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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024111414
(43)【公開日】2024-08-19
(54)【発明の名称】保存庫の棚構造
(51)【国際特許分類】
   F25D 25/02 20060101AFI20240809BHJP
   A47B 46/00 20060101ALI20240809BHJP
   A47B 57/10 20060101ALI20240809BHJP
【FI】
F25D25/02 M
A47B46/00 501B
A47B57/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023015911
(22)【出願日】2023-02-06
(71)【出願人】
【識別番号】000208503
【氏名又は名称】大和冷機工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096703
【弁理士】
【氏名又は名称】横井 俊之
(72)【発明者】
【氏名】杉本 慎
(57)【要約】
【課題】 奥壁に棚柱がある保存庫においてもスライド棚を提供する。
【解決手段】 側壁12a,12bと奥壁12cとを有する業務用冷蔵庫10に、高さ方向に延設されて所定の間隔を空けて複数の差込穴21a1~21d1が形成される棚柱21a~21dと、この棚柱21a~21dの差込穴21a1~21d1に係合して所定高さ位置に固定されるクリップ22と、クリップ22にて所定の高さ位置にて支持される棚30とを備えており、棚柱21a,21bは側壁12a,12bにおける前方側にて左右に一対配設されると共に、棚柱21c,21dは奥壁12cに所定の間隔を空けて一対配設され、奥壁12cの棚柱棚柱21a,21bに対してクリップ22を介して所定高さ位置にて水平方向に固定されるリアフレーム40を備えている。
【選択図】 図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
側壁と奥壁とを有する保存庫内に、高さ方向に延設されて所定の間隔をあけて複数の差込穴が形成される棚柱と、この棚柱の差込穴に係合して所定高さ位置に固定されるクリップと、前記クリップにて所定の高さ位置にて支持される棚とを備える保存庫の棚構造であって、
前記棚柱は、前記保存庫の側壁における前方側にて左右に一対配設されると共に、前記奥壁に所定の間隔をあけて一対配設され、
前記奥壁の前記棚柱に対して前記クリップを介して所定高さ位置にて水平方向に固定されるとともに、両端が前記側壁に到達するリアフレームを備えることを特徴とする保存庫の棚構造。
【請求項2】
前記クリップにて所定高さ位置に支持されて前記側壁に沿って配置されるサイドレールを備え、
前記リアフレームは、水平方向に延設されて左右の前記側壁に到達しており、前記サイドレールの後端を前記リアフレームの左右の端部にて上下動不能に支持することを特徴とする前記請求項1に記載の保存庫の棚構造。
【請求項3】
前記サイドレールは、前記側壁に対面する基礎壁と、前記基礎壁の上端から前記側壁から離れる側に延出される上壁と、前記基礎壁の下端から前記側壁から離れる側に延出される下壁とを備えることを特徴とする前記請求項1または前記請求項2のいずれかに記載の保存庫の棚構造。
【請求項4】
前記サイドレールの前記上壁の端部から前記側壁の側に向けて斜めに延設される傾斜壁を備えるともに、前記傾斜壁には、前記基礎壁を前記側壁と平行にする位置で前記棚柱の差込穴に係止することで上方への移動を固定させる傾斜係止片を形成してあることを特徴とする請求項3に記載の保存庫の棚構造。
【請求項5】
前記サイドレールの前記下壁は、前記クリップが上面に有する水平片と当接して載置され、前記傾斜壁は、前記下壁の下面を前記クリップの上面に押しつけることで、前記基礎壁と前記下壁の位置を保持させることを特徴とする請求項3に記載の保存庫の棚構造。
【請求項6】
前記サイドレールの前記下壁の前記基礎壁と反対側の端部を前記保存庫の庫内側の斜め上方に向けて折り曲げ加工していることを特徴とする請求項3に記載の保存庫の棚構造。
【請求項7】
前記棚を囲んで支持可能な矩形の枠形状支持枠は、左右枠と、前枠と、後枠とから構成され、
前記左右枠と前記前枠は、前記棚を上方から挿入して支持可能な断面L字形状を有し、L字形状の垂直壁面は前記棚の枠部の外側に近接して支持し、内側に向けて張り出すL字形状の水平壁面は前記棚の枠部を下方から支持し、
前記後枠は、前記棚を前方から後方に向けて押し入れ可能な概略断面コの字型の断面形状を有しており、
コの字型の断面は、前記棚の枠部を外側から支えるコの字型とした垂直の壁面と、
前記棚の枠部を下方から支える垂直の壁面の下端より内側に向けて張り出す水平の壁面と、
前記棚の枠部を上方から挟んで支持する垂直の壁面の上端より内側に向けて張り出す水平の壁面とを有し、
前記前枠は、前記棚の枠部を支持する断面L字形状とされるとともに、
前記断面L字形状の上端から前方に向かって湾曲しつつ、手前の斜め下にむけて屈曲された断面形状となって、この湾曲している部分には下方から指先を挿入することができる程度の空間を備え、
前記左右枠の後部側の側面には、前記サイドレールのコの字型とした溝部内側でサイド上壁の内側面か、サイド下壁の内側面のいずれかに当接して回転可能なローラー部が取り付けられており、
前記左右枠前部側の底面下側は、前記サイドレールのローラー部またはフランジブッシュに支持されていることを特徴とする請求項3に記載の保存庫の棚構造。
【請求項8】
前記リアフレームは、前後方向に弾性変形可能で、前記サイドレールは、前記リアフレームに当接して前方側に付勢されると共に、前記側壁に支持される前記棚柱の前記差込穴に挿入される側面係合片を備え、当該側面係合片は、前記差込穴の前方側の縁部に対して係止する凹部を有していることを特徴とする請求項2に記載の保存庫の棚構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保存庫の棚構造に関する。
