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特開2024-111484情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024111484
(43)【公開日】2024-08-19
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/418 20060101AFI20240809BHJP
   G06Q 50/04 20120101ALI20240809BHJP
   G06N 20/00 20190101ALI20240809BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
G06Q50/04
G06N20/00 130
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023016018
(22)【出願日】2023-02-06
(71)【出願人】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木村 克行
【テーマコード(参考)】
3C100
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
3C100AA29
3C100AA38
3C100AA57
3C100BB05
3C100BB12
3C100BB13
3C100BB17
3C100BB19
3C100BB27
3C100CC02
3C100CC03
5L049CC03
5L050CC03
(57)【要約】
【課題】製造ラインに適用される学習済モデルの再学習すべきタイミングを把握できる情報処理装置を提供する。
【解決手段】情報処理装置は、教師データセットの状態データが取得されたときの製造ラインに関わる1以上の要素の属性を示す第1属性データに基づいて、学習期間における1以上の要素の属性の偏りを評価する第1評価部を備える。1以上の要素は、5M1Eのうちの少なくとも1つを含む。情報処理装置は、さらに、対象期間における互いに異なる複数のタイミングの各々における1以上の要素の属性を示す第2属性データに基づいて、対象期間における1以上の要素の属性の偏りを評価する第2評価部と、評価結果を出力する出力部とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
製造ラインの状態を示す状態データの入力を受けて、目的変数の予測値を出力する学習済モデルを評価する情報処理装置であって、
前記学習済モデルは、学習期間における前記状態データを含む複数の教師データセットを用いて生成され、前記情報処理装置は、
前記複数の教師データセットの各々の前記状態データが取得されたときの前記製造ラインに関わる1以上の要素の属性を示す第1属性データに基づいて、前記学習期間における前記1以上の要素の属性の偏りを評価する第1評価部を備え、前記1以上の要素は、人、機械、方法、材料、環境、及び管理のうちの少なくとも1つを含み、前記情報処理装置は、さらに、
前記学習期間より後の対象期間における互いに異なる複数のタイミングの各々における前記1以上の要素の属性を示す第2属性データに基づいて、前記対象期間における前記1以上の要素の属性の偏りを評価する第2評価部と、
前記第1評価部による第1評価結果と前記第2評価部による第2評価結果とを出力する出力部とを備える、情報処理装置。
【請求項2】
前記第1評価結果は、前記学習期間における前記1以上の要素の属性ごとの第1公平性指標を含み、
前記第2評価結果は、前記対象期間における前記1以上の要素の属性ごとの第2公平性指標を含む、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記出力部は、前記第1評価結果及び前記第2評価結果を含む画面を示す画面データを出力し、
前記画面において、前記第1公平性指標との差が基準を超える前記第2公平性指標に対応する属性が強調表示される、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記画面は、前記学習期間及び前記対象期間における、前記予測値または前記予測値を決定するために前記学習済モデルによって計算されるスコアの経時変化を示すグラフを含み、
前記グラフにおいて、前記複数の教師データセットが取得された学習期間と、前記対象期間とが区別可能に表示される、請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記画面は、前記学習期間及び前記対象期間における、前記予測値または前記予測値を決定するために前記学習済モデルによって計算されるスコアの経時変化を示すグラフを含み、
前記対象期間は、前記グラフから指定される、請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記画面は、前記学習期間及び前記対象期間における、前記1以上の要素の前記属性の経時変化を示すグラフを含む、請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記第1公平性指標との差が基準を超える前記第2公平性指標に対応する属性を示す前記第2属性データと同じタイミングの前記状態データを含む追加の教師データセットを用いた再学習を行なうことにより、前記学習済モデルを更新するモデル生成部をさらに備える、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項8】
製造ラインの状態を示す状態データの入力を受けて、目的変数の予測値を出力する学習済モデルを評価する情報処理方法であって、
前記学習済モデルは、学習期間における前記状態データを含む複数の教師データセットを用いて生成され、前記情報処理方法は、
前記複数の教師データセットの各々の前記状態データが取得されたときの前記製造ラインに関わる1以上の要素の属性を示す第1属性データに基づいて、前記学習期間における前記1以上の要素の属性の偏りを評価することを備え、前記1以上の要素は、人、機械、方法、材料、環境、及び管理のうちの少なくとも1つを含み、前記情報処理方法は、さらに、
前記学習期間より後の対象期間における互いに異なる複数のタイミングの各々における前記1以上の要素の属性を示す第2属性データに基づいて、前記対象期間における前記1以上の要素の属性の偏りを評価することと、
前記学習期間に対する第1評価結果と前記対象期間に対する第2評価結果とを出力することとを備える、情報処理方法。
【請求項9】
請求項8に記載の情報処理方法をコンピュータに実行させる、情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、様々な用途に、機械学習によって生成された学習済モデルが適用されている。学習済モデルの生成のために使用された教師データとは異なる状況下で取得されたデータが学習済モデルに入力された場合、学習済モデルの予測精度が低下し得る。これは、実際の状況下で取得されるデータと比較して教師データに偏りがあるために、学習済モデルの結果にも偏りが反映されるというバイアス問題に起因する。
【0003】
特開2021-179974号公報(特許文献1)には、このようなバイアスを緩和する技術が開示されている。当該技術は、タスク特有の質問に対応するユーザ応答に基づいて、バイアスのセットとバイアスを緩和するための妥当なアクションのセットとを表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-179974号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
製造ラインにおいても、例えば品質判定及び工場KPI(Key Performance Indicators)などの予測のために学習済モデルが活用されている。製造ラインの状況は、時間とともに変化し得る。そのため、製造ラインの状況の変化に従って、学習期間に取得された教師データを用いて生成された学習済モデルの予測精度が低下し得る。
【0006】
学習済モデルの予測精度の低下を抑制する手法として、追加の教師データを用いた再学習が知られている。そのため、適切なタイミングで学習済モデルを再学習することが望まれる。しかしながら、特許文献1に開示の技術は、製造ラインへの適用を考慮していない。そのため、ユーザは、製造ラインに適用される学習済モデルの再学習すべきタイミングがわからない。
