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特開2024-111450固体燃料粉砕装置及び発電プラント並びに固体燃料粉砕装置の運転方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024111450
(43)【公開日】2024-08-19
(54)【発明の名称】固体燃料粉砕装置及び発電プラント並びに固体燃料粉砕装置の運転方法
(51)【国際特許分類】
   B02C 15/04 20060101AFI20240809BHJP
【FI】
B02C15/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023015967
(22)【出願日】2023-02-06
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】竹友 孝裕
【テーマコード(参考)】
4D063
【Fターム(参考)】
4D063EE03
4D063EE12
4D063GA08
4D063GC23
4D063GD04
4D063GD19
(57)【要約】
【課題】粉砕テーブルの回転数を調整する際のモータのトルクの低下を抑制することを目的とする。
【解決手段】固体燃料粉砕装置は、中心軸線を中心に回転し、上面で固体燃料を粉砕する粉砕テーブル12と、粉砕テーブル12を回転させるミルモータ15と、ミルモータ15から出力される動力を無段階で変速して粉砕テーブル12に伝達するCVT60と、粉砕テーブル12の回転数を調整するようにCVT60を制御する制御部と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心軸線を中心に回転し、上面で固体燃料を粉砕する粉砕テーブルと、
前記粉砕テーブルを回転させるモータと、
前記モータから出力される動力を無段階で変速して前記粉砕テーブルに伝達する無段変速機と、
前記粉砕テーブルの回転数を調整するように前記無段変速機を制御する制御部と、を備える固体燃料粉砕装置。
【請求項2】
前記無段変速機は、前記モータ側に接続するモータ側プーリと、前記粉砕テーブル側に接続する粉砕テーブル側プーリと、前記モータ側プーリ及び前記粉砕テーブル側プーリに巻き掛けられたベルトと、を有し、前記モータ側プーリ及び前記粉砕テーブル側プーリの巻き掛け径であるプーリ径を変化させることで変速比を変化させ、
前記制御部は、固体燃料粉砕装置の起動時において、前記モータ側プーリのプーリ径を前記粉砕テーブル側プーリのプーリ径よりも小さくするように前記無段変速機を制御する請求項1に記載の固体燃料粉砕装置。
【請求項3】
前記無段変速機は、前記モータ側に接続するモータ側プーリと、前記粉砕テーブル側に接続する粉砕テーブル側プーリと、前記モータ側プーリ及び前記粉砕テーブル側プーリに巻き掛けられたベルトと、を有し、前記モータ側プーリ及び前記粉砕テーブル側プーリの巻き掛け径であるプーリ径を変化させることで変速比を変化させ、
前記制御部は、固体燃料粉砕装置への固体燃料の供給量を低減する際において、前記モータ側プーリのプーリ径を前記粉砕テーブル側プーリのプーリ径よりも小さくするように前記無段変速機を制御する請求項1に記載の固体燃料粉砕装置。
【請求項4】
前記無段変速機は、前記モータ側に接続するモータ側プーリと、前記粉砕テーブル側に接続する粉砕テーブル側プーリと、前記モータ側プーリ及び前記粉砕テーブル側プーリに巻き掛けられたベルトと、を有し、前記モータ側プーリ及び前記粉砕テーブル側プーリの巻き掛け径であるプーリ径を変化させることで変速比を変化させ、
前記制御部は、固体燃料粉砕装置への固体燃料の供給量を増加する際において、前記モータ側プーリのプーリ径を前記粉砕テーブル側プーリのプーリ径よりも大きくするように前記無段変速機を制御する請求項1に記載の固体燃料粉砕装置。
【請求項5】
請求項1に記載の固体燃料粉砕装置と、
前記固体燃料粉砕装置で粉砕された固体燃料を燃焼して蒸気を生成するボイラと、を備える発電システム。
【請求項6】
固体燃料粉砕装置の運転方法であって、
前記固体燃料粉砕装置は、
中心軸線を中心に回転し、上面で固体燃料を粉砕する粉砕テーブルと、
前記粉砕テーブルを回転させるモータと、
前記モータから出力される動力を無段階で変速して前記粉砕テーブルに伝達する無段変速機と、を有し、
前記粉砕テーブルの回転数を調整するように前記無段変速機を制御する工程と、を備える固体燃料粉砕装置の運転方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、固体燃料粉砕装置及び発電プラント並びに固体燃料粉砕装置の運転方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、バイオマス燃料や石炭等の固体燃料は、粉砕機(ミル)で所定粒径範囲内の微粉状に粉砕して、燃焼装置へ供給される。ミルは、回転する粉砕テーブルへ投入された固体燃料を、粉砕テーブルと粉砕ローラの間に挟み込んで粉砕し、粉砕されて微粉状となった固体燃料のうち、所定粒径範囲内の微粉燃料を分級機で選別し、粉砕テーブルの外周から供給される搬送用ガス(一次空気)によって、ボイラへ搬送して燃焼装置で燃焼させている。火力発電プラントでは、ボイラで微粉燃料を燃焼して生成された燃焼ガスとの熱交換により蒸気を発生させ、該蒸気により蒸気タービンを回転駆動して、蒸気タービンに接続した発電機を回転駆動することで発電が行われる。
【0003】
このようなミルにおいて、粉砕テーブルと該粉砕テーブルを回転させるモータとの間に減速機を設けることが知られている(例えば、特許文献1)。特許文献1には、ミルモータに減速機が連結された駆動部から伝達される駆動力により回転する回転テーブルを備えるミルが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-107056号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、太陽光発電などの再生可能エネルギ利用の拡大に伴い、再生可能エネルギの発電量が多い日中には火力発電プラントの発電量を少なくし(すなわち、ボイラの負荷を低くし)、再生可能エネルギの発電量が少ない夜間には火力発電プラントの発電量を多くする(すなわち、ボイラの負荷を高くする)傾向にある。このように、火力発電プラントに対する発電量(負荷)調整能力の強化が求められている。
