(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024111415
(43)【公開日】2024-08-19
(54)【発明の名称】保存庫の棚構造
(51)【国際特許分類】
F25D 25/02 20060101AFI20240809BHJP
A47B 46/00 20060101ALI20240809BHJP
【FI】
F25D25/02 N
A47B46/00 501B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023015912
(22)【出願日】2023-02-06
(71)【出願人】
【識別番号】000208503
【氏名又は名称】大和冷機工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096703
【弁理士】
【氏名又は名称】横井 俊之
(72)【発明者】
【氏名】杉本 慎
(57)【要約】
【課題】保存庫における引き出し可能な棚構造に関して、価格性、清掃性、ケガの危険性、透過可視性、冷気流通性といった観点で改善の余地があった。
【解決手段】保存庫の棚構造は、左右の側壁と奥壁とを有する保存庫内において左右の側壁に対して棚柱を介して取り付けられて、前後方向を向く左右のサイドレールと、左右のサイドレールに嵌合する左右の後ローラーが取り付けられており、サイドレールに案内されて前後方向に移動可能な棚と、を備え、棚は、前後方向を向く左右の第1枠材と、左右方向を向き左右の第1枠材を繋ぐ前後の第2枠材と、第1枠材と第2枠材とが形成する枠内に渡された複数の棒材とを有し、サイドレールは、後ローラーよりも前方の位置に前ローラーを有し、前ローラーは、断面円形状の第1枠材の周面に接して、棚を前後方向へ移動可能に支持する。
【選択図】
図17
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向し合う左右の側壁と左右の前記側壁を繋ぐ奥壁とを有する保存庫内において左右の前記側壁に対して棚柱を介して取り付けられて、前後方向を向く左右のサイドレールと、
左右の前記サイドレールに嵌合する左右の後ローラーが取り付けられており、前記サイドレールに案内されて前後方向に移動可能な棚と、を備える保存庫の棚構造であって、
前記棚は、前後方向を向く左右の第1枠材と、左右方向を向き左右の前記第1枠材を繋ぐ前後の第2枠材と、前記第1枠材と前記第2枠材とが形成する枠内に渡された複数の棒材とを有し、
前記サイドレールは、前記後ローラーよりも前方の位置に前ローラーを有し、
前記前ローラーは、断面円形状の前記第1枠材の周面に接して、前記棚を前後方向へ移動可能に支持する、ことを特徴とする保存庫の棚構造。
【請求項2】
前記棚は、左右の前記後ローラーが取り付けられた左右のブラケットを、左右の後端部に有し、
前記ブラケットは、前記サイドレールと対向して前記第1枠材に接する第1壁と、前記第1壁から折り曲げられて前記奥壁と対向して後側の前記第2枠材に接する第2壁とを有し、
前記後ローラーは、前記第1壁から前記サイドレール側へ突出する軸を中心に回転する、ことを特徴とする請求項1に記載の保存庫の棚構造。
【請求項3】
前記ブラケットは、前記第1壁の上端から水平方向に折り曲げられて前記棒材に接する第3壁を有し、
前記第3壁は前記棒材に対して固定される、ことを特徴とする請求項2に記載の保存庫の棚構造。
【請求項4】
前記ブラケットは、前記第3壁の後端から下方に折り曲げられて、後側の前記第2枠材を前記第2壁との間に挟む位置で後側の前記第2枠材に接する第4壁を有する、ことを特徴とする請求項3に記載の保存庫の棚構造。
【請求項5】
前記第1枠材は、前記側壁側の周面が断面C字形状の保護材により覆われており、
前記前ローラーは、前記保護材を含めた前記第1枠材を支持する、ことを特徴とする請求項1~請求項4のいずれかに記載の保存庫の棚構造。
【請求項6】
前記棚には、左右の前記第1枠材の上方に前後方向へ延伸する柵が取り付けられている、ことを特徴とする請求項1~請求項4のいずれかに記載の保存庫の棚構造。
【請求項7】
前記サイドレールは、左右方向において前記保存庫の内側を向くサイド基礎壁を有し、
前記前ローラーは、前記サイド基礎壁に取り付けられた軸を中心に回転し、
前記前ローラーの外周面には、前記サイド基礎壁側に凸状のフランジが形成されている、ことを特徴とする請求項1~請求項4のいずれかに記載の保存庫の棚構造。
【請求項8】
前記サイドレールは、左右方向において前記保存庫の内側を向くサイド基礎壁と、前記サイド基礎壁の上端より前記側壁から離れる側に延出されたサイド上壁と、前記サイド基礎壁の下端より前記側壁から離れる側に延出されたサイド下壁とを、有し、
さらに、前記サイドレールは、前記サイド上壁または前記サイド下壁を貫通し且つ前記サイド基礎壁側に開口する穴を有し、
前記穴には、前記サイド基礎壁、前記サイド上壁および前記サイド下壁に囲われた前記サイドレール内を移動する前記後ローラー又は前記ブラケットの一部に干渉して前記棚を停止させることが可能な、伸縮性を有するストッパーが嵌め込まれており、
前記棚は、前記後ローラー又は前記ブラケットの一部が前記ストッパーを圧縮することで前記ストッパーの位置を超えて移動可能である、ことを特徴とする請求項1~請求項4のいずれかに記載の保存庫の棚構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保存庫の棚構造に関する。
【背景技術】
【0002】
業務用の冷蔵庫や冷凍庫といった保存庫の庫内には棚が設置されており、利用者が棚の高さ位置を変更できるようになっている。
【0003】
また特許文献1によれば、冷蔵庫本体の収納室の左右の各内壁面に、前後方向に所定間隔離間して一対の支柱が垂直に配設され、対をなす支柱間に前後方向を向く固定レールが金具を介して装着されている。そして、かご状の収納箱を保持するための枠体の支持部材は、その左右の枠材がそれぞれ後端に案内ローラーを有し、案内ローラーが固定レール内を移動することで、固定レールに沿って前後に移動自在となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平06-101958号公報
【特許文献2】実全昭61-186092号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記文献1によれば、収納箱と、収納箱とは別の枠状の支持部材とを形成して、引き出し装置としている。また、前記文献2によれば、スノコ状に形成した架台の左右の端縁を、断面Z字状の型材を用いて形成し、この型材の平面を、庫内の案内レールに取り付けられた案内コロにより支持する。
しかしながら、このような従来構造は、引き出し可能な棚やかごにおいて重厚な部材を用いており、価格性、清掃性、ケガの危険性、透過可視性、冷気流通性といった観点で課題があった。