【0007】
本開示は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、製造ラインに適用される学習済モデルの再学習すべきタイミングを把握できる情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一例によれば、情報処理装置は、製造ラインの状態を示す状態データの入力を受けて、目的変数の予測値を出力する学習済モデルを評価する。学習済モデルは、学習期間における状態データを含む複数の教師データセットを用いて生成される。情報処理装置は、複数の教師データセットの各々の状態データが取得されたときの製造ラインに関わる1以上の要素の属性を示す第1属性データに基づいて、学習期間における1以上の要素の属性の偏りを評価する第1評価部を備える。1以上の要素は、人、機械、方法、材料、環境、及び管理のうちの少なくとも1つを含む。情報処理装置は、さらに、第2評価部と、出力部とを備える。第2評価部は、学習期間より後の対象期間における互いに異なる複数のタイミングの各々における1以上の要素の属性を示す第2属性データに基づいて、対象期間における1以上の要素の属性の偏りを評価する。出力部は、第1評価部による第1評価結果と第2評価部による第2評価結果とを出力する。
【0009】
この開示によれば、学習期間及び対象期間の各々において、製造ラインに関わる人、機械、方法、材料、環境、及び管理のうちの少なくとも1つを含む1以上の要素の属性の偏りが評価される。そのため、ユーザは、第1評価結果と第2評価結果とを比較することにより、学習期間と対象期間との間の1以上の要素の属性の偏りの変化を確認できる。当該偏りの変化が見られる場合、対象期間において、学習期間に取得された教師データセットを用いて生成された学習済モデルの予測精度が低下していることが予想される。従って、ユーザは、学習済モデルを再学習すべきタイミングを適切に把握できる。
【0010】
上述の開示において、第1評価結果は、学習期間における1以上の要素の属性ごとの第1公平性指標を含む。第2評価結果は、対象期間における1以上の要素の属性ごとの第2公平性指標を含む。
【0011】
この開示によれば、第1,第2公平性指標に基づいて、学習期間及び対象期間における1以上の要素の属性の偏りを容易に把握できる。
【0012】
上述の開示において、出力部は、第1評価結果及び第2評価結果を含む画面を示す画面データを出力する。画面において、第1公平性指標との差が基準を超える第2公平性指標に対応する属性が強調表示される。
【0013】
この開示によれば、ユーザは、強調表示された属性のときの製造ラインの状態を示す状態データを入力したときの学習済モデルの予測精度が低下し得ることを認識できる。そのため、ユーザは、学習済モデルの再学習のための追加の教師データセットとして、強調表示された属性のときの状態データを含むデータセットを選択できる。
【0014】
上述の開示において、画面は、学習期間及び対象期間における、予測値または予測値を決定するために学習済モデルによって計算されるスコアの経時変化を示すグラフを含む。グラフにおいて、複数の教師データセットが取得された学習期間と対象期間とが区別可能に表示される。
【0015】
この開示によれば、ユーザは、学習期間及び対象期間における予測値またはスコアの経時変化を容易に比較でき、学習済モデルの予測精度の低下を早期に気付くことができる。
【0016】
上述の開示において、画面は、学習期間及び対象期間における、予測値または予測値を決定するために学習済モデルによって計算されるスコアの経時変化を示すグラフを含む。対象期間は、グラフから指定される。
【0017】
この開示によれば、ユーザは、予測値またはスコアの経時変化に異常が見られる期間を対象期間として指定することができる。
【0018】
上述の開示において、画面は、学習期間及び対象期間における、1以上の要素の属性の経時変化を示すグラフを含む。
【0019】
この開示によれば、ユーザは、学習期間と対象期間との属性の偏りを把握しやすくなる。
【0020】
上述の開示において、情報処理装置は、第1公平性指標との差が基準を超える第2公平性指標に対応する属性を示す第2属性データと同じタイミングの状態データを含む追加の教師データセットを用いた再学習を行なうことにより、学習済モデルを更新するモデル生成部をさらに備える。この開示によれば、学習済モデルの予測精度の低下が自動的に抑制される。
【0021】
本開示の別の例によれば、情報処理方法は、製造ラインの状態を示す状態データの入力を受けて、目的変数の予測値を出力する学習済モデルを評価する。学習済モデルは、学習期間における状態データを含む複数の教師データセットを用いて生成される。情報処理方法は、複数の教師データセットの各々の状態データが取得されたときの製造ラインに関わる1以上の要素の属性を示す第1属性データに基づいて、学習期間における1以上の要素の属性の偏りを評価することを備える。1以上の要素は、人、機械、方法、材料、環境、及び管理のうちの少なくとも1つを含む。情報処理方法は、さらに、学習期間より後の対象期間における互いに異なる複数のタイミングの各々における1以上の要素の属性を示す第2属性データに基づいて、対象期間における1以上の要素の属性の偏りを評価することと、学習期間に対する第1評価結果と対象期間に対する第2評価結果とを出力することとを備える。
【0022】
本開示のさらに別の例によれば、プログラムは、上記の情報処理方法をコンピュータに実行させる。
【0023】
これらの開示によっても、製造ラインに適用される学習済モデルの再学習すべきタイミングを把握できる。
【発明の効果】
【0024】
本開示によれば、製造ラインに適用される学習済モデルの再学習すべきタイミングを把握できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】実施の形態に係る情報処理装置の一形態である解析装置を含む生産システムの一例を模式的に例示する図である。
図2】実施の形態に係る解析装置のハードウェア構成の一例を模式的に例示する図である。
図3】実施の形態に係るPLCのハードウェア構成の一例を模式的に例示する図である。
図4】実施の形態に従うMESサーバのハードウェア構成の一例を模式的に例示する図である。
図5】データセットの一例を示す図である。
図6】データセットの別の例を示す図である。
図7】モデル評価部によって評価される公平性指標の一例を示す図である。
図8】モデル評価部によって評価される公平性指標の別の例を示す図である。
図9】モデル評価部によって評価される公平性指標のさらに別の例を示す図である。
図10】実施の形態に係る解析装置の処理の流れの一例を示す図である。
図11】評価結果を含む画面の一例を示す図である。
図12】変形例3に係る生産システムの構成を模式的に示す図である。
図13】解析装置1Cから出力される画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中の同一または相当部分については、同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0027】
§1 適用例
図1は、実施の形態に係る情報処理装置の一形態である解析装置を含む生産システムの一例を模式的に例示する図である。図1に示すように、実施の形態に係る生産システム100は、解析装置1と、PLC(Programmable Logic Controller)2と、製造ライン3と、MES(Manufacturing Execution System)サーバ4と、を備える。
【0028】
製造ライン3は、何らかの物を製造可能であればよく、複数の機器31で構成されてもよいし、包装機等の1つの機器31で構成されてもよい。機器31は、製造工程の何らかの処理を実施可能であればよい。機器31は、例えば、サーボモータ、コンベア、ロボットアーム、シリンダ(成形機等)、吸着パッド、カッター装置、シール装置等の製造装置又はその製造装置の一部で構成されてよい。機器31は、例えば、印刷機、実装機、リフロー炉、基板検査装置等の複合装置であってもよい。機器31は、上記のような何らかの物理的な動作を伴う装置の他に、例えば、各種センサにより何らかの情報を検知する装置、各種センサからデータを取得する装置、取得したデータから何らかの情報を検知する装置、取得したデータを情報処理する装置等の内部処理を行なう装置を含んでもよい。具体例として、コンベアを流れる対象物に付与されたマークを検知する光学センサを備える製造ラインにおいて、当該光学センサ及び光学センサにより検知した情報を利用する装置が各機器31として取り扱われてよい。
