(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024111502
(43)【公開日】2024-08-19
(54)【発明の名称】復水器、及びこれを備えるプラント
(51)【国際特許分類】
F28B 9/00 20060101AFI20240809BHJP
F28F 9/00 20060101ALI20240809BHJP
【FI】
F28B9/00
F28F9/00 321
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023016051
(22)【出願日】2023-02-06
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】長井 勝彦
【テーマコード(参考)】
3L065
【Fターム(参考)】
3L065AA27
(57)【要約】
【課題】復水器の製造コストを抑えつつも、復水器の変形を抑える。
【解決手段】復水器は、複数の伝熱管と、前記複数の伝熱管を覆う胴と、補強板と、を備える。前記胴は、前記複数の伝熱管の下側に配置され、基礎と鉛直方向で対向する底板と、前記底板の縁から上側に延びている側板と、を有する。前記補強板は、前記補強板の外面を形成する複数の面を有し、前記複数の面のうち、互いに背合わせの関係にある一対の主面の面積は、他の面の面積よりも広い。前記補強板は、前記補強板の前記一対の主面のうちの一の主面が前記底板に接して、前記補強板の全体が前記底板と鉛直方向で重なり、前記側板からの距離が前記底板の厚さ未満になるよう配置されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の伝熱管と、
前記複数の伝熱管を覆う胴と、
補強板と、
接続部材と、
を備え、
前記胴は、前記複数の伝熱管の下側に配置され、基礎と鉛直方向で対向する底板と、前記底板の縁から上側に延びている側板と、を有し、
前記側板は、胴内に蒸気が流入可能な開口を有し、
前記補強板は、前記補強板の外面を形成する複数の面を有し、前記複数の面のうち、互いに背合わせの関係にある一対の主面の面積は、他の面の面積よりも広く、
前記補強板は、前記補強板の前記一対の主面のうちの一の主面が前記底板に接して、前記補強板の全体が前記底板と鉛直方向で重なり、前記側板からの距離が前記底板の厚さ未満になるよう配置され、
前記接続部材は、前記補強板の前記主面と前記底板とが接している状態を維持できるよう、前記補強板と前記底板と前記基礎とを接続する、
復水器。
【請求項2】
請求項1に記載の復水器において、
前記補強板は、前記底板の上に配置されている、
復水器。
【請求項3】
請求項2に記載の復水器において、
前記補強板は、前記側板に溶接されている、
復水器。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の復水器において、
前記側板は、前記開口を有するタービン側板と、前記タービン側板と対向し、且つ前記複数の伝熱管を基準にして、前記タービン側板とは反対側に配置されている反タービン側板と、を有し、
前記底板は、前記タービン側板が接続されているタービン側辺と、前記反タービン側板が接続されている反タービン側辺と、を有し、
前記補強板は、前記反タービン側板からの距離が前記底板の厚さ未満になるよう配置されている少なくとも二つの反タービン側補強板を有し、
前記接続部材は、前記少なくとも二つの反タービン側補強板のそれぞれと前記底板とを接続する反タービン側接続部材を有する、
復水器。
【請求項5】
請求項1から3のいずれか一項に記載の復水器において、
前記底板は、上方から見た形状が四角形であり、第一辺と、前記第一辺の第一端に接続されている第二辺と、前記第一辺の第二端に接続されている第三辺と、前記第二辺の端及び前記第三辺の端に接続されている第四辺と、を有し、
前記側板は、前記第一辺に接続されている第一側板と、前記第二辺に接続されている第二側板と、前記第三辺に接続されている第三側板と、前記第四辺に接続されている第四側板と、を有し、
前記第四側板は、前記開口を有し、
前記補強板は、第一補強板と、第二補強板と、第三補強板と、第四補強板と、を有し、
前記第一補強板は、前記第一側板からの距離及び前記第二側板からの距離が前記底板の厚さ未満になるよう配置され、
前記第二補強板は、前記第一側板からの距離及び前記第三側板からの距離が前記底板の厚さ未満になるよう配置され、
前記第三補強板は、前記第二側板からの距離及び前記第四側板からの距離が前記底板の厚さ未満になるよう配置され、
前記第四補強板は、前記第三側板からの距離及び前記第四側板からの距離が前記底板の厚さ未満になるよう配置され、
前記接続部材は、前記第一補強板と前記底板とを接続する第一接続部材と、前記第二補強板と前記底板とを接続する第二接続部材と、前記第三補強板と前記底板とを接続する第三接続部材と、前記第四補強板と前記底板とを接続する第四接続部材と、を有する、
復水器。
【請求項6】
請求項5に記載の復水器において、
前記補強板は、前記第一補強板と前記第二補強板との間に、前記第一側板からの距離が前記底板の厚さ未満になるよう配置されている第五補強板を有し、
前記接続部材は、前記第五補強板と前記底板とを接続する第五接続部材を有する、
復水器。
【請求項7】
請求項1から3のいずれか一項に記載の復水器と、
前記基礎と、
を備え、
前記基礎は、前記補強板と鉛直方向で対向するよう配置され、
前記接続部材の一部が前記基礎に埋め込まれている、
プラント。
【請求項8】
請求項4に記載の復水器と、
前記基礎と、
を備え、
前記基礎は、前記少なくとも二つの反タービン側補強板のそれぞれと鉛直方向で対向するよう配置されている反タービン側基礎を有し、
前記反タービン側接続部材の一部が前記反タービン側基礎に埋め込まれている、
プラント。
【請求項9】
請求項8に記載のプラントにおいて、
前記少なくとも二つの反タービン側補強板のうちの一の反タービン側補強部材が、第一反タービン側補強板を成し、
前記少なくとも二つの反タービン側補強板のうちの残りの反タービン側補強部材が、第二反タービン側補強板を成し、
前記少なくとも二つの反タービン側補強板のそれぞれと前記底板とを接続する反タービン側接続部材のうちの一の反タービン側接続部材が、前記第一反タービン側補強板と前記底板とを接続する第一反タービン側接続部材を成し、
前記少なくとも二つの反タービン側補強板のそれぞれと前記底板とを接続する反タービン側接続部材のうちの残りの反タービン側接続部材が、前記第二反タービン側補強板と前記底板とを接続する第二反タービン側接続部材を成し、
前記少なくとも二つの反タービン側補強板のそれぞれと鉛直方向で対向するよう配置されている前記反タービン側基礎のうちの一の反タービン側基礎が、前記第一反タービン側補強板と対向する第一反タービン側基礎を成し、
