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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024111429
(43)【公開日】2024-08-19
(54)【発明の名称】自走式作業車両
(51)【国際特許分類】
   A01D 46/30 20060101AFI20240809BHJP
   A01D 46/24 20060101ALI20240809BHJP
   A01D 43/14 20060101ALI20240809BHJP
【FI】
A01D46/30
A01D46/24 B
A01D43/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023015936
(22)【出願日】2023-02-06
(71)【出願人】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】坂井 義明
(72)【発明者】
【氏名】山本 和彦
(72)【発明者】
【氏名】東 幸太
(72)【発明者】
【氏名】木下 正己
【テーマコード(参考)】
2B075
【Fターム(参考)】
2B075AA10
2B075AB02
2B075AC01
2B075AC08
2B075AC10
2B075AC20
2B075JA08
2B075JA17
2B075JA20
2B075JD08
2B075JD19
2B075JD20
2B075JF01
2B075JF02
2B075JF05
2B075JF06
2B075JF07
2B075JF08
2B075JF10
2B075JJ05
(57)【要約】
【課題】汎用性を備え、1台で多様な農作業を行うことができる自走式作業車両を提供することを目的とする。
【解決手段】
栽培施設H内を自走可能に構成された走行車体2と、種々の作業機Wを載置可能な載置部3とを備えた自走式作業車両1であって、
前記走行車体2は、種々の作業機が載置可能な載置部3と、前記作業機を制御する制御部Cとを備え、
前記載置部3は、載置された作業機Wの種類を示す作業機識別情報を取得可能な作業機識別部s2を備え、
前記制御部Cは、前記作業機識別部s2が取得した作業機識別情報に基づいて、前記載置された作業機Wに応じた作業モードで前記作業機Wを制御することを特徴とする自走式作業車両1によって上記課題が解決される。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
栽培施設内を自走可能に構成された走行車体と、種々の作業機を載置可能な載置部とを備えた自走式作業車両であって、
前記走行車体は、種々の作業機が載置可能な載置部と、前記作業機を制御する制御部とを備え、
前記載置部は、載置された作業機の種類を示す作業機識別情報を取得可能な作業機識別部を備え、
前記制御部は、前記作業機識別部が取得した作業機識別情報に基づいて、前記載置された作業機に応じた作業モードで前記作業機を制御することを特徴とする自走式作業車両。
【請求項2】
前記走行車体は、前後一方に、作業機に電源供給する作業機用バッテリが配され、前後他方に、走行車体の各機構に電源供給する走行車体用バッテリが配設されたことを特徴とする請求項1に記載の自走式作業車両。
【請求項3】
前記走行車体は、下面が開放された略箱型の金属パネルで形成されたボディ部を備え、
前記載置部は、前記走行車体上に設けられ、かつ、樹脂製平板状の載置用パネルが前記ボディ部と隙間なく配設されたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の作業車両。
【請求項4】
前記自走式作業車両は、位置情報を取得する位置情報取得部を備え、前記位置情報取得部により位置情報を取得しながら栽培施設内に敷設された走行レール上を自走して作業を行うよう構成され、
前記制御部は、作業中に作業中断の指示を受け付けると、前記位置情所得部により取得された位置情報及び前記載置部に載置された作業機の作業機識別情報を記憶し、その後、作業再開の指示を受け付けると、記憶した前記位置情報及び前記作業機識別情報を読み出して、作業が中断された位置まで移動して作業を再開することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の自走式作業車両。
【請求項5】
前記載置部に作業機として果実を収穫する収穫機が載置され、
前記収穫機は、先端を上下に首振り動作可能な腕部が筐体に取り付けられており、前記腕部の先端に、アームの開閉によって作物を把持自在な収穫ハンド体が設けられ、
前記収穫ハンドは、開閉動作によって果実の茎部を挟んで引き寄せ可能な爪部と、前記爪部の引き寄せ方向の下手側に設けられた茎部切断用の切断刃と、前記爪部によって引き寄せた果実を吸着して保持する吸着保持部と、前記制御部の制御により、前記吸着保持部の姿勢を、水平方向を向く水平向き姿勢と略鉛直方向を向く下向き姿勢とに変更可能な姿勢変更機構とを備えたことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の自走式収穫機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物工場等の栽培施設内を自走して農作業を行う自走式作業車両に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、栽培施設内を自走(換言すれば、自律的に走行)しながら無人で農作業を行う自走式作業車両として種々のものが知られている。例えば、下記特許文献1には、作物を収穫するアームと、収穫した作物を収容するバケットとを備え、自走しながら作物を収穫する自走式作業車両が開示されている。また、下記特許文献2には、作物を収穫する機能に加え、マイクによって植物の打撃音を集音し、これにより生成された音のデータを用いて、植物の生育を診断する機能を備えた自走式作業車両が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-023213号公報
