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特開2024-111464電子部品付き樹脂成形品及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024111464
(43)【公開日】2024-08-19
(54)【発明の名称】電子部品付き樹脂成形品及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/14 20060101AFI20240809BHJP
【FI】
B29C45/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023015984
(22)【出願日】2023-02-06
(71)【出願人】
【識別番号】000231361
【氏名又は名称】NISSHA株式会社
(72)【発明者】
【氏名】田中 駿
(72)【発明者】
【氏名】瀧西 徳勲
【テーマコード(参考)】
4F206
【Fターム(参考)】
4F206AD07
4F206AD08
4F206AH33
4F206JA07
4F206JB12
4F206JL02
4F206JM04
4F206JQ81
(57)【要約】
【課題】
射出成形時のシートに実装された電子部品の剥がれや機能低下を防止する電子部品付き樹脂成形品及びその製造方法、電子部品実装シートを提供する。
【解決手段】
第1接着層12が形成された基体シート11と、パッド13とパッド13に接続される配線21を有し、第1接着層12の上に形成された導電性パターン24と、パッド13に導電接合材を介して実装された電子部品15と、電子部品15を覆うように接着層の上に貼り合わされた保護シート16と、保護シート16の上に形成された射出成形体17とを備えた電子部品付き樹脂成形品10である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1接着層が形成された基体シートと、
パッドと前記パッドに接続される配線を有し、前記第1接着層の上に形成された導電性パターンと、
前記パッドに導電性接合材を介して実装された電子部品と、
前記電子部品を覆うように前記接着層の上に貼り合わされた保護シートと、
前記保護シートの上に形成された射出成形体とを備えた、電子部品付き樹脂成形品。
【請求項2】
基体シートと、
パッドと前記パッドに接続される配線を有し、前記基体シートの上に形成された導電性パターンと、
前記パッドに導電性接合材を介して実装された電子部品と、
第2接着層が形成され、前記第2接着層が前記電子部品に接するように前記基体シートの上に貼り合わされた保護シートと、
前記保護シートの上に形成された射出成形体とを備えた、電子部品付き樹脂成形品。
【請求項3】
前記保護シートと前記射出成形体とは同じ種類の樹脂で構成された、請求項1又は請求項2記載の電子部品付き樹脂成形品。
【請求項4】
前記保護シートの前記射出成形体側の面に、第3接着層が形成された、請求項1又は請求項2記載の電子部品付き樹脂成形品。
【請求項5】
前記電子部品は、発光体であり、
前記保護シートは、透明又は半透明であり、光調整機能を有する、請求項1又は請求項2記載の電子部品付き樹脂成形品。
【請求項6】
前記電子部品は、発光体であり、
前記保護シートは、上面側に、開口を有する遮光層を含み、
前記保護シートと前記遮光層との間と、前記保護シートの下面側と、に前記発光体から出射した光が反射して前記開口から光が発するように形成された反射層を含む、請求項1又は請求項2記載の電子部品付き樹脂成形品。
【請求項7】
第1接着層が形成された基体シートと、
パッドと前記パッドに接続される配線を有し、前記第1接着層の上に形成された導電性パターンと、
前記パッドに導電性接合材を介して実装された電子部品と、
前記電子部品を覆うように前記接着層の上に貼り合わされた保護シートとを備えた、電子部品実装シート。
【請求項8】
基体シートと、
パッドと前記パッドに接続される配線を有し、前記基体シートの上に形成された導電性パターンと、
前記パッドに導電性接合材を介して実装された電子部品と、
第2接着層が形成され、前記第2接着層が前記電子部品に接触するように前記基体シートの上に貼り合わされた保護シートとを備えた、電子部品実装シート。
【請求項9】
請求項7又は請求項8記載の電子部品実装シートを準備する工程と、