前記少なくとも二つの反タービン側補強板のそれぞれと鉛直方向で対向するよう配置されている前記反タービン側基礎のうちの残りの反タービン側基礎が、前記第二反タービン側補強板と対向する第二反タービン側基礎を成し、
前記第一反タービン側接続部材は、前記第一反タービン側基礎に対して前記第一反タービン側補強板及び前記底板が水平方向及び鉛直方向に相対移動不能に、前記第一反タービン側補強板と前記底板と前記第一反タービン側基礎とを相互に接続し、
前記第二反タービン側接続部材は、前記第二反タービン側基礎に対して前記第二反タービン側補強板及び前記底板が水平方向に移動可能で且つ鉛直方向に相対移動不能に、前記第二反タービン側補強板と前記底板と前記第二反タービン側基礎とを相互に接続する、
プラント。
【請求項10】
請求項5に記載の復水器と、
前記基礎と、
を備え、
前記基礎は、前記第一補強板と鉛直方向で対向するよう配置されている第一基礎と、前記第二補強板と鉛直方向で対向するよう配置されている第二基礎と、前記第三補強板と鉛直方向で対向するよう配置されている第三基礎と、前記第四補強板と鉛直方向で対向するよう配置されている第四基礎と、を有し、
前記第一接続部材の一部が前記第一基礎に埋め込まれ、
前記第二接続部材の一部が前記第二基礎に埋め込まれ、
前記第三接続部材の一部が前記第三基礎に埋め込まれ、
前記第四接続部材の一部が前記第四基礎に埋め込まれている、
プラント。
【請求項11】
請求項6に記載の復水器と、
前記基礎と、
を備え、
前記基礎は、前記第一補強板と鉛直方向で対向するよう配置されている第一基礎と、前記第二補強板と鉛直方向で対向するよう配置されている第二基礎と、前記第三補強板と鉛直方向で対向するよう配置されている第三基礎と、前記第四補強板と鉛直方向で対向するよう配置されている第四基礎と、前記第五補強板と鉛直方向で対向するよう配置されている第五基礎と、を有し、
前記第一接続部材の一部が前記第一基礎に埋め込まれ、
前記第二接続部材の一部が前記第二基礎に埋め込まれ、
前記第三接続部材の一部が前記第三基礎に埋め込まれ、
前記第四接続部材の一部が前記第四基礎に埋め込まれ、
前記第五接続部材の一部が前記第五基礎に埋め込まれている、
プラント。
【請求項12】
請求項11に記載のプラントにおいて、
前記第一接続部材は、前記第一基礎に対して前記第一補強板及び前記底板が水平方向に相対移動可能で且つ鉛直方向に相対移動不能に、前記第一補強板と前記底板と前記第一基礎とを相互に接続し、
前記第二接続部材は、前記第二基礎に対して前記第二補強板及び前記底板が水平方向に相対移動可能で且つ鉛直方向に相対移動不能に、前記第二補強板と前記底板と前記第二基礎とを相互に接続し、
前記第三接続部材は、前記第三基礎に対して前記第三補強板及び前記底板が水平方向に相対移動可能で且つ鉛直方向に相対移動不能に、前記第三補強板と前記底板と前記第三基礎との相互に接続し、
前記第四接続部材は、前記第四基礎に対して前記第四補強板及び前記底板が水平方向に相対移動可能で且つ鉛直方向に相対移動不能に、前記第四補強板と前記底板と前記第四基礎とを接続し、
前記第五接続部材は、前記第五基礎に対して前記第五補強板及び前記底板が水平方向及び鉛直方向に相対移動不能に、前記第五補強板と前記底板と前記第五基礎とを相互に接続する、
プラント。
【請求項13】
請求項7に記載のプラントにおいて、
水平方向に延びるロータ軸線を中心に回転可能なロータと、前記ロータを覆うタービンケーシングと、を有する蒸気タービンを備え、
前記タービンケーシングは、蒸気をタービンケーシング内に導入可能な蒸気入口と、前記タービンケーシング内から蒸気を排気可能な蒸気出口と、を有し、
前記蒸気出口は、前記タービンケーシング内から水平方向に蒸気を排気可能な位置に形成され、
前記タービンケーシングからの蒸気が前記復水器の胴内に流入可能に、前記タービンケーシングの蒸気出口と、前記胴の前記開口とが接続されている、
プラント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸気を凝縮可能な復水器、及びこれを備えるプラントに関する。
【背景技術】
【0002】
蒸気タービンプラントは、蒸気で駆動する蒸気タービンと、この蒸気タービンから排気された蒸気を凝縮させて水に戻す復水器と、を備える。
【0003】
復水器は、複数の伝熱管と、複数の伝熱管を覆う胴と、を備える。復水器は、例えば、以下の特許文献1に記載の構造により、設置場所に設置されている。
【0004】
特許文献1に記載の復水器の胴は、底板と、底板の縁から上方に延びる側板と、を有する。この底板は、上方から見た形状がほぼ四角形である。但し、四角形の四隅が切り欠かれて、この切り欠き部分に、底板の厚さよりも厚いサポート板の縁が溶接で接続されている。このサポート板は、鉛直方向で基礎と対向し、アンカーボルト等により基礎に接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1に記載の技術では、胴の底板が水平になるように、復水器を据え付けるため、サポート板の下面と底板の下面とが平行になるよう、サポート板の縁を底板の縁に正確に溶接する必要がある。このため、上記特許文献1に記載の技術では、復水器の製造コストが嵩むという問題点がある。
【0007】
そこで、本開示は、復水器の製造コストを抑えつつも、復水器の変形が抑えられ、この復水器が長期間に渡って安定した状態で据え付けておくことができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための発明に係る一態様としての復水器は、
複数の伝熱管と、前記複数の伝熱管を覆う胴と、補強板と、接続部材と、を備える。前記胴は、前記複数の伝熱管の下側に配置され、基礎と鉛直方向で対向する底板と、前記底板の縁から上側に延びている側板と、を有する。前記側板は、胴内に蒸気が流入可能な開口を有する。前記補強板は、前記補強板の外面を形成する複数の面を有し、前記複数の面のうち、互いに背合わせの関係にある一対の主面の面積は、他の面の面積よりも広い。前記補強板は、前記補強板の前記一対の主面のうちの一の主面が前記底板に接して、前記補強板の全体が前記底板と鉛直方向で重なり、前記側板からの距離が前記底板の厚さ未満になるよう配置されている。前記接続部材は、前記補強板の前記主面と前記底板とが接している状態を維持できるよう、前記補強板と前記底板と前記基礎とを接続する。
【0009】
復水器内は、蒸気タービン及び復水器の運転中、真空になる。このため、蒸気タービン及び復水器の運転中、側板に開口が形成されている復水器の胴には、開口側に向かう真空荷重がかかる。この真空荷重により、胴には、胴の上部が開口側に変位しようとするモーメントが作用する。
【0010】
本態様では、前述したモーメントが作用しても、底板中で、補強板と鉛直方向で重なっている部分の変形が抑えられる。さらに、本態様では、側板からの距離が底板の厚さ未満になるよう補強板が配置されているため、底板中で、側板と補強板との間の部分の変形が抑えられる。