【0006】
ボイラの負荷は、投入される固体燃料の量によって変動することから、ミルからボイラへの固体燃料の供給量に応じて変動することとなる。また、ミルからボイラへの固体燃料の供給量は、ミルにおける固体燃料の粉砕量に応じて変動する。これらの点から、ボイラにおける最大負荷及び最小負荷を拡大するために、ミルの最大粉砕量及び最小粉砕量を拡大することが求められている。
【0007】
ミルにおける固体燃料の粉砕能力(粉砕可能量)は、粉砕テーブルの回転数と相関している。具体的には、粉砕テーブル回転数を増加することで粉砕可能な固体燃料の量が増加する。一方、粉砕テーブル回転数を減少することで、少量の固体燃料でも安定的に運転可能となる。このため、ミルの最大粉砕量及び最小粉砕量を拡大するために、粉砕テーブルの回転数を変化させることが考えられる。
しかしながら、特許文献1に記載されているミルに設けられる減速機は、ギヤ比が固定であることから、ミルの粉砕テーブルの回転数を任意に調整することはできなかった。
【0008】
ミルの粉砕テーブルの回転数を調整する方法として、ミルモータとしてVVVF(Variable Voltage Variable Frequency)インバータ制御機能を有するモータを用いて、ミルモータの回転数を変化させることで粉砕テーブルの回転数を変化させることが考えられる。しかしながら、VVVFインバータ制御を有するモータは、回転数を低減させるためにモータの周波数を低下させる際に、モータの損傷を抑制するために電圧も同時に低下させる。このため、モータのトルクが低下してしまい、粉砕テーブルで十分に固体燃料を粉砕することができない可能性があった。
【0009】
本開示は、このような事情に鑑みてなされたものであって、粉砕テーブルの回転数を調整する際のモータのトルクの低下を抑制することができる固体燃料粉砕装置及び発電プラント並びに固体燃料粉砕装置の運転方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本開示の固体燃料粉砕装置及び発電プラント並びに固体燃料粉砕装置の運転方法は以下の手段を採用する。
本開示の一態様に係る固体燃料粉砕装置は、中心軸線(C1)を中心に回転し、上面で固体燃料を粉砕する粉砕テーブル(12)と、前記粉砕テーブル(12)を回転させるモータ(15)と、前記モータ(15)から出力される動力を無段階で変速して前記粉砕テーブル(12)に伝達する無段変速機(60)と、前記粉砕テーブル(12)の回転数を調整するように前記無段変速機(60)を制御する制御部(50)と、を備える固体燃料粉砕装置。
【0011】
本開示の一態様に係る固体燃料粉砕装置の運転方法は、前記固体燃料粉砕装置(100)は、中心軸線を中心に回転し、上面で固体燃料を粉砕する粉砕テーブル(12)と、前記粉砕テーブル(12)を回転させるモータ(15)と、前記モータ(15)から出力される動力を無段階で変速して前記粉砕テーブル(12)に伝達する無段変速機(60)と、を有し、前記粉砕テーブル(12)の回転数を調整するように前記無段変速機(60)を制御する工程と、を備える。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、粉砕テーブルの回転数を調整する際のモータのトルクの低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本開示の実施形態に係る固体燃料粉砕装置及びボイラを示す構成図である。
図2】本開示の実施形態に係るミルを示す模式的な縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本開示に係る固体燃料粉砕装置及び発電プラント並びに固体燃料粉砕装置の運転方法の一実施形態について、図面を参照して説明する。
図1に示すように、本実施形態に係る発電プラント(発電システム)1は、固体燃料粉砕装置100とボイラ200とを備えている。
以降の説明では、上方とは鉛直上側の方向を、上部や上面などの“上”とは鉛直上側の部分を示している。また同様に“下”とは鉛直下側の部分を示すものであり、鉛直方向は厳密ではなく誤差を含むものである。
【0015】
本実施形態の固体燃料粉砕装置100は、一例としてバイオマス燃料や石炭等の固体燃料を粉砕し、微粉燃料を生成してボイラ200のバーナ(燃焼装置)220へ供給する装置である。
図1に示す固体燃料粉砕装置100とボイラ200とを含む発電プラント1は、1台の固体燃料粉砕装置100を備えるものであるが、1台のボイラ200の複数のバーナ220のそれぞれに対応する複数台の固体燃料粉砕装置100を備えるシステムとしてもよい。
【0016】
本実施形態の固体燃料粉砕装置100は、ミル(粉砕部)10と、バンカ(貯蔵部)21と、給炭機(燃料供給機)25と、送風部(搬送用ガス供給部)30と、状態検出部40と、制御部50とを備えている。
【0017】
ボイラ200に供給する石炭やバイオマス燃料等の固体燃料を、微粉状の固体燃料である微粉燃料へと粉砕するミル10は、石炭のみを粉砕する形式であっても良いし、バイオマス燃料のみを粉砕する形式であっても良いし、石炭とともにバイオマス燃料を粉砕する形式であってもよい。
ここで、バイオマス燃料とは、再生可能な生物由来の有機性資源であり、例えば、間伐材、廃木材、流木、草類、廃棄物、汚泥、タイヤ及びこれらを原料としたリサイクル燃料(ペレットやチップ)などであり、ここに提示したものに限定されることはない。バイオマス燃料は、バイオマスの成育過程において二酸化炭素を取り込むことから、地球温暖化ガスとなる二酸化炭素を排出しないカーボンニュートラルとされるため、その利用が種々検討されている。
【0018】
ミル10は、ハウジング11と、粉砕テーブル12と、粉砕ローラ13と、減速機(駆動伝達部)14と、減速機14に接続され粉砕テーブル12を回転駆動させるミルモータ(モータ)15と、回転式分級機(分級部)16と、給炭管(燃料供給部)17と、回転式分級機16を回転駆動させる分級機モータ18とを備えている。
ハウジング11は、鉛直方向に延びる筒状に形成されるとともに、粉砕テーブル12と粉砕ローラ13と回転式分級機16と、給炭管17とを収容する筐体である。
ハウジング11の天井部42の中央部には、給炭管17が取り付けられている。この給炭管17は、バンカ21から給炭機25を介して導かれた固体燃料をハウジング11内に供給するものであり、ハウジング11の中心位置に上下方向に沿って配置され、下端部がハウジング11内部まで延設されている。
