(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024111427
(43)【公開日】2024-08-19
(54)【発明の名称】コイン処理装置
(51)【国際特許分類】
G07D 3/00 20060101AFI20240809BHJP
B65G 19/02 20060101ALI20240809BHJP
【FI】
G07D3/00 Z
B65G19/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023015934
(22)【出願日】2023-02-06
(71)【出願人】
【識別番号】000116987
【氏名又は名称】旭精工株式会社
(72)【発明者】
【氏名】榎本 稔
【テーマコード(参考)】
3E141
3F013
【Fターム(参考)】
3E141AA08
3E141GA04
3E141GB01
3E141GB05
3E141HA03
3E141HA06
3E141HA09
3E141JA02
3E141LA23
3F013AA14
3F013AB01
3F013AC03
3F013AC05
3F013AD02
3F013AF01
3F013BB02
(57)【要約】 (修正有)
【課題】傾斜した搬送面に支持されたコインを、押動体によって押して移動させる搬送機構を備えるコイン処理装置において、移動するコインに搬送機構を構成する部材が干渉することを防止し、好適にコインを搬送できるコイン処理装置を提供する。
【解決手段】金種を識別されたコイン10は、識別部から次工程の搬送路51の湾曲した第1湾曲搬送路70に受け渡される。コインを押動する搬送ピンローラー23は、離間されて配置された第1湾曲搬送路70とレール25の間から突出すると共に移動する。受渡時にコイン10が搬送ピンローラー23の通路に入り込まないように、駆動プーリー73に鍔部45が配置されている。鍔部45とコイン10が受渡領域において干渉しないように、第1湾曲搬送路70の表面に突出部46を配置し、鍔部45は突出部46とレール25によって支持されたコイン10から離れて移動する構成とする。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一枚ずつ分離されたコインの金種を識別する識別部と、
前記識別部から受け渡された前記コインを摺動可能に支持する搬送路と、
少なくとも第1プーリーと第2プーリーに掛け回され、回動すると共に、前記搬送路に支持される前記コインの周面に接し前記コインを押動する複数の押動体を有する搬送ベルトと、を有し、
前記搬送路は、前記コインを支持する第1支持部と第2支持部を有し、前記第1支持部は、水平方向に対して傾斜した面を有し、前記コインが前記傾斜した面上を摺動し、前記第2支持部は、前記第1支持部の下縁から離隔していると共に、前記下縁に沿って配置され、前記コインの周面を支持し、
前記搬送ベルトは前記第1プーリーの外周に対応して湾曲し、前記第1支持部は、前記搬送ベルトに沿って湾曲した第1湾曲部を有し、前記第2支持部は、前記搬送ベルトに沿って湾曲した第2湾曲部を有し、
前記第1プーリーは、前記搬送ベルトと噛み合う歯よりも回転軸から離れる方向に突出した鍔部を有し、前記鍔部は、前記第1プーリーの回転に伴い前記第1湾曲部と前記第2湾曲部の間を移動し、前記第1湾曲部と前記第2湾曲部の間に前記コインが侵入することを妨ぎ、
前記押動体は、前記第1プーリーを回転させたときに隣り合う前記鍔部の間に位置するように前記搬送ベルトに等間隔に配置されており、
前記コインは、前記識別部から前記第1湾曲部と前記第2湾曲部に受け渡され、前記第1支持部と前記第2支持部に支持される前記コインが、前記第1支持部と前記第2支持部の間を移動する前記押動体によって押動されるコイン処理装置において、
前記押動体によって押動されずに前記第1湾曲部と前記第2湾曲部に支持される前記コインの前記コインの搬送方向への移動を阻害する阻害手段を有することを特徴とするコイン処理装置。
【請求項2】
前記阻害手段は、前記第1湾曲部の表面から突出する突出部であり、
前記突出部と前記第2湾曲部によって支持される前記コインは、前記鍔部に接触せずに、前記押動体によって押動されることを特徴とする請求項1に記載のコイン処理装置。
【請求項3】
前記突出部は、前記第1湾曲部の前記下縁に対向する上縁側から前記下縁側に向かい前記第1湾曲部の表面から漸次高くなる傾斜面を有することを特徴とする請求項2に記載のコイン処理装置。
【請求項4】
前記突出部は、前記コインの搬送方向の上流側から下流側に向かい前記第1湾曲部の表面から漸次高くなる斜面を有することを特徴とする請求項3に記載のコイン処理装置。
【請求項5】
前記突出部は、前記第1湾曲部の前記コインの搬送方向の下流側の端部を含む前記下縁に沿った部分であって、前記第1湾曲部の前記コインの搬送方向の一部の領域に配置されることを特徴とする請求項4に記載のコイン処理装置。
【請求項6】
前記搬送路は、前記第1湾曲部の前記コインの搬送方向の下流側の端部に、前記第1湾曲部の表面から漸次高くなる段差部を有することを特徴とする請求項2から請求項5の何れか1項に記載のコイン処理装置。
【請求項7】
前記第1湾曲部の表面から突出する前記突出部の高さは、前記第1湾曲部の表面から突出する前記段差部の高さと同じであることを特徴とする請求項6に記載のコイン処理装置。
【請求項8】
前記阻害手段は、前記第1湾曲部に対向して配置され、前記第1湾曲部の方向に前記コインを付勢する付勢手段であることを特徴とする請求項1に記載のコイン処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コインを金種毎に容器に格納し、容器に格納されたコインを一枚ずつ送り出すコイン処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、国家によって発行する流通貨幣は、複数の金種のコインを含む。コインは金種毎に直径、厚み、材質、デザインが異なるので、誰にでも容易に金種が識別できる。金種毎に異なる特徴を有するので、機械により金種を識別することも可能である。また、識別したコインを、金種毎に容器に格納することも可能である。コイン処理装置では、コインの金種を識別し、金種毎にコインを格納し、必要に応じて格納されているコインの払出を行う。
【0003】
例えば、貯留容器に投入された複数のコインを一枚ずつ送り出し、金種を識別する装置として、特開2022-166367号公報のコイン処理装置が知られている。この様なコイン処理装置は、3段階の工程を備える。まず、複数枚のコインを1枚ずつ送り出す工程、次に、1枚ずつ搬送されるコインの金種を識別する工程、次に、識別されたコインを金種毎に分けて格納する工程である。
【0004】
金種を識別する工程では、一枚ずつ搬送されるコインの金種を識別する。金種が識別されたコインを金種毎に分けて格納する工程では、ベルトにコインを押動する搬送ピンが設けられている。金種を識別する工程によって金種が識別されたコインは、搬送ピンの間に受け渡される。搬送ピンはコインを押動し、コインはガイドに沿って移動する。コインの搬送路の途中には、金種毎に硬貨選別部が配置されている。硬貨選別部は、搬送されてくるコインを金種毎に予め決められたコインホッパーに導く。それにより、金種毎に配置されたコインホッパーには、同一金種のコインが格納される。
【0005】
コインホッパーには同一金種のコインが格納されており、コインホッパーを制御することで、コインホッパーから所望の枚数のコインを排出することができる。コイン処理装置の例として、自動釣銭機などがある。自動釣銭機は、投入されたコインを金種毎に格納する。また、自動釣銭機は、釣銭の額に基づき排出するコインの金種および枚数を演算する。演算された金種および枚数に基づいて、自動釣銭機は、各金種に対応するコインホッパーを制御してコインを排出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
