(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024111408
(43)【公開日】2024-08-19
(54)【発明の名称】貯湯式給湯装置
(51)【国際特許分類】
F24H 1/18 20220101AFI20240809BHJP
【FI】
F24H1/18 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023015890
(22)【出願日】2023-02-06
(71)【出願人】
【識別番号】000000538
【氏名又は名称】株式会社コロナ
(72)【発明者】
【氏名】大平 晃寛
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 元泰
(72)【発明者】
【氏名】阿部 基
【テーマコード(参考)】
3L122
【Fターム(参考)】
3L122AA02
3L122AA23
3L122AA63
3L122AA64
3L122AB24
3L122AB62
3L122AB63
3L122BA13
3L122BA14
3L122BB02
3L122BB12
3L122BB15
3L122FA02
3L122FA13
(57)【要約】
【課題】安価な構成で加熱バイパス管の凍結を防止することができると共に圧力逃がし弁38から比較的低温の湯水を排出することで貯湯式給湯装置内を安全な圧力に保つことができる貯湯式給湯装置を提供する。
【解決手段】貯湯式給湯装置は、温水を貯湯する貯湯タンク2と、貯湯タンク2内の湯を加熱する加熱手段16と、温水を貯湯タンク2下部から加熱手段16に送る加熱往き管17と、加熱往き管17途中に設けられた循環ポンプ20と、加熱手段16で加熱した温水を貯湯タンク2の上部に送る加熱戻り管18と、加熱戻り管18から分岐し、給水管4と合流する加熱バイパス経路と、加熱戻り管18から加熱バイパス経路へ温水の流れを切り替える加熱バイパス弁22と、貯湯式給湯装置内の圧力が所定の圧力を超えた場合、圧力を貯湯式給湯装置外に逃す圧力逃がし弁38とを備え、圧力逃がし弁38は、加熱バイパス経路に設けた。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯湯式給湯装置は、
温水を貯湯する貯湯タンクと、
前記貯湯タンク内の湯を加熱する加熱手段と、
前記貯湯タンク上部に接続された出湯管と、
前記貯湯タンク下部に接続された給水管と、
前記給水管から分岐して、前記出湯管と合流される給水バイパス管と
前記出湯管の高温水と前記給水バイパス管の給水を混ぜ合わせて給湯先に給湯水を送出させる給湯管と、
前記温水を前記貯湯タンク下部から前記加熱手段に送る加熱往き管と、
前記加熱往き管途中に設けられた循環ポンプと、
前記加熱手段で加熱した温水を前記貯湯タンクの上部に送る加熱戻り管と、
前記加熱戻り管から分岐し、前記給水管と合流する加熱バイパス経路と、
前記加熱戻り管から前記加熱バイパス経路へ前記温水の流れを切り替える加熱バイパス弁と、
前記貯湯式給湯装置内の圧力が所定の圧力を超えた場合、圧力を前記貯湯式給湯装置外に逃す圧力逃がし弁とを備え、
前記圧力逃がし弁は、前記加熱バイパス経路に設けたことを特徴とする貯湯式給湯装置。
【請求項2】
