(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024111489
(43)【公開日】2024-08-19
(54)【発明の名称】通信装置、及び、通信方法
(51)【国際特許分類】
H04B 7/06 20060101AFI20240809BHJP
H04B 7/0413 20170101ALI20240809BHJP
H04B 7/024 20170101ALI20240809BHJP
H04L 27/26 20060101ALI20240809BHJP
【FI】
H04B7/06 984
H04B7/0413
H04B7/024
H04L27/26 114
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023016024
(22)【出願日】2023-02-06
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和3年度、国立研究開発法人情報通信研究機構「革新的情報通信技術研究開発委託研究/Beyond 5Gに向けたテラヘルツ帯を活用した端末拡張型無線通信システム実現のための研究開発」、副題「Beyond 5G に向けたテラヘルツ帯を活用するユーザセントリックアーキテクチャ実現に関する研究開発」、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニックホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西尾 昭彦
(72)【発明者】
【氏名】湯田 泰明
(72)【発明者】
【氏名】眞木 翔太郎
(57)【要約】
【課題】位相雑音を補正するための参照信号を送信する。
【解決手段】通信装置は、条件に応じて、MIMO(Multiple-Input Multiple-Output)伝送の複数のストリームにおける位相雑音補正用の参照信号の送信を制御する制御回路と、制御に従って、参照信号を送信する送信回路と、を具備する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
条件に応じて、MIMO(Multiple-Input Multiple-Output)伝送の複数のストリームにおける位相雑音補正用の参照信号の送信を制御する制御回路と、
前記制御に従って、前記参照信号を送信する送信回路と、
を具備する通信装置。
【請求項2】
前記条件は、前記MIMO伝送に用いる複数の送信アンテナの位相雑音、及び、前記MIMO伝送に用いる複数の受信アンテナの位相雑音に基づき、
前記制御回路は、
前記複数の送信アンテナ毎に異なる位相雑音が加わる場合に、前記複数のストリーム毎の前記参照信号を送信し、
前記複数の受信アンテナ毎に異なる位相雑音が加わる場合に、前記複数のストリームに共通の前記参照信号を送信する、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記条件は、前記MIMO伝送に用いる送信アンテナにおける位相雑音と、前記MIMO伝送に用いる受信アンテナの位相雑音との比較に基づき、
前記制御回路は、
前記送信アンテナにおける位相雑音が前記受信アンテナにおける位相雑音より強い場合に、前記複数のストリーム毎の前記参照信号を送信し、
前記受信アンテナにおける位相雑音が前記送信アンテナにおける位相雑音より強い場合に、前記複数のストリームに共通の前記参照信号を送信する、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項4】
前記条件は、前記通信装置及び前記通信装置の通信相手における中継局、前記信号の送受信に用いる周波数、及び、前記信号の送受信に用いる分散アンテナの少なくとも一つの利用状況に基づく、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項5】
前記条件は、前記MIMO伝送に用いる複数の送信アンテナ間、又は、前記MIMO伝送に用いる複数の受信アンテナ間において局部発振器が共通であるか独立であるかに基づく、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項6】
前記条件は、前記通信装置と前記通信装置の通信相手との間の局部発振器の性能差に基づく、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項7】
前記条件は、前記通信装置の通信相手から受信した前記参照信号の生成方法に関する情報に基づく、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項8】
通信装置は、
条件に応じて、MIMO(Multiple-Input Multiple-Output)伝送の複数のストリームにおける位相雑音補正用の参照信号の送信を制御し、
前記制御に従って、前記参照信号を送信する、
通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、通信装置、及び、通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
5G NR(New Radio access technology)を始めとするセルラー無線通信において、スループット向上のため、MIMO(Multiple-Input Multiple-output)送信が用いられている(例えば、非特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】3GPP TS 38.300, V15.13.0 “NR; NR and NG-RAN Overall Description; Stage 2 (Release 16)”, 2021-06
