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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024111455
(43)【公開日】2024-08-19
(54)【発明の名称】飲料容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/28 20060101AFI20240809BHJP
   B65D 47/06 20060101ALI20240809BHJP
   A47J 41/02 20060101ALI20240809BHJP
【FI】
B65D47/28 120
B65D47/06 110
A47J41/02 104
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023015973
(22)【出願日】2023-02-06
(71)【出願人】
【識別番号】000002473
【氏名又は名称】象印マホービン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135013
【弁理士】
【氏名又は名称】西田 隆美
(72)【発明者】
【氏名】松尾 啓志
(72)【発明者】
【氏名】福田 大晟
【テーマコード(参考)】
3E084
4B002
【Fターム(参考)】
3E084AA02
3E084AA12
3E084AA22
3E084AB01
3E084CA01
3E084CB02
3E084CC03
3E084DC03
3E084EA03
3E084FA09
3E084GA08
3E084GB12
3E084LD06
4B002AA02
4B002BA07
4B002CA14
4B002CA50
(57)【要約】
【課題】蓋本体からスライド蓋を取り外して洗浄でき、かつ、通常の使用時に誤って蓋本体からスライド蓋が外れてしまうことを抑制できる、飲料容器を提供する。
【解決手段】この飲料容器1の蓋体20は、飲み口34を有する蓋本体30と、スライド蓋40とを有する。スライド蓋40は、飲み口34を閉鎖する閉鎖位置と、飲み口34を開放する開放位置との間で、スライド移動する。また、スライド蓋40は、リリースガイド422を有する。リリースガイド422は、スライド蓋40の上記のスライド移動とは異なる方向に延びる。スライド蓋40は、リリースガイド422に沿って移動することにより、蓋本体30に対する係合が解除されたリリース位置へ移動する。これにより、通常の使用時に誤って蓋本体30からスライド蓋40が外れてしまうことを抑制できる。
【選択図】図8

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に飲料を貯留する飲料容器であって、
有底筒状の容器本体と、
前記容器本体の上部の開口を覆う蓋体と、
を備え、
前記蓋体は、
上下方向に貫通する飲み口を有する蓋本体と、
前記飲み口を閉鎖する閉鎖位置と前記飲み口を開放する開放位置との間でスライド移動するスライド蓋と、
を有し、
前記蓋本体または前記スライド蓋は、
前記スライド移動とは異なる方向に延びるリリースガイド
を有し、
前記スライド蓋は、前記リリースガイドに沿って動作することにより、前記蓋本体に対する係合が解除されたリリース位置へ移動する、飲料容器。
【請求項2】
請求項1に記載の飲料容器であって、
前記スライド蓋は、前記リリースガイドに沿って回転することにより、前記リリース位置へ移動する、飲料容器。
【請求項3】
請求項2に記載の飲料容器であって、
前記スライド蓋は、前記開放位置から、前記リリースガイドに沿って回転することにより、前記リリース位置へ移動する、飲料容器。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の飲料容器であって、
前記蓋本体は、
前記リリースガイドに繋がるスライドガイド
をさらに有し、
前記スライド蓋は、前記閉鎖位置と前記開放位置との間で、前記スライドガイドに沿って移動する、飲料容器。
【請求項5】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の飲料容器であって、
前記蓋本体および前記スライド蓋のいずれか一方は、他方へ向けて突出するクリック突起を有し、
前記蓋本体および前記スライド蓋の前記他方は、
前記スライド蓋が前記閉鎖位置に配置されたときに、前記クリック突起が嵌まる第1凹部と、
前記スライド蓋が前記開放位置に配置されたときに、前記クリック突起が嵌まる第2凹部と、
