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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024011148
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】印刷管理システム及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/12 20060101AFI20240118BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20240118BHJP
【FI】
G06F3/12 340
G06F3/12 305
G06F3/12 359
G06F3/12 360
G06F3/12 375
B41J29/38 201
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022112913
(22)【出願日】2022-07-14
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松井 孝夫
【テーマコード(参考)】
2C061
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AP10
2C061AS02
2C061HK15
2C061HN05
2C061HN15
2C061HQ01
(57)【要約】
【課題】印刷ジョブを分割し複数の印刷機で実行した場合であっても、分割前の印刷ジョブで指定されていた印刷順序通りに、作業者が印刷物(印刷後の用紙)を回収できるようにする。
【解決手段】印刷管理システムは、印刷管理サーバ10と、プリンタグループ24を備える。印刷管理サーバのプロセッサは、プログラムを実行することで、印刷ジョブの種類に応じ、印刷ジョブを複数の印刷機で実行した場合の印刷物の回収順序の指定が必要か否かを判定し、印刷ジョブがグループジョブやページ分割ジョブの場合に回収順序の指定が必要と判定して、印刷物の回収順序を表示装置に表示する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサと、
表示装置と、
を備え、
前記プロセッサは、プログラムを実行することで、
印刷ジョブの種類に応じ、前記印刷ジョブを複数の印刷機で実行した場合の印刷物の回収順序の指定が必要か否かを判定し、
前記回収順序の指定が必要である場合に、前記印刷物の前記回収順序を前記表示装置に表示する、
印刷管理システム。
【請求項2】
前記プロセッサは、前記印刷ジョブの種類がグループジョブである場合に、前記グループジョブを構成する複数のジョブの前記回収順序を前記表示装置に表示する、
請求項1に記載の印刷管理システム。
【請求項3】
前記プロセッサは、前記グループジョブにおいて指定されていた各ジョブの印刷順序に従った前記回収順序を前記表示装置に表示する、
請求項2に記載の印刷管理システム。
【請求項4】
前記プロセッサは、前記印刷ジョブの種類がページ分割ジョブである場合に、前記ページ分割ジョブを構成する複数のジョブの前記回収順序を前記表示装置に表示する、
請求項1に記載の印刷管理システム。
【請求項5】
前記プロセッサは、前記印刷ジョブの予め決められたページ順に従った前記回収順序を前記表示装置に表示する、
請求項4に記載の印刷管理システム。
【請求項6】
前記プロセッサは、前記印刷ジョブの種類が部数展開である場合に、予め決められた運用ルールに従った前記回収順序を前記表示装置に表示する、
請求項1に記載の印刷管理システム。
【請求項7】
前記運用ルールには、優先度順、納期順、回収後の収集場所、作業者の移動距離の少なくともいずれかが含まれる、
請求項6に記載の印刷管理システム。
【請求項8】
前記プロセッサは、前記印刷ジョブの種類が部数展開である場合に、前記回収順序の指定が不要と判定する、
請求項1に記載の印刷管理システム。
【請求項9】
前記プロセッサは、前記印刷物の表象図形を、排出先の印刷機及びその排出トレイと関連付けて前記表示装置に表示する、
請求項1に記載の印刷管理システム。
【請求項10】
前記プロセッサは、前記排出トレイに複数の印刷ジョブの印刷結果が存在する場合に、前記複数の印刷ジョブ毎に前記表象図形を前記表示装置に表示する、
請求項9に記載の印刷管理システム。
【請求項11】
前記プロセッサは、前記表象図形に関連付けて前記回収順序を示すマークを前記表示装置に表示する、
請求項9に記載の印刷管理システム。
【請求項12】
前記プロセッサは、プログラムを実行することで、さらに、
前記印刷物が回収されたことを入力し、
前記入力に応じて前記表示装置に表示された前記回収順序を更新する、
請求項1~11のいずれかに記載の印刷管理システム。
【請求項13】
コンピュータのプロセッサに、
印刷ジョブの種類に応じ、前記印刷ジョブを複数の印刷機で実行した場合の印刷物の回収順序の指定が必要か否かを判定するステップと、
前記回収順序の指定が必要である場合に、前記印刷物の前記回収順序を前記表示装置に表示するステップと、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷管理システム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、複数台のプリンタで1つのプリンタグループを構成し、プリンタの状態に合わせて最も早く印刷できるプリンタに印刷ジョブを振り分ける技術が提案されている。
【0003】
特許文献1には、複数のページからなるジョブを各プリンタに分散処理する出力管理装置と、出力管理装置からの指示によりページ毎に画像を印刷する複数の画像処理装置がネットワークを通じて接続される印刷工程管理システムが記載されている。出力管理装置は、各プリンタから印刷物を回収するためにユーザが利用する出力マップを作成する。出力マップは、プリンタ毎に各プリンタに出力したページに関するページ情報を含む。また、出力マップに、ページ情報が出力順に並べられ、あるいはプリンタが回収順に並べられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-211999号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