【背景技術】
【0002】
業務用の冷蔵庫や冷凍庫には、庫内に棚が設置されており、利用者が棚の高さ位置を変更できるようになっている。
棚の高さ位置を変更可能とするため、庫内の側壁や奥壁には高さ方向に概ね一定の間隔で差込穴を形成した棚柱を複数設置した上で、各棚柱の同じ高さ位置にクリップと呼ばれる係止片を差し込み、同じ高さ位置の複数の係止片の上で棚の縁部を支えるようにしている。
【0003】
特許文献1に示す発明は、庫内における両側壁の前方側と後方側に計四つの棚柱を設置し、それぞれ前後の棚柱で側壁に沿って前後方向に連続するサイドレールを支持させるとともに、このサイドレールにて棚を前後方向にスライド可能に支持している。
特許文献2においては、「固定レール60、70を取り付けたら、それ等の間にスペーサ57を挿入する。このようにすると、スペーサ57は、固定レール60、70の内側への変形を防止する。」と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平06-101958号公報
【特許文献2】実開平06-073687号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
業務用の冷蔵庫や冷凍庫には、側壁だけで棚柱を支持するもの以外に、前方側は側壁の棚柱で支持し、後方側は奥壁の棚柱で支持するものもある。上述した特許文献1に示す発明のものは、後方側でスライドレールを支持する棚柱が側壁に必要であり、後方側の側壁に棚柱を備えていないものには適用できない。
また、庫内左右両側面に引っかける引出し装置は、潜在的に、引き出し時に脱落してしまいやすい。
本発明は、奥壁に棚柱がある保存庫においてもスライド可能な棚構造を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、側壁と奥壁とを有する保存庫内に、高さ方向に延設されて所定の間隔をあけて複数の差込穴が形成される棚柱と、この棚柱の差込穴に係合して所定高さ位置に固定されるクリップと、前記クリップにて所定の高さ位置にて支持される棚とを備える保存庫の棚構造であって、前記棚柱は、前記保存庫の側壁における前方側にて左右に一対配設されると共に、前記奥壁に所定の間隔をあけて一対配設され、前記奥壁の前記棚柱に対して前記クリップを介して所定高さ位置にて水平方向に固定されるとともに、両端が前記側壁に到達するリアフレームを備える構成としてある。
上記構成において、前記保存庫の側壁における前方側にて前記棚柱が左右に一対配設されているとともに、前記奥壁にも所定の間隔をあけて前記棚柱が一対配設されている。そして、リアフレームは前記奥壁の前記棚柱に対して前記クリップを介して所定高さ位置にて水平方向に固定されており、その両端が前記側壁に到達している。
【0007】
本発明の他の実施形態においては、前記クリップにて所定高さ位置に支持されて前記側壁に沿って配置されるサイドレールを備え、前記リアフレームは、水平方向に延設されて左右の前記側壁に到達しており、前記サイドレールの後端を前記リアフレームの左右の端部にて上下動不能に支持する構成としてある。
上記構成において、前記保存庫の側壁における前方側にて左右に一対の前記棚柱が配設されており、前記サイドレールは前方側にて前記クリップにて前記側壁に沿って配置されつつ所定高さ位置に支持される。一方、前記リアフレームは水平方向に延設されて左右の前記側壁に到達し、前記リアフレームの左右の端部にて前記サイドレールの後端を上下動不能に支持する。
【0008】
本発明の他の実施形態においては、前記サイドレールは、前記側壁に対面する基礎壁と、前記基礎壁の上端から前記側壁から離れる側に延出される上壁と、前記基礎壁の下端から前記側壁から離れる側に延出される下壁とを備える構成としてある。
上記構成において、前記基礎壁と前記上壁と前記下壁とによって断面コの字型となるように形成されており、前記基礎壁が前記側壁に対面することで、前記上壁と前記下壁とが前記基礎壁の高さだけ隔ててほぼ平行に並び、保存庫の内側に対面する溝状の部位を形成する。
【0009】
本発明の他の実施形態においては、前記サイドレールの前記上壁の端部から前記側壁の側に向けて斜めに延設される傾斜壁を備えるともに、前記傾斜壁には、前記基礎壁を前記側壁と平行にする位置で前記棚柱の差込穴に係止することで上方への移動を固定させる傾斜係止片を形成した構成としてある。
上記構成において、前記基礎壁を前記側壁と平行に接する位置では、前記サイドレールの前記上壁の端部から前記側壁の側に向けて斜めに延設される傾斜壁に形成される前記傾斜係止片が、前記棚柱の差込穴に係止することで、上方への移動を固定させる。
【0010】
本発明の他の実施形態においては、前記サイドレールの前記下壁は、前記クリップが上面に有する水平片と当接して載置され、前記傾斜壁は、前記下壁の下面を前記クリップの上面に押しつけることで、前記基礎壁と前記下壁の位置を保持させる構成としてある。
上記構成において、前記サイドレールの前記下壁は、前記クリップが上面に有する水平片と当接して載置され、前記傾斜壁は、前記下壁の下面を前記クリップの上面に押しつけることで、前記基礎壁と前記下壁の位置を保持させる。
【0011】
本発明の他の実施形態においては、前記サイドレールの前記下壁の前記基礎壁と反対側の端部を前記保存庫の庫内側の斜め上方に向けて折り曲げ加工している構成としてある。
上記構成において、断面がコの字型に形成される前記サイドレールの前記下壁の先端が前記保存庫の庫内側の斜め上方に向けて折り曲げ加工されている。コの字型とした凹部にプーリなどの回転体を配置することでスライド構造を形成することができ、このときに回転体が、スライドレールの下壁よりも庫内側に移動させないように軌跡を矯正することになる。
【0012】
