(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024111518
(43)【公開日】2024-08-19
(54)【発明の名称】薬剤監査システム
(51)【国際特許分類】
A61J 3/00 20060101AFI20240809BHJP
【FI】
A61J3/00 310K
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023016073
(22)【出願日】2023-02-06
(71)【出願人】
【識別番号】524124813
【氏名又は名称】シンフォニアエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】江上 篤
(72)【発明者】
【氏名】望月 英輔
(72)【発明者】
【氏名】小石 拓美
(72)【発明者】
【氏名】松木 茂也
【テーマコード(参考)】
4C047
【Fターム(参考)】
4C047KK05
4C047KK07
4C047KK12
4C047KK17
4C047KK25
4C047KK28
4C047KK30
4C047KK31
(57)【要約】 (修正有)
【課題】薬剤収納先の確認を含めた薬剤の監査を迅速かつ正確に行うことが可能な薬剤監査システムを提供する。
【解決手段】薬剤監査システム1は、処方せん6を識別する処方せん識別情報501と、施用単位で処方する薬剤9に関する薬剤情報502とを対応付けた処方せん薬剤対応付け情報504と、薬剤収納場所に関する収納場所情報505とを記憶する制御装置5と、識別情報読取装置12から受信した処方せん識別情報501に対応付けられた薬剤情報502及び収納場所情報505を取得する情報取得処理部511と、画像取得装置13から受信した画像から薬剤9及び収納された収納場所を特定する特定処理部512と、薬剤9及び収納された収納場所が、情報取得処理部511によって取得された薬剤9及び収納場所と一致するか否かを判定した結果を出力する判定処理部513とを有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、患者毎の処方せんを識別する処方せん識別情報と、前記処方せん識別情報と前記処方せんに含まれる施用単位で処方する薬剤に関する薬剤情報とを対応付けた処方せん薬剤対応付け情報と、前記薬剤が施用単位で収納される収納容器内の前記施用単位に対応する収納場所に関する収納場所情報とを記憶する制御装置と、
前記処方せん識別情報を読み取り、前記制御装置へ送信する識別情報読取装置と、
前記薬剤情報に含まれる少なくとも一部の前記薬剤及び前記収納場所を含む画像を取得し、前記制御装置へ送信する画像取得装置と、を備えており、
前記制御装置は、
前記処方せん薬剤対応付け情報に基づいて、前記識別情報読取装置から受信した前記処方せん識別情報に対応付けられた前記薬剤情報及び前記収納場所に関する収納場所情報を取得する情報取得処理部と、
前記画像取得装置から受信した前記画像に基づいて、前記薬剤及び当該薬剤が収納された前記収納場所を特定する特定処理部と、
前記特定処理部によって特定された前記薬剤及び当該薬剤が収納された前記収納場所が、前記情報取得処理部によって取得された前記薬剤情報に含まれる前記薬剤、及び前記薬剤情報に含まれる施用単位と一致するか否かを判定した結果を出力する判定処理部と、
を有することを特徴とする薬剤監査システム。
【請求項2】
少なくとも、患者毎の処方せんを識別する処方せん識別情報と、前記処方せん識別情報と前記処方せんに含まれる施用単位で処方する薬剤に関する薬剤情報とを対応付けた処方せん薬剤対応付け情報と、前記薬剤が施用単位で収納される収納容器内の前記施用単位に対応する収納場所に関する収納場所情報とを記憶する制御装置と、
前記処方せん識別情報を読み取り、前記制御装置へ送信する識別情報読取装置と、
前記段階毎に備えられており、前記薬剤情報に含まれる少なくとも一部の前記薬剤及び前記収納場所を含む画像を取得し、前記制御装置へ送信する画像取得装置と、を備えており、
前記制御装置は、
前記処方せん薬剤対応付け情報に基づいて、前記識別情報読取装置から受信した前記処方せん識別情報に対応付けられた前記薬剤情報及び前記収納場所に関する収納場所情報を取得する情報取得処理部と、
前記識別情報読取装置から受信した前記処方せん識別情報に対応付けられた前記薬剤情報に含まれる前記薬剤を複数段階に分けて前記収納場所に収納させる収納処理部と、
前記段階毎に、前記画像取得装置から受信した前記画像に基づいて、前記薬剤及び当該薬剤が収納された前記収納場所を特定する特定処理部と、
前記段階毎に、前記特定処理部によって特定された前記薬剤及び当該薬剤が収納された前記収納場所が、前記情報取得処理部によって取得された前記薬剤情報に含まれる前記薬剤、及び前記薬剤情報に含まれる施用単位と一致するか否かを判定した結果を出力する判定処理部と、
を有することを特徴とする薬剤監査システム。
【請求項3】
前記処方せん薬剤対応付け情報には、前記処方せんに関する情報が記載されたラベルに関するラベル情報がさらに対応付けられており、
前記画像取得装置は、前記ラベルの画像をさらに取得し、
前記情報取得処理部は、前記識別情報読取装置から受信した前記処方せん識別情報に対応付けられた前記ラベル情報をさらに取得し、
前記特定処理部は、前記画像取得装置が取得した前記画像から、前記ラベルをさらに特定し、
前記判定処理部は、前記特定処理部によって特定された前記ラベル及び当該ラベルが収納された前記収納場所が、前記情報取得処理部によって取得された前記ラベル情報に含まれる前記ラベル、及び前記ラベル情報に含まれる施用単位と一致するか否かを判定した結果をさらに出力すること特徴とする請求項1又は2に記載の薬剤監査システム。
【請求項4】
前記画像取得装置は、前記処方せんの画像をさらに取得し、
前記制御装置は、
前記画像取得装置が取得した前記画像から、前記処方せんを特定する処方せん特定処理部と、
前記処方せん特定処理部によって特定された前記処方せんが、前記情報取得処理部によって取得された前記処方せん識別情報によって識別される前記処方せんと一致するか否かを判定した結果を出力する処方せん判定処理部をさらに有することを特徴とする請求項1又は2に記載の薬剤監査システム。
【請求項5】
前記特定処理部による処理は、前記画像取得装置が前記薬剤の画像を取得した時点で実行されることを特徴とする請求項1に記載の薬剤監査システム。
【請求項6】
前記制御装置は、
前記薬剤情報として、前記薬剤の画像に関する薬剤画像情報を記憶し、
前記特定処理部は、前記識別情報読取装置から受信した前記処方せん識別情報に対応付けられた前記薬剤情報及び前記薬剤画像情報に基づいて、前記薬剤を特定することを特徴とする請求項1又は2に記載の薬剤監査システム。
【請求項7】
前記薬剤情報に含まれる一部の前記薬剤が有している薬剤識別情報を読み取り、前記制御装置へ送信する薬剤識別情報読取装置をさらに備えており、
前記特定処理部は、前記薬剤識別情報読取装置から前記薬剤識別情報を受信した場合、前記制御装置が記憶している前記薬剤情報、及び前記薬剤識別情報読取装置から受信した前記薬剤識別情報に基づいて、前記薬剤を特定し、
前記判定処理部は、前記収納場所特定処理によって特定された前記薬剤が、前記情報取得処理によって取得された前記薬剤と一致するか否かを判定した結果を出力することを特徴とする請求項1に記載の薬剤監査システム。
【請求項8】
前記薬剤情報に含まれる一部の前記薬剤が有している薬剤識別情報を読み取り、前記制御装置へ送信する薬剤識別情報読取装置と、
前記薬剤識別情報を有する前記薬剤を払い出して、前記収納場所に収納させるピッキング装置をさらに備えており、
前記制御装置は、
前記薬剤識別情報を有する前記薬剤に関する前記薬剤情報と前記ピッキング装置で前記薬剤が収納される前記収納場所に関する前記収納場所情報とを対応付けた薬剤収納場所処方せん薬剤対応付け情報をさらに記憶し、
