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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024111472
(43)【公開日】2024-08-19
(54)【発明の名称】回転電機
(51)【国際特許分類】
   H02K 9/22 20060101AFI20240809BHJP
   H02K 9/19 20060101ALI20240809BHJP
【FI】
H02K9/22 Z
H02K9/19 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023015994
(22)【出願日】2023-02-06
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】吉村 友彦
【テーマコード(参考)】
5H609
【Fターム(参考)】
5H609BB03
5H609BB19
5H609PP02
5H609PP05
5H609PP06
5H609PP09
5H609QQ04
5H609QQ10
5H609QQ23
5H609RR33
5H609RR58
5H609RR61
5H609RR69
5H609RR71
5H609RR73
(57)【要約】
【課題】コイルエンドの冷却構造を簡単に製造できる回転電機を提供すること。
【解決手段】回転電機10の側壁部材40は、第1ハウジング部材30に締結される環状の外周部41と、回転軸11が挿通される環状の内周部42と、樹脂層24に接触して、第1コイルエンド22aの熱を樹脂層24を介して吸熱する環状の接触部43と、を備える。接触部43は、外周部41及び内周部42に対し、湾曲するように軸線方向Xに弾性変形可能な外周壁部45及び内周壁部46により側壁部材40に接続支持されている。第1コイルエンド22aは、軸線方向Xにおいて、側壁部材40により弾性付勢されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸と一体に回転するロータと、
円筒状のヨーク、及び前記ヨークの内周面から前記ロータに向かって延びる複数のティースを備えるステータコアと、
巻線が複数の前記ティースの各々に巻回されて形成されるコイルであって、当該コイルにおいて前記ステータコアの軸線方向の端面から突出した部分であるコイルエンドを備える前記コイルと、
前記コイルエンドの表面を被覆する樹脂層と、
前記回転軸を回転可能に支持するハウジングと、を備え、
前記ハウジングは、前記ステータコア及び前記ロータを収容する筒状の第1ハウジング部材と、前記第1ハウジング部材によって画定された内部空間を前記回転軸の軸線方向で閉塞する側壁部材と、を備え、
前記側壁部材は、前記第1ハウジング部材に締結される環状の外周部と、前記回転軸が挿通される環状の内周部と、前記樹脂層に接触して、前記コイルエンドの熱を前記樹脂層を介して吸熱する環状の接触部と、を備え、
前記接触部は、前記外周部及び前記内周部の少なくとも一方に対し、湾曲するように前記軸線方向に弾性変形可能な環状の可撓部により接続支持され、
前記コイルエンドは、前記軸線方向において、前記側壁部材により弾性付勢されることを特徴とする回転電機。
【請求項2】
前記接触部の厚さは、前記外周部の厚さ及び前記内周部の厚さより薄い請求項1に記載の回転電機。
【請求項3】
前記ハウジングは、当該ハウジングの軸線方向における前記側壁部材よりも外側にて当該側壁部材の外面に連結される第2ハウジング部材を備え、前記第2ハウジング部材と、前記接触部とによって冷却媒体の流路が画定されるとともに、前記内周部は、前記第2ハウジング部材に締結されている請求項1又は請求項2に記載の回転電機。
【請求項4】
前記第1ハウジング部材には、前記冷却媒体が流れる周壁冷却流路が画定され、前記側壁部材には、前記周壁冷却流路と前記流路を連通させる連通路が形成されている請求項3に記載の回転電機。
【請求項5】
前記接触部は、前記樹脂層に接触する環状の接触壁部と、前記接触壁部と前記外周部とを繋ぐ前記可撓部としての外周壁部と、前記接触部と前記内周部とを繋ぐ前記可撓部としての内周壁部とを備え、
前記外周壁部は円錐筒状であって、前記外周壁部の内径及び外径は、前記接触壁部から前記外周部に向かうに従って拡大し、
前記内周壁部は円錐筒状であって、前記内周壁部の内径及び外径は、前記接触壁部から前記内周部に向かうに従って縮小する請求項1又は請求項2に記載の回転電機。
【請求項6】
前記ステータコアの軸線方向に直交する方向と前記外周壁部とのなす角度は、前記ステータコアの軸線方向に直交する方向と前記内周壁部とのなす角度よりも大きい請求項5に記載の回転電機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転電機に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、モールド成形されたステータと、ケース及びカバーとの間に、熱伝達部材及びバネ部材を介在させたモータの冷却構造が開示されている。