(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024111508
(43)【公開日】2024-08-19
(54)【発明の名称】電子機器、情報報知方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
A63B 71/06 20060101AFI20240809BHJP
A61B 5/16 20060101ALI20240809BHJP
A61B 5/0245 20060101ALI20240809BHJP
A63B 69/00 20060101ALI20240809BHJP
【FI】
A63B71/06 T
A63B71/06 J
A61B5/16 200
A61B5/0245 P
A63B69/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023016058
(22)【出願日】2023-02-06
(71)【出願人】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096699
【弁理士】
【氏名又は名称】鹿嶋 英實
(74)【代理人】
【識別番号】100171882
【弁理士】
【氏名又は名称】北庄 麗絵子
(72)【発明者】
【氏名】西坂 信儀
【テーマコード(参考)】
4C017
4C038
【Fターム(参考)】
4C017AA02
4C017AA09
4C017AA10
4C017AB02
4C017AC28
4C017BC16
4C017BD04
4C017CC02
4C017DD17
4C017FF17
4C038PP01
4C038PQ06
4C038PS00
4C038VB12
(57)【要約】
【課題】ユーザの運動状態に応じた適切な時間間隔でコーチングを行うことを可能とする。
【解決手段】CPU11は、心拍センサ17により測定された1分間当たりの心拍数が複数のハートレートゾーンのうち、どのハートレートゾーンに入っているかを判別し、ハートレートゾーンが低いときは体力的な余裕(対応する余裕)があると判断して、短いコーチング間隔で、所定の音声メッセージを、無線通信回路16を介してイヤホン30に送信する。一方、ハートレートゾーンが高くなるに従って、ユーザの疲労度が大きくなったと判断して長いコーチング間隔で、所定の音声メッセージを、無線通信回路16を介してイヤホン30に送信する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の運動に係るコーチング情報を報知部に報知させ、
前記所定の運動を行っているユーザの疲労度に関する情報を取得し、
取得した前記疲労度に関する情報に基づいて、前記報知部に前記コーチング情報を報知させる際の時間間隔を調整する、
制御部を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記疲労度に関する情報は、前記所定の運動による負荷に対応する心拍数であり、
前記制御部は、
前記心拍数が高いほど、前記報知部によって前記コーチング情報を報知させる際の前記時間間隔が長くなるように設定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記制御部は、
前記心拍数が最大心拍数を超えた場合には、最大心拍数以下における時間間隔よりも短い時間間隔で、前記ユーザに前記所定の運動を終了させるよう促すためのコーチング情報を報知させる、
ことを特徴とする請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記制御部は、
前記所定の運動中の前記ユーザの生体情報として、発汗量、体温、最大酸素摂取量(VO2max)、血中飽和酸素濃度、血圧、血糖値のうち、少なくともの1つの生体情報を取得し、
前記制御部は、
取得された前記少なくとも1つの生体情報に基づいて、前記時間間隔を調整する、
ことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項5】
前記疲労度に関する情報は、前記運動による負荷に対応する心拍数であり、
前記制御部は、
前記心拍数に対して段階的に設定された複数のハートレートゾーンの各々に、前記コーチング情報を報知する時間間隔を設定し、前記報知部に前記コーチング情報を報知させる前記時間間隔を、前記複数のハートレートゾーンのうち、前記心拍数が対応するハートレートゾーンに設定された時間間隔とする、
ことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項6】
前記制御部は、
前記複数のハートレートゾーンの各々に、前記コーチング情報を報知する前記時間間隔を、前記心拍数の上昇に応じて等間隔で増加するように設定する、
ことを特徴とする請求項5に記載の電子機器。
【請求項7】
前記制御部は、
前記複数のハートレートゾーンの各々に前記コーチング情報を報知する前記時間間隔を、前記心拍数の上昇に応じて漸次増加するように設定する、
ことを特徴とする請求項5に記載の電子機器。
【請求項8】
前記制御部は、
