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特開2024-111421配電系統出力電力推定システム、配電系統出力電力推定システム用コンピュータプログラム、および配電系統出力電力推定方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024111421
(43)【公開日】2024-08-19
(54)【発明の名称】配電系統出力電力推定システム、配電系統出力電力推定システム用コンピュータプログラム、および配電系統出力電力推定方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/00 20060101AFI20240809BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20240809BHJP
   H02J 13/00 20060101ALI20240809BHJP
【FI】
H02J3/00 170
H02J3/38 120
H02J13/00 301A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023015920
(22)【出願日】2023-02-06
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081961
【弁理士】
【氏名又は名称】木内 光春
(74)【代理人】
【識別番号】100112564
【弁理士】
【氏名又は名称】大熊 考一
(74)【代理人】
【識別番号】100163500
【弁理士】
【氏名又は名称】片桐 貞典
(74)【代理人】
【識別番号】230115598
【弁護士】
【氏名又は名称】木内 加奈子
(72)【発明者】
【氏名】百川 涼平
(72)【発明者】
【氏名】奥田 靖男
(72)【発明者】
【氏名】塚田 徹
【テーマコード(参考)】
5G064
5G066
【Fターム(参考)】
5G064AC08
5G064CB06
5G064DA03
5G066AA03
5G066AE01
5G066AE03
5G066AE09
5G066HB02
5G066HB06
(57)【要約】      (修正有)
【課題】出力電力が測定されない自然エネルギー発電装置からの出力電力を推定する出力電力推定システム、方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】複数の電力供給設備及び自然エネルギー発電装置を有して電力を供給する配電システムに、通信回線を介して接続される出力電力推定システム1は、自然エネルギーにより発電を行い、出力電力にかかる測定値が送信されない第一の自然エネルギー発電装置が接続された電力系統における、出力電力にかかる測定値が送信される第二の自然エネルギー発電装置を検索する検索部31と、検索部31により検索された第二の自然エネルギー発電装置の、出力電力の定格出力電力に対する比率を、測定値に基づき算出する発電率算出部33と、発電率算出部33により算出された比率に基づき、第一の自然エネルギー発電装置から出力されると推定される出力電力を算出する推定出力電力算出部34と、を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自然エネルギーにより発電を行い、出力電力にかかる測定値が送信されない第一の自然エネルギー発電装置が接続された電力系統における、出力電力にかかる測定値が送信される第二の自然エネルギー発電装置を検索する検索部と、
前記検索部により検索された前記第二の自然エネルギー発電装置にかかる、出力電力の定格出力電力に対する比率を、前記測定値に基づき算出する発電率算出部と、
前記発電率算出部により算出された前記比率に基づき、前記第一の自然エネルギー発電装置から出力されると推定される出力電力を算出する推定出力電力算出部と、
を有する配電系統出力電力推定システム。
【請求項2】
前記第一の自然エネルギー発電装置は、受光した太陽光に基づき直流電力を発電する第一の太陽光発電パネル、および前記第一の太陽光発電パネルにより発電された直流電力を、前記電力系統に適合する交流電力に変換する第一の変換装置により構成された、太陽光発電装置であり、
前記第二の自然エネルギー発電装置は、受光した太陽光に基づき直流電力を発電する第二の太陽光発電パネル、および前記第二の太陽光発電パネルにより発電された直流電力を、前記電力系統に適合する交流電力に変換する第二の変換装置により構成された、太陽光発電装置である、
請求項1に記載の配電系統出力電力推定システム。
【請求項3】
前記検索部は、複数の前記第二の自然エネルギー発電装置を検索し、
検索した複数の前記第二の自然エネルギー発電装置のそれぞれと、前記第一の自然エネルギー発電装置との距離を算出する、
請求項1に記載の配電系統出力電力推定システム。
【請求項4】
前記検索部により検索された前記第二の自然エネルギー発電装置に代替する第二の自然エネルギー発電装置を入力する入力部を有する、
請求項1に記載の配電系統出力電力推定システム。
【請求項5】
前記検索部は、前記第二の変換装置の定格出力電力が前記第二の太陽光発電パネルにかかる定格出力電力未満である前記第二の自然エネルギー発電装置を、前記検索部により検索された前記第二の自然エネルギー発電装置から除外する、
請求項2に記載の配電系統出力電力推定システム。
【請求項6】
前記発電率算出部は、前記比率として、前記第二の自然エネルギー発電装置の前記第二の太陽光発電パネルの出力電力の、前記第二の太陽光発電パネルの定格出力電力に対する比率を算出し、
前記推定出力電力算出部は、前記発電率算出部により算出された前記比率に基づき、前記第一の自然エネルギー発電装置の前記第一の太陽光発電パネルから出力されると推定される出力電力を算出し、前記第一の自然エネルギー発電装置から出力されると推定される出力電力を算出する、
請求項2に記載の配電系統出力電力推定システム。
【請求項7】
前記推定出力電力算出部は、前記第一の自然エネルギー発電装置の前記第一の太陽光発電パネルから出力されると推定される出力電力が、前記第一の変換装置の定格出力電力を超える場合、前記第一の自然エネルギー発電装置の出力電力を、前記第一の変換装置の定格出力電力とする、
請求項6に記載の配電系統出力電力推定システム。
【請求項8】
コンピュータに、
自然エネルギーにより発電を行い、出力電力にかかる測定値が送信されない第一の自然エネルギー発電装置が接続された前記電力系統における、出力電力にかかる測定値が送信される前記電力系統に接続された第二の自然エネルギー発電装置を検索する検索ステップと、
前記検索ステップにより検索された前記第二の自然エネルギー発電装置の、出力電力の定格出力電力に対する比率を、前記測定値に基づき算出する発電率算出ステップと、
前記発電率算出ステップにより算出された前記比率に基づき、前記第一の自然エネルギー発電装置から出力されると推定される出力電力を算出する推定出力電力算出ステップと、
を実行させる配電系統出力電力推定システム用コンピュータプログラム。
【請求項9】
自然エネルギーにより発電を行い、出力電力にかかる測定値が送信されない第一の自然エネルギー発電装置が接続された前記電力系統における、出力電力にかかる測定値が送信される前記電力系統に接続された第二の自然エネルギー発電装置を検索する検索手順と、
前記検索手順により検索された前記第二の自然エネルギー発電装置の、出力電力の定格出力電力に対する比率を、前記測定値に基づき算出する発電率算出手順と、
前記発電率算出手順により算出された前記比率に基づき、前記第一の自然エネルギー発電装置から出力されると推定される出力電力を算出する推定出力電力算出手順と、
を有する配電系統出力電力推定方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、自然エネルギーにより発電を行う配電系統の自然エネルギー発電装置の出力電力の推定を行う出力電力推定システム、出力電力推定システム用コンピュータプログラム、および出力電力推定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、太陽光発電、風力発電などの自然エネルギーにより発電を行う自然エネルギー発電装置の導入が進んでおり、電力系統に多数の自然エネルギー発電装置が接続される。自然エネルギー発電装置が接続された配電系統の制御を行う電力制御システムが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-204081号公報
【特許文献2】特開2016-208723号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、太陽光発電、風力発電などの多数の自然エネルギー発電装置が、配電系統に接続されるようになった。配電系統では、変電所から供給される電力と配電系統に接続される自然エネルギー発電装置の発電出力を合わせた出力が、負荷から要求される需要電力と一致するように、電力制御が行われることが望ましい。配電系統において、変電所から供給される出力電力、測定装置が接続された自然エネルギー発電装置の出力電力は、測定される。
【0005】
しかしながら、配電系統には、出力電力が測定されない自然エネルギー発電装置が接続される場合がある。このため、変電所から供給される出力電力、測定装置が接続された自然エネルギー発電装置の出力電力を加算したのみでは、実際に負荷にて消費される電力を正確に把握することはできない。
【0006】
配電系統の事故発生時において、変電所から供給される出力電力、自然エネルギー発電装置は配電系統から解列される。解列後、事故区間以外の健全停電区間に対しては、変電所から供給される出力電力のみが、負荷に供給されることとなる。
【0007】
事故発生時等に自然エネルギー発電装置からの出力電力は遮断されるため、負荷に供給される電力を想定し変電所から供給される出力電力を増加させる制御が行われる。しかしながら、一部の自然エネルギー発電装置の出力電力が測定されないため、負荷に供給される電力が正確に把握されず電力の供給が不十分となり、復旧の際の再閉路時に、いわゆる過負荷となる可能性がある。
【0008】
この過負荷を解消するためには、自然エネルギー発電装置が配電系統から解列される前の時点における、出力電力が測定されない自然エネルギー発電装置からの出力電力を把握しておくことが必要とされる。変電所から供給される出力電力、測定装置が接続された自然エネルギー発電装置の出力電力、出力電力が測定されない自然エネルギー発電装置からの出力電力を加算することにより、実際に負荷にて消費される電力を把握することができる。
【0009】
本実施形態は、上記問題点に鑑み、出力電力が測定されない配電系統の自然エネルギー発電装置からの出力電力を推定する出力電力推定システム、出力電力推定システム用コンピュータプログラム、および出力電力推定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本実施形態の配電系統出力電力推定システムは、次のような特徴を有する。
(1)自然エネルギーにより発電を行い、出力電力にかかる測定値が送信されない第一の自然エネルギー発電装置が接続された電力系統における、出力電力にかかる測定値が送信される第二の自然エネルギー発電装置を検索する検索部を有する。
(2)前記検索部により検索された前記第二の自然エネルギー発電装置にかかる、出力電力の定格出力電力に対する比率を、前記測定値に基づき算出する発電率算出部を有する。