【0011】
よって、本態様では、復水器の変形が抑えられ、この復水器が長期間に渡って安定した状態で据え付けておくことができる。
【0012】
また、本態様では、補強板は、主面が底板に接して、補強板の全体が底板と鉛直方向で重なっている。このため、本態様では、「背景技術」の欄で説明した特許文献1に記載の技術のように、サポート板の下面と底板の下面とが平行になるよう、サポート板の縁を底板の縁に正確に溶接する必要がなく、復水器の製造コストが抑えることができる。
【0013】
上記目的を達成するための発明に係る一態様としてのプラントは、
前記一態様における復水器と、前記基礎と、を備える。前記基礎は、前記補強板と鉛直方向で対向するよう配置されている。前記接続部材の一部が前記基礎に埋め込まれている。
【0014】
本態様では、一態様における復水器と同様に、復水器の製造コストを抑えつつも、復水器の変形が抑えられる。
【発明の効果】
【0015】
本開示の一態様によれば、復水器の製造コストを抑えつつも、復水器の変形が抑えられ、この復水器が長期間に渡って安定した状態で据え付けておくことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本開示に係る一実施形態におけるプラントの水平断面図である。
【
図3】本開示に係る一実施形態における第一補強板、第二補強板、第三補強板、第四補強板周りの復水器の断面図である。
【
図4】本開示に係る一実施形態における第五補強板周りの復水器の断面図である。
【
図5】本開示に係る一実施形態における第五補強板周りの復水器及び第五基礎の斜視図である。
【
図6】第一比較例における復水器の鉛直断面図である。
【
図7】第二比較例における第一補強板、第二補強板、第三補強板、第四補強板周りの復水器の断面図である。
【
図8】本開示に係る一実施形態の変形例における第一補強板、第二補強板、第三補強板、第四補強板周りの復水器の断面図である。
【
図9】本開示に係る一実施形態の変形例における第五補強板周りの復水器の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本開示に係る復水器を備えるプラントの一実施形態、及び復水器の変形例について、図面を参照して説明する。
【0018】
「プラントの実施形態」
本開示に係るプラントの一実施形態について、
図1~
図7を参照して説明する。
【0019】
本実施形態におけるプラントは、
図1及び
図2に示すように、蒸気タービン10と、蒸気タービン10から排気された蒸気STを水に戻す復水器20と、を備える。
【0020】
蒸気タービン10は、水平方向に延びるロータ軸線Arを中心に回転可能なロータ11と、このロータ11を覆うタービンケーシング12と、を有する。タービンケーシング12は、蒸気STをタービンケーシング12内に導入可能な蒸気入口13と、タービンケーシング12内から蒸気STを排気可能な蒸気出口14と、を有する。
【0021】
蒸気タービン10の排気タイプとして、軸流排気タイプと、側方排気タイプと、下方排気タイプとがある。軸流排気タイプは、ロータ軸線Arが延びる軸線方向に蒸気を排気するタイプである。側方排気タイプは、ロータ軸線Arに対して垂直で且つ横側の方向に蒸気を排気するタイプである。下方排気タイプは、ロータ軸線Arに対して垂直で且つ下側の方向に蒸気を排気するタイプである。本実施形態における蒸気タービン10は、側方排気タイプである。このため、タービンケーシング12の蒸気出口14は、ロータ軸線Arに対して垂直で且つ横側の方向に蒸気を排気できるよう、ロータ11の横側に形成されている。
【0022】
本実施形態における復水器20は、複数の伝熱管22と、複数の伝熱管22を覆う胴23と、この胴23とタービンケーシング12とを接続するための連結胴21と、を備える。胴23は、底板24と、天板25と、側板26と、を有する。底板24は、複数の伝熱管22の下側に配置され、基礎30と鉛直方向で対向する。天板25は、鉛直方向に間隔を開けて底板24と対向する。側板26は、底板24の縁から上側に延びて、天板25の縁に接続されている。
【0023】
底板24は、上方から見た形状が四角形であり、第一辺24aと、第一辺24aの第一端に接続されている第二辺24bと、第一辺24aの第二端に接続されている第三辺24cと、第二辺24bの端及び第三辺24cの端に接続されている第四辺24dと、を有する。側板26は、底板24の第一辺24aに接続されている第一側板26aと、底板24の第二辺24bに接続されている第二側板26bと、底板24の第三辺24cに接続されている第三側板26cと、底板24の第四辺24dに接続されている第四側板26dと、を有する。第二側板26bと第三側板26cとは、ロータ軸線Arが延びる軸線方向で、互いの間隔をあけて対向している。第一側板26aと第四側板26dとは、水平方向で且つロータ軸線Arに垂直な横方向で、互いの間隔をあけて対向している。第四側板26dは、第一側板26aよりも蒸気タービン10に近い位置に配置されている。この第四側板26dには、胴23内に蒸気が流入可能な開口26oが形成されている。この第四側板26dにおける開口26oの縁と、タービンケーシング12における蒸気出口14の縁とは、連結胴21により接続されている。なお、第一辺24aは、反タービン側辺を成し、第四辺24dは、タービン側辺を成す。よって、第一側板26aは、反タービン側板を成し、第四側板26dは、タービン側板を成す。
【0024】
本実施形態における復水器20は、さらに、補強板27と接続部材28とを備える。補強板27は、その全体が鉛直方向で底板24と重なり、且つこの底板24に接するように配置されている。接続部材28は、補強板27と底板24とが接している状態を維持できるよう、補強板27と底板24とを接続する。この復水器20の胴23は、基礎30の上に置かれている。
【0025】
補強板27は、第一補強板27aと、第二補強板27bと、第三補強板27cと、第四補強板27dと、第五補強板27eと、を有する。また、基礎30は、第一基礎30aと、第二基礎30bと、第三基礎30cと、第四基礎30dと、第五基礎30eと、を有する。
【0026】
図3及び
図4に示すように、各補強板27は、補強板27の外面を形成する複数の面を有する。複数の面のうち、互いに背合わせの関係にある一対の主面27msの面積は、他の面の面積よりも広い。各補強板27は、いずれも、主面27msが底板24に接して、補強板27の全体が底板24と鉛直方向で重なり、且つ側板26からの距離dが底板24の厚さt未満になるよう、配置されている。
【0027】
具体的に、