【非特許文献2】”PROPOSAL FOR A USER-CENTRIC RAN ARCHITECTURE TOWARDS BEYOND 5G”, 信学技報, vol. 121, no. 189, SAT2021-43, pp. 4-10, 2021年10月.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、位相雑音を補正するための参照信号の送信方法については検討の余地がある。
【0005】
本開示の非限定的な実施例では、位相雑音を補正するための参照信号を適切に送信できる通信装置及び通信方法の提供に資する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施例に係る通信装置は、条件に応じて、MIMO(Multiple-Input Multiple-Output)伝送の複数のストリームにおける位相雑音補正用の参照信号の送信を制御する制御回路と、前記制御に従って、前記参照信号を送信する送信回路と、を具備する。
【0007】
なお、これらの包括的または具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム、または、記録媒体で実現されてもよく、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラムおよび記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【発明の効果】
【0008】
本開示の一実施例によれば、位相雑音を補正するための参照信号を適切に送信できる。
【0009】
本開示の一態様における更なる利点および効果は、明細書および図面から明らかにされる。かかる利点および/または効果は、いくつかの実施形態並びに明細書および図面に記載された特徴によってそれぞれ提供されるが、1つまたはそれ以上の同一の特徴を得るために必ずしも全てが提供される必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図3】仮想化端末システム及び分散アンテナシステムの例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0012】
6Gシステム(第6世代移動通信システム)に向けて、分散配置された複数の中継装置又は無線アンテナを用いる「仮想化端末」又は「仮想化基地局」といったシステムの仮想化が検討されている(例えば、非特許文献2を参照)。このような仮想化システムは、「仮想化端末システム」、又は「分散アンテナシステム」と呼ばれることもある。
【0013】
また、6Gでは、ミリ波帯に加えて、100GHz以上のテラヘルツ帯(或いは、サブテラヘルツ帯)といった周波数の高い電波の活用が検討されている。例えば、非特許文献2では、端末近傍の通信にテラヘルツ波を用いるシステムが提案されている。
【0014】
MIMO伝送では、基地局(例えば、gNB又はgNodeBとも呼ぶ)及び端末(例えば、UE:User Equipmentとも呼ぶ)のそれぞれが複数のアンテナを用いて複数のデータストリームを送受信することによりスループットを向上させる。MIMO伝送は、同一の時間・周波数リソースを用いる伝送であるため、受信側の装置は、データストリームの分離処理(以降、「MIMO分離処理」と呼ぶ)を行う。例えば、受信側の装置は、チャネル推定値から生成したチャネル行列を用いてMIMO分離処理を行う。
【0015】
ミリ波及びテラ波といった高周波帯を用いる場合には局部発振器において発生する位相雑音の影響を受けやすい。位相雑音の影響は、例えば、共通位相誤差(CPE:Common Phase Error)又はキャリア間干渉(ICI:Inter-Carrier Interference)として現れ、誤り率の劣化を招き得る。このため、受信側の装置は、位相雑音の影響を軽減するためにCPE補正又はICI除去といった位相雑音補正処理を行う。位相雑音補正には、例えば、位相補正用参照信号(PTRS:Phase Tracking Reference Signal)が用いられる。
【0016】
6Gに向けて、高周波帯を用いる仮想化システムが検討されているが、複数の無線アンテナのそれぞれにおいて生じる位相雑音又は周波数オフセットが通信性能に与える影響及びその対策については十分に検討されていない。例えば、送信側及び受信側の少なくとも一方の複数の無線アンテナのそれぞれにおいて独立した位相雑音が生じる場合には適切に位相雑音補正用参照信号の送信を行わないと特性が劣化する可能性がある。
【0017】
本開示の非限定的な一実施例では、例えば、送信側及び受信側の少なくとも一方の複数の無線アンテナのそれぞれにおいて独立した位相雑音が生じる場合の位相雑音補正用参照信号を送信する方法について説明する。例えば、通信装置(例えば、基地局及び端末の少なくとも一つ)は、所定の条件に応じて、PTRSの送信方法(例えば、PTRSの生成方法、又は、PTRSの挿入方法)を制御してよい。
【0018】
[通信システムの概要]
本開示の一実施の形態に係る通信システムは、少なくとも一つの通信装置100を備える。通信装置100は、例えば、基地局でもよく、端末でもよい。
【0019】
通信装置100は、例えば、無線周波数帯の信号に対して、送信及び受信の少なくとも一つを行ってよい。
【0020】
図1は、通信装置100の一部の構成例を示すブロック図である。
図1に示す通信装置100において、制御部(例えば、制御回路に対応)は、条件に応じて、MIMO(Multiple-Input Multiple-Output)伝送の複数のストリームにおける位相雑音補正用の参照信号(例えば、PTRS)の送信を制御する。送信部(例えば、送信回路に対応)は、制御に従って、参照信号を送信する。