【0019】
ハウジング11の底面部41付近には減速機14が設置され、この減速機14に接続されたミルモータ15から伝達される駆動力により回転する粉砕テーブル12が回転自在に配置されている。粉砕テーブル12は、上下方向に延びる中心軸線C1を中心として回転する。
粉砕テーブル12は、平面視円形の部材であり、給炭管17の下端部が対向するように配置されている。粉砕テーブル12の上面は、例えば、中心部が低く、外側に向けて高くなるような傾斜形状をなし、外周部が上方に曲折した形状をなしていてもよい。給炭管17は、固体燃料(本実施形態では例えば石炭やバイオマス燃料)を上方から下方の粉砕テーブル12に向けて供給し、粉砕テーブル12は供給された固体燃料を粉砕ローラ13との間に挟み込んで粉砕する。
【0020】
固体燃料が給炭管17から粉砕テーブル12の中央部へ向けて投入されると、粉砕テーブル12の回転による遠心力によって、固体燃料は粉砕テーブル12の外周側へと導かれ、粉砕テーブル12と粉砕ローラ13との間に挟み込まれて粉砕される。粉砕された固体燃料は、搬送用ガス流路(以降は、一次空気流路と記載する)110から導かれた搬送用ガス(以降は、一次空気と記載する)によって上方へと吹き上げられ、回転式分級機16へと導かれる。
粉砕テーブル12の外周には、一次空気流路110から流入する一次空気を、ハウジング11内の粉砕テーブル12の上方の空間に流出させる吹出口(図示省略)が設けられている。吹出口には旋回羽根(図示省略)が設置されており、吹出口から吹き出した一次空気に旋回力を与える。旋回羽根により旋回力が与えられた一次空気は、旋回する速度成分を有する気流となって、粉砕テーブル12上で粉砕された固体燃料を、ハウジング11内の上方にある回転式分級機16へと搬送する。なお、粉砕された固体燃料のうち、所定粒径より大きいものは回転式分級機16により分級されて、または、回転式分級機16まで到達することなく落下して、粉砕テーブル12上に戻されて、粉砕テーブル12と粉砕ローラ13との間で再度粉砕される。
【0021】
粉砕ローラ13は、給炭管17から粉砕テーブル12上に供給された固体燃料を粉砕する回転体である。粉砕ローラ13は、粉砕テーブル12の上面に押圧されて粉砕テーブル12と協働して固体燃料を粉砕する。
図1では、粉砕ローラ13が代表して1つのみ示されているが、粉砕テーブル12の上面を押圧するように、周方向に一定の間隔を空けて、複数の粉砕ローラ13が配置される。例えば、外周部上に120°の角度間隔を空けて、3つの粉砕ローラ13が周方向に均等な間隔で配置される。この場合、3つの粉砕ローラ13が粉砕テーブル12の上面と接する部分(押圧する部分)は、粉砕テーブル12の回転中心軸からの距離が等距離となる。
【0022】
粉砕ローラ13は、ジャーナルヘッド45によって、上下に揺動・変位可能となっており、粉砕テーブル12の上面に対して接近離間自在に支持されている。粉砕ローラ13は、外周面が粉砕テーブル12の上面の固体燃料に接触した状態で、粉砕テーブル12が回転すると、粉砕テーブル12から回転力を受けて連れ回りするようになっている。給炭管17から固体燃料が供給されると、粉砕ローラ13と粉砕テーブル12との間で固体燃料が押圧されて粉砕される。この押圧する力を、粉砕荷重と言う。
【0023】
ジャーナルヘッド45の支持アーム47は、中間部が水平方向に沿った支持軸48によって、ハウジング11の側面部に支持軸48を中心として粉砕ローラ13を上下方向に揺動・変位可能に支持されている。また、支持アーム47の鉛直上側にある上端部には、押圧装置(粉砕荷重付与部)46が設けられている。押圧装置46は、ハウジング11に固定されており、粉砕ローラ13を粉砕テーブル12に押し付けるように、支持アーム47等を介して粉砕ローラ13に粉砕荷重を付与する。粉砕荷重は、例えば、ミル10の外部に設置された油圧装置(図示省略)から供給される作動油の圧力により作動する油圧シリンダ(図示省略)によって与えられる。また、粉砕荷重は、ばね(図示省略)の反発力によって与えられてもよい。
【0024】
減速機14は、ミルモータ15に接続されており、ミルモータ15の駆動力を粉砕テーブル12に伝達し、粉砕テーブル12を中心軸回りに回転させる。ミルモータ15は、回転数を調整する機能を有しておらず、一定の回転数で回転するモータである。
【0025】
回転式分級機(分級部)16は、ハウジング11の上部に設けられ中空状の逆円錐状の外形を有している。回転式分級機16は、その外周位置に上下方向に延在する複数のブレード16aを備えている。各ブレード16aは、回転式分級機16の中心軸線周りに所定の間隔(均等間隔)で設けられている。
回転式分級機16は、粉砕テーブル12と粉砕ローラ13により粉砕された固体燃料(以降、粉砕された固体燃料を「粉砕燃料」という。)を、所定粒径(例えば、石炭では70~100μm)より大きいもの(以降、所定粒径を超える粉砕燃料を「粗粉燃料」という。)と、所定粒径以下のもの(以降、所定粒径以下の粉砕燃料を「微粉燃料」という。)に分級する装置である。回転式分級機16は、制御部50によって制御される分級機モータ18により回転駆動力を与えられ、ハウジング11の上下方向に延在する円筒軸(図示省略)を中心に給炭管17の周りを回転する。
なお、分級部としては、固定された中空状の逆円錐形状のケーシングと、そのケーシングの外周位置にブレード16aに替わって複数の固定旋回羽根とを備えた固定式分級機を用いてもよい。
【0026】
回転式分級機16に到達した粉砕燃料は、ブレード16aの回転により生じる遠心力と、一次空気の気流による向心力との相対的なバランスにより、大きな径の粗粉燃料は、ブレード16aによって叩き落とされ、粉砕テーブル12へと戻されて再粉砕され、微粉燃料はハウジング11の天井部42にある出口ポート19に導かれる。回転式分級機16によって分級された微粉燃料は、一次空気とともに出口ポート19から微粉燃料供給流路(微粉燃料供給管)120へ排出され、ボイラ200のバーナ220へ供給される。
【0027】
給炭管17は、ハウジング11の天井部42を貫通するように上下方向に沿って下端部がハウジング11内部まで延設されて取り付けられ、給炭管17の上部から投入される固体燃料を粉砕テーブル12の中央部に供給する。給炭管17の上端には、給炭機25が接続されており、固体燃料が供給される。
【0028】