このモータの冷却構造では、ステータが加熱されると、ステータの熱は、コイルから熱伝達部材及びバネ部材を介してケース及びカバーに放出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-109808号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1のモータの冷却構造は、ステータとカバーとの間に熱伝達部材及びバネ部材を配置し、かつ熱伝達部材及びバネ部材を精度良く位置決めする必要があるため、製造が面倒である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記問題点を解決するための回転電機は、回転軸と一体に回転するロータと、円筒状のヨーク、及び前記ヨークの内周面から前記ロータに向かって延びる複数のティースを備えるステータコアと、巻線が複数の前記ティースの各々に巻回されて形成されるコイルであって、当該コイルにおいて前記ステータコアの軸線方向の端面から突出した部分であるコイルエンドを備える前記コイルと、前記コイルエンドの表面を被覆する樹脂層と、前記回転軸を回転可能に支持するハウジングと、を備え、前記ハウジングは、前記ステータコア及び前記ロータを収容する筒状の第1ハウジング部材と、前記第1ハウジング部材によって画定された内部空間を前記回転軸の軸線方向で閉塞する側壁部材と、を備え、前記側壁部材は、前記第1ハウジング部材に締結される環状の外周部と、前記回転軸が挿通される環状の内周部と、前記樹脂層に接触して、前記コイルエンドの熱を前記樹脂層を介して吸熱する環状の接触部と、を備え、前記接触部は、前記外周部及び前記内周部の少なくとも一方に対し、湾曲するように前記軸線方向に弾性変形可能な環状の可撓部により接続支持され、前記コイルエンドは、前記軸線方向において、前記側壁部材により弾性付勢されることを要旨とする。
【0006】
これによれば、可撓部に接続支持された接触部により、コイルエンドは、側壁部材により弾性付勢されている。このため、接触部は、樹脂層に押し付けられている。これにより、コイルエンドに発生した熱は、樹脂層を介して接触部に効率良く吸熱される。そして、接触部に吸熱された熱は、外周部を介して第1ハウジング部材に伝達される。これにより、コイルエンドに発生した熱は、第1ハウジング部材に放出されるため、コイルエンドは冷却される。
【0007】
したがって、第1ハウジング部材及び側壁部材によってハウジングを形成するだけで、コイルエンドの冷却構造を形成できる。よって、コイルエンド及びハウジングに接触する部材をハウジングとは別に用いて、コイルエンドの冷却構造を形成する場合と比べると、コイルエンドの冷却構造を簡単に製造できる。
【0008】
回転電機について、前記接触部の厚さは、前記外周部の厚さ及び前記内周部の厚さより薄くてもよい。
これによれば、接触部は、外周部及び内周部と比べて弾性変形しやすい。このため、コイルエンドは、接触部によって弾性付勢されやすい。
【0009】
回転電機について、前記ハウジングは、当該ハウジングの軸線方向における前記側壁部材よりも外側にて当該側壁部材の外面に連結される第2ハウジング部材を備え、前記第2ハウジング部材と、前記接触部とによって冷却媒体の流路が画定されるとともに、前記内周部は、前記第2ハウジング部材に締結されていてもよい。
【0010】
これによれば、コイルエンドに発生した熱は、接触部から流路の冷却媒体に放出される。これにより、コイルエンドを冷却できる。そして、流路を画定する第2ハウジング部材に内周部が締結される。第2ハウジング部材に内周部が締結されることによって、回転軸の回転に伴う内周部の振動を抑制できる。
【0011】
回転電機について、前記第1ハウジング部材には、前記冷却媒体が流れる周壁冷却流路が画定され、前記側壁部材には、前記周壁冷却流路と前記流路を連通させる連通路が形成されていてもよい。
【0012】
これによれば、連通路によって周壁冷却流路と流路とを連通できる。このため、周壁冷却流路を流れる冷却媒体を連通路を経由して流路に流すことができる。これにより、側壁部材を用いてハウジングを形成することにより、周壁冷却流路と流路とを連通させる構成を形成できる。例えば、冷却媒体の供給配管を周壁冷却流路と流路とに別々に接続して、周壁冷却流路及び流路の各々に冷却媒体を供給させる場合と比べると、回転電機を簡素化できる。
【0013】
回転電機について、前記接触部は、前記樹脂層に接触する環状の接触壁部と、前記接触壁部と前記外周部とを繋ぐ前記可撓部としての外周壁部と、前記接触部と前記内周部とを繋ぐ前記可撓部としての内周壁部とを備え、前記外周壁部は円錐筒状であって、前記外周壁部の内径及び外径は、前記接触壁部から前記外周部に向かうに従って拡大し、前記内周壁部は円錐筒状であって、前記内周壁部の内径及び外径は、前記接触壁部から前記内周部に向かうに従って縮小していてもよい。
【0014】
これによれば、可撓部としての外周壁部及び内周壁部により、接触壁部を樹脂層に向かわせる付勢力を付与できるとともに、このような付勢力を付与できる外周壁部及び内周壁部を製造しやすい。
【0015】
回転電機について、前記ステータコアの軸線方向に直交する方向と前記外周壁部とのなす角度は、前記ステータコアの軸線方向に直交する方向と前記内周壁部とのなす角度よりも大きくてもよい。
【0016】
これによれば、接触壁部における内周壁部側が樹脂層に向かう付勢力を付与できるように、接触部を弾性変形させることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、コイルエンドの冷却構造を簡単に製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施形態の回転電機を示す断面図である。
図2】側壁部材を示す斜視図である。
図3】側壁部材を示す断面図である。
図4】側壁部材を第1ハウジング部材に締結する前の断面図である。
