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特開2024-111449データ収集システム、データ送信システムおよびデータ送信プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024111449
(43)【公開日】2024-08-19
(54)【発明の名称】データ収集システム、データ送信システムおよびデータ送信プログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/00 20060101AFI20240809BHJP
   G07C 5/00 20060101ALI20240809BHJP
【FI】
G08G1/00 D
G07C5/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023015966
(22)【出願日】2023-02-06
(71)【出願人】
【識別番号】514326199
【氏名又は名称】桑原 康郎
(74)【代理人】
【識別番号】100140796
【弁理士】
【氏名又は名称】原口 貴志
(72)【発明者】
【氏名】桑原 康郎
【テーマコード(参考)】
3E138
5H181
【Fターム(参考)】
3E138AA07
3E138MA01
3E138MA06
3E138MB08
3E138MB13
3E138MB15
3E138MC12
3E138MD05
5H181AA01
5H181BB04
5H181BB12
5H181BB13
5H181BB20
5H181CC04
5H181FF04
5H181FF10
5H181FF13
5H181FF27
5H181FF32
(57)【要約】
【課題】 人工知能の判定の精度を従来より容易に向上することができるデータ収集システム、データ送信システムおよびデータ送信プログラムを提供する。
【解決手段】 データ収集システムのデータ送信システムは、ドライブレコーダーによって記録された記録データのうち少なくとも映像データに基づいて、AIアルゴリズムを使用して事柄発生時点を特定してAI対象判定を実行し(S106)、特定した事柄発生時点を含む特定の時間範囲のデータとしての特定時間範囲データを記録データから抽出し(S108)、抽出した特定時間範囲データ、および、AI対象判定の結果としてのAI判定結果を互いに関連付けてデータ収集システムのデータ蓄積システムに送信し(S112)、データ蓄積システムは、データ送信システムによって送信されてきた特定時間範囲データおよびAI判定結果を互いに関連付けて蓄積することを特徴とする。
【選択図】 図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
データを送信するデータ送信システムと、
データを蓄積するデータ蓄積システムと
を備え、
前記データ送信システムは、
ドライブレコーダーによって記録されたデータとしての記録データのうち少なくとも映像データに基づいて特定の事柄が発生した時点を特定して前記事柄に関する特定の判定を実行するための人工知能のアルゴリズムとしてのAIアルゴリズムを使用して、前記時点を特定して前記判定を実行するAIエンジンと、
前記AIエンジンによって特定された前記時点を含む特定の時間範囲のデータとしての特定時間範囲データを前記記録データから抽出するデータ抽出部と、
前記データ抽出部によって抽出された前記特定時間範囲データ、および、前記AIエンジンによる前記判定の結果としてのAI判定結果を互いに関連付けて前記データ蓄積システムに送信する蓄積用データ送信部と
を備え、
前記データ蓄積システムは、前記蓄積用データ送信部によって送信されてきた前記特定時間範囲データおよび前記AI判定結果を互いに関連付けて蓄積することを特徴とするデータ収集システム。
【請求項2】
前記データ送信システムは、前記記録データの属性情報を取得する属性情報取得部を備え、
前記蓄積用データ送信部は、前記属性情報取得部によって取得された前記属性情報を前記特定時間範囲データおよび前記AI判定結果に関連付けて前記データ蓄積システムに送信し、
前記データ蓄積システムは、前記蓄積用データ送信部によって送信されてきた前記特定時間範囲データ、前記AI判定結果および前記属性情報を互いに関連付けて蓄積し、
前記データ蓄積システムは、前記データ蓄積システムに蓄積されているデータの閲覧を希望する者としての閲覧希望者に関連付けられた前記属性情報に関連付けられた前記特定時間範囲データおよび前記AI判定結果の閲覧を前記閲覧希望者に対して許可することを特徴とする請求項1に記載のデータ収集システム。
【請求項3】
前記データ蓄積システムは、前記AI判定結果に対する前記閲覧希望者による評価を示すフィードバック情報が入力された場合に、入力された前記フィードバック情報を、前記AI判定結果に関連付けて蓄積することを特徴とする請求項2に記載のデータ収集システム。
【請求項4】
前記データ送信システムは、前記記録データのデータ形式を特定のデータ形式に変換するデータ変換部を備え、
前記AIエンジンは、前記データ変換部によってデータ形式が前記特定のデータ形式に変換された前記記録データのうち少なくとも映像データに基づいて前記AIアルゴリズムを使用して前記時点を特定して前記判定を実行することを特徴とする請求項1に記載のデータ収集システム。
【請求項5】
前記データ蓄積システムは、前記AIアルゴリズムが入力された場合に、入力された前記AIアルゴリズムを前記データ送信システムに送信し、
前記AIエンジンは、前記データ蓄積システムによって送信されてきた前記AIアルゴリズムを使用して前記時点を特定して前記判定を実行することを特徴とする請求項1に記載のデータ収集システム。
【請求項6】
ドライブレコーダーによって記録されたデータとしての記録データのうち少なくとも映像データに基づいて特定の事柄が発生した時点を特定して前記事柄に関する特定の判定を実行するための人工知能のアルゴリズムとしてのAIアルゴリズムを使用して、前記時点を特定して前記判定を実行するAIエンジンと、
前記AIエンジンによって特定された前記時点を含む特定の時間範囲のデータとしての特定時間範囲データを前記記録データから抽出するデータ抽出部と、
前記データ抽出部によって抽出された前記特定時間範囲データ、および、前記AIエンジンによる前記判定の結果としてのAI判定結果を互いに関連付けてデータ蓄積システムに送信する蓄積用データ送信部と
を備えることを特徴とするデータ送信システム。
【請求項7】
ドライブレコーダーによって記録されたデータとしての記録データのうち少なくとも映像データに基づいて特定の事柄が発生した時点を特定して前記事柄に関する特定の判定を実行するための人工知能のアルゴリズムとしてのAIアルゴリズムを使用して、前記時点を特定して前記判定を実行するAIエンジンと、
前記AIエンジンによって特定された前記時点を含む特定の時間範囲のデータとしての特定時間範囲データを前記記録データから抽出するデータ抽出部と、
前記データ抽出部によって抽出された前記特定時間範囲データ、および、前記AIエンジンによる前記判定の結果としてのAI判定結果を互いに関連付けてデータ蓄積システムに送信する蓄積用データ送信部と
をコンピューターに実現させることを特徴とするデータ送信プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドライブレコーダーによって記録されたデータの少なくとも一部を収集するデータ収集システム、データ送信システムおよびデータ送信プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ドライブレコーダーと有線または無線を介して通信可能な外部端末に設けられて、ドライブレコーダーによる撮影画像中の重要部分を特定する人工知能が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-186138号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の人工知能においては、判定の精度を向上するために膨大な量のデータを収集する労力が必要であるという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、人工知能の判定の精度を従来より容易に向上することができるデータ収集システム、データ送信システムおよびデータ送信プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のデータ収集システムは、データを送信するデータ送信システムと、データを蓄積するデータ蓄積システムとを備え、前記データ送信システムは、ドライブレコーダーによって記録されたデータとしての記録データのうち少なくとも映像データに基づいて特定の事柄が発生した時点を特定して前記事柄に関する特定の判定を実行するための人工知能のアルゴリズムとしてのAIアルゴリズムを使用して、前記時点を特定して前記判定を実行するAIエンジンと、前記AIエンジンによって特定された前記時点を含む特定の時間範囲のデータとしての特定時間範囲データを前記記録データから抽出するデータ抽出部と、前記データ抽出部によって抽出された前記特定時間範囲データ、および、前記AIエンジンによる前記判定の結果としてのAI判定結果を互いに関連付けて前記データ蓄積システムに送信する蓄積用データ送信部とを備え、前記データ蓄積システムは、前記蓄積用データ送信部によって送信されてきた前記特定時間範囲データおよび前記AI判定結果を互いに関連付けて蓄積することを特徴とする。
