(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024111500
(43)【公開日】2024-08-19
(54)【発明の名称】組立式什器
(51)【国際特許分類】
A47F 5/10 20060101AFI20240809BHJP
A47F 5/11 20060101ALI20240809BHJP
【FI】
A47F5/10 A
A47F5/11
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023016045
(22)【出願日】2023-02-06
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】武田 宗禎
【テーマコード(参考)】
3B118
【Fターム(参考)】
3B118AA14
3B118AA21
3B118BA19
3B118BB04
3B118DA24
3B118GA04
3B118GA08
3B118GA24
3B118GA33
(57)【要約】
【課題】本発明の解決しようとする課題は、輸送時や保管時には平坦に折り畳むことができ、組立が誰でも簡単にでき、しかも必要な荷重に耐える強度を有する組立式什器を提案するものである。
【解決手段】正面板2、右側面板3、背面板5、左側面板4が折罫線を介して順次連設されて、角筒状に構成され、前記正面板の上部には、第一底面板6が連設され、前記左右側面板は、後方に傾斜する折罫線aを介して、それぞれ左側面補助板8、右側面補助板9を連設し、該左右側面補助板からは、谷折罫線cを介して後方に傾斜する第二底面板7が連設されていることを特徴とする組立式什器である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
正面板、右側面板、背面板、左側面板が折罫線を介して順次連設されて、角筒状に構成され、
前記正面板の上部には、第一底面板が連設され、
前記左右側面板は、後方に傾斜する折罫線を介して、それぞれ左側面補助板、右側面補助板を連設し、該左右側面補助板からは、谷折罫線を介して後方に傾斜する第二底面板が連設されていることを特徴とする組立式什器。
【請求項2】
前記正面板、第一底面板、左側面補助板、第二底面板、右側面補助板の組み合わせが、縦長に構成された左右側面板と背面板に対して上下方向に間隔を空けて複数個設けられていることを特徴とする請求項1に記載の組立式什器。
【請求項3】
前記第二底面板の上部に背面補助板が連設され、該背面補助板は差し込み片を有し、前記背面板は該差し込み片を挿入可能な切り込みを有し、該差し込み片を該切り込みに挿入することにより、第二底面板が下方向に固定されることを特徴とする請求項1に記載の組立式什器。
【請求項4】
複数の前記什器を横に並べて固定するための連結孔を前記左右側面板の上部または下部の1以上に有することを特徴とする請求項1に記載の組立式什器。
【請求項5】
前記背面板の上部に吊り下げ紐等を通すための吊り下げ孔を有することを特徴とする請求項1に記載の組立式什器。
【請求項6】
少なくとも一部が紙製であることを特徴とする請求項1に記載の組立式什器。
【請求項7】
前記左右側面補助板、第一底面板、第二底面板を引き起こして、角筒状に構成した後、
前記正面板、右側面板、背面板、左側面板と共に、前記正面板と背面板が接近するように横方向に押し潰して平坦にした前記組立式什器を1~3枚収納可能な外箱を有し、
該外箱は、前記組立式什器の1枚の背面板に貼付されており、
該外箱は複数本の縦折罫線を有し、該縦折罫線を折ることにより、前記組立式什器の背面に収納可能であることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の組立式什器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品や小物品を陳列展示するための什器に関し、特に折り畳まれた状態から、簡単な操作で組み立てることができる組立式の什器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、店頭等に設置して商品を展示したり販売したりするための商品陳列台として、さまざまな材質、形状の製品が提案され、使用されてきた。これらの中で、紙製の陳列台は、比較的安価に製造できるため、恒久的に使用しない用途、例えば、特定の期間しか使用しないキャンペーン用の陳列台などとしてしばしば用いられている。
【0003】
長期間使用する陳列台であれば、多少嵩張って輸送効率が悪かったり、組立に多少手間取ったりしても、あまり大きな問題とはならないが、恒久的に使用せず、使用期間が短い用途の場合には、コストの面からも、輸送時に嵩張らず、かつ組立が容易にできることが求められる。特に組立作業を、販売店で店員などが行う場合には、組立操作が容易であることは極めて重要な特性とされる。