図5】別例の回転電機を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、回転電機を具体化した一実施形態を図1図4にしたがって説明する。
<回転電機の全体>
回転電機10は、回転軸11と、ステータ12と、ロータ13と、ハウジング20と、を備える。
【0020】
<ハウジングの構成部材>
ハウジング20は、第1ハウジング部材30と、側壁部材40と、を備える。ハウジング20は、さらに、第2ハウジング部材50を備えていてもよい。ハウジング20は、回転軸11を回転可能に支持する。ハウジング20の軸線方向Xは、回転軸11の中心軸線Lの延びる軸線方向と一致する。したがって、以下の説明において、回転軸11の軸線方向Xと記載する。
【0021】
第1ハウジング部材30、側壁部材40、及び第2ハウジング部材50の各々は、金属材料製である。金属材料の一例は、アルミニウムであるが、適宜変更してもよい。特に、側壁部材40は、熱伝導率の高い金属材料に変更してもよい。
【0022】
第1ハウジング部材30と、側壁部材40と、第2ハウジング部材50とは、一体に連結されている。第1ハウジング部材30と側壁部材40とは、ハウジング20の軸線方向Xに突き合わされている。側壁部材40と第2ハウジング部材50とは、ハウジング20の軸線方向Xに突き合わされている。第2ハウジング部材50は、ハウジング20の軸線方向Xにおける側壁部材40よりも外側にて当該側壁部材40の外面に連結されている。
【0023】
第1ハウジング部材30は、底壁31と、底壁31の外周縁からハウジング20の軸線方向Xに延びる筒状の周壁32と、を備える。したがって、第1ハウジング部材30は、筒状である。第1ハウジング部材30の内側には、内部空間S1が画定されている。内部空間S1は、底壁31と、周壁32とによって画定されている。内部空間S1は、周壁32の先端側で開口している。
【0024】
底壁31の内面中央部には、第1ボス34が形成されている。第1ボス34の内側には、第1軸受35が取り付けられている。第1軸受35には、回転軸11が挿通されている。第1ハウジング部材30の周壁32には、冷却媒体が流れる周壁冷却流路33が画定されている。周壁冷却流路33は、ハウジング20の軸線方向Xにおいて、ハウジング20の全体に延びるとともに、周壁32の周方向の全体に亘って延びる。
【0025】
第2ハウジング部材50は、底壁51と、底壁51の外周縁からハウジング20の軸線方向Xに延びる筒状の周壁52と、周壁52の外周縁から延びる環状のフランジ53と、を備える。底壁51は、厚さ方向の一方面に内面51aを備えるとともに、厚さ方向の他方面に外面51bを備える。底壁51の厚さ方向は、ハウジング20の軸線方向Xと一致する。底壁51の外面51bには、第2ボス54が形成されている。第2ボス54は、底壁51の外面51bから突出している。第2ボス54には、第2軸受55が取り付けられている。第2軸受55には、回転軸11が挿通されている。回転軸11は、第1軸受35及び第2軸受55を介してハウジング20に回転可能に支持されている。
【0026】
底壁51の内面51aの中央からは支持部56が突出している。支持部56は、筒状である。支持部56には、回転軸11が挿通されている。支持部56の先端面56aには、環状のシール部材57が装着されている。シール部材57は、回転軸11を囲む。フランジ53は、環状である。フランジ53には、複数の挿通孔53aが形成されている。
【0027】
側壁部材40は、鋳造によって形成されている。側壁部材40は、第1ハウジング部材30によって画定された内部空間S1を回転軸11の軸線方向Xで閉塞する。側壁部材40は、外周部41と、内周部42と、接触部43と、を備える。外周部41は、第1ハウジング部材30に締結される環状である。内周部42は、回転軸11が挿通される環状である。接触部43は、外周部41と内周部42とを繋ぐとともに、外周部41及び内周部42よりもステータ12に向けて突出した環状である。
【0028】
側壁部材40について、ハウジング20を形成する前の側壁部材40を用いて説明する。
図2及び図3に示すように、外周部41は、当該外周部41の厚さ方向の一方面に第1端面41aを備えるとともに、外周部41の厚さ方向の他方面に第2端面41bを備える。ハウジング20を形成した側壁部材40において、外周部41の厚さ方向は、ハウジング20の軸線方向Xと一致する。外周部41には、一対の連通路41cが形成されている。一対の連通路41cの各々は、外周部41の第1端面41a及び第2端面41bに開口する。また、外周部41には、複数のボルト挿通孔41dが形成されている。複数のボルト挿通孔41dは、外周部41の周方向に等間隔おきに形成されている。ボルト挿通孔41dは、連通路41cよりも、外周部41の外周側に配置されている。連通路41cとボルト挿通孔41dとは、外周部41の径方向に並んで配置されている。ただし、連通路41cとボルト挿通孔41dとは、外周部41の径方向に並んで配置されていなくてもよく、連通路41cとボルト挿通孔41dの配置は適宜変更してもよい。
【0029】
内周部42は、環状である。内周部42は、内周部42の厚さ方向の一方面に第1端面42aを備えるとともに、内周部42の厚さ方向の他方面に第2端面42bを備える。内周部42の第1端面42aと、外周部41の第1端面41aとは、第1仮想面M1上に位置している。したがって、外周部41の第1端面41aと、内周部42の第1端面42aとは、同一平面上に位置している。内周部42の第2端面42bと、外周部41の第2端面41bとは、第2仮想面M2に位置している。したがって、外周部41の第2端面41bと、内周部42の第2端面42bとは、同一平面上に位置している。また、外周部41の厚さと、内周部42の厚さは同じである。
