(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024111441
(43)【公開日】2024-08-19
(54)【発明の名称】洗浄剤物品
(51)【国際特許分類】
C11D 17/06 20060101AFI20240809BHJP
C11D 17/04 20060101ALI20240809BHJP
C11D 1/65 20060101ALI20240809BHJP
C11D 1/38 20060101ALI20240809BHJP
C11D 1/02 20060101ALI20240809BHJP
C11D 3/08 20060101ALI20240809BHJP
C11D 3/06 20060101ALI20240809BHJP
C11D 3/10 20060101ALI20240809BHJP
【FI】
C11D17/06
C11D17/04
C11D1/65
C11D1/38
C11D1/02
C11D3/08
C11D3/06
C11D3/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023015952
(22)【出願日】2023-02-06
(71)【出願人】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【氏名又は名称】義経 和昌
(74)【代理人】
【識別番号】100203242
【弁理士】
【氏名又は名称】河戸 春樹
(72)【発明者】
【氏名】中川 理
(72)【発明者】
【氏名】久米 敏正
(72)【発明者】
【氏名】上野 渉
(72)【発明者】
【氏名】小島 宏紀
【テーマコード(参考)】
4H003
【Fターム(参考)】
4H003AB19
4H003AE05
4H003BA09
4H003BA18
4H003DA01
4H003EA07
4H003EA15
4H003EA16
4H003EA28
4H003EB30
4H003FA32
(57)【要約】
【課題】アニオン性化合物とカチオン界面活性剤を含む粉末洗浄剤組成物を水溶性フィルムで包装してなる洗浄剤物品において、より短時間(例えば、水への投入から30秒)での水への溶解性が改善された洗浄物品を提供する。
【解決手段】下記粒子群(A)、及び下記粒子群(B)を10質量%以上80質量%以下、含有する粉末洗浄剤組成物を、水溶性フィルムに包装してなる洗浄剤物品。
粒子群(A):(a)アニオン性界面活性剤、カルボン酸基又はその塩を有し、重量平均分子量が3000以上のポリマー、及びアルカリ金属珪酸塩から選ばれる1種以上のアニオン性化合物(以下、(a)成分という)を10質量%以上含有する粒子群
粒子群(B):(b)カチオン性界面活性剤5質量%以上20質量%以下、(c)水溶性無機塩(以下、(c)成分という)を60質量%以上90質量%以下含有し、実質的に(a)成分を含有しない、粒子群であり、撹拌子(長さ50mm、胴径8mm)と20℃のイオン交換水1Lを入れた円筒容器(内径10cm、高さ15cm、ガラス製)に、撹拌装置を用いて撹拌子を800rpmで回転させながら10質量%濃度になるように前記粒子群を投入して溶解させ、投入から30秒後の時点で3℃以上発熱する粒子群
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記粒子群(A)、及び下記粒子群(B)を10質量%以上80質量%以下、含有する粉末洗浄剤組成物を、水溶性フィルムに包装してなる洗浄剤物品。
粒子群(A):(a)アニオン性界面活性剤、カルボン酸基又はその塩を有し、重量平均分子量が3000以上のポリマー、及びアルカリ金属珪酸塩から選ばれる1種以上のアニオン性化合物(以下、(a)成分という)を10質量%以上含有する粒子群
粒子群(B):(b)カチオン性界面活性剤5質量%以上20質量%以下、(c)水溶性無機塩(以下、(c)成分という)を60質量%以上90質量%以下含有し、実質的に(a)成分を含有しない、粒子群であり、撹拌子(長さ50mm、胴径8mm)と20℃のイオン交換水1Lを入れた円筒容器(内径10cm、高さ15cm、ガラス製)に、撹拌装置を用いて撹拌子を800rpmで回転させながら10質量%濃度になるように前記粒子群を投入して溶解させ、投入から30秒後の時点で3℃以上発熱する粒子群
【請求項2】
粒子群(A)の嵩密度が、500g/L以上1000g/L以下である、請求項1に記載の洗浄剤物品。
【請求項3】
粒子群(B)中の(c)成分が、(c1)アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属炭酸水素塩、及びトリポリリン酸塩から選ばれる1種以上の水溶性アルカリ無機塩である、請求項1又は2に記載の洗浄剤物品。
【請求項4】
粒子群(B)中の(c)成分が、炭酸ナトリウム、及び炭酸カリウムから選ばれる1種以上である、請求項1~3の何れか1項に記載の洗浄剤物品。
【請求項5】
前記粉末洗浄剤組成物中、粒子群(A)の含有量と粒子群(B)の含有量との質量比(A)/(B)が、0.25以上4.0以下である、請求項1~4の何れか1項に記載の洗浄剤物品。
【請求項6】
繊維製品用である、請求項1~5の何れか1項に記載の洗浄剤物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉末洗浄剤組成物を水溶性フィルムに包装してなる洗浄剤物品に関する。
【背景技術】
【0002】
共働き世帯の増加に伴い、家事をする時間を確保できないことから、洗濯機による洗濯環境が変化している。具体的には、一度に大量の繊維製品を洗濯するため込み洗いや、洗濯時間をより短くするために洗濯機の洗濯時間を短くするコースを使用することが増加している。
また繊維製品の洗濯において、洗浄剤組成物を水溶性フィルムに包装した洗浄剤物品が、洗浄剤組成物の計量の手間が省けるため、広く一般に用いられている。
【0003】
特許文献1には、複数の粒子を含む組成物であって;粒子が、約25重量%~約94重量%の水溶性担体と;約5重量%~約45重量%の約18~約60の、ヨウ素価を有する親脂肪酸化合物から形成される第四級アンモニウム化合物と、約0.5重量%~約10重量%のカチオン性ポリマーとを含み、粒子の各々が、約1mg~約1gの質量を有する、組成物が開示されている。
特許文献2には、物品洗浄用アルカリ性洗剤組成物であって、約40重量%~約90重量%のアルカリ性源と、非イオン性低泡性界面活性剤及びカチオン性四級界面活性剤を含む約1重量%~約20重量%の界面活性剤成分であって、前記界面活性剤を1:1超の割合で含む、界面活性剤成分と、約0.1重量%~約10重量%の消泡性非イオン性界面活性剤と、を含み、残りは、金属保護剤、水質調整剤もしくはポリマー、酵素、キレート剤、漂白剤、固化助剤、及び/または担体のうちの1つ以上を含む、物品洗浄用アルカリ性洗剤組成物が開示されている。
特許文献3には、(a)過炭酸ソーダ、過炭酸カリウム、過硼酸ソーダ、過硼酸カリウム、モノ過硫酸カリウム、モノ過硫酸ソーダ及び硫酸ナトリウム・塩化ナトリウム・過酸化水素付加体から選ばれる1種以上の無機過酸化物、(b)カチオン系殺菌剤及び(c)炭酸塩もしくは重炭酸塩(c1)と固体酸(c2)とからなる発泡剤を含有する、床などの硬質表面を簡易に且つ効果的に漂白・殺菌できる硬質表面用固形洗浄剤組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2021-504547号公報
【特許文献2】特表2018-536061号公報
【特許文献3】特開平11-35987号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