【0007】
この構成により、本発明のデータ収集システムは、互いに関連付けられた特定時間範囲データおよびAI判定結果がデータ送信システムから送信されてデータ蓄積システムに蓄積されるので、データ蓄積システムに蓄積された特定時間範囲データおよびAI判定結果に基づいてAIアルゴリズムが容易に改良されることができる。したがって、本発明のデータ収集システムは、人工知能の判定の精度を従来より容易に向上することができる。
【0008】
本発明のデータ収集システムにおいて、前記データ送信システムは、前記記録データの属性情報を取得する属性情報取得部を備え、前記蓄積用データ送信部は、前記属性情報取得部によって取得された前記属性情報を前記特定時間範囲データおよび前記AI判定結果に関連付けて前記データ蓄積システムに送信し、前記データ蓄積システムは、前記蓄積用データ送信部によって送信されてきた前記特定時間範囲データ、前記AI判定結果および前記属性情報を互いに関連付けて蓄積し、前記データ蓄積システムは、前記データ蓄積システムに蓄積されているデータの閲覧を希望する者としての閲覧希望者に関連付けられた前記属性情報に関連付けられた前記特定時間範囲データおよび前記AI判定結果の閲覧を前記閲覧希望者に対して許可しても良い。
【0009】
この構成により、本発明のデータ収集システムは、閲覧希望者に関連付けられた属性情報に関連付けられた特定時間範囲データおよびAI判定結果の閲覧を閲覧希望者に対して許可するので、特定時間範囲データおよびAI判定結果の閲覧を希望する者、または、その関係者がドライブレコーダーによって記録された記録データをデータ送信システムに入力する可能性を向上することができる。したがって、本発明のデータ収集システムは、AIアルゴリズムの改良のための膨大なデータがデータ蓄積システムに蓄積される可能性を向上することができ、その結果、人工知能の判定の精度を容易に向上することができる。
【0010】
本発明のデータ収集システムにおいて、前記データ蓄積システムは、前記AI判定結果に対する前記閲覧希望者による評価を示すフィードバック情報が入力された場合に、入力された前記フィードバック情報を、前記AI判定結果に関連付けて蓄積しても良い。
【0011】
この構成により、本発明のデータ収集システムは、AI判定結果に対する閲覧希望者による評価を示すフィードバック情報をAI判定結果に関連付けてデータ蓄積システムが蓄積するので、データ蓄積システムに蓄積された特定時間範囲データおよびAI判定結果だけでなく、データ蓄積システムに蓄積されたフィードバック情報にも基づいてAIアルゴリズムが改良されることができる。したがって、本発明のデータ収集システムは、人工知能の判定の精度を容易に向上することができる。
【0012】
本発明のデータ収集システムにおいて、前記データ送信システムは、前記記録データのデータ形式を特定のデータ形式に変換するデータ変換部を備え、前記AIエンジンは、前記データ変換部によってデータ形式が前記特定のデータ形式に変換された前記記録データのうち少なくとも映像データに基づいて前記AIアルゴリズムを使用して前記時点を特定して前記判定を実行しても良い。
【0013】
この構成により、本発明のデータ収集システムは、データ形式が特定のデータ形式に変換された記録データに基づいてAIエンジンが動作するので、様々なメーカーの様々なドライブレコーダーによって記録された記録データに基づいて生成された特定時間範囲データおよびAI判定結果がデータ蓄積システムに蓄積されることができ、その結果、AIアルゴリズムの改良のための膨大なデータがデータ蓄積システムに蓄積される可能性を向上することができる。したがって、本発明のデータ収集システムは、人工知能の判定の精度を容易に向上することができる。
【0014】
本発明のデータ収集システムにおいて、前記データ蓄積システムは、前記AIアルゴリズムが入力された場合に、入力された前記AIアルゴリズムを前記データ送信システムに送信し、前記AIエンジンは、前記データ蓄積システムによって送信されてきた前記AIアルゴリズムを使用して前記時点を特定して前記判定を実行しても良い。
【0015】
この構成により、本発明のデータ収集システムは、データ蓄積システムがAIアルゴリズムをデータ送信システムに送信するので、データ送信システムにおけるAIアルゴリズムの更新を容易化することができる。したがって、本発明のデータ収集システムは、人工知能の判定の精度を容易に向上することができる。
【0016】
本発明のデータ送信システムは、ドライブレコーダーによって記録されたデータとしての記録データのうち少なくとも映像データに基づいて特定の事柄が発生した時点を特定して前記事柄に関する特定の判定を実行するための人工知能のアルゴリズムとしてのAIアルゴリズムを使用して、前記時点を特定して前記判定を実行するAIエンジンと、前記AIエンジンによって特定された前記時点を含む特定の時間範囲のデータとしての特定時間範囲データを前記記録データから抽出するデータ抽出部と、前記データ抽出部によって抽出された前記特定時間範囲データ、および、前記AIエンジンによる前記判定の結果としてのAI判定結果を互いに関連付けてデータ蓄積システムに送信する蓄積用データ送信部とを備えることを特徴とする。
【0017】
この構成により、本発明のデータ送信システムは、互いに関連付けられた特定時間範囲データおよびAI判定結果をデータ蓄積システムに送信するので、データ蓄積システムに蓄積された特定時間範囲データおよびAI判定結果に基づいてAIアルゴリズムが容易に改良されることができる。したがって、本発明のデータ送信システムは、人工知能の判定の精度を従来より容易に向上することができる。
【0018】
本発明のデータ送信プログラムは、ドライブレコーダーによって記録されたデータとしての記録データのうち少なくとも映像データに基づいて特定の事柄が発生した時点を特定して前記事柄に関する特定の判定を実行するための人工知能のアルゴリズムとしてのAIアルゴリズムを使用して、前記時点を特定して前記判定を実行するAIエンジンと、前記AIエンジンによって特定された前記時点を含む特定の時間範囲のデータとしての特定時間範囲データを前記記録データから抽出するデータ抽出部と、前記データ抽出部によって抽出された前記特定時間範囲データ、および、前記AIエンジンによる前記判定の結果としてのAI判定結果を互いに関連付けてデータ蓄積システムに送信する蓄積用データ送信部とをコンピューターに実現させることを特徴とする。
【0019】
この構成により、本発明のデータ送信プログラムを実行するコンピューターは、互いに関連付けられた特定時間範囲データおよびAI判定結果をデータ蓄積システムに送信するので、データ蓄積システムに蓄積された特定時間範囲データおよびAI判定結果に基づいてAIアルゴリズムが容易に改良されることができる。したがって、本発明のデータ送信プログラムを実行するコンピューターは、人工知能の判定の精度を従来より容易に向上することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明のデータ収集システム、データ送信システムおよびデータ送信プログラムは、人工知能の判定の精度を従来より容易に向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施の形態に係るシステムのブロック図である。
図2】1台のPCによって実現される場合の図1に示すデータ送信システムの一例を示す図である。
図3】1台のPCによって実現される場合の図1に示すデータ蓄積システムの一例を示す図である。
図4図3に示す利用者情報の一例を示す図である。
図5図3に示す閲覧用テーブルの一例を示す図である。
図6図3に示すAI改良用テーブルの一例を示す図である。
図7図3に示す閲覧希望者情報の一例を示す図である。
図8】1台のPCによって実現される場合の図1に示すデータ閲覧用システムの一例を示す図である。
図9】ドライブレコーダーによって記録された記録データの少なくとも一部をデータ蓄積システムに送信する場合の図2に示すデータ送信システムの動作のフローチャートである。
図10図2に示す表示部に表示される属性情報入力画面の一例を示す図である。
図11】データ送信システムによって送信されてきたデータを蓄積する場合の図3に示すデータ蓄積システムの動作のフローチャートである。
図12】閲覧希望者がデータを閲覧する場合の図1に示すデータ収集システムの動作のシーケンス図である。