(3)前記発電率算出部により算出された前記比率に基づき、前記第一の自然エネルギー発電装置から出力されると推定される出力電力を算出する推定出力電力算出部を有する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1実施形態にかかる出力電力推定システム1を説明する図
図2】第1実施形態にかかる出力電力推定システム1の構成を示すブロック図
図3】第1実施形態にかかる出力電力推定システム1のプログラムフローを示す図
図4】第1実施形態にかかる出力電力推定システム1の検索にかかるプログラムフローを示す図
図5】第1実施形態にかかる出力電力推定システム1において記憶される発電設備データ41を説明する図
図6】第1実施形態にかかる出力電力推定システム1において記憶される各データを説明する図
図7】第3実施形態にかかる出力電力推定システム1の検索にかかるプログラムフローを示す図
図8】第3実施形態にかかる出力電力推定システム1において記憶される各データを説明する図
図9】第4実施形態にかかる出力電力推定システム1の検索にかかるプログラムフローを示す図
図10】第4実施形態にかかる出力電力推定システム1において記憶される発電設備データ41を説明する図
図11】第5実施形態にかかる出力電力推定システム1のプログラムフローを示す図
図12】第1実施形態にかかる出力電力推定システム1において記憶される各データを説明する図
【発明を実施するための形態】
【0012】
[1.第1実施形態]
[1-1.構成]
図1図2を参照して本実施形態の一例として、出力電力推定システム1について説明する。本実施形態において、同一構成の装置や部材が複数ある場合にはそれらについて同一の番号を付して説明を行い、また、同一構成の個々の装置や部材についてそれぞれを説明する場合に、共通する番号にアルファベットの添え字を付けることで区別する。
【0013】
(配電システム9の構成)
出力電力推定システム1は、電力を供給する配電システム9に通信回線7を介し接続される。配電システム9は、一例として2つの電力供給設備8a、8b、3つの自然エネルギー発電装置5a、5b、5c、5つの自然エネルギー発電装置6a、6b、6c、6d、6eを有する。
【0014】
電力供給設備8、自然エネルギー発電装置5、自然エネルギー発電装置6は、電力系統90に接続される。電力系統90は、配電線91a、91bを有する。電力供給設備8aは、遮断器93aを介し配電線91aに、電力供給設備8bは、遮断器93bを介し配電線91bに、接続される。配電線91aと配電線91bは、開閉器92により導通、非導通とされる。電力系統90は、負荷94に電力を供給する
【0015】
電力系統90の3つの自然エネルギー発電装置5a、5b、5cは、通信回線7を介し出力電力推定システム1に接続される。後述するように自然エネルギー発電装置5は、測定装置53を内蔵しており、自然エネルギー発電装置5から出力される電力に関する情報を出力電力推定システム1に送信する。
【0016】
自然エネルギー発電装置5を、「測定対象である自然エネルギー発電装置5」、「出力電力にかかる測定値が送信される自然エネルギー発電装置5」と呼ぶ場合がある。自然エネルギー発電装置6を、「非測定対象である自然エネルギー発電装置6」、「出力電力にかかる測定値が送信されない自然エネルギー発電装置6」と呼ぶ場合がある。請求項における第一の自然エネルギー発電装置が自然エネルギー発電装置6に、請求項における第二の自然エネルギー発電装置が自然エネルギー発電装置5に、相当する。
【0017】
自然エネルギー発電装置5、自然エネルギー発電装置6は、再生可能エネルギーである太陽光または風力を受け電力を発電する電源装置である。自然エネルギー発電装置5、自然エネルギー発電装置6は、地熱発電装置等であってもよい。本実施形態にかかる自然エネルギー発電装置5、自然エネルギー発電装置6は、一例として太陽光発電装置であるものとする。
【0018】
自然エネルギー発電装置5、自然エネルギー発電装置6は、電力系統90において電気的に並列に接続される。自然エネルギー発電装置5、自然エネルギー発電装置6は、発電した電力を電力系統90に供給する。自然エネルギー発電装置5、自然エネルギー発電装置6は、屋外の太陽光発電サイト等に設置される。
【0019】
自然エネルギー発電装置5a、5b、自然エネルギー発電装置6a、6bは、配電線91aに接続される。自然エネルギー発電装置5c、自然エネルギー発電装置6c、6d、6eは、配電線91bに接続される。
【0020】
自然エネルギー発電装置5は、それぞれ太陽光発電パネル51、変換装置52、測定装置53を備える。自然エネルギー発電装置5aは、太陽光発電パネル51a、変換装置52a、測定装置53aを備える。自然エネルギー発電装置5bは、太陽光発電パネル51b、変換装置52b、測定装置53bを備える。自然エネルギー発電装置5cは、太陽光発電パネル51c、変換装置52c、測定装置53cを備える。
【0021】
太陽光発電パネル51は、太陽光を受け直流電力を発電する。発電された直流電力は、変換装置52に供給される。変換装置52は、スイッチング素子を有するインバータ等の変換回路により構成される。変換装置52は、太陽光発電パネル51により発電された直流電力を交流電力に変換する。変換された交流電力は、測定装置53を介し電力系統90に供給される。
【0022】
測定装置53は、電圧、電流を測定する回路により構成される。測定装置53は、通信回線7を介し出力電力推定システム1に接続される。測定装置53は、変換装置52から出力された出力電流、出力電圧を測定し、自然エネルギー発電装置5の出力電力の情報である出力電力情報40として、出力電力推定システム1に送信する。測定装置53は、変換装置52から出力された出力電力を測定するものであってもよい。
【0023】
自然エネルギー発電装置6は、それぞれ太陽光発電パネル61、変換装置62を備える。自然エネルギー発電装置6aは、太陽光発電パネル61a、変換装置62aを備える。自然エネルギー発電装置6bは、太陽光発電パネル61b、変換装置62bを備える。自然エネルギー発電装置6cは、太陽光発電パネル61c、変換装置62cを備える。自然エネルギー発電装置6dは、太陽光発電パネル61d、変換装置62dを備える。自然エネルギー発電装置6eは、太陽光発電パネル61eを備える。
【0024】
太陽光発電パネル61は、太陽光を受け直流電力を発電する。発電された直流電力は、変換装置62に供給される。変換装置62は、スイッチング素子を有するインバータ等の変換回路により構成される。変換装置62は、太陽光発電パネル61により発電された直流電力を交流電力に変換する。変換された交流電力は、電力系統90に供給される。
【0025】
電力供給設備8は、交流電力を供給する設備である。電力供給設備8aは、遮断器93aを介し配電線91aに接続される。電力供給設備8bは、遮断器93bを介し配電線91bに接続される。電力供給設備8は、火力、水力、原子力等の発電機(図中不示)により構成され、電力を電力系統90に供給する。電力供給設備8は、変電設備を含んでいてもよい。
【0026】
遮断器93aは、配電線91aに事故が発生した場合に開路状態とされる。遮断器93bは、配電線91bに事故が発生した場合に開路状態とされる。
【0027】
開閉器92は、配電線91a、配電線91bに接続される。開閉器92は、電力供給設備8a、または電力供給設備8bに事故が発生した場合に、閉路状態とされ配電線91aと配電線91bを電気的に導通させる。
【0028】
通信回線7は、インターネット等の通信回線、専用線、電話回線等の通信回線により構成される。通信回線7を介し出力電力推定システム1と自然エネルギー発電装置5の測定装置53との間の通信が行われる。
【0029】
(出力電力推定システム1)
出力電力推定システム1は、コンピュータ等により構成された装置である。出力電力推定システム1は、通信回線7を介し、自然エネルギー発電装置5の測定装置53に接続される。出力電力推定システム1は、太陽光発電サイト等の監視制御を行う電力管理室等に設置される。
【0030】
出力電力推定システム1は、電力系統90における、出力電力にかかる測定値が送信される自然エネルギー発電装置5の出力電力の値に基づき、出力電力にかかる測定値が送信されない自然エネルギー発電装置6の推定される出力電力を算出する。
【0031】
出力電力推定システム1は、配電システム9の監視、制御、計画作成を行う電力監視システムであってもよい。出力電力推定システム1は、例えば、開閉器92、遮断器93a、93bの入切状態の検出や、配電システム9の各所に配置された計測子局(図中不示)により測定された電流値、電圧値、電力量などの計測値にかかる電気情報を収集し、収集したデータに基づき配電システム9における各点の状態の推定、開閉器92の開閉制御などを行うものであってもよい。
【0032】
出力電力推定システム1は、データ収集部11、入力部12、演算部13、記憶部14により構成される。データ収集部11、入力部12、演算部13、記憶部14は、それぞれ個別の装置により構成されていてもよいし、一体に構成されていてもよい。
【0033】
データ収集部11は、送受信回路を備えたコンピュータ等により構成された装置である。データ収集部11は、個別の装置により構成されていてもよいし、入力部12、演算部13、記憶部14と一体に構成されていてもよい。データ収集部11は、出力電力推定システム1の内部において入力部12、演算部13、記憶部14に接続される。
【0034】
データ収集部11は、自然エネルギー発電装置5の測定装置53から、出力電力の情報である出力電力情報40を周期的に受信する。データ収集部11は、受信した出力電力情報40を演算部13、記憶部14に送信する。データ収集部11は、通信回線7を介して電力系統90に接続された自然エネルギー発電装置5の測定装置53から、出力電力情報40を周期的に受信する。
【0035】
入力部12は、マンマシンインターフェースを備えたコンピュータ等により構成された装置である。入力部12は、個別の装置により構成されていてもよいし、データ収集部11、演算部13、記憶部14と一体に構成されていてもよい。入力部12は、メンテナンス装置と呼ばれるものであってもよい。入力部12は、出力電力推定システム1の内部においてデータ収集部11、演算部13、記憶部14に接続される。
【0036】
入力部12は、作業者により操作され、電力系統90に接続された自然エネルギー発電装置5および自然エネルギー発電装置6の情報として発電設備データが入力される。入力部12は、発電設備データを演算部13、記憶部14に送信する。また、入力部12が作業者により操作され、記憶部14に記憶されたデータが修正、または追加される。
【0037】
発電設備データは、自然エネルギー発電装置5、自然エネルギー発電装置6にかかる定格出力データ、太陽光発電パネル51、太陽光発電パネル61の位置座標データを含む。発電設備データは、記憶部14に発電設備データ41として記憶される。
【0038】
演算部13は、コンピュータ等により構成された装置である。演算部13は、個別の装置により構成されていてもよいし、データ収集部11、入力部12、記憶部14と一体に構成されていてもよい。演算部13は、出力電力推定システム1の内部においてデータ収集部11、入力部12、記憶部14に接続される。
【0039】
演算部13は、データ収集部11から受信した出力電力情報40、入力部12から受信し記憶部14に記憶された発電設備データ41に基づき、自然エネルギー発電装置6の推定される出力電力を算出する。