粉末洗浄剤組成物を水溶性フィルムに包装した洗浄剤物品を、繊維製品の短時間(6~9分)の洗浄に用いた場合、中身の粉末洗浄剤組成物が洗浄水に溶解するまでに、1~2分程度の時間がかかるため、実際の洗浄時間は更に短くなり、洗浄性能は低下し、また粉末洗浄剤組成物の溶け残りが繊維製品に残ってしまう可能性がある。また粉末洗浄剤組成物は、洗浄性能を上げる目的からアニオン性界面活性剤などのアニオン性化合物を、抗菌性能を上げる目的からカチオン界面活性剤を含有することが望まれるが、本発明者は、両者を含む粉末洗浄剤組成物を用いた場合、粉末洗浄剤組成物中でアニオン性化合物とカチオン界面活性剤が不溶性の複合体を形成し、当該粉末洗浄剤組成物を水溶性フィルムで包装してなる洗浄剤物品の溶解性をさらに悪化させることを発見した。
【0006】
本発明は、アニオン性化合物とカチオン界面活性剤を含む粉末洗浄剤組成物を水溶性フィルムで包装してなる洗浄剤物品において、より短時間(例えば、水への投入から30秒)での水への溶解性が改善された洗浄物品を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、下記粒子群(A)、及び下記粒子群(B)を10質量%以上80質量%以下、含有する粉末洗浄剤組成物を、水溶性フィルムに包装してなる洗浄剤物品に関する。
粒子群(A):(a)アニオン性界面活性剤、カルボン酸基又はその塩を有し、重量平均分子量が3000以上のポリマー、及びアルカリ金属珪酸塩から選ばれる1種以上のアニオン性化合物(以下、(a)成分という)を10質量%以上含有する粒子群
粒子群(B):(b)カチオン性界面活性剤5質量%以上20質量%以下、(c)水溶性無機塩(以下、(c)成分という)を60質量%以上90質量%以下含有し、実質的に(a)成分を含有しない、粒子群であり、撹拌子(長さ50mm、胴径8mm)と20℃のイオン交換水1Lを入れた円筒容器(内径10cm、高さ15cm、ガラス製)に、撹拌装置を用いて撹拌子を800rpmで回転させながら10質量%濃度になるように前記粒子群を投入して溶解させ、投入から30秒後の時点で3℃以上発熱する粒子群
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、アニオン性化合物とカチオン界面活性剤を含む粉末洗浄剤組成物を水溶性フィルムで包装してなる洗浄剤物品において、より短時間(例えば、水への投入から30秒)での水への溶解性が改善された洗浄物品が提供される。
【0009】
本発明の洗浄剤物品は、より短時間(例えば、水への投入から30秒)での水への溶解性が改善されていることから、繊維製品の短時間(6~9分)の洗浄に用いた場合でも、洗浄性能の低下を抑制し、また粉末洗浄剤組成物の溶け残りを低減することが期待でき、また粉末洗浄剤組成物がアニオン性化合物とカチオン界面活性剤を含んでいることから、洗浄効果、及び抗菌効果の両方を期待できる。そのため、生活者は、繊維製品のきれいな洗い上がり、及び抗菌効果を期待できる洗浄剤物品を簡便に使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[洗浄剤物品]
本発明の洗浄剤物品が、アニオン性化合物とカチオン界面活性剤を含む粉末洗浄剤組成物を包装してなるものであっても、より短時間(例えば、水への投入から30秒)での水への溶解性が改善される理由は必ずしも定かではないが、本発明の洗浄剤物品は、アニオン性化合物を実質的に含まず、カチオン界面活性剤を含む、粒子群(B)である発熱粒子群と、アニオン性化合物を含む、粒子群(A)である非発熱粒子群を分けて含有することで、粉末洗浄剤組成物中でアニオン性化合物とカチオン界面活性剤が不溶性の複合体を形成するのを抑制し、また本発明の洗浄剤物品が水と接触してフィルム内に水が流入した際に、洗浄剤物品中の粉末洗浄剤組成物に含まれる粒子群(B)である発熱粒子群が素早く溶解してフィルム内の温度を局所的に上昇させ、フィルム、及び粒子群(A)である非発熱粒子群の溶解を促進することで、洗浄剤物品全体のより短時間での水への溶解性が向上したものと推定される。
【0011】
本発明の洗浄剤物品は、粒子群(A)、及び粒子群(B)を10質量%以上50質量%以下、含有する粉末洗浄剤組成物(以下、本発明の粉末洗浄剤組成物という)を、水溶性フィルムに包装してなる。
【0012】
<粉末洗浄剤組成物>
<粒子群(A)>
本発明の粉末洗浄剤組成物は、粒子群(A)として、(a)アニオン性界面活性剤、カルボン酸基又はその塩を有し、重量平均分子量が3000以上のポリマー、及びアルカリ金属珪酸塩から選ばれる1種以上のアニオン性化合物(以下、(a)成分という)を10質量%以上含有する粒子群を含有する。
【0013】
本発明の洗浄剤物品がより短時間で水への溶解性が向上する観点から、粒子群(A)は、撹拌子(長さ50mm、胴径8mm)と20℃のイオン交換水1Lを入れた円筒容器(内径10cm、高さ15cm、ガラス製)に、撹拌装置を用いて撹拌子を800rpmで回転させながら10質量%濃度になるように粒子群を投入して溶解させ、投入から30秒後の時点で3℃以上発熱しない粒子群であることが好ましい。
粒子群(A)の前記した溶解条件での発熱温度は、より短時間での水への溶解性が向上する観点から、3℃未満、好ましくは3.0℃以下、より好ましくは2.0℃以下、更に好ましくは1.0℃以下、そして、好ましくは0℃以上、より好ましくは0.5℃以上である。
【0014】
粒子群(A)は、洗浄性および粉末製剤化の観点から、(a)成分として、(a1)アニオン性界面活性剤(以下、(a1)成分という)、(a2)カルボン酸基又はその塩を有し、重量平均分子量が3000以上のポリマー(以下、(a2)成分という)、及び(a3)アルカリ金属珪酸塩(以下、(a3)成分という)から選ばれる1種以上のアニオン性化合物を含有する。
【0015】
(a1)成分のアニオン界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル又はアルケニルエーテル硫酸エステル塩、アルキル又はアルケニル硫酸エステル塩、オレフィンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、飽和又は不飽和脂肪酸塩、アルキル又はアルケニルエーテルカルボン酸塩、α-スルホ脂肪酸塩、N-アシルアミノ酸、リン酸モノ又はジエステル、及びスルホコハク酸エステルから選ばれる1種以上が挙げられる。
アニオン界面活性剤のアルキル基又はアルケニル基は、例えば、炭素数8以上22以下である。アニオン界面活性剤のオキシエチレン基の平均付加モル数は、例えば、0以上10以下である。
これらアニオン界面活性剤のアニオン性基の対イオンとしては、ナトリウムイオン、カリウムイオン等のアルカリ金属イオン;カルシウムイオン、マグネシウムイオン等のアルカリ土類金属イオン;アンモニウムイオン;炭素数2又は3のアルカノール基を1~3個有するアルカノールアミン(例えばモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン等)が挙げられる。
【0016】
(a1)成分は、洗浄性および粉末製剤化の観点から、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル又はアルケニルエーテル硫酸エステル塩、及びアルキル又はアルケニル硫酸エステル塩から選ばれる1種以上である。
アルキルベンゼンスルホン酸塩のアルキル基の炭素数は、10以上、好ましくは12以上、そして、18以下、好ましくは14以下であり、アルキル基は直鎖が好ましい。
アルキル又はアルケニルエーテル硫酸エステル塩は、ポリオキシアルキレンアルキル又はアルケニルエーテル硫酸エステル塩が好ましい。ポリオキシアルキレンアルキル又はアルケニルエーテル硫酸エステル塩は、炭素数8以上、好ましくは10以上、そして、18以下、好ましくは14以下のアルキル基又はアルケニル基を有する。ポリオキシアルキレンアルキル又はアルケニルエーテル硫酸塩は、オキシアルキレン基の炭素数が、好ましくは2または3であり、より好ましくは2であり、オキシアルキレン基の平均付加モル数が0.5以上、より好ましくは1.0以上、そして、4.0以下、好ましくは3.0以下である。
アルキル又はアルケニル硫酸エステル塩のアルキル基又はアルケニル基の炭素数は、10以上、好ましくは12以上、そして、18以下、好ましくは14以下である。
【0017】