図13】閲覧希望者がAI判定結果に対して評価する場合の図1に示すデータ収集システムの動作のシーケンス図である。
図14】データ送信システムが新たなAIアルゴリズムを記憶する場合の図1に示すデータ収集システムの動作のシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
【0023】
まず、本発明の一実施の形態に係るシステムの構成について説明する。
【0024】
図1は、本実施の形態に係るシステム10のブロック図である。
【0025】
図1に示すように、システム10は、車両に搭載されて、車両の外部および内部の少なくとも1つの映像のデータ(以下「映像データ」という。)を含むデータ(以下「記録データ」という。)を記録するドライブレコーダーを少なくとも1つ備えている。例えば、システム10は、ドライブレコーダー11を備えている。システム10は、様々なメーカーによって製造された様々なドライブレコーダーを備えることが可能である。
【0026】
ドライブレコーダーによって記録される映像データとしては、例えば、車両の前方を撮影するために車両に設置されたカメラ(以下「前方カメラ」という。)によって撮影された映像データと、車両の後方を撮影するために車両に設置されたカメラ(以下「後方カメラ」という。)によって撮影された映像データと、車両の側方を撮影するために車両に設置されたカメラ(以下「側方カメラ」という。)によって撮影された映像データと、車両の内部を撮影するために車両に設置されたカメラ(以下「車内撮影カメラ」という。)によって撮影された映像データとが含まれても良い。
【0027】
システム10は、様々な性能のドライブレコーダーを備えることが可能である。例えば、システム10は、映像データに加えて、例えば、音声、日時、GPS(Global Positioning System)データ、加速度、速度、ウインカー信号、ブレーキ信号など、映像データ以外の少なくとも1つの種類のデータを記録データとして記録するような例えば自動車輸送の事業者などの事業者向けの高機能なドライブレコーダーを備えても良い。また、システム10は、映像データのみを記録するような一般消費者向けの簡易的なドライブレコーダーを備えても良い。
【0028】
システム10に含まれるドライブレコーダーは、例えばSDメモリーカード、コンパクトフラッシュ(登録商標)などの着脱可能な記憶媒体に記録データを記録可能である。例えば、ドライブレコーダー11は、記録データを記憶媒体12に記録可能である。
【0029】
システム10に含まれるドライブレコーダーによって記憶媒体に記録される記録データは、記録データの属性情報を含んでも良い。記録データに含まれる属性情報には、例えば、ドライブレコーダーの識別情報(以下「ドライブレコーダーID」という。)と、ドライブレコーダーが設置された車両の識別情報(以下「車両ID」という。)と、ドライブレコーダーが設置された車両の運転者の識別情報(以下「運転者ID」という。)との少なくとも1つが含まれても良い。属性情報を記憶媒体に記録するか否かや、属性情報を記憶媒体に記録する場合に、どのような属性情報を記憶媒体に記録するかは、ドライブレコーダーによって異なる。
【0030】
システム10は、ドライブレコーダーによって記録された記録データの少なくとも一部を収集するデータ収集システム20を備えている。
【0031】
データ収集システム20の利用者(以下「システム利用者」という。)は、例えば自動車輸送の事業者などの事業者でも良い。また、システム利用者は、例えば自動車の一般の運転者でも良い。
【0032】
データ収集システム20は、ドライブレコーダーによって記録された記録データの少なくとも一部を送信するデータ送信システムを少なくとも1つ備えている。例えば、データ収集システム20は、データ送信システム30を備えている。データ収集システム20は、システム利用者毎にデータ送信システムを備えても良い。データ送信システムは、1台のコンピューターによって実現されても良いし、複数台のコンピューターによって実現されても良い。例えば、データ送信システムは、PC(Personal Computer)によって実現されても良い。
【0033】
データ収集システム20は、データ送信システムによって送信されてきたデータを蓄積するデータ蓄積システム40を備えている。データ蓄積システム40は、1台のコンピューターによって実現されても良いし、複数台のコンピューターによって実現されても良い。例えば、データ蓄積システム40は、クラウドサーバーによって実現されても良い。
【0034】
データ送信システムと、データ蓄積システム40とは、インターネットなどのネットワーク10aを介して通信可能である。
【0035】
データ収集システム20は、データ蓄積システム40に蓄積されているデータの閲覧を希望する者(以下「閲覧希望者」という。)に、データ蓄積システム40に蓄積されているデータを閲覧させるためのデータ閲覧用システムを少なくとも1つ備えている。例えば、データ収集システム20は、データ閲覧用システム50を備えている。データ収集システム20は、閲覧希望者毎にデータ閲覧用システムを備えても良い。データ閲覧用システムは、1台のコンピューターによって実現されても良いし、複数台のコンピューターによって実現されても良い。例えば、データ閲覧用システムは、PCによって実現されても良い。
【0036】
データ蓄積システム40と、データ閲覧用システムとは、ネットワーク10aを介して通信可能である。
【0037】
図2は、1台のPCによって実現される場合のデータ送信システム30の一例を示す図である。
【0038】
図2に示すように、データ送信システム30は、種々の操作が入力される例えばキーボード、マウスなどの操作デバイスである操作部31と、種々の情報を表示する例えばLCD(Liquid Crystal Display)などの表示デバイスである表示部32と、例えばSDメモリーカード、コンパクトフラッシュなどの着脱可能な記憶媒体からデータを読み出すデータ読出部33と、LAN(Local Area Network)、インターネットなどのネットワーク経由で、または、ネットワークを介さずに有線または無線によって直接に、外部の装置と通信を行う通信デバイスである通信部34と、各種の情報を記憶する例えば半導体メモリー、HDD(Hard Disk Drive)などの不揮発性の記憶デバイスである記憶部35と、データ送信システム30全体を制御する制御部36とを備えている。
【0039】
記憶部35は、ドライブレコーダーによって記録された記録データに基づいたデータをデータ蓄積システム40に送信するためのデータ送信プログラム35aを記憶可能である。データ送信プログラム35aは、例えば、データ送信システム30の製造段階でデータ送信システム30にインストールされていても良いし、USB(Universal Serial Bus)メモリーなどの外部の記憶媒体からデータ送信システム30に追加でインストールされても良いし、ネットワーク上からデータ送信システム30に追加でインストールされても良い。
【0040】
記憶部35は、特定の事柄(以下「AI対象事柄」という。)が発生した時点(以下「事柄発生時点」という。)を特定してAI対象事柄に関する特定の判定(以下「AI対象判定」という。)を実行するための人工知能、すなわち、AI(Artificial Intelligence)のアルゴリズム(以下「AIアルゴリズム」という。)35bを記憶可能である。AIアルゴリズム35bは、例えば、データ送信システム30の製造段階でデータ送信システム30にインストールされていても良いし、USBメモリーなどの外部の記憶媒体からデータ送信システム30に追加でインストールされても良いし、ネットワーク上からデータ送信システム30に追加でインストールされても良い。
【0041】
AI対象事柄としては、種々の事柄が採用され得る。同様に、AI対象判定としては、種々の判定が採用され得る。
【0042】
AI対象事柄としては、例えば、自車両が車線を逸脱したこと(以下「車線逸脱」という。)が含まれても良い。車線逸脱は、例えば、前方カメラによって撮影された映像データに少なくとも基づいて特定されても良い。車線逸脱に関するAI対象判定としては、例えば、車線逸脱が発生したか否かの判定が含まれる。車線逸脱に関するAI対象判定の結果(以下「AI判定結果」という。)は、例えば、自動車輸送の事業者などの事業者における運転者に対する安全運転の指導に利用されたり、一般の運転者による運転者自身の安全運転の確認に利用されたりすることが可能であり、リアルタイム性が不要なものである。
【0043】