【0030】
内周部42には、軸貫通孔42cが形成されている。また、内周部42において、軸貫通孔42cよりも外周側には、複数の挿通孔42dが形成されている。複数の挿通孔42dは、内周部42の周方向に等間隔おきに形成されている。
【0031】
接触部43は、接触壁部44と、外周壁部45と、内周壁部46と、を備える。接触壁部44は、環状な板状である。接触壁部44は厚さ方向の一方面に内面44aを備えるとともに、厚さ方向の他方面に外面44bを備える。接触壁部44の厚さは、外周部41及び内周部42の厚さより薄い。
【0032】
外周壁部45は、円錐筒状である。外周壁部45は、厚さ方向の一方面に内壁面45aを備えるとともに、厚さ方向の他方面に外壁面45bを備える。外周壁部45の厚さは、外周部41及び内周部42の厚さより薄い。外周壁部45は、接触壁部44と外周部41とを繋ぐ。外周壁部45の内径及び外径は、接触壁部44から外周部41に向かうに従って拡大する。
【0033】
内周壁部46は、円錐筒状である。内周壁部46は、厚さ方向の一方面に内壁面46aを備えるとともに、厚さ方向の他方面に外壁面46bを備える。内周壁部46の厚さは、外周部41及び内周部42の厚さより薄い。
【0034】
内周壁部46は、接触壁部44と内周部42とを繋ぐ。内周壁部46の内径及び外径は、接触壁部44から内周部42に向かうに従って縮小する。
第2仮想面M2と、外周壁部45の内壁面45aとの間に形成される角度を第1角度θ1とする。第2仮想面M2と、内周壁部46の内壁面46aとの間に形成される角度を第2角度θ2とする。第1角度θ1は、第2角度θ2より大きい。また、外周部41及び内周部42の厚さ方向への断面視において、外周部41と接触壁部44との間の寸法を外周壁部45の寸法N1とする。外周部41及び内周部42の厚さ方向への断面視において、内周部42と接触壁部44との間の寸法を内周壁部46の寸法N2とする。寸法N1は、寸法N2より短い。これらにより、ハウジング20を形成する前の側壁部材40では、接触壁部44は、第1仮想面M1よりも外へ突出している。詳細には、接触壁部44は、第2仮想面M2から第1仮想面M1に向かう方向において、第1仮想面M1から離れるに従って第1仮想面M1からの突出量を多くするように傾斜している。
【0035】
接触部43の内側には、流路画定空間47が画定されている。流路画定空間47は、接触壁部44の内面44aと、外周壁部45の内壁面45aと、内周壁部46の内壁面46aとによって画定されている。流路画定空間47は、内周部42を囲む環状である。
【0036】
<ハウジング>
図1に示すように、ハウジング20において、内周部42の第1端面42a側から挿通孔42dに挿通されたボルト61は、支持部56を貫通するとともに、第2ハウジング部材50の外側でナット62にねじ込まれている。これにより、内周部42は、支持部56を備える第2ハウジング部材50に締結されている。
【0037】
第2ハウジング部材50の締結された側壁部材40において、外周部41は、周壁32の先端面32aと、フランジ53との間に配置されている。外周部41の第1端面41aは、周壁32の先端面32aに接触するとともに、外周部41の第2端面41bは、フランジ53に接触している。フランジ53の挿通孔53a及び外周部41のボルト挿通孔41dに挿通されたボルト60は、周壁32にねじ込まれている。これにより、外周部41は、周壁32の先端面32aとフランジ53の間に挟み込まれた状態で周壁32に締結されている。この締結により、第1ハウジング部材30と、側壁部材40と、第2ハウジング部材50とが一体に連結されるとともに、ハウジング20が形成されている。したがって、ハウジング20は、当該ハウジング20の軸線方向Xにおける側壁部材40よりも外側にて当該側壁部材40の外面に連結される第2ハウジング部材50を備える。
【0038】
ハウジング20において、第1ハウジング部材30の内部空間S1は、側壁部材40によって閉塞されている。また、側壁部材40は、内部空間S1と流路63とを隔てている。
【0039】
ハウジング20において、内周部42の第2端面42bは、支持部56の先端面56aに押し付けられている。第2端面42bと先端面56aは、面接触している。内周部42と支持部56との間には、シール部材57が介在している。シール部材57は、側壁部材40と第2ハウジング部材50との間をシールしている。
【0040】
ハウジング20において、側壁部材40と第2ハウジング部材50との間には、流路63が画定されている。流路63は、外周部41の第2端面41bと、外周壁部45の内壁面45aと、接触壁部44の内面44aと、内周壁部46の内壁面46aと、支持部56の外周面と、底壁51の内面51aと、周壁52の内周面とによって画定されている。つまり、流路63は、第2ハウジング部材50と、接触部43とによって画定されている。流路63は、支持部56を囲む環状である。流路63は、一対の連通路41cによって、周壁32に形成された周壁冷却流路33と連通している。したがって、側壁部材40には、周壁冷却流路33と流路63を連通させる連通路41cが形成されている。
【0041】