前記スライド蓋が前記リリース位置に配置されたときに、前記クリック突起が嵌まる第3凹部と、
を有する、飲料容器。
【請求項6】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の飲料容器であって、
前記スライド蓋の下面に、前記リリースガイドが形成されている、飲料容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部に飲料を貯留する飲料容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、飲料を内部に貯留するタンブラータイプの飲料容器が知られている。従来の飲料容器については、例えば、特許文献1に記載されている。特許文献1の飲料容器は、有底筒状の容器本体(1)と、容器本体(1)の上部開口部(2)を覆う蓋体(3)とを有する。蓋体(3)は、蓋本体(21)と、蓋本体(21)の液通孔(22)を開閉するスライド蓋(23)と、を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-166258号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の蓋体(3)は、蓋本体(21)に対してスライド蓋(23)が着脱可能となっている。これにより、蓋本体(21)とスライド蓋(23)とを、分解して洗浄することができる。
【0005】
しかしながら、特許文献1の構造では、蓋本体(21)からスライド蓋(23)を取り外すときのスライド蓋(23)の移動方向が、通常の使用時に液通孔(22)を開閉するときのスライド蓋(23)の移動方向と、同じ方向となっている。このため、例えば、飲料を補充するために容器本体(1)から蓋体(3)を取り外したときに、蓋本体(21)からスライド蓋(23)が誤って外れてしまう可能性がある。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、蓋本体からスライド蓋を取り外して洗浄でき、かつ、通常の使用時に誤って蓋本体からスライド蓋が外れてしまうことを抑制できる、飲料容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の飲料容器は、内部に飲料を貯留する飲料容器であって、有底筒状の容器本体と、前記容器本体の上部の開口を覆う蓋体と、を備え、前記蓋体は、上下方向に貫通する飲み口を有する蓋本体と、前記飲み口を閉鎖する閉鎖位置と前記飲み口を開放する開放位置との間でスライド移動するスライド蓋と、を有し、前記蓋本体または前記スライド蓋は、前記スライド移動とは異なる方向に延びるリリースガイドを有し、前記スライド蓋は、前記リリースガイドに沿って動作することにより、前記蓋本体に対する係合が解除されたリリース位置へ移動する。
【0008】
本発明によれば、スライド蓋を通常のスライド移動とは異なる方向に移動させることにより、蓋本体に対するスライド蓋の係合を解除する。これにより、蓋本体からスライド蓋を取り外して洗浄できる。また、通常の使用時に誤って蓋本体からスライド蓋が外れてしまうことを抑制できる。
【0009】
前記スライド蓋は、前記リリースガイドに沿って回転することにより、前記リリース位置へ移動することが好ましい。スライド蓋を、直進移動ではなく回転させることにより、蓋本体の表面の限られたスペースにおいて、スライド蓋をリリース位置へ移動させることができる。
【0010】
また、前記スライド蓋は、前記開放位置から、前記リリースガイドに沿って回転することにより、前記リリース位置へ移動することが好ましい。すなわち、スライド蓋を、閉鎖位置ではなく、開放位置からリリース位置へ移動させることが望ましい。これにより、ユーザが飲み口を開放する意思がないときに、蓋本体からスライド蓋が外れてしまうことを抑制できる。
【0011】
また、前記蓋本体は、前記リリースガイドに繋がるスライドガイドをさらに有し、前記スライド蓋は、前記閉鎖位置と前記開放位置との間で、前記スライドガイドに沿って移動することが好ましい。これにより、スライド蓋を、閉鎖位置と開放位置との間で、精度よく移動させることができる。
【0012】
また、前記蓋本体および前記スライド蓋のいずれか一方は、他方へ向けて突出するクリック突起を有し、前記蓋本体および前記スライド蓋の前記他方は、前記スライド蓋が前記閉鎖位置に配置されたときに、前記クリック突起が嵌まる第1凹部と、前記スライド蓋が前記開放位置に配置されたときに、前記クリック突起が嵌まる第2凹部と、前記スライド蓋が前記リリース位置に配置されたときに、前記クリック突起が嵌まる第3凹部と、を有することが好ましい。これにより、スライド蓋を、閉鎖位置、開放位置、リリース位置の3カ所に位置決めできる。
