(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024111520
(43)【公開日】2024-08-19
(54)【発明の名称】電動アクチュエータ
(51)【国際特許分類】
H02K 11/215 20160101AFI20240809BHJP
H02K 7/116 20060101ALI20240809BHJP
【FI】
H02K11/215
H02K7/116
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023016075
(22)【出願日】2023-02-06
(71)【出願人】
【識別番号】000220505
【氏名又は名称】ニデックパワートレインシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100188673
【弁理士】
【氏名又は名称】成田 友紀
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(72)【発明者】
【氏名】白井 寛
(72)【発明者】
【氏名】加藤 瞬
【テーマコード(参考)】
5H607
5H611
【Fターム(参考)】
5H607BB01
5H607CC03
5H607CC07
5H607EE31
5H611AA01
5H611BB01
5H611PP07
5H611QQ01
5H611QQ02
5H611QQ03
5H611RR02
5H611TT01
5H611UA04
(57)【要約】 (修正有)
【課題】製造コストおよび製造工数が増大することを抑制できる電動アクチュエータを提供する。
【解決手段】本発明は、モータ部と、出力シャフトと、モータシャフトおよび出力シャフトと連結され、モータシャフトの回転を出力シャフトに伝達する伝達機構と、板面がモータ軸方向と直交する第1方向を向く基板と、モータシャフトの外周面に固定される第1マグネットと、出力シャフトの出力軸方向の端部に固定される第2マグネットと、第1マグネットの磁界を検出可能な第1磁気センサと、第2マグネットの磁界を検出可能な第2磁気センサと、を備える。基板は、第1マグネットおよび第2マグネットよりも第1方向の一方側に配置される。第1磁気センサおよび第2磁気センサは、基板に実装される。第1磁気センサは、第1マグネットの外周面と対向し、第2磁気センサは、第2マグネットと対向する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータ軸を中心として回転可能なモータシャフトを有するモータ部と、
モータ軸方向と交差する方向に延びる出力軸を中心として回転可能な出力シャフトと、
前記モータシャフトおよび前記出力シャフトと連結され、前記モータシャフトの回転を前記出力シャフトに伝達する伝達機構と、
板面がモータ軸方向と直交する第1方向を向く基板と、
前記モータシャフトの外周面に固定される第1マグネットと、
前記出力シャフトの出力軸方向の端部に固定される第2マグネットと、
前記第1マグネットの磁界を検出可能な第1磁気センサと、
前記第2マグネットの磁界を検出可能な第2磁気センサと、
を備え、
前記基板は、前記第1マグネットおよび前記第2マグネットよりも前記第1方向の一方側に配置され、
前記第1磁気センサおよび前記第2磁気センサは、前記基板に実装され、
前記第1磁気センサは、前記第1マグネットの外周面と対向し、前記第2磁気センサは、前記第2マグネットと対向する、電動アクチュエータ。
【請求項2】
前記第1マグネットは、前記モータ軸を中心とする円環状であり、
前記第1マグネットには、前記モータ軸を中心とする周方向に沿って互いに異なる磁極が隣り合って設けられ、
前記第2マグネットには、前記出力軸を中心とする周方向沿って互いに異なる磁極が隣り合って設けられる、請求項1に記載の電動アクチュエータ。
【請求項3】
前記基板は、前記第1磁気センサおよび前記第2磁気センサが実装される第1基板部を有し、
モータ軸方向に見て、前記第1基板部の少なくとも一部は、前記モータ部と重なる、請求項1または2に記載の電動アクチュエータ。
【請求項4】
前記基板は、前記第1基板部のモータ軸方向および前記第1方向の両方と直交する第2方向の一方側の部分からモータ軸方向一方側に延びる第2基板部を有し、
前記第2方向に見て、前記第2基板部の少なくとも一部は、前記モータ部と重なる、請求項3に記載の電動アクチュエータ。
【請求項5】
前記基板には、前記モータ部を駆動する駆動回路部が設けられる、請求項1または2に記載の電動アクチュエータ。
【請求項6】
前記伝達機構は、前記モータシャフトの外周面に設けられる駆動入力歯車部と、出力歯車部が設けられ前記出力軸を中心として回転可能な出力ギヤと、を有し、
前記駆動入力歯車部と前記出力歯車部とは互いに噛み合い、
前記出力ギヤは、前記出力シャフトと連結される、請求項1または2に記載の電動アクチュエータ。
【請求項7】
前記伝達機構は、前記モータシャフトの回転を減速して前記出力シャフトに伝達する減速機構である、請求項6に記載の電動アクチュエータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動アクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、モータに電力を供給する制御基板と別個に設けられるセンサ基板にモータの回転を検出する回転検出センサが実装され、制御基板とセンサ基板とをターミナルを介して電気的に接続する構成のモータが知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のモータでは、センサ基板およびターミナルを介して、制御基板と回転検出センサとを電気的に接続するため、モータの部品点数が増大するとともに、モータの製造コストが増大していた。また、モータの製造工程において、ターミナルを制御基板およびセンサ基板に半田等で接続する作業が必要であるため、モータの製造工数が増大していた。