(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024111406
(43)【公開日】2024-08-19
(54)【発明の名称】交流発電制御回路及び半導体装置
(51)【国際特許分類】
H02P 9/30 20060101AFI20240809BHJP
H02P 101/25 20150101ALN20240809BHJP
H02P 101/45 20150101ALN20240809BHJP
H02P 103/20 20150101ALN20240809BHJP
【FI】
H02P9/30 C
H02P101:25
H02P101:45
H02P103:20
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023015888
(22)【出願日】2023-02-06
(71)【出願人】
【識別番号】000106276
【氏名又は名称】サンケン電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097113
【弁理士】
【氏名又は名称】堀 城之
(74)【代理人】
【識別番号】100162363
【弁理士】
【氏名又は名称】前島 幸彦
(72)【発明者】
【氏名】櫛田 拓己
【テーマコード(参考)】
5H590
【Fターム(参考)】
5H590CA07
5H590CA23
5H590CC01
5H590CC24
5H590CC28
5H590CC29
5H590CD01
5H590CE05
5H590DD25
5H590DD64
5H590EB21
5H590FC14
5H590FC17
5H590HA02
5H590JB06
5H590KK04
5H590KK06
(57)【要約】
【課題】P端子の交流電圧にオフセットが発生してもしなくても、フローティング制御に移行することができる交流発電制御回路を提供する。
【解決手段】整流器4によってステータコイル2cに発生した交流電圧Vpを直流電圧に整流して出力するオルタネータ1の発電量を制御する交流発電制御回路10であって、交流電圧Vpを無発電警報機能のしきい値を上下に挟んだ高電位側フローティングしきい値及び低電位側フローティングしきい値と比較するコンパレータCOMP2と、コンパレータCOMP2の出力によって交流電圧Vpが高電位側フローティングしきい値と低電位側フローティングしきい値との少なくともいずれか一方を横切らなくなったことを検出した場合にフローティング制御に移行して発電量を増やす制御回路11とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステータコイルに電圧を誘起するための磁束を発生させるロータコイルを備え、整流器によって前記ステータコイルに発生した交流電圧を直流電圧に整流して出力するオルタネータの発電量を制御する交流発電制御回路であって、
前記ステータコイルに発生した交流電圧を高電位側無発電しきい値及び低電位側無発電しきい値と比較する第1のコンパレータと、
前記ステータコイルに発生した交流電圧を前記高電位側無発電しきい値よりも高い高電位側フローティングしきい値及び前記低電位側無発電しきい値よりも低い低電位側フローティングしきい値と比較する第2のコンパレータと、
前記第1のコンパレータの出力によって前記ステータコイルに発生した交流電圧が前記高電位側無発電しきい値及び前記低電位側無発電しきい値を横切らなくなったことを検出した場合に無発電警報を検出し、前記第2のコンパレータの出力によって前記ステータコイルに発生した交流電圧が前記高電位側フローティングしきい値と前記低電位側フローティングしきい値との少なくともいずれか一方を横切らなくなったことを検出した場合にフローティング制御に移行して前記発電量を増やす制御回路と、を備える交流発電制御回路。
【請求項2】
前記高電位側フローティングしきい値と前記高電位側無発電しきい値との差分と、前記低電位側無発電しきい値と前記低電位側フローティングしきい値との差分とは、等しく設定されている請求項1に記載の交流発電制御回路。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の交流発電制御回路が基板上に集積化されていることを特徴とする半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オルタネータ(交流発電機)の発電を制御する交流発電制御回路及び半導体装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
