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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024111534
(43)【公開日】2024-08-19
(54)【発明の名称】電子部品の製造方法及び電子部品
(51)【国際特許分類】
   H01F 41/04 20060101AFI20240809BHJP
   H01F 17/00 20060101ALI20240809BHJP
   H01F 27/29 20060101ALI20240809BHJP
   H01G 2/24 20060101ALN20240809BHJP
【FI】
H01F41/04 B
H01F17/00 D
H01F27/29 123
H01G2/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023016101
(22)【出願日】2023-02-06
(71)【出願人】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(72)【発明者】
【氏名】中山 卓
(72)【発明者】
【氏名】奥澤 信之
【テーマコード(参考)】
5E062
5E070
【Fターム(参考)】
5E062FF03
5E070CB13
5E070EA01
(57)【要約】
【課題】互いに対向する二つの面の色が異なる電子部品の簡易な製造方法を提供する。
【解決手段】電子部品10の製造方法は、互いに対向する面2aと面2bとを含む基材2と面2aに配置されている複数の外部電極とを有する基板1を準備することと、面2bを変色させることと、基板1を複数の個片に分割することと、を含む。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向する第一面と第二面とを含む基材と、該第一面に配置されている複数の外部電極と、を有する基板を準備することと、
前記第二面を変色させることと、
前記基板を複数の個片に分割することと、
を含む、電子部品の製造方法。
【請求項2】
前記基材は樹脂から形成され、
前記変色させることは、熱処理することによって前記第二面を変色させることを含む、
請求項1に記載の電子部品の製造方法。
【請求項3】
前記熱処理することは、温度60℃以上、かつ、相対湿度60%以上の雰囲気に前記基板をさらすことを含む、
請求項2に記載の電子部品の製造方法。
【請求項4】
前記熱処理することは、前記第二面を酸化させることを含む、
請求項2又は3に記載の電子部品の製造方法。
【請求項5】
前記変色させることは、前記第二面を変色させる前に、前記第二面を研磨することを含む、
請求項1又は2に記載の電子部品の製造方法。
【請求項6】
前記変色させることは、前記複数の個片に対応するそれぞれの領域に対応して形成され該領域の一部のみを露出させる開口を含んだマスクを前記第二面上に設けた状態で該領域の一部のみを変色させることを含む、
請求項1又は2に記載の電子部品の製造方法。
【請求項7】
前記変色させることは、前記第二面の明度と前記第一面の明度との間の差を、グレースケール値に換算して40以上にすることを含む、
請求項1又は2に記載の電子部品の製造方法。
【請求項8】
請求項1又は2に記載の電子部品の製造方法で製造された電子部品。
【請求項9】
素体と一対の外部電極とを備える電子部品であって、
前記素体は、
一対の外部電極が配置されている第一主面と、
前記第一主面と対向する第二主面と、を含み、
前記第一主面の明度と前記第二主面の明度との差は、グレースケール値に換算して40以上である、電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品の製造方法及び電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、第一樹脂層から形成される第一面と、第一面と対向すると共に第一樹脂層とは色が異なる第二樹脂層から形成される第二面と、を有する基板を準備する工程と、基板を複数の個片に分割することと、を含む、電子部品の製造方法を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-216409号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
互いに対向する二つの面のそれぞれの色が互いに異なる電子部品の向きは、容易に判別され得る。したがって、上述した従来の製造方法によって製造される電子部品は、キャリアテープに収納するとき又は電子機器に実装するときに電子部品の向きを間違えられがたいので、実装不良を抑制できる。上述した従来の製造方法では、互いに色が異なる二種類の樹脂を積層する必要があるので、互いに対向する二つの面の色が異なる電子部品を製造することは容易ではない。