図示しないポンプによって周壁冷却流路33に供給された冷却媒体は、一対の連通路41cのうちの一方から流路63に流入する。流路63に流入した冷却媒体は、一対の連通路41cのうちの他方から周壁冷却流路33に流出する。なお、冷却媒体は、冷却水でもよいし、LLCでもよい。
【0042】
<ステータ>
回転電機10のステータ12は、内部空間S1に収容されている。ステータ12は、円筒状のステータコア21と、ステータコア21に巻回されたコイル22と、を備える。ステータコア21は、ヨーク21aと、複数のティース21bと、を備える。ヨーク21aは、円筒状である。ヨーク21aの外周面は、第1ハウジング部材30の周壁32の内周面に固定されている。各ティース21bは、ヨーク21aの内周面からヨーク21aの径方向に沿ってロータ13に向かって延びている。複数のティース21bは、ヨーク21aの周方向に間隔を空けて並んでいる。
【0043】
ステータコア21は、第1端面23a及び第2端面23bを備える。第1端面23aは、ステータコア21の軸線方向の一端面であるとともに、第2端面23bは、ステータコア21の軸線方向の他端面である。第1端面23aは、側壁部材40に対向するとともに、第2端面23bは、第1ハウジング部材30の底壁31に対向する。なお、ステータコア21の軸線方向は、ハウジング20の軸線方向Xと一致するため、以下、ステータコア21の軸線方向Xと記載する。
【0044】
コイル22は、巻線が複数のティース21bの各々に巻回されて形成されている。コイル22は、第1コイルエンド22a及び第2コイルエンド22bを備える。第1コイルエンド22aは、ステータコア21の第1端面23aよりも、ステータコア21の軸線方向Xに突出した部分である。第2コイルエンド22bは、ステータコア21の第2端面23bよりもステータコア21の軸線方向Xに突出した部分である。第1コイルエンド22aは、ヨーク21aの周方向に沿って設けられている。第2コイルエンド22bは、ヨーク21aの周方向に沿って設けられている。
【0045】
第1コイルエンド22a及び第2コイルエンド22bの各々は、環状である。第1コイルエンド22aは、ステータコア21の軸線方向Xに沿って第1端面23aから突出する方向の先に位置するコイルエンド端面25を備える。また、第2コイルエンド22bは、ステータコア21の軸線方向Xに沿って第2端面23bから突出する方向の先に位置するコイルエンド端面25を備える。
【0046】
ステータ12は、モールド成形によってモールドされている。回転電機10は、第1コイルエンド22a及び第2コイルエンド22bの表面を被覆する樹脂層24を備える。樹脂層24は、ステータコア21の内周面と、ステータコア21の第1端面23a及び第2端面23bと、第1コイルエンド22a及び第2コイルエンド22bの表面を被覆している。第1コイルエンド22a及び第2コイルエンド22bの各々は、樹脂層24によってコイルエンド端面25及び周面が覆われるとともに、巻線がばらけないようになっている。樹脂層24のうち、第1コイルエンド22aのコイルエンド端面25を覆う部分を、伝熱被覆部24aとする。伝熱被覆部24aは、環状である。ハウジング20の軸線方向Xでの伝熱被覆部24aの位置は、周壁32の先端面32aに近い位置にある。詳細には、伝熱被覆部24aは、軸線方向Xに沿って、周壁32の先端面32aよりも僅かに内側に位置している。
【0047】
<ロータ>
回転電機10のロータ13は、第1ハウジング部材30の内部空間S1に収容されている。ロータ13は、ステータ12の内側に配置されている。ロータ13は、回転軸11に止着されたロータコア13aと、ロータコア13aに設けられた図示しない複数の永久磁石と、を備える。そして、コイル22に電力が供給されることによりロータ13が回転するとともに、回転軸11がロータ13と一体に回転する。
【0048】
<接触部>
接触部43は、側壁部材40における外周部41及び内周部42よりも伝熱被覆部24aに向けて突出している。そして、樹脂層24の伝熱被覆部24aには、接触部43の接触壁部44が接触している。したがって、接触部43は、樹脂層24に接触する接触壁部44と、接触壁部44と外周部41とを繋ぐ外周壁部45と、接触壁部44と内周部42とを繋ぐ内周壁部46とを備える。そして、接触部43は、第1コイルエンド22aに発生した熱を、樹脂層24を介して吸熱する。したがって、側壁部材40は、樹脂層24に接触して、第1コイルエンド22aの熱を樹脂層24を介して吸熱する接触部43を備える。
【0049】
上記のように、ハウジング20の軸線方向Xでの伝熱被覆部24aの位置は、周壁32の先端面32aに近い位置にある。このハウジング20の軸線方向Xでの伝熱被覆部24aの位置に合わせて、側壁部材40における外周壁部45の寸法N1、内周壁部46の寸法N2、第1角度θ1、及び第2角度θ2が調節されている。これらの調節により、側壁部材40を用いてハウジング20を形成すると、伝熱被覆部24aに対して、接触部43の接触壁部44が接触し、かつ外周壁部45及び内周壁部46が弾性変形するようになっている。ステータコア21の軸線方向Xに直交する方向と外周壁部45とのなす角度のうち鋭角での角度θ3は、ステータコア21の軸線方向Xに直交する方向と内周壁部46とのなす角度θ4よりも大きい。
【0050】
外周壁部45及び内周壁部46は、外周部41及び内周部42の両方に対し、湾曲するように軸線方向Xに弾性変形可能な可撓部である。よって、接触部43は、外周部41及び内周部42の両方に対し、湾曲するように軸線方向Xに弾性変形可能な可撓部により側壁部材40に接続支持されている。外周壁部45及び内周壁部46は、接触壁部44を伝熱被覆部24aに向かわせる付勢力を接触壁部44に付与している。