内燃エンジン(ICE)自動車では、オルタネータと呼ばれる交流発電機が搭載されている。オルタネータは、内燃エンジンの回転を使用して交流電流を発生させ、それを直流電流に変換し、必要に応じバッテリに充電を行う。オルタネータには、発電状況を制御する交流発電制御回路としてオルタネータレギュレータが搭載されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
オルタネータレギュレータは、オルタネータで交流電流を発生させる三相のうち、一相の電圧波形をP端子から取り込み、取り込んだ電圧波形から回転検出と発電検出を行っている。オルタネータレギュレータは、オルタネータ等の不具合で発電が行えていない場合にその状態を検知する無発電警報機能を備えている。無発電警報機能は、無発電警報機能のしきい値VPH、VPLを設け、
図4(c)に示すように、P端子の交流電圧が無発電警報機能のしきい値VPH、VPLを横切らなくなった場合に、無発電警報を検出する。
【0004】
オルタネータレギュレータは、実際にオルタネータが動作している際に、バッテリ電圧が制御電圧より大きくなると、発電量を減らす制御を行う。発電量が減ると、P端子の交流電圧は、連動して降下し、P端子の交流電圧が無発電警報機能のしきい値VPH、VPLを横切らなくなった場合に、オルタネータレギュレータは、正常動作にも関わらず無発電警報を検出してしまう。
【0005】
そこで、オルタネータレギュレータは、フローティング制御機能を備えている。フローティング制御機能は、無発電警報機能のしきい値VPHより高い電位にフローティング制御機能のしきい値VPFを設ける。フローティング制御機能は、
図4(b)に示すように、P端子の交流電圧がしきい値VPFを下回った場合に発電量を増やす制御に切り替え、
図4(a)に示すように、P端子の交流電圧がしきい値VPFを超えた場合に発電量を減らす制御に切り替える。オルタネータレギュレータは、この制御を繰り返すことで、バッテリ過充電の状態が解消されるまで、バッテリへ充電されない、且つ無発電警報が検出されない発電量を維持する仕組みとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
オルタネータは、発電した交流電流を直流電流に変換(整流)するダイオードブリッジを備える。近年、ダイオードブリッジは、動作時の損失低減のため、VF値(順方向電圧)が低いショットキーバリアダイオード等のローロスダイオード(以下、LLDと称す)を採用する動きがある。LLDは、旧来から使用されているPN接合ダイオードよりVF値が低い分、電圧降下による損失が少ない特長があり、効率の良い発電が可能となる。
【0008】
一方で、ダイオードブリッジにLLDを採用した場合、漏れ電流がPN接合ダイオードよりも増えるため、
図5に示すように、P端子の交流電圧にオフセットが発生しまう。オフセットが発生すると、PN接合ダイオード向けに設定したしきい値VPFでは、
図5(b)に示すように、発電量が減ってるP端子における電圧の振幅低下を検知できない。この場合、フローティング制御は、実行されることなく、発電量が減り続けて、
図5(c)に示すように、無発電警報が誤って検出されてしまう。
【0009】
本発明は斯かる問題点を鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、P端子の交流電圧にオフセットが発生してもしなくても、フローティング制御に移行することができる交流発電制御回路及び半導体装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る交流発電制御回路は、上記の目的を達成するため、次のように構成される。
本発明に係る交流発電制御回路は、ステータコイルに電圧を誘起するための磁束を発生させるロータコイルを備え、整流器によって前記ステータコイルに発生した交流電圧を直流電圧に整流して出力するオルタネータの発電量を制御する交流発電制御回路であって、前記ステータコイルに発生した交流電圧を高電位側無発電しきい値及び低電位側無発電しきい値と比較する第1のコンパレータと、前記ステータコイルに発生した交流電圧を前記高電位側無発電しきい値よりも高い高電位側フローティングしきい値及び前記低電位側無発電しきい値よりも低い低電位側フローティングしきい値と比較する第2のコンパレータと、前記第1のコンパレータの出力によって