また、保存庫の利用者が棚を前後に移動させるとき、多くの場合、棚の移動域を安全に制限するためのストッパーにローラーが当たって停止する。そのため、ローラーには大きな負荷がかかる。また、棚には利用者によって重量物が載せられる。このような棚への重量物の載置、ローラーに対する負荷、衝撃に因り、棚にローラーを取り付けるための部材には、固定位置のずれや変形といった問題が生じ得る。また、このような部材のずれにより、棚の表面をコーティングしている樹脂が剥がれ易いといった不都合も生じる。
本発明は、これら問題の少なくとも一部を解決あるいは軽減するための改善を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
対向し合う左右の側壁と左右の前記側壁を繋ぐ奥壁とを有する保存庫内において左右の前記側壁に対して棚柱を介して取り付けられて、前後方向を向く左右のサイドレールと、左右の前記サイドレールに嵌合する左右の後ローラーが取り付けられており、前記サイドレールに案内されて前後方向に移動可能な棚と、を備える保存庫の棚構造では、前記棚は、前後方向を向く左右の第1枠材と、左右方向を向き左右の前記第1枠材を繋ぐ前後の第2枠材と、前記第1枠材と前記第2枠材とが形成する枠内に渡された複数の棒材とを有し、前記サイドレールは、前記後ローラーよりも前方の位置に前ローラーを有し、前記前ローラーは、断面円形状の前記第1枠材の周面に接して、前記棚を前後方向へ移動可能に支持する。
対向し合う左右の側壁と左右の前記側壁を繋ぐ奥壁とを有する保存庫内において左右の前記側壁に対して棚柱を介して取り付けられて、前後方向を向く左右のサイドレールと、左右の前記サイドレールに嵌合する左右のローラーが取り付けられており、前記サイドレールに案内されて前後方向に移動可能な棚と、を備える保存庫の棚構造は、前後方向を向く左右の第1枠材と、左右方向を向き左右の前記第1枠材を繋ぐ前後の第2枠材と、前記第1枠材と前記第2枠材とが形成する枠内に渡された複数の棒材とを有する前記棚と、前記棚の左右の後端部に固定され、左右の前記ローラーが取り付けられた左右のブラケットと、を備え、前記ブラケットは、前記サイドレールと対向して前記第1枠材に接する第1壁と、前記第1壁から折り曲げられて前記奥壁と対向して後側の前記第2枠材に接する第2壁とを有し、前記ローラーは、前記第1壁から前記サイドレール側へ突出する軸を中心に回転する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の一実施形態にかかる業務用冷蔵庫の要部の透視斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態にかかる業務用冷蔵庫の要部の裏側から見た透視斜視図である。
【
図3】本発明の一実施形態にかかる業務用冷蔵庫の要部の透視斜視図である。
【
図4】本発明の一実施形態にかかる業務用冷蔵庫の要部の透視斜視図である。
【
図5】本発明の一実施形態にかかる業務用冷蔵庫の要部の透視斜視図である。
【
図6】リアフレームと棚柱とクリップの概略断面図である。
【
図7】サイドレールとリアフレームとクリップの概略斜視図である。
【
図10】後方かつ上方からの視点による、棚の組み立て斜視図である。
【
図11】庫内に収容された棚の装着状態を示す透視斜視図である。
【
図12】庫外へ引き出された棚の装着状態を示す透視斜視図である。
【
図13】サイドレールとローラーユニット等の概略断面図である。
【
図14】棚に固定されたローラーユニットの、前方かつ下方からの視点による概略斜視図である。
【
図15】棚に固定されたローラーユニットの、後方かつ上方からの視点による概略斜視図である。
【
図16】柵が取り付けられた棚の、前方かつ上方からの視点による概略斜視図である。
【
図18】サイドレールや後ローラーの概略斜視図である。
【
図19】前方かつ上方からの視点による、変形例にかかる棚の組み立て斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を説明する。各図は本実施形態を説明するための例示に過ぎない。例示であるため、形状や比率が正確でなかったり、互いに整合していなかったり、一部が省略されていたりする。
【0009】
図1~
図5は、本発明の一実施形態にかかる業務用冷蔵庫の要部を、組み立て工程毎に透視斜視図により示している。
業務用冷蔵庫は、縦長の筐体10を備えており、前面開口11には図示しない開閉扉が装着されている。筐体10は保存庫の一種である。本実施形態では、保存庫として業務用冷蔵庫であるが、業務用冷凍庫でも良いし、業務用以外の家庭用の冷蔵庫や冷凍庫などであっても良い。また、冷却機能を持たない保存庫であっても良い。
【0010】
筐体10内には、側壁12a,12bと、奥壁12cと、天井12dと、底壁12eを有している。側壁12aと側壁12bとは、互いに平行に対面しており、側壁12aと側壁12bとを繋ぐ奥壁12cと直交している。
本実施形態では、筐体10の前方から後方を向く視点における左右を、左右と捉える。対向し合う側壁12aと側壁12bに関して言えば、側壁12aが左の側壁であり、側壁12bが右の側壁である。左右方向を幅方向と言うこともある。図示する各構成は、基本的にはいずれも左右対称と解してよい。従って、本実施形態では、左右対称の構成のうち一方のみを図示して、左右両方をまとめて説明することが多々ある。
【0011】
側壁12aと側壁12bにおける前面開口11に近い側には、高さ方向に延設されて所定の間隔を空けて複数の差込穴21a1,21b1が形成される棚柱21a,21bが鉛直方向に配向されて固定されている。一方、奥壁12cにおいては、幅方向において線対称となる位置に所定の間隔を隔てた一対の棚柱21c,21dが、鉛直方向に配向されて固定されている。側壁12aと側壁12bにおける棚柱21a,21bの差込穴21a1,21b1および、奥壁12cにおける棚柱21c,21dの差込穴21c1,21d1に対して、脱着可能に係合可能で、上方から下方に向けての荷重を支えることが可能なクリップ22が複数用意されている。各クリップ22は、同じ高さ位置となる棚柱21a,21bの差込穴21a1,21b1、および棚柱21c,21dの差込穴21c1,21d1に係合させることで、棚30を任意の高さ位置に支持することを意図している。
【0012】
リアフレーム40は、奥壁12cの棚柱21c,21dに対してクリップ22を介して固定される。リアフレーム40は、棚柱21c,21dにおける同じ高さ位置の差込穴21c1,21d1に二つのクリップ22を介して固定されることで、水平方向に固定される。また、リアフレーム40の幅方向の長さは、概ね、側壁12aと側壁12bの間隔に一致しており、両端が各側壁12a,12bに到達している。
【0013】
一方、側壁12aと側壁12bに沿って左右のサイドレール50a,50bが配置されて支持される。サイドレール50a,50bは、前方側が側壁12aと側壁12bの棚柱21a,21bに後述するように固定支持され、後端はリアフレーム40の左右の端部にて上下動不能に固定支持されている。