印刷ジョブを実行する際に、例えば複数の印刷ジョブを一つのグループにまとめたグループジョブとする場合がある。当該グループジョブは印刷順序が決められているため通常は1台の印刷機で実行するが、複数の印刷機で印刷する場合と比べて印刷効率が低下する。他方で、グループジョブを複数の印刷機で実行した場合、作業者による印刷物の回収が必要となるが、作業者が回収順序を間違え、回収した印刷物が元のグループジョブで決められている印刷順序と異なる順番になってしまうおそれがある。
【0006】
本発明は、印刷ジョブを分割し複数の印刷機で実行した場合であっても、分割前の印刷ジョブで指定されていた印刷順序通りに、作業者が印刷物(印刷後の用紙)を回収できることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様は、プロセッサと、表示装置と、を備え、前記プロセッサは、プログラムを実行することで、印刷ジョブの種類に応じ、前記印刷ジョブを複数の印刷機で実行した場合の印刷物の回収順序の指定が必要か否かを判定し、
【0008】
前記回収順序の指定が必要である場合に、前記印刷物の前記回収順序を前記表示装置に表示する、印刷管理システムである。
【0009】
第2の態様は、前記プロセッサは、前記印刷ジョブの種類がグループジョブである場合に、前記グループジョブを構成する複数のジョブの前記回収順序を前記表示装置に表示する、第1の態様に係る印刷管理システムである。
【0010】
第3の態様は、前記プロセッサは、前記グループジョブにおいて指定されていた各ジョブの印刷順序に従った前記回収順序を前記表示装置に表示する、第2の態様に係る印刷管理システムである。
【0011】
第4の態様は、前記プロセッサは、前記印刷ジョブの種類がページ分割ジョブである場合に、前記ページ分割ジョブを構成する複数のジョブの前記回収順序を前記表示装置に表示する、第1の態様に係る印刷管理システムである。
【0012】
第5の態様は、前記プロセッサは、前記印刷ジョブの予め決められたページ順に従った前記回収順序を前記表示装置に表示する、第4の態様に係る印刷管理システムである。
【0013】
第6の態様は、前記プロセッサは、前記印刷ジョブの種類が部数展開である場合に、予め決められた運用ルールに従った前記回収順序を前記表示装置に表示する、第1の態様に係る印刷管理システムである。
【0014】
第7の態様は、前記運用ルールには、優先度順、納期順、回収後の収集場所、作業者の移動距離の少なくともいずれかが含まれる、第6の態様に係る印刷管理システムである。
【0015】
第8の態様は、前記プロセッサは、前記印刷ジョブの種類が部数展開である場合に、前記回収順序の指定が不要と判定する、第1の態様に係る印刷管理システムである。
【0016】
第9の態様は、前記プロセッサは、前記印刷物の表象図形を、排出先の印刷機及びその排出トレイと関連付けて前記表示装置に表示する、第1の態様に係る印刷管理システムである。
【0017】
第10の態様は、前記プロセッサは、前記排出トレイに複数の印刷ジョブの印刷結果が存在する場合に、前記複数の印刷ジョブ毎に前記表象図形を前記表示装置に表示する、第9の態様に係る印刷管理システムである。
【0018】
第11の態様は、前記プロセッサは、前記表象図形に関連付けて前記回収順序を示すマークを前記表示装置に表示する、第9の態様に係る印刷管理システムである。
【0019】
第12の態様は、前記プロセッサは、プログラムを実行することで、さらに、前記印刷物が回収されたことを入力し、前記入力に応じて前記表示装置に表示された前記回収順序を更新する、第1~第11の態様のいずれかに係る印刷管理システムである。
【0020】
第13の態様は、コンピュータのプロセッサに、印刷ジョブの種類に応じ、前記印刷ジョブを複数の印刷機で実行した場合の印刷物の回収順序の指定が必要か否かを判定するステップと、前記回収順序の指定が必要である場合に、前記印刷物の前記回収順序を前記表示装置に表示するステップと、を実行させるプログラムである。
【発明の効果】
【0021】
第1、第13の態様によれば、印刷ジョブを分割し複数の印刷機で実行した場合であっても、分割前の印刷ジョブで指定されていた印刷順序通りに、作業者が印刷物を回収できる。
【0022】
第2、第3の態様によれば、さらに、印刷ジョブの種類がグループジョブである場合に、分割前の印刷ジョブで指定されていた印刷順序通りに、作業者が印刷物を回収できる。
【0023】
第4、第5の態様によれば、さらに、印刷ジョブの種類がページ分割ジョブである場合に、分割前の印刷ジョブで指定されていた印刷順序通りに、作業者が印刷物を回収できる。
【0024】
第6、第7の態様によれば、さらに、印刷ジョブの種類が部数展開である場合に、予め決められた運用ルールに従った順序通りに、作業者が印刷物を回収できる。
【0025】
第9~第11の態様によれば、さらに、作業者が表象図形を用いて印刷物を回収できる。
【0026】
第12の態様によれば、さらに、回収順序を更新しない場合と比較して回収順序の確認が容易化される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】実施形態の機能ブロック図である。
図2】実施形態の構成ブロック図である。
図3】印刷ジョブの振り分け説明図である。
図4】グループジョブの送信説明図である。
図5】グループジョブの振り分け説明図である。
図6図5における印刷物の出力説明図である。
図7】実施形態の表示説明図(その1)である
図8】実施形態の表示説明図(その2)である。
図9】ページ分割ジョブの振り分け説明図である。
図10】実施形態の表示説明図(その3)である。
図11】部数展開ジョブの振り分け説明図である。
図12】実施形態の表示説明図(その4)である。
図13】実施形態の表示説明図(その5)である。
図14】実施形態の処理フローチャート(その1)である。
図15】実施形態の処理フローチャート(その2)である。
図16】実施形態の処理フローチャート(その3)である。
図17】実施形態のジョブの回収順序説明図(その1)である。
図18】実施形態のジョブの回収順序説明図(その2)である。
