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  • 特開-圧縮機ユニット及び冷凍システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024011150
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】圧縮機ユニット及び冷凍システム
(51)【国際特許分類】
   F25B 1/00 20060101AFI20240118BHJP
   F25B 1/10 20060101ALI20240118BHJP
【FI】
F25B1/00 387L
F25B1/00 387K
F25B1/10 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022112918
(22)【出願日】2022-07-14
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】岡田 有二
(72)【発明者】
【氏名】大村 峰正
(72)【発明者】
【氏名】石田 寿幸
(57)【要約】
【課題】圧縮機に供給する油を、より効率的に冷却する。
【解決手段】圧縮機ユニットは、冷媒を圧縮する圧縮機と、圧縮機で冷媒と共に圧縮された油を圧縮機に戻す油供給管と、油供給管の途中に配置され、油供給管における油の流量を絞る流量調整部と、油供給管において、流量調整部よりも油の流通方向の下流側に配置されて圧縮機に供給される油を冷却する油冷却器と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒を圧縮する圧縮機と、
前記圧縮機で前記冷媒と共に圧縮された油を前記圧縮機に戻す油供給管と、
前記油供給管の途中に配置され、前記油供給管における油の流量を絞る流量調整部と、
前記油供給管において、前記流量調整部よりも前記油の流通方向の下流側に配置されて前記圧縮機に供給される前記油を冷却する油冷却器と、を備える圧縮機ユニット。
【請求項2】
前記圧縮機は、
第一圧縮機と、
前記第一圧縮機で圧縮された前記冷媒をさらに圧縮する第二圧縮機と、を備え、
前記油供給管は、
前記油冷却器を通過するように配置され、前記油を前記第一圧縮機に供給する第一油供給管と、
前記油冷却器を通過するように配置され、前記油を前記第二圧縮機に供給する第二油供給管と、を備える請求項1に記載の圧縮機ユニット。
【請求項3】
前記流量調整部は、
前記第一油供給管に配置された第一流量調整部と、
前記第二油供給管に配置された第二流量調整部と、を備える請求項2に記載の圧縮機ユニット。
【請求項4】
前記油冷却器は、
前記第一油供給管を流通する前記油を冷却する第一冷却領域と、
前記第二油供給管を流通する前記油を冷却する第二冷却領域と、を備え、
前記第二冷却領域は、前記第一冷却領域よりも面積が大きい請求項2又は3に記載の圧縮機ユニット。
【請求項5】
前記油冷却器は、
前記第一冷却領域に配置され、前記第一油供給管を流通する前記油が流れる第一チューブと、
前記第二冷却領域に配置され、前記第一チューブと独立して配置され、前記第二油供給管を流通する前記油が流れる第二チューブと、
前記第一チューブ及び前記第二チューブの外周面に接する複数のフィンと、を備える請求項4に記載の圧縮機ユニット。
【請求項6】
前記第一チューブは、内部に前記油を流入させる第一流入端から内部の前記油を流出させる第一流出端まで延び、
前記第二チューブは、前記第一チューブよりも長く、内部に前記油を流入させる第二流入端から内部の前記油を流出させる第二流出端まで延び、
前記第一流入端、前記第一流出端、前記第二流入端、及び前記第二流出端の中で、前記第一流入端と前記第二流入端とが、最も近い位置に配置されている請求項5に記載の圧縮機ユニット。
【請求項7】
前記油冷却器は、空冷式である請求項1又は2に記載の圧縮機ユニット。
【請求項8】
前記第一油供給管での前記油の流通状態を全開状態と全閉状態とに切り替え可能な第一入口開閉弁及び第一出口開閉弁と、
前記第二油供給管での前記油の流通状態を全開状態と全閉状態とに切り替え可能な第二入口開閉弁及び第二出口開閉弁とをさらに備え、
前記第一入口開閉弁は、前記油冷却器に対して前記流通方向の上流側で前記第一油供給管の途中に配置され、
前記第一出口開閉弁は、前記油冷却器に対して前記流通方向の下流側で前記第一油供給管の途中に配置され、
前記第二入口開閉弁は、前記油冷却器に対して前記流通方向の上流側で前記第二油供給管の途中に配置され、
前記第二出口開閉弁は、前記油冷却器に対して前記流通方向の下流側で前記第二油供給管の途中に配置され、
前記油冷却器は、前記第一入口開閉弁と前記第一出口開閉弁との間で、前記第一油供給管に対して着脱可能、かつ、前記第二入口開閉弁と前記第二出口開閉弁との間で、前記第二油供給管に対して着脱可能とされている請求項2又は3に記載の圧縮機ユニット。
【請求項9】
請求項1又は2に記載の圧縮機ユニットを備える冷凍システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、圧縮機ユニット及び冷凍システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、冷凍システムの圧縮機に供給する油を、油冷却器で冷却する構成が開示されている。具体的に、圧縮機で冷媒とともに圧縮された冷凍機油を油分離器によって分離した後に、油冷却器で冷却して圧縮機に戻している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-58037号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の構成においては、油冷却器から圧縮機に戻される油は、事前に圧縮機によって、冷媒とともに圧縮されている。このため、油は、高温高圧な状態となる。特に、圧縮機が多段で冷媒を圧縮する構造の場合、圧縮機で冷媒とともに圧縮された油は、圧縮機の使用可能範囲を超えて非常に高温高圧となる可能性がある。その結果、圧縮機に戻す油を冷却するための油冷却器のような装置を高温高圧に耐えられるような複雑でコストの高い構造とする必要が出てきてしまう。したがって、圧縮機に戻される油を、より簡易な構成で冷却することが望まれる。