【0014】
図6は、リアフレームと棚柱とクリップを概略断面図により示しており、
図7は、サイドレールとリアフレームとクリップを概略斜視図により示している。
クリップ22は棚柱の側から水平方向に庫内側に向けて突き出る水平片22aと、突き出た水平片22aの端部から再度棚柱の側に向かうように斜め下に折り曲げられて、先端が棚柱に到達する傾斜片22bとを備えており、水平片22aと傾斜片22bにおける棚柱の側の先端は棚柱の差込穴に挿入され、水平片22aを鉛直方向下方に負荷をかけたときに同差込穴に係合して固定される係合片22a1,22b1が形成されている。
【0015】
サイドレール50a,50bによって棚30を支持する場合、棚30が庫内に位置するときには、重心が棚柱21a,21bよりも庫内側に位置すると考えられ、サイドレール50a,50bの後端を維持するリアフレーム40は、上方から下方にかかる負荷を支持することになる。棚30が庫外に向けて引き出され、重心が棚柱21a,21bよりも庫外側に移動すると、サイドレール50a,50bの後端を維持するリアフレーム40は、下方から上方にかかる負荷を支持することになる。従って、リアフレーム40は、上方から下方へかかる負荷だけではなく、逆方向の下方から上方へかかる負荷も支持する必要がある。
【0016】
図6に示すように、リアフレーム40は、断面コの字型となるように形成されている。コの字型となるため、奥壁12cに対面するリア基礎壁40aと、リア基礎壁40aの上端より奥壁12cから離れる側に延出されるリア上壁40bと、リア基礎壁40aの下端より奥壁12cから離れる側に延出されるリア下壁40cとを備えている。リアフレーム40は、クリップ22の水平片22aと傾斜片22bと棚柱21c,21dで囲まれる内部に位置している。リア上壁40bがクリップ22と重なる部位において、このリア上壁40bはクリップ22の水平片22aに対してネジ止めされている。リア上壁40bが水平片22aの下面にネジ止めされているので、リアフレーム40の左右の端部でサイドレール50a,50bから受ける上下方向への荷重はクリップ22を介して棚柱21c,21dにて支持されることになる。
【0017】
サイドレール50a,50bは、庫内側に開口する概略断面コの字状に形成されている。コの字状とするため、サイドレール50a,50bは、側壁12a,12bに対面するサイド基礎壁50a1,50b1と、サイド基礎壁50a1,50b1の上端より側壁12a,12bから離れる側に延出されるサイド上壁50a2,50b2と、サイド基礎壁50a1,50b1の下端より側壁12a,12bから離れる側に延出されるサイド下壁50a3,50b3とを備えている。
【0018】
サイドレール50a,50bの後端側は、リアフレーム40のリア下壁40c上に載置されている。また、リアフレーム40の左右の端部が開口側に向けて屈曲されて、リアフレーム40の剛性を高めつつ、サイドレール50a,50bのサイド基礎壁50a1,50b1と側壁12a,12bとの間に挿入されることで、サイドレール50a,50bの後端を下からと外側からとで抱え込むように保持している。また、サイドレール50a,50bのサイド基礎壁50a1,50b1の後端も庫内側に90度屈曲させてあるため、サイドレール50a,50bとリアフレーム40は面と面とが対面する位置関係となっている。サイドレール50a,50bのサイド下壁50a3,50b3の後端は、やや下方に折り曲げられつつ、サイド下壁50a3,50b3の屈曲部位よりも奥方に突き出ており、この突出部位50a4,50b4に対応してリアフレーム40の左右の端部に形成した係合穴40a1に差し込まれる状態で係合している。係合穴40a1はスリット状に形成されているため、サイド下壁50a3,50b3の突出部位50a4,50b4が係合穴40a1に挿通されることで、サイドレール50a,50bはリアフレーム40によって上下動不能に支持されることになる。また、突出部位50a4,50b4と係合穴40a1は概ね幅が一致するようにしてあるので、両者の係合によって幅方向への移動も規制されることになる。
【0019】
図8と
図9は、サイドレールの装着操作を示している。
サイドレール50a,50bは、概ね断面コの字型形状であり、さらに、サイド上壁50a2,50b2の端部から側壁12a,12bの側に向けて斜めに延設されるサイド傾斜壁50a2a,50b2aを備えるともに、サイド傾斜壁50a2a,50b2aには、サイド基礎壁50a1,50b1を側壁12a,12bと平行に接する位置で棚柱21a,21bの差込穴21a1,21b1に係止することで上方への移動を固定させる傾斜係止片50a2b,50b2bを形成してある。
【0020】
また、サイドレール50a,50bのサイド下壁50a3,50b3は、クリップ22が上面に有する水平片22aの上面と当接して載置され、サイド傾斜壁50a2a,50b2aは、サイド下壁50a3,50b3の下面をクリップ22における水平片22aの上面に押しつけることで、サイド基礎壁50a1,50b1とサイド下壁50a3,50b3の位置を保持させる。
【0021】
リアフレーム40は、概ね断面コの字型形状として剛性を確保しているが、左右の両端はリア上壁40bを欠如してあり、リア基礎壁40aとリア下壁40cだけを残している。このようにリア上壁40bが欠落した範囲のリア基礎壁40aはL形状となっており、コの字形状よりは前後方向にやや剛性が低く、弾性変形可能である。一方、サイドレール50a,50bの後端はリアフレーム40にて上下動不能に支持されるが、側壁12a,12bに支持される棚柱21a,21bの差込穴21a1,21b1に対面する部位には、同差込穴21a1,21b1に挿入可能な側面係合片50a5,50b5が形成されている。さらに、この側面係合片50a5,50b5における差込穴21a1,21b1の前方側の縁部に対面する位置には奥方に向けて凹部50a5a,50b5aを形成してある。
【0022】
次に、
図8及び
図9を参照しつつ、サイドレール50a,50bの装着操作について説明する。
サイドレール50a,50bの後端におけるサイド下壁50a3,50b3の突出部位50a4,50b4をリアフレーム40の両端の係合穴40a1,40a1に挿通したら、各サイドレール50a,50bの前端ではサイド下壁50a3,50b3を庫内側に向けてひねるように傾ける。この状態を
図8の(a)に示している。ひねることでサイドレール50a,50bのサイド下壁50a3,50b3とサイド基礎壁50a1,50b1とが接する角の部分を、クリップ22の水平片22aの上面に当接させるとともに、サイド傾斜壁50a2a,50b2aの上端の傾斜係止片50a2b,50b2bの先端位置が若干低くなり、対面する棚柱21a,21bの差込穴21a1,21b1に挿入できるようになる。
【0023】
傾斜係止片50a2b,50b2bを差込穴21a1,21b1に挿入したら、ひねっていたサイドレール50a,50bをねじれのない本来の垂直な位置まで逆方向にひねる。このとき、サイド下壁50a3,50b3とサイド基礎壁50a1,50b1とが接する角の部分は、クリップ22の水平片22aの上面に押し当てられつつも、サイドレール50a,50b全体が撓むことで滑動し、最終的には、
