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特開2024-111485硬貨処理装置の制御方法および硬貨処理装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024111485
(43)【公開日】2024-08-19
(54)【発明の名称】硬貨処理装置の制御方法および硬貨処理装置
(51)【国際特許分類】
   G07D 3/00 20060101AFI20240809BHJP
【FI】
G07D3/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023016020
(22)【出願日】2023-02-06
(71)【出願人】
【識別番号】000001432
【氏名又は名称】グローリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】濱田 拓郎
【テーマコード(参考)】
3E141
【Fターム(参考)】
3E141AA08
3E141GB04
3E141HA05
3E141HA06
3E141JA10
3E141KA09
3E141KA13
3E141LA45
3E141LA57
(57)【要約】
【課題】混合収納で小型化しながらも、釣銭の出金時間が延びることを低減することができる硬貨処理装置の制御方法および硬貨処理装置を提供する。
【解決手段】硬貨処理装置を制御する方法であって、硬貨を収納する第1収納部から繰り出された硬貨の金種を識別部により識別し、識別された金種に基づいて、硬貨のうち第1組み合わせの金種ごとの枚数の硬貨を第2収納部に収納する準備動作と、出金指示に応じて、第2収納部に収納された硬貨の少なくとも一部を出金口へ出金することを含み、所定の条件を満たす場合に、第1組み合わせとは異なる組み合わせの金種ごとの枚数の硬貨を第2収納部に収納する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬貨処理装置を制御する方法であって、
硬貨を収納する第1収納部から繰り出された硬貨の金種を識別部により識別し、
識別された金種に基づいて、前記硬貨のうち第1組み合わせの金種ごとの枚数の硬貨を第2収納部に収納する準備動作と、
出金指示に応じて、前記第2収納部に収納された硬貨の少なくとも一部を出金口へ出金することを含み、
所定の条件を満たす場合に、前記第1組み合わせとは異なる組み合わせの金種ごとの枚数の硬貨を前記第2収納部に収納する、方法。
【請求項2】
前記所定の条件は、前記第1収納部から前記第2収納部へ硬貨を収納する準備動作の時間に関する条件である、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記所定の条件は、前記準備動作の時間が所定時間以上になった場合である、
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記所定の条件は、次の入金確定コマンドが来たときに、前記準備動作が完了していない場合である、
請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1組み合わせに足りていない金種の硬貨の代わりに、該金種より額面価格が小さい金種の硬貨で代替可能とする、
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記所定の条件は、第1収納部に収納された金種ごとの割合の条件であり、
第1金種の硬貨の割合が所定以上になった場合に、該第1金種より額面価格が大きい第2金種の硬貨の代わりに、該第2金種の額面価格と同じ額になる枚数分の該第1金種の硬貨を前記第2収納部に収納する、
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記所定の条件は、第1収納部に収納された金種ごとの枚数の条件であり、
第1金種の硬貨の枚数が所定以上になった場合に、該第1金種より額面価格が大きい第2金種の硬貨の代わりに、該第2金種の額面価格と同じ額になる枚数分の該第1金種の硬貨を前記第2収納部に収納する、
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記出金指示に応じて、前記第2金種の硬貨の代わりに、該第2金種の額面価格と同じ額になる枚数分の前記第1金種の硬貨を出金する、
請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
入金された硬貨を、前記第1収納部に収納すること、をさらに含み、
前記所定の条件は、入金された硬貨の金種に関する条件であり、
前記所定の条件を満たす場合に、前記入金された硬貨のうち該当する金種の硬貨を第2収納部に収納する、
請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記所定の条件は、予めユーザにより設定された金種の硬貨が入金されたことである、
請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記所定の条件は、希少な金種の硬貨が入金されたことである、
請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記所定の条件は、第1収納部に初期設定枚数より多く収納されている金種の硬貨が入金されたことである、
請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記予め設定された金種の硬貨とは、釣銭として使用しない金種の硬貨である、
請求項10に記載の方法。
【請求項14】
硬貨を収納する第1収納部と、
出金するための硬貨を収納する第2収納部と、
硬貨を搬送路に沿って搬送する搬送部と、
前記搬送路上にあって、硬貨の金種を識別する識別部と、
前記識別部により識別した結果に基づいて、前記第1収納部から繰り出された硬貨のうち第1組み合わせの金種ごとの枚数の硬貨を前記第2収納部に収納するように前記搬送部を制御する制御部と、を有し、