【0005】
本開示は、上記課題を解決するためになされたものであって、圧縮機に戻される油を、より簡易な構成で冷却することができる圧縮機ユニット及び冷凍システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示に係る圧縮機ユニット及び冷凍システムは、冷媒を圧縮する圧縮機と、前記圧縮機で前記冷媒と共に圧縮された油を前記圧縮機に戻す油供給管と、前記油供給管の途中に配置され、前記油供給管における油の流量を絞る流量調整部と、前記油供給管において、前記流量調整部よりも前記油の流通方向の下流側に配置されて前記圧縮機に供給される前記油を冷却する油冷却器と、を備える。
【0007】
本開示に係る冷凍システムは、上記したような圧縮機ユニットを備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示の圧縮機ユニット及び冷凍システムによれば、圧縮機に供給する油を、より効率的に冷却することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の実施形態に係る圧縮機ユニットを備えた冷凍システムの構成を示す図である。
図2】上記圧縮機ユニットの油戻し部の構成を示す図である。
図3】上記圧縮機ユニットに備えた油冷却器の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本開示による圧縮機ユニット及び冷凍システムを実施するための形態を説明する。しかし、本開示はこの実施形態のみに限定されるものではない。
【0011】
(冷凍システムの構成)
図1に示すように、冷凍システム1は、冷媒を圧縮する圧縮機ユニット10を備える。冷凍システム1は、圧縮機ユニット10で圧縮した冷媒を、例えば室内機等の冷却供給対象との間で循環する。本実施形態において、冷媒は、例えば二酸化炭素(CO)である。なお、冷媒は、二酸化炭素以外であってもよい。
【0012】
冷凍システム1は、圧縮機ユニット10の他に、圧縮機ユニット10で圧縮された冷媒を凝縮するコンデンサ(図示無し)、凝縮した冷媒から液冷媒を回収するレシーバ(図示無し)等を備えている。冷凍システム1はレシーバで回収した液冷媒を、冷媒供給対象に供給する。冷媒供給対象で熱交換を行った冷媒は、圧縮機ユニット10に循環される。なお、冷凍システム1において、圧縮機ユニット10以外の構成については、その構成を何ら限定するものではなく、適宜構成を変更可能である。
【0013】
圧縮機ユニット10は、第一圧縮機(圧縮機)30と、インタークーラ40と、第二圧縮機(圧縮機)60と、オイルセパレータ70と、オイルタンク71と、第一吸入管102と、第一吐出管103と、第二吸入管105と、第二吐出管106と、冷媒供給管107と、油戻し部200と、油排出管201と、を主に備えている。
【0014】
圧縮機ユニット10において、冷媒は、第一圧縮機30(室内機側)からオイルセパレータ70に向けて流れる。以下において、圧縮機ユニット10における冷媒及び油の流通方向Dfにおいて、第一圧縮機30が配置されている側を上流側Df1、オイルセパレータ70が配置されている側を下流側Df2とする。
【0015】
第一圧縮機30は、第一吸入管102を介して、冷媒供給対象から供給されたガス冷媒を多段階(本実施形態では二段階)にわたって圧縮する。本実施形態において、第一圧縮機30は、第一ロータリー圧縮機構31と、第一スクロール圧縮機構32と、を直列に備えた二段圧縮機である。第一ロータリー圧縮機構31は、外部から供給されたガス冷媒を圧縮する。第一スクロール圧縮機構32は、第一ロータリー圧縮機構31で圧縮された冷媒をさらに圧縮する。第一スクロール圧縮機構32で圧縮された冷媒は、第一吐出管103を通してインタークーラ40に送られる。第一吐出管103は、第一圧縮機30とインタークーラ40とを接続している。
【0016】
インタークーラ40は、第一圧縮機30と第二圧縮機60との間に配置されている。インタークーラ40は、第一圧縮機30に対して冷媒の流通方向Dfの下流側Df2に配置されている。インタークーラ40は、第一圧縮機30で圧縮され、第一吐出管103を通して送り込まれた冷媒を冷却する。本実施形態において、インタークーラ40は、空冷式である。本実施形態のインタークーラ40は、インタークーラ本体41と、ファン42と、を備えている。インタークーラ本体41は、第一圧縮機30で圧縮された冷媒を流通させる流通管(図示無し)を有している。インタークーラ本体41は、流通管内を流れる冷媒と、流通管の外部の外気との間で熱交換を行う。ファン42は、インタークーラ本体41に風を送り、インタークーラ本体41における熱交換の効率化を図る。インタークーラ40で冷却された冷媒は、第二吸入管105を通して第二圧縮機60に送られる。第二吸入管105は、インタークーラ40と第二圧縮機60とを接続している。
【0017】
第二圧縮機60は、インタークーラ40に対して冷媒の流通方向Dfの下流側Df2に配置されている。第二圧縮機60は、第一圧縮機30で圧縮されて冷却された後に、第二吸入管105を通して送り込まれたガス冷媒をさらに多段階(本実施形態では二段階)にわたって圧縮する。本実施形態において、第二圧縮機60は、第二ロータリー圧縮機構61と、第二スクロール圧縮機構62と、を直列に備えた二段圧縮機である。第二ロータリー圧縮機構61は、供給されたガス冷媒を圧縮する。第二スクロール圧縮機構62は、第二ロータリー圧縮機構61で圧縮された冷媒をさらに圧縮する。第二ロータリー圧縮機構61で圧縮された冷媒は、第二吐出管106を通してオイルセパレータ70に送られる。第二吐出管106は、第二圧縮機60とオイルセパレータ70とを接続している。
