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特開2024-111482キャンドルおよびキャンドルの製造方法
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  • 特開-キャンドルおよびキャンドルの製造方法 図1
  • 特開-キャンドルおよびキャンドルの製造方法 図2
  • 特開-キャンドルおよびキャンドルの製造方法 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024111482
(43)【公開日】2024-08-19
(54)【発明の名称】キャンドルおよびキャンドルの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C11C 5/00 20060101AFI20240809BHJP
   C10L 5/44 20060101ALI20240809BHJP
【FI】
C11C5/00
C10L5/44
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023016014
(22)【出願日】2023-02-06
(71)【出願人】
【識別番号】503339395
【氏名又は名称】有限会社ビー・クリエイト
(74)【代理人】
【識別番号】100103872
【弁理士】
【氏名又は名称】粕川 敏夫
(74)【代理人】
【識別番号】100088856
【弁理士】
【氏名又は名称】石橋 佳之夫
(74)【代理人】
【識別番号】100149456
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 喜幹
(74)【代理人】
【識別番号】100194238
【弁理士】
【氏名又は名称】狩生 咲
(74)【代理人】
【識別番号】100205648
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 真一
(72)【発明者】
【氏名】吉澤 靖史
【テーマコード(参考)】
4H015
4H059
【Fターム(参考)】
4H015AA13
4H015AA18
4H015AB01
4H015AB05
4H015BA01
4H015BA13
4H015CA10
4H015CB02
4H015CB04
4H059BC19
4H059DA18
4H059DA20
(57)【要約】
【課題】照明として利用し、その後は薪として利用できるキャンドルおよびキャンドルの製造方法を得る。
【解決手段】木片からなる基体1に底12付きの穴11があり、穴11にはワックス2が充填され、ワックス2の内部から基体1の外部に向かって芯材3が立ち上がっている。木片からなる基体1に底12付きの穴11を空ける工程と、穴11に芯材3を立ててワックス2を充填する工程と、芯材3がワックス2の内部から基体1の外部に向かって立ち上がった状態でワックス2を固化させる工程と、を有するキャンドルの製造方法。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
木片からなる基体に底付きの穴があり、
前記穴にはワックスが充填され、
前記ワックスの内部から前記基体の外部に向かって芯材が立ち上がっているキャンドル。
【請求項2】
前記穴は前記基体に1個または複数個あり、前記穴ごとにワックスが充填され前記ワックスから芯材が立ち上がっている請求項1記載のキャンドル。
【請求項3】
前記基体は、燃料に供することができる薪又は廃材である請求項1または2記載のキャンドル。
【請求項4】
木片からなる基体に底付きの穴を空ける工程と、
前記穴に芯材を立ててワックスを充填する工程と、
芯材が前記ワックスの内部から前記基体の外部に向かって立ち上がった状態で前記ワックスを固化させる工程と、
を有するキャンドルの製造方法。
【請求項5】
前記穴を空ける工程では1個の基体に対して1個または複数個の前記穴を空け、それぞれの前記穴において前記ワックスを充填する工程および前記ワックスを固化させる工程を実行する請求項4記載のキャンドルの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木片を利用したキャンドルおよびキャンドルの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
アウトドアにおけるレジャーの一つとしてキャンプがある。キャンプの楽しみの一つとしてキャンプファイアがある。キャンプファイアは薪を積み上げてこれを燃やすもので、薪は炊飯にも用いられる。薪はアウトドア用品店などで購入することができる。
【0003】
キャンプなどアウトドアで活動する場合の夜間照明として、電気を利用したランプや油を燃料としたランプに代えて、あるいはこれらのランプとともにキャンドル(日本の伝統的な名称は「蝋燭」)がよく用いられる。