【0013】
また、前記スライド蓋の下面に、前記リリースガイドが形成されていることが好ましい。このようにすれば、スライド蓋が閉鎖位置、開放位置、およびリリース位置のいずれに配置された状態においても、飲料容器の外表面にリリースガイドが露出しない。これにより、飲料容器の美観を向上させることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、スライド蓋を通常のスライド移動とは異なる方向に移動させることにより、蓋本体に対するスライド蓋の係合を解除する。これにより、蓋本体からスライド蓋を取り外して洗浄できる。また、通常の使用時に誤って蓋本体からスライド蓋が外れてしまうことを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】飲料容器の斜視図である。
図2】飲料容器の縦断面図である。
図3】蓋体の分解斜視図である。
図4】蓋本体の上面図である。
図5】スライド蓋の下面図である。
図6】スライド蓋が閉鎖位置に配置された状態の蓋体の上面図および下面図である。
図7】スライド蓋が開放位置に配置された状態の蓋体の上面図および下面図である。
図8】スライド蓋がリリース位置に配置された状態の蓋体の上面図および下面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0017】
<1.飲料容器の構成>
図1は、本発明の一実施形態に係る飲料容器1の斜視図である。図2は、飲料容器1の縦断面図である。この飲料容器1は、液体である飲料を内部に貯留可能な、蓋付きのタンブラーである。飲料容器1のユーザは、自宅やオフィスなどで、コーヒー、紅茶、緑茶等の飲料を飲料容器1に貯留し、後述する飲み口34を介して中の飲料を飲むことができる。図1および図2に示すように、飲料容器1は、容器本体10と蓋体20とを備える。
【0018】
容器本体10は、飲料を内部に貯留する本体部品である。容器本体10の材料には、例えば、ステンレス鋼が用いられる。容器本体10は、有底筒状の外形を有する。すなわち、容器本体10は、円板状の底部11と、底部11の縁から上方へ向けて延びる略円筒状の側壁部12と、を有する。底部11および側壁部12は、それぞれ、二重構造となっており、内面と外面との間に真空層を有する。これにより、容器本体10の内部に貯留された飲料を保温または保冷することができる。
【0019】
側壁部12の外周面は、円錐台を倒立させた形状を有する。すなわち、側壁部12の外周面の径は、上方へ向かうにつれて徐々に大きくなる。容器本体10の上端部の外径は、容器本体10の下端部の外径よりも大きい。このように、側壁部12の外周面を、上方へ向かうにつれて徐々に拡径するテーパ形状とすることにより、ユーザが側壁部12の外周面を掴んだときに、ユーザの手から容器本体10が滑り落ちることを抑制できる。
【0020】
蓋体20は、容器本体10の上部の開口を覆う部品である。蓋体20は、容器本体10の上部に対して、着脱可能である。容器本体10に蓋体20を取り付けることにより、容器内への埃の侵入を抑制できるとともに、容器内に貯留した飲料の保温性または保冷性を、より高めることができる。また、ユーザは、飲料を補充するときや、飲料容器1を洗浄するときには、容器本体10から蓋体20を取り外す。
【0021】
図3は、蓋体20の分解斜視図である。図1図3に示すように、蓋体20は、蓋本体30と、スライド蓋40とを有する。蓋本体30およびスライド蓋40は、それぞれ、耐熱性を有する合成樹脂により形成される。
【0022】
蓋本体30は、容器本体10の上部に対して着脱可能な略円板状の部品である。蓋本体30は、円板形状の蓋底部31と、蓋底部31の外周縁から上方へ立ち上がる円筒状の蓋側部32と、蓋側部32の上端から外側へ向けて広がるフランジ部33と、を有する。
【0023】
蓋体20は、容器本体10の上部開口13に嵌め込まれる。具体的には、蓋体20のうち、蓋底部31および蓋側部32が、容器本体10の上部開口13に挿入される。そして、蓋側部32の外周面が、容器本体10の上部の内周面に密着する。フランジ部33は、容器本体10の上端部に載置される。
【0024】
図4は、蓋本体30の上面図である。図3および図4に示すように、蓋本体30は、飲み口34、ガイド突起35、およびクリックレバー36を有する。
【0025】