国家によって使用するコインの金種は様々である。例えば日本では1、5、10、50、100、500円の6種類のコインが広く使用されている。また、ヨーロッパでは1、2、5、10、20、50セント、1、2ユーロの8金種、アメリカ合衆国では1、5、10、25、50セント、1ドルの6金種のコインが広く使用されている。多くの国家では、複数の金種のコインを発行し、流通させている。コインの形状や重さは、様々である。重さやサイズの異なるコインを扱うので、コインの搬送部では、コインの形状や重さを考慮して様々なコインに対応できるように、各種寸法に余裕を持たせた構成となっている。そのため、コインの搬送時の挙動も様々なものとなる。
【0008】
1枚ずつ搬送されるコインの金種を識別する工程から、識別されたコインを金種毎に分けて格納する工程にコインが受け渡されるときに、勢いがつき、搬送ピンの間で予期せぬ移動を起こす場合もある。
【0009】
例えば、コインが、搬送ピンと同じスピードで移動した場合、搬送ピンによって押されずに搬送される。また、コインの受渡位置によっては、例えば駆動プーリーの鍔部などの搬送ピンとは異なる駆動部材によって搬送されることも考えられる。また、コインは、搬送路上で跳ね、振動した状態で搬送される場合もある。コインの受渡時にコインが予期せぬ移動をした場合、識別されたコインを金種毎に分けて格納する次工程において、コインを誤って格納してしまうなど、コインの搬送に不具合が生じる恐れがあった。
【0010】
本発明は、コインの搬送を好適に行うコイン処理装置を提供する。特に、識別部から振分部に受け渡された後のコインの搬送を好適に行うコイン処理装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のコイン処理装置は、一枚ずつ分離されたコインの金種を識別する識別部と、前記識別部から受け渡された前記コインを摺動可能に支持する搬送路と、少なくとも第1プーリーと第2プーリーに掛け回され、回動すると共に、前記搬送路に支持される前記コインの周面に接し前記コインを押動する複数の押動体を有する搬送ベルトと、を有し、前記搬送路は、前記コインを支持する第1支持部と第2支持部を有し、前記第1支持部は、水平方向に対して傾斜した面を有し、前記識別部から受け渡される前記コインが前記傾斜した面上を摺動し、前記第2支持部は、前記第1支持部の下縁から離隔していると共に、前記下縁に沿って配置され、前記コインの周面を支持し、前記搬送ベルトは前記第1プーリーの外周に対応して湾曲し、前記第1支持部は、前記搬送ベルトに沿って湾曲した第1湾曲部を有し、前記第2支持部は、前記搬送ベルトに沿って湾曲した第2湾曲部を有し、前記第1プーリーは、前記搬送ベルトと噛み合う歯よりも回転軸から離れる方向に突出した鍔部を有し、前記鍔部は、前記第1プーリーの回転に伴い前記第1湾曲部と前記第2湾曲部の間を移動し、前記第1湾曲部と前記第2湾曲部の間に前記コインが侵入することを妨ぎ、前記押動体は、前記第1プーリーを回転させたときに隣り合う前記鍔部の間に位置するように前記搬送ベルトに等間隔に配置されており、前記コインは、前記識別部から前記第1湾曲部と前記第2湾曲部に受け渡され、前記第1支持部と前記第2支持部に支持される前記コインが、前記第1支持部と前記第2支持部の間を移動する前記押動体によって押動されるコイン処理装置において、前記押動体によって押動されずに前記第1湾曲部と前記第2湾曲部に支持される前記コインの前記コインの搬送方向への移動を阻害する阻害手段を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、コインの搬送を好適に行うコイン処理装置を提供できる。また、識別部から振分部に受け渡された後のコインの搬送を好適に行うコイン処理装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、コイン処理装置の外観の斜視図である。
【
図2】
図2は、コイン処理装置の構成を説明する図である。
【
図3】
図3は、コイン処理装置の主要部の斜視図である。
【
図4】
図4は、コイン処理装置の主要部の上面図である。
【
図5】
図5は、コインホッパーのコインの格納容器を外した状態の上面図である。
【
図6】
図6は、コイン処理装置の振分部を説明する分解図である。
【
図7】
図7は、コイン処理装置の振分部を説明する断面図である。
【
図8】
図8は、振分部のコインの受渡領域を説明する図である。
【
図9】
図9は、振分部のコインの受渡領域におけるコインの状態を説明する図である。
【
図10】
図10は、振分部のコインの受渡領域の第2の例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。各図は、本発明を十分に理解できる程度に、概略的に示してあるに過ぎない。よって、本発明は、図示例のみに限定されるものではない。また、各図において、共通する構成要素や同様な構成要素については、同一の符号を付し、それらの重複する説明を省略する。
【0015】
図1は、コイン処理装置の外観の斜視図である。コイン処理装置1は、略直方体状の外装ケースに覆われている。コイン処理装置1には、コインを投入する投入口2、払出されるコインを受けるトレー3が備えられている。
【0016】
コインを投入する投入口2の開口が、外装ケースの上面の手前側に配置されている。払出されるコインを受けるトレー3が、外装ケースのフロント面に配置されている。コイン処理装置1の内側と外側とを貫通する出金口4が、外装ケースのフロント面のトレー3に対応する位置に設けられている。出金口4を介して払出されるコインを、トレー3が受け止める。外装ケースの上面の手前側の投入口2の隣には、表示装置5が配置されている。表示装置5は、コイン処理装置1の状態や、入金額、出金額、案内などを表示する。投入されたコインを分離、識別、格納、払出す装置が外装ケースに覆われている。
【0017】
例えば、コイン処理装置1は、自動釣銭機、自動両替機等のコインを入出金する装置である。投入口2にコインが投入される。投入されたコインの金種及び枚数を、不図示の制御部が取得し、投入された金額を把握する。不図示の制御部によってコインの払出しの有無が演算される。コインの払出しがある場合は、不図示の制御部は、払出すコインの金種、枚数を演算し、コインホッパーを制御してコインを排出する。排出されたコインは、トレー3に送られる。
【0018】
次に、コイン処理装置1の構成について概略的な図を用いて説明する。
図2は、コイン処理装置の構成を説明する図である。一般に使用されているコインは、複数の金種から構成される。コインは、サイズ、材質、デザインなどの要素が金種毎に異なる。
【0019】
コイン処理装置1の投入口2には、複数の金種のコインが混ぜられた状態で投入される。コイン処理装置1は、投入されたコインを一枚ずつに分け、分けられたコインの金種を識別する。コイン処理装置1は、識別されたコインを金種毎に格納する。また、コイン処理装置1は、金種毎に分けて格納されたコインを、払出に再利用する。
【0020】
コイン処理装置1は、3つの部分に分けられる。3つの部分とは、投入されたコインを1枚ずつ区分して送り出す分離部6、コインの金種を識別する識別部8、コインを金種毎に分けて格納する振分部9である。
【0021】
投入口2に投入されるコイン10は、コイン通路11を通り、貯留容器12に格納される。
図2においては、投入口2、コイン通路11、貯留容器12は破線で示されている。投入口2に投入されるコイン10は、1枚ずつ分離して搬送されるまで、貯留容器12に一時的に格納される。
【0022】
コイン処理装置1の基台の保持ベース13上に、ディスク15が回動可能に配置されている。ディスク15の下方に貯留容器12が配置されている。貯留容器12には、ディスク15の外周に沿った形状の底部が形成されている。貯留容器12は、ディスク15の下側半分から三分の一程度を覆う。また、保持ベース13とディスク15は、水平方向に対して傾斜して配置されている。コイン10がディスク15側にもたれかかる。ディスク15を回転させることで、ディスク15にもたれているコイン10が、後述の凹部16に入り込み、搬送される。
【0023】