【0021】
[通信装置の構成例]
図2は、本実施の形態に係る通信装置100の構成の一例を示すブロック図である。
図2に示す通信装置100は、例えば、符号化部101、変調部102、プリコーディング部103、PTRS生成部104、PTRS挿入部105、Orthogonal Frequency Division Multiplexing(OFDM)変調部106、無線送信部107、アンテナ108、無線受信部109、OFDM復調部110、位相誤差推定部111、前段位相雑音補正部112、MIMO受信処理部113、後段位相雑音補正部114、復調部115、復号部116、及び制御部117を含んでよい。
【0022】
図2に示す符号化部101~OFDM変調部106、及び、OFDM復調部110~制御部117の少なくとも一つは、
図1に示す制御部に含まれてよい。また、
図2に示す無線送信部107及びアンテナ108の少なくとも一つは、
図1に示す送信部に含まれてよい。
【0023】
<送信処理>
符号化部101は、例えば、ターボ符号、Low Density Parity Check(LDPC)符号、及びポーラ符号といった符号化方式を用いて、信号に対して誤り訂正符号化を行う。
【0024】
変調部102は、例えば、符号化後のビット列に対して、Quadrature phase shift keying(QPSK)や16-Quadrature amplitude modulation(16QAM)などのIQコンスタレーションにマッピングし、変調シンボルを生成する。
【0025】
プリコーディング部103は、例えば、変調部102から入力される変調シンボルに対して、MIMO送信のためのプリコーディング処理(例えば、変調シンボルへの重みづけ処理)を行う。なお、通信装置100がMIMO送信を行わない場合、プリコーディング部103は処理を行わなくてよい。例えば、送信アンテナ系統毎に局部発振器が異なる場合には、プリコーディングにより各ストリームの成分が複数の送信アンテナ系統に含まれると受信側でのストリーム毎の位相補正精度が劣化する可能性があるため、プリコーディング部103は、プリコーディングを行わなくてよい(又は、単位行列又はユニタリ行列によるプリコーディングを行ってよい)。
【0026】
PTRS生成部104は、位相補正用参照信号(例えば、PTRS)を生成する。例えば、PTRS生成部104は、制御部117からの制御に基づいてストリーム毎(又は、アンテナ系統毎)のPTRS、又は、ストリーム(又は、アンテナ系統)で共通のPTRSを生成する。なお、PTRSの生成例については後述する。
【0027】
PTRS挿入部105は、PTRS生成部104において生成されるPTRSを所定のサブキャリア及び/又はOFDMシンボルに挿入する。ストリーム毎のPTRSの挿入位置、及び、ストリームで共通のPTRSの挿入位置は、予め規定されてもよく、通信装置100が決定してもよく、通信装置100と異なる装置(例えば、基地局)から通知されてもよい。
【0028】
また、例えば、複数のストリーム毎のPTRSは、通信装置100の複数のアンテナ108のそれぞれから送信されてよい。
【0029】
また、例えば、複数のストリームに共通のPTRS(例えば、同一のPTRS)は、複数のアンテナ108のそれぞれから送信されてもよく、複数のアンテナ108の何れかのアンテナから送信されてもよい。また、例えば、PTRSが複数のアンテナ108の何れか一つから送信される場合には、PTRSは、アンテナ数倍の送信電力で送信されてもよい。なお、PTRSが送信されるアンテナは一つに限らず、2つ以上でもよい。この場合、PTRSは、複数のアンテナ108に設定可能な総送信電力を、PTRSの送信に使用されるアンテナに振り分けてよい。
【0030】
OFDM変調部106は、例えば、プリコーディング部103から入力される送信信号をサブキャリアへマッピングし、IFFT(Inverse Fast Fourier Transform)処理により周波数領域信号から時間領域信号へ変換してOFDM信号を生成する。また、OFDM変調部106は、IFFT後の信号のOFDMシンボルの後ろの一部のサンプルを先頭へコピーすることによりCP(Cyclic Prefix)を付加する。この際、OFDM変調部106は、OFDMシンボル間の非連続性による帯域外輻射電力を低減するためのwindowing処理を行ってもよい。なお、windowing処理の代わりに、filtering処理が行われてもよいし、周波数帯域を限定するための他の波形成形処理でもよい。
【0031】
無線送信部107は、デジタル・アナログ変換、局部発振器を用いた送信周波数へのアップコンバート及び信号増幅処理といった無線送信処理を行い、無線送信処理後の信号をアンテナ108から送信する。
【0032】
なお、送信処理を行う各部(例えば、OFDM変調部106及び無線送信部107)での処理は、複数のアンテナの系統毎に行われてもよい。また、各アンテナ系統ではそれぞれ異なる中継端末(例えば、仮想化端末システムのケース)又はAP(Access Point)(例えば、分散アンテナシステムのケース)への送信信号を処理してもよい。また、各アンテナ系統の処理を行う無線送信部等の処理部は同一の筐体にあってもよいし、別の筐体に分散配置されていてもよい。
【0033】
<受信処理>
無線受信部109は、例えば、アンテナ108において受信した信号に対して、局部発振器を用いたダウンコンバート、アナログ・デジタル変換、及び、帯域制限フィルタといった無線受信処理を行い、ベースバンド信号を得る。
【0034】
OFDM復調部110は、例えば、無線受信部109から入力される信号に付加されたCPの除去を行い、CPを除去した信号に対してFFT(Fast Fourier Transform)処理を行い、時間領域信号から周波数領域信号へ変換する。