給炭機25は、バンカ21の下端部から上下方向に延在する管であるダウンスパウト部22によって、バンカ21と接続されている。ダウンスパウト部22の途中には、バンカ21からの固体燃料の排出状態を切り替える弁(コールゲート、図示省略)を設けてもよい。給炭機25は、搬送部26と、給炭機モータ27とを備える。搬送部26は、例えばベルトコンベアであり、ダウンスパウト部22の下端部から排出される固体燃料を、給炭機モータ27の駆動力によって給炭管17の上部に搬送し、内部へ投入する。ミル10へ供給される固体燃料の供給量は、制御部50からの信号によって、例えば、搬送部26のベルトコンベアの移動速度を調整して制御される。
【0029】
通常、ミル10の内部には、微粉燃料をバーナ220へ搬送するための一次空気が供給されており、給炭機25やバンカ21よりも圧力が高くなっている。バンカ21と給炭機25を接続するダウンスパウト部22の内部は、燃料が積層状態となっている。この固体燃料層により、ミル10からバンカ21に向けて、一次空気と微粉燃料が逆流を抑制するためのシール性(マテリアルシール)を確保している。
【0030】
送風部30は、粉砕燃料を乾燥させるとともに、回転式分級機16へ搬送するための一次空気を、ハウジング11の内部へ送風する装置である。
送風部30は、ハウジング11の内部へ送風される一次空気の流量と温度を適切に調整するために、本実施形態では、一次空気通風機(PAF:Primary Air Fan)31と、熱ガス流路30aと、冷ガス流路30bと、熱ガスダンパ30cと、冷ガスダンパ30dとを備えている。
【0031】
本実施形態では、熱ガス流路30aは、一次空気通風機31から送出された空気の一部を、空気予熱器(熱交換器)34を通過して加熱された熱ガスとして供給する。熱ガス流路30aには、熱ガスダンパ30cが設けられている。熱ガスダンパ30cの開度は、制御部50によって制御される。熱ガスダンパ30cの開度によって、熱ガス流路30aから供給する熱ガスの流量が決定される。
【0032】
冷ガス流路30bは、一次空気通風機31から送出された空気の一部を常温の冷ガスとして供給する。冷ガス流路30bには、冷ガスダンパ30dが設けられている。冷ガスダンパ30dの開度は、制御部50によって制御される。冷ガスダンパ30dの開度によって、冷ガス流路30bから供給する冷ガスの流量が決定される。
【0033】
一次空気の流量は、本実施形態では、熱ガス流路30aから供給する熱ガスの流量と冷ガス流路30bから供給する冷ガスの流量の合計の流量となり、一次空気の温度は、熱ガス流路30aから供給する熱ガスと冷ガス流路30bから供給する冷ガスの混合比率で決まり、制御部50によって制御される。
また、熱ガス流路30aから供給する熱ガスに、例えば、ガス再循環通風機(図示省略)によってボイラ200から排出された燃焼ガスの一部を導き、混合することで、一次空気流路110からハウジング11の内部へ送風する一次空気中の酸素濃度を調整してもよい。一次空気中の酸素濃度を調整することによって、例えば、着火性の高い(着火しやすい)固体燃料を使用する場合、ミル10からバーナ220に至るまでの経路において、固体燃料が着火することを抑制することができる。
【0034】
本実施形態では、ミル10の状態検出部40により計測または検出したデータを、制御部50に送信する。本実施形態の状態検出部40は、例えば、差圧計測手段であり、一次空気流路110からハウジング11の内部へ一次空気が流入する部分における圧力と、ハウジング11の内部から微粉燃料供給管120へ一次空気と微粉燃料が排出される出口ポート19における圧力との差圧を、ミル10の差圧として計測する。このミル10の差圧の増減は、回転式分級機16の分級効果によってハウジング11内部の回転式分級機16付近と粉砕テーブル12付近の間を循環している粉砕燃料の循環量の増減に対応する。すなわち、このミル10の差圧に応じて回転式分級機16の回転数を調整することで、出口ポート19から排出される微粉燃料の量と粒径範囲を調整することができるので、微粉燃料の粒径をバーナ220における固体燃料の燃焼性に影響しない範囲に維持しつつ、ミル10への固体燃料の供給量に対応した量の微粉燃料を、ボイラ200に設けられたバーナ220に安定して供給することができる。
また、本実施形態の状態検出部40は、例えば、温度計測手段であり、ハウジング11の内部へ供給される一次空気の温度(ミル入口一次空気温度)や、出口ポート19における一次空気と微粉燃料との混合気体の温度(ミル出口一次空気温度)を検出して、それぞれの上限温度を超えないように送風部30を制御する。各上限温度は、固体燃料の性状に応じた着火の可能性等を考慮して決定される。なお、一次空気は、ハウジング11の内部において、粉砕燃料を乾燥しながら搬送することによって冷却されるため、ミル入口の一次空気温度は、例えば常温から約300度程度、ミル出口の一次空気温度は、例えば常温から約90度程度となる。
【0035】
制御部50は、固体燃料粉砕装置100の各部を制御する装置である。
制御部50は、例えば、ミルモータ15に駆動指示を伝達して粉砕テーブル12の回転速度を制御してもよい。
制御部50は、例えば、分級機モータ18へ駆動指示を伝達して回転式分級機16の回転速度を制御して分級性能を調整し、微粉燃料の粒径をバーナ220における固体燃料の燃焼性に影響しない範囲に維持しつつ、ミル10への固体燃料の供給量に対応した量の微粉燃料を、バーナ220へ安定して供給することができる。
また、制御部50は、例えば給炭機モータ27へ駆動指示を伝達することにより、ミル10へ供給する固体燃料の供給量(給炭量)を調整することができる。
また、制御部50は、送風部30へ開度指示を伝達することにより、熱ガスダンパ30cおよび冷ガスダンパ30dの開度を制御して一次空気の流量と温度を調整することができる。具体的には、制御部50は、ハウジング11の内部へ供給される一次空気の流量と、出口ポート19における一次空気の温度(ミル出口一次空気温度)が、固体燃料の種別毎に、給炭量に対応して設定された所定値となるように、熱ガスダンパ30cおよび冷ガスダンパ30dの開度を制御する。なお、一次空気の温度の制御は、ミル入口における温度(ミル入口一次空気温度)に対して行ってもよい。
【0036】