【0005】
本発明の一つの態様は、互いに対向する二つの面の色が異なる電子部品の簡易な製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一つの態様に係る電子部品の製造方法は、互いに対向する第一面と第二面とを含む基材と該第一面に配置されている複数の外部電極とを有する基板を準備することと、第二面を変色させることと、基板を複数の個片に分割することと、を含む。
【0007】
上記一つの態様では、互いに対向する第一面及び第二面のうち第二面が変色される。第二面が変色した基板が複数の個片に分割される。複数の個片のそれぞれは第二面に対応する面の色と第一面に対応する面の色とが互いに異なるので、互いに色が異なる二種類の樹脂を準備することなく互いに対向する二つの面の色が異なる電子部品が提供される。したがって、上記一つの態様は、互いに対向する二つの面の色が異なる電子部品を簡易に提供し得る。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一つの態様は、互いに対向する二つの面の色が異なる電子部品の簡易な製造方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、一実施形態に係る電子部品を示す斜視図である。
図2図2は、本実施形態に係る電子部品の製造過程を示す模式図である。
図3図3は、本実施形態に係る電子部品の製造過程を示す模式図である。
図4図4は、本実施形態に係る電子部品の製造過程を示す模式図である。
図5図5は、本実施形態に係る電子部品の製造過程を示す模式図である。
図6図6は、本実施形態に係る電子部品の製造過程を示す模式図である。
図7図7は、本実施形態に係る電子部品の製造過程を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下では、図面を参照しながら本開示に係る実施形態について説明する。図面の説明において、同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。
【0011】
本実施形態に係る電子部品の製造方法の説明に先立って、本製造方法から得られる電子部品の構成を、図1を参照して説明する。図1は、本実施形態に係る電子部品10を示す斜視図である。本実施形態では、電子部品10は、たとえば、積層コイル部品である。図1に示されるように、電子部品10は、素体20と、複数の外部電極31,32と、図示されない内部回路要素と、を備える。電子部品10が、積層コイル部品である場合、内部回路要素は、コイルである。
【0012】
素体20は、たとえば、直方体形状を呈している。直方体形状は、角部及び稜線部が面取りされている直方体の形状、又は、角部及び稜線部が丸められている直方体の形状を含む。素体20は、互いに対向している一対の主面20a,20bと、互いに対向している一対の側面20c,20dと、互いに対向している一対の側面20e,20fとを有している。一対の主面20a,20b、一対の側面20c,20d、及び一対の側面20e,20fのそれぞれは、矩形状を呈している。主面20a,20bと側面20c,20dとは、互いに隣り合っている。主面20a,20bと一対の側面20e,20fとは、互いに隣り合っている。本実施形態では、素体20は、樹脂から形成されている。素体20は、たとえば、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、又はフェノール樹脂から形成される。
【0013】
一対の主面20a,20bは、方向D1で互いに対向している。方向D1は、各主面20a,20bに交差している。本実施形態では、方向D1は、各主面20a,20bに直交している。一対の側面20c,20dは、方向D2で互いに対向している。方向D2は、各側面20c,20dに交差している。本実施形態では、方向D2は、各側面20c,20dと直交している。一対の側面20e,20fは、方向D3で互いに対向している。本実施形態では、方向D3は、各側面20e,20fと直交している。方向D1と方向D2とは直交している。方向D3は、方向D1と方向D2とに直交している。素体20の方向D1での長さと、素体20の方向D2での長さとは、略等しくてもよい。
【0014】
素体20は、方向D1を積層方向として積層された複数の絶縁体層によって構成されていてもよい。コイルは、コイル軸が方向D2に沿うように素体20内に配置されていてもよい。コイルは、方向D1を積層方向として積層された導電性ペーストによって構成されていてもよい。
【0015】
