(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024111478
(43)【公開日】2024-08-19
(54)【発明の名称】蓄電デバイス及び蓄電デバイスの製造方法
(51)【国際特許分類】
H01M 10/04 20060101AFI20240809BHJP
H01M 50/474 20210101ALI20240809BHJP
H01M 50/477 20210101ALI20240809BHJP
H01M 50/103 20210101ALI20240809BHJP
H01M 50/15 20210101ALI20240809BHJP
H01G 11/82 20130101ALI20240809BHJP
H01G 11/84 20130101ALI20240809BHJP
H01M 10/052 20100101ALN20240809BHJP
H01M 10/0566 20100101ALN20240809BHJP
H01M 10/058 20100101ALN20240809BHJP
【FI】
H01M10/04 Z
H01M50/474
H01M50/477
H01M50/103
H01M50/15
H01G11/82
H01G11/84
H01M10/052
H01M10/0566
H01M10/058
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023016002
(22)【出願日】2023-02-06
(71)【出願人】
【識別番号】520184767
【氏名又は名称】プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】内田 陽三
(72)【発明者】
【氏名】藤村 哲史
【テーマコード(参考)】
5E078
5H011
5H021
5H028
5H029
【Fターム(参考)】
5E078AA01
5E078AA03
5E078AB01
5E078AB13
5E078HA21
5E078HA22
5H011AA09
5H011CC06
5H011DD06
5H011DD12
5H021AA02
5H021BB02
5H021BB17
5H021HH10
5H028AA07
5H028AA08
5H028BB04
5H028BB15
5H028CC07
5H028CC26
5H029AJ05
5H029AJ14
5H029BJ02
5H029BJ12
5H029CJ03
5H029CJ28
5H029DJ02
5H029DJ04
5H029HJ12
(57)【要約】
【課題】蓄電デバイス自身によって電極体の電極積層部を弾性的に圧縮すると共に、電極体内の含浸電解液が電極体外に流出するのを抑制できる蓄電デバイス等を提供すること。
【解決手段】蓄電デバイス1は、ケース10が、第2主壁部12及び4つの側壁部13~16をなす有底角筒状の本体部材21と第1主壁部11をなす矩形状の蓋部材31とを有し、第1主壁部11と第2主壁部12とで電極体50の電極積層部50eを弾性的に圧縮してなり、電極積層部50eの中央部50eaを押圧する中央部押圧部41と、電極積層部50eの外部連通部50ebcを押圧し、含浸電解液3aが外部連通部50ebcを通じて電極積層部50e外に流出するのを制限する連通部押圧部46とを有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースと、
上記ケース内に収容された電極体と、
上記電極体内に含浸された含浸電解液と、を備え、
上記ケースは、直方体箱状で、矩形状の第1主壁部、上記第1主壁部に対向する矩形状の第2主壁部、及び、上記第1主壁部と上記第2主壁部との間を結び、ケース厚み方向に延びる矩形状の4つの側壁部を有し、
上記電極体は、電極板を含み、上記電極板が電極体厚み方向に積層された直方体状の電極積層部を有し、上記電極体厚み方向が上記ケース厚み方向に平行な姿勢で上記ケース内に収容されてなり、
上記電極積層部は、
上記電極体厚み方向に直交する積層部拡がり方向の内側に位置する中央部、及び、
上記中央部を上記積層部拡がり方向の外側から囲む外周部を有し、
上記外周部は、
上記電極体の外部に連通する外部連通部を含む
蓄電デバイスであって、
上記ケースは、
上記第2主壁部及び4つの上記側壁部をなし、4つの上記側壁部で構成された矩形状の開口部を有する有底角筒状の本体部材と、
上記第1主壁部をなし、上記本体部材の上記開口部の開口周縁部に全周にわたり蓋周縁部が接合された矩形状の蓋部材と、を有し、
上記ケースの上記第1主壁部と上記第2主壁部とで、上記電極体の上記電極積層部を上記電極体厚み方向に弾性的に圧縮してなり、
上記第1主壁部及び上記第2主壁部による弾性的な圧縮により、上記電極体の上記電極積層部のうち上記中央部を上記電極体厚み方向に押圧する中央部押圧部と、
上記第1主壁部及び上記第2主壁部による弾性的な圧縮により、上記電極体の上記電極積層部のうち上記外部連通部を上記電極体厚み方向に押圧し、上記含浸電解液が上記外部連通部を通じて上記電極積層部外に流出するのを制限する連通部押圧部と、を有する
蓄電デバイス。
【請求項2】
請求項1に記載の蓄電デバイスであって、
前記ケースの前記第1主壁部と前記電極体の前記電極積層部との間、及び、上記ケースの前記第2主壁部と上記電極体の上記電極積層部との間の少なくともいずれかに、介在部材を備え、
前記連通部押圧部は、上記介在部材に設けられてなる
蓄電デバイス。
【請求項3】
請求項1に記載の蓄電デバイスであって、
前記連通部押圧部は、前記ケースの前記第1主壁部及び前記第2主壁部の少なくともいずれかに設けられてなる
蓄電デバイス。
【請求項4】
請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の蓄電デバイスであって、
前記ケースの前記第1主壁部と前記電極体の前記電極積層部との間、及び、上記ケースの前記第2主壁部と上記電極体の上記電極積層部との間の少なくともいずれかに、介在部材を備え、
前記中央部押圧部は、上記介在部材に設けられてなる
蓄電デバイス。
【請求項5】
請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の蓄電デバイスであって、
前記中央部押圧部は、前記ケースの前記第1主壁部及び前記第2主壁部の少なくともいずれかに設けられてなる
蓄電デバイス。
【請求項6】
ケースと、
上記ケース内に収容された電極体と、
上記電極体内に含浸された含浸電解液と、を備え、
上記ケースは、直方体箱状で、矩形状の第1主壁部、上記第1主壁部に対向する矩形状の第2主壁部、及び、上記第1主壁部と上記第2主壁部との間を結び、ケース厚み方向に延びる矩形状の4つの側壁部を有し、
上記電極体は、電極板を含み、上記電極板が電極体厚み方向に積層された直方体状の電極積層部を有し、上記電極体厚み方向が上記ケース厚み方向に平行な姿勢で上記ケース内に収容されてなり、
上記電極積層部は、
上記電極体厚み方向に直交する積層部拡がり方向の内側に位置する中央部、及び、
上記中央部を上記積層部拡がり方向の外側から囲む外周部を有し、
上記外周部は、
上記電極体の外部に連通する外部連通部を含み、
上記ケースは、
上記第2主壁部及び4つの上記側壁部をなし、4つの上記側壁部で構成された矩形状の開口部を有する有底角筒状の本体部材と、
上記第1主壁部をなし、上記本体部材の上記開口部の開口周縁部に全周にわたり蓋周縁部が接合された矩形状の蓋部材と、を有し、
上記ケースの上記第1主壁部と上記第2主壁部とで、上記電極体の上記電極積層部を上記電極体厚み方向に弾性的に圧縮してなり、
上記第1主壁部及び上記第2主壁部による弾性的な圧縮により、上記電極体の上記電極積層部のうち上記中央部を上記電極体厚み方向に押圧する中央部押圧部と、
上記第1主壁部及び上記第2主壁部による弾性的な圧縮により、上記電極体の上記電極積層部のうち上記外部連通部を上記電極体厚み方向に押圧し、上記含浸電解液が上記外部連通部を通じて上記電極積層部外に流出するのを制限する連通部押圧部と、を有する
蓄電デバイスの製造方法であって、
上記本体部材内に上記電極体を収容する収容工程と、
上記本体部材内に収容された上記電極体上に上記蓋部材を配置し、上記蓋部材がなす上記第1主壁部及び上記本体部材の上記第2主壁部に外部の力を掛けて、上記電極体の上記電極積層部を上記電極体厚み方向に押圧し圧縮する押圧圧縮工程と、
上記電極体を押圧し圧縮した状態で、上記蓋部材の上記蓋周縁部を上記本体部材の上記開口部の上記開口周縁部に全周にわたり接合し、上記ケースを形成する接合工程と、
上記接合工程の後、上記外部の力を解除する解除工程と、を備える
