福田 雅弥
(72)【発明者】
【氏名】小島 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】上野 渉
【テーマコード(参考)】
4H003
【Fターム(参考)】
4H003AB19
4H003AB27
4H003AB31
4H003AC08
4H003BA09
4H003BA18
4H003DA01
4H003EA12
4H003EA16
4H003EA27
4H003EA28
4H003EB30
4H003EB33
4H003EB36
4H003EC02
4H003FA04
4H003FA12
4H003FA26
(57)【要約】
【課題】高い洗浄力感を創出し、且つ、色素含有粒子に含まれる色素の繊維等への色移りを抑制する。
【解決手段】(a)色素含有粒子〔以下、(a)成分という〕及び(b)界面活性剤を含有する洗浄剤組成物と、該洗浄剤組成物を包装する(c)水溶性ポリマー〔以下、(c)成分という〕を構成成分とする水溶性フィルムと、を備え、前記洗浄剤組成物は、(a)成分を、2質量%以上15質量%以下含み、前記水溶性フィルムに包装された洗浄剤組成物に含まれる(a)成分の質量と(c)成分を構成成分とする水溶性フィルムの質量との質量比(a)/水溶性フィルムが、0.1以上10以下である、洗浄剤物品。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)色素含有粒子〔以下、(a)成分という〕及び(b)界面活性剤〔以下、(b)成分という〕を含有する洗浄剤組成物と、該洗浄剤組成物を包装する(c)水溶性ポリマー〔以下、(c)成分という〕を構成成分とする水溶性フィルムと、を備え、
前記洗浄剤組成物は、(a)成分を、2質量%以上15質量%以下含み、
前記水溶性フィルムに包装された洗浄剤組成物に含まれる(a)成分の質量と(c)成分を構成成分とする水溶性フィルムの質量との質量比(a)/水溶性フィルムが、0.1以上10以下である、洗浄剤物品。
【請求項2】
前記洗浄剤組成物は、(a)成分を、3質量%以上8質量%以下含有する、請求項1に記載の洗浄剤物品。
【請求項3】
前記洗浄剤組成物中、(a)成分の含有量と(b)成分の含有量の質量比(a)/(b)が、0.01以上10以下である、請求項1又は2に記載の洗浄剤物品。
【請求項4】
前記洗浄剤物品を20℃の水に浸漬後、30秒後に該水に(a)成分が含まれない、請求項1~3の何れか1項に記載の洗浄剤物品。
【請求項5】
(a)成分は、粘土鉱物及び無機塩から選ばれる1種以上を含む粒子群と、染料及び顔料から選ばれる1種以上の色素成分と、を含む、請求項1~4の何れか1項に記載の洗浄剤物品。
【請求項6】
前記水溶性フィルムの厚さは、10μm以上300μm以下である、請求項1~5の何れか1項に記載の洗浄剤物品。
【請求項7】
(c)成分は、ポリビニルアルコールである、請求項1~6の何れか1項に記載の洗浄剤物品。
【請求項8】
前記洗浄剤組成物は、粉末状、粒状又は顆粒状である、請求項1~7の何れか1項に記載の洗浄剤物品。
【請求項9】
繊維製品用である、請求項1~8の何れか1項に記載の洗浄剤物品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水溶性フィルムで洗浄剤組成物を包装してなる洗浄剤物品に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、消費者の簡便嗜好の高まりから、より使いやすい洗浄剤組成物が求められている。洗浄剤組成物の使用性を高める観点から、例えば、洗浄剤組成物を水溶性フィルムで包装してなる洗浄剤物品が開示されている。
また、近年、レスケミカル、環境負荷低減の観点から、洗浄剤組成物の使用量、特に界面活性剤の量を低減することが求められている。
また、洗浄剤組成物の性能をより良く反映するために、該組成物の審美性等を付与する目的で、染料等の色素成分が用いられる。
【0003】
特許文献1には、色相染料及びパールエッセンス剤を含む洗濯洗剤組成物であって、色相染料が、少なくとも10の色相効率、及び約30%~約85%の範囲の洗浄除去値を示す、洗濯洗剤組成物が開示されている。
特許文献2には、透明又は半透明の液体媒質及び液体媒質内に含有される固体粒子を含む液体組成物が、小袋の外側から個々の固体粒子が眼に見えるように透明又は半透明の水溶性材料から作られた小袋に収容されている、液体組成物が開示されている。
特許文献3には、第1の平面及び第2の反対側の平面を有する非繊維性洗濯洗剤シートであって、第1の平面が、所定の第1の個別領域と第2の個別領域とを含み、第1の個別領域及び/又は第2の個別領域が、染料、染料-粘土複合体、有機顔料、無機顔料、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される1つ以上の布地色相剤を含む、非繊維性洗濯洗剤シートが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2009-530478号公報
【特許文献2】特表2004-518003号公報
【特許文献3】特表2020-507646号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
洗浄剤組成物において、色素含有粒子を多く配合することで、高い洗浄力感を創出することができると考えられる。
一方で、仕上がり性の観点からは、色素含有粒子は、洗浄浴中に速やかに溶解すること、色素含有粒子に含まれる色素が、繊維等に色移りさせないことが求められる。
本発明は、水溶性フィルムで洗浄剤組成物を包装してなる洗浄剤物品において、高い洗浄力感を創出でき、且つ、色素含有粒子に含まれる色素の繊維等への色移りが抑制された洗浄剤物品を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、(a)色素含有粒子〔以下、(a)成分という〕及び(b)界面活性剤を含有する洗浄剤組成物と、該洗浄剤組成物を包装する(c)水溶性ポリマー〔以下、(c)成分という〕を構成成分とする水溶性フィルムと、を備え、前記洗浄剤組成物は、(a)成分を、2質量%以上15質量%以下含み、前記水溶性フィルムに包装された洗浄剤組成物に含まれる(a)成分の質量と(c)成分を構成成分とする水溶性フィルムの質量との質量比(a)/水溶性フィルムが、0.1以上10以下である、洗浄剤物品に関する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、水溶性フィルムで洗浄剤組成物を包装してなる洗浄剤物品において、高い洗浄力感を創出でき、且つ、色素含有粒子の溶け残り、及び色素含有粒子に含まれる色素の繊維等への色移りが抑制された洗浄剤物品が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の洗浄剤物品が、高い洗浄力感を創出でき、且つ、色素含有粒子に含まれる色素の繊維等への色移りが抑制される機構は定かではないが、以下のように推察される。
本発明の洗浄剤物品は、(a)色素含有粒子を所定の含有量で含む洗浄剤組成物を、(c)水溶性ポリマーを構成成分とする水溶性フィルムで包装することで、高い洗浄力感を創出できたものと推察される。
更に、この洗浄剤組成物を、(c)水溶性ポリマーを構成成分とする水溶性フィルムで包装することで、機械力が加わる前の繊維製品等の洗浄対象物と色素含有粒子とが直接接触せず、更に(a)成分に含まれる色素より先に(c)水溶性ポリマーが溶解することで、溶解した色素の洗浄対象物への接近が抑制されると推察される。更に、(b)界面活性剤により前記色素が洗浄水中に安定的に分散されることで、色素含有粒子に含まれる色素の繊維製品等への色移りがより抑制されると推察される。
これにより、高い洗浄力感の創出と、前記色素の洗浄対象物への色移りの抑制の両立ができたものと推察される。
なお、本発明の洗浄剤物品は、上記の作用機構に限定されるものではない。
【0009】
本発明の洗浄剤物品は、(a)色素含有粒子〔以下、(a)成分という〕及び(b)界面活性剤〔以下、(b)成分という〕を含有する洗浄剤組成物と、該洗浄剤組成物を包装する水溶性フィルムと、を備える。
この水溶性フィルムは、(c)水溶性ポリマー〔以下、(c)成分ともいう〕を構成成分とする水溶性フィルムである。
【0010】
[洗浄剤組成物]
まず、本発明の洗浄剤組成物について、詳細に説明する。本発明の洗浄剤組成物は、(a)成分と(b)成分を含有する。
【0011】
<(a)成分>