前記特定処理部は、前記制御装置が記憶している前記薬剤情報、及び前記薬剤識別情報読取装置から受信した前記薬剤識別情報に基づいて、前記薬剤を特定すると共に、前記薬剤収納場所対応付け情報に基づいて、前記薬剤が収納される前記収納場所を特定することを特徴とする請求項1に記載の薬剤監査システム。
【請求項9】
前記薬剤情報に含まれる一部の前記薬剤が有している薬剤識別情報を読み取り、前記制御装置へ送信する薬剤識別情報読取装置と、
前記薬剤識別情報を有する前記薬剤を払い出して、前記収納場所に収納させるピッキング装置と、
前記ピッキング装置が前記薬剤を払い出した前記収納場所が有している収納場所識別情報を読み取り、前記制御装置へ送信する収納場所識別情報読取装置をさらに備えており、
前記特定処理部は、薬剤収納処理において前記薬剤収納時の前記収納場所識別情報読取装置から受信した前記収納場所識別情報に基づいて、前記薬剤が収納される前記収納場所を特定することを特徴とする請求項7に記載の薬剤監査システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬剤監査システムに関する。
【背景技術】
【0002】
病院等で患者に投与する薬剤を調整する作業において、処方せんに記載された内容に基づいて、薬剤保管庫等から必要な薬剤をピックアップし、患者に割り当てられたトレイに収納する作業が行われる。この際、容器の形状や名称の類似した薬剤が存在すること等より、処方せんに記載されたものとは異なる薬剤がピックアップされ、トレイに収容される可能性がある。このような誤収納の発生を検知し、誤った薬剤が患者に投与されることを防止するため、薬剤収納後、薬剤師等によって、処方せん通りの薬剤が正しいトレイに収納されているか等の監査が行われる。この薬剤の監査を迅速かつ正確に行うための技術が開示されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、予め多数の薬剤容器の画像をそれらの薬剤名称と対応させて記憶する記憶手段と、監査する薬剤容器を搭載する監査台と、該監査台に搭載された薬剤容器の画像を撮像する撮像手段と、該撮像手段で得られた画像に前記記憶手段に記憶した画像が有るか否かを判別する判別手段とを備えた薬剤監査装置が開示されている。かかる薬剤監査装置では、薬剤容器が種々の形態を有していても、各薬剤容器の画像を記憶しておくことで、撮像手段により撮像した薬剤容器の画像中に記憶画像が有るか無いかをサーチして、薬剤容器を迅速かつ容易に判別し、正確に照合することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のような薬剤監査装置によると、撮像された薬剤容器の画像から薬剤を判別することができるが、薬剤が収納されたトレイが正しいトレイであるか否かを判別することはできない。即ち、上述のような薬剤監査装置では、処方せんに記載された患者とは異なる患者に割り当てられたトレイに薬剤が収納されたことを検知することはできない。この場合、正しいトレイに薬剤が収納されていることを薬剤師等が目視で確認する作業が必要となり、見落とし等のミスが発生する可能性がある。また、薬剤収納先はトレイ内の施用単位(朝食後、昼食後、夕食後、就寝前等)に分けられた収納場所によって指定されることが一般的であるため、同一の患者に処方する薬剤であっても、トレイ内の指定された収納場所に収納する必要がある。
【0006】
また、薬剤自動ピッキング装置等により複数の薬剤が一括してトレイへ収納されると、トレイに収納された薬剤が山積みの状態となる場合がある。さらに、処方せんに関する情報が付された紙面であるラベルもトレイへ収納される場合もあり、トレイにラベルを収納した後に、薬剤が収納されると、ラベルが薬剤に隠れてしまうことがある。この場合、上述のような薬剤監査装置では、薬剤の下敷きになっている薬剤やラベル等を正確に撮像することが困難になることも懸念される。
【0007】
本発明は、上記のような課題を解決するものであり、薬剤収納先の確認を含めた薬剤の監査を迅速かつ正確に行うことが可能な薬剤監査システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の薬剤監査システムは、少なくとも、患者毎の処方せんを識別する処方せん識別情報と、前記処方せん識別情報と前記処方せんに含まれる施用単位で処方する薬剤に関する薬剤情報とを対応付けた処方せん薬剤対応付け情報と、前記薬剤が施用単位で収納される収納容器内の前記施用単位に対応する収納場所に関する収納場所情報とを記憶する制御装置と、前記処方せん識別情報を読み取り、前記制御装置へ送信する識別情報読取装置と、前記薬剤情報に含まれる少なくとも一部の前記薬剤及び前記収納場所を含む画像を取得し、前記制御装置へ送信する画像取得装置と、を備えており、前記制御装置は、前記処方せん薬剤対応付け情報に基づいて、前記識別情報読取装置から受信した前記処方せん識別情報に対応付けられた前記薬剤情報及び前記収納場所に関する収納場所情報を取得する情報取得処理部と、前記画像取得装置から受信した前記画像に基づいて、前記薬剤及び当該薬剤が収納された前記収納場所を特定する特定処理部と、前記特定処理部によって特定された前記薬剤及び当該薬剤が収納された前記収納場所が、前記情報取得処理部によって取得された前記薬剤情報に含まれる前記薬剤、及び前記薬剤情報に含まれる施用単位と一致するか否かを判定した結果を出力する判定処理部と、を有することを特徴とする。
【0009】
この構成によると、制御装置が記憶する処方せん識別情報、処方せん薬剤対応付け情報及び収納場所情報により、患者毎に処方する薬剤及び当該薬剤が収納される収納場所が施用単位で記憶される。また、情報取得処理部により、処方せん識別情報に対応付けられた薬剤情報及び収納場所に関する収納場所情報が取得される。さらに、特定処理部により、ピッキングされた薬剤及び当該薬剤が収納された収納場所が特定される。そして、判定処理部により、ピッキングされた薬剤及び当該薬剤が収納された収納場所が、情報取得処理部によって取得された薬剤情報に含まれる薬剤及び薬剤情報に含まれる施用単位と一致するか否かが判定される。これにより、薬剤収納先の確認を含めた薬剤の監査を迅速かつ正確に行うことができる。
【0010】
また、本発明の薬剤監査システムは、少なくとも、患者毎の処方せんを識別する処方せん識別情報と、前記処方せん識別情報と前記処方せんに含まれる施用単位で処方する薬剤に関する薬剤情報とを対応付けた処方せん薬剤対応付け情報と、前記薬剤が施用単位で収納される収納容器内の前記施用単位に対応する収納場所に関する収納場所情報とを記憶する制御装置と、前記処方せん識別情報を読み取り、前記制御装置へ送信する識別情報読取装置と、前記段階毎に備えられており、前記薬剤情報に含まれる少なくとも一部の前記薬剤及び前記収納場所を含む画像を取得し、前記制御装置へ送信する画像取得装置と、を備えており、前記制御装置は、前記処方せん薬剤対応付け情報に基づいて、前記識別情報読取装置から受信した前記処方せん識別情報に対応付けられた前記薬剤情報及び前記収納場所に関する収納場所情報を取得する情報取得処理部と、前記識別情報読取装置から受信した前記処方せん識別情報に対応付けられた前記薬剤情報に含まれる前記薬剤を複数段階に分けて前記収納場所に収納させる収納処理部と、前記段階毎に、前記画像取得装置から受信した前記画像に基づいて、前記薬剤及び当該薬剤が収納された前記収納場所を特定する特定処理部と、前記段階毎に、前記特定処理部によって特定された前記薬剤及び当該薬剤が収納された前記収納場所が、前記情報取得処理部によって取得された前記薬剤情報に含まれる前記薬剤、及び前記薬剤情報に含まれる施用単位と一致するか否かを判定した結果を出力する判定処理部と、を有することを特徴とする。
【0011】