【0018】
オイルセパレータ70は、第二圧縮機60に対して冷媒の流通方向Dfの下流側Df2に配置されている。オイルセパレータ70は、第二吐出管106を通して送り込まれた冷媒から、冷媒に含まれる油(冷凍機油)を分離する。オイルセパレータ70を経た冷媒は、冷媒供給管107を通して、圧縮機ユニット10に対して流通方向Dfの下流側Df2に配置されたコンデンサ(図示無し)に送給される。
【0019】
また、オイルセパレータ70で分離された油は、油排出管201を通してオイルタンク71に排出される。オイルタンク71は、オイルセパレータ70で分離された油を貯留している。油排出管201は、オイルセパレータ70とオイルタンク71とを接続している。
【0020】
(油戻し部)
図1及び図2に示すように、油戻し部200は、第一圧縮機30及び第二圧縮機60で冷媒と共に圧縮された油を、第一圧縮機30及び第二圧縮機60にそれぞれ戻している。具体的には、油戻し部200は、オイルタンク71に貯留された油を、第一圧縮機30及び第二圧縮機60に戻している。本実施形態の油戻し部200は、図2に示すように、油供給管210と、油冷却器220と、流量調整部230と、を備えている。
【0021】
油供給管210は、第一圧縮機30及び第二圧縮機60で冷媒と共に圧縮された油を圧縮機に戻すように形成されている。油供給管210は、オイルタンク71と、第一圧縮機30及び第二圧縮機60との間に配置されている。油供給管210は、オイルタンク71から第一圧縮機30や第二圧縮機60にそれぞれ油を供給する。油戻し部200では、オイルタンク71が配置されている側を、流通方向Dfの上流側Df1とする。また、油戻し部200では、第一圧縮機30及び第二圧縮機60が配置されている側を、流通方向Dfの下流側Df2とする。
【0022】
本実施形態の油供給管210は、導入管213と、第一油供給管211と、第二油供給管212と、を備えている。導入管213は、オイルタンク71と、第一油供給管211及び第二油供給管212とを接続している配管である。導入管213の流通方向Dfの上流側Df1の端部213aは、オイルタンク71の底部に接続されている。導入管213の流通方向Dfの下流側Df2の端部213bは、第一油供給管211及び第二油供給管212に接続されている。
【0023】
第一油供給管211は、導入管213と第一圧縮機30とを接続している配管である。第一油供給管211の流通方向Dfの上流側Df1の端部211aは、導入管213の流通方向Dfの下流側Df2の端部213bに接続されている。第一油供給管211の流通方向Dfの下流側Df2の端部211bは、第一圧縮機30に接続されている。第二油供給管212は、導入管213と第二圧縮機60とを接続している配管である。第二油供給管212の流通方向Dfの上流側Df1の端部212aは、導入管213の流通方向Dfの下流側Df2の端部213bに接続されている。第二油供給管212の流通方向Dfの下流側Df2の端部212bは、第二圧縮機60に接続されている。
【0024】
これにより、油供給管210は、導入管213から、第一油供給管211と第二油供給管212とに途中で分岐するように形成されている。オイルタンク71から導入管213に流れ込んだ油は、第一油供給管211と第二油供給管212とに分岐して流れ込む。第一油供給管211に流れ込んだ油は、第一圧縮機30に供給される。第二油供給管212に流れ込んだ油は、第二圧縮機60に供給される。
【0025】
流量調整部230は、油供給管210の途中に配置されている。流量調整部230は、油供給管210における油の流量を絞る。つまり、流量調整部230は、油供給管210を流通する油の流量を低減させている。本実施形態の流量調整部230は、第一流量調整部231と、第二流量調整部232と、を備えている。
【0026】
第一流量調整部231は、第一油供給管211の途中に配置されている。第一流量調整部231は、第一油供給管211における油の流量を絞る。本実施形態の第一流量調整部231は、キャピラリ配管である。また、第一油供給管211の途中には、第一開閉弁233が配置されている。第一開閉弁233は、第一流量調整部231に対して流通方向Dfの上流側Df1に配置されている。第一開閉弁233が開放されることで、油は、第一油供給管211及び第一流量調整部231を通って第一圧縮機30に送られる。第一開閉弁233が閉塞されることで、油は、第一油供給管211及び第一流量調整部231を通過不能となり、第一圧縮機30に送られない。
【0027】
第二流量調整部232は、第二油供給管212の途中に配置されている。第二流量調整部232は、第二油供給管212における油の流量を絞る。本実施形態の第二流量調整部232は、キャピラリ配管である。また、第二油供給管212の途中には、第二開閉弁234が配置されている。第二開閉弁234が開放されることで、油は、第二油供給管212及び第二流量調整部232を通って第二圧縮機60に送られる。第二開閉弁234が閉塞されることで、油は、第二油供給管212及び第二流量調整部232を通過不能となり、第二圧縮機60に送られない。
【0028】
油冷却器220は、第一圧縮機30及び第二圧縮機60に供給される油を冷却する。油冷却器220は、油供給管210において、流量調整部230よりも油の流通方向Dfの下流側Df2に配置されている。第一油供給管211と第二油供給管212とは、それぞれ、油冷却器220を通過するように配置されている。油冷却器220は、第一油供給管211を通る油と、第二油供給管212を通る油とを、それぞれ同時に冷却する。
【0029】
図3に示すように、本実施形態において、油冷却器220は、空冷式のフィン&チューブ冷却器である。この油冷却器220は、油冷却器本体221と、油冷却器ファン225と、を備えている。