前記制御部は、所定の条件を満たす場合に、前記第1組み合わせとは異なる組み合わせの金種ごとの枚数の硬貨を前記第2収納部に収納する、
ことを特徴とする硬貨処理装置。
【請求項15】
前記所定の条件は、出金するための硬貨を前記第2収納部に収納する準備動作の時間が所定以上になった場合であり、
前記所定の条件を満たす場合に、前記第1組み合わせに足りていない金種の硬貨の代わりに、該金種より額面価格が小さい金種の硬貨を前記第2収納部に収納可能とする、
請求項14に記載の硬貨処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、硬貨を収納、出金する硬貨処理装置の制御方法および硬貨処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、硬貨を収納、出金する硬貨処理装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1の硬貨処理装置は、混合で金種を収納し釣銭準備金を収納するエリアを有し、設定された金種と、金種ごとに必要な設定された枚数の釣銭準備金を収納する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4516270号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、事前に設定した金種と金種ごとに必要な枚数の組み合わせの硬貨とは異なる組み合わせの硬貨の準備金を収納することは、特許文献1に記載の硬貨処理装置には開示されていない。
【0005】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、設定された金種と金種ごとに必要な枚数の組み合わせの硬貨とは異なる、金種と金種ごとの枚数の組み合わせの硬貨を収納可能とすることで、混合収納で小型化しながらも、出金時間が延びることを低減することができる硬貨処理装置の制御方法および硬貨処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示にかかる硬貨処理装置の制御方法は、硬貨を収納する第1収納部から繰り出された硬貨の金種を識別部により識別し、識別された金種に基づいて、硬貨のうち第1組み合わせの金種ごとの枚数の硬貨を第2収納部に収納する準備動作と、出金指示に応じて、第2収納部に収納された硬貨の少なくとも一部を出金口へ出金することを含み、所定の条件を満たす場合に、第1組み合わせとは異なる組み合わせの金種ごとの枚数の硬貨を第2収納部に収納する、ことを含む。
【0007】
所定の条件は、第1収納部から第2収納部へ硬貨を収納する準備動作の時間に関する条件であってもよい。
【0008】
所定の条件は、準備動作の時間が所定時間以上になった場合であってもよい。
【0009】
所定の条件は、次の入金確定コマンドが来たときに、準備動作が完了していない場合であってもよい。
【0010】
第1組み合わせに足りていない金種の硬貨の代わりに、金種より額面価格が小さい金種の硬貨で代替可能としてもよい。
【0011】
所定の条件は、第1収納部に収納された金種ごとの割合の条件であり、第1金種の硬貨の割合が所定以上になった場合に、第1金種より額面価格が大きい第2金種の硬貨の代わりに、第2金種の額面価格と同じ額になる枚数分の第1金種の硬貨を第2収納部に収納してもよい。
【0012】
所定の条件は、第1収納部に収納された金種ごとの枚数の条件であり、第1金種の硬貨の枚数が所定以上になった場合に、第1金種より額面価格が大きい第2金種の硬貨の代わりに、第2金種の額面価格と同じ額になる枚数分の第1金種の硬貨を前記第2収納部に収納してもよい。
【0013】
出金指示に応じて、第2金種の硬貨の代わりに、第2金種の額面価格と同じ額になる枚数分の第1金種の硬貨を出金してもよい。
【0014】
入金された硬貨を、第1収納部に収納すること、をさらに含み、
所定の条件は、入金された硬貨の金種に関する条件であり、
所定の条件を満たす場合に、入金された硬貨のうち該当する金種の硬貨を第2収納部に収納してもよい。
【0015】
所定の条件は、予めユーザにより設定された金種の硬貨が入金されたことでもよい。
【0016】
所定の条件は、希少な金種の硬貨が入金されたことでもよい。
【0017】
所定の条件は、入金された硬貨が、第1収納部の初期設定枚数より多い金種の硬貨であるかであってもよい。所定の条件は、入金された硬貨が、第1収納部の初期設定割合より多い金種の硬貨であるかであってもよい。設定枚数または設定割合は、金種ごとの出金比率および入金比率、または、出金枚数および入金枚数のいずれかの履歴に基づいて、変更可能であってもよい。
【0018】
予め設定された金種の硬貨とは、釣銭として使用しない金種の硬貨であってもよい。
【0019】
本開示にかかる硬貨処理装置は、硬貨を収納する第1収納部と、出金するための硬貨を収納する第2収納部と、硬貨を搬送路に沿って搬送する搬送部と、搬送路上にあって、硬貨の金種を識別する識別部と、前記識別部により識別した結果に基づいて、前記第1収納部から繰り出された硬貨のうち第1組み合わせの金種ごとの枚数の硬貨を前記第2収納部に収納するように前記搬送部を制御する制御部と、を有し、制御部は、所定の条件を満たす場合に、第1組み合わせとは異なる組み合わせの金種ごとの枚数の硬貨を第2収納部に収納する、ように構成されている。
【0020】
所定の条件は、出金するための硬貨を第2収納部に収納する準備動作の時間が所定以上になった場合であり、所定の条件を満たす場合に、第1組み合わせに足りていない金種の硬貨の代わりに、不足している金種より額面価格が小さい金種の硬貨を第2収納部に収納可能としてもよい。
【発明の効果】
【0021】
本開示によれば、硬貨処理装置を混合収納で小型化しながらも、出金時間が延びることを低減することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】第1の実施の形態に係る硬貨処理装置の基本構成を示す図である。
図2】硬貨処理装置の機能構成を表すブロック図である。
図3】硬貨処理装置の基本動作について説明する図である。
図4】第1の実施の形態に係る硬貨処理装置による出金準備動作を示すフローチャートである。