さらに、出力軸の回転を検出するセンサを設ける場合、該センサを実装する基板、および該基板と制御基板とを電気的に接続するためのターミナル等が追加的に必要になる虞があり、モータの製造コストおよび製造工数がさらに増大する虞があった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みて、製造コストおよび製造工数が増大することを抑制できる電動アクチュエータを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電動アクチュエータの一つの態様は、モータ軸を中心として回転可能なモータシャフトを有するモータ部と、モータ軸方向と交差する方向に延びる出力軸を中心として回転可能な出力シャフトと、前記モータシャフトおよび前記出力シャフトと連結され、前記モータシャフトの回転を前記出力シャフトに伝達する伝達機構と、板面がモータ軸方向と直交する第1方向を向く基板と、前記モータシャフトの外周面に固定される第1マグネットと、前記出力シャフトの出力軸方向の端部に固定される第2マグネットと、前記第1マグネットの磁界を検出可能な第1磁気センサと、前記第2マグネットの磁界を検出可能な第2磁気センサと、を備える。前記基板は、前記第1マグネットおよび前記第2マグネットよりも前記第1方向の一方側に配置される。前記第1磁気センサおよび前記第2磁気センサは、前記基板に実装される。前記第1磁気センサは、前記第1マグネットの外周面と対向し、前記第2磁気センサは、前記第2マグネットと対向する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一つの態様によれば、電動アクチュエータにおいて、製造コストおよび製造工数が増大することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、一実施形態の電動アクチュエータを示す断面図である。
【
図2】
図2は、一実施形態の電動アクチュエータの一部を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、一実施形態の電動アクチュエータを示す断面図であって、
図1におけるIII-III断面図である。
【
図4】
図4は、一実施形態の電動アクチュエータの伝達機構を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る電動アクチュエータについて説明する。なお、本発明の範囲は、以下の実施の形態に限定されず、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、実際の構造と各構造における縮尺や数等を異ならせる場合がある。
【0010】
各図面においては、適宜3次元直交座標系としてXYZ座標系を示す。XYZ座標系において、X軸方向は、正の側(+X側)を右側とし、負の側(-X側)を左側とする左右方向である。Y軸方向は、X軸方向と直交し、正の側(+Y側)を後側とし、負の側(-Y側)を前側とする前後方向である。Z軸方向は、X軸方向およびY軸方向の両方と直交し、正の側(+Z側)を上側とし、負の側(-Z側)を下側とする上下方向である。なお、左側、右側、前側、後側、上側、および下側は、単に各部の相対位置関係を説明するための名称であり、実際の配置関係等は、これらの名称で示される配置関係等以外の配置関係等であってもよい。
【0011】
各図に示すモータ軸J1が延びる方向は、X軸方向、すなわち左右方向と平行である。モータ軸J1は、仮想軸線である。以下の説明において、モータ軸J1と平行な方向を単に「モータ軸方向」と呼ぶ。また、モータ軸J1を中心とする径方向を単に「径方向」と呼ぶ。モータ軸J1を中心とする周方向を単に「周方向」と呼ぶ。本実施形態において、右側(+X側)はモータ軸方向一方側に相当し、左側(-X側)はモータ軸方向他方側に相当する。周方向は、各図において矢印θ1で示される。
【0012】
各図において、矢印D1で示す第1方向D1は、後述する基板70の板面が向く方向である。第1方向D1は、モータ軸J1と直交する方向である。本実施形態において、第1方向D1は、上下方向(Z軸方向)と平行である。以下の説明において、第1方向D1の矢印が向く側(+D1側)を「第1方向D1の一方側」または「上側」と呼び、第1方向D1の矢印が向く側と反対側(-D1側)を「第1方向D1の他方側」または「下側」と呼ぶ。なお、第1方向D1は、上下方向と平行でなくてもよく、第1方向D1は、上下方向と交差していてもよい。
【0013】
各図において、矢印D2で示す第2方向D2は、モータ軸方向および第1方向D1の両方と直交する方向である。本実施形態において、第2方向D2は、前後方向(Y軸方向)と平行である。以下の説明において、第2方向D2の矢印が向く側(+D2側)を「第2方向D2の一方側」または「後側」と呼び、第2方向D2の矢印が向く側と反対側(-D2側)を「第2方向D2の他方側」または「前側」と呼ぶ。なお、第2方向D2は、前後方向と平行でなくてもよく、例えば、第2方向D2は、前後方向と交差していてもよい。
【0014】
図1に示す本実施形態の電動アクチュエータ1は、車両に搭載される電動アクチュエータである。より詳細には、車両の運転者のシフト操作に基づいて駆動されるパーク・バイ・ワイヤ方式のアクチュエータ装置に搭載される。電動アクチュエータ1は、ケース10と、モータ部20と、伝達機構30と、出力シャフト38と、カバー部材60と、基板70と、第1マグネット81と、第2マグネット82と、第1磁気センサ76と、第2磁気センサ77と、を備える。
【0015】
ケース10は、モータ部20、伝達機構30、出力シャフト38、カバー部材60、基板70、第1マグネット81、第2マグネット82、第1磁気センサ76、および第2磁気センサ77を内部に収容する。ケース10は、モータ軸J1を囲む筒状である。ケース10は、収容部材11と、上蓋部材18と、側蓋部材19と、を有する。
【0016】
収容部材11は、モータ軸方向に延びる箱状である。収容部材11は、上側(+Z側)に開口する第1開口部11aを有する。第1開口部11aは、収容部材11の上端に固定される上蓋部材18によって塞がれる。収容部材11は、側壁部12と、底壁部17と、を有する。
【0017】