【0030】
油冷却器本体221は、第一冷却領域A1と、第二冷却領域A2と、を備えている。第一冷却領域A1、第二冷却領域A2とは、油冷却器本体221の第一端部221aと第二端部221bとを結ぶ第一方向D1に並んで配置されている。第一方向D1は、例えば、鉛直方向である。第一冷却領域A1は、第一油供給管211を流通する油を冷却する領域である。第二冷却領域A2は、第二油供給管212を流通する油を冷却する領域である。第二冷却領域A2は、油冷却器ファン225によって空気を送られてくる方向から見た際に、第一冷却領域A1よりも面積が大きくなるよう形成されている。
【0031】
また、油冷却器本体221は、第一チューブ222と、第二チューブ223と、複数のフィン224と、を備えている。
【0032】
第一チューブ222は、第一冷却領域A1に配置されている。第一チューブ222は、第一油供給管211を流通する油が流れる。第一チューブ222の内部には、第一油供給管211を流通する油のみが流れる。第一チューブ222は、内部に油を流入させる第一流入端222aから内部の油を流出させる第一流出端222bまで途切れることなく延びている。第一チューブ222は、第一冷却領域A1内で、蛇行するよう形成されている。
【0033】
より具体的には、本実施形態の第一チューブ222は、複数の第一直線部222sと、複数の第一湾曲部222wと、を有している。複数の第一直線部222sは、第一方向D1に間隔を開けて配列されている。複数の第一直線部222sは、それぞれ、第一方向D1に直交(交差)する第二方向D2にまっすぐ延びている。複数の第一湾曲部222wは、第一方向D1で隣り合う第一直線部222sの片側の端部同士のみを接続している。複数の第一湾曲部222wは、第一チューブ222が蛇行するように、第二方向D2の一方側と第二方向D2の他方側とに第一方向D1で交互に配置されている。
【0034】
第二チューブ223は、第二冷却領域A2に配置されている。第二チューブ223は、第一チューブ222と独立して配置されている。第二チューブ223は、第二油供給管212を流通する油が流れる。つまり、第二チューブ223の内部には、第二油供給管212を流通する油のみが流れる。第二チューブ223は、内部に油を流入させる第二流入端223aから内部の油を流出させる第二流出端223bまで途切れることなく延びている。
【0035】
より具体的には、本実施形態の第二チューブ223は、第二冷却領域A2内で、蛇行するよう形成されている。第二チューブ223は、複数の第二直線部223sと、複数の第二湾曲部223wと、を有している。複数の第二直線部223sは、第一方向D1に間隔を開けて配列されている。複数の第二直線部223sは、それぞれ、第二方向D2にまっすぐ延びている。複数の第二湾曲部223wは、第一方向D1で隣り合う第二直線部223sの片側の端部同士のみを接続している。複数の第二湾曲部223wは、第二チューブ223が蛇行するように、第二方向D2の一方側と第二方向D2の他方側とに第一方向D1で交互に配置されている。
【0036】
また、第二冷却領域A2が、第一冷却領域A1よりも面積が大きいため、第二チューブ223は、第一チューブ222よりも経路長(流路長)が長く形成されている。つまり、第二チューブ223は、第一チューブ222よりも多く蛇行している。
【0037】
また、第一流入端222a、第一流出端222b、第二流入端223a、及び第二流出端223bの中で、第一流入端222aと第二流入端223aとが、最も近い位置に配置されている。具体的には、第一チューブ222の第一流出端222bは、第一方向D1で、油冷却器本体221の第二端部221bに近い位置に配置されている。第一チューブ222の第一流入端222aは、第一流出端222bに比べて、第一方向D1で、油冷却器本体221の第二端部221bから離れた位置に配置されている。第二チューブ223の第二流出端223bは、第一方向D1で、油冷却器本体221の第一端部221aに近い位置に配置されている。第二チューブ223の第二流入端223aは、第二流出端223bに比べて、第一方向D1で、油冷却器本体221の第一端部221aから離れた位置に配置されている。第二流入端223aは、第二流出端223bに比べて、第一方向D1で、第一流入端222aに近い位置に配置されている。より具体的には、第一チューブ222の第一流入端222aに最も近い位置で繋がった第一直線部222sと、第二チューブ223の第二流入端223aに最も近い位置で繋がった第二直線部223sとが、第一方向D1で最も近づくように、隣り合って配置されている。
【0038】
フィン224は、第一チューブ222及び第二チューブ223の外周面に接するように、複数配置されている。フィン224は、板状の部材である。フィン224は、第一直線部222sや第二直線部223sの外周面に固定されている。本実施形態のフィン224は、第一方向D1で隣り合う第一直線部222s同士や第一方向D1で隣り合う第二直線部223s同士を繋ぐように配置されている。
【0039】
油冷却器ファン225は、油冷却器本体221に風を送り、油冷却器本体221の冷却効率を高める。油冷却器ファン225は、油冷却器本体221に対して、第一方向D1及び第二方向D2に直交する方向から風を送るように、配置されている。油冷却器ファン225は、一台のみであってもよいが、複数台を備えるようにしてもよい。本実施形態において、油冷却器ファン225は、例えば四台配置されている。複数台の油冷却器ファン225は、例えば外気温度に応じて、回転数を調整されてもよい。また、複数台の油冷却器ファン225は、例えば外気温度に応じて、作動させる台数を調整されてもよい。
【0040】
図2に示すように、油戻し部200は、さらに、第一入口開閉弁241と、第一出口開閉弁242と、第二入口開閉弁243と、第二出口開閉弁244と、を備えている。
【0041】
