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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024111528
(43)【公開日】2024-08-19
(54)【発明の名称】工業炉及び工業炉の燃料供給方法
(51)【国際特許分類】
   F23C 1/00 20060101AFI20240809BHJP
   F23K 5/00 20060101ALI20240809BHJP
【FI】
F23C1/00 301
F23K5/00 302
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023016088
(22)【出願日】2023-02-06
(71)【出願人】
【識別番号】592017002
【氏名又は名称】三建産業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】503360115
【氏名又は名称】国立研究開発法人科学技術振興機構
(74)【代理人】
【識別番号】100105175
【弁理士】
【氏名又は名称】山広 宗則
(74)【代理人】
【識別番号】100105197
【弁理士】
【氏名又は名称】岩本 牧子
(72)【発明者】
【氏名】三宅 智久
(72)【発明者】
【氏名】園田 高久
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 順一
【テーマコード(参考)】
3K068
3K091
【Fターム(参考)】
3K068AA01
3K068AA02
3K068AA03
3K068BA03
3K068BB05
3K068BB12
3K068CA24
3K068EA03
3K091AA20
3K091BB07
3K091BB26
3K091CC06
3K091CC23
3K091DD02
3K091DD10
(57)【要約】
【課題】簡易な設備でアンモニアを効率的に燃焼させる工業炉及び工業炉の燃料供給方法を提供する。
【解決手段】炉壁3に設けられたバーナ10に、第一開閉弁31付きの第一配管11を介してアンモニアと、第二開閉弁32付きの第二配管12を介してガス燃料と、エア用開閉弁33付きのエア配管13を介して燃焼用空気をそれぞれ供給してアンモニアとガスを混焼させる工業炉であって、第二配管12から第三開閉弁35付きの第三配管15を分岐させ、第三配管15をバーナ10と第一配管11に設けられた第一開閉弁31との間に接続した。バーナ10の消火前には、第一開閉弁31をオフするとともに、第二開閉弁32及び第三開閉弁35をオンして、第一配管11のバーナ10と第一開閉弁31間のアンモニアをガス燃料と置換しアンモニアを炉内に排出させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炉壁に設けられたバーナに、第一開閉弁付きの第一配管を介してアンモニアと、第二開閉弁付きの第二配管を介してガス燃料と、エア用開閉弁付きのエア配管を介して燃焼用空気をそれぞれ供給してアンモニアとガスを混焼させる工業炉であって、
前記第二配管から第三開閉弁付きの第三配管を分岐させ、前記第三配管を前記バーナと前記第一配管に設けられた第一開閉弁との間に接続したことを特徴とする工業炉。
【請求項2】
炉壁に設けられたバーナに、第一開閉弁付きの第一配管を介してアンモニアと、第二開閉弁付きの第二配管を介してガス燃料と、エア用開閉弁付きのエア配管を介して燃焼用空気をそれぞれ供給してアンモニアとガスを混焼させる工業炉の燃料供給方法であって、
前記第二配管から第三開閉弁付きの第三配管を分岐させ、前記第三配管を前記バーナと前記第一配管に設けられた第一開閉弁との間に接続し、
前記バーナの消火前には、前記第一開閉弁をオフするとともに、前記第二開閉弁及び前記第三開閉弁をオンして、前記第一配管の前記バーナと前記第一開閉弁間のアンモニアをガス燃料と置換しアンモニアを炉内に排出させるようにしたことを特徴とする工業炉の燃料供給方法。
【請求項3】
前記アンモニアをガス燃料と置換した後、前記第二開閉弁及び第三開閉弁をオフして消火することを特徴とする請求項2に記載の工業炉の燃料供給方法。
【請求項4】