【0029】
PLC2は、予め作成された制御プログラム222に従って、製造ライン3の動作を制御するための制御演算を実行する。
【0030】
PLC2は、製造ライン3の動作を制御するために、予め定められた制御周期毎に入出力データ(以下、「IOデータ224」と称する)を取得(収集)するデータ収集部212を備える。IOデータ224は、各機器31からPLC2へ転送されるデータと、制御演算によって算出される各種のデータとを含む。例えば、IOデータ224は、各機器31の状態(例えば、トルク、速度、加速度、温度、電流、電圧、空圧、圧力、流量、位置、寸法など)を示すデータ、及び、製造された製品の品質を示すデータなどを含む。各機器31の状態を示すデータには、当該機器31への指令値を示すデータも含まれる。
【0031】
MESサーバ4は、予め作成された生産計画に従って、PLC2に対する製造指示の出力、PLC2から出力されたIOデータ224の管理、作業者への指示及び支援などを行なう。
【0032】
さらに、MESサーバ4は、一定周期(例えばPLC2の制御周期)ごとの、製造ライン3に関わる1以上の要素の属性を示す属性データ424を管理する。属性データ424は、対応する周期における製造ライン3の5M1E(Man(人),Machine(機械),Method(方法),Material(材料),Management(管理),Environment(環境))の少なくとも1つの属性を示す。例えば、属性データ424は、製造ライン3の作業者、製造ライン3において稼働している設備、製造ライン3の製造条件、製造ライン3に投入されている材料のロット、製造ライン3のレイアウト、製造ライン3の周囲の温度などの属性を示す。さらに、属性データは、製造ライン3において生産されている製品の属性(品種)を示してもよい。
【0033】
解析装置1は、製造ライン3の状態を示す状態データの入力を受けて、目的変数の予測値を出力する学習済モデル110を評価する。目的変数は、例えば製品の品質及び工場KPIなどである。工場KPIとして、例えば、生産レート(=生産量/生産時間)、平均故障時間(Mean Time To Failure(MTTF))(=総稼働時間/故障数)などが挙げられる。なお、目的変数の値は、数値であってもよいし、文字列であってもよい。
【0034】
学習済モデル110は、一定周期(例えばPLC2の制御周期)ごとに状態データの入力を受け、目的変数の予測値を出力する。具体的には、学習済モデル110は、状態データの入力を受けると、目的変数の予測値を決定するためのスコアを計算する。学習済モデル110は、スコアに応じた予測値を出力する。学習済モデル110から出力された目的変数の予測値は、例えば、PLC2の制御演算に使用され得る。
【0035】
図1に示すように、解析装置1は、データ取得部112と、モデル生成部114と、モデル評価部116と、出力部118と、データベース120とを備える。
【0036】
データ取得部112は、IOデータ224及び属性データ424を時系列に基づいて互いに対応付けることにより複数のデータセットを取得し、取得したデータセットをデータベース120に格納する。データ取得部112は、第1取得部112Aと第2取得部112Bとを含む。
【0037】
第1取得部112Aは、学習期間における複数のデータセット120Aを取得する。学習期間は、例えば、ユーザによって指定される。
【0038】
第2取得部112Bは、学習期間より後の運用期間における複数のデータセット120Bを取得する。なお、第2取得部112Bは、運用期間中の一部の対象期間における複数のデータセット120Bのみを取得してもよい。対象期間は、運用期間の中から自動的にまたはユーザ指定によって選択される。例えば、直近の所定長さ(例えば1時間)の期間が対象期間として自動的に選択される。
【0039】
データセット120Aは、学習期間における、製造ライン3の状態を示す状態データ122Aと、目標変数の実測値を示す正解データ123Aと、属性データ124Aとを含む。データセット120Bは、運用期間における、製造ライン3の状態を示す状態データ122Bと、目標変数の実測値を示す正解データ123Bと、属性データ124Bとを含む。状態データ122A及び正解データ123Aは、学習済モデル110の生成のための教師データセット125Aを構成する。状態データ122B及び正解データ123Bは、学習済モデル110の再学習のための教師データセット125Bを構成し得る。
【0040】
第1取得部112Aは、学習期間における互いに異なる複数のタイミング(例えば制御周期ごとのタイミング)の各々について、当該タイミングにおいて収集(取得)されたIOデータ224の少なくとも一部を状態データ122Aとして含むデータセット120Aを生成する。さらに、第1取得部112Aは、状態データ122Aとして設定されたIOデータ224が取得(収集)されたときの製造ライン3の属性データ424を取得し、当該状態データ122Aを含むデータセット120Aの属性データ124Aとして設定する。
【0041】
第1取得部112Aは、状態データ122Aとして設定するIOデータ224を、PLC2またはMESサーバ4から取得する。第1取得部112Aは、属性データ124Aとして設定する属性データ424をMESサーバ4から取得する。
【0042】
通常、あるタイミングに対応する目的変数の実測値は、当該タイミングよりも後に判明される。例えば、目的変数が製品の品質である場合、当該製品を製造中の製造ライン3の状態を示すIOデータ224が収集されるタイミングよりも後に実施される検査によって製品の品質が判明する。そのため、例えば、第1取得部112Aは、あるタイミングに対応するデータセット120Aの正解データ123Aとして、当該タイミングよりも所定期間経過後のIOデータ224の一部を設定する。
【0043】
なお、正解データ123Aの設定方法は、上記の例に限定されず、目的変数の種類に応じて適宜選択される。例えば、第1取得部112Aは、IOデータ224から計算される値を示すデータを正解データ123Aとして設定してもよい。あるいは、データ取得部112は、ユーザから入力されたデータまたは外部装置から取得したデータを正解データ123Aとして設定してもよい。
【0044】
第2取得部112Bは、運用期間における互いに異なる複数のタイミング(例えば制御周期ごとのタイミング)の各々について、データセット120Bを生成する。第2取得部112Bは、第1取得部112Aによるデータセット120Aの生成と同じ方法に従って、データセット120Bを生成すればよい。
【0045】
モデル生成部114は、学習期間の複数のデータセット120Aに含まれる教師データセット125Aを用いた機械学習を行なうことにより、学習済モデル110を生成する。なお、モデル生成部114は、出力される目的変数が互いに異なる複数の学習済モデル110を生成してもよい。学習済モデル110は、学習期間よりも後の運用期間における製造ライン3の状態を示す状態データの入力を受けて、目的変数の予測値を出力するために利用される。
【0046】
さらに、モデル生成部114は、運用期間の複数のデータセット120Bから選択された一部のデータセット120Bの教師データセット125Bを用いた再学習を行なうことにより、学習済モデル110を更新してもよい。
【0047】
モデル評価部116は、学習済モデル110のバイアスを評価する。図1に示されるように、モデル評価部116は、第1評価部116Aと第2評価部116Bとを含む。
【0048】
第1評価部116Aは、学習済モデル110の生成に用いられた複数の教師データセット125Aの各々に対応する属性データ124A(各データセット120Aに含まれる属性データ124A)に基づいて、学習期間における1以上の要素の属性の偏りを評価する。例えば、第1評価部116Aは、1以上の要素の属性ごとに、公知の公平性指標(以下、「第1公平性指標」と称する)を計算する。公平性指標とは、対象の属性のときのデータとそれ以外の属性のときのデータとを学習済モデル110に入力したときの予測値の偏りの相違を表す指標である。
【0049】