蓄電デバイスの製造方法。
【請求項7】
請求項6に記載の蓄電デバイスの製造方法であって、
上記蓄電デバイスは、
前記ケースの前記第1主壁部と前記電極体の前記電極積層部との間、及び、上記ケースの前記第2主壁部と上記電極体の上記電極積層部との間の少なくともいずれかに、前記連通部押圧部をなす介在部材を備え、
前記収容工程は、
上記電極体及び上記介在部材を、上記電極体に上記介在部材を重ねて収容し、
前記押圧圧縮工程は、
上記電極体及び上記介在部材を前記電極体厚み方向に押圧する
蓄電デバイスの製造方法。
【請求項8】
請求項6に記載の蓄電デバイスの製造方法であって、
前記連通部押圧部は、前記ケースの前記第1主壁部及び前記第2主壁部の少なくともいずれかに設けられてなり、
前記押圧圧縮工程は、
上記ケースに設けられた上記連通部押圧部により、前記電極体の前記外部連通部を上記電極体厚み方向に押圧する
蓄電デバイスの製造方法。
【請求項9】
請求項5~請求項8のいずれか一項に記載の蓄電デバイスの製造方法であって、
上記蓄電デバイスは、
前記ケースの前記第1主壁部と前記電極体の前記電極積層部との間、及び、上記ケースの前記第2主壁部と上記電極体の上記電極積層部との間の少なくともいずれかに、前記中央部押圧部をなす介在部材を備え、
前記収容工程は、
上記電極体及び上記介在部材を、上記電極体に上記介在部材を重ねて収容し、
前記押圧圧縮工程は、
上記電極体及び上記介在部材を前記電極体厚み方向に押圧する
蓄電デバイスの製造方法。
【請求項10】
請求項5~請求項8のいずれか一項に記載の蓄電デバイスであって、
前記中央部押圧部は、前記ケースの前記第1主壁部及び前記第2主壁部の少なくともいずれかに設けられてなり、
前記押圧圧縮工程は、
上記ケースに設けられた上記中央部押圧部により、前記電極体の前記中央部を上記電極体厚み方向に押圧する
蓄電デバイスの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直方体箱状のケース内に電極体が収容された角形の蓄電デバイス、及び、この蓄電デバイスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
直方体箱状のケース内に電極体が収容された角形電池のうち、特に、車両等に搭載され、長期間にわたり使用される電池では、充放電サイクル特性を向上させるなどの理由から、一般に電池を、一対のエンドプレート及び複数の拘束バンドからなる電池外部の拘束部材を用いて外部拘束している。これにより、ケース内に収容された電極体の電極積層部を電極体厚み方向に押圧した状態としている。関連する従来技術として、例えば特許文献1が挙げられる(特許文献1の
図1等を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、拘束部材を用いて電池を外部拘束すると、コスト高になる、体格が大きくなる、重量が増える、部品点数が増えるなどの課題がある。
また別の課題として、電池の使用に伴い、電極体内に含浸された含浸電解液が電極体外に押し出されて、充放電に寄与できる含浸電解液が少なくなる課題もある。即ち、電極体は、充放電に伴って膨張収縮する。ケース内で電極体が膨張すると、含浸電解液が電極体外に押し出されるため、充放電に寄与できる電解液が少なくなり、電池容量が低下したり、電池抵抗が上昇する。
【0005】
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであって、蓄電デバイス自身によって電極体の電極積層部を電極体厚み方向に弾性的に圧縮すると共に、蓄電デバイスの使用に伴って電極体内の含浸電解液が電極体外に流出するのを抑制できる蓄電デバイス、及び、蓄電デバイスの製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)上記課題を解決するための本発明の一態様は、ケースと、上記ケース内に収容された電極体と、上記電極体内に含浸された含浸電解液と、を備え、上記ケースは、直方体箱状で、矩形状の第1主壁部、上記第1主壁部に対向する矩形状の第2主壁部、及び、上記第1主壁部と上記第2主壁部との間を結び、ケース厚み方向に延びる矩形状の4つの側壁部を有し、上記電極体は、電極板を含み、上記電極板が電極体厚み方向に積層された直方体状の電極積層部を有し、上記電極体厚み方向が上記ケース厚み方向に平行な姿勢で上記ケース内に収容されてなり、上記電極積層部は、上記電極体厚み方向に直交する積層部拡がり方向の内側に位置する中央部、及び、上記中央部を上記積層部拡がり方向の外側から囲む外周部を有し、上記外周部は、上記電極体の外部に連通する外部連通部を含む
蓄電デバイスであって、上記ケースは、上記第2主壁部及び4つの上記側壁部をなし、4つの上記側壁部で構成された矩形状の開口部を有する有底角筒状の本体部材と、上記第1主壁部をなし、上記本体部材の上記開口部の開口周縁部に全周にわたり蓋周縁部が接合された矩形状の蓋部材と、を有し、上記ケースの上記第1主壁部と上記第2主壁部とで、上記電極体の上記電極積層部を上記電極体厚み方向に弾性的に圧縮してなり、上記第1主壁部及び上記第2主壁部による弾性的な圧縮により、上記電極体の上記電極積層部のうち上記中央部を上記電極体厚み方向に押圧する中央部押圧部と、上記第1主壁部及び上記第2主壁部による弾性的な圧縮により、上記電極体の上記電極積層部のうち上記外部連通部を上記電極体厚み方向に押圧し、上記含浸電解液が上記外部連通部を通じて上記電極積層部外に流出するのを制限する連通部押圧部と、を有する蓄電デバイスである。
【0007】
上述の蓄電デバイスは、ケースの第1主壁部と第2主壁部とで、電極体の電極積層部を電極体厚み方向に弾性的に圧縮している。即ち、この蓄電デバイスは、蓄電デバイス自身によって電極体の電極積層部を弾性的に圧縮している自己圧縮型である。このため、蓄電デバイスの使用に際して別途、拘束部材を用いなくて済む、或いは、簡易な拘束部材による外部拘束で足りる。
更に上述の蓄電デバイスは、ケースが、第2主壁部及び4つの側壁部をなす本体部材に、第1主壁部をなす蓋部材を接合したものであるため、後述するように自己圧縮型の蓄電デバイスを容易に製造でき、安価な蓄電デバイスとすることができる。
【0008】
また上述の蓄電デバイスは、電極体の電極積層部のうち中央部を押圧する中央部押圧部と、電極体の電極積層部のうち外周部の外部連通部を押圧して含浸電解液が電極積層部外に流出するのを制限する連通部押圧部とを有する。このため、より広い範囲にわたって電極積層部を押圧できると共に、含浸電解液が外部連通部を通じて電極積層部外に流出するのを抑制できる。これにより、蓄電デバイスの使用に伴って蓄電デバイスの性能が低下するのを抑制できる。
【0009】
なお、「蓄電デバイス」としては、例えば、リチウムイオン二次電池等の二次電池や、リチウムイオンキャパシタ等のキャパシタ、全固体電池などが挙げられる。
また「外部連通部」は、例えば、電極体が、電極板である帯状の正極板及び帯状の負極板が一対の帯状のセパレータを介して扁平状に捲回された扁平状捲回型である場合には、電極積層部の外周部のうち電極体軸線方向の両端部が、それぞれ外部連通部である。また電極体が、電極板である複数の矩形状の正極板及び複数の矩形状の負極板がそれぞれ矩形状のセパレータを介して積層された積層型である場合には、電極積層部の外周部全体が、外部連通部である。
【0010】
「中央部押圧部」及び「連通部押圧部」は、ケースの第1主壁部及び第2主壁部の少なくともいずれかに設けることができる。具体的には、第1主壁部及び第2主壁部の両方に中央部押圧部及び連通部押圧部をそれぞれ設ける、第1主壁部のみに中央部押圧部及び連通部押圧部を設ける、第2主壁部のみに中央部押圧部及び連通部押圧部を設ける、第1主壁部に中央部押圧部を設け、第2主壁部に連通部押圧部を設ける、第1主壁部に連通部押圧部を設け、第2主壁部に中央部押圧部を設ける形態などが挙げられる。
【0011】
或いは中央部押圧部及び連通部押圧部は、ケースとは別部材とすることもできる。即ち、ケースの第1主壁部と電極体の電極積層部との間や、ケースの第2主壁部と電極体の電極積層部との間に介在部材を配置し、この介在部材に中央部押圧部や連通部押圧部を設けることもできる。
具体的には、例えば、第1主壁部と電極積層部との間に介在部材を配置し、この介在部材に中央部押圧部及び連通部押圧部を設ける、第2主壁部と電極積層部との間に介在部材を配置し、この介在部材に中央部押圧部及び連通部押圧部を設ける形態が挙げられる。