飲み口34は、蓋本体30に形成された開口である。飲み口34は、蓋底部31を上下方向に貫通する。飲み口34は、蓋本体30の中央よりも前方に位置する。飲み口34は、前後方向に延びる一対の縁341を有する。また、蓋本体30は、飲み口34の縁341から側方へ凹む一対のリリース孔342を有する。リリース孔342は、前後方向および左右方向に対して斜めに凹む。飲み口34および一対のリリース孔342は、一体の貫通孔となっている。
【0026】
ガイド突起35は、スライド蓋40の動作をガイドするための突起である。ガイド突起35は、蓋底部31の上面から、スライド蓋40へ向けて突出する。ガイド突起35は、飲み口34よりも後方に位置する。蓋本体30にスライド蓋40が取り付けられると、ガイド突起35は、スライド蓋40の後述するガイド溝42に挿入される。ガイド突起35は、スライド蓋40に覆われるため、飲料容器1の使用時には、ガイド突起35は外部に露出しない。
【0027】
クリックレバー36は、スライド蓋40を、後述する閉鎖位置、開放位置、およびリリース位置に位置決めするためのレバーである。クリックレバー36は、蓋底部31に形成されている。図3および図4に示すように、クリックレバー36は、アーム361とクリック突起362とを有する。アーム361およびクリック突起362の周りは、上面視においてU字状にくり抜かれている。アーム361は、当該くり抜きの内側において、前方へ向かって片持ち状に延びている。クリック突起362は、アーム361の前端部からスライド蓋40へ向けて突出する。
【0028】
アーム361は、上下方向に弾性変形可能である。このため、外力に応じてアーム361が撓むことにより、クリック突起362は、上下方向に僅かに移動することができる。
【0029】
スライド蓋40は、飲み口34を開閉するための蓋である。スライド蓋40は、蓋底部31の上面に配置される。スライド蓋40は、上面視において略矩形の平板状である。図5は、スライド蓋40の下面図である。図5に示すように、スライド蓋40は、蓋本体30に係合する爪41を有する。爪41は、スライド蓋40の下面から、下方へ向けて突出し、その先端が左右へ突出している。
【0030】
スライド蓋40の爪41は、蓋本体30の飲み口34の縁341に係合する。具体的には、飲み口34の縁341が、スライド蓋40の下面と爪41の先端との隙間に挿入される。スライド蓋40は、飲み口34の縁341に爪41を係合させた状態のまま、当該縁341に沿って、前後方向にスライド移動することが可能である。
【0031】
スライド蓋40を最も前方へ移動させると、スライド蓋40が飲み口34を閉鎖する。このときのスライド蓋40の位置を、以下では「閉鎖位置」と称する。スライド蓋40を最も後方へ移動させると、飲み口34が開放される。このときのスライド蓋40の位置を、以下では「開放位置」と称する。
【0032】
また、スライド蓋40は、開放位置から、図1中の破線矢印のように、回転させることができる。具体的には、飲み口34の後端部に形成された角部343を中心として、スライド蓋40を、所定の角度だけ回転させることができる。この回転は、蓋底部31の上面に沿った移動であり、鉛直方向に延びる仮想的な軸を中心とする回転である。この回転により、スライド蓋40の爪41が、上述したリリース孔342と上下方向に重なる位置に配置される。これにより、蓋本体30に対するスライド蓋40の係合が解除される。この回転後のスライド蓋40の位置を、以下では「リリース位置」と称する。スライド蓋40は、リリース位置から上方へ引き上げることによって、蓋本体30から取り外すことができる。
【0033】
図5に示すように、スライド蓋40は、ガイド溝42、第1凹部43、第2凹部44、および第3凹部45を有する。
【0034】
ガイド溝42は、スライド蓋40の下面に形成された溝である。ガイド溝42は、爪41よりも後方に位置する。ガイド溝42は、スライド蓋40の下面から、上方へ向けて凹んでいる。蓋本体30にスライド蓋40が取り付けられた状態において、蓋本体30のガイド突起35は、ガイド溝42に挿入される。図5に示すように、ガイド溝42は、スライドガイド421およびリリースガイド422を有する。スライドガイド421とリリースガイド422とは、互いに繋がっている。
【0035】
スライドガイド421は、前後方向に延びる直線状の溝である。スライドガイド421は、スライド蓋40が閉鎖位置と開放位置との間で移動するときに、スライド蓋40を前後方向に案内する。スライド蓋40が開放位置から閉鎖位置へ移動すると、ガイド突起35に対してスライドガイド421が、前方へ移動する。これにより、ガイド突起35は、スライドガイド421に対して相対的に後方へ移動して、スライドガイド421の後端部に配置される。一方、スライド蓋40が閉鎖位置から開放位置へ移動すると、ガイド突起35に対してスライドガイド421が、後方へ移動する。これにより、ガイド突起35は、スライドガイド421に対して相対的に前方へ移動して、スライドガイド421の前端部に配置される。