(a)成分は、色素含有粒子である。(a)成分は、粘土鉱物及び無機塩から選ばれる1種以上を含む粒子群と、(a)染料及び顔料から選ばれる1種以上の色素成分〔以下、(a)成分ともいう〕と、を含む、色素含有粒子が挙げられる。
前記粒子群は、後に詳細に説明する、(d)成分、(e)成分、(f)成分及び(h)成分から選ばれる1種以上を含む粒子群が挙げられる。(d)成分は水不溶性キレート剤、(e)成分は粘土鉱物、(f)成分はアルカリ剤、(h)成分は無機硫酸塩及び無機ハロゲン化合物から選ばれる1種以上の化合物である。
また、前記粒子群に(d)成分、(e)成分、(f)成分又は(h)成分が含まれる場合、粒子群に含まれる(d)成分、(e)成分、(f)成分又は(h)成分の含有量、すなわち、色素含有粒子に含まれる(d)成分、(e)成分、(f)成分又は(h)成分の含有量は、洗浄剤組成物中の(d)成分、(e)成分、(f)成分又は(h)成分の含有量として算入しない。
(a)成分は、粘土鉱物及び無機塩から選ばれる1種以上を含む粒子群と、該粒子群を染料及び顔料から選ばれる1種以上の色素成分で着色してなる粒子であってよい。
【0012】
(a)成分の粒子群は、具体的には、硫酸ナトリウム(芒硝)及びベントナイトから選ばれる1種以上が好ましい。
【0013】
<染料>
(a)成分に含まれる色素成分の染料として、水溶性染料が挙げられる。(a)成分の水溶性染料としては、例えば染料便覧(有機合成化学協会編,昭和45年7月20日発行,丸善(株))、染料ノート第22版((株)色染社)、法定染料ハンドブック(日本化粧品工業連合会編、1988年11月28日発行、(株)薬事日報社)などに記載されているものから、水溶性の染料を選ぶことができる。(a)成分としては、酸性染料、直接染料、反応性染料、及び食品用色素から選ばれる1種以上が好ましく、酸性染料及び食品用色素から選ばれる1種以上がより好ましく、酸性染料から選ばれる1種以上が更に好ましい。また(a)成分としては、分子中に親水性基を有するものが好ましく、分子内にアミノ基もしくはスルホニル基又はアミノ基とスルホニル基の両方を有する水溶性の青色系染料、緑色系染料、赤色系染料、紫色系染料、及び黄色系染料から選ばれる1種以上の化合物を挙げることができる。なお、ここで用いたアミノ基とは、フタロシアニン系のような環状のアミノ基を意味するものではない。このような(a)成分の水溶性染料としては、例えば、下記の各染料を挙げることができる。
【0014】
(青色系染料)
C.I.Direct Blue1、C.I.DirectBlue2、C.I.Direct Blue6、C.I.DirectBlue15、C.I.Direct Blue41、C.I.DirectBlue86、C.I.Acid Blue1、C.I.AcidBlue7、C.I.Acid Blue9、C.I.AcidBlue15、C.I.Acid Blue22、C.I.AcidBlue29、C.I.Acid Blue62、C.I.AcidBlue74、C.I.Acid Blue83、C.I.AcidBlue90、C.I.Acid Blue93、C.I.AcidBlue100、C.I.Acid Blue103、C.I.AcidBlue104、C.I.Acid Blue112、C.I.AcidBlue117、C.I.Acid Blue138、C.I.FoodBlue2、C.I.Reactive Blue13、C.I.ReactiveBlue49、C.I.Reactive Blue78、C.I.BasicBlue75、C.I.Basic Blue129。
【0015】
(緑色系染料)
C.I.Direct green1、C.I.Acidgreen5、C.I.Direct green6、C.I.Directgreen28、C.I.Acid green3、C.I.Acidgreen9、C.I.Acid green16、C.I.Acidgreen20、C.I.Acid green28、C.I.Foodgreen3。
【0016】
(赤色系染料)
C.I.Direct Red2、C.I.DirectRed13、C.I.Direct Red17、C.I.DirectRed28、C.I.Direct Red33、C.I.DirectRed46、C.I.Direct Red75、C.I.DirectRed79、C.I.Acid Red18、C.I.AcidRed27、C.I.Acid Red32、C.I.AcidRed33、C.I.Acid Red37、C.I.AcidRed42、C.I.Acid Red51、C.I.AcidRed52、C.I.Acid Red87、C.I.AcidRed92、C.I.Acid Red94、C.I.AcidRed138。
【0017】
(紫色系染料)
C.I.Direct Violet1、C.I.Acid Violet11、C.I.Acid Violet15、C.I.Acid Violet41、C.I.Acid Violet49、。
【0018】
(黄色系染料)
C.I.Acid Yellow3、C.I.AcidYellow17、C.I.Acid Yellow23、C.I.AcidYellow36、C.I.Reactive Yellow2、C.I.ReactiveYellow102、C.I.Reactive Yellow18、C.I.Reactive Yellow85、C.I.Basic Yellow28、C.I.Basic Yellow36、C.I.BasicYellow51、C.I.Basic Yellow67、C.I.Food Yellow3。
【0019】
本発明の(a)成分の色素成分としては、トリフェニルメタン構造、アゾ構造、キサンテン構造、キノリン構造、フタロシアニン構造、及びアントラキノン構造を有する染料から選ばれる1種以上が好ましく、キノリン構造、フタロシアニン構造、アゾ構造、及びキサンテン構造を有する染料から選ばれる1種以上がより好ましい。
【0020】
好適な染料としてはキノリン構造を有するC.I.Acid Yellow3、トリフェニルメタン構造を有するC.I.Acid Blue9、C.I.Acid Blue83、C.I.Acid Blue90、C.I.Acid Blue93、C.I.Acid Blue100、C.I.Acid Blue103、C.I.Acid Blue104、C.I.Acid green3、C.I.Acid green5、C.I.Acid green9、C.I.Food green3、C.I.Food Blue2、アゾ構造を有するC.I.Direct Red33、C.I.Acid Red33、C.I.Food Red1、フタロシアニン構造を有するC.I.Direct Blue86、及びキサンテン構造を有するC.I.Acid Red52から選ばれる1種以上の染料を挙げることができる。
【0021】
<顔料>
(a)成分に含まれる色素成分の顔料は、化粧料等で使用されているものであれば特に限定なく使用することができ、例えば、無機顔料及び有機顔料から選ばれる任意の顔料を用いることができる。中でも、保存安定性の観点から、有機顔料が好ましい。
【0022】
無機顔料の具体例としては、酸化クロム、黄色三二酸化鉄、黒酸化鉄、ベンガラ、酸化コバルト、グンジョウ、水酸化クロム、及びマンガンバイオレットから選ばれる1種以上が好ましい。
有機顔料としては、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料及び縮合多環系顔料から選ばれる1種以上が好ましく、縮合多環系顔料がより好ましい。
アゾ系顔料としては、アゾレーキ顔料、不溶性アゾ顔料及び縮合アゾ顔料から選ばれる1種以上が好ましい。
フタロシアニン系顔料としては、フタロシアニンブルー及びフタロシアニングリーンから選ばれる1種以上が好ましい。フタロシアニンブルーとしては、pigment Blue 15:3が好ましい。
縮合多環系顔料としては、アントラキノン、キナクリドン、ジケトピロロピロール、ペリレン、ペリノン、pigment violet 23及びインジゴイド(赤色226号)から選ばれる1種以上が好ましい。これらは、単独でもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの中でも、ジケトピロロピロール又はインジゴイドがより好ましく、インジゴイドが更に好ましい。
【0023】
(a)成分の色素成分としては、例えば、紫色(波長380~430nm)、青色(波長430~490nm)、緑色(波長490~550nm)から選ばれる色を有する染料又は顔料から選ばれる1種以上が挙げられる。ただし、(a)成分の色素成分は、これらの染料又は顔料に限定されるものではない。
【0024】