AI対象事柄としては、例えば、自車両が前方の車両と特定の距離以下に接近したこと(以下「前方異常接近」という。)が含まれても良い。前方異常接近は、例えば、前方カメラによって撮影された映像データに少なくとも基づいて特定されても良い。例えば、前方異常接近は、前方カメラによって撮影された映像データと、速度とに基づいて特定されても良い。一般的に、車両は、速度が速いほど、停止距離が長くなる。そのため、自車両と、前方の車両との距離が同一である場合には、自車両の速度が速いほど、前方の車両と衝突する可能性が高くなる。したがって、前方異常接近に該当するか否かの基準となる距離は、自車両の速度に応じて異なっても良い。前方異常接近に関するAI対象判定としては、例えば、前方異常接近が発生したか否かの判定が含まれる。前方異常接近に関するAI対象判定のAI判定結果は、例えば、自動車輸送の事業者などの事業者における運転者に対する安全運転の指導に利用されたり、一般の運転者による運転者自身の安全運転の確認に利用されたりすることが可能であり、リアルタイム性が不要なものである。
【0044】
AI対象事柄としては、例えば、運転者の脇見運転が含まれても良い。脇見運転は、例えば、車内撮影カメラによって撮影された映像データに少なくともに基づいて特定されても良い。例えば、脇見運転は、車内撮影カメラによって撮影された映像データと、速度とに基づいて特定されても良い。脇見運転に関するAI対象判定としては、例えば、脇見運転が発生したか否かの判定が含まれる。脇見運転に関するAI対象判定のAI判定結果は、例えば、自動車輸送の事業者などの事業者における運転者に対する安全運転の指導に利用されたり、一般の運転者による運転者自身の安全運転の確認に利用されたりすることが可能であり、リアルタイム性が不要なものである。
【0045】
AI対象事柄としては、例えば、運転者の居眠り運転が含まれても良い。居眠り運転は、例えば、車内撮影カメラによって撮影された映像データに少なくともに基づいて特定されても良い。例えば、居眠り運転は、車内撮影カメラによって撮影された映像データと、速度とに基づいて特定されても良い。居眠り運転に関するAI対象判定としては、例えば、居眠り運転が発生したか否かの判定が含まれる。居眠り運転に関するAI対象判定のAI判定結果は、例えば、自動車輸送の事業者などの事業者における運転者に対する安全運転の指導に利用されたり、一般の運転者による運転者自身の安全運転の確認に利用されたりすることが可能であり、リアルタイム性が不要なものである。
【0046】
AI対象事柄としては、例えば、自車両が交通信号機の信号の表示に反して通行したこと(以下「信号無視」という。)が含まれても良い。信号無視は、例えば、前方カメラによって撮影された映像データに少なくとも基づいて特定されても良い。例えば、信号無視は、前方カメラによって撮影された映像データと、速度とに基づいて特定されても良い。信号無視に関するAI対象判定としては、例えば、信号無視が発生したか否かの判定に加えて、信号無視が発生した場合に、交通信号機の手前で自車両が減速したか否かの判定が含まれても良い。信号無視に関するAI対象判定のAI判定結果は、例えば、自動車輸送の事業者などの事業者における運転者に対する安全運転の指導に利用されたり、一般の運転者による運転者自身の安全運転の確認に利用されたりすることが可能であり、リアルタイム性が不要なものである。
【0047】
AI対象事柄としては、例えば、道路標識などによって一時停止すべきことが示されている場所で自車両が一時停止しなかったこと(以下「一時不停止」という。)が含まれても良い。一時不停止は、例えば、前方カメラによって撮影された映像データに少なくとも基づいて特定されても良い。例えば、一時不停止は、前方カメラによって撮影された映像データと、速度とに基づいて特定されても良い。一時不停止に関するAI対象判定としては、例えば、一時不停止が発生したか否かの判定に加えて、一時不停止が発生した場合に、道路標識などによって一時停止すべきことが示されている場所で自車両が減速したか否かの判定が含まれても良い。一時不停止に関するAI対象判定のAI判定結果は、例えば、自動車輸送の事業者などの事業者における運転者に対する安全運転の指導に利用されたり、一般の運転者による運転者自身の安全運転の確認に利用されたりすることが可能であり、リアルタイム性が不要なものである。
【0048】
AI対象事柄としては、例えば、踏切で自車両が一時停止しなかったこと(以下「踏切一時不停止」という。)が含まれても良い。踏切一時不停止は、例えば、前方カメラによって撮影された映像データに少なくとも基づいて特定されても良い。例えば、踏切一時不停止は、前方カメラによって撮影された映像データと、速度とに基づいて特定されても良い。踏切一時不停止に関するAI対象判定としては、例えば、踏切一時不停止が発生したか否かの判定に加えて、踏切一時不停止が発生した場合に、踏切で自車両が減速したか否かの判定が含まれても良い。踏切一時不停止に関するAI対象判定のAI判定結果は、例えば、自動車輸送の事業者などの事業者における運転者に対する安全運転の指導に利用されたり、一般の運転者による運転者自身の安全運転の確認に利用されたりすることが可能であり、リアルタイム性が不要なものである。
【0049】
AI対象事柄としては、例えば、自車両がバスである場合に客の乗降が発生したこと(以下「バス乗降」という。)が含まれても良い。バス乗降は、例えば、側方カメラおよび車内撮影カメラの少なくとも1つによって撮影された映像データに少なくともに基づいて特定されても良い。例えば、バス乗降は、側方カメラおよび車内撮影カメラによって撮影された映像データと、GPSデータと、バス停留所の位置を示す情報とに基づいて特定されても良い。バス乗降に関するAI対象判定としては、例えば、バス乗降が発生したか否かの判定に加えて、バス乗降が発生した場合に乗降した客の人数と、各客の性別と、各客の年齢層との少なくとも1つの判定が含まれても良い。バス乗降に関するAI対象判定のAI判定結果は、例えば、バス事業者によって利用されることが可能であり、リアルタイム性が不要なものである。
【0050】
AI対象事柄としては、例えば、自車両の付近の車道上にロードコーンが存在すること(以下「ロードコーン存在」という。)が含まれても良い。ロードコーン存在は、例えば、前方カメラ、後方カメラおよび側方カメラの少なくとも1つによって撮影された映像データに少なくともに基づいて特定されても良い。ロードコーン存在に関するAI対象判定としては、例えば、ロードコーン存在が発生したか否かの判定に加えて、ロードコーン存在が発生した場合に、ロードコーン存在が発生した場所が事前に工事の申請があった場所か否かの判定が含まれても良い。ロードコーン存在に関するAI対象判定のAI判定結果は、例えば、警察などの要請によって違法工事を発見するために利用されることが可能であり、リアルタイム性が不要なものである。
【0051】
AI対象事柄としては、例えば、特定の番号を示すナンバープレートが取り付けられた車両が自車両の付近に存在すること(以下「特定番号車両存在」という。)が含まれても良い。特定番号車両存在は、例えば、前方カメラ、後方カメラおよび側方カメラの少なくとも1つによって撮影された映像データに少なくともに基づいて特定されても良い。特定番号車両存在に関するAI対象判定としては、例えば、特定番号車両存在が発生したか否かの判定が含まれる。特定番号車両存在に関するAI対象判定のAI判定結果は、例えば、警察などの要請によって犯人によって使用された車両を発見するために利用されることが可能であり、リアルタイム性が不要なものである。
【0052】
制御部36は、例えば、CPU(Central Processing Unit)と、プログラムおよび各種のデータを記憶しているROM(Read Only Memory)と、制御部36のCPUの作業領域として用いられる揮発性の記憶デバイスとしてのRAM(Random Access Memory)とを備えている。制御部36のCPUは、記憶部35または制御部36のROMに記憶されているプログラムを実行する。
【0053】
制御部36は、データ送信プログラム35aを実行することによって、ドライブレコーダーによって記録された記録データのデータ形式を特定のデータ形式に変換するデータ変換部36aと、記録データの属性情報を取得する属性情報取得部36bと、データ変換部36aによってデータ形式が変換された記録データに基づいて事柄発生時点を特定しAI対象判定を実行するAIのエンジン(以下「AIエンジン」という。)36cと、データ変換部36aによってデータ形式が変換された記録データから、AIエンジン36cによって特定された事柄発生時点を含む特定の時間範囲のデータ(以下「特定時間範囲データ」という。)を抽出するデータ抽出部36dと、データ抽出部36dによって抽出された特定時間範囲データをデータ蓄積システム40に送信する蓄積用データ送信部36eと、AIアルゴリズム35bを記憶部35に書き込むAIアルゴリズム書き込み部36fとを実現する。
【0054】
システム10には、様々なメーカーの様々なドライブレコーダーが含まれる。そのため、ドライブレコーダーによって記録された記録データのデータ形式には、様々なデータ形式が存在し得る。したがって、データ変換部36aは、ドライブレコーダーによって記録された記録データのデータ形式を特定のデータ形式に変換する。ここで、特定のデータ形式とは、AIエンジン36cで利用可能なデータ形式である。
【0055】
