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特開2024-111490荷重測定方法、荷重測定装置および荷重測定装置の治具
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024111490
(43)【公開日】2024-08-19
(54)【発明の名称】荷重測定方法、荷重測定装置および荷重測定装置の治具
(51)【国際特許分類】
   G01L 5/165 20200101AFI20240809BHJP
【FI】
G01L5/165
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023016027
(22)【出願日】2023-02-06
(71)【出願人】
【識別番号】000220033
【氏名又は名称】東京コスモス電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中野 英樹
(72)【発明者】
【氏名】坂井 祐介
【テーマコード(参考)】
2F051
【Fターム(参考)】
2F051AB09
2F051BA07
2F051DA03
2F051DB03
(57)【要約】
【課題】軸回りのモーメントを測定する場合において、軸同士を分離した測定が可能な荷重測定方法、荷重測定装置および荷重測定装置の治具を提供する。
【解決手段】荷重測定装置の治具は、力覚センサに固定される被固定部と、相互に直交する方向であるFx方向、Fy方向およびFz方向において、被固定部に対して対称的に配置され、Fy方向およびFz方向のいずれかの方向の荷重がかけられる、被固定部からFx方向の一側および被固定部からFx方向の他側のそれぞれの方向に延在する延在部と、被固定部に対して対称的に配置され、Fx方向およびFz方向のいずれかの方向の荷重がかけられる、被固定部からFy方向の一側および被固定部からFy方向の他側のそれぞれの方向に延在する延在部と、を備える。
【選択図】図3A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
力覚センサに固定される被固定部と、
相互に直交する方向であるFx方向、Fy方向およびFz方向において、前記被固定部に対して対称的に配置される、前記被固定部からFx方向一側に延在するFx方向一側の延在部、および、前記被固定部からFx方向他側に延在するFx方向他側の延在部と、
前記被固定部に対して対称的に配置される、前記被固定部からFy方向一側に延在するFy方向一側の延在部、および、前記被固定部からFy方向他側に延在するFy方向他側の延在部と、
を備える治具を用いて、前記治具を介して力覚センサにかかる荷重を測定する荷重測定方法であって、
前記Fy方向一側の延在部および前記Fy方向他側の延在部のそれぞれにかける荷重の向きがFz方向で互いに反対で、かつ、前記荷重の大きさを同一にすることにより、Fx方向に沿って延ばされた軸であるFx方向軸回りのモーメントを測定する工程と、
前記Fx方向一側の延在部および前記Fx方向他側の延在部のそれぞれにかける荷重の向きがFz方向で互いに反対で、かつ、前記荷重の大きさを同一にすることにより、Fy方向に沿って延ばされた軸であるFy方向軸回りのモーメントを測定する工程と、
前記Fx方向一側の延在部および前記Fx方向他側の延在部のそれぞれにかける荷重の向きがFy方向で互いに反対で、かつ、前記荷重の大きさを同一にすることにより、および/または、前記Fy方向一側の延在部および前記Fy方向他側の延在部のそれぞれにかける荷重の向きがFx方向で互いに反対で、かつ、荷重の大きさを同一にすることにより、Fz方向に沿って延ばされた軸であるFz方向軸回りのモーメントを測定する工程と、
を備える、
荷重測定方法。
【請求項2】
前記Fy方向一側の延在部および前記Fy方向他側の延在部のそれぞれにかける荷重の向きがFx方向で同一で、かつ、前記荷重の大きさを同一にすることにより、Fx方向の荷重を測定する工程と、
前記Fx方向一側の延在部および前記Fx方向他側の延在部のそれぞれにかける荷重の向きがFy方向で同一で、かつ、前記荷重の大きさを同一にすることにより、Fy方向の荷重を測定する工程と、
前記Fx方向一側の延在部および前記Fx方向他側の延在部のそれぞれにかける荷重の向きがFz方向で同一で、かつ、前記荷重の大きさを同一にすることにより、および/または、前記Fy方向一側の延在部および前記Fy方向他側の延在部のそれぞれにかける荷重の向きがFz方向で同一で、かつ、前記荷重の大きさを同一にすることにより、Fz方向の荷重を測定する工程と、
をさらに備える、
請求項1に記載の荷重測定方法。
【請求項3】
治具を介して力覚センサにかかる荷重を測定する荷重測定装置であって、
前記治具は、
前記力覚センサに固定される被固定部と、
相互に直交する方向であるFx方向、Fy方向およびFz方向において、前記被固定部に対して対称的に配置され、前記Fy方向および前記Fz方向のいずれかの方向の荷重がかけられる、前記被固定部からFx方向の一側および前記被固定部からFx方向の他側のそれぞれの方向に延在する延在部と、
前記被固定部に対して対称的に配置され、前記Fx方向および前記Fz方向のいずれかの方向の荷重がかけられる、前記被固定部からFy方向の一側および前記被固定部からFy方向の他側のそれぞれの方向に延在する延在部と、
を備える、
荷重測定装置。
【請求項4】
一対のロードセルをさらに備え、
前記一対のロードセルの一方は、前記一対のロードセルの他方が前記Fx方向の一側の延在部に荷重をかける場合、前記Fx方向の他側の延在部に荷重をかけ、
前記一対のロードセルの一方は、前記一対のロードセルの他方が前記Fy方向の一側の延在部に荷重をかける場合、前記Fy方向の他側の延在部に荷重をかける、
請求項3に記載の荷重測定装置。
【請求項5】
治具を介して力覚センサにかかる荷重を測定する荷重測定装置の治具であって、
前記力覚センサに固定される被固定部と、
相互に直交する方向であるFx方向、Fy方向およびFz方向において、前記被固定部に対して対称的に配置され、前記Fy方向および前記Fz方向のいずれかの方向の荷重がかけられる、前記被固定部からFx方向の一側および前記被固定部からFx方向の他側のそれぞれの方向に延在する延在部と、
前記被固定部に対して対称的に配置され、前記Fx方向および前記Fz方向のいずれかの方向の荷重がかけられる、前記被固定部からFy方向の一側および前記被固定部からFy方向の他側のそれぞれの方向に延在する延在部と、
を備える、
荷重測定装置の治具。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷重測定方法、荷重測定装置および荷重測定装置の治具に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、対向する一対の加圧板の間にゴム試験片を配置し、一対の加圧板を軸方向に移動させて、ゴム試験片を圧縮し、ゴム試験片にかかる圧縮荷重を測定する圧縮試験装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6764071号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に係る圧縮試験装置では、一対の加圧板を軸方向に移動させて圧縮荷重を測定する場合、軸方向である一方向にかかる荷重を測定することしかできないという問題がある。