この構成によると、制御装置が記憶する処方せん識別情報、処方せん薬剤対応付け情報及び収納場所情報により、患者毎に処方する薬剤及び当該薬剤が収納される収納場所が施用単位で記憶される。また、制御装置は、処方せん薬剤対応付け情報と、収納場所情報と、に基づいて、薬剤を複数段階に分けて収納処理部により収納場所に収納させる。そして、情報取得処理部により、処方せん識別情報に対応付けられた薬剤情報及び収納場所に関する収納場所情報が取得される。さらに、特定処理部により、段階毎に、ピッキングされた薬剤及び当該薬剤が収納された収納場所が特定される。そして、判定処理部により、段階毎に、ピッキングされた薬剤及び当該薬剤が収納された収納場所が、情報取得処理部によって取得された薬剤情報に含まれる薬剤及び薬剤情報に含まれる施用単位と一致するか否かが判定される。これにより、薬剤収納先の確認を含めた薬剤の監査を迅速かつ正確に行うことができる。また、段階毎に、特定処理部および判定処理部による処理が実施されるので、1回で全ての薬剤を判定する場合と較べて、他の薬剤の下敷きとなったこと等により正常に画像取得されなかった薬剤の特定漏れを防止することができる。
【0012】
また、本発明の薬剤監査システムは、前記処方せん薬剤対応付け情報には、前記処方せんに関する情報が記載されたラベルに関するラベル情報がさらに対応付けられており、前記画像取得装置は、前記ラベルの画像をさらに取得し、前記情報取得処理部は、前記識別情報読取装置から受信した前記処方せん識別情報に対応付けられた前記ラベル情報をさらに取得し、前記特定処理部は、前記画像取得装置から受信した前記画像から、前記ラベルをさらに特定し、前記特定処理部によって特定された前記ラベル及び当該ラベルが収納された前記収納場所が、前記情報取得処理部によって取得された前記ラベル情報に含まれる前記ラベル、及び前記ラベル情報に含まれる施用単位と一致するか否かを判定した結果を出力するラベル判定処理部をさらに有することが望ましい。
【0013】
この構成によると、施用単位の処方内容が記載されたラベルが正しい収納場所に収納されているか否かが判定されるため、ラベルの内容と一致しない薬剤が投薬現場に提供されることを防止することができる。
【0014】
また、本発明の薬剤監査システムは、前記画像取得装置は、前記処方せんの画像をさらに取得し、前記制御装置は、前記画像取得装置が取得した前記画像から、前記処方せんを特定する処方せん特定処理部と、前記処方せん特定処理部によって特定された前記処方せんが、前記情報取得処理部によって取得された前記処方せん識別情報によって識別される前記処方せんと一致するか否かを判定した結果を出力する処方せん判定処理部をさらに有することが望ましい。
【0015】
この構成によると、識別情報読取装置が読み取った処方せんと、画像取得装置が認識した処方せんとが同一であるか否かが判定されるので、異なる患者の処方せんに基づいて薬剤がピックアップされることを防止することができる。
【0016】
また、本発明の薬剤監査システムは、前記特定処理部による処理は、前記画像取得装置が前記薬剤の画像を取得した時点で実行されることが望ましい。
【0017】
この構成によると、特定処理部による処理の実行開始が早くなるため、より迅速に薬剤の監査を行うことができる。
【0018】
また、本発明の薬剤監査システムは、前記制御装置は、前記薬剤情報として、前記薬剤の画像に関する薬剤画像情報を記憶し、前記特定処理部は、前記識別情報読取装置から受信した前記処方せん識別情報に対応付けられた前記薬剤情報及び前記薬剤画像情報に基づいて、前記薬剤を特定することが望ましい。
【0019】
この構成によると、画像取得装置が認識した薬剤と一致する可能性の高い薬剤が特定処理部による処理の対象となるため、システムへの負荷を抑制しつつ、より迅速に薬剤の監査作業を行うことができる。
【0020】
また、本発明の薬剤監査システムは、前記薬剤情報に含まれる一部の前記薬剤が有している薬剤識別情報を読み取り、前記制御装置へ送信する薬剤識別情報読取装置をさらに備えており、前記特定処理部は、前記薬剤識別情報読取装置から前記薬剤識別情報を受信した場合、前記制御装置が記憶している前記薬剤情報、及び前記薬剤識別情報読取装置から受信した前記薬剤識別情報に基づいて、前記薬剤を特定し、前記判定処理部は、前記収納場所特定処理によって特定された前記薬剤が、前記情報取得処理によって取得された前記薬剤と一致するか否かを判定した結果を出力することが望ましい。
【0021】
この構成によると、装置によるピックアップが可能な薬剤は、自動的にピックアップされる。ピックアップされた薬剤が収納場所に収納される際、当該薬剤が有している薬剤識別情報に基づいて、当該薬剤が処方せんに記載されている薬剤に含まれているか否かの判定が行われるため、誤収納の発生を防止して、薬剤収納先の確認を含めた薬剤の監査をより正確に行うことができる。
【0022】
また、本発明の薬剤監査システムは、前記薬剤情報に含まれる一部の前記薬剤が有している薬剤識別情報を読み取り、前記制御装置へ送信する薬剤識別情報読取装置と、前記薬剤識別情報を有する前記薬剤を払い出して、前記収納場所に収納させるピッキング装置をさらに備えており、前記制御装置は、前記薬剤識別情報を有する前記薬剤に関する前記薬剤情報と前記ピッキング装置で前記薬剤が収納される前記収納場所に関する前記収納場所情報とを対応付けた薬剤収納場所対応付け情報をさらに記憶し、前記特定処理部は、前記制御装置が記憶している前記薬剤情報、及び前記薬剤識別情報読取装置から受信した前記薬剤識別情報に基づいて、前記薬剤を特定すると共に、前記薬剤収納場所対応付け情報に基づいて、前記薬剤が収納される前記収納場所を特定することが望ましい。
【0023】
この構成によると、画像処理を行うことなく薬剤収納先を特定することで、システムへの負荷を抑制して、薬剤収納先の確認を含めた薬剤の監査をより迅速に行うことができる。
【0024】
また、本発明の薬剤監査システムは、前記薬剤情報に含まれる一部の前記薬剤が有している薬剤識別情報を読み取り、前記制御装置へ送信する薬剤識別情報読取装置と、前記薬剤識別情報を有する前記薬剤を払い出して、前記収納場所に収納させるピッキング装置と、前記ピッキング装置が前記薬剤を払い出した前記収納場所が有している収納場所識別情報を読み取り、前記制御装置へ送信する収納場所識別情報読取装置をさらに備えており、前記特定処理部は、薬剤収納処理において前記薬剤収納時の前記収納場所識別情報読取装置から受信した前記収納場所識別情報に基づいて、前記薬剤が収納される前記収納場所を特定することを特徴とすることが望ましい。
【0025】
この構成によると、収納場所の識別情報に基づいて収納場所を特定できるので、トレイが正しい向きで配置されていないこと等が起因となる薬剤の誤収納を防止して、薬剤収納先の確認を含めた薬剤の監査をより正確に行うことができる。
【発明の効果】
【0026】
以上の説明に述べたように、本発明によれば、薬剤が処方せん通りにピックアップされ、且つ、ピックアップされた薬剤が正しいトレイに収納されていることを判定することができる。すなわち、薬剤が正しいトレイに収納されていることを目視で確認する場合と較べて、薬剤収納先の確認を含めた薬剤の監査を迅速かつ正確に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】第1の実施形態の薬剤監査システムを正面から見た概略図である。
【
図2】トレイ及び収納場所の説明図であり、(a)は空の状態のトレイを示し、(b)は収納場所に薬剤及びラベルが収納されているトレイの状態を示し、(c)は薬剤及びラベルの収納完了後、処方せんが載せられた状態のトレイの状態を示す。
【
図3】
図1に示す薬剤監査システムの電気的構成を概略的に示すブロック図である。
【
図4】制御装置が記憶する情報の関連を示す説明図である。
【
図5】第1の実施形態の薬剤監査システムで行われる処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図6】第2の実施形態の薬剤監査システムを正面から見た概略図である。
