IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社コーワの特許一覧

<>
  • 特開-清掃装置 図1
  • 特開-清掃装置 図2
  • 特開-清掃装置 図3
  • 特開-清掃装置 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024011155
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】清掃装置
(51)【国際特許分類】
   B60S 1/62 20060101AFI20240118BHJP
   B08B 1/00 20240101ALI20240118BHJP
【FI】
B60S1/62 120A
B08B1/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022112927
(22)【出願日】2022-07-14
(71)【出願人】
【識別番号】391044797
【氏名又は名称】株式会社コーワ
(72)【発明者】
【氏名】中川 和紀
【テーマコード(参考)】
3B116
3D225
【Fターム(参考)】
3B116AA46
3B116AA47
3B116AB53
3B116BA02
3B116BA03
3B116BA08
3B116BA12
3D225AA11
3D225AC01
3D225AD22
(57)【要約】
【課題】 簡易な構造で製造コストの低減を図ることができると共に、レンズ又はセンサーで構成される清掃対象物の被清掃面に、塵埃、汚れ又は液体が再付着するのを防ぐことができる清掃装置を提供する。
【解決手段】 清掃装置10は、清掃対象物1と、清掃対象物1に固定された回動軸3と、回動軸3を回動自在に軸支する駆動機構と、清掃対象物1が作動する状態で被清掃面2の後方側に配置され、清掃対象物1の回動時に、被清掃面2に付着した塵埃又は汚れを除去する付着物除去部材4と、付着物除去部材4が設置された枠体5と、清掃対象物1と共に回動しながら付着物除去部材4を清掃する清掃用突起6とを有している。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズ又はセンサーで構成される清掃対象物の被清掃面に付着した塵埃、汚れ又は液体を除去するための清掃装置であって、
前記清掃装置は、前記清掃対象物と、
該清掃対象物に固定された回動軸と、
該回動軸を回動自在に軸支する駆動機構と、
前記清掃対象物が作動する状態で前記被清掃面の後方側に配置され、前記清掃対象物の回動時に、前記被清掃面に付着した塵埃又は汚れを除去する付着物除去部材と、
該付着物除去部材が設置された枠体と、
前記清掃対象物と共に回動しながら前記付着物除去部材を清掃する清掃用突起と、を有することを特徴とする清掃装置
【請求項2】
清掃対象物の回動で、清掃用突起が付着物除去部材に当接して、前記付着物除去部材内部の液体又は表面に付着した固体を除去することを特徴とする請求項1に記載の清掃装置
【請求項3】
付着物除去部材は、合成樹脂多孔質体又は複数のブラシ毛が植設されたブラシ体からなるものであって、清掃対象物の後方側を覆うように配置されており、前記清掃対象物の回動時に、被清掃面の形状に沿って当接することを特徴とする請求項1に記載の清掃装置
【請求項4】
付着物除去部材は、軟質部材からなる板状のブレード体からなるものであって、該ブレード体の長手方向は、回動軸と略平行となるように配設されており、清掃対象物の回動時に、被清掃面の形状に沿って当接することを特徴とする請求項1に記載の清掃装置
【請求項5】
付着物除去部材は、軟質部材からなる板状のブレード体であって、該ブレード体の長手方向は、回動軸と略平行となるように配設されたものと、合成樹脂多孔質体又は複数のブラシ毛が植設されたブラシ体からなるものと、を有しており、清掃対象物の回動時に、被清掃面の形状に沿って当接するものであって、前記ブレード体が先に当接することを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の清掃装置
【請求項6】
清掃対象物を所定の場所に設置した使用時の状態を側面透視した場合に、付着物除去部材の後方端部は、回動軸の鉛直上方よりも後方側に位置することを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の清掃装置
【請求項7】