また第1主壁部と電極積層部との間に第1介在部材を配置すると共に、第2主壁部と電極積層部との間に第2介在部材を配置し、第1介在部材及び第2介在部材の両方に中央部押圧部及び連通部押圧部をそれぞれ設ける、または、一方の介在部材に中央部押圧部のみを設け、他方の介在部材に連通部押圧部のみを設けるなどの形態も挙げられる。
また第1主壁部と電極積層部との間に介在部材を配置し、この介在部材に中央部押圧部のみを設け、ケースの第2主壁部に連通部押圧部のみを設けるなどの形態も挙げられる。
【0012】
(2)更に(1)に記載の蓄電デバイスであって、前記ケースの前記第1主壁部と前記電極体の前記電極積層部との間、及び、上記ケースの前記第2主壁部と上記電極体の上記電極積層部との間の少なくともいずれかに、介在部材を備え、前記連通部押圧部は、上記介在部材に設けられてなる蓄電デバイスとすると良い。
【0013】
上述の蓄電デバイスでは、ケースの第1主壁部と電極体の電極積層部との間及びケースの第2主壁部と電極体の電極積層部との間の少なくともいずれかに、介在部材を配置し、この介在部材に前述の連通部押圧部を設けている。このため、第1主壁部と電極積層部との間に、連通部押圧部を有する介在部材を配置する場合には、第1主壁部に連通部押圧部を設けなくて済む。また第2主壁部と電極積層部との間に、連通部押圧部を有する介在部材を配置する場合には、第2主壁部に連通部押圧部を設けなくて済む。
【0014】
なお、「介在部材」は、介在部材の一部のみが連通部押圧部をなす介在部材でもよいし、介在部材の全体が連通部押圧部をなす介在部材でもよい。
また前述の中央部押圧部については、ケースの第1主壁部や第2主壁部に設けてもよいし、ケースの第1主壁部や第2主壁部と電極体の電極積層部との間に、介在部材を配置し、この介在部材に中央部押圧部に設けてもよい。なお、中央部押圧部に設ける介在部材と連通部押圧部を設ける介在部材とは、同一の介在部材でもよいし、別の介在部材でもよい。
【0015】
(3)更に(1)に記載の蓄電デバイスであって、前記連通部押圧部は、前記ケースの前記第1主壁部及び前記第2主壁部の少なくともいずれかに設けられてなる蓄電デバイスとすると良い。
【0016】
上述の蓄電デバイスでは、ケースの第1主壁部及び第2主壁部の少なくともいずれかに前述の連通部押圧部を設けている。このため、第1主壁部に連通部押圧部を設ける場合には、第1主壁部と電極積層部との間に、連通部押圧部を有する介在部材を配置する必要がない。また第2主壁部に連通部押圧部を設ける場合には、第2主壁部と電極積層部との間に、連通部押圧部を有する介在部材を配置する必要がない。
【0017】
なお、前述の中央部押圧部については、ケースの第1主壁部や第2主壁部に設けてもよいし、ケースの第1主壁部や第2主壁部と電極体の電極積層部との間に、介在部材を配置し、この介在部材に中央部押圧部に設けてもよい。
【0018】
(4)更に(1)~(3)のいずれかに記載の蓄電デバイスであって、前記ケースの前記第1主壁部と前記電極体の前記電極積層部との間、及び、上記ケースの前記第2主壁部と上記電極体の上記電極積層部との間の少なくともいずれかに、介在部材を備え、前記中央部押圧部は、上記介在部材に設けられてなる蓄電デバイスとすると良い。
【0019】
上述の蓄電デバイスでは、ケースの第1主壁部と電極体の電極積層部との間及びケースの第2主壁部と電極体の電極積層部との間の少なくともいずれかに、介在部材を配置し、この介在部材に前述の中央部押圧部を設けている。このため、第1主壁部と電極積層部との間に、中央部押圧部を有する介在部材を配置する場合には、第1主壁部に中央部押圧部を設けなくて済む。また第2主壁部と電極積層部との間に、中央部押圧部を有する介在部材を配置する場合には、第2主壁部に中央部押圧部を設けなくて済む。
【0020】
なお、「介在部材」は、介在部材の一部のみが中央部押圧部をなす介在部材でもよいし、介在部材の全体が中央部押圧部をなす介在部材でもよい。
【0021】
(5)更に(1)~(3)のいずれかに記載の蓄電デバイスであって、前記中央部押圧部は、前記ケースの前記第1主壁部及び前記第2主壁部の少なくともいずれかに設けられてなる蓄電デバイスとすると良い。
【0022】
上述の蓄電デバイスでは、ケースの第1主壁部及び第2主壁部の少なくともいずれかに前述の中央部押圧部を設けている。このため、第1主壁部に中央部押圧部を設ける場合には、第1主壁部と電極積層部との間に、中央部押圧部を有する介在部材を配置する必要がない。また第2主壁部に連通部押圧部を設ける場合には、第2主壁部と電極積層部との間に、中央部押圧部を有する介在部材を配置する必要がない。
【0023】
(6)また他の態様は、ケースと、上記ケース内に収容された電極体と、上記電極体内に含浸された含浸電解液と、を備え、上記ケースは、直方体箱状で、矩形状の第1主壁部、上記第1主壁部に対向する矩形状の第2主壁部、及び、上記第1主壁部と上記第2主壁部との間を結び、ケース厚み方向に延びる矩形状の4つの側壁部を有し、上記電極体は、電極板を含み、上記電極板が電極体厚み方向に積層された直方体状の電極積層部を有し、上記電極体厚み方向が上記ケース厚み方向に平行な姿勢で上記ケース内に収容されてなり、上記電極積層部は、上記電極体厚み方向に直交する積層部拡がり方向の内側に位置する中央部、及び、上記中央部を上記積層部拡がり方向の外側から囲む外周部を有し、上記外周部は、上記電極体の外部に連通する外部連通部を含み、上記ケースは、上記第2主壁部及び4つの上記側壁部をなし、4つの上記側壁部で構成された矩形状の開口部を有する有底角筒状の本体部材と、上記第1主壁部をなし、上記本体部材の上記開口部の開口周縁部に全周にわたり蓋周縁部が接合された矩形状の蓋部材と、を有し、上記ケースの上記第1主壁部と上記第2主壁部とで、上記電極体の上記電極積層部を上記電極体厚み方向に弾性的に圧縮してなり、上記第1主壁部及び上記第2主壁部による弾性的な圧縮により、上記電極体の上記電極積層部のうち上記中央部を上記電極体厚み方向に押圧する中央部押圧部と、上記第1主壁部及び上記第2主壁部による弾性的な圧縮により、上記電極体の上記電極積層部のうち上記外部連通部を上記電極体厚み方向に押圧し、上記含浸電解液が上記外部連通部を通じて上記電極積層部外に流出するのを制限する連通部押圧部と、を有する蓄電デバイスの製造方法であって、上記本体部材内に上記電極体を収容する収容工程と、上記本体部材内に収容された上記電極体上に上記蓋部材を配置し、上記蓋部材がなす上記第1主壁部及び上記本体部材の上記第2主壁部に外部の力を掛けて、上記電極体の上記電極積層部を上記電極体厚み方向に押圧し圧縮する押圧圧縮工程と、上記電極体を押圧し圧縮した状態で、上記蓋部材の蓋周縁部を上記本体部材の上記開口部の上記開口周縁部に全周にわたり接合し、上記ケースを形成する接合工程と、上記接合工程の後、上記外部の力を解除する解除工程と、を備える蓄電デバイスの製造方法である。
【0024】
従来の角形電池では、ケースの第1主壁部、第2主壁部及び3つの側壁部をなす有底角筒状の本体部材と、1つの側壁部をなす蓋部材とにより、ケースを構成している。このような形態の電池では、自己圧縮型の電池を製造するのが難しい。本体部材の第1主壁部と第2主壁部との間隙は、組立後の電池において電極体の電極積層部を押圧し圧縮するべく、電極体の厚み、或いは前述の介在部材がある電池では、電極体及び介在部材を合わせた厚みよりも狭くするため、本体部材内に電極体等を挿入するのが難しいからである。
【0025】
これに対し、上述の蓄電デバイスの製造方法では、収容工程で、まず第2主壁部及び4つの側壁部をなす有底角筒状の本体部材内に、電極体を収容するので、容易に本体部材内に電極体を収容できる。そしてその後、上述の押圧圧縮工程、接合工程及び解除工程を行うことにより、蓄電デバイス自身によって電極体の電極積層部を弾性的に圧縮した自己圧縮型の蓄電デバイスを、容易に製造できる。
【0026】
なお、「接合工程」において蓋部材を本体部材に接合する手法としては、例えば、レーザ溶接等の溶接による接合や、加締めによる接合などが挙げられる。
【0027】
(7)更に(6)に記載の蓄電デバイスの製造方法であって、上記蓄電デバイスは、前記ケースの前記第1主壁部と前記電極体の前記電極積層部との間、及び、上記ケースの前記第2主壁部と上記電極体の上記電極積層部との間の少なくともいずれかに、前記連通部押圧部をなす介在部材を備え、前記収容工程は、上記電極体及び上記介在部材を、上記電極体に上記介在部材を重ねて収容し、前記押圧圧縮工程は、上記電極体及び上記介在部材を前記電極体厚み方向に押圧する蓄電デバイスの製造方法とすると良い。
【0028】
上述の蓄電デバイスの製造方法では、上述の介在部材を用いて蓄電デバイスを製造するので、介在部材の連通部押圧部によって電極体の電極積層部の外部連通部を適切に押圧した蓄電デバイスを製造できる。