【
図7】第2の実施形態の薬剤監査システムで行われる処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図8】第3の実施形態の薬剤監査システムを正面から見た概略図である。
【
図9】第3の実施形態の薬剤監査システムの変形例を正面から見た概略図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態を説明する。
第1の実施形態に係る薬剤監査システム1は、医師が発行する処方せんに基づいて行われる薬剤の調整作業が処方せん通りに行われたか否かを監査するものである。
【0029】
ここで、
図1を参照しつつ、薬剤監査システム1の概略構成について説明する。
図1に示すように、薬剤監査システム1は、制御装置5、バーコードリーダー(識別情報読取装置)12、画像取得カメラ(画像取得装置)13、監査端末15、及び液晶ディスプレイ14を備えている。
【0030】
監査端末15は、制御装置5、バーコードリーダー12、画像取得カメラ13、及び液晶ディスプレイ14と通信可能に接続されている。監査端末15は、バーコードリーダー12及び画像取得カメラ13から受信した情報を制御装置5へ送信する。以後の説明において、「制御装置5へ送信する」、「制御装置5が受信する」等の記載があるが、これらは、「監査端末15を介して制御装置5へ送信する」、「監査端末15を介して制御装置5が受信する」ことを意味する。なお、
図1において、監査端末15は、作業机11の上面に配置されているが、これに限定されず、例えば、作業机11が配置されている床の上面に配置されていてもよいし、液晶ディスプレイ14と一体型のコンピュータであってもよい。また、監査端末15は、さらにスピーカやLEDランプ等の出力装置と接続されていてもよい。液晶ディスプレイ14は、作業机11の上面に配置され、薬剤9の監査結果等の情報を表示する。
【0031】
作業机11の上面には、薬剤9が収納される容器であるトレイ(収納容器)7が配置される。薬剤調整作業の作業者は、トレイ7を作業机11の上面に配置し、処方せん6に記載された内容に基づいて、バイアル91、アンプル92、輸液ボトル93等の薬剤9を薬剤収納庫等からピックアップし、トレイ7に収納する。なお、薬剤9には、薬剤9を識別するための薬剤識別情報(不図示)が、バーコード、IC(Integrated Circuit)タグ等の形態により付されている。
【0032】
トレイ7には、薬剤9に加えて、ラベル10が収納される。ラベル10には、処方せん6に関する情報が記載されている。投薬現場において、薬剤9を投与する看護師等は、ラベル10に記載されている内容を確認することで、投与する薬剤9が処方せん6通りであることを確認することができる。また、薬剤調整作業の作業者は、処方せん6に記載された全ての薬剤9、及びラベル10をトレイ7へ収納した後、処方せん6をトレイ7に収納する。
【0033】
バーコードリーダー12は、処方せん6またはトレイ7に付されたバーコード6a・7aを読み取る。バーコード6a・7aには、患者毎の処方せん6を識別する処方せん識別情報501が含まれている。バーコードリーダー12が読み取った処方せん識別情報501は、制御装置5へ送信される。
【0034】
画像取得カメラ13は、所定範囲の画像を撮像(取得)する。画像取得カメラ13は、撮像した画像に少なくとも一部の薬剤9、ラベル10、及び処方せん6が含まれる場合等、撮像した画像が所定の条件を満たす場合、当該画像を制御装置5へ送信する。
【0035】
制御装置5は、処方せん識別情報501、薬剤情報502、ラベル情報503、処方せん薬剤対応付け情報504、収納場所情報505、及び薬剤画像情報506を記憶している。以下、これらの情報を、「薬剤管理情報50」と総称する。制御装置5は、バーコードリーダー12から受信する処方せん識別情報501、画像取得カメラ13から受信する画像、及び薬剤管理情報50に基づき、撮像された薬剤9及びラベル10、及び当該薬剤9及びラベル10の収納先が処方せん6通りであるか否かを判定する。なお、制御装置5は1台のコンピュータであってもよいし、複数台のコンピュータで構成されていてもよい。制御装置5が複数台で構成されている場合、薬剤管理情報50は、各々のコンピュータに分散して記憶されていてもよい。
【0036】
また、制御装置5は、情報取得処理部511と、特定処理部512と、判定処理部513と、処方せん特定処理部514と、処方せん判定処理部515と、を有する。情報取得処理部511は、処方せん薬剤対応付け情報504に基づいて、バーコードリーダー12から受信した処方せん識別情報501に対応付けられた薬剤情報502及び後述する収納場所8に関する収納場所情報505を取得する。特定処理部512は、画像取得カメラ13から受信した画像に基づいて、ラベル10と薬剤9、及び当該ラベル10と薬剤9が収納された収納場所8を特定する。判定処理部513は、特定処理部512によって特定されたラベル10と薬剤9、及び当該ラベル10と薬剤9が収納された収納場所8が、情報取得処理部511によって取得された薬剤情報502に含まれる薬剤9、及び薬剤情報502に含まれる施用単位と一致するか否かを判定した結果を出力する。処方せん特定処理部514は、画像取得カメラ13が取得した画像から、処方せん6を特定する。処方せん判定処理部515は、処方せん特定処理部514によって特定された処方せん6が、情報取得処理部511によって取得された処方せん識別情報501によって識別される処方せん6と一致するか否かを判定した結果を出力する。
【0037】
なお、バーコードリーダー12、画像取得カメラ13、監査端末15、及び液晶ディスプレイ14は、薬剤9の調整作業を行う場所、例えば、病院の薬剤部門等に配置されるが、制御装置5は、病院のサーバルーム、外部のデータセンター等の、薬剤9の調整作業を行う場所以外の場所に配置されていてもよい。なお、1台のコンピュータに、制御装置5、監査端末15双方の機能が備えられていてもよい。
【0038】
次いで、
図2(a)~(c)を参照しつつ、トレイ7と収納場所8との関係について説明する。
図2(a)~(c)は、
図1のトレイ7をトレイ7の上方から下方に向かって眺めた図である。
図2(a)~(c)に示すように、トレイ7には、その内部に、複数個の収納場所8が設けられている。第1の実施形態において、収納場所8はトレイの形状(小分けトレイ)となっているが、これに限定されず、例えばシートのような平面状のものでもよい。また、第1の実施形態において、トレイ7内には4つの収納場所8が設けられているが、トレイ7内の収納場所数は4に限定されない。
【0039】
各収納場所8は施用単位に対応している。ここで、施用とは、各患者に薬剤9を投与するタイミングを示すものである。施用の例として、「朝食後」、「昼食前」、「夕食後」、「就寝前」等が挙げられるが、これらに限定されず、例えば、「令和5年1月17日14時15分」等の時刻であってもよい。まず、
図2(a)に示すように、薬剤調整作業開始時点において、トレイ7内の全ての収納場所8は空の状態、つまり、トレイ7内には空の収納場所8のみが収納されている状態である。次いで、
図2(b)に示すように、処方せん6に記載された内容に基づいて、薬剤9やラベル10等が指定された収納場所8に収納される。ここで、薬剤9とラベル10の収納順序や、収納場所8の順序に制約はないが、一定のルールを定めておくことが望ましい。ルールの具体例としては、「各収納場所8において、薬剤9、ラベル10の順に収納」、「左の収納場所8から順に収納」等が挙げられる。そして、
図2(c)に示すように、処方せん6に記載された全ての薬剤9及びラベル10の収納が完了すると、処方せん6が全ての収納場所8の上に載るように収納される。
【0040】
次に、