ディスク15には、コイン10が収容される凹部16が3カ所に設けられている。コイン10は、この凹部16内に保持される。凹部16のディスク15の外周側の領域が開放されている。コイン10は、受渡部7において分離部6から識別部8に受け渡される。
【0024】
凹部16に入り込んだコイン10の側面は、凹部16の内壁に当接する。保持ベース13及びディスク15は、水平方向に対して斜めの姿勢をとるように配置されているので、コイン10をディスク15の凹部16内に保持することができる。保持ベース13の傾斜角度としては、30度~80度程度が好ましい。その中でも40度~50度がより好ましい。傾斜角度が小さいと不要なコイン10を凹部16から滑り落とせなくなり、傾斜角度が大きいと凹部16内にコインを入り込ませ難くなる。また、凹部16の内壁の高さは、コイン10の厚みより低く構成され、コイン10が1枚しか入らないようにしている。
【0025】
コイン10は、凹部16の平坦な底面にコイン10の表面又は裏面を対向させる姿勢で、保持される。また、凹部16の内壁は、ディスク15の外周側には配置されていない。コイン10は、この内壁の無い領域を通り、次工程に渡される。ディスク15の外周の外側には、コイン10をディスク回転方向に案内する案内壁が配置されている。コイン10は、周面が、案内壁と、凹部16の内壁とに接触した状態で搬送される。
【0026】
ディスク15は、矢印で示されたディスク回転方向17の方向に回転する。ディスク15は、貯留容器12に格納されたコイン10を凹部16で一枚ずつ拾い上げる。ディスク15が水平方向に対して斜めに配置されているので、貯留容器12内のコイン10は、ディスク15にもたれ掛り、凹部16に入り込みやすくなっている。
【0027】
分離部6の上方であり、識別部8の下方の位置においてコイン10が受け渡される。
図2では、識別部8と分離部6とを上下に配置した例を示したが、後述する
図3の様に識別部8と分離部6を左右に配置することもできる。ディスク15は、コイン10を1枚ずつ、受渡部7に搬送し、次工程である識別部8に送ることができる。
【0028】
識別部8には、コイン処理装置1の基台の保持ベース13上にホイール21が配置されている。ホイール21は、矢印で示されるホイール回転方向22の方向に回転する。ホイール21は、ディスク15の回転と連動して回転する。分離部6から送り出されるコイン10は、コイン10の周面をホイール21が押す。コイン10は、ホイール21によって、保持ベース13上を移動する。保持ベース13は平坦な平面である。識別部8には、コイン10のサイズ、材質等の特徴を検出する識別センサー19が配置されている。保持ベース13上を移動するコイン10の特徴を、識別センサー19で検出する。不図示の制御部は、識別センサー19の検出結果に基づきコイン10の金種を識別する。ホイール21によってコイン10が一枚ずつ区分されるので、識別センサー19はコイン10の特徴を好適に検出することができる。コイン10は、表面又は裏面を前述の保持ベース13に接触させ、且つ周面を案内部18に接触させた状態で、ホイール21に押される。コイン10は、案内部18に沿って移動する。識別部8で金種を識別されたコイン10は、次工程の振分部9に受け渡される。
【0029】
振分部9では、コイン10を案内するレール25が配置されている。識別部8から振分部9のレール25にコイン10が渡される。このレール25に沿ってコイン10が搬送される。レール25に沿って搬送ベルト24が配置されている。搬送ベルト24には、搬送ピンローラー23が等間隔で配置されている。隣り合う搬送ピンローラー23の間に、1枚のコイン10が入る。コイン10は、1枚ずつ搬送ピンローラー23に押されてレール25に沿って搬送される。搬送ピンローラー23は、コイン10を押して搬送する押動体とも言える。搬送ベルト24は、無端ベルトであり、ディスク15およびホイール21と連動して、矢印で示されている搬送ベルト回転方向26の方向に回転する。
【0030】
レール25に沿って、第1スライダー27、第2スライダー29、第3スライダー31、第4スライダー33、第5スライダー35、第6スライダー37、第7スライダー39が配置されている。これらのスライダーは、予め決められた金種のコインホッパーに接続されている。識別部8で識別されたコイン10は、対応する金種のスライダーに落とされ、対応する金種のコインホッパーに格納される。
【0031】
第1スライダー27は第1コインホッパー28に接続されている。第2スライダー29は第2コインホッパー30に接続されている。第3スライダー31は第3コインホッパー32に接続されている。第4スライダー33は第4コインホッパー34に接続されている。第5スライダー35は第5コインホッパー36に接続されている。第6スライダー37は第6コインホッパー38に接続されている。また、第7スライダー39はオーバーフロー容器40に、接続されている。
【0032】
第8スライダー41は、排出ベルト42にコイン10を導く。金種が識別不能であったコイン10や、利用できないコイン10を排出ベルト42上に導き、トレー3に排出する。
【0033】
コインホッパーに格納されるコイン10が所定量を超えると、不具合が生じる恐れがある。そのため、コインホッパーに格納されているコイン10の枚数が所定量を超えた場合、当該コインホッパーへのコイン10の格納を停止する。すなわち、不図示の制御部は、コインホッパーに格納されているコイン10の枚数と、予め決められた許容可能な格納枚数とを比較し、その結果に基づいてコインホッパーへのコイン10の格納を継続するか、停止するかを制御している。コインホッパーへのコイン10の格納が停止された場合に、格納されないコイン10は、オーバーフロー容器40に格納される。その後、フルになったコインホッパーからコイン10が払出されれば、再び、コイン10をコインホッパーに格納することが可能となる。オーバーフロー容器40に余剰のコイン10を格納することができる構成にすることで、メンテナンスの回数を減らすことができる。よって、コイン処理装置1の効率的な運用が可能となる。オーバーフロー容器40は、コインホッパーであっても良いし、コインを排出する機能が無い格納容器でも良い。
【0034】
各コインホッパーは、排出ベルト42に沿って配置されている。振分部9では、排出ベルト42を駆動することで、各コインホッパーから排出されたコイン10をトレー3に搬送できる。投入口2に入れられたコイン10を、払出用のコイン10として再利用することができる。
【0035】
ディスク15はディスク回転軸14を中心に回転する。ホイール21はホイール回転軸20を中心に回転する。ディスク回転軸14とホイール回転軸20は、不図示のモーターによって回転する。モーターとディスク回転軸14の間は不図示の輪列によって接続されている。また、モーターとホイール回転軸20の間は不図示の輪列によって接続されている。モーター及び輪列はディスク15、ホイール21を回転させる駆動部を構成している。
【0036】
コイン10は、分離部6から受渡部7を介して識別部8に摺動させるので、それぞれが段差無く配置され、平坦な面を備えている。
【0037】
ディスク15には、凹部16がディスク回転軸14を中心として、等角に複数箇所設けられている。例えば、120度間隔に3カ所設けられている。
【0038】
各凹部16には、後述するレバーが配置されている。受渡部7にコイン10が運ばれると、このレバーによって、ディスク15の外周方向、すなわち識別部8の方向にコイン10を移動させ、識別部8にコイン10を受け渡すことができる。
【0039】
コイン10は、分離部6のディスク15から押し出され、識別部8のホイール21に拾われる。保持ベース13は平坦なので、スムースに受け渡しができる。
【0040】
ホイール21には、ホイール回転軸20を中心として120度の間隔で受取体が放線状に配置されている。コイン10は、各受取体の間に1枚ずつ入る。コイン10は、受取体の側面の押動壁によって押される。ホイール21によって押されるコイン10は、保持ベース13上を摺動する。ホイール21はディスク15と連動して回転し、その回転方向は逆方向である。