本発明の他の実施形態においては、棚を囲んで支持可能な矩形の枠形状支持枠は、左右枠と、前枠と、後枠とから構成され、前記左右枠と前記前枠は、前記棚を上方から挿入して支持可能な断面L字形状を有し、L字形状の垂直壁面は前記棚の枠部の外側に近接して支持し、内側に向けて張り出すL字形状の水平壁面は前記棚の枠部を下方から支持し、前記後枠は、前記棚を前方から後方に向けて押し入れ可能な概略断面コの字型の断面形状を有しており、コの字型の断面は、前記棚の枠部を外側から支えるコの字型とした垂直の壁面と、前記棚の枠部を下方から支える垂直の壁面の下端より内側に向けて張り出す水平の壁面と、前記棚の枠部を上方から挟んで支持する垂直の壁面の上端より内側に向けて張り出す水平の壁面とを有し、前記前枠は、前記棚の枠部を支持する断面L字形状とされるとともに、前記断面L字形状の上端から前方に向かって湾曲しつつ、手前の斜め下にむけて屈曲された断面形状となって、この湾曲している部分には下方から指先を挿入することができる程度の空間を備え、前記左右枠の後部側の側面には、前記サイドレールのコの字型とした溝部内側でサイド上壁の内側面か、サイド下壁の内側面のいずれかに当接して回転可能なローラー部が取り付けられており、前記左右枠前部側の底面下側は、前記サイドレールのローラー部またはフランジブッシュに支持される構成としてある。
上記構成において、 前記棚は枠形状支持枠を介して保存庫内にて、前後動可能に収容されている。
【0013】
本発明の他の実施形態においては、前記リアフレームは、前後方向に弾性変形可能で、前記サイドレールは、前記リアフレームに当接して前方側に付勢されると共に、前記側壁に支持される前記棚柱の前記差込口に挿入される側面係合片を備え、当該側面係合片は、前記差込口の前方側の縁部に対して係止する凹部を有する構成としてある。
上記構成において、前記サイドレールを前記リアフレームに当接させて押し込むと、前記リアフレームは前後方向に弾性変形することで、結果的に前記サイドレールを前方側に付勢する。一方、前記サイドレールの前記側面係合片を前記側壁に支持される前記棚柱の前記差込穴に挿入し、押し込んでいた力を解くと、前記サイドレールは前方側に付勢されているので、当該サイドレールの側面係合片の前記凹部が、前記差込穴の前方側の縁部に対して係止する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の保存庫の棚構造によれば、保存庫の奥壁に棚柱が備えられている場合でも、両端が側壁に到達するリアフレームを備えることで、サイドレールの後端を直にあるいは間接的に支持することができ、棚をスライド可能に支持できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態にかかる業務用冷蔵庫の要部の透視斜視図である。
図2】本発明の一実施形態にかかる業務用冷蔵庫の要部の裏側から見た透視斜視図である。
図3】本発明の一実施形態にかかる業務用冷蔵庫の要部の透視斜視図である。
図4】本発明の一実施形態にかかる業務用冷蔵庫の要部の透視斜視図である。
図5】本発明の一実施形態にかかる業務用冷蔵庫の要部の透視斜視図である。
図6】リアフレームと棚柱とクリップの概略断面図である。
図7】サイドレールとリアフレームとクリップの概略斜視図である。
図8】サイドレールの装着操作を示す図である。
図9】サイドレールの装着操作を示す図である。
図10】棚の組み立て斜視図である。
図11】棚の装着状態を示す透視斜視図である。
図12】棚の装着状態を示す透視斜視図である。
図13】サイドレールとローラーの概略断面図である。
図14】枠部材の組み立て斜視図である。
図15】枠部材と棚の装着前の斜視図である。
図16】枠部材と棚の装着状態の斜視図である。
図17】枠部材を業務用冷蔵庫内に装着した透視斜視図である。
図18】変形例にかかる棚と枠部材の装着前の斜視図である。
図19】枠部材と棚の装着状態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面にもとづいて本発明の実施形態を説明する。
図1図5は、本発明の一実施形態にかかる業務用冷蔵庫の要部を、各組み立て工程毎に透視斜視図により示している。
業務用冷蔵庫は、縦長の筐体10を備えており、前面開口11には図示しない開閉扉が装着されている。なお、業務用冷蔵庫が本発明の保存庫の一例に相当する。
【0017】
筐体10内はいわゆる保存庫である。本実施形態では、保存庫として業務用冷蔵庫であるが、業務用冷凍庫でも良いし、業務用以外の家庭用の冷蔵庫や冷凍庫などであっても良い。また、冷却機能を持たない保存庫であっても良い。
筐体10内には、側壁12a,12bと、奥壁12cと、天井12dと、底壁12eを有している。側壁12aと側壁12bとは互いに平行に対面しており、奥壁12cと直交している。側壁12aと側壁12bにおける前面開口11に近い側には、高さ方向に延設されて所定の間隔を空けて複数の差込穴21a1,21b1が形成される棚柱21a,21bが鉛直方向に配向されて固定されている。一方、奥壁12cにおいては、幅方向において線対称となる位置に所定の間隔を隔てた一対の棚柱21c,21dが、鉛直方向に配向されて固定されている。側壁12aと側壁12bにおける棚柱21a,21bの差込穴21a1,21b1および、奥壁12cにおける棚柱21c,21dの差込穴21c1,21d1に対して、脱着可能に係合可能で、上方から下方に向けての荷重を支えることが可能なクリップ22が複数用意されている。各クリップ22は、同じ高さ位置となる棚柱21a,21bの差込穴21a1,21b1、および棚柱21c,21dの差込穴21c1,21d1に係合させることで、棚30を任意の高さ位置に支持することを意図している。
これらの、棚柱21a,21b,21c,21dとクリップ22と棚30などが、本発明の保存庫の棚構造に相当する。また、棚柱21a,21bは、保存庫の側壁12a,12bにおける前方側にて左右に一対配設され、また、棚柱21c,21dは奥壁12cに所定の間隔を空けて一対配設されている。