図19】変形例1の表示説明図である。
図20】変形例2の表示説明図(その1)である。
図21】変形例2の表示説明図(その2)である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面に基づき本発明の実施形態について説明する。
【0029】
図1は、実施形態に係る印刷管理システムの機能ブロック図を示す。印刷管理システムは、印刷管理サーバ10、クライアント端末11、及び複数の印刷機(プリンタ)からなるプリンタグループ24を備え、これらは通信回線で接続される。通信回線は任意であり、有線/無線のいずれでもよく、専用回線/公衆回線のいずれでもよい。通信回線の一例はインターネットであるが、これに限定されない。
【0030】
印刷管理サーバ10は、印刷ジョブを処理するサーバコンピュータであり、1つ又は複数のクライアント端末11から印刷ジョブを取得し、複数のプリンタからなるプリンタグループ24に当該印刷ジョブを適宜振り分けて送信する。印刷管理サーバ10は、機能ブロックとして、受信部12、データ解析部14、送信部16、プリンタ情報取得部18、スプーラ20、及び表示解析部22を備える。
【0031】
受信部12は、クライアント端末11から印刷ジョブとして、PDF(Portable Document Format)及びJDF(job definition format.)を受信する。JDFは、印刷工程全般における作業情報を記述するためのフォーマットであり、印刷ジョブの種類や運用ルールが記述される。印刷管理サーバ10は、このJDFの情報を読み取ることで、印刷ジョブの種類を判別する。具体的には、JDFを読み取ることで、印刷ジョブが、グループジョブ、ページ分割ジョブ、部数展開ジョブの何れであるかを判別する。ここで、後述するように、「グループジョブ」は、複数の印刷ジョブを一つのグループにまとめたジョブとして定義される。また、「ページ分割ジョブ」は、印刷ジョブのページ数が多い場合に、当該印刷ジョブをいくつかのページ数に分割してなる複数の印刷ジョブとして定義される。さらに、「部数展開ジョブ」は、複数部数を印刷するジョブとして定義される。受信部12は、受信したPDF及びJDFをスプーラ20に格納する。
【0032】
プリンタ情報取得部18は、プリンタグループ24を構成する複数のプリンタの情報を取得する。図では、プリンタグループ24は、プリンタA、プリンタB、プリンタC、プリンタD、及びプリンタEの5台のプリンタから構成されているが、その台数は任意であり特に制限されない。プリンタ情報取得部18は、プリンタA、プリンタB、プリンタC、プリンタD、及びプリンタEのそれぞれのステータスと保持ジョブの総ページ数をJMF(Job Messaging Format ) で定期的に取得する。JMFは、JDFワークフローで使用される通信プロトコルである。プリンタ情報取得部18は、取得したプリンタ情報をスプーラ20に格納する。
【0033】
データ解析部14は、プリンタ情報取得部18が取得したプリンタ情報を用いて、どの印刷ジョブをどのプリンタに振り分けて送信するかを決定し、その情報をスプーラ20に格納する。
【0034】
送信部16は、PDFとJDFからMIME(Multipurpose Internet Mail Extensions)パッケージを作成し、データ解析部14で決定されたプリンタに印刷ジョブを送信する。
【0035】
表示解析部22は、クライアント端末11からユーザにより選択された印刷ジョブの特定情報を受け取り、スプーラ20に格納された情報を用いて印刷ジョブの実行結果としての印刷物の回収順序の指定の要否と回収順序を決定し、クライアント端末11に返す。表示解析部22は、具体的には、ユーザにより選択された印刷ジョブのジョブIDと、当該印刷ジョブを実行したプリンタと、当該印刷ジョブの実行結果としての印刷物の回収順序とを作成してクライアント端末11に返す。
【0036】
図2は、図1における印刷管理サーバ10の構成ブロック図を示す。印刷管理サーバ10は、サーバコンピュータで構成され、1つ又は複数のプロセッサ10a、ROM10b、RAM10c、入出力インターフェイス(I/F)10d、通信インターフェイス(I/F)10e、及び記憶装置10fを備える。
【0037】
プロセッサ10aは、ROM10bや記憶装置10fに記憶された印刷管理プログラムを読み出し、RAM10cをワーキングメモリとして用いて一連の処理を実行し、クライアント端末11から受信した印刷ジョブを適宜振り分けてプリンタグループ24を構成するプリンタA~プリンタEに送信する。また、プロセッサ10aは、プリンタA~Eから定期的にプリンタ情報を取得する。さらに、プロセッサ10aは、クライアント端末11からの印刷ジョブの選択情報に応じ、表示情報を作成してクライアント端末11に返す。プロセッサ10aは、印刷ジョブの種類に応じて、印刷物の回収順序の指定が必要か否かを判定し、回収順序の指定が必要である場合に、印刷物の回収順序を決定してクライアント端末11に返す。クライアント端末11は、プロセッサ10aで決定された当該回収順序を表示装置に表示してユーザに報知する。
【0038】
入出力I/F10dは、キーボードやタッチスイッチ等の入力デバイスやディスプレイ等で構成される。
【0039】
通信I/F10eは、クライアント端末11やプリンタグループ24と通信回線で接続され、各種のデータを送受信する。クライアント端末11からは印刷ジョブを受信し、印刷物の回収順序の情報をクライアント端末11に返信する。また、プリンタグループ24に対して印刷ジョブを送信し、定期的に各プリンタのステータスや総ページ数等の情報を受信する。
【0040】
記憶装置10fは、揮発性あるいは不揮発性の記憶装置で構成され、印刷制御プログラム等の各種プログラムを記憶するとともに、PDFやJDF等の印刷ジョブの情報、プリンタ情報等を記憶する。
【0041】
プロセッサ10aは、図1におけるデータ解析部14、表示解析部22を実現し、通信I/F10eは、受信部12、送信部16、プリンタ情報取得部18を実現し、記憶装置10fあるいはRAM10cはスプーラ20を実現する。
【0042】
なお、図1及び図2における印刷管理サーバ10は、1台のサーバコンピュータで実現されてもよく、互いに通信回線で接続された複数のサーバコンピュータで実現されてもよい。