図8の(b)に示すように、サイド基礎壁50a1,50b1が棚柱21a,21bに接するとともに、サイド下壁50a3,50b3が水平片22aの上面と平行に接する位置に到達する。この状態では、傾斜係止片50a2b,50b2bが差込穴21a1,21b1に対して押し込められるだけ押し込まれており、わずかにサイド傾斜壁50a2a,50b2aを撓ませてサイドレール50a,50bを下方に押しつけることになるため、サイドレール50a,50bは当該位置にて安定して支持される。
【0024】
また、このようなひねる動作を行なうのと並行して、最初にサイドレール50a,50bをリアフレーム40の両端の部位に位置合わせしたら、サイドレール50a,50bを奥方に少し押し込む。上述したように、リアフレーム40の両端は前後方向に撓むことが可能であり、奥方に押し込まれたときにはその反力をサイドレール50a,50bに伝えて前方に押し出すように付勢する。一方のサイドレール50a,50bが奥方に押しつけられていない状態では、
図9の(a)に示すように、側面係合片50a5,50b5は差込穴21a1,21b1よりもわずかに前方に位置するように形成されているが、サイドレール50a,50bが奥方に押しつけられることでわずかに後方に移動し、
図9の(b)に示すように、側面係合片50a5,50b5が無理なく差込穴21a1,21b1に挿入可能な位置となる。そこで、上述したひねる動作を戻しつつ、側面係合片50a5,50b5を差込穴21a1,21b1に挿入し、ひねる動作を完全に戻したらサイドレール50a,50bを奥方に押しつけていた力も解く。すると、サイドレール50a,50bは前方に押し戻されると共に、側面係合片50a5,50b5の凹部50a5a,50b5aが前方に移動して差込穴21a1,21b1の前方側の縁部に対して係合する。係合することでサイドレール50a,50bが庫内側に移動できなくなる。
【0025】
なお、
図9において上方からの視点により示す側面係合片50a5,50b5の形状は、
図8に示す傾斜係止片50a2b,50b2bの先端形状の具体例と言える。
以上のようにして、サイドレール50a,50bの後端側はリアフレーム40によって上下動不能、かつ、幅方向へも移動不能に支持される。また、サイドレール50a,50bの前方側でもクリップ22によって上下方向への位置決めと支持がされると共に、側面係合片50a5,50b5と差込穴21a1,21b1の係合によって幅方向への移動も規制される。
【0026】
これまでの説明により、左右のサイドレール50a,50bは、左右の側壁12a,12bに対して棚柱を介して取り付けられており、前後方向を向いていることが解る。サイドレール50a,50bが前後方向を向いているとは、その長手方向が前後方向を向いているという意味である。なお、サイドレール50a,50bは、奥壁12cの棚柱21c,21dおよびリアフレーム40の構造により後端が支持されるのではなく、例えば、側壁12a,12bの夫々において、前後に間を開けて且つ平行に設けられた2本以上の棚柱21a,21aとクリップ22、2本以上の棚柱21b,21bとクリップ22、によって支持されてもよい。
【0027】
次に、サイドレール50a,50bによって支持される棚30について説明する。
図10は棚の組み立てを後方かつ上方から示す斜視図であり、
図11と
図12は棚の装着状態を示す透視斜視図である。
棚30には、左右のサイドレール50a,50bに嵌合する左右のローラー33a,33bが取り付けられ、棚30はサイドレール50a,50bに案内されて前後方向に移動可能である。サイドレール50a,50bと棚30とを含む構成が、本実施形態にかかる保存庫の棚構造である。なお、棚構造とは一つの呼び名に過ぎず、これを収納構造と呼んだり、引き出し構造と呼んだりしてもよい。
【0028】
棚30は、前後方向を向く左右の第1枠材31a,31bと、左右方向を向き左右の第1枠材31a,31bを繋ぐ前後の第2枠材31c,31dと、第1枠材31a,31bと第2枠材31c,31dとが形成する枠内に前後や左右に渡された複数の棒材31eと、を有する。つまり、第1枠材31a,31bおよび第2枠材31c,31dは、それら4辺が繋がって略矩形の枠を形成し、この枠の内側に物を載せられるように複数の棒材31eが渡されている。これら第1枠材31a,31b、第2枠材31c,31d、棒材31eはいずれも、断面円形状の丸棒と解してよい。円形状とは、ほぼ円形であり、真円でなくてもよく、楕円であってもよい。
【0029】
棚30の左右の後端部の下面には、左右のローラーユニット32a,32bが取り付けられている。詳細は
図14等を参照して後述するが、ローラーユニット32a,32bは、後ローラー33a,33bと、棚30に固定されかつ後ローラー33a,33bが取り付けられたブラケット34a,34bと、を有する。ブラケット34a,34bは板金を折り曲げて形成されている。後ローラー33a,33bは、筐体10の内側に向かって開口するサイドレール50a,50bのコの字型の溝部分に入り込み、その内側でサイド上壁50a2,50b2の内側面か、サイド下壁50a3,50b3の内側面のいずれかに当接して回転可能である。また、サイドレール50a,50bにおける前端部分には、棚30の左右の第1枠材31a,31bがサイドレール50a,50bの上に載置されたときに、棚30が前後にスライドできるように第1枠材31a,31bを下方から支持して回転する前ローラー50a6,50b6が備えられている。つまり、前ローラー50a6,50b6は、断面円形状の第1枠材31a,31bの周面に接して、棚30を前後方向へ移動可能に支持する。第1枠材31a,31bは、前ローラー50a6,50b6やサイド傾斜壁50a2a,50b2aの上を移動する。
【0030】
第1枠材31a,31bは、側壁12a,12b側の周面が、断面C字形状のプラスチック製の保護材35a,35bにより覆われるとしてもよい。保護材35a,35bは、例えば、エンジニアリングプラスチックにより形成されている。左の保護材35aは、左の第1枠材31aの周面に対して側壁12a側から装着される。同様に、右の保護材35bは、右の第1枠材31bの周面に対して側壁12b側から装着される。保護材35a,35bの断面形状については、後述の
図13も参照のこと。このように、第1枠材31a,31bに保護材35a,35bが装着されている場合は、前ローラー50a6,50b6は、保護材35a,35bを含めた第1枠材31a,31bを支持することになる。なお、保護材35a,35bの素材は、プラスチックに限らない。保護材35a,35bは、例えば金属等、プラスチック以外の素材で形成されていてもよい。
【0031】
筐体10の庫内にて所定の高さ位置に支持されたサイドレール50a,50bに対して、後ローラー33a,33bを嵌合して棚30をセットした状態を、