【0029】
(8)更に(6)に記載の蓄電デバイスの製造方法であって、前記連通部押圧部は、前記ケースの前記第1主壁部及び前記第2主壁部の少なくともいずれかに設けられてなり、前記押圧圧縮工程は、上記ケースに設けられた上記連通部押圧部により、前記電極体の前記外部連通部を上記電極体厚み方向に押圧する蓄電デバイスの製造方法とすると良い。
【0030】
上述の蓄電デバイスの製造方法では、連通部押圧部をなす介在部材を配置しないことで、収容工程及び押圧圧縮工程を容易に行うことができる。
【0031】
(9)更に(5)~(8)のいずれかに記載の蓄電デバイスの製造方法であって、上記蓄電デバイスは、前記ケースの前記第1主壁部と前記電極体の前記電極積層部との間、及び、上記ケースの前記第2主壁部と上記電極体の上記電極積層部との間の少なくともいずれかに、前記中央部押圧部をなす介在部材を備え、前記収容工程は、上記電極体及び上記介在部材を、上記電極体に上記介在部材を重ねて収容し、前記押圧圧縮工程は、上記電極体及び上記介在部材を前記電極体厚み方向に押圧する蓄電デバイスの製造方法とすると良い。
【0032】
上述の蓄電デバイスの製造方法では、上述の介在部材を用いて蓄電デバイスを製造するので、介在部材の中央部押圧部によって電極体の電極積層部の中央部を適切に押圧した蓄電デバイスを製造できる。
【0033】
(10)更に(5)~(8)のいずれかに記載の蓄電デバイスの製造方法であって、前記中央部押圧部は、前記ケースの前記第1主壁部及び前記第2主壁部の少なくともいずれかに設けられてなり、前記押圧圧縮工程は、上記ケースに設けられた上記中央部押圧部により、前記電極体の前記中央部を上記電極体厚み方向に押圧する蓄電デバイスの製造方法とすると良い。
【0034】
上述の蓄電デバイスの製造方法では、中央部押圧部をなす介在部材を配置しないことで、収容工程及び押圧圧縮工程を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図3】実施形態1に係る電池のケース幅方向及びケース厚み方向に沿う、
図1、
図4及び
図5におけるA-A矢視断面図である。
【
図4】実施形態1に係る電池のうち、第1介在部材の厚み方向内側から見た平面図である。
【
図5】実施形態1に係る電池のうち、第2介在部材の厚み方向内側から見た平面図である。
【
図6】実施形態1に係る扁平状捲回型の電極体の斜視図である。
【
図7】実施形態1に係る電池の製造方法のフローチャートである。
【
図8】実施形態1に係る電池の製造方法に関し、収容工程において、本体部材内に電極体、第1介在部材及び第2介在部材を収容した様子を示す説明図である。
【
図9】実施形態1に係る電池の製造方法に関し、押圧圧縮工程において、外部の力を掛けて、電極体の電極積層部、第1介在部材及び第2介在部材を電極体厚み方向に押圧する様子を示す説明図である。
【
図10】実施形態1に係る電池の製造方法に関し、接合工程において、蓋部材の蓋周縁部を本体部材の開口周縁部にレーザ溶接する様子を示す説明図である。
【
図11】実施形態2に係る電池のケース幅方向及びケース厚み方向に沿う、
図3に対応する断面図である。
【
図12】実施形態2に係る電池のうち、ケースの第1主壁部の厚み方向内側から見た平面図である。
【
図13】実施形態2に係る電池のうち、ケースの第2主壁部の厚み方向内側から見た平面図である。
【
図14】実施形態3に係る電池のケース幅方向及びケース厚み方向に沿う、
図3に対応する断面図である。
【
図15】実施形態3に係る電池のうち、第2介在部材の厚み方向内側から見た平面図である。
【
図16】実施形態3に係る積層型の電極体の斜視図である。
【
図17】実施形態4に係る電池のケース幅方向及びケース厚み方向に沿う、
図3に対応する断面図である。
【
図18】実施形態4に係る電池のうち、ケースの第2主壁部の厚み方向内側から見た平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
(実施形態1)
以下、本発明の第1の実施形態を、図面を参照しつつ説明する。
図1に本実施形態1に係る電池(蓄電デバイス)1の斜視図を、
図2に電池1の分解斜視図を、
図3に電池1の断面図を示す。更に
図4に電池1のうち、第1介在部材40の厚み方向内側CH3から見た平面図を、
図5に電池1のうち、第2介在部材45の厚み方向内側CH3から見た平面図を示す。また
図6に電極体50の斜視図を示す。なお、以下では、ケース高さ方向AH、ケース幅方向BH、ケース厚み方向CH、電極体軸線方向DH、電極体幅方向EH及び電極体厚み方向FHを、
図1~
図6に示す方向と定めて説明する。この電池1は、ハイブリッドカーやプラグインハイブリッドカー、電気自動車等の車両などに搭載される角形(直方体状)で密閉型のリチウムイオン二次電池である。
【0037】
電池1は、ケース10と、ケース10内に収容された扁平状捲回型の電極体50と、ケース10にそれぞれ支持された正極端子60及び負極端子70等から構成されている。電極体50は、ケース10内で、絶縁フィルムからなる袋状の図示しない絶縁ホルダに覆われている。またケース10内には、電極体50に重なって第1介在部材40及び第2介在部材45が収容されている(
図2~
図5参照、
図1では不図示)。更にケース10内には、電解液3が収容されており、その一部は電極体50内に含浸電解液3aとして含浸され、残りはケース10の下壁部である第2側壁部14上に溜まっている。
【0038】
このうちケース10は、金属(本実施形態1ではアルミニウム)からなる。このケース10は、直方体箱状であり、各々矩形板状をなす第1主壁部11、第2主壁部12及び4つの側壁部13~16(第1側壁部13、第2側壁部14、第3側壁部15及び第4側壁部16)を有する。
第1主壁部11及び第2主壁部12は、側壁部13~16よりも面積が広い。第1主壁部11及び第2主壁部12は互いに対向しており、第1主壁部11がケース厚み方向CHの一方側CH1(
図1及び
図2中、右手前側、
図3中、上側)、第2主壁部12はケース厚み方向CHの他方側CH2(
図1及び
図2中、左奥側、
図3中、下側)に位置する。
【0039】
一方、側壁部13~16は、第1主壁部11と第2主壁部12との間を結んで、ケース厚み方向CHにそれぞれ延びている。第1側壁部13と第2側壁部14は互いに対向しており、第1側壁部13がケース高さ方向AHの上側AH1、第2側壁部14がケース高さ方向AHの下側AH2に位置する。また第3側壁部15と第4側壁部16は互いに対向しており、第3側壁部15がケース幅方向BHの一方側BH1、第4側壁部16がケース幅方向BHの他方側BH2に位置する。
【0040】
ケース10の上壁部でもある第1側壁部13には、ケース10の内圧が開弁圧を超えたときに破断して開弁する安全弁17が設けられている。また第1側壁部13には、ケース10の内外を連通する注液孔13kが設けられており、アルミニウムからなる円板状の封止部材18で気密に封止されている。
更に第1側壁部13のうち、ケース幅方向BHの一方側BH1の端部近傍には、正極端子60が固設されている。具体的には、正極端子60は、アルミニウムからなる複数の金属部材を加締め接続してなり、複数の樹脂部材からなる樹脂部65を介して、第1側壁部13と絶縁された状態で第1側壁部13に固設されている。この正極端子60は、ケース10内で、電極体50の正極集電部50cに接続し導通する一方、第1側壁部13を貫通して電池外部まで延びている。
【0041】
また第1側壁部13のうち、ケース幅方向BHの他方側BH2の端部近傍には、負極端子70が固設されている。具体的には、負極端子70は、銅からなる複数の金属部材を加締め接続してなり、複数の樹脂部材からなる樹脂部75を介して、第1側壁部13と絶縁された状態で第1側壁部13に固設されている。この負極端子70は、ケース10内で、電極体50の負極集電部50dに接続し導通する一方、第1側壁部13を貫通して電池外部まで延びている。
【0042】
ケース10は、矩形状の開口部21cを有する有底角筒状の本体部材21と、矩形板状の蓋部材31とから構成されている。このうち本体部材21は、前述の第2主壁部12及び4つの側壁部13~16をなし、本体部材21の開口部21cは、4つの側壁部13~16で構成されている。一方、蓋部材31は、前述の第1主壁部11をなし、本体部材21の開口部21cを閉塞している。具体的には、蓋部材31の蓋周縁部31fが全周にわたり本体部材21の開口部21cの開口周縁部21fに接合(溶接)されている。
【0043】
次に電極体50について説明する(