【特許文献2】特許第5494183号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の自走式作業車両は、機体ごとに特定の農作業(例えば、診断、防除、収穫などの各種作業を指し、以下、単に作業ということがある。)を行う専用機として設計されており、したがって、1台の自走式作業車両に搭載できる機能は限定的であって、多様な農作業を行うことができないものであった。
【0005】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、汎用性を備え、1台で多様な農作業を行うことができる自走式作業車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、第1の発明は、
栽培施設内を自走可能に構成された走行車体と、種々の作業機を載置可能な載置部とを備えた自走式作業車両であって、
前記走行車体は、種々の作業機が載置可能な載置部と、前記作業機を制御する制御部とを備え、
前記載置部は、載置された作業機の種類を示す作業機識別情報を取得可能な作業機識別部を備え、
前記制御部は、前記作業機識別部が取得した作業機識別情報に基づいて、前記載置された作業機に応じた作業モードで前記作業機を制御することを特徴とする自走式作業車両を提供する。
【0007】
上記第1の発明によれば、載置部に載置された作業機を作業機識別部によって識別することで、作業機の種類に応じた制御命令を作業機に送信して、種々の作業が可能となる。これにより、汎用性を備え、1台で多様な農作業を行うことができる自走式作業車両を提供できる。
【0008】
第2の発明は、上記第1の発明の構成に加え、
前記走行車体は、前後一方に、作業機に電源供給する作業機用バッテリが配され、前後他方に、走行車体の各機構に電源供給する走行車体用バッテリが配設されたことを特徴とする。
【0009】
上記第2の発明によれば、上記第1の発明の効果に加え、作業機用バッテリ及び走行車体用バッテリを前後にそれぞれ配設したことにより、走行車体の前後の重量バランスの偏りを防止し、安定した走行が可能となる。
【0010】
第3の発明は、上記第1または第2の発明の構成に加え、
前記走行車体は、下面が開放された略箱型の金属パネルで形成されたボディ部を備え、
前記載置部は、前記走行車体上に設けられ、かつ、樹脂製平板状の載置用パネルが前記ボディ部と隙間なく配設されたことを特徴とする。
【0011】
上記第3の発明によれば、上記第1または第2の発明の効果に加え、
このように構成された載置用パネルは、ボディ部のカバーとしての機能も果たし、消毒や結露した水等をボディ部の外側に流すことができる。これにより、ボディ部内に配された各種機器の故障を良好に防止できる。
【0012】
第4の発明は、上記第1ないし第3のいずれかの発明の構成に加え、
前記自走式作業車両は、位置情報を取得する位置情報取得部を備え、前記位置情報取得部により位置情報を取得しながら栽培施設内に敷設された走行レール上を自走して作業を行うよう構成され、
前記制御部は、作業中に作業中断の指示を受け付けると、前記位置情所得部により取得された位置情報及び前記載置部に載置された作業機の作業機識別情報を記憶し、その後、作業再開の指示を受け付けると、記憶した前記位置情報及び前記作業機識別情報を読み出して、作業が中断された位置まで移動して作業を再開することを特徴とする。
【0013】
上記第4の発明によれば、上記第1ないし第3のいずれか発明の効果に加え、自走式作業車両が、迅速に作業を再開することができる
【0014】
第5の発明は、上記第1ないし第4のいずれかの発明の構成に加え、
前記載置部に作業機として果実を収穫する収穫機が載置され、
前記収穫機は、先端を上下に首振り動作可能な腕部が筐体に取り付けられており、前記腕部の先端に、アームの開閉によって作物を把持自在な収穫ハンド体が設けられ、
前記収穫ハンドは、開閉動作によって果実の茎部を挟んで引き寄せ可能な爪部と、前記爪部の引き寄せ方向の下手側に設けられた茎部切断用の切断刃と、前記爪部によって引き寄せた果実を吸着して保持する吸着保持部と、前記制御部の制御により、前記吸着保持部の姿勢を、水平方向を向く水平向き姿勢と略鉛直方向を向く下向き姿勢とに変更可能な姿勢変更機構とを備えたことを特徴とする。
【0015】
上記第5の発明は、上記第1ないし第4のいずれかの発明の効果に加え、果実の側方を下向き(茎部を横向き)にして、収納バケット内に収容することができ、これにより、果実の茎部を上向きにして収容バケット内に収容する場合と比べ、収容バケット内において、果実同士の隙間を減らして、果実を効率よく敷き詰めて収容することができる。加えて、腕部の移動量を抑えて迅速な作業が可能となる。