固定型と、型締めによって前記固定型との間にキャビティを形成する可動型と、を有する射出成形用金型のいずれかのキャビティ面に、前記電子部品実装シートを、前記基体シート側が前記キャビティ面に接触するように、配置する工程と、
前記射出成形用金型を型締めする工程と、
前記キャビティ内に溶融樹脂を射出して射出成形体を成形すると同時に、前記射出成形体の表面に前記電子部品実装シートを固着させる工程と、
前記射出成形用金型を型開きして、前記射出成形体を取り出す工程とを備えた、電子部品付き樹脂成形品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、樹脂成形品に関し、特に電子部品を実装したシートが射出成形により一体化された電子部品付き樹脂成形品及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品が実装されたシートを射出成形用金型のキャビティ内に配置して、そのキャビティに溶融樹脂を射出して、樹脂成形体を成形し、シートを一体化させた電子部品付き樹脂成形品がある(例えば、特許文献1参照)。
ここで、従来の電子部品が実装されたシートとして、ポリイミド(PI)フィルム80に銅配線パターン81が形成され、銅配線パターン81の上にはんだ82を用いてLEDなどの電子部品83が実装されたシート(図3の(1)を参照)や、PET(ポリエチレンテレフタラート)フィルム90やPC(ポリカーボネート)フィルム91に銀配線パターン92が形成され、銀配線パターン92の上にAgペーストなどの導電性接着剤93を用いて電子部品83が実装されたシート(図3の(2)を参照)などがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-82535公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような従来の電子部品が実装されたシートを、射出成形用金型のキャビティ内に配置して、射出成形を行い電子部品付き樹脂成形品を製造しようとすると、射出成形時の溶融樹脂の熱によりはんだが溶解してしまい実装された電子部品が剥がれてしまうことがある。PCフィルムと成形樹脂の密着性がよくないこともある。電子部品を導電性接着剤を用いて実装しているシートでは、導電性接着剤自体の接着力が弱く、射出樹脂圧により電子部品がフィルムから剥がれるおそれがある。溶融樹脂の熱により電子部品の機能が低下することもある。
【0005】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、射出成形時のシートに実装された電子部品の剥がれや機能低下を防止する電子部品付き樹脂成形品及びその製造方法、電子部品実装シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、第1の発明は、第1接着層が形成された基体シートと、パッドとパッドに接続される配線を有し、第1接着層の上に形成された導電性パターンと、パッドに導電性接合材を介して実装された電子部品と、電子部品を覆うように接着層の上に貼り合わされた保護シートと、保護シートの上に形成された射出成形体とを備えたものである。
【0007】
このように構成すると、電子部品にかかる成形樹脂の射出時の圧力が軽減されるため、電子部品の剥がれや機能低下を防止することができる。
【0008】
第2の発明は、基体シートと、パッドとパッドに接続される配線を有し、基体シートの上に形成された導電性パターンと、パッドに導電性接合材を介して実装された電子部品と、第2接着層が形成され、第2接着層が電子部品に接触するように基体シートの上に貼り合わされた保護シートと、保護シートの上に形成された射出成形体とを備えたものである。
【0009】
このように構成すると、第2接着層を介して保護シートと電子部品が直接固着するため、保護シートと電子部品の剥がれを防止することができる。
【0010】
第3の発明は、第1の発明または第2の発明の構成において、保護シートと射出成形体とは同じ種類の樹脂で構成された、電子部品付き樹脂成形品である。
【0011】
このように構成すると、保護シートと射出成形体の密着性が向上するため、さらに破損しにくい樹脂成形品となる。
【0012】
第4の発明は、第1の発明または第2の発明の構成において、保護シートの射出成形体側の面に、第3接着層が形成された、電子部品付き樹脂成形品である。
【0013】
このように構成すると、保護シートと射出成形体の密着性が向上するため、さらに破損しにくい樹脂成形品となる。
【0014】