図11と
図12に示している。筐体10の前面開口11を閉じているときは、棚30は筐体10の奥まで挿入された
図11に示す位置にある。このとき、棚30に食品をはじめとする保存物を載置していれば、重心は奥方の後ローラー33a,33bと、前方の前ローラー50a6,50b6とに囲まれた範囲のどこかにあり、通常であれば前方の棚柱21a,21bよりも後方である。すると、棚30は前方でも奥方でもサイドレール50a,50bを下方に押しつけることになる。サイドレール50a,50bの奥方の端部はリアフレーム40の両端に支持されているので、リアフレーム40はネジ止めされたクリップ22を介して奥方の棚柱21c、21dを下方に押しつけるように作用する。なお、サイドレール50a,50bの前端側では、サイドレール50a,50bを載置するクリップ22を介して棚柱21a,21bを下方に押しつける。
【0032】
しかし、利用者が筐体10の前面開口11を開けて保存物を取り出すときに棚30を前方に引き出す。このとき、
図12に示すように、保存物を載置している棚30の重心が前方の棚柱21a,21bよりも前方に移動すると、棚30の後端は持ち上げられる力を受けることになる。これによってサイドレール50a,50bの後端も持ち上げられる力を受け、リアフレーム40はサイドレール50a,50bによってそれまでとは逆の上方向へ押し上げられる力を受けて支持する。リアフレーム40はクリップ22と棚柱21c,21dに囲まれる内部にてクリップ22に対してネジ止めされており、サイドレール50a,50bが持ち上げられようとすると、前方の棚柱21a,21bでの支持部位を回転支点として
図6の矢印A方向に移動しようとする。これにより、リアフレーム40はクリップ22を矢印B方向に押しつけ、結果的にはクリップ22が下方に押しつけられたときと同様に、棚柱21c,21dに強く押しつけて荷重を支持させることになる。
【0033】
図13は、サイドレールとローラーユニット等の位置関係を前方からの概略断面図により示している。サイドレール50a,50bは概略断面コの字状に形成され、サイド下壁50a3,50b3を有しており、さらに、サイド下壁50a3,50b3におけるサイド基礎壁50a1,50b1と反対側の端部を保存庫の庫内側の斜め上方に向けて折り曲げ加工した内側傾斜壁50a3a,50b3aが形成されている。
【0034】
ローラーユニット32a,32bには、後ローラー33a,33bだけでなく、サイド基礎壁50a1,50b1に当接したときに回転する水平ローラー36a,36bも備えられているが、例えば、左右の後ローラー33a,33bの一方がサイドレール50a,50bの一方に近づくときに、反対側の後ローラーは内側傾斜壁50a3a,50b3aにのり上がることになる。しかし、内側傾斜壁50a3a,50b3aは庫内側の斜め上方に向けて折り曲げ加工されているので、棚30の重さを受けて上方へ移動するよりも、滑り落ちる方向へのベクトル成分が大きくなる。この結果、棚30の右又は左の一方向への移動を戻そうとする力が常に働き、基本的には水平ローラー36a,36bがサイド基礎壁50a1,50b1に当接する前に引き戻せるようになる。なお、水平ローラー36a,36bは、補助ローラーに該当する。
【0035】
図14は、棚に固定されたローラーユニットを、前方かつ下方からの視点により概略斜視図で示している。
図15は、棚に固定されたローラーユニットを、後方かつ上方からの視点により概略斜視図で示している。ローラーユニット32a,32bにおいて、ブラケット34a,34bは、サイドレール50a,50bと対向して第1枠材31a,31bに接する第1壁34a1,34b1と、第1壁34a1,34b1から折り曲げられて奥壁12cと対向して後側の第2枠材31dに接する第2壁34a2,34b2とを有する。
図14,15によれば、第1壁34a1,34b1は、上端部の付近で、第1枠材31a,31bに対して内側から接し、第2壁34a2,34b2は、上端部の付近で、第2枠材31dに対して奥側、つまり後側から接している。第1壁34a1,34b1と第2壁34a2,34b2とが略直角に繋がる折れ曲がり部分は、第1枠材31a,31bと第2枠材31dとが略直角に繋がる角部に干渉しないように、一部が切欠きされている。
【0036】
後ローラー33a,33bは、第1壁34a1,34b1に取り付けられている。つまり、後ローラー33a,33bは、第1壁34a1,34b1から対向するサイドレール50a,50b側へ突出する軸を中心に回転可能に取り付けられている。
【0037】
ブラケット34a,34bは、さらに、第1壁34a1,34b1の上端から水平方向に折り曲げられて棚30の棒材31eに接する第3壁34a3,34b3を有する。第3壁34a3,34b3は、第1壁34a1,34b1の上端から庫内側へ折り曲げられており、複数の棒材31eに対して下から接している。そして、第3壁34a3,34b3は棒材31eに対して固定されている。具体的には、棒材31eの円周形状に合わせたアーチ状の部分と平板状の部分とが繋がった固定具であるサドルバンド37を、複数の棒材31eに対して上から被せて、サドルバンド37の平板状の部分と、第3壁34a3,34b3とをネジ止めすることで、第3壁34a3,34b3が棒材31eに対して固定される。単純な平板の固定具を使用するよりも、サドルバンド37を使用する方が、棚30と固定具との接触面積が増えて、ブラケット34a,34bが、より強固に棚30に固定される。
【0038】
ブラケット34a,34bは、さらに、第3壁34a3,34b3の後端から下方に折り曲げられて、後側の第2枠材31dを第2壁34a2,34b2との間に挟む位置で後側の第2枠材31dに接する第4壁34a4,34b4を有する。第4壁34a4,34b4は、上端部の付近で、第2枠材31dに対して内側、つまり前側から接している。第4壁34a4,34b4と、第2壁34a2,34b2とは、前後方向において第2枠材31dのほぼ直径分離れており、互いの間に第2枠材31dを挟んでいる。第4壁34a4,34b4および第2壁34a2,34b2による柵30への固定をさらに強固にするために、第4壁34a4,34b4および第2壁34a2,34b2は、互いが第2枠材31dの下方でネジ止めされている。
【0039】
さらに、第4壁34a4,34b4の、第1壁34a1,34b1側を向く先端の一部には、凸部34a4a,34b4aが形成されていてもよい。そして、第1壁34a1,34b1の、凸部34a4a,34b4aに対応する位置には貫通穴が形成されており、この貫通穴に凸部34a4a,34b4aが挿入されている。
図13や
図15に示すように、凸部34a4a,34b4aの先端が第1壁34a1,34b1から突出していてもよい。第1壁34a1,34b1から突出する凸部34a4a,34b4aの先端を、さらに捻って曲げてもよい。このように、凸部34a4a,34b4aを用いて第4壁34a4,34b4を第1壁34a1,34b1に係止することで、ブラケット34a,34bの強度を、より高めることができる。