図1~
図3及び
図6参照)。この電極体50は、帯状の正極板(電極板)51と帯状の負極板(電極板)54とを、帯状で樹脂製の多孔質膜からなる一対のセパレータ57を介して互いに重ね、捲回軸線DXの周りに円筒状に捲回した後、扁平状にプレスしたものである。即ち、電極体50は、電極体幅方向EHの両端部にそれぞれ位置する一対の電極R部50rと、これらの間に位置する電極積層部50eとを有する。電極R部50rは、正極板51、負極板54及びセパレータ57が半円筒状に屈曲しつつ重なった部位である。一方、電極積層部50eは、正極板51、負極板54及びセパレータ57が平板状に電極体厚み方向FHに積層された直方体状の部位である。
更に電極体50は、捲回軸線DXに沿う電極体軸線方向DHの一方側DH1の端部に、後述する正極集電部50cを、電極体軸線方向DHの他方側DH2の端部に、後述する負極集電部50dを有する。
【0044】
電極体50の電極積層部50eは、電極体厚み方向FHに直交する積層部拡がり方向GHの内側GH1に位置する直方体状の中央部50eaと、この中央部50eaを積層部拡がり方向GHの外側GH2から囲む矩形環状の外周部50ebとを有する。
電極積層部50eの外周部50ebのうち、電極体幅方向EHの両端に位置して電極体軸線方向DHに延びる部位は、それぞれ、その外側に電極R部50rが存在するため、電極体50の外部に連通してしない。
【0045】
一方、電極積層部50eの外周部50ebのうち、電極体軸線方向DHの両端に位置して電極体幅方向EHに延びる部位は、正極集電部50c或いは負極集電部50dを通じて、それぞれ電極体50の外部に連通する外部連通部50ebcである。従って、本実施形態1では、電極積層部50e内の含浸電解液3aは、電池1の使用に伴って、
図6中に矢印Pで含浸電解液3aの移動を示すように、外周部50ebの外部連通部50ebcから、正極集電部50c或いは負極集電部50dを通じて、電極体50の外部に流出する。
【0046】
電極体50は、電極体軸線方向DHがケース幅方向BHに平行で、電極体幅方向EHがケース高さ方向AHに平行で、電極体厚み方向FHがケース厚み方向CHに平行な姿勢で、ケース10内に収容されている。また電極体50は、電極積層部50eが電極体厚み方向FH(ケース厚み方向CH)に圧縮された状態で、ケース10内に収容されている。即ち、電池1は、自己圧縮型の電池であり、ケース10が弾性変形し、ケース10の第1主壁部11と第2主壁部12とで、電極体50の電極積層部50eを電極体厚み方向FHに弾性的に圧縮している。
【0047】
正極板51は、帯状のアルミニウム箔からなる正極集電箔52を有する。この正極集電箔52の両主面上には、それぞれリチウムイオンを吸蔵及び放出可能な正極活物質粒子を含む正極活物質層53が帯状に形成されている。正極板51のうち、幅方向の片方の端部は、正極集電箔52上に正極活物質層53が存在せず、正極集電箔52が露出している。この正極集電箔52の露出部は、電極体50において、電極積層部50eから電極体軸線方向DHの一方側DH1に渦巻き状をなして突出し、前述の正極集電部50cを形成している。正極集電部50cは、正極端子60と接続している。
【0048】
負極板54は、帯状の銅箔からなる負極集電箔55を有する。この負極集電箔55の両主面上には、それぞれリチウムイオンを吸蔵及び放出可能な負極活物質粒子を含む負極活物質層56が帯状に形成されている。負極板54のうち、幅方向の片方の端部は、負極集電箔55上に負極活物質層56が存在せず、負極集電箔55が露出している。この負極集電箔55の露出部は、電極体50において、電極積層部50eから電極体軸線方向DHの他方側DH2に渦巻き状をなして突出し、前述の負極集電部50dを形成している。負極集電部50dは、負極端子70と接続している。
【0049】
次に第1介在部材40及び第2介在部材45について説明する(
図4、
図5、
図3及び
図2参照、
図2では押圧部は不図示)。第1介在部材40及び第2介在部材45は、金属(本実施形態1ではアルミニウム)からなり、平面視矩形状である。第1介在部材40は、ケース10の第1主壁部11と電極体50の電極積層部50eとの間に介在し、第2介在部材45は、ケース10の第2主壁部12と電極体50の電極積層部50eとの間に介在している。
【0050】
このうち第1介在部材40は、第1介在部材40の中央部分をなす矩形状の中央部押圧部41と、この中央部押圧部41の外側に位置して、第1介在部材40の外周部分をなす矩形環状で板状の基部42とからなる。中央部押圧部41は、基部42よりもケース厚み方向CHの厚み方向内側CH3に向けて(電極体50の電極積層部50eに向けて)突出しており、ケース10の第1主壁部11及び第2主壁部12による弾性的な圧縮により、電極体50の電極積層部50eのうち中央部50eaを電極体厚み方向FHに押圧している。
【0051】
一方、第2介在部材45は、2つの連通部押圧部46と基部47とからなる。連通部押圧部46は、それぞれ矩形状であり、ケース幅方向BHの両端部近傍においてケース高さ方向AHに延びている。基部47は、板状であり、第2介在部材45のうち連通部押圧部46以外の部位をなしている。連通部押圧部46は、それぞれ基部47よりもケース厚み方向CHの厚み方向内側CH3に向けて(電極体50の電極積層部50eに向けて)突出しており、ケース10の第1主壁部11及び第2主壁部12による弾性的な圧縮により、電極体50の電極積層部50eのうち外周部50ebの外部連通部50ebcを電極体厚み方向FHに押圧している。
【0052】
図5中に矢印Pで含浸電解液3aの移動を示すように、電極積層部50e内の含浸電解液3aは、ケース幅方向BHの一方側BH1及び他方側BH2(電極体軸線方向DHの一方側DH1及び他方側DH2)にそれぞれ移動し、電極積層部50eの外部連通部50ebcを通じて電極積層部50e外に流出しようとする。これに対し、第2介在部材45の連通部押圧部46が電極積層部50eの外部連通部50ebcをそれぞれ押圧することにより、含浸電解液3aが外部連通部50ebcを通じて電極積層部50e外に流出するのを制限する。
【0053】
本実施形態1の電池1は、ケース10の第1主壁部11と第2主壁部12とで、電極体50の電極積層部50eを電極体厚み方向FHに弾性的に圧縮している。即ち、この電池1は、電池1自身によって電極体50の電極積層部50eを弾性的に圧縮している自己圧縮型である。このため、電池1の使用に際して別途、拘束部材を用いなくて済む、或いは、簡易な拘束部材による外部拘束で足りる。
更に電池1は、ケース10が、第2主壁部12及び4つの側壁部13~16をなす本体部材21に、第1主壁部11をなす蓋部材31を接合したものであるため、後述するように自己圧縮型の電池1を容易に製造でき、安価な電池1とすることができる。
【0054】
また電池1は、電極体50の電極積層部50eのうち中央部50eaを押圧する中央部押圧部41と、電極体50の電極積層部50eのうち外周部50ebの外部連通部50ebcを押圧して含浸電解液3aが電極積層部50e外に流出するのを制限する連通部押圧部46とを有する。このため、より広い範囲にわたって電極積層部50eを押圧できると共に、含浸電解液3aが外部連通部50ebcを通じて電極積層部50e外に流出するのを抑制できる。これにより、電池1の使用に伴って電池1の性能が低下するのを抑制できる。
【0055】
更に本実施形態1では、ケース10の第2主壁部12と電極体50の電極積層部50eとの間に第2介在部材45を配置し、この第2介在部材45に連通部押圧部46を設けている。このため、ケース10の第2主壁部12に連通部押圧部を設けてなくて済む。またケース10の第1主壁部11と電極体50の電極積層部50eとの間に第1介在部材40を配置し、この第1介在部材40に中央部押圧部41を設けている。このため、ケース10の第1主壁部11に中央部押圧部を設けてなくて済む。
【0056】
次いで、上記電池1の製造方法について説明する(
図7~
図10参照)。予め、正極端子60及び負極端子70を固設した本体部材21と、蓋部材31とを用意しておく。また各々帯状をなす正極板51、負極板54及び一対のセパレータ57を、捲回軸線DXの周りに円筒状に捲回した後、扁平状にプレスして、電極体50を形成する。更にこの電極体50を袋状の絶縁ホルダ(不図示)で包んでおく。
【0057】
そして「収容工程S1」(
図7参照)において、正極端子60及び負極端子70を固設した本体部材21内に、絶縁ホルダで包んだ電極体50と、第1介在部材40及び第2介在部材45とを、電極体50に第1介在部材40及び第2介在部材45を重ねて収容する(