【0004】
薪もキャンドルも、機能を果たしながら消耗し、最後は消滅する。薪もキャンドルも燃焼して消滅するものであるから、両方の機能を兼ね備えたものが考えられないだろうか、という発想が本願発明の契機となっている。かかる発想をもとにした発明について調査した結果、比較的近いものとして、以下の特許文献1と特許文献2に記載されている発明があることが分かった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6971429号公報
【特許文献2】実用新案登録第3152331号公報
【0006】
特許文献1記載の発明は、焚き火用材料に関するもので、焚き火用材料の上下方向(木目方向)に、切込みと、着火開始用開口と、炎色反応剤収容穴を設け、炎色反応剤収容穴に炎色反応剤を収容したものである。着火開始用開口に小枝、綿、紙などの着火剤を挿入して着火する。燃焼が進むと炎色反応剤に延焼し、炎色反応剤に含まれる発色剤に対応した色の炎が出る。
【0007】
特許文献2記載の発明は、着火材に関するもので、複数本の細木片群を束ね、細木片群の中に着火しやすい芯材を挟み込んで芯材の一端部を細木片群の束から突出させたものである。細木片群は紙製の管で結束し、この管と芯材を含む細木片群全体の表面に蝋を付着させて燃焼しやすいようにしている。
【0008】
特許文献1記載の発明は、燃焼によって出る炎の色を変化させて演出効果をもたらすことを狙ったものであり、木材を燃焼させるとき周囲を照明することができる。特許文献2記載の発明は、火を起こす最初の段階で、焚き火材料などへの着火を容易にすることができる。
【0009】
特許文献1記載の発明も特許文献2記載の発明も、材料そのものを燃焼させるものであって、材料そのものを燃焼させる前に、あるいは材料を燃焼させることなくキャンドルとしての機能をもたせるという発想はない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、照明として利用することができ、照明として利用した後は薪として利用することもできるキャンドルおよびキャンドルの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係るキャンドルは、
木片からなる基体に底付きの穴があり、
前記穴にはワックスが充填され、
前記ワックスの内部から前記基体の外部に向かって芯材が立ち上がっていることを特徴とする。
【0012】
本発明に係るキャンドルの製造方法は、
木片からなる基体に底付きの穴を空ける工程と、
前記穴に芯材を立ててワックスを充填する工程と、
芯材が前記ワックスの内部から前記基体の外部に向かって立ち上がった状態で前記ワックスを固化させる工程と、
を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、木片をキャンドルとして利用することができる。木片は、薪、あるいは木工所や建築現場から出る廃材を再利用することができる。従来、薪や廃材は燃やされるだけであったが、本発明によれば、薪や廃材などの木片を燃やす前にキャンドルとして機能させることができるため、資源を有効に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係るキャンドルの一実施例を示す斜視図である。
図2】上記実施例の正面断面図である。
図3】本発明に係るキャンドルの別の実施例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係るキャンドルおよびキャンドル製造方法の実施例について図面を参照しながら説明する。
【実施例0016】
図1および図2において、符号1はキャンドルの基体を示している。この実施例における基体1は長いブロック状の部材であって、例えば、適宜の長さに輪切りにした木材を縦方向(木目方向)に割って適宜の大きさに分割した木片である。基体1は薪として燃やすことができる。この実施例では基体の上面側が表皮13で覆われているが、木材を割る位置によっては表皮13のないものもある。
【0017】
基体1には円筒状の穴11が設けられている。図1図2の例では基体1に3個の穴11が設けられている。3個の穴11は等間隔に設けてもよいし、不規則な間隔で設けてもよい。1個の基体1に設ける穴11の数は任意で、1個だけでもよい。孔11は基体1を突き抜ける穴ではなく、底12付きの穴である。基体1に底12付きの穴11を設けるには、木工用ドリルを用いることもできるが、底12を平らにした状態で穴11を設けることが望ましいので、例えば、フォスナービットと呼ばれている工具などを用いるとよい。
【0018】
穴11にはワックス2が充填されている。ワックス2は、日本では「蝋」、「ろう」あるいは「ロウ」といわれるもので、原材料の種類や香りの違いなどで様々な種類があり、それぞれに燃焼の違いがある。本発明に使用するワックス2の種類は問わない。ワックスは加熱することによって液状になり、液状のワックスを穴11に流し込み、冷却させて固化させることにより、穴11に充填することができる。