図3を参照しつつ、制御装置5について説明する。制御装置5は、薬剤監査システム1全体の制御を司るものである。制御装置5は、例えば、バスによって互いに接続された、CPU(Central Processing Unit)51、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)54等の演算装置、ROM(Read Only Memory)52、RAM(Random Access Memory)53等の記憶装置等を備えている。制御装置5は、バーコードリーダー12、画像取得カメラ13、液晶ディスプレイ14等が接続されている1以上の監査端末15と通信可能に接続されている。制御装置5は、ROM52に記憶されたプログラムに従って、CPU51及びASIC54によって薬剤監査システム1の各部の制御を行う。
【0041】
続いて、
図4を参照しつつ、制御装置5が記憶する薬剤管理情報50である処方せん識別情報501、薬剤情報502、ラベル情報503、処方せん薬剤対応付け情報504、収納場所情報505、及び薬剤画像情報506について説明する。処方せん識別情報501は、患者毎の処方せん6を識別する情報である。処方せん6及びトレイ7に付されているバーコード6a・7aには、処方せん識別情報501が含まれている。制御装置5は、バーコードリーダー12から受信する処方せん識別情報501により、処方せん識別情報501に対応付けられた患者及び処方せん6に関する情報を取得することができる。
【0042】
薬剤情報502は、薬剤9に関する情報である。薬剤9に関する情報としては、薬剤9を識別する情報である薬剤識別情報、薬剤9の種類(バイアル91、アンプル92、輸液ボトル93等)、薬剤9の名称等が挙げられる。ラベル情報503は、処方せん6に関する情報が施用単位で記載されたラベル10に関する情報である。
【0043】
処方せん薬剤対応付け情報504は、処方せん識別情報501と、施用単位で処方する薬剤情報502と、ラベル情報503とを対応付ける情報である。処方せん薬剤対応付け情報504には、例えば、朝食後に患者Aへ投与する薬剤9、就寝前に患者Bへ投与する薬剤9等の情報が、各患者の処方せん6と対応付けられた形で含まれている。処方せん薬剤対応付け情報504によって、制御装置5は、処方せん識別情報501から、当該処方せん識別情報501に対応付けられた薬剤9及びラベル10に関する情報を施用単位で取得することができる。また、処方せん薬剤対応付け情報504には、処方せん識別情報501に対応付けられた薬剤9が監査済であるか否かを示す情報である監査済フラグ情報が含まれていてもよい。この場合、監査済フラグ情報は、初期値として「未監査」を示す情報が設定されており、薬剤9の監査が完了することで、「監査済」を示す情報に更新される。
【0044】
収納場所情報505は、薬剤9が施用単位で収納されるトレイ7内の施用単位に対応する収納場所8に関する情報である。収納場所情報505には、例えば、朝食後に患者Aへ投与する薬剤9が収納される収納場所8、就寝前に患者Bへ投与する薬剤9が収納される収納場所8等の情報が含まれている。収納場所情報505によって、制御装置5は、処方せん識別情報501に対応付けられた薬剤9が収納される収納場所8に関する情報を取得することができる。
【0045】
薬剤画像情報506は、薬剤9の画像に関する情報である。薬剤9の画像に関する情報には、薬剤9を前面、背面、上面、下面等、複数方向から撮像した画像が含まれている。薬剤画像情報506に基づいて、制御装置5は、画像取得カメラ13から受信する薬剤9の画像に対応付けられた薬剤9を特定することができる。
【0046】
なお、制御装置5が薬剤管理情報50をソフトウェア的に保持する方法は、特に限定されない。例えば、テーブル構造で保持されていてもよいし、ツリー構造で保持されていてもよい。また、薬剤管理情報50に対応するデータは、DBMS(DataBase Management System)が参照/更新可能な形式で保持されていてもよいし、CSV(Comma Separated Values)ファイル、XML(Extensible Markup Language)ファイル等のファイル形式として保持されていてもよい。また、薬剤管理情報50に含まれる情報は、集約されて保持されていてもよい。つまり、これらの情報が、個別のテーブル等として保持されていてもよいし、1つのテーブル等に集約されて保持されていてもよい。なお、制御装置5が複数台のコンピュータで構成されている場合、薬剤管理情報50は、当該複数台のコンピュータに分散して記憶されていてもよい。
【0047】
次に、
図5を参照しつつ、薬剤監査システム1で実行される処理手順の一例について説明する。本処理は、作業者が処方せん6に記載された内容に基づいて薬剤9及びラベル10を作業机11に配置されたトレイ7内の収納場所8(小分けトレイ)に収納するといった一連の薬剤調整作業に付随して実行される。
【0048】
まず、制御装置5は、薬剤9の収納が可能な状態であるか否かを判断する(S1)。具体的に、制御装置5は、画像取得カメラ13から受信する画像等から、トレイ7の配置位置、トレイ7内の状態、及び収納場所8の配置位置が正常であるか否かを判定する。トレイ7の配置位置の正常性は、画像取得カメラ13がトレイ7内の全体を正確に撮像できる位置にトレイ7が作業机11上に配置されているか否かに基づいて判定される。トレイ7内の状態の正常性は、トレイ7内に薬剤9やラベル10等が収納されていない状態、つまり、トレイ7内が空の状態であるか否かに基づいて判定される。収納場所8の配置位置の正常性は、トレイ7内に各施用の収納場所8が正常に配置されているか否かに基づいて判定される。なお、判定の結果は、次に行う作業内容等と併せて液晶ディスプレイ14に表示される。収納開始可能状態でないと判定する場合(S1:NO)、制御装置5は、ステップS1の処理を繰り返す。なお、本実施形態の薬剤監査システム1において、S1の処理は実施しなくてもよい。
【0049】
収納開始可能状態であると判定する場合(S1:YES)、制御装置5は、情報取得処理部511による処理を実行する(S2)。具体的には、次の通りである。ピッキング開始可能状態である旨の情報が液晶ディスプレイ14に表示され、当該表示を確認した作業者がバーコードリーダー12を使用して処方せん識別情報501を読み込む。バーコードリーダー12が読み込むバーコード6a・7aは、処方せん6又はトレイ7に付されている。処方せん識別情報501を読み込んだバーコードリーダー12は、処方せん識別情報501を制御装置5へ送信する。処方せん識別情報501を受信した制御装置5の情報取得処理部511は、処方せん薬剤対応付け情報504に基づいて、受信した処方せん識別情報501に対応付けられた薬剤情報502、ラベル情報503、収納場所情報505、及び薬剤画像情報506を取得する。
【0050】
続いて、作業者が、処方せん6に記載された内容に基づいて、ラベル10を所定の収納場所8に収納すると(S3)、制御装置5は、収納されたラベル10の特定処理部512による処理を実行する(S4)。具体的には、次の通りである。ステップS4の作業が行われることで、ラベル10が画像取得カメラ13によって撮像される。ラベル10を撮像した画像取得カメラ13は、撮像した画像を制御装置5へ送信する。そして、特定処理部512は、受信した画像に基づいて、ラベル10及び当該ラベル10が収納された収納場所8を特定する。
【0051】
続いて、制御装置5は、収納されたラベル10の判定処理部513による処理を実行する(S5)。具体的には、次の通りである。判定処理部513は、ステップS4のラベル10の特定処理において特定したラベル10及び当該ラベル10が収納される収納場所8が、ステップS2の情報取得処理によって取得されたラベル情報503に含まれるラベル10、及びラベル情報503に含まれる施用単位と一致するか否かを判定した結果を出力する。判定の結果は、次に行う作業内容等と併せて液晶ディスプレイ14に表示される。