(a)成分の平均一次粒子径は、好ましくは10μm以上、より好ましくは50μm以上、更に好ましくは100μm以上、そして、好ましくは2,000μm以下、より好ましくは1,000μm以下、更に好ましくは500μm以下である。(a)成分の平均一次粒子径は、ロータップ型ふるい振とう機により測定されたものである。具体的には、(a)成分の平均一次粒子径は、JIS Z 8801の標準篩を用いて5分間振動させた後、篩目のサイズによる質量分率から求める。
【0025】
(a)成分は、(a)色素成分を、洗浄力感の観点から、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.2質量%以上、そして、色移り防止の観点から、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、更に好ましくは1質量%以下含有する。
【0026】
<(b)成分>
(b)成分は、界面活性剤である。(b)成分は、(b1)ノニオン界面活性剤〔以下、(b1)成分という〕、(b2)アニオン界面活性剤〔以下、(b2)成分という〕、(b3)カチオン界面活性剤〔以下、(b3)成分という〕、(b4)両性界面活性剤〔以下、(b4)成分という〕から選ばれる1種以上であり、洗浄力及び色素分散性の観点から、(b1)成分及び(b2)成分から選ばれる1種以上が好ましい。
【0027】
<(b1)成分>
(b1)成分は、ノニオン界面活性剤である。(b1)成分は、洗浄力及び色素分散性の観点から、ポリオキシアルキレンアルキル又はアルケニルエーテル、アルキル(ポリ)グリコシド(グリコシド型ノニオン界面活性剤)、ソルビタン系ノニオン界面活性剤、長鎖脂肪酸アルキルエステルのエステル結合間にアルキレンオキサイドが付加した化合物、脂肪酸モノグリセライド、及び蔗糖脂肪酸エステルから選ばれる1種以上を挙げることができる。
【0028】
(b1)成分のノニオン界面活性剤としては、(b1-1)アルキレンオキシ基を含み、アルキレンオキシ基の平均付加モル数が1以上30以下である、ノニオン界面活性剤〔以下、(b1-1)成分という〕が好ましい。
(b1-1)成分のアルキレンオキシ基は、炭素数2以上4以下のアルキレンオキシ基から選ばれる1種以上の基が好ましく、エチレンオキシ基及びプロピレンオキシ基から選ばれる1種以上の基がより好ましい。
(b1-1)成分のアルキレンオキシ基の平均付加モル数は、洗浄力及び色素分散性の観点から、1以上、好ましくは6以上、より好ましくは10以上、そして、30以下、好ましくは25以下、より好ましくは20以下である。
【0029】
(b1-1)成分は、下記一般式(b1-1)で表されるノニオン界面活性剤が好ましい。
1b(CO)O-(A1bO)-R2b (b1-1)
〔式中、R1bは炭素数8以上18以下の脂肪族炭化水素基であり、R2bは水素原子又はメチル基である。COはカルボニル基であり、mは0又は1の数である。A1bO基はエチレンオキシ基を含む炭素数2以上4以下のアルキレンオキシ基である。nは平均付加モル数であって、1以上30以下の数である。〕
【0030】
一般式(b1-1)中、R1bの炭素数は、洗浄力及び色素分散性の観点から、8以上、好ましくは10以上、より好ましくは12以上、そして、18以下、好ましくは16以下、より好ましくは14以下である。
1bは、脂肪族炭化水素基であり、好ましくはアルキル基及びアルケニル基から選ばれる基である。
【0031】
一般式(b1-1)中、A1bO基は、エチレンオキシ基を含む炭素数2以上4以下のアルキレンオキシ基であり、好ましくはエチレンオキシ基を含む炭素数2以上3以下のアルキレンオキシ基であり、より好ましくはエチレンオキシ基である。A1bO基は、エチレンオキシ基と他のアルキレンオキシ基、例えばプロピレンオキシ基とを含むアルキレンオキシ基でもよい。他のアルキレンオキシ基は、プロピレンオキシ基が好ましい。A1bO基が、エチレンオキシ基とプロピレンオキシ基を含む場合は、エチレンオキシ基とプロピレンオキシ基は、ブロック型結合でもランダム型結合であってもよい。
【0032】
一般式(b1-1)中、nは、A1bO基の平均付加モル数であって、1以上30以下の数である。一般式(b1-1)中、nは、洗浄力及び色素分散性の観点から、1以上、好ましくは6以上、より好ましくは10以上、そして、30以下、好ましくは25以下、より好ましくは20以下である。
一般式(b1-1)中、mは、洗浄性の観点から0が好ましい。
一般式(b1-1)中、R2bは、洗浄性の観点から、水素原子が好ましい。
【0033】
(b1-1)成分以外のアルキレンオキシ基を有さないノニオン界面活性剤の具体例としては、蔗糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、アルキルグリコシド、及びグリセリルモノエーテルから選ばれる1種以上が挙げられる。
【0034】
<(b2)成分>
(b2)成分は、アニオン界面活性剤である。(b2)成分は、洗浄力及び色素分散性の観点から、アルキルアリールスルホン酸型界面活性剤、硫酸エステル型界面活性剤、アルカンスルホン酸型界面活性剤、オレフィンスルホン酸型界面活性剤、スルホコハク酸アルキルエステル型界面活性剤、スルホ脂肪酸エステル型界面活性剤、並びに脂肪酸及びその塩から選ばれる1種以上が好ましく、アルキルアリールスルホン酸型界面活性剤、硫酸エステル型界面活性剤、スルホコハク酸アルキルエステル型界面活性剤、並びに脂肪酸及びその塩から選ばれる1種以上がより好ましく、アルキルアリールスルホン酸型界面活性剤、並びに脂肪酸及びその塩から選ばれる1種以上が更に好ましい。
なお、(b2)成分が塩の場合、(b2)成分の塩は、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、マグネシウム塩等の無機塩、モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、モルホリン塩等の有機塩が挙げられる。(b2)成分の塩は、好ましくはナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩及びマグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩から選ばれる無機塩であり、より好ましくはアルカリ金属塩、更に好ましくはナトリウム塩である。
【0035】
(b2)成分としては、下記一般式(b2-1)で表される化合物、一般式(b2-2)で表される化合物、一般式(b2-3)で表される化合物及び一般式(b2-4)で表される化合物から選ばれる1種以上の化合物が挙げられる。
3b-B-SOM (b2-1)
〔式(b2-1)中、R3bは炭素数8以上18以下のアルキル基を示し、Bはベンゼン環を示し、Bの炭素原子と結合するR3bの炭素原子が第2級炭素原子であり、Mは陽イオンを示す。Bに結合するR3bに対して、スルホン酸基はオルト、メタ又はパラ位に結合している。〕
4b-COOM (b2-2)
〔式(b2-2)中、R4bは炭素数8以上18以下のアルキル基又はアルケニル基を示し、Mは陽イオンを示す。〕
5b-O-(AO)-SOM (b2-3)
〔式(b2-3)中、R5bは炭素数8以上18以下の脂肪族炭化水素基であり、AO基はエチレンオキシ基及びプロピレンオキシ基から選ばれる1種以上のアルキレンオキシ基であり、nは0以上20以下の数であり、Mは陽イオンである。〕
6b-CH(SOM)COOR7b (b2-4)
〔式(b2-4)中、R6bは炭素数8以上18以下のアルキル基を示し、R7bは、水素原子又は炭素数1以上10以下のアルキル基を示し、Mは陽イオンを示す。〕
【0036】
一般式(b2-1)中、R3bは、炭素数8以上、好ましくは10以上、より好ましくは12以上、そして、好ましくは18以下、より好ましくは16以下、更に好ましくは14以下のアルキル基である。
一般式(b2-1)中、Mは、好ましくは水素原子、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属(1/2原子)又は有機アンモニウムである。有機アンモニウム塩は、モノエタールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミンによる塩であってよい。Mは、好ましくはナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、モノエタノールアンモニウム、ジエタノールアンモニウム等のアルカノールアンモニウムであり、より好ましくはナトリウムである。
【0037】