【0004】
特許文献1に記載されたディスプレイ用具は、コンパクトに折り畳むことができ、かつ、一枚のシート部材から容易に組み立てることができるディスプレイ用具である。
【0005】
しかし本考案に記載されたディスプレイ用具は、もっぱら物品の荷重がかかる底辺の構造があまりにも単純で、一枚の底板の舌片を背面板の開口に差し込むだけの構造であるため、底辺が抜け落ち易く、安定性に欠けるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は、輸送時や保管時には平坦に折り畳むことができ、組立が誰でも簡単にでき、しかも必要な荷重に耐える強度を有する組立式什器を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するための手段として、請求項1に記載の発明は、正面板、右側面板、背面板、左側面板が折罫線を介して順次連設されて、角筒状に構成され、
前記正面板の上部には、第一底面板が連設され、
前記左右側面板は、後方に傾斜する折罫線を介して、それぞれ左側面補助板、右側面補助板を連設し、該左右側面補助板からは、谷折罫線を介して後方に傾斜する第二底面板が連設されていることを特徴とする組立式什器である。
【0009】
本発明に係る組立式什器は、左右の傾斜した折罫線を介して左右側面板に折り返した左右側面補助板の間に第二底面板を配置した構造であるため、第二底面板の位置が一意に決定され、形状が安定する。
【0010】
なお、前記正面板、第一底面板、左側面補助板、第二底面板、右側面補助板の組み合わせが、縦長に構成された左右側面板と背面板に対して上下方向に間隔を空けて複数個設け
られていても良い。
【0011】
また、前記第二底面板の上部に背面補助板が連設され、該背面補助板は差し込み片を有し、前記背面板は該差し込み片を挿入可能な切り込みを有し、該差し込み片を該切り込みに挿入することにより、第二底面板が下方向に固定されるようにしても良い。
【0012】
また、複数の前記什器を横に並べて固定するための連結孔を前記左右側面板の上部または下部の1以上に有することができる。
【0013】
また、前記背面板の上部に吊り下げ紐等を通すための吊り下げ孔を有することができる。
【0014】
また、本発明に係る組立式什器は、全部または少なくとも一部を紙製とすることができる。
【0015】
またさらに、前記左右側面補助板、第一底面板、第二底面板を引き起こして、角筒状に構成した後、前記正面板、右側面板、背面板、左側面板と共に、前記正面板と背面板が接近するように横方向に押し潰して平坦にした前記組立式什器を1~3枚収納可能な外箱を有し、該外箱は、前記組立式什器の1枚の背面板に貼付されており、該外箱は複数本の縦折罫線を有し、該縦折罫線を折ることにより、前記組立式什器の背面に収納可能であるものとすることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る組立式什器は、左右の傾斜した折罫線を介して左右側面板に折り返した左右側面補助板の間に第二底面板を配置した構造であるため、第二底面板の位置が自動的に一意に決定される。このため第二底面板が外れたり、落ちたりすることがなく、全体の形状も安定し、物品を安全に展示することができる。
【0017】
第二底面板は、一定の角度に傾斜しているので、物品の展示効果が高い。
【0018】
前記正面板、第一底面板、左側面補助板、第二底面板、右側面補助板の組み合わせが、縦長に構成された左右側面板、背面板に対して上下方向に間隔を空けて複数個設けられている場合には、展示効率が高まる。
【0019】
前記第二底面板の上部に背面補助板が連設され、該背面補助板は差し込み片を有し、前記背面板は該差し込み片を挿入可能な切り込みを有し、該差し込み片を該切り込みに挿入することにより、第二底面板が下方向に固定されるようにした場合には、展示物等の重量が大きい場合であっても第二底面板が耐えることができる。
【0020】
複数の前記什器を横に並べて固定するための連結孔を前記左右側面板の上部または下部の1以上に有する場合、文字通り複数の前記什器を横に並べて安定的に展示することができる。
【0021】
本発明に係る組立式什器は、前記背面板の上部に、吊り下げ紐等を通すための吊り下げ孔を設けることにより、吊り下げて展示することができるようになる。
【0022】
また、本発明に係る組立式什器は、その構造上、全部または少なくとも一部を紙製とすることができる。再生産可能な資源である紙製とすることにより、地球環境への負荷を低減することができる。
【0023】
またさらに、本発明に係る組立式什器は、前記左右側面補助板、第一底面板、第二底面板を引き起こして、角筒状に構成した後、前記正面板、右側面板、背面板、左側面板と共に、前記正面板と背面板が接近するように横方向に押し潰して平坦にした前記組立式什器を1~3枚収納可能な外箱を設けることができる。