前記圧力逃がし弁は、前記加熱バイパス経路が前記給水管へと合流する出口側合流位置よりも前記加熱バイパス経路が前記加熱戻り管から分岐される入口側分岐位置に近い位置に設けたことを特徴とする請求項1記載の貯湯式給湯装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、加熱手段を有した貯湯式給湯装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来よりこの種の貯湯式給湯装置では、貯湯タンクと加熱手段とを備え、貯湯タンク下部から加熱手段に送る加熱往き管と、加熱手段から貯湯タンクに送る加熱戻り管とで貯湯タンクと加熱手段とを連結して加熱循環回路を構成し、前記加熱循環回路中に設けた循環ポンプで貯湯タンクと加熱手段内の湯を循環させて、貯湯タンク内の水を加熱する沸き上げ運転で沸き上げた湯を貯湯タンクに貯湯していき、順次貯湯タンク内の高温水と給水とをミキシングしながら、設定温度の給湯を行い経済的な給湯を実現するものであった。
【0003】
また、加熱戻り管から分岐した加熱バイパス管は給水管に接続され、加熱バイパス管を通るバイパス循環経路が、給水管の給水経路と一部を共用している貯湯式給湯装置があり、給水管と加熱バイパス管の凍結を防止するために沸き上げ運転時に加熱バイパス管側に湯を循環させ貯湯タンク下部に流入させる凍結防止運転が知られていた(例えば、特許文献1)。
【0004】
また、貯湯式給湯装置内の圧力が所定の圧力を超えた時に開弁する圧力逃がし弁を低温の水が流れる位置に配置することで、圧力を貯湯式給湯装置外に排出するとき、低温の水が排出されるため、貯湯タンク内に貯留した高温水が貯湯式給湯装置外に排出されるのを防ぐことが知られていた(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007-139258号公報
【特許文献2】特開2013-217622号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1のように、沸き上げ運転時に凍結防止運転のためにヒートポンプ式加熱手段で沸き上げた高温水を加熱バイパス管側に湯を循環させ貯湯タンク下部に流入させると、貯湯タンク下部に高温水が溜まることで、ヒートポンプ式加熱手段に流入する入水温度が高くなり、沸き上げ効率が低下してしまうという問題があった。
【0007】
また、特許文献2のように給水管に圧力逃がし弁を配置することで、貯湯タンク内の高温水の排出を防ぐことができるが、加熱バイパス管を備えた貯湯式給湯装置では、沸き上げ運転時に圧力逃がし弁で圧力を逃すとき、加熱バイパス管には湯水の流れが発生せず、特許文献1のような凍結防止運転を行わないと凍結してしまう可能性があるという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、貯湯式給湯装置は、温水を貯湯する貯湯タンクと、前記貯湯タンク内の湯を加熱する加熱手段と、前記貯湯タンク上部に接続された出湯管と、前記貯湯タンク下部に接続された給水管と、前記給水管から分岐して、前記出湯管と合流される給水バイパス管と前記出湯管の高温水と前記給水バイパス管の給水を混ぜ合わせて給湯先に給湯水を送出させる給湯管と、前記温水を前記貯湯タンク下部から前記加熱手段に送る加熱往き管と、前記加熱往き管途中に設けられた循環ポンプと、前記加熱手段で加熱した温水を前記貯湯タンクの上部に送る加熱戻り管と、前記加熱戻り管から分岐し、前記給水管と合流する加熱バイパス経路と、前記加熱戻り管から前記加熱バイパス経路へ前記温水の流れを切り替える加熱バイパス弁と、前記貯湯式給湯装置内の圧力が所定の圧力を超えた場合、圧力を前記貯湯式給湯装置外に逃す圧力逃がし弁とを備え、前記圧力逃がし弁は、前記加熱バイパス経路に設けた。
【0009】
また、前記圧力逃がし弁は、前記加熱バイパス経路が前記給水管へと合流する出口側合流位置よりも前記加熱バイパス経路が前記加熱戻り管から分岐される入口側分岐位置に近い位置に設けた。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、安価な構成で加熱バイパス管の凍結を防止することができると共に圧力逃がし弁から比較的低温の湯水を排出することで貯湯式給湯装置内を安全な圧力に保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】この発明の沸き上げ運転の動作を示すフローチャート。