前記ステータコイルに発生した交流電圧が前記高電位側無発電しきい値及び前記低電位側無発電しきい値を横切らなくなったことを検出した場合に無発電警報を検出し、前記第2のコンパレータの出力によって前記ステータコイルに発生した交流電圧が前記高電位側フローティングしきい値と前記低電位側フローティングしきい値との少なくともいずれか一方を横切らなくなったことを検出した場合にフローティング制御に移行して前記発電量を増やす制御回路とを備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明の交流発電制御回路は、P端子の交流電圧にオフセットが発生してもしなくても、フローティング制御に移行することができ、整流器のダイオードとしてPN接合ダイオードとLLDとのいずれを採用しても適正なタイミングでフローティング制御に移行できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明に係る交流発電制御回路の実施の形態が搭載されたオルタネータの構成を示す図である。
【
図2】整流器にPN接合ダイオードを採用した場合の
図1に示す交流発電制御回路の動作を説明する電圧波形を示す図である。
【
図3】整流器にLLDを採用した場合の
図1に示す交流発電制御回路の動作を説明する電圧波形を示す図である。
【
図4】整流器にPN接合ダイオードを採用した場合の従来の交流発電制御回路の動作を説明する電圧波形を示す図である。
【
図5】整流器にLLDを採用した場合の従来の交流発電制御回路の動作を説明する電圧波形を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0014】
本実施の形態の交流発電制御回路10は、半導体基板上に集積化された半導体装置であり、
図1を参照すると、内燃エンジンの回転を使用して交流電流を発生させるオルタネータ1に備えられている。バッテリVBは、オルタネータ1に接続されており、オルタネータ1が発電した電力を蓄電することができる。
【0015】
オルタネータ1は、3相(U,V,W)のステータコイル2a、2b、2cと、ロータコイル3と、整流器4と、を備える。ステータコイル2a、2b、2cは、固定子に120度毎に、ロータコイル3は、回転子にそれぞれ配置される。ロータコイル3は、回転子の固定子に対する回転によって、ステータコイル2a、2b、2cに電圧を誘起するための磁束を発生させる。
【0016】
整流器4は、ダイオードD1~D6を備え、ステータコイル2a、2b、2cにそれぞれ発生した交流電圧は、ダイオードD1~D6により直流電圧に整流されてバッテリVBが充電される。ダイオードD1~D6には、PN接合ダイオードを採用してもよく、ショットキーバリアダイオード等のローロスダイオード(以下、LLDと称す)を採用してもよい。
【0017】
交流発電制御回路10は、オルタネータ1の交流電圧を所定の交流電圧に制御するオルタネータレギュレータである。交流発電制御回路10は、バッテリVBの正極(オルタネータ1の出力端子)に接続されたB端子と、三相のうちの一相であるステータコイル2cに接続されたP端子と、ロータコイル3に接続されたE端子と、を備える。交流発電制御回路10は、B端子とE端子との間に接続されたMOSFET等のスイッチ素子Q1と、E端子に接続されたロータコイル3に並列に接続された還流ダイオードD11と、を備える。
【0018】
交流発電制御回路10は、コンパレータCOMP1、COMP2と、抵抗R1~R4と、基準電源Vsと、制御回路11と、を備えている。制御回路11は、P端子の交流電圧Vpに基づき、ロータコイル3に直列に接続されたスイッチ素子Q1のオンオフを制御してロータコイル3への励磁電流の供給・供給停止を切替えることにより、オルタネータ1の出力電圧を制御する。還流ダイオードD11は、スイッチ素子Q1がオンしているときに界磁電流を環流させることにより励磁電流を減衰させる。
【0019】
コンパレータCOMP1は、非反転入力端子が抵抗R1を介してP端子に、反転入力端子が基準電源Vsにそれぞれ接続され、出力端子が抵抗R2を介して非反転入力端子に正帰還されている。抵抗R1、R2は、ヒステリス回路であり、コンパレータCOMP1は、ヒステリスコンパレータとして機能する。コンパレータCOMP1は、しきい値VPH[Vs+R1(Vs-VOL)/R2]以上になるとHiレベルを出力し、しきい値VPL[Vs+R1(Vs-VOH)/R2]を下回るとLowレベルを出力する。VOLは、コンパレータCOMP1のマイナス側振り切り電圧であり、VOHは、コンパレータCOMP1のプラス側振り切り電圧である。