第一入口開閉弁241は、第一油供給管211の途中に配置されている。第一入口開閉弁241は、油冷却器220に対して流通方向Dfの上流側Df1に配置されている。第一入口開閉弁241は、第一流量調整部231に対して流通方向Dfの下流側Df2に配置されている。第一出口開閉弁242は、第一油供給管211の途中に配置されている。第一出口開閉弁242は、油冷却器220に対して流通方向Dfの下流側Df2に配置されている。したがって、第一入口開閉弁241及び第一出口開閉弁242は、流通方向Dfにおいて、油冷却器220を挟み込むように配置されている。第一入口開閉弁241及び第一出口開閉弁242は、第一油供給管211での油の流通状態を全開状態と全閉状態とに切り替え可能とされている。
【0042】
第二入口開閉弁243は、第二油供給管212の途中に配置されている。第二入口開閉弁243は、油冷却器220に対して流通方向Dfの上流側Df1に配置されている。第二入口開閉弁243は、第二流量調整部232に対して流通方向Dfの下流側Df2に配置されている。第二出口開閉弁244は、第二油供給管212の途中に配置されている。第二出口開閉弁244は、油冷却器220に対して流通方向Dfの下流側Df2に配置されている。したがって、第二入口開閉弁243及び第二出口開閉弁244は、流通方向Dfにおいて、油冷却器220を挟み込むように配置されている。第二入口開閉弁243及び第二出口開閉弁244は、第二油供給管212での油の流通状態を全開状態と全閉状態とに切り替え可能とされている。
【0043】
また、油冷却器220は、第一入口開閉弁241と第一出口開閉弁242との間で、第一油供給管211に対して着脱可能とされている。油冷却器220は、第二入口開閉弁243と第二出口開閉弁244との間で、第二油供給管212に対して着脱可能とされている。第二油供給管212に対して、第一油供給管211及び第二油供給管212に対して、フランジ接続されるなどによって、着脱可能とされている。
【0044】
(作用効果)
上記構成の圧縮機ユニット10を有する冷凍システム1では、第一圧縮機30及び第二圧縮機60で冷媒と共に圧縮された油は、オイルセパレータ70で分離されてオイルタンク71に送られる。オイルタンク71に貯留された油は、導入管213を通り、第一油供給管211及び第二油供給管212に流入する。第一油供給管211に流入した油は、第一流量調整部231及び油冷却器220を経て、第一圧縮機30に送られる。また、第二油供給管212に流入した油は、第二流量調整部232及び油冷却器220を経て、第二圧縮機60に送られる。第一流量調整部231及び第二流量調整部232では、流通する油の流量が絞られて、圧力が低下する。圧力が低下した油は、油冷却器220で冷却される。その結果、第一圧縮機30及び第二圧縮機60に供給する油を、油冷却器220によって、より効率的に冷却することができる。また、油冷却器220には、圧力が低下した油が供給される。そのため、油冷却器220を、低圧設計とすることができ、低コスト化を図ることができる。したがって、第一圧縮機30及び第二圧縮機60に戻される油を、より簡易な構成で冷却することができる。
【0045】
また、第一圧縮機30に油を供給する第一油供給管211と、第一圧縮機30で圧縮された冷媒をさらに圧縮する第二圧縮機60に油を供給する第二油供給管212が、油冷却器220を通っている。第一油供給管211を介して、第一圧縮機30に供給する油を油冷却器220で冷却することで、第一圧縮機30で使用される油の温度が下がり、第一圧縮機30の運転効率を高めることができる。
【0046】
また、第一圧縮機30よりも冷媒の圧力を高める第二圧縮機60で油が使用される環境の圧力は、第一圧縮機30で油が使用される環境の油の圧力よりも高い。そのため、第二圧縮機60で冷媒と共に油が圧縮されると、油の温度が、油の使用上限温度に近づきやすい。このような第二圧縮機60で使用される油を油冷却器220で冷却することで、第二圧縮機60で使用される油の温度が下がる。その結果、第二圧縮機60の運転効率を高めることができることに加え、第二圧縮機60で油の温度が使用上限温度に近づくことを抑えることができる。
【0047】
また、第一油供給管211及び第二油供給管212の両方が、油冷却器220を通っている。そのため、第一油供給管211を通り第一圧縮機30に供給される油と、第二油供給管212を通り第二圧縮機60に供給される油とが、個別の冷却器で冷却される場合に比較し、油冷却器220が一台で済む。これにより、油冷却器220の設置コストを抑えることができる。また、圧縮機ユニット10の製作時やメンテナンス時等に、油冷却器220の取り付けや取り外し等を行うに際しても、一台の油冷却器220を取り扱えばよく、作業を効率良く行うことができる。
【0048】
また、第一油供給管211に第一流量調整部231が配置され、第二油供給管212に第二流量調整部232が配置されている。そのため、第一油供給管211及び第二油供給管212が通過する油冷却器220には、圧力が低下した油のみが供給される。そのため、油冷却器220を、より低圧設計とすることができ、低コスト化を一層図ることができる。
【0049】
また、第一流量調整部231及び第二流量調整部232によって、第一油供給管211及び第二油供給管212に対して流量調整部230が別々に配置されることになる。したがって、第一流量調整部231及び第二流量調整部232の種類を変えることができる。そのため、第一圧縮機30に供給される油の流量と、第二圧縮機60に供給される油の流量とを、個別に調整することができる。
【0050】
また、油冷却器220では、第二油供給管212を流通する油を冷却する第二冷却領域A2が、第一油供給管211を流通する油を冷却する第一冷却領域A1よりも大きく形成されている。このため、油冷却器220では、第二圧縮機60に供給される油から、より多くの熱量を奪うことが可能となる。油が使用される環境の油の圧力よりも高く、油の温度が使用上限温度に近づきやすい第二圧縮機60に供給する油からより多くの熱量が奪われることで、第二圧縮機60に供給される油の温度を大きく下げることができる。その結果、第二圧縮機60の運転効率を一層高めることができることに加え、第二圧縮機60で油の温度が使用上限温度に近づくことを一層抑えることができる。