【0019】
穴11の中心部には、芯材3が立てられている。芯材3はワックス2の内部から基体1の外部に向かって立ち上がり、芯材3の先端部はワックス2の上面から突出している。この実施例では、薄板状の芯材3が用いられている。芯材3は、熱で液状になったワックス2を吸い上げてワックスを燃焼させる役割を持っている。燃焼したワックスは気体となって放散する。芯材3は一般的には木綿を編み込んで作られ、図示の実施例のように薄板状に形成したものを用いてもよいし、多くのキャンドルに見られるような丸型のものを用いてもよい。芯材3として、座金付きのものを用いてもよいし、座金のないものを用いてもよい。
【0020】
基体1は木片からなり、燃料用の薪として使用することができるものである。本実施例では、このような木片からなる基体1に底付きの穴11を設け、穴11にワックス2を充填し、ワックス2から芯材3を立ち上がらせることにより、キャンドルと同様の構成を持たせた。したがって、芯材3の先端部に着火させることによりキャンドルとして機能し、周辺を照明することができる。図1において、符号4はキャンドルの炎を示している。ワックス2が燃焼し尽くした後は基体1を薪として利用することができる。
【0021】
ワックス2が燃え尽くすと、炎4は自然に消滅する。ワックス2の炎が基体1に延焼することもあり得るので、不燃性の台などにおいて使用するのが望ましい。ワックス2が燃焼した後の穴11に再びワックス2を充填し芯材3を立てて再びキャンドルとしてもよい。
【0022】
このように、本発明の実施例に係るキャンドルによれば、廃棄処分され、あるいは薪として燃料に供される木片からなる基体1を、これらの処分前にキャンドルとして活用するため、資源を有効に利用することができる。
【0023】
次に、図1図2に示すキャンドルの実施例の製造方法について説明する。第1番目の工程として基体1に、既に述べたような適宜の工具を用いて底付きの穴11を空ける工程を実行する。次に、穴11に芯材3を立ててワックス2を充填する工程を実行する。さらに、芯材3がワックス2の内部から基体1の外部に向かって立ち上がった状態でワックス2を固化させる工程を実行する。
【0024】
穴11に芯材3を立ててワックス2を充填する工程では、加熱することによって液状になったワックス2を穴11に流し込むことによって実行することができる。ワックス2を穴11に流し込む前に芯材3を穴11内に立てておいてもよいし、穴11にワックス2を流し込んだ後、ワックス2が固化する前に、芯材3をワックス2内に沈ませるようにして芯材3を立ててもよい。
【実施例0025】
次に、図3に示すキャンドルの第2実施例について説明する。この実施例が図1図2に示す第1実施例と異なる点の一つは、ブロック状の木材からなる基体10であり、1個の基体10に1個の穴110が空けられている点である。穴110は底120付きの穴であり、穴110にはワックス20が充填され、ワックス20の内部から基体10の外部に向かって芯材30が立ち上がっている。したがって、1個の基体10に対して1個のキャンドルとしての機能が組み込まれている。
【0026】
基台10は、例えば、木工所や建設現場などにおいて端材として廃棄され、あるいは燃料として供されるものを想定している。このような基台10の最終処分の前にキャンドルとしての機能を持たせることができる。
【0027】
以上説明した本発明に係るキャンドルの実施例によれば、木片を最終処分する前にキャンドルとして利用することができる。木片からなる基体は、薪、あるいは木工所や建築現場から出る廃材を再利用することができる。従来、薪や廃材は燃やされるだけ、あるいは廃棄されるだけであったが、本発明の実施例によれば、薪や廃材などの木片を燃やしあるいは廃棄する前にキャンドルとして機能させることができるため、資源を有効に利用することができる。
【0028】
本発明に係るキャンドルは、例えば、キャンプなどのアウトドアにおいて照明として利用することができ、照明として利用し終わった後の基体は、キャンプファイアや、炊飯用の薪として利用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明に係るキャンドルは、アウトドア用品店、ホムセンター、キャンプ場などにおいて販売することができる。販売するときの形態は、1個のみでもよいが、図1図2に示すような基体1が長い形状の場合は複数本を束ねてもよい。複数本を束ねる場合、少なくとも1本を本発明に係るキャンドルとし、そのほかは薪としてもよい。つまり、薪の束の中にキャンドルとして使用可能な薪すなわち本発明に係るキャンドルを混入させて販売してもよい。
【符号の説明】
【0030】
1 基体
2 ワックス
3 芯材
4 炎
11 穴
12 底
10 基体
20 ワックス
30 芯材
図1
図2
図3