【0052】
続いて、作業者が、処方せん6に記載された内容に基づいて、薬剤9を所定の収納場所8に収納すると(S6)、制御装置5は、収納された薬剤9の特定処理部511による処理を実行する(S7)。具体的には、次の通りである。ステップS6の作業が行われることで、薬剤9が画像取得カメラ13によって撮像される。薬剤9を撮像した画像取得カメラ13は、撮像した画像を制御装置5へ送信する。そして、特定処理部512は、受信した画像に基づいて薬剤9及び当該薬剤9が収納された収納場所8を特定する。
【0053】
続いて、制御装置5は、収納された薬剤9の判定処理部513による処理を実行する(S8)。具体的には、次の通りである。判定処理部513は、ステップS7の薬剤9の特定処理において特定した薬剤9及び当該薬剤9が収納される収納場所8が、ステップS2の情報取得処理によって取得された薬剤情報502に含まれる薬剤9、及び薬剤情報502に含まれる施用単位と一致するか否かを判定した結果を出力する。判定の結果は、次に行う作業内容等と併せて液晶ディスプレイ14に表示される。
【0054】
続いて、制御装置5は、処方せん識別情報501に対応付けられたラベル10及び薬剤9の収納が全ての施用において完了したか否かを判定する(S9)。判定の結果は、次に行う作業内容等と併せて液晶ディスプレイ14に表示される。全てのラベル10及び薬剤9の収納が完了していないと判定する場合(S9:NO)、作業者は、処方せん6に記載されている内容や液晶ディスプレイ14に表示されている内容等に基づき、ラベル10や薬剤9の収納作業等を行う。
【0055】
全てのラベル10及び薬剤9の収納が完了していると判定する場合(S9:YES)、作業者は、ステップS2の情報取得処理において使用した処方せん6をトレイ7に収納する(S10)。そして、制御装置5は、収納された処方せん特定処理部514による処理を実行する(S11)。具体的には、次の通りである。ステップS10の作業が行われることで、処方せん6が画像取得カメラ13によって撮像される。処方せん6を撮像した画像取得カメラ13は、取得した画像を制御装置5へ送信する。そして、処方せん特定処理部514は、受信した画像に基づいて処方せん6を特定する。
【0056】
続いて、制御装置5は、収納された処方せん6の処方せん判定処理部515による処理を実行する(S12)。具体的には、次の通りである。処方せん判定処理部515は、ステップS11の処方せん特定処理部514において特定した処方せん6が、ステップS2の情報取得処理部512において取得した処方せん6と一致するか否かを判定した結果を出力する。判定の結果は、次に行う作業内容等と併せて液晶ディスプレイ14に表示される。
【0057】
なお、
図5のフローチャートにおいて、ラベル10、薬剤9の順に、特定処理部512による処理及び判定処理部513による処理が行われているが、これに限定されず、薬剤9、ラベル10の順であってもよい。また、全ての収納場所8に対するラベル10の特定処理部512による処理及び判定処理部513による処理が完了した後に、薬剤9の特定処理部512による処理及び判定処理部513による処理が行われてもよい。また、判定の結果は、液晶ディスプレイ14に表示されることにより報知されるが、判定結果の報知方法はこれに限定されず、LEDランプの色及び状態(点灯、点滅等)を利用した報知方法や、スピーカからの音声を利用した報知方法であってもよい。
【0058】
また、ステップS7の薬剤9の特定処理部512による処理において、画像取得カメラ13は、薬剤9の画像を撮像した時点で、当該画像を制御装置5へ送信し、ステップS8の薬剤の判定処理部513による薬剤9の判定が行われるように構成されていることが望ましい。さらに、ステップS7の薬剤9の特定処理部512による処理において、画像取得カメラ13は、薬剤9及び当該薬剤9が収納される収納場所8を認識可能な画像を撮像した時点で、当該画像を制御装置5へ送信し、ステップS8の薬剤の判定処理部512における薬剤9及び当該薬剤9が収納される収納場所8の判定が行われるように構成されていることが望ましい。
【0059】
また、ステップS7の薬剤9の特定処理部512による処理において、特定処理部512は、画像取得カメラ13から受信した薬剤9の画像から薬剤9を特定するが、この際、ステップS2の情報取得処理部511による処理においてバーコードリーダー12から受信した処方せん識別情報501に対応付けられた薬剤情報502及び薬剤画像情報506に基づいて、薬剤9を特定するように構成されていることが望ましい。
【0060】
以上のように、第1の実施形態の薬剤監査システム1は、少なくとも、患者毎の処方せん6を識別する処方せん識別情報501と、処方せん識別情報501と処方せん6に含まれる施用単位で処方する薬剤9に関する薬剤情報502とを対応付けた処方せん薬剤対応付け情報504と、薬剤9が施用単位で収納される収納容器7内の施用単位に対応する収納場所8に関する収納場所情報505とを記憶する制御装置5と、処方せん識別情報501を読み取り、制御装置5へ送信するバーコードリーダー12と、薬剤情報502に含まれる少なくとも一部の薬剤9及び収納場所8を含む画像を取得し、制御装置5へ送信する画像取得カメラ13と、を備えている。制御装置5は、処方せん薬剤対応付け情報504に基づいて、バーコードリーダー12から受信した処方せん識別情報501に対応付けられた薬剤情報502及び収納場所8に関する収納場所情報505を取得する情報取得処理部511と、画像取得カメラ13から受信した画像に基づいて、薬剤9及び当該薬剤9が収納された収納場所8を特定する特定処理部512と、特定処理部512によって特定された薬剤9及び当該薬剤9が収納された収納場所8が、情報取得処理部511によって取得された薬剤情報502に含まれる薬剤9、及び薬剤情報502に含まれる施用単位と一致するか否かを判定した結果を出力する判定処理部513と、を有する。
したがって、制御装置5が記憶する処方せん識別情報501、処方せん薬剤対応付け情報504及び収納場所情報505により、患者毎に処方する薬剤9及び当該薬剤9が収納される収納場所8が施用単位で記憶される。また、情報取得処理部511により、処方せん識別情報501に対応付けられた薬剤情報502及び収納場所8に関する収納場所情報505が取得される。さらに、特定処理部512により、ピッキングされた薬剤9及び当該薬剤9が収納された収納場所8が特定される。そして、判定処理部513により、ピッキングされた薬剤9及び当該薬剤9が収納された収納場所8が、情報取得処理部511によって取得された薬剤情報502に含まれる薬剤9及び薬剤情報502に含まれる施用単位と一致するか否かが判定される。これにより、薬剤収納先の確認を含めた薬剤9の監査を迅速かつ正確に行うことができる。
【0061】
また、第1の実施形態の薬剤監査システム1が記憶する処方せん薬剤対応付け情報504には、処方せん6に関する情報が記載されたラベル10に関するラベル情報503がさらに対応付けられており、画像取得カメラ13は、ラベル10の画像をさらに取得し、情報取得処理部511は、バーコードリーダー12から受信した処方せん識別情報501に対応付けられたラベル情報503をさらに取得し、特定処理部512は、画像取得カメラ13から受信した画像から、ラベル10をさらに特定し、判定処理部513は、特定処理部512によって特定されたラベル10及び当該ラベル10が収納された収納場所8が、情報取得処理部511によって取得されたラベル情報503に含まれるラベル10、及びラベル情報503に含まれる施用単位と一致するか否かを判定した結果をさらに出力する。したがって、施用単位の処方内容が記載されたラベル10が正しい収納場所8に収納されているか否かが判定されるため、ラベル10の内容と一致しない薬剤9が投薬現場に提供されることを防止することができる。
【0062】