図5】通貨がユーロの場合、釣銭準備金として最低限必要な金種と枚数との組み合わせを表す図である。
図6】第2の実施の形態に係る硬貨処理装置による入金動作を示すフローチャートである。
図7】第3の実施の形態に係る硬貨処理装置による出金準備動作を示すフローチャートである。
図8】第3の実施の形態に係る硬貨処理装置による出金動作を示すフローチャートである。
図9】第4の実施の形態に係る硬貨処理装置による入金動作を示すフローチャートである。
図10】第4の実施の形態に係る硬貨処理装置による出金動作を示すフローチャートである。
図11】第5の実施の形態に係る硬貨処理装置による出金準備動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付図を参照して、本開示の硬貨処理装置の制御方法および硬貨処理装置を実施するための形態について説明する。
【0024】
(第1の実施の形態)
第1の実施の形態について、添付図を参照して説明する。図1は、第1の実施の形態に係る硬貨処理装置の基本構成を示す図であり、図2は、硬貨処理装置の機能構成を表すブロック図である。第1の実施の形態では、所定の条件を満たす場合に、設定された金種と金種ごとに必要な設定された枚数の組み合わせの硬貨とは異なる、金種と金種ごとの枚数の組み合わせの硬貨を出金準備金として準備する。
【0025】
硬貨処理装置1は、硬貨の収納処理及び出金処理を行う。硬貨処理装置1は、筐体2、入金口3、入金搬送路4、第1収納部5、排出機構6、第2収納部7、繰出部8、搬送部9、共通搬送路10、分岐部11、第1搬送路12、第2搬送路13、出金搬送路14、識別部15、出金口16、記憶部17、及び、制御部18を備えている。
【0026】
筐体2は、硬貨処理装置1を構成する部分を収容する。
【0027】
入金口3は、硬貨処理装置1の外部からの入金を受け付ける開口部である。入金口3から入金された硬貨は、入金搬送路4を経由して繰出部8に移動される。
【0028】
入金搬送路4は、入金された硬貨を繰出部8まで搬送する。
【0029】
第1収納部5は、複数の金種の硬貨を、混在して収納する。また、第1収納部5は、収納した硬貨を排出することができる。硬貨は、第1収納部5から繰出部8に対して排出される。
【0030】
排出機構6は、第1収納部5から繰出部8へ硬貨を排出するための機構である。排出機構6は、例えば第1収納部5の内部に設けられたベルトコンベアである。
【0031】
第2収納部7は、複数の金種の硬貨を、混在して収納する。また、第2収納部7は、収納した硬貨を排出することができる。硬貨は、第2収納部7から繰出部8に対して排出される。
【0032】
第2収納部7には、第1収納部5に収納されている複数の硬貨のうち、第1収納部5から排出された一部の硬貨が収納される。第2収納部7に収納された硬貨は、例えば出金準備金として使用される。
【0033】
繰出部8は、硬貨を貯留し、貯留している硬貨を搬送部9に対して1枚ずつ順に繰り出す。
【0034】
また、繰出部8は、例えば表面に突起を有する円盤を備える。当該円盤は、鉛直方向に対して所定角度で傾斜して配置されており、傾斜した状態のままモータなどにより回転する。繰出部8に硬貨が入ってくると、当該硬貨は円盤の下部に貯留するが、円盤の回転とともに硬貨は1枚ずつ突起に引っ掛けられて上側に移動する。突起に引っ掛けられて上側に移動させられた硬貨は、繰出部8における円盤より外周部に設けられた穴部から繰り出される。当該穴部は搬送部9を構成する共通搬送路10に接続されている。このような構成により、繰出部8は、硬貨を1枚ずつ共通搬送路10に繰り出すことができる。
【0035】
また、繰出部8の円盤は、第2収納部7の排出口の下側に、第2収納部7に近接して設けられている。また、第2収納部7は開閉可能な底部を有し、当該底部が開くことで、第2収納部7に収納されている硬貨が、第2収納部7のすぐ下側に配置されている繰出部8の内部に落下する。このような構成により、第2収納部7から排出された硬貨は、すぐに繰出部8に投入されるので、硬貨が搬送される経路を短くすることができ、ひいては第2収納部7から搬送部9への繰り出しを素早く行うことができる。
【0036】
搬送部9は、後述の共通搬送路10、繰出部8から繰り出された硬貨を第1収納部5まで搬送する第1搬送路12、および繰出部8から繰り出された硬貨を第2収納部7まで搬送する第2搬送路13に沿って、硬貨を搬送する。搬送部9は、例えば、ベルトを用いて、または硬貨を落下させるための経路であるシュートを用いて、硬貨の搬送を行う。
【0037】
共通搬送路10は、繰出部8と分岐部11とを接続する搬送路である。識別部15は、当該共通搬送路10上に設けられている。分岐部11によって、搬送路上の硬貨は、共通搬送路10から、第1搬送路12、第2搬送路13、及び、出金搬送路14に分岐して搬送される。
【0038】
第1搬送路12は、分岐部11と第1収納部5とを接続する搬送路である。第2搬送路13は、分岐部11と第2収納部7とを接続する搬送路である。出金搬送路14は、分岐部11と出金口16とを接続する搬送路である。このように、搬送部9は、共通搬送路10と、第1搬送路12と、第2搬送路13と、出金搬送路14と、を含む搬送路によって構成されている。
【0039】
識別部15は、搬送部9が搬送する硬貨の金種、真偽、正損などを識別する装置である。また、識別部15は、搬送部9が搬送する硬貨の数を計数する機能を有していてもよい。
【0040】
出金口16は、硬貨処理装置1の外部へ硬貨を出金する開口部である。
【0041】
記憶部17は、硬貨処理装置1の各種動作に必要な各種情報を記憶しているメモリである。記憶部17に記憶されている情報の例としては、その時点において第1収納部5に収納されている硬貨の金種毎の枚数を示す第1金種枚数情報、および、第2収納部7に収納されている硬貨の金種毎の枚数を示す第2金種枚数情報等が挙げられる。
【0042】
図2に示すように、制御部18は、前述した、入金口3、入金搬送路4、第1収納部5、排出機構6、第2収納部7、繰出部8、搬送部9、共通搬送路10、分岐部11、第1搬送路12、第2搬送路13、出金搬送路14、識別部15、出金口16、及び、記憶部17の動作を制御する。制御部18は、例えば、CPUである。