一般式(b2-1)で表される化合物としては、アルキル基の炭素数が11以上14以下のp-アルキルベンゼンスルホン酸塩が好ましく、アルキル基の炭素数が11以上14以下のp-アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩がより好ましい。
すなわち、(b2)成分は、一般式(b2-1)中、R3bが炭素数11以上14以下のアルキル基、Mがナトリウムである化合物が好ましい。
【0038】
一般式(b2-2)中、R4bは、炭素数8以上、好ましくは10以上、より好ましくは12以上、そして、18以下、好ましくは16以下、より好ましくは14以下のアルキル基又はアルケニル基である。R4bは、飽和又は不飽和の直鎖又は分岐鎖を有するものであってよく、飽和の直鎖を有するものがより好ましい。
一般式(b2-2)中、Mは、好ましくは水素原子、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属(1/2原子)又は有機アンモニウムである。有機アンモニウム塩は、モノエタールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミンによる塩であってよい。Mは、好ましくはナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、モノエタノールアンモニウム、ジエタノールアンモニウム等のアルカノールアンモニウムであり、より好ましくはナトリウムである。
【0039】
一般式(b2-2)で表される化合物としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、イソパルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸及びこれらの塩から選ばれる1種以上が好ましく、より好ましくはラウリン酸、ミリスチン酸及びこれらの塩から選ばれる1種以上である。
すなわち、(b2)成分は、一般式(b2-2)中、R4bが炭素数11以上14以下のアルキル基、Mが陽イオンである化合物が好ましく、Mが水素又はナトリウムである化合物から選ばれる1種以上がより好ましい。
【0040】
一般式(b2-3)中、R5bは、好ましくは10以上、より好ましくは11以上、更に好ましくは12以上、そして、18以下、好ましくは16以下、より好ましくは14以下の脂肪族炭化水素である。R5bは、直鎖又は分岐鎖の脂肪族炭化水素であり、好ましくは直鎖の脂肪族炭化水素であり、より好ましくは直鎖アルキル基である。
【0041】
一般式(b2-3)中、AO基は、エチレンオキシ基及びプロピレンオキシ基から選ばれる1種以上のアルキレンオキシ基である。AO基が、エチレンオキシ基及びプロピレンオキシ基を含む場合は、エチレンオキシ基とプロピレンオキシ基は、ブロック型結合でもランダム型結合であっても良い。AO基は、洗浄力及び色素分散性の観点から、エチレンオキシ基を含む基であることが好ましい。
【0042】
一般式(b2-3)中、nは、AO基の平均付加モル数であって、0以上20以下の数である。nは、洗浄力及び色素分散性の観点から、好ましくは1以上、より好ましくは2以上、そして、洗浄力及び色素分散性の観点から、20以下、好ましくは16以下、より好ましくは12以下、更に好ましくは8以下、より更に好ましくは4以下である。
【0043】
一般式(b2-3)中、AOがプロピレンオキシ基を含む場合、プロピレンオキシ基の平均付加モル数は、好ましくは4以下、より好ましくは3以下、そして、好ましくは0以上である。一般式(b2-3)中、プロピレンオキシ基の平均付加モル数は、0であってもよい。
一般式(b2-3)中、AOがエチレンオキシ基を含む場合、エチレンオキシ基の平均付加モル数は、好ましくは0.5以上、より好ましくは1以上、更に好ましくは2以上であり、そして、好ましくは10以下、より好ましくは5以下、更に好ましくは4以下である。
【0044】
一般式(b2-3)中、Mは、好ましくは水素原子、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属(1/2原子)又は有機アンモニウムである。有機アンモニウムは、モノエタールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミンによる塩であってよい。Mは、好ましくはナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、モノエタノールアンモニウム、ジエタノールアンモニウム等のアルカノールアンモニウムであり、より好ましくは、ナトリウムである。
【0045】
一般式(b2-4)中、R6bは、炭素数8以上、好ましくは10以上、そして、18以下、好ましくは16以下のアルキル基である。
一般式(b2-4)中、R7bは、好ましくは炭素数1以上、そして、好ましくは5以下、より好ましくは4以下のアルキル基である。
【0046】
一般式(b2-4)中、Mは、好ましくは水素原子、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属(1/2原子)又は有機アンモニウムである。有機アンモニウムは、モノエタールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミンによる塩であってよい。Mは、好ましくはナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、モノエタノールアンモニウム、ジエタノールアンモニウム等のアルカノールアンモニウムであり、より好ましくは、ナトリウムである。
【0047】
一般式(b2-4)で表される化合物としては、一般式(b2-4)中、R6b炭素数が11以上14以下のアルキル基、R7bがメチル基であるα-スルホ脂肪酸メチルエステルナトリウム塩が好ましい。
【0048】
<(b3)成分>
(b3)成分のカチオン界面活性剤としては、アルキル基の炭素数が8以上22以下であるアルキルトリメチルアンモニウム塩、アルキル基の炭素数が8以上22以下であるジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキル基の炭素数が8以上22以下であるアルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ベンゼトニウム塩等が挙げられる。塩としては、ハロゲン塩、炭素数1以上3以下のアルキル硫酸塩が挙げられる。
これらカチオン界面活性剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0049】
<(b4)成分>
(b4)成分の両性界面活性剤としてはN-アルカノイルアミノプロピル-N,N-ジメチルアミンオキシド、N-アルキル-N,N-ジメチルアミンオキシド、N-アルカノイルアミノプロピル-N,N-ジメチル-N-カルボキシメチルアンモニウムベタイン、N-アルキル-N,N-ジメチル-N-カルボキシメチルアンモニウムベタイン、N-アルキル-N,N-ジメチル-N-スルホプロピルアンモニウムスルホベタイン、N-アルキル-N,N-ジメチル-N-(2-ヒドロキシスルホプロピル)アンモニウムスルホベタイン、N-アルカノイルアミノプロピル-N,N-ジメチル-N-スルホプロピルアンモニウムスルホベタイン、N-アルカノイルアミノプロピル-N,N-ジメチル-N-(2-ヒドロキシスルホプロピル)アンモニウムスルホベタインを挙げることができる。これらにおいて、アルカノイル基は、例えばラウロイル又はミリスチロイルである。また、これらにおいて、アルキル基は、例えばラウリル基又はミリスチル基である。
【0050】
<組成等>
本発明の洗浄剤組成物は、(a)成分を、洗浄力感の観点から、2質量%以上、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上、そして、衣類への色移り抑制の観点から、15質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは8質量%以下、更に好ましくは6質量%以下含有する。
【0051】
本発明の洗浄剤組成物は、(b)成分を、衣類への色移り抑制の観点から、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは10質量%以上、そして、保存安定性の観点から、好ましくは50質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは20質量%以下含有する。
なお、(b)成分がアニオン界面活性剤である場合、(b)成分のアニオン界面活性剤の質量に関する規定は、ナトリウム塩に換算した値を用いるものとする。