前記バーナの着火前には、前記第一開閉弁をオフし、前記エア用開閉弁をオンするとともに、前記第二開閉弁及び第三開閉弁をオンして、前記第一配管の前記バーナと前記第一開閉弁間をガス燃料だけとし、着火後に、前記第一開閉弁をオンするとともに前記第三開閉弁をオフしてアンモニアを炉内に供給するようにしたことを特徴とする請求項2又は3に記載の工業炉の燃料供給方法。
【請求項5】
炉壁に設けられたバーナに、第一開閉弁付きの第一配管を介してアンモニアと、第二開閉弁付きの第二配管を介してガス燃料と、エア用開閉弁付きのエア配管を介して燃焼用空気をそれぞれ供給してアンモニアとガスを混焼させる工業炉の燃料供給方法であって、
前記第二配管から第三開閉弁付きの第三配管を分岐させ、前記第三配管を前記バーナと前記第一配管に設けられた第一開閉弁との間に接続し、
前記バーナの着火前には、前記第一開閉弁をオフし、前記エア用開閉弁をオンするとともに、前記第二開閉弁及び第三開閉弁をオンして、前記第一配管の前記バーナと前記第一開閉弁間をガス燃料だけとし、着火後に、前記第一開閉弁をオンするとともに前記第三開閉弁をオフしてアンモニアを炉内に供給するようにしたことを特徴とする工業炉の燃料供給方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンモニアとガスを混焼させる工業炉及びその工業炉の燃料供給方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化抑制の観点から、燃焼しても二酸化炭素を発生しないアンモニアが新たな燃料として注目を集めているが、アンモニアを化石燃料と混合したりアンモニアだけで燃焼させると窒素酸化物(NOX)の排出量が増大することが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の燃焼装置は、石炭にアンモニアを加えて燃焼する場合の窒素酸化物増大の課題を解決するものである。
【0004】
一般的には、図4に示すように、工業炉1の炉体2の側壁3に設けられたバーナ10に対して、アンモニア(NH3)と、ガス燃料と、燃焼用空気がそれぞれ供給されている。アンモニア(NH3)は、アンモニア供給装置21から第一配管11を介してバーナ10に送られ第一配管11には途中、第一開閉弁(電磁弁)31が設けられている。ガス燃料は、都市ガスやプロパンガスなどといった既存のガス(従来燃料)からなり、ガス供給装置22から第二配管12を介してバーナ10に送られ第二配管12には途中、第二開閉弁(電磁弁)32が設けられている。燃焼用空気は、外気がブロワ23でエア配管13を介してバーナ10に送られエア配管13には途中、エア用開閉弁(電磁弁)33が設けられている。
【0005】
このようにアンモニアを扱った工業炉ではアンモニアの燃焼を停止し消火した場合、配管(ここでは第一配管11)内にアンモニアが残ってしまう。特に、アンモニアは有毒なため漏洩した場合には人体に悪影響を及ぼす危険性がある。
【0006】
そこで、図5に示すように、第一配管11内のアンモニアを窒素で置換する方法が知られている。
これは、窒素供給装置24から窒素(N2)を供給する窒素用配管14の端部を、バーナ10と第一配管11の第一開閉弁31の間に接続して、アンモニアの燃焼を停止し消火する場合には、第一開閉弁31をオフ(閉鎖)するとともに、窒素用配管14に設けられた窒素用開閉弁34をオン(開放)して、窒素(N2)を第一配管11の第一開閉弁31からバーナ10側に充填することでアンモニアを窒素で置換させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第7020759号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、アンモニアを窒素で置換させる方法では、窒素供給装置24とともに窒素をあらたに設ける必要がある。
また、アンモニアの燃焼を再開する場合には、第一配管11に充填された窒素をまず排出させる必要があるので着火までに時間がかかるといった問題がある。
【0009】
そこで、本発明の目的とするところは、簡易な設備でアンモニアを効率的に燃焼させる工業炉及び工業炉の燃料供給方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、本発明の工業炉は、炉壁(3)に設けられたバーナ(10)に、第一開閉弁(31)付きの第一配管(11)を介してアンモニアと、第二開閉弁(32)付きの第二配管(12)を介してガス燃料と、エア用開閉弁(33)付きのエア配管(13)を介して燃焼用空気をそれぞれ供給してアンモニアとガスを混焼させる工業炉(1)であって、