【0040】
演算部13は、検索部31、出力電力算出部32、発電率算出部33、推定出力電力算出部34を備える。検索部31、出力電力算出部32、発電率算出部33、推定出力電力算出部34は、ソフトウェアモジュールにより構成される。
【0041】
検索部31は、記憶部14に記憶された発電設備データ41に基づき、非測定対象である自然エネルギー発電装置6が接続された電力系統90における、測定対象である自然エネルギー発電装置5の検索を行う。検索された自然エネルギー発電装置5は、記憶部14に参照発電設備データ44として記憶される。
【0042】
出力電力算出部32は、検索部31により検索された自然エネルギー発電装置5の出力電力を、データ収集部11から受信した出力電力情報40に基づき算出する。算出された自然エネルギー発電装置5の出力電力は、記憶部14に発電出力データ42として記憶される。
【0043】
発電率算出部33は、出力電力算出部32により算出され記憶部14に記憶された発電出力データ42に基づき、測定対象である自然エネルギー発電装置5の発電率の算出を行う。発電率は、自然エネルギー発電装置5の定格出力電力に対する出力電力の比として算出される。算出された自然エネルギー発電装置5の発電率は、記憶部14に発電率データ43として記憶される。
【0044】
推定出力電力算出部34は、発電率算出部33により算出され記憶部14に記憶された発電率データ43、記憶部14に記憶された発電設備データ41にかかる自然エネルギー発電装置6の定格出力電力に基づき、非測定対象である自然エネルギー発電装置6の推定される出力電力を算出する。推定される出力電力は、自然エネルギー発電装置6の定格出力電力に自然エネルギー発電装置5の発電率が乗算され算出される。算出された自然エネルギー発電装置5の発電率は、記憶部14に発電出力データ42として記憶される。
【0045】
記憶部14は、半導体メモリやハードディスクのような記憶媒体にて構成される。記憶部14は、個別の装置により構成されていてもよいし、データ収集部11、入力部12、演算部13と一体に構成されていてもよい。記憶部14は、出力電力推定システム1の内部においてデータ収集部11、入力部12、演算部13に接続される。
【0046】
記憶部14は、前述の発電設備データ41、発電出力データ42、発電率データ43、参照発電設備データ44を記憶する。
【0047】
以上が、出力電力推定システム1の構成である。
【0048】
[1-2.作用]
次に、図1~6に基づき本実施形態の出力電力推定システム1の動作を説明する。図3図4は、出力電力推定システム1に内蔵されたプログラムのフローを示す図である。図3図4に示すプログラムは、出力電力推定システム1の演算部13に内蔵される。
【0049】
配電システム9において、電力供給設備8a、8bは、電力系統90に電力を供給する。自然エネルギー発電装置5a~5c、自然エネルギー発電装置6a~6eは、自然エネルギーにより発電を行い電力系統90に電力を供給する。
【0050】
一例として、自然エネルギー発電装置6は、受光した太陽光に基づき直流電力を発電する太陽光発電パネル61、および太陽光発電パネル61により発電された直流電力を、電力系統90に適合する交流電力に変換する変換装置62により構成された、太陽光発電装置である。また、自然エネルギー発電装置5は、受光した太陽光に基づき直流電力を発電する太陽光発電パネル51、および太陽光発電パネル51により発電された直流電力を、電力系統90に適合する交流電力に変換する変換装置52により構成された、太陽光発電装置である。
【0051】
自然エネルギー発電装置5a~5cは、それぞれ測定装置53a~53cを備えている。測定装置53a~53cは、出力される電力を周期的に測定し、自然エネルギー発電装置5a~5cの出力電力の情報である出力電力情報40を、電力制御装置2に送信する。出力電力情報40は、変換装置52a~52cから出力された出力電流、出力電圧に関する情報、太陽光発電パネル51a~51cから出力された出力電流、出力電圧に関する情報を含む。
【0052】
配電システム9の電力供給設備8bにおいて事故が発生し、遮断器93bが開路状態とされ、開閉器92が閉路状態とされた場合について説明する。
【0053】
データ収集部11は、自然エネルギー発電装置5a~5cの出力電力の情報である出力電力情報40を測定装置53a~53cから受信し、受信した出力電力情報40を演算部13、記憶部14に送信する。
【0054】
入力部12は、作業者により操作される。入力部12には、電力系統90に接続された自然エネルギー発電装置5および自然エネルギー発電装置6の情報として発電設備データが入力される。入力部12は、発電設備データを演算部13、記憶部14に送信する。
【0055】
入力された発電設備データは、記憶部14に発電設備データ41として予め記憶される。発電設備データ41は、自然エネルギー発電装置5、自然エネルギー発電装置6にかかる定格出力データ、太陽光発電パネル51、太陽光発電パネル61の位置座標データを含む。発電設備データ41の自然エネルギー発電装置5にかかる定格出力データは、太陽光発電パネル51の定格出力データ、変換装置52の定格出力データを含む。発電設備データ41の自然エネルギー発電装置6にかかる定格出力データは、太陽光発電パネル61の定格出力データ、変換装置62の定格出力データを含む。
【0056】
定格出力データには定格出力電力が含まれる。定格出力データには定格出力電流、定格電圧、定格周波数に関するデータが含まれていてもよい。
【0057】
また、入力部12が作業者により操作されることにより、記憶部14に記憶されたデータが修正、または追加される。
【0058】
検索部31は、自然エネルギーにより発電を行い、出力電力にかかる測定値が送信されない自然エネルギー発電装置6が接続された電力系統90における、出力電力にかかる測定値が送信される自然エネルギー発電装置5を検索する。
【0059】
検索部31は、記憶部14に記憶された発電設備データ41に基づき、自然エネルギー発電装置5の検索を行う。検索された自然エネルギー発電装置5は、記憶部14に参照発電設備データ44として記憶される。
【0060】
出力電力算出部32は、検索部31により検索された自然エネルギー発電装置5の出力電力を、データ収集部11から受信した出力電力情報40に基づき算出する。算出された自然エネルギー発電装置5の出力電力は、記憶部14に発電出力データ42として記憶される。
【0061】
発電率算出部33は、検索部31により検索された自然エネルギー発電装置5の、出力電力の定格出力電力に対する比率を、出力電力情報40にかかる測定値に基づき算出する。発電率算出部33は、出力電力算出部32により算出され記憶部14に記憶された発電出力データ42に基づき、測定対象である自然エネルギー発電装置5の発電率の算出を行う。発電率は、自然エネルギー発電装置5の定格出力電力に対する出力電力の比として算出される。算出された自然エネルギー発電装置5の発電率は、記憶部14に発電率データ43として記憶される。
【0062】
推定出力電力算出部34は、発電率算出部33により算出された比率に基づき、自然エネルギー発電装置6から出力されると推定される出力電力を算出する。推定出力電力算出部34は、発電率算出部33により算出され記憶部14に記憶された発電率データ43、記憶部14に記憶された発電設備データ41にかかる自然エネルギー発電装置6の定格出力電力に基づき、非測定対象である自然エネルギー発電装置6の推定される出力電力を算出する。
【0063】
推定される出力電力は、自然エネルギー発電装置6の定格出力電力に自然エネルギー発電装置5の発電率が乗算され算出される。算出された自然エネルギー発電装置6の推定される出力電力は、記憶部14に発電出力データ42として記憶される。
【0064】
一般に、電力系統90において、電力供給設備8a、8bに加え自然エネルギー発電装置5、自然エネルギー発電装置6のような多数の分散電源が連系された場合、電力供給設備8a、8bの出力電流を測定するのみでは、接続された負荷94において消費される電力を正確に把握することはできない。電力供給設備8a、8bから出力された電力と、自然エネルギー発電装置5、自然エネルギー発電装置6から出力された電力の両者が負荷94に供給されるからである。
【0065】
事故発生時には、電力供給設備8、または一部の自然エネルギー発電装置5、自然エネルギー発電装置6が解列され、電力系統90において電力が供給されなくなる区間が発生する恐れがある。事故発生時に、電力が供給されなくなる電力系統90の区間に対し、他の電力系統90から電力が供給されることとなる。
【0066】
他の電力系統90からの供給が必要とされる電力の大きさを事前に把握するために、負荷94に供給される電力を把握することが必要とされる。このため、自然エネルギー発電装置5、自然エネルギー発電装置6から出力された電力を把握することが必要となる。
【0067】
従来技術では、高圧系の電力系統90に連系された自然エネルギー発電装置の出力電力値のみを測定し、電力供給設備8からの出力電力値に加算して電力系統90の負荷において消費される電力値の概略を算出していた。または、自然エネルギー発電装置の発電パターンに基づき、自然エネルギー発電装置から出力される電力値を推定していた。
【0068】
しかしながら、近年、出力電力が測定されない自然エネルギー発電装置6が電力系統90に連系される場合も多い。このため、自然エネルギー発電装置6から負荷94に供給される電力値を把握することができず、その結果、負荷94に供給される総電力値を精度よく把握することはできなかった。
【0069】
事故発生時には、安全性確保のため電力系統90から自然エネルギー発電装置5、自然エネルギー発電装置6が解列される。復旧における再閉路時に、自然エネルギー発電装置5、自然エネルギー発電装置6の出力電力値が把握されない場合、負荷94に供給される総電力値を精度よく把握することができず、電力供給設備8から供給される電力が不足し、過負荷が発生する可能性がある。
【0070】
一例として、一つの電力供給設備、一つの自然エネルギー発電装置から負荷に電力が供給される場合における、負荷に供給される総電力値の一般的な算出方法について説明する。
【0071】
負荷へ電力供給設備から出力される有効電流Ig0は、電力供給設備の測定電流Ig、位相角θgにより(式1)のとおり示される。
Ig0=Ig・cosθg ・・・・・(式1)
【0072】
自然エネルギー発電装置から出力されると推定される電力をPn、電圧をVn、位相角をθnとすると、自然エネルギー発電装置から出力される電力電流Inは、(式2)により示される。電圧Vnは、電力供給設備からの電圧降下に基づき算出することができる。位相角θnは、一定値とみなす。なお、位相角θnは、電力系統に接続される自然エネルギー発電装置ごと、高圧と低圧で異なる場合がある。
In=Pn/(√3×Vn・cosθn) ・・・・・(式2)
【0073】
また、自然エネルギー発電装置から出力されると推定される有効電流In0は、(式3)により示される。
In0=In・cosθn ・・・・・(式3)
【0074】
上記(式2)、(式3)は三相系の場合であるが、単相系の場合、これに代替し(式4)、(式5)のとおりとなる。
In=Pn/(Vn・cosθn) ・・・・・(式4)
In0=In・cosθn ・・・・・(式5)
【0075】
負荷へ供給される有効電流Ir0は、上記の(式1)にかかる、設備から出力される有効電流Ig、(式3)(式5)にかかる自然エネルギー発電装置から出力されると推定される有効電流In0により、(式6)のとおり示される。