【0035】
位相誤差推定部111は、例えば、OFDM復調部110から入力される信号に含まれるPTRSを用いて、位相雑音の影響により変化する位相誤差を推定する。位相誤差は、例えば、無線スロット(或いはフレーム)の先頭シンボルの位相からの位相変化量でもよいし、前のシンボルからの位相変化量でもよい。位相誤差推定部111は、例えば、制御部117からの指示に従って、推定する位相誤差として、受信アンテナ系統毎の位相雑音、及び、送信アンテナ系統毎の位相雑音の何れか一方又は両方を推定してよい。位相誤差推定部111は、例えば、受信アンテナ系統毎の位相雑音による位相誤差に関する情報を前段位相雑音補正部112へ出力し、送信アンテナ系統毎の位相雑音による位相誤差に関する情報を後段位相雑音補正部114へ出力する。
【0036】
前段位相雑音補正部112は、例えば、位相誤差推定部111において推定された位相誤差を用いて、受信アンテナ系統毎の位相雑音補正処理を行う。例えば、前段位相雑音補正部112は、MIMO分離処理前の信号(例えば、OFDMシンボル毎)の位相回転量を推定し、位相雑音によって生じるCPEを補正する。また、前段位相雑音補正部112は、CPE補正に加え、位相雑音によるICIを除去するICI除去を行ってもよい。
【0037】
MIMO受信処理部113は、例えば、チャネル等化を含むMIMO受信処理(又は、MIMO分離処理)を行い、多重されている各ストリーム信号を分離(又は、検出)する。なお、MIMO伝送が行われない場合、MIMO受信処理部は、チャネル等化を行い、ストリーム信号の検出を行わなくてもよい。また、MIMO受信処理部113は、MIMO受信処理の前に、参照信号を用いてチャネル(伝搬路)変動の推定を行ってもよい。
【0038】
後段位相雑音補正部114は、例えば、位相誤差推定部111において推定された位相誤差を用いて、MIMO受信処理部113において分離されたストリーム信号毎に位相雑音補正を行う。例えば、後段位相雑音補正部114は、MIMO分離処理後の信号(例えば、ストリーム信号毎)の位相回転量を推定し、位相雑音によって生じるCPEを補正する。また、後段位相雑音補正部114は、CPE補正に加え、位相雑音によるICIを除去するICI除去を行ってもよい。
【0039】
復調部115は、QPSKや16QAMなどの変調方式によって変調された変調シンボルをビット列へ変換する。
【0040】
復号部116は、LDPC符号といった符号化方式によって符号化されたビット列の復号処理を行う。
【0041】
なお、受信処理を行う各部での処理は、複数のアンテナの系統毎に行われてもよい。また、各アンテナ系統ではそれぞれ異なる中継端末又はAPからの受信信号を処理してもよい。また、各アンテナ系統の処理を行う無線送信部等の処理部は同一の筐体にあってもよいし、別の筐体に分散配置されていてもよい。
【0042】
<制御部>
制御部117は、例えば、通信装置100の複数の送信アンテナ系統(例えば、ブランチと呼ぶこともある)において用いる局部発振器が、複数の送信アンテナ系統間で共通であるか否かに関する情報、又は、局部発振器の精度(又は、性能)に関する情報を決定し、制御情報として符号化部101へ出力する。
【0043】
また、制御部117には、例えば、通信装置100の通信相手(相手局)の受信アンテナ系統の局部発振器が、複数の受信アンテナ系統間で共通であるか否かに関する情報、又は、局部発振器の精度(又は、性能)に関する情報を、制御情報として復号部116から入力される。
【0044】
制御部117は、例えば、通信装置100の送信アンテナ系統の局部発振器に関する情報、及び、相手局の受信アンテナ系統の局部発振器に関する情報に基づいて、PTRS生成部104におけるPTRS生成方法を制御する。
【0045】
例えば、相手局の局部発振器が受信アンテナ系統間で共通であり、通信装置100の局部発振器が送信アンテナ系統間で独立である場合(例えば、共通でない場合)、制御部117は、PTRS生成部104に対して、複数のストリーム毎のPTRS生成を指示してよい。
【0046】
また、例えば、相手局の局部発振器が受信アンテナ系統間で独立であり(例えば、共通でなく)、通信装置100の局部発振器が送信アンテナ系統間で共通である場合、制御部117は、PTRS生成部104に対して、複数(例えば、全て)のストリームに共通のPTRS生成を指示してよい。
【0047】
また、例えば、相手局の局部発振器が受信アンテナ系統間で独立であり(例えば、共通でなく)、通信装置100の局部発振器が送信アンテナ系統間で独立である場合(例えば、共通でない場合)、制御部117は、全てのストリームに共通のPTRS、及び、ストリーム毎のPTRSの両方の生成をPTRS生成部104に指示してよい。
【0048】
なお、PTRS生成の動作例については後述する。
【0049】
また、制御部117は、例えば、相手局から通知される送信アンテナ系統の局部発振器に関する情報、及び、通信装置100の受信アンテナ系統の局部発振器に関する情報に基づいて、位相誤差推定部111における位相誤差の推定方法を制御する。
【0050】
例えば、相手局の局部発振器が送信アンテナ系統間で共通であり、通信装置100の局部発振器が受信アンテナ系統間で独立である場合(例えば、共通でない場合)、制御部117は、複数(例えば、全て)のストリームに共通のPTRSを用いて、受信アンテナ系統毎の位相誤差を推定するように位相誤差推定部111を制御してよい。
【0051】
また、例えば、相手局の局部発振器が送信アンテナ系統間で独立であり(例えば、共通でなく)、通信装置100の局部発振器が受信アンテナ系統間で共通である場合、制御部117は、複数のストリーム毎のPTRSを用いて、ストリーム毎(又は、相手局の送信アンテナ系統毎)の位相誤差を推定するように位相誤差推定部111を制御してよい。