清掃対象物を所定の場所に設置した使用時の状態を側面透視した場合に、付着物除去部材の前方端部側には、清掃用突起を収容する収容部が形成されていることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の清掃装置
【請求項8】
清掃対象物を所定の場所に設置した使用時の状態を側面透視した場合に、前記清掃対象物の被清掃面の後方側には、清掃用突起と一体的又は連続的に保護カバーが形成されており、該保護カバーは、前記被清掃面の上端部後方から下端部後方に亘って形成されていることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の清掃装置
【請求項9】
清掃対象物を所定の場所に設置した使用時の状態を側面透視した場合に、被清掃面が後方側に向かう回動時に、付着物除去部材への押し込み量が漸次増加する傾斜面が清掃用突起に形成されていることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の清掃装置
【請求項10】
清掃用突起は、回動軸の軸方向に対して略平行に形成されていると共に、凹部が複数形成された櫛歯形状部を有していることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の清掃装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に自動車等の車両、航空機、ドローン、屋外機器に設置されるレンズ又はセンサーで構成される清掃対象物の被清掃面に付着した塵埃、汚れ又は液体を除去するための清掃装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両に設置されるセンサーで構成される清掃対象物の被清掃面に付着した塵埃、汚れ又は液体を除去するための清掃装置に関する発明が従来から知られている。(特許文献1)。
【0003】
特許文献1に記載の光学式レーダの清掃装置は、回転式のレーザレーダを構成する送受光部が所定の回転位置にあるときに、送受光部と対向するように配置され、レーザ光を散乱・反射する散乱・反射部材と、電動モータにより送受光部が回転され、送受光部が散乱・反射部材と対向する回転位置に来たときに、散乱・反射部材により散乱・反射された反射光の受光強度に基づいて、レーザ送受光窓が汚れているか否かを判定するECUと、送受光部が所定の回転位置にあるときに、送受光部と対向するように配設され、レーザ送受光窓が汚れていると判定された場合には、送受光部が回転されて対向する回転位置に来たときに、レーザ送受光窓を清掃する清掃ユニットとを備えたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-3541号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら上記特許文献1に記載の清掃装置は、レーザ送受光窓が汚れているか否かを判定するECUが必要であることから装置が高価になり、製造コストが嵩むものであった。また、清掃ユニットを構成する噴射ノズルからの高圧洗浄水では水分が付着して残る可能性があり、噴射ノズルを清掃ブラシに置き換えた場合には、清掃ブラシに塵埃や汚れが付着して残り、レーザ送受光窓に再付着する可能性があった。
【0006】
本発明は、前記従来の課題を解決するものであり、簡易な構造で製造コストの低減を図ることができると共に、レンズ又はセンサーで構成される清掃対象物の被清掃面に、塵埃、汚れ又は液体が再付着するのを防ぐことができる清掃装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記従来の課題を解決するために、請求項1の発明は、レンズ又はセンサーで構成される清掃対象物の被清掃面に付着した塵埃、汚れ又は液体を除去するための清掃装置であって、前記清掃装置は、前記清掃対象物と、該清掃対象物に固定された回動軸と、該回動軸を回動自在に軸支する駆動機構と、前記清掃対象物が作動する状態で前記被清掃面の後方側に配置され、前記清掃対象物の回動時に、前記被清掃面に付着した塵埃又は汚れを除去する付着物除去部材と、該付着物除去部材が設置された枠体と、前記清掃対象物と共に回動しながら前記付着物除去部材を清掃する清掃用突起とを有することを特徴としている。
【0008】