前記第二配管(12)から第三開閉弁(35)付きの第三配管(15)を分岐させ、前記第三配管(15)を前記バーナ(10)と前記第一配管(11)に設けられた第一開閉弁(31)との間に接続したことを特徴とする。
【0011】
また本発明の工業炉の燃料供給方法は、炉壁(3)に設けられたバーナ(10)に、第一開閉弁(31)付きの第一配管(11)を介してアンモニアと、第二開閉弁(32)付きの第二配管(12)を介してガス燃料と、エア用開閉弁(33)付きのエア配管(13)を介して燃焼用空気をそれぞれ供給してアンモニアとガスを混焼させる工業炉(1)の燃料供給方法であって、
前記第二配管(12)から第三開閉弁(35)付きの第三配管(15)を分岐させ、前記第三配管(15)を前記バーナ(10)と前記第一配管(11)に設けられた第一開閉弁(31)との間に接続し、
前記バーナ(10)の消火前には、前記第一開閉弁(31)をオフするとともに、前記第二開閉弁(32)及び第三開閉弁(35)をオンして、前記第一配管(11)の前記バーナ(10)と前記第一開閉弁(31)間のアンモニアをガス燃料と置換しアンモニアを炉内に排出させるようにしたことを特徴とする。
なお、ここで第二開閉弁(32)をオンするとは、オフをオンすることに加え、オンの状態を維持することも含まれる。通常、消火前の燃焼時では、第二開閉弁(32)はオンの状態である。
【0012】
また本発明は、前記アンモニアをガス燃料と置換した後、前記第二開閉弁(32)及び第三開閉弁(35)をオフして消火することを特徴とする。
【0013】
また本発明は、前記バーナ(10)の着火前には、前記第一開閉弁(31)をオフし、前記エア用開閉弁(33)をオンするとともに、前記第二開閉弁(32)及び第三開閉弁(35)をオンして、前記第一配管(11)の前記バーナ(10)と前記第一開閉弁(31)間をガス燃料だけとし、着火後に、前記第一開閉弁(31)をオンするとともに前記第三開閉弁(35)をオフしてアンモニアを炉内に供給するようにしたことを特徴とする。
なお、ここで第一開閉弁(31)をオフするとは、オンをオフすることに加え、オフの状態を維持することも含む。消火時に第一開閉弁(31)はオフにされるので通常はオフの状態である。
【0014】
また本発明は、炉壁(3)に設けられたバーナ(10)に、第一開閉弁(31)付きの第一配管(11)を介してアンモニアと、第二開閉弁(32)付きの第二配管(12)を介してガス燃料と、エア用開閉弁(33)付きのエア配管(13)を介して燃焼用空気をそれぞれ供給してアンモニアとガスを混焼させる工業炉(1)の燃料供給方法であって、
前記第二配管(12)から第三開閉弁(35)付きの第三配管(15)を分岐させ、前記第三配管(15)を前記バーナ(10)と前記第一配管(11)に設けられた第一開閉弁(31)との間に接続し、
前記バーナ(10)の着火前には、前記第一開閉弁(31)をオフし、前記エア用開閉弁(33)をオンするとともに、前記第二開閉弁(32)及び第三開閉弁(35)をオンして、前記第一配管(11)の前記バーナ(10)と前記第一開閉弁(31)間をガス燃料だけとし、着火後に、前記第一開閉弁(31)をオンするとともに前記第三開閉弁(35)をオフしてアンモニアを炉内に供給するようにしたことを特徴とする。
なお、ここで第一開閉弁(31)をオフするとは、オンをオフすることに加え、オフの状態を維持することも含む。消火時に第一開閉弁(31)はオフにされるので通常はオフの状態である。
【0015】
なお、上記括弧内の記号は、図面および後述する発明を実施するための形態に掲載された対応要素または対応事項を示す。
【発明の効果】
【0016】
本発明の工業炉は、バーナに、第一開閉弁付きの第一配管を介してアンモニアと、第二開閉弁付きの第二配管を介してガス燃料と、エア用開閉弁付きのエア配管を介して燃焼用空気をそれぞれ供給してアンモニアとガスを混焼させる工業炉で、第二配管から第三開閉弁付きの第三配管を分岐させ、その第三配管をバーナと第一配管に設けられた第一開閉弁との間に接続したものであるので、第一開閉弁をオフ(閉鎖)にし、かつ第三開閉弁をオン(開放)することで第一配管においてバーナと第一開閉弁の間のアンモニアをガス燃料に容易に置換することができる。