【
図3】この発明の実施形態の圧力逃がし弁の配置を示す概略構成図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次にこの発明の1実施形態の貯湯式給湯装置を図面に基づいて説明する。
1は貯湯タンクユニットで内方には、湯水を貯湯する貯湯タンク2と、該貯湯タンク2の上部に接続された出湯管3と、貯湯タンク2の下部に接続された給水管4と、出湯管3からの高温水と給水管4から分岐された給水バイパス管5からの低温水とをミキシングする給湯ミキシング弁6と、該給湯ミキシング弁6の下流に接続された給湯管7に設けられた給湯温度センサ8及び給湯流量を検出する給湯フローセンサ9とが備えられている。
【0013】
10はヒートポンプユニットで、圧縮機11と凝縮器としての水冷媒熱交換器12と電子式の膨張弁13と室外ファン14を有し空気と熱交換する蒸発器としての空気熱交換器15で構成されたヒートポンプ式の加熱手段16と、前記貯湯タンク2内の湯水を加熱往き管17及び加熱戻り管18から成る加熱循環回路19を介して加熱手段16に循環させる循環ポンプ20と、それらの駆動を制御するヒートポンプ制御部21とを備えており、加熱手段16には冷媒として二酸化炭素が用いられて超臨界ヒートポンプサイクルを構成しているものである。また、冷媒に二酸化炭素を用いているので、低温水を電熱ヒータなしで約90℃の高温まで沸き上げることが可能になっている。
【0014】
ここで、前記水冷媒熱交換器12は冷媒と被加熱水たる貯湯タンク2内の湯水とが対向して流れる対向流方式を採用しており、超臨界ヒートポンプサイクルでは熱交換時において冷媒は超臨界状態のまま凝縮されるため効率良く高温まで被加熱水を加熱することができ、被加熱水の水冷媒熱交換器12入口温度と冷媒の出口温度との温度差が一定になるように前記膨張弁13または圧縮機11を制御することで、被加熱水の水冷媒熱交換器12の入口温度が5~20℃程度の低い温度であるとCOP(エネルギー消費効率)がとても良い状態で被加熱水を加熱することが可能なものである。
【0015】
また、加熱戻り管18途中には加熱バイパス弁22が備えられ、凍結防止時には加熱バイパス弁22を貯湯タンク2下部の給水管4に接続した加熱バイパス経路である加熱バイパス管23側と連通するように切り替えることで、貯湯タンク2内下部を利用した短絡回路の循環として凍結を防止するものである。この加熱バイパス弁22は前記加熱戻り管18から加熱バイパス管23への分岐位置に配置されている。
【0016】
また、加熱手段16の加熱初期に十分に加熱されていない温水を循環させる場合、貯湯タンク2上部に湯水を戻さず、加熱バイパス管23を介したバイパス循環経路で貯湯タンク2下部に湯水を戻しており、その後十分に加熱された湯水を循環させる場合、加熱バイパス弁22を貯湯タンク2上部側に切り替える。
【0017】
24はマイコン等から成る制御装置で、ヒートポンプ制御部21を制御して加熱循環回路19による貯湯タンク2の沸き上げ運転や沸き増し運転等、給湯の温度制御、風呂の湯張りや追い焚き、保温等の運転制御を行う。
【0018】
また、制御装置24には、加熱バイパス弁22の開度を制御する加熱バイパス弁制御手段25を備えており、具体的に加熱バイパス弁制御手段25は、加熱バイパス弁22を加熱バイパス管23側にし、貯湯タンク2下部の給水管4に連通するように切り替える第1の状態と、加熱バイパス弁22を貯湯タンク2の上部側に連通させる第2の状態とに切り替えている。
【0019】