【0043】
図3は、印刷管理サーバ10の基本的な処理を模式的に示す。クライアント端末11から印刷ジョブ(図では、印刷ジョブを模式的にPDFとして示す)を受信すると、プリンタグループ24を構成する複数のプリンタA~プリンタEのステータスに合わせて最も早く印刷できるプリンタに印刷ジョブを振り分けて送信する。プリンタグループ24を構成する複数のプリンタA~プリンタEは、同一機種で同一設定であり、どのプリンタで印刷しても同じ出力結果が得られるものとする。
今、プリンタA~プリンタEのステータスが、
プリンタA:印刷待ちステータス
プリンタB:印刷待ちステータス
プリンタC:印刷待ちステータス
プリンタD:エラーステータス
プリンタE:エラーステータス
であるとすると、印刷管理サーバ10は、プリンタA~プリンタEのこれらのステータスに応じて、第1の印刷ジョブをプリンタCに振り分けて送信し、第2の印刷ジョブをプリンタAに振り分けて送信し、第3の印刷ジョブをプリンタBに振り分けて送信し、第4の印刷ジョブをプリンタCに振り分けて送信する。エラーステータスであるプリンタD及びプリンタEには印刷ジョブを送信しない。
【0044】
但し、複数のプリンタに印刷ジョブを振り分けると、どのプリンタのどの排出先に印刷ジョブの実行結果としての印刷物が出力されたのかが分かり難くなり、このため印刷物を回収する作業者の負担が増大してしまう。他方で、回収を考慮した振り分けを行うと印刷業務の生産性が低下する。
【0045】
さらに、複数の印刷ジョブを1つのグループジョブとして扱う場合等では、生産性を優先してグループジョブを複数のプリンタで振り分けて実行すると、作業者が印刷物の回収順序を間違え、本来の順序と異なる順番になってしまう事態も生じ得る。
【0046】
図4図6は、この状況を模式的に示す。
【0047】
図4は、印刷ジョブがグループジョブの場合の処理である。グループジョブ30は、複数の印刷ジョブを一つのグループにまとめたジョブとして定義される。グループジョブ30では、その送信順序が決められているので、プリンタが受信する順番が保証される。プリンタグループ24に送信する場合、プリンタグループ24を構成する複数のプリンタA~プリンタEのうちのいずれか1台、例えばプリンタAにグループジョブ30を送信する。
【0048】
しかし、プリンタグループ24の中の1台のプリンタのみに印刷ジョブを送信すると、プリンタグループ24の特性を活用できず生産性が低下する。
【0049】
そこで、図5に示すように、グループジョブ30を複数の印刷ジョブに分解し、それぞれの印刷ジョブに対して印刷指示を行う。例えば、グループジョブ30を第1の印刷ジョブ、第2の印刷ジョブ、第3の印刷ジョブ、第4の印刷ジョブ、第5の印刷ジョブ、・・・に分解し、第1の印刷ジョブをプリンタAに送信し、第2の印刷ジョブをプリンタBに送信し、第3の印刷ジョブをプリンタCに送信し、第4の印刷ジョブをプリンタDに送信し、第5の印刷ジョブをプリンタEに送信する等である。これにより、生産性は向上するものの、印刷ジョブの実行結果である印刷物の出力順序がばらばらとなるため、作業者が印刷物を回収する際にはグループジョブ30において指定されていた各ジョブの印刷順序を考慮した回収が必要となる。
【0050】
図6は、プリンタグループ24を構成するプリンタA、プリンタB、及びプリンタCで排出される印刷物の一例を示す。図6(a)に示すように、グループジョブ30を分解してなる第1の印刷ジョブはプリンタAに送信され、プリンタAで実行されて「印刷物1」として排出トレイに排出される。グループジョブ30を分解してなる第2の印刷ジョブはプリンタBに送信され、プリンタBで実行されて「印刷物2」として排出トレイに排出される。グループジョブ30を分解してなる第3の印刷ジョブはプリンタCに送信され、プリンタCで実行されて「印刷物3」として排出トレイに排出される。また、グループジョブ30を分解してなる第6の印刷ジョブはプリンタAに送信され、プリンタAで実行されて「印刷物6」として排出トレイに排出される。また、グループジョブ30を分解してなる第7の印刷ジョブはプリンタBに送信され、プリンタBで実行されて「印刷物7」として排出トレイに排出される。また、グループジョブ30を分解してなる第8の印刷ジョブはプリンタCに送信され、プリンタCで実行されて「印刷物8」としてトレイに排出される。
【0051】
プリンタAでは排出トレイに「印刷物1」及び「印刷物6」が出力され、プリンタBでは排出トレイに「印刷物2」及び「印刷物8」が排出され、プリンタCでは排出トレイに「印刷物3」及び「印刷物8」が排出される。
【0052】
従って、何ら回収順序を提供せず、作業者が単にプリンタA、プリンタB、プリンタCの排出トレイから印刷物を順に回収すると、図6(b)に示すように、
「印刷物1」-「印刷物6」-「印刷物2」-「印刷物7」-「印刷物3」-「印刷物8」
の順序となり、本来の送信順序である、第1の印刷ジョブ、第2の印刷ジョブ、第3の印刷ジョブ、・・・に対応した
「印刷物1」-「印刷物2」-「印刷物3」-・・・
と異なってしまう。
【0053】
かかる課題に鑑み、印刷管理サーバ10のプロセッサ10aは、印刷ジョブがグループジョブ30である場合に、印刷物の回収順序の指定が必要であると判定し、印刷物の回収順序を作成してクライアント端末11に表示することで、印刷物の回収作業を適正化、容易化する。
【0054】
図7は、クライアント端末11の表示装置に表示される画面例を示す。画面上段にジョブリスト32が表示され、画面下部にプリンタリスト34が表示される。
【0055】
ジョブリスト32は、印刷管理サーバ10で処理される印刷ジョブのジョブID、ジョブ名、ページ数、排出先、プリンタ名が表示される。排出先は、プリンタの排出トレイを指定するもので、例えば、「フィニッシャ排出トレイ」、「スタッカ排出トレイ1」、「スタッカ排出トレイ2」等である。プリンタ名は、印刷ジョブを実行するプリンタの名称であり、「プリンタA」、「プリンタB」等である。
【0056】
プリンタリスト34は、プリンタグループ24を構成する複数のプリンタがその排出トレイとともに表示される。また、印刷が完了したジョブは、出力した排出トレイと関連付けて印刷物を模した表象図形(アイコン)として表示される。図7では、プリンタグループ24を構成するプリンタA~プリンタEのうち、説明の都合上プリンタA及びプリンタBのみを例示する。