データ抽出部36dによって抽出される特定時間範囲データの時間範囲は、任意に設定されることが可能である。例えば、データ抽出部36dによって抽出される特定時間範囲データの時間範囲は、AIエンジン36cによって特定された事柄発生時点より10~30秒前から、AIエンジン36cによって特定された事柄発生時点より10~30秒後までの範囲でも良い。
【0056】
図3は、1台のPCによって実現される場合のデータ蓄積システム40の一例を示す図である。
【0057】
図3に示すように、データ蓄積システム40は、種々の操作が入力される例えばキーボード、マウスなどの操作デバイスである操作部41と、種々の情報を表示する例えばLCDなどの表示デバイスである表示部42と、LAN、インターネットなどのネットワーク経由で、または、ネットワークを介さずに有線または無線によって直接に、外部の装置と通信を行う通信デバイスである通信部43と、各種の情報を記憶する例えば半導体メモリー、HDDなどの不揮発性の記憶デバイスである記憶部44と、データ蓄積システム40全体を制御する制御部45とを備えている。
【0058】
記憶部44は、ドライブレコーダーによって記録された記録データの少なくとも一部を蓄積するためのデータ蓄積プログラム44aを記憶可能である。データ蓄積プログラム44aは、例えば、データ蓄積システム40の製造段階でデータ蓄積システム40にインストールされていても良いし、USBメモリーなどの外部の記憶媒体からデータ蓄積システム40に追加でインストールされても良いし、ネットワーク上からデータ蓄積システム40に追加でインストールされても良い。
【0059】
記憶部44は、システム利用者の情報を示す利用者情報44bを記憶している。
【0060】
図4は、利用者情報44bの一例を示す図である。
【0061】
図4に示す利用者情報44bは、一部の情報が省略されて描かれている。図4に示す利用者情報44bにおいては、システム利用者の識別情報(以下「利用者ID」という。)と、システム利用者の事業所の識別情報(以下「事業所ID」という。)と、データ送信システムの識別情報(以下「送信システムID」という。)とがデータ送信システム毎に互いに関連付けられて格納されている。事業所IDは、1つの利用者IDに対して複数存在し得る。システム利用者が一般の運転者である場合、事業所IDは、存在しない。送信システムIDは、1つの利用者IDに対して複数存在し得るし、1つの事業所IDに対して複数存在し得る。
【0062】
図3に示すように、記憶部44は、データ閲覧用システムによる閲覧のためのデータを格納する閲覧用テーブル44cを記憶している。
【0063】
図5は、閲覧用テーブル44cの一例を示す図である。
【0064】
図5に示す閲覧用テーブル44cは、一部の情報が省略されて描かれている。特に、図5に示す閲覧用テーブル44cは、特定時間範囲データの具体的な内容が省略されて描かれている。図5に示す閲覧用テーブル44cにおいては、特定時間範囲データの識別情報(以下「データID」という。)と、特定時間範囲データと、データ送信システムによる特定時間範囲データの送信日時と、AI対象事柄の種類と、AI判定結果と、送信システムIDと、ドライブレコーダーIDと、車両IDと、運転者IDと、利用者IDと、事業所IDとが特定時間範囲データ毎に互いに関連付けられて格納されている。
【0065】
図3に示すように、記憶部44は、AIアルゴリズムを改良するためのデータを格納するAI改良用テーブル44dを記憶している。
【0066】
図6は、AI改良用テーブル44dの一例を示す図である。
【0067】
図6に示すAI改良用テーブル44dは、一部の情報が省略されて描かれている。特に、図6に示すAI改良用テーブル44dは、特定時間範囲データの具体的な内容が省略されて描かれている。図6に示すAI改良用テーブル44dは、AI判定結果に対する閲覧希望者による評価を示すフィードバック情報が含まれること以外、図5に示す閲覧用テーブル44cと同様である。
【0068】
図3に示すように、記憶部44は、AI判定結果などをシステム利用者毎に纏めたレポートを利用者IDに関連付けて格納するレポートテーブル44eを記憶している。レポートは、例えば、車線逸脱、前方異常接近、脇見運転、居眠り運転、信号無視、一時不停止、踏切一時不停止などの安全運転に関するAI対象事柄の種類毎に、いずれの運転者に対して特定の期間にAI対象事柄が何回発生したかという情報を含んでも良い。レポートは、例えば、バス乗降に関して、いずれの停留所で、特定の期間に、いずれの年齢層の、いずれの性別の客が何人乗降したかという情報を含んでも良い。
【0069】
記憶部44は、データの閲覧希望者の情報を示す閲覧希望者情報44fを記憶している。
【0070】
図7は、閲覧希望者情報44fの一例を示す図である。
【0071】
図7に示す閲覧希望者情報44fは、一部の情報が省略されて描かれている。図7に示す閲覧希望者情報44fにおいては、閲覧希望者の識別情報(以下「閲覧希望者ID」という。)と、閲覧希望者のパスワードと、閲覧希望者が所属するシステム利用者の利用者IDと、閲覧希望者にデータの閲覧の権限が有る対象の事業所の事業所IDと、閲覧希望者にデータの閲覧の権限が有るAI対象事柄の種類と、レポートの閲覧の権限の有無とが閲覧希望者毎に互いに関連付けられて格納されている。
【0072】
図3に示す制御部45は、例えば、CPUと、プログラムおよび各種のデータを記憶しているROMと、制御部45のCPUの作業領域として用いられる揮発性の記憶デバイスとしてのRAMとを備えている。制御部45のCPUは、記憶部44または制御部45のROMに記憶されているプログラムを実行する。
【0073】
制御部45は、データ蓄積プログラム44aを実行することによって、ドライブレコーダーによって記録されたデータを蓄積するデータ蓄積部45aと、閲覧用のデータをデータ閲覧用システムに送信する閲覧用データ送信部45bと、AIアルゴリズムをデータ送信システムに送信するAIアルゴリズム送信部45cとを実現する。
【0074】
図8は、1台のPCによって実現される場合のデータ閲覧用システム50の一例を示す図である。
【0075】
図8に示すように、データ閲覧用システム50は、種々の操作が入力される例えばキーボード、マウスなどの操作デバイスである操作部51と、種々の情報を表示する例えばLCDなどの表示デバイスである表示部52と、LAN、インターネットなどのネットワーク経由で、または、ネットワークを介さずに有線または無線によって直接に、外部の装置と通信を行う通信デバイスである通信部53と、各種の情報を記憶する例えば半導体メモリー、HDDなどの不揮発性の記憶デバイスである記憶部54と、データ閲覧用システム50全体を制御する制御部55とを備えている。
【0076】
記憶部54は、データ蓄積システム40に蓄積されているデータを閲覧希望者に閲覧させるためのデータ閲覧用プログラム54aを記憶可能である。データ閲覧用プログラム54aは、例えば、データ閲覧用システム50の製造段階でデータ閲覧用システム50にインストールされていても良いし、USBメモリーなどの外部の記憶媒体からデータ閲覧用システム50に追加でインストールされても良いし、ネットワーク上からデータ閲覧用システム50に追加でインストールされても良い。
【0077】
制御部55は、例えば、CPUと、プログラムおよび各種のデータを記憶しているROMと、制御部55のCPUの作業領域として用いられる揮発性の記憶デバイスとしてのRAMとを備えている。制御部55のCPUは、記憶部54または制御部55のROMに記憶されているプログラムを実行する。
【0078】
制御部55は、データ閲覧用プログラム54aを実行することによって、データ蓄積システム40に蓄積されているデータの、閲覧希望者による閲覧を制御する閲覧制御部55aと、フィードバック情報をデータ蓄積システム40に送信するフィードバック情報送信部55bとを実現する。
【0079】
なお、データ送信システム30を実現するコンピューターと、データ閲覧用システム50を実現するコンピューターとは、同一のコンピューターでも良い。
【0080】
次に、システム10の動作について説明する。
【0081】
なお、以下においては、ドライブレコーダー、記憶媒体、データ送信システムおよびデータ閲覧用システムの例として、ドライブレコーダー11、記憶媒体12、データ送信システム30およびデータ閲覧用システム50について説明する。
【0082】
まず、ドライブレコーダー11によって記録された記録データの少なくとも一部をデータ蓄積システム40に送信する場合のデータ送信システム30の動作について説明する。
【0083】
ドライブレコーダー11によって記録された記録データの少なくとも一部をデータ蓄積システム40に送信することを希望する者(以下「送信希望者」という。)は、ドライブレコーダー11から記憶媒体12を取り外した後、記憶媒体12をデータ送信システム30のデータ読出部33に取り付けることができる。そして、送信希望者は、データ送信システム30のデータ読出部33に取り付けられた記憶媒体12に記憶されている記録データの少なくとも一部をデータ蓄積システム40に送信することの指示(以下「データ送信指示」という。)を例えばデータ送信システム30の操作部31を介してデータ送信システム30に入力することができる。データ送信システム30は、データ送信指示が入力されると、図9に示す動作を実行する。