第2評価部116Bは、運用期間内の対象期間における複数のデータセット120Bに含まれる属性データ124Bに基づいて、対象期間における1以上の要素の属性の偏りを評価する。例えば、第2評価部116Bは、1以上の要素の属性ごとに、公知の公平性指標(以下、「第2公平性指標」と称する)を計算する。対象期間は、運用期間の中から自動的にまたはユーザ指定によって選択される。
【0050】
出力部118は、第1評価部116Aによる第1評価結果と第2評価部116Bによる第2評価結果とを出力する。例えば、出力部118は、第1評価結果及び第2評価結果を含む画面をディスプレイに表示する。
【0051】
製造ライン3に関わる人、機械、方法、材料、環境、及び管理のうちの少なくとも1つの属性の偏りは、学習済モデル110の出力結果の偏りに反映され得る。上記の構成によれば、学習期間におけるこれらの要素の属性の偏りと、運用期間内の対象期間におけるこれらの要素の属性の偏りとが評価される。そのため、ユーザは、第1評価結果と第2評価結果とを比較することにより、学習期間と対象期間との間のこれらの要素の属性の偏りの変化を確認できる。当該偏りの変化が見られる場合、学習期間に取得された教師データセット125Aを用いて生成された学習済モデル110の予測精度が低下していることが予想される。従って、ユーザは、学習済モデル110を再学習すべきタイミングを適切に把握できる。さらに、ユーザは、第1評価結果と第2評価結果との比較により、どのような属性のときの教師データセットを用いて再学習すべきかを容易に認識できる。
【0052】
§2 具体例
<解析装置のハードウェア構成>
図2は、実施の形態に係る解析装置のハードウェア構成の一例を模式的に例示する図である。図2に示されるとおり、解析装置1は、制御部11、記憶部12、通信インタフェース13、入力装置14、出力装置15、及びドライブ16が電気的に接続されたコンピュータである。なお、図2では、通信インタフェースを「通信I/F」と記載している。
【0053】
制御部11は、ハードウェアプロセッサであるCPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を含み、情報処理に応じて各構成要素の制御を行なう。記憶部12は、例えば、ハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブ等の補助記憶装置であり、制御部11で実行される解析プログラム17等を記憶する。
【0054】
解析プログラム17は、製造ライン3の状態を示す状態データの入力を受けて、目的変数の値を出力する学習済モデル110を評価する処理を解析装置1に実行させるためのプログラムである。さらに、実施の形態に係る解析プログラム17は、学習済モデル110を生成する処理を解析装置1に実行させる。
【0055】
通信インタフェース13は、例えば、有線LAN(Local Area Network)モジュール、無線LANモジュール等であり、ネットワークを介した有線又は無線通信を行なうためのインタフェースである。解析装置1は、この通信インタフェース13により、PLC2及びMESサーバ4との間でネットワークを介したデータ通信を行なうことができる。なお、ネットワークの種類は、例えば、インターネット、無線通信網、移動通信網、電話網、専用網等から適宜選択されてよい。
【0056】
入力装置14は、例えば、マウス、キーボード等の入力を行なうための装置である。また、出力装置15は、例えば、ディスプレイ、スピーカ等の出力を行なうための装置である。オペレータは、入力装置14及び出力装置15を介して、解析装置1を操作することができる。
【0057】
ドライブ16は、例えば、CDドライブ、DVDドライブ等であり、記憶媒体91に記憶されたプログラムを読み込むためのドライブ装置である。ドライブ16の種類は、記憶媒体91の種類に応じて適宜選択されてよい。解析プログラム17は、この記憶媒体91に記憶されていてもよい。
【0058】
記憶媒体91は、コンピュータその他装置、機械等が記録されたプログラム等の情報を読み取り可能なように、当該プログラム等の情報を、電気的、磁気的、光学的、機械的又は化学的作用によって蓄積する媒体である。解析装置1は、この記憶媒体91から、解析プログラム17を取得してもよい。
【0059】
ここで、図2では、記憶媒体91の一例として、CD、DVD等のディスク型の記憶媒体を例示している。しかしながら、記憶媒体91の種類は、ディスク型に限定される訳ではなく、ディスク型以外であってもよい。ディスク型以外の記憶媒体として、例えば、フラッシュメモリ等の半導体メモリを挙げることができる。
【0060】
なお、解析装置1の具体的なハードウェア構成に関して、実施形態に応じて、適宜、構成要素の省略、置換及び追加が可能である。例えば、制御部11は、複数のプロセッサを含んでもよい。解析装置1は、複数台の情報処理装置で構成されてもよい。また、解析装置1は、提供されるサービス専用に設計された情報処理装置の他、汎用のサーバ装置、PC(Personal Computer)等であってもよい。
【0061】
図1に示すデータ取得部112は、解析プログラム17を実行するプロセッサと通信インタフェースとによって実現される。モデル生成部114及びモデル評価部116は、解析プログラム17を実行するプロセッサによって実現される。出力部118は、解析プログラム17を実行するプロセッサと出力装置15とによって実現される。
【0062】
<PLCのハードウェア構成>
図3は、実施の形態に係るPLCのハードウェア構成の一例を模式的に例示する図である。図3に示されるとおり、PLC2は、制御部21、記憶部22、入出力インタフェース23、及び通信インタフェース24が電気的に接続されたコンピュータである。これにより、PLC2は、製造ライン3の各機器31の動作を制御するように構成される。なお、図3では、入出力インタフェース及び通信インタフェースをそれぞれ「入出力I/F」及び「通信I/F」と記載している。
【0063】
制御部21は、CPU、RAM、ROM等を含み、プログラム及びデータに基づいて各種情報処理を実行するように構成される。記憶部22は、例えば、RAM、ROM等で構成され、制御プログラム222、IOデータ224等を記憶する。入出力インタフェース23は、外部装置と接続するためのインタフェースであり、接続する外部装置に応じて適宜構成される。PLC2は、入出力インタフェース23を介して、製造ライン3に接続される。なお、単一の装置について異なるIOデータ224の通信を行なう場合、当該対象の単一の装置は、複数の機器31とみなされてもよいし、単一の機器31とみなされてもよい。そのため、入出力インタフェース23の数は、製造ライン3を構成する機器31の数と同じであってもよいし、製造ライン3を構成する機器31の数と相違していてもよい。
【0064】
通信インタフェース24は、例えば、有線LANモジュール、無線LANモジュール等であり、有線又は無線通信を行なうためのインタフェースである。PLC2は、通信インタフェース24により、解析装置1及びMESサーバ4との間でデータ通信を行なうことができる。
【0065】
なお、PLC2の具体的なハードウェア構成に関して、実施の形態に応じて、適宜、構成要素の省略、置換、及び追加が可能である。例えば、制御部21は、複数のプロセッサを含んでもよい。記憶部22は、制御部21に含まれるRAM及びROMにより構成されてもよい。記憶部22は、ハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブ等の補助記憶装置で構成されてもよい。また、PLC2は、提供されるサービス専用に設計された情報処理装置の他、制御する対象に応じて、汎用のデスクトップPC、タブレットPC等に置き換えられてもよい。
【0066】
図1に示すデータ収集部212は、制御プログラム222を実行するプロセッサと入出力インタフェース23とによって実現される。
【0067】
<MESサーバのハードウェア構成>
図4は、実施の形態に従うMESサーバのハードウェア構成の一例を模式的に例示する図である。図4に示されるとおり、MESサーバ4は、制御部41、記憶部42及び通信インタフェース43が電気的に接続されたコンピュータである。なお、図4では、通信インタフェースを「通信I/F」と記載している。
【0068】
制御部41は、CPU、RAM、ROM等を含み、情報処理に応じて各構成要素の制御を行なう。記憶部42は、例えば、ハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブ等の補助記憶装置であり、制御部41で実行される製造管理プログラム422、属性データ424等を記憶する。