(a2)成分としては、ポリアクリル酸又はその塩及びアクリル酸とマレイン酸のコポリマー又はその塩から選ばれるポリマー(以下、(a21)成分という)が挙げられる。
ポリアクリル酸又はその塩としては、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸カリウム等が挙げられ、好ましくはポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸カリウムが挙げられる。
アクリル酸とマレイン酸のコポリマー又はその塩としては、アクリル酸とマレイン酸のコポリマー、アクリル酸とマレイン酸のコポリマーのナトリウム塩、アクリル酸とマレイン酸のコポリマーのカリウム塩等が挙げられ、好ましくはアクリル酸とマレイン酸のコポリマーのナトリウム塩、アクリル酸とマレイン酸のコポリマーのカリウム塩が挙げられる。アクリル酸とマレイン酸のコポリマーのモル比は、アクリル酸のモル数/マレイン酸のモル数として、好ましくは1/99以上、より好ましくは10/90以上、そして、好ましくは99/1以下、より好ましくは90/10以下である。
【0018】
(a21)成分は、本発明の効果の発現を妨げない程度であれば、アクリル酸及びマレイン酸以外のモノマーであって、アクリル酸及び/又はマレイン酸と共重合可能なモノマーを含んだコポリマーであってもよい。アクリル酸及びマレイン酸以外のモノマーであって、アクリル酸及び/又はマレイン酸と共重合可能なモノマーとしては、ビニル系モノマー、アクリル系モノマー、スチレン系モノマー等が挙げられ、より具体的にはメタクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、スチレン等が挙げられる。アクリル酸及びマレイン酸以外のモノマーであって、アクリル酸及び/又はマレイン酸と共重合可能なモノマーの(a21)成分中のモル比は、(a21)成分中に、好ましくは0モル%以上、そして、好ましくは5モル%以下、より好ましくは3モル%以下であり、0モル%であることが更に好ましい。従って、本発明のポリアクリル酸又はその塩、及び、アクリル酸とマレイン酸のコポリマー又はその塩は、全構成モノマー中、アクリル酸及びマレイン酸以外のモノマーであって、アクリル酸及び/又はマレイン酸と共重合可能なモノマーを、0モル%以上5モル%以下の範囲で含むポリマー又はコポリマーであってよい。
【0019】
(a2)成分の重量平均分子量は、3000以上、好ましくは3500以上、より好ましくは4000以上、更に好ましくは5000以上、より更に好ましくは6000以上、より更に好ましくは7000以上、より更に好ましくは8000以上、より更に好ましくは9000以上、より更に好ましくは10000以上、そして、好ましくは100000以下、より好ましくは50000以下、更に好ましくは10000以下である。
この重量平均分子量は、下記の重量平均分子量の測定方法に従って測定することができる。
<重量平均分子量の測定方法>
(a2)成分の重量平均分子量は、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)により測定を行い、換算標準物質により重量平均分子量(Mw)を求めることができる。
以下に、GPCの測定条件を示す。
・カラム:東ソー(株)製、商品名:TSK-GEL guard PWXL
東ソー(株)製、商品名:TSK-GEL G4000 PWXL
東ソー(株)製、商品名:TSK-GEL G2500 PWXL
・移動相:0.1mol/Lリン酸二水素カリウム及び0.1mol/Lリン酸二水素ナトリウムの水溶液/アセトニトリル=90/10(体積比)
・検出器:示差屈折率検出器
・カラム温度:40℃
・流速:1.0mL/min
・換算標準物質:ポリアクリル酸〔アメリカン・スタンダード・コーポレーション(AMERICANSTANDARDCORP)社製〕
・試料:固形分0.8gを含む重合体水溶液にイオン交換水を添加し、総液量が200mLとなるように調製し、この調製液から10μLを分取してカラムに注入する。
【0020】
(a3)成分のアルカリ金属ケイ酸塩としては、非晶質アルカリ金属珪酸塩、及び結晶性アルカリ金属珪酸塩から選ばれる1種以上が挙げられ、非晶質ケイ酸ナトリウム、結晶性ケイ酸ナトリウム、非晶質ケイ酸カリウム及び結晶性ケイ酸カリウムから選ばれる1種以上が好ましい。
【0021】
本発明の粒子群(A)は、(a)成分を、洗浄性および粉末製剤化の観点から、粒子群(A)中、10質量%以上、好ましくは20質量%以上、より好ましくは30質量%以上、更に好ましくは40質量%以上、そして、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下、更に好ましくは70質量%以下、より更に好ましくは60質量%以下、より更に好ましくは50質量%以下含有する。
本発明の粒子群(A)は、(a)成分として、(a1)成分を含有する場合、(a1)成分を、洗浄性および粉末製剤化の観点から、粒子群(A)中、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上、更に好ましくは20質量%以上、そして、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下、更に好ましくは40質量%以下、より更に好ましくは30質量%以下含有する。
本発明の粒子群(A)は、(a)成分として、(a2)成分を含有する場合、(a2)成分を、洗浄性および粉末製剤化の観点から、粒子群(A)中、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、更に好ましくは3質量%以上、そして、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、更に好ましくは10質量%以下、より更に好ましくは7質量%以下含有する。
本発明の粒子群(A)は、(a)成分として、(a3)成分を含有する場合、(a3)成分を、粉末製剤化の観点から、粒子群(A)中、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは10質量%以上、そして、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは20質量%以下含有する。
なお本発明の粒子群(A)において、(a)成分として、(a1)成分、及び(a2)成分を含有する場合、(a1)成分及び(a2)の質量は、ナトリウム塩に換算した値を用いるものとする。
【0022】
本発明の粒子群(A)は、より短時間での水への溶解性が向上する観点から、前記(a1)成分、(a2)成分、及び(a3)成分から選ばれる2種以上の成分を含有することが好ましく、前記(a1)成分、(a2)成分、及び(a3)成分を含有することがより好ましい。
【0023】
粒子群(A)は、洗浄性および粉末製剤化の観点から、(c)成分として、水溶性無機塩を含有することが好ましい。
本発明の水溶性無機塩について、水溶性とは、20℃の水100gに溶解する量が10g以上であることをいう。
なお(c)成分からは、(a3)成分に該当するものは除かれる。
【0024】
(c)成分の水溶性無機塩は、洗浄性補助および粉末製剤化の観点から、(c1)アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属炭酸水素塩、及びトリポリリン酸塩から選ばれる1種以上の水溶性アルカリ無機塩(以下、(c1)成分という)、並びに(c2)無機硫酸塩及び無機ハロゲン化合物から選ばれる1種以上の水溶性無機塩(以下、(c2)成分という)、から選ばれる1種以上の水溶性無機塩が好ましく、(c2)成分がより好ましい。
【0025】
(c1)成分のアルカリ金属炭酸塩としては、炭酸ナトリウム、及び炭酸カリウムから選ばれる1種以上が挙げられ、炭酸ナトリウムが好ましい。
(c1)成分のアルカリ金属炭酸水素塩としては、炭酸水素ナトリウム、及び炭酸水素カリウムから選ばれる1種以上が挙げられる。