【0043】
(硬貨処理装置の基本動作)
次に、第1の実施の形態に係る硬貨処理装置1の基本動作について説明する。図3は、硬貨処理装置1の基本動作について説明する図である。図3Aから図3Dにおいて、実線の矢印は各動作における硬貨の移動する様子を示している。
【0044】
(入金動作)
図3Aは、硬貨処理装置1の外部から硬貨が入金される入金動作について説明するための図である。図3Aに示すように、入金口3から入金された硬貨は、まず繰出部8に投入される。繰出部8は入金された硬貨を1枚ずつ共通搬送路10に繰り出す。繰り出された硬貨は、共通搬送路10上の識別部15によって識別される。
【0045】
識別された硬貨は、共通搬送路10および第1搬送路12を介して第1収納部5へ搬送され、第1収納部5に収納される。なお、例えば第1収納部5が一杯で新たな硬貨を収納できない場合、または識別の結果第1収納部5に収納すべきで無い硬貨であった場合などには、図3Aの破線矢印に示すように、識別された硬貨は出金搬送路14を介して出金口16へ搬送され、返金される。
【0046】
(出金動作)
次に、図3Bは、硬貨処理装置1における、第2収納部7から硬貨を出金する出金動作について説明するための図である。上述したように、第2収納部7には釣銭準備金など、硬貨処理装置1の外部に出金するための硬貨が収納されており、硬貨処理装置1は、出金指示に応じて、要求された金額の硬貨を第2収納部7から出金する。この出金動作は、例えば硬貨処理装置1に対して外部から釣銭の出金が要求された場合等に行われる。
【0047】
図3Bに示すように、まず、第2収納部7から、第2収納部7に収納された全ての硬貨が排出される。第2収納部7から排出された硬貨は、すぐ下側に配置された繰出部8に投入される。繰出部8は入金された硬貨を1枚ずつ共通搬送路10に繰り出す。繰り出された硬貨は、共通搬送路10上の識別部15によって識別される。
【0048】
制御部18は、1枚ずつ識別した硬貨を出金するか否か判断し、出金すると判断した場合には、当該硬貨を共通搬送路10および出金搬送路14を介して出金口16へ搬送し、出金する。また、制御部18は、識別した硬貨を出金しないと判断した場合には、図3Bの破線矢印に示すように、当該硬貨を共通搬送路10および第2搬送路13を介して第2収納部7へ戻す。
【0049】
識別した硬貨を出金するか否かの判断方法については、本開示では特に限定しないが、例えば、制御部18は、今までに出金した硬貨の合計額に、新たに識別した硬貨の金額を加えた額が、出金を要求された金額、例えば釣銭額を越えない場合に、当該新たに識別した硬貨の出金を行う。
【0050】
なお、上述の説明では、出金動作において、第2収納部7から全ての硬貨が排出されるとしたが、本開示はこれに限定されない。例えば、出金動作において、第2収納部7から決まった枚数の硬貨が排出されるようにしてもよい。そして、第2収納部7から排出された金額の合計額が要求された金額に満たない場合に、第1収納部5から残りの硬貨を排出するようにしてもよい。
【0051】
(出金準備動作)
次に、図3Cは、第1収納部5から第2収納部7へ硬貨を補充する出金準備動作について説明するための図である。出金準備動作は、上述した出金動作によって第2収納部7から出金された硬貨を次の出金のために準備(補充)するための動作である。ただし、本開示の硬貨処理装置1における出金準備動作は、第2収納部7から出金された硬貨と同じ金種の硬貨を必ずしも補充しない。
【0052】
図3Cに示すように、まず、第1収納部5から、硬貨が排出される。この際、第1収納部5は、収納する硬貨の中から硬貨をランダムに排出する。すなわち、第1収納部5が排出する硬貨に含まれる金種および金種毎の枚数は、一定ではないことが想定される。
【0053】
第1収納部5から排出された硬貨は、繰出部8に投入される。繰出部8は入金された硬貨を1枚ずつ共通搬送路10に繰り出す。繰り出された硬貨は、共通搬送路10上の識別部15によって識別される。
【0054】
制御部18は、1枚ずつ識別した硬貨を第2収納部7に収納するか否か判断し、収納すると判断した場合には、当該硬貨を共通搬送路10および第2搬送路13を介して第2収納部7へ搬送し、収納する。また、制御部18は、識別した硬貨を第2収納部7に収納しないと判断した場合には、図3Cの破線矢印に示すように、当該硬貨を共通搬送路10および第1搬送路12を介して第1収納部5へ戻す。出金準備動作の際の制御部18の判断については、後ほど詳細に説明する。
【0055】
硬貨処理装置1は、出金動作と出金準備動作とを繰り返し行うことにより、代金などの精算を繰り返し行うことができる。第2収納部7には、1回分の出金動作に必要な金額を構成可能な金種および枚数の硬貨が、少なくとも収納されていればよい。
【0056】
(回収動作)
次に、図3Dは、第1収納部5に収納されている硬貨を、硬貨処理装置1の管理者が回収する回収動作について説明するための図である。硬貨処理装置1の回収動作は、例えば硬貨処理装置1が自動精算機である場合、売上を回収するために行われる。
【0057】
図3Dに示すように、第1収納部5から排出された硬貨が、繰出部8に投入される。繰出部8は投入された硬貨を1枚ずつ共通搬送路10に繰り出す。繰り出された硬貨は、共通搬送路10上の識別部15によって識別される。
【0058】
識別された硬貨は、共通搬送路10および出金搬送路14を介して出金口16へ搬送され、出金される。回収動作は、例えば第1収納部5に収納されている硬貨が全て、または所定の枚数もしくは金額排出されるまで行われる。回収動作は、例えば第1収納部5から出金される硬貨の合計額が所定の額となるまで行われてもよいし、第1収納部5から出金される硬貨の枚数もしくは所定の金種の枚数が所定の枚数となるまで行われてもよい。さらに、回収動作は、第1収納部5に残る硬貨の合計額が所定の額となるまで、または第1収納部5に残る硬貨の枚数もしくは所定の金種の枚数が所定の枚数となるまで行われてもよい。
【0059】