【0005】
また、同装置により軸回りのモーメントを測定することは困難である。さらに、軸回りのモーメントを測定する場合において、他軸への影響が発生するため、軸同士を分離した測定が困難になるという問題がある。
【0006】
本発明の目的は、軸回りのモーメントを測定する場合において、軸同士を分離した測定が可能な荷重測定方法、荷重測定装置および荷重測定装置の治具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、本発明における荷重測定方法は、
力覚センサに固定される被固定部と、
相互に直交する方向であるFx方向、Fy方向およびFz方向において、前記被固定部に対して対称的に配置される、前記被固定部からFx方向一側に延在するFx方向一側の延在部、および、前記被固定部からFx方向他側に延在するFx方向他側の延在部と、
前記被固定部に対して対称的に配置される、前記被固定部からFy方向一側に延在するFy方向一側の延在部、および、前記被固定部からFy方向他側に延在するFy方向他側の延在部と、
を備える治具を用いて、前記治具を介して力覚センサにかかる荷重を測定する荷重測定方法であって、
前記Fy方向一側の延在部および前記Fy方向他側の延在部のそれぞれにかける荷重の向きがFz方向で互いに反対で、かつ、前記荷重の大きさを同一にすることにより、Fx方向に沿って延ばされた軸であるFx方向軸回りのモーメントを測定する工程と、
前記Fx方向一側の延在部および前記Fx方向他側の延在部のそれぞれにかける荷重の向きがFz方向で互いに反対で、かつ、前記荷重の大きさを同一にすることにより、Fy方向に沿って延ばされた軸であるFy方向軸回りのモーメントを測定する工程と、
前記Fx方向一側の延在部および前記Fx方向他側の延在部のそれぞれにかける荷重の向きがFy方向で互いに反対で、かつ、前記荷重の大きさを同一にすることにより、および/または、前記Fy方向一側の延在部および前記Fy方向他側の延在部のそれぞれにかける荷重の向きがFx方向で互いに反対で、かつ、荷重の大きさを同一にすることにより、Fz方向に沿って延ばされた軸であるFz方向軸回りのモーメントを測定する工程と、
を備える。
【0008】
また、本発明における荷重測定装置は、
治具を介して力覚センサにかかる荷重を測定する荷重測定装置であって、
前記治具は、
前記力覚センサに固定される被固定部と、
相互に直交する方向であるFx方向、Fy方向およびFz方向において、前記被固定部に対して対称的に配置され、前記Fy方向および前記Fz方向のいずれかの方向の荷重がかけられる、前記被固定部からFx方向の一側および前記被固定部からFx方向の他側のそれぞれの方向に延在する延在部と、
前記被固定部に対して対称的に配置され、前記Fx方向および前記Fz方向のいずれかの方向の荷重がかけられる、前記被固定部からFy方向の一側および前記被固定部からFy方向の他側のそれぞれの方向に延在する延在部と、
を備える。
【0009】
また、本発明における荷重測定装置の治具は、
治具を介して力覚センサにかかる荷重を測定する荷重測定装置の治具であって、
前記力覚センサに固定される被固定部と、
相互に直交する方向であるFx方向、Fy方向およびFz方向において、前記被固定部に対して対称的に配置され、前記Fy方向および前記Fz方向のいずれかの方向の荷重がかけられる、前記被固定部からFx方向の一側および前記被固定部からFx方向の他側のそれぞれの方向に延在する延在部と、
前記被固定部に対して対称的に配置され、前記Fx方向および前記Fz方向のいずれかの方向の荷重がかけられる、前記被固定部からFy方向の一側および前記被固定部からFy方向の他側のそれぞれの方向に延在する延在部と、
を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、軸回りのモーメントを測定する場合において、軸同士を分離した測定をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本開示の実施の形態における荷重測定装置を示す正面図である。
図2図2は、本開示の実施の形態における5軸テーブルを示す斜視図である。
図3A図3Aは、本開示の実施の形態における治具等を示す斜視図である。
図3B図3Bは、力覚センサの中心軸が水平方向に向けられた場合の治具等を示す図である。
図4A図4Aは、力覚センサの中心軸が上下方向に向けられた場合の治具等を示す図である。
図4B図4Bは、治具等の一部を拡大して示す部分拡大図である。
図5A図5Aは、力覚センサの中心軸が上下方向に向けられた場合の治具等を示す図である。
図5B図5Bは、荷重Fzの測定時に引き加圧される場合の治具等を示す図である。
図5C図5Cは、荷重Fzの測定時に押し加圧される場合の治具等を示す図である。
図6A図6Aは、力覚センサの中心軸が上下方向に向けられた場合の治具等を示す図である。
図6B図6Bは、モーメントMxを測定する場合の治具等を示す図である。
図6C図6Cは、モーメントMyを測定する場合の治具等を示す図である。
図7A図7Aは、荷重Fxを測定する場合の治具等を示す図である。
図7B図7Bは、図7Aに示す治具等の一部を拡大して示す部分拡大図である。
図8A図8Aは、荷重Fyを測定する場合の治具等を示す図である。
図8B図8Bは、図8Aに示す治具等の一部を拡大して示す部分拡大図である。
図9A図9Aは、モーメントMzを測定する場合の治具等を示す図である。
図9B図9Bは、図9Aに示す治具等の一部を拡大して示す部分拡大図である。
図9C図9Cは、モーメントMzを測定する場合の治具等を示す図である。
図10A図10Aは、押し加圧確認時の治具等を示す断面図である。
図10B図10Bは、引き加圧確認時の治具等を示す断面図である。
図11A図11Aは、荷重Fz測定を示す図である。
図11B図11Bは、モーメントMx測定を示す図である。
図12A図12Aは、モーメントMy測定を示す図である。
図12B図12Bは、荷重Fx測定を示す図である。
図13A図13Aは、荷重Fy測定を示す図である。
図13B図13Bは、モーメントMz測定を示す図である。
図14A図14Aは、荷重と出力電圧との関係を示す相関図である。
図14B図14Bは、モーメントと出力電圧との関係を示す相関図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。図1は、本開示の実施の形態における荷重測定装置を示す正面図である。図2は、5軸テーブルを示す斜視図である。図1には、相互に直交するW軸、D軸およびH軸が描かれている。図1において、左右方向をW方向といい、右方向をW方向一側または「+W方向」、左方向をW方向他側または「-W方向」という。また、図1の紙面における奥行方向をD方向といい、手前方向をD方向一側または「+D方向」、奥方向をD方向他側または「-D方向」という。また、図1において、上下方向をH方向といい、上方向をH方向一側または「+H方向」、下方向をH方向他側又は「-H方向」という。
【0013】