【0057】
プリンタAはアイコン60として示され、プリンタBはアイコン62として表示される。また、プリンタA、プリンタBの印刷物を模したアイコンが矩形領域としてその排出トレイと関連付けて表示される。印刷物のアイコンとしての矩形領域内に付されている番号は、当該印刷物に対応するジョブIDである。
プリンタAにおいて、
ジョブID=1,3,5,7,10,12,14
の印刷ジョブが実行されたとすると、これらのジョブIDに対応する印刷物のアイコンがプリンタAの排出トレイに関連付けて表示される。また、プリンタBにおいて、
ジョブID=2,4,6,8,11,13
の印刷ジョブが実行されたとすると、これらのジョブIDに対応する印刷物のアイコンがプリンタBの排出トレイに関連付けて表示される。
【0058】
ユーザがクライアント端末11を操作し、画面上段のジョブリスト32の中から所望のジョブを選択すると、選択された当該ジョブのジョブIDに対応する印刷物のアイコンがプリンタリスト34において強調表示される。例えば、ユーザがジョブリスト32の中からマウスやタッチパネルのタッチ操作等によりジョブID=6の印刷ジョブを選択すると、プロセッサ10aは、ユーザからの選択操作に応じ、ジョブID=6はプリンタBで実行されているため、プリンタBの排出トレイに関連付けて表示された印刷物のアイコンをハイライト表示する。強調表示のほかの例としては、プリンタBの排出トレイに関連付けて表示された印刷物のアイコンを拡大して表示する、あるいは点滅表示するなどがあげられる。
【0059】
ここで、プリンタBの特定の排出トレイには、ジョブID=6のアイコンの上に、ジョブID=8のアイコン、及びジョブID=11のアイコンが表示されている。作業者は、クライアント端末11に表示された画面を視認することで、ジョブID=6に対応する印刷物はプリンタBの特定の排出トレイに排出されていること、当該印刷物の上には、ジョブID=8に対応する印刷物、及びジョブID=11に対応する印刷物が存在していることをユーザに認識させる。
【0060】
なお、クライアント端末11には、作業者が携帯する携帯端末(例えばスマートフォン等)も含まれ得る。この場合、作業者は、自身が携帯する携帯端末に表示された画面を見ながら所望の印刷物を回収する
【0061】
図8は、図7に示すクライアント端末11の画面例において、ユーザがジョブリスト32の中からグループジョブを選択した場合の画面例を示す。プロセッサ10aは、選択されたグループジョブを構成する全ての印刷ジョブのジョブIDに対応する印刷物のアイコンをハイライト表示する。例えば、グループジョブを構成する印刷ジョブが、
ジョブID=10,11,12,13,14
であるとすると、プロセッサ10aは、ユーザからの選択操作に応じて、
ジョブID=10,12,14
はプリンタAで実行されているためプリンタAの排出トレイに関連付けて表示された印刷物のアイコンのうち、
ジョブID=10,12,14
に対応するアイコンをハイライト表示し、かつ、
ジョブID=11,13
はプリンタBで実行されているためプリンタBの排出トレイに関連付けて表示された印刷物のアイコンのうち、
ジョブID=11,13
に対応するアイコンをハイライト表示する。
【0062】
また、アイコンのハイライト表示とともに、ハイライト表示されたアイコン群を対象として、その回収順序をアイコンに関連付けて表示する。図では、ハイライト表示されたアイコン群の近傍に数字(丸数字)を表示することで回収順序を示しているが、これに限定されない。図では、ジョブID=10に対応する印刷物のアイコンに丸数字1を付し、ジョブID=11に対応する印刷物のアイコンに丸数字2を付し、ジョブID=12に対応する印刷物のアイコンに丸数字3を付し、ジョブID=13に対応する印刷物のアイコンに丸数字4を付し、ジョブID=14に対応する印刷物のアイコンに丸数字5を付している。
【0063】
作業者は、画面に丸数字で表示された回収順序を視認し、この回収順序に従って印刷物を回収することで、グループジョブ30を一つのプリンタで印刷した場合における印刷物の順序と同じ順序になるように印刷物を回収できる。すなわち、作業者は、まずプリンタAの特定の排出トレイからジョブID=10に対応する印刷物を回収し、次に、プリンタBの特定の排出トレイからジョブID=11に対応する印刷物を回収し、次に、プリンタAの別の排出トレイからジョブID=12に対応する印刷物を回収し、・・・等である。
【0064】
図8の画面例において、回収順序が一番目の印刷物を出力するプリンタのアイコンを最も左側に表示してもよい。図8では、一番目の印刷物、すなわちジョブID=10に対応する印刷物はプリンタAから排出されるため、プリンタAのアイコン60を最も左側に表示している。仮に、一番目の印刷物がプリンタBから排出されるのであれば、プリンタBのアイコン62を最も左側に表示してもよい。
【0065】
以上がグループジョブの説明であるが、次に、他の印刷ジョブとしてページ分割ジョブを説明する。
【0066】
図9は、ページ分割ジョブの処理を模式的に示す。ある印刷ジョブのページ数が多い場合、当該印刷ジョブをいくつかのページ数に分割して複数の印刷ジョブを生成し、複数のプリンタに振り分けることで効率良く印刷できる。例えば、図9に示すように、1000ページの印刷ジョブをいくつかのページ数(例えば100ページずつ)に分割して複数の印刷ジョブとし、それぞれの印刷ジョブをプリンタA~プリンタEに振り分けて送信する。この場合も、グループジョブ30の場合と同様に、回収順序を元の印刷ジョブのページ順となるように指定する必要がある。
【0067】
図10は、図7に示すクライアント端末11の画面例において、ユーザがジョブリスト32の中からページ分割ジョブを選択した場合の画面例を示す。プロセッサ10aは、選択されたページ分割ジョブを構成する全ての印刷ジョブのジョブIDに対応する印刷物のアイコンをハイライト表示する。例えば、ページ分割ジョブを構成する印刷ジョブが
ジョブID=1,2,3,4,5
であるとすると、プロセッサ10aは、ユーザからの選択操作に応じて、
ジョブID=1,3,5
はプリンタAで実行されているためプリンタAの排出トレイに関連付けて表示された印刷物のアイコンのうち、