【0084】
図9は、ドライブレコーダー11によって記録された記録データの少なくとも一部をデータ蓄積システム40に送信する場合のデータ送信システム30の動作のフローチャートである。
【0085】
図9に示すように、属性情報取得部36bは、データ送信システム30の送信システムIDを取得する(S101)。データ送信システム30の送信システムIDは、記録データの属性情報の1つになる。
【0086】
属性情報取得部36bは、S101の処理が終了すると、データ読出部33によって記憶媒体12から読み出されてデータ変換部36aによってデータ形式が特定のデータ形式に変換された記録データ(以下「変換後データ」という。)に属性情報が含まれるか否かを判断する(S102)。
【0087】
属性情報取得部36bは、変換後データに属性情報が含まれるとS102において判断すると、変換後データに含まれる属性情報を取得する(S103)。
【0088】
属性情報取得部36bは、変換後データに属性情報が含まれないとS102において判断するか、S103の処理が終了すると、属性情報を入力するための属性情報入力画面60(図10参照。)を表示部32に表示する(S104)。
【0089】
図10は、表示部32に表示される属性情報入力画面60の一例を示す図である。
【0090】
図10に示す属性情報入力画面60は、記録データの属性情報の1つになるドライブレコーダーIDが入力されるためのテキストボックス61と、記録データの属性情報の1つになる車両IDが入力されるためのテキストボックス62と、記録データの属性情報の1つになる運転者IDが入力されるためのテキストボックス63と、属性情報の入力の完了を指示するための完了ボタン64とを含んでいる。
【0091】
テキストボックス61は、S103においてドライブレコーダーIDが取得された場合には、S103において取得されたドライブレコーダーIDが初期値として含まれる。送信希望者は、操作部31を介して、テキストボックス61にドライブレコーダーIDを入力したり、テキストボックス61に入力されているドライブレコーダーIDを変更または削除したりすることができる。
【0092】
テキストボックス62は、S103において車両IDが取得された場合には、S103において取得された車両IDが初期値として含まれる。送信希望者は、操作部31を介して、テキストボックス62に車両IDを入力したり、テキストボックス62に入力されている車両IDを変更または削除したりすることができる。
【0093】
テキストボックス63は、S103において運転者IDが取得された場合には、S103において取得された運転者IDが初期値として含まれる。送信希望者は、操作部31を介して、テキストボックス63に運転者IDを入力したり、テキストボックス63に入力されている運転者IDを変更または削除したりすることができる。
【0094】
送信希望者は、操作部31を介して完了ボタン64を押すことができる。
【0095】
図9に示すように、属性情報取得部36bは、S104の処理が終了すると、完了ボタン64が押されたと判断するまで、完了ボタン64が押されたか否かを判断する(S105)。
【0096】
AIエンジン36cは、完了ボタン64が押されたとS105において判断されると、変換後データに基づいて、事柄発生時点を特定してAI対象判定を実行すること(以下「AI処理」という。)をAIアルゴリズム35bを使用して開始する(S106)。
【0097】
AIエンジン36cは、S106の処理が終了すると、事柄発生時点を特定したか否かを判断する(S107)。
【0098】
データ抽出部36dは、事柄発生時点を特定したとS107において判断されると、AIエンジン36cによって特定された事柄発生時点を含む特定時間範囲データを変換後データから抽出する(S108)。特定時間範囲データは、少なくとも映像データを含む。特定時間範囲データは、例えば、音声、日時、GPSデータ、加速度、速度、ウインカー信号、ブレーキ信号など、映像データ以外のデータが変換後データに含まれる場合には、AIエンジン36cによって特定された事柄発生時点を含む特定の時間範囲における、映像データ以外のデータも含んでも良い。
【0099】
データ抽出部36dは、S108の処理が終了すると、S108における抽出の原因となったAI対象事柄の種類を、S108において変換後データから抽出した特定時間範囲データに付加する(S109)。
【0100】
AIエンジン36cは、事柄発生時点を特定していないとS107において判断するか、S109の処理が終了すると、変換後データのうちの全ての映像データに対してAI処理が終了したか否かを判断する(S110)。
【0101】
AIエンジン36cは、変換後データのうちの全ての映像データに対してAI処理が終了していないとS110において判断すると、S107の処理を実行する。
【0102】
蓄積用データ送信部36eは、変換後データのうちの全ての映像データに対してAI処理が終了したとS110において判断されると、S108において特定時間範囲データが抽出されたか否かを判断する(S111)。
【0103】
蓄積用データ送信部36eは、S108において特定時間範囲データが抽出されたとS111において判断すると、S108において抽出された特定時間範囲データと、現在の日時(以下「送信日時」という。)と、この特定時間範囲データにS109において付加されたAI対象事柄の種類と、この特定時間範囲データに対応するAI対象判定のAI判定結果と、S101において取得された送信システムIDと、完了ボタン64が押されたとS105において判断された時点でテキストボックス61に入力されていたドライブレコーダーIDと、完了ボタン64が押されたとS105において判断された時点でテキストボックス62に入力されていた車両IDと、完了ボタン64が押されたとS105において判断された時点でテキストボックス63に入力されていた運転者IDとを特定時間範囲データ毎に互いに関連付けて、データ蓄積システム40に送信する(S112)。
【0104】
蓄積用データ送信部36eは、S108において特定時間範囲データが抽出されていないとS111において判断するか、S112の処理が終了すると、図9に示す動作を終了する。
【0105】
なお、ドライブレコーダー11によって記憶媒体12に書き込まれたデータは、例えばドライブレコーダー11が1日に8時間起動していた場合には8時間分のデータであるなど、データ量が非常に多い可能性が高い。したがって、データ送信システム30は、ドライブレコーダー11によって記憶媒体12に書き込まれたデータを記憶媒体12から記憶部35に一旦全て書き込むことを実行せずに、ドライブレコーダー11によって記憶媒体12に書き込まれたデータを記憶媒体12から直接読み出しながら図9に示す動作を実行することができる。しかしながら、データ送信システム30は、ドライブレコーダー11によって記憶媒体12に書き込まれたデータを記憶媒体12から記憶部35に一旦全て書き込んでから、記憶部35に書き込まれたデータを記憶部35から読み出して図9に示す動作を実行しても良い。
【0106】
次に、データ送信システム30によって送信されてきたデータを蓄積する場合のデータ蓄積システム40の動作について説明する。
【0107】
図11は、データ送信システム30によって送信されてきたデータを蓄積する場合のデータ蓄積システム40の動作のフローチャートである。
【0108】
図11に示すように、データ蓄積部45aは、データ送信システム30によって送信されてきた特定時間範囲データのデータIDを決定する(S121)。
【0109】
データ蓄積部45aは、S121の処理が終了すると、データ送信システム30によって送信されてきた特定時間範囲データに関連付けられてデータ送信システム30によって送信されてきた送信システムIDに対して、利用者情報44bにおいて関連付けられている利用者IDおよび事業所IDを取得する(S122)。
【0110】
データ蓄積部45aは、S122の処理が終了すると、データ送信システム30によって送信されてきた特定時間範囲データを、この特定時間範囲データに関連付けられてデータ送信システム30によって送信されてきた、AI対象事柄の種類と、AI判定結果と、送信システムIDと、ドライブレコーダーIDと、車両IDと、運転者IDと、送信日時と、S121において決定したデータIDと、S122において取得した利用者IDおよび事業所IDとに関連付けて閲覧用テーブル44cに書き込む(S123)。
【0111】
データ蓄積部45aは、S123の処理が終了すると、S123において閲覧用テーブル44cに書き込んだデータを、AI改良用テーブル44dにも書き込む(S124)。
【0112】
データ蓄積部45aは、S124の処理が終了すると、S123において書き込んだデータに基づいて、レポートテーブル44e上のレポートを更新する(S125)。