【0018】
リアフレーム40は、奥壁12cの棚柱21c,21dに対してクリップ22を介して固定される。リアフレーム40は、棚柱21c,21dにおける同じ高さ位置の差込穴21c1,21d1に二つのクリップ22を介して固定されることで、水平方向に固定される。また、リアフレーム40の幅は、概ね、側壁12aと側壁12bの間隔に一致しており、両端が各側壁12a,12bに到達している。
【0019】
一方、側壁12aと側壁12bに沿ってサイドレール50a,50bが配置されて支持される。サイドレール50a,50bは、前方側が側壁12aと側壁12bの棚柱21a,21bに後述するように固定支持され、後端はリアフレーム40の左右の端部にて上下動不能に固定支持されている。
【0020】
図6は、リアフレームと棚柱とクリップを概略断面図により示しており、図7は、サイドレールとリアフレームとクリップを概略斜視図により示している。
クリップ22は棚柱の側から水平方向に庫内側に向けて突き出る水平片22aと、突き出た水平片22aの端部から再度棚柱の側に向かうように斜め下に折り曲げられて、先端が棚柱に到達する傾斜片22bとを備えており、水平片22aと傾斜片22bにおける棚柱の側の先端は棚柱の差込穴に挿入され、水平片22aを鉛直方向下方に負荷をかけたときに同差込穴に係合して固定される係合片22a1,22b1が形成されている。
【0021】
サイドレール50a,50bによって棚30を支持する場合、棚30が庫内に位置するときには、重心が棚柱21a,21bよりも庫内側に位置すると考えられ、サイドレール50a,50bの後端を維持するリアフレーム40は、上方から下方にかかる負荷を支持することになる。棚30が庫外に向けて引き出され、重心が棚柱21a,21bよりも庫外側に移動すると、サイドレール50a,50bの後端を維持するリアフレーム40は、下方から上方にかかる負荷を支持することになる。従って、リアフレーム40は、上方から下方へかかる負荷だけではなく、逆方向の下方から上方へかかる負荷も支持する必要がある。
【0022】
図6に示すように、リアフレーム40は、断面コの字型となるように形成されている。コの字型となるため、奥壁12cに対面するリア基礎壁40aと、リア基礎壁40aの上端より奥壁12cから離れる側に延出されるリア上壁40bと、リア基礎壁40aの下端より奥壁12cから離れる側に延出されるリア下壁40cとを備えている。リアフレーム40は、クリップ22の水平片22aと傾斜片22bと棚柱21c,21dで囲まれる内部に位置している。リア上壁40bがクリップ22と重なる部位において、このリア上壁40bはクリップ22の水平片22aに対してネジ止めされている。リア上壁40bが水平片22aの下面にネジ止めされているので、リアフレーム40の左右の端部でサイドレール50a,50bから受ける上下方向への荷重はクリップ22を介して棚柱21c,21dにて支持されることになる。
【0023】
サイドレール50a,50bは、庫内側に開口する概略断面コの字状に形成されている。コの字状とするため、サイドレール50a,50bは、側壁12a,12bに対面するサイド基礎壁50a1,50b1と、サイド基礎壁50a1,50b1の上端より側壁12a,12bから離れる側に延出されるサイド上壁50a2,50b2と、サイド基礎壁50a1,50b1の下端より側壁12a,12bから離れる側に延出されるサイド下壁50a3,50b3とを備えている。
【0024】
サイドレール50a,50bの後端側は、リアフレーム40のリア下壁40c上に載置されている。また、リアフレーム40の左右の端部を開口側に向けて屈曲されて、リアフレーム40の剛性を高めつつ、サイドレール50a,50bのサイド基礎壁50a1,50b1と側壁12a,12bとの間に挿入されることで、サイドレール50a,50bの後端を下からと外側からとで抱え込むように保持している。また、サイドレール50a,50bのサイド基礎壁50a1,50b1の後端も庫内側に90度屈曲させてあるため、サイドレール50a,50bとリアフレーム40は面と面とが対面する位置関係となっている。サイドレール50a,50bのサイド下壁50a3,50b3の後端は、やや下方に折り曲げられつつ、サイド下壁50a3,50b3の屈曲部位よりも奥方に突き出ており、この突出部位50a4,50b4に対応してリアフレーム40の左右の端部に形成した係合穴40a1に差し込まれる状態で係合している。係合穴40a1はスリット状に形成されているため、サイド下壁50a3,50b3の突出部位50a4,50b4が係合穴40a1に挿通されることで、サイドレール50a,50bはリアフレーム40によって上下動不能に支持されることになる。また、突出部位50a4,50b4と係合穴40a1は概ね幅が一致するようにしてあるので、両者の係合によって幅方向への移動も規制されることになる。
【0025】
図8図9は、サイドレールの装着操作を示している。
サイドレール50a,50bは、概ね断面コの字型形状であり、さらに、サイド上壁50a2,50b2の端部から側壁12a,12bの側に向けて斜めに延設されるサイド傾斜壁50a2a,50b2aを備えるともに、サイド傾斜壁50a2a,50b2aには、サイド基礎壁50a1,50b1を側壁12a,12bと平行に接する位置で棚柱21a,21bの差込穴21a1,21b1に係止することで上方への移動を固定させる傾斜係止片50a2b,50b2bを形成してある。なお、これらが請求項4の構成に相当する。
【0026】
また、サイドレール50a,50bのサイド下壁50a3,50b3は、クリップ22が上面に有する水平片22aの上面と当接して載置され、サイド傾斜壁50a2a,50b2aは、サイド下壁50a3,50b3の下面をクリップ22における水平片22aの上面に押しつけることで、サイド基礎壁50a1,50b1とサイド下壁50a3,50b3の位置を保持させる。なお、これらが請求項5の構成に相当する。
【0027】