【0051】
また、油冷却器220は、第一冷却領域A1に配置された第一チューブ222と、第二冷却領域A2に配置された第二チューブ223と、複数のフィン224とを有する。第一チューブ222と第二チューブ223とが別の部材であることで、第一冷却領域A1と第二冷却領域A2とを容易に形成できる。また、第二チューブ223の流路長を、第一チューブ222の流路長よりも長くするだけで、第二冷却領域A2の面積を、第一冷却領域A1の面積よりも容易に大きくすることができる。したがって、第二冷却領域A2の面積が第一冷却領域A1の面積よりも大きい油冷却器220を、フィン&チューブ冷却器として容易に製作することができる。
【0052】
また、油冷却器220において、第一流入端222a、第一流出端222b、第二流入端223a、及び第二流出端223bの中で、第一流入端222aと第二流入端223aとの近傍で第一チューブ222及び第二チューブ223が最も近い位置に配置されている。第一チューブ222では、第一流入端222aから第一流出端222bまで油が流れる間に、油の温度が低下する。第二チューブ223では、第二流入端223aから第二流出端223bまで油が流れる間に、油の温度が低下する。第二チューブ223が第一チューブ222よりも長いことで、第二チューブ223の出口である第二流出端223bにおける油の温度と、第一チューブ222の出口である第一流出端222bにおける油の温度とは大きく異なる場合がある(第一流出端222bの方が第二流出端223bよりも温度が高い)。このため、例えば、第二流出端223bと第一流出端222bとを近い位置に配置すると、第二流出端223bの近傍のと、第一流出端222bの近傍の第一チューブ222との間で熱交換が行われてしまう。その結果、第二流出端223bから出る油を十分冷却できない可能性がある。これに対し、第一チューブ222の入口である第一流入端222aにおける油の温度と、第二チューブ223の入口である第二流入端223aにおける油の温度とは近くなっている。このため、第一流入端222aと第二流入端223aとを、最も近い位置に配置することで、油冷却器220における熱交換効率の低下を抑えることができる。
【0053】
また、油冷却器220は、空冷式である。これにより、油を冷却するための熱交換用の流体を別途用意することなく、簡易な構成で油冷却器220を構成することができる。
【0054】
また、第一油供給管211の途中に配置された第一入口開閉弁241を閉じると、第一油供給管211における油冷却器220への油の供給が遮断される。さらに、第一油供給管211の途中に配置された第一出口開閉弁242を閉じると、油冷却器220から第一圧縮機30への油の供給が遮断される。また、第二油供給管212の途中に配置された第二入口開閉弁243を閉じると、第二油供給管212における油冷却器220への油の供給が遮断される。第二油供給管212の途中に配置された第二出口開閉弁244を閉じると、油冷却器220から第二圧縮機60への油の供給が遮断される。これにより、例えば、油冷却器220において、低圧側の第一油供給管211に対応する領域と、高圧側の第二油供給管212に対応する領域とで、個別に圧力試験等を行うことができる。したがって、油冷却器220の全ての領域を、第二油供給管212に合わせて高圧に耐える構成とする必要が無く、低コスト化を図ることができる。また、メンテナンス等の際には、第一入口開閉弁241、第一出口開閉弁242、第二入口開閉弁243、及び第二出口開閉弁244を全て閉じることによって、油の流通や第一圧縮機30及び第二圧縮機60の圧力状態に影響を与えることなく、油冷却器220を、第一油供給管211及び第二油供給管212に対して容易に着脱することができる。したがって、圧縮機ユニット10におけるメンテナンス性を高めることができる。
【0055】
(その他の実施形態)
以上、本開示の実施の形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施の形態に限られるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【0056】
なお、冷凍システム1において、圧縮機ユニット10以外の構成については、その構成を何ら限定するものではなく、適宜構成を変更可能である。
【0057】
また、上記実施形態では、圧縮機ユニット10が、第一圧縮機30と第二圧縮機60とを備える構成としたが、このような構成に限定されるものではない。圧縮機ユニット10は、例えば、圧縮機を1台のみ備える構成としてもよい。
【0058】
また、第一圧縮機30及び第二圧縮機60は、ニ段圧縮機であることに限定されるものではない。第一圧縮機30及び第二圧縮機60は、三段以上の多段圧縮機であってもよく、一段のみの単段の圧縮機であってもよい。第一圧縮機30及び第二圧縮機60は、ロータリー圧縮機構とスクロール圧縮機構と有する構造であることに限定されるものではない。例えば、第一圧縮機30及び第二圧縮機60は、ロータリー圧縮機構のみが複数段あってもよく、スクロール圧縮機構のみが複数段あってもよい。
【0059】
また、上記実施形態では、油冷却器220を、空冷式のフィン&チューブ形式のものとしたが、水冷式としてもよいし、空冷式であっても、フィン&チューブ形式以外の形式のものとしてもよい。
【0060】
また、上記実施形態では、油冷却器220が、第一冷却領域A1の第一チューブ222と、第二冷却領域A2の第二チューブ223と、を備える構成としたが、このような構造に限定されるものではない。油冷却器220は、第一冷却領域A1の第一チューブ222、及び第二冷却領域A2の第二チューブ223に加えて、第三冷却領域の第三チューブを備えていてもよい。この場合、第三冷却領域の第三チューブには、第一圧縮機30に供給する油と、第二圧縮機60に供給する油と、を選択的に通して冷却できるようにしてもよい。