図3Aから図3Dに示すような種々の動作は、制御部18が動作の種類に応じて硬貨処理装置1の各構成を制御することによって実現される。なお、第1収納部5に収納される硬貨の金種および枚数を示す第1金種枚数情報は、硬貨処理装置1が有する記憶部17に記憶される。第1金種枚数情報は、第1収納部5に新たに硬貨が収納される度、および、硬貨が排出される度に更新される。第2収納部7に収納される硬貨に関する第2金種情報は、記憶部17に記憶され、第2収納部7への硬貨の入出金の度に更新される。
【0060】
以上説明したように、第1の実施の形態に係る硬貨処理装置1では、繰出部8から繰り出された硬貨が識別部15によって識別された後、動作の種類および識別結果によって異なる搬送先へ搬送される。
【0061】
(出金準備動作)
次に、第1の実施の形態に係る硬貨処理装置1による出金準備動作について、詳細に説明する。出金動作により第2収納部7から排出された硬貨が出金口16から出金された後、制御部18は、出金準備動作を開始する。具体的には、制御部18は、第2収納部7内に基本の出金準備金を準備する。
【0062】
本実施の形態では、基本の出金準備金として、硬貨としての出金に対応可能で最低限必要な金種と金種ごとの枚数の組み合わせを準備する。基本の出金準備金の金種および金種ごとの枚数の組み合わせは、例えば、取り扱う紙幣の最小金額より小さい金額の全てを出金可能な最低限必要な金種と金種ごとの枚数の組み合わせである。基本の出金準備金は、これに限らず、任意に設定できてもよい。
【0063】
取り扱う紙幣の最小金額より小さい金額の全てを出金可能な出金準備金として、最低限必要な金種と金種ごとの枚数の組み合わせは、通貨によって予め決まる。図4は、通貨がユーロの場合、取り扱う紙幣の最小金額より小さい金額の全てを出金可能な最低限必要な金種と枚数との組み合わせを表す図である。ユーロの場合、4ユーロ99セントまでの全ての金額に対応可能な硬貨を出金するために最低限必要な各硬貨の枚数は、1セント硬貨が1枚、2セント硬貨が2枚、5セント硬貨が1枚、10セント硬貨が1枚、20セント硬貨が2枚、50セント硬貨が1枚、1ユーロ硬貨が1枚、および2ユーロ硬貨が2枚である。
【0064】
図5は、第1の実施の形態に係る硬貨処理装置1による出金準備動作を示すフローチャートである。出金準備動作を開始した後、制御部18は、基本の出金準備金の準備が終了したか判断する(ステップS101)。基本の出金準備金の準備方法としては、第2収納部7内に既に収納されている硬貨で基本の出金準備金が揃っている場合は、制御部18はその段階で準備が終了したと判断してもよい。または、制御部18は、出金動作によって第2収納部7から出金された硬貨の代わりの硬貨を、第1収納部5から第2収納部7へ全て搬送、収納させた時に、準備が終了したと判断してもよい。
【0065】
基本の釣銭準備金の準備が終了したと判断した場合(ステップS101、Yes)、出金準備動作は終了する。
【0066】
基本の釣銭準備金の準備が終了していない場合、即ち、第2収納部7内に既に収納されている硬貨で基本の出金準備金が揃っておらず、必要な硬貨を第1収納部5から全て入手出来ていない場合(ステップS101、No)、制御部18は、所定の条件に該当するかを確認する(ステップS102)。
【0067】
所定の条件とは、以下の2つの場合がある。1つの目の条件は、出金準備動作の時間があらかじめ制御部18が設定していた所定時間を経過した場合であり、2つの目の条件は、次の入金確定コマンドが来た場合である。所定の条件は、いずれか1つの条件だけであってもよい。
【0068】
所定の条件に該当しないと判断した場合(ステップS102、No)、制御部18は、基本の出金準備金の準備動作を続ける。
【0069】
所定の条件に該当すると判断した場合(ステップS102、Yes)、制御部18は、出金準備金のパターンを複数にする。本例では、基本の出金準備金だけでなく、他のパターンの出金準備金を準備するように制御方法を変更する(ステップS103)。
【0070】
他のパターンの出金準備金とは、例えば、その時点で基本の出金準備金に対して不足している金種(2セント硬貨1枚)を、額面価格が小さいひとつ下の金種(1セント硬貨2枚)で代替することを可能とするパターンである。
【0071】
他のパターンの出金準備金の準備方法としては、第2収納部7内に既に収納されている硬貨で他のパターンの出金準備金が揃っている場合は、制御部18はその段階で準備が終了したと判断してもよい。または、制御部18は、第1収納部5から硬貨が搬送され、他のパターンの出金準備金が第2収納部7に収納された時に、準備が終了したと判断してもよい。いずれの場合でも、出金準備動作は終了する。
【0072】
このように、第1の実施の形態に係る硬貨処理装置の制御方法および硬貨処理装置によれば、所定の条件を満たす場合に、設定された金種と金種ごとの枚数の組み合わせの硬貨とは異なる、金種と金種ごとの枚数の組み合わせの硬貨を出金準備金とすることができるので、出金時間の遅延を低減することが可能となる。
【0073】
(第2の実施の形態)
次に、本開示の硬貨処理装置の制御方法および硬貨処理装置の第2の実施の形態について説明する。なお、以下に説明する第2の実施の形態においては、第1の実施の形態と共通する構成については図中に同符号を付してその説明を省略する。第2の実施の形態では、希少な金種の硬貨が入金された場合の入金動作が異なる。
【0074】
第2の実施の形態について、添付図を参照して説明する。硬貨処理装置の基本構成、および、硬貨処理装置の機能構成は、第1の実施の形態と共通するため、その説明を省略する。
【0075】
(入金動作)
第2の実施の形態に係る硬貨処理装置1による入金動作について説明する。図6は、第2の実施の形態に係る硬貨処理装置による入金動作を示すフローチャートである。
【0076】
入金口3から硬貨が入金されると、当該硬貨は識別部15によって識別される。制御部18は、入金された硬貨は希少な金種か判断する(ステップS201)。希少な金種とは、発行枚数が少なくコレクション性が高い記念硬貨などである。
【0077】
入金された硬貨は希少な金種であると判断した場合(ステップS201、Yes)、制御部18は、当該硬貨を第2収納部7へ搬送、収納させ(ステップS202)、入金動作は終了する。具体的には、当該硬貨は、共通搬送路10および第2搬送路13を介して第2収納部7へ搬送され、収納される。