前記心拍数が対応するハートレートゾーン毎に、異なる内容のコーチング情報を前記報知部に報知させる、
ことを特徴とする請求項5乃至7のいずれか一項に記載の電子機器。
【請求項9】
前記報知部は、前記コーチング情報をそれぞれ異なる方式で報知する複数の報知部を含み、
前記制御部は、
前記心拍数が対応するハートレートゾーンに応じて、前記複数の報知部のいずれか1つを特定し、前記特定した報知部を用いて、前記コーチング情報を報知させる、
ことを特徴とする請求項5に記載の電子機器。
【請求項10】
前記制御部は、
前記ユーザが所定の運動を開始してからの経過時間を時間計測部に計測させ、
前記疲労度に関する情報と前記時間計測部に計測させた経過時間とに基づいて、前記コーチング情報を報知する前記時間間隔を設定する、
ことを特徴とする請求項1または5に記載の電子機器。
【請求項11】
電子機器による情報報知方法であって、
所定の運動に係るコーチング情報を報知部に報知させるステップと、
前記所定の運動を行っているユーザの疲労度に関する情報を取得するステップと、
取得した前記疲労度に関する情報に基づいて、前記報知部に前記コーチング情報を報知させる際の時間間隔を調整するステップと、
を含むことを特徴とする情報報知方法。
【請求項12】
電子機器のコンピュータに、
所定の運動に係るコーチング情報を報知部に報知させる報知機能、
前記所定の運動を行っているユーザの疲労度に関する情報を取得する取得機能、
取得した前記疲労度に関する情報に基づいて、前記報知部に前記コーチング情報を報知させる際の時間間隔を調整する調整機能、
を実現させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器、情報報知方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ウェアラブルデバイスによって、ランニングなどの運動中のユーザの心拍数などを計測し、心拍数が設定範囲内であるか、設定範囲を超えたとき、設定範囲未満のとき、それぞれで心拍数に応じたアドバイスを音声で報知することや(コーチング)、脈拍数を音声で報知する技術が提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の場合、ユーザの疲労度や、運動負荷などに関係なく、予め設定された時間間隔でコーチングを繰り返している。このため、例えば、ランニングなどの運動中のコーチングにおいて、ユーザにとって都合が悪いタイミング(疲れているとき、余裕がないとき、集中しているとき)でもコーチングを頻繁に受けることがあり、煩わしく感じるという問題がある。
【0005】
そこで本発明は、ユーザの運動状態に応じた適切な時間間隔でコーチングを行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る電子機器は、所定の運動に係るコーチング情報を報知部に報知させ、前記所定の運動を行っているユーザの疲労度に関する情報を取得し、取得した前記疲労度に関する情報に基づいて、前記報知部に前記コーチング情報を報知させる際の時間間隔を調整する、制御部を備えることを特徴とする。
【0007】
この発明に係る情報報知方法は、電子機器による情報報知方法であって、所定の運動に係るコーチング情報を報知部に報知させるステップと、前記所定の運動を行っているユーザの疲労度に関する情報を取得するステップと、取得した前記疲労度に関する情報に基づいて、前記報知部に前記コーチング情報を報知させる際の時間間隔を調整するステップと、を含むことを特徴とする。
【0008】
この発明に係るプログラムは、電子機器のコンピュータに、所定の運動に係るコーチング情報を報知部に報知させる報知機能、前記所定の運動を行っているユーザの疲労度に関する情報を取得する取得機能、取得した前記疲労度に関する情報に基づいて、前記報知部に前記コーチング情報を報知させる際の時間間隔を調整する調整機能、を実現させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、ユーザの運動状態に応じた適切な時間間隔でコーチングを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態によるコーチングシステム1の構成を示す模式図である。
【
図2】本発明の実施形態による電子腕時計(電子機器)10の構成を示すブロック図である。
【
図3】本実施形態による電子腕時計10のコーチングに適用される、心拍数とハートレートゾーンと活動状態との対応関係を説明するための概念図である。
【
図4】本実施形態による電子腕時計10における、心拍数とハートレートゾーンとコーチング間隔(時間間隔)とコーチング情報としての音声メッセージとの対応関係を説明するための概念図である。
【
図5】本実施形態による電子腕時計(電子機器)10のコーチング制御処理の動作を説明するためのフローチャートである。
【
図6】本実施形態による電子腕時計(電子機器)10のコーチング制御処理の動作の一例を説明するための概念図である。
【
図7】本実施形態による電子腕時計(電子機器)10のコーチング制御処理の動作の一例を説明するための概念図である。