【0040】
ブラケット34a,34bは、第1壁34a1,34b1からサイドレール50a,50b側へ突出する第5壁34a5,34b5を有する。第5壁34a5,34b5は、第1壁34a1,34b1の下端から直角に折り曲げられた水平面である。そして、第5壁34a5,34b5は、後ローラー33a,33bの軸と直交する垂直軸を支持し、水平ローラー36a,36bは、この垂直軸を中心に回転可能である。後ローラー33a,33bの軸は水平方向を向くため、垂直軸は鉛直方向を向く。このような水平ローラー36a,36bは、上述したように、ときにサイドレール50a,50bのサイド基礎壁50a1,50b1に接して、サイドレール50a,50bに対する棚30の移動をよりスムーズなものとする。
【0041】
図16は、棚を前方かつ上方からの視点により概略斜視図で示している。
棚30には、左右の第1枠材31a,31bの上方に前後方向へ延伸する柵38が取り付けられるとしてもよい。柵38は、棚30に置かれた保存物の落下を防ぐ。柵38をフェンスとも呼ぶ。柵38は、棚30における保存物を載置するための上面よりも当然に高さを有する。柵38の具体的形状は問わない。柵38は、棚30の左右だけでなく、棚30の前後、つまり第2枠材31cの上や、第2枠材31dの上にも設けられてよい。棚30に対する柵38の固定方法も問わない。例えば、柵38の前側の根本部の金具を棚30の第2枠材31cの一部に引っ掛け、柵38の後側の根本部である平板金具を、ブラケット34a,34bの第3壁34a3,34b3に対してネジ止めすることが可能である。つまり、柵38の後側の根本部である金具が、棚30の棒材31eを間に介して、第3壁34a3,34b3にネジ止めされる。この金具と棒材31eとの間には、上述のサドルバンド37が挟まっていてもよい。
【0042】
図17は、前ローラーや棚を概略断面図により示している。上述したように、棚30の第1枠材31a,31bは、サイドレール50a,50bが前端部に有する前ローラー50a6,50b6により支持される。前ローラー50a6,50b6の軸は、サイドレール50a,50bの、左右方向において保存庫の内側を向くサイド基礎壁50a1,50b1に取り付けられており、前ローラー50a6,50b6は、この軸を中心に回転する。前ローラー50a6,50b6は当然、後ローラー33a,33bよりも前方に配置される。前ローラー50a6,50b6の外周面には、サイド基礎壁50a1,50b1側に凸状のフランジ51aが形成されているとしてもよい。一例として、前ローラー50a6,50b6は、その外周面にフランジブッシュ51が嵌め込まれていてもよい。フランジブッシュ51は、左右の外側つまりサイド基礎壁50a1,50b1側に、凸状に出っ張ったフランジ51aを有する。そのため、前後に移動する棚30が左右に揺れ動いたとき、フランジブッシュ51のフランジ51aが第1枠材31a,31bに接することで棚30の左右への動きを規制し、棚30が左右へ動き過ぎて前ローラー50a6,50b6のどちらかから落下したり側壁12a,12bに接触したりするといった事態を、防ぐ。なお、
図17の例では、フランジブッシュ51に対しては第1枠材31a,31bに取り付けられた保護材35a,35bが接している。そのため、フランジブッシュ51は、保護材35a,35bが無ければ第1枠材31a,31bを下方から直接に支持し、保護材35a,35bが有れば第1枠材31a,31bを下方から間接的に支持する。
【0043】
フランジブッシュ51を前ローラー50a6,50b6の一部と見なせば、前ローラー50a6,50b6がフランジ51aを有すると解釈できる。また、前ローラー50a6,50b6自体の形状が、フランジ51aを有する形状であってもよい。
また、サイド基礎壁50a1,50b1と前ローラー50a6,50b6との間において、前ローラー50a6,50b6の軸周りに適宜スペーサー53やワッシャー54等を介在させることで、前ローラー50a6,50b6およびフランジブッシュ51の左右方向の位置を調整できる。このような調整により、左右方向における棚30のサイズに対する前ローラー50a6,50b6およびフランジブッシュ51の位置を最適化し、棚30の落下を回避することができる。
【0044】
図18(a),(b)は、サイドレールや後ローラーを、
図17とほぼ同じ視点で概略斜視図により示している。サイド基礎壁50a1,50b1、サイド上壁50a2,50b2およびサイド下壁50a3,50b3に囲われた断面コの字形状のサイドレール50a,50b内には、後ローラー33a,33bや水平ローラー36a,36bが移動可能に嵌合している。
図18では見易さを優先して、後ローラー33a,33bや水平ローラー36a,36bが取り付けられているブラケット34a,34bや、ブラケット34a,34bが固定されている棚30は、省略している。
【0045】
サイドレール50a,50bは、ストッパー60を嵌め込むための穴であるストッパー用穴52を有していてもよい。
図18(a)は、ストッパー用穴52にストッパー60が嵌め込まれた状態を示し、
図18(b)は、ストッパー用穴52にストッパー60が嵌め込まれていない状態を示している。
図18(b)の例では、ストッパー用穴52は、サイド上壁50a2,50b2を貫通し且つサイド基礎壁50a1,50b1側にも開口する穴である。ストッパー用穴52のサイド上壁50a2,50b2における開口とサイド基礎壁50a1,50b1における開口とは繋がっており一体である。なお、ストッパー用穴52はサイドレール50a,50bの下側に形成されてもよい。つまり、ストッパー用穴52は、サイド下壁50a3,50b3を貫通し且つサイド基礎壁50a1,50b1側に開口する穴であってもよい。
【0046】
ストッパー60は、伸縮可能な素材で形成されており、具体的にはゴム製である。ただし、ストッパー60は、伸縮可能であればよく、ゴム以外の弾性体であってもよい。ユーザーは、ストッパー60を、ストッパー用穴52に対してサイドレール50a,50bの外側から左右方向に沿ってスライドさせることにより、ストッパー用穴52に嵌め込む。ストッパー用穴52に嵌め込まれたストッパー60は、サイドレール50a,50b内を移動する後ローラー33a,33bに干渉して、棚30を停止させることが可能である。つまり、ユーザーが棚30を前方へ移動させたとき、後ローラー33a,33bがストッパー60に当たることで、棚30が保存庫外へ引き出され過ぎることを禁止する。
【0047】
ただし、後ローラー33a,33bは、ストッパー60を圧縮することでストッパー60の位置を超えて移動可能である。つまり、後ローラー33a,33bがストッパー60の後に当接した状態で、ユーザーが更に強い力で棚30を手前に引くと、後ローラー33a,33bによりストッパー60が圧縮変形されて数ミリメートル縮み、棚30は、後ローラー33a,33bがストッパー60の位置を超えて前進する。これは、ユーザーが棚30をサイドレール50a,50bから外すときに必要な動きである。