【0113】
制御部45は、S125の処理が終了すると、図11に示す動作を終了する。
【0114】
次に、閲覧希望者がデータを閲覧する場合のデータ収集システム20の動作について説明する。
【0115】
図12は、閲覧希望者がデータを閲覧する場合のデータ収集システム20の動作のシーケンス図である。
【0116】
閲覧希望者は、データ蓄積システム40に蓄積されているデータの閲覧を希望する場合に、データ蓄積システム40へのログインの指示(以下「ログイン指示」という。)をデータ閲覧用システム50の操作部51を介してデータ閲覧用システム50に入力する。ログイン指示には、閲覧希望者の閲覧希望者IDおよびパスワードが含まれる。
【0117】
データ閲覧用システム50の閲覧制御部55aは、ログイン指示が入力されると、図12に示すように、データ蓄積システム40へのログインの依頼(以下「ログイン依頼」という。)をデータ蓄積システム40に送信する(S141)。閲覧制御部55aは、ログイン指示に含まれている閲覧希望者IDおよびパスワードをログイン依頼にも含める。
【0118】
データ蓄積システム40の閲覧用データ送信部45bは、データ閲覧用システム50からS141においてログイン依頼が送信されてくると、ログイン依頼の対象の閲覧希望者の認証を実行する(S142)。具体的には、閲覧用データ送信部45bは、データ閲覧用システム50から送信されてきたログイン依頼に含まれる閲覧希望者IDおよびパスワードの組み合わせが閲覧希望者情報44fに含まれるか否かを判断する。閲覧用データ送信部45bは、データ閲覧用システム50から送信されてきたログイン依頼に含まれる閲覧希望者IDおよびパスワードの組み合わせが閲覧希望者情報44fに含まれると判断した場合には、ログイン依頼の対象の閲覧希望者の認証が成功したと判定する。一方、閲覧用データ送信部45bは、データ閲覧用システム50から送信されてきたログイン依頼に含まれる閲覧希望者IDおよびパスワードの組み合わせが閲覧希望者情報44fに含まれないと判断した場合には、ログイン依頼の対象の閲覧希望者の認証が失敗したと判定する。
【0119】
閲覧用データ送信部45bは、S142における認証が失敗した場合、ログインの不許可をデータ閲覧用システム50に通知する(S143)。
【0120】
データ閲覧用システム50の閲覧制御部55aは、ログインの不許可がデータ蓄積システム40からS143において通知されてくると、データ蓄積システム40へのログインの失敗を表示部52に表示する(S144)。したがって、閲覧希望者は、データ蓄積システム40へのログインの失敗を認識することができる。
【0121】
閲覧用データ送信部45bは、S142における認証が成功した場合、ログイン依頼に含まれる閲覧希望者IDに対してレポートの閲覧の権限が有ることが閲覧希望者情報44fにおいて関連付けられているか否かを判断する(S145)。
【0122】
閲覧用データ送信部45bは、ログイン依頼に含まれる閲覧希望者IDに対してレポートの閲覧の権限が有ることが閲覧希望者情報44fにおいて関連付けられているとS145において判断すると、ログイン依頼に含まれる閲覧希望者IDに対して閲覧希望者情報44fにおいて関連付けられている利用者ID、事業所IDおよびAI対象事柄の種類の組み合わせを含む、閲覧用テーブル44cにおけるレコード内のデータ、すなわち、閲覧希望者に閲覧の権限があるデータと、ログイン依頼に含まれる閲覧希望者IDに対して閲覧希望者情報44fにおいて関連付けられている利用者IDにレポートテーブル44eにおいて関連付けられているレポート、すなわち、閲覧希望者に閲覧の権限があるレポートとの閲覧を許可する(S146)。したがって、閲覧用データ送信部45bは、以降、閲覧希望者に閲覧の権限があるデータおよびレポートの閲覧がデータ閲覧用システム50から要求された場合に、データ閲覧用システム50から要求されたデータおよびレポートをデータ閲覧用システム50に送信する。
【0123】
閲覧用データ送信部45bは、S146の処理が終了すると、閲覧希望者に閲覧の権限があるデータおよびレポートの閲覧の許可をデータ閲覧用システム50に通知する(S147)。
【0124】
データ閲覧用システム50の閲覧制御部55aは、閲覧希望者に閲覧の権限があるデータおよびレポートの閲覧の許可がデータ蓄積システム40からS147において通知されてくると、閲覧希望者に閲覧の権限があるデータおよびレポートの閲覧の許可を表示部52に表示する(S148)。したがって、閲覧希望者は、データ蓄積システム40に蓄積されているデータのうち、閲覧希望者に閲覧の権限があるデータおよびレポートをデータ閲覧用システム50を介して閲覧することができる。
【0125】
閲覧用データ送信部45bは、ログイン依頼に含まれる閲覧希望者IDに対してレポートの閲覧の権限が有ることが閲覧希望者情報44fにおいて関連付けられていないとS145において判断すると、ログイン依頼に含まれる閲覧希望者IDに対して閲覧希望者情報44fにおいて関連付けられている利用者ID、事業所IDおよびAI対象事柄の種類の組み合わせを含む、閲覧用テーブル44cにおけるレコード内のデータ、すなわち、閲覧希望者に閲覧の権限があるデータの閲覧を許可する(S149)。したがって、閲覧用データ送信部45bは、以降、閲覧希望者に閲覧の権限があるデータの閲覧がデータ閲覧用システム50から要求された場合に、データ閲覧用システム50から要求されたデータをデータ閲覧用システム50に送信する。
【0126】
閲覧用データ送信部45bは、S149の処理が終了すると、閲覧希望者に閲覧の権限があるデータの閲覧の許可をデータ閲覧用システム50に送信する(S150)。
【0127】
データ閲覧用システム50の閲覧制御部55aは、閲覧希望者に閲覧の権限があるデータの閲覧の許可がデータ蓄積システム40からS150において送信されてくると、閲覧希望者に閲覧の権限があるデータの閲覧の許可を表示部52に表示する(S151)。したがって、閲覧希望者は、データ蓄積システム40に蓄積されているデータのうち、閲覧希望者に閲覧の権限があるデータをデータ閲覧用システム50を介して閲覧することができる。
【0128】
なお、閲覧制御部55aは、閲覧することができるデータおよびレポートをデータ蓄積システム40からデータ閲覧用システム50にダウンロードすることも可能である。
【0129】
次に、閲覧希望者がAI判定結果に対して評価する場合のデータ収集システム20の動作について説明する。
【0130】
図13は、閲覧希望者がAI判定結果に対して評価する場合のデータ収集システム20の動作のシーケンス図である。
【0131】
閲覧希望者は、データ蓄積システム40に蓄積されているデータをデータ閲覧用システム50を介して閲覧している場合に、AI判定結果に対する閲覧希望者自身による評価をデータ閲覧用システム50の操作部51を介してデータ閲覧用システム50に入力することができる。
【0132】
データ閲覧用システム50のフィードバック情報送信部55bは、AI判定結果に対する閲覧希望者による評価が操作部51を介して入力されると、図13に示すように、操作部51を介して入力された評価を示すフィードバック情報を、このフィードバック情報の対象のAI判定結果に関連付けられているデータIDとともにデータ蓄積システム40に送信する(S161)。
【0133】
データ蓄積システム40のデータ蓄積部45aは、フィードバック情報およびデータIDがデータ閲覧用システム50からS161において送信されてくると、データ閲覧用システム50からS161において送信されてきたフィードバック情報を、データ閲覧用システム50からS161において送信されてきたデータIDに関連付けてAI改良用テーブル44dに記憶する(S162)。
【0134】
データ蓄積システム40の外部のコンピューターは、データ蓄積システム40の通信部43を介して受信したAI改良用テーブル44dのデータに基づいて、自身の表示部にAI改良用テーブル44dの内容を表示することができる。また、データ蓄積システム40は、表示部42にAI改良用テーブル44dの内容を表示することができる。したがって、データ収集システム20の提供者(以下「システム提供者」という。)は、外部のコンピューターの表示部、または、データ蓄積システム40の表示部42に表示されたAI改良用テーブル44dの内容を確認することができる。そして、システム提供者は、AI改良用テーブル44dにおけるAI判定結果に対して評価することができる。
【0135】
システム提供者は、AI判定結果に対して評価した後、AI判定結果に対する提供者自身による評価を、データ蓄積システム40の外部のコンピューターの操作部を介して、データ蓄積システム40の通信部43経由でデータ蓄積システム40に入力することができる。また、システム提供者は、AI判定結果に対して評価した後、AI判定結果に対する提供者自身による評価を、データ蓄積システム40の操作部41を介して、データ蓄積システム40に入力することができる。したがって、データ蓄積システム40は、システム提供者から入力された評価に基づいて、AI改良用テーブル44dにフィードバック情報を記憶したり、AI改良用テーブル44dに記憶されているフィードバック情報を書き換えたりすることができる。