【0036】
リリースガイド422は、スライドガイド421の前端部から、側方へ向けて延びる溝である。すなわち、リリースガイド422は、スライド蓋40のスライド移動の方向とは異なる方向に延びる。リリースガイド422は、スライド蓋40が開放位置とリリース位置との間で移動するときに、スライド蓋40を、上述した角部343を中心とする回転方向に案内する。
【0037】
スライド蓋40が開放位置からリリース位置へ回転すると、ガイド突起35に対してリリースガイド422が、上面視において反時計回りに移動する。これにより、ガイド突起35は、リリースガイド422に対して相対的に時計回りに移動して、リリースガイド422の先端に配置される。一方、スライド蓋40がリリース位置から開放位置へ回転すると、ガイド突起35に対してリリースガイド422が、上面視において時計回りに移動する。これにより、ガイド突起35は、リリースガイド422に対して相対的に反時計回りに移動して、スライドガイド421の前端部に配置される。
【0038】
第1凹部43、第2凹部44、および第3凹部45は、スライド蓋40の下面に形成された凹部である。第1凹部43、第2凹部44、および第3凹部45は、爪41よりも後方に位置する。第1凹部43、第2凹部44、および第3凹部45は、それぞれ、スライド蓋40の下面から、上方へ向けて凹んでいる。
【0039】
スライド蓋40を閉鎖位置に配置すると、蓋本体30のクリック突起362が、第1凹部43に嵌まる。これにより、スライド蓋40が閉鎖位置に位置決めされる。スライド蓋40を開放位置に配置すると、蓋本体30のクリック突起362が、第2凹部44に嵌まる。これにより、スライド蓋40が開放位置に位置決めされる。また、スライド蓋40をリリース位置に配置すると、蓋本体30のクリック突起362が、第3凹部45に嵌まる。これにより、スライド蓋40がリリース位置に位置決めされる。
【0040】
第1凹部43と第2凹部44は、前後方向に間隔をあけて並んでいる。また、スライド蓋40は、第1凹部43と第2凹部44との間において、前後方向に延びるクリック溝46を有する。ユーザが、スライド蓋40を前方へ移動させると、クリック突起362が、クリック溝46から、凸形状を乗り越えて、第1凹部43へ嵌まる。これにより、スライド蓋40が、操作抵抗を受けた後に閉鎖位置へ位置決めされるため、ユーザは、スライド蓋40を、確かに閉鎖位置へ移動させたという実感を得ることができる。
【0041】
また、ユーザが、スライド蓋40を後方へ移動させると、クリック突起362が、クリック溝46から、凸形状を乗り越えて、第2凹部44へ嵌まる。これにより、スライド蓋40が、操作抵抗を受けた後に開放位置へ位置決めされるため、ユーザは、スライド蓋40を、確かに開放位置へ移動させたという実感を得ることができる。
【0042】
第2凹部44と第3凹部45は、角部343を中心とする回転方向に間隔をあけて並んでいる。ユーザが、スライド蓋40を開放位置からリリース位置へ移動させると、クリック突起362が、第2凹部44から、凸形状を乗り越えて、第3凹部45へ嵌まる。これにより、スライド蓋40が、操作抵抗を受けた後にリリース位置へ位置決めされるため、ユーザは、スライド蓋40を、確かにリリース位置へ移動させたという実感を得ることができる。
【0043】
<2.スライド蓋の動作>
蓋本体30に対するスライド蓋40の動作について、図6図8を参照しつつ、改めて説明する。
【0044】
図6(a)は、スライド蓋40が閉鎖位置に配置された状態の蓋体20の上面図である。図6(b)は、スライド蓋40が閉鎖位置に配置された状態の蓋体20の下面図である。
【0045】
図6(a)および図6(b)に示すように、スライド蓋40が閉鎖位置に配置された状態では、スライド蓋40が、開放位置よりも前方に位置する。そして、スライド蓋40の前端部が、蓋本体30の蓋側部32に突き当たる。このとき、スライド蓋40の爪41は、飲み口34の縁341に係合している。また、ガイド突起35は、スライドガイド421の後端部に位置する。また、クリック突起362は、第1凹部43に嵌まっている。
【0046】
図7(a)は、スライド蓋40が開放位置に配置された状態の蓋体20の上面図である。図7(b)は、スライド蓋40が開放位置に配置された状態の蓋体20の下面図である。ユーザは、スライド蓋40を、図6の閉鎖位置から後方へ移動させることにより、スライド蓋40を、図7の開放位置に配置することができる。