リアフレーム40は、概ね断面コの字型形状として剛性を確保しているが、左右の両端はリア上壁40bを欠如してあり、リア基礎壁40aとリア下壁40cだけを残している。このリア基礎壁40aはL形状となっており、コの字形状よりは前後方向にやや剛性が低く、弾性変形可能である。一方、サイドレール50a,50bの後端はリアフレーム40にて上下動不能に支持される。
【0028】
次に、図8及び図9を参照しつつ、サイドレール50a,50bの装着操作について説明する。
サイドレール50a,50bの後端におけるサイド下壁50a3,50b3の突出部位50a4,50b4をリアフレーム40の両端の係合穴40a1,40a1に挿通したら、各サイドレール50a,50bの前端ではサイド下壁50a3,50b3を庫内側に向けてひねるように傾ける。この状態を図8の(a)に示している。ひねることでサイドレール50a,50bのサイド下壁50a3,50b3とサイド基礎壁50a1,50b1とが接する角の部分を、クリップ22の水平片22aの上面に当接させるとともに、サイド傾斜壁50a2a,50b2aの上端の傾斜係止片50a2b,50b2bの先端位置が若干低くなり、対面する棚柱21a,21bの差込穴21a1,21b1に挿入できるようになる。
また、突出部位50a4,50b4は、サイドレール50a,50bにおける低い位置(下辺付近)に形成されている。これにより、サイドレール50a,50bは好適に(垂直に)保持される効果が得られる。
サイドレール50a,50bを垂直状態を保ち続けることは重要である。サイドレール50a,50bを変形させようとする重大な原因は、「サイドレール50a,50bのコの字の上辺より高いところに、奥側棚柱のフックが位置している」ことにある。コの字とした上辺には、奥に取り付けられるローラーから上向きの力が作用するため、サイドレール50a,50bの奥側を何かにフックして保持する場合、コの字の上辺よりも低い位置に固定することが重要になってくる。
本実施例のように、サイドレール50a,50bにおける低い位置(下辺付近)に突出部位50a4,50b4が形成されていることにより、棚30を引き出した際に、サイドレール50a,50bはリアフレーム40の係合穴40a1,40a1によって下側で保持され、上辺ではローラー部31にて上方向へ引っ張られるため、垂直姿勢が非常に安定する効果が生まれる。
特許文献2に開示されるような「内側への変形」、などの悪い動きが生まれる要素が存在せず、追加部品を要することなく、多大な効果を奏している。
【0029】
傾斜係止片50a2b,50b2bを差込穴21a1,21b1に挿入したら、ひねっていたサイドレール50a,50bに加えていたひねる力を緩めると、サイドレール50a,50bは、蓄えていたねじり変形を開放するかたちで、ねじれのない本来の垂直な位置まで逆方向にひねる。自然に戻る。
傾斜係止片50a2b,50b2bの先端は、差込穴21a1,21b1の上端よりも高くなる。このとき、サイド下壁50a3,50b3とサイド基礎壁50a1,50b1とが接する角の部分は、クリップ22の水平片22aの上面に押し当てられつつも、サイドレール50a,50b全体が撓むことで滑動し、最終的には、図8の(b)に示すように、サイド基礎壁50a1,50b1が棚柱21a,21bに接するとともに、サイド下壁50a3,50b3が水平片22aの上面と平行に接する位置に到達する。この状態では、傾斜係止片50a2b,50b2bが差込穴21a1,21b1に対してはめられて、傾斜係止片50a2b,50b2b先端が、差込穴21a1,21b1の上端より高いため、サイドレールが庫内側へ水平移動することを妨げる効果を発揮する。
サイドレールのサイド下壁50a3,50b3の底平面は、クリップ22の水平片22aの上に載置されているがこの 接触平面 は幅が広い。そしてこの接触平面のほぼ真上に、手前ローラーが存在するが、前ローラー上には棚が乗っているため、棚と収納物の荷重が、下方への垂直力として働く。この力は、前ローラーから、サイドレールを伝わって、サイド下壁50a3,50b3の底平面から、クリップ22の水平片22aの平面上にそのまま伝達され、下向きの分布荷重となる。この分布荷重の反力として、サイド下壁50a3,50b3の底平面は、クリップ22の水平面から上方へ垂直な分布荷重を反力として受ける。幅の広い面において、強い分布荷重によって押圧、接合された状態となるため、サイドレール50a,50bは当該位置にて安定して支持される。
棚を収納した場合でもそうであるが、引出した場合は、さらに、強い力で押圧されることとなる。ところで、板金の曲げ角度は変動するものである。傾斜角度が急になる方に変動すると、傾斜係止片50a2b,50b2bは、差込穴21a1,21b1の上側エッジに対して干渉気味となるため、傾斜係止片50a2b,50b2bが差込穴21a1,21b1に対してわずかに押し込まれてわずかにサイド傾斜壁50a2a,50b2aを撓ませてサイドレール50a,50bを下方に押しつけるような状態も起こり得るが、サイドレール50a,50bは、(同様に)安定して支持される。
【0030】
差込穴21a1,21b1に挿入される傾斜係止片50a2b,50b2bの先端には、図9に示すように、側面係合片50a5,50b5が形成されている。さらに、この側面係合片50a5,50b5における差込穴21a1,21b1の前方側の縁部に対面する位置には奥方に向けて凹部50a5a,50b5aを形成してある。
上述したサイドレール50a,50bをひねる動作を行なうのと並行して、最初にサイドレール50a,50bをリアフレーム40の両端の部位に位置合わせしたら、サイドレール50a,50bを奥方に少し押し込む。上述したように、リアフレーム40の両端は前後方向に撓むことが可能であり、奥方に押し込まれたときにはその反力をサイドレール50a,50bに伝えて前方に押し出すように付勢する。