図3に示すように、第一補強板27aは、その主面27msが底板24に接し、且つ第一側板26aからの距離d及び第二側板26bからの距離dが底板24の厚さt未満になるよう、配置されている。この第一補強板27aの真下には第一基礎30aが配置されている。言い換えると、第一基礎30aの真上に第一補強板27aが配置されている。第二補強板27bは、その主面27msが底板24に接し、且つ第一側板26aからの距離d及び第三側板26cからの距離dが底板24の厚さt未満になるよう、配置されている。この第二補強板27bの真下には第二基礎30bが配置されている。言い換えると、第二基礎30bの真上に第二補強板27bが配置されている。第三補強板27cは、第二側板26bからの距離d及び第四側板26dからの距離dが底板24の厚さt未満になるよう、配置されている。この第三補強板27cの真下には第三基礎30cが配置されている。言い換えると、第三基礎30cの真上に第三補強板27cが配置されている。第四補強板27dは、第三側板26cからの距離d及び第四側板26dからの距離dが底板24の厚さt未満になるよう、配置されている。この第四補強板27dの真下には第四基礎30dが配置されている。言い換えると、第四基礎30dの真上に第四補強板27dが配置されている。なお、第五補強板27eは、第一反タービン側補強板を成し、第一補強板27a及び第二補強板27bは、第二反タービン側補強板を成す。また、第五基礎30eは、第一反タービン側基礎を成し、第一基礎30a及び第二基礎30bは、第二反タービン側基礎を成す。
【0028】
第一基礎30a、第二基礎30b、第三基礎30c、及び第四基礎30dは、いずれも、基礎本体30mと、ベース板30pと、を有する。基礎本体30mは、コンクリート製である。ベース板30pは、鋼板である。基礎本体30mは、水平方向に広がる上面を有する。ベース板30pは、その一面が基礎本体30mの上面から露出するよう、基礎本体30mに埋め込まれている。
【0029】
また、
図4及び
図5に示すように、第五補強板27eは、その主面27msが底板24に接し、且つ第一補強板27aと第二補強板27bとの間に第一側板26aからの距離dが底板24の厚さt未満になるよう、配置されている。この第五補強板27eの真下には第五基礎30eが配置されている。言い換えると、第五基礎30eの真上に第五補強板27eが配置されている。
【0030】
第五基礎30eも、第一基礎30a、第二基礎30b、第三基礎30c、及び第四基礎30dと同様、基礎本体30mと、ベース板30pと、を有する。基礎本体30mは、コンクリート製である。ベース板30pは、鋼板である。基礎本体30mは、水平方向に広がる上面を有する。ベース板30pは、その一面が基礎本体30mの上面から露出するよう、基礎本体30mに埋め込まれている。
【0031】
接続部材28は、
図1に示すように、四つの第一接続部材28aと、四つの第二接続部材28bと、四つの第三接続部材28cと、四つの第四接続部材28dと、一つの第五接続部材28eと、を有する。なお、第五接続部材28eは、第一反タービン側接続部材を成し、第一接続部材28a及び第二接続部材28bは、第二反タービン側接続部材を成す。
【0032】
図3に示すように、四つの第一接続部材28aは、第一補強板27aと底板24とが接している状態を維持できるよう、第一補強板27aと底板24とを接続する。四つの第二接続部材28bは、第二補強板27bと底板24とが接している状態を維持できるよう、第二補強板27bと底板24とを接続する。四つの第三接続部材28cは、第三補強板27cと底板24とが接している状態を維持できるよう、第三補強板27cと底板24とを接続する。四つの第四接続部材28dは、第四補強板27dと底板24とが接している状態を維持できるよう、第四補強板27dと底板24とを接続する。
【0033】
第一接続部材28a、第二接続部材28b、第三接続部材28c、及び第四接続部材28dは、いずれも、アンカーボルト28abと、このアンカーボルト28abに捩じ込み可能なナット28nと、このアンカーボルト28abが挿通可能な座金28wと、を有する。各補強板27a~27dには、アンカーボルト28abが挿通可能なボルト孔27bhが形成されている。また、底板24にも、各補強板27a~27dのボルト孔27bhが形成されている位置と対応する位置にボルト孔24bhが形成されている。各補強板27a~27dのボルト孔27bh及び底板24のボルト孔24bhにアンカーボルト28abが挿通されても、アンカーボルト28abに対して、各補強板27a~27d及び底板24が相対移動可能に、各補強板27a~27dのボルト孔27bhの孔径及び底板24のボルト孔24bhの孔径は、アンカーボルト28abの外径よりも十分に大きい。補強板27a~27dのボルト孔27bh及び底板24のボルト孔24bhに挿通されたアンカーボルト28abの上端には、座金28w及びナット28nが取り付けられる。また、補強板27a~27dのボルト孔27bh及び底板24のボルト孔24bhに挿通されたアンカーボルト28abの下部は、基礎30a~30dに埋め込まれる。このため、アンカーボルト28abは、基礎30a~30dに対して相対移動不能になる。一方、アンカーボルト28abが挿通されている各補強板27a~27d及び底板24は、基礎30a~30dに対して鉛直方向に相対移動不能であるものの、基礎30a~30dに対して水平方向に相対移動可能である。なお、本実施形態では、アンカーボルト28abの上端、ナット28n、及び座金28wは、ナットカバーで覆われている。
【0034】
すなわち、第一接続部材28aは、第一基礎30aに対して第一補強板27a及び底板24が水平方向に相対移動可能で且つ鉛直方向に相対移動不能に、第一補強板27aと底板24と第一基礎30aとを相互に接続する。第二接続部材28bは、第二基礎30bに対して第二補強板27b及び底板24が水平方向に相対移動可能で且つ鉛直方向に相対移動不能に、第二補強板27bと底板24と第二基礎30bとを相互に接続する。第三接続部材28cは、第三基礎30cに対して第三補強板27c及び底板24が水平方向に相対移動可能で且つ鉛直方向に相対移動不能に、第三側板26cと底板24と第三基礎30cとを相互に接続する。第四接続部材28dは、前記第四基礎30dに対して第四補強板27d及び底板24が水平方向に移動可能で且つ鉛直方向に相対移動不能に、第四側板26dと底板24と第四基礎30dとを相互に接続する。
【0035】
図4及び
図5に示すように、第五接続部材28eは、第五補強板27eと底板24とを接続する。この第五接続部材28eは、二枚の鋼板が互いの中央で交わるように接続した十字キーである。よって、以下では、第五接続部材28eを十字キーと呼ぶ。この十字キー28eは、上から見て十字形状になり、且つ上部が第五基礎30eから突出するよう、第五基礎30eに埋め込まれる。底板24には、この十字キー28eが挿通可能な十字孔24chが形成されている。また、第五補強板27eにも、この十字キー28eが挿通可能な十字孔27chが形成されている。第五補強板27eの十字孔27ch及び底板24の十字孔24chには、第五基礎30eから突出している十字キー28eの上部が挿通される。第五補強板27eの十字孔27chのサイズ及び底板24の十字孔24chのサイズには、十字キー28eの十字形の断面のサイズと実質的に同じである。このため、第五補強板27eの十字孔27ch及び底板24の十字孔24chに十字キー28eが挿通された状態では、十字キー28eに対して、第五補強板27e及び底板24は、水平方向に相対移動不能である。さらに、第五補強板27eの十字孔27ch及び底板24の十字孔24chに十字キー28eが挿通された後、十字キー28eの上端と第五補強板27eとは溶接で接合される。