【発明の効果】
【0016】
以上のように、本発明によれば、汎用性を備え、1台で多様な農作業を行うことができる自走式作業車両を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、本発明の実施の形態にかかる自走式作業車両の外観を示す斜視図である。
図2図2は、同上の側面図である。
図3図3は、図1の走行車体を下方から視た斜視図である。
図4図4は、図1の自走式作業車両の制御部を含む制御系の構成を示すブロック図である。
図5図5は、図1の自走式作業車両が使用される栽培施設の一例を示す概略平面図である。
図6図6は、生育診断機を載置した図1の自走式作業機の斜視図である。
図7図7は同上の側面図である。
図8図8は、防除機を載置した図1の自走式作業機の斜視図である。
図9図9は、同上の側面図である。
図10図10は、収穫機を載置した図1の自走式作業機の斜視図である。
図11図11は、同上の側面図である。
図12図12は、図11の収穫ハンド体周辺の斜視図である。
図13図13は、図12の姿勢変更機構周辺の概略側面図である。
図14図14は、変形例に係る自走式走行車体の概略側面図である。
図15図15は、さらに別の変形例に係る自走式走行車体の概略側面図である。
図16図16は、環境制御に係る環境制御システムの説明図である。
図17図17は、さらに別の環境制御に係る環境制御システムの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
図1は、本発明の実施の形態にかかる自走式作業車両1の外観を示す斜視図である。図2は、同上の側面図である。ここで、以下の説明においては、図1に示されるXYZ直交座標系のX方向を自走式作業車両1の前方、-X方向を後方、Y方向を左方、-Y方向を右方、Z方向を上方、-Z方向を下方とする。なお、以下の説明では、自走式作業車両1が作業対象とする作物の一例として、トマトを想定しているが、これに限定されない。また、自走式作業車両1を、単に、機体と言うことがある。
【0019】
図1及び図2に示されるように、自走式作業車両1は、栽培施設H内を自走可能に構成された走行車体2と、種々の作業機Wを載置可能な載置部3とを備えている。なお、栽培施設Hの具体的な構造については、後述する(図4参照。)。
【0020】
<走行車体の構成>
走行車体2は、下面が開放された略箱型の金属パネルで形成されたボディ部21を備え、該ボディ部21の四隅にフェンダの機能を果たすフェンダ部22が、左右外側に張り出すように設けられている。該フェンダ部22の下方にそれぞれ、走行用車輪23を備えた走行ユニット24が配設され、これにより、走行車体2の四輪走行が可能となっている。
【0021】
載置部3は、該走行車体2上に設けられており、樹脂製平板状の載置用パネル31がボディ部21と隙間なく配設され、種々の作業機Wが載置可能となっている。このように構成された載置用パネル31は、ボディ部21のカバーとしての機能も果たし、消毒や結露した水等をボディ部21の外側に流すよう構成されている。これにより、ボディ部21内に配された各種機器の故障を良好に防止できる。
【0022】
また、図示されていないが、この載置用パネル31には、重量を計測する重量センサs1と、載置された作業機Wを識別する作業機識別部s2が内蔵されている。これにより、載置部3の所定位置に、作業機Wが載置されると、重量センサs1により測定された重量を示す重量情報と、作業機W毎に割り振られた識別番号に関する情報である作業機識別情報が、後述する制御部Cに送信される仕組みとなっている。
【0023】
なお、作業機識別部s2としては、例えば、作業機識別情報を、作業機Wから非接触で読み取り可能な、ICタグリーダーや、QRコード(登録商標)リーダー等が採用でき、したがって、作業機Wには、作業機識別情報が含まれるICタグやQRコード(登録商標)が適宜の箇所に設けられている。
【0024】
図3は、走行車体2を下方から視た斜視図である。
図3に示されるように、走行車体2のボディ部21内には、前後方向の略中央部に、制御部C等を内蔵した筐体25、が配設されている。さらに、ボディ部21内の前部に、作業機Wに電源供給する作業機用バッテリb1が配され、後部に、後述する走行ユニット等の走行車体2の各機構に電源供給する走行車体用バッテリb2が配設されている。このように、作業機用バッテリb1を前部に、走行車体用バッテリb2を後部に配したことにより、走行車体2の前後の重量バランスの偏りを防止し、安定した走行が可能となる。なお、ボディ部21内の後部に、作業機Wに電源供給する作業機用バッテリb1が配され、前部に、後述する走行ユニット等の走行車体2の各機構に電源供給する走行車体用バッテリb2が配設されてもよい。
【0025】
さらに、ボディ部21の下部には、走行車体2を走行させる走行ユニット24、走行レールLを検出する走行レール検出センサs3、走行レールLの端部を検出するレール端部検出センサs4が配設されている。また、ボディ部21の前面には、人を検知する人感センサs5が配設され、側面には、障害物を検知する障害物検知センサs6が配設され、後面には、各種スイッチを備えて作業者から設定等を目的とした各種操作を受け付ける操作部4が配設されている。なお、ボディ部21に配された各種センサによる検知情報は、後述する制御部Cに送信されるように構成されている。
【0026】