【
図8】本実施形態による変形例として、電子腕時計(電子機器)10の表示部13へのコーチング情報の提示例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0012】
図1は、本発明の実施形態によるコーチングシステム1の構成を示す模式図である。図において、コーチングシステム1は、電子腕時計(電子機器)10とイヤホン(報知部)30とからなる。電子腕時計10は、ユーザが両耳に装着したイヤホン30と無線通信(例えば、Bluetooth(登録商標))40により接続する。電子腕時計10は、ユーザの手首に装着され、手首に密着する本体裏面にユーザの心拍数を測定する心拍センサ(不図示)が配設されている。
【0013】
電子腕時計10は、ランニングなどの運動中のユーザの心拍数を心拍センサにより随時測定し、心拍数が後述するハートレートゾーンのいずれのゾーンに入っているかを判別し、ハートレートゾーンに対応して予め設定されている時間間隔(コーチング間隔)で、コーチング情報としての所定の音声メッセージを、無線通信40を介してイヤホン30に送信する。このように、本実施形態では、運動中のユーザの疲労度や、運動負荷などを、ユーザの心拍数(1分間当たりの心拍数)で示される運動強度を指標として判断する。すなわち、ユーザの心拍数が高くなるにつれて疲労度または運動負荷が高くなっていると判断する。ユーザの心拍数と運動強度(ハートレートゾーン)との対応関係については後述する。なお、電子腕時計10は、図示の形状に限定されず、また、腕時計型でなくとも、ユーザの身体に装着し、ユーザの心拍数を計測可能であれば、どのような形状でもよく、また装着方法にも限定されない。
【0014】
イヤホン30は、左右の耳用に、右用のイヤホン30R、左用のイヤホン30Lを備える。なお、イヤホン30は、左右に分割されたものも、左右が一体になったものでも、あるいは、片側だけであってもよく、既存の機器であるので説明を省略する。
【0015】
図2は、本実施形態による電子腕時計(電子機器)10の構成を示すブロック図である。
図2に示すように、電子腕時計10は、CPU11(制御部)、メモリ12、表示部(報知部)13、操作部14、時計機構15、無線通信回路16、心拍センサ17、スピーカ(報知部)18、バイブレータ(報知部)19、及び加速度センサ20を備えている。CPU11は、プログラムに従って、各部の動作を制御する。特に、本実施形態では、CPU11は、心拍センサ17により測定された1分間当たりの心拍数が後述する複数のハートレートゾーンのうち、どのハートレートゾーンに入っているかを判別し、該当ハートレートゾーンに対して予め設定されているコーチング間隔(時間間隔)で、所定の音声メッセージを、無線通信回路16を介して、イヤホン30に送信する。
【0016】
メモリ12は、CPU11により実行されるプログラム等が格納されているROMと、プログラムの実行に伴う各種データなどが格納されるRAMとからなる。特に、本実施形態では、メモリ12には、1分間当たりの心拍数、5段階のハートレートゾーン、ハートレートゾーン毎に予め設定されているコーチング間隔、コーチング情報としての音声メッセージが相互に紐付けられて保存されている。
【0017】
表示部13は、液晶表示器又は有機EL表示器などからなり、時刻や、カレンダ、心拍数などを表示する。操作部14は、モード設定、時刻合わせなどの操作ボタンからなる。時計機構15は、現在の時刻を計時するとともに、ストップウォッチや、ランニングなどの運動の継続時間を計測するタイマーなどとして動作する。特に、本実施形態では、時計機構15は、コーチング情報としての音声メッセージを報知する際のコーチング間隔(時間間隔)を計時する。無線通信回路16は、イヤホン30と無線通信(例えば、Bluetooth(登録商標))40により接続してデータ、特に、コーチング情報としての音声メッセージの送信を行う。心拍センサ17は、LED光の照射により血流量を感知する。CPU11は、心拍センサ17による心拍測定の開始/停止を制御するとともに、心拍センサ17により感知された血流量に基づいて、1分間当たりの心拍数を算出(推定)する。スピーカ18は、アラーム音や、操作音などを出力する。また、バイブレータ(振動モータ)19は、アラーム音などに代えて振動することで、動作状態などをユーザに報知する。加速度センサ20は、ユーザが歩行・走行した場合における振動を検出する。加速度センサ20としては、ひずみゲージや、圧電素子など、公知の技術のいずれを利用してもよい。
【0018】
図3は、本実施形態による電子腕時計10のコーチングに適用される、心拍数とハートレートゾーンと活動状態との対応関係を説明するための概念図である。ハートレートゾーンとは、ランニングなどの運動を行う際の運動強度を心拍数(ハートレート)(最大心拍数に対して何%であるか)で指定した指標であり、何パーセントから何パーセントの範囲が、どのハートレートゾーンに対応するかが決められている。最大心拍数は、ランニングなどの運動を行う際の運動強度を把握するための一指標であり、例えば、220-年齢、あるいは、207-年齢×0.6(又は0.7)などの数式で求められる。換言すれば、最大心拍数は、ユーザの年齢によって一意に決まる。但し、上記数式で求められる最大心拍数は概算であり、あくまで目安である。