【0036】
すなわち、第五接続部材28eは、第五基礎30eに対して第五補強板27e及び底板24が水平方向及び鉛直方向に相対移動不能に、第五補強板27eと底板24と第五基礎30eとを相互に接続する。
【0037】
ここで、本実施形態におけるプラントの効果を説明するために、二つの比較例について説明する。各比較例におけるプラントは、いずれも、本実施形態と同様に、側方排気タイプの蒸気タービン10からの蒸気を水に戻す復水器を備えている。
【0038】
図6に示すように、第一比較例におけるプラントの復水器の胴23も、本実施形態における復水器20の胴23と同様、底板24と、側板26と、を有する。底板24の下方には、複数の基礎30が配置されている。複数の基礎30は、上から見て、底板24の縁から底板24の中央側に寄った位置に配置されている。底板24と各基礎30とは、アンカーボルト等により接続されている。なお、この第一比較例における復水器は、本実施形態における補強板27を有していない。
【0039】
側板26は、本実施形態に同様に、第一側板26aと、第二側板26bと、第三側板26cと、第四側板26dと、を有する。第二側板26bと第三側板26cとは、水平方向で間隔をあけて対向している。第一側板26aと第四側板26dとは、水平方向で間隔をあけて対向している。また、第一側板26a及び第四側板26dは、蒸気タービン10と水平方向で対向している。第四側板26dは、第一側板26aよりも蒸気タービン10に近い位置に配置されている。この第四側板26dには、胴23内に蒸気STが流入可能な開口26oが形成されている。この第四側板26dにおける開口26oの縁と、タービンケーシング12における蒸気出口14の縁とは、連結胴21により接続されている。
【0040】
復水器内は、蒸気タービン及び復水器の運転中、真空になる。このため、蒸気タービン及び復水器の運転中、本実施形態及び第一比較例における復水器の胴23には、蒸気タービン10に近づく側に向かう真空荷重Wがかかる。この真空荷重Wにより、胴23には、胴23の上部が蒸気タービン10に近づく側に変位しようとするモーメントMが作用する。このため、第一側板26aと底板24との接合部分には、上向きのモーメントMが作用する。また、第四側板26dと底板24との接合部分には、下向きのモーメントMが作用する。
【0041】
第一比較例では、このモーメントMの作用により、底板24中で、複数の基礎30のうち第一側板26aに近い基礎30と第一側板26aとの間の部分24apが変形して、第一側板26aの下端が上側に変位する。さらに、第一側板26aの上端が蒸気タービン10に近づく側に変位し、結果としてこの第一側板26aが傾く。また、底板24中で、複数の基礎30のうち第四側板26dに近い基礎30と第四側板26dとの間の部分24dpが変形して、第四側板26dの下端が下側に変位する。さらに、第四側板26dの上端が蒸気タービン10に近づく側に変位し、結果としてこの第四側板26dが傾く。
【0042】
図7に示すように、第二比較例におけるプラントの復水器の胴23も、本実施形態における復水器20の胴23と同様、底板24と、側板26と、を有する。底板24の下方には、複数の基礎30が配置されている。複数の基礎30は、上から見て、底板24の縁から底板24の中央側に寄った位置に配置されている。底板24と各基礎30とは、アンカーボルト28ab等により接続されている。各基礎30の上には、補強板27が配置されている。
【0043】
側板26は、本実施形態に同様に、第一側板26aと、第二側板26bと、第三側板26cと、第四側板26dと、を有する。第二側板26bと第三側板26cとは、水平方向で間隔をあけて対向している。第一側板26aと第四側板26dとは、水平方向で間隔をあけて対向している。また、第一側板26a及び第四側板26dは、蒸気タービンと水平方向で対向している。第四側板26dは、第一側板26aよりも蒸気タービンに近い位置に配置されている。この第四側板26dには、胴23内に蒸気STが流入可能な開口が形成されている。この第四側板26dにおける開口の縁と、タービンケーシングにおける蒸気出口の縁とは、連結胴により接続されている。
【0044】
第二比較例における補強板27は、本実施形態と異なり、側板26からの距離dが底板24の厚さt以上になるよう配置されている。
図7に示す例では、第一補強板27aが、第一側板26aからの距離dが底板24の厚さt以上になるよう配置されている。
【0045】
補強板27を有する第二比較例でも、側板26からの距離dが底板24の厚さt以上になるよう補強板27が配置されている場合、底板24中で、補強板27の真下に位置している部分の変形が抑えられるものの、前述したモーメントの作用により、底板24中で、複数の補強板27のうち、第一側板26aの近くに配置されている補強板27(第一補強板27aを含む)と第一側板26aとの間の部分24apが変形して、第一側板26aの下端が上側に変位する。
【0046】
一方、本実施形態では、前述したモーメントが作用しても、
図3及び
図4に示すように、底板24中で、補強板27の真下に位置している部分の変形が抑えられる上に、側板26からの距離dが底板24の厚さt未満になるよう補強板27が配置されているため、底板24中で、補強板27と第一側板26との間の部分24apの変形が抑えられる。具体的に、
図3及び
図4に示すように、底板24中で、第一側板26aの近くに配置されている第一補強板27a、第二補強板27b及び第五補強板27eと、第一側板26aとの間の部分24apの変形が抑えられる。さらに、底板24中で、第四側板26dの近くに配置されている第三補強板27c及び第四補強板27dと、第四側板26dとの間の部分24dpの変形が抑えられる。しかも、本実施形態では、上向きのモーメントが作用する第一側板(反タービン側板)26aと底板24との接合部分には、第一補強板(第二反タービン側補強板)27aと第二補強板(第二反タービン側補強板)27bと第五補強板(第一反タービン側補強板)27eとが配置されているので、底板24中で第一側板(反タービン側板)26aに沿った領域における部分の変形を抑えることができる。
【0047】
よって、本実施形態では、復水器20の変形が抑えられ、この復水器20が長期間に渡って安定した状態で据え付けておくことができる。
【0048】