(c1)成分のトリポリリン酸塩としては、トリポリ燐酸のアルカリ金属塩が挙げられる。
(c1)成文は、粒子群(A)の溶解時の発熱性の観点から、アルカリ金属炭酸水素塩、及びトリポリリン酸塩から選ばれる1種以上が好ましく、アルカリ金属炭酸水素塩がより好ましい。
【0026】
(c2)成分は、無機硫酸塩及び無機ハロゲン化合物から選ばれる1種以上の水溶性無機塩が挙げられ、より詳細には、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム及び塩化マグネシウムから選ばれる1種以上の水溶性無機塩が挙げられる。(c2)成分は、水和物であっても無水物であっても良い。
本発明の粒子群(A)中に含まれる(c2)成分は、短時間での水への溶解性をより向上させる観点から、硫酸ナトリウムが好ましい。
【0027】
本発明の粒子群(A)は、(c)成分を含有する場合、(c)成分を、洗浄性補助および粉末製剤化の観点から、粒子群(A)中、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、更に好ましくは30質量%以上、そして、好ましくは80質量%以下、より好ましくは70質量%以下、更に好ましくは60質量%以下、より更に好ましくは50質量%以下含有する。
【0028】
本発明の粒子群(A)は、前記した20℃のイオン交換水1Lに10質量%溶解させ、投入から30秒後の時点で3℃以上発熱しない粒子群になるように、(c1)成分及び(c2)成分から選ばれる1種以上の水溶性無機塩を適宜選択して含有することができるが、粒子群(A)中の(c1)成分である炭酸ナトリウム、炭酸カリウムと(c2)成分である硫酸マグネシウムの合計含有量は、粒子群(A)の溶解時の発熱性の観点から、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは30質量%以下、より更に好ましくは20質量%以下、より更に好ましくは10質量%以下、より更に好ましくは5質量%以下である。
【0029】
粒子群(A)中の(c2)成分の含有量と(c1)成分の含有量の質量比(c2)/(c1)は、前記した20℃のイオン交換水1Lに10質量%溶解させ、投入から30秒後の時点で3℃以上発熱しない粒子群になるように、好ましくは1以上、より好ましくは2以上、更に好ましくは5以上である。
【0030】
粒子群(A)は、洗浄性補助および粉末製剤化の観点から、(d)成分として、ゼオライト及びベントナイトから選ばれる1種以上の化合物を含有することができる。
【0031】
ゼオライトは結晶性アルミノ珪酸塩とも呼ばれる。具体的なゼオライトとして、A型、X型、P型ゼオライト等の結晶性アルミノ珪酸塩を含有できる。その平均一次粒子径は好ましくは0.1μm以上、より好ましくは1μm以上、そして、好ましくは10μm以下、より好ましくは5μm以下である。結晶性アルミノ珪酸塩として好適なものは、A型ゼオライト(例えば、商品名「トヨビルダー」:東ソー(株)製、JIS K 5101-13-2法による吸油能:40mL/100g以上)が好ましい。その他に、P型(例えば、商品名「Doucil A24」、「ZSEO64」等;いずれもCrosfield社製;吸油能60~150mL/100g)、X型(例えば、商品名「WessalithXD」、;Degussa社製;吸油能80~100mL/100g)、国際公開第98/42622号記載のハイブリッドゼオライトも好適なものとして挙げられる。
【0032】
ベントナイトは、50~100meq/100gのイオン交換能力を有するものが好ましい。ベントナイトとしては、(d1)アルカリ金属又はアルカリ土類金属モンモリロナイト、サポナイト又はヘクトライトからなる群から選択されるモンモリロン石群鉱物粘土(smectitic clay)、(d2)イライト、(d3)アタパルジャイト(attapulgite)及び(d4)カオリナイトから選ばれる1種以上が挙げられる。ベントナイトは、粒状化したものを用いることができる。例えば、特開2008-189719号公報の粘土鉱物の造粒物を参照することができる。
【0033】
本発明の粒子群(A)は、(d)成分を含有する場合、(d)成分を、洗浄性補助および粉末製剤化の観点から、粒子群(A)中、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、更に好ましくは5質量%以上、そして、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは20質量%以下、より更に好ましくは15質量%以下含有する。
【0034】
本発明の粒子群(A)は、水を含有することができる。水は脱イオン水(イオン交換水とも言う場合もある)や、次亜塩素酸ソーダをイオン交換水に対して1mg/kg以上5mg/kg以下添加した水を使用することが出来る。また、水道水も使用できる。
本発明の粒子群(A)は、水を含有する場合、水を粉末製剤化の観点から、粒子群(A)中、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、更に好ましくは3質量%以上、そして、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下、更に好ましくは8質量%以下含有する。
【0035】
本発明の粒子群(A)の平均粒子径は、粉末製剤化およびより短時間での水への溶解性の観点から、好ましくは10μm以上、より好ましくは50μm以上、更に好ましくは100μm以上、より更に好ましくは200μm以上、そして、好ましくは1000μm以下、より好ましくは800μm以下、更に好ましくは600μm以下、より更に好ましくは400μm以下である。ここで、当該平均粒子径は、JIS Z 8801の標準篩を用いて5分間振動させた後、篩目のサイズによる質量分率から求める。
【0036】
本発明の粒子群(A)のJIS K 3362:2008により規定された方法で測定する嵩密度は、フィルムヘの充填および製品のコンパクトさの観点から、好ましくは500g/L以上、より好ましくは600g/L以上、更に好ましくは700g/L以上、そして、好ましくは1000g/L以下、より好ましくは900g/L以下、更に好ましくは800g/L以下である。
【0037】
本発明の粒子群(A)の調製方法は、例えば、(a)成分として、(a2)成分、(a3)成分、及び(c)成分を混合して、スラリーを調製し、噴霧乾燥することで噴霧乾燥粒子を得る。この噴霧乾燥粒子に(a1)成分を添加して乾式中和を行い、最後にハイスピードミキサー(深江工業(株)製)に投入し、残りのアフターブレンド成分である(d)成分を乾式混合することにより、粒子群(A)を得られる。
【0038】
<粒子群(B)>
本発明の粉末洗浄剤組成物は、粒子群(B)を含有する。粒子群(B)は、(b)カチオン性界面活性剤(以下、(b)成分という)5質量%以上20質量%以下、(c)水溶性無機塩(以下、(c)成分という)を65質量%以上90質量%以下含有し、実質的に(a)成分を含有しない、粒子群であり、撹拌子(長さ50mm、胴径8mm)と20℃のイオン交換水1Lを入れた円筒容器(内径10cm、高さ15cm、ガラス製)に、撹拌装置を用いて撹拌子を800rpmで回転させながら10質量%濃度になるように前記粒子群(B)を投入して溶解させ、投入から30秒後の時点で3℃以上発熱する粒子群である。
粒子群(B)の前記した溶解条件での発熱温度は、より短時間での水への溶解性の観点から、3.0℃以上、好ましくは3.5℃以上、そして、好ましくは20℃以下、より好ましくは15℃以下、更に好ましくは10℃以下、より更に好ましくは5.0℃以下、より更に好ましくは4.0℃以下、より更に好ましくは3.9℃以下である。
【0039】
本発明の粒子群(B)は、(b)成分として、カチオン性界面活性剤を含有する。
【0040】
(b)成分のカチオン界面活性剤としては、(b1)下記一般式(b1)で表される化合物(以下、(b1)成分という)、及び(b2)下記一般式(b2)で表される化合物(以下、(b2成分)という)から選ばれる1種以上が好ましい。