【0069】
製造管理プログラム422は、予め作成された生産計画に従って、PLC2に対する製造指示の出力、PLC2から出力されたIOデータ224の管理、作業者への指示及び支援など処理をMESサーバ4に実行させるためのプログラムである。さらに、製造管理プログラム422は、一定周期(例えばPLC2の制御周期)ごとに、製造ライン3に関わる1以上の要素の属性を示す属性データ424の生成及び格納をMESサーバ4に実行させる。
【0070】
通信インタフェース43は、例えば、有線LANモジュール、無線LANモジュール等であり、ネットワークを介した有線又は無線通信を行なうためのインタフェースである。MESサーバ4は、この通信インタフェース43により、PLC2及び解析装置1との間でネットワークを介したデータ通信を行なうことができる。なお、ネットワークの種類は、例えば、インターネット、無線通信網、移動通信網、電話網、専用網等から適宜選択されてよい。
【0071】
なお、MESサーバ4の具体的なハードウェア構成に関して、適宜、構成要素の省略、置換及び追加が可能である。例えば、制御部41は、複数のプロセッサを含んでもよい。MESサーバ4は、複数台の情報処理装置で構成されてもよい。また、MESサーバ4は、提供されるサービス専用に設計された情報処理装置の他、汎用のサーバ装置、PC等であってもよい。
【0072】
<データセット>
図5は、データセットの一例を示す図である。図6は、データセットの別の例を示す図である。図5及び図6に示す例では、複数のデータセット120A(または複数のデータセット120B)がテーブル形式で表され、各レコードが1つのデータセット120A(またはデータセット120B)に対応する。
【0073】
図5及び図6に示されるように、データセット120A,120Bは、教師データセット125A,125Bと属性データ124A,124Bとをそれぞれ含む。教師データセット125A,125Bは、状態データ122A,122Bと正解データ123A,123Bとをそれぞれ含む。
【0074】
図5に示す正解データ123A,123Bは、製品の品質の実測値(文字列「良品(OK)」又は「不良品(NG)」)を示す。そのため、図5に示すデータセット120A,120Bは、製品の品質の予測値を出力する学習済モデル110の生成、再学習及び評価に用いられる。
【0075】
図6に示す正解データ123A,123Bは、工場KPIである生産レートの実測値(数値)を示す。そのため、図6に示すデータセット120A,120Bは、生産レートの値を出力する学習済モデル110の生成、再学習及び評価に用いられる。
【0076】
第1取得部112Aは、状態データ122Aと正解データ123Aと属性データ124Aとを対応付けのために、タイムスタンプを利用することができる。例えば、第1取得部112Aは、IOデータ224に付与される第1タイムスタンプと、属性データ424に付与される第2タイムスタンプとに基づいて、IOデータ224と属性データ424とを対応付ける。第1タイムスタンプは、IOデータ224が取得された制御周期の時刻を表す。第2タイムスタンプは、1以上の要素が属性データ424によって示される属性であったときの時刻を表す。具体的には、第1取得部112Aは、ある制御周期に対応するデータセット120Aの状態データ122A及び属性データ124Aとして、当該制御周期に含まれる第1タイムスタンプが付与されたIOデータ224の少なくとも一部と、当該制御周期に含まれる第2スタンプが付与された属性データ424とをそれぞれ取得する。
【0077】
あるいは、第1取得部112Aは、状態データ122Aと正解データ123Aと属性データ124Aとを対応付けのために、各製品を識別する製品IDを利用してもよい。製品IDは、MESサーバ4によって管理される。MESサーバ4は、各製品に対する処理命令を各工程に出力する際に、当該製品の製品IDを処理命令に付与する。MESサーバ4は、処理命令に応じて取得されたIOデータ224と、当該処理命令に付与した製品IDとを対応付けて管理する。第1取得部112Aは、ある制御周期に対応する状態データ122Aに対して、当該制御周期に取得されたIOデータ224に対応する製品IDの製品の品質を示す正解データ123Aを対応付ける。
【0078】
同様の方法を用いて、第2取得部112Bは、状態データ122Bと正解データ123Bと属性データ124Bとを対応づける。
【0079】
<公平性指標>
図7は、モデル評価部によって評価される公平性指標の一例を示す図である。図8は、モデル評価部によって評価される公平性指標の別の例を示す図である。図9は、モデル評価部によって評価される公平性指標のさらに別の例を示す図である。図7図9には、目的変数の予測値として品質の良否を出力する学習済モデル110を評価するときに計算される公平性指標が示される。
【0080】
図7に示す公平性指標は「統計均衡差」とも称される。図7において、丸印は、データセット120A,120Bを表す。図7に示されるように、第1評価部116Aは、対象の属性を示す属性データ124Aを含む1以上のデータセット120Aのうち、入力されたときに学習済モデル110から予測値「不良品(NG)」が出力される状態データ122Aを含むデータセット120Aの割合R1を計算する。言い換えると、第1評価部116Aは、対象の属性を示す属性データ124Aに対応する1以上の教師データセット125Aのうち、入力されたときに学習済モデル110から予測値「不良品(NG)」が出力される状態データ122Aを含む教師データセットの割合R1を計算する。さらに、第1評価部116Aは、対象の属性を示さない属性データ124Aを含む1以上のデータセット120Aのうち、入力されたときに学習済モデル110から予測値「不良品(NG)」が出力される状態データ122Aを含むデータセット120Aの割合R2を計算する。言い換えると、第1評価部116Aは、対象の属性を示さない属性データ124Aに対応する1以上の教師データセット125Aのうち、入力されたときに学習済モデル110から予測値「不良品(NG)」が出力される状態データ122Aを含む教師データセットの割合R1を計算する。第1評価部116Aは、割合R1と割合R2との差を第1公平性指標(統計均衡差)として計算する。
【0081】
図8に示す公平性指標は「差別的効果」とも称される。図8に示されるように、第1評価部116Aは、上記の割合R1と割合R2との比(R1/R2)を第1公平性指標(差別的効果)として計算する。
【0082】
図9に示す公平性指標は「機会均等差」とも称される。図9において、丸印は、「不良品(NG)」を示す正解データ123A,123Bを含む1以上のデータセット120A,120Bを表す。三角印は、「良品(OK)」を示す正解データ123A,123Bを含む1以上のデータセット120A,120Bを表す。
【0083】
図9に示されるように、第1評価部116Aは、対象の属性を示す属性データ124Aと「不良品(NG)」を示す正解データ123Aとを含む1以上のデータセット120Aのうち、入力されたときに学習済モデル110から予測値「不良品(NG)」が出力される状態データ122Aを含むデータセット120Aの割合R3を計算する。言い換えると、第1評価部116Aは、対象の属性を示す属性データ124Aに対応し、かつ、「不良品(NG)」を示す正解データ123Aを含む1以上の教師データセット125Aのうち、入力されたときに学習済モデル110から予測値「不良品(NG)」が出力される状態データ122Aを含む教師データセットの割合R1を計算する。さらに、第1評価部116Aは、対象の属性を示さない属性データ124Aと「不良品(NG)」を示す正解データ123Aとを含む1以上のデータセット120Aのうち、入力されたときに学習済モデル110から予測値「不良品(NG)」が出力される状態データ122Aを含むデータセット120Aの割合R4を計算する。言い換えると、第1評価部116Aは、対象の属性を示さない属性データ124Aに対応し、かつ、「不良品(NG)」を示す正解データ123Aを含む1以上の教師データセット125Aのうち、入力されたときに学習済モデル110から予測値「不良品(NG)」が出力される状態データ122Aを含む教師データセットの割合R1を計算する。第1評価部116Aは、割合R3と割合R4との差を第1公平性指標(機会均等差)として計算する。