【0041】
案内部18は、直線状に配置されている。コイン10は、案内部18に沿って直線状に移動する。識別部8では、案内部18に沿って直線状に移動するコイン10を、識別センサー19によって検出し、金種を識別する。
【0042】
コイン10は、ホイール21に押され、識別部8から振分部9に渡される。ホイール21と搬送ベルト24は、連動して回転している。隣り合う搬送ピンローラー23間に1枚のコイン10が入るように、搬送ピンローラー23が配置されている。
【0043】
コイン10は、搬送ピンローラー23によって押され、レール25に沿って移動する。コイン10は、対応する金種のスライダーに落とされる。同一の金種のコイン10は、スライダーに導かれ、コインホッパーに格納される。
【0044】
次に、コイン処理装置1の主要部分について説明する。
図3は、コイン処理装置の主要部の斜視図である。
【0045】
分離部6では、投入された複数のコイン10を一時的に貯留容器12に貯留する。貯留されたコイン10は、ディスク15によって、1枚ずつ搬送される。ディスク15は時計回りに回転する。コイン10が受渡部7の位置に搬送されると、レバー54が動作し、コイン10を識別部8の方向に押し出す。押し出されたコイン10は、受渡部7を通り、ホイール21の受取体間に入る。ホイール21は時計回りに回転する。
【0046】
図3においては、識別部8を覆うセンサーカバー53が開いている状態を図示している。通常の使用状態では、ホイール21を覆うように、センサーカバー53は閉じている。
【0047】
識別部8では、ホイール21によってコイン10が1枚ずつ保持ベース13上を移動する。識別部8の下方には、案内部18が配置されている。案内部18は、ホイール21の外周の外側に配置された案内壁の一部である。案内部18は、コイン10を一定の条件で検出するために、直線状に配置されている。コイン10は、案内部18に沿って、ホイール21に押されて保持ベース13上を摺動する。保持ベース13が水平方向に対して傾斜して配置されているので、コイン10は、重力によって保持ベース13に沿って下方に力が加わる。コイン10は、周面が案内壁に接し、表面または裏面が保持ベース13に接する。最下点を通過したホイール21は、コイン10を重力に抗して上方に搬送する。コイン10は、案内部18に接した状態で搬送される。コイン10の周面が、案内部18と接しながら、摺動あるいは転動する。識別センサー19の検出領域において、コイン10を一定条件で通過させることができる。
【0048】
識別センサー19によって金種を識別されたコイン10は、受渡口50を通り、識別部8から振分部9へ渡される。
【0049】
受渡口50は、保持ベース13の表裏を貫通する貫通孔である。受渡口50の奥側には、振分部9の搬送路51及びレール25が配置されている。搬送路51及びレール25は、コイン10の案内路である。コイン10は、ホイール21によって押され、受渡口50に落とされる。コイン10は、受渡口50を通り抜けて、搬送路51及びレール25に到達する。すなわち、受渡口50に対向する部分が、振分部9のコイン10の受渡領域である。
【0050】
搬送路51は水平方向に対して傾斜して配置されている。約45度の角度で傾斜している。コイン10を識別部8から振分部9に受け渡し易くするため、保持ベース13の傾斜角度と搬送路51の傾斜角度が同じか、プラスマイナス10度以内の小さい差であることが好まし。コイン10は、コイン10の外周面である側面がレール25に接し、コイン10の表面又は裏面が搬送路51に接した状態でもたれかかり、搬送ピンローラー23に押されて搬送路51及びレール25に沿って移動する。コイン10は、搬送ピンローラー23に押され、搬送路51の傾斜した面上にもたれ掛かった状態で摺動すると共に、レール25の上を転動または摺動する。搬送ピンローラー23は、コイン10に接し、押し動かす押動体とも言える。すなわち、コイン10は、搬送路51を第1支持部、レール25を第2支持部とする支持部によって支持された状態で、押動体に押されて搬送される。搬送ベルト24、搬送ピンローラー23、搬送路51、レール25などのコイン10を搬送するための通路を構成する部材が、フロントカバー55によって覆われている。また、搬送路51は、搬送路カバー52の一部によって構成されている。また、識別部8が搬送路51の上方に配置されているので、コイン10を識別部8から振分部9に受け渡す受渡領域は、フロントカバー55には覆われていない。
【0051】
搬送路51とレール25は、離隔しており、その間を搬送ピンローラー23が通る。搬送ピンローラー23が備わる搬送ベルト24は後述する2つのプーリーに掛け回されている。プーリーには鍔部45が備わる。鍔部45は、搬送ピンローラー23の通路を狭くし、受け渡されたコイン10が通路に入ることを防止する。
【0052】
搬送路51を傾斜させ、更に上面視で搬送路51及びレール25を湾曲させ、湾曲させた部分でコイン10を受け渡す構成とした。搬送路51及びレール25は、湾曲部分と直線状の部分を備える。湾曲させた部分の上側に、分離部6及び識別部8を重ねて配置することを可能とした。すなわち、識別部8の下側に振分部9が配置されている。また、搬送ベルト24はプーリーに掛け回されている。上面視で、搬送路51及びレール25は、プーリーに掛け回されている搬送ベルト24に沿って、湾曲している。搬送ベルト24に沿って搬送路51およびレール25を配置することで、コイン処理装置1の長手方向の長さを短くしている。また、搬送路51を傾斜させ、搬送路51の下側に搬送ベルト24などの駆動部を配置することで、コイン処理装置1の短手方向の長さを短くしている。このような構成は、コイン処理装置1の小型化を可能にしている。
【0053】
図4は、コイン処理装置の主要部の上面図である。
図4は、センサーカバー53が閉じられた状態であり、フロントカバー55が外された状態を上方から見た上面視の図である。
図4を説明するにあたり、
図2の構成を参照する。
【0054】
分離部6は、貯留容器12に堆積したコイン10を一枚ずつ分離し、分離したコイン10を識別部8に渡す。識別部8は、コイン10の金種を識別し、一枚ずつ振分部9に渡す。
【0055】
振分部9では、コイン10がレール25に沿って搬送ピンローラー23に押されて移動する。第1フラップ56、第2フラップ57、第3フラップ58がレール25に沿って配置されている。第1フラップ56は、コイン10を通過させる第1状態、コイン10を第1スライダー27に移動させる第2状態、コイン10を第4スライダー33に移動させる第3状態の何れかの状態をとる。第1フラップ56は、不図示の駆動部によって第1状態、第2状態、第3状態が切り替えられる。第1フラップ56と同様に、第2フラップ57は、コイン10を通過させる第1状態、コイン10を第2スライダー29に移動させる第2状態、コイン10を第5スライダー35に移動させる第3状態の何れかの状態に、不図示の駆動部によって切り替えることができる。第1フラップ56と同様に、第3フラップ58は、コイン10を通過させる第1状態、コイン10を第3スライダー31に移動させる第2状態、コイン10を第6スライダー37に移動させる第3状態の何れかの状態に、不図示の駆動部によって切り替えることができる。この様に構成することで、コイン10は7方向の進路の何れかに導かれる。
【0056】
第1コインホッパー28、第2コインホッパー30、第3コインホッパー32がレール25に沿って一列に並び配置され、第4コインホッパー34、第5コインホッパー36、第6コインホッパー38がレール25に沿って一列に並び配置されている。
【0057】
第7スライダー39はレール25の、コイン10の搬送方向の先端に配置され、第1フラップ56、第2フラップ57、第3フラップ58を通過したコイン10をオーバーフロー容器40に導く。レール25の端部を上面視で湾曲させ、湾曲部分に第7スライダー39を配置する。フラップを設けることなく、コイン10をオーバーフロー容器40に導くことができる。
【0058】
