(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024111423
(43)【公開日】2024-08-19
(54)【発明の名称】ロール紙印刷装置
(51)【国際特許分類】
B41J 15/04 20060101AFI20240809BHJP
【FI】
B41J15/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023015927
(22)【出願日】2023-02-06
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】村田 彰一
【テーマコード(参考)】
2C060
【Fターム(参考)】
2C060BA03
2C060BB13
2C060BB14
2C060BC02
2C060BC12
2C060BC84
(57)【要約】
【課題】紙が落下するおそれがある。
【解決手段】ロール紙印刷装置は、ケースを開閉するカバーと、ケースに収納されたロール紙から紙を引き出して、搬送方向へ搬送するローラーと、ローラーに対向する位置において、紙に印刷するヘッドと、ヘッドに対して搬送方向の下流の位置において、紙をカットするカッターと、カバーに搭載された紙ガイドと、を備え、カバーが閉じたとき、カバー及びケースの間には、紙を排出する紙排出口が形成され、紙ガイドは、紙の第1面をガイドする第1ガイドと、紙の第2面をガイドする第2ガイドと、紙排出口から排出された紙を入れる第1開口と、第1開口に連通し、紙を出す第2開口と、第2開口に対して搬送方向の下流の位置において、第1ガイド上に構成され、紙の第1面に接触可能な突起と、を有する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースを開閉するカバーと、
前記ケースに収納されたロール紙から紙を引き出して、搬送方向へ搬送するローラーと、
前記ローラーに対向する位置において、前記紙に印刷するヘッドと、
前記ヘッドに対して前記搬送方向の下流の位置において、前記紙をカットするカッターと、
前記カバーに搭載された紙ガイドと、を備え、
前記カバーが閉じたとき、前記カバー及び前記ケースの間には、前記紙を排出する紙排出口が形成され、
前記紙ガイドは、
前記紙の第1面をガイドする第1ガイドと、
前記紙の第2面をガイドする第2ガイドと、
前記紙排出口から排出された前記紙を入れる第1開口と、
前記第1開口に連通し、前記紙を出す第2開口と、
前記第2開口に対して前記搬送方向の下流の位置において、前記第1ガイド上に構成され、前記紙の前記第1面に接触可能な突起と、を有する、ロール紙印刷装置。
【請求項2】
前記第2ガイドは、前記第2開口を形成する端部を有し、
前記突起は、先端、及び、斜面を有し、
前記紙は、前記ローラーにより前記搬送方向に搬送されるとき、前記端部に接触し、前記斜面に乗り上がり、前記先端に接触して湾曲する、請求項1に記載のロール紙印刷装置。
【請求項3】
前記カッターによりカットされた前記紙は、少なくとも、前記第2ガイドの前記端部、及び、前記突起の前記先端により支持される、請求項2に記載のロール紙印刷装置。
【請求項4】
前記ヘッド、及び、前記ローラーは、ニップ位置にて前記紙を挟み、
前記ニップ位置に対して、前記第2ガイドの前記端部は、第1距離低い位置にあり、前記突起の前記先端は、第2距離低い位置にあり、前記第1距離は前記第2距離より小さい、請求項2に記載のロール紙印刷装置。
【請求項5】
前記紙ガイドは、
前記第1開口に連通し、前記第2開口とは異なる方向へ前記紙を出すことが可能な第3開口を有する請求項1に記載のロール紙印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロール紙印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に示すように、ロール紙を用いて印刷するプリンターであって、用紙を切断する切断刃、及び、用紙排出口に設置されている用紙排出ガイドを備えるプリンターが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のプリンターは、用紙排出ガイドから用紙が落下するおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