【0019】
本実施形態では、最大心拍数の50%~100%の心拍数を、5つのハートレートゾーンに割り当てている。
図3に示すように、最大心拍数の50%~61%をハートレートゾーンZ1、62%~71%をハートレートゾーンZ2、72%~84%をハートレートゾーンZ3、85%~91%をハートレートゾーンZ4、92%~100%をハートレートゾーンZ5に割り当てている。ハートレートゾーンZ1は、活動状態として「歩行」に相当し、ハートレートゾーンZ2は「速足」や「ジョギング」、ハートレートゾーンZ3は「ランニング」、ハートレートゾーンZ4は「アクティブランニング」、ハートレートゾーンZ5は「スピードランニング」に相当する。一般に、最大心拍数の半分程度の心拍数での運動は軽い運動と捉えられ、60~70%程度の心拍数での運動は適度な負荷がかけられ、かつ安全であると捉えられ、80%程度の心拍数での運動は、負荷が大きい運動であり、100%程度の心拍数での運動は、さらに負荷が大きい運動であると捉えられている。また、最大心拍数を超えての運動は、負荷が大きすぎる運動であり、長時間継続することは好ましくないと認識されている。
【0020】
換言すれば、運動中のユーザの心拍数が、最大心拍数の71%までのハートレートゾーンZ1、Z2の範囲であれば、運動負荷が適度であるので、コーチング情報としての音声メッセージによるコーチングの頻度が高くても(コーチング間隔が短くても)、ユーザは煩わしさを感じることは少ないと考えられる。これに対して、運動中のユーザの心拍数が、最大心拍数の72%を超える、ハートレートゾーンZ3、Z4,Z5の範囲であれば、かなりの運動強度となるので、音声メッセージによるコーチングの頻度が高いと(コーチング間隔が短いと)、ユーザが煩わしさを感じる可能性が高いと考えられる。そこで、本実施形態では、ハートレートゾーンZ1~Z5毎に、すなわち、運動中のユーザの疲労度や、運動負荷などに応じて、コーチング情報として音声メッセージを報知するコーチング間隔を設定するようになっている。
【0021】
なお、心拍数と対応するハートレートゾーンの関係、あるいはそれぞれのハートレートゾーンの活動状態は、一例であり、
図3に示すものに限定されず、適宜変更されてもよい。
【0022】
図4は、本実施形態による電子腕時計10における、心拍数とハートレートゾーンとコーチング間隔(時間間隔)とコーチング情報としての音声メッセージとの対応関係を説明するための概念図である。本実施形態では、メモリ12は、心拍数とハートレートゾーンとコーチング間隔とコーチング情報としての音声メッセージ(音声データ)とを対応付けたコーチング間隔テーブル121を記憶している。コーチング間隔テーブル121には、上述したように、最大心拍数の50%~61%に対応するハートレートゾーンZ1には、コーチング間隔として「2分間隔」が設定されている。また、最大心拍数の62%~71%に対応するハートレートゾーンZ2には、コーチング間隔として「4分間隔」が設定されている。また、最大心拍数の72%~84%に対応するハートレートゾーンZ3には、コーチング間隔として「6分間隔」が設定されている。また、最大心拍数の85%~91%に対応するハートレートゾーンZ4には、コーチング間隔として「8分間隔」が設定されている。また、最大心拍数の92%~100%に対応するハートレートゾーンZ5には、コーチング間隔として「10分間隔(もしくはコーチングなし)」が設定されている。
【0023】
なお、一般的に、運動中にユーザの心拍数が最大心拍数を超えることはほぼないが、仮に、最大心拍数を超えた場合(101%以上)には、運動をやめるよう注意喚起する意味で、コーチング間隔として「1分間隔」が設定されている。但し、
図3に示す設定は、あくまで一例であり、何分間隔にするかは適宜変更できるようにしてもよい。このように、本実施形態によれば、運動中にユーザの心拍数が高くなるほど、すなわち、ユーザの疲労度や、運動負荷などが高くなるほど、コーチング間隔を長くするようにしている。この結果、疲労度や、運動負荷などのユーザの運動状態に応じて、コーチング間隔を制御することができ、ユーザが感じる煩わしさを軽減することができる。
【0024】
また、それぞれのハートレートゾーンZ1~Z5、及び最大心拍超えには、コーチングのためのコーチング情報としての音声メッセージが少なくとも1つ以上設定されている。例えば、ハートレートゾーンZ1には、音声メッセージAとして、「歩幅を大きく」、「腕を大きく振って」、「○○分間歩いています」などが設定されている。また、ハートレートゾーンZ2には、音声メッセージBとして、「歩幅を大きく」、「腕を大きく振って」、「○○分間走っています」などが設定されている。ハートレートゾーンZ3には、音声メッセージCとして、「呼吸を整えて」、「腕を振って」、「○○分間走っています」などが設定されている。ハートレートゾーンZ4には、音声メッセージDとして、「アクティブランニングです」、「○○分走っています」などが設定されている。ハートレートゾーンZ5には、音声メッセージEとして、「スピードランニングです」、「○○分間走っています」などが設定されている。そして、最大心拍超えには、音声メッセージFとして、「最大心拍数を超えています」、「速度を落としてください」などが設定されている。このように、ハートレートゾーンZ1~Z5ごとに異なる音声メッセージが設定されている(一部同じ音声メッセージになっていてもよい)。