一方のサイドレール50a,50bが奥方に押しつけられていない状態では、図9の(a)に示すように、側面係合片50a5,50b5は差込穴21a1,21b1よりもわずかに前方に位置するように形成されているが、サイドレール50a,50bが奥方に押しつけられることでわずかに後方に移動し、図9の(b)に示すように、側面係合片50a5,50b5が無理なく差込穴21a1,21b1に挿入可能な位置となる。
そこで、上述したひねる動作を戻しつつ、側面係合片50a5,50b5を差込穴21a1,21b1に挿入し、ひねる動作を完全に戻したらサイドレール50a,50bを奥方に押しつけていた力も解く。すると、サイドレール50a,50bは前方に押し戻されると共に、側面係合片50a5,50b5の凹部50a5a,50b5aが前方に移動して差込穴21a1,21b1の前方側の縁部に対して係合する。係合することでサイドレール50a,50bが庫内側に移動できなくなる。
「サイドレール50a,50bが庫内側に移動できなくなる。」という効果は、段落0029で記述した「傾斜係止片50a2b,50b2b先端が、差込穴21a1,21b1の上端より高くなる」ことによっても実現されるものである。しかしながら、板金の曲げ角度は変動することも稀に起こり得るから、「凹部50a5a,50b5aが差込穴21a1,21b1の前方側の縁部に対して係合する。」ことも実現することで、「サイドレール50a,50bが庫内側に移動できなくなる。」ことを2重に、必ず実現することができる構成になっている。
【0031】
以上のようにして、サイドレール50a,50bの後端側はリアフレーム40によって上下動不能、かつ、幅方向へも移動不能に支持される。また、サイドレール50a,50bの前方側でもクリップ22によって上下方向への位置決めと支持がされると共に、側面係合片50a5,50b5と差込穴21a1,21b1の係合によって幅方向への移動も規制される。
【0032】
次に、サイドレール50a,50bによって支持される棚30について説明する。
図10は棚の組み立て斜視図であり、図11図12は棚の装着状態を示す透視斜視図である。
棚30の後端の下面には、庫内側に向かって開口するサイドレール50a,50bのコの字型の溝部分に入り込み、その内側でサイド上壁50a2,50b2の内側面か、サイド下壁50a3,50b3の内側面のいずれかに当接して回転可能なローラー部31,31が固定されている。また、サイドレール50a,50bにおける前端部分には、棚30の側方の縁部が載置されたときに前後にスライドできるように下方で支持するローラー部50a6,50b6やフランジブッシュなどが備えられている。なお、引き出しや棚をスライド可能な支持構造については、多々開示されており、ここでは詳述しない。本実施形態においては、棚30の側方の縁部に対してエンジニアリングプラスチック(樹脂保護部材)32,32にて被覆してあり、ローラー部50a6,50b6に対してよりスムーズにスライドできるようにしている。
【0033】
筐体10の庫内にて所定の高さ位置に支持されたサイドレール50a,50bに対して、棚30をセットした状態を図11図12に示している。筐体10の前面開口11を閉じているときは、棚30は筐体10の奥まで挿入された図11に示す位置にある。このとき、棚30に食品をはじめとする保存物を載置していれば、重心は奥方のローラー部31,31と、前方のローラー部50a6,50b6とに囲まれた範囲のどこかにあり、通常であれば前方の棚柱21a,21bよりも後方である。すると、棚30は前方でも奥方でもサイドレール50a,50bを下方に押しつけることになる。サイドレール50a,50bの奥方の端部はリアフレーム40の両端に支持されているので、リアフレーム40はネジ止めされたクリップ22を介して奥方の棚柱21c、21dを下方に押しつけるように作用する。なお、サイドレール50a,50bの前端側では、サイドレール50a,50bを載置するクリップ22を介して棚柱21a,21bを下方に押しつける。
【0034】
しかし、利用者が筐体10の前面開口11を開けて内容物を取り出すときに棚30を前方に引き出す。このとき、図12に示すように、保存物を載置している棚30の重心が前方の棚柱21a,21bよりも前方に移動すると、棚30の後端は持ち上げられる力を受けることになる。これによってサイドレール50a,50bの後端も持ち上げられる力を受け、リアフレーム40はサイドレール50a,50bによってそれまでとは逆の上方向へ押し上げられる力を受けて支持する。リアフレーム40はクリップ22と棚柱21c,21dに囲まれる内部にてクリップ22に対してネジ止めされており、サイドレール50a,50bが持ち上げられようとすると、前方の棚柱21a,21bでの支持部位を回転支点として図6の矢印A方向に移動しようとする。これにより、リアフレーム40はクリップ22を矢印B方向に押しつけ、結果的にはクリップ22が下方に押しつけられたときと同様に、棚柱21c,21dに強く押しつけて荷重を支持させることになる。
なお、係合穴40a140b1による篏合は、「棚柱21a,21bでの支持部位」よりも低い高さにある。このことが、上述したより好適な保持効果を生むことにも寄与する。
【0035】
図13は、サイドレールとローラーの位置関係を概略断面図により示している。
サイドレール50a,50bは概略断面コの字状に形成され、サイド下壁50a3,50b3を有しており、さらに、サイド下壁50a3,50b3におけるサイド基礎壁50a1,50b1と反対側の端部を保存庫の庫内側の斜め上方に向けて折り曲げ加工した内側傾斜壁50a3a,50b3aが形成されている。
【0036】
ローラー部31には、サイド基礎壁50a1,50b1に当接したときに回転する水平ローラー31aも備えられているが、例えば、左右の一方のローラー部31がサイドレール50a,50bの片方に近づくときに、反対側のローラー部31のローラーは内側傾斜壁50a3a,50b3aにのり上がることになる。しかし、内側傾斜壁50a3a,50b3aは庫内側の斜め上方に向けて折り曲げ加工されているので、棚30の重さを受けて上方へ移動するよりも、滑り落ちる方向へのベクトル成分が大きくなる。この結果、棚30の一方向への移動を戻そうとする力が常に働き、水平ローラー31aがサイド基礎壁50a1,50b1に当接するまえに引き戻せるようになる。