また、本実施形態では、第五基礎(第一反タービン側基礎)30eに対して、第五補強板(第一反タービン側補強板)27e及び底板24が水平方向及び鉛直方向に相対移動不能であり、その他の基礎30に対してその他の補強板27及び底板24が水平方向に相対移動可能で且つ鉛直方向に相対移動不能である。このため、本実施形態では、胴23内に蒸気が流入することによる底板24の熱膨張に対応することができる。
【0049】
また、本実施形態では、複数の補強板27は、いずれも、主面27msが底板24に接して、補強板27の全体が底板24と鉛直方向で重なっている。このため、本実施形態では、「背景技術」の欄で説明した特許文献1に記載の技術のように、サポート板の下面と底板の下面とが平行になるよう、サポート板の縁を底板の縁に正確に溶接する必要がなく、復水器の製造コストが抑えることができる。
【0050】
「復水器の変形例」
復水器の変形例について、
図8及び
図9を参照して説明する。
【0051】
本変形例における復水器も、上記実施形態における復水器20と同様、複数の伝熱管22と、複数の伝熱管を覆う胴と、この胴とタービンケーシングとを接続するための連結胴と、を備える。胴は、底板と、天板と、側板と、を有する。底板は、複数の伝熱管の下側に配置され、基礎と鉛直方向で対向する。天板は、鉛直方向に間隔を開けて底板と対向する。側板は、底板の縁から上側に延びて、天板の縁に接続されている。さらに、本変形例における復水器も、
図8及び
図9に示すように、上記実施形態における復水器20と同様、補強板27と接続部材28とを備える。但し、本変形例における復水器では、側板26と補強板27との位置関係が上記実施形態と異なる。
【0052】
本変形例では、補強板27の縁が側板26に接触し、補強板27の縁が側板26に溶接29で接合されている。具体的に、本変形例では、
図8に示すように、第一補強板27aの縁及び第二補強板27bの縁が第一側板26aに接触し、第一補強板27aの縁及び第二補強板27bの縁が第一側板26aに溶接で接合されている。なお、本変形例では、図示していないが、第一補強板27aの第二側板26b側の縁が第二側板26bに溶接で接合され、第二補強板27bの第三側板26c側の縁が第三側板26cに溶接で接合されている。第三補強板27cの第二側板26b側の縁が第二側板26bに溶接で接合され、第三補強板27cの第四側板26d側の縁が第四側板26dに溶接で接合されている。第四補強板27dの第三側板26c側の縁が第三側板26cに溶接で接合され、第四補強板27dの第四側板26d側の縁が第四側板26dに溶接で接合されている。また、本変形例では、
図9に示すように、第五補強板27eの縁が第一側板26aに接触し、第五補強板27eの縁が第一側板26aに溶接で接合されている。
【0053】
本変形では、各補強板27を底板24の上に配置して、各補強板27の縁を側板26に溶接で接合しているので、側板26と底板24との角部における剛性が、上記実施形態よりも高まり、上記実施形態よりも復水器の変形を抑えることができる。
【0054】
「その他の変形例」
上記実施形態におけるプラントは、側方排気タイプの蒸気タービン10を備えるプラントである。しかしながら、軸流排気タイプの蒸気タービンを備えるプラントであっても、上記実施形態及び上記変形例における復水器を採用してもよい。すなわち、蒸気タービンからの蒸気が流入可能な開口が胴の側板に形成されている復水器であれば、上記実施形態及び上記変形例における復水器の構成を採用してもよい。
【0055】
上記実施形態における復水器20における第五接続部材28eは、十字キーである。しかしながら、第五接続部材は、第五基礎30eに対して第五補強板27e及び底板24が水平方向及び鉛直方向に相対移動不能に、第五補強板27eと底板24と第五基礎30eとを相互に接続可能であれば、他の構成であってもよい。
【0056】
上記実施形態では、各補強板27を底板24の上に配置しているが、各補強板27を底板24の下に配置してもよい。但し、上記変形例のように、補強板27の縁と側板26とを溶接29で接合する場合には、各補強板27を底板24の上に配置する必要がある。
【0057】
また、本開示は、以上で説明した各実施形態に限定されるものではない。特許請求の範囲に規定された内容及びその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲において、種々の追加、変更、置き換え、部分的削除等が可能である。
【0058】
「付記」
以上の実施形態及び変形例における復水器は、例えば、以下のように把握される。
【0059】
(1)第一態様における復水器は、
複数の伝熱管22と、前記複数の伝熱管22を覆う胴23と、補強板27と、接続部材28と、を備える。前記胴23は、前記複数の伝熱管22の下側に配置され、基礎30と鉛直方向で対向する底板24と、前記底板24の縁から上側に延びている側板26と、を有する。前記側板26は、胴23内に蒸気STが流入可能な開口26oを有する。前記補強板27は、前記補強板27の外面を形成する複数の面を有し、前記複数の面のうち、互いに背合わせの関係にある一対の主面27msの面積は、他の面の面積よりも広い。前記補強板27は、前記補強板27の前記一対の主面27msのうちの一の主面27msが前記底板24に接して、前記補強板27の全体が前記底板24と鉛直方向で重なり、前記側板26からの距離dが前記底板24の厚さt未満になるよう配置されている。前記接続部材28は、前記補強板27の前記主面27msと前記底板24とが接している状態を維持できるよう、前記補強板27と前記底板24と前記基礎30とを接続する。
【0060】
復水器内は、蒸気タービン及び復水器の運転中、真空になる。このため、蒸気タービン及び復水器の運転中、側板26に開口26oが形成されている復水器の胴23には、開口26o側に向かう真空荷重Wがかかる。この真空荷重Wにより、胴23には、胴23の上部が開口26o側に変位しようとするモーメントが作用する。
【0061】
本態様では、前述したモーメントが作用しても、底板24中で、補強板27と鉛直方向で重なっている部分の変形が抑えられる。さらに、本態様では、側板26からの距離dが底板24の厚さt未満になるよう補強板27が配置されているため、底板24中で、側板26と補強板27との間の部分の変形が抑えられる。
【0062】
よって、本態様では、復水器の変形が抑えられ、この復水器が長期間に渡って安定した状態で据え付けておくことができる。
【0063】
また、本態様では、補強板27は、主面27msが底板24に接して、補強板27の全体が底板24と鉛直方向で重なっている。このため、本態様では、「背景技術」の欄で説明した特許文献1に記載の技術のように、サポート板の下面と底板24の下面とが平行になるよう、サポート板の縁を底板24の縁に正確に溶接する必要がなく、復水器の製造コストが抑えることができる。
【0064】
(2)第二態様における復水器は、
前記第一態様における復水器において、前記補強板27は、前記底板24の上に配置されている。