【0025】
図5は、本実施形態による電子腕時計(電子機器)10のコーチング制御処理の動作を説明するためのフローチャートである。なお、電子腕時計10とイヤホン30とは予め通信が確立(ペアリング)されているものとする。電子腕時計10を装着したユーザが、運動(例えば、ジョギングや、ランニングなど)を開始する際に、操作部14により所定の操作を行うと、CPU11は、まず、心拍センサ17に、ユーザの心拍数の計測を開始させる(ステップS10)。より具体的には、CPU11は、心拍センサ17により数十秒間の心拍を計測し、その計測結果から1分間の心拍数を算出(予測)する。心拍センサ17による心拍数の計測は、運動が終了するまで継続される。
【0026】
次に、CPU11は、1分間の心拍数がハートレート(HR)ゾーンZ1(50~61%)の範囲であるか否かを判断する(ステップS12)。そして、1分間の心拍数がハートレートゾーンZ1(50~61%)の範囲である場合には(ステップS12のYES)、CPU11は、
図4に示すコーチング間隔テーブル121を参照し、2分間隔のコーチングを実行する(ステップS14)。その後、CPU11は、運動が終了したか否かを判断し(ステップS34)、運動が終了していない場合には(ステップS34のNO)、ステップS12に戻る。なお、運動の終了は、ユーザによる操作部14の操作で検知したり、加速度センサ20などの検出結果に基づいて検知したりするようにしてもよい。運動中のユーザの心拍数がハートレート(HR)ゾーンZ1(50~61%)の範囲にある限り、CPU11は、2分間隔のコーチングを継続する。
【0027】
一方、1分間の心拍数がハートレートゾーンZ1の範囲でない場合には(ステップS12のNO)、CPU11は、1分間の心拍数がハートレート(HR)ゾーンZ2(62~71%)の範囲であるか否かを判断する(ステップS16)。そして、1分間の心拍数がハートレートゾーンZ2(62~71%)の範囲である場合には(ステップS16のYES)、CPU11は、
図4に示すコーチング間隔テーブル121を参照し、4分間隔のコーチングを実行する(ステップS18)。その後、CPU11は、運動が終了したか否かを判断し(ステップS34)、運動が終了していない場合には(ステップS34のNO)、ステップS12に戻る。運動中のユーザの心拍数がハートレートゾーンZ2(62~71%)の範囲にある限り、CPU11は、4分間隔のコーチングを継続する。
【0028】
一方、1分間の心拍数がハートレートゾーンZ2の範囲でない場合には(ステップS16のNO)、CPU11は、1分間の心拍数がハートレート(HR)ゾーンZ3(72~84%)の範囲であるか否かを判断する(ステップS20)。そして、1分間の心拍数がハートレートゾーンZ3(72~84%)の範囲である場合には(ステップS20のYES)、CPU11は、
図4に示すコーチング間隔テーブル121を参照し、6分間隔のコーチングを実行する(ステップS22)。その後、CPU11は、運動が終了したか否かを判断し(ステップS34)、運動が終了していない場合には(ステップS34のNO)、ステップS12に戻る。運動中のユーザの心拍数がハートレートゾーンZ3(72~84%)の範囲にある限り、CPU11は、6分間隔のコーチングを継続する。
【0029】
一方、1分間の心拍数がハートレートゾーンZ3の範囲でない場合には(ステップS20のNO)、CPU11は、1分間の心拍数がハートレート(HR)ゾーンZ4(85~91%)の範囲であるか否かを判断する(ステップS24)。そして、1分間の心拍数がハートレートゾーンZ4(85~91%)の範囲である場合には(ステップS24のYES)、CPU11は、
図4に示すコーチング間隔テーブル121を参照し、8分間隔のコーチングを実行する(ステップS26)。その後、CPU11は、運動が終了したか否かを判断し(ステップS34)、運動が終了していない場合には(ステップS34のNO)、ステップS12に戻る。運動中のユーザの心拍数がハートレートゾーンZ4(85~91%)の範囲にある限り、CPU11は、8分間隔のコーチングを継続する。
【0030】
一方、1分間の心拍数がハートレートゾーンZ4の範囲でない場合には(ステップS24のNO)、CPU11は、1分間の心拍数がハートレート(HR)ゾーンZ5(92~100%)の範囲であるか否かを判断する(ステップS28)。そして、1分間の心拍数がハートレートゾーンZ5(92~100%)の範囲である場合には(ステップS28のYES)、CPU11は、