また、制御装置24には、前記循環ポンプの回転数を制御する回転数制御手段26と、後述する沸き上げ運転の制御を行う沸き上げ運転制御手段27とが備えられている。
【0020】
この沸き上げ運転の開始時、加熱手段16内の冷媒が十分に加熱されておらず、加熱往き管17から流入した貯湯タンク2下部の水を沸き上げ目標温度に沸き上げることはできないので、回転数制御手段26は、循環ポンプ20の回転数を所定の回転数未満(この所定の回転数未満は低回転状態のことを言い、後述する文章中では低回転状態と記す)にして、沸き上げ運転制御手段27は循環ポンプ20を駆動させて沸き上げ運転を行い、前記低回転状態の終了条件である沸き上げ運転開始からの経過時間が所定時間以上、もしくは、加熱戻り管18途中の出口温度センサ35で所定温度以上になると、回転数制御手段26は、循環ポンプ20の回転数を所定沸上回転数にして、沸き上げ運転を行う。また、ここの所定の回転数とは、前記低回転状態時よりも高く前記所定沸上回転数よりも低いと共に、少なくとも給湯による給水圧の影響で沸き上げ運転の循環が停止しない回転数である。
【0021】
また、上記同様に、沸き上げ運転開始時、加熱手段16内の冷媒が十分に加熱されておらず、加熱往き管17から流入した貯湯タンク2下部の水を沸き上げ目標温度に沸き上げることはできないので、加熱バイパス弁制御手段25は、加熱バイパス弁22を第1の状態にしてから沸き上げを行なって沸き上げた湯を貯湯タンク2の下部に戻し、その後前記低回転状態の前記終了条件に達すると、加熱バイパス弁22を第2の状態にして沸き上げ運転を行う。
【0022】
更にリモコン28には、給湯設定温度を設定する温度設定スイッチ29、風呂への湯張りを指示する湯張りスイッチ30、湯張り量を設定する31を有し、更にドットマトリクス型の蛍光表示管よりなる表示部32と、この表示部32を制御すると共に制御装置24との通信を行うマイコンで構成されたリモコン制御部33が備えられている。
【0023】
また、前記加熱循環回路19の水冷媒熱交換器12の入水側には入水温度センサ34が備えられ入水温度を検知するものであり、出口側には出口温度センサ35が備えられて、加熱後の湯水温度を検知するものであり、貯湯タンク2に備えられた該貯湯タンク2内の貯湯温度を検知する複数の貯湯温度センサ36で、下部の貯湯温度センサ36が沸き上げ目標温度を継続して検知することで沸き上げ運転を終了させるものである。また、実施形態では貯湯温度センサ36が継続して沸き上げ目標温度を検知したら沸き上げ運転を終了しているが、貯湯温度センサ36で検出した貯湯温度から貯湯量を算出し、沸き上げ運転で目標貯湯量に達したら沸き上げ運転を終了しても良い。
【0024】
37は給水管4に備えられた減圧弁である。
【0025】
38は加熱バイパス管23に設けられた、貯湯タンク2や加熱循環回路19内の圧力を逃す圧力逃がし弁である。
【0026】
この圧力逃がし弁38は、沸き上げ運転により貯湯タンク2内や加熱循環回路19内の湯水が高温となり、貯湯式給湯装置内の圧力が上昇し、所定の圧力を超えると弁が開弁し、圧力と共に湯水が貯湯式給湯装置外に排出されるものである。
【0027】
また、39は湯張り管40を浴槽と連通させて、浴槽に湯を供給させる湯張り弁、41は風呂に供給される風呂温度を検出する風呂温度センサ、42は湯張り管40を通過した流量を検出する風呂フローセンサである
【0028】
次に、沸き上げ運転について説明する。
貯湯熱量の低下や深夜の時間帯の沸き上げ要求があると、加熱バイパス弁制御手段25は加熱バイパス弁22を貯湯タンク1の下部側に連通させる第1の状態にし、制御装置24は、貯湯タンク2と加熱手段16を繋ぐ配管の途中にある循環ポンプ20を駆動して、貯湯タンク2内下部から水をくみ上げ、加熱手段16で温めて貯湯タンク32下部に戻し、その後前記低回転状態の前記終了条件に達すると、貯湯タンク2の上部側に連通させる第2の状態にし、貯湯タンク2上部に戻す動作を続ける事により徐々に貯湯タンク2内の水が高温水へと沸き上げる。