【0041】
【0042】
〔式中、R1bは、炭素数8以上18以下の脂肪族炭化水素基であり、R2bは、炭素数8以上18以下の脂肪族炭化水素基、炭素数1以上3以下のアルキル基及び炭素数1以上3以下のヒドロキシアルキル基から選ばれる基であり、R3b及びR4bは、それぞれ独立に、炭素数1以上3以下のアルキル基及び炭素数1以上3以下のヒドロキシアルキル基から選ばれる基であり、X-は陰イオンである。〕
【0043】
【0044】
〔式中、R5bは、炭素数8以上18以下の脂肪族炭化水素基であり、R6b及びR7bは、それぞれ独立に、炭素数1以上3以下のアルキル基及び炭素数1以上3以下のヒドロキシアルキル基から選ばれる基であり、X-は陰イオンである。〕
【0045】
一般式(b1)において、R1bの炭素数は、抗菌性の観点から、8以上、好ましくは10以上、そして、好ましくは18以下、より好ましくは16以下、更に好ましくは14以下である。R1bは、アルキル基又はアルケニル基が好ましく、アルキル基が好ましい。
一般式(b1)において、R2bは、炭素数8以上18以下の脂肪族炭化水素基、炭素数1以上3以下のアルキル基及び炭素数1以上3以下のヒドロキシアルキル基から選ばれる基である。
R2bが、炭素数8以上18以下の脂肪族炭化水素基である場合、R2bは、抗菌性の観点から、8以上、好ましくは10以上、そして、好ましくは18以下、より好ましくは16以下、更に好ましくは14以下のアルキル基又はアルケニル基が好ましく、アルキル基が好ましい。
【0046】
一般式(b1)において、R1bの炭素数が炭素数12以上16以下の脂肪族炭化水素基である場合は、R2bは、炭素数1以上3以下のアルキル基及び炭素数1以上3以下のヒドロキシアルキル基から選ばれる基であることが、抗菌性の観点から好ましい。また一般式(b1)において、R1bの炭素数が炭素数8以上10以下の脂肪族炭化水素基である場合は、R2bは、炭素数8以上10以下の脂肪族炭化水素基であることが、抗菌性の観点から好ましい。
【0047】
一般式(b1)において、R3b及びR4bは、それぞれ独立に、炭素数1以上3以下のアルキル基及び炭素数1以上3以下のヒドロキシアルキル基から選ばれる基である。R3b及びR4bは、それぞれ独立に、炭素数1以上3以下のアルキル基から選ばれる基であることが好ましい。炭素数1以上3以下のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基が挙げられる。炭素数1以上3以下のヒドロキシアルキル基としては、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基が挙げられる。
【0048】
一般式(b1)において、X-は陰イオンである。陰イオンとしては、ハロゲンイオン、例えばクロルイオン、ブロモイオン及びヨウ素イオンが挙げられる。また、炭素数1以上3以下のアルキル硫酸イオン、例えばメチル硫酸イオン、エチル硫酸イオン及びプロピル硫酸イオンが挙げられる。
【0049】
一般式(b2)において、R5bは、炭素数8以上18以下の脂肪族炭化水素基である。R5bの炭素数は、抗菌性の観点から、8以上、好ましくは10以上、そして、好ましくは18以下、より好ましくは16以下、更に好ましくは14以下である。R5bは、アルキル基又はアルケニル基が好ましく、アルキル基が好ましい。
【0050】
一般式(b2)において、R6b及びR7bは、それぞれ独立に、炭素数1以上3以下のアルキル基及び炭素数1以上3以下のヒドロキシアルキル基から選ばれる基である。R6b及びR7bは、それぞれ独立に、炭素数1以上3以下のアルキル基から選ばれる基であることが好ましい。炭素数1以上3以下のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基が挙げられる。炭素数1以上3以下のヒドロキシアルキル基としては、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基が挙げられる。
【0051】
一般式(b2)において、X-は陰イオンである。陰イオンとしては、ハロゲンイオン、例えばクロルイオン、ブロモイオン及びヨウ素イオンが挙げられる。また炭素数1以上3以下のアルキル硫酸イオン、例えばメチル硫酸イオン、エチル硫酸イオン及びプロピル硫酸イオンが挙げられる。
【0052】
本発明の粒子群(B)は、(b)成分を、抗菌性の観点から、粒子群(B)中、5質量%以上、好ましくは7.5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、そして、20質量%以下、好ましくは17.5質量%以下、より好ましくは15質量%以下含有する。
また本発明の粒子群(B)において、(b)成分の質量に関する規定は、塩化物に換算した値を用いるものとする。
【0053】
本発明の粒子群(B)は、より短時間での水への溶解性、及び粉末製剤化の観点から、(c)成分として、水溶性無機塩を含有する。(c)成分の水溶性無機塩は、より短時間での水への溶解性、及び粉末製剤化の観点から、(c1)アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属炭酸水素塩、及びトリポリリン酸塩から選ばれる1種以上の水溶性アルカリ無機塩(以下、(c1)成分という)、並びに(c2)無機硫酸塩及び無機ハロゲン化合物から選ばれる1種以上の水溶性無機塩(以下、(c2)成分という)、から選ばれる1種以上の水溶性無機塩が好ましく、(c1)成分がより好ましく、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、及び硫酸マグネシウムから選ばれる1種以上が更に好ましい。
本発明の粒子群(B)において、(c)成分、(c1)成分、(c2)成分は、本発明の粒子群(A)で記載した態様と同じである。
【0054】
本発明の粒子群(B)は、前記した20℃のイオン交換水1Lに10質量%溶解させ、投入から30秒後の時点で3℃以上発熱する粒子群になるように、(c1)成分及び(c2)成分から選ばれる1種以上の水溶性無機塩を適宜選択して含有することができるが、粒子群(B)中の(c1)成分である炭酸ナトリウム、炭酸カリウムと(c2)成分である硫酸マグネシウムの合計含有量は、粒子群(B)の溶解時の発熱性の観点から、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、更に好ましくは70質量%以上、より更に好ましくは80質量%以上、そして、好ましくは90質量%以下、より好ましくは85質量%以下である。
【0055】
粒子群(B)中の(c1)成分の含有量と(c2)成分の含有量の比(c1)成分/(c2)は、前記した20℃のイオン交換水1Lに10質量%溶解させ、投入から30秒後の時点で3℃以上発熱しない粒子群になるように、好ましくは2以上、より好ましくは5以上、更に好ましくは10以上である。
【0056】
本発明の粒子群(B)は、(c)成分を、より短時間での水への溶解性、及び粉末製剤化の観点から、60質量%以上、好ましくは65質量%以上、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは75質量%以上、そして、90質量%以下、好ましくは87.5質量%以下、より好ましくは85質量%以下含有する。
【0057】
本発明の粒子群(B)は、水を含有することができる。水は脱イオン水(イオン交換水とも言う場合もある)や、次亜塩素酸ソーダをイオン交換水に対して1mg/kg以上5mg/kg以下添加した水を使用することが出来る。また、水道水も使用できる。
本発明の粒子群(B)は、水を含有する場合、水を、粉末製剤化の観点から、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、更に好ましくは3質量%以上、そして、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、更に好ましくは10質量%以下、より更に好ましくは8質量%以下含有する。
【0058】