請求項1の発明では、付着物除去部材は清掃対象物が作動する状態で被清掃面の後方側に配置されているので、車両に設置した状態で付着物除去部材が排気ガスなどで汚れるのを防ぐことができる。また、付着物除去部材を清掃する清掃用突起が清掃対象物と共に回動する構成としたので、製造コストの低減を図ることができると共に、レンズ又はセンサーで構成される清掃対象物の被清掃面に、塵埃、汚れ又は液体が再付着するのを防ぐことができる。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、清掃対象物の回動で、清掃用突起が付着物除去部材に当接して、前記付着物除去部材内部の液体又は表面に付着した固体を除去することを特徴としている。これにより、レンズ又はセンサーで構成される清掃対象物の被清掃面に、塵埃、汚れ又は液体が再付着するのを一層防ぐことができる。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1の発明において、付着物除去部材は、合成樹脂多孔質体又は複数のブラシ毛が植設されたブラシ体からなるものであって、清掃対象物の後方側を覆うように配置されており、前記清掃対象物の回動時に、被清掃面の形状に沿って当接することを特徴としている。これにより、清掃装置を小型化することができると共に、清掃効果を向上させることができる。
【0011】
請求項4の発明は、請求項1の発明において、付着物除去部材は、軟質部材からなる板状のブレード体からなるものであって、該ブレード体の長手方向は、回動軸と略平行となるように配設されており、清掃対象物の回動時に、被清掃面の形状に沿って当接することを特徴としている。これにより、清掃装置を小型化することができると共に、清掃効果を向上させることができる。
【0012】
請求項5の発明は、請求項1~4のいずれかの発明において、付着物除去部材は、軟質部材からなる板状のブレード体であって、該ブレード体の長手方向は、回動軸と略平行となるように配設されたものと、合成樹脂多孔質体又は複数のブラシ毛が植設されたブラシ体からなるものと、を有しており、清掃対象物の回動時に、被清掃面の形状に沿って当接するものであって、前記ブレード体が先に当接することを特徴としている。これにより、先にブレード体によって被清掃面に付着している大きな塵埃を除去した後、合成樹脂多孔質体又はブラシ体によって小さな塵埃や水分を除去することができるので、清掃効果を一層向上させることができる。
【0013】
請求項6の発明は、請求項1~4のいずれかの発明において、清掃対象物を所定の場所に設置した使用時の状態を側面透視した場合に、付着物除去部材の後方端部は、回動軸の鉛直上方よりも後方側に位置することを特徴としている。これにより、清掃用突起によって除去された塵埃が付着物除去部材の前方側に移送されるのを防ぐことができると共に、水分等の液体が前方側に逆流するのを防ぐことができる。
【0014】
請求項7の発明は、請求項1~4のいずれかの発明において、清掃対象物を所定の場所に設置した使用時の状態を側面透視した場合に、付着物除去部材の前方端部側には、清掃用突起を収容する収容部が形成されていることを特徴としている。これにより、清掃時以外で清掃用突起が付着物除去部材に接触するのを避けることができ、付着物除去部材が変形するのを防ぐことができる。
【0015】
請求項8の発明は、請求項1~4のいずれかの発明において、清掃対象物を所定の場所に設置した使用時の状態を側面透視した場合に、前記清掃対象物の被清掃面の後方側には、清掃用突起と一体的又は連続的に保護カバーが形成されており、該保護カバーは、前記被清掃面の上端部後方から下端部後方に亘って形成されていることを特徴としている。これにより、除去された塵埃や水分が清掃対象物の内部に侵入して電子部品等が故障するのを防ぐことができる。
【0016】
請求項9の発明は、請求項1~4のいずれかの発明において、清掃対象物を所定の場所に設置した使用時の状態を側面透視した場合に、被清掃面が後方側に向かう回動時に、付着物除去部材への押し込み量が漸次増加する傾斜面が清掃用突起に形成されていることを特徴としている。これにより、付着物除去部材が内部に保持している水分を絞り出すことができると共に、該水分が前方側に逆流するのを防ぐことができる。
【0017】
請求項10の発明は、請求項1~4のいずれかの発明において、清掃用突起は、回動軸の軸方向に対して略平行に形成されていると共に、凹部が複数形成された櫛歯形状部を有していることを特徴としている。これにより、付着物除去部材に付着している塵埃を掻き出す効果を向上させることができる。
【発明の効果】