外部電極31,32は、主面20a上に配置されている。外部電極31は、側面20e寄りに位置している。外部電極32は、側面20f寄りに位置している。外部電極31,32は、コイルと電気的に接続されている。外部電極31と外部電極32とは、方向D3で互いに対向している。
【0016】
主面20bは、変色した部分20bbと変色していない部分20bcを含んでいる。たとえば、部分20bbは側面20e寄りに位置しており、部分20bcは側面20f寄りに位置している。部分20bbの明度は、部分20bcの明度よりも低い。部分20bbの明度と部分20bcの明度との差は、グレースケールに換算して40以上である。部分20bbの明度は、主面20aの明度よりも低い。部分20bbと主面20aとの明度の差は、グレースケールに換算して40以上である。グレースケールへの換算は、たとえば、画像センサが部分20bb及び主面20aを撮像することによって行われる。グレースケールでは、白から黒までが256階調で表わされる。
【0017】
変色した部分20bbは、主面20bの方向D2での両端を含んでいてもよい。変色した部分20bbは、主面20bの方向D2での側面20c寄りの端を含んでいてもよい。変色した部分20bbの面積は、側面20e,20fの少なくとも一方の面積以上であってもよい。変色した部分20bbの面積は、方向D1から見た外部電極31,32の少なくとも一方の面積以上であってもよい。
【0018】
本実施形態では、側面20c,20d,20e,20fは、変色していない。部分20bbの明度は、側面20c,20d,20e,20fの各々の明度よりも低い。部分20bbの明度と側面20c,20d,20e,20fの各々の明度との差は、グレースケールに換算して40以上であってもよい。
【0019】
次に、図2図7を参照して、電子部品10の製造方法を説明する。図2図7は、本実施形態に係る電子部品の製造過程を示す模式図である。
【0020】
本実施形態の製造過程は、基板1を準備する過程を含む。図2及び図3は、基板1を準備する過程を示す模式図である。基板1を準備する過程は、基板1を形成する過程と、基板1を支持する過程とを含んでいてもよい。図2は、基板1を形成する過程を示す斜視図である。図3は、基板1を支持する過程を示す斜視図である。
【0021】
図2に示されるように、基板1は、基材2と、複数の外部電極3と、図示されない複数の内部回路要素と、を有している。基材2は、複数の素体20を含む。複数の外部電極3は、複数の一対の外部電極31,32を含む。基板1の複数の内部回路要素は、複数の電子部品10の複数の内部回路要素を含む。基材2は、互いに対向する面2aと面2bとを含んでいる。基材2は、素体20と同様に、たとえば、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、又はフェノール樹脂から形成される。複数の外部電極3は、面2aに配置されている。複数の内部回路要素は、基材2の内部に配置されている。本実施形態では、複数の内部回路要素は、複数のコイルである。
【0022】
基板1を形成する過程では、基板1は、たとえば、積層工程によって形成される。積層工程では、基板1は、面2bから面2aに向かって順番に積層される。基板1を形成する過程は、樹脂層を形成する過程と、樹脂層の上に導体層を形成する過程と、導体層の上に樹脂層を形成する過程と、樹脂層から導体層に貫通する孔を形成する過程と、当該孔にめっきを形成する過程と、当該孔に形成されためっきの上に導体層を形成する過程と、複数の外部電極3を形成する過程と、を含んでいてもよい。樹脂層の厚さは、たとえば、15μmmである。
【0023】
図3に示されるように、基板1を支持する過程では、基板1は、支持部材Bに支持される。基板1は、面2aと支持部材Bの上面とが互いに対向するように支持部材B上に配置される。本実施形態では、支持部材Bは、面2a及び複数の外部電極3を覆うように基板1を支持している。支持部材Bは、たとえば、粘着性を有していてもよい。面2a及び複数の外部電極3は、支持部材Bによって基板1が配置される空間の雰囲気から遮断される。基板1を準備する過程は、この技術分野では既知であり、これ以上の詳細な説明を省略する。
【0024】
電子部品10は、分割された基板である個片に対応する。図3に示されるように、基板1は、複数の個片に対応する複数の領域2baに分割される。各個片は、電子部品10に対応する。基材2は、複数の素体20に対応する。面2aは、主面20aに対応し、面2bは、主面20bに対応する。面2a及び面2bが互いに対向する方向は、方向D1に対応する。複数の一対の外部電極31,32のそれぞれの対は、対応する領域2baに含まれる。複数の一対の外部電極31,32のそれぞれの対は、対応する領域2baでの面2a上に位置している。基板1の複数の内部回路要素のそれぞれは、電子部品10の内部回路要素に対応する。複数の内部回路要素のそれぞれは、対応する領域2baに含まれる。複数の内部回路要素のそれぞれは、対応する領域2baでの基材2内に配置される。