Ir0=Ig0-In0 ・・・・・(式6)
【0076】
本実施形態では、上記の(式3)(式5)にかかる自然エネルギー発電装置から出力されると推定される有効電流In0を精度よく推定する。
【0077】
出力電力推定システム1の演算部13に内蔵された図3図4に示すプログラムは、例えば5分、30分周期等の一定周期にて繰り返し実行される。出力電力推定システム1は、下記の手順にて自然エネルギー発電装置6から出力されると推定される出力電力を算出する。
【0078】
(ステップS101:発電設備データ41を記憶部14に記憶させる)
出力電力推定システム1の演算部13は、入力部12から入力された自然エネルギー発電装置5および自然エネルギー発電装置6の情報を、発電設備データ41として記憶部14に記憶させる。自然エネルギー発電装置5および自然エネルギー発電装置6の情報は、作業者により入力部12から入力される。入力された情報は、記憶部14に発電設備データ41として予め記憶される。
【0079】
発電設備データ41は、自然エネルギー発電装置5、自然エネルギー発電装置6にかかる定格出力データ、太陽光発電パネル51、太陽光発電パネル61の位置座標データを含む。自然エネルギー発電装置6にかかる発電設備データ41は、図5(a)に示すように、自然エネルギー発電装置5にかかる発電設備データ41は、図5(b)に示すように、記憶される。発電設備データ41の自然エネルギー発電装置5にかかる定格出力データは、太陽光発電パネル51の定格出力データ、変換装置52の定格出力データを含む。発電設備データ41の自然エネルギー発電装置6にかかる定格出力データは、太陽光発電パネル61の定格出力データ、変換装置62の定格出力データを含む。
【0080】
(ステップS102:自然エネルギー発電装置5の出力電力を算出する)
出力電力推定システム1の演算部13は、測定対象である自然エネルギー発電装置5の出力電力を算出する。ステップS102にかかる動作は、演算部13の出力電力算出部32により実行される。出力電力算出部32は、自然エネルギー発電装置5の出力電力を、データ収集部11から受信した出力電力情報40に基づき算出する。
【0081】
自然エネルギー発電装置5から出力される電流をIm、電圧をVm、位相角をθmとすると、三相系の場合、自然エネルギー発電装置5から出力される電力Pmは、(式7)により示される。
Pm=√3×Vm・Im・cosθm ・・・・・(式7)
【0082】
なお、単相系の場合、自然エネルギー発電装置5から出力される電力Pmは、(式8)により示される。
Pm=Vm・Im・cosθm ・・・・・(式8)
【0083】
自然エネルギー発電装置5から出力される電力Pmは、自然エネルギー発電装置5a、5b、5cごとに、Pma、Pmb、Pmcとして算出される。
【0084】
(ステップS103:発電出力データ42を記憶部14に記憶させる)
出力電力推定システム1の演算部13は、算出した自然エネルギー発電装置5の出力電力を、記憶部14に図5(b)に示すように発電出力データ42として記憶させる。自然エネルギー発電装置5a、5b、5cごとの出力電力Pma、Pmb、Pmcが、発電出力データ42として記憶される。
【0085】
(ステップS104:自然エネルギー発電装置5の発電率を算出する)
出力電力推定システム1の演算部13は、測定対象である自然エネルギー発電装置5の発電率を算出する。ステップS104にかかる動作は、演算部13の発電率算出部33により実行される。発電率算出部33は、自然エネルギー発電装置5の発電率を、出力電力算出部32により算出され記憶部14に記憶された発電出力データ42、記憶部14に記憶された発電設備データ41にかかる自然エネルギー発電装置5の定格出力電力に基づき算出する。
【0086】
発電出力データ42として記憶された、自然エネルギー発電装置5から出力される電力Pmは、(式7)または(式8)により示される。発電設備データ41にかかる自然エネルギー発電装置5の定格出力電力をPmMAXとすると、発電率αは(式9)、(式10a)により示される。
α=Pm/PmMAX ・・・・・(式9)
Pm=√3×Vm・Im・cosθm ・・・・・(式10a)
【0087】
なお、単相系の場合、自然エネルギー発電装置5から出力される電力Pmは、(式10b)により示される。
Pm=Vm・Im・cosθm ・・・・・(式10b)
【0088】
発電率αは、自然エネルギー発電装置5a、5b、5cごとにそれぞれαa、αb、αcとして算出される。
【0089】
(ステップS105:発電率データ43を記憶部14に記憶させる)
出力電力推定システム1の演算部13は、算出した自然エネルギー発電装置5の発電率を、記憶部14に図5(b)に示すように発電率データ43として記憶させる。自然エネルギー発電装置5a、5b、5cごとの発電率αa、αb、αcが、発電率データ43として記憶される。
【0090】
図3図4に示すプログラムは、繰り返し実行され、ステップS102~S105により、測定対象である自然エネルギー発電装置5の出力電力にかかる発電出力データ42、発電率にかかる発電率データ43が、一定周期にて更新される。
【0091】
(ステップS106:電力系統90における測定対象である自然エネルギー発電装置5を検索する)
出力電力推定システム1の演算部13は、電力系統90における測定対象である自然エネルギー発電装置5の検索を行う。ステップS106にかかる動作は、演算部13の検索部31により実行される。検索部31は、非測定対象である自然エネルギー発電装置6が接続された電力系統90における、測定対象である自然エネルギー発電装置5を検索する。
【0092】
検索部31は、更に検索した自然エネルギー発電装置5から発電率を参照する自然エネルギー発電装置5を選択し、参照発電設備とする。参照発電設備は、非測定対象である自然エネルギー発電装置6の出力電力を推定するときに参照される、自然エネルギー発電装置5である。
【0093】
選択された自然エネルギー発電装置5は、参照発電設備データ44として記憶部14に記憶される。検索部31によるステップS106にかかる動作は、図4に示すプログラムのステップS201~S211により実現される。
【0094】
(ステップS201:非測定対象である自然エネルギー発電装置6をリスト化する)
出力電力推定システム1の検索部31は、推定される出力電力の算出の対象となる非測定対象である自然エネルギー発電装置6をリスト化する。記憶部14に記憶された発電設備データ41に基づき、発電出力データ42を有しない非測定対象である自然エネルギー発電装置6を選択し、図5(a)に示すようにリスト化する。
【0095】
(ステップS202:参照発電設備となる自然エネルギー発電装置5をリスト化する)
出力電力推定システム1の検索部31は、非測定対象である自然エネルギー発電装置6の出力電力を推定するときに参照される、参照発電設備となる自然エネルギー発電装置5をリスト化する。
【0096】
記憶部14に記憶された発電設備データ41に基づき、参照発電設備データ44が作成されておらず発電出力データ42を有する測定対象である自然エネルギー発電装置5を順次選択し、図5(b)に示すようにリスト化する。
【0097】
(ステップS203:非測定対象である自然エネルギー発電装置6を順次選択する)
出力電力推定システム1の検索部31は、ステップS201にて作成されたリストに基づき非測定対象である自然エネルギー発電装置6を順次選択する。これにより、ステップS203~ステップS211にかかる処理が、ステップS201にて作成されたリストにかかる全ての自然エネルギー発電装置6が選択されるまで繰り返される。
【0098】
(ステップS204:測定対象である自然エネルギー発電装置5を順次選択する)
出力電力推定システム1の検索部31は、ステップS202にて作成されたリストに基づき測定対象である自然エネルギー発電装置5を順次選択する。これにより、ステップS204~ステップS210にかかる処理が、ステップS202にて作成されたリストにかかる全ての自然エネルギー発電装置5が選択されるまで繰り返される。
【0099】
(ステップS205:自然エネルギー発電装置6と自然エネルギー発電装置5の距離を算出する)
出力電力推定システム1の検索部31は、ステップS203で選択された自然エネルギー発電装置6とステップS204で選択された自然エネルギー発電装置5との距離を算出する。距離の算出は、記憶部14に記憶された発電設備データ41の太陽光発電パネル51、太陽光発電パネル61の位置座標データに基づき算出される。算出された自然エネルギー発電装置6と自然エネルギー発電装置5との距離は、図6(a)に示すようにリスト化される。
【0100】
(ステップS206:選択された自然エネルギー発電装置5は、一つ目の自然エネルギー発電装置5であるかの判断を行う)
出力電力推定システム1の検索部31は、ステップS204で選択された自然エネルギー発電装置5は、一つ目の自然エネルギー発電装置5であるかの判断を行う。一つ目の自然エネルギー発電装置5であると判断した場合(ステップS206のYES)、プログラムは、ステップS207に移行する。一つ目の自然エネルギー発電装置5であると判断しない場合(ステップS206のNO)、プログラムは、ステップS208に移行する。
【0101】
(ステップS207:自然エネルギー発電装置6と自然エネルギー発電装置5の距離をリストに記憶させる)
ステップS206において、選択された自然エネルギー発電装置5は、一つ目の自然エネルギー発電装置5であると判断した場合、図6(a)に示すリストにおける自然エネルギー発電装置6と自然エネルギー発電装置5の距離はブランクとなっている。このため、出力電力推定システム1の検索部31は、ステップS204で選択した自然エネルギー発電装置5について、ステップS205で算出した自然エネルギー発電装置6との距離をリストに記憶させる。
【0102】
自然エネルギー発電装置5と自然エネルギー発電装置6との距離を記憶したリストは、参照発電設備データ44として記憶部14に記憶される。
【0103】
(ステップS208:算出した自然エネルギー発電装置間の距離は、記憶されている参照発電設備データ44における距離より小さいかの判断を行う)
ステップS206において、選択された自然エネルギー発電装置5は、一つ目の自然エネルギー発電装置5であると判断しない場合、出力電力推定システム1の検索部31は、ステップS205で算出した自然エネルギー発電装置6と自然エネルギー発電装置5との距離は、記憶部14に既に記憶されている参照発電設備データ44における距離より小さいかの判断を行う。
【0104】
算出した自然エネルギー発電装置間の距離は、記憶されている参照発電設備データ44における距離より小さいと判断した場合(ステップS208のYES)、プログラムは、ステップS209に移行する。算出した自然エネルギー発電装置間の距離は、記憶されている参照発電設備データ44における距離より小さいと判断しない場合(ステップS208のNO)、プログラムは、ステップS210に移行する。
【0105】
(ステップS209:参照発電設備データ44のリストにおける自然エネルギー発電装置5および自然エネルギー発電装置間の距離を更新する)
ステップS208において、算出した自然エネルギー発電装置間の距離は、記憶されている参照発電設備データ44における距離より小さいと判断した場合、出力電力推定システム1の検索部31は、記憶部14に参照発電設備データ44として記憶されたリストの参照発電設備をステップS204で選択した自然エネルギー発電装置5に、距離をステップS205で算出した自然エネルギー発電装置6と自然エネルギー発電装置5との距離に更新する。