ロール紙印刷装置は、ケースを開閉するカバーと、前記ケースに収納されたロール紙から紙を引き出して、搬送方向へ搬送するローラーと、前記ローラーに対向する位置において、前記紙に印刷するヘッドと、前記ヘッドに対して前記搬送方向の下流の位置において、前記紙をカットするカッターと、前記カバーに搭載された紙ガイドと、を備え、前記カバーが閉じたとき、前記カバー及び前記ケースの間には、前記紙を排出する紙排出口が形成され、前記紙ガイドは、前記紙の第1面をガイドする第1ガイドと、前記紙の第2面をガイドする第2ガイドと、前記紙排出口から排出された前記紙を入れる第1開口と、前記第1開口に連通し、前記紙を出す第2開口と、前記第2開口に対して前記搬送方向の下流の位置において、前記第1ガイド上に構成され、前記紙の前記第1面に接触可能な突起と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図2】カバーが開いたときのロール紙印刷装置の構成を示す断面図。
【
図3】カバーが閉じたときのロール紙印刷装置の構成を示す断面図。
【
図4】紙ガイドにより紙片を支持するときのロール紙印刷装置の構成を示す断面図。
【
図5】
図4において、紙ガイドを中心とした構成を示す断面図。
【
図6】
図4において、紙の湾曲を示す、紙ガイドを中心とした正面図。
【
図7】紙が押えられたとき、紙ガイドから紙を逃がすロール紙印刷装置の構成を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
1.実施形態
1-1.ロール紙印刷装置の構成
以下、実施形態に係るロール紙印刷装置の構成について、
図1~
図7を参照しながら説明していく。なお、図中における方向を、三次元座標系を用いて説明する。説明の便宜上、Z軸の正方向を上方向、上方、又は単に上と称し、負方向を下方向、下方、又は単に下と称し、X軸の正方向を右方向、右方、又は単に右と称し、負方向を左方向、左方、又は単に左と称し、Y軸の正方向を前方向、前方、又は単に前と称し、負方向を後方向、後方、又は単に後と称して説明する。
【0008】
図1に示すロール紙印刷装置1は、例えば、POS(Point Of Sale)システムの印刷などに使用される。なお、以下では、ロール紙印刷装置1を単に印刷装置1と称する。
印刷装置1は、後述のロール紙Rを収納可能なケース3と、ケース3を開閉可能なカバー2とを含んで構成される。カバー2は、ロック機構7によりケース3にロック可能である。
【0009】
カバー2には、後述の紙P1をガイドする紙ガイド10が搭載される。紙ガイド10は、紙P1を後方から入れる後述の第1開口11、紙P1を前方へ出す第2開口12、第2開口12から紙P1が出ることができなくなった場合に上方へ出すことが可能な第3開口13を有する。
さらに、紙ガイド10は、紙P1を上方及び下方からそれぞれガイド可能な後述の第2ガイド16及び第1ガイド15、紙P1を左右からガイド可能な側板19、第1ガイド15上の前方であって左右方向の中央に構成された突起14、紙ガイド10をカバー2に取り付ける取付板18を備える。
なお、取付板18は、カバー2と共に樹脂などで一体成型されてもよく、両面テープや接着剤などによりカバー2に固定されてもよい。また、取付板18は、ネジなどでカバー2に着脱可能に取り付けられてもよい。
【0010】
図2に示すように、カバー2は、ケース3のヒンジ2aを中心に回転可能である。ユーザーは、カバー2を開いて、ロール紙Rをケース3に収納することができる。
カバー2には、紙ガイド10の他、ローラー30、後述のカッター40を構成する第1刃41、第1ロール紙ガイド4が搭載される。
一方、ケース3には、ヘッド20、カッター40を構成する第2刃42、第2ロール紙ガイド5が搭載される。
【0011】
図3に示すように、カバー2が閉じると、ローラー30及びヘッド20、カッター40の第1刃41及び第2刃42が、それぞれ対向する位置となる。カッター40は、ローラー30及びヘッド20に対して、後述の搬送方向Fの下流に位置する。
また、カバー2が閉じると、カバー2とケース3との間に紙排出口6が形成される。ロール紙Rは、カバー2の第1ロール紙ガイド4、ケース3の第2ロール紙ガイド5により回転可能に支持される。