制御部50は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、及びコンピュータ読み取り可能な記憶媒体等から構成されている。そして、各種機能を実現するための一連の処理は、一例として、プログラムの形式で記憶媒体等に記憶されており、このプログラムをCPUがRAM等に読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより、各種機能が実現される。なお、プログラムは、ROMやその他の記憶媒体に予めインストールしておく形態や、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶された状態で提供される形態、有線又は無線による通信手段を介して配信される形態等が適用されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等である。また、HDDはソリッドステートディスク(SSD)等で置き換えられてもよい。
【0037】
次に、固体燃料粉砕装置100から供給される微粉燃料の燃焼によって蒸気を発生させるボイラ200について説明する。ボイラ200は、火炉210とバーナ220とを備えている。
【0038】
バーナ220は、微粉燃料供給管120から供給される微粉燃料と一次空気との混合気と、押込通風機(FDF:Forced Draft Fan)32から送出される空気(外気)を空気予熱器34で加熱して供給される二次空気とを用いて、微粉燃料を燃焼させて火炎を形成する装置である。微粉燃料の燃焼は火炉210内で行われ、高温の燃焼ガスは、蒸発器、過熱器、節炭器などの熱交換器(図示省略)を通過した後にボイラ200の外部に排出される。
【0039】
ボイラ200から排出された燃焼ガスは、環境装置(脱硝装置、集塵装置、脱硫装置などで図示省略)で所定の処理を行うとともに、空気予熱器34で一次空気や二次空気との熱交換が行われ、誘引通風機(IDF:Induced Draft Fan)33を介して煙突(図示省略)へと導かれて外気へと放出される。空気予熱器34において燃焼ガスにより加熱された一次空気通風機31から送出される空気は、前述した熱ガス流路30aに供給される。
ボイラ200の各熱交換器への給水は、節炭器(図示省略)において加熱された後に、蒸発器(図示省略)および過熱器(図示省略)によって更に加熱されて高温高圧の過熱蒸気が生成され、発電部である蒸気タービン(図示省略)へと送られて蒸気タービンを回転駆動し、蒸気タービンに接続した発電機(図示省略)を回転駆動して発電が行われ、発電プラント1を構成する。
【0040】
図2に示すように、ミルモータ15と減速機14とは、ベルト式の無段変速機(CVT:Continuously Variable Transmission)60を介して接続されている。無段変速機60(以下、「CVT60」と称する)の入力軸(シャフト64)は、ミルモータ15に接続されている。また、CVT60の出力軸(シャフト65)は、減速機14を介して粉砕テーブル12に接続されている。CVT60は、ミルモータ15から出力される動力を無段階で変速して粉砕テーブル12に伝達する。
【0041】
CVT60は、ミルモータ15から出力された動力を変速する。CVT60は、プライマリプーリ(モータ側プーリ)61と、セカンダリプーリ(粉砕テーブル側プーリ)62と、ベルト63とを有している。ベルト63は、プライマリプーリ61及びセカンダリプーリ62にそれぞれ形成されたV溝に巻き掛けられている。CVT60は、プライマリプーリ61及びセカンダリプーリ62のV溝の内壁部とベルト63との間の摩擦力によって動力を伝達する。
【0042】
プライマリプーリ61は、シャフト64を介してミルモータ15と接続されている。プライマリプーリ61は、制御部50によって制御されるプライマリソレノイド(図示省略)が接続されている。プライマリソレノイドは、制御部50の制御に応じて、プライマリプーリ61のV溝の幅を変化させることにより、プライマリプーリ61におけるベルト63の巻き掛け径(以下、「プーリ径」と称する場合もある)を変更することができる。
【0043】
セカンダリプーリ62は、シャフト65を介して減速機14と接続されている。換言すれば、セカンダリプーリ62は、シャフト65及び減速機14を介して、粉砕テーブル12と接続されている。セカンダリプーリ62は、制御部50によって制御されるセカンダリソレノイド(図示省略)が接続されている。セカンダリソレノイドは、制御部50の制御に応じて、セカンダリプーリ62のV溝の幅を変化させることにより、セカンダリプーリ62におけるベルト63の巻き掛け径(プーリ径)を変更することができる。
【0044】
このように、CVT60は、プライマリプーリ61及びセカンダリプーリ62におけるベルト63の巻き掛け径(プーリ径)をそれぞれ変更することにより、動力の変速比を無段階に変化させることができる。なお、プライマリプーリ61におけるベルト63の巻き掛け径と、セカンダリプーリ62におけるベルト63の巻き掛け径との比率を変速比という。
【0045】
CVT60は、プライマリプーリ61及びセカンダリプーリ62のプーリ径を変化することで変速比が変化する。CVT60の変速比が変化することで、粉砕テーブル12の回転数が変化する。
【0046】
制御部50は、プライマリソレノイド及びセカンダリソレノイドを制御することで、プライマリプーリ61及びセカンダリプーリ62のプーリ径を変化させる。制御部50は、プライマリプーリ61及びセカンダリプーリ62のプーリ径を変化させることで、CVT60の変速比を変化させる。また、制御部50は、CVT60の変速比を変化させることで、粉砕テーブル12の回転数を調整するようにCVT60を制御する。
【0047】
制御部50は、ミル10の起動時において、プライマリプーリ61のプーリ径をセカンダリプーリ62のプーリ径よりも小さくするようにCVT60を制御する。具体的には、例えば、制御部50は、プライマリプーリ61のプーリ径がセカンダリプーリ62のプーリ径よりも小さい状態となるようにプライマリソレノイド及びセカンダリソレノイドを制御したうえで、ミルモータ15を起動し粉砕テーブル12の回転を開始する。
【0048】
ミルモータ15を起動し粉砕テーブル12の回転を開始する際に、粉砕ローラ13と粉砕テーブル12とが接触していてもよく、離間していてもよい。なお、粉砕ローラ13と粉砕テーブル12とが接触している場合には、粉砕ローラ13の重量が粉砕テーブル12に作用することから粉砕テーブル12の回転を開始するのにより大きいトルクが必要となる。
【0049】