【0052】
また、例えば、相手局の局部発振器が送信アンテナ系統間で独立であり(例えば、共通でなく)、通信装置100の局部発振器が受信アンテナ系統間で独立である場合(例えば、共通でない場合)、制御部117は、複数(例えば、全て)のストリームに共通のPTRS、及び、複数のストリーム毎のPTRSの両方を用いて、受信アンテナ系統毎の位相誤差及びストリーム毎の位相誤差を推定するように位相誤差推定部111を制御してよい。
【0053】
[通信装置の動作例]
次に、通信装置100の動作例について説明する。
【0054】
以下では、例えば、通信装置100におけるPTRS生成処理の動作例(又は、制御方法)について説明する。
【0055】
例えば、通信装置100は、MIMO伝送に用いる複数の送信アンテナ(例えば、通信装置100のアンテナ108)の位相雑音、及び、MIMO伝送に用いる複数の受信アンテナ(例えば、相手局の受信アンテナ)の位相雑音に基づく条件に応じて、PTRS生成部104におけるPTRS生成を制御してよい。例えば、通信装置100は、条件に応じて、MIMO伝送の複数のストリームに共通のPTRS、及び、複数のストリーム毎のPTRS(例えば、ストリーム間で直交するPTRS)の何れか一方又は両方の生成を決定してもよい。
【0056】
例えば、通信装置100は、以下の場合に、複数(例えば、全て)のストリームに共通のPTRSを生成する。
・相手局のMIMO受信アンテナ系統毎に位相雑音が加わる場合
・MIMOチャネルの受信側(例えば、相手局)において送信側(例えば、通信装置100)より強い位相雑音が加わる場合
【0057】
例えば、通信装置100(例えば、制御部117)は、相手局の受信アンテナ系統で用いる局部発振器が受信アンテナ系統間で共通であるか否かに関する情報及び局部発振器の精度に関する情報の少なくとも一つに基づいて、PTRS生成部104の動作を制御してよい。
【0058】
例えば、制御部117は、相手局の受信アンテナ系統において用いる局部発振器が共通か否かに関する情報、及び、局部発振器の精度に関する情報を受信(又は、保持)し、相手局の受信アンテナ系統間で局部発振器が独立の場合(又は、共通でない場合)に、複数のストリームに共通のPTRSを生成するように制御してよい。例えば、PTRS生成部104は、MIMO伝送に用いる相手局の受信アンテナ系統毎に異なる位相雑音が加わる場合に、複数のストリームに共通のPTRSを生成してよい。
【0059】
また、例えば、制御部117は、相手局の局部発振器が複数の受信アンテナ系統で独立であり、かつ、局部発振器の精度が所定レベル以下の場合に、複数のストリームに共通のPTRSを生成するように制御してもよい。
【0060】
また、例えば、制御部117は、相手局の受信アンテナ系統における位相雑音が通信装置100の送信アンテナ系統における位相雑音より強い場合に、複数のストリームに共通のPTRSを生成するように制御してもよい。受信アンテナ系統及び送信アンテナ系統における位相雑音又は位相雑音の比較(例えば、強弱)は、例えば、使用する周波数(例えば、テラ波又はミリ波であるか否か)、中継局(又は、中継端末)の利用の有無、又は、分散アンテナの利用の有無(例えば、利用状況)に基づいて推定されてもよい。
【0061】
なお、受信アンテナ系統は、例えば、中継装置又は分散アンテナを含む受信系統でもよく、通信装置100は、中継装置又は分散アンテナ装置(例えば、RU:Radio Unit等)から受信した局部発振器の情報を用いてもよい。
【0062】
また、例えば、通信装置100は、以下の場合に、複数のストリーム毎のPTRSを生成する。
・通信装置100のMIMO送信アンテナ系統毎に位相雑音が加わる場合
・MIMOチャネルの送信側(例えば、通信装置100)において受信側(例えば、相手局)より強い位相雑音が加わる場合
【0063】
例えば、通信装置100(例えば、制御部117)は、通信装置100の送信アンテナ系統で用いる局部発振器が送信アンテナ系統間で共通であるか否かに関する情報及び局部発振器の精度に関する情報の少なくとも一つに基づいて、PTRS生成部104の動作を制御してよい。
【0064】
例えば、制御部117は、通信装置100の送信アンテナ系統において用いる局部発振器が共通か否かに関する情報又は精度に関する情報を予め設定し、通信装置100の送信アンテナ系統間で局部発振器が独立の場合(又は、共通でない場合)に、複数のストリーム毎のPTRSを生成するように制御してよい。例えば、PTRS生成部104は、MIMO伝送に用いる通信装置100の送信アンテナ系統毎に異なる位相雑音が加わる場合に、複数のストリーム毎のPTRSを生成してよい。
【0065】
また、例えば、制御部117は、通信装置100の局部発振器が複数の送信アンテナ系統で独立であり、かつ、局部発振器の精度が所定レベル以下の場合に、複数のストリーム毎のPTRSを生成するように制御してもよい。
【0066】
また、例えば、制御部117は、通信装置100の送信アンテナ系統における位相雑音が相手局の受信アンテナ系統における位相雑音より強い場合に、複数のストリーム毎のPTRSを生成するように制御してもよい。受信アンテナ系統及び送信アンテナ系統における位相雑音又は位相雑音の比較(例えば、強弱)は、例えば、使用する周波数(例えば、テラ波又はミリ波であるか否か)、中継局(又は、中継端末)の利用の有無、又は、分散アンテナの利用の有無(例えば、利用状況)に基づいて推定されてもよい。
【0067】
また、例えば、制御部117は、通信装置100の送信アンテナ系統の局部発振器と、相手局の受信アンテナ系統の局部発振器との精度の差(又は、性能差)に応じて、複数のストリームに共通のPTRSを生成するか、複数のストリーム毎のPTRSを生成するかを決定してもよい。