第5の発明は、第1の発明または第2の発明の構成において、電子部品は、発光体であり、保護シートは、透明又は半透明であり、光調整機能を有する、電子部品付き樹脂成形品である。
【0015】
このように構成すると、発光体から発する光が保護シートを透過するときに拡散し、面状に広がった光にすることができる。
【0016】
第6の発明は、第1の発明または第2の発明の構成において、電子部品は、発光体であり、保護シートは、上面側に、開口を有する遮光層を含み、保護シートと遮光層との間と、保護シートの下面側と、に発光体から出射した光が反射して開口から光が発するように形成された反射層を含む、電子部品付き樹脂成形品である。
【0017】
このように構成すると、任意の位置に設けた開口から光が発し、発光体の位置によらず、所望の位置から光を取り出すことができる。また、開口の外側に反射層を形成しないことで、そこでは遮光層に光が吸収され、隣接した表示領域に光が漏れることを防止できる。
【0018】
第7の発明は、第1接着層が形成された基体シートと、パッドとパッドに接続される配線を有し、第1接着層の上に形成された導電性パターンと、パッドに導電性接合材を介して実装された電子部品と、電子部品を覆うように接着層の上に貼り合わされた保護シートとを備えた、電子部品実装シートである。
【0019】
このように構成すると、電子部品にかかる成形樹脂の射出時の圧力が軽減されるため、さらに電子部品の剥がれや機能低下を防止することができる。電子部品実装シートの状態において、電子部品の防水やハンドリング時などの外力からの電子部品の保護につながる。
【0020】
第8の発明は、基体シートと、パッドとパッドに接続される配線を有し、基体シートの上に形成された導電性パターンと、パッドに導電性接合材を介して実装された電子部品と、第2接着層が形成され、第2接着層が電子部品に接触するように基体シートの上に貼り合わされた保護シートとを備えた、電子部品実装シートである。
【0021】
このように構成すると、電子部品と保護シートの密着性が向上するため、さらに電子部品の剥がれを防止することができる。
【0022】
第9の発明は、第7又は第8の発明に記載の電子部品実装シートを準備する工程と、固定型と、型締めによって固定型との間にキャビティを形成する可動型と、を有する射出成形用金型のいずれかのキャビティ面に、電子部品実装シートを、基体シート側がキャビティ面に接触するように、配置する工程と、射出成形用金型を型締めする工程と、キャビティ内に溶融樹脂を射出して射出成形体を成形すると同時に、射出成形体の表面に電子部品実装シートを固着させる工程と、射出成形用金型を型開きして、射出成形体を取り出す工程とを備えた、電子部品付き樹脂成形品の製造方法である。
【0023】
このように構成すると、電子部品にかかる成形樹脂の射出時の圧力が軽減されるため、電子部品の剥がれや機能低下を防止して樹脂成形品を製造することができる。
【発明の効果】
【0024】
以上説明したように、この発明は、第1接着層が形成された基体シート上に導電性接合材を介して実装された電子部品を覆うように保護シートが貼り合わされている。そのため、射出成形時に電子部品の剥がれや機能低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】その(1)がこの発明の第1実施形態による樹脂成形品の概略構成を示した断面図であり、その(2)がその(1)の樹脂成形品の製造に用いられる電子部品実装シートの概略構成を示した断面図であり、その(3)がその(1)の樹脂成形品の製造に用いられる電子部品実装シートの概略構成を示した平面図である。
図2図1の(1)で示した樹脂成形品の製造工程を示した図である。
図3】その(1)がこの発明の第2実施形態による樹脂成形品の概略構成を示した断面図であり、その(2)がその(1)の樹脂成形品の製造に用いられる電子部品実装シートの概略構成を示した断面図であり、その(3)がその(1)の樹脂成形品の製造に用いられる電子部品実装シートの概略構成を示した平面図である。
図4】その(1)がこの発明の第3実施形態による電子部品実装シートの概略構成を示した断面図であり、その(2)がこの発明の第4実施形態による電子部品実装シートの概略構成を示した断面図である。
図5】従来の電子部品実装シートの概略構成を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
次に、この発明の実施形態について図を参照しながら説明する。
【0027】