また、制御部50は、固体燃料粉砕装置100への固体燃料の供給量を低減する際において、プライマリプーリ61のプーリ径をセカンダリプーリ62のプーリ径よりも小さくするようにCVT60を制御する。
【0050】
また、制御部50は、固体燃料粉砕装置100への固体燃料の供給量を増加する際において、プライマリプーリ61のプーリ径をセカンダリプーリ62のプーリ径よりも大きくするようにCVT60を制御する。
【0051】
本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
本実施形態では、ミルモータ15からの出力を無段階で変速するCVT60が設けられている。これにより、ミルモータ15から出力される動力が一定であっても、粉砕テーブル12の回転数を調整することができる。したがって、粉砕テーブル12の回転数の調整によって、固体燃料粉砕装置100のミル10において、安定的に粉砕可能な固体燃料の量を調整することができる。したがって、ミル10の最大粉砕量及び最小粉砕量を拡大することができる。ミル10の最大粉砕量及び最小粉砕量を拡大することによって、ひいては、発電プラント1の最大負荷及び最小負荷も拡大することができる。
【0052】
また、例えば、粉砕テーブル12の回転数を調整するために、ミルモータ15の回転数を低減する方法も考えられる。この場合には、ミルモータ15の回転数を低減させるためにミルモータ15の周波数を低下させる。汎用のモータは、周波数を低下させる際に電圧も同時に低下させないとモータの交流抵抗が下がり、電流が大量に流れてモータが損傷する可能性がある。このため、モータの周波数を低下させる場合には、モータの損傷を抑制するために電圧も同時に低下させる必要がある。モータの周波数を低下させる際にモータの電圧も同時に低下させるモータとして、VVVF(Variable Voltage Variable Frequency)インバータ制御機能を有するモータ等がある。しかしながら、モータの電圧を低下させた場合にはトルクも低下する。よって、ミルモータ15の回転数を低下させることで粉砕テーブル12の回転数を低減する場合(すなわち、低速で粉砕テーブル12を回転させる場合)には、ミルモータ15のトルクが低下してしまう可能性があった。
【0053】
一方で、回転数が少ない状態で粉砕テーブル12を回転させる場合(すなわち、低速で粉砕テーブル12を回転させる場合)には、必要トルクが増大する。これは、以下の理由による。粉砕テーブル12の回転数が低減すると、粉砕テーブル12上の石炭に対する遠心力が低下する。石炭に対する遠心力の低下に伴って、粉砕テーブル12上の石炭は粉砕テーブル12の中央付近(中心軸線C1付近)で増加し、外周部付近で減少する。このため、粉砕ローラ13の粉砕量(噛み込み量)が低減する。これにより、粉砕テーブル12上の石炭量が増加し、粉砕テーブル12を回転させる必要トルクが増大する。
【0054】
このように、低速で粉砕テーブル12を回転させる際には、必要トルクが増大するものの、VVVFインバータ制御等によりミルモータ15の回転数を低減する方法ではトルクが低下してしまうことから、粉砕テーブル12を回転させるトルクが不足し十分に固体燃料を粉砕することができない可能性があった。
【0055】
一方で、本実施形態では、CVT60で粉砕テーブル12の回転数を調整している。このため、ミルモータ15が回転数を低減させることなく(すなわち、一定の回転数を維持しながら)、CVT60によって粉砕テーブル12の回転数を調整することができる。したがって、低速で粉砕テーブル12を回転させる際でも、ミルモータ15のトルクの低下を抑制することができる。よって、粉砕テーブル12で固体燃料を好適に粉砕することができる。
なお、低速で粉砕テーブル12を回転させる場合とは、例えば、ミル10を少ない給炭量で運転する場合や、ミル10の起動時等が挙げられる。
また、CVT60で粉砕テーブル12の回転数を調整しているので、回転数を調整する機能を有するモータ(例えば、VVVFインバータ制御の機能を有するモータ等)を用いる場合と比較して、粉砕テーブル12の回転数の上限及び下限を拡大することができる。
【0056】
また、低速で粉砕テーブル12を回転させる場合にも、ミルモータ15のトルクが低下しないので、ミル10の起動時(具体的には、粉砕テーブル12の回転開始時)において粉砕ローラ13と粉砕テーブル12とが接触していてもよい。粉砕ローラ13と粉砕テーブル12とが接触している場合には、粉砕ローラ13の重量が粉砕テーブル12に作用することから粉砕テーブル12の回転を開始するのにより大きいトルクが必要となるが、本実施形態では低速で粉砕テーブル12を回転させる場合にも、ミルモータ15のトルクが低下しないので、好適に粉砕テーブル12の回転を開始することができる。
粉砕テーブル12の回転開始時において粉砕ローラ13と粉砕テーブル12とを接触させることができるので、粉砕ローラ13と粉砕テーブル12とを離間させる必要がない。これにより、粉砕ローラ13と粉砕テーブル12との離間距離を所定の距離とするための部材を設けなくてもよいので、部品点数を低減することができる。したがって、構造を簡素化することができるとともにコストを低減することができる。
【0057】
また、回転数を調整する機能を有するモータ(例えば、VVVFインバータ制御の機能を有するモータ等)は、汎用モータと比べて大型化する傾向にある。このため、設置工事も大掛かりとなる。また、VVVFインバータを格納する制御盤も必要となるため、その設置場所の確保や電気工事等が必要となる。
本実施形態では、CVT60で粉砕テーブル12の回転数を調整している。これにより、回転数を調整する機能を有するモータを用いることなく、粉砕テーブル12の回転数を調整することができる。したがって、ミルモータ15として、回転数を調整する機能を有するモータを用いた場合と比較して、小型且つ構造が簡素な汎用モータを使用することができる。よって、コストを低減することができる。また、設置場所を小さくしたり、設置工事を簡易化したりすることができる。
特に、発電プラント1内における配置上の制約等により、地面を掘削することで形成された凹部にミルモータ15が収容される場合には、ミルモータ15を小型化することで掘削量を低減することができるので、大幅にコストを低減することができる。
【0058】