【0020】
コンパレータCOMP2は、非反転入力端子が抵抗R3を介してP端子に、反転入力端子が基準電源Vsにそれぞれ接続され、出力端子が抵抗R4を介して非反転入力端子に正帰還されている。抵抗R3、R4は、ヒステリス回路であり、コンパレータCOMP2は、ヒステリスコンパレータとして機能する。コンパレータCOMP2は、交流電圧Vpがしきい値VPHよりも高いしきい値VPF_H[Vs+R3(Vs-VOL)/R4]以上になるとHiレベルを出力し、交流電圧Vpがしきい値VPLよりも低いしきい値VPF_L[Vs+R3(Vs-VOH)/R4]を下回るとLowレベルを出力する。VOLは、コンパレータCOMP2のマイナス側振り切り電圧であり、VOHは、コンパレータCOMP2のプラス側振り切り電圧である。
【0021】
しきい値VPF_Hとしきい値VPHとの差分(VPF_H-VPH)と、しきい値VPLとしきい値VPF_Lとの差分(VPL-VPF_L)とは、等しく設定されている。フローティング制御機能で検出する交流電圧Vpの振幅減少は、無発電警報機能のしきい値VPH、VPLを挟んだ上下両側のいずれでも、同じ条件で検出できる。
【0022】
制御回路11は、無発電警報機能とフローティング制御機能と、を備える。無発電警報機能は、コンパレータCOMP1の出力が所定時間内に遷移しない場合に、無発電警報を検出する。すなわち、制御回路11は、P端子の交流電圧Vpをしきい値VPH、VPL(VPH>VPL)と比較し、交流電圧Vpがしきい値VPH、VPLを横切らなかったときに無発電警報を検出する。
【0023】
フローティング制御機能は、コンパレータCOMP2の出力が所定時間内に遷移しない場合に、発電量を増やす制御に切り替え、コンパレータCOMP2の出力が所定時間内に遷移する場合に、発電量を減らす制御に切り替える。すなわち、制御回路11は、P端子の交流電圧Vpを無発電警報機能のしきい値VPHよりも高いしきい値VPF_H、無発電警報機能のしきい値VPLよりも低いしきい値VPF_Lと比較することで、フローティング制御を実行する。制御回路11は、交流電圧Vpがしきい値VPF_H、VPF_Lの少なくともいずれか一方を横切らなかった場合に発電量を増やす制御に切り替える。制御回路11は、交流電圧Vpがしきい値VPF_H、VPF_Lの両方を横切る場合に発電量を減らす制御に切り替える。
【0024】
次に、交流発電制御回路10のフローティング制御機能について
図2及び
図3を参照して詳細に説明する。
図2は、整流器4(ダイオードD1~D6)にPN接合ダイオードを採用した場合の交流電圧Vpの電圧波形図であり、
図3は、整流器4(ダイオードD1~D6)にLLDを採用した場合の交流電圧Vpの電圧波形図である。
【0025】
まず、整流器4(ダイオードD1~D6)にPN接合ダイオードを採用した場合の交流発電制御回路10の動作について説明する。
図2(a)は、バッテリVBの電圧が制御電圧より大きくなり、交流発電制御回路10が発電量を減らす制御を開始した初期の段階を示す。P端子の交流電圧Vpは、設定した全てのしきい値VPH、VPL、VPF_H、VPF_Lを横切る形で推移する。この場合、コンパレータCOMP1、COMP2の出力は、所定時間ごとに遷移する。これにより、制御回路11は、発電量を減らす制御を継続する。
【0026】
図2(b)は、発電量を減らす制御を継続し、交流電圧Vpの電圧振幅が減少した状態を示す。P端子の交流電圧Vpは、設定したしきい値VPH、VPL、VPF_Lを横切るが、しきい値VPF_Hを横切らない形で推移する。この場合、コンパレータCOMP1の出力は、所定時間ごとに遷移するが、コンパレータCOMP2の出力は、Lowレベルで固定される。これにより、制御回路11は、フローティング制御機能によって、発電量を増やす制御に移行する。
【0027】
図2(c)は、交流電圧Vpの電圧振幅がさらに減少した状態を示す。P端子の交流電圧Vpは、設定したしきい値VPF_Lを横切るが、しきい値VPH、VPL、VPF_Hを横切らない形で推移する。この場合、コンパレータCOMP1の出力は、Lowレベルで固定され、コンパレータCOMP2の出力は、Lowレベルで固定される。これにより、制御回路11は、無発電警報機能によって無発電警報を検出する。
【0028】
次に、整流器4(ダイオードD1~D6)にLLDを採用した場合の交流発電制御回路10の動作について説明する。