コイン処理装置1には、レール25の途中に3つのフラップが設けられており、コイン10を7つの格納部の何れかに導くことができる。
【0059】
振分部9の搬送路51の基端は、識別部8の下方に重なるように構成されている。また搬送路51の先端には、第7スライダー39が配置されている。搬送路51の基端側と先端側を上面視で湾曲させて構成することで、コイン処理装置1の長手方向の長さを短くし、小型化している。
【0060】
搬送路カバー52には搬送路51が設けられている。搬送路51は、搬送路カバー52のレール25側に設けられた傾斜面である。搬送路51は、コイン10の表面または裏面が接する。コイン10は、搬送路51上を摺動する。搬送路51の下縁とレール25との間に所定間隔の隙間が設けられている。その隙間から搬送ピンローラー23が外側に突出している。すなわち、搬送路51の下縁に沿ってレール25が配置されている。搬送路51の下縁に対向する側の上縁までの間は傾斜面となっている。傾斜面に沿ってコイン10の表面が接し、コイン10がもたれかかり搬送される。搬送ピンローラー23は、搬送路51とレール25の間を移動する。コイン10は、搬送ピンローラー23によって押されて移動する。
【0061】
金種を識別されたコイン10は、振分部9によって金種毎に進路が決められ、コインホッパーに格納される。
図2で示されている様に、格納されたコイン10は、独立に制御される各コインホッパーから、排出ベルト42に排出され、出金口4を通り、トレー3に払出される。
【0062】
図5は、コインホッパーを説明する図である。各コインホッパーは同様の構成を備える。コインホッパーは、本体60とコイン10を格納する格納容器とから構成されている。
図5は、格納容器を取り外した状態で上方から見た場合の上面視の図である。格納容器は、本体60の上方に着脱自在に取り付けることができる。格納容器に設けられた凸部が本体60の固定部67に挿入され、固定される。固定部67は、回転体61を囲うように4カ所設けられている。格納容器の底部には、回転体61に対向する位置に開口部が設けられている。コインホッパーは、回転体61及びホッパベース66を底面とし、格納容器を側面とした、コイン10の格納部を備える。
【0063】
ホッパベース66は、平坦な面を有し、その上をコイン10の表面または裏面が接し、摺動する。回転体61は、ホッパベース66の上方に配置され、回転体回転軸62を中心に反時計回りに回転する。回転体61は、4カ所にコイン10が入るホッパー凹部65が設けられている。ホッパー凹部65に入ったコイン10は、回転体61の回転に伴い、ホッパベース66の上を摺動する。ホッパベース66には、コイン10の搬送を妨げるように制限ピン63が設けられている。回転体61の裏面側には、制限ピン63を避ける円周状の窪みが設けられている。回転体61の裏面側であってホッパー凹部65の外周側には、コイン10が通過可能な溝が設けられている。回転体61によって搬送されるコイン10は、制限ピン63に当接すことで移動方向が変り、排出口の方向に移動する。回転体61の外周側に設けられた溝がコイン10の通路となり、コイン10が回転体61から排出される。排出されるコイン10は、払出センサー64によって検出される。払出センサー64からの出力される検出信号をカウントすることで、排出されるコイン10の枚数を把握することができる。例えば、不図示の制御回路を用いて、排出するコイン10の枚数を計数する。不図示の制御回路は、排出されたコイン10の枚数が、所望の枚数に達した場合に、回転体61の回転を停止させる。不図示の制御回路は、コインホッパーから排出するコイン10の枚数を制御することができる。
【0064】
図2で説明した様に、コイン処理装置1は、排出ベルト42に沿ってコインホッパーが3台ずつ2列に配置されている。また、コインホッパーのコイン10の排出側を相互に対向させている。コイン10は、排出ベルト42に向かってそれぞれのコインホッパーから排出される。
【0065】
次に、コイン処理装置1の振分部9について説明する。
図6は、コイン処理装置の振分部を説明する分解図である。
図2を参照しながら説明する。
【0066】
ケース基部78には、第1プーリー軸76、第2プーリー軸77が配置されている。第1プーリー軸76には駆動プーリー73が挿入される。第2プーリー軸77には従動プーリー74が挿入される。駆動プーリー73には、不図示のモーターが輪列を介して接続されている。また、駆動プーリー73と従動プーリー74には搬送ベルト24が掛け回される。搬送ベルト24は歯付きのベルトであり、搬送ベルト24の歯が駆動プーリー73の歯車と従動プーリー74の歯車に噛合う。駆動プーリー73を不図示のモーターによって駆動すると、駆動プーリー73の回転に伴って搬送ベルト24と従動プーリー74が回転する。搬送ベルト24には、等間隔に12個の搬送ピンローラー23が固定されている。
【0067】
ケース基部78には、コイン10を案内するレール25が配置されている。レール25は、コイン10の側面と接する底部と、コイン10の表面又は裏面の一部と接する側部とが、約90度の角度をなして形成されている。側部は、コイン10の直径の1/3~1/10程度の高さとなる。側部は、搬送路51を補助する。側部が無くとも、搬送路51が有れば、コイン10の表面又は裏面を支持することができる。コイン10が、搬送路51とレール25との間に入らないようにするため、側部が設けられている。
【0068】
レール25のコイン10の搬送経路の途中に、第1フラップ56、第2フラップ57、第3フラップ58が配置されている。各フラップには、フラップ頂部75が設けられている。フラップ頂部75とレール25の底部とが面一となる状態にすることで、コイン10を通過させることができる。フラップ頂部75とレール25とを面一にすることで、コイン10を、搬送路51に沿って移動させることができる。レール25の基端側は湾曲した第1湾曲レール79が形成され、先端側は湾曲した第2湾曲レール80が形成されている。第1湾曲レール79では、識別部8からコイン10が受け渡される。第2湾曲レール80の端部は、第7スライダー39に接続される。
【0069】
第3フラップ58のフラップ頂部は、レール25の底部と面一の状態となっている例である。コイン10は、第3フラップ58のフラップ頂部の上を通り、搬送路51に沿って搬送される。この場合には、コイン10は第3スライダー31または第6スライダー37側に移動しない。
【0070】
第2フラップ57のフラップ頂部は、レール25の底部と面一の状態ではない。
図6では不図示であるが、第2スライダー29の奥側に第5スライダー35が設けられている。第2フラップ57は、第5スライダー35にコイン10を案内するため、レール25を断絶する。第2フラップ57をレール25から離し、コイン10が下に落ちる隙間を設ける。レール25の断絶した部分からコイン10が第5スライダー35に落ちる。第2フラップ57のフラップ頂部の状態によって、コイン10を第2スライダー29または第5スライダー35に導く。
【0071】
第1フラップ56のフラップ頂部は、レール25の底部と面一の状態ではない。第1フラップ56は、フラップ頂部を図面奥側に倒し、レール25を断絶する。コイン10は、断絶した部分に落ち込み、手前側に滑り落ちる。
図6では、不図示であるが、手前側に第1スライダー27が配置され、滑り落ちてくるコイン10を第1コインホッパー28に導く。第1スライダー27の奥側には、第6スライダー37が設けられている。第1フラップ56の状態を変えることで、コイン10を通過させるか、第1スライダー27に案内するか、第6スライダー37に案内するかを切り替えることができる。
【0072】