【0052】
本発明の洗浄剤組成物において、(a)成分の含有量と(b)成分の含有量の質量比(a)/(b)は、洗浄力感の観点から、好ましくは0.01以上、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.3以上、そして、衣類への色移りの観点から、好ましくは10以下、より好ましくは5以下、更に好ましくは2以下、より更に好ましくは1以下である。
【0053】
<(d)成分>
本発明の洗浄剤組成物は、任意に(d)水不溶性キレート剤〔以下、(d)成分という〕を含むことができる。(d)成分としては、その種類は特に限定はされないが、香料等を保持する観点から、吸油能が120mL/100g以上のものが好ましい。その上限値は特に限定はされない。(d)成分は、洗浄力及び保存安定性の観点から、結晶性アルミノケイ酸塩及び非晶質アルミノケイ酸塩から選ばれる1種以上が好ましい。
なお、(d)成分の吸油能は、JIS K 5101-13-2に基づいて測定することができる。
また、(d)成分について、「水不溶性」とは、20℃の水100gに0.1g以上溶解しないことをいう。
【0054】
(d)成分の平均一次粒子径は、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは1μm以上、そして、好ましくは1000μm以下、より好ましくは500μm以下、更に好ましくは100μm以下である。(d)成分の平均一次粒子径は、レーザー回折/散乱式粒子分布測定装置により測定されたものである。この平均一次粒子径は、体積基準による累積粒度分布のD50(メジアン径)である。
【0055】
(d)成分としては、具体的には、特開平9-132794号公報、特開平7-10526号公報、特開平6-227811号公報、特開平8-119622号公報などに記載されている非晶質アルミノシリケート(吸油能:285mL/100g)等を挙げることができる。
更に具体的には、(d)成分の非晶質アルミノケイ酸塩として、TIXOREX25(韓仏化学社製、220~270mL/100g)等を用いることができる。
【0056】
また、結晶性アルミノケイ酸塩は、ゼオライトが挙げられる。具体的なゼオライトとして、A型、X型、P型ゼオライト等の結晶性アルミノケイ酸塩を含有できる。結晶性アルミノケイ酸塩として好適なものは、A型ゼオライト(例えば、商品名「トヨビルダー」:東ソー(株)製、JIS K 5101法による吸油能:40mL/100g以上)が好ましい。その他に、P型(例えば、商品名「Doucil A24」、「ZSEO64」等;いずれもCrosfield社製;吸油能60~150mL/100g)、X型(例えば、商品名「WessalithXD」、;Degussa社製;吸油能80~100mL/100g)、国際公開第98/42622号記載のハイブリッドゼオライトも好適なものとして挙げられる。
【0057】
本発明の洗浄剤組成物が(d)成分を含有する場合、本発明の洗浄剤組成物は、(d)成分を、保存安定性の観点から、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは10質量%以上、そして、好ましくは50質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは20質量%以下含有する。
【0058】
<(e)成分>
本発明の洗浄剤組成物は、任意に(e)粘土鉱物〔以下、(e)成分という〕を含むことができる。
【0059】
(e)成分としては、ベントナイトが挙げられる。ベントナイトは、50~100meq/100gのイオン交換能力を有するものが好ましい。ベントナイトとしては、アルカリ金属又はアルカリ土類金属モンモリロナイト、サポナイト又はヘクトライトからなる群から選択されるモンモリロン石群鉱物粘土(smectitic clay)、イライト、アタパルジャイト(attapulgite)及びカオリナイトから選ばれる1種以上が挙げられる。ベントナイトは、粉末化又は粒状化したものを用いることができる。例えば、特開2008-189719号公報の粘土鉱物の造粒物を参照することができる。
【0060】
(e)成分の平均一次粒子径は、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは1μm以上、更に好ましくは10μm以上、そして、好ましくは1000μm以下、より好ましくは500μm以下、さらに好ましくは100μm以下である。(d)成分の平均一次粒子径は、レーザー回折/散乱式粒子分布測定装置により測定されたものである。この平均一次粒子径は、体積基準による累積粒度分布のD50(メジアン径)である。
【0061】
本発明の洗浄剤組成物が(e)成分を含有する場合、本発明の洗浄剤組成物は、(e)成分を、洗浄力及び柔軟効果の観点から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上、更に好ましくは3質量%以上、そして、溶け残り抑制の観点から、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下、更に好ましくは5質量%以下含有する。
【0062】
<(f)成分>
本発明の洗浄剤組成物は、任意に(f)アルカリ剤〔以下、(f)成分という〕を含むことができる。(f)成分としては、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属炭酸水素塩、アルカリ金属ケイ酸塩及びトリポリリン酸塩から選ばれる1種以上のアルカリ剤が挙げられる。
アルカリ金属炭酸塩としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムが挙げられ、炭酸ナトリウムが好ましい。
アルカリ金属炭酸水素塩としては、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムが挙げられる。
アルカリ金属ケイ酸塩としては、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウムが挙げられる。
トリポリリン酸塩としては、トリポリリン酸のアルカリ金属塩が挙げられる。
【0063】
(f)成分は、保存安定性の観点から、好ましくはアルカリ金属炭酸塩及びアルカリ金属炭酸水素塩から選ばれる1種以上のアルカリ剤、より好ましくはアルカリ金属炭酸塩から選ばれる1種以上、更に好ましくは炭酸ナトリウム及び炭酸カリウムから選ばれる1種以上、より更に好ましくは炭酸ナトリウムである。
【0064】
本発明の洗浄剤組成物が(f)成分を含有する場合、本発明の洗浄剤組成物は、(f)成分を、洗浄力の観点から、好ましくは1質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは20質量%以上、そして、溶解性の観点から、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは30質量%以下含有する。
【0065】
<(g)成分>
本発明の洗浄剤組成物は、任意に、プロテアーゼ、リパーゼ及びアミラーゼから選ばれる1種以上の酵素〔以下、(g)成分という〕を含むことができる。
プロテアーゼは、例えば、セリンプロテアーゼ(EC3.4.21)やメタロプロテアーゼ(EC3.4.17又はEC3.4.24)などが挙げられる。好適なプロテアーゼの例としては、サブチリシン(EC3.4.21.62)などの中性又はアルカリ性セリンプロテアーゼがある。
リパーゼは、例えば、トリアシルグリセロールリパーゼ(EC3.1.1.3)、ホスホリパーゼA2(EC3.1.1.4)、リゾホスホリパーゼ(EC3.1.1.5)、モノグリセリドリパーゼ(EC3.1.1.23)、ガラクトリパーゼ(EC3.1.1.26)、ホスホリパーゼA1(EC3.1.1.32)、リポタンパク質リパーゼ(EC3.1.1.34)などが挙げられる。
アミラーゼは、例えば、α-アミラーゼ(EC3.2.1.1)、β-アミラーゼ(EC3.2.1.2)及び/又はグルコアミラーゼ(EC3.2.1.3)などが挙げられる。好適なアミラーゼの例としては中性又はアルカリ性α-アミラーゼがあり、細菌や真菌などの微生物起源のものが好ましい。
【0066】
本発明の洗浄剤組成物が(g)成分を含有する場合、本発明の洗浄剤組成物は、(g)成分を、洗浄力及び安全性の観点から、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.5質量%以上、そして、好ましくは30質量%以下、より好ましくは10質量%以下、更に好ましくは5質量%以下、より更に好ましくは1質量%以下含有する。