人感センサs5は、例えば、赤外線センサであり、自走式作業車両1の周囲の所定範囲内に存在する人を検知する機能を果たす。障害物検知センサs6は、例えば、超音波センサであり、自走式作業車両1の周囲の所定範囲内に存在する障害物を検知する機能を果たす。これらの検知情報を後述する制御部Cが取得することにより、自走式作業車両1は、所定距離まで人または障害物が近づくと、衝突防止のため、走行を停止するよう走行ユニット24が制御される。
【0027】
走行ユニット24は、ボディ部21の四隅にそれぞれ配されており、走行用モータ24mと、該走行用モータ24mによって正逆回転駆動される走行用車輪23とを備えている。該走行用モータ24mは、それぞれ、後述する制御部Cによって駆動制御され、これに応じて、四輪からなる走行用車輪23は、それぞれ、前転(正転)、後転(逆転)、停止のいずれかの動作が可能に構成されている。これにより、走行車体2は、走行時、前進、後進、旋回等の走行が可能である。
【0028】
走行用車輪23は、地上走行用車輪23aと、レール走行用車輪23bが車軸上に一体形成されており、地上走行用車輪23aは、レール走行用車輪23bよりも大径に設けられ、自走式作業車両1が、走行レールL外を走行するときに接地する接地転輪となっている。
【0029】
レール走行用車輪23bは、地上走行用車輪23aよりも小径かつ機体内側に設けられ、自走式作業車両1が、走行レールL上を走行するときに該走行レールL上を転輪する。なお、このとき、地上走行用車輪23aは、地上から浮き空転しているが、走行レールLを左右から挟み込むことで、レール走行用車輪23bが、走行レールL上から脱落することを防止する機能を果たしている。
【0030】
走行レール検出センサs3は、走行車体2の前部に配され、例えば、機体内側に向けて付勢されたローラ付のスイッチセンサであり、走行レールLの両側を左右ローラで挟み込むことでスイッチセンサが押圧され、これにより、走行車体2の前部が走行レールL上に位置することを検知可能となっている。これにより、後述する制御部Cは、走行車体2が走行レールL上へ進入したこと、あるいは、走行レールL上を走行中であることを判断可能となっている。
【0031】
レール端部検出センサs4は、走行車体2の後部かつ左右方向略中央位置に配された接触検知センサであり、走行レールLの端部と接触することで、走行車体2の後部が、走行レールLの端部に達したことを検知する機能を果たす。これにより、後述する制御部Cは、走行車体2の走行レールLへの乗降を判断可能となっている。
【0032】
図4は、自走式作業車両1の制御部Cを含む制御系の構成を示すブロック図である。
制御部Cは、複数のECU(Electronic Control Unit)を組み合わせて構成された情報処理装置である。この複数のECUは、それぞれが、演算処理を行うCPUと、演算処理に必要な情報を読み書き可能なメモリとを備えて構成されており、メモリに記憶された各種制御プログラムに従ってCPUが動作することにより、図4中に機能ブロックとして記載された構成が実現される。
【0033】
制御部Cの入力側には、位置情報を取得する位置情報取得部AN、各種センサS(重量センサs1、作業機識別部s2、走行レール検出センサs3、レール端部検出センサs4、人感センサs5、障害物検知センサs6)、操作部4等が接続されており、制御部Cはこれらから各種情報を取得可能となっている。
【0034】
位置情報取得部ANは、所定の時間間隔で、自走式作業車両1の位置情報を取得する装置であり、上空を周回している航法衛星から、測位アンテナ(図示せず)により電波(GNSS信号)を受信して位置情報を取得可能に構成されている。なお、位置情報取得部ANによって測定された位置情報は、制御部Cに送信される。これにより、制御部Cは、現在の自走式作業車両1の機体の位置を示す位置情報を、適宜、取得及び記録可能となっている。
【0035】
制御部Cは、走行系を制御する走行制御部c1と、作業系を制御する作業制御部c2と、各種情報を記憶する情報記憶部c3とを備えている。
【0036】
走行制御部c1は、走行ユニット24の制御を司る走行ユニット制御部c11と、自走式作業車両1の走行ルートを決定する走行ルート決定部c12とを備えている。
走行ルート決定部c12は、走行ルートc12を決定する機能を果たし、走行ルート決定部c12によって決定された走行ルートに基づいて、走行ユニット制御部c11が走行ユニット24を制御し、決定された走行ルート上を、自称式作業車両1が走行するように構成されている。
【0037】
作業制御部c2は、載置部3に載置された作業機Wに、無線通信部Uを介してその作業機の種類に応じた制御命令を送信する機能を果たし、作業モードを決定する作業モード決定部c21と、作業モード決定部c21によって決定された作業モードを実行する作業実行部c22とを備えている。ここで、作業モードとは、すなわち、作業機Wの種類に応じて、その作業機Wが作業を遂行するのに必要な制御を実行する(換言するならば、必要な制御命令を作業機Wに送信する)モードであり、例えば、生育診断作業モードc221では、作業走行時に、後述する生育診断機w1の青色LED光源w11と、CCDカメラw12とを備えた光学ユニットw13を適宜のタイミングで制御して、作物の生育を診断すする。同様に、防除作業モードc222は、防除機w2の各機構を、収穫作業モードc223は、収穫機w3の各機構を適宜のタイミングで制御して作業を遂行するモードである。