図1及び図2に示すように、荷重測定装置1は、治具2(図3Aを参照)を介して力覚センサ3に荷重がかかる場合、力覚センサ3の測定値に基づいて力覚センサ3の出力特性を検査する。力覚センサ3は円筒形状の外形を有している。円筒形状の中心軸3a上には検出中心3bが配置されている。以下の説明で、中心軸3aに対して直交する方向であって、中心軸3aから離れる方向を「放射方向」という。
【0014】
図3Aは、力覚センサの中心軸が上下方向に向けられた場合の治具等を示す斜視図である。図3Bは、力覚センサの中心軸が水平方向に向けられた場合の治具等を示す図である。荷重測定装置1は、治具2及びターンテーブル8cにより力覚センサ3を中心軸3aの方向から挟むようにセットするとともに、中心軸3aの方向を上下方向(図3Aに示す方向)と水平方向(図3Bに示す方向)との間で転換する。
【0015】
(力覚センサ3)
図4Aは、力覚センサの中心軸が上下方向に向けられた場合の治具等を示す図である。図4Bは、治具等の一部を拡大して示す部分拡大図である。力覚センサ3は、3軸の荷重と各軸回りのモーメントとを同時に測定する公知のセンサである。力覚センサ3は、例えば、荷重の大きさに応じて2つの平行に対面させた導体間の距離が変わることで、導体間に蓄えられた静電容量が変化し、静電容量に応じた電圧を出力し、出力電圧に基づいて荷重の大きさを測定することが可能な静電容量型の力覚センサである。なお、本開示における力覚センサは、静電容量型の力覚センサに限らず、例えば、ひずみゲージを用いた電気抵抗式や、圧電素子を用いた圧電式や、光センサを用いた光学式の力覚センサでもよい。
【0016】
図3A図3B図4A、および、図4Bに示すように、力覚センサ3は、中心軸3aの方向にかかる荷重Fzを測定し、また、中心軸3aに対して直交する直交軸3cの方向にかかる荷重Fxを測定し、さらに、中心軸3aおよび直交軸3cのそれぞれに直交する直交軸3dの方向にかかる荷重Fyを測定する。また、力覚センサ3は、中心軸3a回りのモーメントMzを測定し、また、直交軸3c回りのモーメントMxを測定し、さらに、直交軸3d回りのモーメントMyを測定する。以下の説明で、荷重が力覚センサ3にかかる場合において、荷重Fxがかかる方向を「Fx方向」といい、また、荷重Fyがかかる方向を「Fy方向」といい、さらに、荷重Fzがかかる方向を「Fz方向」という。なお、中心軸3a、直交軸3cおよび直交軸3dのそれぞれが、本開示の「Fz方向軸」、「Fx方向軸」および「Fy方向軸」に対応する。
【0017】
図1に示すように、荷重測定装置1は、台4、一対の柱5、梁6、一対のロードセル7、および、5軸テーブル8を備えている。
【0018】
(台4)
台4は、天板11、正面壁12、背面板13、および、両側面壁14,15を備えている。天板11は、W方向かつD方向に沿って広がる横長矩形の平面を有している。正面壁12は、天板11のD方向一側縁からW方向かつH方向に沿って広がる矩形の平面を有している。背面壁13は、天板11のD方向他側縁からW方向かつH方向に沿って広がる矩形の平面を有している。W方向一側に配置された側面壁14は、天板11のW方向一側縁からD方向かつH方向に沿って広がる矩形の平面を有している。W方向他側に配置された側面壁15は、天板11のW方向他側縁からD方向かつH方向に沿って広がる矩形の平面を有している。
【0019】
(一対の柱5)
一対の柱5は、天板11のW方向一側縁部およびW方向他側縁部のそれぞれの位置からH方向一側(+H方向)に延在する。
【0020】
(梁6)
梁6は、一対の柱5のそれぞれの上端部に掛け渡されるように配置されている。梁6には一対のロードセル7が配置されている。図1に、梁6のW方向およびD方向における中心線CLを示し、また、中心線CLに対して平行な直線であって、中心線CLよりもW方向一側(+W方向)に所定距離DPだけ離れた平行線PL1を示し、さらに、中心線CLに対して平行な直線であって、中心線CLよりもW方向他側(-W方向)に所定距離DPだけ離れた平行線PL2を示す。
【0021】
(一対のロードセル7)
一対のロードセル7のそれぞれは梁6に取り付けられる。ロードセル7Rは、平行線PL1に沿うように配置される。ロードセル7Lは、平行線PL2に沿うように配置される。一対のロードセル7R,7Lは、互いに同じ構成を有している。以下の説明では、一対のロードセル7R,7Lを代表してロードセル7Rの構成を説明し、ロードセル7Lの構成については、ロードセル7Rの構成と異なる場合に説明する。
【0022】
ロードセル7Rは昇降ユニット9を備えている。昇降ユニット9は、ボールねじ式の駆動機構である。昇降ユニット9は、梁6に設けられた軸受け9aと、軸受け9aに回転可能に支持され、軸受け9aの位置からH方向一側(+H方向)に延ばされたボールねじ9bと、ボールねじ9bに螺合されるナット9cと、ボールねじ9bを回転させるモータ9dと、ボールねじ9bに沿うように延在するガイドレール9eと、ガイドレール9eに沿って移動可能にされたスライド9fと、連結部9gと、ロッド9hと、梁6に設けられたガイド部9iと、アタッチメント9m(図4Aを参照)と、2個の凸状圧子AP1と、1個の凹状圧子AP2(図7Bを参照)と、を有している。
【0023】
ナット9cは、ボールねじ9bの回転により上下方向(H方向)に移動する。連結部9gは、ナット9cとスライド9fとを連結する。ロッド9hは、ガイド部9iに挿通している。ロッド9hにおけるガイド部9iの位置からH方向一側(+H方向)に延ばされたH方向一側の延在部は、連結部9gに固定されている。ロッド9hの下側の延在部は、ガイド部9iの位置からH方向他側(-H方向)に延ばされている。
【0024】
アタッチメント9mは、上下方向(H方向)の位置を調整するための調整ネジを介してロッド9hの下側の延在部に取り付けられている。アタッチメント9mはC字形に形成されている。アタッチメント9mは、H方向一側(+H方向)に位置するH方向一側取付部と、H方向他側(-H方向)に位置するH方向他側取付部と、両方の取付部を連結する連結部とを有している。
【0025】
2個の凸状圧子AP1のそれぞれは、平行線PL1上に配置され、H方向一側取付部に取り付けられている。一方の凸状圧子AP1は、H方向一側取付部からH方向他側(-H方向)に垂下する軸部を有している。また、他方の凸状圧子AP1は、H方向他側取付部からH方向一側(+H方向)に起立する軸部を有している。また、凹状圧子AP2は、平行線PL1上に配置され、H方向他側取付部に取り付けられている。凹状圧子AP2は、H方向他側取付部からH方向一側(+H方向)に凹入するように配置されている。
【0026】
以上から、ロードセル7Rにおいて、一方の凸状圧子AP1、他方の凸状圧子AP1、および、凹状圧子AP2のそれぞれは、平行線PL1上に配置されている。ロードセル7Lにおいて、一方の凸状圧子AP1、他方の凸状圧子AP1、および、凹状圧子AP2のそれぞれは、平行線PL2上に配置されている。
【0027】
<ロードセル7Rの動作>
ロードセル7Rは制御部(不図示)により制御される。モータ9dがボールねじ9bを回転する場合、ナット9c、スライド9f、連結部9g、ロッド9hおよびアタッチメント9mのそれぞれが一体的に上下方向(H方向)に移動する。これにより、アタッチメント9mに取り付けられた凸状圧子AP1および凹状圧子AP2のそれぞれが平行線PL1上を上下方向(H方向)に移動する。