【0068】
次に、上述した通信装置100を用いた通信システムの動作例として、6G向けに検討されている仮想化端末システム及び分散アンテナシステムに適用する例を説明する。
【0069】
【0070】
図3(a)に示す仮想化端末システムでは、ユーザ端末と中継端末とが高周波(例えば、テラ波)によって接続されることにより、ユーザ端末と中継端末とが1つの端末装置のように振る舞う。例えば、中継端末は、ユーザ端末と高周波(例えば、テラ波等)によるリンクで接続された遠隔アンテナとして使用される。
【0071】
ここで、各中継端末が端末(例えば、
図2の通信装置100)の送受信アンテナ系統となる場合、
図2において各アンテナ系統の送信処理に関する構成部のそれぞれは、異なる中継端末への信号を処理し、
図2において各アンテナ系統の受信処理に関する構成部のそれぞれは、異なる中継端末からの信号を処理する。そして、各中継端末が端末の送受信アンテナ系統となるため、ユーザ端末は、送信アンテナ系統間及び受信アンテナ系統間において独立した(又は、共通でない)局部発振器を用いて基地局と通信することになる。その一方で、
図3(a)の例では、基地局(例えば、通信装置100の相手局)は、2本のアンテナで共通の局部発振器を用いる。
【0072】
図3(b)は、分散アンテナシステムの構成例を示す。
【0073】
図3(b)に示す分散アンテナシステムでは、基地局(例えば、
図2の通信装置100)に対して、分散配置された複数のAP或いはRUが接続され、それぞれが基地局の送受信アンテナ系統となる。例えば、
図2において各アンテナ系統の送信処理に関する構成部のそれぞれは、異なるAPへの信号を処理し、
図2において各アンテナ系統の受信処理に関する構成部のそれぞれは、異なるAPからの信号を処理する。そして、各APが基地局の送受信アンテナ系統となるため、基地局は、送信アンテナ系統間及び受信アンテナ系統間において独立した(共通でない)局部発振器を用いて端末との通信を行うことになる。その一方で、
図3(b)の例では、ユーザ端末(例えば、通信装置100の相手局)は、2本のアンテナで共通の局部発振器を用いる。
【0074】
上述したように、
図3(a)の仮想化端末システムの上りリンク、及び、
図3(b)に示す分散アンテナシステムの下りリンクでは、送信側において送信アンテナ系統毎に独立した位相雑音が生じ得る。この場合、送信信号に対しては、送信アンテナ系統のそれぞれで位相雑音が加えられた後に、MIMOチャネル(例えば、複数アンテナ間の無線伝搬路)を通って受信される。このため、受信側(例えば、相手局)においてMIMO受信処理(例えば、MIMOストリーム分離)を行った後に送信アンテナ系統(又は、ストリーム)毎に残留する位相雑音を補正するために、通信装置100(例えば、送信側)は、複数のストリーム毎のPTRSを生成して送信する。また、通信装置100(例えば、受信側)は、MIMO受信処理を行う際、MIMO受信処理を行った後に、相手局(例えば、送信側)から送信される複数のストリーム毎のPTRSを用いて、各ストリームに対して位相雑音補正(例えば、CPE補正)を行うことにより、送信信号(ストリーム)を得る。
【0075】
また、
図3(a)に示す仮想化端末システムの下りリンク、及び、
図3(b)に示す分散アンテナシステムの上りリンクでは、受信側において受信アンテナ系統毎に独立した位相雑音が生じ得る。この場合、送信信号に対しては、MIMOチャネルを通った後に、それぞれの受信アンテナ系統において位相雑音が加えられる。このため、通信装置100(例えば、送信側)は、受信側(例えば、相手局)において受信アンテナ系統毎に位相雑音を補正するために、複数のストリームに共通のPTRSを生成して送信する。また、通信装置100(例えば、受信側)は、MIMO受信処理を行う際、相手局(例えば、送信側)から送信される、複数のストリームに共通のPTRSを用いて、各受信アンテナ系統の信号に対して位相雑音補正(例えば、CPE補正)を行い、位相雑音の影響を軽減した後にMIMO受信処理(MIMOストリーム分離)を行うことにより、送信信号(ストリーム)を得る。
【0076】
なお、上りリンク又は下りリンクにおける送信アンテナ系統及び受信アンテナ系統の両方について局部発振器が独立である場合には、通信装置100は、複数のストリーム毎のPTRS、及び、複数のストリームに共通のPTRSの両方を生成して送信してもよい。
【0077】
なお、位相雑音補正は、CPE補正でもよく、ICI除去でもよく、両方でもよい。
【0078】
このように、本実施の形態では、通信装置100は、条件に応じて、MIMO伝送の複数のストリームにおけるPTRSの送信を制御し、制御に従って、PTRSを送信する。例えば、通信装置100は、MIMO伝送に用いる送信アンテナの位相雑音、及び、MIMO伝送に用いる受信アンテナの位相雑音に基づいて、複数のストリーム毎のPTRS及び複数のストリームに共通のPTRSの生成を決定してもよい。
【0079】
これにより、通信装置100は、送受信或いはアンテナ系統間の位相雑音の状況に応じた適切な位相雑音補正を可能とするPTRSを送信できるため、誤り率特性、スループット特性、又は、カバレッジ性能の向上を図ることができる。
【0080】
以上、本開示の一実施例について説明した。
【0081】
なお、上記実施の形態において、ストリームは、レイヤ、コードワード、又は、コードブロックと言い換えてもよい。
【0082】
また、上記実施の形態では、位相雑音レベルに応じてPTRS生成を制御する例について説明したが、PTRS生成の制御において用いるパラメータは、位相雑音レベルに限定されない。
【0083】