また、本実施形態では、制御部50がミル10の起動時(具体的には、粉砕テーブル12の回転開始時)においてプライマリプーリ61のプーリ径をセカンダリプーリ62のプーリ径よりも小さくするようにCVT60を制御する。これにより、ミルモータ15にかかる起動トルクを低減することができる。したがって、ミル10の起動時に、ミルモータ15において過電流の発生を抑制することができる。
【0059】
また、本実施形態では、固体燃料粉砕装置100への固体燃料の供給量を低減する際において、制御部50が、プライマリプーリ61のプーリ径をセカンダリプーリ62のプーリ径よりも小さくするようにCVT60を制御する。これにより、ミル10に供給される固体燃料の量が少ない場合に、粉砕テーブル12の回転数が低減することができる。一方で、トルクは低下しない。このため、ミル10に供給される固体燃料の量が少ない場合であっても、好適に固体燃料を粉砕することができる。
【0060】
また、本実施形態では、固体燃料粉砕装置100への固体燃料の供給量を増加する際において、制御部50が、プライマリプーリ61のプーリ径をセカンダリプーリ62のプーリ径よりも大きくするようにCVT60を制御する。これにより、ミル10に供給される固体燃料の量が多い場合に、粉砕テーブル12の回転数が増加することができる。このため、このため、ミル10に供給される固体燃料の量が多い場合であっても、好適に固体燃料を粉砕することができる。
【0061】
[変形例]
なお、上記実施形態では、回転数を調整する機能を有さない汎用のモータをミルモータ15として用いる例について説明したが、本開示はこれに限定されない。例えば、ミルモータ15として、VVVFインバータ制御や極数切替(ポールチェンジ)等による回転数調整機能を有するモータを用いてもよい。
【0062】
上述のように、インバータ制御によってミルモータ15の回転数を低減させることで粉砕テーブル12の回転数を低減させる場合には、ミルモータ15のトルクが低下する。このため、本変形例では、粉砕テーブル12の回転数が低い場合(例えば、ミル10への固体燃料の供給量を低減する場合や、ミル10の起動時等)には、インバータ制御を行わずに、CVT60で粉砕テーブル12の回転数を低くする。このようにすることで、粉砕テーブル12の回転数が低い場合における、ミルモータ15のトルクの低下を抑制することができる。
【0063】
また、VVVFインバータ制御機能を有するモータをミルモータ15として用いている既存のミル10に対して、ミルモータ15と減速機14との間にCVT60を追設してもよい。ミルモータ15と減速機14との間にCVT60を追設するだけでよいので、簡易に既存のミル10を改造することができる。なお、既存のミル10は、VVVFインバータ制御機能を有するモータをミルモータ15として用いているミルでもよく、VVVFインバータ制御機能を有していないモータをミルモータ15として用いているミルでもよい。
特に、地面を掘削することで形成された凹部に既存のミル10のミルモータ15が収容されている場合であっても、ミルモータ15をそのまま流用することができるので、ミルモータ15を掘り起こす必要がない。このため、コストを大幅に低減することができる。
【0064】
また、粉砕テーブル12の回転数を制御する機能を備えていない既存のミルに対して、回転数を制御する機能を付加する改造を行う場合には、既存のミルに設けられているミルモータを、VVVFインバータ制御機能を有するモータに変更する方法も考えられる。VVVFインバータ制御機能を有するモータは、当該機能を有していないモータよりも大型である。したがって、当該機能を有していないモータから当該機能を有しているモータに変更する場合には、掘り起こし作業に加えて凹部を拡大するために掘削作業が発生することから、大幅にコストがかかる。一方で、本実施形態の方法では、上述のようにミルモータ15をそのまま流用することができる。したがって、粉砕テーブル12の回転数を制御する機能を備えていないミルに対して、回転数を制御する機能を付加する改造を行う場合に、VVVFインバータ制御機能を有するミルモータに変更する場合と比較して、本実施形態の方法を採用することで特にコストを低減することができる。
【0065】
なお、本開示は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、適宜変形が可能である。
使用する固体燃料は、本開示に限定されず、石炭、バイオマス燃料、石油コークス(PC:Petroleum Coke)などを用いることができる。さらに、それらの固体燃料を組み合わせて使用してもよい。
【0066】
以上説明した実施形態に記載の固体燃料粉砕装置及び発電プラント並びに固体燃料粉砕装置の運転方法は、例えば以下のように把握される。
本開示の第1態様に係る固体燃料粉砕装置は、中心軸線(C1)を中心に回転し、上面で固体燃料を粉砕する粉砕テーブル(12)と、前記粉砕テーブル(12)を回転させるモータ(15)と、前記モータ(15)から出力される動力を無段階で変速して前記粉砕テーブル(12)に伝達する無段変速機(60)と、前記粉砕テーブル(12)の回転数を調整するように前記無段変速機(60)を制御する制御部(50)と、を備える。
【0067】
上記構成では、モータからの出力を無段階で変速する無段変速機が設けられている。これにより、モータから出力される動力が一定であっても、粉砕テーブルの回転数を調整することができる。したがって、粉砕テーブルの回転数の調整によって、固体燃料粉砕装置で粉砕される固体燃料の量を調整することができる。
【0068】
また、例えば、粉砕テーブルの回転数を調整するために、モータの回転数を低減する方法も考えられる。この場合には、モータの回転数を低減させるためにモータの周波数を低下させる。汎用のモータは、周波数を低下させる際に電圧も同時に低下させないとモータの交流抵抗が下がり、電流が大量に流れてモータが損傷する可能性がある。このため、モータの周波数を低下させる場合には、モータの損傷を抑制するために電圧も同時に低下させる必要がある。しかしながら、モータの電圧を低下させた場合にはトルクが低減する。このため、モータの周波数を低下させることで粉砕テーブルの回転数を低減する場合には、モータのトルクが低下してしまう可能性があった。よって、粉砕テーブルで十分に固体燃料を粉砕することができない可能性があった。
一方で、上記構成では、無段変速機で粉砕テーブルの回転数を調整している。このため、モータが回転数を低減させることなく(すなわち、一定の回転数を維持しながら)、無段変速機によって粉砕テーブルの回転数を調整することができる。したがって、粉砕テーブルの回転数を調整する際のモータのトルクの低下を抑制することができる。よって、粉砕テーブルで固体燃料を好適に粉砕することができる。