【0028】
<ロードセル7Lの動作>
ロードセル7Lは制御部により制御される。モータ9dがボールねじ9bを回転する場合、ナット9c、スライド9f、連結部9g、ロッド9hおよびアタッチメント9mのそれぞれが一体的に上下方向(H方向)に移動する。これにより、アタッチメント9mに取り付けられた凸状圧子AP1および凹状圧子AP2のそれぞれが平行線PL2上を上下方向(H方向)に移動する。
【0029】
(5軸テーブル8)
5軸テーブル8は、アンダーテーブル8a、アッパーテーブル8b、ターンテーブル8c、一対の脚状体8d,8e、軸状体8f、板状体8g、パルスモータ8h、および、パルスモータ8iを備えている。
【0030】
アンダーテーブル8aは、台4上に固定されている。アッパーテーブル8bは、アンダーテーブル8aに対して左右方向(W方向)および奥行き方向(D方向)のそれぞれに移動可能に配置されている。
【0031】
一対の脚状体8d,8eのそれぞれはアッパーテーブル8bに立設されている。一対の脚状体8d,8eは、互いに左右方向(W方向)で離間した位置に配置されている。軸状体8fは、W方向に沿って延ばされ、一対の脚状体8d,8eに掛け渡され、W軸回りに回転可能に軸支されている。
【0032】
板状体8gは、軸状体8fに固定されている。板状体8gは、板状で略円形の外形形状を有している。板状体8gは、ターンテーブル8cを固定している。力覚センサ3は、その中心軸3aの軸線とターンテーブル8cの回転軸の軸線とが一致するように、ターンテーブル8cに固定される。
【0033】
<5軸テーブル8の動作>
5軸テーブル8は、制御部(不図示)によって制御される。制御部は、ターンテーブル8cに固定された力覚センサ3による荷重測定が行われる場合、検出中心3bが中心線CL上に位置するように、5軸テーブル8を制御する。
【0034】
例えば、5軸テーブル8は、アッパーテーブル8bをアンダーテーブル8aに対して左右方向(W方向)に移動することで、力覚センサ3を左右方向(W方向)に移動する。
【0035】
5軸テーブル8は、アッパーテーブル8bをアンダーテーブル8aに対して奥行き方向(D方向)に移動することで、力覚センサ3を奥行き方向(D方向)移動する。
【0036】
パルスモータ8iは、軸状体8fをW軸回りに回転することで、力覚センサ3の中心軸3aの方向を上下方向と水平方向とに転換する。図2に、W軸回りの回転方向Bを示す。
【0037】
パルスモータ8hは、力覚センサ3を中心軸3a(ターンテーブル8cの回転軸)回りに回転する。図2に、ターンテーブル8cの回転軸回りの回転方向Cを示す。
【0038】
(治具2)
次に、治具2について図3B図4Aおよび図4Bを参照して説明する。治具2は、力覚センサ3の機種ごとに用意される。
【0039】
力覚センサ3は、治具2及びターンテーブル8cによりFz方向から挟むようにセットされる。この場合、ターンテーブル8cに力覚センサ3の裏側BSが固定され、力覚センサ3の表側FSに治具2が固定される。これにより、治具2は、ターンテーブル8cの回転軸回りに力覚センサ3と一体的に回転可能にされる。以下の説明で、治具2がターンテーブル8cの回転軸回りに回転する場合、治具2を構成する部位のそれぞれが描く回転軌跡に接する接線の方向を「接線方向」という。
【0040】
5軸テーブル8は、力覚センサ3に固定された治具2をW軸およびD軸のそれぞれの軸に沿って移動し、さらに、Fx方向軸(直交軸3c)、Fy方向軸(直交軸3d)、および、Fz方向軸(中心軸3a)のそれぞれの軸回りに回転する。
【0041】
治具2は被固定部20を備えている。被固定部20は、平板状で、略円形状の外周縁部を有している。
【0042】
被固定部20は、力覚センサ3の表側FSに固定される。被固定部20が力覚センサ3に固定された状態では、被固定部20の中心軸の軸線と力覚センサ3の中心軸3aの軸線とが一致している。なお、力覚センサ3の中心軸3aの軸線とターンテーブル8cの回転軸の軸線とが一致しているため、被固定部20の中心軸の軸線とターンテーブル8cの回転軸の軸線とが一致している。
【0043】
被固定部20の外周縁部には、周方向に沿って等間隔で8個の締結部28が配置されている。
【0044】
治具2は、一対の延在部21、一対の延在部22、一対の延在部23および一対の延在部24を備えている。図3Aに示すように、一対の延在部21のそれぞれは、締結部28のそれぞれの位置からFy方向(直交軸3d)に沿って放射方向に延在している。一対の延在部22のそれぞれは、締結部28のそれぞれの位置からFx方向(直交軸3c)に沿って放射方向に延在している。一対の延在部23のそれぞれは、締結部28のそれぞれの位置から所定の位置(周方向で延在部21と延在部22との間に位置)に向かって放射方向に延在している。一対の延在部24のそれぞれは、締結部28のそれぞれの位置から所定の位置(周方向で延在部21と延在部22との間に位置)に向かって放射方向に延在している。
【0045】
(延在部21、凹状被圧子PP1)
図4Bは、図4Aに示す治具の一部を拡大して示す拡大図である。延在部21は、幅方向(接線方向と同じ方向)に所定幅を有し、また、放射方向および幅方向のそれぞれに直交する板厚方向に所定の厚みを有している。延在部21は、板厚方向に貫通する貫通穴HL1を有している。凹状被圧子PP1は、貫通穴HL1には嵌め込まれ、止めネジSCRによって貫通穴HL1から抜け止めされる。
凹状被圧子PP1は、2つの円錐状穴を有している。2つの円錐状穴のそれぞれの位置は、被固定部20が力覚センサ3に固定された状態で、力覚センサ3の中心軸3aから放射方向に所定距離DPだけ離れた位置に配置される。一方の円錐状穴は板厚方向の一側に配置されている。一方の円錐状穴の穴径は、板厚方向の一側から中央位置に向かって円錐状穴に嵌入する凸状圧子AP1の放射方向かつ幅方向のそれぞれの位置を修正可能なように、板厚方向の一側から中央位置に向かって徐々に小さくなる。他方の円錐状穴は板厚方向の他側に配置されている。他方の円錐状穴の穴径は、板厚方向の他側から中央位置に向かって円錐状穴に嵌入する凸状圧子AP1の放射方向かつ幅方向のそれぞれの位置を修正可能なように、板厚方向の他側から中央位置に向かって徐々に小さくなる。
【0046】
5軸テーブル8を制御することにより、一方の延在部21に配置された凹状被圧子PP1の円錐状穴が上下方向(H方向)に向けられ、かつ、上方向の凸状圧子AP1と下方向の凸状圧力AP1との間の隙間の位置(平行線PL1上)に移動される。また、他方の延在部21に配置された凹状被圧子PP1の円錐状穴が上下方向(H方向)に向けられ、かつ、上方向の凸状圧子AP1と下方向の凸状圧子AP1との間の隙間の位置(平行線PL2上)に移動される。
【0047】
以上により、一方の延在部21に配置された凹状被圧子PP1の円錐状穴に凸状圧子AP1を上方向から嵌め込み、凹状被圧子PP1を押し加圧することが可能となる。また、一方の延在部21に配置された凹状被圧子PP1の円錐状穴に凸状圧子AP1を下方向から嵌め込み、凹状被圧子PP1を引き加圧することが可能となる。なお、凸状圧子AP1が円錐状穴に嵌め込まれた状態では、凸状圧子AP1と円錐状穴とが互いに接する接点の位置と検出中心3bの位置とは、Fz方向で一致する(図4Bを参照)。