【0012】
ローラー30は、ゴムなどの可撓性のある樹脂などの材料で円柱形状に形成される。ローラー30は、紙P1を介してヘッド20に対向する位置にあり、プラテン(platen)ともいう。
ローラー30及びヘッド20は、ニップ(nip)位置30aにて紙P1を挟む。ローラー30は、摩擦により搬送する方式である、フリクションフィード(friction feed)方式により紙P1を搬送する。ローラー30は時計回りに回転し、ロール紙Rから紙P1を引き出し、搬送方向Fへ搬送する。このとき、ロール紙Rも時計回りに回転する。
【0013】
ヘッド20は、例えばラインサーマルヘッドである。ヘッド20は、ローラー30に向かって押圧する押圧機構(図示省略)を有する。紙P1は、ニップ位置30aにおいて、押圧機構により所定の圧力で、ローラー30及びヘッド20に挟まれる。
紙P1は、例えば長尺状の感熱紙である。紙P1の第1面P1aは、ローラー30により搬送される搬送面である。紙P1の第2面P1bは、発色剤が塗布された印刷面である。
紙P1は、第1面P1aがローラー30に接触して搬送されながら、第2面P1bがヘッド20に接触して、ヘッド20の発熱により発色されて印刷が行われる。なお、ロール紙Rは、外側が印刷面となるように、紙P1が巻かれる。
【0014】
ローラー30により搬送方向Fへ搬送され、紙排出口6から排出された紙P1は、紙ガイド10の入口である、第1開口11へ入っていく。第1開口11へ入った紙P1は、第1面P1aが第1ガイド15により下方からガイドされ、第2面P1bが第2ガイド16により上方からガイドされる。
紙ガイド10の第1開口11は、下方が第1ガイド15により規定される。第1開口11の前上方は、第3開口13に連通する。第3開口13は、第3ガイド17により前方が規定され、ケース3により後方が規定される。
【0015】
第1開口11の搬送方向Fである前方向には、紙P1の紙ガイド10の出口である第2開口12が連通する。紙P1は、ローラー30により搬送方向Fへ搬送され、紙ガイド10の第1開口11から入って第2開口12から出る。
第2開口12の上下方向は、それぞれ、第2ガイド16の端部16a、及び、第1ガイド15により規定される。第1開口11及び第2開口12の左右方向は側板19により規定される。
第1ガイド15は前後左右方向に平坦な面として構成される。第2ガイド16は、前方向へ向かって下方へ傾斜する斜面として構成される。このため、第1ガイド15及び第2ガイド16は、第1開口11から第2開口12へ向かって、スムーズに紙P1をガイドすることができる。紙P1が通過する紙ガイド10内の空間は、第1開口11から第2開口12へ向かって、徐々に上方が狭くなっていく。
なお、第1ガイド15は、紙排出口6を形成するカバー2の縁の位置に対して、前下方の位置にある。第1ガイド15は、紙排出口6から排出された紙P1を、スムーズに載置することができる。
【0016】
第2開口12に対して搬送方向Fの下流である前方の位置には、第1ガイド15上に突起14が構成される。突起14は、紙P1に接触可能であり、先端14a、斜面14bを有する。
ニップ位置30aの高さを基準として、下方の第1距離L1に第2ガイド16の端部16aが位置し、下方の第2距離L2に突起14の先端14aが位置する。第1距離L1は第2距離L2より小さく、L1<L2、の関係となる。
すなわち、ニップ位置30aの高さに対して、第2ガイド16の端部16aは、第1距離L1だけ低い位置にあり、突起14の先端14aは、第2距離L2だけ低い位置にある。そして、突起14の先端14aは、第2ガイド16の端部16aより低い位置にある。
【0017】
図4に示すように、紙P1は、ローラー30により搬送方向Fへ搬送されながら、紙排出口6から排出される。さらに、紙P1は、紙ガイド10にガイドされながら搬送方向Fへ搬送され、前方の端から紙ガイド10の外へ出されていく。なお、後述のように、紙片P2は、この後、カッター40によりカットされた紙P1である。
突起14の斜面14bは前上方に傾斜している。紙ガイド10の第2開口12から出される紙P1は、第2面P1bが第2ガイド16の端部16aに接触した後、第1面P1aが突起14の斜面14bに沿って前上方へ向かい、先端14aに接触する。