搬送路カバー52は、第1プーリー軸76、第2プーリー軸77、駆動プーリー73、従動プーリー74、搬送ベルト24を覆う。搬送路カバー52には、レール25に沿って搬送路51が設けられている。搬送路51は傾斜しているので、コイン10は、搬送路51にもたれ掛かる。また、レール25は、コイン10を搬送する場合の基端側に第1湾曲レール79、先端側に第2湾曲レール80を有する。搬送路51は、第1湾曲レール79、第2湾曲レール80に対応する位置に、第1湾曲搬送路70、第2湾曲搬送路71を有する。この様に、レール25と搬送路51は、それぞれ湾曲部を備えている。湾曲した面に沿ってコイン10を移動させることができる。コイン10がレール25の上を重力によって転がらないように、レール25が水平方向に平行に配置されていることが好ましい。また傾けるとしても、搬送ピンローラー23でコイン10を押すことができるように、レール25の基端側を先端側に比べ低くする。このときの傾きが大きすぎると、コイン10の受け渡しや搬送に異常を生じる恐れがあるので、傾きは小さくする。例えば、傾きは水平に対して10度までにする。
【0073】
レール25と搬送路51とは、所定の間隔で離間している。レール25と搬送路51の間を搬送ピンローラー23が移動する。搬送ピンローラー23を、搬送路51のコイン10の接する面よりも突出させて配置し、搬送ピンローラー23をコイン10の側面に当接させる。もちろん、レール25と搬送路51のそれぞれの湾曲部においても、所定の間隔で離間し、それぞれ湾曲部の間を搬送ピンローラー23が移動する。
【0074】
フロントカバー55は、搬送路51、レール25、第1フラップ56、第2フラップ57、第3フラップ58を覆う。フロントカバー55と搬送路51との間には、コイン10が移動可能な隙間が設けられる。フロントカバー55は、コイン10がレール25から外れないように移動範囲を規制する。
【0075】
駆動プーリー73には、等間隔に鍔部45が3箇所に設けられている。鍔部45の間に搬送ピンローラー23が入るように、搬送ベルト24が駆動プーリー73と従動プーリー74に掛け回される。鍔部45は、駆動プーリー73の搬送ベルトと噛み合う歯よりも、回転軸から離れる方向に突出して設けられている。搬送ピンローラー23と鍔部45とが干渉しないように、搬送ピンローラー23は、隣り合う鍔部45の間に位置するように搬送ベルト24に配置されている。
【0076】
鍔部45は、第1湾曲搬送路70と第1湾曲レール79とは接触せずに、その間に配置される。受け渡されたコイン10は、鍔部45に遮られ、第1湾曲搬送路70と第1湾曲レール79との間の隙間に侵入することはない。鍔部45は、コイン10が搬送ピンローラー23の通路の隙間に侵入することによる搬送異常を防止する。
【0077】
搬送路51は、第1段差部47を境に湾曲している部分と直線上の部分に分けることができる。第1湾曲搬送路70は、直線状の部分に比べ一段低く形成されている。直線上の部分にコイン10が搬送ピンローラー23に押動されないまま移動することを防ぐため、搬送ピンローラー23によって押動されていないコイン10を一時的に留め、コイン10を確実に搬送ピンローラー23で押動させる。
【0078】
第1湾曲搬送路70は、コイン10の受渡領域なので、コイン10が跳ねることがある。第1湾曲搬送路70から搬送ピンローラー23の先端に配置された拡径された部分までの距離を長くすることで、コイン10の予期せぬ挙動があったとしても、コイン10の側面を逃がさずに搬送ピンローラー23に当接させることができる。しかし、コイン10の通常の搬送路では、コイン10が厚み方向に2枚入り込むような幅を持たせることは好ましくない。第1段差部47は、搬送路51の湾曲部から直線部に向かう方向、すなわちコイン10の搬送方向に高さが漸次高くなるように傾斜している。コイン10は、搬送ピンローラー23によって搬送される場合に、第1段差部47に掛かり停止することはない。第1湾曲搬送路70の下部の下縁に沿って、第1湾曲搬送路70の一部分の領域に、突出部46が配置されており、突出部46は、搬送路51の直線状の部分との間に段差はなく、接続されている。突出部46の高さは第1段差部47の高さと等しい例を説明したが、突出部46の高さを第1段差部47の高さより低くしても良い。その場合、段差が生じるので、その段差はコイン10の搬送方向の下流側に向かい漸次高くする。突出部46は、搬送ピンローラー23によって押動されていないコイン10が、搬送ベルト24の回転方向、すなわちコイン10の搬送方向へ移動しないように、移動を阻害する阻害手段である。コイン10の移動を正確に制御するためには、搬送ピンローラー23によってコイン10を搬送する必要がある。搬送ピンローラー23以外によってコイン10が移動すると、搬送不良を起こす恐れがある。第1湾曲レール79と第1湾曲搬送路70にコイン10が支持されているときに、自由にコイン10が移動することを防ぐため、突出部46が設けられている。突出部46によって支持されるコイン10の裏面側を、駆動プーリー73の鍔部45は離隔して通過する。
【0079】
駆動プーリー73に搬送ベルト24が噛み合っている部分では、鍔部45は、隣り合う搬送ピンローラー23の中央に位置するように配置されていることが好ましい。また、鍔部45と搬送ピンローラー23の間隔が、使用する最小サイズのコイン10の直径よりも小さいことが好ましい。また、鍔部45の下方において、第1湾曲レール79との間に隙間が生じる。この鍔部45と第1湾曲レール79の間隔は、使用する最薄のコイン10の厚みよりも小さいことが好ましい。また、鍔部45は、隣り合う搬送ピンローラー23の間に1つある例を示したが、これに限らず、鍔部45を複数の凸部から構成しても良い。
【0080】
コイン10には、外周形状が円形のものだけではなく、例えば12角形や8角形などの、多角形状のものがある。外周形状が多角形状のコイン10はレール25の上を摺動する。第1フラップ56、第2フラップ57、第3フラップ58は、レール25の途中に直線状に配置されている。直線状にコイン10を搬送することで、搬送中に生じる跳ねや振動を抑えることができる。コイン10の挙動を抑制し、コイン10を安定して搬送することができる。コイン10は、第1フラップ56、第2フラップ57、第3フラップ58によって進路が変更されるときでもスムースに移動できる。振分部9では、コイン10を搬送する部分を湾曲部と直線部に分けることができる。直線部には、第1フラップ56、第2フラップ57、第3フラップ58が配置されている。湾曲部には、コイン10の受渡部が配置されている。湾曲部では、コイン10の挙動が変化しやすいので搬送不良が生じにくい乃至生じない構成とする必要がある。また、第1湾曲レール79から第1フラップ56までの距離は、使用する最大直径のコイン10の半径よりも長くするのが好ましい。湾曲部から直線部に完全に切り替わってから、第1フラップ56にコイン10を到達させる。第2湾曲レール80から第7スライダー39までの道程は、コイン10の半径よりも長くするのが好ましい。直線部から湾曲部に完全に切り替わってから第7スライダー39にコイン10を到達させることが好ましい。
【0081】
第1フラップ56を例にして多角形状のコイン10の移動について説明する。多角形状のコイン10は、レール25の上を摺動する。円形状のコイン10はレール25の上を摺動または転動する。第1フラップ56がレール25より高く配置されると段差が生じる。段差がある場合に、多角形状のコイン10を摺動させると、コイン10が段差に突き当たる。コイン10は、搬送ピンローラー23に押される力で、飛び跳ねるなど、予期せぬ挙動が生じ、搬送不良を起こす恐れがある。そこで、第1フラップ56を、レール25に対して、面一にすることが好ましい。しかし、第1フラップ56とレール25を面一にすることが難しい場合には、第1フラップ56のコイン10の進行方向上流側をレール25より低く配置し、第1フラップ56のコイン10の進行方向下流側をレール25より高く配置する。多少の段差があっても、多角形のコイン10は、高い方から低い方に移動するので、段差で止められること無く、レール25に沿って搬送される。コイン10は、多少は振動するが、問題は生じない。
【0082】