ジョブID=1,3,5
に対応するアイコンをハイライト表示し、かつ、
ジョブID=2,4
はプリンタBで実行されているためプリンタBの排出トレイに関連付けて表示された印刷物のアイコンのうち、
ジョブID=2,4
に対応するアイコンをハイライト表示する。
【0068】
また、アイコンのハイライト表示とともに、ハイライト表示されたアイコン群を対象として、その回収順序をアイコンに関連付けて表示する。図10では、ジョブID=1に対応する印刷物のアイコンに丸数字1を付し、ジョブID=2に対応する印刷物のアイコンに丸数字2を付し、ジョブID=3に対応する印刷物のアイコンに丸数字3を付し、ジョブID=4に対応する印刷物のアイコンに丸数字4を付し、ジョブID=5に対応する印刷物のアイコンに丸数字5を付している。
【0069】
作業者は、画面に丸数字で表示された回収順序を視認し、この回収順序に従って印刷物を回収することで、ページ分割される前の印刷ジョブのページ順通りに印刷物を回収できる。すなわち、作業者は、まずプリンタAの特定の排出トレイからジョブID=1に対応する印刷物を回収し、次に、プリンタBの特定の排出トレイからジョブID=2に対応する印刷物を回収し、次に、プリンタAの特定の排出トレイからジョブID=3に対応する印刷物を回収し、・・・等である。
【0070】
次に、さらに他の印刷ジョブとして部数展開ジョブを説明する。
【0071】
図11は、部数展開ジョブの処理を模式的に示す。多くの部数を印刷する場合、1台のプリンタで印刷すると効率が低下するが、1部ずつの印刷ジョブに分割して複数のプリンタに振り分けることで効率良く印刷できる。また、この場合、何部目であっても内容は同一であるため、回収順序を指定する必要はない。
【0072】
図12は、図7に示すクライアント端末の画面例において、ユーザがジョブリスト32の中から部数展開ジョブを選択した場合の画面例を示す。プロセッサ10aは、選択された部数展開ジョブを構成する全ての印刷ジョブのジョブIDに対応する印刷物のアイコンをハイライト表示する。例えば、部数展開ジョブを構成する印刷ジョブが
ジョブID=1,2,3,4,5
であるとすると、プロセッサ10aは、ユーザからの選択操作に応じて、
ジョブID=1,3,5
はプリンタAで実行されているためプリンタAの排出トレイに関連付けて表示された印刷物のアイコンのうち、
ジョブID=1,3,5
に対応するアイコンをハイライト表示し、かつ、
ジョブID=2,4
はプリンタBで実行されているためプリンタBの排出トレイに関連付けて表示された印刷物のアイコンのうち、
ジョブID=2,4
に対応するアイコンをハイライト表示する。
【0073】
このとき、プロセッサ10aは、部数展開ジョブであるためその回収順序を指定する必要がないと判定し、アイコンに関連付けて丸数字は表示しない。
【0074】
なお、プロセッサ10aは、部数展開ジョブにおいても、予め決められた運用ルールに従って回収順序を指定してもよい。予め決められた運用ルールは、例えば、
・優先度順
・納期順
・回収後の収集場所からの距離順
・作業者の移動距離順
等である。ここで、回収後の収集場所からの距離順とは、回収後の収集場所からの距離が最も近いプリンタが最終回収場所となるような回収順序を意味する。また、作業者の移動距離順とは、作業者の移動距離が最も短くなるような回収順序を意味する。優先度や納期は、JDFに記述することで指定し得る。また、回収後の収集場所からの距離や作業者の移動距離に関しては、プリンタA~プリンタEの情報に含まれるプリンタの設置位置情報を利用し得る。
【0075】
図13は、図12の画面例において、プロセッサ10aが部数展開ジョブにおいて、予め決められ運用ルールに従って回収順序を指定して表示する画面例を示す。図12と同様に、部数展開ジョブを構成する印刷ジョブで出力される印刷物のアイコンをハイライト表示するが、これとともに、回収後の収集場所からの距離順に従って回収順序を丸数字で表示する。プリンタA及びプリンタBにおいて、プリンタBの方が回収後の収集場所に近い位置にある場合、プリンタAの印刷物のアイコンに関連付けて丸数字1,2,3を付し、プリンタBの印刷物のアイコンに関連付けて丸数字4,5を付す。
【0076】
図12及び図13のいずれの表示形態とするかは、印刷管理サーバ10で予め設定してもよく、ユーザが適宜選択し得る構成としてもよい。例えば、デフォルトでは回収順序を指定しないものとし、ユーザの選択により回収順序を表示するように切り替える等である。
【0077】
このように、本実施形態では、印刷管理サーバ10のプロセッサ10aは、印刷ジョブがグループジョブ、ページ分割ジョブ、部数展開ジョブのいずれであるかを判別し、印刷ジョブがグループジョブ及びページ分割ジョブであれば回収順序の指定が必要であると判定してプリンタのどの排出トレイに印刷物が排出されるのかを示すアイコンに関連付けて回収順序を表示し、印刷ジョブが部数展開ジョブであれば回収順序の指定は不要であると判定して回収順序を表示せず、あるいは予め決められた運用ルールに沿った回収順序を表示する。
【0078】
次に、印刷管理サーバ10における処理の全体の流れについて説明する。
【0079】
図14は、印刷管理サーバ10のプロセッサ10aで実行される、プリンタ情報取得処理のフローチャートである。
【0080】
まず、プロセッサ10aは、プリンタグループ24を構成する複数のプリンタ(プリンタA~プリンタE)をスプーラ20に登録する(S101)。具体的には、プリンタの名称や排出トレイの名称等であるが、プリンタの設置位置を含めてもよい
【0081】
次に、プロセッサ10aは、定期的に各プリンタの情報を取得して(S102)、スプーラに登録する(S103)。各プリンタの情報は、具体的には
・プリンタのステータス
・保持ジョブの総ページ数
等である。プロセッサ10aは、これらの情報を定期的に取得して、スプーラ20の登録情報を更新する。
【0082】
図15は、プロセッサ10aで実行される、印刷ジョブの送信処理のフローチャートである。
【0083】
まず、プロセッサ10aは、任意のタイミングで印刷ジョブとしてPDFとJDFをクライアント端末11から受信し、PDFとJDFをスプーラ20に登録するとともに、PDFとJDFに記述された印刷ジョブの種類をスプーラ20に登録する(S201)。印刷ジョブの種類は、少なくとも、