【0029】
次に沸き上げ運転中に給湯運転が行われた場合の実施形態の動作を
図2のフローチャートに基づいて詳しく説明する。
貯湯熱量の低下や深夜の時間帯の沸き上げ要求があり、沸き上げ運転制御手段27が沸き上げ運転開始すると(S1がYes)、加熱バイパス弁制御手段25は加熱バイパス弁22を加熱バイパス管23側に連通させる第1の状態にし(S2)、回転数制御手段26は循環ポンプ20の回転数を前記低回転状態(所定の回転数未満)にして(S3)、沸き上げ運転制御手段27は循環ポンプ20を駆動する。
【0030】
そして、前記低回転状態の前記終了条件を満たした場合(S4がYes)、加熱バイパス弁制御手段25は加熱バイパス弁22を貯湯タンク2の上部側に連通させる第2の状態にし(S5)、回転数制御手段26は循環ポンプ20の回転数を所定沸上回転数にし(S6)、沸き上げ運転制御手段27は、沸き上げ運転を継続させる。
【0031】
その後、下部の貯湯温度センサ36が沸き上げ目標温度を継続して検知することで(S7がYes)、沸き上げ運転を完了させる(S8)。
【0032】
沸き上げ運転を行うことで、貯湯式給湯装置内の水が高温となり、貯湯式給湯装置内の圧力が上昇するので、沸き上げ運転中は、圧力逃がし弁38から圧力と共に湯水が貯湯式給湯装置外に排出される。
【0033】
次に、給湯動作ついて説明する。
給湯栓が開かれると給水管4から給水され、貯湯タンク2下部に流入すると共に給水バイパス管5を通り、貯湯タンク2上部から押し出された高温水と給水バイパス管5の給水が給湯ミキシング弁6で混ぜ合わされ、給湯設定温度と給湯温度センサ8で検出された温度が同じなるように調整された湯水が給湯栓から給湯される。
【0034】
また、湯張り動作について説明する。
リモコン28の湯張りスイッチ30が押されると制御装置24は湯張り弁39を開弁し、給水管4から給水を供給し、貯湯タンク2下部に流入すると共に給水バイパス管5を通り、貯湯タンク2上部から押し出された高温水と給水バイパス管5の給水が給湯ミキシング弁6で混ぜ合わされ、風呂設定温度と風呂温度センサ41で検出された温度が同じになるように調整された湯水が浴槽に流入されることで湯張りが開始される。そして、風呂フローセンサ42で流れた流量を検出して、流れた流量の合計積算値が湯張り設定量分流れたら制御装置24が湯張り弁39を閉状態にすることで湯張りを完了する。
【0035】
次に圧力逃がし弁38の詳しい配置について
図1と
図3に基づいて説明する。
加熱戻り管18に設けられた加熱バイパス弁22から加熱バイパス管23に分岐する位置を入口側分岐位置aとし、加熱バイパス管23から給水管4に合流する位置を出口側合流位置bとする。
【0036】
入口側分岐位置aを上流側とし、出口側合流位置bを下流側とした加熱バイパス管23の途中に圧力逃がし弁38を配置している。
【0037】
加熱バイパス管23に圧力逃がし弁38が配置されている場合の湯水の流れを説明する。
貯湯式給湯装置内の圧力が上昇し、圧力逃がし弁38が開弁されると、加熱バイパス弁22が第2の状態の場合、入口側分岐位置aと圧力逃がし弁38との間の湯水の流れは発生しないが、圧力逃がし弁38と出口側合流位置bとの間の湯水は圧力と共に貯湯式給湯装置外に排出される。
【0038】
そして、圧力逃がし弁38と出口側合流位置bとの間の湯水が排出されたことで、まず出口側合流位置b付近の給水管4から水が供給される。このとき、貯湯式給湯装置内の圧力が所定の圧力を超えている場合、給水管4から供給された水は圧力と共に貯湯式給湯装置外に排出される。この給水管4からの水の供給は貯湯式給湯装置内の圧力が所定の圧力を下回るまで行われ、貯湯式給湯装置内の圧力上昇を防ぐと共に加熱バイパス管23内の湯水の流れが発生する。