湾曲部には第1フラップ56を配置しないことが好ましい。さらに好ましくは、第1フラップ56を湾曲部からコイン10の半径以上離れた直線部に配置する。湾曲部では、コイン10の縁が搬送路51から浮いてしまう。湾曲部では、コイン10が不安定な状態で搬送される。この様なときにはコイン10の進路を切り替えることを避ける。予期せぬ挙動によるコイン10の搬送不良を防止する。また、コイン10が前工程か受け渡され、コインホッパーに格納されるまでのコイン10の搬送路では、後続する予期せぬ動きのコイン10が、先行する搬送ピンローラー23に衝突し、搬送ピンローラー23によって押されているコイン10をはじき飛ばすような問題も考えられるので、コイン10の予期せぬ挙動を抑制する機構を搬送路に備えることが好ましい。
【0083】
次に、コイン処理装置の断面図を用いてコインを任意のコインホッパーに導く動作について説明する。
図7は、コイン処理装置の振分部を説明する断面図である。第2フラップ57を例に説明する。他のフラップも同様の構成である。
【0084】
搬送路51は、水平方向に対して傾斜している。例えば、搬送路51は45度傾いている。搬送路51にもたれ掛ったコイン10を、搬送ベルト24に固定された搬送ピンローラー23によって搬送する。フロントカバー55は、搬送路51に対向して配置されている。コイン10が搬送経路を外れないようにしている。また、フラップ頂部75はレール25に面一に配置され、コイン10の搬送経路の一部を構成している。コイン10は、搬送中に第2フラップ57のフラップ頂部75を移動する。
図7は、第2フラップ57の位置における断面図である。レール25のコイン10の側面に接する面と、フラップ頂部75とが面一の状態では、コイン10は通過する。この状態の場合は、コイン10は第2スライダー29、第5スライダー35の方向へは移動しない。
【0085】
搬送路カバー52に設けられた搬送路51は、上面視で、従動プーリー74の上方に一部が重なる位置に配置されている。また、同様に搬送路51は、上面視で、駆動プーリー73の上方に一部重なる位置に配置されている。コイン10を搬送する搬送路51が、上面視でプーリーに一部が重なる。
【0086】
搬送ピンローラー23は、搬送路51の下端側とレール25との間から、突出している。搬送ベルト24の平坦な面は、鉛直方向に並行に配置され、その面から45度の角度で斜め上方に搬送ピンローラー23が設けられている。搬送路51は水平方向に対して、45度の角度で傾斜して配置されている。搬送ピンローラー23の回転軸は、搬送路51に対して略垂直となっている。搬送ピンローラー23の回転軸がコイン10の厚み方向に沿っている。搬送ピンローラー23がコイン10を押す場合に、搬送路51あるいはレール25に沿った方向以外の力が加わると、搬送ピンローラー23が回転する。搬送ピンローラー23が回転することで、余分な方向の力を逃がし、コイン10を搬送方向に向かわせる。
【0087】
第2フラップ57は、フラップ軸81を回動の中心にして、図中矢印で示したフラップ第1移動方向82またはフラップ第2移動方向83の方向に移動できる。不図示の駆動機構で、第2フラップ57の位置を切り替えることができる。
【0088】
第2フラップ57が、フラップ第1移動方向82の方向に駆動された場合、レール25が断絶し、コイン10が、第2スライダー29の方向に滑り落ちる。図中点線で示したコイン43は、第2スライダー29上を滑り落ち、第2コインホッパー30(
図2)に導かれる。
【0089】
第2フラップ57が、フラップ第2移動方向83の方向に駆動された場合、レール25が断絶し、コイン10が、第5スライダー35の方向に滑り落ちる。図中点線で示したコイン44は、第5スライダー35上を滑り落ち、第5コインホッパー36(
図2)に導かれる。
【0090】
この様に、第2フラップ57は、フラップ軸81を回動の中心にして揺動させることができる。フラップ頂部75の位置を切り替えることで、コイン10を3方向に案内することができる。他の第1フラップ56、第3フラップ58も同様にコイン10を3方向に案内することができる。振分部9は、識別部8によって識別されたコイン10の金種に基づいて、3つのフラップの状態を切り替え、コイン10を金種に対応するコインホッパーに格納する。
【0091】
次に、識別部8から振分部9にコイン10を受け渡す領域について
図8と
図9を用いて説明する。必要に応じて
図2等他の図を参照して説明する。
図8は、振分部のコインの受渡領域を説明する図である。
図9は、振分部のコインの受渡領域におけるコインの状態を説明する図である。
【0092】
搬送ピンローラー23は、離隔されて配置された第1湾曲レール79と第1湾曲搬送路70との間の開口部を移動する。開口部は等間隔である。コイン10は、第1湾曲搬送路70の上方の開口から落とされ、第1湾曲レール79と第1湾曲搬送路70に受け渡される。第1湾曲搬送路70と第1湾曲レール79と鍔部45によって、落ちてくるコイン10を受ける。コイン10が搬送ピンローラー23の通路に入ることで、ジャムなどの搬送不具合が生じる恐れがある。搬送不具合を防止するため、鍔部45は、搬送ピンローラー23の通路に配置され、通路を狭くする。鍔部45は、コイン10が搬送ピンローラー23の通路に入ること遮断する遮断部とも言える。
【0093】
鍔部45は駆動プーリー73の上面側に設けられている。駆動プーリー73の鍔部45の下側には、搬送ベルト24に噛み合う歯が設けられ、搬送ベルト24が掛け回されている。鍔部45は、駆動プーリー73の回転軸から離れる方向に駆動プーリー73の歯よりも突出している。鍔部45は、搬送ピンローラー23の通路の上方に位置するように、駆動プーリー73の上面側に設けられている。
【0094】
第1湾曲搬送路70は、突出部46を備える。突出部46は、第1湾曲レール79に下部を支持されたコイン10が鍔部45にもたれ掛かることや押されることがないように、第1湾曲搬送路70の下部であって、直線状の搬送路51に隣接する位置に、搬送ピンローラー23の通路に沿って配置された突起である。突出部46は、上方から落ちてくるコイン10が、突出部46に引っ掛かり、留まらないように第2傾斜部59を備える。第2傾斜部59は、コイン10を滑り落とすことができる。コイン10が、周面を下方の第1湾曲レール79に支持され、表面又は裏面を鍔部45によって支持された場合、第1湾曲搬送路70とコイン10の表面又は裏面のなす角度が第1角度84である。コイン10が、周面を下方の第1湾曲レール79に支持され、表面又は裏面を突出部46によって支持された場合、第1湾曲搬送路70とコイン10の表面又は裏面のなす角度が第2角度85である。第1角度84は、第2角度85より小さい。コイン10が突出部46によって支持された場合、コイン10は、鍔部45とは接しない。
【0095】
突出部46は、第1湾曲搬送路70の表面の下端の縁に沿って配置されている。突出部46は、第1湾曲搬送路70のコイン10の搬送方向の下流側の端部に配置されている。突出部46は、第1湾曲搬送路70の下端の縁から、上方に延在しており、第1湾曲レール79に支持されたコイン10の上端と重なる位置まで延在していることが好ましい。
【0096】
第1湾曲レール79の直線部との境には、第2段差部49が備わる。第1湾曲レール79は、第2段差部49を境にして、直線状の部分に比べ一段低く形成されている。第2段差部49は湾曲している部分から直線上の部分の方向に高さが漸次高くなるように傾斜している。この傾斜によって、コイン10を搬送ピンローラー23によって搬送する場合に第2段差部49に掛かって停止することは無い。
【0097】
第1湾曲搬送路70の下部には、突出部46が配置されており、突出部46は、搬送路51の直線状の部分との間に段差はなく、接続されている。突出部46は、第1湾曲搬送路70の表面から漸次高くなるように形成された第1傾斜部48を備える。搬送ピンローラー23によって押動されるコイン10は、第1傾斜部48の表面に沿ってコイン10が搬送される。突出部46は、第1湾曲搬送路70のコイン10の搬送路における高さを狭める手段とも言える。また、第1湾曲搬送路70は、突出部46が配置されている領域と、配置されていない領域がある。
【0098】
コイン10は、搬送ピンローラー23によって押されている場合は、第1段差部47と第2段差部49を乗り越えて搬送され、搬送ピンローラー23によって押されてない場合は、第1段差部47と第2段差部49に掛かり、止まる場合がある。
【0099】