【0067】
<(h)成分>
本発明の洗浄剤組成物は、(h)成分として、無機硫酸塩及び無機ハロゲン化合物から選ばれる1種以上の化合物を任意に含有することができる。(h)成分は、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム及び塩化マグネシウムから選ばれる化合物が挙げられる。(h)成分は、水和物であっても無水物であっても良い。
【0068】
本発明の洗浄剤組成物が(h)成分を含有する場合、本発明の洗浄剤組成物は、(h)成分を、洗浄力の観点から、好ましくは2質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは10質量%以上、より更に好ましくは15質量%以上、そして、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下、更に好ましくは40質量%以下含有する。
【0069】
<(i)成分>
本発明の洗浄剤組成物は、(i)成分として、カルボン酸基又はその塩を有し、重量平均分子量が3,000以上のポリマーを任意に含有することができる。
(i)成分としては、ポリアクリル酸又はその塩及びアクリル酸とマレイン酸のコポリマー又はその塩から選ばれるポリマー〔以下、(i1)成分という〕が挙げられる。
ポリアクリル酸又はその塩としては、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸カリウム等が挙げられ、好ましくはポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸カリウムが挙げられる。
アクリル酸とマレイン酸のコポリマー又はその塩としては、アクリル酸とマレイン酸のコポリマー、アクリル酸とマレイン酸のコポリマーのナトリウム塩、アクリル酸とマレイン酸のコポリマーのカリウム塩等が挙げられ、好ましくはアクリル酸とマレイン酸のコポリマーのナトリウム塩、アクリル酸とマレイン酸のコポリマーのカリウム塩が挙げられる。アクリル酸とマレイン酸のコポリマーのモル比は、アクリル酸のモル数/マレイン酸のモル数として、好ましくは1/99以上、より好ましくは10/90以上、そして、好ましくは99/1以下、より好ましくは90/10以下である。
【0070】
(i1)成分は、本発明の効果の発現を妨げない程度であれば、アクリル酸及びマレイン酸以外のモノマーであって、アクリル酸及び/又はマレイン酸と共重合可能なモノマーを含んだコポリマーであってもよい。アクリル酸及びマレイン酸以外のモノマーであって、アクリル酸及び/又はマレイン酸と共重合可能なモノマーとしては、ビニル系モノマー、アクリル系モノマー、スチレン系モノマー等が挙げられ、より具体的にはメタクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、スチレン等が挙げられる。アクリル酸及びマレイン酸以外のモノマーであって、アクリル酸及び/又はマレイン酸と共重合可能なモノマーの(i1)成分中のモル比は、(i1)成分中に、好ましくは0モル%以上、そして、好ましくは5モル%以下、より好ましくは3モル%以下であり、0モル%であることが更に好ましい。従って、本発明のポリアクリル酸又はその塩、及び、アクリル酸とマレイン酸のコポリマー又はその塩は、全構成モノマー中、アクリル酸及びマレイン酸以外のモノマーであって、アクリル酸及び/又はマレイン酸と共重合可能なモノマーを、0モル%以上5モル%以下の範囲で含むポリマー又はコポリマーであってよい。
【0071】
(i)成分の重量平均分子量は、3,000以上、好ましくは3,500以上、より好ましくは4,000以上、更に好ましくは5,000以上、より更に好ましくは6,000以上、より更に好ましくは7,000以上、より更に好ましくは8,000以上、より更に好ましくは9,000以上、より更に好ましくは10,000以上、そして、好ましくは100,000以下、より好ましくは50,000以下である。
この重量平均分子量は、下記の重量平均分子量の測定方法に従って測定することができる。
<重量平均分子量の測定方法>
(i)成分の重量平均分子量は、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)により測定を行い、換算標準物質により重量平均分子量(Mw)を求めることができる。
以下に、GPCの測定条件を示す。
・カラム:東ソー(株)製、商品名:TSK-GEL guard PWXL
東ソー(株)製、商品名:TSK-GEL G4000 PWXL
東ソー(株)製、商品名:TSK-GEL G2500 PWXL
・移動相:0.1mol/Lリン酸二水素カリウム及び0.1mol/Lリン酸二水素ナトリウムの水溶液/アセトニトリル=90/10(体積比)
・検出器:示差屈折率検出器
・カラム温度:40℃
・流速:1.0mL/min
・換算標準物質:ポリアクリル酸〔アメリカン・スタンダード・コーポレーション(AMERICANSTANDARDCORP)社製〕
・試料:固形分0.8gを含む重合体水溶液にイオン交換水を添加し、総液量が200mLとなるように調製し、この調製液から10μLを分取してカラムに注入する。
【0072】
本発明の洗浄剤組成物が(i)成分を含有する場合、本発明の洗浄剤組成物は、(i)成分を、洗浄性及び安定性の観点から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上、更に好ましくは3質量%以上、そして、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、更に好ましくは10質量%以下含有する。
【0073】
<(j)成分>
本発明の洗浄剤組成物は、(j)成分として、重量平均分子量が100以上100,000以下のポリアルキレングリコールを任意に含有することができる。
(j)成分としては、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコールから選ばれる1種以上が挙げられる。
(j)成分の重量平均分子量は、100以上、好ましくは1,000以上、そして、100,000以下、好ましくは10,000以下、より好ましくは2,000以下である。
ここで重量平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィーでポリスチレンを標準物質として求めた値である。
【0074】
本発明の洗浄剤組成物が(j)成分を含有する場合、本発明の洗浄剤組成物は、(j)成分を、安定性の観点から、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上、更に好ましくは0.1質量%以上、より更に好ましくは0.5質量%以上、そして、好ましくは30質量%以下、より好ましくは10質量%以下、更に好ましくは2質量%以下含有する。
【0075】
本発明の洗浄剤組成物は、その他の成分として、衣料用洗剤の分野で公知の他の成分、例えば漂白剤(過ホウ酸塩、漂白活性化剤等)、再汚染防止剤、還元剤(亜硫酸塩等)、蛍光増白剤、抑泡剤(シリコーン等)、有機溶剤、香料、抗菌剤等〔但し、(a)成分~(j)成分に該当するものは除く〕を任意に含有することができる。
【0076】
本発明の洗浄剤組成物は、固体洗浄剤組成物であってよい。本発明の洗浄剤組成物は、粉末状、粒状又は顆粒状であってよい。溶解性の観点から、本発明の洗浄剤組成物は、粉末状、粒状及び顆粒状から選ばれる1種以上の洗浄剤組成物であることが好ましい。本発明の洗浄剤組成物は、粉末洗浄剤組成物であってよい。
【0077】
本発明の洗浄剤組成物は、公知の方法で製造することができる。例えば、噴霧乾燥法、ドライ中和法、乾燥造粒法、ドライブレンド法、流動層乾燥法、薄膜乾燥法、押出し造粒法、転動造粒法、撹拌造粒法、圧密造粒法、界面活性剤担持法又はこれらから選択して組み合わせた方法を適用して、製造することができる。
【0078】
本発明の洗浄剤組成物の嵩密度は、製造方法によっても異なるが、好ましくは0.2g/cm以上、より好ましくは0.3g/cm以上、更に好ましくは0.35g/cm以上、そして、好ましくは1g/cm以下、より好ましくは0.95g/cm以下、更に好ましくは0.9g/cm以下である。
【0079】
本発明の洗浄剤組成物が粉末洗浄剤組成物である場合、本発明の洗浄剤組成物の平均粒子径は、好ましくは100μm以上、より好ましくは150μm以上、更に好ましくは200μm以上、そして、好ましくは1000μm以下、より好ましくは700μm以下、更に好ましくは500μm以下である。