【0038】
作業モード決定部c21は、作業機認識部s2によって取得された作業機Wの作業機識別情報から、載置部3に載置された作業機Wの種類に応じて、各作業機Wに応じた制御命令を、走行制御部c1及び作業機Wに送信し、各作業機Wによる作業を実行する(遂行させる)機能を果たす。
【0039】
作業実行部c22は、各種の作業機Wに応じた作業モードを実行する機能を果たすものであり、生育診断機W1に応じた制御命令を送信する生育診断作業モードc221と、防除機W2に応じた制御命令を送信する防除モードc222と、収穫機W3に応じた制御命令を送信する収穫作業モードc223とを備えている。なお、図示例の作業モードは例示であり、作業実行部c22には、作業機Wの種類に応じた作業モードが設定される。
【0040】
走行ルート記憶部c31には、自走式作業車両1の作業経路を示す作業経路情報が記憶されている。該作業経路情報には、少なくとも、栽培施設H内の栽培ベッドh4毎に、その栽培ベッドh4に作業を行うための1本の直進走行経路Lnの位置情報が含まれている(図5参照)。例えば、栽培ベッドh4が10列の場合、作業経路情報には、栽培ベッドh4の長さ方向に沿って伸びる10本の直進走行経路Lnの位置情報が含まれる。また、直進走行経路Lnに関する位置情報は、少なくとも、その直進走行経路Lnの両端(すなわち、始点と終点)の位置情報を含む。なお、通常、自走式作業車両1は、走行レールL上を走行しながら作業を行うため、直進走行経路Lnは、走行レールLに沿うように設定される。
【0041】
走行ルート決定部c12は、走行ルート記憶部c31から作業経路情報を取得し、各直進走行経路Lnの作業順を、決定する機能を果たす。作業順は、通常、所定の走行ルールに従って自動決定される。例えば、各種操作スイッチの操作を受け付け、作業対象とする栽培スペースh5を作業者が選択決定すると、出荷室h2側の出入り口h7に近い直進走行経路Lnから順に、走行し作業を行うよう構成できる。このとき、例えば、各種操作スイッチの操作によって、出入り口h7から順に並ぶ直進走行経路Lnを1列飛ばしで、走行しながら作業を行うように、走行ルールの設定を変更可能とすることもできる。あるいは、操作部4や携帯端末Tの操作により、作業者が、作業対象とする任意の直進走行経路Lnを適宜選択できるよう構成されてもよい。
【0042】
自走式作業車両1は、1本の直進走行経路Lnの走行における作業を1工程とし、1工程が完了すると、作業が完了した直進走行経路Lnの終点と、次工程の直進走行経路Lnの始点とを結ぶ旋回経路を算出し、旋回して次工程の直進走行経路Lnの始端へと移動する。
【0043】
制御部Cの出力側には、無線通信が可能な無線通信装置である無線通信部Uが接続されており、制御部Cは、この無線通信部Uを介して、作業機Wや、タブレットなどの携帯端末Tと各種情報を送受可能となっている。
【0044】
情報記憶部c5は、各種情報を記憶可能な記憶装置であり、例えば、例えばHDD(Hard Disc Drive)やSSD(Solid State Drive)で構成される。情報記憶部c3は、走行ルートに関する情報を記憶する走行ルート記憶部c31、作業位置を記憶する作業位置記憶部c32とを備えている。なお、作業位置とは、栽培施設内において、作業機Wによって特定の作業を行う位置を示しており、より詳細には、作物が定植された位置に対応して自走式作業車両1が作業を行うべき位置を示すものである。
【0045】
無線通信部Uは、制御装置Cと物理的に離間した外部機器と無線通信により情報交換が可能な通信装置である。本実施形態においては、無線通信部Uは、図示しないネットワークNWを介して操作端末Tと接続し、情報の送受が可能となっている。また、作業機Wを各種情報の送受が可能となっている。
【0046】
なお、図4において、制御部Cと接続可能な作業機Wとして、生育診断機w1、防除機w2、収穫機w3を例示したが、図示例に限定されない。また、上記のように構成された自走式作業車両1は、例えば、操作部4が作業開始を指示する所定スイッチの操作を受け付けたとき、または、携帯端末Tから作業開始を指示する命令を受信したとき、制御部Cによる自動走行が開始され、載置された作業機Wを自動認識し、直進走行経路Ln上で、認識された作業機Wに応じた制御命令が送信され、これにより、作業機Wが制御されて、各種の作業が行われる。
【0047】
また、作業開始後、全工程作業完了による作業終了前に、操作部4が作業中断を指示する所定スイッチの操作を受け付けたとき、または、携帯端末Tから作業中断を指示する命令を受信したとき、制御部Cは作業を中断した位置の位置情報を位置情報取得部ANから取得して、これを記憶する。同時に、作業中であった作業機Wの種類(つまり、載置部3に載置された作業機Wの作業機識別情報)及び、作業実行部c22による作業モードを記憶する。なお、このとき、作業中断した日時の情報も併せて記憶されてもよい。その後、操作部4が作業再開を指示する所定スイッチの操作を受け付けたとき、または、携帯端末Tから作業再開を指示する命令を受信したとき、記憶された作業中断した位置の位置情報を参照し、これを読み出すことで、作業が中断した位置まで自動走行し、作業中断時に記憶された作業中であった作業機Wの種類(作業機識別情報)及び、作業実行部c22による作業モードを参照し、これを再設定して作業再開することにより、迅速に作業を再開することができるように構成されている。なお、作業中断に係る位置情報の記録は、走行レール検出センサs3、レール端部検出センサs4、走行用車輪23の回転数を検出するロータリーエンコーダ等の検出情報に基づいて行われてもよい。