【0078】
このように制御することにより、希少な金種の硬貨を、優先的に出金口16からの出金、又は、業務後に出金口16からの回収を容易にすることが可能となる。硬貨を優先的に出金するか、硬貨を業務後に回収するかの設定は、硬貨処理装置1が設置された各店舗によって変更可能である。
【0079】
また、この場合の回収動作では、希少な金種の硬貨は、第2収納部7から共通搬送路10および出金搬送路14を介して出金口16へ搬送され、出金される。
【0080】
入金された硬貨は希少な金種ではないと判断した場合(ステップS201、No)、制御部18は、通常の入金処理を行い入金された硬貨を第1収納部5へ搬送して収納し(ステップS203)、入金動作は終了する。
【0081】
このように、第2の実施の形態に係る硬貨処理装置の制御方法および硬貨処理装置によれば、入金された硬貨が希少な金種だという条件を満たした場合に、希少な金種の硬貨を収納枚数が少ない第2収納部に収納する。そうすることで、希少な金種の硬貨の出金、又は、回収を容易にすることが可能となる。
【0082】
(第3の実施の形態)
次に、本開示の硬貨処理装置の制御方法および硬貨処理装置の第3の実施の形態について説明する。なお、以下に説明する第3の実施の形態においては、第1の実施の形態と共通する構成については図中に同符号を付してその説明を省略する。第3の実施の形態では、硬貨処理装置の基本動作のうち、初期設定枚数より多い金種の硬貨が収納された場合の出金準備動作および出金動作が異なる。
【0083】
第3の実施の形態について、添付図を参照して説明する。硬貨処理装置の基本構成、および、硬貨処理装置の機能構成は、第1の実施の形態と共通するため、その説明を省略する。なお、第3の実施の形態では、硬貨処理装置1の他に、紙幣の収納処理及び出金処理を行う紙幣処理装置(図示せず)が併設されており、硬貨と紙幣の両方を取り扱うことが可能となっている。
【0084】
(出金準備動作)
第3の実施の形態に係る硬貨処理装置1による出金準備動作について説明する。図7は、第3の実施の形態に係る硬貨処理装置による出金準備動作を示すフローチャートである。
【0085】
第1収納部5に収納される金種が初期設定枚数より多くなると、別途、回収動作が必要となる。制御部18は、第1収納部5に収納される金種の硬貨が初期設定枚数より多いか判断する(ステップS301)。なお、本例では、1ユーロ硬貨および2ユーロ硬貨が初期設定枚数より多くなる場合について説明する。
【0086】
第1収納部5に収納される金種の硬貨が初期設定枚数より多いと判断した場合、(ステップS301、Yes)、制御部18は、多いと判断した金種(1ユーロ硬貨および2ユーロ硬貨)を第2収納部7に搬送、収納させ(ステップS302)、出金準備動作は終了する。
【0087】
第1収納部5に収納される金種の硬貨が初期設定枚数より多くないと判断した場合(ステップS301、No)、制御部18は、通常の出金準備動作を行い(ステップS303)、出金準備動作は終了する。なお、初期設定枚数より多いかどうかは、第1収納部5および第2収納部7に収納されている合計枚数で比較して判断してもよい。
【0088】
(出金動作)
次に、第3の実施の形態に係る硬貨処理装置1による出金動作について説明する。図8は、第3の実施の形態に係る硬貨処理装置による出金動作を示すフローチャートである。
【0089】
制御部18は、出金指示を受けると、第1収納部5に収納されている枚数が初期設定枚数より多い金種の硬貨を出金可能か判断する(ステップS401)。本例では、5ユーロ紙幣の出金が要求された場合について説明する。
【0090】
第1収納部5に収納されている枚数が初期設定枚数より多い金種の硬貨を出金可能と判断した場合(ステップS401、Yes)、制御部18は、初期設定枚数より多い金種の硬貨を第2収納部7から出金し(ステップS402)、出金動作は終了する。出金可能かどうかの判断は、出金要求の金額と第2収納部7に収納されている金種および金種ごとの枚数により判断する。本例では、第1収納部5に収納されている1ユーロ硬貨または2ユーロ硬貨が初期設定より多くなっている場合に、5ユーロ紙幣の出金要求に対して、例えば、1ユーロ硬貨1枚と2ユーロ硬貨2枚が第2収納部7に収納されているかを判断する。1ユーロ硬貨1枚と2ユーロ硬貨2枚が第2収納部7に収納されている場合、5ユーロ紙幣の代わりに1ユーロ硬貨を1枚と2ユーロ硬貨を2枚出金する。
【0091】
初期設定枚数より多い金種の硬貨を出金可能ではないと判断した場合、即ち、第1収納部5に収納されている金種の硬貨が初期設定枚数より多くないと判断した場合(ステップS401、No)、制御部18は、通常の出金動作を行い(ステップS403)、出金動作は終了する。なお、第1収納部5に初期設定枚数より多く収納されている金種の硬貨があるが、出金指示された出金額を第2収納部7に収納されている該当金種の硬貨を用いて構成できない場合も、ステップS401において、初期設定枚数より多い金種の硬貨を出金可能ではないと判断する。
【0092】
なお、本実施の形態では、5ユーロ紙幣の出金指示に対して、高価な硬貨を優先的に出金しているが(1ユーロ硬貨を1枚と2ユーロ硬貨を2枚)、安価な硬貨を優先的に出金したり(1ユーロ硬貨を3枚と2ユーロ硬貨を1枚)、安価な硬貨だけを出金したりする(1ユーロ硬貨を5枚)など、任意に設定可能である。
【0093】
なお、第3の実施の形態は、紙幣の代替に限られない。例えば、第1収納部5および第2収納部7に収納される50セント硬貨と1ユーロ硬貨が初期設定枚数より多い場合、2ユーロ硬貨の出金指示に対して、2ユーロ硬貨の代わりに50セント硬貨を2枚と1ユーロ硬貨を1枚出金してもよい。
【0094】
また、ある金種の硬貨が所定の設定枚数を超えた場合、対象の硬貨が入金されたときは、第1収納部5ではなく、第2収納部7に搬送して収納するようにしてもよい。また、初期設定枚数より多いかどうかは、第1収納部5および第2収納部7に収納されている枚数を初期設定枚数と比較して判断してもよい。
【0095】