また、上述したサイド傾斜壁50a2a,50b2aは、上側に存在する棚30または樹脂保護部材32から、おおむね3~8mmの隙間分離れた位置関係となっている。この「隙間」は棚30の「許容最大弾性たわみ量」未満に設定されており、これにより下記の効果が得られる。
1.「過積載時に棚30が撓んで弾性限界に近づくと、サイド傾斜壁50a2a,50b2aが棚30の両側に配設される太い棒部材、または補強のために装着されるC字断面形状の樹脂保護部材と接触して保持するため、棚30に永久変形が生じることを防止する。」
2.定格積載量を超えると棚30の真ん中が斜面と接触しはじめる。ユーザーは棚30をスライドさせることはできるが、摺動負荷が増すため、ユーザーが過積載に気がつくことができる。
3.「高いところから収納物を落下させると、衝撃により棚が大きく撓み、弾性域を超えてしまうような場合でも、サイド傾斜壁50a2a,50b2aが下から支持することによって、永久変形は生じない。 」
【0037】
図14は、枠部材を組立斜視図により示しており、図15は、枠部材と棚の装着前の状態を斜視図により示しており、図16は、枠部材と棚の装着状態を斜視図により示しており、図17は、枠部材を業務用冷蔵庫内に装着した状態を透視斜視図により示している。
棚30は、平面視で矩形形状に形成されており、周縁は太径の素材で形成された枠部33を備え、さらに前後方向を概ね三分割するように太径の補強部34,34が固定されている。棚30の上面には、前後方向に配向された多数の細径のメッシュ部35が固定されている。棚30に食品などを載置する場合、その重量はメッシュ部35にて分散され、さらに枠部33と補強部34,34にて支持されることになる。
【0038】
支持枠60は、左右枠61(61a,61b)と前枠62と後枠63とにより、棚30を囲んで支持可能な矩形の枠形状に形成されている。左右枠61と前枠62については、棚30を上方から挿入支持できるように概略L字型の断面形状となっており、L字型とした垂直の壁面で棚30の枠部33を外側から支え、内側に向けて張り出す水平の壁面で棚30の枠部33を下方から支える。また、後枠63はやや前方から後方に向けて押し入れられるように概略断面コの字型の断面形状となっており、コの字型とした垂直の壁面で棚30の枠部33を外側から支え、垂直の壁面の下端より内側に向けて張り出す水平の壁面で棚30の枠部33を下方から支える。また、垂直の壁面の上端より内側に向けて張り出す水平の壁面があり、棚30の枠部33を上方から挟み込んで支持する。
前枠62は、棚30の枠部33を支持するために断面L字型の構造を備えつつ、その上端から前方に向かって湾曲しつつ、手前の斜め下にむけて屈曲された断面形状となっている。この湾曲している部分は下方から指先を挿入することができる程度の空間を備えており、利用者は指先を軽く挿入して引き出したり、押し込んだりすることができる。
【0039】
支持枠60における左右枠61a,61bの後部側の側面には、ローラー部64が取り付けられている。ローラー部64は、棚30に直に取り付けられていたローラー部31と同様に、サイドレール50a,50bのコの字型の溝部分に入り込み、その内側でサイド上壁50a2,50b2の内側面か、サイド下壁50a3,50b3の内側面のいずれかに当接して回転可能となっている。
支持枠60は棚30を収容して支持するものであり、棚30に対して直にローラー部31を取り付けることなく、既存の棚30であっても、支持枠60に支持されることによって前後動可能に支持されることができるようになる。また、棚30を周囲から囲み込むように支持しているので補強する効果も得られる。
【0040】
このように、筐体10の内壁のうち左右の壁面に支持されるサイドレール50a,50bと、枠状に形成されて左右の左右枠61a,61bに対して前後方向にスライド可能に支持される支持枠60とを備えており、この支持枠60は棚30の周縁部を支持して保持することができる。これにより、重加重にも耐えられるようになる。
コの字断面とすることで、棚が跳ねたりして支持枠60外へ離脱するのを防ぐことができる。
ユーザーが棚30を庫内へと高速で収納する際、停止時に強い衝撃が発生する。この衝撃により、棚30がわずかに跳ねあがる場合があるが、棚30の厚みは約1センチ程度であるため、棚30が支持枠60を乗り越えて、外へ離脱してしまう不具合が起こりうるが、後枠63の断面がコの字断面となっていると、棚30の跳ね上がりを防止できる。
また、コの字断面を付加する位置は「後枠63」に限定されない。ユーザーの好み、装着状況に合わせて変更してもよい。前枠62にあってもよいし、前後両方、左右両方にあってもよい。
【0041】
業務用冷蔵庫においては定期的な清掃がしやすいことも求められる。コの字断面によって棚30が取り外しにくくなることや、汚れが清掃しにくくなることを嫌うユーザー向けには、コの字断面がまったくないL字断面でもよいし、支持枠60自体を単に棒やパイプ断面構造とし、棚30を適正位置に保持する位置決めやガイドとして、凹凸やダボ、ピン、を使用することで篏合させるようにしても良い。
【0042】
図18は、変形例にかかる棚と枠部材の装着前の状態を斜視図により示しており、図19は、枠部材と棚の装着状態を斜視図により示している。
この例では、概略平板状であった棚30の代わりにバスケット状の棚36を支持枠60に収容して支持している。支持枠60は左右枠61a,61bと前枠62と後枠63とで額縁状の枠を形成しており、内側が上下方向に貫通しているため、バスケット状の棚36を収容しつつ、上端のみフランジ状に周縁に広がる棚36を支持することが可能となっている。
支持枠60が額縁状であれば、このようなバスケット状の棚36も支持可能であるが、平板状の棚30だけを支持するのであれば、支持枠60は額縁状である必要は無く、中央が貫通しないように補強柱を付けたり、板材を配設することで棚30を下方から全面的に支持するようにしても良い。