【0048】
逆に、後ローラー33a,33bがストッパー60の前に当接した状態で、ユーザーが更に強い力で棚30を後方に押すと、後ローラー33a,33bによりストッパー60が圧縮変形されて数ミリメートル縮み、棚30は、後ローラー33a,33bがストッパー60の位置を超えて奥壁12cに向かって進む。これは、ユーザーが棚30をサイドレール50a,50bに装着するときに必要な動きである。
図17から解るように、サイドレール50a,50bの前ローラー50a6,50b6の後方には、サイド上壁50a2,50b2が切り欠かれて存在しない範囲がある。ユーザーは、この範囲を利用して後ローラー33a,33bおよび水平ローラー36a,36bをサイドレール50a,50bに対して入れたり出したりして、サイドレール50a,50bに対して棚30を着脱可能である。
【0049】
ストッパー60と干渉する部位は、後ローラー33a,33bに限らず、ブラケット34a,34bの一部であってもよい。例えば、ストッパー60は、サイドレール50a,50b内において、水平ローラー36a,36bと干渉する位置に突出していてもよい。そして、ブラケット34a,34bの一部としての水平ローラー36a,36bがストッパー60と干渉することで、棚30の移動が停止したり、水平ローラー36a,36bがストッパー60を圧縮変形させてストッパー60の位置を超えて棚30が移動したりする。あるいは、ブラケット34a,34bの板金等の一部がサイドレール50a,50bに向かって突出しており、この突出した部位がストッパー60と干渉することで、棚30の移動が停止したり、ストッパー60を圧縮変形させてストッパー60の位置を超えて棚30が移動したりしてもよい。
【0050】
以下に、本願の特徴や効果の少なくとも一部をまとめとして述べる。
このように本実施形態によれば、保存庫の棚構造は、対向し合う左右の側壁12a,12bと左右の側壁12a,12bを繋ぐ奥壁12cとを有する保存庫内において左右の側壁12a,12bに対して棚柱を介して取り付けられて、前後方向を向く左右のサイドレール50a,50bと、左右のサイドレール50a,50bに嵌合する左右の後ローラー33a,33bが取り付けられており、サイドレール50a,50bに案内されて前後方向に移動可能な棚30と、を備える。棚30は、前後方向を向く左右の第1枠材31a,31bと、左右方向を向き左右の第1枠材31a,31bを繋ぐ前後の第2枠材31c,31dと、第1枠材31a,31bと第2枠材31c,31dとが形成する枠内に渡された複数の棒材31eとを有し、サイドレール50a,50bは、後ローラー33a,33bよりも前方の位置に前ローラー50a6,50b6を有し、前ローラー50a6,50b6は、断面円形状の第1枠材31a,31bの周面に接して、棚30を前後方向へ移動可能に支持する。
前記構成によれば、曲面である第1枠材31a,31bの周面が前ローラー50a6,50b6に接して棚30が前後方向へ移動するため、第1枠材31a,31bと前ローラー50a6,50b6との接触抵抗が小さく、滑らかな移動が実現できる。また、前ローラー50a6,50b6に支持される第1枠材31a,31bを含む、棚30の構成が、従来に比べて簡素であるため、より低価格であり、清掃の容易性、保存庫内の透過可視性や冷気流通性を向上させる。また、断面円形状の第1枠材31a,31bにより、ユーザーが触れたときのケガの危険性が低下する。
【0051】
また、本実施形態によれば、棚30は、左右の後ローラー33a,33bが取り付けられた左右のブラケット34a,34bを、左右の後端部に有し、ブラケット34a,34bは、サイドレール50a,50bと対向して第1枠材31a,31bに接する第1壁34a1,34b1と、第1壁34a1,34b1から折り曲げられて奥壁12cと対向して後側の第2枠材31dに接する第2壁34a2,34b2とを有し、後ローラー33a,33bは、第1壁34a1,34b1からサイドレール50a,50b側へ突出する軸を中心に回転する。
前記構成によれば、棚30にローラー33a,33bを取り付けるためのブラケット34a,34bは、第1壁34a1,34b1により第1枠材31a,31bに接し、第2壁34a2,34b2により第2枠材31dに接した状態で、棚30に対して強固に固定される。そのため、棚30やローラー33a,33bに対して負荷や衝撃が及んでも、棚30に対するブラケット34a,34bの固定位置のずれや変形といった問題が生じにくくなる。また、ブラケット34a,34bのずれにより棚30の表面をコーティングしている樹脂が剥がれるといった不都合も、発生しにくくなる。
【0052】
また、本実施形態によれば、ブラケット34a,34bは、第1壁34a1,34b1の上端から水平方向に折り曲げられて棒材31eに接する第3壁34a3,34b3を有し、第3壁34a3,34b3は棒材31eに対して固定されるとしてもよい。
前記構成によれば、第3壁34a3,34b3が棚30の棒材31eに接して固定されることで、棚30に対してブラケット34a,34bがより強固に固定される。
なお、第1壁34a1,34b1が不図示の金具や結束具により、あるいは溶接により、第1枠材31a,31bに固定されたり、第2壁34a2,34b2が不図示の金具や結束具により、あるいは溶接により、第2枠材31dに固定されたりしてもよい。
【0053】
また、本実施形態によれば、ブラケット34a,34bは、第3壁34a3,34b3の後端から下方に折り曲げられて、後側の第2枠材31dを第2壁34a2,34b2との間に挟む位置で後側の第2枠材31dに接する第4壁34a4,34b4を有するとしてもよい。
前記構成によれば、第2壁34a2,34b2と第4壁34a4,34b4とが棚30の第2枠材31dを挟むようにして第2枠材31dに接することで、棚30に対してブラケット34a,34bがより強固に固定される。
【0054】
また、本実施形態によれば、ブラケット34a,34bは、第1壁34a1,34b1からサイドレール50a,50b側へ突出する第5壁34a5,34b5を有し、第5壁34a5,34b5は、前記軸と直交する垂直軸を支持し、垂直軸を中心に回転する補助ローラーを有するとしてもよい。
前記構成によれば、ブラケット34a,34bは、左右のサイドレール50a,50bに嵌合する左右の後ローラー33a,33bに加え、補助ローラーとしての水平ローラー36a,36bも有する。これにより、サイドレール50a,50bに対する棚30の移動がより円滑化される。
【0055】
また、本実施形態によれば、第1枠材31a,31bは、側壁12a,12b側の周面が断面C字形状の保護材35a,35bにより覆われている、としてもよい。この場合、前ローラー50a6,50b6は、保護材35a,35bを含めた第1枠材31a,31bを支持する。