この平均粒子径は、ロータップ型ふるい振とう機により測定されたものである。具体的には、この平均粒子径は、JIS Z 8801の標準篩を用いて5分間振動させた後、篩目のサイズによる質量分率から求める。
【0080】
<洗浄剤組成物の製造方法>
本発明の洗浄剤組成物は、(a)成分、(b)成分及びその他任意成分を混合して、製造することができる。
本発明の洗浄剤組成物における、(a)成分~(j)成分及びその他の任意成分の配合量は、本発明の洗浄剤組成物における好ましい含有量を配合量に置き換えて適用することができる。
【0081】
<洗浄剤物品>
本発明の洗浄剤物品は、本発明の洗浄剤組成物と、(c)水溶性ポリマー〔以下、(c)成分という〕を構成成分とし、前記洗浄剤組成物を包装する水溶性フィルムと、を備える。
本発明の洗浄剤物品は、本発明の洗浄剤組成物を、(c)成分を構成成分とする水溶性フィルムで包装してなる洗浄剤物品であってよい。
【0082】
本発明において水溶性フィルム及び水溶性ポリマーにおける「水溶性」とは、1リットルのガラスビーカーに500gの30℃のイオン交換水を入れ、直径が8cmのテフロン(登録商標)製の撹拌子を入れ、その中に評価対象のフィルム1gを投入し、100rpmで30分間撹拌した後に、見かけ上、不溶物が見られないものをいう。
【0083】
<水溶性フィルム>
水溶性フィルムは、(c)成分を構成成分とする水溶性フィルムである。水溶性フィルムは、当該技術分野において既知の方法、例えば、ポリマーの注型成形、吹込み成形、押出成形、射出成形などによって得ることができる。
また、水溶性フィルムの厚さは、誤飲防止、溶解性の観点から、好ましくは1μm以上、より好ましくは10μm以上、更に好ましくは50μm以上、そして、好ましくは300μm以下、より好ましくは200μm以下、更に好ましくは150μm以下、より更に好ましくは100μm以下である。
【0084】
<(c)成分>
(c)成分は、水溶性ポリマーである。(c)成分は、ポリビニルアルコール(PVA)、ビニルアルコールコポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリアルキレンオキシド、(変性)セルロース、(変性)セルロース-エーテル又は-エステル又は-アミド、ポリアクリレートなどのポリカルボン酸及びその塩、マレイン酸/アクリル酸のコポリマー、ポリアミノ酸つまりペプチド、ポリアクリルアミドなどのポリアミド、デンプン及びゼラチンなどの多糖、キサンタン及びカラゴム(carragum)などの天然ゴムが挙げられる。ビニルアルコールコポリマーは、ビニルアルコールと他のモノマー、例えばエチレン、アクリル酸とのコポリマーである。(c)成分は、好ましくは、ポリアクリレート及び水溶性アクリレート、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、デキストリン、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、マルトデキストリン、ポリメタクリレート、ポリビニルアルコール、ビニルアルコールコポリマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、並びにこれらの組み合わせからなる群から選択されるポリマーである。(c)成分は、より好ましくは、ポリビニルアルコール、ビニルアルコールコポリマー及びヒドロキシプロピルメチルセルロースから選ばれるポリマーである。(c)成分は、更に好ましくは、ポリビニルアルコール、例えば、株式会社アイセロから入手可能なソルブロンである。水溶性フィルムを製造するのに好適なポリマーは、例えば、米国特許第6995126号に記載されている。
【0085】
本発明の洗浄剤物品において、本発明の洗浄剤組成物と接触する水溶性フィルムの総面積は、製品安定性をより高める観点から、好ましくは2cm以上、より好ましくは5cm以上、更に好ましくは7cm以上、より更に好ましくは15cm以上、そして、同じ観点から、好ましくは100cm以下、より好ましくは70cm以下、更に好ましくは60cm以下、より更に好ましくは45cm以下である。
【0086】
本発明の洗浄剤物品において、水溶性フィルムに包装された洗浄剤組成物に含まれる(a)成分の質量と(c)成分を構成成分とする水溶性フィルムの質量との質量比(a)/水溶性フィルムは、洗浄力感の観点から、0.1以上、好ましくは0.2以上、より好ましくは0.6以上、そして、衣類への色移り抑制の観点から、10以下、好ましくは5以下、より好ましくは2以下、更に好ましくは1以下、より更に好ましくは0.8以下である。
【0087】
本発明の洗浄剤物品において、水溶性フィルムに包装された洗浄剤組成物に含まれる(a1)色素成分の含有量と(c)成分を構成成分とする水溶性フィルムの質量との質量比(a1)/水溶性フィルムは、洗浄力感の観点から、好ましくは0.0001以上、より好ましくは0.001以上、更に好ましくは0.002以上、そして、衣類への色移りの観点から、好ましくは0.1以下、より好ましくは0.05以下、更に好ましくは0.01以下である。
【0088】
本発明の洗浄剤物品は、当該技術分野において既知の任意の好適なプロセス、例えば既知の洗剤パウチの作製プロセスによって作製できる。パウチの作製プロセス例は、米国特許第6,995,126号、同第7,127,874号、同第8,156,713号、同第7,386,971号、同第7,439,215号、及び米国特許出願公開第2009/199877号に記載されている。
【0089】
本発明の洗浄剤物品は、1個あたりの内容物の量が、好ましくは5g以上、より好ましくは8g以上、更に好ましくは10g以上、そして、好ましくは50g以下、より好ましくは30g以下、更に好ましくは25g以下である。
【0090】
本発明の洗浄剤物品の1個あたりの好ましい形状、大きさは、例えば四辺形の形状であり、1辺の長さが、好ましくは1cm以上5cm以下、そして、厚みが好ましくは1cm以上5cm以下、より好ましくは1cm以上4cm以下である。また、本発明の洗浄剤物品の1個あたりの質量は、好ましくは5g以上、より好ましくは10g以上、更に好ましくは15g以上、そして、好ましくは50g以下、より好ましくは40g以下、更に好ましくは30g以下である。
【0091】
また、本発明の洗浄剤物品の1個あたりの別の好ましい形状、大きさは、例えば直方体の形状であり、縦の長さが、好ましくは5cm以上20cm以下、横の長さが、好ましくは1cm以上4cm以下、そして、厚みが好ましくは1cm以上5cm以下、より好ましくは1cm以上4cm以下である。また、本発明の洗浄剤物品の1個あたりの質量は、好ましくは5g以上、より好ましくは10g以上、そして、好ましくは50g以下、より好ましくは40g以下、更に好ましくは30g以下、更に好ましくは20g以下である。
【0092】
本発明の洗浄剤物品は、色移り抑制の観点から、本発明の洗浄剤物品を20℃の水に浸漬後、30秒後に該水に(a)成分が含まれないものが好ましい。この水は、イオン交換水である。なお、本発明の洗浄剤物品は、本発明の洗浄剤物品を20℃の水に浸漬後、30秒静置して、該水に(a)成分が含まれないものが好ましい。
本発明の洗浄剤物品に用いられる水溶性フィルムの厚さや(c)成分の水溶性ポリマーを上記の好ましい態様とすることで、該洗浄剤物品を水に浸漬後30秒後に、水に(a)成分が溶けないように調整することができる。
【0093】
本発明の洗浄剤物品は、繊維製品用、食器などの硬質表面用、自動食器洗浄機用として好適に用いることができ、繊維製品用として用いるのが好ましい。
【0094】
本発明の洗浄剤物品で繊維製品を洗浄する場合、洗浄する繊維は、疎水性繊維、親水性繊維のいずれでも良い。疎水性繊維としては、例えば、タンパク質系繊維(牛乳タンパクガゼイン繊維、プロミックスなど)、ポリアミド系繊維(ナイロンなど)、ポリエステル系繊維(ポリエステルなど)、ポリアクリロニトリル系繊維(アクリルなど)、ポリビニルアルコール系繊維(ビニロンなど)、ポリ塩化ビニル系繊維(ポリ塩化ビニルなど)、ポリ塩化ビニリデン系繊維(ビニリデンなど)、ポリオレフィン系繊維(ポリエチレン、ポリプロピレンなど)、ポリウレタン系繊維(ポリウレタンなど)、ポリ塩化ビニル/ポリビニルアルコール共重合系繊維(ポリクレラールなど)、ポリアルキレンパラオキシベンゾエート系繊維(ベンゾエートなど)、ポリフルオロエチレン系繊維(ポリテトラフルオロエチレンなど)、ガラス繊維、炭素繊維、アルミナ繊維、シリコーンカーバイト繊維、岩石繊維(ロックファイバー)、鉱滓繊維(スラッグファイバー)、金属繊維(金糸、銀糸、スチール繊維)等が例示される。親水性繊維としては、例えば、種子毛繊維(木綿、カポックなど)、靭皮繊維(麻、亜麻、苧麻、大麻、黄麻など)、葉脈繊維(マニラ麻、サイザル麻など)、やし繊維、いぐさ、わら、獣毛繊維(羊毛、モヘア、カシミヤ、らくだ毛、アルパカ、ビキュナ、アンゴラなど)、絹繊維(家蚕絹、野蚕絹)、羽毛、セルロース系繊維(レーヨン、ポリノジック、キュプラ、アセテートなど)等が例示される。