第1段差部47と第2段差部49は、コイン10に対してほぼ同じタイミングで作用させることが好ましい。第1段差部47と第2段差部49は湾曲部と直線部の境に配置するので、第1段差部47と第2段差部49は一つの直線上に配置されていることが好ましい。第1段差部47と第2段差部49は、コイン10の搬送方向に高さが漸次高くなるように形成されているので、コイン10は段差を乗り越えることができ、コイン10が差部に掛かりコイン10の搬送が停止されることは無い。
【0100】
突出部46の配置されていない領域では、コイン10は鍔部45と接するので、コイン10が鍔部45の移動に伴い、移動してしまう場合がある。しかし、突出部46の配置されている領域では、コイン10は突出部46によって鍔部45との接触が防止され、鍔部45によるコイン10の移動を防止できる。コイン10は搬送ピンローラー23によって搬送される。また、コイン10が、落下した勢いで、搬送方向に転がることがあるが、突出部46、第1段差部47、第2段差部49などの表面の高さの差によって、転がるコイン10を止めることができる。止まったコイン10は、搬送ピンローラー23によって搬送される。
【0101】
搬送ピンローラー23によらずにコイン10が搬送された場合、コイン10が誤って振り分けられたり、搬送不具合を生じる恐れがある。例えば、後続するコイン10は、先行するコイン10とは異なる金種であると仮定する。先行する搬送ピンローラー23に小径のコイン10が近接して転がっていた場合、先行するコイン10と後続するコイン10の距離が短くなる。先行するコイン10と後続するコイン10の距離が短い場合、先行するコイン10を落とすフラップが開き、収納され、フラップが完全に閉まる前に後続する小径のコイン10がフラップにさしかかり、誤って入ってしまったり、フラップに挟まるなどの問題が生じる恐れがある。そのため、コイン10は、搬送ピンローラー23によって搬送されることが必要である。コイン10の受渡領域では特にコイン10の挙動が安定しないので、コイン10の挙動を安定させる必要がある。
【0102】
第1湾曲搬送路70に突出部46を備える構成の他に、搬送ピンローラー23によってコイン10を確実に搬送させるため、第1湾曲レール79を傾斜させる。第1湾曲レール79をコイン10の搬送方向の上流側が低く下流側を高くする。また、第1湾曲レール79に続く、レール25の部分についても、同様にコイン10の搬送方向の上流側が低く下流側を高くする。コイン10は、レール25の傾斜によってコイン10の搬送方向には移動し難くなり、搬送ピンローラー23によって押動することで搬送される。
【0103】
鍔部45は、上面視で第1湾曲搬送路70の下端と第1湾曲レール79の上端との間に配置されている。鍔部45は、上面視で突出部46の端部と第1湾曲レール79の上端との間に配置されている。また、上面視で、第1湾曲搬送路70の下端と第1湾曲レール79の上端は重ならないように配置されている。また、上面視で、突出部46の端部と第1湾曲レール79の上端は重ならないように配置されている。そのため、上面視で、第1湾曲搬送路70の下端と第1湾曲レール79の上端の間に隙間が生じ、そこにコイン10が入り込んでしまう場合が考えられる。
【0104】
また、側面視においても、第1湾曲搬送路70の下端と第1湾曲レール79の上端の間に隙間がある。そのため、使用するコイン10の厚みよりも隙間を狭くすることが好ましい。搬送ピンローラー23を細くし、通路を狭くすることも考えられるが、搬送ピンローラー23の強度を考慮すると、細くできない。そこで、搬送ピンローラー23を細くせずとも、第1湾曲搬送路70の下端と第1湾曲レール79の上端の間にコイン10が入らないようにする遮断部を備える必要がある。
【0105】
コイン10に搬送ピンローラー23を確実に当接させるために、第1湾曲搬送路70のコイン10の搬送方向の上流側は、第1湾曲搬送路70から搬送ピンローラー23の先端までの距離を長くしている。更に、第1湾曲搬送路70のコイン10の搬送方向の下流側では、コイン10を搬送ピンローラー23によって確実に搬送させるために、コイン10が自由に動き回れないようにし、更に鍔部45にってコイン10が移動させられない構成とした。
【0106】
駆動プーリー73に搬送ベルト24が噛み合っている部分では、鍔部45は、隣り合う搬送ピンローラー23の中央に位置するように配置されていることが好ましい。また、鍔部45と搬送ピンローラー23の間隔が、使用する最小サイズのコイン10の直径よりも小さいことが好ましい。また、鍔部45の下方において、第1湾曲搬送路70との間に隙間が生じる。この鍔部45と第1湾曲搬送路70の間隔は、使用する最薄のコイン10の厚みよりも小さいことが好ましい。また、鍔部45は、隣り合う搬送ピンローラー23の間に1つある例を示したが、これに限らず、鍔部45を複数の凸部から構成しても良い。
【0107】
図10は、振分部のコインの受渡領域の第2の例を説明する図である。
【0108】
第1湾曲搬送路70に対向する位置に付勢手段86を備え、第1湾曲レール79と第1湾曲搬送路70によって支持されるコイン10を、第1湾曲搬送路70方向に付勢する。フロントカバー55は、第1湾曲搬送路70を覆ってはいないので、フロントカバー55の端部に第1湾曲搬送路70に対向する位置に張り出す張出部を配置する。付勢手段86は、その張出部に固定される。付勢手段86は、コイン10の搬送方向に向かい、付勢手段86と第1湾曲搬送路70との距離が近くなるように配置される。例えば、搬送ピンローラー23によってコイン10が運ばれるように、第1段差部47、第2段差部49が無くとも、コイン10の通路を狭めることで、コイン10の搬送方向への自由な移動を一時的に妨げる。コイン10は、後続する搬送ピンローラー23によって搬送されるようにする。付勢手段86は、第1湾曲搬送路70のコイン10の搬送路における高さを狭める手段とも言える。また、付勢手段86は、搬送ピンローラー23によって押動されていないコイン10の移動を阻害する阻害手段である。コイン10の移動を制御するためには、搬送ピンローラー23によって搬送する必要がある。第1湾曲レールと第1湾曲搬送路70にコイン10が支持されているときに、自由にコイン10が移動することを防ぐため、付勢手段86が設けられている。
【符号の説明】
【0109】
1 コイン処理装置
2 投入口
3 トレー
4 出金口
5 表示装置
6 分離部
7 受渡部
8 識別部
9 振分部
10 コイン
11 コイン通路
12 貯留容器
13 保持ベース
15 ディスク
16 凹部
17 ディスク回転方向
18 案内部
19 識別センサー
20 ホイール回転軸
21 ホイール
22 ホイール回転方向
23 搬送ピンローラー
24 搬送ベルト
25 レール
26 搬送ベルト回転方向
27 第1スライダー
29 第2スライダー
31 第3スライダー
33 第4スライダー
35 第5スライダー
37 第6スライダー
39 第7スライダー
28 第1コインホッパー
30 第2コインホッパー
32 第3コインホッパー
34 第4コインホッパー
36 第5コインホッパー
38 第6コインホッパー
40 オーバーフロー容器
41 第8スライダー
42 排出ベルト
43 点線で示されたコイン
44 点線で示されたコイン
45 鍔部
46 突出部
47 第1段差部
48 第1傾斜部
49 第2段差部
50 受渡口
51 搬送路
52 搬送路カバー
53 センサーカバー
54 レバー
55 フロントカバー
56 第1フラップ
57 第2フラップ
58 第3フラップ
59 第2傾斜部
60 本体
61 回転体
62 回転体回転軸
63 制限ピン
64 払出センサー
65 ホッパー凹部
66 ホッパベース
67 固定部
70 第1湾曲搬送路
71 第2湾曲搬送路
73 駆動プーリー
74 従動プーリー
75 フラップ頂部
76 第1プーリー軸
77 第2プーリー軸
78 ケース基部
79 第1湾曲レール
80 第2湾曲レール
81 フラップ軸
82 フラップ第1移動方向
83 フラップ第2移動方向
84 第1角度
85 第2角度
86 付勢手段