図4に示すコーチング間隔テーブル121を参照し、10分間隔のコーチングを実行する(ステップS30)。その後、CPU11は、運動が終了したか否かを判断し(ステップS34)、運動が終了していない場合には(ステップS34のNO)、ステップS12に戻る。運動中のユーザの心拍数がハートレートゾーンZ5(92~100%)の範囲にある限り、CPU11は、10分間隔のコーチングを継続する。
【0031】
そして、1分間の心拍数がハートレートゾーンZ5(92~100%)の範囲でない場合には(ステップS28のNO)、CPU11は、1分間の心拍数がハートレートゾーンZ5の範囲を超えたと判断し、
図4に示すコーチング間隔テーブル121を参照し、1分間隔のコーチングを実行する(ステップS32)。その後、CPU11は、運動が終了したか否かを判断し(ステップS34)、運動が終了していない場合には(ステップS34のNO)、ステップS12に戻る。運動中のユーザの心拍数がハートレートゾーンZ5の範囲を超えている限り(>100%)、CPU11は、1分間隔のコーチングを継続する。
【0032】
以降、運動が終了するまで、上述したステップS12~S34が繰り返し実行される。そして、運動が終了したと判断されると(ステップS34のYES)、CPU11は、心拍センサ17による心拍数の計測を終了させ(ステップS36)、当該処理を終了する。
【0033】
具体的には、CPU11が現在のハートレートゾーンを示す情報(又は対応するコーチング間隔を示す情報)を所定のレジスタに保持にすると、該所定のレジスタに保持されているハートレートゾーンに対応するコーチング間隔でCPU11に割り込みがかかるようにしておく。CPU11は、
図5に示すフローチャートを実行中に割り込みがかかると、所定のレジスタに保持されているハートレートゾーンを示す情報(又は対応するコーチング間隔を示す情報)に対応する音声メッセージをメモリ12のコーチング間隔テーブル121から読み出して、無線通信回路16を介してイヤホン30に送信する。これにより、現在の心拍数に応じたハートレートゾーンに設定されているコーチング間隔で、音声メッセージがイヤホン30から報知される。
【0034】
図6及び
図7は、本実施形態による電子腕時計(電子機器)10のコーチング制御処理の動作の一例を説明するための概念図である。
図6(a)に示す動作例は、ランニングスタートから、1分間の心拍数がハートレートゾーンZ1(50~61%)の範囲である場合であるので、CPU11は、
図4に示すコーチング間隔テーブル121を参照し、2分間隔のコーチングを実行する。ランニング中のユーザの心拍数がハートレートゾーンZ1(50~61%)の範囲にある間、2分間隔のコーチングが継続される。
【0035】
また、
図6(b)に示す動作例は、ランニングスタートから、1分間の心拍数がハートレートゾーンZ2(62~71%)の範囲である場合であるので、CPU11は、
図4に示すコーチング間隔テーブル121を参照し、4分間隔のコーチングを実行する。ランニング中のユーザの心拍数がハートレートゾーンZ2(62~71%)の範囲にある間、4分間隔のコーチングが継続される。
【0036】
図7(a)に示す動作例は、ランニングスタートから5分間は、1分間の心拍数がハートレートゾーンZ1(50~61%)の範囲であるので、CPU11は、2分間隔のコーチングを実行する。その後、5分以降、1分間の心拍数が上がり、ハートレートゾーンZ2(62~71%)の範囲になると、CPU11は、4分間隔のコーチングに移行する。より具体的には、運動開始から5分時点で1分間の心拍数がハートレートゾーンZ2(62~71%)に移行した場合、すなわち、ハートレートゾーン変更前のコーチング間隔(2分間隔)が経過する前にハートレートゾーンが切り替わった場合には、前回のコーチングが行われた時点(4分時点)からハートレートゾーン変更後のコーチング間隔(4分間隔)が経過した時点(8分時点)を起点として4分間隔のコーチングに移行する。
【0037】
また、
図7(b)に示す動作例は、ランニング途中からの状態を示しており、ランニングの20分から27分の間は、1分間の心拍数がハートレートゾーンZ2(62~71%)の範囲であるので、CPU11は、4分間隔のコーチングを実行している。その後、27分以降、1分間の心拍数が下がり、ハートレートゾーンZ1(50~61%)の範囲に移行すると、CPU11は、2分間隔のコーチングに移行する。より具体的には、運動開始から27分時点で1分間の心拍数がハートレートゾーンZ1(50~61%)に移行した場合、すなわち、ハートレートゾーン変更前のコーチング間隔(4分間隔)が経過する前にハートレートゾーンが切り替わった場合に、その時点(27分時点)で前回のコーチングが行われた時点(24分時点)から既に3分が経過している(ハートレートゾーン変更後の時間間隔である2分以上が経過している)ので、すぐさま2分間隔のコーチングに移行する。仮に、運動開始から25分時点で1分間の心拍数がハートレートゾーンZ1(50~61%)に移行した場合、前回のコーチングが行われた時点(24分時点)から1分しか経過していない(ハートレートゾーン変更後の時間間隔である2分以上が経過していない)ため、前回のコーチングが行われた時点(24分時点)から2分経過した26分時点から、2分間隔のコーチングに移行する。