すなわち、従来のようにアンモニアを窒素で置換する場合には、窒素供給装置とともに窒素用の配管を新設する必要があるが、本発明では、既存のガス燃料の第二配管から分岐させた第三配管を第一配管に接続するように改造するだけでよいので設備費用を抑えられる。
また、アンモニアを既存のガス燃料に置換することで有毒なアンモニアが漏洩することが防止されるので安心である。
なお、アンモニアを置換するガス燃料は、アンモニアより毒性は弱く腐食性も低いもので、しかも従来より使用されてきたものであるため、万一配管から漏洩することがあったとしても人体への影響は少なくより安全に取り扱うことができる。
【0017】
また本発明の工業炉の燃料供給方法によれば、バーナの消火前には、第一開閉弁をオフするとともに、第二開閉弁及び第三開閉弁をオンして、第一配管のバーナと第一開閉弁間のアンモニアをガス燃料と置換しアンモニアを炉内に排出させるようにしたので、消火後、すなわち工業炉の非稼働時に人体に有毒なアンモニアが第一配管内や炉内に残ることがないので安全である。
【0018】
さらに本発明の工業炉の燃料供給方法によれば、バーナの着火前には、第一開閉弁をオフし、エア用開閉弁をオンするとともに、第二開閉弁及び第三開閉弁をオンして、第一配管のバーナと第一開閉弁間をガス燃料だけとするので、着火前にバーナに燃えにくいアンモニアが送られることはなく、有毒なアンモニアが漏洩する心配もない。
そして、着火後に、第一開閉弁をオンするとともに第三開閉弁をオフしてアンモニアを炉内に供給するようにしたので、アンモニアがバーナ側に送られるにしたがって第一配管に充填されたガス燃料が徐々にバーナ側に押し出され第一配管内がアンモニアに置換されるので燃焼を容易に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施形態に係る工業炉の要部と燃料供給系統を示す一部断面図である。
図2図1に示す工業炉における消火操作時の燃料供給方法を示すフローチャートである。
図3図1に示す工業炉における着火操作時の燃料供給方法を示すフローチャートである。
図4】従来例に係る工業炉の要部と燃料供給系統を示す一部断面図である。
図5】従来例に係る工業炉の要部と別の燃料供給系統を示す一部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1を参照して、本発明の実施形態に係る工業炉1について説明する。なお、従来例と同様の構成には同一の符号を付した。
【0021】
本実施形態に係る工業炉1(ここでは、金属加熱炉を例に説明する)は、図1に示すように、断面略矩形状で、炉体2を構成する炉壁3にはバーナ10が設けられ、そのバーナ10からの火炎でアンモニア(NH3)をガス燃料と混焼させる炉1である。
【0022】
アンモニア(NH3)は、アンモニア供給装置21から第一配管11を介してバーナ10に送られ第一配管11には途中、第一開閉弁(電磁弁)31が設けられている。ガス燃料は、都市ガスやプロパンガスなどといった既存のガスからなり、ガス供給装置22から第二配管12を介してバーナ10に送られ第二配管12には途中、第二開閉弁(電磁弁)32が設けられている。燃焼用空気は、外気がブロワ23でエア配管13を介してバーナ10に送られエア配管13には途中、エア用開閉弁(電磁弁)33が設けられている。
【0023】
そして、燃料ガスを送る第二配管12から第三開閉弁35付きの第三配管15を分岐させ、第三配管15をバーナ10とアンモニアを送る第一配管11に設けられた第一開閉弁31との間に接続している。第三開閉弁35は電磁弁で、第三開閉弁35と第一開閉弁との間には逆止弁25が設けられ、第一配管11側から第二配管12側にアンモニアやガス燃料が流れ込まないようにしている。
ここでは、第三配管15を第二配管12に設けられた第二開閉弁32とガス供給装置22の間から分岐させているが、第二開閉弁32とバーナ10の間から分岐させるようにしてもよい。
また第一配管11,第二配管12及びエア配管13には、開閉弁31,32,33の他に流量を変えることができる絞り弁も設けられているが図示を省略している。
【0024】
上記各開閉弁(電磁弁)31,32,33,35の開閉は、工業炉1の電気系統全体を制御する制御装置500によって開閉弁31,32,33,35毎に実行される。
制御装置500は、制御部であるCPU,制御用プログラムが格納されたROMやデータの書き込み,取り出し用のRAMからなる記憶部を有していて、タイマーTが接続されている。ここでは、外部タイマーTを示したが内部タイマーを利用するようにしてもよい。