前記構成によれば、棚30の左右の第1枠材31a,31bが保護材35a,35bにより覆われることで、サイドレール50a,50bに対する棚30の移動時の摩擦から第1枠材31a,31bが守られ、第1枠材31a,31bの耐久性が向上する。また、棚30の移動自体が、より円滑化される。また、移動時の摩擦により第1枠材31a,31bの表面をコーティングしている樹脂が剥がれる、といった問題が生じなくなる。
【0056】
また、本実施形態によれば、棚30には、左右の第1枠材31a,31bの上方に前後方向へ延伸する柵38が取り付けられているとしてもよい。
前記構成によれば、利用者が前後に移動させる棚30上から保存物が落下することを柵38により抑制することができる。
【0057】
また、本実施形態によれば、サイドレール50a,50bは、左右方向において保存庫の内側を向くサイド基礎壁50a1,50b1を有し、前ローラー50a6,50b6は、サイド基礎壁50a1,50b1に取り付けられた軸を中心に回転し、前ローラー50a6,50b6の外周面には、サイド基礎壁50a1,50b1側に凸状のフランジ51aが形成されている、としてもよい。
前記構成によれば、前ローラー50a6,50b6のフランジ51aが第1枠材31a,31bを制し、棚30の左右への揺れを抑制する。これにより、棚30の落下や側壁12a,12bへの接触を防ぐことができる。
【0058】
また、本実施形態によれば、サイドレール50a,50bは、左右方向において保存庫の内側を向くサイド基礎壁50a1,50b1と、サイド基礎壁50a1,50b1の上端より側壁12a,12bから離れる側に延出されたサイド上壁50a2,50b2と、サイド基礎壁50a1,50b1の下端より側壁12a,12bから離れる側に延出されたサイド下壁50a3,50b3とを、有し、さらにサイドレール50a,50bは、サイド上壁50a2,50b2またはサイド下壁50a3,50b3を貫通し且つサイド基礎壁50a1,50b1側に開口する穴52を有し、穴52には、サイド基礎壁50a1,50b1、サイド上壁50a2,50b2およびサイド下壁50a3,50b3に囲われたサイドレール50a,50b内を移動する後ローラー33a,33b又はブラケット34a,34bの一部に干渉して棚30を停止させることが可能な伸縮性を有するストッパー60が嵌め込まれており、棚30は、後ローラー33a,33b又はブラケット34a,34bの一部がストッパー60を圧縮することでストッパー60の位置を超えて移動可能であるとしてもよい。
【0059】
前記構成によれば、ストッパー60は伸縮性を有する。そのため、ユーザーによる棚30の通常の移動時においては、ストッパー60は棚30の前方への移動を安全に規制し、一方、ユーザーが通常よりも強い力で棚30を前後に移動させることで、ストッパー60が存在したままで棚30にストッパー60の位置を超えて移動させることができる。
また、サイドレールの板金の一部を切り出してサイドレール内に折り曲げてローラーに対するストッパーとする従来の構成では、サイドレールの強度が低下する課題を抱えていた。また、サイドレールに形成した穴にサイドレール内へロックピンを挿して固定してストッパーとする従来の構成では、ローラーをサイドレールに対して着脱するには、その都度、ロックピンを抜き挿しする作業が必要であった。しかし、ストッパー60を用いることで、このような強度低下や作業の煩わしさといった課題を解消できる。
【0060】
また、サイド上壁50a2,50b2またはサイド下壁50a3,50b3を貫通するストッパー用穴52は、サイド基礎壁50a1,50b1においても開口しているため、ユーザーは、サイドレール50a,50bの外側から簡単にストッパー60をストッパー用穴52へ嵌め込むことができ、かつ、ストッパー60をストッパー用穴52から簡単に外すことができる。
さらに、ストッパー用穴52がサイド基礎壁50a1,50b1に開口していることから、ユーザーは、左右方向におけるストッパー60の位置を調整できる。ストッパー60の左右方向の位置を調整することで、後ローラー33a,33b又はブラケット34a,34bの一部に対するストッパー60の当たりの強弱を調整し、後ローラー33a,33b又はブラケット34a,34bの一部がストッパー60を圧縮してストッパー60の位置を通過するために必要なユーザーの力の強さを調整することができる。
【0061】
図19は、前方かつ上方からの視点による、変形例にかかる棚の組み立て斜視図である。棚30は、実体として、ある程度の深さを有するかご状であってもよい。
図19によれば、棚30は、第1枠材31a,31bおよび第2枠材31c,31dが形成する矩形状の枠から下方に深さを有するかご部を有し、当該かご部は、複数の棒材31eが格子状に組まれることで形成されている。
図19の例においても当然、棚30の左右の後端部にはローラーユニット32a,32bが固定される。
図19の例では、かご部は、ローラーユニット32a,32bを固定するためのスペースを確保し、かつ、サイドレール50a,50bと干渉しないような形状となっている。
【0062】
本発明は前記実施形態に限られるものではない。当業者であれば言うまでもないことであるが、
・前記実施形態の中で開示した相互に置換可能な部材および構成等を適宜その組み合わせを変更して適用すること、
・前記実施形態の中で開示されていないが、公知技術であって前記実施形態の中で開示した部材および構成等と相互に置換可能な部材および構成等を適宜置換し、またその組み合わせを変更して適用すること、
・前記実施形態の中で開示されていないが、公知技術等に基づいて当業者が前記実施形態の中で開示した部材および構成等の代用として想定し得る部材および構成等と適宜置換し、またその組み合わせを変更して適用すること、は本発明の実施形態として開示されるものである。
【符号の説明】
【0063】
10…筐体、11…前面開口、12a,12b…側壁、12c…奥壁、12d…天井、12e…底壁、21a~21d…棚柱、21a1~21d1…差込穴、22…クリップ、22a,…水平片、22a1…係合片、22b…傾斜片、22b1…係合片、30…棚、31a,31b…第1枠材、31c,31d…第2枠材、31e…棒材、32a,32b…ローラーユニット、33a,33b…後ローラー、34a,34b…ブラケット、34a1,34b1…第1壁、34a2,34b2…第2壁、34a3,34b3…第3壁、34a4,34b4…第4壁、34a4a,34b4a…凸部、34a5,34b5…第5壁、35a,35b…保護材、36a,36b…水平ローラー、37…サドルバンド、38…柵、40…リアフレーム、40a…リア基礎壁、40a1…係合穴、40b…リア上壁、40c…リア下壁、50a,50b…サイドレール、50a1,50b1…サイド基礎壁、50a2,50b2…サイド上壁、50a2a,50b2a…サイド傾斜壁、50a2b,50b2b…傾斜係止片、50a3,50b3…サイド下壁、50a3a,50b3a…内側傾斜壁、50a4,50b4…突出部位、50a5,50b5…側面係合片、50a5a,50b5a…凹部、50a6,50b6…前ローラー、51…フランジブッシュ、51a…フランジ、52…ストッパー用穴、53…スペーサー、54…ワッシャー、60…ストッパー