【0043】
図18に示す実施例では、後枠63がコの字断面としているが、深いカゴを支持枠60に搭載する場合、カゴが跳ねて離脱する心配は少ないため、後枠63を「コの字断面」にする必要性は少なく、枠体は棒やパイプの断面形状でも良い。
枠体は、上からみて、四角く閉じた形である必要も無く、前枠や後枠が無くても良いし、正面からみて、同一平面に、前後左右の枠が存在する必要もない。
たとえばカゴ状の棚36が枠体に嵌っているスライドカゴが複数連続する場合を想定すると、前枠は存在しない、あるいは、低い位置に配されている方が、カゴを取り外しやすい。
支持枠60とカゴ状の棚36を固定する手段としては、垂直に嵌めたり、挿抜する構造だけでなく、バネクリップや磁力を利用することもできる。
また、図18では「カゴ状の棚36の上部が枠に保持」されているが、棚36を保持する高さは、上部である必要はなく、底部や中部が、支持枠60に保持されても良い。
【0044】
このように、本実施例は、
棚30を囲んで支持可能な矩形の枠形状支持枠60は、左右枠61(61a,61b)と、前枠62と、後枠63とから構成され、
前記左右枠61(61a,61b)と前記前枠62は、前記棚30を上方から挿入して支持可能な断面L字形状を有し、L字形状の垂直壁面は前記棚30の枠部の外側に近接して支持し、内側に向けて張り出すL字形状の水平壁面は前記棚30の枠部を下方から支持し、
前記後枠63は、前記棚30を前方から後方に向けて押し入れ可能な概略断面コの字型の断面形状を有しており、
コの字型の断面は、前記棚30の枠部を外側から支えるコの字型とした垂直の壁面と、
前記棚30の枠部を下方から支える垂直の壁面の下端より内側に向けて張り出す水平の壁面と、
前記棚の枠部を上方から挟んで支持する垂直の壁面の上端より内側に向けて張り出す水平の壁面とを有し、
前記前枠62は、前記棚30の枠部を支持する断面L字形状とされるとともに、
前記断面L字形状の上端から前方に向かって湾曲しつつ、手前の斜め下にむけて屈曲された断面形状となって、この湾曲している部分には下方から指先を挿入することができる程度の空間を備え、
【0045】
前記左右枠61(61a,61b)の後部側の側面には、前記サイドレール50a,50bのコの字型とした溝部内側でサイド上壁50a2,50b2の内側面か、サイド下壁50a3,50b3の内側面のいずれかに当接して回転可能なローラー部50a6,50b6が取り付けられており、
前記左右枠61(61a,61b)の前部側の底面下側は、前記サイドレール50a,50bのローラー部50a6,50b6またはフランジブッシュに支持されていることを特徴としている。
なお、クリップは棚柱に対して棚の高さ位置を調整する上で非常に便利な部材であるが、棚や後述するスライドレールの側に実質的にクリップの機能をなす部材を備えることは不可能ではない。例えば、リアフレームやスライドレールの板金でフックを形成することで、クリップが備えていた高さ位置の調整機能を実現することもできる。このような場合は、板金で形成したフックをクリップと読み替えて本発明を適用することができる。
【0046】
また、本発明の棚は、いわゆる平板(網状を含む)のものに限られず、カゴ状の棚であってもよく、具体的な形状を限定するものではない。構造についても、板、ネット、ガラス、複合材など、さまざまなものであってもよい。前後動可能としているので、引き出し構造のものをも含んでいる。
このように上述した各部材が、常に個別の独立した部材である必要は無く、各部材の機能を実現する構成部材があれば、本発明を適用することができる。例えば、庫内の壁面部材の一部を棚柱として機能させるということも可能である。
【0047】
なお、本発明は上記実施例に限られるものでないことは言うまでもない。当業者であれば言うまでもないことであるが、
・上記実施例の中で開示した相互に置換可能な部材および構成等を適宜その組み合わせを変更して適用すること
・上記実施例の中で開示されていないが、公知技術であって上記実施例の中で開示した部材および構成等と相互に置換可能な部材および構成等を適宜置換し、またその組み合わせを変更して適用すること
・上記実施例の中で開示されていないが、公知技術等に基づいて当業者が上記実施例の中で開示した部材および構成等の代用として想定し得る部材および構成等と適宜置換し、またその組み合わせを変更して適用すること
は本発明の一実施例として開示されるものである。
【符号の説明】
【0048】
10…筐体、11…前面開口、12a,12b…側壁、12c…奥壁、12d…天井、12e…底壁、21a~21d…棚柱、21a1~21d1…差込穴、22…クリップ、22a,…水平片、22a1…係合片、22b…傾斜片、22b1…係合片、30…棚、31…ローラー部、31a…水平ローラー、32…エンジニアリングプラスチック、33…枠部、34…補強部、35…メッシュ部、36…棚、40…リアフレーム、40a…リア基礎壁、40a1…係合穴、40b…リア上壁、40c…リア下壁、50a,50b…サイドレール、50a1,50b1…サイド基礎壁、50a2,50b2…サイド上壁、50a2a,50b2a…サイド傾斜壁、50a2b,50b2b…傾斜係止片、50a3,50b3…サイド下壁、50a3a,50b3a…内側傾斜壁、50a4,50b4…突出部位、50a5,50b5…側面係合片、50a5a,50b5a…凹部、50a6,50b6…ローラー部、60…支持枠、61(61a,61b)…左右枠、62…前枠、63…後枠、64…ローラー部。
図1
図2
図3
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図5
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図9
図10
図11
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