【0025】
本実施形態の製造過程は、面2bを変色させる過程を含んでいる。面2bを変色させる過程では、面2bの全面が変色されてもよく、面2bの一部のみが変色されてもよい。面2bを変色させる過程は、熱処理することによって面2bを変色させる過程を含んでいる。熱処理することとは、たとえば、所定の温度の雰囲気中に基板1をさらすことを含んでいる。
【0026】
熱処理することは、面2bを酸化させることを含む。面2bは、酸化することによって変色する。面2bは、水和反応することによって変色してもよい。当該熱処理することは、温度60℃以上、かつ、相対湿度60%以上の雰囲気に基板1をさらすことを含んでいる。基板1が当該雰囲気にさらされる時間は、たとえば、100時間以上である。方向D1での基材2の変色した一部の厚さは、たとえば、1μm以上、10μm以下である。基材2の変色した一部の方向D1での厚さは、基板1を形成する過程での樹脂層の方向D1での厚さよりも薄い。
【0027】
面2bを変色する過程は、面2bを変色させる前に面2bを研磨する過程を含んでいる。例えば、面2bは、支持部材Bに基板1が支持された状態で、面2bを変色させる前に研磨される。面2bを研磨することによって、面2aと面2bとの間の厚さは、所定の厚さに調整される。
【0028】
図4は、面2b上に少なくとも一つのマスクMが設けられた基板1を示す斜視図である。図5は、変色させる過程の後の基板1示す斜視図である。図4及び図5に示されるように、本実施形態では、面2bを変色させる過程は、マスクMを面2b上に設けた状態で領域2baの一部2bbのみを変色させる過程を含んでいる。マスクMは、領域2baの一部2bbのみを露出させる開口を含んでいる。本実施形態では、マスクMから露出する一部2bbは、温度60℃以上、かつ、相対湿度60%以上の雰囲気にさらされる。マスクMは、たとえば、粘着性を有するテープであってもよい。
【0029】
図6は、変色させる過程の後にマスクMが取り除かれた基板1を示す斜視図である。マスクMは、マスクMが覆っている領域2baの一部2bcを、熱処理するときの雰囲気から遮断する。マスクMから露出する一部2bbは変色しやすく、マスクMが覆っている一部2bc、及び支持部材Bが覆っている面2aは、変色しがたい。
【0030】
面2bを変色する過程は、面2bの明度と面2aの明度との差を、グレースケール値に換算して40以上にすることを含んでいてもよい。本実施形態では、面2bを変色する過程は、一部2bbの明度と面2aの明度との差を、グレースケール値に換算して40以上にすることを含んでいる。面2bを変色する過程は、一部2bbの明度と一部2bcの明度との差を、グレースケール値に換算して40以上にすることを含んでいてもよい。
【0031】
本実施形態の製造過程は、基板1を複数の個片に分割する過程を含んでいる。基板1は、たとえば、切断機によって複数の個片に分割される。図7は、基板1を複数の個片に分割する過程を示す斜視図である。図7に示されるように、一つの領域2baが一つの電子部品10に対応する。本実施形態では、基板1の一部2bbは電子部品10の部分20bbに対応し、基板1の一部2bcは電子部品10の部分20bcに対応する。
上述した過程を経ることにより、電子部品10が得られる。
【0032】
本実施形態に係る製造方法では、互いに対向する面2a及び面2bのうち面2bが変色される。面2bが変色した基板1が複数の個片に分割される。複数の個片のそれぞれは面2bに対応する主面20bの色と面2aに対応する主面20aの色とが互いに異なるので、互いに色が異なる二種類の樹脂を準備することなく互いに対向する二つの主面20a,20bの色が異なる電子部品10が提供される。したがって、本実施形態に係る製造方法は、互いに対向する二つの主面20a,20bの色が異なる電子部品10を簡易に提供し得る。
【0033】
本実施形態に係る製造方法では、面2bを変色させることは、面2bを変色させる前に、面2bを研磨することを含む。
面2bを変色させる前に面2bを研磨することによって、面2aと面2bとの間の厚さが所定の厚さに調整され、かつ、面2bが変色した基板1が得られる。結果として、本実施形態に係る製造方法は、主面20a,20bの色が異なり、かつ、所定の厚さに調整された電子部品10を簡易に提供し得る。
【0034】
本実施形態に係る製造方法では、変色させることは、複数の個片に対応するそれぞれの領域2baに対応して形成され領域2baの一部2bbのみを露出させる開口を含んだマスクMを面2b上に設けた状態で一部2bbのみを変色させることを含む。