繊維は、仕上がり性の観点から、繊維は木綿繊維を含む繊維であることが好ましい。繊維中の木綿繊維の含有量は、繊維の仕上がり性の観点から、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上、より更に好ましくは20質量%以上、より更に好ましくは40質量%以上、より更に好ましくは60質量%以上、より更に好ましくは80質量%以上、そして、好ましくは100質量%以下であり、100質量%であってよい。
【0095】
本発明において繊維製品とは、前記の疎水性繊維や親水性繊維を用いた織物、編物、不織布等の布帛及びそれを用いて得られたアンダーシャツ、Tシャツ、Yシャツ、ブラウス、スラックス、帽子、ハンカチ、タオル、ニット、靴下、下着、タイツ等の製品を意味する。
【0096】
<繊維製品の洗浄方法>
本発明は、本発明の洗浄剤物品と水とを混合した洗浄液(以下、本発明の洗浄液という)で、繊維製品を洗浄する、繊維製品の洗浄方法を提供する。
本発明の繊維製品の洗浄方法では、本発明の洗浄剤物品及び本発明の洗浄剤組成物で記載した態様を適用することができる。
本発明の繊維製品の洗浄方法では、予め洗浄槽に本発明の洗浄剤物品と水を投入、混合して本発明の洗浄液を調製してから、被洗浄物である繊維製品を投入して、繊維製品を洗浄する方法でもよいが、本発明の効果を享受する観点から、洗浄槽に本発明の洗浄剤物品と水と繊維製品を投入し、本発明の洗浄剤物品を水に溶かしながら本発明の洗浄液を調製するのと同時に繊維製品を洗浄する方法が好ましい。
【0097】
本発明の洗浄液において、本発明の洗浄剤物品と水とを混合する際の水の量は、水1Lに対して、本発明の洗浄剤物品に含まれる本発明の洗浄剤組成物の総量が、環境配慮及び洗浄性の観点から、好ましくは0.01g以上、より好ましくは0.1g以上、更に好ましくは0.3g以上、そして、好ましくは10g以下、より好ましくは1g以下、更に好ましくは0.5g以下の濃度となるように調製する。
【0098】
本発明の繊維製品の洗浄方法は、ローラー等で繊維を送りながら、精錬に使用する液に浸漬する方法、回転式洗浄方法に適している。回転式洗浄方法とは、回転機器に固定されていない繊維製品が洗浄液と共に、回転軸の周りに回転する洗浄方法を意味する。回転式洗浄方法は回転式洗濯機により実施できる。従って、本発明では、繊維製品がよりきれいに仕上げる点で、繊維製品の洗浄を、回転式洗濯機を用いて行うことが好ましい。回転式の洗濯機としては、具体的には、ドラム式洗濯機、パルセータ式洗濯機又はアジテータ式洗濯機が挙げられる。これらの回転式洗濯機は、それぞれ、家庭用として市販されているものを使用することができる。
【実施例0099】
<配合成分>
実施例及び比較例では、以下の成分を用いた。
〔(a)成分〕
・色素含有粒子:青色芒硝(A)、色素含有量0.3質量%(色素:Pigment Blue 15:3)、芒硝95%、ケイ酸ナトリウム2.5%、カルボキシメチルセルロースナトリウム0.6%、水1.6%、Anhui Liaoyuan(中国)製、Anhui Liaoyuan Trading Co., Ltd.
〔(b)成分〕
(b1)成分
・ノニオン界面活性剤:ポリオキシエチレンアルキルエーテル(アルキル基の炭素数12、オキシエチレンの平均付加モル数10)、エマルゲン110L、花王(株)製
(b2)成分
・LAS-Na:ラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ネオペレックスG-65、花王(株)製
・AS:ラウリル硫酸エステルナトウム、エマール10G、花王(株)製
・AES:ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、エマール270J、花王(株)製
〔(c)成分〕
・水溶性ポリマー:ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコールを構成成分とする水溶性フィルム(縦13cm、横2cm、M8685、76μm、Monosol(株)製)を5mm以下となるようにハサミで裁断し、粉末状としたもの
〔(d)成分〕
・ゼオライト:合成ゼオライト、A-4、粉末、75μm(200mesh)通過、富士フイルム和光純薬(株)製
〔(e)成分〕
・ベントナイト:嵩密度1100g/L、黒崎白土(株)
〔(f)成分〕
・炭酸ナトリウム、富士フイルム和光純薬(株)製
〔(g)成分〕
・酵素:プロテアーゼ、Savinase 18T、Novozymes A/S
〔(h)成分〕
・硫酸ナトリウム:富士フイルム和光純薬(株)製
〔(i)成分〕
・ポリアクリル酸:ポリアクリル酸ナトリウム、商品名 ポイズ536、重量平均分子量1万、花王株式会社製
〔(j)成分〕
・ポリエチレングリコール:重量平均分子量6,000、富士フイルム和光純薬(株)製
・香料:花王(株)製
【0100】
<洗浄剤組成物の調製>
表1に記載の配合組成の割合で(b)成分と(f)成分を混合、(f)成分に(b)成分を吸着させた後、表1に記載の配合組成の割合で(a)成分、任意に(c)成分、(d)成分、(e)成分、(g)成分、(h)成分、(i)成分、(j)成分及び香料を加えて撹拌し、実施例1-1~1-13及び比較例1-1~1-5に記載の粉末状の各洗浄剤組成物を調製した。
【0101】
<洗浄剤物品の作製>
表1に記載の厚さのポリビニルアルコールを構成成分とする水溶性フィルム(縦13cm、横2cm、M8685、厚み51μm又は76μm、Monosol(株)製)を2枚重ね、ヒートシーラー(富士インパルス(株)製)を用い、三辺をシーラーで融着させ、一辺だけ開口した袋を作製し、この袋に表1に記載の各洗浄剤組成物を13g入れた。実施例1-4の厚み152μmの水溶性フィルムは、前記の76μmの水溶性フィルムを2枚のそれぞれの片面に水を薄く塗った後重ね、接着することで得た。
その後、ヒートシールで、袋の開口した一辺を融着して閉じて、各洗浄剤組成物を水溶性フィルムに包装された洗浄剤物品を得た。洗浄剤組成物と接触している水溶性フィルムの総面積は、30cmであった。なお、本発明の洗浄剤物品は、上記した製造方法に限定されるものではない。
【0102】
[色移りの評価]
表1の洗浄剤物品における色移りの評価を、白い布を洗濯した後の色度変化に基づいて評価した。
木綿シャツ(木綿100%、Gunze社製)1kgを、全自動洗濯機(NA-FR80H6、Panasonic社製)にて、水量20Lで洗浄時間3分間、市水(20℃)ですすぎ1回で洗浄した。上記の方法で作製した表1に記載の洗浄剤物品を2個衣類の上に投入し、洗濯を行った。水溶性ポリマーによる包装を有さない比較例1-2、1-4では、衣類の上に洗浄剤組成物を26g投入した。また、各洗浄液の水温は20℃であった。
洗濯後、木綿シャツを乾燥機(OT-20S、TOSEN社製)で乾燥させた。
洗濯前と洗濯後の木綿シャツの波長460nmにおける反射率を、分光色彩計(日本電色株式会社製、SE2000)にて測定し、洗濯前と洗濯後の反射率の差に基づいて、(1)式に基づいて色移り度合いを算出し、洗浄剤物品の色移りの評価を行った。木綿シャツ色移り部分は、木綿シャツの最も濃く色づいた部分である。この数値が低いほど、洗濯対象への色移りが抑制された洗浄剤物品である。
色移り度合い=(洗濯前の木綿シャツの反射率-洗濯後の木綿シャツ色移り部分の反射率)/洗濯前の木綿シャツの反射率 (1)
【0103】
[洗浄力感の評価]
10人の評価者が、表1の洗浄剤物品の外観を目視で観察し、下記評価基準に基づいて、洗浄剤物品の洗浄力感の評価を行った。洗浄力感の評価は、比較例1-5の洗浄剤物品を基準に行った。
表1に10人の評価者による評価の平均値を示した。評価の数値が高いほど、洗浄力感に優れた洗浄剤物品である。洗浄力感は、目視で洗浄剤物品を観察したときに、洗浄力に優れているという印象を与えることである。
評価基準
5:洗浄性能がとても高そうにみえる
4:洗浄性能が高そうにみえる
3:どちらともいえない
2:洗浄性能が少し低そうにみえる
1:洗浄性能がとても低そうにみえる
【0104】
【表1】