【0084】
第1評価部116Aは、割合R3と割合R4との比(R3/R4)を第1公平性指標として計算してもよい。
【0085】
このようにして、第1評価部116Aは、1以上の要素の属性ごとに第1公平性指標を計算する。例えば、属性データ124Aが1つの要素の属性のみを示す場合、第1評価部116Aは、当該1つの要素の属性ごとに第1公平性指標を計算する。属性データ124Aが複数の要素の属性を示す場合、第1評価部116Aは、当該複数の要素のうちの選択された1つの要素の属性ごとに第1公平性指標を計算してもよい。あるいは、第1評価部116Aは、当該複数の要素の属性の組み合わせごとに第1公平性指標を計算してもよい。あるいは、第1評価部116Aは、当該複数の要素のうちの選択された2以上の要素の属性の組み合わせごとに第1公平性指標を計算してもよい。例えば、第1評価部116Aは、要素「製品」の属性が「製品A」,「製品D」のいずれかであり、要素「方法」の属性が「処理速度60」,「処理速度100」のいずれかである場合、以下の4つの組み合わせの各々について第1公平性指標を計算する。
・属性「製品A」と属性「処理速度60」の組み合わせ、
・属性「製品A」と属性「処理速度100」の組み合わせ、
・属性「製品D」と属性「処理速度60」の組み合わせ、
・属性「製品D」と属性「処理速度100」の組み合わせ。
【0086】
第1評価部116Aによる第1公平性指標の計算方法と同じ手法に従って、第2評価部116Bは、第2公平性指標を計算すればよい。
【0087】
<処理の流れ>
図10は、実施の形態に係る解析装置の処理の流れの一例を示す図である。図10に示されるように、解析装置1のプロセッサは、学習期間における複数のデータセット120Aを取得する(ステップS1)。データセット120Aは、学習済モデル110を生成するために用いられる教師データセット125Aに対応する属性データ124Aを含む。そのため、言い換えると、ステップS1は、学習済モデル110の生成のための各教師データセット125Aについて、当該教師データセット125Aの状態データ122Aが取得されたときの製造ライン3に関わる1以上の要素の属性を示す属性データ124Aを取得するステップである。
【0088】
次に、プロセッサは、複数の属性データ124Aに基づいて、学習期間における1以上の要素の属性の偏りを評価する(ステップS2)。
【0089】
次に、プロセッサは、運用期間内の対象期間における複数のタイミングの各々について、当該タイミングにおける製造ライン3に関わる1以上の要素の属性を示す属性データ124Bを取得する。具体的には、プロセッサは、各タイミングについて、状態データ122B,正解データ123B及び属性データ124Bを含むデータセット120Bを取得する(ステップS3)。
【0090】
次に、プロセッサは、対象期間における複数のタイミングの各々に対応する属性データ124Bに基づいて、対象期間における1以上の要素の属性の偏りを評価する(ステップS4)。
【0091】
次に、プロセッサは、学習期間における属性の偏りの評価結果と、対象期間における属性の偏りの評価結果とを出力する(ステップS5)。
【0092】
<画面例>
図11は、評価結果を含む画面の一例を示す図である。図11に示す画面50は、出力部118として動作するプロセッサが出力する画面データに基づいて、出力装置15に含まれるディスプレイに表示される。あるいは、画面50は、解析装置1に接続されたディスプレイに表示されてもよい。
【0093】
図11に示す画面50は、フィルムを送る搬送機を含む製造ライン3に対して適用される学習済モデル110の評価結果を示す。
【0094】
図11に示されるように、画面50は、グラフ51,52と、表示欄53a,53bとを含む。グラフ51は、予測値を決定するために学習済モデル110によって計算されるスコアの経時変化を示す。学習済モデル110は、スコアが閾値TH1を超える場合に、目的変数「品質」の予測値を「不良品(NG)」に決定する。
【0095】
グラフ51において、学習期間と対象期間とが区別可能に表示される。具体的には、グラフ51には、学習期間を示す枠線51aと、対象期間を示す枠線51bとが表示される。
【0096】
プロセッサは、例えば、対象期間のデフォルトとして、直近の所定長さの期間を設定し、画面50を出力装置15に表示する。画面50において、対象期間を示す枠線51bは、操作に応じて幅及び位置が変更可能に表示される。プロセッサは、枠線51bの幅及び位置が変更されると、変更後の枠線51bによって囲まれる期間を対象期間として設定してもよい。このように、対象期間は、グラフ51から指定される。これにより、ユーザは、例えば、スコアの推移に異常が見られる期間を対象期間として指定することができる。
【0097】
グラフ52は、1以上の要素(図11に示す例では、要素「製品」,「方法(フィルム搬送速度(CPM))」の属性の経時変化を示す。図11に示す例では、グラフ52は、ガントチャートである。グラフ51,52は、共通の時間軸を有する。
【0098】
表示欄53aには、学習期間における1以上の要素の属性ごとの第1公平性指標が表示される。表示欄53bには、対象期間における1以上の要素の属性ごとの第2公平性指標が表示される。図11に示す例では、表示欄53a,53bの各々において、要素「製品」,「方法(フィルム搬送速度(CPM))」の属性の組み合わせごとに、当該組み合わせを表すテキスト54と、当該組み合わせに対応する公平性指標を表す円グラフ55とが表示される。円グラフ55は、図7に示す公平性指標(統計均衡差)を示す。公平性指標(統計均衡差)が大きいほど、より不公平であることを表す。
【0099】
画面50において、予め定められた基準よりも不公平であることを示す公平性指標に対応する属性が強調表示される。図11に示す例では、表示欄53aにおいて、閾値を超える第1公平性指標(統計均衡差)を示す円グラフ55aに対応するテキスト54aの枠線が他のテキスト54の枠線よりも太くなるように表示されている。さらに、表示欄53bにおいて、閾値を超える第2公平性指標(統計均衡差)を示す円グラフ55bに対応するテキスト54bの枠線が他のテキスト54の枠線よりも太くなるように表示されている。これにより、ユーザは、テキスト54a,54bによって示される属性に対応し、「良品(OK)」を示す正解データを含む教師データセットが不足していることを認識できる。その結果、ユーザは、教師データセットの補充を検討できる。
【0100】
例えば、製造ライン3と同じ製造ラインを新たに立ち上げるときに、製造ライン3に適用していた学習済モデル110を新たな製造ラインにも適用することが想定される。ただし、製造ライン3と新たな製造ラインとの間で1以上の要素(例えば、人、方法、機械、材料)が相違することにより、製造ライン3に適用していた学習済モデル110を新たな製造ラインに適用した場合、学習済モデル110の予測精度が低下し得る。そこで、製造ライン3に適用していた学習済モデル110のバイアスを評価し、予測精度の低下を抑制するための教師データセットの補充などの対策を行なうことができる。
【0101】
さらに、画面50において、第1公平性指標との差が基準を超える第2公平性指標に対応する属性が強調表示される。図11に示す例では、要素「製品」,「方法(フィルム搬送速度(CPM))」の属性「製品D」,「80」について、円グラフ55cによって表される第1公平性指標と、円グラフ55dによって表される第2公平性指標との差が基準を超える。そのため、表示欄53bにおいて、当該属性を示すテキスト54dの枠線が他のテキストの枠線と異なる形式で表示されている。これにより、ユーザは、テキスト54dによって示される属性に対応する状態データを入力したときの学習済モデル110の予測精度が低下し得ることを認識できる。その結果、ユーザは、再学習のための追加の教師データセットとして、強調表示された属性のときの状態データ122Bを含む教師データセット125Bを選択できる。
【0102】
<変形例1>
モデル生成部114は、モデル評価部116の評価結果に応じて、学習済モデル110を更新してもよい。具体的には、モデル生成部114は、第1取得部112Aによって取得された、学習期間の複数の教師データセット125Aに対して、1以上の要素の属性の偏りの影響を減少させるための前処理を行なう。モデル生成部114は、前処理が行なわれた複数の教師データセット125Aを用いた機械学習を行なうことにより、更新後の学習済モデル110を生成する。