【0065】
(3)第三態様における復水器は、
前記第二態様における復水器において、前記補強板27は、前記側板26に溶接29されている。
【0066】
本態様では、補強板27が底板24の上に配置され、補強板27が側板26に溶接29されているので、側板26と底板24との角部における剛性が高まり、復水器の変形を抑えることができる。
【0067】
(4)第四態様における復水器は、
前記第一態様から前記第三態様のうちのいずれか一態様における復水器において、前記側板26は、前記開口26oを有するタービン側板26dと、前記タービン側板26dと対向し、且つ前記複数の伝熱管22を基準にして、前記タービン側板26dとは反対側に配置されている反タービン側板26aと、を有する。前記底板24は、前記タービン側板26dが接続されているタービン側辺24dと、前記反タービン側板26aが接続されている反タービン側辺24dと、を有する。前記補強板27は、前記反タービン側板26aからの距離が前記底板の厚さt未満になるよう配置されている少なくとも二つの反タービン側補強板27a,27b,27eを有する。前記接続部材28は、前記少なくとも二つの反タービン側補強板27a,27b,27eのそれぞれと前記底板24とを接続する反タービン側接続部材28a,28b,28eを有する。
【0068】
本態様では、底板24中で反タービン側板26aに沿った領域における部分の変形が抑えられる。
【0069】
(5)第五態様における復水器は、
前記第一態様から前記第三態様のうちのいずれか一態様における復水器において、前記底板24は、上方から見た形状が四角形であり、第一辺24aと、前記第一辺24aの第一端に接続されている第二辺24bと、前記第一辺24aの第二端に接続されている第三辺24cと、前記第二辺24bの端及び前記第三辺24cの端に接続されている第四辺24dと、を有する。前記側板26は、前記第一辺24aに接続されている第一側板26aと、前記第二辺24bに接続されている第二側板26bと、前記第三辺24cに接続されている第三側板26cと、前記第四辺24dに接続されている第四側板26dと、を有する。前記第四側板26dは、前記開口26oを有する。前記補強板27は、第一補強板27aと、第二補強板27bと、第三補強板27cと、第四補強板27dと、を有する。前記第一補強板27aは、前記第一側板26aからの距離d及び前記第二側板26bからの距離dが前記底板24の厚さt未満になるよう配置されている。前記第二補強板27bは、前記第一側板26aからの距離d及び前記第三側板26cからの距離dが前記底板24の厚さt未満になるよう配置されている。前記第三補強板27cは、前記第二側板26bからの距離d及び前記第四側板26dからの距離dが前記底板24の厚さt未満になるよう配置されている。前記第四補強板27dは、前記第三側板26cからの距離d及び前記第四側板26dからの距離dが前記底板24の厚さt未満になるよう配置されている。前記接続部材28は、前記第一補強板27aと前記底板24とを接続する第一接続部材28aと、前記第二補強板27bと前記底板24とを接続する第二接続部材28bと、前記第三補強板27cと前記底板24とを接続する第三接続部材28cと、前記第四補強板27dと前記底板24とを接続する第四接続部材28dと、を有する。
【0070】
本態様では、四角形の底板24の四隅のそれぞれに補強板27を配置しているので、効率よく底板24の変形を抑えることができる。
【0071】
(6)第六態様における復水器は、
前記第五態様における復水器において、前記補強板27は、前記第一補強板27aと前記第二補強板27bとの間に、前記第一側板26aからの距離dが前記底板24の厚さt未満になるよう、配置されている第五補強板27eを有する。前記接続部材28は、前記第五補強板27eと前記底板24とを接続する第五接続部材28eを有する。
【0072】
底板24を基準にして、開口26oが形成されている第四側板26dと反対側に配置されている第一側板26aと底板24との接合部分には、上向きのモーメントが作用する。本態様では、第一側板26aに沿って、第一補強板27aと第二補強板27bと第五補強板27eとを配置しているので、底板24中で第一側板26aに沿った領域における部分の変形を抑えることができる。
【0073】
以上の実施形態及び変形例におけるプラントは、例えば、以下のように把握される。
(7)第七態様におけるプラントは、
前記第一態様から前記第六態様のうちのいずれか一態様における復水器と、前記基礎30と、を備える。前記基礎30は、前記補強板27と鉛直方向で対向するよう配置されている。前記接続部材28の一部が前記基礎30に埋め込まれている。
【0074】
本態様では、第一態様における復水器と同様に、復水器の製造コストを抑えつつも、復水器の変形が抑えられる。
【0075】
(8)第八態様におけるプラントは、
前記第四態様における復水器と、前記基礎30と、を備える。前記基礎30は、前記少なくとも二つの反タービン側補強板27a,27b,27eのそれぞれと鉛直方向で対向するよう配置されている反タービン側基礎30a,30b,30eを有する。前記反タービン側接続部材28a,28b,28eの一部が前記反タービン側基礎30a,30b,30eに埋め込まれている。
【0076】
(9)第九態様におけるプラントは、
前記第八態様におけるプラントにおいて、前記少なくとも二つの反タービン側補強板27a,27b,27eのうちの一の反タービン側補強板が、第一反タービン側補強板27eを成す。前記少なくとも二つの反タービン側補強板27a,27b,27eのうちの残りの反タービン側補強板が、第二反タービン側補強板27a,27bを成す。前記少なくとも二つの反タービン側補強板27a,27b,27eのそれぞれと前記底板24とを接続する反タービン側接続部材28a,28b,28eのうちの一の反タービン側接続部材が、前記第一反タービン側補強板27eと前記底板24とを接続する第一反タービン側接続部材28eを成す。前記少なくとも二つの反タービン側補強板27a,27b,27eのそれぞれと前記底板24とを接続する反タービン側接続部材28a,28b,28eのうちの残りの反タービン側接続部材が、前記第二反タービン側補強板27a,27bと前記底板24とを接続する第二反タービン側接続部材28a,28bを成す。前記少なくとも二つの反タービン側補強板27a,27b,27eのそれぞれと鉛直方向で対向するよう配置されている前記反タービン側基礎30a,30b,30eのうちの一の反タービン側基礎が、前記第一反タービン側補強板27eと対向する第一反タービン側基礎30eを成す。前記少なくとも二つの反タービン側補強板27a,27b,27eのそれぞれと鉛直方向で対向するよう配置されている前記反タービン側基礎30a,30b,30eのうちの残りの反タービン側基礎が、前記第二反タービン側補強板27a,27bと対向する第二反タービン側基礎30a,30bを成す。前記第一反タービン側接続部材28eは、前記第一反タービン側基礎30eに対して前記第一反タービン側補強板27e及び前記底板24が水平方向及び鉛直方向に相対移動不能に、前記第一反タービン側補強板27eと前記底板24と前記第一反タービン側基礎30eとを相互に接続する。前記第二反タービン側接続部材28a,28bは、前記第二反タービン側基礎30a,30bに対して前記第二反タービン側補強板27a,27b,27e及び前記底板24が水平方向に移動可能で且つ鉛直方向に相対移動不能に、前記第二反タービン側補強板27a,27b,27eと前記底板24と前記第二反タービン側基礎30a,30bとを相互に接続する。