図2に示すように、側壁部12は、モータ部20、伝達機構30、出力シャフト38、基板70等の電動アクチュエータ1の各部を径方向外側から囲む。上下方向(Z軸方向)に見て、側壁部12は、長辺がモータ軸方向に延びる略矩形状である。側壁部12は、第1側壁部13と、第2側壁部14と、第3側壁部15と、第4側壁部16と、を有する。
【0018】
第1側壁部13は、側壁部12のモータ軸方向他方側(-X側)の部分である。第1側壁部13は、軸方向と直交する方向に広がる板状である。モータ軸方向に見て、第1側壁部13は、長辺が前後方向(Y軸方向)に延びる略矩形状である。モータ軸方向に見て、モータ軸J1は、第1側壁部13の前後方向の中央よりも前側(-Y側)の部分と重なる。第1側壁部13には、第1貫通孔13aと、側壁軸受保持部13bと、が設けられる。
【0019】
図1に示すように、第1貫通孔13aは、第1側壁部13をモータ軸方向に貫通する孔である。モータ軸方向に見て、第1貫通孔13aは、モータ軸J1を中心とする略円形状である。側壁軸受保持部13bは、第1側壁部13からモータ軸方向一方側(+X側)に突出する。
図2に示すように、側壁軸受保持部13bは、モータ軸J1を中心とする略半円筒状である。モータ軸方向に見て、側壁軸受保持部13bは、モータ軸J1よりも上側(+Z側)に位置する。
【0020】
第2側壁部14は、側壁部12の前側(-Y側)の部分である。第2側壁部14は、第1側壁部13の前側の端部からモータ軸方向一方側に延びる板状である。前後方向(Y軸方向)に見て、第2側壁部14は、長辺が軸方向に延びる略矩形状である。
【0021】
第3側壁部15は、側壁部12の後側(+Y側)の部分である。第3側壁部15は、第1側壁部13の後側の端部からモータ軸方向一方側に延びる板状である。前後方向に見て、第3側壁部15は、長辺が軸方向に延びる略矩形状である。第3側壁部15には、コネクタ取付部15aが設けられる。
【0022】
コネクタ取付部15aは、第3側壁部15のモータ軸方向一方側の部分から後側(+Y側)に突出する略四角筒状である。コネクタ取付部15aは、後側および前側(-Y側)に開口する。コネクタ取付部15aの内部は、第3側壁部15を前後方向(Y軸方向)に貫通する図示しない孔部を介して、ケース10の内部と繋がる。コネクタ取付部15aは、複数のコネクタピン78を保持する。
【0023】
第4側壁部16は、側壁部12のモータ軸方向一方側(+X側)の部分である。第4側壁部16は、モータ軸方向と直交する方向に広がる板状である。モータ軸方向に見て、第4側壁部16は、長辺が前後方向(Y軸方向)に延びる略矩形状である。モータ軸方向に見て、モータ軸J1は、第4側壁部16の前後方向の中央よりも前側(-Y側)の部分と重なる。第4側壁部16の前側の端部は、第2側壁部14のモータ軸方向一方側の端部と繋がる。第4側壁部16の後側(+Y側)の端部は、第3側壁部15のモータ軸方向一方側の端部と繋がる。
図1に示すように、第4側壁部16には、第2貫通孔16aが設けられる。第2貫通孔16aは、第4側壁部16をモータ軸方向に貫通する孔である。モータ軸方向に見て、第2貫通孔16aは、モータ軸J1を中心とする略円形状である。第2貫通孔16aの内周面には、第1軸受93が保持される。
【0024】
底壁部17は、モータ部20および伝達機構30の下側(-Z側)に配置される。上下方向(Z軸方向)に見て、底壁部17は、長辺が左右方向(X軸方向)に延びる略矩形状である。底壁部17の外縁は、側壁部12の下端と上下方向に繋がる。
図3に示すように、底壁部17は、モータ収容部17aと、シャフト収容部17bと、を有する。底壁部17には、複数の基板固定部17e、第1カバー固定部17f、第2カバー固定部17g、および底壁孔部17hが設けられる。
【0025】
モータ収容部17aは、モータ軸J1を中心としてモータ軸方向に延びる半円筒状である。モータ軸方向に見て、モータ収容部17aは、モータ軸J1よりも下側に配置される。
図1に示すように、モータ収容部17aは、底壁部17のモータ軸方向一方側(+X側)の部分に設けられる。モータ収容部17aの内部には、モータ部20の下側の部分が収容される。
【0026】
図3に示すように、シャフト収容部17bは、モータ軸J1を中心としてモータ軸方向に延びる略半円筒状である。モータ軸方向に見て、シャフト収容部17bは、モータ軸J1よりも下側に配置される。
図1に示すように、シャフト収容部17bは、底壁部17のモータ軸方向他方側(-X側)の部分に設けられる。シャフト収容部17bの内径は、モータ収容部17aの内径よりも小さい。シャフト収容部17bの内部には、後述するモータシャフト24のモータ軸方向他方側の部分が収容される。シャフト収容部17bの内周面のうちモータ軸方向他方側の部分は、側壁軸受保持部13bの内周面と繋がる。シャフト収容部17bの内周面のうちモータ軸方向他方側の部分および側壁軸受保持部13bの内周面には、第2軸受94が保持される。
【0027】
図2に示すように複数の基板固定部17eは、底壁部17から上側(+Z側)に向けて突出する略円柱状である。本実施形態において、底壁部17には、7個の基板固定部17eが設けられる。各基板固定部17eの上側を向く面には、下側(-Z側)に窪む雌ねじ穴が設けられる。
図3に示すように、第1カバー固定部17fは、底壁部17のモータ軸方向他方側(-X側)、且つ、後側(+Y側)の部分から上側に突出する板状である。
図4に示すように、第1カバー固定部17fは、伝達機構30よりもモータ軸方向他方側から伝達機構30よりも後側に向けて延びた後、伝達機構30のモータ軸方向一方側(+X側)に延びる。
図3に示すように、上下方向(Z軸方向)において、第1カバー固定部17fの上端は、基板固定部17eの上端よりも下側に位置する。
【0028】
第2カバー固定部17gは、シャフト収容部17bの前側(-Y側)の縁部から上側に突出する板状である。
図4に示すように、第2カバー固定部17gは、モータ軸方向に延びる。第2カバー固定部17gの板面は、前後方向を向く。
図3に示すように、上下方向において、第2カバー固定部17gの上端の位置は、第1カバー固定部17fの上端の位置と略同じ位置である。
【0029】