【0047】
図7(a)および図7(b)に示すように、スライド蓋40が開放位置に配置された状態では、スライド蓋40が、閉鎖位置よりも後方に位置する。そして、スライド蓋40の爪41が、飲み口34の後端部に突き当たる。このとき、スライド蓋40の爪41は、飲み口34の縁341に係合している。また、ガイド突起35は、スライドガイド421の前端部に位置する。また、クリック突起362は、第2凹部44に嵌まる。
【0048】
図8(a)は、スライド蓋40がリリース位置に配置された状態の蓋体20の上面図である。図8(b)は、スライド蓋40がリリース位置に配置された状態の蓋体20の下面図である。ユーザは、スライド蓋40を、図7の開放位置から、角部343を中心として回転させることにより、スライド蓋40を、図8のリリース位置に配置することができる。
【0049】
図8(a)および図8(b)に示すように、スライド蓋40がリリース位置に配置された状態では、スライド蓋40が、前後方向に対して傾斜した姿勢となる。そして、図8(b)のように、スライド蓋40の爪41が、リリース孔342の縁に突き当たる。これにより、爪41が、リリース孔342と上下方向に重なる位置に配置される。その結果、蓋本体30に対するスライド蓋40の係合が解除される。
【0050】
スライド蓋40が、図7の開放位置から図8のリリース位置へ移動する際、スライド蓋40は、リリースガイド422に沿って回転する。すなわち、ガイド突起35が、スライドガイド421の前端部に位置する状態から、リリースガイド422の先端部に位置する状態へ変化するように、スライド蓋40が回転する。また、このとき、クリック突起362は、第2凹部44から第3凹部45へ移動する。
【0051】
飲料容器1のユーザは、スライド蓋40を、図8の閉鎖位置から上方へ引き上げることによって、蓋本体30からスライド蓋40を取り外すことができる。これにより、蓋本体30およびスライド蓋40を、分解された状態で、それぞれ洗浄することができる。
【0052】
以上のように、この飲料容器1は、通常の使用時に飲み口34を開閉するときには、スライド蓋40を前後方向にスライド移動させる。これに対し、蓋本体30からスライド蓋40を取り外すときには、スライド蓋40を、リリースガイド422に沿って回転させることにより、リリース位置へ移動させる。すなわち、スライド蓋40を、通常のスライド移動とは異なる方向に移動させることにより、蓋本体30に対するスライド蓋40の係合を解除する。このようにすれば、通常の使用時に誤って蓋本体30からスライド蓋40が外れてしまうことを抑制できる。
【0053】
なお、上記の逆の手順(図8図7の順)を行うことにより、スライド蓋40を蓋本体30に取り付けることができる。
【0054】
また、上記の実施形態では、スライド蓋40を、開放位置からリリース位置へ移動させるときに、スライド蓋40を、直進移動ではなく回転させる。これにより、蓋本体30の表面の限られたスペースにおいて、スライド蓋40を、開放位置からリリース位置へ移動させることができる。
【0055】
また、上記の実施形態では、蓋本体30に対するスライド蓋40の係合を解除するときに、スライド蓋40を、閉鎖位置からではなく、開放位置からリリース位置へ移動させる。スライド蓋40は、閉鎖位置からリリース位置へ直接移動することはできない。このようにすれば、ユーザが飲み口34を開放する意思がないときに、スライド蓋40が外れてしまうことを抑制できる。
【0056】
また、上記の実施形態では、スライド蓋40を、閉鎖位置と開放位置との間で、スライドガイド421に沿って移動させる。これにより、スライド蓋40を、閉鎖位置と開放位置との間で、前後方向に精度よく移動させることができる。特に、上記の実施形態では、爪41と係合する飲み口34の縁341も、スライド蓋40を前後方向にガイドする役割を果たす。つまり、上記の実施形態では、飲み口34の縁341とスライドガイド421の2箇所で、スライド蓋40を前後方向にガイドする。これにより、スライド蓋40の傾きを抑制しつつ、スライド蓋40を前後方向により精度よくスライド移動させることができる。
【0057】
また、上記の実施形態では、蓋本体30がクリック突起362を有する。そして、スライド蓋40が、閉鎖位置のときにクリック突起362が嵌まる第1凹部43、開放位置のときにクリック突起362が嵌まる第2凹部44、およびリリース位置のときにクリック突起362が嵌まる第3凹部45を有する。これにより、スライド蓋40を、閉鎖位置、開放位置、およびリリース位置の3箇所に位置決めできる。