さらに、第1の実施形態の薬剤監査システム1が備えている画像取得カメラ13は、処方せん6の画像をさらに取得し、制御装置5は、画像取得カメラ13が取得した画像から、処方せん6を特定する処方せん特定処理部514と、処方せん特定処理部514によって特定された処方せん6が、情報取得処理部511によって取得された処方せん識別情報501によって識別される処方せん6と一致するか否かを判定した結果を出力する処方せん判定処理部515をさらに有する。したがって、バーコードリーダー12が読み取った処方せん6と、画像取得カメラ13が撮像した処方せん6とが同一であるか否かが判定されるので、異なる患者の処方せん6に基づいて薬剤9がピックアップされることを防止することができる。
【0063】
加えて、第1の実施形態の薬剤監査システム1が有する特定処理部512による処理は、画像取得カメラ13が薬剤9の画像を取得した時点で実行される。したがって、特定処理部512による処理の実行開始が早くなるため、より迅速に薬剤9の監査を行うことができる。
【0064】
さらに、第1の実施形態の薬剤監査システム1が備えている制御装置5は、薬剤情報502として、薬剤9の画像に関する薬剤画像情報506を記憶し、特定処理部512は、バーコードリーダー12から受信した処方せん識別情報501に対応付けられた薬剤情報502及び薬剤画像情報506に基づいて、薬剤9を特定する。したがって、画像取得カメラ13が認識した薬剤9と一致する可能性の高い薬剤9が特定処理部512による処理の対象となるため、システムへの負荷を抑制しつつ、より迅速に薬剤9の監査作業を行うことができる。
【0065】
続いて、
図6を参照しつつ、第2の実施形態である薬剤監査システム2の概略構成について説明する。
図6に示すように、薬剤監査システム2は、トレイ7が入力ユニット22、複数の払出ユニット23、出力ユニット24の順に通過し、各払出ユニット23において、払出ユニット23内に保管されている薬剤9が自動的にピッキングされ、トレイ7内の所定の収納場所8に払い出されるように構成されている。このように、薬剤監査システム2では、薬剤9が複数段階に分けられて払い出される。払出ユニット23内に保管されている薬剤9は、払出ユニット23内に設けられているピッキング装置25によってピッキングされる。ピッキング装置25は、制御装置5または監査端末15からの制御により、払出ユニット23内の所定の範囲を移動可能に構成されている。各払出ユニット23には、払出ユニット23を識別する払出ユニット識別情報507が割り当てられており、払出ユニット識別情報507は、制御装置5によって記憶されている。ピッキング装置25は、払出ユニット23内に保管されている薬剤9が、自動的にトレイ7内の所定の収納場所8に払い出されるように構成されている。
【0066】
薬剤監査システム2は、制御装置5、識別情報読取装置21、画像取得カメラ(画像取得装置)13、監査端末15、及び液晶ディスプレイ14を備えている。画像取得カメラ13は払出ユニット23毎に備えられており、トレイ7内に収納された薬剤9及び収納場所8を含む画像を撮像し、制御装置5へ送信する。識別情報読取装置21は、入力ユニット22に設けられており、トレイ7に付された処方せん識別情報501を読み取り、制御装置5へ送信する。制御装置5は、処方せん識別情報501、薬剤情報502、処方せん薬剤対応付け情報504、収納場所情報505、薬剤画像情報506、払出ユニット識別情報507を記憶している。さらに、薬剤情報502に含まれている薬剤9には、当該薬剤9が払い出される払出ユニット23の払出ユニット識別情報507が対応付けられている。なお、薬剤監査システム2の払出ユニット23の数は2であるが、払出ユニット数は2に限定されない。
【0067】
監査端末15は、制御装置5、識別情報読取装置21、画像取得カメラ13、及び液晶ディスプレイ14と通信可能に接続されている。加えて、監査端末15は、制御装置5に対して、薬剤9の払出処理の開始、終了、中断、再開等の制御を指示できるように構成されている。液晶ディスプレイ14には、薬剤9の払出処理の状況、特定結果、及び判定結果等の情報が表示される。
【0068】
また、制御装置5は、情報取得処理部511、特定処理部512、判定処理部513、処方せん特定処理部514、及び処方せん判定処理部515に加えて、収納処理部516を有している。収納処理部516は、識別情報読取装置21から受信した処方せん識別情報501に対応付けられた薬剤情報502に含まれる薬剤9を複数段階に分けて収納場所8に収納させる。
【0069】
続いて、
図7を参照しつつ、薬剤監査システム2で実行される処理手順の一例について説明する。作業者が、入力ユニット22にトレイ7をセットした上で、監査端末15を操作することにより、制御装置5へ薬剤9の払出を指示すると(S21)、制御装置5は、情報取得処理部511による処理を実行する(S22)。具体的には、次の通りである。識別情報読取装置21は、トレイ7に付された処方せん識別情報501を読み取り、制御装置5へ送信する。処方せん識別情報501を受信した制御装置5の情報取得処理部511は、処方せん薬剤対応付け情報504に基づいて、受信した処方せん識別情報501に対応付けられた薬剤情報502、収納場所情報505、及び薬剤画像情報506を取得する。
【0070】
続いて、制御装置5の収納処理部516は、トレイ7を払出ユニット23に移動させ、処方せん薬剤対応付け情報504と、収納場所情報505とに基づいて、受信した処方せん識別情報501に対応付けられた薬剤情報502に含まれる薬剤9を所定の収納場所8に収納させる(S23)。この際、トレイ7が配置されている払出ユニット23の払出ユニット識別情報507に対応付けられた薬剤9が払い出される。これにより、薬剤9の収納処理を複数の払出ユニット23に分けて実行することができる。
【0071】
続いて、制御装置5は、収納された薬剤9の特定処理部512による特定処理を実行する(S24)。具体的には、次の通りである。ステップS23の薬剤9の収納処理部516による処理が行われることで、薬剤9及び当該薬剤9が収納された収納場所8が画像取得カメラ13によって撮像される。薬剤9を撮像した画像取得カメラ13は、撮像した画像を制御装置5へ送信する。そして、制御装置5の特定処理部512は、受信した画像に基づいて薬剤9及び当該薬剤9が収納された収納場所8を特定する。
【0072】
続いて、制御装置5は、収納された薬剤9の判定処理部513による処理を実行する(S25)。具体的には、次の通りである。制御装置5の判定処理部513は、ステップS24の薬剤9の特定処理部512による処理において特定した薬剤9及び当該薬剤9が収納される収納場所8が、ステップS22の情報取得処理部511による処理によって取得された薬剤情報502に含まれる薬剤9、及び薬剤情報502に含まれる施用単位と一致するか否かを判定した結果を出力する。判定の結果は、監査端末15に接続されている液晶ディスプレイ14等に表示される。なお、監査が完了した薬剤9の監査済フラグ情報は「監査済」を示す情報に更新される。
【0073】
続いて、制御装置5の処方せん判定処理部513は、薬剤9の収納処理が実行された払出ユニット23が、最後の払出ユニット23であるか否かを判定する(S26)。最後の払出ユニット23でないと判定する場合(S26:NO)、制御装置5は、トレイ7を次の払出ユニット23へ移動させ(S27)、ステップS21~S24の処理を実行する。最後の払出ユニット23であると判定する場合(S26:YES)、制御装置5は、トレイ7を出力ユニット24に移動させ、トレイ7を払出ユニットから排出させる(S28)。入力ユニット22に収納されたトレイ7が空になるまで、ステップS21~S28の処理が繰り返される。
【0074】