【0018】
請求項1及び2の発明は、製造コストの低減を図ることができると共に、レンズ又はセンサーで構成される清掃対象物の被清掃面に、塵埃、汚れ又は液体が再付着するのを防ぐことができる。また、請求項3及び4の発明は、清掃装置を小型化することができると共に、清掃効果を向上させることができる。
【0019】
請求項5の発明は、清掃効果を一層向上させることができる。また、請求項6の発明は、清掃用突起によって除去された塵埃が付着物除去部材の前方側に移送されるのを防ぐことができると共に、水分等の液体が前方側に逆流するのを防ぐことができる。また、請求項7の発明は、付着物除去部材が変形するのを防ぐことができる。
【0020】
請求項8の発明は、除去された塵埃や水分が清掃対象物の内部に侵入するのを防ぐことができる。また、請求項9の発明は、付着物除去部材が内部に保持している水分を絞り出すことができると共に、該水分が前方側に逆流するのを防ぐことができる。また、請求項10の発明は、付着物除去部材に付着している塵埃を掻き出す効果を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明に係る清掃装置の第1実施形態を示す斜視図
図2】(a)第1実施形態の清掃装置であって、清掃対象物を所定の場所に設置した使用時の状態を示す断面図(b)、(c)第1実施形態の清掃装置であって、清掃時の状態を示す断面図
図3】(a)第2実施形態の清掃装置であって、清掃対象物を所定の場所に設置した使用時の状態を示す断面図(b)第3実施形態の清掃装置であって、清掃対象物を所定の場所に設置した使用時の状態を示す断面図
図4】(a)第4実施形態の清掃装置の一部を示す斜視図(b)第5実施形態の清掃装置の一部を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。尚、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。図1は、本発明に係る清掃装置の第1実施形態を示す斜視図あり、図2(a)は、第1実施形態の清掃装置であって、清掃対象物を所定の場所に設置した使用時の状態を示す断面図である。また、図2(b)及び図2(c)は、第1実施形態の清掃装置であって、清掃時の状態を示す断面図である。これらの図を用いて本発明に係る清掃装置の第1実施形態について以下に説明する。
【0023】
第1実施形態の清掃装置10は、レンズ又はセンサーで構成される清掃対象物1の被清掃面2に付着した塵埃、汚れ又は液体を除去するためのものであり、清掃対象物1と、清掃対象物1に固定された回動軸3と、回動軸3を回動自在に軸支する駆動機構(図示せず)と、清掃対象物1が作動する状態で被清掃面2の後方側に配置され、清掃対象物1の回動時に、被清掃面2に付着した塵埃又は汚れを除去する付着物除去部材4と、付着物除去部材4が設置された枠体5と、清掃対象物1と共に回動しながら付着物除去部材4を清掃する清掃用突起6とを有している。これにより、製造コストの低減を図ることができると共に、レンズ又はセンサーで構成される清掃対象物1の被清掃面2に、塵埃、汚れ又は液体が再付着するのを防ぐことができる。
【0024】
また、清掃装置10は、清掃対象物1の回動で、清掃用突起6が付着物除去部材4に当接して、付着物除去部材4の内部の液体又は表面に付着した固体を除去する構成としている。これにより、レンズ又はセンサーで構成される清掃対象物1の被清掃面2に、塵埃、汚れ又は液体が再付着するのを一層防ぐことができる。
【0025】
また、付着物除去部材4は、合成樹脂多孔質体4aからなるものを備えおり、この合成樹脂多孔質体4aからなる付着物除去部材4は、清掃対象物1の後方側を覆うように配置されており、清掃対象物1の回動時に、被清掃面2の形状に沿って当接する構成としている。これにより、清掃装置10を小型化することができると共に、清掃効果を向上させることができる。
【0026】
具体的には、付着物除去部材4を合成樹脂多孔質体4aとすることで、被清掃面2に付着している液体を効率よく除去できると共に、被清掃面2への傷つきを防止することができる。さらに、付着物除去部材4は、清掃対象物1の後方側を覆うように配置しているため、被清掃面2との当接面積が増え、被清掃面2に付着した液体を吸収できる量が増えると共に、被清掃面2に付着した固体を確実に除去することができる。なお、付着物除去部材4を清掃対象物1の後方側の一部に配置した場合も、清掃効果が発揮されるものであり、これも本発明に含まれる。