【0058】
また、上記の実施形態では、蓋本体30の上面ではなく、スライド蓋40の下面に、ガイド溝42が形成されている。このようにすれば、スライド蓋40が、閉鎖位置、開放位置、およびリリース位置のいずれに配置された状態においても、ガイド溝42は、飲料容器1の外表面に露出しない。これにより、飲料容器1の美観を向上させることができる。
【0059】
また、上記の実施形態では、蓋本体30の上面ではなく、スライド蓋40の下面に、第1凹部43、第2凹部44、および第3凹部45が形成されている。このようにすれば、スライド蓋40が、閉鎖位置、開放位置、およびリリース位置のいずれに配置された状態においても、第1凹部43、第2凹部44、および第3凹部45が飲料容器1の外表面に露出しない。これにより、飲料容器1の美観をより向上させることができる。
【0060】
<3.変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。
【0061】
<3-1.第1変形例>
上記の実施形態では、蓋本体30の上面にガイド突起35が形成され、スライド蓋40の下面にガイド溝42が形成されていた。しかしながら、ガイド突起35とガイド溝42の位置は、逆であってもよい。すなわち、蓋本体30の上面にガイド溝42が形成され、スライド蓋40の下面にガイド突起35が形成されていてもよい。そして、蓋本体30の上面に形成されたガイド溝42に沿って、スライド蓋40が、閉鎖位置、開放位置、およびリリース位置の間で移動してもよい。
【0062】
<3-2.第2変形例>
上記の実施形態では、蓋本体30の上面にクリック突起362が形成され、スライド蓋40の下面に第1凹部43、第2凹部44、および第3凹部45が形成されていた。しかしながら、クリック突起362と、第1凹部43、第2凹部44、および第3凹部45の位置は、逆であってもよい。すなわち、蓋本体30の上面に第1凹部43、第2凹部44、および第3凹部45が形成され、スライド蓋40の下面にクリック突起362が形成されていてもよい。
【0063】
<3-3.第3変形例>
上記の実施形態では、スライド蓋40を回転させることにより、リリース位置へ移動させていた。しかしながら、スライド蓋40を、前後方向とは異なる方向に直進移動させることにより、リリース位置へ移動させてもよい。例えば、スライド蓋40を、開放位置から左右方向へ直進移動させることにより、蓋本体30に対するスライド蓋40の係合を解除してもよい。その場合、リリースガイド422は、スライドガイド421の前端部から、左右方向に直線状に延びるようにすればよい。また、第2凹部44と第3凹部45を、左右方向に並ぶように形成すればよい。
【0064】
<3-4.他の変形例>
上記の実施形態の飲料容器1は、容器本体10と蓋体20の間にパッキンを有していない。しかしながら、本発明の飲料容器は、容器本体と蓋体の間にパッキンを有するものであってもよい。また、上記の実施形態の飲料容器1は、蓋本体30とスライド蓋40との間にパッキンを有していない。しかしながら、本発明の飲料容器は、蓋本体とスライド蓋との間にパッキンを有するものであってもよい。
【0065】
また、上記の実施形態では、容器本体10の外周面が、上方へ向かうにつれて徐々に拡径するテーパ形状であった。しかしながら、容器本体10の外周面は、ストレートな円筒状の面であってもよい。
【0066】
また、上記の実施形態の飲料容器1は、蓋体20を有するタンブラーであった。しかしながら、本発明の飲料容器は、ステンレスマグ等のタンブラー以外の飲料容器であってもよい。
【0067】
また、飲料容器の細部の形状については、本願の各図と相違していてもよい。また、上記の実施形態や変形例に登場した各要素を、矛盾が生じない範囲で、適宜に組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0068】
1 飲料容器
10 容器本体
11 底部
12 側壁部
13 上部開口
20 蓋体
30 蓋本体
31 蓋底部
32 蓋側部
33 フランジ部
34 飲み口
35 ガイド突起
36 クリックレバー
40 スライド蓋
41 爪
42 ガイド溝
43 第1凹部
44 第2凹部
45 第3凹部
46 クリック溝
341 飲み口の縁
342 リリース孔
343 角部
361 アーム
362 クリック突起
421 スライドガイド
422 リリースガイド
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8