このように、第3の実施の形態に係る硬貨処理装置の制御方法および硬貨処理装置によれば、ある金種の硬貨が所定の設定枚数を超えて収納されているという条件を満たした場合に、出金準備金のパターン設定に関わらず、該当の硬貨を第2収納部に収納する。そうすることで、増加傾向にある金種の硬貨を優先して出金しやすくし、回収の頻度を低減することが可能となる。
【0096】
(第4の実施の形態)
次に、本開示の硬貨処理装置の制御方法および硬貨処理装置の第4の実施の形態について説明する。なお、以下に説明する第4の実施の形態においては、第1の実施の形態と共通する構成については図中に同符号を付してその説明を省略する。第4の実施の形態では、硬貨処理装置の基本動作のうち、釣銭として使用しない金種の硬貨が入金された場合の入金動作および出金動作が異なる。
【0097】
第4の実施の形態について、添付図を参照して説明する。硬貨処理装置の基本構成、および、硬貨処理装置の機能構成は、第1~3の実施の形態と共通するため、その説明を省略する。
【0098】
(入金動作)
第4の実施の形態に係る硬貨処理装置1による入金動作について説明する。図9は、第4の実施の形態に係る硬貨処理装置による入金動作を示すフローチャートである。
【0099】
入金口3から硬貨が入金されると、当該硬貨は識別部15によって識別される。制御部18は、入金された硬貨は第2収納部7へ優先搬送する金種か判断する(ステップS501)。
【0100】
入金された硬貨は第2収納部7へ優先搬送する金種であると判断した場合(ステップS501、Yes)、制御部18は、当該硬貨を第2収納部7へ搬送、収納させ(ステップS502)、入金動作は終了する。具体的には、当該硬貨は、共通搬送路10および第2搬送路13を介して第2収納部7へ搬送され、収納される。
【0101】
本実施の形態では、優先搬送する金種は、店舗で釣銭として使用しない金種であり、例えば、1セント硬貨である。金種として、1セント硬貨、2セント硬貨、5セント硬貨、10セント硬貨、20セント硬貨、50セント硬貨、1ユーロ硬貨、および2ユーロ硬貨がある場合、硬貨処理装置1は、全ての金種を受け付けて入金する。
【0102】
一方、硬貨処理装置1が設置された店舗の運用で、例えば、最も安価な価格設定は2セントである場合など、1セント硬貨を釣銭にしていない場合、1セント硬貨が入金されると、後ほど回収が容易になる様に、第2収納部7へ搬送される。
【0103】
他方、硬貨処理装置1が設置された店舗の運用で、例えば、最も安価な価格設定は2セントである場合などで1セントはあまり使用されないため、入金された場合には1セント硬貨を優先して釣銭にしたい場合も、1セント硬貨が入金されると、第2収納部7へ搬送される。
【0104】
入金された硬貨は釣銭として使用しない金種ではないと判断した場合(ステップS501、No)、制御部18は、通常の入金処理を行い(ステップS503)、入金動作は終了する。
【0105】
(出金準備動作)
第4の実施の形態に係る硬貨処理装置1による出金準備動作は、第1の実施の形態に係る硬貨処理装置1による出金準備動作と同じである。
【0106】
(出金動作)
次に、第4の実施の形態に係る硬貨処理装置1による出金動作について説明する。図10は、第4の実施の形態に係る硬貨処理装置による出金動作を示すフローチャートである。なお、本例は、硬貨処理装置1が設置された店舗の運用で、所定の金種の硬貨、本実施の形態においては、1セント硬貨を優先して釣銭にしたい場合に適用される。
【0107】
制御部18は、出金指示を受けると、第2収納部7へ優先搬送された金種の硬貨、即ち、1セント硬貨を出金可能か判断する(ステップS601)。本例では、2セント硬貨1枚の出金が要求された場合について説明する。
【0108】
第2収納部7へ優先搬送された金種の硬貨を出金可能と判断した場合、即ち、第2収納部7に1セント硬貨が2枚以上ある場合(ステップS601、Yes)、制御部18は、優先搬送された金種を出金し(ステップS602)、出金動作は終了する。本例では、2セント硬貨1枚の代わりに1セント硬貨2枚を出金する。
【0109】
第2収納部7へ優先搬送された金種の硬貨を出金可能ではないと判断した場合、即ち、第2収納部7にある1セント硬貨が1枚以下の場合(ステップS601、No)、制御部18は、通常の出金動作を行い(ステップS603)、出金動作は終了する。
【0110】
なお、1セント硬貨を優先して釣銭にする運用において、制御部18は、既に第2収納部7に優先搬送された金種の硬貨が、その金種の一つ上の金種の硬貨と同額となっている場合には、入金処理において入金された金種の硬貨が優先搬送される金種の硬貨であっても、第2収納部7ではなく第1収納部5へ搬送、収納させるようにしてもよい。具体的には、第2収納部7に1セント硬貨が2枚収納されている場合、以後入金された1セント硬貨は第2収納部7ではなく第1収納部5へ収納される。
【0111】
このように、第4の実施の形態に係る硬貨処理装置の制御方法および硬貨処理装置によれば、釣銭として使用しない金種の硬貨という条件を満たした場合に、出金準備金のパターン設定に関わらず、該当の硬貨を第2収納部に優先的に搬送する。こうすることにより、釣銭として使用しない金種として設定された硬貨がある場合に、該当の硬貨を効率よく回収または使用することができるので、硬貨処理装置の運用の柔軟性を向上することが可能となる。
【0112】
(第5の実施の形態)
次に、本開示の硬貨処理装置の制御方法および硬貨処理装置の第5の実施の形態について説明する。なお、以下に説明する第5の実施の形態においては、第1の実施の形態と共通する構成については図中に同符号を付してその説明を省略する。第5の実施の形態では、硬貨処理装置の基本動作のうち、釣銭準備金の準備が終了しなかった場合の出金準備動作および出金動作が異なる。
【0113】
第5の実施の形態について、添付図を参照して説明する。硬貨処理装置の基本構成、および、硬貨処理装置の機能構成は、第5の実施の形態と共通するため、その説明を省略する。
【0114】
(出金準備動作)
第5の実施の形態に係る硬貨処理装置1による出金準備動作について説明する。図11は、第5の実施の形態に係る硬貨処理装置による出金準備動作を示すフローチャートである。