複数の個片に対応する領域2baの一部2bbのみが変色した基板1が得られるので、本実施形態に係る製造方法は、主面20bの部分20bbのみが変色した電子部品10を簡易に提供し得る。
電子部品10は、電子機器に実装される主面20aと対向する主面20bの一部のみが変色しているので、キャリアテープに収納するとき又は電子機器に実装するときに一層向きを間違えられがたい。
【0035】
本実施形態に係る製造方法では、面2bの明度と面2aの明度との間の差を、グレースケール値に換算して40以上にすることを含む。
本実施形態に係る電子部品10は、素体20と一対の外部電極31,32とを備える電子部品であって、素体20は、一対の外部電極31,32が配置されている主面20aと、主面20aと対向する主面20bと、を含み、主面20aの明度と主面20bの明度との差は、グレースケール値に換算して40以上である。
本実施形態に係る製造方法から得られる電子部品10では、主面20bの明度と、主面20bに対向する主面20aの明度との間の差は、グレースケール値に換算して40以上である。したがって、電子部品10では、主面20aの明度と主面20bの明度とをグレースケール値に換算することによって、主面20bと主面20bとは、容易に判別される。
【0036】
以上、本発明をその実施形態に基づいて詳細に説明した。しかし、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
【0037】
電子部品10では、主面20bの部分20bbのみが変色しているが、主面20bの全面が変色していてもよい。本実施形態に係る製造方法の面2bを変色させることは、面2bの全面を変色させることを含んでいてもよい。
熱処理することは、100℃以上の雰囲気に基板1を5分以上さらすことを含んでいてもよい。熱処理することは、100℃以上、かつ、250℃以下の雰囲気に基板1を5分以上さらすことを含んでいてもよい。
基板1を複数の個片に分割する過程は、基板1の方向D2での両端を切り取る過程、及び、基板1の方向D3での両端を切り取る過程を含んでいてもよい。
図7の例では、基板1は、模式的に8×3個の個片に分割されているが、これに限定されない。基板1は、8×3個より多くの個片に分割されてもよく、8×3個より少ない個片に分割されてもよい。
本実施形態に係る電子部品は、積層コイル部品以外の電子部品、たとえば、コンデンサ、圧電素子、抵抗素子、又はトランスに適用可能である。
【0038】
上述した実施形態及び変形例の記載から把握されるとおり、本明細書では以下に示す態様の開示を含んでいる。
(付記1)
互いに対向する第一面と第二面とを含む基材と、該第一面に配置されている複数の外部電極と、を有する基板を準備することと、
前記第二面を変色させることと、
前記基板を複数の個片に分割することと、
を含む、電子部品の製造方法。
(付記2)
前記基材は樹脂から形成され、
前記変色させることは、熱処理することによって前記第二面を変色させることを含む、
付記1に記載の電子部品の製造方法。
(付記3)
前記熱処理することは、温度60℃以上、かつ、相対湿度60%以上の雰囲気に前記基板をさらすことを含む、
付記2に記載の電子部品の製造方法。
(付記4)
前記熱処理することは、前記第二面を酸化させることを含む、
付記2又は3に記載の電子部品の製造方法。
(付記5)
前記変色させることは、前記第二面を変色させる前に、前記第二面を研磨することを含む、
付記1~4の何れか一項に記載の電子部品の製造方法。
(付記6)
前記変色させることは、前記複数の個片に対応するそれぞれの領域に対応して形成され該領域の一部のみを露出させる開口を含んだマスクを前記第二面上に設けた状態で該領域の一部のみを変色させることを含む、
付記1~5の何れか一項に記載の電子部品の製造方法。
(付記7)
前記変色させることは、前記第二面の明度と前記第一面の明度との間の差を、グレースケール値に換算して40以上にすることを含む、
付記1~6の何れか一項に記載の電子部品の製造方法。
(付記8)
付記1~7の何れか一項に記載の電子部品の製造方法で製造された電子部品。
(付記9)
素体と一対の外部電極とを備える電子部品であって、
前記素体は、
一対の外部電極が配置されている第一主面と、
前記第一主面と対向する第二主面と、を含み、
前記第一主面の明度と前記第二主面の明度との差は、グレースケール値に換算して40以上である、電子部品。
【符号の説明】
【0039】
1…基板、2…基材、2a,2b…面、2ba…領域、2bb,2bc…一部、3…外部電極、10…電子部品、20…素体、20a,20b…主面、31,32…外部電極、M…マスク。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7