一方の延在部21に配置された凹状被圧子PP1と他方の延在部21に配置された凹状被圧子PP1とは、被固定部20の中心軸に対して対称的に配置され、同じ構成を有しているため、他方の延在部21に配置された凹状被圧子PP1の説明を省略する。さらに、一対の延在部22のそれぞれに配置された凹状被圧子PP1は、一対の延在部21のそれぞれに配置された凹状被圧子PP1と同じ構成を有しているため、一対の延在部22のそれぞれに配置された凹状被圧子PP1の説明を省略する。
【0048】
<荷重Fzの測定>
図5Aは、力覚センサの中心軸が上下方向に向けられた場合の治具等を示す図である。図5Bは、荷重Fzの測定時に引き加圧される場合の治具等を示す図である。図5Cは、荷重Fzの測定時に押し加圧される場合の治具等を示す図である。図6Aは、力覚センサの中心軸が上下方向に向けられた場合の治具等を示す図である。図6Bは、モーメントMxを測定する場合の治具等を示す図である。図6Cは、モーメントMyを測定する場合の治具等を示す図である。図5Aから図6Cにおいて、押し加圧の方向を白抜きの矢印で示し、引き加圧の方向を、ハッチングを付した矢印で示す。
【0049】
一対の延在部21のそれぞれに配置された凹状被圧子PP1と、上方向の凸状圧子AP1および下方向の凸状圧子AP1のそれぞれとの対応関係を変更するように、5軸テーブル8を制御することで、力覚センサ3により測定される荷重を切り替えることが可能となる。例えば、一対の延在部21のそれぞれに配置された凹状被圧子PP1と下方向の凸状圧子AP1とを対応させた場合、力覚センサ3により測定される荷重がFz方向の引き加圧による荷重となる(図5Bを参照)。この場合、一対の延在部21のそれぞれに配置された凹状被圧子PP1において、凸状圧子AP1が凹状被圧子PP1にかける荷重は同一であって、かつ、荷重の向きが同一である。また、一対の延在部のそれぞれに配置された凹状被圧子PP1と上方向の凸状圧子AP1とを対応させた場合、力覚センサ3により測定される荷重がFz方向の押し加圧による荷重となる(図5Cを参照)。この場合、一対の延在部21のそれぞれに配置された凹状被圧子PP1において、凸状圧子AP1が凹状被圧子PP1にかける荷重は同一であって、かつ、荷重の向きが同一である。
【0050】
<モーメントMxの測定>
一方の延在部21のそれぞれに配置された凹状被圧子PP1と上方向の凸状圧子AP1とが対応し、かつ、他方の延在部21に配置された凹状被圧子PP1と下方向の凸状圧子AP1とが対応するように、5軸テーブル8を制御する。これにより、力覚センサ3により測定される荷重が直交軸3c回りのモーメントMxとなる(図6Bを参照)。この場合、一対の延在部21のそれぞれに配置された凹状被圧子PP1において、凸状圧子AP1が凹状被圧子PP1にかける荷重は同一であって、かつ、荷重の向きが互いに反対である。
【0051】
<モーメントMyの測定>
一対の延在部22のそれぞれに配置された凹状被圧子PP1と、上方向の凸状圧子AP1および下方向の凸状圧子AP1のそれぞれとの対応関係を変更するように、5軸テーブル8を制御することで、力覚センサ3により測定される荷重を切り替えることが可能となる。例えば、一方の延在部22に配置された凹状被圧子PP1と上方向の凸状圧子AP1とが対応し、かつ、他方の延在部22に配置された凹状被圧子PP1と下方向の凸状圧子AP1とが対応するように、5軸テーブル8を制御する。力覚センサ3は、図6Bに示す状態から図6Cに示す状態になる。これにより、力覚センサ3により測定される荷重がFy方向軸回りのモーメントMyとなる(図6Cを参照)。この場合、一対の延在部22のそれぞれに配置された凹状被圧子PP1において、凸状圧子AP1が凹状被圧子PP1にかける荷重は同一であって、かつ、荷重の向きが互いに反対である。
【0052】
(延在部21,22、凸状被圧子PP2)
図7Aは、荷重Fxを測定する場合の治具等を示す図である。図7Bは、図7Aに示す治具等の一部を拡大して示す部分拡大図である。図8Aは、荷重Fyを測定する場合の治具等を示す図である。図8Bは、図8Aに示す治具等の一部を拡大して示す部分拡大図である。なお、図7Aおよび図8Aにおいて、押し加圧の方向を白抜きの矢印で示す。
一対の延在部21のそれぞれに配置された凸状被圧子PP2は、被固定部20の中心軸に対して対称的に配置されている。また、一対の延在部22のそれぞれに配置された凸状被圧子PP2は、被固定部20の中心軸に対して対称的に配置されている。なお、延在部21,22のそれぞれに配置された凸状被圧子PP2は、同じ構成をしているため、以下の説明では、延在部21に配置された凸状被圧子PP2を代表して説明する。
延在部21には、2つの嵌合穴HL2および2つの凸状被圧子PP2が配置されている。2つの嵌合穴HL2のそれぞれは、放射方向で凹状被圧子PP1と同じ位置に配置されている。2つの凸状被圧子PP2の中の一方は、凸状被圧子PP2の中の一方に嵌め込まれ、延在部21から接線方向の一方に向けて突出する軸部を有している。2つの凸状被圧子PP2の中の他方は、2つの凸状被圧子PP2の中の他方に嵌め込まれ、延在部21から接線方向の他方に向けて突出する軸部を有している。なお、凸状被圧子PP2が凹状圧子AP2に嵌め込まれた状態では、凸状被圧子PP2の軸部の位置と検出中心3bの位置とは、Fz方向で一致する。
【0053】
<荷重Fxの測定>
一対の延在部21のそれぞれに配置された凸状被圧子PP2と凹状圧子AP2との対応関係を変更するように、5軸テーブル8を制御することで、力覚センサ3により測定される荷重を切り替えることが可能となる。例えば、一方の延在部21に配置された凸状被圧子PP2とロードセル7R側の凹状圧子AP2とが対応し、かつ、他方の延在部21に配置された凸状被圧子PP2とロードセル7L側の凹状圧子AP2とが対応するように、5軸テーブル8を制御する。これにより、力覚センサ3により測定される荷重がFx方向からの荷重となる(図7Aを参照)。この場合、一対の延在部21のそれぞれに配置された凸状被圧子PP2において、凹状圧子AP2が凸状被圧子PP2にかける荷重は同一であって、かつ、荷重の向きが同一である。
【0054】
<荷重Fyの測定>
一対の延在部22のそれぞれに配置された凸状被圧子PP2と凹状圧子AP2との対応関係を変更するように、5軸テーブル8を制御することで、力覚センサ3により測定される荷重を切り替えることが可能となる。例えば、一方の延在部22に配置された凸状被圧子PP2とロードセル7R側の凹状圧子AP2とが対応し、かつ、他方の延在部22に配置された凸状被圧子PP2とロードセル7L側の凹状圧子AP2とが対応するように、5軸テーブル8を制御する。これにより、力覚センサ3により測定される荷重がFy方向からの荷重となる(図8Aを参照)。この場合、一対の延在部22のそれぞれに配置された凸状被圧子PP2において、凹状圧子AP2が凸状被圧子PP2にかける荷重は同一であって、かつ、荷重の向きが同一である。
【0055】
(延在部23、凹状被圧子PP1)