【0048】
<栽培施設の構成>
図5は、自走式作業車両1が使用される栽培施設Hの一例を示す概略平面図であり、この栽培施設Hは、暖房機や加湿機等により温度及び湿度等の室内環境が管理される温室である栽培室h1と、該栽培室h1に隣接する出荷室h2とを備えている。
【0049】
前記栽培室1内の中央には自走式作業車両1や作業者等が移動するためのメイン通路h3が設けられており、このメイン通路h3は、例えば、路面がコンクリートで構成されたコンクリート通路である。
【0050】
メイン通路h3の両側の側方位置には、栽培ユニットとなる栽培ベッドh4を多数列配置した作物を栽培するための栽培スペースh5を構成している。なお、前記栽培ベッドh4は、例えば、培地となるロックウールで形成された栽培床部であり、出荷室h2内の養液供給装置h6から各栽培ベッドh4へ養液が供給される構成となっている。この栽培ベッドh4内には、その長さ方向に沿って、所定間隔毎に、作物が定植される。
【0051】
また、メイン通路h3の両端には開閉扉を備える栽培室h1への出入り口h7を設け、一方の出入り口h7を介して隣接する出荷室h2へ行き来できる構成となっている。なお、他方の出入り口h8は、栽培施設の屋外から出入りできる構成となっている。そして、自走式作業車両1は、メイン通路h3から各々の栽培ベッドh4の間のサブ通路h9に移動し、該サブ通路h9で栽培ベッドh4に沿って自動走行させながら作物に対し、各種作業を行う。
【0052】
サブ通路h9は、各々の栽培ベッドh4の左右間で前後方向に形成される通路となる。
なお、図5には図示されていないが、自走式作業車両1は、それぞれのサブ通路h4上に2列で敷設された暖房用管を走行レールLとして走行可能に構成されている。したがって、自走式作業車両1の直進走行経路Lnは、走行レールL上を走行しながら作業を行うため、サブ通路h9内であって、走行レールLに沿うように複数設定される。なお、暖房用管は、温水を管内に循環させる管状体であり、これにより、栽培室h1内を暖房する機能を果たすものである。
【0053】
以上のように構成された自走式作業車両1は、種々の作業機Wを載置部3に載置し、載置した作業機Wを制御して作業が可能となっている。そして、載置部3に載置された作業機Wを作業機識別部s2によって識別することで、作業機Wの種類に応じた制御命令を作業機Wに送信して(このとき、制御部Cは、認識された作業機Wに応じた作業モードとなる。)、種々の作業が可能となっている。これにより、汎用性を備え、1台で多様な農作業を行うことができる自走式作業車両1を提供できる。その作業機Wの具体例について、以下、順に説明する。ただし、自走式作業車両1の載置部3に載置可能な作業機Wは、下記の例に限定されない。
【0054】
<生育診断機の構成>
図6は、生育診断機w1を載置した自走式作業機の斜視図であり、図7は、側面図である。生育診断機w1は、クロロフィル蛍光を検出して、植物のストレス状態を計測するように構成されている。
【0055】
ここに、クロロフィル蛍光とは、植物の葉に励起光を照射した際に、植物の葉に含まれた葉緑素が吸収した光エネルギーのうちで、光合成に用いられなかった余剰の光エネルギーが、赤色光として植物から発せられるものをいい、クロロフィル蛍光を検出することによって、植物の光合成の状態(ストレス状態)を定量的に評価することが可能になる。
【0056】
すなわち、クロロフィル蛍光の光量が小さいときは、光合成が盛んで、植物のストレスが低いことが認められ、一方で、クロロフィル蛍光の光量が大きいときは、光合成が不良で、植物のストレス状態が高いことが認められる。
【0057】
図6に示されるように、生育診断機w1は、600nm未満の励起光を放出する複数の青色LED光源w11と、CCDカメラw12とを備えた光学ユニットw13を備えている。複数の青色LED光源w11およびCCDカメラw12は、走行レール7の長手方向に対して、光学ユニットw13の一方の側に設けられている。
【0058】
載置部3に、生育診断機w1が載置されると、制御部Cは、作業機識別部s2によってこれを認識し、作業機識別情報を作業モード決定部c21が取得し、作業実行部c22に生育診断作業モードc221を実行させる。生育診断作業モードc221においては、走行制御部c1による直進走行経路Lnの作業走行中、制御部Cは、生育診断機w1から植物の光合成の状態に関する情報を取得してこれを記録し、携帯端末Tに送信する。
【0059】
また、青色LED光源w11と、CCDカメラw12とによって、作物が検知されると、位置情報取得部ANから取得した位置情報によって、自動式走行車両1の機体の現在位置を、作業位置として、作業位置記憶部c32に適宜記憶するよう構成されている。これにより、制御部Cは、生育診断機w1以外の他の作業機Wによる作業走行時、位置情報取得部ANの位置情報と、この作業位置に関する情報を参照することにより、作物が定植された位置(作業が必要な位置)が判別できるため、例えば、作業位置において一時停止し、作業機Wによる作業を実行できるよう構成されている。
【0060】
<防除機の構成>