【0103】
前処理として公知の手法が採用される。例えば、前処理は、各教師データセット125Aに対する重み付けである。具体的には、モデル生成部114は、相対的により不公平であることを表す公平性指標の属性に対応する教師データセット125Aに対して、より大きい重みを付与する。例えば、図7に示す公平性指標が計算される場合、相対的により不公平であることを表す公平性指標の属性に対応し、かつ、正解データ123Aが「良品(OK)」を示す教師データセット125Aの重みを他の教師データセット125Aの重みよりも大きくする。
【0104】
あるいは、前処理は、教師データセット125Aの間引きであってもよい。具体的には、モデル生成部114は、属性ごとの公平性指標が均一になるように、一部の教師データセット125Aを間引く。
【0105】
さらに、モデル生成部114は、第1評価部116Aによる評価結果と第2評価部116Bによる評価結果との比較に基づいて、学習済モデル110を更新してもよい。例えば、モデル生成部114は、第1公平性指標との差が基準を超える第2公平性指標に対応する属性を示す属性データ124Bと同じタイミングの状態データ122Bを含む教師データセット125Bを用いた再学習を行なうことにより、学習済モデル110を更新する。これにより、学習済モデル110の予測精度の低下が自動的に抑制される。
【0106】
<変形例2>
上記の説明では、画面50のグラフ51は、学習済モデル110によって計算されるスコアの経時変化を示すものとした。しかしながら、グラフ51は、学習済モデル110から出力される予測値の経時変化を示してもよい。
【0107】
<変形例3>
図12は、変形例3に係る生産システムの構成を模式的に示す図である。図12に示されるように、生産システム100Aは、複数の製造ラインを有する工場に設けられる。
【0108】
生産システム100Aは、解析装置1A,1B,1Cと、PLC2A_1,2A_2,2Bと、製造ライン3A,3Bと、MESサーバ4A,4Bと、を備える。製造ライン3Aは、製造装置31A_1,31A_2を含む。製造ライン3Bは、製造装置31B_1,31B_2を含む。
【0109】
PLC2A_1は、製造装置31A_1の動作を制御する。PLC2A_2は、製造装置31A_2の動作を制御する。PLC2Bは、製造装置31B_1,31B_2の動作を制御する。
【0110】
MESサーバ4Aは、製造ライン3Aに対して作成された生産計画に従って、PLC2A_1,2A_2に対する製造指示の出力、PLC2A_1,2A_2から出力されたIOデータ224の管理、作業者への指示及び支援などを行なう。
【0111】
MESサーバ4Bは、製造ライン3Bに対して作成された生産計画に従って、PLC2Bに対する製造指示の出力、PLC2Bから出力されたIOデータ224の管理、作業者への指示及び支援などを行なう。
【0112】
解析装置1Aは、製造ライン3Aの状態を示す状態データの入力を受けて、目的変数の予測値を出力する学習済モデル110Aを評価する。解析装置1Bは、製造ライン3Bの状態を示す状態データの入力を受けて、目的変数の予測値を出力する学習済モデル110Bを評価する。解析装置1A,1Bの機能構成及びハードウェア構成は、図1及び図2に示す解析装置1の機能構成及びハードウェア構成と同じである。
【0113】
解析装置1Cは、学習済モデル110A,110Bの評価結果を比較可能に出力する。解析装置1Cの機能構成及びハードウェア構成は、図1及び図2に示す解析装置1の機能構成及びハードウェア構成と同じである。ただし、解析装置1Cにおいて、データ取得部112は、解析装置1A,1Bの各々から複数のデータセットを取得する。また、解析装置1Cは、モデル生成部114を備えておらず、解析装置1A,1Bから学習済モデル110A,110Bをそれぞれ取得すればよい。
【0114】
図13は、解析装置1Cから出力される画面の一例を示す図である。図13に示す画面50Cは、解析装置1Cのプロセッサが出力する画面データに基づいて、解析装置1Cの出力装置15に含まれるディスプレイに表示される。あるいは、画面50Cは、解析装置1Cに接続されたディスプレイに表示されてもよい。
【0115】
図13に示されるように、画面50Cは、グラフ51C,52C_1,52C_2と、表示欄53C_1,53C_2とを含む。
【0116】
グラフ51Cは、学習済モデル110A,110Bによって計算されるスコアの経時変化を示す。グラフ51Cにおいて、実線60Aは、学習済モデル110Aによって計算されるスコアの経時変化を示す。破線60Bは、学習済モデル110Bによって計算されるスコアの経時変化を示す。グラフ51Cには、学習期間を示す枠線51aと、対象期間を示す枠線51bとが表示される。プロセッサは、枠線51a,51bのうち選択された一方を太線にする。図13に示す例では、枠線51bが選択されている。
【0117】
グラフ52C_1は、製造ライン3Aに関する1以上の要素の属性の経時変化を示す。グラフ52C_2には、製造ライン3Bに関する1以上の要素の属性の経時変化を示す。グラフ52C_1,52C_2は、ガントチャートである。グラフ51C,52C_1,52C_2は、共通の時間軸を有する。
【0118】
表示欄53C_1には、製造ライン3Aに関する1以上の要素の属性ごとの第1公平性指標が表示される。表示欄53C_2には、製造ライン3Bに関する1以上の要素の属性ごとの第2公平性指標が表示される。図11に示す表示欄53a,53bと同様に、表示欄53C_1,53C_2において、予め定められた基準よりも不公平であることを示す公平性指標に対応する属性が強調表示される。
【0119】
なお、グラフ51Cの枠線51a,51bのうち枠線51bが選択されている場合、表示欄53C_1,53C_2には、対象期間に対応する第1,第2公平性指標がそれぞれ表示される。一方、枠線51aが選択されている場合、表示欄53C_1,53C_2には、学習期間に対応する第1,第2公平性指標がそれぞれ表示される。
【0120】
ユーザ(例えば工場長、工場管理者)は、画面50Cを確認することにより、製造ライン3A,3Bの状況に変化に伴う学習済モデル110A,110Bの予測精度の低下を認識できる。その結果、ユーザは、学習済モデル110A,110Bの各々について、対象期間の教師データセット125Bを用いた再学習を行なうべきタイミングを把握できる。再学習が行なわれることにより、学習済モデル110の予測精度の低下が抑制できる。
【0121】
<変形例4>
上記の説明では、解析装置1において、学習済モデル110が生成されるものとした。しかしながら、学習済モデル110は、解析装置1とは異なる外部装置において生成されてもよい。この場合、解析装置1は、学習済モデル110の生成に使用された教師データセット125Aに対応する属性データ124AをMESサーバ4から取得し、学習期間における1以上の要素の属性の偏りを評価すればよい。
【0122】
<変形例5>
上記の説明では、解析装置1は、PLC2及びMESサーバ4と別体である。しかしながら、解析装置1の機能は、PLC2またはMESサーバ4に組み込まれてもよい(内蔵されてもよい)。言い換えると、解析装置1とPLC2およびMESサーバ4の少なくとも一方とが1つの装置として統合されてもよい。解析装置1の機能がPLC2に組み込まれる場合、PLC2は、学習済モデル110を評価する情報処理装置として動作する。解析装置1の機能がMESサーバ4に組み込まれる場合、MESサーバ4は、学習済モデル110を評価する情報処理装置として動作する。
【0123】
§3 付記
以上のように、本実施の形態は以下のような開示を含む。
【0124】
(構成1)
製造ライン(3,3A,3B)の状態を示す状態データの入力を受けて、目的変数の予測値を出力する学習済モデル(110,110A,110B)を評価する情報処理装置(1,1A~1C)であって、
前記学習済モデル(110,110A,110B)は、学習期間における前記状態データ(122A)を含む複数の教師データセット(125A)を用いて生成され、前記情報処理装置(1,1A~1C)は、
前記複数の教師データセット(125A)の各々の前記状態データ(122A)が取得されたときの前記製造ライン(3,3A,3B)に関わる1以上の要素の属性を示す第1属性データ(124A)に基づいて、前記学習期間における前記1以上の要素の属性の偏りを評価する第1評価部(11,116A)を備え、前記1以上の要素は、人、機械、方法、材料、環境、及び管理のうちの少なくとも1つを含み、前記情報処理装置(1,1A~1C)は、さらに、