【0039】
また、圧力逃がし弁38と出口側合流位置bとの間の湯水が排出され、出口側合流位置b付近の給水管4から水が供給されると、貯湯タンク2内が高温になったことで、膨張した貯湯タンク2内の湯水も給水管4を介して圧力と共に貯湯式給湯装置外に排出される。この貯湯タンク2内の湯水の供給は、貯湯タンク2内の圧力が所定の圧力を下回るまで行なわれ、貯湯タンク2の破損を防ぐと共に加熱バイパス管23内の湯水の流れが発生する。
【0040】
このように、圧力逃がし弁38を加熱バイパス管23の途中に配置しているので、貯湯タンク2を含む貯湯式給湯装置内の圧力が所定の圧力を超えた場合、圧力は加熱バイパス管23内の湯水や給水管4内の水の比較的低温の湯水と共に圧力逃がし弁38から貯湯式給湯装置外に排出されることになるため、高温水が排出されて熱を消費してしまうことがなく、安全で低コストな貯湯式給湯装置を提供することができる。
【0041】
また、沸き上げ運転中は出口温度センサ35で検出した温度が上がっていくため、加熱バイパス弁22は貯湯タンク2下部に流入させる加熱バイパス管23側には切り替えないので、加熱バイパス管23内の湯水が動かず、加熱バイパス管23内の凍結する可能性がある。しかし、沸き上げ運転により貯湯式給湯装置内の圧力も上昇するため、圧力逃がし弁38が開弁されることで、加熱バイパス管23内に湯水の流れが発生し、凍結を防止することができる。
【0042】
また、沸き上げ運転時の圧力上昇に伴って加熱バイパス管23に湯水の流れを発生させるため、貯湯タンク2下部に湯水を循環させたり、電熱ヒーター等を用いて加熱バイパス管23を温めずに、安価な構成で加熱バイパス管23の凍結を防止することができる。
【0043】
また、加熱バイパス弁22の途中に圧力逃がし弁38を設けることで、沸き上げ運転中に加熱バイパス弁22を加熱バイパス管23側に切り替える動作が不要となるため、貯湯タンク2下部の温度を上げずに済み、沸き上げ効率の低下を抑えることができる。
【0044】
次に、入口側分岐位置aを上流側とし、出口側合流位置bを下流側とした加熱バイパス管23において、圧力逃がし弁38は出口側合流位置bよりも入口側分岐位置aに近い位置に配置した場合について説明する。好ましくは、入口側分岐位置aに近いほど良い。
【0045】
このように、圧力逃がし弁38は、入口側分岐位置aに近いほど加熱バイパス管23内の出口側合流位置bと圧力逃がし弁38との長さが長くなるので、湯水の動きの長さが長くなり、湯水の流れを多く発生させ、圧力逃がし弁38から出口側合流位置bまでの凍結を防止することができる。
【0046】
また、入口側分岐位置aと圧力逃がし弁38との距離が短いと、沸き上げ運転で高温水が加熱バイパス弁22を経由することで温められ、その放熱で入口側分岐位置a付近の凍結を防止することができる。
【0047】
なお、本発明は実施形態に限定されるものではなく、要旨を変更しない範囲で改変する事を妨げるものではなく、例えば、実施形態では加熱バイパス管23に圧力逃がし弁38を設けているが、加熱バイパス弁22と給水管4の間に加熱バイパス管23を設けずに直接圧力逃がし弁38を設けるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0048】
2 貯湯タンク
3 出湯管
4 給水管
5 給水バイパス管
6 給湯ミキシング弁
7 給湯管
16 加熱手段
19 加熱循環回路
20 循環ポンプ
22 加熱バイパス弁
23 加熱バイパス管(加熱バイパス経路)
24 制御装置
25 加熱バイパス弁制御手段
26 回転数制御手段
27 沸き上げ運転制御手段
38 圧力逃がし弁
a 入口側分岐位置
b 出口側合流位置