図9Aは、モーメントMzを測定する場合の治具等を示す図である。図9Bは、図9Aに示す治具等の一部を拡大して示す部分拡大図である。なお、図9Aおよび図9Cにおいて、押し加圧の方向を白抜きの矢印で示し、引き加圧の方向を、ハッチングを付した矢印で示す。一対の延在部23のそれぞれは、凹状被圧子PP1を有している。一方の延在部23に配置された凹状被圧子PP1と他方の延在部23に配置された凹状被圧子PP1とは、被固定部20の中心軸に対して対称的に配置され、同じ構成をしている。以下の説明では、一方の延在部23に配置された凹状被圧子PP1の構成を代表して説明し、他方の延在部23に配置された凹状被圧子PP1の構成については、一方の延在部23に配置された凹状被圧子PP1の構成と異なる場合に説明する。
【0056】
延在部23は、幅方向(接線方向と同じ方向)に所定幅を有し、また、放射方向および幅方向のそれぞれに直交する板厚方向に所定の厚みを有している。延在部23は、幅が広い部分と幅が狭い部分とを有している。幅の狭い部分は、幅方向に貫通する貫通穴HL3を有している。凹状被圧子PP1は、貫通穴HL3には嵌め込まれ、止めネジSCRによって嵌合穴HL3から抜け止めされる。貫通穴HL3にはめ込まれる被圧子は、貫通穴HL1に嵌め込まれる凹状被圧子PP1と同じ被圧子である。凹状被圧子PP1は2つの円錐状穴を有している。2つの円錐状穴のそれぞれの位置は、被固定部20が力覚センサ3に固定された状態で、力覚センサ3の中心軸3aから放射方向に所定距離DPだけ離れた位置に配置される。一方の円錐状穴は幅方向の一側に配置されている。一方の円錐状穴の穴径は、幅方向の一側から中央位置に向かって円錐状穴に嵌入する凸状圧子AP1のW方向かつD方向のそれぞれの位置を修正可能なように、幅方向の一側から中央位置に向かって徐々に小さくなる。他方の円錐状穴は幅方向の他側に配置されている。他方の円錐状穴の穴径は、幅方向の他側から中央位置に向かって円錐状穴に嵌入する凸状圧子AP1のW方向かつD方向のそれぞれの位置を修正可能なように、幅方向の他側から中央位置に向かって徐々に小さくなる。なお、凸状圧子AP1が円錐状穴に嵌め込まれた状態では、凸状圧子AP1の軸部の位置と検出中心3bの位置とは、Fz方向で一致する。
【0057】
<モーメントMzの測定>
一方の延在部23に配置された凹状被圧子PP1と上方向の凸状圧子AP1とが対応し、かつ、他方の延在部23に配置された凹状被圧子PP1と下方向の凸状圧子AP1とが対応するように、5軸テーブル8を制御する。これにより、力覚センサ3により測定される荷重がFz方向軸回りのモーメントMzとなる((図9Aを参照)。この場合、一対の延在部23のそれぞれに配置された凹状被圧子PP1おいて、凸状圧子AP1が凹状被圧子PP1にかける荷重は同一であって、かつ、荷重の向きが互いに反対である。
【0058】
他方の延在部23に配置された凹状被圧子PP1と上方向の凸状圧子AP1とが対応し、かつ、一方の延在部23に配置された凹状被圧子PP1と下方向の凸状圧子AP1とが対応するように、5軸テーブル8を制御する。これにより、力覚センサ3により測定される荷重がFz方向軸回りのモーメントMzとなる((図9Cを参照)。この場合においても、一対の延在部23のそれぞれに配置された凹状被圧子PP1おいて、凸状圧子AP1が凹状被圧子PP1にかける荷重は同一であって、かつ、荷重の向きが互いに反対である。
【0059】
(延在部24、圧力センサPS)
図10Aは、押し加圧確認時の治具等を示す断面図である。図10Bは、引き加圧確認時の治具等を示す断面図である。なお、図10Aおよび図10Bにおいて、押し加圧の方向を白抜きの矢印で示し、引き加圧の方向を、ハッチングを付した矢印で示す。一対の延在部24のそれぞれは、圧力センサPSを有している。一方の延在部24のそれぞれに配置される圧力センサPSは、中心軸3aに対して対称的に配置されている。以下の説明では、一方の延在部24に配置される圧力センサPSを代表して説明し、他方の延在部24に配置される圧力センサPSについては、一方の延在部24に配置される圧力センサPSと異なる場合に説明する。
【0060】
延在部24は、幅方向(接線方向と同じ方向)に所定幅を有し、また、放射方向および幅方向のそれぞれに直交する板厚方向に所定の厚みを有している。延在部24は、幅方向一側から幅方向他側に凹入する嵌合穴HL4を有している。嵌合穴HL4の幅方向他側には圧力センサPSが嵌め込まれている。嵌合穴HL4の幅方向一側には案内子GDが嵌め込まれている。案内子GDは円錐状穴を有している。円錐状穴の位置は、被固定部20が力覚センサ3に固定された状態で、力覚センサ3の中心軸3aから放射方向に所定距離DPだけ離れた位置に配置される。円錐状穴は、案内子GDの幅方向一側の位置と幅方向他側に配置された圧力センサPSの位置との間を貫通している。円錐状穴の穴径は、幅方向一側から幅方向他側に向かって円錐状穴に嵌入する凸状圧子AP1のW方向かつD方向のそれぞれの位置を修正可能なように、幅方向一側から幅方向他側に向かって徐々に小さくなる。なお、凸状圧子AP1が円錐状穴に嵌め込まれた状態では、凸状圧子AP1の軸部の位置と検出中心3bの位置とは、Fz方向で一致する。
【0061】
<押し加圧確認時と引き加圧確認時との切り替え>
力覚センサ3にかける荷重は、一対の延在部24のそれぞれに配置される圧力センサPSとロードセル7R側およびロードセル7L側のそれぞれの凸状圧子AP1との対応関係を変更することで、押し加圧確認時と引き加圧確認時とを切り替えることが可能となる。
【0062】
<押し加圧確認>
例えば、一方の延在部24に配置された圧力センサPSとロードセル7R側の凸状圧子AP1とが対応し、かつ、他方の延在部24に配置された圧力センサPSとロードセル7L側の凸状圧子AP1とが対応するように、5軸テーブル8を制御する。次に、ロードセル7R,7Lのそれぞれのアタッチメント9mが下降するように、ロードセル7R,7Lのそれぞれを制御する。これにより、アタッチメント9mに取り付けられた凸状圧子AP1が圧力センサPSを押し加圧する。なお、押し加圧は、予め定められた複数の荷重(N)によって行われる。圧力センサPSは、凸状圧子AP1による押し加圧を測定する。圧力センサPSの測定結果に基づいて、押し加圧を確認することが可能となる。
【0063】
<引き加圧確認>
例えば、他方の延在部24に配置された圧力センサPSとロードセル7R側の凸状圧子AP1とが対応し、かつ、一方の延在部24に配置された圧力センサPSとロードセル7L側の凸状圧子AP1とが対応するように、5軸テーブル8を制御する。次に、ロードセル7R,7Lのそれぞれのアタッチメント9mが上昇するように、ロードセル7R,7Lのそれぞれを制御する。これにより、アタッチメント9mに取り付けられた凸状圧子AP1が圧力センサPSを引き加圧する。なお、引き加圧は、予め定められた複数の荷重(N)によって行われる。圧力センサPSは、凸状圧子AP1による引き加圧を測定する。圧力センサPSの測定結果に基づいて、引き加圧を確認することが可能となる。
【0064】
上記のように、圧力センサPSの測定結果を参照して、ロードセル7R,7Lのそれぞれの押し加圧を確認し(図10Aを参照)、さらに、ロードセル7R,7Lのそれぞれの引き加圧を確認する(図10Bを参照)。なお、圧力センサPSの測定結果に基づいて、ロードセル7R,7Lをキャリブレーションする場合がある。次に、力覚センサ3にかかる荷重を測定する。なお、力覚センサ3による荷重の測定は、荷重Fx、荷重Fy、荷重Fz、モーメントMz、モーメントMyおよびモーメントMzのそれぞれの測定である(以下、「6軸測定」という)。6軸測定は、制御部(不図示)が5軸テーブル8等を制御することにより自動的に実行される。