【0106】
例えば、自然エネルギー発電装置5aと自然エネルギー発電装置6aとの距離が10kmであり、自然エネルギー発電装置5bと自然エネルギー発電装置6aとの距離が5kmである場合、参照発電設備データ44における自然エネルギー発電装置6aに対応する参照発電設備は、図6(b)に示すように自然エネルギー発電装置5aから5bに、距離は10kmから5kmに更新される。
【0107】
更新されたリストは新たな参照発電設備データ44として記憶部14に記憶される。上記の処理により、図6(a)に示す参照発電設備データ44における参照発電設備は、自然エネルギー発電装置6と自然エネルギー発電装置5との距離が小さい、自然エネルギー発電装置5に逐次更新される。
【0108】
ステップS208において、算出した自然エネルギー発電装置間の距離は、記憶されている参照発電設備データ44における距離より小さいと判断しない場合、参照発電設備データ44は、更新されない。
【0109】
(ステップS210:測定対象である全ての自然エネルギー発電装置5の選択が完了したかの判断を行う)
出力電力推定システム1の検索部31は、測定対象である全ての自然エネルギー発電装置5の選択が完了したかの判断を行う。全ての自然エネルギー発電装置5の選択が完了したと判断した場合(ステップS210のYES)、プログラムは、ステップS211に移行する。全ての自然エネルギー発電装置5の選択が完了したと判断しない場合(ステップS210のNO)、プログラムは、ステップS204に移行する。
【0110】
(ステップS211:非測定対象である全ての自然エネルギー発電装置6の選択が完了したかの判断を行う)
出力電力推定システム1の検索部31は、非測定対象である全ての自然エネルギー発電装置6の選択が完了したかの判断を行う。全ての自然エネルギー発電装置6の選択が完了したと判断した場合(ステップS210のYES)、プログラムは、ステップS106に戻りステップS107に移行する。全ての自然エネルギー発電装置6の選択が完了したと判断しない場合(ステップS211のNO)、プログラムは、ステップS203に移行する。
【0111】
上記の処理により、非測定対象である自然エネルギー発電装置6に対し、近距離に位置する測定対象である自然エネルギー発電装置5が選択される。これによりステップS106の処理は終了する。
【0112】
(ステップS107:自然エネルギー発電装置5の発電率を、対応する自然エネルギー発電装置6の発電率とする)
出力電力推定システム1の演算部13は、上記のステップS201~S211により選択された測定対象である自然エネルギー発電装置5の発電率を、対応する非測定対象である自然エネルギー発電装置6ごとの発電率として、図6(a)に示すように発電率データ43として記憶部14に記憶させる。
【0113】
(ステップS108:自然エネルギー発電装置6の推定出力電力を算出する)
出力電力推定システム1の演算部13は、それぞれの自然エネルギー発電装置6の推定される出力電力の算出を行う。ステップS108にかかる動作は、演算部13の推定出力電力算出部34により実行される。推定出力電力算出部34は、自然エネルギー発電装置6から出力されると推定される出力電力を、記憶部14に記憶された発電設備データ41に含まれた定格出力データ、記憶部14にリストとして記憶された発電率データ43に基づき算出する。
【0114】
自然エネルギー発電装置6から出力されると推定される出力電力Pnは、(式11)により示される。発電設備データ41にかかる自然エネルギー発電装置6の定格出力電力PnMAX、自然エネルギー発電装置6に対応する自然エネルギー発電装置5の発電率αにより出力電力Pnは、(式11)のように示される。
Pn=α×PnMAX ・・・・・(式11)
【0115】
(ステップS109:自然エネルギー発電装置6の推定出力電力を記憶させる)
出力電力推定システム1の演算部13は、ステップS108で算出された自然エネルギー発電装置6から出力されると推定される出力電力Pnを図6(a)に示す発電出力データ42として記憶部14に記憶させる。なお、推定される出力電力を推定出力電力と呼ぶ場合がある。推定出力電力Pnは、自然エネルギー発電装置6a、6b、6c、6d、6eごとに記憶される。
【0116】
以上が、出力電力推定システム1の動作である。上記の処理により、非測定対象である自然エネルギー発電装置6から出力されると推定される出力電力Pnが算出される。
【0117】
[1-3.効果]
(1)本実施形態によれば、出力電力推定システム1は、自然エネルギーにより発電を行い、出力電力にかかる測定値が送信されない非測定対象である自然エネルギー発電装置6が接続された電力系統90における、出力電力にかかる測定値が送信される測定対象である自然エネルギー発電装置5を検索する検索部31と、検索部31により検索された自然エネルギー発電装置5にかかる、出力電力の定格出力電力に対する比率を、測定値に基づき算出する発電率算出部33と、発電率算出部33により算出された比率に基づき、自然エネルギー発電装置6から出力されると推定される出力電力を算出する推定出力電力算出部34と、を有するので、出力電力が送信されない自然エネルギー発電装置6からの出力電力を推定する出力電力推定システム1を提供することができる。
【0118】
出力電力が送信されない自然エネルギー発電装置6からの出力電力を推定することにより、負荷にて消費される電力を正確に把握することができる。これにより、事故発生時等に、自然エネルギー発電装置が電力系統から解列された場合において、火力、水力、原子力等の発電装置からの必要とされる出力電力を精度よく算出することができる。
【0119】
(2)本実施形態によれば、非測定対象である自然エネルギー発電装置6は、受光した太陽光に基づき直流電力を発電する太陽光発電パネル61、および太陽光発電パネル61により発電された直流電力を、電力系統90に適合する交流電力に変換する変換装置62により構成された、太陽光発電装置であり、測定対象である自然エネルギー発電装置5は、受光した太陽光に基づき直流電力を発電する太陽光発電パネル51、および太陽光発電パネル51により発電された直流電力を、電力系統90に適合する交流電力に変換する変換装置52により構成された、太陽光発電装置であるので、太陽光発電装置である自然エネルギー発電装置6からの出力電力を精度よく推定することができる。
【0120】
[2.第2実施形態]
[2-1.構成および作用]
第2実施形態にかかる出力電力推定システム1について説明する。第2実施形態にかかる出力電力推定システム1の構成は、第1実施形態にかかる出力電力推定システム1の構成と同じである。第2実施形態にかかる出力電力推定システム1は、第1実施形態にかかる出力電力推定システム1に加え、作業者により入力部12が操作され参照発電設備データ44が変更される機能を有する。
【0121】
第2実施形態にかかる出力電力推定システム1は、検索部31により検索された測定対象である自然エネルギー発電装置5に代替する、測定対象である自然エネルギー発電装置5を入力する入力部12を有する。
【0122】
出力電力推定システム1は、第1実施形態に示すとおり、それぞれのかかる出力電力推定システム1の検索部31は、それぞれの非測定対象である自然エネルギー発電装置6に対応する測定対象である自然エネルギー発電装置5を選択する。演算部13は、選択した自然エネルギー発電装置5の発電率に基づき、非測定対象である自然エネルギー発電装置6から出力されると推定される出力電力Pnの算出を行う。
【0123】
演算部13の検索部31は、非測定対象である自然エネルギー発電装置6に近接した測定対象である自然エネルギー発電装置5を選択する。しかしながら、検索部31により選択された自然エネルギー発電装置5が不適切である場合もある。
【0124】
例えば、検索部31により選択された自然エネルギー発電装置5の自然エネルギー発電装置5の太陽光発電パネル51の設置方向が適切でない等の理由により、十分な出力電力が得られない場合、検索部31により選択された自然エネルギー発電装置5は不適切である。例えば、検索部31により選択された自然エネルギー発電装置5の自然エネルギー発電装置5の変換装置52の変換効率が適切でない等の理由により、十分な出力電力が得られない場合、検索部31により選択された自然エネルギー発電装置5は不適切である。
【0125】
作業者により、検索部31により選択された自然エネルギー発電装置5が不適切であると判断された場合、作業者は入力部12から、検索部31により検索された測定対象である自然エネルギー発電装置5に代替する、測定対象である自然エネルギー発電装置5を入力する。これにより、参照発電設備データ44は、適切な自然エネルギー発電装置5に変更される。
【0126】
出力電力推定システム1は、参照発電設備データ44が適切な自然エネルギー発電装置5に変更された後、プログラムのステップS107、S108、S109を実行する。これにより、参照発電設備データ44が変更された後の測定対象である自然エネルギー発電装置5に基づき、非測定対象である自然エネルギー発電装置6から出力されると推定される出力電力Pnが算出される。
【0127】
[2-2.効果]
(1)本実施形態によれば、出力電力推定システム1は、検索部31により検索された測定対象である自然エネルギー発電装置5に代替する自然エネルギー発電装置5を入力する入力部12を有するので、検索部31により検索された自然エネルギー発電装置5が不適切である場合に、適切な自然エネルギー発電装置5が入力され、これに基づき発電率が算出される。これにより非測定対象である自然エネルギー発電装置6から出力されると推定される出力電力を精度よく算出することができる。
【0128】
[3.第3実施形態]
[3-1.構成および作用]
第3実施形態にかかる出力電力推定システム1について説明する。第3実施形態にかかる出力電力推定システム1の構成は、第1実施形態にかかる出力電力推定システム1の構成と同じである。第1実施形態にかかる出力電力推定システム1では、検索部31により単数の自然エネルギー発電装置5を検索するものとしたが、第3実施形態にかかる出力電力推定システム1は、検索部31により複数の自然エネルギー発電装置5を検索する点が相違する。
【0129】
出力電力推定システム1の検索部31は、測定対象である複数の自然エネルギー発電装置5を検索し、検索した複数の第二の自然エネルギー発電装置5のそれぞれと、非測定対象である自然エネルギー発電装置6との距離を算出する。
【0130】
参照発電設備データ44には、検索部31により検索された複数の自然エネルギー発電装置5が記憶される。検索部31により検索される自然エネルギー発電装置5は、2つであってもよいし、2つ以上であってもよい。検索部31により、予め設定された数量の自然エネルギー発電装置5が検索されるようにしてもよいし、非測定対象である自然エネルギー発電装置6が接続された電力系統90における全ての自然エネルギー発電装置5が検索されるようにしてもよい。または、予め定められたエリア内の自然エネルギー発電装置5が検索されるようにしてもよい。
【0131】
以下に、検索部31により、2つの自然エネルギー発電装置5が検索される場合について説明する。検索部31により、検索される自然エネルギー発電装置5の数量は、予め作業者により入力部12を介し、演算部13に設定される。
【0132】