突起14の先端14aが第2ガイド16の端部16aより低い位置にあるので、紙P1の前方の端が突起14に引っ掛かることなく、斜面14bに沿ってスムーズに進むことができる。
【0018】
ローラー30により所定距離、搬送された紙P1は、カッター40によりカットされる。カッター40は、第1刃41が第2刃42へ向かって移動しながら交差し、第1刃41及び第2刃42の間にある紙P1をカットする。
図4及び
図5に、カットされた紙P1を紙片P2として示す。
カッター40は、切残りがないように紙P1を全幅に亘ってカットする、いわゆるフルカットを行うことができる。フルカットされた紙P1である紙片P2はロール紙Rから切り離されるため、ユーザーが紙ガイド10から容易に取り出すことができる。
【0019】
図4及び
図5に示すように、紙P1と同様に、紙片P2も紙片第1面P2aが搬送面となり、紙片第2面P2bが印刷面となる。そして、紙片P2も、少なくとも、紙片第2面P2bが第2ガイド16の端部16aに接触し、紙片第1面P2aが突起14の先端14aに接触する。
すなわち、紙片P2は、紙ガイド10において、少なくとも、第2ガイド16の端部16a、及び、突起14の先端14aにより支持される。
さらに、後述の紙P1のカール(curl、巻き癖)が強くなるに従って、紙片P2の後方の端が第1ガイド15に接触するようになる。このとき、紙片P2は、第1ガイド15にも支持されることとなる。また、次の紙P1がローラー30により搬送方向Fへ搬送された場合、紙排出口6の紙片P2の後方の端が、次の紙P1により押され、第1ガイド15に支持される位置となる場合もある。
カット直後であって、カールが弱い場合には、紙片P2の後方の端が紙排出口6に載置されて支持される場合もある。
【0020】
ところで、紙P1は、ロール紙Rにロール状に巻かれているため、カールが付いている。紙P1は、ロール紙Rの中心の近くに巻かれているほど、カールが強くなる。また、紙P1の厚さが厚いほど、カールが強くなる。
図4及び
図5に示すように、カットされた紙P1である紙片P2も、カールが下方に付いているため、下方に丸まろうとする。すなわち、紙片P2は、カールにより、前方及び後方の端が下方へ向かおうとし、前後方向の中央が上方へ向かおうとする。このように、紙片P2は、カールにより、下方に湾曲した板バネのような弾性力を有する。
【0021】
第2ガイド16の端部16aは、紙片P2の紙片第2面P2bに対し、上方から接触する。紙片P2が端部16aに接触する部分は、カールにより、上方へ向かおうとする部分でもある。
一方、突起14の先端14aは、端部16aに対する前方の位置において、紙片P2の紙片第1面P2aに下方から接触する。さらに、第1ガイド15は、端部16aに対する後方の位置において、紙片P2の紙片第1面P2aに下方から接触することが可能である。紙片P2が突起14の先端14a及び第1ガイド15に接触する部分は、カールにより、下方へ向かおうとする部分でもある。
【0022】
すなわち、第2ガイド16の端部16aは、上方へ向かおうとするカールの弾性力に抗って紙片P2を下方へ押すことができる。また、突起14の先端14a及び第1ガイド15は、下方へ向かおうとするカールの弾性力に抗って紙片P2を上方へ押すことができる。
紙片P2のカールの弾性力に基づき、第2ガイド16の端部16a、突起14の先端14a、第1ガイド15は、それぞれ紙片P2と接触する部分に、より大きな摩擦力を発生させることができる。これらの摩擦力は、紙片P2のカールが強くなるほど、大きくなる。
【0023】
この結果、少なくとも、第2ガイド16の端部16a、突起14の先端14aは、紙片P2との間に発生させる摩擦力により、紙片P2が紙ガイド10から落下することを、抑制することができる。
これらに加えて、第1ガイド15も、紙片P2に接触した場合には、紙片P2との間に発生させる摩擦力により、紙片P2が紙ガイド10から落下することを、さらに抑制することができる。
【0024】
換言すると、第2ガイド16の端部16a、突起14の先端14a、第1ガイド15は、紙片P2のカールに抗って紙片P2を屈曲させるように配置されている。すなわち、これらは、紙片P2のカールを矯正するように作用することができる。