【0027】
また、付着物除去部材4は、軟質部材からなる板状のブレード体4cであって、該ブレード体4cの長手方向は、回動軸3と略平行となるように配設されたものを備えており、清掃対象物1の回動時に、被清掃面2の形状に沿って当接するものであって、ブレード体4cが先に当接した後、合成樹脂多孔質体4aからなる付着物除去部材4に被清掃面2の形状に沿って当接する構成としている。これにより、清掃装置10を小型化することができると共に、先にブレード体4cによって被清掃面2に付着している大きな塵埃を除去した後、合成樹脂多孔質体4aによって小さな塵埃や水分を除去することができるので、清掃効果を一層向上させることができる。
【0028】
尚、清掃対象物1を所定の場所に設置した使用時の状態を側面透視した場合に、付着物除去部材4の後方端部は、回動軸3の鉛直上方よりも後方側に位置する構成としている(図2(a)においてYは鉛直線)。これにより、清掃用突起6によって除去された塵埃が付着物除去部材4の前方側に移送されるのを防ぐことができると共に、水分等の液体が前方側に逆流するのを防ぐことができる。
【0029】
また、清掃対象物1を所定の場所に設置した使用時の状態を側面透視した場合に、付着物除去部材4の前方端部側には、清掃用突起6を収容する収容部8が形成されている。これにより、清掃時以外で清掃用突起6が付着物除去部材4に接触するのを避けることができ、付着物除去部材4が変形するのを防ぐことができる。
【0030】
また、清掃対象物1を所定の場所に設置した使用時の状態を側面透視した場合に、清掃対象物1の被清掃面2の後方側には、清掃用突起6と一体的又は連続的に保護カバー7が形成されており、この保護カバー7は、被清掃面2の上端部後方から下端部後方に亘って形成されている。これにより、除去された塵埃や水分が清掃対象物1の内部に侵入して電子部品等が故障するのを防ぐことができる。
【0031】
また、清掃用突起6は、回動軸3の軸方向に対して略平行に形成されていると共に、清掃対象物1を所定の場所に設置した使用時の状態を側面透視した場合に、被清掃面2が後方側に向かう回動時に、付着物除去部材4への押し込み量が漸次増加する傾斜面6aが形成されている。これにより、付着物除去部材4が内部に保持している水分を絞り出すことができると共に、該水分が前方側に逆流するのを防ぐことができる。即ち、前回の清掃時に付着物除去部材である合成樹脂多孔質体4aによって拭き取られた水分Xは、図2(a)に示すように合成樹脂多孔質体4aの内部に吸収されている。この水分Xは、図2(b)に示すように、清掃用突起の傾斜面6aによって後方側に押し出された後、図2(c)に示すように、清掃装置10の外部へと排出される。
【0032】
図3(a)は、第2実施形態の清掃装置であって、清掃対象物を所定の場所に設置した使用時の状態を示す断面図である。第2実施形態の清掃装置20は、付着物除去部材24が軟質部材からなる板状のブレード体24cと、複数のブラシ毛4dが植設されたブラシ体4bとで構成されており、ブレード体24cは、長手方向が回動軸と略平行であって、清掃対象物21の回動時に、被清掃面22の形状に沿って当接するように配設されている。また、ブラシ体4bは、清掃対象物21の後方側を覆うように配置されており、清掃対象物21の回動時に、被清掃面22の形状に沿って当接する構成としている。これにより、付着物除去部材に合成樹脂多孔質体を用いた場合と比べて、ブラシ毛4dが被清掃面22と滑らかに当接するため、被清掃面22をより傷つけることなく、接触面積が増加するため、清掃効率を向上させることができる。なお、付着物除去部材24を清掃対象物21の後方側の一部に配置した場合も、清掃効果が発揮されるものであり、これも本発明に含まれる。
【0033】
また、付着物除去部材24の後方端部側には、清掃用突起26を収容する収容部28が形成されている。そして、清掃時には、清掃対象物21が回動軸23を中心として図面上時計回りに回転することによって、被清掃面22にブレード体24cが先に当接した後、ブラシ体4bからなる付着物除去部材24に被清掃面の形状に沿って当接する構成としている。
【0034】
また、第1実施形態の清掃装置10では付着物除去部材4によって被清掃面2に付着した塵埃又は汚れの除去が行われる前に清掃用突起6によって付着物除去部材4の清掃が行われる構成としていたが(図2参照)、第2実施形態の清掃装置20では付着物除去部材24(24c、4b)によって被清掃面22に付着した塵埃又は汚れの除去が行われた後に清掃用突起26によって付着物除去部材24(24c、4b)の清掃が行われる構成としている。これにより、付着物除去部材が、例えば泥水などの汚水や砂などの汚物と、長時間に亘り接触させたままの状態となることで、劣化が早まることを抑制でき、常に清潔な状態を維持することができる。