【0065】
<6軸測定の手順>
次に、6軸測定の手順ついて図11Aから図13Bを参照して説明する。図11Aは、荷重Fz測定を示す図である。図11Bは、モーメントMx測定を示す図である。図12Aは、モーメントMy測定を示す図である。図12Bは、荷重Fx測定を示す図である。図13Aは、荷重Fy測定を示す図である。図13Bは、モーメントMz測定を示す図である。図11Aから図13Bに示す一対の延在部24に番号1、番号5、一対の延在部21のそれぞれに番号2、番号6、一対の延在部23のそれぞれに番号3、番号7、一対の延在部22のそれぞれに番号4、番号8を付する。なお、6軸測定の開始時、制御部(不図示)は、力覚センサ3の中心軸3aの向きが上下方向になるように、5軸テーブル8を制御する。なお、図11Aから図13Bにおいて、押し加圧を白抜きの矢印で示し、引き加圧を、ハッチングを付した矢印で示す。
【0066】
(ステップS1:図11A参照)
先ず、ステップS1において、番号2が付された延在部21及び番号6が付された延在部21のそれぞれの凹状被圧子PP1を用いて、押し加圧を測定する。また、同じ凹状被圧子PP1を用いて引き加圧を測定する(図11Aに示す荷重Fz測定)。
【0067】
図14Aは、荷重と出力電圧との関係を示す相関図である。図14Aの横軸に荷重Fz[N]を示し、縦軸に出力電圧[V]を示す。図14Aに示すように、出力電圧は、荷重Fxの大きさに比例して大きくなる。一方、出力電圧は、荷重Fy、Fz、モーメントMx、My、Mzのそれぞれの大きさに関係なく、0[V]となる。図14Aに示す力覚センサ3の出力特性により、荷重Fz測定時に、力覚センサ3が荷重Fzを測定し、荷重Fz以外の荷重Fx、FyやモーメントMx、My、Mzを測定しないことが判定できる。
【0068】
(ステップS2:図11B参照)
次に、ステップS2において、番号2が付された延在部21を用いて押し加圧を測定し、番号6が付された延在部21の凹状被圧子PP1を用いて引き加圧を測定する。反対に、番号2が付された延在部21を用いて引き加圧を測定し、番号6が付された延在部21の凹状被圧子PP1を用いて押し加圧を測定する(図11Bに示すモーメントMx測定)。
【0069】
図14Bは、モーメントと出力電圧との関係を示す相関図である。図14Bの横軸にモーメントMx[N・m]を示し、縦軸に出力電圧[V]を示す。図14Bに示すように、出力電圧は、モーメントMxの大きさに比例して大きくなる。一方、出力電圧は、荷重Fx、Fy、Fz、モーメントMy、Mzのそれぞれの大きさに関係なく、0[V]となる。図14Bに示す力覚センサ3の出力特性により、モーメントMx測定時に、力覚センサ3がモーメントMxを測定し、モーメントMx以外の荷重Fx、Fy、FzやモーメントMy、Mzを測定しないことが判定できる。
【0070】
(ステップS3:図12A参照)
次に、ステップS3において、番号4が付された延在部22の凹状被圧子PP1を用いて押し加圧を測定し、番号8が付された延在部22の凹状被圧子PP1を用いて引き加圧を測定する。反対に、番号4が付された延在部22の凹状被圧子PP1を用いて引き加圧を測定し、番号8が付された延在部22の凹状被圧子PP1を用いて押し加圧を測定する(図12Aに示すモーメントMy測定)。なお、図示しないが、モーメントMx測定における力覚センサ3の出力特性と同様に、モーメントMy測定における力覚センサ3の出力特性により、モーメントMy測定時に、力覚センサ3がモーメントMyを測定し、モーメントMy以外の荷重Fx、Fy、FzやモーメントMx、Mzを測定しないことが判定できる。
【0071】
(ステップS4:図12B参照)
次に、ステップS4において、制御部(不図示)は、力覚センサ3の中心軸3aの向きが上下方向から水平方向になるように5軸テーブル8を制御する。番号2が付された延在部21及び番号6が付された延在部21のそれぞれの凸状被圧子PP2を用いて、押し加圧を測定する(図12Bの左側に示す荷重Fx測定)。なお、図12Bの左側に示す治具2を力覚センサ3の中心軸3a回りに180度回転して、押し加圧を測定してもよい(図12Bの右側に示す荷重Fx測定)。また、図示しないが、荷重Fz測定における力覚センサ3の出力特性と同様に、荷重Fx測定における力覚センサ3の出力特性により、荷重Fx測定時に、力覚センサ3が荷重Fxを測定し、荷重Fx以外の荷重Fy、FzやモーメントMx、My、Mzを測定しないことが判定できる。
【0072】
(ステップS5:図13A参照)
次に、ステップS5において、番号4が付された延在部22及び番号8が付された延在部22のそれぞれの凸状被圧子PP2を用いて、押し加圧を測定する(図13Aの左側に示す荷重Fy測定)。なお、図13Aの左側に示す治具2を力覚センサ3の中心軸3a回りに180度回転して、押し加圧を測定してもよい(図13Aの右側に示す荷重Fy測定)。また、図示しないが、荷重Fz測定における力覚センサ3の出力特性と同様に、荷重Fy測定における力覚センサ3の出力特性により、荷重Fy測定時に、力覚センサ3が荷重Fyを測定し、荷重Fy以外の荷重Fx、FzやモーメントMx、My、Mzを測定しないことが判定できる。
【0073】
(ステップS6:図13B参照)
次に、ステップS6において、番号3が付された延在部23の凹状被圧子PP1を用いて押し加圧を測定し、番号7が付された延在部23の凹状被圧子PP1を用いて引き加圧を測定する。反対に、番号3が付された延在部23の凹状被圧子PP1を用いて引き加圧を測定し、番号7が付された延在部23の凹状被圧子PP1を用いて押し加圧を測定する(図13Bに示すモーメントMz測定)。なお、図示しないが、モーメントMx測定における力覚センサ3の出力特性と同様に、モーメントMz測定における力覚センサ3の出力特性により、モーメントMz測定時に、力覚センサ3がモーメントMzを測定し、モーメントMz以外の荷重Fx、Fy、FzやモーメントMx、Myを測定しないことが判定できる。
【0074】
上記実施の形態に係る荷重測定方法は、力覚センサ3に固定される被固定部20と、相互に直交する方向であるFx方向、Fy方向およびFz方向において、被固定部20に対して対称的に配置される、被固定部20からFx方向一側に延在するFx方向一側の延在部22、および、被固定部20からFx方向他側に延在するFx方向他側の延在部22と、被固定部20に対して対称的に配置される、被固定部20からFy方向一側に延在するFy方向一側の延在部21、および、被固定部20からFy方向他側に延在するFy方向他側の延在部21と、を備える治具2を用いて、治具2を介して力覚センサ3にかかる荷重を測定する荷重測定方法であって、Fy方向一側の延在部21およびFy方向他側の延在部21のそれぞれにかける荷重の向きがFz方向で互いに反対で、かつ、荷重の大きさを同一にすることにより、Fx方向に沿って延ばされた軸であるFx方向軸回りのモーメントを測定する工程と、Fx方向一側の延在部22およびFx方向他側の延在部22のそれぞれにかける荷重の向きがFz方向で互いに反対で、かつ、荷重の大きさを同一にすることにより、Fy方向に沿って延ばされた軸であるFy方向軸回りのモーメントを測定する工程と、Fx方向一側の延在部22およびFx方向他側の延在部22のそれぞれにかける荷重の向きがFy方向で互いに反対で、かつ、荷重の大きさを同一にすることにより、および/または、Fy方向一側の延在部21およびFy方向他側の延在部21のそれぞれにかける荷重の向きがFx方向で互いに反対で、かつ、荷重の大きさを同一にすることにより、Fz方向に沿って延ばされた軸であるFz方向軸回りのモーメントを測定する工程と、を備える。