本発明の粒子群(B)は、粒子群(A)で記載した(a)成分を実質的に含有しない。「実質的に含有しない」とは、本発明の効果を損なわない範囲内で含んでいても良いことを意味するものであって、より具体的には、粒子群(B)中の(a)成分の含有量が、好ましくは1質量%以下、より好ましくは1.5質量%以下、更に好ましくは0.1質量%以下であると定義することができる。
【0059】
本発明の粒子群(B)の平均粒子径は、製造時の水溶性フィルムへの充填適正、及び粉末洗浄剤組成物の外観の観点から、好ましくは10μm以上、より好ましくは50μm以上、更に好ましくは100μm以上、より更に好ましくは200μm以上、より更に好ましくは300μm以上、そして、好ましくは1000μm以下、より好ましくは900μm以下、更に好ましくは800μm以下、より更に好ましくは700μm以下、より更に好ましくは600μm以下である。ここで、当該平均粒子径は、JIS Z 8801の標準篩を用いて5分間振動させた後、篩目のサイズによる質量分率から求める。
【0060】
本発明の粒子群(B)ののJIS K 3362:2008により規定された方法で測定する嵩密度は、フィルムヘの充填および製品のコンパクトさの観点から、好ましくは500g/L以上、より好ましくは600g/L以上、更に好ましくは700g/L以上、より更に好ましくは800g/L以上、そして、好ましくは1500g/L以下、より好ましくは1300g/L以下、更に好ましくは1200g/L以下である。
【0061】
本発明の粒子群(B)の調製方法は、例えば、(b)成分と(c)成分と水を混合して、十分混合した後、赤外線水分計(例えば、FD-720, 株式会社ケツト科学研究所)を用いて、150℃で2時間乾燥させ、(d)成分を配合する場合は、最後にハイスピードミキサー(深江工業(株)製)に投入し、乾式混合することにより、粒子群(B)を得られる。
【0062】
<組成等>
本発明の粉末洗浄剤組成物は、粒子群(A)を、洗浄性とより短時間での水への溶解性の両立の観点から、粉末洗浄剤組成物中、好ましくは20質量%以上、より好ましくは30質量%以上、更に好ましくは40質量%以上、そして、好ましくは80質量%以下、より好ましくは70質量%以下、更に好ましくは60質量%以下含有する。
【0063】
本発明の粉末洗浄剤組成物は、粒子群(B)を、抗菌性とより短時間での水への溶解性の両立の観点から、粉末洗浄剤組成物中、10質量%以上、好ましくは15質量%以上、より好ましくは20質量%以上、更に好ましくは25質量%以上、そして、80質量%以下、好ましくは70質量%以下、より好ましくは60質量%以下、更に好ましくは50質量%以下、より更に好ましくは45質量%以下、より好ましくは40質量%以下含有する。
【0064】
本発明の粉末洗浄剤組成物中、粒子群(A)の含有量と粒子群(B)の含有量との質量比(A)/(B)は、洗浄性と抗菌性とより短時間での水への溶解性のバランスの観点から、好ましくは0.25以上、より好ましくは0.5以上、より好ましくは1.0以上、更に好ましくは1.5以上、そして、好ましくは4.0以下、より好ましくは3.0以下、更に好ましくは2.5以下、より更に好ましくは2.0以下である。
【0065】
本発明の粉末洗浄剤組成物は、粒子群(C)として、配合比率、及びコストのフレキシビリティ向上の観点から、(c2)成分を含有する粒子群を含有することができる。
(c2)成分は、粒子群(A)で記載した態様と同じである。(c2)成分は硫酸ナトリウムが好ましい。
【0066】
本発明の粒子群(C)は、(c2)成分を、配合比率、及びコストのフレキシビリティ向上の観点から、50質量%以上、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上、そして、好ましくは100質量%以下含有する。
【0067】
本発明の粉末洗浄剤組成物は、粒子群(C)を含有する場合、粒子群(C)を、配合比率、及びコストのフレキシビリティ向上の観点から、粉末洗浄剤組成物中、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上、そして、好ましくは50質量%以下、より好ましくは45質量%以下、更に好ましくは40質量%以下、より更に好ましくは30質量%以下含有する。
【0068】
本発明の粒子群(A)、粒子群(B)、粒子群(C)は、各々その他の成分として、衣料用洗剤の分野で公知の他の成分、例えば漂白剤(過ホウ酸塩、漂白活性化剤等)、再汚染防止剤、還元剤(亜硫酸塩等)、蛍光増白剤、抑泡剤(シリコーン等)、香料、酵素(セルラーゼ、プロテアーゼ、ペプチナーゼ、リパーゼ、デキストラナーゼ、アミラーゼ等)、着色剤、抗菌剤等を含有することができる。
【0069】
本発明の粉末洗浄剤組成物は、公知の方法で製造することができる。例えば、噴霧乾燥法、ドライ中和法、乾燥造粒法、ドライブレンド法、流動層乾燥法、薄膜乾燥法、押出し造粒法、転動造粒法、攪拌造粒法、圧密造粒法、界面活性剤担持法又はこれらから選択して組み合わせた方法を適用して、製造することができる。
【0070】
<洗浄剤物品>
本発明の洗浄剤物品は、本発明の粉末洗浄剤組成物を、水溶性フィルムに包装してなる。
本発明において水溶性フィルムとは、1リットルのガラスビーカーに500gの30℃のイオン交換水を入れ、直径が8cmのテフロン(登録商標)製の撹拌子を入れ、その中に評価対象のフィルム1gを投入し、100rpmで30分間撹拌した後に、見かけ上、不溶物が見られないフィルムをいう。
また水溶性フィルムの厚さは、本発明の洗浄剤物品の安定性、及びより短時間での水への溶解性の観点から、好ましくは1μm以上、より好ましくは10μm以上、更に好ましくは50μm以上、そして、好ましくは200μm以下、より好ましくは150μm以下、更に好ましくは100μm以下である。
【0071】
水溶性フィルムは、好ましくはポリマーを含んで構成される。水溶性フィルムは、当該技術分野において既知の方法、例えば、ポリマーの注型成形、吹込み成形、押出成形、射出成形などによって得ることができる。水溶性フィルムを製造するためのポリマーの非限定例として、ポリビニルアルコール(PVA)、ビニルアルコールコポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリアルキレンオキシド、(変性)セルロース、(変性)セルロース-エーテル又は-エステル又は-アミド、ポリアクリレートなどのポリカルボン酸及び塩マレイン酸/アクリル酸のコポリマー、ポリアミノ酸つまりペプチド、ポリアクリルアミドなどのポリアミド、デンプン及びゼラチンなどの多糖、キサンタン及びカラゴム(carragum)などの天然ゴムが挙げられる。ビニルアルコールコポリマーは、ビニルアルコールと他のモノマー、例えばエチレン、アクリル酸とのコポリマーである。好ましくは、水溶性フィルムは、ポリアクリレート及び水溶性アクリレート、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、デキストリン、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、マルトデキストリン、ポリメタクリレート、ポリビニルアルコール、ビニルアルコールコポリマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、並びにこれらの組み合わせからなる群から選択されるポリマーを含む。より好ましくは、水溶性フィルムは、ポリビニルアルコール、ビニルアルコールコポリマー及びヒドロキシプロピルメチルセルロースから選ばれるポリマーを含む。更に好ましくは、水溶性フィルムは、ポリビニルアルコール、例えば、株式会社アイセロから入手可能なソルブロンを含む。パウチの水溶性フィルムを製造するのに好適なポリマーは、例えば、米国特許第6995126号に記載されている。
【0072】