図8参照)。具体的には、押圧装置500の平坦な載置台510の上に、本体部材21を、その第2主壁部12の全体が載置台510に当接する姿勢で載置する。その後、本体部材21内に、まず第2介在部材45を収容し、更に電極体50を電極体軸線方向DHがケース幅方向BHに平行で、電極体幅方向EHがケース高さ方向AHに平行で、電極体厚み方向FHがケース厚み方向CHに平行な姿勢で収容し、第2介在部材45の上に電極体50の電極積層部50eを重ねる。続いて、この電極体50の電極積層部50eの上に第1介在部材40に重ねる。その後、電極体50の正極集電部50cと本体部材21に固設された正極端子60とを、レーザ溶接により接続する。また電極体50の負極集電部50dと本体部材21に固設された負極端子70を、レーザ溶接により接続する。
【0058】
次に「押圧圧縮工程S2」(
図7参照)において、本体部材21内に収容された第2介在部材45、電極体50及び第1介在部材40の上に蓋部材31を配置し、蓋部材31がなす第1主壁部11及び本体部材21の第2主壁部12に外部の力Faを掛けて、第2介在部材45、電極体50の電極積層部50e及び第1介在部材40を電極体厚み方向FHに押圧し、電極積層部50eを圧縮する(
図9参照)。具体的には、押圧装置500の押圧部520を蓋部材31がなす第1主壁部11に当接させ、押圧部520と載置台510との間に蓋部材31及び本体部材21を挟んで、第1主壁部11及び第2主壁部12に外部の力Faを掛ける。そして、第2介在部材45、電極体50の電極積層部50e及び第1介在部材40を電極体厚み方向FHに押圧し、電極積層部50eを圧縮して、蓋部材31の蓋周縁部31fを全周にわたり本体部材21の開口部21cの開口周縁部21fに当接させる(
図10参照)。
【0059】
次に「接合工程S3」(
図7参照)において、押圧装置500により電極体50を押圧し圧縮した状態で、蓋部材31の蓋周縁部31fを本体部材21の開口周縁部21fに全周にわたり接合し、ケース10を形成する(
図10参照)。本実施形態1では、蓋周縁部31f及び開口周縁部21fにレーザ光LBを照射して、レーザ溶接を行うことで、蓋周縁部31fと開口周縁部21fを全周にわたり接合する。
【0060】
次に「解除工程S4」(
図7参照)において、前述の外部の力Faを解除する。即ち、押圧装置500の押圧部520を蓋部材31から遠ざけて、外部の力Faを解除する。その際、接合工程S3で既にケース10が形成されているため、圧縮された電極積層部50eは、元の状態(厚み)には戻らない。外部の力Faを解除した後は、ケース10の第1主壁部11と第2主壁部12とで、電極積層部50eを弾性的に圧縮した状態となる。
【0061】
次に「注液・封止工程S5」において、電解液3を注液孔13kを通じてケース10内に注液し、電解液3を電極体50内に含浸させる。その後、注液孔13kを外部から封止部材18で覆い、封止部材18をケース10にレーザ溶接して、封止部材18とケース10との間を気密に封止する。
次に「初充電・エージング工程S6」において、この電池1に充電装置(不図示)を接続して、電池1に初充電を行う。その後、初充電した電池1を所定時間にわたり静置して、電池1をエージングする。かくして、電池1が完成する。
【0062】
ここで、従来の角形電池では、ケース10の第1主壁部11、第2主壁部12及び3つの側壁部(第2側壁部14、第3側壁部15及び第4側壁部16)をなす有底角筒状の本体部材と、第1側壁部13をなす蓋部材とにより、ケース10を構成している。このような形態の電池では、自己圧縮型の電池を製造するのが難しい。本体部材の第1主壁部11と第2主壁部12との間隙は、組立後の電池において電極体50の電極積層部50eを押圧し圧縮するべく、電極体50、第1介在部材40及び第2介在部材45を合わせた厚みよりも狭くするため、本体部材内に電極体50、第1介在部材40及び第2介在部材45を挿入するのが難しいからである。
【0063】
これに対し、上述の電池1の製造方法では、収容工程S1で、第2主壁部12及び4つの側壁部13~16をなす有底角筒状の本体部材21内に、電極体50、第1介在部材40及び第2介在部材45を収容するので、容易に本体部材21内に電極体50、第1介在部材40及び第2介在部材45を収容できる。そしてその後、押圧圧縮工程S2、接合工程S3及び解除工程S4を行うことにより、電池1自身によって電極体50の電極積層部50eを弾性的に圧縮した自己圧縮型の電池1を、容易に製造できる。
【0064】
更に本実施形態1では、第2介在部材45を用いて電池1を製造するので、第2介在部材45の連通部押圧部46によって電極体50の電極積層部50eの外部連通部50ebcを適切に押圧した電池1を製造できる。また第1介在部材40を用いて電池1を製造するので、第1介在部材40の中央部押圧部41によって電極体50の電極積層部50eの中央部50eaを適切に押圧した電池1を製造できる。
【0065】
(実施形態2)
次いで、第2の実施形態について説明する(
図11~
図13参照)。なお、実施形態1と同様な部分の説明は、省略または簡略化する。実施形態1の電池1では、ケース10の第1主壁部11と電極体50の電極積層部50eとの間に第1介在部材40を、ケース10の第2主壁部12と電極体50の電極積層部50eとの間に第2介在部材45を配置した。
これに対し、本実施形態2の電池(蓄電デバイス)100では、ケース110の第1主壁部111及び第2主壁部112と電極体50の電極積層部50eとの間に、介在部材を配置しない。一方、本実施形態2では、ケース110の形態が実施形態1のケース10とは異なり、ケース110の第1主壁部111に中央部押圧部141を設けると共に、ケース110の第2主壁部112に連通部押圧部146を設ける。
【0066】
具体的には、本実施形態2のケース110の第1主壁部111は、第1主壁部111の中央部分に矩形状の中央部押圧部141を有する。この中央部押圧部141は、ケース厚み方向CHの厚み方向内側CH3に向けて(電極体50の電極積層部50eに向けて)突出しており、ケース110の第1主壁部111及び第2主壁部112による弾性的な圧縮により、電極体50の電極積層部50eのうち中央部50eaを電極体厚み方向FHに押圧している。
【0067】
一方、ケース110の第2主壁部112は、ケース幅方向BHの両端部近傍に、それぞれケース高さ方向AHに延びる矩形状の連通部押圧部146を有する。連通部押圧部146は、それぞれケース厚み方向CHの厚み方向内側CH3に向けて(電極体50の電極積層部50eに向けて)突出しており、ケース110の第1主壁部111及び第2主壁部112による弾性的な圧縮により、電極体50の電極積層部50eのうち外周部50ebの外部連通部50ebcをそれぞれ電極体厚み方向FHに押圧している。そして、外部連通部50ebcを押圧することにより、含浸電解液3aが外部連通部50ebcを通じて電極積層部50e外に流出するのを制限する。
【0068】
本実施形態2の電池100も、ケース110の第1主壁部111と第2主壁部112とで、電極体50の電極積層部50eを電極体厚み方向FHに弾性的に圧縮している。即ち、この電池100は、電池100自身によって電極体50の電極積層部50eを弾性的に圧縮している自己圧縮型である。このため、電池100の使用に際して別途、拘束部材を用いなくて済む、或いは、簡易な拘束部材による外部拘束で足りる。またケース110が、第2主壁部112及び4つの側壁部13~16をなす本体部材121に、第1主壁部111をなす蓋部材131を接合したものであるため、自己圧縮型の電池100を容易に製造でき、安価な電池100とすることができる。
【0069】
また電池100は、電極体50の電極積層部50eのうち中央部50eaを押圧する中央部押圧部141と、電極体50の電極積層部50eのうち外周部50ebの外部連通部50ebcを押圧して含浸電解液3aが電極積層部50e外に流出するのを制限する連通部押圧部146とを有する。このため、より広い範囲にわたって電極積層部50eを押圧できると共に、含浸電解液3aが外部連通部50ebcを通じて電極積層部50e外に流出するのを抑制できる。
【0070】
更に本実施形態2では、ケース110の第2主壁部112に連通部押圧部146を設けているので、ケース110の第2主壁部112と電極体50の電極積層部50eとの間に、連通部押圧部を有する介在部材を配置する必要がない。またケース110の第1主壁部111に中央部押圧部141を設けているので、ケース110の第1主壁部111と電極体50の電極積層部50eとの間に、中央部押圧部を有する介在部材を配置する必要がない。
【0071】