この結果、第2ガイド16の端部16a、突起14の先端14a、第1ガイド15は、紙片P2のカールの弾性力をより強く受けることができ、紙片P2に、より強く接触することができる。そして、これらと紙片P2との間に、より大きな摩擦力を発生することができ、紙片P2が紙ガイド10から落下することを抑制することができる。
【0025】
上述のように、少なくとも、第2ガイド16の端部16a、突起14の先端14aは紙片P2を支持し、さらに第1ガイド15も紙片P2を支持可能である。
そして、紙片P2のカールに基づき、少なくとも、第2ガイド16の端部16a、突起14の先端14aは、紙片P2との間で、より大きな摩擦力を発生することができ、さらに第1ガイド15も紙片P2との間で、より大きな摩擦力を発生することができる。
この結果、紙ガイド10は、紙片P2の前方の端が、突起14の先端14aを乗り越えて下方へ垂れるようになった場合であっても、紙片P2の落下を抑制することができる。
ユーザーは、紙ガイド10から落下して散乱した紙片P2を拾わずに済み、紙ガイド10に載置された紙片P2を容易に取り出すことができる。
【0026】
ところで、
図4及び
図5に示すように、紙片P2のカールにより、第2ガイド16の端部16aの位置に対して後方にある紙片P2は、下方へ向かっている。すなわち、紙片P2が残っている紙ガイド10内は、第2開口12から第1開口11に近付くほど、紙片P2の上方に広い空間が生じることとなる。
次の紙P1が、ローラー30によりロール紙Rから引き出され、搬送方向Fへ搬送されるとする。紙排出口6から排出された次の紙P1は、紙ガイド10の第1開口11へ入っていく。このとき、第1開口11に近い紙ガイド10内の空間は、紙片P2の上方に広い空間が生じている。このため、次の紙P1は、紙ガイド10内に残っている紙片P2に邪魔されず、スムーズに第1開口11を通過することができる。
【0027】
さらに、次の紙P1は、スムーズに、第1ガイド15及び第2ガイド16にガイドされて搬送され、第2開口12から出ることができる。
このとき、紙片P2がカールにより後方の端が下方へ向かっているため、搬送される次の紙P1は、スムーズに紙片P2に乗り上げることができる。そして、次の紙P1は、上方にある第2ガイド16の端部16a、及び、下方にある紙片P2に接触しながらスムーズに搬送されることができる。
このように、仮にユーザーが紙ガイド10に載置された紙片P2を取り出さない場合であっても、紙ガイド10は、紙詰まりなどを発生させず、次の紙P1をスムーズに搬送させることができる。
【0028】
上述のように、紙ガイド10の第2開口12から出される紙P1は、第2面P1bが第2ガイド16の端部16aに接触した後、第1面P1aが突起14の斜面14bに沿って前上方へ向かい、先端14aに接触する。そして、カッター40により紙P1がカットされて紙片P2となる。
図6に、突起14の先端14aの位置における紙片P2の断面を示す。紙片P2は、幅方向である左右方向の中央付近において、突起14の先端14aに接触し上方へ上がる。一方、紙片P2の中央付近以外は突起14に接触しないので、左右方向である両端へ向かって下方へ下がっていく。紙片P2は、左右方向へ湾曲した形状となる。
【0029】
紙P1は、ローラー30により搬送方向Fへ搬送されるとき、第2ガイド16の端部16aに接触し、突起14の斜面14bに乗り上がり、先端14aに接触して湾曲する。その後、カッター40により紙P1がカットされ、紙片P2として
図6に示される。
このように、紙片P2は、突起14に接触する位置を中心に、左右方向へ湾曲する。紙片P2は、湾曲することにより、いわゆる紙の腰と称される、紙の剛性が高くなる。
紙片P2は、剛性が高くなることにより、突起14の先端14aを乗り越えるとき、下方へ垂れ難くなる。このように、突起14によって、紙片P2は、より確実に紙ガイド10に支持されることができ、さらに落下が抑制されるようになる。
なお、紙ガイド10は突起14を左右方向に複数備えてもよい。紙片P2は、より確実に紙ガイド10に支持されることができる。この場合、紙ガイド10は、複数の突起14を左右対称となるように配置することが好ましい。紙片P2は、紙ガイド10にバランスよく支持されることができる。
【0030】
ところで、