【0051】
側壁部材40の径方向に沿った接触壁部44の寸法は、ステータ12の径方向に沿った伝熱被覆部24aの寸法より大きいのが好ましい。詳細に図示はしていないが、接触壁部44は、第1コイルエンド22aにおける伝熱被覆部24aよりも径方向の内側及び外側へはみ出している。
【0052】
伝熱被覆部24aは、樹脂によって平坦に形成されている。接触壁部44の外面44bは、金属によって平坦に形成されている。このため、伝熱被覆部24aの全面が接触壁部44の外面44bに接触している。
【0053】
ここで、側壁部材40を用いてハウジング20を形成する工程を説明する。
図4に示すように、第2ハウジング部材50と一体化された側壁部材40において、外周部41の第1端面41aを周壁32の先端面32aに対向させる。なお、図4では、第2ハウジング部材50の図示を省略している。
【0054】
接触壁部44は、第1仮想面M1よりも突出するとともに、傾斜している。このため、外周部41の第1端面41aを周壁32の先端面32aに接触させる前に、接触壁部44の内周部42寄りの一部分が伝熱被覆部24aに環状に接触する。
【0055】
次に、フランジ53の挿通孔53aを貫通させたボルト60を外周部41のボルト挿通孔41dを貫通させて周壁32にねじ込む。ボルト60のねじ込みに伴って外周部41が周壁32の先端面32aに近付くに従い、接触部43の外周壁部45及び内周壁部46が弾性変形して、接触壁部44の外周壁部45側が伝熱被覆部24aに近付いていく。そして、ボルト60のねじ込みが完了すると、ハウジング20が形成される。
【0056】
上記のように、ハウジング20を形成する前の側壁部材40では、接触壁部44は、第1仮想面M1から離れるに従って第1仮想面M1からの突出量を多くするように傾斜している。そして、ハウジング20を形成すると、接触壁部44の外面44bは、第1仮想面M1に平行になっている。これに伴い、外周壁部45及び内周壁部46は弾性変形している。この外周壁部45及び内周壁部46の弾性変形によって、接触壁部44は伝熱被覆部24aに押し付けられるとともに、接触壁部44の外面44bが、伝熱被覆部24aに押し付けられている。したがって、外周壁部45及び内周壁部46の各々は、接触壁部44を伝熱被覆部24aに向かわせる付勢力を接触壁部44に付与している。その結果、第1コイルエンド22aは、軸線方向Xにおいて、側壁部材40により弾性付勢されている。
【0057】
<実施形態の作用>
回転電機10において、コイル22に電力が供給されることによりロータ13が回転するとともに、回転軸11がロータ13と一体に回転する。コイル22は、通電することにより発熱する。コイル22で発生した熱は、第1コイルエンド22aから樹脂層24に伝達される。樹脂層24に伝達された熱は、接触壁部44に伝達される。接触壁部44に伝達された熱は、外周壁部45から外周部41に伝達される。外周部41に伝達された熱は、第1ハウジング部材30の周壁32及び第2ハウジング部材50のフランジ53に伝達される。また、接触壁部44に伝達された熱は、内周壁部46から内周部42に伝達される。内周部42に伝達された熱は、第2ハウジング部材50の支持部56に伝達される。その結果、第1コイルエンド22aの熱は、樹脂層24を介して接触部43に吸熱される。これらにより、第1コイルエンド22aは放熱される。
【0058】
また、接触部43に伝達された熱は、流路63の冷却媒体に伝達される。これにより、第1コイルエンド22aは放熱される。さらに、コイル22からステータ12のステータコア21に伝達された熱は、第1ハウジング部材30の周壁32に伝達された後、周壁冷却流路33の冷却媒体に伝達される。
【0059】
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)側壁部材40は、可撓部としての外周壁部45及び内周壁部46を備える。第1コイルエンド22aは、軸線方向Xにおいて、外周壁部45及び外周壁部45を備える側壁部材40により弾性付勢される。これにより、接触壁部44を伝熱被覆部24aに押し付けることができる。よって、第1コイルエンド22aに発生した熱は、樹脂層24を介して接触部43によって効率良く吸熱できる。そして、接触部43に吸熱された熱は、第1ハウジング部材30に伝達される。これにより、第1コイルエンド22aに発生した熱は、第1ハウジング部材30に放出されるため、第1コイルエンド22aは冷却される。
【0060】
したがって、第1ハウジング部材30及び側壁部材40によってハウジング20を形成するだけで、第1コイルエンド22aの冷却構造を形成できる。よって、第1コイルエンド22a及びハウジング20に接触する部材をハウジング20とは別に用いて、第1コイルエンド22aの冷却構造を形成する場合と比べると、第1コイルエンド22aの冷却構造を簡単に製造できる。ひいては、第1コイルエンド22aの冷却構造を備える回転電機10を簡単に製造できる。
【0061】
(2)側壁部材40は、アルミニウムの鋳造によって形成されている。そして、接触部43も鋳造によって形成できる。つまり、接触部43は、側壁部材40に別部材を一体に組み付けて形成されているわけではない。したがって、簡単に製造できる側壁部材40を用いることで、第1コイルエンド22aの冷却構造を簡単に製造できる。
【0062】