図1の(2)(3)を参照して、電子部品実装シート20は、平面視で長方形の矩形部22を有する基体シート11と、基体シート11の上に形成された第1接着層12と、第1接着層12の上に形成された導電性パターン24と、導電性パターン24の上に横並びに一定の間隔をあけて配置されたLEDなどの発光体である複数の電子部品15と、それら複数の電子部品15を1つのシートで覆うように、第1接着層12の上に貼り合わされた保護シート16を備えている。
【0028】
例えばPETでできた基体シート11は、矩形部22の下辺中央から下方に帯状に伸びる帯状部23を有している。導電性パターン24は、1つの電子部品に対して一対のパッド13を有し、それぞれのパッド13には配線21が接続され、配線21はパッド13から別系統で矩形部22を所定のパターンで通過し、帯状部23まで形成されている。図1の(3)の電子部品実装シート20では、2つの電子部品にそれぞれ一対のパッドが対応し、4系統の配線があり、それらの配線が帯状部に集約されて、図示しない制御部品に接続される。導電性パターン24は、例えば、銀ペーストのスクリーン印刷で形成される。電子部品15は、一対のパッド13に導電性接合材である導電性接着剤14を介して、電気的に接続するように配置されている。配線に電気を流すことにより、電子部品に電気が供給される。保護シート16は、電子部品15の周囲を含む、電子部品15のない領域で第1接着層12と接触して、基体シート11と固着している。保護シート16は透明又は半透明であり、LEDなどの発光体の光が透過すればよく、無色、有色いずれでもよい。
【0029】
図1の(1)を参照して、樹脂成形品10は、前述した電子部品実装シート20の保護シート16の上に射出成形体17を備えている。射出成形体17は、溶融樹脂の射出成形により形成され、電子部品実装シート20に一体的に固着するように形成されている。射出成形体17は、電子部品実装シート20をすべて覆うように構成されている。
【0030】
基体シート11の材料はポリエステル樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、トリアセチルセルロース樹脂、ポリイミド樹脂、液晶ポリマー、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、スチレン樹脂若しくはABS樹脂などの樹脂フィルム、アクリル樹脂とABS樹脂の多層フィルム、又はアクリル樹脂とポリカーボネート樹脂などの多層フィルムから選択される。厚みは、例えば15~400μmであり、好ましくは100~200μmである。薄いと成形時に皴になりやすく、厚すぎると形状追従性が損なわれ、製品全体の厚みに影響する。また、PETフィルムなど、表面特性によって密着が難しい場合には、フィルム表面に特殊な合成樹脂をコーティングする易接着処理を行うことでこの問題を解消する。
【0031】
保護シート16の材料はPCフィルムやABS樹脂フィルム、PMMAフィルムなどの賦形性の高いフィルムであり、これらのフィルムは、層状に複数組み合わせてもよい。厚みは、例えば100~200μmである。
【0032】
射出成形体17の材料はPCやPMMA、ABSなどである。
【0033】
第1接着層12の材料はウレタン系やアクリル系、塩酢ビ系の樹脂などで、厚みは、例えば5~15μmであり、好ましくは9~11μmである。
【0034】
電子部品15の高さは、例えば、0.4~1.2mmであり、好ましくは0.8mm以下である。
【0035】
次に、射出成形体17を用いた樹脂成形品10の製造方法について説明する。
【0036】
図2の(1)(2)を参照して、射出成形用金型30は、可動型31と固定型32を備えて、可動型31と固定型32が型締めされることによりキャビティ37が形成される。射出成形用金型30を型開きした状態で、固定型32のキャビティ面35に沿うように、電子部品実装シート20を、所定の位置に、基体シート11側がキャビティ面35に接するように配置する。電子部品実装シート20の位置固定は、図示しない吸引手段などによって行われる。なお、電子部品実装シート20は、キャビティ面35の形状に合わせて、真空成形やプレス成形などにより予め立体形状に形成されていてもよい。
【0037】