【0136】
システム提供者は、AI改良用テーブル44dの内容に基づいてAIアルゴリズムを改良することができる。例えば、システム提供者は、AI改良用テーブル44dにおけるフィードバック情報を正解とした教師データに基づいた教師あり学習によってAIアルゴリズムを改良しても良い。AIアルゴリズムは、改良されることによって、例えば、天候状況や道路状況などの、AI対象判定と直接関係ない様々な状況の影響を受けていないAI判定結果を出力する可能性が高いAIアルゴリズムになることができる。例えば、AI対象事柄が信号無視である場合、前方カメラによる撮影の際に晴れであるときと、前方カメラによる撮影の際に雨であるときとで映像データにおける信号の明るさが異なり得るが、前方カメラによる撮影の際に晴れおよび雨のいずれであっても、信号無視に関するAI判定結果の精度が高いAIアルゴリズムになることができる。
【0137】
次に、データ送信システム30が新たなAIアルゴリズムを記憶する場合のデータ収集システム20の動作について説明する。
【0138】
図14は、データ送信システム30が新たなAIアルゴリズムを記憶する場合のデータ収集システム20の動作のシーケンス図である。
【0139】
システム提供者は、改良したAIアルゴリズムなど、新たなAIアルゴリズムをデータ蓄積システム40の通信部43を介してデータ蓄積システム40に入力することができる。システム提供者は、新たなAIアルゴリズムを例えば1週間毎や1ヶ月毎など、定期的にデータ蓄積システム40に入力しても良い。
【0140】
データ蓄積システム40のAIアルゴリズム送信部45cは、新たなAIアルゴリズムが通信部43を介して入力されると、図14に示すように、通信部43を介して入力されたAIアルゴリズムを、データ送信システム30に送信する(S181)。
【0141】
データ送信システム30のAIアルゴリズム書き込み部36fは、AIアルゴリズムがデータ蓄積システム40からS181において送信されてくると、データ蓄積システム40からS181において送信されてきたAIアルゴリズムをAIアルゴリズム35bとして記憶部35に書き込む(S182)。なお、AIアルゴリズム書き込み部36fは、データ蓄積システム40からS181において送信されてきたAIアルゴリズムが記憶部35に既に記憶されているAIアルゴリズム35bの更新版である場合、データ蓄積システム40からS181において送信されてきたAIアルゴリズムで、記憶部35に既に記憶されているAIアルゴリズム35bを更新する。
【0142】
以上においては、データ蓄積システム40のAIアルゴリズム送信部45cがデータ送信システム30にAIアルゴリズムを送信する場合について説明している。しかしながら、データ蓄積システム40のAIアルゴリズム送信部45cは、新たなAIアルゴリズムが通信部43を介して入力されると、データ送信システム30にAIアルゴリズムを送信したように、データ収集システム20上の全てのデータ送信システムにAIアルゴリズムを送信する。したがって、新たなAIアルゴリズムは、データ収集システム20上の全てのデータ送信システムに記憶される。
【0143】
以上に説明したように、データ収集システム20は、互いに関連付けられた特定時間範囲データおよびAI判定結果がデータ送信システムから送信されて(S112)データ蓄積システム40に蓄積される(S123およびS124)ので、データ蓄積システム40に蓄積された特定時間範囲データおよびAI判定結果に基づいてAIアルゴリズムが容易に改良されることができる。したがって、データ収集システム20は、人工知能の判定の精度を従来より容易に向上することができる。
【0144】
データ収集システム20は、閲覧希望者に関連付けられた属性情報に関連付けられた特定時間範囲データおよびAI判定結果の閲覧を閲覧希望者に対して許可する(S146およびS149)ので、特定時間範囲データおよびAI判定結果の閲覧を希望する者、または、その関係者がドライブレコーダーによって記録された記録データをデータ送信システムに入力する可能性を向上することができる。したがって、データ収集システム20は、AIアルゴリズムの改良のための膨大なデータがデータ蓄積システム40に蓄積される可能性を向上することができ、その結果、人工知能の判定の精度を容易に向上することができる。
【0145】
データ収集システム20は、AI判定結果に対する閲覧希望者による評価を示すフィードバック情報をAI判定結果に関連付けてデータ蓄積システム40が蓄積する(S162)ので、データ蓄積システム40に蓄積された特定時間範囲データおよびAI判定結果だけでなく、データ蓄積システム40に蓄積されたフィードバック情報にも基づいてAIアルゴリズムが改良されることができる。したがって、データ収集システム20は、人工知能の判定の精度を容易に向上することができる。
【0146】
データ収集システム20は、データ形式が特定のデータ形式に変換された記録データに基づいてAIエンジンが動作するので、様々なメーカーの様々なドライブレコーダーによって記録された記録データに基づいて生成された特定時間範囲データおよびAI判定結果がデータ蓄積システム40に蓄積されることができ、その結果、AIアルゴリズムの改良のための膨大なデータがデータ蓄積システム40に蓄積される可能性を向上することができる。したがって、データ収集システム20は、人工知能の判定の精度を容易に向上することができる。
【0147】
データ収集システム20は、データ蓄積システム40がAIアルゴリズムをデータ送信システムに送信する(S181)ので、データ送信システムにおけるAIアルゴリズムの更新を容易化することができる。したがって、データ収集システム20は、人工知能の判定の精度を容易に向上することができる。
【0148】
システム提供者は、例えば新たなAI対象判定がシステム利用者から提示された場合に、そのAI対象判定を実現するための暫定的なAIアルゴリズムを作成して、その暫定的なAIアルゴリズムをデータ蓄積システム40経由で全てのデータ送信システムに送信することができる。そして、データ収集システム20は、データ送信システムに搭載された暫定的なAIアルゴリズムを利用してデータ送信システムにおいて生成されたデータ、すなわち、データ送信システムに搭載された暫定的なAIアルゴリズムの改良のためのデータがデータ蓄積システム40に膨大に蓄積される。したがって、システム提供者は、データ蓄積システム40に蓄積されたデータを使用して、暫定的なAIアルゴリズムを改良することができる。
【0149】
データ収集システム20は、ドライブレコーダーによって記録された記録データの全てではなく、ドライブレコーダーによって記録された記録データのうち特定時間範囲データがデータ送信システムからデータ蓄積システム40に送信されるので、データ送信システムからデータ蓄積システム40へのデータの送信のための通信容量と、データ蓄積システム40の記憶容量とを低減することができる。
【0150】
システム10は、本実施の形態において、一般的なPCと比較して処理能力が低い可能性が高いドライブレコーダーによってではなく、ドライブレコーダーと比較して処理能力が高い可能性が高いデータ送信システムによってAIエンジンを実現するので、最高ランクのAIエンジンを実現することができる可能性が高い。例えば、データ送信システムは、AI対象事柄毎に異なるグラフィックボードを使用してAI処理を実行しても良い。
【0151】
本実施の形態においては、属性情報として、送信システムID、ドライブレコーダーID、車両IDおよび運転者IDについて説明している。しかしながら、属性情報には、送信システムID、ドライブレコーダーID、車両IDおよび運転者ID以外の情報が含まれても良い。
【0152】
なお、システム10において生成されたAIアルゴリズムのうち、少なくとも1つのAI対象判定を実現するためのAIアルゴリズムは、AIエンジンを搭載するドライブレコーダーに搭載されることも可能である。AIエンジンを搭載するドライブレコーダーに、システム10において生成されたAIアルゴリズムが搭載された場合、このドライブレコーダーのAIエンジンは、このAIアルゴリズムを使用して、ドライブレコーダー自身によって記録された記録データのうち少なくとも映像データに基づいて、事柄発生時点を特定してAI対象判定を実行することができる。
【符号の説明】
【0153】
11 ドライブレコーダー
20 データ収集システム
30 データ送信システム(コンピューター)
35a データ送信プログラム
35b AIアルゴリズム
36a データ変換部
36b 属性情報取得部
36c AIエンジン
36d データ抽出部
36e 蓄積用データ送信部
40 データ蓄積システム
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