底壁孔部17hは、底壁部17のモータ軸方向他方側(-X側)、且つ、後側(+Y側)の部分を出力軸方向に貫通する孔である。出力軸方向に見て、底壁孔部17hは、出力軸J2を中心とする円形状である。
【0030】
なお、本実施形態において、各図に示す出力軸J2は、モータ軸方向と交差する方向に延びる仮想軸線である。本実施形態において、出力軸J2は、モータ軸方向と直交し、Z軸と平行な方向に延びる。本実施形態において、出力軸J2に平行な方向を単に「出力軸方向」と呼び、出力軸J2を中心とする径方向を単に「出力径方向」と呼び、出力軸J2を中心とする周方向を単に「出力周方向」と呼ぶ。出力周方向は、各図において矢印θ2で示される。
【0031】
図1および
図3に示すように、上蓋部材18は、収容部材11の上端に固定される。上蓋部材18は、収容部材11の第1開口部11aを上側(+Z側)から塞ぐ。上蓋部材18は、上下方向(Z軸方向)と直交する方向に広がる板状である。図示は省略するが、上下方向に見て、上蓋部材18は、長辺が左右方向(X軸方向)に延びる略矩形状である。上蓋部材18には、上蓋モータ収容部18aが設けられる。
【0032】
図3に示すように、上蓋モータ収容部18aは、上蓋部材18のうち、上側に突出する部分である。モータ軸方向に見て、上蓋モータ収容部18aは、モータ軸J1を中心とする円弧状である。
図1に示すように、上蓋モータ収容部18aは、上蓋部材18のモータ軸方向一方側(+X側)の部分に設けられる。図示は省略するが、上下方向に見て、上蓋モータ収容部18aは、モータ収容部17aと重なる。上蓋モータ収容部18aの内部には、モータ部20の上側の部分が収容される。
【0033】
側蓋部材19は、モータ軸J1を中心とする略円板状である。側蓋部材19の板面は、モータ軸方向を向く。側蓋部材19は、第2貫通孔16aに固定される。側蓋部材19は、第2貫通孔16aをモータ軸方向一方側(+X側)から塞ぐ。
【0034】
モータ部20は、モータケース40と、ロータ22と、ステータ23と、を有する。モータケース40は、ロータ22の上側(+Z側)の部分およびステータ23の上側の部分を内部に収容する。
図2に示すように、モータケース40は、モータケース本体41と、固定部42と、を有する。
【0035】
モータケース本体41は、モータ軸J1を中心としてモータ軸方向に延びる略半円筒状である
図1に示すように、モータケース本体41は、モータ軸方向他方側(-X側)およびモータ軸方向一方側(+X側)に開口する。モータケース本体41は、ロータ22の上側の部分およびステータ23の上側の部分を径方向外側から囲む。モータケース本体41の上側の部分は、上蓋モータ収容部18aの内部に位置する。
【0036】
図2に示すように、固定部42は、モータケース本体41から前後方向(Y軸方向)に突出する。本実施形態において、モータケース40は、5個の固定部42を有する。2個の固定部42は、モータケース本体41の後側(+Y側)の端部から後側に突出する。該2個の固定部42は、左右方向(X軸方向)に間隔をあけて配置される。3個の固定部42は、モータケース本体41の前側(-Y側)の端部から前側に突出する。該3個の固定部42は、左右方向に間隔をあけて配置される。各固定部42の下側(-Z側)を向く面は、底壁部17の上側(+Z側)を向く面と上下方向に接触する。各固定部42には、各固定部42を上下方向(Z軸方向)に貫通する図示しない孔が設けられる。各固定部42それぞれの孔にねじ99が上下方向に通され、各ねじ99が、底壁部17に設けられる図示しない雌ねじ穴に締め込まれると、各固定部42は、収容部材11に固定される。これにより、モータケース40は、収容部材11に固定される。
【0037】
ロータ22は、モータ軸J1を中心に回転可能である。
図1に示すように、ロータ22は、ロータコア22aと、複数のモータマグネット22bと、モータシャフト24と、を有する。ロータコア22aは、モータ軸J1を中心とする略円環状である。複数のモータマグネット22bのそれぞれは、ロータコア22aの外周面に固定される。複数のモータマグネット22bは、ロータコア22aの外周面に沿って配置される。
【0038】
モータシャフト24は、モータ軸J1を中心としてモータ軸方向に延びる略円柱状である。モータシャフト24の外周面のうちモータ軸方向一方側(+X側)の部分には、ロータコア22aが固定される。モータシャフト24のモータ軸方向他方側(-X側)の部分のうち下側(-Z側)の部分は、シャフト収容部17bの内部に位置する。モータシャフト24のモータ軸方向一方側の端部は、第1軸受93に回転可能に支持され、モータシャフト24のモータ軸方向他方側の端部は、第2軸受94に回転可能に支持される。これらにより、モータシャフト24は、モータ軸J1を中心として回転可能である。本実施形態において、第1軸受93および第2軸受94は、それぞれボールベアリングである。第1軸受93および第2軸受94は、ボールベアリング以外の転がり軸受であってもよいし、滑り軸受であってもよい。
【0039】
図1に示すように、ステータ23は、ロータ22の径方向外側に配置される。ステータ23は、ロータ22と径方向に隙間をあけて対向して配置される。ステータ23は、ステータコア23aと、ステータコア23aに装着されるインシュレータ23eと、インシュレータ23eを介してステータコア23aに装着される複数のコイル23fと、を有する。
【0040】
ステータコア23aは、モータ軸J1を中心とする略円環状である。ステータコア23aの外周面のうち下側(-Z側)の部分は、モータ収容部17aの内側面に固定される。ステータコア23aの外周面のうち上側(+Z側)の部分は、モータケース本体41の内側面に固定される。上述のように、モータケース40は、収容部材11に固定される。よって、ステータコア23aは、ケース10に固定される。複数のコイル23fのそれぞれは、基板70と電気的に接続される。複数のコイル23fのそれぞれには、基板70から電流が供給される。
【0041】
図2に示すように、カバー部材60は、上下方向(Z軸方向)と直交する方向に広がる板状である。
図3に示すように、カバー部材60は、第1カバー固定部17fおよび第2カバー固定部17gのそれぞれに固定される。これにより、カバー部材60は、ケース10に固定される。