以上のように、第2の実施形態の薬剤監査システム2は、少なくとも、患者毎の処方せん6を識別する処方せん識別情報501と、処方せん識別情報501と処方せん6に含まれる施用単位で処方する薬剤9に関する薬剤情報502とを対応付けた処方せん薬剤対応付け情報504と、薬剤9が施用単位で収納されるトレイ7内の施用単位に対応する収納場所8に関する収納場所情報505とを記憶する制御装置5と、処方せん識別情報501を読み取り、制御装置5へ送信する識別情報読取装置21と、段階毎に備えられており、薬剤情報502に含まれる少なくとも一部の薬剤9及び収納場所8を含む画像を取得し、制御装置5へ送信する画像取得カメラ13と、を備えており、制御装置5は、処方せん薬剤対応付け情報504に基づいて、識別情報読取装置21から受信した処方せん識別情報501に対応付けられた薬剤情報502及び収納場所8に関する収納場所情報505を取得する情報取得処理部501と、識別情報読取装置21から受信した処方せん識別情報501に対応付けられた薬剤情報502に含まれる薬剤9を複数段階に分けて収納場所8に収納させる収納処理部516と、段階毎に、画像取得カメラ13から受信した前記画像に基づいて、薬剤9及び当該薬剤9が収納された収納場所8を特定する特定処理部512と、段階毎に、特定処理部512によって特定された薬剤9及び当該薬剤9が収納された収納場所8が、情報取得処理部511によって取得された薬剤情報502に含まれる薬剤9、及び薬剤情報502に含まれる施用単位と一致するか否かを判定した結果を出力する判定処理部513と、を有する。
したがって、制御装置5が記憶する処方せん識別情報501、処方せん薬剤対応付け情報504及び収納場所情報505により、患者毎に処方する薬剤9及び当該薬剤9が収納される収納場所8が施用単位で記憶される。また、制御装置5は、処方せん薬剤対応付け情報504と、収納場所情報505と、に基づいて、薬剤9を複数段階に分けて収納場所8に収納させる。そして、情報取得処理部511により、処方せん識別情報501に対応付けられた薬剤情報502及び収納場所8に関する収納場所情報505が取得される。さらに、特定処理部512により、段階毎に、ピッキングされた薬剤9及び当該薬剤9が収納された収納場所8が特定される。そして、判定処理部513により、段階毎に、ピッキングされた薬剤9及び当該薬剤9が収納された収納場所8が、情報取得処理部511によって取得された薬剤情報502に含まれる薬剤9及び薬剤情報502に含まれる施用単位と一致するか否かが判定される。これにより、薬剤収納先の確認を含めた薬剤9の監査を迅速かつ正確に行うことができる。また、段階毎に、特定処理部512および判定処理部513による処理が実施されるので、1回で全ての薬剤9を判定する場合と較べて、他の薬剤9の下敷きとなったこと等により正常に画像取得されなかった薬剤9の特定漏れを防止することができる。
【0075】
なお、第2の実施形態である薬剤監査システム2は、各払出ユニット23に設けられた画像取得カメラ13が撮像した画像に基づいて薬剤9の特定処理を実行するが、これに限定されず、薬剤9に付された薬剤識別情報に基づいて特定処理を実行するように構成されていてもよい。具体例として、
図5、
図7及び
図8を参照しつつ、第3の実施形態である薬剤監査システム3の概略構成について説明する。
【0076】
図8に示すように、薬剤監査システム3は、第1サブシステム31と、第2サブシステム32と、を備えている。第1サブシステム31は、薬剤監査システム1と同様であり、第2サブシステム32の装置構成は、薬剤監査システム2の画像取得カメラ13を後述する薬剤識別情報読取装置251に置き換えたものである。また、制御装置5、液晶ディスプレイ14、及び監査端末15は、第1サブシステム31と第2サブシステム32とで共有して備えられている。薬剤識別情報読取装置251は、各払出ユニット23内のピッキング装置25に備えられており、薬剤情報502に含まれる一部の薬剤9が有している薬剤識別情報を読み取り、制御装置5へ送信する。制御装置5の特定処理部512は、薬剤識別情報読取装置251から薬剤識別情報を受信した場合、制御装置5が記憶している薬剤情報502、及び薬剤識別情報読取装置251から受信した薬剤識別情報に基づいて、薬剤9を特定する。そして、判定処理部513は、特定処理部512によって特定された薬剤9が、ステップS22の情報取得処理部511による処理によって取得された薬剤9と一致するか否かを判定した結果を出力する。なお、判定処理部513による処理の結果、情報取得処理部511による処理によって取得された薬剤9と一致すると判定された薬剤9の監査済フラグ情報は、「監査済」を示す情報に更新される。
【0077】
なお、薬剤9が収納される収納場所8を特定する方法は、特に限定されない。例えば、制御装置5は、薬剤識別情報を有する薬剤に関する薬剤情報502とピッキング装置25で薬剤9が収納される収納場所8に関する収納場所情報とを対応付けた薬剤収納場所対応付け情報をさらに記憶し、特定処理部512は、制御装置5が記憶している薬剤情報502、及び薬剤識別情報読取装置251から受信した薬剤識別情報に基づいて、薬剤9を特定すると共に、薬剤収納場所対応付け情報に基づいて、薬剤9が収納される収納場所8を特定してもよい。薬剤収納場所対応付け情報の具体例としては、X軸及びY軸の範囲で定義される領域と収納場所8とを対応付けた情報等が挙げられる。
【0078】
また、薬剤9が収納された収納場所8を特定するために、収納場所8に収納場所識別情報がバーコードやICタグ等の形態で備えられていてもよい。この場合、ピッキング装置25に備えられた収納場所識別情報読取装置は、薬剤9が払い出された収納場所8に備えられている収納場所識別情報を読み取り、制御装置5へ送信する。また、制御装置5の特定処理部512は、薬剤収納時に収納場所識別情報読取装置から受信した収納場所識別情報に基づいて、薬剤9が収納される収納場所8を特定する。
【0079】
第2サブシステム32の入力ユニット22から払出ユニット23を通過し、出力ユニット24に排出されたトレイ7は、作業者によって作業机11に配置される。この際、作業者はトレイ7に付された処方せん識別情報501をバーコードリーダー12で読み取る。これにより、処方せん識別情報501は制御装置5へ送信され、制御装置5は、
図5に示すステップS2の情報取得処理部511による処理を実行する。以降、第1サブシステム31又は第1サブシステム31の作業者によって、
図5のステップS3~S12の処理が実行される。なお、第2サブシステム32によって処方せん薬剤対応付け情報504の監査済フラグ情報が「監査済」を示す情報に更新されている薬剤9は、ステップS8の判定処理部513による薬剤判定の対象から除外される。
【0080】
なお、本実施形態の薬剤監査システム3では、第2サブシステム32を前工程、第1サブシステム31を後工程とした構成としているが、これに限定されず、第1サブシステム31を前工程、第2サブシステム32を後工程とした構成でもよい。また、
図9に示すように、薬剤監査システム3は、第2サブシステム32の代わりに、薬剤監査システム2を備えていてもよい。
【0081】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施形態や実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な設計変更が可能なものである。
【符号の説明】
【0082】
1 薬剤監査システム
5 制御装置
6 処方せん
7 トレイ(収納容器)
8 収納場所
10 ラベル
12 バーコードリーダー(識別情報読取装置)
13 画像取得カメラ(画像取得装置)
25 ピッキング装置
251 薬剤識別情報読取装置
501 処方せん識別情報
502 薬剤情報
503 ラベル情報
504 処方せん薬剤対応付け情報
505 収納場所情報
506 薬剤画像情報
511 情報取得処理部
512 特定処理部
513 判定処理部
514 処方せん特定処理部
515 処方せん判定処理部
516 収納処理部