また、側壁部材40の鋳造において、伝熱被覆部24aの位置等を加味して、接触部43における寸法N1、寸法N2、第1角度θ1、及び第2角度θ2を設定することにより、接触壁部44を伝熱被覆部24aに的確に接触させることができる。このため、ハウジング20の形成時に、伝熱被覆部24aとハウジング20との間に別部材を介在させる場合と比べると、第1コイルエンド22aの冷却構造を簡単に製造できる。
【0063】
(3)外周壁部45及び内周壁部46の各々は、外周部41及び内周部42に対し、湾曲するように軸線方向Xに弾性変形可能である。そして、外周壁部45及び内周壁部46により、第1コイルエンド22aは、軸線方向Xにおいて側壁部材40により弾性付勢される。このため、第1コイルエンド22aに発生した熱により、伝熱被覆部24aが膨張及び収縮しても、その膨張及び収縮に外周壁部45及び内周壁部46が追従して変形する。これにより、接触壁部44を伝熱被覆部24aに接触した状態が維持される。よって、樹脂層24によって第1コイルエンド22aが被覆されていても、第1コイルエンド22aに発生した熱は、伝熱被覆部24aから接触壁部44に効率良く伝達される。
【0064】
(4)接触部43の厚さは、外周部41及び内周部42の厚さより薄い。また、接触部43は、外周部41及び内周部42よりも第1コイルエンド22aに向けて突出している。側壁部材40をこのような構成とすることにより、第1コイルエンド22aは、側壁部材40により的確に弾性付勢される。
【0065】
(5)外周部41及び内周部42の厚さは、接触壁部44、外周壁部45、及び内周壁部46の厚さより厚い。このため、外周部41及び内周部42は変形させずに、接触部43を弾性変形させることができる。このため、外周部41と内周部42とが同一面上に位置した状態を維持したまま、接触部43を弾性変形させることができる。よって、外周部41は、周壁32の先端面32aと、第2ハウジング部材50のフランジ53とによって適切に挟み込まれる。したがって、側壁部材40が接触部43を備えながらも、ハウジング20を適切に形成できる。
【0066】
同様に、内周部42について、第2ハウジング部材50の支持部56に接触させて締結できる。このため、流路画定空間47の冷却媒体の漏れを抑制できる。
(6)ハウジング20を形成する前の側壁部材40では、接触壁部44は、第1仮想面M1よりも突出するとともに、第1仮想面M1から離れるほど第1仮想面M1から突出するように傾斜している。これにより、側壁部材40を第1ハウジング部材30に締結してハウジング20を形成したとき、接触部43を弾性変形させることができる。
【0067】
(7)接触部43の内側には流路画定空間47が画定されている。流路63は、この流路画定空間47と第2ハウジング部材50によって画定されている。そして、第1コイルエンド22aに発生した熱は、接触部43から流路63の冷却媒体に放出される。これにより、第1コイルエンド22aを冷却できる。よって、側壁部材40を用いてハウジング20を形成することにより、冷却媒体によって第1コイルエンド22aを冷却する構造をさらに形成できる。したがって、ハウジング20を形成するのとは別に、冷却媒体によって第1コイルエンド22aを冷却する構造を形成する場合と比べると、回転電機10を簡単に製造できる。
【0068】
(8)側壁部材40には連通路41cが形成されている。連通路41cによって周壁冷却流路33と流路63とを連通できる。このため、周壁冷却流路33を流れる冷却媒体を連通路41cを経由して流路63に流すことができる。これにより、側壁部材40を用いてハウジング20を形成することにより、周壁冷却流路33と流路63とを連通させる構成を形成できる。例えば、冷却媒体の供給配管を周壁冷却流路33と流路63とに別々に接続して、周壁冷却流路33及び流路63の各々に冷却媒体を供給させる場合と比べると、回転電機10を簡素化できる。
【0069】
(9)内周部42には、回転軸11が挿通されているが、内周部42が第2ハウジング部材50の支持部56に締結されることにより、回転軸11の回転に伴う内周部42の振動を抑制できる。
【0070】
(10)接触壁部44に伝達された熱は、内周壁部46及び内周部42を介して第2ハウジング部材50に伝達される。これにより、第1コイルエンド22aに発生した熱は、第2ハウジング部材50に放出されるため、第1コイルエンド22aは冷却される。
【0071】
(11)外周壁部45における角度θ3は、内周壁部46における角度θ4より大きい。これによれば、接触壁部44における内周壁部46側が樹脂層24に向かう付勢力を付与できるように、接触壁部44を撓ませることができる。
【0072】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
○ステータコア21の軸線方向Xに直交する方向と外周壁部45とのなす角度θ3は、ステータコア21の軸線方向Xに直交する方向と内周壁部46とのなす角度θ4よりも小さくてもよい。
【0073】
○外周壁部45及び内周壁部46によって、第1コイルエンド22aに対して側壁部材40を弾性付勢させることができれば、外周壁部45及び内周壁部46の形状は変更してもよい。例えば、外周壁部45は、接触壁部44と外周部41との間で蛇腹状に形成されていてもよい。又は、外周壁部45は、当該外周壁部45の内径及び外径が接触壁部44から外周部41に向かうに従い縮小する円錐筒状であってもよい。
【0074】
また、内周壁部46は、接触壁部44と内周部42との間で蛇腹状に形成されていてもよい。又は、内周壁部46は、当該内周壁部46の内径及び外径が接触壁部44から内周部42に向かうに従い拡大する円錐筒状であってもよい。