図8は、防除機w2を載置した自走式作業機の斜視図であり、図9は、側面図である。防除機w2は、制御部Cにより制御される電動ポンプw21の駆動により、薬剤が収容された防除用タンクw22内の薬剤を防除スプレイヤーw23から噴出して作物へと散布する仕組みとなっている。
【0061】
載置部3に、防除機w2が載置されると、制御部Cは、作業機識別部s2によってこれを認識し、作業機識別情報を作業モード決定部c21が取得し、作業実行部c22に防除作業モードc222を実行させる。
【0062】
防除作業モードc222においては、走行制御部c1による直進走行経路Lnの作業走行中、自走式作業機1は、制御部Cにより、電動モータを駆動制御し、防除スプレイヤーw23から作物に薬剤を散布する。このとき、位置情報取得部ANの位置情報と、作業位置記憶部c32に、他の作業によって予め記録された作業位置に関する情報を参照することにより、生育診断作業モードc221において記録された作業位置上で一時停止あるいは速度を低下させるよう構成されてもよい。これにより、作物が存在する位置で重点的に薬剤を散布できるため、薬剤のロスを抑えることができ効率的である。
【0063】
<収穫機の構成>
図10は、収穫機w3を載置した自走式作業機の斜視図であり、図11は、側面図である。収穫機w3は、先端を上下に首振り動作可能な腕部w31が筐体w32に取り付けられており、この腕部w31の先端に、アームの開閉によって作物を把持自在な収穫ハンド体w33が設けられている。
【0064】
図12は、図11の収穫ハンド体33周辺の斜視図であり、図13は、図12の姿勢変更機構w335周辺の概略側面図である。
収穫機w3は、図示しない作物の認識装置によって収穫すべき果実の位置情報を制御部Cが取得可能に構成されており、これにより、制御部Cが、腕部w31及び収穫ハンド体w33の動作を制御し、収穫ハンド体w33で果実を把持して摘み取った後、筐体w32下部の収納バケットA上まで把持した果実を移動させてから解放し、収納バケットB上に果実を収納する構成となっている。なお、図13に示されるように、収納バケットBは、上面が開放した箱形状をなしている。
【0065】
収穫ハンド体w33は、開閉動作によって果実の茎部を挟んで引き寄せ可能な爪部w331と、該爪部w331の引き寄せ方向の下手側に設けられた茎部切断用の切断刃w332と、該爪部w332によって引き寄せた果実を吸着して保持する吸着保持部w333とを備えている。
【0066】
吸着保持部w333は、椀形状をなすパッド部材であり、椀形状の底部に設けられた開口に吸引ホースw334が接続され、吸着保持部w333に引き寄せられた果実と吸着保持部w333との空間に存在する空気を吸引ホースw334で吸引し、真空圧により、果実を保持するよう構成されている。なお、吸引ホースw334の終端は、電動式ファンを備えた真空ポンプ(図示せず)と接続され、該真空ポンプの駆動により、吸引ホースw334内の空気を吸引し、吸着保持部w333による果実の吸着が可能となっており、該真空ポンプの駆動停止により、果実の吸着状態が解除される。また、該吸引ポンプの駆動は、制御部Cにより行われる。
【0067】
また、収穫ハンド体w33は、吸着保持部w333の姿勢を変更する姿勢変更機構w335を備えている。この姿勢変更機構w335は、図中の吹き出し部分に要部拡大図が示されるように、腕部w31に対して固定された固定板部w336に蝶番状のヒンジ部w337を介して回動自在に取り付けられた回動板部w338を備えている。さらに、この回動板部w338には、エアシリンダw339が取り付けられており、該エアシリンダw339の伸縮によって、該回動板部が回動し、該回動板部に取り付けられた吸着保持部w333を、水平方向を向く水平向き姿勢と、下方を向く下向き姿勢とに切り替え可能となっている。具体的には、該エアシリンダw339が伸長すると、回動板部w338は、これに押されて下方へ回動し(矢線F方向)、吸着保持部w333が略鉛直方向を向く下向き姿勢となる。反対に、該エアシリンダw339が短縮すると、回動板部w338は、これに引かれて上方へ回動し、吸着保持部w333が略水平方向を向く水平向き姿勢となる。なお、エアシリンダw339の伸縮は、制御部Cにより制御される。
【0068】
このように構成された収穫機w3は、制御部Cの制御により、爪部w331の閉動作とともに、引き寄せられた果実を吸着保持部w333で吸着し、同時に、切断刃w332にて果実の茎部を切断した後、姿勢変更機構w335により、果実を吸着したまま吸着保持部w333を、水平向き姿勢から下向き姿勢へと変更し、腕部w31の駆動により、収納バケットB上まで把持した果実を移動させてから、吸着状態を解除して解放し、収納バケットB上に果実を載置する仕組みとなっている。これにより、果実の側方を下向き(茎部を横向き)にして、収納バケットB内に収容することができ、これにより、果実の茎部を上向きにして収容バケットB内に収容する場合と比べ、収容バケットB内において、果実同士の隙間を減らして、果実を効率よく敷き詰めて収容することができる。加えて、腕部w3の移動量を抑えて迅速な作業が可能となる。なお、吸着保持部w333が果実を解放すると、姿勢変更機構w335により、吸着保持部w333は、次の果実を収穫するため、下向き姿勢から再び水平向き姿勢へと姿勢変更される。
【0069】