図1および
図3に示すように、上下方向において、カバー部材60は、基板70よりも下側、且つ、モータシャフト24および伝達機構30よりも上側に配置される。
図2に示すように、カバー部材60は、モータケース40よりもモータ軸方向他方側(-X側)に配置される。上下方向に見て、カバー部材60は、伝達機構30およびモータシャフト24のモータ軸方向他方側の部分と重なる。カバー部材60には、切欠部60a、カバー孔部60b、および挿通孔60dが設けられる。
【0042】
切欠部60aは、カバー部材60のモータ軸方向一方側(+X側)の端部からモータ軸方向他方側(-X側)に延びる切欠である。上下方向(Z軸方向)に見て、切欠部60aは、略矩形状である。
図1に示すように、上下方向に見て、切欠部60aは、第1マグネット81と重なる。第1マグネット81は、切欠部60aを介してカバー部材60よりも上側に露出する。
【0043】
図2に示すように、カバー孔部60bは、カバー部材60を上下方向に貫通する孔である。上下方向に見て、カバー孔部60bは、出力軸J2を中心とする円形状である。カバー孔部60bには、出力シャフト38が上下方向に通されている。挿通孔60dは、カバー部材60を上下方向に貫通する孔である。本実施形態において、カバー部材60には、3個の挿通孔60dが設けられる。各挿通孔60dのそれぞれには、基板固定部17eが上下方向に通されている。
【0044】
図1に示すように、伝達機構30は、モータ部20のモータ軸方向他方側(-X側)に配置される。伝達機構30は、モータシャフト24および出力シャフト38と連結される。伝達機構30は、モータシャフト24の回転を出力シャフト38に伝達する。
図4に示すように、伝達機構30は、駆動入力歯車部25と、出力ギヤ31と、を有する。
【0045】
駆動入力歯車部25は、モータシャフト24の外周面に設けられる。より詳細には、駆動入力歯車部25は、モータシャフト24のモータ軸方向他方側(-X側)の部分の外周面に設けられる。駆動入力歯車部25は、モータ軸J1を中心として回転可能である。本実施形態において、駆動入力歯車部25は、モータ軸方向に沿って螺旋状に延びるウォームギヤである。
【0046】
出力ギヤ31は、モータシャフト24の回転を出力シャフト38に伝達する。出力ギヤ31は、出力軸J2を中心として回転可能である。出力ギヤ31は、出力ギヤ本体部31aと、出力歯車部31bと、を有する。出力ギヤ本体部31aは、出力軸J2を中心とする略扇形状の板状である。出力ギヤ本体部31aの板面は、上下方向(Z軸方向)を向く。
図3に示すように、出力ギヤ31の上側(+Z側)を向く面は、カバー部材60の下側(-Z側)を向く面と上下方向に接触する。出力ギヤ31の下側を向く面は、底壁部17の上側を向く面と上下方向に接触する。これにより、出力ギヤ31の上下方向の位置が決まる。
【0047】
図4に示すように、出力歯車部31bは、出力ギヤ本体部31aの外周面に設けられる。より詳細には、出力歯車部31bは、出力ギヤ本体部31aのうち駆動入力歯車部25に向かって突出する部分の先端部における外周面に設けられる。出力歯車部31bは、出力ギヤ本体部31aの外周面のうち、略扇形状の出力ギヤ本体部31aの弧となる部分に設けられている。出力歯車部31bは、出力軸J2を中心とする円弧状に延びる。出力歯車部31bは、出力周方向に並ぶ複数の出力歯部31cを有する。出力歯車部31bと駆動入力歯車部25とは互いに噛み合う。これにより、モータシャフト24の回転が出力ギヤ31に伝達される。本実施形態では、モータシャフト24の回転が出力ギヤ31に減速されて伝達される。
【0048】
出力シャフト38には、伝達機構30を介して、モータシャフト24の回転が伝達される。
図3に示すように、出力シャフト38は、出力軸J2を中心として出力軸方向に延びる略円柱状である。出力シャフト38は、出力ギヤ本体部31aの内部をモータ軸方向に通される。本実施形態において、出力シャフト38の外周面は、出力ギヤ本体部31aと繋がる。これにより、出力シャフト38は、出力ギヤ31と連結される。本実施形態において、出力シャフト38と出力ギヤ31とは、同一の単一部材の一部である。なお、出力シャフト38と出力ギヤ31とは、互いに別個の部材であってもよく、この場合、例えば、出力シャフト38は出力ギヤ本体部31aを出力軸方向に貫通する孔に通され、出力シャフト38の外周面が孔の内周面に固定されると、出力シャフト38は、出力ギヤ31と連結される。上述のように、本実施形態では、モータシャフト24の回転が出力ギヤ31に減速されて伝達されるため、出力シャフト38には、モータシャフト24の回転が減速して伝達される。
【0049】
出力シャフト38の上側(+Z側)の部分は、カバー部材60のカバー孔部60bを出力軸方向に通される。出力軸方向において、出力シャフト38の上側の端部は、カバー部材60と基板70との間に位置する。出力シャフト38の外周面のうち、出力ギヤ31よりも上側の部分は、カバー孔部60bの内周面に支持される。出力シャフト38の外周面のうち、出力ギヤ31よりも下側(-Z側)の部分は、底壁部17の底壁孔部17hの内周面に支持される。これらにより、出力シャフト38は、出力軸J2を中心に回転可能である。出力シャフト38には、連結凹部38dが設けられる。
【0050】
連結凹部38dは、出力シャフト38の下側(-Z側)を向く面から上側(+Z側)に窪む。連結凹部38dは、ケース10の外部に露出している。図示は省略するが、出力軸方向に見て、連結凹部38dは、長穴状である。連結凹部38dの内部に、図示しない被駆動部材が挿入されると、出力シャフト38と被駆動部材とが連結される。実施形態において、被駆動部材は、車両のマニュアルシャフトである。電動アクチュエータ1は、運転者のシフト操作に基づいてマニュアルシャフトを駆動し、車両のギヤを切り換える。
【0051】