【0024】
この場合の外箱は、前記組立式什器の1枚の背面板に貼付されており、該外箱は複数本の縦折罫線を有し、該縦折罫線を折ることにより、前記組立式什器の背面に収納可能であるため、組立に当たって、外箱を廃棄する必要がない。
【0025】
またこの外箱は、平坦な直方体形状でコンパクトにすることができるため、配送や保管に当たっての利便性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】
図1は、本発明に係る組立式什器の一実施態様を示した斜視説明図である。
【
図2】
図2は、
図1に示した組立式什器の組立前の状態を示した平面模式図である。
【
図3】
図3は、
図1に示した組立式什器のブランクの平面模式図である。
【
図4】
図4は、本発明に係る組立式什器の他の実施態様を示した斜視説明図であり、正面板、第一底面板、左側面補助板、第二底面板、右側面補助板の組み合わせが、縦長に構成された左右側面板と背面板に対して上下方向に間隔を空けて2個設けられている例である。
【
図5】
図5は、
図4に示した組立式什器に物品を載置する状態を側面方向から見た説明図である。
【
図6】
図6は、
図4に示した組立式什器の組立前の状態を示した平面模式図である。
【
図7】
図7は、
図4に示した組立式什器のブランクの平面模式図である。
【
図8】
図8は、外箱のブランクの平面模式図である。
【
図9】
図9は、外箱のブランクの上に組立前の組立式什器を一つ固定した状態を示した平面模式図である。
【
図10】
図10は、本発明に係る組立式什器を収納した外箱の状態を示した平面模式図である。
【
図11】
図11は、外箱の上に、本発明に係る組立式什器を2つ並べて設置した状態を示した斜視説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下図面を参照しながら、本発明に係る組立式什器について詳細に説明する。
図1は、本発明に係る組立式什器1の一実施態様を示した斜視説明図である。
図2は、
図1に示した組立式什器1の組立前の状態を示した平面模式図である。また、
図3は、
図1に示した組立式什器のブランクの平面模式図である。
【0028】
本発明に係る組立式什器1は、正面板2、右側面板3、背面板5、左側面板4が折罫線を介して順次連設されて、角筒状に構成されており、正面板2の上部には、第一底面板6が連設されている。左右側面板4、3は、後方に傾斜する折罫線aを介して、それぞれ左
側面補助板8、右側面補助板9を連設し、左右側面補助板8、9からは、谷折罫線cを介して、後方に傾斜する第二底面板7が連設されていることを特徴とする。
【0029】
図3のブランク(BL1)の状態から
図2の状態にするには、糊代16を背面板5の裏面に接着して縦折り罫線を折るだけで良い。
【0030】
図2の状態から
図1の状態に組み立てるには、正面板2を引き起こして正面板2、右側面板3、背面板5、左側面板4を角筒状にした後、第二底面板7を押し込むことにより、
図1の状態にすることができる。
【0031】
この時、傾斜する折罫線aは180°折られて、右側面板3と右側面補助板9とが密着し、左側面板4と左側面補助板8とが密着する。谷折罫線cは90°折られた状態となり、第二底面板7は、左右の谷折罫線cに挟まれた平面となる。
【0032】
補助罫線bは、必須ではないが、第二底面板7を押し込んで組み立てる際に、押し込み易いように設けてある。補助罫線bは、組み上がった状態では、曲げられていない平坦な状態となる。
【0033】
主たる底面板である第二底面板7は、左右側面板4、3に密着する左右側面補助板8、9によってその位置が一意に特定される構造であるため、一旦組み立てた什器は、全体の形状が非常に安定するという特徴を持っている。
【0034】
図4は、本発明に係る組立式什器1の他の実施態様を示した斜視説明図であり、正面板2、第一底面板6、左側面補助板8、第二底面板7、右側面補助板9の組み合わせが、縦長に構成された左右側面板4、3と背面板5に対して上下方向に間隔を空けて2個設けられている例である。
【0035】
この例では、上段の第二底面板7の上部に背面補助板14が連設され、背面補助板14は差し込み片11(
図4では見えない)を有している。一方背面板5には差し込み片11を挿入可能な切り込み10が設けられており、差し込み片11を切り込み10に挿入することにより、第二底面板7が下方向に動かないように固定されることを特徴とする。
【0036】
なお、この例では、背面板5の上部に折罫線を介して背面補強板15が連設されており、切り込み10は、この背面補強板15に設けられている。
【0037】
図4に示した例では、複数の組立式什器1を横に並べて固定するための連結孔12が、左右側面板4、3の上部および下部に設けられている。また、背面板5の上部に吊り下げ紐等を通すための吊り下げ孔13が設けられている。