本発明の洗浄剤物品において、本発明の粉末洗浄剤組成物と接触する水溶性フィルムの総面積は、製品安定性をより高める観点から、好ましくは2cm2以上、より好ましくは5cm2以上、更に好ましくは7cm2以上、より更に好ましくは15cm2以上、そして、同じ観点から、好ましくは100cm2以下、より好ましくは70cm2以下、更に好ましくは60cm2以下、より更に好ましくは45cm2以下である。
【0073】
本発明の洗浄剤物品は、当該技術分野において既知の任意の好適なプロセス、例えば既知の洗剤パウチの作製プロセスによって作製できる。パウチの作製プロセス例は、米国特許第6,995,126号、同第7,127,874号、同第8,156,713号、同第7,386,971号、同第7,439,215号、米国特許出願公開第2009/199877号、日本国特許第6915017号、及び同第4514858号に記載されている。
【0074】
本発明の洗浄剤物品は、1個あたりの内容物の量が、好ましくは5g以上、より好ましくは8g以上、更に好ましくは10g以上、そして、好ましくは50g以下、より好ましくは30g以下、更に好ましくは25g以下である。また、1個あたりの好ましい形状、大きさは、例えば四辺形の形状であり、1辺の長さが、好ましくは1cm以上5cm以下、そして、厚みが好ましくは1cm以上5cm以下、より好ましくは1cm以上4cm以下である。また、1個あたりの質量は、好ましくは5g以上、より好ましくは10g以上、更に好ましくは15g以上、そして、好ましくは50g以下、より好ましくは40g以下、更に好ましくは30g以下である。
また、1個あたりの別の好ましい形状、大きさは、例えば直方体の形状であり、縦の長さが、好ましくは5cm以上20cm以下、横の長さが、好ましくは1cm以上4cm以下、そして、厚みが好ましくは1cm以上5cm以下、より好ましくは1cm以上4cm以下である。また、1個あたりの質量は、好ましくは5g以上、より好ましくは10g以上、そして、好ましくは50g以下、より好ましくは40g以下、更に好ましくは30g以下、更に好ましくは20g以下である。
【0075】
本発明の洗浄剤物品を、含まれる本発明の粉末洗浄剤組成物の濃度が13g/30gとなるように水で分散させた分散液の20℃におけるpHは、洗浄性、及びより短時間での水への溶解性が向上する観点から、好ましくは11.5以下、より好ましくは11.3以下、更に好ましくは11.0以下、そして、好ましくは10.0以上、より好ましくは10.3以上、更に好ましくは10.5以上である。
20℃におけるpHは、洗浄剤物品を、含まれる本発明の粉末洗浄剤組成物の濃度が13g/30gとなるように20℃の水に混合し、撹拌機等で分散させ、混合開始から10分後の分散液のpHを測定する。
pHは、下記に記載のpHの測定法に従って測定する。
<pHの測定法>
pHメーター(HORIBA製 pH/イオンメーターF-23)にpH測定用複合電極(HORIBA製 ガラス摺り合わせスリーブ型)を接続し、電源を投入する。pH電極内部液としては、飽和塩化カリウム水溶液(3.33モル/L)を使用する。次に、pH4.01標準液(フタル酸塩標準液)、pH6.86(中性リン酸塩標準液)、pH9.18標準液(ホウ酸塩標準液)をそれぞれ100mLビーカーに充填し、25℃の恒温槽に30分間浸漬する。恒温に調整された標準液にpH測定用電極を3分間浸し、pH6.86→pH9.18→pH4.01の順に校正操作を行う。測定対象となるサンプルを25℃に調整し、前記のpHメーターの電極をサンプルに浸漬し、1分後のpHを測定する。
【0076】
本発明の洗浄剤物品は、繊維製品用、特には洗濯機を用いた繊維製品洗浄用として好適に用いることができる。
【0077】
本発明の洗浄剤物品で洗浄する繊維は、疎水性繊維、親水性繊維のいずれでも良い。疎水性繊維としては、例えば、タンパク質系繊維(牛乳タンパクガゼイン繊維、プロミックスなど)、ポリアミド系繊維(ナイロンなど)、ポリエステル系繊維(ポリエステルなど)、ポリアクリロニトリル系繊維(アクリルなど)、ポリビニルアルコール系繊維(ビニロンなど)、ポリ塩化ビニル系繊維(ポリ塩化ビニルなど)、ポリ塩化ビニリデン系繊維(ビニリデンなど)、ポリオレフィン系繊維(ポリエチレン、ポリプロピレンなど)、ポリウレタン系繊維(ポリウレタンなど)、ポリ塩化ビニル/ポリビニルアルコール共重合系繊維(ポリクレラールなど)、ポリアルキレンパラオキシベンゾエート系繊維(ベンゾエートなど)、ポリフルオロエチレン系繊維(ポリテトラフルオロエチレンなど)、ガラス繊維、炭素繊維、アルミナ繊維、シリコーンカーバイト繊維、岩石繊維(ロックファイバー)、鉱滓繊維(スラッグファイバー)、金属繊維(金糸、銀糸、スチール繊維)等が例示される。親水性繊維としては、例えば、種子毛繊維(綿、もめん、カポックなど)、靭皮繊維(麻、亜麻、苧麻、大麻、黄麻など)、葉脈繊維(マニラ麻、サイザル麻など)、やし繊維、いぐさ、わら、獣毛繊維(羊毛、モヘア、カシミヤ、らくだ毛、アルパカ、ビキュナ、アンゴラなど)、絹繊維(家蚕絹、野蚕絹)、羽毛、セルロース系繊維(レーヨン、ポリノジック、キュプラ、アセテートなど)等が例示される。
繊維は、仕上がり性の観点から、繊維は木綿繊維を含む繊維であることが好ましい。繊維中の木綿繊維の含有量は、繊維の仕上がり性の観点から、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上、より更に好ましくは20質量%以上、より更に好ましくは40質量%以上、より更に好ましくは60質量%以上、より更に好ましくは80質量%以上、そして、好ましくは100質量%以下であり、100質量%であってよい。
【0078】
本発明において繊維製品とは、前記の疎水性繊維や親水性繊維を用いた織物、編物、不織布等の布帛及びそれを用いて得られたアンダーシャツ、Tシャツ、Yシャツ、ブラウス、スラックス、帽子、ハンカチ、タオル、ニット、靴下、下着、タイツ等の製品を意味する。
【0079】
[繊維製品の洗浄方法]
本発明は、本発明の洗浄剤物品と水とを混合した洗浄液(以下、本発明の洗浄液という)で、繊維製品を洗浄する、繊維製品の洗浄方法を提供する。
本発明の繊維製品の洗浄方法は、本発明の洗浄剤物品で記載した態様を適宜適用することができる。
本発明の繊維製品の洗浄方法では、予め洗浄槽に本発明の洗浄剤物品と水を投入、混合して本発明の洗浄液を調製してから、被洗浄物である繊維製品を投入して、繊維製品を洗浄する方法でもよいが、洗浄を簡便に行う観点から、洗浄槽に本発明の洗浄剤物品と水と繊維製品を投入し、本発明の洗浄剤物品を水に溶かしながら本発明の洗浄液を調製するのと同時に繊維製品を洗浄する方法が好ましい。
【0080】
本発明の繊維製品の洗濯方法において、本発明の洗浄剤物品と水とを混合する際の水の量は、水1Lに対して、本発明の洗浄剤物品に含まれる本発明の粉末洗浄剤組成物の総量が、洗浄性能及びすすぎ性の観点から、好ましくは0.1g以上、より好ましくは0.2g以上、更に好ましくは0.3g以上、そして、好ましくは10g以下、より好ましくは5g以下、更に好ましくは1.0g以下の濃度となるように調製する。
【0081】
本発明の洗濯方法において、水の温度は、洗浄性能の観点から、好ましくは10℃以上、より好ましくは20℃以上、更に好ましくは30℃以上、そして、好ましくは100℃以下、より好ましくは80℃以下、更に好ましくは60℃以下である。
また、本発明の洗浄液は、温度が前記範囲であってよい。また、洗濯方法に用いる水、例えばすすぎに用いる水などの水の温度も、前記範囲であってよい。
【0082】
本発明の洗浄液の20℃におけるpHは、洗浄性、及びより短時間での水への溶解性が向上する観点から、好ましくは11.5以下、より好ましくは11.3以下、更に好ましくは11.0以下、そして、好ましくは10.0以上、より好ましくは10.3以上、更に好ましくは10.5以上である。
pHは、上記の洗浄剤物品に記載のpHの測定法に従って測定する。
【0083】
本発明の繊維製品の洗濯方法において、繊維製品の質量(kg)と、本発明の洗浄剤組成物と水を含有する洗浄液の水量(リットル)の比で表される浴比の値、すなわち本発明の洗浄液の水量(リットル)/繊維製品の質量(kg)の値は、洗浄性及び経済性の観点から、好ましくは8以上、より好ましくは10以上、更に好ましくは12以上、より更に好ましくは15以上、そして、好ましくは45以下、より好ましくは40以下、更に好ましくは30以下、より更に好ましくは20以下である。