次に本実施形態2の電池100の製造方法について説明する。まず収容工程S1において、正極端子60及び負極端子70を固設した本体部材121内に、絶縁ホルダで包んだ電極体50を収容する。本実施形態2では、介在部材は配置しない。その後、実施形態1と同様に、電極体50の正極集電部50c及び負極集電部50dと、本体部材121に固設された正極端子60及び負極端子70とを、それぞれレーザ溶接する。
【0072】
次に押圧圧縮工程S2において、本体部材121内に収容された電極体50の上に蓋部材131を配置し、蓋部材131がなす第1主壁部111及び本体部材121の第2主壁部112に外部の力Faを掛けて、電極体50の電極積層部50eを電極体厚み方向FHに押圧し圧縮する。その際、本実施形態2では、ケース110に設けられた中央部押圧部141及び連通部押圧部146により、電極積層部50eの中央部50ea及び外部連通部50ebcを電極体厚み方向FHに押圧する。そして、蓋部材131の蓋周縁部131fを全周にわたり本体部材121の開口部121cの開口周縁部121fに当接させる。この工程は、実施形態1と同様の押圧装置500(
図9参照)を用いて行う。
【0073】
次に接合工程S3において、実施形態1と同様に、蓋部材131の蓋周縁部131fを本体部材121の開口周縁部121fに全周にわたりレーザ溶接して、ケース110を形成する。その後は、実施形態1と同様に、解除工程S4、注液・封止工程S5及び初充電・エージング工程S6を行って、電池100を完成させる。
【0074】
本実施形態2の電池100の製造方法では、収容工程S1で、第2主壁部112及び4つの側壁部13~16をなす有底角筒状の本体部材121内に、電極体50を収容するので、容易に本体部材121内に電極体50を収容できる。そしてその後、押圧圧縮工程S2、接合工程S3及び解除工程S4を行うことにより、自己圧縮型の電池100を容易に製造できる。特に本実施形態2では、連通部押圧部をなす介在部材を本体部材121内に配置しないため、収容工程S1及び押圧圧縮工程S2を容易に行うことができる。また中央部押圧部をなす介在部材を本体部材121内に配置しないため、収容工程S1及び押圧圧縮工程S2を容易に行うことができる。
その他、実施形態1と同様な部分は、実施形態1と同様な作用効果を奏する。
【0075】
(実施形態3)
次いで、第3の実施形態について説明する(
図14~
図16参照)。なお、実施形態1または2と同様な部分の説明は、省略または簡略化する。実施形態1,2の電池1,100は、扁平状捲回型の電極体50(
図6参照)を備える。これに対し、本実施形態3の電池200は、積層型の電極体250(
図16参照)を備える。
【0076】
また実施形態1の電池1では、ケース10の第1主壁部11と電極体50の電極積層部50eとの間に、中央部押圧部41を有する第1介在部材40を配置すると共に、ケース10の第2主壁部12と電極体50の電極積層部50eとの間に、連通部押圧部46を有する第2介在部材45を配置した。
これに対し、本実施形態3でも、ケース10の第1主壁部11と電極体250の電極積層部250eとの間に、中央部押圧部41を有する第1介在部材40を配置すると共に、ケース10の第2主壁部12と電極体250の電極積層部250eとの間に、連通部押圧部246を有する第2介在部材245を配置する(
図14及び
図15参照)。但し、本実施形態3では、電極体250が積層型であるため、連通部押圧部246の形態が実施形態1の連通部押圧部46と異なる。
【0077】
まず本実施形態3に係る積層型の電極体250について説明する(
図16参照)。この電極体250は、直方体状であり、複数の矩形状の正極板(電極板)251と、複数の矩形状の負極板(電極板)254とを、樹脂製の多孔質膜からなる矩形状のセパレータ257を介して交互に電極体厚み方向FHに積層して一体化したものである。電極体250は、電極体長辺方向IHの一方側IH1の端部に位置する正極集電部250cと、電極体長辺方向IHの他方側IH2の端部に位置する負極集電部250dと、これらの間に位置する電極積層部250eとを有する。
【0078】
このうち電極積層部250eは、正極板251、負極板254及びセパレータ257が平板状に電極体厚み方向FHに積層された直方体状の部位である。この電極積層部250eは、電極体厚み方向FHに直交する積層部拡がり方向GHの内側GH1に位置する直方体状の中央部250eaと、この中央部250eaを積層部拡がり方向GHの外側GH2から囲む矩形環状の外周部250ebとを有する。本実施形態3の電極体250では、この外周部250eb全体が電極体250の外部に連通しているため、外周部250eb全体が外部連通部250ebcである。従って、本実施形態3では、電極積層部250e内の含浸電解液3aは、電池200の使用に伴って、
図16中に矢印Pで含浸電解液3aの移動を示すように、外部連通部250ebcから、直接、または、正極集電部250c或いは負極集電部250dを通じて、電極体250の外部に流出する。
【0079】
この電極体250は、電極体長辺方向IHがケース幅方向BHに平行で、電極体短辺方向JHがケース高さ方向AHに平行で、電極体厚み方向FHがケース厚み方向CHに平行な姿勢で、ケース10内に収容されている。また電極体250は、電極積層部250eが電極体厚み方向FH(ケース厚み方向CH)に圧縮された状態で、ケース10内に収容されている。即ち、電池200は、自己圧縮型の電池であり、ケース10が弾性変形し、ケース10の第1主壁部11と第2主壁部12とで、電極体250の電極積層部250eを電極体厚み方向FHに弾性的に圧縮している。
【0080】
正極板251は、矩形状の正極集電箔252と、この正極集電箔252の両主面上に形成された矩形状の正極活物質層253とからなる。正極板251のうち、長辺方向の片方の端部は、正極集電箔252上に正極活物質層253が存在せず、正極集電箔252が露出している。この正極集電箔252の露出部は、電極体250において、電極積層部250eから電極体長辺方向IHの一方側IH1に突出し、前述の正極集電部250cを形成している。正極集電部250cは、正極端子60と接続している。
【0081】
負極板254は、矩形状の負極集電箔255と、この負極集電箔255の両主面上に形成された矩形状の負極活物質層256とからなる。負極板254のうち、長辺方向の片方の端部は、負極集電箔255上に負極活物質層256が存在せず、負極集電箔255が露出している。この負極集電箔255の露出部は、電極体250において、電極積層部250eから電極体長辺方向IHの他方側IH2に突出し、前述の負極集電部250dを形成している。負極集電部250dは、負極端子70と接続している。
【0082】
次に第1介在部材40及び第2介在部材245について説明する(
図14及び
図15参照)。第1介在部材40は、実施形態1と同様である(
図4参照)。一方、第2介在部材245は、実施形態1の第2介在部材45と異なる。
本実施形態3の第2介在部材245は、基部247と連通部押圧部246とからなる。連通部押圧部246は、矩形環状であり、ケース高さ方向AHの上端部及び下端部の近傍においてそれぞれケース幅方向BHに延びると共に、ケース幅方向BHの両端部近傍においてそれぞれケース高さ方向AHに延びている。連通部押圧部246は、それぞれ基部47よりもケース厚み方向CHの厚み方向内側CH3に向けて(電極体250の電極積層部250eに向けて)突出している。連通部押圧部246は、ケース10の第1主壁部11及び第2主壁部12による弾性的な圧縮により、電極体250の電極積層部250eのうち外部連通部250ebcを電極体厚み方向FHに押圧し、含浸電解液3aが外部連通部250ebcを通じて電極積層部250e外に流出するのを制限する。
【0083】
本実施形態3の電池200も、電池200自身によって電極体250の電極積層部250eを弾性的に圧縮している自己圧縮型であるため、電池200の使用に際して別途、拘束部材を用いなくて済む、或いは、簡易な拘束部材による外部拘束で足りる。
また電池200は、電極体250の電極積層部250eのうち中央部250eaを押圧する中央部押圧部41と、電極体250の電極積層部250eのうち外部連通部250ebcを押圧して含浸電解液3aが電極積層部250e外に流出するのを制限する連通部押圧部246とを有する。このため、より広い範囲にわたって電極積層部250eを押圧できると共に、含浸電解液3aが外部連通部250ebcを通じて電極積層部250e外に流出するのを抑制できる。
【0084】