【0025】
制御装置500は、燃焼時には、第一開閉弁31,第二開閉弁32,エア用開閉弁33をオンした状態(開放した状態)で、かつ第三開閉弁35をオフした状態(閉鎖した状態)とするが、消火時には、図2に示すような操作を実行させる。
【0026】
より具体的には、制御装置500のCPUは、バーナ10の消火前には、先ず、第一開閉弁31をオフする(すなわち、閉鎖状態とする)(ステップS101:以下、「ステップ」という語を省略する)。これにより、バーナ10にアンモニアがアンモニア供給装置21から流入することがカットされる。
【0027】
次に、制御装置500のCPUは、タイマーTを一定時間にセットした後、オンして(S102)、第二開閉弁32及び第三開閉弁35をオンする(すなわち開放状態とする)(S103)。なお、ここで第二開閉弁32をオンするとは、オフをオンすることに加え、オンの状態を維持することも含まれる。消火前の燃焼時では、第二開閉弁32はオンの状態である。
これにより、第一配管11のバーナ10と第一開閉弁31間に残っていたアンモニアが炉内に排出させられ、アンモニアがガス燃料と完全に置換される。
【0028】
その後、タイマーTがアップすると(S104)、第二開閉弁32及び第三開閉弁35をオフして(すなわち、閉鎖状態として)(S105)、バーナ10側へのガス燃料の流入をカットして消火する(S106)。
【0029】
これによれば、アンモニアがガス燃料に置換され、有毒なアンモニアが漏洩することが防止されるので、安心である。
なお、アンモニアを置換するガス燃料は、アンモニアより毒性は弱く腐食性も低いもので、しかも従来より使用されてきたものであるため、万一配管から漏洩することがあったとしても人体への影響は少なくより安全に取り扱うことができる。
【0030】
また制御装置500は、着火時には、図3に示すような操作を実行させる。
【0031】
より具体的には、制御装置500のCPUは、バーナ10の着火前には、先ず、第一開閉弁31をオフにする(すなわち、閉鎖状態とする)(ステップS201:以下、「ステップ」という語を省略する)。なお、ここで第一開閉弁31をオフするとは、オンをオフすることに加え、オフの状態を維持することも含む。消火時に第一開閉弁31はオフにされるので通常はオフの状態である。
次にタイマーTを一定時間にセットした後、オンして(S202)、エア用開閉弁33をオンする(すなわち、開放状態とする)(S203)。これにより、バーナ10に燃焼用空気が流れる。
【0032】
次に、制御装置500のCPUは、タイマーTがアップすると(S204)、第二開閉弁32及び第三開閉弁35をオンする(すなわち、開放状態とする)(S205,S206)。これにより、バーナ10にガス燃料が送られ、第一配管11の第一開閉弁31よりバーナ10側,第二配管12及び第三配管15にはガス燃料が充満した状態になっている。
【0033】
そして、制御装置500のCPUは、遅延なく着火(スパーク)を指示し(S207)、着火が完了すると(S208)、第一開閉弁31をオンする(すなわち、開放状態とする)とともに第三開閉弁35をオフして(すなわち、閉鎖状態として)アンモニアを炉内に供給する(S209,S210)。
【0034】
その後、制御装置500のCPUは、温度制御を行い(S211)、工業炉1の燃焼を開始する。
【0035】
これによれば、着火前にバーナ10にアンモニアが送られることはなく、ガス燃料が送られて確実に着火された後に、アンモニアがバーナ10側に送られる。
このようにアンモニアがバーナ10側に送られるにしたがって第一配管11に充填されたガス燃料が徐々にバーナ10側に押し出され第一配管11内がアンモニアに置換されるので燃焼を容易に制御することができる。
【0036】
本実施形態では、工業炉1として金属加熱炉に適用した例について説明したが、熱処理炉,鍛造炉,溶解炉,取鍋予熱装置など燃焼式の熱設備に広く利用することができる。
【符号の説明】
【0037】
1 工業炉
2 炉体
3 側壁
10 バーナ
11 第一配管
12 第二配管
13 エア配管
14 窒素用配管
15 第三配管
21 アンモニア供給装置
22 ガス供給装置
23 ブロワ
24 窒素供給装置
25 逆止弁
31 第一開閉弁
32 第二開閉弁
33 エア用開閉弁
34 窒素用開閉弁
35 第三開閉弁
500 制御装置
T タイマー
図1
図2
図3
図4
図5