検索される検索部31による動作は、図7に示すプログラムにより実現される。図7に示すプログラムは図4に示す第1実施形態のプログラムのステップS201~S211に加えステップS301を有する。ステップS301は、ステップS204の後に実行される。
【0133】
(ステップS201~ステップS204)
ステップS201において検索部31は、推定される出力電力の算出の対象となる非測定対象である自然エネルギー発電装置6を図5(a)に示すようにリスト化する。
【0134】
ステップS202において検索部31は、非測定対象である自然エネルギー発電装置6の出力電力を推定するときに参照される、参照発電設備となる自然エネルギー発電装置5を図5(b)に示すようにリスト化する。
【0135】
ステップS203において検索部31は、ステップS201にて作成されたリストに基づき非測定対象である自然エネルギー発電装置6を順次選択する。
【0136】
ステップS204において検索部31は、ステップS202にて作成されたリストに基づき測定対象である自然エネルギー発電装置5を順次選択する。
【0137】
(ステップS301:ステップS204で選択した自然エネルギー発電装置5は、ステップS203で選択した参照発電設備である自然エネルギー発電装置5と同じでないかの判断を行う)
次に検索部31は、ステップS301の処理を実行する。ステップS301において検索部31は、ステップS204で選択した測定対象である自然エネルギー発電装置5が、ステップS203で選択した非測定対象である自然エネルギー発電装置6の参照発電設備である自然エネルギー発電装置5と同じでないかの判断を行う。同じでないと判断した場合(ステップS301のYES)、プログラムは、ステップS205に移行する。同じでないと判断しない場合(ステップS301のNO)、プログラムは、ステップS210に移行する。
【0138】
(ステップS205:自然エネルギー発電装置6と自然エネルギー発電装置5の距離を算出する)
ステップS301において、ステップS204で選択した測定対象である自然エネルギー発電装置5は、ステップS203で選択した非測定対象である自然エネルギー発電装置6の参照発電設備である自然エネルギー発電装置5と同じでないと判断した場合、検索部31は、ステップS205において、ステップS203で選択された自然エネルギー発電装置6とステップS204で選択された自然エネルギー発電装置5との距離を算出する。
【0139】
プログラムのステップS203~S211がループにより繰り返され、検索した複数の自然エネルギー発電装置5のそれぞれと、自然エネルギー発電装置6との距離が算出される。
【0140】
(ステップS206~ステップ207)
ステップS206において検索部31は、選択された自然エネルギー発電装置5は、一つ目の自然エネルギー発電装置5であるかの判断を行ない、一つ目の自然エネルギー発電装置5であると判断した場合、プログラムはステップS207に移行し、一つ目の自然エネルギー発電装置5であると判断しない場合、プログラムは、ステップS208に移行する。
【0141】
ステップS207において検索部31は、自然エネルギー発電装置6と自然エネルギー発電装置5の距離をリストに記憶させる。
【0142】
(ステップS208:算出した自然エネルギー発電装置間の距離は、記憶されている参照発電設備データ44における距離より小さいかの判断を行う)
ステップS208において検索部31は、ステップS205で算出した自然エネルギー発電装置6と自然エネルギー発電装置5との距離は、記憶部14に既に図8に示すリストとして記憶されている参照発電設備データ44における距離より小さいかの判断を行う。2つの自然エネルギー発電装置5が、検索部31により検索されように予め作業者により設定されている場合、検索部31は、図8に示すリストに記憶されている2つの自然エネルギー発電装置5に対応する距離より小さいかの判断を行う。
【0143】
算出した自然エネルギー発電装置間の距離は、記憶されている参照発電設備データ44における距離より小さいと判断した場合、プログラムはステップS209に移行し、距離より小さいと判断しない場合、プログラムは、ステップS210に移行する。
【0144】
(ステップS209:参照発電設備データ44のリストにおける自然エネルギー発電装置5および自然エネルギー発電装置間の距離を更新する。)
ステップS208において、算出した自然エネルギー発電装置間の距離は、記憶されている参照発電設備データ44における距離より小さいと判断した場合、出力電力推定システム1の検索部31は、ステップS209を実行する。検索部31は、記憶部14に参照発電設備データ44として記憶された図8に示すリストの参照発電設備をステップS204で選択した自然エネルギー発電装置5に、距離をステップS205で算出した自然エネルギー発電装置6と自然エネルギー発電装置5との距離に更新する。
【0145】
検索部31は、ステップS205において算出された、自然エネルギー発電装置6と自然エネルギー発電装置5との距離の小さい順に、自然エネルギー発電装置5を図8に示すようにリスト化する。2つの自然エネルギー発電装置5が、検索部31により検索されように予め作業者により設定されている場合、自然エネルギー発電装置5は距離の小さい順に、第一候補参照発電設備、第二候補参照発電設備とされる。図8にかかるリストは、参照発電設備データ44として記憶部14に記憶される。
【0146】
上記の処理により参照発電設備データ44として記憶された図8に示すリストにおける参照発電設備は、自然エネルギー発電装置6と自然エネルギー発電装置5との距離が小さい、複数の自然エネルギー発電装置5に逐次更新される。
【0147】
ステップS208において、算出した自然エネルギー発電装置間の距離は、記憶されている参照発電設備データ44における距離より小さいと判断しない場合、記憶部14に参照発電設備データ44として記憶された図8に示すリストは、更新されない。
【0148】
(ステップS210:測定対象である全ての自然エネルギー発電装置5の選択が完了したかの判断を行う)
ステップS206において検索部31は、測定対象である全ての自然エネルギー発電装置5の選択が完了したかの判断を行い、全ての自然エネルギー発電装置5の選択が完了したと判断した場合、プログラムはステップS211に移行し、全ての自然エネルギー発電装置5の選択が完了したと判断しない場合、プログラムはステップS204に移行する。
【0149】
(ステップS211:非測定対象である全ての自然エネルギー発電装置6の選択が完了したかの判断を行う)
出力電力推定システム1の検索部31は、非測定対象である全ての自然エネルギー発電装置6の選択が完了したかの判断を行い、全ての自然エネルギー発電装置6の選択が完了したと判断した場合、プログラムはステップS106に戻りステップS107に移行する。全ての自然エネルギー発電装置6の選択が完了したと判断しない場合、プログラムはステップS203に移行する。
【0150】
上記の処理により、非測定対象である自然エネルギー発電装置6に対し、近距離に位置する測定対象である自然エネルギー発電装置5が複数選択される。
【0151】
その後、出力電力推定システム1の演算部13は、ステップS107により自然エネルギー発電装置5の発電率を、対応する自然エネルギー発電装置6の発電率とし、ステップS108により自然エネルギー発電装置6の推定出力電力を算出する。演算部13は、ステップS109により自然エネルギー発電装置6の推定出力電力を発電出力データ42として記憶部14に記憶させる。
【0152】
演算部13の発電率算出部33は、検索部31により検索された複数の自然エネルギー発電装置5のうち作業者により選択された一つの自然エネルギー発電装置5の、出力電力の定格出力電力に対する比率を発電率としてステップS107により算出し、推定出力電力算出部34は、発電率算出部33により算出された発電率に基づき、非測定対象である自然エネルギー発電装置6から出力されると推定される出力電力を、一つの自然エネルギー発電装置5に基づきステップS108により算出するようにしてもよい。一つの自然エネルギー発電装置5は、作業者により入力部12を介し選択される。
【0153】
または、発電率算出部33は、検索部31により検索された複数の自然エネルギー発電装置5ごとの、出力電力の定格出力電力に対する比率を発電率としてステップS107により算出し、推定出力電力算出部34は、発電率算出部33により算出された発電率に基づき、非測定対象である自然エネルギー発電装置6から出力されると推定される出力電力を、複数の自然エネルギー発電装置5ごとにステップS108により算出するようにしてもよい。
【0154】
上記により、検索部31により、測定対象である複数の自然エネルギー発電装置5が検索され、複数の自然エネルギー発電装置5のそれぞれと、非測定対象である自然エネルギー発電装置6との距離が算出される。複数の自然エネルギー発電装置5は、第一候補参照発電設備、第二候補参照発電設備等の優先順位が付された参照発電設備データ44として記憶部14に、ステップS109により記憶される。
【0155】
検索部31により検索された自然エネルギー発電装置5の発電率に基づき、非測定対象である自然エネルギー発電装置6から出力されると推定される出力電力が算出される。
【0156】
以上が、第3実施形態にかかる出力電力推定システム1の動作である。
【0157】
[3-2.効果]
(1)本実施形態によれば、出力電力推定システム1の検索部31は、測定対象である複数の自然エネルギー発電装置5を検索し、検索した複数の自然エネルギー発電装置5のそれぞれと、非測定対象である自然エネルギー発電装置6との距離を算出するので、自然エネルギー発電装置6から出力されると推定される出力電力の算出に、参照される複数の自然エネルギー発電装置5を選択することができる。複数の自然エネルギー発電装置5から適切な自然エネルギー発電装置5が選択され発電率が算出されることにより、より精度よく非測定対象である自然エネルギー発電装置6から出力されると推定される出力電力を算出することができる。
【0158】
[4.第4実施形態]
[4-1.構成および作用]
第4実施形態にかかる出力電力推定システム1について説明する。第4実施形態にかかる出力電力推定システム1の構成は、第1実施形態にかかる出力電力推定システム1の構成と同じである。第1実施形態にかかる出力電力推定システム1の検索部31は、単に自然エネルギー発電装置5を検索するものとしたが、第4実施形態にかかる出力電力推定システム1の検索部31は、過積載である自然エネルギー発電装置5を、検索部31により検索された自然エネルギー発電装置5のリストから除外する点が相違する。
【0159】
測定対象である自然エネルギー発電装置5は、太陽光発電パネル51、変換装置52により構成されている。自然エネルギー発電装置5は、変換装置52の定格出力電力を超えた電力を出力することはできない。太陽光発電パネル51は、太陽光を受け直流電力を発電し発電された直流電力は、変換装置52に供給される。太陽光発電パネル51の出力電力が、変換装置52の定格出力電力より大きい場合を、過積載と呼ぶ。変換装置52の定格出力電力が自然エネルギー発電装置5の定格出力電力である。
【0160】
太陽光発電パネル51の出力電力が、変換装置52の定格出力電力より大きい過積載である場合、自然エネルギー発電装置5の出力電力は、変換装置52の定格出力電力に抑制される。このため過積載である自然エネルギー発電装置5の出力電力の定格出力電力に対する比率に基づき、精度よく自然エネルギー発電装置6から出力されると推定される出力電力を算出することはできない。
【0161】