【0035】
図3(b)は、第3実施形態の清掃装置であって、清掃対象物を所定の場所に設置した使用時の状態を示す断面図である。第3実施形態の清掃装置30は、付着物除去部材34が軟質部材からなる板状のブレード体34c、34c・・が間隔をおいて複数配設される構成となっており、ブレード体34cは、長手方向が回動軸33と略平行であって、清掃対象物31の回動時に、被清掃面32の形状に沿って当接するように配設されていると共に、清掃対象物31の後方側を覆うように間隔をおいて複数配設されている。これにより、付着物除去部材に合成樹脂多孔質体を用いた場合と比べて、ブレード体34cの先端を被清掃面32に複数回アタックさせることができるため、被清掃面32に強く付着した塵埃等に対しても確実に除去することができる。なお、付着物除去部材34を清掃対象物31の後方側の一部に配置した場合や、ブレード体34cが1枚のみ配置されている場合も、清掃効果が発揮されるものであり、これも本発明に含まれる。その他の構成は第1実施形態の清掃装置10と同様なので説明は省略する。
【0036】
尚、前述の第1実施形態~第3実施形態の清掃装置において、清掃対象物が後方側に回転する例(図面上、時計回りに回転する例)を示したが、清掃対象物が前方側に回転する(図面上反時計回りに回転する)ようにしてもよい。尚、その場合には、清掃用突起の傾斜面の傾斜方向を逆にするのが好ましい。また、図示していない駆動装置を制御する制御装置を追加し、この制御装置によって、清掃対象物の前方側への回転と後方側への回転の両方が行えるようにしてもよく、これも本発明に含まれる。
【0037】
図4(a)は、第4実施形態の清掃装置の一部を示す斜視図であり、枠体及び付着物除去部材は図示していない。第4実施形態の清掃装置40は、清掃用突起46が回動軸43の軸方向に対して略平行に形成されていると共に、清掃対象物41を所定の場所に設置した使用時の状態を側面透視した場合に、被清掃面42が後方側に向かう回動時に、付着物除去部材への押し込み量が漸次増加する傾斜面46aが形成されている。また、回動軸43の軸方向に対して略直交する方向に凹部9a、9a・・が複数形成された櫛歯形状部9を有している。これにより、付着物除去部材4であるに付着している塵埃を掻き出す効果を向上させることができる。尚、保護カバー7等のその他の構成は第1実施形態の清掃装置10と同様なので説明は省略する。
【0038】
図4(b)は、第5実施形態の清掃装置の一部を示す斜視図であり、付着物除去部材は図示していない。第5実施形態の清掃装置50は、清掃用突起56が回動軸53の軸方向に対して略平行に形成されていると共に、清掃対象物51を所定の場所に設置した使用時の状態を側面透視した場合に、被清掃面52が後方側に向かう回動時に、付着物除去部材への押し込み量が漸次増加する傾斜面56aが形成されている。また、回動軸53の軸方向に対して略平行に凹部19a、19a・・が複数形成された櫛歯形状部19を有している。これにより、付着物除去部材に付着している塵埃を掻き出す効果を向上させることができると共に、付着物除去部材に付着している液体を絞り出す効果を向上させることができる。尚、保護カバー7等のその他の構成は第1実施形態の清掃装置10と同様なので説明は省略する。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明に係る清掃装置は、自動車等の車両、航空機、ドローン、屋外機器に設置されるレンズ又はセンサーで構成される清掃対象物の被清掃面に付着した塵埃、汚れ又は液体を除去するための清掃装置として利用される。
【符号の説明】
【0040】
1、21、31、41、51 清掃対象物
2、22、32、42、52 被清掃面
3、23、33、43、53 回動軸
4、24、34 付着物除去部材
4a 合成樹脂多孔質体
4b ブラシ体
4c、24c、34c ブレード体
4d ブラシ毛
5 枠体
6、26、46、56 清掃用突起
6a、46a、56a 傾斜面
7 保護カバー
8、28 収容部
9、19 櫛歯形状部
9a、19a 凹部
10、20、30、40、50 清掃装置
X 水分
Y 鉛直線
図1
図2
図3
図4