【0075】
○側壁部材40の連通路41cは無くてもよい。この場合、流路63と周壁冷却流路33とは側壁部材40によって分断されている。このため、流路63と周壁冷却流路33とは、別々に冷却媒体が供給される。
【0076】
○側壁部材40と第2ハウジング部材50との間に流路63が画定されていなくてもよい。
○ハウジング20は、第2ハウジング部材50を備えておらず、第1ハウジング部材30と側壁部材40のみで形成されていてもよい。この場合、側壁部材40の内周部42は、第2ハウジング部材50に締結されることはない。
【0077】
○第1コイルエンド22aだけでなく、第2コイルエンド22bに対しても側壁部材40を接触させてもよい。
図5に示すように、第1ハウジング部材30は、周壁32のみを備える。そして、周壁32の両端に側壁部材40が連結されることにより、第1ハウジング部材30の内部空間S1は、軸線方向Xの両側から側壁部材40によって閉塞されている。一対の側壁部材40のうちの一方の接触部43を第1コイルエンド22aの樹脂層24に接触させるとともに、他方の側壁部材40の接触部43を第2コイルエンド22bの樹脂層24に接触させる。
【0078】
○樹脂層24は、第1コイルエンド22a及び第2コイルエンド22bの表面を被覆する一方で、ステータコア21の表面は被覆していなくてもよい。
○周壁32の周壁冷却流路33は画定されていなくてもよい。
【0079】
○第1コイルエンド22aや第2コイルエンド22bの熱を効率よく放出できれば、側壁部材40は熱伝導率の高い樹脂製であってもよい。
○側壁部材40によって、第1コイルエンド22aや第2コイルエンド22bが弾性付勢されれば、接触部43の厚さは、外周部41及び内周部42の厚さより厚くてもよい。
【0080】
○外周壁部45及び内周壁部46のうちの外周壁部45のみが可撓部であってもよいし、外周壁部45及び内周壁部46のうちの内周壁部46のみが可撓部であってもよい。
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について以下に追記する。
【0081】
[態様1]
回転軸と一体に回転するロータと、
円筒状のヨーク、及び前記ヨークの内周面から前記ロータに向かって延びる複数のティースを備えるステータコアと、
巻線が複数の前記ティースの各々に巻回されて形成されるコイルであって、当該コイルにおいて前記ステータコアの軸線方向の端面から突出した部分であるコイルエンドを備える前記コイルと、
前記コイルエンドの表面を被覆する樹脂層と、
前記回転軸を回転可能に支持するハウジングと、を備え、
前記ハウジングは、前記ステータコア及び前記ロータを収容する筒状の第1ハウジング部材と、前記第1ハウジング部材によって画定された内部空間を前記回転軸の軸線方向で閉塞する側壁部材と、を備え、
前記側壁部材は、前記第1ハウジング部材に締結される環状の外周部と、前記回転軸が挿通される環状の内周部と、前記樹脂層に接触して、前記コイルエンドの熱を前記樹脂層を介して吸熱する環状の接触部と、を備え、
前記接触部は、前記外周部及び前記内周部の少なくとも一方に対し、湾曲するように前記軸線方向に弾性変形可能な環状の可撓部により接続支持され、
前記コイルエンドは、前記軸線方向において、前記側壁部材により弾性付勢されることを特徴とする回転電機。
【0082】
[態様2]
前記接触部の厚さは、前記外周部の厚さ及び前記内周部の厚さより薄い態様1に記載の回転電機。
【0083】
[態様3]
前記ハウジングは、当該ハウジングの軸線方向における前記側壁部材よりも外側にて当該側壁部材の外面に連結される第2ハウジング部材を備え、前記第2ハウジング部材と、前記接触部とによって冷却媒体の流路が画定されるとともに、前記内周部は、前記第2ハウジング部材に締結されている態様1又は態様2に記載の回転電機。
【0084】
[態様4]
前記第1ハウジング部材には、前記冷却媒体が流れる周壁冷却流路が画定され、前記側壁部材には、前記周壁冷却流路と前記流路を連通させる連通路が形成されている態様3に記載の回転電機。
【0085】
[態様5]
前記接触部は、前記樹脂層に接触する環状の接触壁部と、前記接触壁部と前記外周部とを繋ぐ外周壁部と、前記接触部と前記内周部とを繋ぐ内周壁部とを備え、
前記外周壁部は円錐筒状であって、前記外周壁部の内径及び外径は、前記接触壁部から前記外周部に向かうに従って拡大し、
前記内周壁部は円錐筒状であって、前記内周壁部の内径及び外径は、前記接触壁部から前記内周部に向かうに従って縮小する態様1~態様4のいずれか一つに記載の回転電機。
【0086】
[態様6]
前記ステータコアの軸線方向に直交する方向と前記外周壁部とのなす角度は、前記ステータコアの軸線方向に直交する方向と前記内周壁部とのなす角度よりも大きい態様5に記載の回転電機。
【符号の説明】
【0087】
S1…内部空間、10…回転電機、11…回転軸、13…ロータ、20…ハウジング、21…ステータコア、21a…ヨーク、21b…ティース、22…コイル、22a…第1コイルエンド、22b…第2コイルエンド、23a…第1端面、23b…第2端面、24…樹脂層、30…第1ハウジング部材、33…周壁冷却流路、40…側壁部材、41…外周部、41c…連通路、42…内周部、43…接触部、44…接触壁部、45…可撓部としての外周壁部、46…可撓部としての内周壁部、50…第2ハウジング部材、63…流路。
図1
図2
図3
図4
図5