【0061】
<付記>
実施形態に記載の圧縮機ユニット10、冷凍システム1は、例えば以下のように把握される。
【0062】
(1)第1の態様に係る圧縮機ユニット10は、冷媒を圧縮する圧縮機30、60と、前記圧縮機30、60で前記冷媒と共に圧縮された油を前記圧縮機30、60に戻す油供給管210と、前記油供給管210の途中に配置され、前記油供給管210における油の流量を絞る流量調整部230と、前記油供給管210において、前記流量調整部230よりも前記油の流通方向Dfの下流側Df2に配置されて前記圧縮機30、60に供給される前記油を冷却する油冷却器220と、を備える。
【0063】
この圧縮機ユニット10では、圧縮機30、60で冷媒と共に圧縮された油は、油供給管210に流入する。油供給管210に流入した油は、流量調整部231、232及び油冷却器220を経て、圧縮機30、60に送られる。流量調整部231、232では、流通する油の流量が絞られて、圧力が低下する。圧力が低下した油は、油冷却器220で冷却される。その結果、圧縮機30、60に供給する油を、油冷却器220によって、より効率的に冷却することができる。また、油冷却器220には、圧力が低下した油が供給される。そのため、油冷却器220を、低圧設計とすることができ、低コスト化を図ることができる。したがって、圧縮機30、60に戻される油を、より簡易な構成で冷却することができる。
【0064】
(2)第2の態様に係る圧縮機ユニット10は、(1)の圧縮機ユニット10であって、前記圧縮機30、60は、第一圧縮機30と、前記第一圧縮機30で圧縮された前記冷媒をさらに圧縮する第二圧縮機60と、を備え、前記油供給管210は、前記油冷却器220を通過するように配置され、前記油を前記第一圧縮機30に供給する第一油供給管211と、前記油冷却器220を通過するように配置され、前記油を前記第二圧縮機60に供給する第二油供給管212と、を備える。
【0065】
このような構成では、第一油供給管211を介して、第一圧縮機30に供給する油を油冷却器220で冷却することで、第一圧縮機30で使用される油の温度が下がり、第一圧縮機30の運転効率を高めることができる。また、第一圧縮機30よりも冷媒の圧力を高める第二圧縮機60で油が使用される環境の圧力は、第一圧縮機30で油が使用される環境の油の圧力よりも高い。そのため、第二圧縮機60で冷媒と共に油が圧縮されると、油の温度が、油の使用上限温度に近づきやすい。このような第二圧縮機60で使用される油を油冷却器220で冷却することで、第二圧縮機60で使用される油の温度が下がる。その結果、第二圧縮機60の運転効率を高めることができることに加え、第二圧縮機60で油の温度が使用上限温度に近づくことを抑えることができる。
【0066】
また、第一油供給管211及び第二油供給管212の両方が、油冷却器220を通っている。そのため、第一油供給管211を通り第一圧縮機30に供給される油と、第二油供給管212を通り第二圧縮機60に供給される油とが、個別の冷却器で冷却される場合に比較し、油冷却器220が一台で済む。これにより、油冷却器220の設置コストを抑えることができる。また、圧縮機ユニット10の製作時やメンテナンス時等に、油冷却器220の取り付けや取り外し等を行うに際しても、一台の油冷却器220を取り扱えばよく、作業を効率良く行うことができる。
【0067】
(3)第3の態様に係る圧縮機ユニット10は、(2)の圧縮機ユニット10であって、前記流量調整部230は、前記第一油供給管211に配置された第一流量調整部231と、前記第二油供給管212に配置された第二流量調整部232と、を備える。
【0068】
これにより、第一油供給管211及び第二油供給管212が通過する油冷却器220には、圧力が低下した油のみが供給される。そのため、油冷却器220を、より低圧設計とすることができ、低コスト化を一層図ることができる。
【0069】
また、第一流量調整部231及び第二流量調整部232によって、第一油供給管211及び第二油供給管212に対して流量調整部230が別々に配置されることになる。したがって、第一流量調整部231及び第二流量調整部232の種類を変えることができる。そのため、第一圧縮機30に供給される油の流量と、第二圧縮機60に供給される油の流量とを、個別に調整することができる。
【0070】
(4)第4の態様に係る圧縮機ユニット10は、(2)又は(3)の圧縮機ユニット10であって、前記油冷却器220は、前記第一油供給管211を流通する前記油を冷却する第一冷却領域A1と、前記第二油供給管212を流通する前記油を冷却する第二冷却領域A2と、を備え、前記第二冷却領域A2は、前記第一冷却領域A1よりも、面積が大きい。
【0071】
これにより、油冷却器220では、第二圧縮機60に供給される油から、より多くの熱量を奪うことが可能となる。油が使用される環境の油の圧力よりも高く、油の温度が使用上限温度に近づきやすい第二圧縮機60に供給する油からより多くの熱量が奪われることで、第二圧縮機60に供給される油の温度を大きく下げることができる。その結果、第二圧縮機60の運転効率を一層高めることができることに加え、第二圧縮機60で油の温度が使用上限温度に近づくことを一層抑えることができる。
【0072】
(5)第5の態様に係る圧縮機ユニット10は、(4)の圧縮機ユニット10であって、前記油冷却器220は、前記第一冷却領域A1に配置され、前記第一油供給管211を流通する前記油が流れる第一チューブ222と、前記第二冷却領域A2に配置され、前記第一チューブ222と独立して配置され、前記第二油供給管212を流通する前記油が流れる第二チューブ223と、前記第一チューブ222及び前記第二チューブ223の外周面に接する複数のフィン224と、を備える。
【0073】