本実施形態によれば、伝達機構30は、モータシャフト24の外周面に設けられる駆動入力歯車部25と、出力歯車部31bが設けられ出力軸J2を中心として回転可能な出力ギヤ31と、を有し、駆動入力歯車部25と出力歯車部31bとは互いに噛み合い、出力ギヤ31は、出力シャフト38と連結される。よって、駆動入力歯車部25および出力ギヤ31のみによって構成される伝達機構30を介して、モータシャフト24の回転軸であるモータ軸J1と交差する方向に延びる出力軸J2を中心として回転する出力シャフト38に対して、モータシャフト24の回転を伝達できる。そのため、伝達機構30が大型化することを抑制できるとともに、伝達機構30の部品点数が増大することを抑制できる。したがって、電動アクチュエータ1が大型化することを抑制できるとともに、電動アクチュエータ1の製造コストが増大することを抑制できる。
【0052】
本実施形態によれば、伝達機構30は、モータシャフト24の回転を減速して出力シャフト38に伝達する減速機構である。したがって、モータシャフト24の回転トルクに対して、出力シャフト38の回転トルクを増大させることができるため、被駆動部材、すなわち車両のマニュアルシャフトを円滑に駆動させることができる。
【0053】
図1に示すように、第1マグネット81は、モータ軸J1を中心とする円環状である。第1マグネット81は、モータシャフト24のうち、ロータコア22aよりもモータ軸方向他方側(-X側)、かつ、駆動入力歯車部25よりもモータ軸方向一方側(+X側)の部分を囲む。第1マグネット81は、モータシャフト24の外周面に固定される。これにより、第1マグネット81は、ロータ22と共にモータ軸J1を中心として回転可能である。
図2に示すように、第1マグネット81は、カバー部材60の切欠部60aを介して、カバー部材60の上側(+Z側)に露出する。第1マグネット81には、周方向に沿って互いに異なる磁極が隣り合って設けられる。本実施形態において、第1マグネット81には、1対の互いに異なる磁極が設けられる。第1マグネット81には、2対以上の互いに異なる磁極が設けられてもよい。
【0054】
本実施形態において、第2マグネット82は、出力軸J2を中心とする略円板状である。第2マグネット82は、出力軸J2を中心とする円環板状等の他の形状であってもよい。第2マグネット82の板面は、上下方向(Z軸方向)を向く。第2マグネット82は、出力シャフト38の上側(+Z側)を向く面に固定される。すなわち、第2マグネット82は、出力シャフト38の出力軸方向の端部に固定される。これにより、第2マグネット82は、出力シャフト38と共に出力軸J2を中心として回転可能である。第2マグネット82には、出力周方向に沿って互いに異なる磁極が隣り合って設けられる。本実施形態において、第2マグネット82には、1対の互いに異なる磁極が設けられる。第2マグネット82には、2対以上の互いに異なる磁極が設けられてもよい。
【0055】
図1に示すように、フィルタ部材90は、ケース10の第1貫通孔13aに取り付けられる。フィルタ部材90は、ケース10の内部とケース10の外部とを通気可能なフィルタである。フィルタ部材90によって、ケース10の内部の気圧を安定させることができる。本実施形態において、フィルタ部材90は、例えば、ブリーザである。フィルタ部材90と、第1貫通孔13aの内周面との間には、Oリング91が配置される。Oリング91は、フィルタ部材90と第1貫通孔13aの内周面とに接触して、フィルタ部材90とケース10との間を封止する。
【0056】
基板70は、コイル23fに供給される直流電流を制御する。
図2に示すように、本実施形態において、基板70は、略L字状の板状である。基板70の板面は、モータ軸J1と直交する第1方向D1を向く。本実施形態において、基板70の板面は、上下方向(Z軸方向)を向く。
図1に示すように、基板70は、カバー部材60および伝達機構30よりも上側に配置される。基板70は、第1マグネット81および第2マグネット82よりも上側、すなわち第1方向D1の一方側に配置される。図示は省略するが、基板70は、コイル23fと電気的に接続されている。
図2に示すように、基板70には、基板孔部70fが設けられる。基板70は、第1基板部70bと、第2基板部70cと、を有する。
【0057】
基板孔部70fは、基板70を上下方向(Z軸方向)に貫通する孔である。本実施形態において、基板70には、7個の基板孔部70fが設けられる。上下方向に見て、各基板孔部70fのそれぞれは、基板固定部17eと重なる。ねじ98が各基板孔部70fを上下方向に通され、各基板固定部17eの図示しない雌ねじ穴に締め込まれると、基板70は、各基板固定部17eに固定される。これにより、基板70は、ケース10に固定される。
【0058】
第1基板部70bは、基板70のうち、モータ軸方向他方側(-X側)の部分である。上下方向に見て、第1基板部70bは、長辺が前後方向(Y軸方向)に延びる略長方形状である。第1基板部70bは、モータケース40よりもモータ軸方向他方側に配置される。第1基板部70bは、第1マグネット81および第2マグネット82の上側(+Z側)に配置される。第1基板部70bは、第1マグネット81および第2マグネット82のそれぞれと上下方向に対向する。
図3に示すように、モータ軸方向に見て、第1基板部70bの前側(-Y側)の部分は、モータ部20と重なる。すなわち、本実施形態によれば、モータ軸方向に見て、第1基板部70bの少なくとも一部は、モータ部20と重なる。よって、第1基板部70bがモータ部20よりも径方向の外側に配置される場合と比較して、第1基板部70bを、モータ軸J1に近づけて配置できる。したがって、電動アクチュエータ1が径方向に大型化することを抑制できる。
【0059】
図2に示すように、第2基板部70cは、基板70のうち、モータ軸方向一方側(+X側)の部分である。上下方向(Z軸方向)に見て、第2基板部70cは、長辺がモータ軸方向に延びる略長方形状である。第2基板部70cは、第1基板部70bの第2方向D2の一方側の部分からモータ軸方向一方側に延びる。第2基板部70cは、モータケース40よりも後側(+Y側)に位置する。本実施形態によれば、第2方向D2に見て、第2基板部70cの一部は、モータ部20と重なる。よって、第2基板部70cがモータ部20よりも上側、すなわち第1方向D1の一方側(+D1側)、またはモータ部20よりも下側、すなわち第1方向D1の他方側(-D1側)に配置される場合と比較して、電動アクチュエータ1が第1方向D1に大型化することを抑制できる。