【0084】
本発明の繊維製品の洗濯方法において、本発明の洗浄剤物品と、繊維製品と、水とを接触させる洗浄時間(すなわち本発明の洗浄液と繊維製品を接触させる洗浄時間)は、洗浄性能の観点から、好ましくは1分以上、より好ましくは3分以上、更に好ましくは5分以上、そして、衣類損傷の観点から、好ましくは1時間以下、より好ましくは60分以下、更に好ましくは30分以下である。
【0085】
本発明の繊維製品の洗濯方法は、ローラー等で繊維を送りながら、精錬に使用する液に浸漬する方法、回転式洗浄方法に適している。回転式洗浄方法とは、回転機器に固定されていない繊維製品が洗浄液と共に、回転軸の周りに回転する洗浄方法を意味する。回転式洗浄方法は回転式洗濯機により実施できる。従って、本発明の洗濯方法では、繊維製品がよりきれいに仕上げる点で、前記した繊維製品の洗浄を、洗濯機、特には回転式洗濯機を用いて行うことが好ましい。回転式の洗濯機としては、具体的には、ドラム式洗濯機、パルセータ式洗濯機又はアジテータ式洗濯機が挙げられる。これらの回転式洗濯機は、それぞれ、家庭用として市販されているものを使用することができる。
【0086】
繊維製品の洗浄後は、濯ぎ、及び脱水を行うことができる。濯ぎ、及び脱水は、洗濯機を用いてことができる。濯ぎ及び脱水は交互に複数回行うことができる。
濯ぎ、及び脱水後は、乾燥を行うことができる。乾燥は自然乾燥、加熱乾燥の何れでも良い。乾燥は、それぞれ、複数行うことができる。
【実施例0087】
<配合成分>
実施例及び比較例では、以下の成分を用いた。
〔(a)成分〕
・LAS:ラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウム、(a1)成分、ネオペレックスFS、花王(株)製
・シリケート:ケイ酸ナトリウム、(a3)成分、TOKUYAMA SIAM SILICA CO.,LTD製)
・ポリアクリル酸Na:ポリアクリル酸ナトリウム、(a2)成分、重量平均分子量1万、花王(株)製
〔(b)成分〕
・カチオン:アルキルベンジルジメチルアンモニウムクロライド、サニゾールB-50 花王(株)製
〔(c)成分〕
・硫酸Na:無水中性芒硝、(c2)成分、四国化成工業(株)製
・炭酸Na:炭酸ナトリウム、デンス灰、(b1)成分、(株)トクヤマ製
・炭酸K:炭酸カリウム、富士フイルム和光純薬(株)製
〔(d)成分〕
・ゼオライト:合成ゼオライト、粉末、75μm(200mesh)通過、富士フイルム和光純薬(株)製
【0088】
<粒子群(A)の調製>
表1に記載の配合の粒子群(A)の調製方法は、以下の通りである。(a)成分として、(a2)成分、(a3)成分、及び(c)成分を混合して、スラリーを調製し、噴霧乾燥することで噴霧乾燥粒子を得た。この噴霧乾燥粒子に(a1)成分を添加して乾式中和を行い、最後にハイスピードミキサー(深江工業(株)製)に投入し、残りのアフターブレンド成分である(d)成分を乾式混合することにより、粒子群(A)を得た。粒子群(A)のJIS Z 8801の標準篩を用いて5分間振動させた後、篩目のサイズによる質量分率から求めた平均粒子径は、300μmであり、粒子群(A)のJIS K 3362:2008により規定された方法で測定する嵩密度は、800g/Lであった。
【0089】
<粒子群(B)又は(B’)の調製>
表1に記載の配合の粒子群(B)又は粒子群(B’)(粒子群(B)の比較粒子群)の調製方法は、以下の通りである。(b)成分と(c)成分と水を混合して、十分混合した後、赤外線水分計( FD-720, 株式会社ケツト科学研究所)を用いて、150℃で2時間乾燥させ、粒子(a)成分を配合する場合は乾式中和を行った。(d)成分を配合する場合は、最後にハイスピードミキサー(深江工業(株)製)に投入し、乾式混合することにより、粒子群(B)又は(B’)を得た。実施例1~5、比較例4の各粒子群(B)のJIS Z 8801の標準篩を用いて5分間振動させた後、篩目のサイズによる質量分率から求めた平均粒子径は、300~600μmであり、実施例1~5、比較例4の各粒子群(B)のJIS K 3362:2008により規定された方法で測定する嵩密度は、800~1200g/Lであった。また比較例1~3、5の各粒子群(B’)のJIS Z 8801の標準篩を用いて5分間振動させた後、篩目のサイズによる質量分率から求めた平均粒子径は、100~600μmであり、比較例1~3、5の各粒子群(B’)のJIS K 3362:2008により規定された方法で測定する嵩密度は、800~1300g/Lであった。
【0090】
<各粒子群の発熱温度測定>
20℃のイオン交換水1Lと撹拌子(長さ50mm、胴径8mm)を円筒容器(1Lビーカー、内径10cm、高さ15cm、ガラス製)に入れ、撹拌装置(MagneticStirrer HS-400、アズワン(株)製)を用いて撹拌子を800rpmで回転させながら、各粒子群10gをビーカー内に投入し、各粒子群投入から30秒後の時点の水温をデジタル温度計(ペン型MWT-1、(株)MonotaRO製)により測定し、各粒子群の発熱温度とした。結果を表1に示す。
【0091】
<粉末洗浄剤組成物の調製>
調製した粒子群(A)、及び粒子群(B)を、粒子群(c)として硫酸ナトリウムと、表1に記載の配合量となるようにドライブレンドして、表1に記載の各粉末洗浄剤組成物を調製した。
【0092】
<洗浄剤物品の作製>
表1に記載の厚さの水溶性フィルム(横15cm、縦2cm、M8685、Monosol(株)製)を2枚重ね、ヒートシーラー(富士インパルス(株)製)を用い、三辺をシーラーで融着させ、一辺だけ開口した袋を作製し、この袋に表1に記載の各粉末洗浄剤組成物を13g入れた。その後、ヒートシールで、袋の開口した一辺を融着して閉じて、各粉末洗浄剤組成物を水溶性フィルムに包装された円柱状の洗浄剤物品を得た。粉末洗浄剤組成物と接触している水溶性フィルムの総面積は、30cm2であった。なお本発明の洗浄剤物品は、上記した製造方法に限定されるものではない。
【0093】
<洗浄剤物品の溶解性評価>
各洗浄剤物品の溶解性を下記の方法により測定した。
モデル水道水の調製
以下の評価において、特に断りがない限り以下の硬度成分を配合した水を使用した。塩化カルシウム・2水和物(富士フイルム和光純薬(株)製)78.50g及び塩化マグネシウム・6水和物(富士フイルム和光純薬(株)製)73.58gを1Lのイオン交換水で溶解させた濃厚原液を調製した。この濃厚原液は、カルシウム/マグネシウム=8/2(モル比)であった。得られた濃厚原液をアルカリ度100mg/L(CaCO3換算)、pH7.5の希釈用水で希釈し、ドイツ硬度4°dHに調整して使用した。前記希釈用水は、イオン交換水に炭酸水素ナトリウム(富士フイルム和光純薬(株)製)を添加してアルカリ度を調整し、塩酸(富士フイルム和光純薬(株)製)を添加してpHを調整して得た。
【0094】
2、溶解性評価
各洗浄剤物品の溶解性を下記の方法により測定した。5℃又は20℃のモデル水道水(硬度4°DH,アルカリ度37)1Lと撹拌子(長さ50mm、胴径8mm)を円筒容器(1Lビーカー、内径10cm、高さ15cm、ガラス製)に入れた。撹拌装置(MagneticStirrer HS-400、アズワン(株)製)を用いて撹拌子を800rpmで回転させながら、電気伝導度計(CM-42X、東亜DKK(株)製)の電極を液中に入れた。各洗浄剤物品10gを液中に投入し、経時の電気伝導度を測定し、各洗浄剤物品の投入から30秒後の電気伝導度Aと、各洗浄剤物品の投入から5分後以降で最大で安定な電気伝導度(15秒以上値が変動しない)を完全溶解した場合の電気伝導度とみなし、電気伝導度A’として測定した。A/A’を投入から30秒後の相対溶解率と見なし、算出した。結果を表1に示す。A/A’の値が大きい程、洗浄剤物品のより短時間での水への溶解性が良好であることを示している。
【0095】