図4の例では、吊り下げ孔13は、背面補助板14によって隠されている。
【0038】
図5は、
図4に示した組立式什器1に物品17を載置する状態を側面方向から見た説明図である。このように、物品17は、第二底面板7と第一底面板6とによって安定して支えられる。第一底面板6は、正面板2から折罫線を介して連設されているだけであるが、第一底面板6が存在することにより、正面板2が物品の重量によって前側に撓むのを防ぐ働きをしている。
【0039】
図6は、
図4に示した組立式什器1の組立前の状態を示した平面模式図である。
図7は、
図4に示した組立式什器1のブランク(BL1)の平面模式図である。
【0040】
図7のブランク(BL1)から
図6の状態にするには、糊代16を背面板5の裏面に接
着して、縦折り罫線を折るだけで良い。
図6の状態は、平坦なほぼ矩形状の形状であるため、保管や輸送に際して嵩張らず、利便性が高い。
【0041】
図8は、外箱20のブランク(BL2)の平面模式図である。
図9は、
図8に示した外箱20のブランクに、
図6に示した組立式什器1を貼付した状態を示した平面模式図である。また
図10は、
図9の状態から、外箱20を閉じた状態を示した平面模式図である。またさらに
図11は、外箱20の上に組立式什器1を二つ並べて設置した状態を示した斜視説明図である。
【0042】
外箱20のブランク(BL2)は、
図8に示したように、底面板が折罫線を介して底面板1(21)と底面板2(22)の2枚に分かれており、底面板の周囲には、側面板23が配置されている。長辺の側面板23には上蓋1(24)と上蓋2(25)が連設され、上蓋1(24)には、フラップ1(26)が、上蓋2(25)には、フラップ2(27)がそれぞれ連設されている。フラップ1(26)の上に重なるフラップ2(27)には、開封用のミシン目線29が設けられている。
【0043】
短辺の側面板23には、上下フラップ28が、設けられている。上下フラップ28は、2枚に分割された底面板に合わせて、上下ともそれぞれ2分割されている。
【0044】
このように、外箱20が、多くの折罫線を有しているのは、組み立てた組立式什器1の背面に折り畳んで収納できるようにするためである。
【0045】
本発明に係る組立式什器1は、
図10に示したように外箱20に収納して、平坦な直方体形状にすることができる。外箱20には、
図9に示したように、初めから組立式什器1が一枚貼付されているが、この他に最大2枚、計3枚の折り畳んだ組立式什器を収納することができる。
【0046】
図11の例では、外箱20に対して、組立式什器1を2個並べて設置している。外箱20の不要な部分は、折罫線で折り畳んで、組立式什器1の裏側に収納できるので、外箱20を廃棄する必要がないという特徴を持っている。
【0047】
このように、外箱20には、複数個の組立式什器1を横方向に並べて設置することができる。
図11に示した例では、複数の組立式什器1を横に並べて固定するための連結孔12が、左右側面板4、3の上部と下部に設けられている。
【0048】
この例では、一方の組立式什器1は、初めから外箱20に固定されており、もう1方の組立式什器も、両面テープ等によって、外箱20に固定すれば、連結孔12が無くても良いが、この部分をひもなどで固定することにより、より安定した構造物とすることが可能となる。また、外箱20がない状態で2個を連結して使用する時には、大いに役立つ。
【0049】
本発明に係る組立式什器1を構成する材料については、特に制約はないが、すべての材料を紙製とすることもできる。紙製とすることで、近年叫ばれている地球環境に与える負荷を低減する効果が期待できる。
【0050】
紙材料は、目的とする什器の大きさや展示物などの重量、形状等に応じて適宜選択する。具体的には、マニラボール紙、白ボール紙、チップボール紙、両面カード紙、裏白ボール紙、アイボリー紙、カートン原紙、カップ原紙等の200~850g/m2程度の板紙や、各種段ボール等である。
【0051】
本発明に係る組立式什器においては、構成上、上述してきたさまざまなバリエーション
を自由に組み合わせて実施することが可能である。
【符号の説明】
【0052】
1・・・組立式什器
BL1・・・ブランク
2・・・正面板
3・・・右側面板
4・・・左側面板
5・・・背面板
6・・・第一底面板
7・・・第二底面板
8・・・左側面補助板
9・・・右側面補助板
10・・・切り込み
11・・・差し込み片
12・・・連結孔
13・・・吊り下げ孔
14・・・背面補助板
15・・・背面補強板
16・・・糊代
17・・・物品
a・・・傾斜する折罫線
b・・・補助罫線
c・・・谷折罫線
20・・・外箱
BL2・・・外箱ブランク
21・・・底面板1
22・・・底面板2
23・・・側面板
24・・・上蓋1
25・・・上蓋2
26・・・フラップ1
27・・・フラップ2
28・・・上下フラップ
29・・・ミシン目線