精度よく自然エネルギー発電装置6から出力されると推定される出力電力を算出するため、出力電力推定システム1の検索部31は、変換装置52の定格出力電力が太陽光発電パネル51にかかる定格出力電力未満である測定対象である自然エネルギー発電装置5を、検索した自然エネルギー発電装置5から除外する。
【0162】
以下に、出力電力推定システム1の演算部13が、過積載である自然エネルギー発電装置5を、検索部31により検索された自然エネルギー発電装置5のリストから除外する動作について説明する。
【0163】
出力電力推定システム1の演算部13による動作は、図9に示すプログラムにより実現される。図9に示すプログラムは図4に示す第1実施形態のプログラムのステップS202に代替しステップS401を有する。ステップS401は、ステップS201の後に実行される。太陽光発電パネル51の定格出力電力、変換装置52の定格出力電力は、予め作業者により入力部12を介し入力され、記憶部14に図10のようにリスト化され発電設備データ41として記憶される。
【0164】
(ステップS201:非測定対象である自然エネルギー発電装置6をリスト化する)
ステップS201において検索部31は、推定される出力電力の算出の対象となる非測定対象である自然エネルギー発電装置6をリスト化する。
【0165】
(ステップS401:参照発電設備となる自然エネルギー発電装置5をリスト化する)
次に検索部31は、ステップS401の処理を実行する。ステップS401において検索部31は、非測定対象である自然エネルギー発電装置6の出力電力を推定するときに参照される、参照発電設備となる自然エネルギー発電装置5を図10に示すようにリスト化する。
【0166】
図10に示すようにリストには、測定対象である自然エネルギー発電装置5ごとの太陽光発電パネル51の定格出力電力、変換装置52の定格出力電力が含まれる。検索部31は、変換装置52の定格出力電力が太陽光発電パネル51にかかる定格出力電力未満である自然エネルギー発電装置5を、検索部31により検索された自然エネルギー発電装置5から除外する。
【0167】
太陽光発電パネル51にかかる出力電力は直流であり、変換装置52にかかる出力電力は交流であるが、所定の換算値により変換し、太陽光発電パネル51の定格出力電力と変換装置52の定格出力電力とを比較する。
【0168】
例えば、自然エネルギー発電装置5aの太陽光発電パネル51aの定格出力電力は1,400kWであり、変換装置52aの定格出力電力は、1,200kWである。太陽光発電パネル51aの定格出力電力は、変換装置52aの定格出力電力より大きい。このため検索部31は、自然エネルギー発電装置5aを図10に示すリストから除外する。
【0169】
(ステップS203~ステップS204)
ステップS203において検索部31は、ステップS201にて作成されたリストに基づき非測定対象である自然エネルギー発電装置6を順次選択する。ステップS204において検索部31は、ステップS401にて作成されたリストに基づき測定対象である自然エネルギー発電装置5を順次選択する。
【0170】
(ステップS205:自然エネルギー発電装置6と自然エネルギー発電装置5の距離を算出する)
出力電力推定システム1の検索部31は、ステップS203で選択された自然エネルギー発電装置6とステップS204で選択された自然エネルギー発電装置5との距離を算出する。算出された自然エネルギー発電装置6と自然エネルギー発電装置5との距離は、図6に示すようにリスト化される。
【0171】
(ステップS206~ステップ207)
ステップS206において検索部31は、選択された自然エネルギー発電装置5は、一つ目の自然エネルギー発電装置5であるかの判断を行ない、一つ目の自然エネルギー発電装置5であると判断した場合、プログラムはステップS207に移行し、一つ目の自然エネルギー発電装置5であると判断しない場合、プログラムは、ステップS208に移行する。
【0172】
ステップS207において検索部31は、自然エネルギー発電装置6と自然エネルギー発電装置5の距離をリストに記憶させる。
【0173】
(ステップS208~ステップS209)
ステップS208において検索部31は、ステップS205で算出した自然エネルギー発電装置6と自然エネルギー発電装置5との距離は、記憶部14に既に図6に示すリストとして記憶されている参照発電設備データ44における距離より小さいかの判断を行う。
【0174】
算出した自然エネルギー発電装置間の距離は、記憶されている参照発電設備データ44における距離より小さいと判断した場合、プログラムはステップS209に移行する。ステップS209において検索部31は、記憶部14に記憶された参照発電設備データ44の参照発電設備である自然エネルギー発電装置5、および距離を更新する。
【0175】
ステップS209において検索部31は、第3実施形態に示すように予め設定された数量の自然エネルギー発電装置5の検索を行うようにしてもよい。
【0176】
ステップS208において、算出した自然エネルギー発電装置間の距離は、記憶されている参照発電設備データ44における距離より小さいと判断しない場合、記憶部14に記憶された参照発電設備データ44は更新されず、プログラムはステップS210に移行する。
【0177】
(ステップS210~ステップS211)
ステップS210において検索部31は、測定対象である全ての自然エネルギー発電装置5の選択が完了したかの判断を行い、全ての自然エネルギー発電装置5の選択が完了したと判断した場合、プログラムはステップS211に移行し、全ての自然エネルギー発電装置5の選択が完了したと判断しない場合、プログラムはステップS204に移行する。
【0178】
ステップS211において検索部31は、非測定対象である全ての自然エネルギー発電装置6の選択が完了したかの判断を行い、全ての自然エネルギー発電装置6の選択が完了したと判断した場合、プログラムはステップS106に戻りステップS107に移行する。全ての自然エネルギー発電装置6の選択が完了したと判断しない場合、プログラムはステップS203に移行する。
【0179】
上記の処理により、過積載である自然エネルギー発電装置5を除外し、非測定対象である自然エネルギー発電装置6に対し近距離に位置する測定対象である自然エネルギー発電装置5が選択される。
【0180】
上記において、検索部31は、プログラムのステップS401により過積載である自然エネルギー発電装置5を除外するものとしたが、ステップS205により過積載である自然エネルギー発電装置5を除外して自然エネルギー発電装置6と自然エネルギー発電装置5の距離を算出するようにしてもよい。
【0181】
その後、演算部13の発電率算出部33は、検索部31により検索された自然エネルギー発電装置5の、出力電力の定格出力電力に対する比率を発電率としてステップS107により算出する。演算部13の推定出力電力算出部34は、算出された発電率に基づき、非測定対象である自然エネルギー発電装置6から出力されると推定される出力電力を、ステップS108により算出する。
【0182】
出力電力推定システム1の演算部13は、ステップS108で算出された自然エネルギー発電装置6から出力されると推定される出力電力Pnを発電出力データ42として記憶部14に、ステップS109により記憶させる。
【0183】
上記により、検索部31により、過積載である自然エネルギー発電装置5を除外した測定対象である自然エネルギー発電装置5が検索される。検索された自然エネルギー発電装置5の発電率に基づき、非測定対象である自然エネルギー発電装置6から出力されると推定される出力電力が算出される。
【0184】
以上が、第4実施形態にかかる出力電力推定システム1の動作である。
【0185】
[4-2.効果]
(1)本実施形態によれば、出力電力推定システム1の検索部31は、変換装置52の定格出力電力が太陽光発電パネル51にかかる定格出力電力未満である測定対象である自然エネルギー発電装置5を、検索部31により検索された自然エネルギー発電装置5から除外するので、発電率を算出するにあたり不適切な自然エネルギー発電装置5が除外される。これにより、適切な自然エネルギー発電装置5が選択され、これに基づき発電率が算出されるので、より精度よく非測定対象である自然エネルギー発電装置6から出力されると推定される出力電力を算出することができる。
【0186】
[5.第5実施形態]
[5-1.構成および作用]
第5実施形態にかかる出力電力推定システム1について説明する。第5実施形態にかかる出力電力推定システム1の構成は、第1実施形態にかかる出力電力推定システム1の構成と同じである。第1実施形態にかかる出力電力推定システム1の発電率算出部33は、自然エネルギー発電装置5の出力電力の定格出力電力に対する比率を発電率として算出するものとしたが、第5実施形態にかかる出力電力推定システム1の発電率算出部33は、自然エネルギー発電装置5の太陽光発電パネル51の定格出力電力に対する出力電力の比率を発電率として、この発電率に基づき自然エネルギー発電装置6から出力されると推定される出力電力を算出する点が相違する。
【0187】
測定対象である自然エネルギー発電装置5は、太陽光発電パネル51、変換装置52により構成されている。非測定対象である自然エネルギー発電装置6は、太陽光発電パネル61、変換装置62により構成されている。
【0188】
自然エネルギー発電装置6の太陽光発電パネル61は、自然エネルギー発電装置5の太陽光発電パネル51と同一の発電率にて発電しているものと類推する。太陽光発電パネル51、61にかかる出力電力は直流であり、変換装置52、62にかかる出力電力は交流である。所定の換算値により変換装置52の出力電力に基づき太陽光発電パネル51の出力電力を算出し、太陽光発電パネル61の出力電力に基づき変換装置62の出力電力を算出する。
【0189】
第5実施形態にかかる出力電力推定システム1の推定出力電力算出部34は、発電率算出部33により算出された、太陽光発電パネル51の定格出力電力に対する比率である発電率に基づき、自然エネルギー発電装置6の太陽光発電パネル61から出力されると推定される出力電力を算出する。
【0190】
自然エネルギー発電装置6は、変換装置62の定格出力電力を超えた電力を出力することはできない。第5実施形態にかかる出力電力推定システム1の推定出力電力算出部34は、自然エネルギー発電装置6の太陽光発電パネル61から出力されると推定される出力電力が、変換装置62の定格出力電力を超える場合、自然エネルギー発電装置6の出力電力を、変換装置62の定格出力電力とする。
【0191】
第5実施形態にかかる出力電力推定システム1の演算部13による動作は、図11に示すプログラムにより実現される。図11に示すプログラムは、図3に示す第1実施形態のプログラムのステップS104に代替しステップS501を、ステップS108に代替しステップS502を有する。ステップS501は、ステップS103の後に実行される。ステップS502は、ステップS107の後に実行される。
【0192】
太陽光発電パネル51の定格出力電力、変換装置52の定格出力電力、太陽光発電パネル61の定格出力電力、変換装置62の定格出力電力は、予め作業者により入力部12を介し入力され、記憶部14に図12のようにリスト化され発電設備データ41として記憶される。変換装置52の定格出力電力、変換装置62の定格出力電力が、それぞれ自然エネルギー発電装置5の定格出力電力、自然エネルギー発電装置6の定格出力電力となる。
【0193】
(ステップS101:発電設備データ41を記憶部14に記憶させる)