【0075】
上記構成により、Fx方向軸、Fy方向軸およびFz方向軸のいずれかの軸回りのモーメントを測定する場合、当該軸以外の軸である他軸回りのモーメントや、他軸方向の荷重が力覚センサにかからないため、力覚センサ3が軸回りのモーメントを測定する場合において、軸同士を分離した測定をすることが可能となる。
【0076】
また、上記実施の形態に係る荷重測定方法は、Fy方向一側の延在部21およびFy方向他側の延在部21のそれぞれにかける荷重の向きがFx方向で同一で、かつ、荷重の大きさを同一にすることにより、Fx方向の荷重を測定する工程と、Fx方向一側の延在部22およびFx方向他側の延在部22のそれぞれにかける荷重の向きがFy方向で同一で、かつ、荷重の大きさを同一にすることにより、Fy方向の荷重を測定する工程と、Fx方向一側の延在部22およびFx方向他側の延在部22のそれぞれにかける荷重の向きがFz方向で同一で、かつ、荷重の大きさを同一にすることにより、および/または、Fy方向一側の延在部21およびFy方向他側の延在部21のそれぞれにかける荷重の向きがFz方向で同一で、かつ、荷重の大きさを同一にすることにより、Fz方向の荷重を測定する工程と、をさらに備える。これにより、Fx方向軸、Fy方向軸およびFz方向軸のいずれかの軸方向の荷重を測定する場合、当該軸以外の軸である他軸方向の荷重や、他軸回りのモーメントが力覚センサ3にかからないため、力覚センサ3が軸方向の荷重を測定する場合において、軸同士を分離した測定をすることが可能となる。
【0077】
また、上記実施の形態に係る荷重測定装置1は、治具2を介して力覚センサ3にかかる荷重を測定する荷重測定装置であって、治具2は、力覚センサ3に固定される被固定部20と、相互に直交する方向であるFx方向、Fy方向およびFz方向において、被固定部20に対して対称的に配置され、Fy方向およびFz方向のいずれかの方向の荷重がかけられる、被固定部20からFx方向の一側および被固定部20からFx方向他側のそれぞれの方向に延在する延在部22と、被固定部20に対して対称的に配置され、Fx方向およびFz方向のいずれかの方向の荷重がかけられる、被固定部20からFy方向一側および被固定部20からFy方向の他側のそれぞれの方向に延在する延在部21と、を備える。
【0078】
上記構成により、一対の延在部22のそれぞれにかける荷重の向きを互いに同じ、又は、反対で、荷重の大きさを同一にして、または、一対の延在部21のそれぞれにかける荷重の向きを互いに同じ、又は、反対で、荷重の大きさを同一にしてFx方向軸、Fy方向軸およびFz方向軸のいずれかの軸回りのモーメントを測定する場合、当該軸以外の軸である他軸回りのモーメントや、他軸方向の荷重が力覚センサ3にかからないようにすることが可能となる。これにより、力覚センサ3が軸回りのモーメントを測定する場合において、軸同士を分離した測定をすることが可能となる。
【0079】
また、荷重測定装置1は、一対のロードセル7をさらに備え、一対のロードセル7の一方は、一対のロードセル7の他方がFx方向の一側の延在部21に荷重をかける場合、Fx方向の他側の延在部21に荷重をかけ、一対のロードセル7の一方は、一対のロードセル7の他方がFy方向一側の延在部21に荷重をかける場合、Fy方向の他側の延在部21に荷重をかける。これにより、一対のロードセル7が延在部21,22のそれぞれにかける荷重の向きを互いに同じ、又は、反対で、荷重の大きさを同一にすることが容易となる。
【0080】
また、上記実施の形態に係る荷重測定装置1の治具2は、治具2を介して力覚センサ3にかかる荷重を測定する荷重測定装置1の治具であって、力覚センサ3に固定される被固定部20と、相互に直交する方向であるFx方向、Fy方向およびFz方向において、被固定部20に対して対称的に配置され、Fy方向およびFz方向のいずれかの方向の荷重がかけられる、被固定部20からFx方向の一側および被固定部20からFx方向の他側のそれぞれの方向に延在する延在部22と、被固定部20に対して対称的に配置され、Fx方向およびFz方向のいずれかの方向の荷重がかけられる、被固定部20からFy方向の一側および被固定部20からFy方向の他側のそれぞれの方向に延在する延在部21と、を備える。
【0081】
上記構成により、一対の延在部22それぞれにかける荷重の向きを互いに同じ、又は、反対で、荷重の大きさを同一にして、または、一対の延在部21のそれぞれにかける荷重の向きを互いに同じ、又は、反対で、荷重の大きさを同一にしてFx方向軸、Fy方向軸およびFz方向軸のいずれかの軸回りのモーメントを測定する場合、当該軸以外の軸である他軸回りのモーメントや、他軸方向の荷重が力覚センサ3にかからないようにすることが可能となる。これにより、力覚センサ3が軸回りのモーメントを測定する場合において、軸同士を分離した測定をすることが可能となる。
【0082】
なお、上記実施の形態に係る荷重測定装置1の治具2は、3軸の荷重と各軸回りのモーメントを同時に測定する力覚センサ3に固定されて用いられる治具であるが、3軸のそれぞれの軸回りのモーメントを測定する力覚センサに固定されて用いられる治具でもよい。
【0083】
その他、上記実施の形態は、何れも本発明の実施をするにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明は、軸回りのモーメントを測定する場合において、軸同士を分離した測定をすることが要求される治具を備えた荷重測定装置に好適に利用される。
【符号の説明】
【0085】
AP1 凸状圧子
AP2 凹状圧子
CL 中心線
GD 案内子
HL1 貫通穴
HL2 嵌合穴
HL3 嵌合穴
HL4 嵌合穴
PL1 平行線
PL2 平行線
PP1 凹状被圧子
PP2 凸状被圧子
PS 圧力センサ
SCR 止めネジ
1 荷重測定装置
2 治具
3 力覚センサ
3a 中心軸(Fz方向軸)
3b 検出中心
3c 直交軸(Fx方向軸)
3d 直交軸(Fy方向軸)
4 台
5 柱
6 梁
7 ロードセル
7R ロードセル
7L ロードセル
8 5軸テーブル
8a アンダーテーブル
8b アッパーテーブル
8c ターンテーブル
8d 脚状体
8e 脚状体
8f 軸状体
8g 板状体
8h パルスモータ
8i パルスモータ
9 昇降ユニット
9a 軸受け
9b ボールねじ
9c ナット
9d モータ
9e ガイドレール
9f スライド
9g 連結部
9h ロッド
9i ガイド部
9m アタッチメント
20 被固定部
21,22,23,24 延在部
28 締結部


図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図9C
図10A
図10B
図11A
図11B
図12A
図12B
図13A
図13B
図14A
図14B