例えば、MIMO通信の信号の送受信に使用する周波数帯に応じてPTRS生成を制御してもよい。例えば、通信装置100は、MIMO通信に使用する周波数が所定の値よりも高い場合、かつ、送信アンテナ系統毎に局部発振器が独立の場合に、ストリーム毎のPTRSを生成してもよい。
【0084】
また、上記実施の形態では、アンテナ系統間で局部発振器が共通か否かに基づいてPTRSの生成を制御する例について説明したが、これに限定されず、例えば、PTRS生成は、中継端末の有無に基づいて制御されてもよい。
【0085】
例えば、ユーザ端末から基地局への送信(例えば、上りリンク送信)において、中継端末を用いる場合にはストリーム毎のPTRSが生成されてもよい。また、中継端末が高周波への周波数の変換を行う場合には大きな位相雑音が生じるため、通信装置100は、中継端末が周波数変換を行う場合にストリーム毎のPTRSを生成してもよい。
【0086】
また、例えば、基地局からユーザ端末への送信(例えば、下りリンク送信)において、中継端末を用いる場合にはストリームに共通のPTRSが生成されてもよい。また、中継端末が高周波への周波数の変換を行う場合には大きな位相雑音が生じるため、通信装置100は、中継端末が周波数変換を行う場合にストリームに共通のPTRSを生成してもよい。
【0087】
また、上記実施の形態では、通信装置100は、相手局から、局部発振器に関する情報の通知を受信し、通知された情報に基づいて、PTRS生成の制御を行う例について説明したが、通知される情報は、局部発振器に関する情報に限定されない。例えば、相手局から通知される情報は、PTRSの生成方法に関する情報(例えば、ストリームに共通のPTRS生成、ストリーム毎のPTRS生成それぞれの要否に関する情報)を含んでもよい。通信装置100は、通知される情報に従って、PTRSを生成してもよい。
【0088】
また、複数のストリームに共通のPTRSを生成する場合には、通信装置100は、複数のストリームに共通のPTRSをいずれか1つのストリームまたはアンテナから送信してもよいし、複数のストリームまたはアンテナアから送信してもよい。いずれの場合でも複数のストリームに共通のPTRSを用いることによりPTRSを大きな電力で送信することが可能である。
【0089】
また、上記実施の形態では、テラ波又はミリ波を用いる例について説明したが、他の周波数帯であっても適用できる。
【0090】
また、上記実施の形態では、中継端末を用いる仮想化端末又は分散アンテナシステムの場合について説明したが、通常の(例えば、アンテナが分散配置されない)端末或いは基地局にも適用できる。
【0091】
また、位相雑音に限らず、通信相手との周波数ずれ(周波数オフセット)に起因する位相変動補正についても同様の方法に従って本開示の一実施例を適用できる。
【0092】
また、
図3の例では、ユーザ端末及び基地局の何れか一方において複数のアンテナ間で異なる位相雑音が発生する場合について説明したが、これに限定されない。例えば、ユーザ端末及び基地局の双方において複数のアンテナ間で異なる位相雑音が発生する場合には、通信装置100は、ストリームに共通のPTRS及びストリーム毎のPTRSの双方を生成してもよい。
【0093】
また、
図2に示す通信装置100では、MIMO分離処理(例えば、MIMO受信処理部113)の前段及び後段において位相雑音を補正する構成について説明したが、通信装置100の構成はこれに限定されない。例えば、通信装置100は、MIMO分離処理の前段及び後段の何れか一方において位相雑音を補正する構成を備え、他方において位相雑音を補正する構成を備えなくてもよい。
【0094】
また、上記実施の形態では、複数のストリーム毎のPTRSを生成する場合について説明したが、これに限定されず、例えば、複数のストリームのうち、同一の位相雑音が加わるアンテナに対応する一部のストリームからなるグループ(一つ又は複数のストリーム)毎のPTRSが生成されてもよい。
【0095】
また、ミリ波帯は「Frequency range 2(FR2)」の周波数と読み替えてもよい。また、サブ6GHz帯は「Frequency range 1(FR1)」の周波数と読み替えてもよい。
【0096】
また、参照信号は、PTRSに限定されず、他の信号でもよい。例えば、参照信号は、DMRS(Demodulation Reference Signal)、CSI-RS(Channel State Information - Reference Signal)、TRS(Tracking Reference Signal)、CRS(Cell-specific Reference Signal)、 SRS(Sounding Reference Signal)の何れかであってもよい。
【0097】
また、上述した実施の形態における「・・・部」という表記は、「・・・回路(circuitry)」、「・・・デバイス」、「・・・ユニット」、又は、「・・・モジュール」といった他の表記に置換されてもよい。
【0098】
本開示はソフトウェア、ハードウェア、又は、ハードウェアと連携したソフトウェアで実現することが可能である。上記実施の形態の説明に用いた各機能ブロックは、部分的に又は全体的に、集積回路であるLSIとして実現され、上記実施の形態で説明した各プロセスは、部分的に又は全体的に、一つのLSI又はLSIの組み合わせによって制御されてもよい。LSIは個々のチップから構成されてもよいし、機能ブロックの一部または全てを含むように一つのチップから構成されてもよい。LSIはデータの入力と出力を備えてもよい。LSIは、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。
【0099】