出力電力推定システム1の演算部13は、入力部12から入力された自然エネルギー発電装置5および自然エネルギー発電装置6の情報を、発電設備データ41として記憶部14に記憶させる。
【0194】
発電設備データ41は、自然エネルギー発電装置5、自然エネルギー発電装置6にかかる定格出力データ、太陽光発電パネル51、太陽光発電パネル61の位置座標データを含む。発電設備データ41の自然エネルギー発電装置5にかかる定格出力データは、太陽光発電パネル51の定格出力データ、変換装置52の定格出力データを含む。発電設備データ41の自然エネルギー発電装置6にかかる定格出力データは、太陽光発電パネル61の定格出力データ、変換装置62の定格出力データを含む。
【0195】
(ステップS102:自然エネルギー発電装置5の出力電力を算出する)
出力電力推定システム1の演算部13は、測定対象である自然エネルギー発電装置5の出力電力を算出する。ステップS102にかかる動作は、演算部13の出力電力算出部32により実行される。出力電力算出部32は、自然エネルギー発電装置5の出力電力を、データ収集部11から受信した出力電力情報40に基づき算出する。
【0196】
(ステップS103:発電出力データ42を記憶部14に記憶させる)
出力電力推定システム1の演算部13は、算出した自然エネルギー発電装置5の出力電力を、記憶部14に発電出力データ42として記憶させる。
【0197】
(ステップS501:自然エネルギー発電装置5の発電率を算出する)
次に出力電力推定システム1の演算部13は、ステップS501の処理を実行する。演算部13は、測定対象である自然エネルギー発電装置5の発電率を算出する。ステップS501にかかる動作は、演算部13の発電率算出部33により実行される。本実施形態では、発電率算出部33は、太陽光発電パネル51の発電率を、自然エネルギー発電装置5の発電率として算出する。
【0198】
太陽光発電パネル51の発電電力は、変換装置52からの出力電力が所定の換算値により換算されることにより算出される。換算値は、太陽光発電パネル51から出力される直流電力が変換装置52において交流電力に変換されるときの変換損失も含めた数値である。発電率算出部33は、記憶部14に記憶された発電出力データ42の自然エネルギー発電装置5の出力電力に基づき、換算値により換算し太陽光発電パネル51からの出力電力を算出する。発電率算出部33は、太陽光発電パネル51の定格出力電力に対する太陽光発電パネル51からの出力電力の比率を発電率αとして算出する。
【0199】
発電率αは、自然エネルギー発電装置5a、5b、5cごとにそれぞれαa、αb、αcとして算出される。
【0200】
(ステップS105:発電率データ43を記憶部14に記憶させる)
出力電力推定システム1の演算部13は、算出した自然エネルギー発電装置5の発電率αを、記憶部14に発電率データ43として記憶させる。
【0201】
(ステップS106:電力系統90における測定対象である自然エネルギー発電装置5を検索する)
出力電力推定システム1の演算部13は、電力系統90における測定対象である自然エネルギー発電装置5の検索を行う。ステップS106にかかる動作は、演算部13の検索部31により実行される。ステップS106にかかる動作は、第1実施形態と同様である。ステップS106にかかる動作は、第3実施形態、または第4実施形態と同様であってもよい。
【0202】
検索部31は、検索した自然エネルギー発電装置5から発電率を参照する自然エネルギー発電装置5を選択し、参照発電設備とする。選択された自然エネルギー発電装置5は、参照発電設備データ44として記憶部14に記憶される。
【0203】
(ステップS107:自然エネルギー発電装置5の発電率を、対応する自然エネルギー発電装置6の発電率とする)
出力電力推定システム1の演算部13は、選択された測定対象である自然エネルギー発電装置5の発電率を、対応する非測定対象である自然エネルギー発電装置6ごとの発電率として、図12に示すように発電率データ43として記憶部14に記憶させる。
【0204】
(ステップS502:自然エネルギー発電装置6の推定出力電力を算出する)
次に出力電力推定システム1の演算部13は、ステップS502の処理を実行する。演算部13は、それぞれの自然エネルギー発電装置6の推定される出力電力の算出を行う。ステップS108にかかる動作は、演算部13の推定出力電力算出部34により実行される。
【0205】
推定出力電力算出部34は、自然エネルギー発電装置6から出力されると推定される出力電力を、記憶部14に記憶された発電設備データ41に含まれた定格出力データ、記憶部14にリストとして記憶された発電率データ43に基づき算出する。発電設備データ41には、太陽光発電パネル61の定格出力データ、変換装置62の定格出力データが含まれる。発電率データ43には、太陽光発電パネル51の発電率αが含まれる。
【0206】
推定出力電力算出部34は、太陽光発電パネル51の発電率αにて太陽光発電パネル61が発電を行うものとして太陽光発電パネル61からの出力電力を算出する。推定出力電力算出部34は、太陽光発電パネル61の定格出力電力に発電率αを乗算し太陽光発電パネル61の出力電力を算出する。変換装置62からの出力電力は、太陽光発電パネル61の発電電力が所定の換算値により換算されることにより算出される。
【0207】
換算値は、太陽光発電パネル61から出力される直流電力が変換装置62において交流電力に変換されるときの変換損失も含めた数値である。推定出力電力算出部34は、太陽光発電パネル61の出力電力を、換算値により換算し変換装置62の出力電力を算出する。推定出力電力算出部34は、算出した変換装置62の出力電力を自然エネルギー発電装置6の出力電力Pnとする。
【0208】
自然エネルギー発電装置6は、変換装置62の定格出力電力を超えた電力を出力することはできない。推定出力電力算出部34は、自然エネルギー発電装置6の太陽光発電パネル61から出力されると推定される出力電力が、変換装置62の定格出力電力を超える場合、自然エネルギー発電装置6の出力電力を、変換装置62の定格出力電力とする。
【0209】
この場合、推定出力電力算出部34は、変換装置62の定格出力電力を自然エネルギー発電装置6の出力電力Pnとする。例えば図12の自然エネルギー発電装置6cにおいて、太陽光発電パネル61cの推定出力電力は1,000kWであるが、変換装置62の定格出力電力の600kWに制限される。
【0210】
(ステップS109:自然エネルギー発電装置6の推定出力電力を記憶させる)
出力電力推定システム1の演算部13は、ステップS502で算出された自然エネルギー発電装置6から出力されると推定される出力電力Pnを図12に示す発電出力データ42として記憶部14に記憶させる。出力電力Pnは、自然エネルギー発電装置6a、6b、6c、6d、6eごとに記憶される。
【0211】
以上が、第5実施形態にかかる出力電力推定システム1の動作である。上記の処理により、非測定対象である自然エネルギー発電装置6から出力されると推定される出力電力Pnが算出される。
【0212】
以上が、第5実施形態にかかる出力電力推定システム1の動作である。
【0213】
[5-2.効果]
(1)本実施形態によれば、出力電力推定システム1の発電率算出部33は、比率として、測定対象である自然エネルギー発電装置5の太陽光発電パネル51の出力電力の、太陽光発電パネル51の定格出力電力に対する比率を算出し、推定出力電力算出部34は、発電率算出部33により算出された比率に基づき、非測定対象である自然エネルギー発電装置6の太陽光発電パネル61から出力されると推定される出力電力を算出し、自然エネルギー発電装置6から出力されると推定される出力電力を算出するので、より精度よく非測定対象である自然エネルギー発電装置6から出力されると推定される出力電力を算出することができる。
【0214】
(2)本実施形態によれば、出力電力推定システム1の推定出力電力算出部34は、非測定対象である自然エネルギー発電装置6の太陽光発電パネル61から出力されると推定される出力電力が、変換装置62の定格出力電力を超える場合、非測定対象である自然エネルギー発電装置6の出力電力を、変換装置62の定格出力電力とするので、自然エネルギー発電装置6の太陽光発電パネル61から出力されると推定される出力電力が、変換装置62の定格出力電力を超える場合であっても、精度よく自然エネルギー発電装置6から出力されると推定される出力電力を算出することができる。
【0215】
[6.他の実施形態]
変形例を含めた実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであって、発明の範囲を限定することを意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略や置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。以下は、その一例である。
【0216】
(1)上記実施形態における各部は、出力電力推定システム用コンピュータプログラムにかかるステップ、または出力電力推定方法にかかる手順により実現されるものであってもよい。検索部31により実行されるステップが検索ステップ、実行される手順が検索手順により実現されるものであってもよい。ステップS106、ステップS201~S211、ステップS301、ステップS401が検索ステップ、検索手順に相当する。発電率算出部33により実行されるステップが発電率算出ステップ、実行される手順が発電率算出手順により実現されるものであってもよい。ステップS104、ステップS501が発電率算出ステップ、発電率算出手順に相当する。推定出力電力算出部34により実行されるステップが推定出力電力算出ステップ、実行される手順が推定出力電力算出手順により実現されるものであってもよい。ステップS108、ステップS502が推定出力電力算出ステップ、推定出力電力算出手順に相当する。
【0217】
(2)上記実施形態では、自然エネルギー発電装置5、6は、太陽光発電装置であるものとしたが、自然エネルギー発電装置5、6は、これに限られない。自然エネルギー発電装置5、6は、例えば、風力発電装置であってもよいし、また、他の自然エネルギー発電装置であってもよい。
【0218】
(3)自然エネルギー発電装置5、6の数量は、上記実施形態に限られず、任意の数量であってよい。
【符号の説明】
【0219】
1・・・出力電力推定システム
11・・・データ収集部
12・・・入力部
13・・・演算部
14・・・記憶部
31・・・検索部
32・・・出力電力算出部
33・・・発電率算出部
34・・・推定出力電力算出部
41・・・発電設備データ
42・・・発電出力データ
43・・・発電率データ
44・・・参照発電設備データ
5,5a,5b,5c,6,6a,6b,6c,6d,6e・・・自然エネルギー発電装置
51a,51b,51c,61,61a,61b,61c,61d,61e・・・太陽光発電パネル
52a,52b,52c,63,62a,62b,62c,62d,62e・・・変換装置
53a,53b,53c・・・測定装置
7・・・通信回線
8,8a,8b・・・電力供給設備
9・・・配電システム
90・・・電力系統
91a,91b・・・配電線
92・・・開閉器
93a,93b・・・遮断器
94・・・負荷

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図2
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図12