図7に示すように、紙P1がローラー30により、紙ガイド10の第1開口11から第2開口12を経由して搬送方向Fへ搬送されるとき、第2開口12から出てきた紙P1が、ユーザーの手Hにより押えられてしまったり、掴まれてしまうことがある。
この場合、紙ガイド10内にある紙P1が第2開口12から出ることができなくなる一方、引き続き搬送される紙P1が第1開口11から入ってくることとなる。この結果、紙P1が紙ガイド10内で詰まってしまうおそれがある。
【0031】
紙ガイド10は、第1開口11の前上方に連通する第3開口13を有する。ユーザーの手Hにより押えられてしまうなどにより、紙P1が第2開口12から出ることができなった場合、第3開口13により、第2開口12とは異なる方向である方向Eへ紙P1を出すことが可能である。
すなわち、新たに第1開口11から入ってくる紙P1は、第3開口13から、搬送方向Fとは異なる方向である方向Eへ向かって、出ていくことができる。
図7では、第3開口13から出ていく紙P1を、紙P3として示す。第3開口13は紙P3を紙ガイド10から逃がす開口であり、方向Eは紙P3を紙ガイド10から逃がす方向である。
【0032】
第1開口11から入ってくる紙P1は、上方である方向Eへ向かうようなカールが付いている。従って、第2開口12から出ることができなくなった場合、紙P1は、カールが付いている方向である方向Eへ膨らみながら、容易に第3開口13から出ていくことができる。
このように、第3開口13により、第1開口11から入ってくる紙P1が、紙ガイド10内で詰まってしまうことを抑制することができる。また、ユーザーは、第3開口13から紙P3を取り出すことにより、紙ガイド10内に残留する紙P1も、容易に引き出すことができる。
【0033】
上述の実施形態による印刷装置1によれば、紙ガイド10は、紙P1の第1面P1aを下方からガイドする第1ガイド15と、紙P1の第2面P1bを上方からガイドする第2ガイド16とを備える。さらに、紙ガイド10は、紙排出口6から排出された紙P1を入れる第1開口11と、第1開口11に連通して紙P1を出す第2開口12と、第2開口12に対して搬送方向Fの下流の位置において、第1ガイド15上に構成され、紙P1の第1面P1aに下方から接触可能な突起14と、を有する。
【0034】
この結果、少なくとも、第2ガイド16の端部16a、突起14の先端14aは、紙片P2を支持することができ、さらに、紙片P2との間に発生させる摩擦力により、紙片P2が紙ガイド10から落下することを抑制することができる。
これらに加えて、第1ガイド15も、紙片P2に接触して支持することができる上、紙片P2との間に発生させる摩擦力により、紙片P2が紙ガイド10から落下することをさらに抑制することができる。
【0035】
以上、実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成は実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない限り、変更、置換、削除等されてもよい。
【0036】
ヘッド20は、サーマルヘッドの例で説明したが、印刷方式は問わない。例えば、ヘッド20はインクジェットヘッドでもよい。この場合、インクジェットヘッドはローラー30に接触して紙P1を挟むことができないので、ローラー30に対向して紙P1を挟む従動ローラーを、ケース3に搭載すればよい。また、この場合、紙P1は、普通紙などでもよい。
【0037】
上述では、カバー2に、ローラー30、カッター40を構成する第1刃41を搭載し、ケース3に、ヘッド20、第2刃42が搭載された例で説明したが、カバー2及びケース3にそれぞれが逆に搭載されてもよい。この場合、ロール紙Rは、外側が搬送面となるように、紙P1が巻かれる。
また、紙P1は、台紙に所定間隔でラベルが貼付されたラベル紙であってもよい。
【符号の説明】
【0038】
1…ロール紙印刷装置、2…カバー、3…ケース、6…紙排出口、10…紙ガイド、11…第1開口、12…第2開口、13…第3開口、14…突起、14a…先端、14b…斜面、15…第1ガイド、16…第2ガイド、16a…端部、20…ヘッド、30…ローラー、40…カッター、41…第1刃、42…第2刃、E…方向、F…搬送方向、P1,P3…紙、P1a…第1面、P1b…第2面、P2…紙片、R…ロール紙。