また、吸着保持部w333と回動板部w338との間には、弾性部材である緩衝スプリングw340が配設されており、吸着保持部w333に押圧力が加わると、該緩衝スプリングw340の付勢力に抗して、所定範囲で、吸着保持部w333が回動板部w338側に移動可能な構成となっている。これにより、吸着保持部w333が果実を吸着する際に、緩衝スプリングw340がその衝撃を吸収することで、果実が潰れたり傷付いたりする事態を防止できる。
【0070】
なお、図13に示されるように、収容バケットBの下部(底部の下方)には、所定空間が設けられて段積みが可能となっている。また、果実載置用の底部に設けられた複数の丸穴には、果実の傷付きを防止するため、角部に丸みが設けられている。
【0071】
収穫作業モードc223においては、走行制御部c1による直進走行経路Lnの作業走行中、自走式作業機1は、制御部Cにより、収穫機w3を制御して摘果する。このとき、位置情報取得部ANの位置情報と、この作業位置に関する情報を参照することにより、生育診断作業モードc221において記録された作業位置上でさせるよう構成されてもよい。これにより、作物の位置を良好に判断できるため、円滑に摘果できる。
【0072】
<変形例>
以上、本発明の実施形態を説明した。本発明は、前記した実施形態にのみ限定されない。技術的思想の範囲内で、適宜変更であることは言うまでも無い。
図14は、変形例に係る自走式走行車体1の概略側面図である。
図14に示されるように、自走式走行車体1に載置する作業機Wにカメラ(撮像装置)とディスプレイ(表示装置)を設け、該ディスプレイにリアルタイムに表示されるカメラの撮像画像に、操作部4の操作によって、作業者が水平方向に伸びるラインを上下に設定可能とし、制御部Cが、該設定されたラインより下の葉の面積(緑色の面積)が一定の場合、携帯端末Tに葉かきを指示する旨のメッセージを送信して表示させるように構成されてもよい。これにより、作業忘れを防止し、適切なタイミングで葉かきを促すことができる。
【0073】
図15は、さらに別の変形例に係る自走式走行車体1の概略側面図である。
図15に示されるように、自走式走行車体1に載置する作業機Wにカメラ(撮像装置)とディスプレイ(表示装置)を設け、該ディスプレイにリアルタイムに表示されるカメラの撮像画像に、操作部4の操作によって、作業者が水平方向に伸びるラインを上下に設定可能とし、制御部Cが、該設定されたラインより下の存在する果実を画像認識し、携帯端末Tに摘果を指示する旨のメッセージを送信して表示させるように構成されてもよい。これにより、作業忘れを防止し、適切なタイミングで摘果を促すことができる。
【0074】
また、上記の実施形態においては、作業機識別部s2によって作業機Wを認識するよう構成したが、作業機W毎の重量を制御部Cに予め記憶させておき、重量センサs1が検知した重量により作業機Wを認識するよう構成することもできる。あるいは、作業機識別部s2が故障した場合に、故障が検出されると、制御部Cが、重量センサs1による作業機Wによる作業機Wの認識に切り替わるよう構成されてもよい。なお、このとき、防除機w2は、作業の進行に応じて、薬剤が消費されて重量が軽くなるため、防除用タンクw22が満量時の重量が設定されることが望ましく、作業開始時(例えば、操作部4が作業開始を指示する所定スイッチの操作を受け付けたとき)に、作業機Wの認識が行われることが望ましい。
【0075】
上記の実施形態においては、作業制御部c2は、載置部3に載置された作業機Wに、無線通信部Uを介してその作業機の種類に応じた制御命令を送信するよう構成を説明したが、作業機Wに着脱自在な有線ケーブルの接続により情報を送受するよう構成することもできる。
【0076】
<その他>
図16は、環境制御に係る環境制御システムの説明図である。
図16に示されるように、季節ごとに自動で環境設定を変更す環境制御システムにおいて、日射量に上下限を設定し、その設定を越えた場合に、別の季節設定を読み込むように構成されてもよい。年ごとに寒暖があるため、日付で設定の場合、会わない設定が続くことがある。これにより、自動で設定変更でき、年ごとの外部環境の違いに対応できる。
【0077】
図17は、さらに別の環境制御に係る環境制御システムの説明図である。
図17に示されるように、生育診断機w1で光合成機能を計測し、日射量が高い日に、光合成機能の低下が確認されると、別の季節設定を読み込むよう構成されてもよい。日射上限を超えても、作物の状態によっては、問題ないこともあるため、自動で設定変更可能とし、より作物に適切なタイミングで設定を変更可能となる。
【符号の説明】
【0078】
1 自走式作業車両
2 走行車体
3 載置部
4 操作部
21 ボディ部
22 フェンダ部
23 走行用車輪
23a 地上走行用車輪
23b レール走行用車輪
24 走行ユニット
24m 走行用モータ
25 筐体
31 載置用パネル

S 各種センサ
s1 重量センサ
s2 作業機識別部
s3 走行レール検出センサ
s4 レール端部検出センサ
s5 人感センサ
s6 障害物検知センサ

b1 作業機用バッテリ
b2 走行車体用バッテリ

C 制御部
c1 走行制御部
c2 作業制御部
c3 情報記憶部
U 無線通信部

AN 位置情報取得部
L 走行レール
T 携帯端末
U 無線通信部
H 栽培室
h1 栽培室
h2 出荷室
h3 メイン通路
h4 栽培ベッド
h5 栽培スペース
h6 養液供給装置
h7 出入り口

W 作業機
w1 生育診断機
w2 防除機
w3 収穫機

H 栽培施設
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17