【0077】
本態様では、胴23内に蒸気が流入することによる底板24の熱膨張に対応することができる。
【0078】
(10)第十態様におけるプラントは、
前記第五態様における復水器と、前記基礎30と、を備える。前記基礎30は、前記第一補強板27aと鉛直方向で対向するよう配置されている第一基礎30aと、前記第二補強板27bと鉛直方向で対向するよう配置されている第二基礎30bと、前記第三補強板27cと鉛直方向で対向するよう配置されている第三基礎30cと、前記第四補強板27dと鉛直方向で対向するよう配置されている第四基礎30dと、を有する。前記第一接続部材28aの一部が前記第一基礎30aに埋め込まれている。前記第二接続部材28bの一部が前記第二基礎30bに埋め込まれている。前記第三接続部材28cの一部が前記第三基礎30cに埋め込まれている。前記第四接続部材28dの一部が前記第四基礎30dに埋め込まれている。
【0079】
本態様では、第五態様における復水器と同様に、復水器の製造コストを抑えつつも、復水器の変形が効率よく抑えられる。
【0080】
(11)第十一態様におけるプラントは、
前記第六態様における復水器と、前記基礎30と、を備える。前記基礎30は、前記第一補強板27aと鉛直方向で対向するよう配置されている第一基礎30aと、前記第二補強板27bと鉛直方向で対向するよう配置されている第二基礎30bと、前記第三補強板27cと鉛直方向で対向するよう配置されている第三基礎30cと、前記第四補強板27dと鉛直方向で対向するよう配置されている第四基礎30dと、前記第五補強板27eと鉛直方向で対向するよう配置されている第五基礎30eと、を有する。前記第一接続部材28aの一部が前記第一基礎30aに埋め込まれている。前記第二接続部材28bの一部が前記第二基礎30bに埋め込まれている。前記第三接続部材28cの一部が前記第三基礎30cに埋め込まれている。前記第四接続部材28dの一部が前記第四基礎30dに埋め込まれている。前記第五接続部材28eの一部が前記第五基礎30eに埋め込まれている。
【0081】
本態様では、第六態様における復水器と同様に、復水器の製造コストを抑えつつも、復水器の変形、特に、底板24中で第一側板26aに沿った領域における部分の変形が抑えられる。
【0082】
(12)第十二態様におけるプラントは、
前記第十一態様におけるプラントにおいて、前記第一接続部材28aは、前記第一基礎30aに対して前記第一補強板27a及び前記底板24が水平方向に相対移動可能で且つ鉛直方向に相対移動不能に、前記第一補強板27aと前記底板24と前記第一基礎30aとを相互に接続する。前記第二接続部材28bは、前記第二基礎30bに対して前記第二補強板27b及び前記底板24が水平方向に相対移動可能で且つ鉛直方向に相対移動不能に、前記第二補強板27bと前記底板24と前記第二基礎30bとを相互に接続する。前記第三接続部材28cは、前記第三基礎30cに対して前記第三補強板27c及び前記底板24が水平方向に相対移動可能で且つ鉛直方向に相対移動不能に、前記第三補強板27cと前記底板24と前記第三基礎30cとの相互に接続する。前記第四接続部材28dは、前記第四基礎30dに対して前記第四補強板27d及び前記底板24が水平方向に相対移動可能で且つ鉛直方向に相対移動不能に、前記第四補強板27dと前記底板24と前記第四基礎30dとを接続する。前記第五接続部材28eは、前記第五基礎30eに対して前記第五補強板27e及び前記底板24が水平方向及び鉛直方向に相対移動不能に、前記第五補強板27eと前記底板24と前記第五基礎30eとを相互に接続する。
【0083】
本態様では、胴23内に蒸気が流入することによる底板24の熱膨張に対応することができる。
【0084】
(13)第十三態様におけるプラントは、
前記第七態様から前記第十二態様のうちのいずれか一態様におけるプラントにおいて、水平方向に延びるロータ軸線Arを中心に回転可能なロータ11と、前記ロータ11を覆うタービンケーシング12と、を有する蒸気タービン10を備える。前記タービンケーシング12は、蒸気をタービンケーシング12内に導入可能な蒸気入口13と、前記タービンケーシング12内から蒸気を排気可能な蒸気出口14と、を有する。前記蒸気出口14は、前記タービンケーシング12内から水平方向に蒸気を排気可能な位置に形成されている。前記タービンケーシング12からの蒸気が前記復水器の胴23内に流入可能に、前記タービンケーシング12の蒸気出口14と、前記胴23の前記開口26oとが接続されている。
【0085】
本態様では、第一態様における復水器と同様に、復水器の製造コストを抑えつつも、復水器の変形が抑えられる。
【符号の説明】
【0086】
10:蒸気タービン
11:ロータ
12:タービンケーシング
13:蒸気入口
14:蒸気出口
20:復水器
21:連結胴
22:伝熱管
23:胴
24:底板
24a:第一辺(反タービン側辺)
24b:第二辺
24c:第三辺
24d:第四辺(タービン側辺)
24bh:ボルト孔
24ch:十字孔
25:天板
26:側板
26a:第一側板(反タービン側板)
26b:第二側板
26c:第三側板
26d:第四側板(タービン側板)
26o:開口
27:補強板
27a:第一補強板(反タービン側補強板、第二反タービン側補強板)
27b:第二補強板(反タービン側補強板、第二反タービン側補強板)
27c:第三補強板
27d:第四補強板
27e:第五補強板(反タービン側補強板、第一反タービン側補強板)
27ms:主面
27bh:ボルト孔
27ch:十字孔
28:接続部材
28a:第一接続部材(反タービン側接続部材、第二反タービン側接続部材)
28b:第二接続部材(反タービン側接続部材、第二反タービン側接続部材)
28c:第三接続部材
28d:第四接続部材
28e:第五接続部材(又は十字キー、反タービン側接続部材、第一反タービン側接続部材)
28ab:アンカーボルト
28n:ナット
28nc:ナットカバー
28w:座金
29:溶接
30:基礎
30a:第一基礎(反タービン側基礎、第二反タービン側基礎)
30b:第二基礎(反タービン側基礎、第二反タービン側基礎)
30c:第三基礎
30d:第四基礎
30e:第五基礎(反タービン側基礎、第一反タービン側基礎)
30m:基礎本体
30p:ベース板
Ar:ロータ軸線