【0038】
上述した実施形態によるランニング中のコーチングは、従来のランニング中の一定間隔のコーチングと比べて、ハートレートゾーンが低いときは体力的な余裕(対応する余裕)があると判断して、コーチング間隔を短くし、ハートレートゾーンが高くなるに従って、体力的な余裕(対応する余裕)がなくなったと判断して、コーチング間隔を長くする(もしくはやらない)という点で異なる。この結果、疲労度や、運動負荷などのユーザの運動状態に応じて適切な時間間隔でコーチングを行うことができ、ユーザが感じる煩わしさを軽減することができる。
【0039】
なお、上述した実施形態では、心拍数から現在のハートレートゾーンを特定し、当該ハートレートゾーンに対応するコーチング間隔(時間間隔)でコーチングするようにしたが、心拍数に替えて、ユーザの生体情報を測定する生体センサ(生体情報取得部)を設け、生体情報としての発汗量、体温、最大酸素摂取量(VO2max)、血中飽和酸素濃度、血圧、血糖値(間質液のグルコース濃度)のうち少なくとも1つの生体情報、またはそれらの組み合わせに基づいて、コーチング間隔(時間間隔)を異ならせるようにしてもよい。例えば、発汗量が増加した場合や、体温が上昇した場合には、コーチング間隔を長くするなど、その他の最大酸素摂取量や、血中飽和酸素濃度、血圧、血糖値などの変化に応じて、コーチング間隔(時間間隔)を変えるようにしてもよい。あるいは、心拍数に加え、生体情報としての発汗量、体温、最大酸素摂取量(VO2max)、血中飽和酸素濃度、血圧、血糖値(間質液のグルコース濃度)のうち少なくとも1つの生体情報、またはそれらの組み合わせに基づいて、コーチング間隔(時間間隔)を異ならせるようにしてもよい。
【0040】
また、上述した実施形態において、ユーザの生体情報(発汗量、体温、最大酸素摂取量(VO2max)、血中飽和酸素濃度、血圧、血糖値(間質液のグルコース濃度など)を測定する生体センサ(生体情報取得部)を設け、当該生体センサで測定した少なくとも1つの生体情報に応じて、コーチング情報の内容(音声メッセージ)を変更するようにしてもよい。
【0041】
また、上述した実施形態において、ユーザの運動状態を検知する加速度センサ20で検知した、ユーザの腕の振り具合、体のブレ具合、歩幅(ピッチ)、移動速度(走行速度)などに応じて、コーチング内容(音声メッセージ)を変更するようにしてもよい。
【0042】
また、上述した実施形態において、目標とするハートレートゾーン(あるいは心拍数)を運動に先だって電子腕時計10に登録しておき、運動が開始されると、その時々のユーザの心拍数(ハートレートゾーン)に予め設定されているコーチング間隔で、目標とするハートレートゾーン(あるいは心拍数)に到達(また、維持)するように、コーチングするようにしてもよい。具体的には、運動としてランニングを行う場合には、目標のハートレートゾーンに達していない場合には、より速く走らせるようにコーチングし、目標のハートレートゾーンを超えた場合には、もっとゆっくり走らせるようにコーチングする。
【0043】
上述した実施形態によれば、CPU11により、運動中のユーザの心拍数を心拍センサ17により測定し、該測定された心拍数に基づいて、コーチング情報としての音声メッセージをユーザに報知する際のコーチング間隔(時間間隔)を制御するようにしたので、疲労度や、運動負荷などのユーザの運動状態に応じたコーチング間隔でコーチングすることができる。例えば、疲労度や、運動負荷が高いために心拍数が高いほどコーチング間隔を長くすることで、ユーザが感じる煩わしさを軽減することができる。
【0044】
また、上述した実施形態によれば、CPU11により、運動強度に対応する心拍数に対して段階的に設定された複数のハートレートゾーンZ1~Z5の各々に、コーチング間隔(時間間隔)を設定しておき、運動中は、心拍センサ17によって測定された心拍数が対応するハートレートゾーンに設定されたコーチング間隔で、コーチング情報としての音声メッセージをユーザに報知するようにしたので、疲労度や、運動負荷などのユーザの運動状態に応じたコーチング間隔でコーチングすることができる。
【0045】
上述した実施形態によれば、CPU11により、心拍センサ17によって測定された心拍数が対応するハートレートゾーン毎に、異なるコーチング内容の音声メッセージをユーザに報知するようにしたので、疲労度や、運動負荷などのユーザの運動状態に応じたコーチング間隔で、かつユーザの運動状態に応じたコーチング内容でコーチングすることができる。
【0046】
上述した実施形態によれば、CPU11により、心拍センサ17によって測定した心拍数に加え、発汗量、体温、最大酸素摂取量(VO2max)、血中飽和酸素濃度、血圧、血糖値のうち、少なくともの1つの生体情報に基づいて、コーチング間隔を制御するようにしたので、心拍数に加えて、他の生体情報の状態に基づいて推測される疲労度や、運動負荷などのユーザの運動状態に応じたコーチング間隔で、コーチングすることができる。
【0047】