【0060】
第2基板部70cには、駆動回路部70dが設けられる。駆動回路部70dは、複数の絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(IGBT)等の図示しない複数の電子素子を有する。駆動回路部70dは、コネクタピン78を介して、図示しない外部電源と電気的に接続される。駆動回路部70dは、外部電源から供給された電流によって、コイル23fに供給する電流を生成する。図示は省略するが、駆動回路部70dは、コイル23fと電気的に接続され、コイル23fに生成した電流を供給する。これにより、駆動回路部70dは、モータ部20を駆動する。本実施形態では、前後方向(Y軸方向)において、駆動回路部70dは、コネクタ取付部15aと、モータ部20との間に配置される。よって、外部電源と接続されるコネクタピン78と駆動回路部70dとの間の距離、および駆動回路部70dとモータ部20との間の距離を短くし易い。そのため、コネクタピン78とコイル23fとを電気的に接続する、ケーブル等の構成および基板70の回路パターンの簡素化を図り易い。したがって、電動アクチュエータ1の製造コストおよび製造工数が増大することを抑制できる。
【0061】
第1磁気センサ76および第2磁気センサ77のそれぞれは、基板70に実装される。より詳細には、第1磁気センサ76および第2磁気センサ77のそれぞれは、第1基板部70bの下側(-Z側)を向く面に実装される。
図1に示すように、第1磁気センサ76は、カバー部材60の切欠部60aを介して、第1マグネット81と上下方向(Z軸方向)に対向する。より詳細には、第1磁気センサ76は、第1マグネット81の外周面と上下方向に対向する。第1磁気センサ76は、第1マグネット81の磁界を検出可能な磁気センサである。上述のように、第1マグネット81には、周方向に沿って互いに異なる磁極が隣り合って設けられるため、第1マグネット81がモータシャフト24と共にモータ軸J1周りに回転すると、第1磁気センサ76は、第1マグネット81の磁界の変化を検出できる。これにより、第1磁気センサ76は、第1マグネット81の周方向の位置を検出できるため、モータシャフト24の回転を検出できる。
【0062】
第2磁気センサ77は、第2マグネット82と上下方向(Z軸方向)に対向する。より詳細には、第2磁気センサ77は、第2マグネット82の上側(+Z側)を向く面と上下方向に対向する。第2磁気センサ77は、第2マグネット82の磁界を検出可能な磁気センサである。上述のように、第2マグネット82には、出力周方向に沿って互いに異なる磁極が隣り合って設けられるため、第2マグネット82が出力シャフト38と共に出力軸J2周りに回転すると、第2磁気センサ77は、第2マグネット82の磁界の変化を検出できる。これにより、第2磁気センサ77は、第2マグネット82の出力周方向の位置を検出できるため、出力シャフト38の回転を検出できる。本実施形態において、第1磁気センサ76および第2磁気センサ77は、例えば、ホールICなどのホール素子を備えた磁気センサであってもよいし、MR(Magnetic Resistance)センサ素子を備えた磁気センサであってもよい。
【0063】
本実施形態によれば、基板70は、第1マグネット81および第2マグネット82よりも上側、すなわち第1方向D1の一方側(+D1側)に配置され、第1磁気センサ76および第2磁気センサ77は、基板70に実装され、第1磁気センサ76は、第1マグネット81の外周面と対向し、第2磁気センサ77は、第2マグネット82と対向する。よって、基板70に第1磁気センサ76および第2磁気センサ77の両方が実装されるため、第1磁気センサ76および第2磁気センサ77の少なくとも一方が基板70と異なるセンサ基板に実装される場合と比較して、基板70とセンサ基板とを接続するためのリード線およびバスバー等の部材を設ける必要が無い。そのため、電動アクチュエータ1の部品点数が増大することを抑制できる。したがって、電動アクチュエータ1の製造コストが増大することを抑制できる。また、電動アクチュエータ1の製造工程において、例えば、半田付け等によって、リード線およびバスバー等の部材を基板70およびセンサ基板に接続する作業が不要であるため、電動アクチュエータ1の製造工数が増大することを抑制できる。
【0064】
また、本実施形態では、モータシャフト24は、モータ軸J1を中心として回転し、出力シャフト38は、モータ軸J1と交差する出力軸J2を中心として回転する。したがって、モータシャフト24のモータ軸方向端部に固定された第1マグネット81に対して、第1磁気センサ76がモータ軸方向に対向して配置され、出力シャフト38の出力軸方向端部に固定された第2マグネット82に対して、第2磁気センサ77が出力軸方向に対向して配置される構成では、第1磁気センサ76および第2磁気センサ77を同一の基板に配置することが難しい。これに対して、本実施形態では、第1磁気センサ76は、第1マグネット81の径方向を向く外周面と対向して配置され、第2磁気センサ77は、第2マグネット82の出力軸方向を向く面と対向して配置されるため、第1磁気センサ76および第2磁気センサ77のそれぞれを、第1マグネット81および第2マグネット82のそれぞれと上下方向、すなわち第1方向D1に対向して配置できる。したがって、第1磁気センサ76および第2磁気センサ77の両方を同一の基板70に容易に実装しつつ、第1磁気センサ76および第2磁気センサ77によって、モータシャフト24および出力シャフト38それぞれの回転を検出できる。よって、上述のように、電動アクチュエータ1の製造コストおよび製造工数が増大することを抑制できる。
【0065】
また、本実施形態では、第1磁気センサ76によってモータシャフト24の回転を検出可能であり、さらに、第2磁気センサ77によって出力シャフト38の回転を検出可能である。そのため、モータシャフト24の回転または出力シャフト38の回転の一方のみを検出する構成と比較して、出力シャフト38の回転角度をより好適に安定させることができる。したがって、被駆動部材、すなわち車両のマニュアルシャフトの回転角度の精度をより好適に高めることができる。
【0066】