【0069】
また、回転数を調整する機能を有するモータは、制御盤等を有しているため、一般的に大型且つ複雑な構造をしている。
上記構成では、無段変速機で粉砕テーブルの回転数を調整している。これにより、回転数を調整する機能を有するモータを用いることなく、粉砕テーブルの回転数を調整することができる。したがって、回転数を調整する機能を有するモータを用いた場合と比較して、モータを小型化且つ簡素化することができる。よって、コストを低減することができる。
特に、地面を掘削することで形成された凹部にミルモータ15が収容される場合には、ミルモータ15を小型化することで掘削量を低減することができるので、大幅にコストを低減することができる。
【0070】
本開示の第2態様に係る固体燃料粉砕装置は、上記第1態様において、前記無段変速機(60)は、前記モータ(15)側に接続するモータ側プーリ(61)と、前記粉砕テーブル(12)側に接続する粉砕テーブル側プーリ(62)と、前記モータ側プーリ(61)及び前記粉砕テーブル側プーリ(62)に巻き掛けられたベルト(63)と、を有し、前記モータ側プーリ(61)及び前記粉砕テーブル側プーリ(62)の巻き掛け径であるプーリ径を変化させることで変速比を変化させ、前記制御部(50)は、固体燃料粉砕装置(100)の起動時において、前記モータ側プーリ(61)のプーリ径を前記粉砕テーブル側プーリ(62)のプーリ径よりも小さくするように前記無段変速機(60)を制御する。
【0071】
上記構成では、制御部がミルの起動時においてモータ側プーリのプーリ径を粉砕テーブル側プーリのプーリ径よりも小さくするように無段変速機を制御する。これにより、モータにかかる起動トルクを低減することができる。したがって、ミルの起動時に、モータにおいて過電流の発生を抑制することができる。
【0072】
本開示の第3態様に係る固体燃料粉砕装置は、上記第1態様または第2態様において、前記無段変速機(60)は、前記モータ(15)側に接続するモータ側プーリ(61)と、前記粉砕テーブル(12)側に接続する粉砕テーブル側プーリ(62)と、前記モータ側プーリ(61)及び前記粉砕テーブル側プーリ(62)に巻き掛けられたベルト(63)と、を有し、前記モータ側プーリ(61)及び前記粉砕テーブル側プーリ(62)の巻き掛け径であるプーリ径を変化させることで変速比を変化させ、前記制御部(50)は、固体燃料粉砕装置(100)への固体燃料の供給量を低減する際において、前記モータ側プーリ(61)のプーリ径を前記粉砕テーブル側プーリ(62)のプーリ径よりも小さくするように前記無段変速機(60)を制御する。
【0073】
上記構成では、固体燃料粉砕装置への固体燃料の供給量を低減する際において、制御部が、モータ側プーリのプーリ径を粉砕テーブル側プーリのプーリ径よりも小さくするように無段変速機を制御する。これにより、固体燃料粉砕装置に供給される固体燃料の量が少ない場合に、粉砕テーブルの回転数が低減することができる。一方で、トルクは低下しない。このため、ミルに供給される固体燃料の量が少ない場合であっても、好適に固体燃料を粉砕することができる。
【0074】
本開示の第4態様に係る固体燃料粉砕装置は、上記第1態様から第3態様のいずれかにおいて、前記無段変速機(60)は、前記モータ(15)側に接続するモータ側プーリ(61)と、前記粉砕テーブル(12)側に接続する粉砕テーブル側プーリ(62)と、前記モータ側プーリ(61)及び前記粉砕テーブル側プーリ(62)に巻き掛けられたベルト(63)と、を有し、前記モータ側プーリ(61)及び前記粉砕テーブル側プーリ(62)の巻き掛け径であるプーリ径を変化させることで変速比を変化させ、前記制御部(50)は、固体燃料粉砕装置(100)への固体燃料の供給量を増加する際において、前記モータ側プーリ(61)のプーリ径を前記粉砕テーブル側プーリ(62)のプーリ径よりも大きくするように前記無段変速機(60)を制御する。
【0075】
上記構成では、固体燃料粉砕装置への固体燃料の供給量を増加する際において、制御部が、モータ側プーリのプーリ径を粉砕テーブル側プーリのプーリ径よりも大きくするように無段変速機を制御する。これにより、固体燃料粉砕装置に供給される固体燃料の量が多い場合に、粉砕テーブルの回転数が増加することができる。このため、このため、ミルに供給される固体燃料の量が多い場合であっても、好適に固体燃料を粉砕することができる。
【0076】
本開示の第1態様に係る発電システムは、上記第1態様から第4態様のいずれかに記載の固体燃料粉砕装置と、前記固体燃料粉砕装置で粉砕された固体燃料を燃焼して蒸気を生成するボイラ(210)と、を備える。
【0077】
本開示の第1態様に係る固体燃料粉砕装置の運転方法は、前記固体燃料粉砕装置(100)は、中心軸線を中心に回転し、上面で固体燃料を粉砕する粉砕テーブル(12)と、前記粉砕テーブル(12)を回転させるモータ(15)と、前記モータ(15)から出力される動力を無段階で変速して前記粉砕テーブル(12)に伝達する無段変速機(60)と、を有し、前記粉砕テーブル(12)の回転数を調整するように前記無段変速機(60)を制御する工程と、を備える。
【符号の説明】
【0078】
1 :発電プラント(発電システム)
10 :ミル
11 :ハウジング
12 :粉砕テーブル
13 :粉砕ローラ
14 :減速機
15 :ミルモータ(モータ)
16 :回転式分級機
16a :ブレード
17 :給炭管
18 :分級機モータ
19 :出口ポート
21 :バンカ
22 :ダウンスパウト部
25 :給炭機
26 :搬送部
27 :給炭機モータ
30 :送風部
30a :熱ガス流路
30b :冷ガス流路
30c :熱ガスダンパ
30d :冷ガスダンパ
31 :一次空気通風機
34 :空気予熱器
40 :状態検出部
41 :底面部
42 :天井部
45 :ジャーナルヘッド
46 :押圧装置
47 :支持アーム
48 :支持軸
50 :制御部
60 :CVT(無段変速機)
61 :プライマリプーリ(モータ側プーリ)
62 :セカンダリプーリ(粉砕テーブル側プーリ)
63 :ベルト
64 :シャフト
65 :シャフト
100 :固体燃料粉砕装置
110 :一次空気流路
120 :微粉燃料供給管
200 :ボイラ
210 :火炉
220 :バーナ
C1 :中心軸線
図1
図2