・グループジョブ
・ページ分割ジョブ
・部数展開ジョブ
・その他
である。
【0084】
次に、プロセッサ10aは、ジョブ情報とプリンタ情報から、印刷ジョブを送信するプリンタを決定する(S202)。例えば、印刷ジョブの種類がグループジョブである場合、当該グループジョブを構成する複数の印刷ジョブに分解し、それぞれの印刷ジョブをプリンタ情報に基づいて複数のプリンタA~プリンタEに振り分ける。プロセッサ10aは、プリンタA~プリンタEの中で最も早く印刷できるプリンタに順次印刷ジョブを振り分けていく。エラーステータスのプリンタには印刷ジョブを振り分けない。ページ分割ジョブ、部数展開ジョブ、その他のジョブの場合も同様であり、複数のプリンタA~プリンタEに印刷ジョブを振り分けていく。具体的には、
ジョブID=1、ジョブ名=・・・、ページ数=・・・のジョブをプリンタA
ジョブID=2、ジョブ名=・・・、ページ数=・・・のジョブをプリンタB
ジョブID=3、ジョブ名=・・・、ページ数=・・・のジョブをプリンタC
等である。各印刷ジョブを各プリンタに振り分ける際に、当該プリンタの排出トレイも併せて決定する。プロセッサ10aは、決定された印刷ジョブとプリンタ及びその排出先トレイの組み合わせをスプーラ20に登録する。
【0085】
次に、プロセッサ10aは、PDFとJDFをスプーラ20から取得してMIMEを作成し、S202で決定された各プリンタに印刷ジョブを送信する(S203)。各プリンタは、印刷管理サーバ10からのMIMEを受信し、印刷ジョブを実行して指定された排出先トレイに印刷物を出力する。
【0086】
図16は、プロセッサ10aで実行される、回収順序の表示処理のフローチャートを示す。なお、この処理に先立ち、プロセッサ10aは、スプーラ20に登録された情報を用いてジョブリスト32及びプリンタリスト34を含む表示画面を作成してクライアント端末11の表示装置に表示する。
【0087】
ユーザは、クライアント端末11の表示装置に表示された画面(図7を参照)を視認し、ジョブリスト32の中から所望の印刷ジョブを選択する。
【0088】
プロセッサ10aは、クライアント端末11からユーザの選択操作に応じた選択信号を受信し、ユーザにより選択されたジョブのジョブIDからジョブの種類、送信先プリンタ、排出トレイ、及び運用ルールをスプーラ20から取得する(S301)。
【0089】
なお、運用ルールは予め決められてスプーラ20に登録されており、印刷ジョブのJDFに記述されていればその運用ルールをスプーラ20に登録しておく。
【0090】
次に、プロセッサ10aは、取得したジョブの種類から、ユーザにより選択されたジョブの回収順序を表示する必要があるか否かを判定する(S302)。回収順序の表示が必要であれば(S302でYES)、S301で取得した運用ルールに従って回収順序を仮決定する(S303)。運用ルールが存在しなければ、回収順序は仮決定されない。
【0091】
なお、S303で回収順序を仮決定するのは、グループジョブやページ分割ジョブにおいては、既述したように、運用ルールによらずに本来の送信順序やページ順序に沿った回収順序に修正するためである。
【0092】
また、S302では、印刷ジョブの種類に応じ、グループジョブやページ分割ジョブであれば回収順序の指定が必要であるとしてYESと判定されるが、この処理では部数展開ジョブでも回収順序の指定が必要としてYESと判定する。部数展開ジョブでも運用ルールに従った回収順序を表示するためである。
【0093】
次に、印刷ジョブがグループジョブか、あるいはページ分割ジョブかを判別する(S304)。印刷ジョブがグループジョブか、あるいはページ分割ジョブであれば、プロセッサ10aは、グループジョブの場合に同じグループの印刷ジョブの情報を取得し、ページ分割ジョブの場合にページ分割された印刷ジョブの情報を取得して、S303で仮決定された回収順序を修正する(S305)。
【0094】
次に、印刷ジョブがグループジョブでもページ分割ジョブでもない場合(S304でNO)、次に、部数展開ジョブかを判別する(S306)。印刷ジョブが部数展開ジョブであれば、プロセッサ10aは、同じ部数展開されたジョブの情報を取得し、S303で仮決定された回収順序を修正する(S307)。
【0095】
例えば、S303において、予め決められた運用ルールが「出力順」であるとする。この場合、S303において、印刷ジョブの種類によらず、全ての印刷物の回収順序として「出力順」が仮決定される。そして、印刷ジョブがグループジョブであれば、グループジョブを構成する複数の印刷ジョブの送信順序(図5を参照)に従った回収順序に修正される。また、印刷ジョブがページ分割ジョブであれば、ページ分割ジョブを構成する複数の印刷ジョブのページ順序(図9参照)に従った回収順序に修正される。さらに、印刷ジョブが部数展開ジョブであり、JDFに記述された運用ルールが回収後の収集場所からの距離順であれば、そうなるように回収順序が修正される。勿論、S303における予め決められた運用ルールと、部数展開ジョブの運用ルールが一致する場合には、S307で修正する必要はなくそのまま維持される。
【0096】
以上のようにして回収順序を適宜修正した後、プロセッサ10aは、ユーザにより選択されたジョブとそのジョブに関連するジョブID、回収順序、プリンタ情報を用いて表示画面情報を作成しクライアント端末11に返す(S308)。クライアント端末11は、プロセッサ10aで作成された情報を表示装置に表示する。
【0097】
このようにして作成された表示画面の一例が図8に示す画面であり、ユーザにより選択された印刷ジョブがジョブリスト32内においてハイライト表示され、ユーザにより選択されたグループジョブに対応する、プリンタ情報(印刷ジョブを実行するプリンタA
のアイコン60、プリンタBのアイコン62、プリンタの排出トレイと関連付けて表示される印刷物のアイコン64、印刷ジョブに対応するアイコン64のハイライト表示)、ジョブID(アイコン内に表示されるジョブID)、回収順序(ハイライト表示されるアイコン64の近傍に表示される丸数字)がプリンタリスト34に表示される。
【0098】
なお、ユーザにより選択された印刷ジョブのジョブリスト32内のハイライト表示と、プリンタリスト34内の印刷物のハイライト表示を統一する(例えば同色とする)ことが好適であろう。