本実施形態によれば、第1マグネット81は、モータ軸J1を中心とする円環状であり、第1マグネット81には、周方向、すなわちモータ軸J1を中心とする周方向に沿って互いに異なる磁極が隣り合って設けられ、第2マグネット82には、出力周方向、すなわち出力軸J2を中心とする周方向沿って互いに異なる磁極が隣り合って設けられる。よって、第1マグネット81がモータシャフト24と共にモータ軸J1周りに回転すると、第1磁気センサ76によって、第1マグネット81の磁界の変化を検出できるため、モータシャフト24の回転を検出できる。また、第2マグネット82が出力シャフト38と共に出力軸J2周りに回転すると、第2磁気センサ77によって、第2マグネット82の磁界の変化を検出できるため、出力シャフト38の回転を検出できる。したがって、第1磁気センサ76および第2磁気センサ77によって、モータシャフト24および出力シャフト38それぞれの回転を好適に検出できるため、出力シャフト38の回転角度をより好適に安定させることができる。
【0067】
本実施形態によれば、基板70には、モータ部20を駆動する駆動回路部70dが設けられる。よって、1つの基板70に、第1磁気センサ76、第2磁気センサ77、および駆動回路部70dが実装されるため、第1磁気センサ76、第2磁気センサ77、および駆動回路部70dの少なくとも1つが、基板70と異なる基板に実装される場合と比較して、各基板同士を接続するためのリード線およびバスバー等の部材が不要である。また、基板70の数が増えることを抑制できる。そのため、電動アクチュエータ1の部品点数が増大することを抑制できる。したがって、電動アクチュエータ1の製造コストが増大することを抑制できる。また、電動アクチュエータ1の製造工程において、例えば、半田付け等によって、リード線およびバスバー等の部材と各基板同士とを接続する作業が不要であるため、電動アクチュエータ1の製造工数が増大することを抑制できる。
【0068】
以上に、本発明の実施形態を説明したが、実施形態における各構成およびそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換およびその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されることはない。
【0069】
伝達機構の構成は、本実施形態に限定されず、例えば、伝達機構は、駆動入力歯車部の回転を出力ギヤに伝達する、中間ギヤ等の他の部材を有していてもよい。中間ギヤが、歯数が互いに異なる複数の歯車部を有する段ギヤである場合、モータシャフトの回転に対する出力シャフトの回転の減速比の設定範囲の自由度を高めることができる。
【0070】
本発明が適用される電動アクチュエータの用途は、特に限定されない。電動アクチュエータは、運転者のシフト操作に基づいて駆動されるシフト・バイ・ワイヤ方式のアクチュエータ装置に搭載されてもよい。また、電動アクチュエータは、車両以外の機器に搭載されてもよい。なお、以上に、本明細書において説明した各構成は、相互に矛盾しない範囲内において、適宜組み合わせることができる。
【0071】
なお、本技術は以下のような構成をとることが可能である。
(1) モータ軸を中心として回転可能なモータシャフトを有するモータ部と、モータ軸方向と交差する方向に延びる出力軸を中心として回転可能な出力シャフトと、前記モータシャフトおよび前記出力シャフトと連結され、前記モータシャフトの回転を前記出力シャフトに伝達する伝達機構と、板面がモータ軸方向と直交する第1方向を向く基板と、前記モータシャフトの外周面に固定される第1マグネットと、前記出力シャフトの出力軸方向の端部に固定される第2マグネットと、前記第1マグネットの磁界を検出可能な第1磁気センサと、前記第2マグネットの磁界を検出可能な第2磁気センサと、を備え、前記基板は、前記第1マグネットおよび前記第2マグネットよりも前記第1方向の一方側に配置され、前記第1磁気センサおよび前記第2磁気センサは、前記基板に実装され、前記第1磁気センサは、前記第1マグネットの外周面と対向し、前記第2磁気センサは、前記第2マグネットと対向する、電動アクチュエータ。
(2) 前記第1マグネットは、前記モータ軸を中心とする円環状であり、前記第1マグネットには、前記モータ軸を中心とする周方向に沿って互いに異なる磁極が隣り合って設けられ、前記第2マグネットには、前記出力軸を中心とする周方向沿って互いに異なる磁極が隣り合って設けられる、(1)に記載の電動アクチュエータ。
(3) 前記基板は、前記第1磁気センサおよび前記第2磁気センサが実装される第1基板部を有し、モータ軸方向に見て、前記第1基板部の少なくとも一部は、前記モータ部と重なる、(1)または(2)に記載の電動アクチュエータ。
(4) 前記基板は、前記第1基板部のモータ軸方向および前記第1方向の両方と直交する第2方向の一方側の部分からモータ軸方向一方側に延びる第2基板部を有し、前記第2方向に見て、前記第2基板部の少なくとも一部は、前記モータ部と重なる、(3)に記載の電動アクチュエータ。
(5) 前記基板には、前記モータ部を駆動する駆動回路部が設けられる、(1)から(4)のいずれか一項に記載の電動アクチュエータ。
(6) 前記伝達機構は、前記モータシャフトの外周面に設けられる駆動入力歯車部と、出力歯車部が設けられ前記出力軸を中心として回転可能な出力ギヤと、を有し、前記駆動入力歯車部と前記出力歯車部とは互いに噛み合い、前記出力ギヤは、前記出力シャフトと連結される、(1)から(5)のいずれか一項に記載の電動アクチュエータ。
(7) 前記伝達機構は、前記モータシャフトの回転を減速して前記出力シャフトに伝達する減速機構である、(1)から(6)のいずれか一項に記載の電動アクチュエータ。
【符号の説明】
【0072】
1…電動アクチュエータ、20…モータ部、24…モータシャフト、25…駆動入力歯車部、30…伝達機構、31…出力ギヤ、31b…出力歯車部、38…出力シャフト、70…基板、70b…第1基板部、70c…第2基板部、70d…駆動回路部、76…第1磁気センサ、77…第2磁気センサ、81…第1マグネット、82…第2マグネット、D1…第1方向、D2…第2方向、J1…モータ軸、J2…出力軸