前記学習期間より後の対象期間における互いに異なる複数のタイミングの各々における前記1以上の要素の属性を示す第2属性データ(124B)に基づいて、前記対象期間における前記1以上の要素の属性の偏りを評価する第2評価部(11,116B)と、
前記第1評価部(11,116A)による第1評価結果と前記第2評価部(11,116B)による第2評価結果とを出力する出力部(11,118)とを備える、情報処理装置(1,1A~1C)。
【0125】
(構成2)
前記第1評価結果は、前記学習期間における前記1以上の要素の属性ごとの第1公平性指標を含み、
前記第2評価結果は、前記対象期間における前記1以上の要素の属性ごとの第2公平性指標を含む、構成1に記載の情報処理装置(1,1A~1C)。
【0126】
(構成3)
前記出力部(11,118)は、前記第1評価結果及び前記第2評価結果を含む画面(50,50C)を示す画面データを出力し、
前記画面(50,50C)において、前記第1公平性指標との差が基準を超える前記第2公平性指標に対応する属性が強調表示される、構成2に記載の情報処理装置(1,1A~1C)。
【0127】
(構成4)
前記画面(50,50C)は、前記学習期間及び前記対象期間における、前記予測値または前記予測値を決定するために前記学習済モデルによって計算されるスコアの経時変化を示すグラフ(51,51C)を含み、
前記グラフ(51,51C)において、前記複数の教師データセット(125A)が取得された学習期間と、前記対象期間とが区別可能に表示される、構成3に記載の情報処理装置(1,1A~1C)。
【0128】
(構成5)
前記画面(50,50C)は、前記学習期間及び前記対象期間における、前記予測値または前記予測値を決定するために前記学習済モデルによって計算されるスコアの経時変化を示すグラフ(51,51C)を含み、
前記対象期間は、前記グラフから指定される、構成3に記載の情報処理装置(1,1A~1C)。
【0129】
(構成6)
前記画面(50,50C)は、前記学習期間及び前記対象期間における、前記1以上の要素の前記属性の経時変化を示すグラフ(52,52C_1,52C_2)を含む、構成3から5のいずれかに記載の情報処理装置(1,1A~1C)。
【0130】
(構成7)
前記情報処理装置(1,1A~1C)は、
前記第1公平性指標との差が基準を超える前記第2公平性指標に対応する属性を示す前記第2属性データ(124B)と同じタイミングの前記状態データ(122B)を含む追加の教師データセット(125B)を用いた再学習を行なうことにより、前記学習済モデル(110,110A,110B)を更新するモデル生成部(11,114)をさらに備える、構成2から6のいずれかに記載の情報処理装置(1,1A~1C)。
【0131】
(構成8)
製造ライン(3,3A,3B)の状態を示す状態データの入力を受けて、目的変数の予測値を出力する学習済モデル(110,110A,110B)を評価する情報処理方法であって、
前記学習済モデル(110,110A,110B)は、学習期間における前記状態データを含む複数の教師データセット(125A)を用いて生成され、前記情報処理方法は、
前記複数の教師データセット(125A)の各々の前記状態データ(122A)が取得されたときの前記製造ラインに関わる1以上の要素の属性を示す第1属性データ(124A)に基づいて、前記学習期間における前記1以上の要素の属性の偏りを評価すること(S2)を備え、前記1以上の要素は、人、機械、方法、材料、環境、及び管理のうちの少なくとも1つを含み、前記情報処理方法は、さらに、
前記学習期間より後の対象期間における互いに異なる複数のタイミングの各々における前記1以上の要素の属性を示す第2属性データ(124B)に基づいて、前記対象期間における前記1以上の要素の属性の偏りを評価すること(S4)と、
前記学習期間に対する第1評価結果と前記対象期間に対する第2評価結果とを出力すること(S5)とを備える、情報処理方法。
【0132】
(構成9)
構成8に記載の情報処理方法をコンピュータ(11)に実行させる、情報処理プログラム(17)。
【0133】
(構成10)
前記第1公平性指標は、対応する属性を示す前記第1属性データ(124A)に対応する1以上の教師データセット(125A)のうち、入力されたときに前記学習済モデルから所定値が出力される前記状態データ(122A)を含む教師データセットの第1割合と、対応する属性を示さない前記第1属性データ(124A)に対応する1以上の教師データセット(125A)のうち、入力されたときに前記学習済モデルから所定値が出力される前記状態データ(122A)を含む教師データセットの第2割合との差または比であり、
前記第2公平性指標は、対応する属性を示す1以上の第2属性データ(124B)のうち、入力されたときに前記学習済モデルから所定値が出力される前記状態データ(122B)と同じタイミングに対応する第2属性データの第3割合と、対応する属性を示さない1以上の第2属性データ(124B)のうち、入力されたときに前記学習済モデルから所定値が出力される前記状態データ(122B)と同じタイミングに対応する第2属性データの第4割合との差または比である、構成2から7のいずれかに記載の情報処理装置。
【0134】
(構成11)
前記教師データセット(125A)は、前記目的変数の実測値を示す正解データ(123A)をさらに含み、
前記第1公平性指標は、対応する属性を示す前記第1属性データ(124A)に対応し、かつ、所定値を示す前記正解データ(123A)を含む1以上の教師データセット(125A)のうち、入力されたときに前記学習済モデルから所定値が出力される前記状態データ(122A)を含む教師データセットの第5割合と、対応する属性を示さない前記第1属性データ(124A)に対応し、かつ、所定値を示す前記正解データ(123A)を含む1以上の教師データセット(125A)のうち、入力されたときに前記学習済モデルから所定値が出力される前記状態データ(122A)を含む教師データセットの第6割合との差または比であり、
前記第2公平性指標は、対応する属性を示し、かつ、対応する前記目標変数の実測値が前記所定値を示すタイミングの1以上の第2属性データ(124B)のうち、入力されたときに前記学習済モデルから所定値が出力される前記状態データ(122B)と同じタイミングに対応する第2属性データの第7割合と、対応する属性を示さず、かつ、対応する前記目標変数の実測値が前記所定値を示すタイミングの1以上の第2属性データ(124B)のうち、入力されたときに前記学習済モデルから所定値が出力される前記状態データ(122B)と同じタイミングに対応する第2属性データの第8割合との差または比である、構成2から7のいずれかに記載の情報処理装置。
【0135】
本発明の実施の形態について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0136】
1,1A~1C 解析装置、2,2A,2B PLC、3,3A,3B 製造ライン、4,4A,4B MESサーバ、11,21,41 制御部、12,22,42 記憶部、13,24,43 通信インタフェース、14 入力装置、15 出力装置、16 ドライブ、17 解析プログラム、23 入出力インタフェース、31 機器、31A_1,31A_2,31B_1,31B_2 製造装置、50,50C 画面、51,51C,52,52C_1,52C_2 グラフ、51a,51b 枠線,53a,53b,53C_1,5C_2 表示欄、54,54a,54b,54d テキスト、55,55a~55d 円グラフ、91 記憶媒体、100,100A 生産システム、110,110A,110B 学習済モデル、112 データ取得部、112A 第1取得部、112B 第2取得部、114 モデル生成部、116 モデル評価部、116A 第1評価部、116B 第2評価部、118 出力部、120 データベース、120A,120B データセット、122A,122B 状態データ、123A,123B 正解データ、124A,124B,424 属性データ、125A,125B 教師データセット、212 データ収集部、222 制御プログラム、224 IOデータ、422 製造管理プログラム。
図1
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