【0099】
作業者は、クライアント端末に表示されたジョブID、回収順序、プリンタ情報を確認し、指定された回収順序に従って印刷物を回収できる。
【0100】
また、S302でNO、つまり回収順序を表示する必要がない場合には、プロセッサ10aは、単にユーザにより選択されたジョブとそのジョブに関連するジョブIDとプリンタ情報をクライアント端末11に返す(S309)。
【0101】
図17は、S303で仮決定された回収順序の一例を示す。ジョブID=001,0010,0020の3つの印刷ジョブがあり、これらの回収順序として、出力順に、
ジョブID 回収順序
0001 1
0010 2
0020 3
と仮決定される。ここで、ジョブID=0010で特定される印刷ジョブの種類がグループジョブであるとする。
【0102】
図18は、S305で修正された回収順序の一例を示す。ジョブID=0010で特定される印刷ジョブがグループジョブであるため、そのグループジョブを構成するジョブID=0011,0012,0013が新たに追加されるとともに、その回収順序が新たに設定されて全体の回収順序が修正される。グループジョブを構成する印刷ジョブの回収順序は連続的であり、ジョブID=0020で特定される印刷ジョブの回収順序は回収順序が「3」から「6」に修正されている。
【0103】
図16の処理フローチャートにおいて、S303、S306及びS307を削除し、S304及びS305にてグループジョブ及びページ分割ジョブで回収順序を指定し、部数展開ジョブを含むそれ以外のジョブでは回収順序を指定しないように処理してもよい。
【0104】
以上説明したように、本実施形態では、印刷ジョブの種類に応じ、印刷ジョブを複数のプリンタで実行した場合の印刷物の回収順序の指定が必要か否かを判定し、回収順序の指定が必要である場合に、印刷物の回収順序をジョブ単位で表示装置に表示するので、印刷効率を維持しつつ作業者が印刷物を適正な順序で回収し得る。
【0105】
本実施形態では、印刷ジョブの種類をJDFに記述された情報から取得しているが、ユーザが別途入力した情報から取得してもよい。
【0106】
<変形例1>
実施形態では、クライアント端末11に、ジョブID、回収順序、プリンタ情報を表示しているが、これに加えてさらに、作業者が印刷物を回収することを容易化するための補助情報を表示してもよい。
【0107】
図19は、クライアント端末11の画面例を示す。画面上段にジョブリスト32,画面下段にプリンタリスト34が表示されるとともに、これに加えて画面上段の右側にジョブのプロパティ66が表示される。このジョブのプロパティ66には、印刷ジョブのサムネイルが表示される。作業者は、ジョブプロパティ66に表示されたサムネイルを視認することで印刷物のイメージを確認できるので、当該印刷物の回収ミスが防止される。
【0108】
<変形例2>
実施形態では、クライアント端末11に、ジョブID、回収順序、プリンタ情報を表示しているが、これに加えてさらに、作業者による印刷物の回収の進捗状況を表示してもよい。
【0109】
印刷ジョブが部数展開ジョブであり、プロセッサ10aは、図13に示すようなジョブリスト32及びプリンタリスト34を表示するとともに、印刷物のアイコンに関連付けて丸数字1~丸数字5で示す回収順序を表示する。
【0110】
作業者が、図13に示す回収順序に従ってプリンタAの排出トレイから印刷物を回収すると、排出トレイのセンサによって印刷物の回収を検知し、印刷管理サーバ10に回収検知信号を送信する。プロセッサ10aは、センサからの回収検知信号を受信し、プリンタAの印刷物が回収されたものと判定して、図20に示すように、プリンタAの排出トレイに関連付けて表示された印刷物のアイコンの表示を変化させる。表示の変化態様は任意であり、ハイライト表示の色を変える、アイコンの形状を変える等である。例えば、回収された印刷物に対応するアイコンの色を青色から黄色に変化させる。また、図20では、回収された印刷物に対応するアイコンの色を変化させ、そのアイコンに関連付けて表示された丸数字1~丸数字3の回収順序の表示はそのまま維持しているが、既に回収されたことを反映させてこれらの丸数字1~丸数字3を削除することで回収順序を更新してもよい。
【0111】
作業者が、回収順序に従ってプリンタAの排出トレイからの印刷物の回収をさらに進め、全ての印刷物の回収が終了すると、プロセッサ10aは、センサからの回収検知信号を受信し、プリンタA及びプリンタBの全ての印刷物が回収されたものと判定して、図21に示すように、当該印刷ジョブの全ての印刷物のアイコン及び回収順序を示す丸数字を削除する(非表示とする)。
【0112】
<変形例3>
実施形態において、グループジョブ30は、その送信順序が決められているので、プリンタが受信する順番が保証されるため、印刷管理サーバ10は送信順序を考慮し、回収順序決定していたが、回収順序の決定方法はこれに限られない。例えば、グループジョブ30についてのJDFに印刷順序に関する情報を記述しておき、その記述をもとに回収順序を決定してもよい。
【0113】
なお、上記の実施形態及び変形例において、プロセッサとは広義的なプロセッサを指し、汎用的なプロセッサ(例えば CPU Central Processing Unit等)や、専用のプロセッサ(例えばGPU Graphics Processing Unit、ASIC Application Specific Integrated Circuit 、 FPGA Field Programmable Gate Array、プログラマブル論理デバイス等)を含むものである。また、上記の実施形態及び変形例におけるプロセッサの動作は、1つのプロセッサによって成すのみでなく、物理的に離れた位置に存在する複数のプロセッサが協働して成すものであってもよい。また、プロセッサの各動作の順序は実施形態及び変形例において記載した順序のみに限定されるものではなく、適宜変更してもよい。
【符号の説明】
【0114】
10 印刷管理サーバ、11 クライアント端末、12 受信部、14 データ解析部、16 送信部、18 プリンタ情報取得部、20 スプーラ、22 表示解析部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21