更に本実施形態3では、ケース10の第2主壁部12と電極体250の電極積層部250eとの間に第2介在部材245を配置し、この第2介在部材245に連通部押圧部246を設けている。このため、ケース10の第2主壁部12に連通部押圧部を設けてなくて済む。またケース10の第1主壁部11と電極体250の電極積層部250eとの間に第1介在部材40を配置し、この第1介在部材40に中央部押圧部41を設けている。このため、ケース10の第1主壁部11に中央部押圧部を設けてなくて済む。
【0085】
なお、本実施形態3の電池200は、実施形態1の電池1と同様にして製造する。即ち、収容工程S1において、本体部材21内に、電極体250、第1介在部材40及び第2介在部材245を、電極体250に第1介在部材40及び第2介在部材245を重ねて収容する。その後、押圧圧縮工程S2において、押圧装置500により外部の力Faを第1主壁部11及び第2主壁部12に掛けて、第2介在部材245、電極体250の電極積層部250e及び第1介在部材40を電極体厚み方向FHに押圧し、電極積層部250eを圧縮する。続いて接合工程S3で、蓋部材31の蓋周縁部31fを本体部材21の開口部21cの開口周縁部21fに全周にわたりレーザ溶接してケース10を形成する。その後、解除工程S4で外部の力Faを解除する。更に注液・封止工程S5及び初充電・エージング工程S6を行って、電池200を完成させる。
【0086】
本実施形態3の電池200の製造方法では、収容工程S1で、第2主壁部12及び4つの側壁部13~16をなす有底角筒状の本体部材21内に、電極体250、第1介在部材40及び第2介在部材245を収容するので、容易に本体部材21内に電極体250、第1介在部材40及び第2介在部材245を収容でき、自己圧縮型の電池200を容易に製造できる。特に本実施形態3では、第2介在部材245を用いて電池200を製造するので、第2介在部材245の連通部押圧部246によって電極体250の電極積層部250eの外部連通部250ebcを適切に押圧した電池200を製造できる。また第1介在部材40を用いて電池200を製造するので、第1介在部材40の中央部押圧部41によって電極体250の電極積層部250eの中央部250eaを適切に押圧した電池200を製造できる。
その他、実施形態1または2と同様な部分は、実施形態1または2と同様な作用効果を奏する。
【0087】
(実施形態4)
次いで、第4の実施形態について説明する。なお、実施形態1~3のいずれかと同様な部分の説明は、省略または簡略化する。実施形態2の電池100では、ケース110の第1主壁部111に中央部押圧部141を設けると共に、ケース110の第2主壁部112に連通部押圧部146を設けた。
これに対し、本実施形態4の電池300でも、ケース310の第1主壁部111に中央部押圧部141を設けると共に、ケース310の第2主壁部312に連通部押圧部346を設ける。但し、本実施形態3では、電極体250が積層型であるため、連通部押圧部346の形態が実施形態2の連通部押圧部146と異なる。
【0088】
本実施形態4の電極体250は、実施形態3と同様である(
図16参照)。また本実施形態4のケース310のうち、中央部押圧部141を有する第1主壁部111(
図12参照)、及び、4つの側壁部13,14,15,16は、実施形態2のケース110と同様である。一方、本実施形態4のケース310のうち、第2主壁部312は、実施形態2のケース110の第2主壁部112と異なる(
図17及び
図18参照)。
【0089】
具体的には、第2主壁部312は、矩形環状の連通部押圧部346を有する。この連通部押圧部346は、ケース高さ方向AHの上端部及び下端部の近傍においてそれぞれケース幅方向BHに延びると共に、ケース幅方向BHの両端部近傍においてそれぞれケース高さ方向AHに延びている。連通部押圧部346は、ケース厚み方向CHの厚み方向内側CH3に向けて(電極体250の電極積層部250eに向けて)突出している。連通部押圧部346は、ケース310の第1主壁部111及び第2主壁部312による弾性的な圧縮により、電極体250の電極積層部250eのうち外部連通部250ebcを電極体厚み方向FHに押圧し、含浸電解液3aが外部連通部250ebcを通じて電極積層部250e外に流出するのを制限する。
【0090】
本実施形態4の電池300も、電池300自身によって電極体250の電極積層部250eを弾性的に圧縮している自己圧縮型であるため、電池300の使用に際して別途、拘束部材を用いなくて済む、或いは、簡易な拘束部材による外部拘束で足りる。またケース310が、第2主壁部312及び4つの側壁部13~16をなす本体部材321に、第1主壁部111をなす蓋部材131を接合したものであるため、自己圧縮型の電池300を容易に製造でき、安価な電池300とすることができる。
また電池300は、電極体250の電極積層部250eのうち中央部250eaを押圧する中央部押圧部141と、電極体250の電極積層部250eのうち外部連通部250ebcを押圧して含浸電解液3aが電極積層部250e外に流出するのを制限する連通部押圧部346とを有する。このため、より広い範囲にわたって電極積層部250eを押圧できると共に、含浸電解液3aが外部連通部250ebcを通じて電極積層部250e外に流出するのを抑制できる。
【0091】
更に本実施形態4では、ケース310の第2主壁部312に連通部押圧部346を設けているので、ケース310の第2主壁部312と電極体250の電極積層部250eとの間に、連通部押圧部を有する介在部材を配置する必要がない。またケース310の第1主壁部111に中央部押圧部141を設けているので、ケース310の第1主壁部111と電極体250の電極積層部250eとの間に、中央部押圧部を有する介在部材を配置する必要がない。
【0092】
なお、本実施形態4の電池300は、実施形態2の電池100と同様にして製造する。即ち、収容工程S1で、本体部材321内に電極体250を収容する。その後、押圧圧縮工程S2で、押圧装置500により外部の力Faを第1主壁部111及び第2主壁部312に掛けて、電極体250の電極積層部250eを電極体厚み方向FHに押圧し圧縮する。続いて接合工程S3で、蓋部材131の蓋周縁部131fを本体部材321の開口部321cの開口周縁部321fに全周にわたりレーザ溶接してケース310を形成する。その後、解除工程S4で外部の力Faを解除する。更に注液・封止工程S5及び初充電・エージング工程S6を行って、電池300を完成させる。
【0093】
本実施形態4の電池300の製造方法では、収容工程S1で、第2主壁部312及び4つの側壁部13~16をなす有底角筒状の本体部材321内に、電極体250を収容するので、容易に本体部材321内に電極体250を収容でき、自己圧縮型の電池300を容易に製造できる。特に本実施形態4では、連通部押圧部をなす介在部材や中央部押圧部をなす介在部材を、本体部材321内に配置しないため、収容工程S1及び押圧圧縮工程S2を容易に行うことができる。
その他、実施形態1~3のいずれかと同様な部分は、実施形態1~3のいずれかと同様な作用効果を奏する。
【0094】
以上において、本発明を実施形態1~4に即して説明したが、本発明は実施形態1~4に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0095】
1,100,200,300 電池(蓄電デバイス)
3a 含浸電解液
10,110,310 ケース
11,111 第1主壁部
12,112,312 第2主壁部
13 第1側壁部(上壁部)
14 第2側壁部(下壁部)
15 第3側壁部
16 第4側壁部
21,121,321 本体部材
21c,121c,321c 開口部
21f,121f,321f 開口周縁部
31,131 蓋部材
31f,131f 蓋周縁部
40 第1介在部材
41,141 中央部押圧部
45,245 第2介在部材
46,146,246,346 連通部押圧部
50,250 電極体
50e,250e 電極積層部
50ea,250ea (電極積層部の)中央部
50eb,250eb (電極積層部の)外周部
50ebc,250ebc (電極積層部の外周部の)外部連通部
51,251 正極板(電極板)
54,254 負極板(電極板)
57,257 セパレータ
AH ケース高さ方向
AH1 上側
AH2 下側
CH ケース厚み方向
DH 電極体軸線方向
FH 電極体厚み方向
GH 積層部拡がり方向
GH1 (積層部拡がり方向の)内側
GH2 (積層部拡がり方向の)外側
IH 電極体長辺方向
IH1 (電極体長辺方向の)一方側
IH2 (電極体長辺方向の)他方側
JH 電極体短辺方向
Fa 外部の力
S1 収容工程
S2 押圧圧縮工程
S3 接合工程
S4 解除工程