次に、図2の(2)を参照して、電子部品実装シート20が配置された固定型32と可動型31とを型締めして、キャビティ37を形成し、そのキャビティ37に溶融樹脂36を射出し、充填し、樹脂成形体を形成する。電子部品15を覆う保護シート16は、第1接着層12を介して基体シート11に、溶融樹脂36の流れや圧力を計算し、溶融樹脂36の射出・充填時に剥がれがない剥離強度で固着されている。次に、射出成形体17の表面に、電子部品実装シート20が固着して、射出成形体17が所定の硬さになるまで、保圧・冷却する。ここでは、射出成形体17の形成と同時に、射出成形体17の表面に電子部品実装シート20が固着する。次に、射出成形用金型30を型開き、図示しないロボットなどを用いて、樹脂成型品10を取り出す。このようにして、射出成形体17の表面に電子部品実装シート20を固着させて、電子部品15が基体シート11の内側に組み込まれた樹脂成形品10が製造される。
【0038】
上記のような電子部品実装シートを用いた樹脂成形品の製造方法では、電子部品の上に貼り合わされた保護シートによって、電子部品にかかる射出時の溶融樹脂の圧力が軽減される。そのため、電子部品の剥がれや機能低下を防止して樹脂成形品を製造することができる。
【0039】
次に、第2実施形態について説明するが、基本的な構成は、第1実施形態による樹脂成形品及び電子部品実装シートと共通するので、異なる点を中心に説明する。
【0040】
図3の(2)(3)を参照して、電子部品実装シート50は、第1実施形態の電子部品実装シート20とは異なり、基体シート11の上に第1接着層12は形成されておらず、第2接着層41は保護シート16の下に形成されている。さらに、保護シート16の上にも第3接着層42が形成されている。保護シート16は、電子部品15を覆うように基体シート11の上に貼り合わされ、第3接着層42が電子部品15と保護シート16を固着させている。
【0041】
図3の(1)を参照して、樹脂成形品40は、前述した電子部品実装シート50の上に射出成形体17を備えている。第3接着層42があることにより、保護シート16と射出成形体17とがより強固に固着する。
【0042】
第2接着層41の材料はウレタン系やアクリル系、塩酢ビ系の樹脂などで、厚みは、例えば5~15μmであり、好ましくは9~11μmである。
【0043】
第3接着層42の材料はウレタン系やアクリル系、塩酢ビ系の樹脂などで、厚みは、例えば5~15μmであり、好ましくは9~11μmである。
【0044】
上記のような電子部品実装シート50を用いた樹脂成形品40では、保護シート16と電子部品15との間に第2接着層41が設けられているため、保護シート16と基体シート11だけでなく、保護シート16と電子部品15も第2接着層41を介して固着する。そのため、より強固に保護シート16と基体シート11が固着し、射出成形時の電子部品15の剥がれを一層防止することができる。保護シート16が剥がれにくくなることから、電子部品15の破損防止にもつながる。
【0045】
第3接着層42と射出成形体17とが同じ材料で構成されているなど、射出成形体17と保護シート16が所望の強度で固着していれば、第3接着層42はなくてもよい。
【0046】
さらに、上記第2実施形態では、保護シート16の上に第3接着層42が形成されていたが、保護シート16と射出成形体17をより強固に固着させる必要があれば、第1実施形態などの他の形態において第3接着層42を適用してもよい。
【0047】
次に、第3実施形態について説明するが、基本的な構成は、第1実施形態による樹脂成形品及び電子部品実装シートと共通するので、異なる点を中心に説明する。
【0048】
次に図4の(1)を参照して、第1実施形態の構成において、保護シート16の上の、電子部品のある位置及びその周辺、すなわち、LEDなどの発光体から放たれた光が通り抜ける位置に、光調整機能である印刷層61が構成されている。印刷層61が備わっていることにより、発光体から出射した光の色を所望の色に変えることができる。
【0049】
光調整機能を持つ印刷層が構成されているシートは、LEDなどの発光体の光が複数ある場合、同じ発光体から放たれる光であっても、それぞれ異なる、任意の色に変えることができる。
【0050】
印刷層61の材料は例えば印刷用インキであり、厚みは10μm程度である。ただし、インキは印刷用のものに限らず、発光体の光を透過するインキであればどのような種類でも適用できる。
【0051】
また、保護シート16が拡散機能を有する拡散シートであってもよい。拡散シートが光調整機能である。この場合、保護シート16は透明又は半透明であり、LEDなどの発光体の光が透過すればよく、無色、有色いずれでもよい。発光体であるLEDから発する光が保護シート16を通過するときに、光が拡散することで、光が様々な方向に分散し、広がりのある柔らかいイメージの光を演出することができる。