これにより、第一チューブ222と第二チューブ223とが別の部材であることで、第一冷却領域A1と第二冷却領域A2とを容易に形成できる。したがって、第二冷却領域A2の面積が第一冷却領域A1の面積よりも大きい油冷却器220を、フィン&チューブ冷却器として容易に製作することができる。
【0074】
(6)第6の態様に係る圧縮機ユニット10は、(5)の圧縮機ユニット10であって、前記第一チューブ222は、内部に前記油を流入させる第一流入端222aから内部の前記油を流出させる第一流出端222bまで延び、前記第二チューブ223は、前記第一チューブ222よりも長く、内部に前記油を流入させる第二流入端223aから内部の前記油を流出させる第二流出端223bまで延び、前記第一流入端222a、前記第一流出端222b、前記第二流入端223a、及び前記第二流出端223bの中で、前記第一流入端222aと前記第二流入端223aとが、最も近い位置に配置されている。
【0075】
このような構成では、第一チューブ222及び第二チューブ223では、流入端から流出端まで油が流れる間に、油の温度が低下する。第二チューブ223が第一チューブ222よりも長いことで、第二チューブ223の出口である第二流出端223bにおける油の温度と、第一チューブ222の出口である第一流出端222bにおける油の温度とは大きく異なる場合がある(第一流出端222bの方が第二流出端223bよりも温度が高い)。これに対し、第一チューブ222の入口である第一流入端222aにおける油の温度と、第二チューブ223の入口である第二流入端223aにおける油の温度とは近くなっている。このため、第一流入端222aと第二流入端223aとを、最も近い位置に配置することで、油冷却器220における熱交換効率の低下を抑えることができる。
【0076】
(7)第7の態様に係る圧縮機ユニット10は、(1)から(6)の何れか一つの圧縮機ユニット10であって、前記油冷却器220は、空冷式である。
【0077】
これにより、油を冷却するための熱交換用の流体を別途用意することなく、簡易な構成で油冷却器220を構成することができる。
【0078】
(8)第8の態様に係る圧縮機ユニット10は、(2)から(7)の何れか一つの圧縮機ユニット10であって、前記第一油供給管211での前記油の流通状態を全開状態と全閉状態とに切り替え可能な第一入口開閉弁241及び第一出口開閉弁242と、前記第二油供給管212での前記油の流通状態を全開状態と全閉状態とに切り替え可能な第二入口開閉弁243及び第二出口開閉弁244とをさらに備え、前記第一入口開閉弁241は、前記油冷却器220に対して前記流通方向Dfの上流側Df1で前記第一油供給管211の途中に配置され、前記第一出口開閉弁242は、前記油冷却器220に対して前記流通方向Dfの下流側Df2で前記第一油供給管211の途中に配置され、前記第二入口開閉弁243は、前記油冷却器220に対して前記流通方向Dfの上流側Df1で前記第二油供給管212の途中に配置され、前記第二出口開閉弁244は、前記油冷却器220に対して前記流通方向Dfの下流側Df2で前記第二油供給管212の途中に配置され、前記油冷却器220は、前記第一入口開閉弁241と前記第一出口開閉弁242との間で、前記第一油供給管211に対して着脱可能、かつ、前記第二入口開閉弁243と前記第二出口開閉弁244との間で、前記第二油供給管212に対して着脱可能とされている。
【0079】
これにより、油冷却器220において、第一油供給管211に対応する領域と、第二油供給管212に対応する領域とで、個別に圧力試験等を行うことができる。したがって、油冷却器220の全ての領域を、第二油供給管212に合わせて高圧に耐える構成とする必要が無く、低コスト化を図ることができる。また、メンテナンス等の際には、第一入口開閉弁241、第一出口開閉弁242、第二入口開閉弁243、第二出口開閉弁244を全て閉じることによって、油の流通や第一圧縮機30及び第二圧縮機60の圧力状態に影響を与えることなく、油冷却器220を、第一油供給管211及び第二油供給管212に対して容易に着脱することができる。したがって、圧縮機ユニット10におけるメンテナンス性を高めることができる。
【0080】
(9)第9の態様に係る冷凍システム1は、(1)から(8)の何れか一つの圧縮機ユニット10を備える。
【0081】
この冷凍システム1は、上記したような圧縮機ユニット10を備えることで、圧縮機30、60に供給する油を、より効率的に冷却することができる。
【符号の説明】
【0082】
1…冷凍システム
10…圧縮機ユニット
30…第一圧縮機(圧縮機)
31…第一ロータリー圧縮機構
32…第一スクロール圧縮機構
40…インタークーラ
41…インタークーラ本体
42…ファン
60…第二圧縮機(圧縮機)
61…第二ロータリー圧縮機構
62…第二スクロール圧縮機構
70…オイルセパレータ
71…オイルタンク
102…第一吸入管
103…第一吐出管
105…第二吸入管
106…第二吐出管
107…冷媒供給管
200…油戻し部
201…油排出管
210…油供給管
211…第一油供給管
211a、211b…端部
212…第二油供給管
212a、212b…端部
213…導入管
213a、213b…端部
220…油冷却器
221…油冷却器本体
221a…第一端部
221b…第二端部
222…第一チューブ
222a…第一流入端
222b…第一流出端
222s…第一直線部
222w…第一湾曲部
223…第二チューブ
223a…第二流入端
223b…第二流出端
223s…第二直線部
223w…第二湾曲部
224…フィン
225…油冷却器ファン
230…流量調整部
231…第一流量調整部
232…第二流量調整部
233…第一開閉弁
234…第二開閉弁
241…第一入口開閉弁
242…第一出口開閉弁
243…第二入口開閉弁
244…第二出口開閉弁
A1…第一冷却領域
A2…第二冷却領域
D1…第一方向
D2…第二方向
Df…流通方向
Df1…上流側
Df2…下流側
図1
図2
図3