【0115】
出金動作により第2収納部7から排出された硬貨が出金口16から出金された後、制御部18は、出金準備動作を開始する。具体的には、制御部18は、第2収納部7内に出金準備金を準備する。
【0116】
出金準備動作を開始した後、制御部18は、出金準備金の準備が終了したか判断する(ステップS701)。出金準備金の準備方法としては、第2収納部7内に既に収納されている硬貨で基本の釣銭準備金が揃っている場合は、制御部18はその段階で準備が終了したと判断してもよい。または、制御部18は、出金動作によって第2収納部7から出金された硬貨の代わりの硬貨を、第1収納部5から第2収納部7へ全て搬送、収納させた時に、準備が終了したと判断してもよい。
【0117】
出金準備金の準備が終了したと判断した場合(ステップS701、Yes)、出金準備動作は終了する。
【0118】
出金準備金の準備が終了していない場合、即ち、第2収納部7内に既に収納されている硬貨で出金準備金が揃っておらず、出金された硬貨の代わりの硬貨を第1収納部5から全て入手出来ていない、すなわち、所定の組み合わせの出金準備金が第2収納部7に収納できていない場合(ステップS701、No)、制御部18は、所定の条件に該当するかを確認する(ステップS702)。
【0119】
所定の条件とは、以下の2つの場合がある。1つの目の条件は、出金準備動作の時間があらかじめ制御部18が設定していた所定時間を経過した場合であり、2つの目の条件は、次の入金確定コマンドが来た場合である。いずれか1つの条件により判断してもよい。
【0120】
所定の条件に該当しないと判断した場合(ステップS702、No)、制御部18は、出金準備金の準備を続ける。
【0121】
所定の条件に該当すると判断した場合(ステップS702、Yes)、制御部18は、出金準備動作を強制中止し(ステップS703)、出金準備動作は終了する。即ち、第2収納部7内に、出金準備金を準備できていない状態で処理が終了する。
【0122】
(出金動作)
次に、第5の実施の形態に係る硬貨処理装置1による出金動作について説明する。
【0123】
制御部18は、出金指示を受けると、出金動作を開始する。出金準備動作では、第2収納部7内に、出金準備金を準備できない状態で処理が終了しているため、制御部18は、以下の3つのうち、いずれか1つの出金動作を行う。
【0124】
出金動作1
出金指示されている要求金額が、第2収納部7に収納されている出金準備金の額より大きい場合、初めに、第2収納部7に収納されている全ての釣銭準備金を、識別部15を経由せずに直接出金口16へ搬送する。その後、第1収納部5に収納されている金種の硬貨を識別部15に搬送し、要求金額に対して不足している必要な金種と枚数の硬貨を選別し、出金口16へ搬送する。
【0125】
出金動作2
出金指示されている要求金額が、第2収納部7に収納されている出金準備金の額より大きい場合、第2収納部7に収納されている金種の硬貨と第1収納部5に収納されている金種の硬貨を一緒に繰出部8へ排出し、識別部15により、必要な金種と枚数を選別し、出金口16へ搬送する。
【0126】
出金動作3
出金指示されている要求金額が、第2収納部7に収納されている出金準備金の額より大きい場合、初めに、第1収納部5に収納されている金種の硬貨を繰出部8から識別部15に搬送し、出金指示された要求金額に対して不足している必要な金種と枚数の硬貨を選別し、第2収納部7へ搬送する。その後、第2収納部7に収納されている全ての硬貨を、識別部15を経由せずに直接出金口16へ搬送する。
【0127】
出金指示されている要求金額が、第2収納部7に収納されている出金準備金の額より大きい場合、制御部18は、出金動作1~3のいずれか1つの出金動作を行い、出金動作は終了する。なお、出金指示されている要求金額が、第2収納部7に収納されている出金準備金の額以下の場合は、通常通り、第2収納部7に収納されている硬貨を繰出部8に排出して、識別部15により識別して、出金に必要な硬貨を選別して出金口16へ搬送する。
【0128】
このように、第5の実施の形態に係る硬貨処理装置の制御方法および硬貨処理装置によれば、出金準備金を準備する時間を延長することなく、必要な金額の出金をすることが可能となる。
【0129】
(変形例1)
制御部18は、第1収納部5内に収納される複数の金種の硬貨を、狙いの比率に保つため、第1収納部5内に収納される金種比率を監視し、金種Aの比率が設定値をX%下回り、かつ、額面価格が小さい金種Bの比率が設定値をY%上回るとき、AをBで代替するように制御してもよい。なお、設定値X、Yは、任意の値を設定可能である。こうすることで、ある金種の少なくなりすぎてなかなか排出されず、出金準備の動作に時間がかかってしまうことを低減できる。
【0130】
(変形例2)
制御部18は、過去D週間のデータから出金比率を算出し、第1収納部5に設定する狙いの比率、すなわち、金種ごとの最適な枚数(閾値)を自動で更新するように制御してもよい。なお、設定値Dは、任意の値を設定可能である。
【0131】
(変形例3)
制御部18は、第1収納部5内に収納される、ある金種の比率が設定値をE%下回ったとき、補充の要求を行うように制御してもよい。なお、設定値Eは、任意の値を設定可能である。なお、デフォルトとしては、出金準備動作が所定時間内に終わるように、実験により算出された値が、各金種の設定値Eとして設定される。
【0132】
本開示に係る硬貨処理装置の制御方法および硬貨処理装置は、これまでに詳細に説明された実施の形態には限定されず、その趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変更を加えたものも本開示に係る硬貨処理装置の制御方法および硬貨処理装置に包含される。
【符号の説明】
【0133】
1 硬貨処理装置
2 筐体
3 入金口
4 入金搬送路
5 第1収納部
6 排出機構
7 第2収納部
8 繰出部
9 搬送部
10 共通搬送路
11 分岐部
12 第1搬送路
13 第2搬送路
14 出金搬送路
15 識別部
16 出金口
17 記憶部
18 制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11