上述した実施形態によれば、CPU11により、発汗量、体温、最大酸素摂取量(VO2max)、血中飽和酸素濃度、血圧、血糖値のうち、少なくともの1つの生体情報に基づいて、異なる内容の音声メッセージをユーザに報知するようにしたので、心拍数に加えて、他の生体情報の状態に基づいて推測される疲労度や、運動負荷などのユーザの運動状態に応じたコーチング間隔で、かつコーチング内容でコーチングすることができる。
【0048】
また、上述した実施形態では、ユーザの心拍数が一定の心拍数(最大心拍数)を超えた場合には、他のハートレートゾーンのコーチング間隔よりも短い時間間隔で、運動を終了させるよう促すための音声メッセージを報知するようにしたので、ユーザの疲労度や、運動負荷などが過大とならないように注意を促すことができる。
【0049】
なお、上述した実施形態では、ハートレートゾーンが進むにつれてコーチング間隔が2分ずつ増える(2分間隔→4分間隔→6分間隔→8分間隔→10分間隔)ようにしたが、これに限らず、例えば、1分間隔→2分間隔→4分間隔→9分間隔→15分間隔というように、比較的余裕のあるハートレートゾーンでは時間間隔の増加幅を小さくして、負荷が大きいハートレートゾーンでは時間間隔の増加幅を大きくしてもよい。これにより、よりユーザの疲労度や、運動負荷に応じた時間間隔でコーチング情報を報知することができる。
【0050】
また、上述した実施形態では、コーチング情報の提示(報知)方法は、イヤホン30からの音声メッセージであったが、これに限らず、イヤホン30を介さず、電子腕時計10のスピーカ18から音声メッセージを出力するようにしてもよい。また、
図8に示すように、音声メッセージの代わりに、電子腕時計10の表示部13に文字や、グラフィックなどを表示させるようにしてもよい。
図8に示す例では、表示部13の周縁部に、ハートレートゾーンZ1~Z5に対応するセグメントから構成されたゾーンバー13aが表示されており、現在のハートレートゾーンに対応するセグメントを明るく表示することで、現在のハートレートゾーンを報知する。また、表示部13の上部には心拍数13b、略中央部にはコーチング情報(文字メッセージ「アクティブランニングです」)13cからなる、下部には時刻(または運動開始からの経過時間)13dが表示されている。また、音声メッセージの代わりに、電子腕時計10に内蔵されたバイブレータ19を振動させるようにしてもよい。
【0051】
このように、音声、文字、振動など様々な手段のいずれか1つを用いて、または組み合わせて用いて、コーチング情報を提示(報知)することにより、ユーザの疲労度や、運動負荷に応じて、あるいは、その時々の運動状態などに応じて、適切な手段でコーチングすることができる。例えば、ハートレートゾーンに応じて、コーチング情報の提示(報知)方法を変えてもよく、例えば、ハートレートゾーンZ1~Z3では画面を見る余裕があるので電子腕時計10の表示部13に表示し、ハートレートゾーンZ4~Z5では画面を見る余裕がないので、電子腕時計10またはイヤホン30から音声メッセージを出力するようにしてもよい。これによって、ユーザが感じる煩わしさを軽減することができる。
【0052】
また、上述した実施形態では、運動中のユーザの心拍数に応じてコーチング間隔(時間間隔)を変えるようにしたが、さらに、運動を開始してからの経過時間を計測し、心拍数に加えて経過時間に応じてコーチング間隔を設定するようにしてもよい。本実施形態では、ユーザの心拍数により、ユーザへの疲労度や、運動負荷などを判断しているが、長時間の運動(例えば、ランニングなど)をしていると、心拍数はそれほど高くなくても(例えば、
図3に示すハートレートゾーンZ3)、疲労が溜まっている可能性がある。そこで、例えば、運動開始からの経過時間が長くなるほど、コーチング間隔を長くするようにしてもよい。このように、運動開始からの経過時間を加味してコーチングを行うことで、単に心拍数のみでユーザへの疲労度や、運動負荷などを判断することに比べ、ユーザが感じる煩わしさをより適切に軽減することができる。
【0053】
また、上述した実施形態では、ユーザの心拍数により、ユーザへの運動負荷(疲労度)を判断しているが、これに限らず、加速度センサ20のデータから取得される腕の振り具合や、体のブレ具合の情報など、直接的な生体情報以外の情報も「疲労度に関する情報」として取得し、それらの情報に基づいてコーチング間隔を設定してもよい。
【0054】
また、上記実施形態における電子腕時計10の各構成要素の細部構成及び細部動作に関しては、本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能であることは勿論である。
本発明の実施の形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
【符号の説明】
【0055】
1…コーチングシステム、10…電子腕時計(電子機器)、11…CPU、12…メモリ、13…表示部、13a…ゾーンバー、13b…心拍数、13c…コーチング情報としての文字列、13d…時刻(または運動開始からの経過時間)、14…操作部、15…時計機構、16…無線通信回路、17…心拍センサ、18…スピーカ、19…バイブレータ、20…加速度センサ、30…イヤホン、40…無線通信、121…コーチング間隔テーブル