図3(a)は、バッテリVBの電圧が制御電圧より大きくなり、交流発電制御回路10が発電量を減らす制御を開始した初期の段階を示す。P端子の交流電圧Vpは、設定した全てのしきい値(VPH、VPL、VPF_H、VPF_L)を横切る形で推移する。従って、コンパレータCOMP1、COMP2の出力は、所定時間ごとに遷移する。これにより、制御回路11は、発電量を減らす制御を継続する。
【0029】
図3(b)は、発電量を減らす制御を継続し、交流電圧Vpの電圧振幅が減少した状態を示す。P端子の交流電圧Vpは、設定したしきい値VPH、VPL、VPF_Hを横切るが、しきい値VPF_Lを横切らない形で推移する。P端子の交流電圧Vpは、オフセットによってしきい値VPF_Hを横切る状態が継続されるが、しきい値VPLよりも低いしきい値VPF_Lを設けることで、しきい値VPF_Lで電圧振幅の減少を検出可能になる。この場合、コンパレータCOMP1の出力は、所定時間ごとに遷移するが、コンパレータCOMP2の出力は、Hiレベルで固定される。これにより、制御回路11は、LLDに起因するオフセットがあっても、フローティング制御に移行し、発電量を増やす制御に移行する。
【0030】
図3(c)は、交流電圧Vpの電圧振幅がさらに減少した状態を示す。P端子の交流電圧Vpは、設定したしきい値VPF_Hを横切るが、しきい値VPH、VPL、VPF_Lを横切らない形で推移する。この場合、コンパレータCOMP1の出力は、Hiレベルで固定され、コンパレータCOMP2の出力は、Hiレベルで固定される。これにより、制御回路11は、無発電警報機能によって無発電警報を検出する。
【0031】
以上説明したように、本実施の形態は、ステータコイル2a、2b、2cに電圧を誘起するための磁束を発生させるロータコイル3を備え、整流器4によってステータコイル2cに発生した交流電圧Vpを直流電圧に整流して出力するオルタネータ1の発電量を制御する交流発電制御回路10であって、ステータコイル2cに発生した交流電圧Vpをしきい値VPH(高電位側無発電しきい値)及びしきい値VPL(低電位側無発電しきい値)と比較する第1のコンパレータであるコンパレータCOMP1と、ステータコイル2cに発生した交流電圧Vpをしきい値VPHよりも高いしきい値VPF_H(高電位側フローティングしきい値)及びしきい値VPLよりも低いしきい値VPF_L(低電位側フローティングしきい値)と比較する第2のコンパレータであるコンパレータCOMP2と、コンパレータCOMP1の出力によってステータコイル2cに発生した交流電圧Vpがしきい値VPH及びしきい値VPLを横切らなくなったことを検出した場合に無発電警報を検出し、コンパレータCOMP2の出力によってステータコイル2cに発生した交流電圧Vpがしきい値VPF_Hとしきい値VPF_Lとの少なくともいずれか一方を横切らなくなったことを検出した場合にフローティング制御に移行して発電量を増やす制御回路11とを備える。
この構成により、交流発電制御回路10は、ステータコイル2cに発生した交流電圧Vpにオフセットが発生してもしなくても、フローティング制御に移行することができ、整流器4のダイオードD1~D6としてPN接合ダイオードとLLDとのいずれを採用しても適正なタイミングでフローティング制御に移行できる。
【0032】
さらに、本実施形態において、しきい値VPF_Hとしきい値VPHとの差分と、しきい値VPLとしきい値VPF_Lとの差分とは、等しく設定されている。
この構成により、フローティング制御機能で検出する交流電圧Vpの振幅減少は、無発電警報機能のしきい値VPH、VPLを挟んだ上下両側のいずれでも、同じ条件で検出できる。
【0033】
なお、本発明が上記各実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、各実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、上記構成部材の数、位置、形状等は上記実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。なお、同一構成要素には、各図において、同一符号を付している。
【符号の説明】
【0034】
1 オルタネータ
2a、2b、2cステータコイル
3 ロータコイル
4 整流器
10 交流発電制御回路
11 制御回路
COMP1、COMP2 コンパレータ
D1~D6 ダイオード
D11 還流ダイオード
Q1 スイッチ素子
R1~R4 抵抗
VB バッテリ