集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路、汎用プロセッサ又は専用プロセッサで実現してもよい。また、LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。本開示は、デジタル処理又はアナログ処理として実現されてもよい。
【0100】
さらには、半導体技術の進歩または派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。バイオ技術の適用等が可能性としてありえる。
【0101】
本開示は、通信機能を持つあらゆる種類の装置、デバイス、システム(通信装置と総称)において実施可能である。通信装置は無線送受信機(トランシーバー)と処理/制御回路を含んでもよい。無線送受信機は受信部と送信部、またはそれらを機能として、含んでもよい。無線送受信機(送信部、受信部)は、RF(Radio Frequency)モジュールと1または複数のアンテナを含んでもよい。RFモジュールは、増幅器、RF変調器/復調器、またはそれらに類するものを含んでもよい。通信装置の、非限定的な例としては、電話機(携帯電話、スマートフォン等)、タブレット、パーソナル・コンピューター(PC)(ラップトップ、デスクトップ、ノートブック等)、カメラ(デジタル・スチル/ビデオ・カメラ等)、デジタル・プレーヤー(デジタル・オーディオ/ビデオ・プレーヤー等)、着用可能なデバイス(ウェアラブル・カメラ、スマートウオッチ、トラッキングデバイス等)、ゲーム・コンソール、デジタル・ブック・リーダー、テレヘルス・テレメディシン(遠隔ヘルスケア・メディシン処方)デバイス、通信機能付きの乗り物又は移動輸送機関(自動車、飛行機、船等)、及び上述の各種装置の組み合わせがあげられる。
【0102】
通信装置は、持ち運び可能又は移動可能なものに限定されず、持ち運びできない又は固定されている、あらゆる種類の装置、デバイス、システム、例えば、スマート・ホーム・デバイス(家電機器、照明機器、スマートメーター又は計測機器、コントロール・パネル等)、自動販売機、その他IoT(Internet of Things)ネットワーク上に存在し得るあらゆる「モノ(Things)」をも含む。
【0103】
通信には、セルラーシステム、無線LANシステム、通信衛星システム等によるデータ通信に加え、これらの組み合わせによるデータ通信も含まれる。
【0104】
また、通信装置には、本開示に記載される通信機能を実行する通信デバイスに接続又は連結される、コントローラやセンサー等のデバイスも含まれる。例えば、通信装置の通信機能を実行する通信デバイスが使用する制御信号やデータ信号を生成するような、コントローラやセンサーが含まれる。
【0105】
また、通信装置には、上記の非限定的な各種装置と通信を行う、あるいはこれら各種装置を制御する、インフラストラクチャ設備、例えば、基地局、アクセスポイント、その他あらゆる装置、デバイス、システムが含まれる。
【0106】
本開示の一実施例に係る通信装置は、条件に応じて、MIMO(Multiple-Input Multiple-Output)伝送の複数のストリームにおける位相雑音補正用の参照信号の送信を制御する制御回路と、前記制御に従って、前記参照信号を送信する送信回路と、を具備する。
【0107】
本開示の一実施例において、前記条件は、前記MIMO伝送に用いる複数の送信アンテナの位相雑音、及び、前記MIMO伝送に用いる複数の受信アンテナの位相雑音に基づき、前記制御回路は、前記複数の送信アンテナ毎に異なる位相雑音が加わる場合に、前記複数のストリーム毎の前記参照信号を送信し、前記複数の受信アンテナ毎に異なる位相雑音が加わる場合に、前記複数のストリームに共通の前記参照信号を送信する。
【0108】
本開示の一実施例において、前記条件は、前記MIMO伝送に用いる送信アンテナにおける位相雑音と、前記MIMO伝送に用いる受信アンテナの位相雑音との比較に基づき、前記制御回路は、前記送信アンテナにおける位相雑音が前記受信アンテナにおける位相雑音より強い場合に、前記複数のストリーム毎の前記参照信号を送信し、前記受信アンテナにおける位相雑音が前記送信アンテナにおける位相雑音より強い場合に、前記複数のストリームに共通の前記参照信号を送信する。
【0109】
本開示の一実施例において、前記条件は、前記通信装置及び前記通信装置の通信相手における中継局、前記信号の送受信に用いる周波数、及び、前記信号の送受信に用いる分散アンテナの少なくとも一つの利用状況に基づく。
【0110】
本開示の一実施例において、前記条件は、前記MIMO伝送に用いる複数の送信アンテナ間、又は、前記MIMO伝送に用いる複数の受信アンテナ間において局部発振器が共通であるか独立であるかに基づく。
【0111】
本開示の一実施例において、前記条件は、前記通信装置と前記通信装置の通信相手との間の局部発振器の性能差に基づく。
【0112】
本開示の一実施例において、前記条件は、前記通信装置の通信相手から受信した前記参照信号の生成方法に関する情報に基づく。
【0113】
本開示の一実施例に係る通信方法において、通信装置は、条件に応じて、MIMO(Multiple-Input Multiple-Output)伝送の複数のストリームにおける位相雑音補正用の参照信号の送信を制御し、前記制御に従って、前記参照信号を送信する。
【産業上の利用可能性】
【0114】
本開示の一態様は、無線通信システムに有用である。
【符号の説明】
【0115】
100 通信装置
101 符号化部
102 変調部
103 プリコーディング部
104 PTRS生成部
105 PTRS挿入部
106 OFDM変調部
107 無線送信部
108 アンテナ
109 無線受信部
110 OFDM復調部
111 位相誤差推定部
112 前段位相雑音補正部
113 MIMO受信処理部
114 後段位相雑音補正部
115 復調部
116 復号部
117 制御部