さらに、保護シート16は、シートに白インキを印刷した場合にも、上記の拡散機能と同等の効果を得ることができる。
【0052】
拡散シートの材料はPCフィルムやABS樹脂フィルム、PMMAフィルムなどの賦形性の高いフィルムであり、これらのフィルムは、層状に複数組み合わせてもよい。厚みは、例えば100~200μmである。
【0053】
次に、第4実施形態について説明するが、基本的な構成は、第1実施形態による樹脂成形品及び電子部品実装シートと共通するので、異なる点を中心に説明する。
【0054】
図4の(2)を参照して、電子部品実装シート70は、第1実施形態の構成において、保護シート16に遮光層71と反射層72が外側から順に印刷されている。遮光層71は、LEDなどの発光体の光が突き抜ける開口74以外を、保護シート16を覆うように形成されている。
【0055】
反射層は、保護シート16の上部と下部の両方に設けられており、反射層72は、遮光層71の下に沿うように形成され、反射層73は、開口部の真下付近に第1接着層12に沿うように形成されている。反射層72は、遮光層71のように保護シート16全体に形成されておらず、電子部品15と導電性接着剤14とパッド13が配置されている部分を覆うように形成されている。反射層72は、開口74に電子部品15から出射した光を誘導するために形成されるため、光が届く必要のない部分には形成しなくてよい。
【0056】
図中の、電子部品15から延びた矢印は光の進む方向を示しているが、電子部品15から放たれた光は保護シート16の上側に印刷された反射層72に当たり保護シート16の下側にある反射層73に跳ね返る。さらに反射層72に跳ね返り再び反射層73に当たる。この後、保護シート16側に光が届き、この光が遮光層71及び反射層72のない開口74を透過するという仕組みである。開口74の左側にある保護シート16には反射層72は形成されておらず、遮光層71のみのため、この先での光の跳ね返りは起こらない。
【0057】
上記のような機能を持つ電子部品実装シート70は、任意の位置に設けた開口74から光を発し、発光体の位置によらず所望の位置から光を取り出すことができる。また、開口74の左側に反射層を形成しないことで、そこへ届く光は遮光層に光が吸収され、隣接した表示領域に光が漏れることを防止できる。
【0058】
なお、上記第2実施形態及び上記第2実施形態の第3接着層42がない形態においても、上記の遮光層71と反射層72及び73と同じ機能を持つ層を形成し、同等の効果を得ることができる。
【0059】
また、上記第4実施形態において、開口74の上に印刷層61を形成することで、開口74を通り抜ける光の色を自由に変えることができ、第3実施形態と同等の効果を得ることができる。
【0060】
また、上記第1実施形態では、銀ペーストの導電性パターンに導電性接着剤14を介して電子部品15が実装されているが、電子部品15を覆うように保護シート16が所定の剥離強度で基体シート11に固着されていれば、銅の導電性パターンにはんだを介して電子部品15が実装されるなど、他の材料の組合せでもよい。
【0061】
さらに、上記実施形態では、電子部品15が、LEDなどの発光体であるが、導電性パターン24に実装され、保護シート16で所定の剥離強度で覆うことができれば、抵抗器やコンデンサ、ICチップなどの他の電子部品でもよい。
【0062】
さらに、上記実施形態で用いた電子部品、パッド、配線の数はこれに限定されず、その用途に応じて変更することができる。
【0063】
さらに、上記実施形態では、基体シート11は平面視で長方形となっているが、他の形状でもよい。
【0064】
さらに、上記実施形態では、保護シート16は透明又は半透明のシートを採用しているが、電子部品が発光体でないなど、保護シート16に光を透過させる必要がない場合は、保護シート16は透明又は半透明である必要はない。
【符号の説明】
【0065】
10,30 樹脂成形品
11 基体シート
12 第1接着層
13 パッド
15 電子部品
16 保護シート
17 射出成形体
20,50,60,70 電子部品実装シート
21 配線
24 導電性パターン
30 射出成形用金型
31 可動型
32 固定型
34,35 キャビティ面
36 溶融樹脂
37 キャビティ
40 樹脂成型品
41 第2接着層
42 第3接着層
71 遮光層
72,73 反射層
74 開口
図1
図2
図3
図4
図5